以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。なお、実施の形態2以降において特に記述されない事項については、実施の形態1と同様である。また、実施の形態1から実施の形態7のそれぞれの一部又は全ては、単独で実施されてもよく、また、組み合わされて実施されてもよい。何れの場合であっても、後述する効果と同様の有利な効果が奏される。また、以下では、構成、動作、設定等の一例を示しているにすぎず、本発明に係る制御装置及び空調システム等は、そのような場合に限定されない。
また、全般に亘り、「システム」との用語を、複数の装置を備える系全体を意味するものとして用いている。また、以下で使用される「通信」との用語には、無線通信、有線通信又は無線通信と有線通信とが混在する通信等が含まれる。無線通信と有線通信とが混在する通信には、例えば、無線通信の区間と有線通信の区間とが混在する通信、又は有線通信する装置間と無線通信する装置間とが混在する通信等が含まれる。
(実施の形態1)
<空調システムの概略構成>
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る空調システム31について説明する。空調システム31は、空調対象の空間を空調するシステムである。空調とは、空調対象の空間の空気の温度、湿度、清浄度又は気流等を調整することであって、具体的には、暖房、冷房、除湿、加湿及び空気清浄等を含む。
図1に示すように、空調システム31は、住宅1に設置される。住宅1は、一例として、いわゆる一般的な戸建て住宅である。空調システム31は、住宅1内に外気を送り込む複数の給気装置32a,32b,32c…と、住宅1内の空気を外部に排出する複数の排気装置33a,33b,33c…と、住宅1内を空調する空調装置34と、住宅1内の空気を循環させる複数の送風装置35a,35b,35c…と、システム全体を制御する制御装置36と、を備える。
これら各装置は、住宅1内又は住宅1の敷地内に設置されており、宅内ネットワークN1を介して通信可能に接続されている。なお、図1は、住宅1内における各装置の正確な位置関係を示すものではない。宅内ネットワークN1は、例えばエコーネットライト(ECHONET Lite)に準じたネットワークである。また、各装置は、図示しない商用電源、太陽光発電設備又は蓄電設備等から電力の供給を得て動作する。
図2に、住宅1の平面図を示す。図2に示すように、住宅1は、その1階フロアに、リビング2、キッチン3、和室4、廊下5、玄関6、トイレ7、洗面所8及び浴室9等の部屋及び空間を備えている。各部屋及び空間は、図2において斜線を付して示している扉10によって、行き来可能に接続されている。
給気装置32a,32b,32cは、住宅1内に外気を送り込む設備である。住宅1には、リビング2に給気する給気装置32a及び給気装置32b、及び和室4に給気する給気装置32cが設置されている。以下、給気装置32a,32b,32cのそれぞれを区別せずに称する場合には、給気装置32と総称する。
排気装置33a,33b,33cは、住宅1内の空気を外部に排出する設備である。住宅1には、トイレ7から排気する排気装置33a、洗面所8から排気する排気装置33b、及び浴室9から排気する排気装置33c等が設置されている。以下、排気装置33a,33b,33cのそれぞれを区別せずに称する場合には、排気装置33と総称する。
これら給気装置32a,32b,32c及び排気装置33a,33b,33cは、住宅1内の空気を換気する設備である。給気装置32によって、新鮮な空気が住宅1内のリビング2及び和室4等に供給される。住宅1内に供給された空気は、廊下5を通過してトイレ7、洗面所8及び浴室9に流れ、排気装置33によって外に排出される。このように空気が流れることで、トイレ7、洗面所8及び浴室9等で発生する臭気等の汚染空気がリビング2又は和室4等の居室に流れることが抑制される。
空調装置34は、住宅1内における空調対象の空間を空調する設備である。空調装置34は、室内に設置される室内機41と、室外に設置される室外機42と、を備える。室内機41は、一例として、住宅1内のリビング2に設置されている。空調装置34は、冷房、暖房、除湿、加湿、保湿、空気清浄又は送風等の運転モードでリビング2の空気を空調する。
空調装置34は、第1エリアを空調する。第1エリアとは、空調装置34によって空調可能な空間の範囲をいう。具体的に説明すると、室内機41が設置されたリビング2内の空間であって、図2において破線で囲った範囲が、第1エリアに相当する。
<空調装置の構成及び動作>
(空調装置の構成)
図3を参照して、空調装置34の構成及び動作について説明する。空調装置34の室内機41は、第1エリアであるリビング2の壁面に設置される。空調装置34の室外機42は、住宅1の外側であって、住宅1の敷地内に設置される。
空調装置34は、蒸気圧縮式のヒートポンプを搭載した空調設備であって、室内機41において温度調整された空気を対流させることによって空調を行う対流式の空調設備である。空調装置34は、例えばルームエアコン又はマルチエアコン等のエアコンである。
室内機41は、例えばリビング2の壁の上部又は天井等、リビング2に温度調整された空気を供給できる場所に設置されている。室内機41より吹き出される、例えば冷風又は温風等の空調された空気により、リビング2が空調される。室内機41と室外機42とは、冷媒が流れる冷媒回路34a及び通信線73を介して接続されている。
室内機41は、室内熱交換器55と、室内送風機57と、温度検知部61と、室内機制御部72と、を備える。室外機42は、圧縮機51と、四方弁52と、室外熱交換器53と、膨張弁54と、室外送風機56と、室外機制御部71と、を備える。冷媒回路34aは、室内熱交換器55と、圧縮機51と、室外熱交換器53と、膨張弁54と、四方弁52と、を環状に接続している。これにより、ヒートポンプ(冷凍サイクル)が構成されている。
室内熱交換器55は、冷媒回路34aを流れる冷媒より供給される冷温熱と、リビング2内の空気と、の間で熱交換を行う。室内熱交換器55で熱交換された空気は、空調空気としてリビング2に供給される。これにより、リビング2が冷暖房される。室内送風機57は、送風動作を開始すると、室内機41の内部に負圧が生じてリビング2の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室内熱交換器55に供給され、室内熱交換器55で熱交換された後、リビング2に吹き出される。室内熱交換器55における冷媒と空気との熱交換量が高いほど、空調装置34の冷却能力又は加熱能力は上がる。冷却能力及び加熱能力は、圧縮機51の周波数を変えることによって調整される。
圧縮機51は、低温且つ低圧の冷媒を圧縮し、高圧及び高温となった冷媒を四方弁52に吐出する。圧縮機51は、インバータによって駆動する。圧縮機51の運転容量は、空調状況に応じて制御される。四方弁52は、圧縮機51の吐出側に設置されている。四方弁52は、空調システム31の運転が冷房又は除湿運転であるか暖房運転であるかに応じて、冷媒回路34a中の冷媒の流れる方向を切り替える。
室外熱交換器53は、冷媒回路34aを流れる冷媒により供給される冷温熱と、屋外の空気と、の間で熱交換を行う。室外送風機56は、送風動作を開始すると、室外機42の内部に負圧が生じて屋外の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室外熱交換器53に供給され、室外熱交換器53で熱交換された後、屋外に吹き出される。膨張弁54は、室内熱交換器55と室外熱交換器53との間に設置されている。膨張弁54は、その開度が調整されることで、冷媒を減圧して膨張させる。膨張弁54は、例えば開度が可変に制御可能な電子式膨張弁である。
温度検知部61は、サーミスタ又は熱電対等の温度センサであって、リビング2内の空気の温度を検知する。温度検知部61は、室内熱交換器55の吸い込み口に設置されており、室内機41の吸込空気の温度を検知する。温度検知部61の検知結果である室内温度の情報は、室内機制御部72に供給される。室内機制御部72は、温度検知部61の検知結果である室内温度の情報を、通信線73を介して、室外機制御部71に供給する。
また、空調装置34は、図示を省略するが、温度検知部61以外の検知部を備えている。具体的に説明すると、空調装置34は、圧縮機51の吐出側に設置され、圧縮機51から吐出される冷媒の圧力を検知する吐出側圧力検知部、圧縮機51の吸入側に設置され、圧縮機51に吸入される冷媒の圧力を検知する吸入側圧力検知部、圧縮機51の吐出側に設置され、圧縮機51から吐出される冷媒の温度を検知する吐出側温度検知部、圧縮機51の吸入側に設置され、圧縮機51に吸入される冷媒の温度を検知する吸入側温度検知部、及び、外気の温度を検知する室外温度検知部等を備えている。
室外機制御部71及び室内機制御部72は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信インタフェース及び読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ等を備える。室外機制御部71及び室内機制御部72において、CPUがRAMをワークメモリとして用いながらROMに格納された制御プログラムを実行することにより、それぞれ室外機42及び室内機41を制御する。室外機制御部71と室内機制御部72とは、通信線73によって接続され、通信線73を介して各種信号を相互に授受することにより協調動作し、空調装置34全体を制御する。言い換えると、室外機制御部71及び室内機制御部72は、空調システム31の制御装置36の一部である。なお、通信線73は、有線、無線又は他の通信媒体であってもよい。
室外機制御部71及び室内機制御部72は、温度検知部61及び他の検知部(図示省略)の検知結果と、使用者によって設定された空調装置34の設定情報と、に基づいて、空調装置34の運転を制御する。具体的に説明すると、室外機制御部71は、圧縮機51の駆動周波数、四方弁52の切り替え、室外送風機56の回転数、及び膨張弁54の開度を制御する。また、室内機制御部72は、室内送風機57の回転数を制御する。なお、室外機制御部71が室内送風機57の回転数を制御しても良いし、室内機制御部72が圧縮機51の駆動周波数、四方弁52の切り替え、室外送風機56の回転数、又は膨張弁54の開度を制御しても良い。このように、室外機制御部71及び室内機制御部72は、空調装置34に与えられた運転指令に応じて各種装置に各種動作指令を出力する。
(運転指令の具体例)
室内機制御部72は、住宅1内に置かれたリモートコントローラ74と各種信号を授受する。空調装置34の使用者は、リモートコントローラ74を操作することで、空調装置34に運転指令を入力する。運転指令として、例えば、運転と停止との切替指令、運転モード(冷房、暖房、除湿、加湿、保湿、空気清浄又は送風等)の切替指令、目標温度の切替指令、目標湿度の切替指令、風量の切替指令、風向の切替指令、又はタイマーの切替指令等が挙げられる。空調装置34は、入力された運転指令に従って運転を開始する。
