JPH0536223U - 室内空気循環機構を備えた換気扇 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冬季の暖房時において、室内の温度分布の不
均衡を検知して室内空気の循環と換気を自動的に行い、
室内温度を一定に保つことのできる換気扇を得ること。 【構成】 天井温度センサー１２と、室外温度センサー
１３と、床面温度センサー１８とを備え、正逆回転可能
な駆動モータ８と、換気扇７を室内側に傾倒させるアク
チュエータ１０と、天井２側の温度と室外の温度とを比
較して、この温度差が所定値以上になったときに前記ア
クチュエータ１０を作動させて前記換気扇７を室内側に
傾倒させるとともに前記駆動モータ８を逆転駆動させる
駆動制御回路と、前記床面温度センサー１８の検出温度
が所定値以上になったときに前記換気扇７を傾倒姿勢か
ら復帰させた後に前記駆動モータ８を正転駆動させて室
内空気の換気を行う換気扇駆動回路とを有する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は換気扇にかかり、特に冬季の暖房時において、室内空気の循環を行っ て室内の温度分布を均衡にした後に、室内空気の換気を行うことのできる室内空 気循環機構を備えた換気扇に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、冬季の暖房時においては、ストーブなどの暖房機器から発生する暖か い空気が上昇して天井側に溜まるため、天井側の温度は床面側の温度に比して高 くなる。そして、暖房機器の使用を継続すると、天井側と床面側の温度差は時間 の経過とともに大きくなり、やがては、室内作業者の頭部側は暑く、足部側は寒 いという、極めて好ましくない作業環境となることがある。このような作業環境 は室内作業者の眠気を誘発し、作業の効率と安全性の低下の原因となるため、室 内の側壁上方に設けた換気扇を適宜駆動して室内空気の換気を行っている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら従来の換気扇は、天井側に溜まった暖かい空気をそのまま室外に 強制排気してしまうので暖房効率が低下するばかりでなく、換気により室外の冷 たい空気が室内に侵入して床面側に溜まるため、暖房機器を使用しても床面側は なかなか暖かくならないという問題がある。このような問題点を解消するために 、暖かい空気の吹き出し方法を改善することにより、空気を循環させて天井側と 床面側の温度差ができるだけ小さくなるように工夫された暖房機器も種々販売さ れているが、このような暖房機器も、暖房機器周辺の極めて限られた領域内でし か空気の循環が行われず、室内の温度分布を均衡にすることはできない。

【０００４】 本考案は上述の問題に鑑みてなされたもので、特に暖房機器の使用時において 室内空気の循環を行って室内の温度分布の不均衡を緩和するとともに、適宜室内 空気の換気を行って、作業環境に適した温度に維持することのできる室内空気循 環機構を備えた換気扇を得るところにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記問題点を解決するために、本考案の室内空気循環機構を備えた換気扇は、 室内側壁の上方に取り付けられ、駆動モータの回転駆動により複数枚のファンを 回転させて室内空気の換気を行う換気扇において、室内の天井側の温度を検出す る天井温度センサーと、室外の温度を検出する室外温度センサーと、室内の床面 側の温度を検出する床面温度センサーとを備え、正逆回転可能な駆動モータと、 前記ファンの送気方向を変換させて床面側への送気を可能にする送気方向の変換 手段と、天井側の温度と床面側の温度とを比較して、この二つの温度差が所定値 を越え、かつ、室外の温度が所定温度以下であるときに、前記送気方向の変換手 段により前記ファンの送気方向を変換させるとともに前記駆動モータを逆転駆動 させる駆動制御回路と、室内の天井側と床面側の温度差が所定値以下になったと きに前記送気方向を復帰させて前記駆動モータを正転駆動させ、室内空気の換気 を行う換気扇駆動回路とを有することを特徴とする。

【０００６】

【作用】

本考案は上述のように構成されているので、暖房機器の使用により、天井側の 温度と床面側の温度との差が所定値を越え、かつ、室外の温度が所定温度以下に なったときに、駆動制御回路は前記ファンの送気方向を変換させて床面側への送 気を可能にするとともに、駆動モータの逆転駆動を開始させてファンを逆転させ る。このファンの逆転により、天井側の暖かい空気が床面側に向けて送気され、 床面側の冷たい空気と天井側の暖かい空気とが入れ代わって室内空気の循環が行 われる。この空気の循環により、室内の温度分布の不均衡が緩和される。 また、床面温度センサーは、室内作業者の足部や身体の高さなど、室内床面側 の温度を検出し、この検出温度が作業環境に適した温度を超えたときに、換気扇 駆動回路の作用により前記ファンの送気方向が復帰されるとともに前記駆動モー タの正転駆動が開始されてファンが正転され室内空気の換気が行われる。

