以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態における具体的な各種設定例は一例を示すものであり、これらに限定されるものではない。また、以下の説明において、「システム」とは、複数の装置で構成される装置全体を表す。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における空気調和システムを備える住宅1の断面模式図である。また、図2は、本実施の形態の空気調和システムにおける各機器の配置を示す平面模式図である。図1に示すように、本実施の形態の空気調和システムは、2階建ての住宅などに設置される。また、図2に示すように、住宅1には、リビング2、トイレ5、洗面所6および浴室7がある。リビング2の外側の壁には、空調装置100の室内機103が設置される。室内機103は、冷房、暖房、除湿、加湿、保湿または送風などの運転モードにて、リビング2を空調する。室内機103の運転/停止、風向きおよび風量などは、集中制御装置202によって制御される。本実施の形態において、リビング2のように室内機103が設置され、室内機103によって直接空調が行われる空間を第一空間11という。また、トイレ5、洗面所6および浴室7のように、室内機103が設置されていない空間を第二空間12という。さらに、第一空間11における、床から高さ1.4mまでの範囲を第一居住域13という。また、第二空間12における、床から高さ1.4mまでの範囲を第二居住域14という。
図1および図2に示すように、リビング2の床には、ライン形状の吸込み口105が設けられる。本実施の形態では、2個の吸込み口105が、室内機103の真下近傍および第二空間12側の壁の近傍にそれぞれ配置される。また、リビング2の床下には、送風装置102が設けられる。送風装置102は、ダクト107を介して吸込み口105と連通している。送風装置102は、回転駆動されて空気流を発生する送風ファンを備える。送風装置102が運転することにより、第一空間11の空気が吸込み口105から吸込まれる。また、リビング2の外側の壁の上部または天井には、外気を室内に給気するため、2個の給気装置9が設けられる。送風装置102の運転/停止および風量(風速)、ならびに給気装置9の運転/停止および風量は、集中制御装置202によって制御される。
トイレ5および洗面所6の床には、矩形状の吹出し口106が設けられる。図2に示すように、本実施の形態では、トイレ5の床における第一空間11側の隅に1個の吹出し口106が配置され、洗面所6の床における第一空間11側の隅および外側の隅に、それぞれ吹出し口106が配置される。吹出し口106は、ダクト107を介して送風装置102と連通している。送風装置102が運転することにより、第一空間11の空気が、吸込み口105から吸込まれ、吹出し口106から吹出される。さらに、トイレ5、洗面所6、浴室7の外側の壁の上部または天井には、室内の空気を排気するための排気装置10がそれぞれ設けられる。排気装置10の運転/停止および風量は、集中制御装置202によって制御される。リビング2の給気装置9によって取り込まれた空気は、リビング2を通過して、トイレ5、洗面所6および浴室7へと流れ、排気装置10によって外へと排出される。これにより、トイレ5、洗面所6、浴室7で発生する臭気など汚染空気がリビング2へ流入することを防いでいる。
本実施の形態では、第一居住域13の床に設置されたライン形の吸込み口105によって、第一居住域13の一定範囲の有効な冷暖気を吸込み、第二居住域14の床の隅から吹き出すことで、第二空間12の床面から高さ0.2m以内で、冷たいまたは暖かい空気層を形成することができる。また、床の隅に吹出し口106を設けることで、送風装置102に連繋されるダクト107のコスト低減を提供しつつ、トイレ5や洗面所6など排水システムと同じレイアウトが使用できる。さらに、人体に直接気流を当てないため、快適性も向上する。
図3は、本実施の形態における空調装置100の一例を示す図である。本実施の形態の空調装置100は、リビング2に配置される室内機103と、住宅1の外に配置される室外機104とを備える。室内機103は、室内送風機113および室内熱交換器115を備え、冷房、暖房、除湿、加湿、保湿または送風などの運転モードにて空調を行う。室外機104は、室外送風機114、室外熱交換器116、膨張弁117、四方弁118、および圧縮機119を備える。圧縮機119、四方弁118、室内熱交換器115、膨張弁117および室外熱交換器116が環状に冷媒配管120で接続されることで冷媒回路が構成される。そして、冷媒回路の内部を冷媒が圧縮と膨張を繰り返しながら循環することで、ヒートポンプが形成され、住宅1に暖気または冷気を供給する。
図4は、本実施の形態の空気調和システムにおける制御システムの一例を示す図である。図4に示すように、本実施の形態の制御システムは、集中制御装置202と、集中制御装置202に接続される表示操作装置201、空調制御装置203、送風制御装置204、給気制御装置205および排気制御装置206とを備える。空調制御装置203は空調装置100の室内機103と接続される。送風制御装置204は送風装置102と接続される。給気制御装置205は給気装置9と接続される。排気制御装置206は排気装置10と接続される。各制御装置間、および各制御装置と各制御対象装置との間は、有線または無線通信で接続され、制御指令や機器情報などが相互に伝達される。集中制御装置202、空調制御装置203、送風制御装置204、給気制御装置205および排気制御装置206は、専用のハードウェア、またはメモリ(図示せず)に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)で構成される。