使用者は、リモートコントローラ74以外、例えば室外機制御部71又は室内機制御部72等の操作によっても運転指令を入力することができる。また、使用者は、後述する表示操作部81の操作によっても運転指令を入力することができる。また、空調装置34は、既存の設定情報に従って運転を開始することができる。既存の設定情報とは、室外機制御部71、室内機制御部72、リモートコントローラ74、又は制御装置36等に記憶された情報である。既存の設定情報が用いられる場合には、使用者が運転指令を入力することを省略することができるため、使用者の利便性が向上する。
(冷房運転の具体例)
空調装置34が「冷房」の運転モードで運転する場合について説明する。室外機制御部71は、「冷房」の運転指令を受信すると、圧縮機51から吐出された冷媒が室外熱交換器53に流入するように四方弁52の流路を切り替え、膨張弁54を開き、そして圧縮機51と室外送風機56とを駆動させる。また、室内機制御部72は、「冷房」の運転指令を受信すると、室内送風機57を駆動させる。
圧縮機51が駆動すると、圧縮機51から吐出された冷媒は、四方弁52を通過して室外熱交換器53へと流入する。室外熱交換器53に流入した冷媒は、室外空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁54へと流入する。膨張弁54に流入した冷媒は、膨張弁54で減圧された後、室内熱交換器55へと流入する。室内熱交換器55に流入した冷媒は、室内空気と熱交換して蒸発した後、四方弁52を通過して、再び圧縮機51に吸入される。このように、室内熱交換器55の配管内には低圧低温の冷媒が流れ、室内熱交換器55の表面は低温になっており、そこを通過する室内空気が冷やされる。室内送風機57は、室内熱交換器55を通過する冷気を、リビング2へ送風する。室内熱交換器55における冷媒と室内空気との熱交換量は、冷却能力Qと呼ばれる。冷却能力Qは、圧縮機51の回転数を変えることで調整することが可能である。
(暖房運転の具体例)
空調装置34が「暖房」の運転モードで運転する場合について説明する。室外機制御部71は、「暖房」の運転指令を受信すると、圧縮機51から吐出された冷媒が室内熱交換器55に流入するように四方弁52の流路を切り替え、膨張弁54を開き、そして圧縮機51と室外送風機56とを駆動させる。また、室内機制御部72は、運転指令を受信すると、室内送風機57を駆動させる。
圧縮機51が駆動すると、圧縮機51から吐出された冷媒は、四方弁52を通過して室内熱交換器55へと流入する。室内熱交換器55に流入した冷媒は、室内空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁54へと流入する。膨張弁54に流入した冷媒は、膨張弁54で減圧された後、室外熱交換器53へと流入する。室外熱交換器53に流入した冷媒は、室外空気と熱交換して蒸発した後、四方弁52を通過して、再び圧縮機51に吸入される。このように、室内熱交換器55の配管内には高圧高温の冷媒が流れ、室内熱交換器55の表面は高温になっており、そこを通過する室内空気が温められる。室内送風機57は、室内熱交換器55を通過する暖気を、リビング2へ送風する。室内熱交換器55における冷媒と室内空気との熱交換量は、加熱能力Qと呼ばれる。加熱能力Qは、圧縮機51の回転数を変えることで調整することが可能である。
<送風装置の構成及び動作>
図2に示した住宅1内の構成の説明に戻る。送風装置35a,35b,35cは、住宅1内の空気を送風する設備である。送風装置35a,35b,35cのそれぞれは、例えば、カウンターアローファン、エアパスファン又は中間取付ファン等である。
送風装置35aは、リビング2とキッチン3との間に設置されており、リビング2の空気をキッチン3に供給する第1の送風装置である。送風装置35bは、リビング2と和室4との間の第1風路11bに設置されており、リビング2の空気を和室4に供給する第2の送風装置である。送風装置35cは、リビング2と廊下5との間の第1風路11cに設置されており、リビング2の空気を廊下5に供給する第3の送風装置である。以下、送風装置35a,35b,35cのそれぞれを区別せずに称する場合には、送風装置35と総称する。
送風装置35は、空調装置34によって空調された第1エリアの空気を第2エリアに送る。第2エリアとは、空調装置34によって空調可能な空間の範囲以外の範囲であって、空調された空気を送風装置35によって供給可能な空間の範囲をいう。具体的に説明すると、リビング2の空気が送風装置35によって直接的に供給されるキッチン3、和室4及び廊下5内の空間が、第2エリアに相当する。また、リビング2の空気が送風装置35によって間接的に供給される玄関6、トイレ7、洗面所8及び浴室9内の空間も、第2エリアに相当する。
送風装置35は、いずれも図示しないが、CPU、ROM、RAM、通信インタフェース及び読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ等を備える。CPUは、RAMをワークメモリとして用いながらROMに格納された制御プログラムを実行することにより、送風装置35の動作を制御する。具体的に説明すると、CPUは、通信インタフェースを介して制御装置36から運転指令を受信し、受信した運転指令に従って送風を開始又は停止する。
リビング2と和室4との間における扉10を開放した際の開口部、及び扉10と床面との隙間等は、第2風路として機能する。また、リビング2と廊下5との間における扉10を開放した際の開口部、及び扉10と床面との隙間等は、第2風路として機能する。第2風路は、第2エリアから第1エリアへの空気の流路である。送風装置35によって、第1エリアから第1風路11b,11cを介して第2エリアに流入する気流(図2における実線矢印)が生じると、第2エリアから第2風路を介して第1エリアへ戻る気流(図2における点線矢印)が生じる。言い換えると、送風装置35によって、第1エリアと第2エリアとを循環する気流が生じる。
なお、第1エリアと第2エリアとは、リビング2とキッチン3との関係のように、扉10又は壁等によって明確に仕切られていなくても良いし、リビング2と和室4又は廊下5との関係のように、扉10又は壁によって明確に仕切られていても良い。また、第1エリアと第2エリアとの間において、リビング2からキッチン3への送風のように、風路を介さずに気流が循環する場合もあるし、リビング2から和室4又は廊下5への送風のように、風路を介して気流が循環する場合もある。
図4を参照して、住宅1内の空気の流れについて、リビング2と廊下5とを例に挙げて説明する。図4は、住宅1におけるリビング2及び廊下5の断面を示している。以下、第2エリアとして廊下5を例にとって説明するが、廊下5以外の第2エリア、具体的にはキッチン3、和室4、トイレ7、洗面所8又は浴室9等についても同様である。
図4に示すように、第1エリアであるリビング2の壁面における天井部付近には、第1開口部13が形成されており、第2エリアである廊下5の天井部には、第2開口部14が形成されている。第1開口部13と第2開口部14とは、第1風路11cによって連通されている。また、リビング2と廊下5とを仕切る扉10と床面との間には、第2風路12cが形成されている。
送風装置35cは、第1風路11cの途中部であって、廊下5の天井裏に設置されている。送風装置35cが送風を開始すると、リビング2の空気が第1開口部13から第1風路11cに流入し、第2開口部14から廊下5に流出する。そして、第2風路12cを介して、廊下5からリビング2へ戻る気流が生じる。
廊下5の天井裏に第1風路11cが設置されるため、リビング2における天井の高さを高くすることができ、住宅1の意匠性及び快適性等が向上する。なお、送風装置35cは、リビング2内の第1開口部13の近く、すなわち第1風路11cの風上側に設置されても良い。また、送風装置35cは、廊下5内の第2開口部14の近く、すなわち第1風路11cの風下側に設置されてもよい。送風装置35cが、第1風路11cの途中部に設置される場合には、使用者が送風装置35cを視認し難くなるため、住宅1の意匠性及び快適性等が更に向上する。
また、第1開口部13がリビング2の壁面の上部に形成されているため、室内機41から吹き出された空気が、天井面に沿って流れてスムーズに第1開口部13に流入する。これにより、廊下5の空調が効率化される。そのため、廊下5における快適性が向上し、また、空調装置34における消費電力量の増加を抑制することができる。
特に、第1開口部13が、室内機41の吹出方向における位置に形成されているため、室内機41から吹き出された空気が天井面に沿って流れ、スムーズに第1開口部13に流入する。そのため、廊下5における快適性が更に向上し、また、空調装置34における消費電力量の増加を更に抑制することができる。
また、第1開口部13がリビング2の上部に形成されるため、室内機41が暖房運転した際に、リビング2の天井部付近の高温空気を廊下5に供給することができる。そのため、廊下5における暖房が効率化される。更に、第1開口部13と第2風路12cとの間隔を広くできるため、空調装置34が冷房運転又は暖房運転した際に、リビング2における上下方向に気流が生じ、上下方向の温度差を低減することができる。そのため、リビング2における快適性が向上する。廊下5においても、第2開口部14が廊下5の天井部に形成されることで、リビング2と同様に上下方向の温度差を低減することができる。そのため、廊下5における快適性が向上する。
<制御装置の構成及び動作>
図2に示した住宅1内の構成の説明に戻る。制御装置36は、住宅1内に設置された各装置から宅内ネットワークN1を介して送信される情報を収集する情報収集ユニットである。制御装置36は、一例として、住宅1内に設置された各装置を統合的に制御することが可能なHEMS(Home Energy Management System)コントローラである。
図5に、制御装置36の構成を示す。制御装置36は、制御部80と、制御部80に接続された表示操作部81と、給気装置32と通信する給気通信部82と、排気装置33と通信する排気通信部83と、空調装置34と通信する空調通信部84と、送風装置35と通信する送風通信部85と、を備える。これら各部は、例えばWi−Fi(登録商標)、Wi−SUN(登録商標)又は有線LAN等の有線又は無線で接続されており、各部の運転状態を相互に伝達する。なお、これら各部のうちの一部又は全部は、住宅1内に設置されても良いし住宅1外に設置されても良い。
制御部80は、制御装置36を統括的に制御する。図6に、制御部80のハードウェア構成を示す。図6に示すように、制御部80は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、記憶部104と、RTC(Real Time Clock)105と、通信インタフェース106と、を備える。これら各構成要素は、バスを介して相互に接続される。