【０００７】

【実施例】

本考案の実施例を図面に従って詳細に説明する。 図１および図２は本考案の一実施例にかかり、図１は室内空気の循環状態を示 す概略説明図、図２は室内空気の換気状態を示す概略説明図である。 本考案の換気扇Ａは、室内の側壁１に埋設された筐体４と、この筐体４に内装 された換気扇本体７とからなる。 前記筐体４の外側には、シャッター６がヒンジ６ａにて開閉自在に取り付けら れている。このシャッター６はファン５が正転したときに、ファン５による風圧 によって開かれ、ファン５の回転が停止すると自重によって閉じられるものであ る。

【０００８】 前記換気扇本体７は、筐体４にヒンジ７ａにて室内側に傾倒可能に取り付けら れ、正逆に回転可能な駆動モータ８と、この駆動モータ８の回転軸に取り付けら れた複数枚のファン５とを有している。 この換気扇本体７の一側面には、ラック９が取り付けられていて、このラック ９と、前記筐体４の一側面に設けられたサーボモータなどのアクチュエータ１０ のピニオン１０ａとが噛合している。そして、前記ラック９と前記アクチュエー タ１０とから送気方向の変換手段が構成され、前記アクチュエータ１０の作動に より換気扇本体７が室内側に傾倒または復帰して送気方向が変換される。

【０００９】 室内の天井２の近傍には天井２近傍の温度を検出する天井温度センサー１２が 設けられるとともに、室外には、室外の温度を検出する室外温度センサー１３が 設けられている。一方室内には、室内作業者の作業環境を考慮して、作業者の身 体や足部の高さに相応する床面３近傍の温度を検出する床面温度センサー１８が 設けられている。 また、換気扇Ａの下方側壁１上には、換気扇本体７を傾倒または復帰させ前記 駆動モータ８の正逆回転駆動を制御する図示しない換気扇駆動回路および駆動制 御回路が内蔵された制御箱１４が付設されている。そして、前記の天井温度セン サー１２，床面温度センサー１８および室外温度センサー１３は、導線１５，１ ６，１７を介して前記駆動制御回路に接続されている。

【００１０】 次に、上記のように構成された換気扇Ａの作用を図３に従って説明する。 図３は本考案の室内空気循環機構を備えた換気扇の動作説明図である。なお、 本考案の動作はこれに限られるものでない。 図３において、２１は駆動制御回路、２２は換気扇駆動回路である。冬季にお いて暖房機器の使用を開始すると、暖房機器より発生する暖かい空気は天井２側 に溜まり、天井２側の温度は時間の経過とともに上昇する。天井２側の温度は天 井温度センサー１２にて検出され、この検出信号は導線１６を経て駆動制御回路 ２１に伝達される。また、床面３側の温度は床面温度センサー１８にて検出され 、この検出信号は導線１７を経て駆動制御回路２１に伝達される。一方、室外の 温度は室外温度センサー１３にて検出され、この検出信号は導線１５を経て駆動 制御回路２１に伝達される。

【００１１】 室内の作業者が、図示しない換気扇のスイッチを入力することにより、前記駆 動制御回路２１および換気扇駆動回路２２が作動を開始する。 換気扇Ａのスイッチを入力した時に、床面３側の温度が作業環境に適した温度 範囲（以下、適温範囲という）よりも低いときには、駆動制御回路２１は床面３ 近傍の温度と天井２近傍の温度とを比較し、室外の温度が所定温度以下で、かつ 、天井２近傍の温度が床面３近傍の温度に比して所定値以上高くなっていると判 断すると（ステップ２１ａ）、アクチュエータ１０の作動を開始させる（ステッ プ２１ｂ）。このアクチュエータ１０の作動により換気扇本体７はヒンジ７ａを 軸として室内側に傾倒する。換気扇本体７の傾倒角が所定角度に達すると、マイ クロスイッチなどの停止機構（図示せず）の作用によりアクチュエータ１０の作 動が停止する（ステップ２１ｃ）。アクチュエータ１０の作動停止確認後、前記 駆動制御回路２１は、駆動モータ８の逆転駆動を開始させてファン５を逆転させ る（ステップ２１ｄ）。このファン５の逆転により、天井２側の暖かい空気は換 気扇本体の後面側（室外側）から吸い込まれて床面側に向けて送気（送気方向を 図１中矢印Ｂで示す）され、床面側の冷たい空気と天井側の暖かい空気とが入れ 代わって図１中矢印Ｃに示す方向に室内空気が循環する。この室内空気の循環に より、室内の温度分布が均衡にされる。 ファン５の逆転は、床面３近傍の温度と天井２近傍の温度差が所定値以下にな ったとき、または床面３側の温度が適温範囲内になったとき（ステップ２１ｅ） に、停止する（ステップ２１ｆ）。