表示操作装置201は、例えばリモコンであり、空気調和システムの使用者によって操作されるとともに、空気調和システムの運転情報等を表示する。表示操作装置201から入力される情報は、集中制御装置202に送られる。表示操作装置201から入力される情報は、例えば、空調装置100と送風装置102との連携制御の実行または解除に関する指示、空調装置100および送風装置102を複数備える場合は、これらの中から連携させる機器を選択する指示、および空調装置100と送風装置102との連携制御のスケジュールなどである。
集中制御装置202は、例えばHEMS(Home Energy Management System)コントローラであり、表示操作装置201から入力された情報、および図示しないメモリに記憶される制御プログラムに従って、空調制御装置203、送風制御装置204、給気制御装置205および排気制御装置206へ制御指令を送るとともに、空調制御装置203、送風制御装置204、給気制御装置205および排気制御装置206から各機器の運転情報およびセンサ情報などを受信する。
具体的には、集中制御装置202から空調制御装置203へは、運転/停止、運転モード、目標温度、風量および風向などに関する指令が送られる。そして、集中制御装置202から送風制御装置204、給気制御装置205および排気制御装置206へは、空調装置100との連携に関する運転/停止、風量などの指令が送られる。また、空調制御装置203、送風制御装置204、給気制御装置205および排気制御装置206から集中制御装置202へ送られるセンサ情報としては、室内温度、室内湿度、室内風速、室内空気圧力、外気温度、外気湿度、外気風速、外気圧力、ヒートポンプの冷媒温度(配管温度)、冷媒圧力、壁温度、照度、日射、在室情報、画像情報、CO2濃度、VOC濃度、粉塵濃度および臭気濃度などがある。
本実施の形態の集中制御装置202は、空調装置100の室内機103と送風装置102とを連携して動作させ、室内機103によって第一空間11に供給される冷暖気を、吸込み口105から吸込み、吹出し口106から第二空間12に吹出す。これにより、住宅1内の温度差を削減することができる。以下に、本実施の形態の集中制御装置202によって実施される連携制御について説明する。連携制御において、集中制御装置202は、空調装置100の風量および風向きと、送風装置102の風量とを対応付けて制御する。
(制御例1:弱風量制御)
集中制御装置202は、連携制御として、室内機103が冷房運転または暖房運転をしている場合、送風装置102の風量を「弱」に設定する。ここで、送風装置102の風量が「弱」に設定される場合、吹出し口106から風速0.5m/s以下(例えば0.1〜0.5m/s)の低速で空気が吹出される。図5(a)は、暖房時の弱風量制御による第二空間12の気流分布の一例を示す図であり、図5(b)は、暖房時の弱風量制御による第二空間12の温度勾配を示す図である。本制御では、室内機103から吹出される暖気は、第一空間11の吸込み口105から吸込まれ、吹出し口106から、低速で吹出される。このように、第二空間12の床から目標温度よりも高温の空気を低速で吹出すことで、床面付近(例えば床面から高さ0.1〜0.2mまで)に空気層が形成され、温められた空気の浮力を換気の駆動力として利用し、サーマルプルーム(自然対流ジェット)を発生させることができる。そして、暖気を第二居住域14まで溜めるのと同時に、細菌、ウイルスなど汚染物質を温度勾配により上昇気流で排出することができる。また、このとき、第二空間12の天井または壁上部に設置された排気装置10を運転することで、汚染された空気を天井まで上昇させ、天井面に沿って流し、排気装置10に流入させることができる。これにより、効率よく第二空間12の居住域(すなわち第二居住域14)を空調するとともに第二空間12を換気することができる。
図6(a)は、冷房時の弱風量制御による第二空間12の気流分布の一例を示す図であり、図6(b)は、冷房時の弱風量制御による第二空間12の温度勾配を示す図である。本制御では、室内機103から吹出される冷気は、第一空間11の吸込み口105から吸込まれ、吹出し口106から低速で吹出される。吹出し口106から低速で冷気を吹出すことにより、第二空間12に不均一な冷気分布が形成され、効果的に汚染物質を除去することができる。また、高密度の新鮮な冷気が第二空間12の床付近に溜まり、その冷気が第二居住域14の温度境界層を保つと同時に、汚染物質を押し上げることができる。
(制御例2:第一優先制御/第二優先制御)
集中制御装置202は、連携制御として、第一居住域13の温度が目標温度に到達することを優先する第一優先制御と、第二居住域14の温度が目標温度に到達することを優先する第二優先制御と、を実行する。第一優先制御および第二優先制御の何れを実行するかは、表示操作装置201から入力されるスケジュール、または各制御装置から送信されるセンサ情報に基づいて選択される。
図7は、第一優先制御および第二優先制御における制御内容を示す図である。図7に示すように、集中制御装置202は、第一優先制御の場合、室内機103の吹出し方向を遠端向きに設定し、送風装置102の風量を「弱」に設定する。ここで、「遠端向き」とは、室内機103のルーバの角度を45°〜70°とすることである。なお、ルーバの角度は、床面に対して鉛直方向を0°とし、床面と平行な方向を90°とする。また、集中制御装置202は、第二優先制御の場合、室内機103の吹出し方向を真下向きに設定し、送風装置102の風量を「強」に設定する。ここで、「真下向き」とは、室内機103のルーバの角度を30°以内とすることであり、送風装置102の風量が「強」に設定された場合、吹出し口106から風速1.0m/s以上で空気が吹出される。