CPU101は、ROM102に格納されているプログラムに従って動作して、制御部80の全体の動作を制御する。CPU101は、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、DSP(Digital Signal Processor)等ともいう。ROM102は、制御部80全体の動作を制御するためのプログラム及びデータを格納する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして機能する。すなわち、CPU101は、RAM103にプログラム又はデータを一時的に書き込み、これらのプログラム又はデータを適宜参照する。
記憶部104は、例えば、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリである。記憶部104は、CPU101が各種処理を行うために使用する各種プログラム及びデータを記憶する。また、記憶部104は、CPU101が各種処理を行うことにより生成又は取得する各種データを記憶する。RAM103を主記憶部、記憶部104を補助記憶部ともいう。RTC105は、水晶発振子による発振回路を備えた計時用のデバイスである。RTC105は、制御部80の電源がオフの間も計時を継続する。通信インタフェース106は、NIC(Network Interface Card controller)を備えており、制御部80が住宅1内の各装置と通信するためのインタフェースである。
図5に示す制御装置36の構成の説明に戻る。表示操作部81は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)パネル又は有機EL等の表示部と、タッチパネル、タッチパッド、スイッチ又は各種の押圧ボタン等の操作部と、を備える。表示操作部81は、例えば、タブレット、リモートコントローラ又はスマートフォン等の端末である。表示操作部81は、入力部を介してユーザ(使用者)から各種の操作を受け付け、また、表示部を介して各種の画面等を表示する。なお、表示部と入力部とは、これらが互いに重畳して配置されたタッチパネル(タッチスクリーン)として構成されるものであってもよい。
空調システム31の使用者は、表示操作部81を操作することで、空調システム31の運転指令を入力する。この運転指令は、空調装置34及び送風装置35の連携動作の開始又は解除の切替指令、住宅1内に複数の空調装置34が存在している場合において連携動作させる空調装置34の切替指令、及び複数の送風装置35a,35b,35cのうちから連携動作させる送風装置35の切替指令等を含む。運転指令は、表示操作部81から制御部80に送信されてRAM103又は記憶部104に記憶される。制御部80は、運転指令に従って、給気通信部82、排気通信部83、空調通信部84、又は送風通信部85等に動作指令を送信する。
給気通信部82は、給気装置32と通信するための通信インタフェースである。制御部80は、給気通信部82を介して、給気装置32に運転の開始と停止との切替指令、及び給気量の切替指令等を送信する。また、制御部80は、給気通信部82を介して、給気装置32の運転情報を受信する。
排気通信部83は、排気装置33と通信するための通信インタフェースである。制御部80は、排気通信部83を介して、排気装置33に運転の開始と停止との切替指令、及び排気量の切替指令等を送信する。また、制御部80は、排気通信部83を介して、排気装置33の運転情報を受信する。
空調通信部84は、空調装置34と通信するための通信インタフェースである。制御部80は、空調通信部84を介して、空調装置34に運転と停止との切替指令、運転モードの切替指令、目標温度の切替指令、風量の切替指令、及び風向の切替指令等を送信する。また、制御部80は、空調通信部84を介して、空調装置34の運転情報、及び各種検知部の検知情報等を受信する。
各種検知部の検知情報としては、第1エリアであるリビング2の室内温度、室内湿度、室内風速、室内空気圧力、外気温度、外気湿度、外気風速、外気圧力、冷媒回路34aの冷媒温度(配管温度)、冷媒圧力、リビング2の壁部の温度、照度、日射量、人の在室情報、画像情報、CO2濃度、VOC濃度、粉塵濃度、臭気濃度等が挙げられる。
送風通信部85は、送風装置35と通信するための通信インタフェースである。制御部80は、送風通信部85を介して、送風装置35に運転と停止との切替指令、風量の切替指令、及び風向の切替指令等を送信する。また、制御部80は、送風通信部85を介して、送風装置35の運転情報、及び各種検知部の検知情報等を受信する。
各種検知部の検知情報としては、第2エリアであるキッチン3、和室4又は廊下5の室内温度、室内湿度、室内風速、室内空気圧力、外気温度、外気湿度、外気風速、外気圧力、キッチン3、和室4又は廊下5の壁部の温度、照度、日射量、人の在室情報、画像情報、CO2濃度、VOC濃度、粉塵濃度、臭気濃度、第1風路11を構成する部材の表面温度等が挙げられる。
次に、図7を参照して、制御部80の機能的な構成について説明する。図7に示すように、制御部80は、機能的に、運転情報取得部110と、送風制御部120と、指標取得部130と、条件判定部140と、設定受付部150と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM102又は記憶部104に格納される。そして、CPU101が、ROM102又は記憶部104に記憶されたプログラムを実行することによって、各機能を実現する。
運転情報取得部110は、空調装置34の運転情報を取得する。運転情報とは、具体的には、空調装置34が空調を開始したことを示す開始情報、及び空調装置34が空調を停止したことを示す停止情報等である。空調の開始とは、圧縮機51及び室内送風機57を含む空調装置34の各部を動作させて、空調された空気の供給を開始させることをいう。空調の停止とは、圧縮機51又は室内送風機57等の少なくともいずれかの動作を停止させて、空調された空気の供給を停止させることをいう。
空調装置34は、空調を開始すると、宅内ネットワークN1を介して開始情報を制御装置36に送信する。また、空調装置34は、空調を停止すると、宅内ネットワークN1を介して停止情報を制御装置36に送信する。運転情報取得部110は、このように空調装置34から送信された開始情報又は停止情報を、空調通信部84を介して取得する。
或いは、空調装置34は、自身が空調中であるか否かを示す運転情報を、予め定められたタイミングで(例えば定期的に)制御装置36に送信し、運転情報取得部110がこの運転情報を取得しても良い。空調装置34は、このような運転情報を自発的に送信しても良いし、運転情報取得部110からの問い合わせに応答する方式で送信しても良い。このように、運転情報取得部110は、CPU101が通信インタフェース106及び空調通信部84等と協働することによって実現される。
送風制御部120は、空調装置34が空調を開始した場合、送風装置35に送風を開始させる。具体的に説明すると、送風制御部120は、空調装置34がリビング2の空調を開始した場合、送風通信部85を介して送風装置35a,35b,35cのそれぞれに送風開始の指令を送信し、送風を開始させる。これにより、送風制御部120は、第1エリアであるリビング2の空調された空気が、第2エリアであるキッチン3、和室4及び廊下5等に供給させる。
送風制御部120は、空調の開始を示す開始情報が運転情報取得部110によって取得された場合に、空調装置34が空調を開始したと判定する。空調装置34が空調を開始したと判定すると、送風制御部120は、送風通信部85を介して送風装置35に送風開始の指令を送信する。送風制御部120は、空調装置34が空調を開始したと判定してからすぐに送風開始の指令を送信しても良いし、空調装置34が空調を開始したと判定した後、予め定められた時間が経過するのを待ってから送風開始の指令を送信しても良い。
このように、送風制御部120は、CPU101が通信インタフェース106及び送風通信部85等と協働することによって実現される。送風制御部120は、送風制御手段として機能する。
指標取得部130は、空調装置34によって空調される第1エリアから送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が空調を停止した場合、予め規定された指標を取得する。この指標は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標である。指標取得部130は、このような指標として、空調装置34が空調を停止してからの経過時間を取得する。
具体的に説明すると、指標取得部130は、空調装置34によってリビング2の空調が開始され、且つ、送風装置35に送風を開始させた後、空調装置34が空調を停止したか否かを判定する。指標取得部130は、空調の停止を示す停止情報が運転情報取得部110によって取得された場合に、空調装置34が空調を停止したと判定する。空調装置34が空調を停止したと判定すると、指標取得部130は、RTC105によって時間の計測を開始する。
このように、指標取得部130は、CPU101がRTC105と協働することによって実現される。指標取得部130は、取得手段として機能する。
条件判定部140は、指標取得部130によって取得された指標が、予め定められた条件を満たしたか否かを判定する。この予め定められた条件は、送風装置35が送風を停止すべきタイミングが到来したことを示す条件(送風停止条件)である。条件判定部140は、CPU101がROM102及びRAM103等と協働することによって実現される。
具体的に説明すると、予め定められた条件は、空調装置34が空調を停止してからの経過時間が基準時間を超えた場合に満たされる。この基準時間は、空調の停止と送風の停止とに時間差を設けるために、予め設定された長さの時間である。基準時間は、ROM102又は記憶部104に予め記憶されている。また、基準時間は、後述する設定受付部150によって使用者が自由に設定することもできる。
送風制御部120は、条件判定部140による判定の結果、空調装置34が空調を停止してからの経過時間が基準時間を超えた場合、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。具体的に説明すると、送風制御部120は、空調装置34が空調を停止してからの経過時間が基準時間を超えた場合、送風通信部85を介して送風装置35a,35b,35cのそれぞれに送風停止の指令を送信し、送風を停止させる。これにより、送風制御部120は、第1エリアであるリビング2の空調された空気の、第2エリアであるキッチン3、和室4及び廊下5等への供給を止める。
図8に、実施の形態1における空調及び送風が停止するタイミングを示す。図8の例では、時刻Aにおいて、空調装置34が運転をONからOFFに切り替え、空調を停止している。この場合、送風制御部120は、時刻Aから基準時間が経過した時刻Bにおいて、送風装置35の運転をONからOFFに切り替え、送風を停止させる。