【００１２】 次に、室内空気の循環後に床面３側の温度が前記適温範囲を越えて高くなって いるとき（ステップ２２ａ）には、換気扇駆動回路２２の作用によりアクチュエ ータ１０が作動されて（ステップ２２ｂ）、換気扇本体７を傾倒状態から通常状 態に復帰させる。換気扇駆動回路２２が換気扇本体７の復帰を確認すると（ステ ップ２２ｃ）、前記換気扇駆動回路２２は駆動モータ８の正転駆動を開始させて ファン５を正転させる（ステップ２２ｄ）。このファン５の正転によりシャッタ ー６が開いて室内空気が強制的に排気（排気方向を図２中矢印Ｂ′で示す）され 、室内空気の換気が行われる。このファン５の正転は、換気扇駆動回路２２に予 め設定された時間が経過すると（ステップ２２ｅ）、停止する（ステップ２２ｆ ）。

【００１３】 また、前記の駆動制御回路２１および換気扇駆動回路２２に予め設定される設 定時間や温度などの設定値は、季節や室内の作業環境などに応じて、任意に変更 することが可能であることは言うまでもない。 また、上述の実施例では冬季の暖房時に限って説明したが、夏季の冷房時にお いても、駆動制御回路および換気扇駆動回路の切り換えにより床面３近傍の温度 と天井２近傍の温度とを比較して室内空気の循環を行い、室内の温度分布の不均 衡を緩和することも可能である。

【００１４】

【考案の効果】

本考案によれば、冬季の暖房時における天井側と床面側との温度差が、天井温 度センサーおよび床面温度センサーにより自動的に検出されて室内空気の循環が 行われることにより、室内の温度分布の不均衡を緩和することができる。また、 床面温度センサーにより床面側の温度が自動的に検出されて適宜室内空気が換気 されることにより、室内を作業環境に適した温度に維持することができる。 従って、暖房効率の向上ばかりでなく、作業の効率と安全性の向上をも図るこ とが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例にかかり、室内空気の循環
状態を示す概略説明図である。

【図２】本考案の第１実施例にかかり、室内空気の換気
状態を示す概略説明図である。

【図３】本考案の動作説明図である。

【符号の説明】

Ａ 換気扇 Ｂ，Ｂ′ 換気扇の送気方向を示す矢印 Ｃ 室内空気の循環方向を示す矢印 １ 側壁 ２ 天井 ３ 床面 ４ 筐体 ５ ファン ６ シャッター ７ 換気扇本体 ８ 駆動モータ ９ ラック １０ アクチュエータ（サーボモータ） １２ 天井温度センサー １３ 室外温度センサー １４ 制御箱 １５，１６，１７ 導線 １８ 室内温度センサー ２１ 駆動制御回路 ２２ 換気扇駆動回路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 室内側壁の上方に取り付けられ、駆動モ
   ータの回転駆動により複数枚のファンを回転させて室内
   空気の換気を行う換気扇において、 室内の天井側の温度を検出する天井温度センサーと、室
   外の温度を検出する室外温度センサーと、室内の床面側
   の温度を検出する床面温度センサーとを備え、 正逆回転可能な駆動モータと、 前記ファンの送気方向を変換させて床面側への送気を可
   能にする送気方向の変換手段と、 天井側の温度と床面側の温度とを比較して、この二つの
   温度差が所定値を越え、かつ、室外の温度が所定温度以
   下であるときに、前記送気方向の変換手段により前記フ
   ァンの送気方向を変換させるとともに前記駆動モータを
   逆転駆動させる駆動制御回路と、 室内の天井側と床面側の温度差が所定値以下になったと
   きに前記送気方向を復帰させて前記駆動モータを正転駆
   動させ、室内空気の換気を行う換気扇駆動回路と、 を有することを特徴とする室内空気循環機構を備えた換
   気扇。