図8は、第一優先制御時の空気の流れを示す断面模式図である。図8に示すように、第一優先制御では、室内機103の風向きが遠端向きに設定される。そして、送風装置102が運転されると、第一居住域13の床において、第二空間12の近傍に配置された吸込み口105によって、室内機103が吹出す冷暖気が吸込まれる。これにより、吸込み口105と吹出し口106を接続するダクト107の圧損を低減すること、および送風装置102が備えるファンの電力を削減することができる。また、第二空間12の床に設置された吹出し口106から、低速で冷暖気が吹出される。これにより、第一居住域13の室温は、第二居住域14の室温よりも早く目標温度まで到達する。生活シーンに応じて、第一優先制御を実行することで、第一空間11の室温を優先的に制御でき、第一空間11の快適性が向上する。
図9は、第二優先制御時の空気の流れを示す断面模式図である。図9に示すように、第二優先制御では、室内機103の風向きが真下向きに設定される。そして、送風装置102が運転されると、第一居住域13の床において、室内機103の真下近傍に配置された吸込み口105によって、室内機103が吹出す冷暖気が吸込まれる。これにより、室内機103が吹出した空気を、効率良く吸込み口105に届けることができる。また、第二空間12の床に設置された吹出し口106から、強い風速で冷暖気が吹出される。これにより、第二居住域14の室温は、第一居住域13の室温よりも早く目標温度まで到達する。生活シーンに応じて、第二優先制御を実行することで、第二空間12の室温を優先的に制御でき、第二空間12の快適性が向上する。
(制御例3:指定時刻制御)
集中制御装置202は、表示操作装置201から入力される指定時刻に従って、室内機103および送風装置102を連携制御する。図10は、暖房時の指定時刻制御を説明する図である。図10(a)は、第二居住域14の温度変化を示し、図10(b)は、第一居住域13の温度変化を示し、図10(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。本制御例では、指定時刻として、室内機103の運転開始時刻と停止時刻とが指定され、集中制御装置202に記憶される。
集中制御装置202は、指定された運転開始時刻になると、空調制御装置203へ運転開始指令を送り、室内機103の暖房運転を開始する。同時に集中制御装置202は、送風制御装置204へ運転開始指令を送り、室内機103と連動して送風装置102の運転を開始する。これにより、第一居住域13に暖気が供給されるとともに、吸込み口105から吸込まれた暖気が吹出し口106から第二居住域14に供給され、第一居住域13および第二居住域14の温度が目標温度まで上昇する。また、集中制御装置202は、指定された運転停止時刻になると、空調制御装置203へ停止指令を送り、室内機103の暖房運転を停止する。同時に集中制御装置202は、送風制御装置204へ停止指令を送り、室内機103と連動して送風装置102を停止する。
図11は、冷房時の指定時刻制御を説明する図である。図11(a)は、第二居住域14の温度変化を示し、図11(b)は、第一居住域13の温度変化を示し、図11(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。図10に示す暖房時と同様に、集中制御装置202は、指定された運転開始時刻になると、空調制御装置203へ運転開始指令を送り、室内機103の冷房運転を開始する。同時に集中制御装置202は、送風制御装置204へ運転開始指令を送り、室内機103と連動して送風装置102の運転を開始する。これにより、第一居住域13に冷気が供給されるとともに、吸込み口105から吸込まれた冷気が吹出し口106から第二居住域14に供給され、第一居住域13および第二居住域14の温度が目標温度まで低下する。また、集中制御装置202は、指定された運転停止時刻になると、空調制御装置203へ停止指令を送り、室内機103の暖房運転を停止する。同時に集中制御装置202は、送風制御装置204へ停止指令を送り、室内機103と連動して送風装置102を停止する。
(制御例4)
また、集中制御装置202は、表示操作装置201を介して設定されるスケジュールに従って、室内機103および送風装置102を連携制御する。設定されるスケジュールは、起床時刻、外出時刻、帰宅時刻、入浴時刻および就寝時刻などがあり、集中制御装置202に記憶される。
(制御例4−1:起床前予暖/予冷制御)
例えば、集中制御装置202は、スケジュールに設定される起床時刻よりも前に、室内機103および送風装置102の運転を開始し、室内機103から供給される冷暖気によって、第一居住域13および第二居住域14を予暖または予冷する。