このように、空調の停止後、基準時間が経ってから送風を停止させるのは、第2エリアにおける使用者の快適性を向上させるためである。具体的に説明すると、空調装置34がリビング2の空調を停止した場合、リビング2には空調された空気が残っているため暫くの間は快適性が保たれる。しかしながら、空調の停止と同時に送風も停止すると、空調された空気の第2エリアへの供給が絶たれるため、第2エリアの環境が急変し、快適性が下がる。そのため、例えば、使用者が空調装置34による冷房又は暖房を停止した後、すぐにリビング2から和室4に移動した場合、使用者は、和室4において不快に感じる。これに対して、空調の停止と同時には送風を停止させず、ある程度時間が経ってから送風を停止させると、第2エリアの環境が急激に変化することが抑制される。そのため、第2エリアにおける使用者の快適性を向上させることができる。
図7に戻って、設定受付部150は、使用者による基準時間の設定を受け付ける。基準時間は、設定受付部150によって受け付けられた設定に応じて変更される。設定受付部150は、CPU101が通信インタフェース106及び表示操作部81等と協働することによって実現される。設定受付部150は、設定受付手段として機能する。
図9に、基準時間の設定例を示す。設定受付部150は、例えば図9に示すような基準時間の設定画面を、表示操作部81の表示部に表示する。使用者は、表示操作部81の操作部を操作することで、複数の基準時間の中から所望の基準時間を選択することができる。或いは、使用者は、基準時間として、自由な時間の数値を入力することもできる。設定受付部150によって新たな基準時間が受け付けられると、条件判定部140は、判定に用いる基準時間を新たな基準時間に変更し、新たな基準時間を用いて、空調が停止してからの経過時間が基準時間を超えたか否かを判定する。
以上のように構成された空調システム31の制御装置36において実行される送風制御処理の流れについて、図10に示すフローチャートを参照して、説明する。
図10に示す送風制御処理は、制御装置36の制御部80に電源が供給され、制御部80が処理を実行可能な状態において、制御部80によって随時実行される。
送風制御処理が開始すると、制御部80は、空調装置34による空調が開始したか否かを判定する(ステップS1)。具体的に説明すると、制御部80は、空調装置34から送信される運転情報によって、空調が開始したか否かを判定する。制御部80は、空調を開始したことを示す開始情報を空調装置34から取得した場合に、空調が開始したと判定する。ステップS1において、制御部80は、運転情報取得部110として機能する。
空調が開始していない場合(ステップS1;NO)、制御部80は、処理をステップS1に留め、空調が開始するまで待機する。
これに対して、空調が開始すると(ステップS1;YES)、制御部80は、送風装置35に送風を開始させる(ステップS2)。具体的に説明すると、制御部80は、送風通信部85を介して送風装置35に送風開始の指令を送信し、送風装置35に送風を開始させる。これにより、空調装置34によって空調されたリビング2の空気が、キッチン3、和室4及び廊下5等に供給される。ステップS2において、制御部80は、送風制御部120として機能する。
送風を開始させると、制御部80は、空調装置34による空調が停止したか否かを判定する(ステップS3)。具体的に説明すると、制御部80は、空調装置34から送信される運転情報によって、空調が停止したか否かを判定する。制御部80は、空調が停止したことを示す停止情報を空調装置34から取得した場合に、空調が停止したと判定する。ステップS3において、制御部80は、運転情報取得部110として機能する。
空調が停止していない場合(ステップS3;NO)、制御部80は、処理をステップS3に留め、空調が停止するまで待機する。言い換えると、制御部80は、空調装置34がリビング2を空調している間は、送風装置35に送風を継続させ、空調された空気をキッチン3、和室4及び廊下5のそれぞれに供給する。
これに対して、空調が停止すると(ステップS3;YES)、制御部80は、計時を開始する(ステップS4)。言い換えると、制御部80は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、空調が停止してからの経過時間を取得する。ステップS4において、制御部80は、指標取得部130として機能する。
計時を開始すると、制御部80は、空調が停止してから基準時間が経過したか否かを判定する(ステップS5)。空調が停止してから基準時間が経過していない場合(ステップS5;NO)、制御部80は、処理をステップS5に留め、空調が停止してから基準時間が経過するまで待機する。ステップS5において、制御部80は、条件判定部140として機能する。
これに対して、空調が停止してから基準時間が経過すると(ステップS5;YES)、制御部80は、送風装置35に送風を停止させる(ステップS6)。具体的に説明すると、制御部80は、送風通信部85を介して送風装置35に送風停止の指令を送信し、送風装置35に送風を停止させる。これにより、空調装置34によって空調されたリビング2の空気が、キッチン3、和室4及び廊下5等に供給されることが止まる。ステップS6において、制御部80は、送風制御部120として機能する。このように、空調と送風とがどちらも停止すると、図10に示した送風制御処理は終了する。
以上説明したように、実施の形態1に係る空調システム31は、第1エリアを空調する空調装置34と、第1エリアの空気を第2エリアに送風する送風装置35と、制御装置36と、を備える。制御装置36は、送風装置35によって第1エリアから第2エリアに送風されている際に空調装置34が空調を停止した場合、空調装置34が空調を停止してからの経過時間が基準時間を超えてから、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。言い換えると、制御装置36は、空調の停止と同時には送風を停止させず、ある程度時間が経ってから送風を停止させる。
これにより、第2エリアの環境が急激に変化することを抑制できるため、第2エリアにおける使用者の快適性を向上させることができる。言い換えると、1つの空調装置34で第1エリアと第2エリアとを空調することで電力の消費を抑制することが可能な空調システム31において、使用者の快適性を向上させることができる。また、空調が停止した後、暫くの間、第1エリアに残った空調された空気を第2エリアに供給することができるため、電力消費の抑制効果も向上する。
特に、実施の形態1に係る空調システム31は、基準時間の設定を受け付ける設定受付部150を備えるため、基準時間を使用者の経験に基づいて調整できる。そのため、空調システム31は、使用者の好みに合わせて最適な設定で動作することができ、使用者の快適性を更に向上させることができる。また、空調システム31の使い勝手も向上する。
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2について説明する。
上記実施の形態1に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、空調装置34が空調を停止してからの経過時間を取得し、空調装置34が空調を停止してからの経過時間が基準時間を超えた場合に、送風装置35に送風を停止させた。これに対して、実施の形態2に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第1エリアの環境を示す第1の情報を取得する。
具体的に説明すると、実施の形態2に係る制御装置36において、指標取得部130は、空調装置34によって空調される第1エリアから送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が空調を停止した場合、第1エリアの環境を示す第1の値を取得する。この第1の値は、具体的には第1エリアであるリビング2の室内温度である。
指標取得部130は、リビング2の室内温度として、温度検知部61によって検知された温度の情報を、空調通信部84を介して空調装置34から取得する。或いは、指標取得部130は、リビング2の室内温度として、リビング2内のいずれかの場所に設置された温度センサによって計測された温度を取得することもできる。このように、指標取得部130は、CPU101が、通信インタフェース106及び空調通信部84等と協働することによって実現される。
条件判定部140は、第1の値として取得されたリビング2の室内温度が第1の基準値に達した場合に、予め定められた送風停止条件が満たされたと判定する。この第1の基準値は、判定の基準となる基準温度であって、予め設定され、ROM102又は記憶部104に記憶されている。また、第1の基準値は、設定受付部150によって使用者が自由に設定することもできる。
送風制御部120は、条件判定部140による判定の結果、リビング2の室内温度が第1の基準値に達した場合、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。ここで、第1の基準値に達した場合とは、第1の基準値より高い温度から第1の基準値まで低下した場合(暖房を停止した場合)と、第1の基準値より低い温度から第1の基準値まで上昇した場合(冷房を停止した場合)と、を含む。
図11に、実施の形態2における空調及び送風が停止するタイミングを示す。図11は、一例として、空調装置34が暖房している場合を示している。この場合、時刻Aにおいて、空調装置34が暖房を停止している。暖房が停止すると、その後、第1エリアの室内温度は徐々に下がる。第1エリアの室内温度が第1の基準値まで低下した時刻Bにおいて、送風制御部120は、送風装置35a,35b,35cのそれぞれに送風を停止させる。
なお、空調装置34が冷房している場合には、温度の上下関係を暖房とは逆転させることで同様に説明できる。具体的に説明すると、図11とは逆に、冷房が停止すると、その後、第1エリアの室内温度は徐々に上がる。第1エリアの室内温度が第1の基準値まで上昇した場合に、送風制御部120は、送風装置35の送風を停止させる。冷房における第1の基準値は、暖房における第1の基準値と同じであっても良いし、異なっていても良い。
このように、実施の形態2に係る空調システム31は、送風装置35によって第1エリアから第2エリアに送風されている際に空調装置34が空調を停止した場合、第1エリアの室内温度が第1の基準値に達してから、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。言い換えると、空調システム31は、空調が停止した後、第1エリアの熱を第2エリアに十分に搬送してから、送風装置35に送風を停止させる。
その結果、第2エリアの環境が急激に変化することを抑制できるため、第2エリアにおける使用者の快適性を向上させることができる。言い換えると、1つの空調装置34で第1エリアと第2エリアとを空調することで電力の消費を抑制することが可能な空調システム31において、使用者の快適性を向上させることができる。