図12は、起床前予暖制御を説明する図である。図12(a)は、第二居住域14の温度変化を示し、図12(b)は、第一居住域13の温度変化を示し、図12(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。集中制御装置202は、指定された起床時刻よりも所定時間(例えば30分)前の予暖時刻になると、空調制御装置203へ運転開始指令を送り、室内機103の暖房運転を開始する。同時に集中制御装置202は、送風制御装置204へ運転開始指令を送り、室内機103と連動して送風装置102の運転を開始する。また、このとき、洗面所6などの第二居住域14の温度を目標温度にすることを優先するため、第二優先制御が実施される。詳しくは、図9に示すように、室内機103の吹出し方向が真下(ルーバ30°以内)向きに設定され、送風装置102の風量が「強」に設定される。また、室内機103の風量も「強」に設定される。これにより、第二居住域14が優先して暖房される。
そして、第二居住域14の温度が目標温度に到達した場合、集中制御装置202は、送風制御装置204へ送風装置102の風量を「弱」へ変更する指令を送り、送風装置102の風量を低下させる。また、第一居住域13の温度が目標温度に到達した場合、集中制御装置202は、空調制御装置203へ室内機103の風量を「弱」へ変更する指令を送り、室内機103の風量を低下させる。また、集中制御装置202は、起床時刻から所定時間(例えば30時間)が経過した場合、送風制御装置204へ停止指令を送り、送風装置102を停止させる。一方、集中制御装置202は、第一居住域13の温度が目標温度の許容範囲内を維持するように、室内機103の風量を「弱」としたまま運転を継続する。そして、集中制御装置202は、外出時刻になると、空調制御装置203へ停止指令を送り、室内機103の暖房運転を停止させる。
図13は、起床前予冷制御を説明する図である。図13(a)は、第二居住域14の温度変化を示し、図13(b)は、第一居住域13の温度変化を示し、図13(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。暖房時と同様に、集中制御装置202は、指定された起床時刻よりも所定時間(例えば30分)前の予冷時刻になると、空調制御装置203へ運転開始指令を送り、室内機103の冷房運転を開始する。同時に集中制御装置202は、送風制御装置204へ運転開始指令を送り、室内機103と連動して送風装置102の運転を開始する。また、このとき、暖房時と同様に、第二優先制御が実施される。詳しくは、図9に示すように、室内機103の吹出し方向が真下(ルーバ30°以内)向きに設定され、送風装置102の風量が「強」に設定される。また、室内機103の風量も「強」に設定される。これにより、第二居住域14が優先して冷房される。
そして、第二居住域14の温度が目標温度に到達した場合、集中制御装置202は、暖房時と同様に、送風制御装置204へ送風装置102の風量を「弱」へ変更する指令を送り、送風装置102の風量を低下させる。また、第一居住域13の温度が目標温度に到達した場合、集中制御装置202は、空調制御装置203へ室内機103の風量を「弱」へ変更する指令を送り、室内機103の風量を低下させる。また、集中制御装置202は、起床時刻から所定時間が経過した場合、送風制御装置204へ停止指令を送り、送風装置102を停止させる。一方、集中制御装置202は、第一居住域13の温度が目標温度の許容範囲内を維持するように、室内機103の風量を「弱」としたまま運転を継続する。そして、集中制御装置202は、外出時刻になると、空調制御装置203へ停止指令を送り、室内機103の冷房運転を停止させる。
上記のような起床前予暖/予冷制御を行うことで、冬期には第一居住域13から第二居住域14まで暖房することができ、夏季には第一居住域13から第二居住域14まで冷房することができ、快適性が向上する。同時に、室内機103の風量および風向き、ならびに送風装置102の風量を制御し、効率の良い気流の流れを提供することで、省エネと快適性を両立することができる。
(制御例4−2:帰宅前予暖/予冷制御)
また、集中制御装置202は、スケジュールに設定される帰宅時刻よりも前に室内機103および送風装置102の運転を開始し、室内機103から供給される冷暖気によって、第一居住域13および第二居住域14を予暖または予冷する。なお、帰宅前の予暖/予冷制御においては、第一居住域13の温度を目標温度とする場合(図14、図15)と、第一居住域13および第二居住域14の温度を目標温度とする場合(図16、図17)の2パターンがある。
図14は、第一居住域13の温度を目標温度とする場合の帰宅前予暖制御を説明する図である。図14(a)は、第二居住域14の温度変化を示し、図14(b)は、第一居住域13の温度変化を示し、図14(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。集中制御装置202は、指定された帰宅時刻よりも所定時間(例えば30分)前の予暖時刻になると、空調制御装置203へ運転開始指令を送り、室内機103の暖房運転を開始する。同時に集中制御装置202は、送風制御装置204へ運転開始指令を送り、室内機103と連動して送風装置102の運転を開始する。また、このとき、リビング2などにおける第一居住域13の温度が目標温度に到達することと、省エネの実現とを両立させるため、第一優先制御を実行する。詳しくは、図8に示すように室内機103の吹出し方向が遠端(ルーバ45〜70°)向きに設定され、送風装置102の風量が「弱」に設定される。また、室内機103の風量も「弱」に設定される。これにより、第一居住域13が優先して暖房される。
そして、第一居住域13の温度が目標温度に到達した場合、集中制御装置202は、空調制御装置203へ、室内機103の吹出し方向を真下(ルーバ30°以内)向きに変更する指令を送る。これにより、室内機103の風向きが真下に変更され、第二居住域14に暖気が送られる。
図15は、第一居住域13の温度を目標温度とする場合の帰宅前予冷制御を説明する図である。図15(a)は、第二居住域14の温度変化を示し、図15(b)は、第一居住域13の温度変化を示し、図15(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。暖房時と同様に、集中制御装置202は、指定された帰宅時刻よりも所定時間(例えば30分)前の予冷時刻になると、空調制御装置203へ運転開始指令を送り、室内機103の冷房運転を開始する。同時に集中制御装置202は、送風制御装置204へ運転開始指令を送り、室内機103と連動して送風装置102の運転を開始する。また、このとき、暖房時と同様に、第一優先制御が実施される。詳しくは、図8に示すように室内機103の吹出し方向が遠端(ルーバ45〜70°)向きに設定され、送風装置102の風量が「弱」に設定される。また、室内機103の風量も「弱」に設定される。これにより、第一居住域13が優先して暖房される。
そして、第一居住域13の温度が目標温度に到達した場合、集中制御装置202は、空調制御装置203へ、室内機103の吹出し方向を真下(ルーバ30°以内)向きに変更する指令を送る。これにより、室内機103の風向きが真下に変更され、第二居住域14に冷気が送られる。
図16は、第二居住域14の温度を目標温度とする場合の帰宅前予暖制御を説明する図である。図16(a)は、第二居住域14の温度変化を示し、図16(b)は、第一居住域13の温度変化を示し、図16(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。集中制御装置202は、指定された帰宅時刻よりも所定時間(例えば30分)前の予暖時刻になると、空調制御装置203へ運転開始指令を送り、室内機103の暖房運転を開始する。同時に集中制御装置202は、送風制御装置204へ運転開始指令を送り、室内機103と連動して送風装置102の運転を開始する。また、このとき、室内機103の吹出し方向は遠端(ルーバ45〜70°)向きに設定され、室内機103の風量および送風装置102の風量は「弱」に設定される(第一優先制御)。
そして、第一居住域13の予暖時間を短縮するために、集中制御装置202は、室内機103の運転開始から所定の時間が経過した場合、空調制御装置203へ室内機103の風量を「強」へ変更する指令を送り、室内機103の風量を上昇させる。そして、第一居住域13の温度が目標温度に到達した場合、集中制御装置202は、空調制御装置203へ、室内機103の風量を「弱」へ変更するとともに、吹出し方向を真下(ルーバ30°以内)向きに変更する指令を送る。これにより、室内機103の風量を低下させ、風向きが真下に変更される。同時に、集中制御装置202は、送風制御装置204へ送風装置102の風量を「強」に変更する指令を送る。これにより、第二居住域14の温度が目標温度に到達する。
図17は、第二居住域14の温度を目標温度とする場合の帰宅前予冷制御を説明する図である。図17(a)は、第二居住域14の温度変化を示し、図17(b)は、第一居住域13の温度変化を示し、図17(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。集中制御装置202は、指定された帰宅時刻よりも所定時間(例えば30分)前の予冷時刻になると、空調制御装置203へ運転開始指令を送り、室内機103の冷房運転を開始する。同時に集中制御装置202は、送風制御装置204へ運転開始指令を送り、室内機103と連動して送風装置102の運転を開始する。また、このとき、室内機103の吹出し方向は遠端(ルーバ45〜70°)向きに設定され、室内機103の風量および送風装置102の風量は「弱」に設定される(第一優先制御)。
そして、第一居住域13の予冷時間を短縮するために、集中制御装置202は、室内機103の運転開始から所定の時間が経過した場合、空調制御装置203へ室内機103の風量を「強」へ変更する指令を送り、室内機103の風量を上昇させる。そして、第一居住域13の温度が目標温度に到達した場合、集中制御装置202は、空調制御装置203へ、室内機103の風量を「弱」へ変更するとともに、吹出し方向を真下(ルーバ30°以内)向きに変更する指令を送る。これにより、室内機103の風量を低下させ、風向きが真下に変更される。同時に、集中制御装置202は、送風制御装置204へ送風装置102の風量を「強」に変更する指令を送る。これにより、第二居住域14の温度が目標温度に到達する。
上記のような帰宅前予暖/予冷制御を行うことで、帰宅時には第一居住域13および第二居住域14が暖房または冷房されているため、快適性が向上する。また、最初に第一居住域13を予暖または予冷し、送風装置102を用いて、第一居住域13の空気を吸込んで第二居住域14に吹出すことで、効率良く第二居住域14を予暖または予冷することができ、省エネと快適性を両立することができる。
(制御例4−3:入浴時刻制御)
集中制御装置202は、スケジュールに設定される入浴時刻に従って、室内機103および送風装置102を連携制御する。