(実施の形態3)
以下に、本発明の実施の形態3について説明する。
上記実施の形態2に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第1エリアの室内温度を取得し、空調装置34が空調を停止した後、第1エリアの室内温度が第1の基準値に達した場合に、送風装置35に送風を停止させた。これに対して、実施の形態3に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第2エリアの環境を示す第2の情報を取得する。
具体的に説明すると、実施の形態3に係る制御装置36において、指標取得部130は、空調装置34によって空調される第1エリアから送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が空調を停止した場合、第2エリアの環境を示す第2の値を取得する。この第2の値は、具体的には第2エリアであるキッチン3、和室4又は廊下5の室内温度である。
送風装置35a,35b,35cは、図示しないが、それぞれ空気の送り先であるキッチン3、和室4及び廊下5の室内温度を検知する温度検知部を備えている。指標取得部130は、第2エリアの室内温度として、送風装置35a,35b,35cのそれぞれの温度検知部によって検知された温度の情報を、送風通信部85を介して取得する。或いは、指標取得部130は、第2エリアの室内温度として、キッチン3、和室4及び廊下5内のいずれかの場所に設置された温度センサによって計測された温度を取得することもできる。このように、指標取得部130は、CPU101が、通信インタフェース106及び送風通信部85等と協働することによって実現される。
条件判定部140は、第2の値として取得された第2エリアの室内温度が第2の基準値に達した場合に、予め定められた送風停止条件が満たされたと判定する。この第2の基準値は、判定の基準となる基準温度であって、予め設定され、ROM102又は記憶部104に記憶されている。また、第2の基準値は、設定受付部150によって使用者が自由に設定することもできる。
送風制御部120は、条件判定部140による判定の結果、第2エリアの室内温度が第2の基準値に達した場合、第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。ここで、第2の基準値に達した場合とは、第2の基準値より高い温度から第2の基準値まで低下した場合(暖房を停止した場合)と、第2の基準値より低い温度から第2の基準値まで上昇した場合(冷房を停止した場合)と、を含む。
図12に、実施の形態3における空調及び送風が停止するタイミングを示す。図12は、一例として、空調装置34が暖房している場合を示している。この場合、時刻Aにおいて、空調装置34が暖房を停止している。暖房が停止すると、その後、第2エリアの室内温度は徐々に下がる。第2エリアの室内温度が第2の基準値まで低下した時刻Bにおいて、送風制御部120は、送風装置35a,35b,35cのうちのこの第2エリアに送風している送風装置35に送風を停止させる。例えば、キッチン3の室内温度が第2の基準値まで低下した場合、送風制御部120は、キッチン3に送風している送風装置35aに送風を停止させ、和室4の室内温度が第2の基準値まで低下した場合、送風制御部120は、和室4に送風している送風装置35bに送風を停止させる。
なお、空調装置34が冷房している場合には、温度の上下関係を暖房とは逆転させることで同様に説明できる。具体的に説明すると、図12とは逆に、冷房が停止すると、その後、第2エリアの室内温度は徐々に上がる。第2エリアの室内温度が第2の基準値まで上昇した場合に、送風制御部120は、送風装置35の送風を停止させる。冷房における第2の基準値は、暖房における第2の基準値と同じであっても良いし、異なっていても良い。
このように、実施の形態3に係る空調システム31は、送風装置35によって第1エリアから第2エリアに送風されている際に空調装置34が空調を停止した場合、第2エリアの室内温度が第2の基準値に達してから、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。言い換えると、空調システム31は、空調が停止した後、第1エリアの熱を第2エリアに十分に搬送してから、送風装置35に送風を停止させる。
その結果、第2エリアの環境が急激に変化することを抑制できるため、第2エリアにおける使用者の快適性を向上させることができる。言い換えると、1つの空調装置34で第1エリアと第2エリアとを空調することで電力の消費を抑制することが可能な空調システム31において、使用者の快適性を向上させることができる。
(実施の形態4)
以下に、本発明の実施の形態4について説明する。
上記実施の形態2又は実施の形態3に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第1エリア又は第2エリアの室内温度を取得し、空調装置34が空調を停止した後、第1エリア又は第2エリアの室内温度が第1又は第2の基準値に達した場合に、送風装置35に送風を停止させた。これに対して、実施の形態4に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第1エリアの環境を示す第1の情報と、第2エリアの環境を示す第2の情報と、のどちらも取得する。
具体的に説明すると、実施の形態4に係る制御装置36において、指標取得部130は、空調装置34によって空調される第1エリアから送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が空調を停止した場合、第1エリアの環境を示す第1の値と、第2エリアの環境を示す第2の値と、を取得する。この第1の値は、実施の形態2と同様に、第1エリアであるリビング2の室内温度である。また、第2の値は、実施の形態3と同様に、第2エリアであるキッチン3、和室4又は廊下5の室内温度である。
指標取得部130は、第1エリアの室内温度として、温度検知部61によって検知された温度の情報を、空調通信部84を介して空調装置34から取得する。また、指標取得部130は、第2エリアの室内温度として、送風装置35a,35b,35cのそれぞれの温度検知部によって検知された温度の情報を、送風通信部85を介して取得する。このように、指標取得部130は、CPU101が、通信インタフェース106、空調通信部84及び送風通信部85等と協働することによって実現される。
条件判定部140は、第1の値として取得された第1エリアの室内温度と、第2の値として取得された第2エリアの室内温度と、の差が閾値を下回った場合に、予め定められた送風停止条件が満たされたと判定する。この閾値は、判定の基準となる温度差の値であって、予め設定され、ROM102又は記憶部104に記憶されている。また、閾値は、設定受付部150によって使用者が自由に設定することもできる。
送風制御部120は、条件判定部140による判定の結果、第1エリアの室内温度と第2エリアの室内温度の差が閾値を下回った場合、第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。
図13に、実施の形態4における空調及び送風が停止するタイミングを示す。図13は、一例として、空調装置34が暖房している場合を示している。この場合、時刻Aにおいて、空調装置34が暖房を停止している。暖房が停止すると、その後、第1エリアの室内温度及び第2エリアの室内温度は徐々に下がる。第1エリアの室内温度と第2エリアの室内温度との差が閾値まで低下した時刻Bにおいて、送風制御部120は、送風装置35a,35b,35cのうちのこの第2エリアに送風している送風装置35に送風を停止させる。
なお、空調装置34が冷房している場合には、温度の上下関係を暖房とは逆転させることで同様に説明できる。具体的に説明すると、図13とは逆に、冷房が停止すると、その後、第1エリアの室内温度及び第2エリアの室内温度は徐々に上がる。第1エリアの室内温度と第2エリアの室内温度との差が閾値まで低下した場合に、送風制御部120は、送風装置35の送風を停止させる。冷房における閾値は、暖房における閾値と同じであっても良いし、異なっていても良い。
このように、実施の形態4に係る空調システム31は、送風装置35によって第1エリアから第2エリアに送風されている際に空調装置34が空調を停止した場合、第1エリアの室内温度と第2エリアの室内温度との差が閾値まで低下してから、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。言い換えると、空調システム31は、空調が停止した後、第1エリアと第2エリアとの間で温度差が十分に小さくなり、熱流が低下してから、送風装置35に送風を停止させる。
その結果、第2エリアの環境が急激に変化することを抑制できるため、第2エリアにおける使用者の快適性を向上させることができる。言い換えると、1つの空調装置34で第1エリアと第2エリアとを空調することで電力の消費を抑制することが可能な空調システム31において、使用者の快適性を向上させることができる。
なお、実施の形態2から実施の形態4では、指標取得部130は、第1エリアの環境を示す第1の情報(第1の値)、又は第2エリアの環境を示す第2の情報(第2の値)として、リビング2、キッチン3、和室4又は廊下5等の室内温度を取得した。これは暖房又は冷房を例として説明したからであって、空調装置34が除湿、加湿又は空気清浄等を行う場合には、指標取得部130は、第1の情報としてリビング2の湿度又は空気清浄度等、第2の情報としてキッチン3、和室4又は廊下5等の湿度又は空気清浄度等を取得しても良い。これらの場合は、上記説明における温度を湿度又は空気清浄度等に置き換えることで、同様に説明できる。
(実施の形態5)
以下に、本発明の実施の形態5に係る空調システム31について説明する。
上記実施の形態2から実施の形態4に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第1エリア又は第2エリアの室内温度を取得した。これに対して、実施の形態5に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第1エリア及び第2エリア以外の第3エリアの環境を示す第3の情報、具体的には外気の温度を取得する。
図14に、実施の形態5における空調装置34の構成を示す。図14に示すように、室外機42は、外気温度検知部62を備える。外気温度検知部62以外の空調装置34の構成は、実施の形態1で説明した構成と同様である。
外気温度検知部62は、サーミスタ又は熱電対等の温度センサであって、住宅1の外部の空気、すなわち外気の温度を検知する。外気温度検知部62は、室外熱交換器53の吸い込み口に設置されており、室外機42の吸込空気の温度を検知する。外気温度検知部62の検知結果である室内温度の情報は、室外機制御部71に供給される。