図18は、暖房時の入浴時刻制御を説明する図である。図18(a)は、第一居住域13の温度変化を示し、図18(b)は、第二居住域14の温度変化を示し、図18(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。なお、入浴時刻制御開始時において、室内機103は風量「弱」で暖房運転しているものとする。集中制御装置202は、指定された入浴時刻よりも所定時間(例えば30分)前の予暖時刻になると、送風制御装置204へ運転開始指令を送り、送風装置102の運転を開始する。また、このとき、洗面所6など第二居住域14の温度が目標温度に到達することを優先するため、第二優先制御が実施される。詳しくは、室内機103の吹出し方向は真下(ルーバ30°以内)向きに設定され、室内機103および送風装置102の風量は「強」に設定される。これにより、洗面所6などの第二居住域14が予暖される。
そして、第二居住域14の温度が目標温度に到達すると、集中制御装置202は、送風制御装置204へ送風装置102の風量を「弱」に変更する指令を送り、送風装置102の風量を低下させる。同時に、集中制御装置202は、空調制御装置203へ、室内機103の風量を「弱」へ変更するとともに、吹出し方向を自動向きに変更する指令を送る。ここで、自動向きとは、ルーバの角度を30〜60°とすることである。その後、第一居住域13の温度が安定すると、集中制御装置202は、送風制御装置204へ、ファンの回転方向を反転させる指令を送る。同時に、集中制御装置202は、空調制御装置203へ風量を「弱」へ変更するとともに、吹出し方向を遠端(ルーバ45〜70°)向きに変更する指令を送る。これにより、第二居住域14の空気が、吹出し口106から吸込まれ、吸込み口105から第一居住域13へ吹き出される。
そして、入浴時刻から所定の時間が経過した場合、集中制御装置202は、送風制御装置204へ送風装置102を停止する指令を送る。一方、室内機103は、第一居住域13の温度が目標温度の許容範囲内で変化する間、風量「弱」で暖房運転を継続する。
図19は、暖房時の入浴時刻制御における入浴時刻前の空気の流れを示す断面模式図である。図20は、暖房時の入浴時刻制御における入浴中の空気の流れを示す断面模式図である。図21は、暖房時の入浴時刻制御における入浴後の空気の流れを示す断面模式図である。図19〜図21において、気流を矢印で示している。図19に示すように、入浴時刻前の予暖時刻になると、送風装置102が運転され、第一居住域13の有効な暖気が第二居住域14まで導入される。このとき、室内機103の吹出し方向は真下(ルーバ30°以内)向きであり、送風装置102は室内機103と同様に風量「強」に設定される。
また、図20に示すように、入浴中は、室内機103の吹出し方向は自動(ルーバ30〜60°)向きであり、送風装置102は室内機103と同じ風量「弱」に設定される。さらに、図21に示すように、入浴後は、室内機103の吹出し方向は遠端(ルーバ45〜70°)向きにされるとともに、送風装置102の送風方向が反転され、第二居住域14の空気が第一居住域13に導入される。なお、入浴後、送風装置102の送風方向を反転させるタイミングは、集中制御装置202が記憶する入浴時刻と第二居住域14に設置された温度センサによって決定されてもよい。
図22は、冷房時の入浴時刻制御を説明する図である。図22(a)は、第一居住域13の温度変化を示し、図22(b)は、第二居住域14の温度変化を示し、図22(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。なお、入浴時刻制御開始時において、室内機103は風量「弱」で冷房運転しているものとする。集中制御装置202は、指定された入浴時刻よりも所定時間(例えば30分)前の予冷時刻になると、送風制御装置204へ運転開始指令を送り、送風装置102の運転を開始する。また、このとき、洗面所6など第二居住域14の温度が目標温度に到達することを優先するため、第二優先制御が実施される。詳しくは、室内機103の吹出し方向は真下(ルーバ30°以内)向きに設定され、室内機103および送風装置102の風量は「強」に設定される。これにより、洗面所6などの第二居住域14が予冷される。
そして、第二居住域14の温度が目標温度に到達すると、集中制御装置202は、送風制御装置204へ送風装置102の風量を「弱」に変更する指令を送り、送風装置102の風量を低下させる。同時に、集中制御装置202は、空調制御装置203へ室内機103の風量を「弱」へ変更するとともに、吹出し方向を自動(ルーバ30〜60°)向きに変更する指令を送る。そして、入浴時刻から所定時間が経過した場合、集中制御装置202は、送風制御装置204へ送風装置102を停止する指令を送る。一方、室内機103は、第一居住域13の温度が目標温度の許容範囲内で変化する間、風量「弱」で冷房を継続する。
上記のような入浴時刻制御を行うことで、入浴時には第二居住域14が暖房または冷房されているため、快適性が向上する。また、冬期、入浴前後に送風装置102の風向きを反転させることで、入浴前には第二居住域14を温めるとともに、入浴後には第二居住域14の高い湿度の空気を搬送して第一居住域13を加湿することができ、快適性がさらに向上する。
(制御例4−4:就寝時刻制御)
また、集中制御装置202は、スケジュールに設定される就寝時刻となった場合に、室内機103を停止する。
図23は、暖房時の就寝時刻制御を説明する図である。図23(a)は、第一居住域13の温度変化を示し、図23(b)は、第二居住域14の温度変化を示し、図23(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。集中制御装置202は、指定された就寝時刻になると、空調制御装置203へ運転停止指令を送り、室内機103の暖房運転を停止する。なお、就寝時刻制御の開始時において、送風装置102が運転している場合は、集中制御装置202は、同時に送風制御装置204へ送風装置102を停止する指令を送り、室内機103と連動させて送風装置102を停止させる。
図24は、冷房時の就寝時刻制御を説明する図である。図24(a)は、第一居住域13の温度変化を示し、図24(b)は、第二居住域14の温度変化を示し、図24(c)は、室内機103および送風装置102の運転状態を示す。集中制御装置202は、指定された就寝時刻になると、空調制御装置203へ運転停止指令を送り、室内機103の冷房運転を停止する。なお、就寝時刻制御の開始時において、送風装置102が運転している場合は、集中制御装置202は、同時に送風制御装置204へ送風装置102を停止する指令を送り、室内機103と連動させて送風装置102を停止させる。
上記のように、本実施の形態によると、室内機103を備える第一空間11だけでなく、空調装置100の制御対象空間外であるトイレ5、洗面所6などの第二空間12の快適性を向上させることができる。さらに、室内機103と送風装置102とを連携して動作させるよう風量や風向きを制御することで、熱ロスの発生を抑制するとともに、効率的に冷暖気を第二空間12に送ることができる。また、これにより、空調装置100および送風装置102の消費電力の増加も抑制される。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、第二空間12に設けられる吹出し口106が、第二空間12の床ではなく、壁に設けられる点において、実施の形態1と相違する。空気調和システムのその他の構成については実施の形態1と同じである。
図25は、吹出し口106を第二空間12の壁に配置した場合を示す断面模式図である。吹出し口106は、第二空間12の第一空間11側の壁に配置される。より詳しくは、吹出し口106は、第二居住域14の壁、すなわち床から1.4m以内に配置される。そして、集中制御装置202は、室内機103が暖房運転をしている場合、実施の形態1と同様の弱風量制御を行う。図26(a)は、本実施の形態における暖房時の弱風量制御による第二空間12の気流分布の一例を示す図であり、図26(b)は、暖房時の弱風量制御による第二空間12の温度勾配を示す図である。実施の形態1と同様に、室内機103から吹出される暖気は、第一空間11の吸込み口105から吸込まれ、吹出し口106から低速(例えば0.1〜0.5m/s)で吹出される。上下温度差による上昇気流を利用することにより、第二居住域14に良好な空気質を提供することができる。また、第二空間12に、室内発熱体(人)がいる場合、サーマルプルームが生じ、高効率な換気が実現できるため、搬送動力を削減することができる。
また、集中制御装置202は、室内機103が冷房運転をしている場合、送風装置102の風量を「中」に設定する。ここで、送風装置102の風量が「中」に設定された場合、吹出し口106から風速1.0m/s以下(例えば0.5〜1.0m/s)の中速で空気が吹出される。図27(a)は、冷房時の中風量制御による第二空間12の気流分布の一例を示す図であり、図27(b)は、冷房時の中風量制御による第二空間12の温度勾配を示す図である。中風量制御では、室内機103から吹出される冷気は、第一空間11の吸込み口105から吸込まれ、吹出し口106から、中速で吹出される。これにより、床付近温度成層を形成し、ピストンフローに近い換気を実現できる。また、排気温度を室温より高くするので空調風量を小さくすることができ、健康で快適な環境と省エネルギーを両立させることが可能になる。なお、別の実施の形態として、吸込み口105を第一空間11の壁であって、第一居住域13の壁に設ける構成としてもよい。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、第二空間12に設けられる吹出し口106の配置が実施の形態1と相違する。空気調和システムのその他の構成については実施の形態1と同じである。
図28は、本実施の形態の空気調和システムにおける各機器の配置を示す平面模式図である。また、図29は、本実施の形態の空気調和システムにおける空気の流れを示す断面模式図である。図28に示すように、本実施の形態では、トイレ5および洗面所6の床面の中央に矩形の吹出し口106を設ける。本実施の形態の空気調和システムでは、第一居住域13の床に設置されたライン形の吸込み口105によって、第一居住域13における一定範囲の有効な冷暖気を吸込み、第二居住域14の床面の中央から低速で吹出す。これにより、換気効率が向上する。また、トイレ5および洗面所6の床の中央から吹出すことで、図29において矢印で示すように、冷暖気が床上0.2m以内に充満し、サーマルプルームを生じることができる。
また、図30は、本実施の形態の変形例として、吹出し口106を第二居住域14の壁に配置した場合を示す断面模式図である。この場合、吹出し口106は、第二居住域14の内側の壁の中央に配置され、吸込み口105によって吸込まれた冷暖気を第二居住域14の壁の中央から低速で吹出す。これにより、上記と同様に換気効率が向上する。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4では、第二空間12に設けられる吹出し口106の形状および配置が実施の形態1と相違する。空気調和システムのその他の構成については実施の形態1と同じである。