実施の形態5に係る制御装置36において、指標取得部130は、空調装置34によって空調される第1エリアから送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が空調を停止した場合、空調装置34が空調を停止してからの経過時間と、第1エリア及び第2エリア以外の第3エリアの環境を示す第3の情報と、を取得する。この経過時間は、実施の形態1において取得された経過時間と同様である。指標取得部130は、RTC105の計時によって、空調装置34が空調を停止してからの経過時間を取得する。
第3エリアは、住宅1の外部のエリアであって、第3エリアの環境を示す第3の情報は、外気温度である。指標取得部130は、第3の情報として、外気温度検知部62によって検知された外気温度の情報を、空調通信部84を介して空調装置34から取得する。このように、指標取得部130は、CPU101が、通信インタフェース106及び空調通信部84等と協働することによって実現される。
条件判定部140は、空調が停止してからの経過時間が基準時間を超えた場合に、予め定められた送風停止条件が満たされたと判定する。送風制御部120は、条件判定部140による判定の結果、空調が停止してからの経過時間が基準時間を超えた場合、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。この基準時間は、指標取得部130によって第3の情報として取得された外気温度に応じて、設定される。
図15に、外気温度に応じた基準時間の設定例を示す。図15は、一例として、空調装置34が暖房している場合を示している。図15の例では、外気温度が−10℃から0℃の間では、基準時間は15分に設定され、外気温度が0℃から10℃の間では、基準時間は10分に設定され、外気温度が10℃から20℃の間では、基準時間は5分に設定される。言い換えると、暖房の場合、外気温度が低いほど、基準時間は長い時間に設定される。これに対して、冷房の場合、外気温度が高いほど、基準時間は長い時間に設定される。
このように外気温度に応じて基準時間を変えるのは、第2エリアの室内温度及び熱負荷が外気温度に依存するからである。例えば暖房の場合、外気温度が低いほど、空調が停止した後すぐに第1エリアから第2エリアへの送風を停止すると、第2エリアの室内温度が急激に低下し易い。冷房の場合は逆に、外気温度が高いほど、空調が停止した後すぐに第1エリアから第2エリアへの送風を停止すると、第2エリアの室内温度が急激に上昇し易い。実施の形態5に係る空調システム31は、外気温度を取得し、外気温度に応じて異なる基準時間を設定することで、第2エリアの室内温度を検知する手段を設けることなく、第2エリアの室内温度を制御することが可能となる。
なお、上記実施の形態5では、指標取得部130は、第1エリア及び第2エリア以外の第3エリアの環境を示す第3の情報として、外気の温度を取得した。しかしながら、本発明において、第3エリアは、住宅1の外部であることに限らず、第1エリア及び第2エリア以外、すなわち第1エリアの空調が及ばないエリアであれば、住宅1内のエリアであっても良い。また、第3の情報は、温度に限らず、湿度又は空気清浄度等であっても良い。
(実施の形態6)
以下に、本発明の実施の形態6に係る空調システム31について説明する。
上記実施の形態2に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第1エリアの室内温度を取得し、空調装置34が空調を停止した後、第1エリアの室内温度が第1の基準値に達した場合に、送風装置35に送風を停止させた。これに対して、実施の形態6に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第1エリアに存在する躯体の表面温度を取得する。
図16に、実施の形態6における空調装置34の構成を示す。図16に示すように、室内機41は、躯体温度検知部63を備える。躯体温度検知部63以外の空調装置34の構成は、実施の形態1で説明した構成と同様である。
躯体温度検知部63は、第1エリアに存在する躯体の表面温度を検知する。躯体とは、壁、床、天井、又は柱等の構造物をいい、第1エリアに存在する躯体とは、第1エリアであるリビング2に存在する壁、床、天井、又は柱等をいう。躯体温度検知部63は、一例として、被検知体から放射される赤外線を検知する赤外線センサである。躯体温度検知部63は、リビング2に存在する躯体から放射される赤外線を検知することで、その表面温度を検知する。躯体温度検知部63の検知結果である躯体の表面温度の情報は、室内機制御部72に供給される。
実施の形態6に係る制御装置36において、指標取得部130は、空調装置34によって空調される第1エリアから送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が空調を停止した場合、第1エリアの環境を示す第1の情報として、第1エリアの室内温度と、第1エリアに存在する躯体の表面温度と、を取得する。
指標取得部130は、温度検知部61によって検知されたリビング2の室内温度の情報と、躯体温度検知部63によって検知されたリビング2に存在する躯体の表面温度の情報とを、空調通信部84を介して空調装置34から取得する。このように、指標取得部130は、CPU101が、通信インタフェース106及び空調通信部84等と協働することによって実現される。
条件判定部140は、指標取得部130によって取得された躯体の表面温度によって第1エリアの室内温度を補正した値が、第3の基準値に達した場合に、予め定められた送風停止条件が満たされたと判定する。具体的に説明すると、条件判定部140は、第1エリアの室内温度を躯体の表面温度によって補正することで、第1エリアの体感温度を算出する。例えば、躯体の表面温度が室内温度よりも高い場合は、条件判定部140は、室内温度よりも高く、且つ、躯体の表面温度よりも低い温度を、体感温度として算出する。これに対して、躯体の表面温度が室内温度よりも低い場合は、条件判定部140は、室内温度よりも低く、且つ、躯体の表面温度よりも高い温度を、体感温度として算出する。
このように、条件判定部140は、第1エリアの室内温度と躯体の表面温度との間の温度を、体感温度として算出する。そして、条件判定部140は、算出した体感温度が第3の基準値に達した場合に、予め定められた送風停止条件が満たされたと判定する。第3の基準値は、判定の基準となる基準温度であって、予め設定され、ROM102又は記憶部104に記憶されている。また、第3の基準値は、設定受付部150によって使用者が自由に設定することもできる。
送風制御部120は、条件判定部140による判定の結果、リビング2の体感温度が第3の基準値に達した場合、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。ここで、第3の基準値に達した場合とは、第3の基準値より高い温度から第3の基準値まで低下した場合(暖房を停止した場合)と、第3の基準値より低い温度から第3の基準値まで上昇した場合(冷房を停止した場合)と、を含む。
図17に、実施の形態6における空調及び送風が停止するタイミングを示す。図17は、一例として、空調装置34が暖房している場合を示している。この場合、時刻Aにおいて、空調装置34が暖房を停止している。暖房が停止すると、その後、第1エリアの体感温度は徐々に下がる。第1エリアの体感温度が第3の基準値まで低下した時刻Bにおいて、送風制御部120は、送風装置35a,35b,35cのそれぞれに送風を停止させる。
なお、空調装置34が冷房している場合には、温度の上下関係を暖房とは逆転させることで同様に説明できる。具体的に説明すると、図17とは逆に、冷房が停止すると、その後、第1エリアの体感温度は徐々に上がる。第1エリアの体感温度が第3の基準値まで上昇した場合に、送風制御部120は、送風装置35の送風を停止させる。冷房における第3の基準値は、暖房における第3の基準値と同じであっても良いし、異なっていても良い。
このように、躯体の表面温度によって室内温度を補正するのは、一般的に空気の熱容量は躯体の熱容量に比べて少ないため、室内温度そのものを指標に用いると、躯体がまだ高温又は低温である段階で第1エリアが十分に冷却又は加熱されたと判定する虞があるからである。実施の形態6に係る空調システム31は、第1エリアに存在する躯体の表面温度を取得し、第1エリアの体感温度を算出する。そして、空調システム31は、空調が停止した後、体感温度が第3の基準値に達してから、送風装置35に送風を停止させる。これにより、第1エリアが十分に冷却又は加熱されてから送風を停止させることができるため、使用者の快適性をより向上させることができる。
(実施の形態7)
以下に、本発明の実施の形態7に係る空調システム31について説明する。
上記実施の形態2に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第1エリアの室内温度を取得し、空調装置34が空調を停止した後、第1エリアの室内温度が第1の基準値に達した場合に、送風装置35に送風を停止させた。これに対して、実施の形態7に係る空調システム31は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度を取得する。
図18に、実施の形態7における住宅1内のリビング2及び廊下5の断面図を示す。図18に示すように、室内機41は、日射量検知部65を備える。日射量検知部65以外の空調装置34の構成は、実施の形態1で説明した構成と同様である。
日射量検知部65は、第1エリアにおける日射が当たる場所の日射量及び表面温度を検知する。第1エリアにおける日射が当たる場所とは、例えば、図18に示すリビング2における窓67の付近の場所のように、日中太陽が出ている時に、日光が差し込む場所をいう。日射量検知部65は、一例として、被検知体から放射される赤外線を検知する赤外線センサである。日射量検知部65は、リビング2における日射が当たる場所から放射される赤外線を検知することで、その表面温度を検知する。日射量検知部65の検知結果である日射が当たる場所の日射量の情報は、室内機制御部72に供給される。
実施の形態7に係る制御装置36において、指標取得部130は、空調装置34によって空調される第1エリアから送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が空調を停止した場合、第1エリアの環境を示す第1の情報として、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度を取得する。具体的に説明すると、指標取得部130は、第1エリアから第2エリアに送風されている際に空調が停止すると、日射量検知部65によって検知された表面温度の情報を、空調通信部84を介して空調装置34から取得する。このように、指標取得部130は、CPU101が、通信インタフェース106及び空調通信部84等と協働することによって実現される。