図31は、本実施の形態の空気調和システムにおける各機器の配置を示す平面模式図である。また、図32は、本実施の形態の空気調和システムにおける空気の流れを示す断面模式図である。図31に示すように、本実施の形態では、トイレ5および洗面所6の床にライン形の吹出し口106Aが設けられる。また、ライン形の吹出し口106Aは、トイレ5と洗面所6の間の壁に沿って配置される。本実施の形態の空気調和システムでは、第一居住域13の床に設置されたライン形の吸込み口105によって、第一居住域13における一定範囲の有効な冷暖気を吸込み、第二居住域14の壁付近に配置された吹出し口106Aから低速で吹出す。これにより、吹出し口106Aで冷たいまたは暖かい空気を層流に形成し、冷暖気は汚染物や臭気を壁に沿わせて天井付近の排気装置10に搬送できる。
図33は、本実施の形態の変形例として、吹出し口106Aを第二居住域14の壁に配置した場合を示す断面模式図である。この場合、吹出し口106Aは、トイレ5と洗面所6の間の壁に配置され、吸込み口105によって吸込まれた冷暖気を第二居住域14の壁の中央から低速で吹出す。この場合も、吹出し口106Aで冷たいまたは暖かい空気を層流に形成し、冷暖気は汚染物や臭気を壁に沿わせて天井付近の排気装置10に搬送できる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5では、第一空間11に設けられる吸込み口105の形状が実施の形態4と相違する。空気調和システムのその他の構成については実施の形態4と同じである。
図34は、本実施の形態の空気調和システムにおける各機器の配置を示す平面模式図である。また、図35は、本実施の形態の空気調和システムにおける空気の流れを示す断面模式図である。図34に示すように、本実施の形態では、第一居住域13の床の室内機103の真下近傍および第二空間12側の壁の近傍に丸形の吸込み口105Aがそれぞれ設けられ、トイレ5および洗面所6の床にライン形の吹出し口106Aが設けられる。また、ライン形の吹出し口106Aは、トイレ5と洗面所6の間の壁にそって配置される。本実施の形態の空気調和システムでは、第一居住域13の床に設置された丸形の吸込み口105Aによって、第一居住域13の一定範囲における有効な冷暖気を吸込み、第二居住域14の壁付近に低速で吹出す。このように、吸込み口105Aを丸形とすることで、均一なボルテックス・フロー(渦流)を吸込み、送風装置102のダクト107の圧損を低減するとともに、第一居住域13の温度勾配が与える影響が抑制される。また、吹出し口106Aで冷たいまたは暖かい空気を層流に形成し、気流は矢印によって、冷暖気は汚染物や臭気を壁に沿わせて天井付近の排気装置10に搬送できる。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6について説明する。実施の形態6では、第二空間12に設けられる吹出し口106の形状および配置が実施の形態1と相違する。空気調和システムのその他の構成については実施の形態1と同じである。
図36は、本実施の形態の空気調和システムにおける各機器の配置を示す平面模式図である。また、図37は、本実施の形態の空気調和システムにおける空気の流れを示す断面模式図である。図36に示すように、本実施の形態では、第二居住域14の床の中央に丸形の吹出し口106Bが設けられる。本実施の形態の空気調和システムでは、第一居住域13の床に設置されたライン形の吸込み口105によって、第一居住域13の一定範囲における有効な冷暖気を吸込み、第二居住域14の床の中央から低速で導入する。このように、吹出し口106Bを丸形とすることで、冷たいまたは暖かい空気をジェットフローに形成し、第二居住域14の全体に送風可能になる。これにより、冷暖気利用効率が向上し、暖房/冷房時間を短くできる。また、本実施の形態の変形例として、丸形の吹出し口106Bを第二居住域14の壁に設けてもよい。
以上が本発明の実施の形態の説明であるが、本発明は、上記の実施の形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で様々な変形または組み合わせが可能である。例えば、上記実施の形態では、空気調和システムを2階建ての住宅1に設置する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、集合住宅やオフィスビルなどの様々な建物に設置してもよい。
また、住宅1の図2に示される部屋以外の部屋に空気調和システムの各装置を配置してもよい。例えば、キッチン8に吹出し口106を備えるとともに、複数の送風装置102を備えてもよい。図38は、本変形例の空気調和システムにおける各機器の配置を示す平面模式図である。図38に示すように、本変形例では、第二空間12であるキッチン8の床の隅に、二つの吹出し口106が配置される。また、キッチン8の外側の壁には給気装置9および排気装置10が配置される。また、本変形例では、リビング2の吸込み口105から吸込まれた空気を、キッチン8の吹出し口106から吹き出すための送風装置102Aをさらに備える。集中制御装置202は、実施の形態1の制御例1〜4のように、複数の送風装置102および102Aと室内機103とを連携制御することができる。また、住宅1の寝室に室内機103を備え、集中制御装置202が、複数の室内機103の運転状態や生活シーンに応じて、複数の送風装置102、102Aと複数の室内機103との連携制御を行ってもよい。
また、吸込み口105および吹出し口106の形状は、矩形、丸形、ライン形に限定されるものではなく、半丸形または円筒型などであってもよい。さらに、吸込み口105および吹出し口106の数および配置も、上記実施の形態に限定されるものではなく、室内の広さおよびレイアウトに応じて、任意の数をすることができる。