条件判定部140は、指標取得部130によって取得された表面温度が第4の基準値に達した場合に、予め定められた送風停止条件が満たされたと判定する。第4の基準値は、判定の基準となる基準温度であって、予め設定され、ROM102又は記憶部104に記憶されている。また、第4の基準値は、設定受付部150によって使用者が自由に設定することもできる。
送風制御部120は、条件判定部140による判定の結果、リビング2における日射が当たる場所の表面温度が第4の基準値に達した場合、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。
図19に、実施の形態7における空調及び送風が停止するタイミングを示す。図19は、空調装置34が暖房している場合を示している。時刻Aにおいて、空調装置34が暖房を停止している。暖房が停止すると、その後、第1エリアの室内温度が徐々に低下することに伴って、リビング2における日射が当たる場所の表面温度も徐々に低下する。表面温度が第4の基準値まで低下した時刻Bにおいて、送風制御部120は、送風装置35a,35b,35cのそれぞれに送風を停止させる。
日射が当たる場所の表面温度は通常は室内温度よりも高いため、室内温度を指標として送風を停止させる場合に比べて、送風を停止させるタイミングは遅くなる。言い換えると、送風制御部120は、室内温度が低下しても、日射が当たる場所の表面温度が第4の基準値より高い間は、送風装置35に送風を継続させる。これにより、例えば冬季において、日射で窓67付近の室内空気が暖められた際に、その暖気を廊下5又は洗面所8等に供給することができるため、第2エリアを空調することができる。その結果、第2エリアの快適性を向上させることができ、また空調装置34の消費電力量を削減することができる。
なお、日射量検知部65は、赤外線センサに限らず、日射が当たる場所の照度を検知する照度センサ、又は、日射が当たる場所の画像情報を取得する画像センサ等であっても良い。この場合、指標取得部130は、照度センサによって検知された照度、又は、画像センサによって取得された画像情報に基づいて、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度の情報を取得する。
(実施の形態8)
以下に、本発明の実施の形態8に係る空調システム31について説明する。
上記実施の形態7に係る空調システム31は、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度が基準温度に達した場合に、送風装置35に送風を停止させた。これに対して、実施の形態8に係る空調システム31は、実施の形態7と同様の構成を備え、更に、基準温度をリビング2の断熱性能に応じて変更する。
図20に、実施の形態8に係る空調システム31に備えられている制御部80aの機能的な構成を示す。図20に示すように、制御部80aは、機能的に、運転情報取得部110と、送風制御部120と、指標取得部130と、条件判定部140と、設定受付部150と、基準温度設定部160と、を備える。これらの機能のうち、上述した実施の形態1,7と同様の機能については説明を省略する。
基準温度設定部160は、送風を停止させるための基準温度を、リビング2の断熱性能に応じて異なる温度に設定する。送風制御部120は、空調装置34によって暖房された第1エリアの空気が送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が暖房を停止した場合、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度が基準温度設定部160によって設定された基準温度に達すると、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。
リビング2の断熱性能とは、リビング2の内部と外部との間での熱の伝わり難さである。断熱性能は、一例として、熱の伝えやすさを示す熱貫流率によって見積もられる。熱貫流率は、外皮平均熱貫流率であるUA値、熱損失係数であるQ値等によって表される。
リビング2の断熱性能が高いほど、リビング2内の熱が外部に逃げ難い。そのため、特に冬季において、リビング2の室内温度及び表面温度は、夜間であっても大きく下がらずに高く保たれる。これに対して、リビング2の断熱性能が低いほど、リビング2内の熱が外部に逃げ易い。そのため、特に冬季において、リビング2の室内温度及び表面温度は低下する。基準温度の設定の仕方によっては、日射が当たる場所の表面温度が基準温度よりも低くならず、送風装置35による送風が停止しない状態が長く継続することがある。或いは、日射が当たる場所の表面温度が直ぐに基準温度よりも低くなりすぎて、送風装置35による送風がほとんど行われないことがある。
このような状況を抑制するため、基準温度設定部160は、リビング2の断熱性能がより高い場合には、基準温度をより高い温度に設定する。図21に、断熱性能に応じた基準温度の設定例を示す。図21に示すように、基準温度設定部160は、リビング2の断熱性能が高いほど、基準温度をより高い温度に設定する。具体的に説明すると、基準温度設定部160は、リビング2の断熱性能が相対的に高い場合、リビング2の断熱性能が中程度である場合、及び相対的に低い場合よりも、基準温度をより高い温度に設定する。また、基準温度設定部160は、リビング2の断熱性能が相対的に低い場合、リビング2の断熱性能が中程度である場合、及び相対的に高い場合よりも、基準温度をより低い温度に設定する。
より詳細に説明すると、基準温度設定部160は、日射が当たる場所の表面温度の1日における最低値に規定値を加えた温度に設定する。日射が当たる場所の表面温度は、一般的には1日のうちの夜間又は明け方に最低になる。そして、リビング2の断熱性能が高くなるほど、冬季においてリビング2内の温度は高く保たれるため、表面温度の1日における最低値は高くなる。基準温度設定部160は、過去の日における日射が当たる場所の表面温度の変化を取得し、その日のうちの表面温度の最低値よりも規定値だけ高い温度に基準温度を設定する。
これにより、送風装置35は、空調装置34が暖房を停止した後、表面温度が最低値まで下がる前に送風を停止する。規定値は、空調装置34が暖房を停止した後の余熱を十分に第2エリアに送ってから送風装置35が送風を停止するように、数℃程度の値に予め規定されている。
このように、基準温度設定部160は、空調装置34が暖房を停止した後の余熱を十分に第2エリアに送ってから送風装置35が送風を停止するように、リビング2の断熱性能に応じて適切な基準温度を設定する。これにより、日射による暖気を効果的に廊下5又は洗面所8等の第2エリアに供給することができる。その結果、第2エリアの快適性を向上させることができ、また空調装置34の消費電力量を削減することができる。基準温度設定部160は、CPU101によって実現される。基準温度設定部160は、基準温度を設定する設定手段として機能する。
図21に示す制御部81aの機能構成において、学習部170は、リビング2の断熱性能を学習する。具体的に説明すると、学習部170は、空調装置34がリビング2の室内温度を維持するために必要な熱量である熱負荷と、リビング2の室内温度、外気温、日射量等の環境情報と、のそれぞれについて過去の履歴を取得する。そして、学習部170は、取得した履歴に含まれる様々な環境での熱負荷の実績値に基づいて、リビング2の断熱性能を学習する。環境情報が同じであれば、断熱性能が高いほど熱負荷が小さくなり、断熱性能が低いほど熱負荷が大きくなる。そのため、学習部170は、熱負荷の実績値が相対的に高い場合には、リビング2の断熱性能が相対的に低いと推定し、熱負荷の実績値が相対的に低い場合には、リビング2の断熱性能が相対的に高いと推定する。学習部170は、CPU101によって実現される。学習部170は、学習手段として機能する。
なお、実施の形態8において、リビング2の断熱性能は、学習に限らず、設定受付部150によって使用者から受け付けられても良い。具体的に説明すると、使用者は、表示操作部81を操作して、リビング2又はリビング2を含む住宅1の断熱性能を示すUA値、Q値等の指標を入力する。設定受付部150は、このようにして使用者から入力された断熱性能の指標を受け付ける。そして、基準温度設定部160は、設定受付部150によって受け付けられた断熱性能に応じて、送風を停止させるための基準温度を設定する。
(実施の形態9)
以下に、本発明の実施の形態9に係る空調システム31について説明する。
上記実施の形態1から8では、空調装置34によって空調された第1エリアの空気が送風装置35によって第2エリアに送風されている際に空調装置34が空調を停止した場合について説明した。これに対して、実施の形態9では、空調装置34によって空調された第1エリアの空気が送風装置35によって第2エリアに送風されている際に空調装置34がサーキュレーションモードに移行した場合について説明する。
サーキュレーションモードとは、圧縮機51の運転を停止することによって暖房又は冷房を停止する一方で、室内送風機57を駆動させて室内の空気を循環させるモードである。空調装置34は、暖房又は冷房している場合において、特定の条件が満たされた場合に、運転モードをサーキュレーションモードに切り替える。特定の条件は、暖房又は冷房が不要になった場合、具体的には、暖房時にはリビング2の室内温度が上限値よりも高くなった場合、そして、冷房時にはリビング2の室内温度が下限値よりも低くなった場合に、成立する。或いは、使用者がリモートコントローラ74を介して運転モードをサーキュレーションモードに切り替える指令を入力した場合にも、空調装置34は、運転モードをサーキュレーションモードに移行する。空調装置34は、運転モードがサーキュレーションモードに切り替えられた場合、空調装置34が室内送風機57による送風を停止せずに圧縮機51の運転を停止する。
指標取得部130は、空調装置34によって暖房された第1エリアの空気が送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34の運転モードが暖房モードからサーキュレーションモードに切り替えられた場合、第1エリアの環境を示す第1の情報として、リビング2における日射が当たる場所の表面温度を取得する。条件判定部140は、指標取得部130によって取得された表面温度が基準温度に達した場合に、予め定められた送風停止条件が満たされたと判定する。送風制御部120は、条件判定部140によって送風停止条件が満たされたと判定されると、空調装置34と送風装置35とに送風を停止させる。
図22に、実施の形態9に係る圧縮機51、室内送風機57及び送風装置35が停止するタイミングを示す。図22の例では、空調装置34は、時刻Aにおいて運転モードを暖房モードからサーキュレーションモードに切り替え、圧縮機51の運転を停止している。サーキュレーションモードでは、空調装置34は、圧縮機51の運転を停止した時刻Aの後も、室内送風機57を駆動させて送風を継続する。また、送風装置35は、空調装置34がサーキュレーションモードに移行した時刻Aの後も、第1エリアから第2エリアへの送風を継続する。
その後、送風制御部120は、リビング2における日射が当たる場所の表面温度が基準温度に達した時刻Bにおいて、空調装置34と送風装置35とに送風を停止させる。具体的に説明すると、送風制御部120は、空調通信部84を介して空調装置34に送風停止の指令を送信し、室内送風機57による送風を停止させる。更に、送風制御部120は、送風通信部85を介して送風装置35a,35b,35cのそれぞれに送風停止の指令を送信し、送風を停止させる。
このように、実施の形態9に係る空調システム31は、暖房を停止した後、送風装置35による送風だけでなく、室内送風機57による送風を継続する。室内送風機57による送風を継続することによって、図23に示すように、リビング2内に空気を循環させることができ、リビング2内の日射で暖まった床、壁等の躯体から熱を回収することができる。その結果、送風装置35によってリビング2内の熱を効率良く廊下5等の第2エリアに送ることができるため、消費電力を抑制しつつ第2エリアの快適性を高めることができる。
なお、実施の形態9において、送風制御部120は、空調装置34と送風装置35とに同時に送風を停止させなくても良い。送風制御部120は、日射が当たる場所の表面温度が送風停止条件を満たした時に送風装置35に送風を停止させる一方で、送風装置35に送風を停止させる前、すなわち表面温度が送風停止条件を満たす前に、空調装置34に室内送風機57による送風を停止させても良い。例えば、送風制御部120は、日射によって蓄積された熱を十分に回収した場合、具体的には、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度と第1エリアの室内温度との差が基準値を下回った場合に、空調装置34に送風を停止させても良い。このように、空調装置34による送風と送風装置35による送風とを異なるタイミングで停止させることで、より柔軟な制御が可能となる。
(実施の形態10)
以下に、本発明の実施の形態10に係る空調システム31について説明する。
上記実施の形態1から9に係る空調システム31は、空調装置34が空調を停止した場合、その要因には依らずに、送風停止条件が成立すると送風装置35に送風を停止させた。しかしながら、空調装置34は、使用者による操作によって空調を停止することに加えて、使用者の不在を検知した場合、タイマーによって設定された時間が到来した場合等にも空調を停止する。このような空調が停止した要因の違いによって、送風装置35による第2エリアへの送風の必要性は異なる。そこで、実施の形態10に係る空調システム31は、空調装置34が空調を停止した要因に応じて、送風装置35に送風を停止させるタイミングを変更する。
具体的に説明すると、指標取得部130は、空調装置34によって空調されたリビング2の空気が送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が空調を停止した場合、第1エリアの環境を示す第1の情報として、リビング2における日射が当たる場所の表面温度を取得する。条件判定部140は、指標取得部130によって取得された表面温度が基準温度に達した場合に、予め定められた送風停止条件が満たされたと判定する。
このとき、空調装置34が第1の要因によって空調を停止した場合には、送風制御部120は、条件判定部140による判定の結果、表面温度が基準温度に達した時に、送風装置35に送風を停止させる。第1の要因は、具体的には、空調装置34が第1エリア又は第2エリアに居る使用者によって操作されたことである。使用者は、住宅1内で空調を停止することを望む場合、リモートコントローラ74を操作して、空調装置34に空調を停止する指示を入力する。空調装置34は、使用者から入力された指示に従って空調を停止する。
制御装置80において、運転情報取得部110は、空調装置34が空調を停止した要因、すなわちリモートコントローラ74を介して使用者から受け付けた操作に従って空調を停止したことを示す情報を、空調通信部84を介して空調装置34から取得する。この場合、送風制御部120は、空調装置34が空調を停止した後、日射が当たる場所の表面温度が基準温度に達するまで、送風装置35による送風を継続させる。
このように、実施の形態10に係る空調システム31は、第1エリア又は第2エリアに居る使用者によって空調装置34が操作された場合には、空調装置34が空調を停止した後、送風装置35を駆動させて空調された空気を第2エリアに供給する。これにより、使用者の快適性を優先される。
これに対して、空調装置34が第2の要因によって空調を停止した場合には、送風制御部120は、表面温度が基準温度に達する前に、送風装置35に送風を停止させる。第2の要因は、例えば、空調装置34が第1エリア又は第2エリアにおける使用者の不在を検知したこと、タイマーによって設定された時間が到来したこと、空調装置34が広域ネットワークを介して操作されたこと等である。運転情報取得部110は、このような要因によって空調装置34が空調を停止した場合、その要因を示す情報を、空調通信部84を介して空調装置34から取得する。
第1に、空調装置34は、第1エリアにも第2エリアにも使用者が存在していない場合、消費電力を抑制するため、自動的に空調を停止する。空調装置34は、第1エリア又は第2エリアに使用者が存在しているか否かを、赤外線センサ、画像センサ等によって検知する。使用者の不在によって空調が停止した場合、その後使用者が長時間に亘って住宅1に帰ってこない場合には、送風装置35による送風は不要である。一方で、使用者が短時間で住宅1に帰ってくる可能性がある。このような状況を考慮して、送風制御部120は、空調装置34が空調を停止した後、すぐには送風装置35に送風を停止させないが、表面温度が基準温度に達する前には、送風装置35に送風を停止させる。
一例として、送風制御部120は、空調装置34が空調を停止した後、表面温度と基準温度との差が予め設定された値まで近付いた場合に、送風装置35に送風を停止させる。このように、送風制御部120は、第1エリア又は第2エリアに使用者が存在していない場合には、使用者が存在している場合よりも早く送風を停止させることによって、消費電力を抑制する。
第2に、使用者は、空調装置34が空調を停止する時間をタイマーによって設定することができる。タイマーによって設定された時間が到来したことによって空調装置34が停止した場合、使用者は、睡眠中であると推測される。この場合、第2エリアへの送風は不要である可能性が高い。そのため、送風制御部120は、タイマーによって空調装置34が停止した場合には、空調装置34が空調を停止した時に、言い換えると空調停止後すぐに、送風装置35に送風を停止させる。これにより、電力の消費を抑制する。
第3に、使用者は、住宅1の外部から広域ネットワークを介して空調装置34を操作することができる。広域ネットワークは、住宅1内に構築された宅内ネットワークN1よりも広範囲で通信するための、インターネット等の通信ネットワークである。広域ネットワークを介して操作を受け付けたことによって空調装置34が停止した場合、使用者は、住宅1の外部に居ると推測される。この場合、第2エリアへの送風は不要である可能性が高い。そのため、送風制御部120は、広域ネットワークを介して受け付けた操作に従って空調装置34が停止した場合には、空調装置34が空調を停止した時に、言い換えると空調停止後すぐに、送風装置35に送風を停止させる。これにより、電力の消費を抑制する。
このように、実施の形態10に係る空調システム31は、空調装置34が空調を停止した要因に応じて異なるタイミングで、送風装置35に送風を停止させる。その結果、使用者の快適性が低下することを抑制しつつ、消費電力を抑制することができる。
なお、実施の形態7から10において、送風制御部120は、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度が基準温度に達した場合に、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させた。しかしながら、送風制御部120は、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度と第2エリアの室内温度との差が閾値を下回った場合に、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させても良い。言い換えると、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度と第2エリアの室内温度との差が小さくなって、第1エリアに差し込む日射による暖気を第2エリアに送ることができなくなると、送風制御部120は、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させても良い。この場合、指標取得部130は、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度と第2エリアの室内温度とを取得し、条件判定部140は、第1エリアにおける日射が当たる場所の表面温度と第2エリアの室内温度との差が閾値を下回った場合に、予め定められた送風停止条件が満たされたと判定する。
また、実施の形態7から10において、日射量検知部65は、日射が当たる場所の表面温度として、図18のように窓67付近の床又は壁の表面温度に限らず、窓67そのものの表面温度を検知しても良い。日射量検知部65が窓67の表面温度を検知する場合、指標取得部130は、日射が当たる場所の表面温度として窓67の表面温度を取得し、条件判定部140は、窓67の表面温度が基準温度に達した場合に、送風停止条件が満たされたと判定する。窓67は日射を直接的に受けるため、窓67の表面温度は、日射量を示す精度の良い指標として用いることができる。
また、実施の形態7から10において、指標取得部130は、第1エリアの環境を示す第1の情報として、日射が当たる場所の表面温度に限らず、日射が当たらない場所の表面温度、具体的には、壁、床、天井、柱等の躯体を含む物体の表面温度を取得しても良い。この場合、条件判定部140は、指標取得部130によって取得された表面温度が基準温度に達した場合に、送風停止条件が満たされたと判定する。送風制御部120は、第1エリアにおける物体の表面温度が基準温度に達するまで、空調された空気を送風装置35によって第1エリアから第2エリアに送風する。日射が当たらない場所であっても、第1エリアに存在する躯体等の物体は、空調装置34が暖房を停止した後の暖気、又は空調装置34が冷房を停止した後の冷気を蓄積している。そのため、第1エリアの室内温度では無く物体の表面温度を基準として送風装置35を制御することで、第1エリアの暖気又は冷気をより効率的に第2エリアに供給することができる。
(変形例)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施の形態では、空調システム31は、1台の空調装置34を備えていた。しかしながら、本発明において、空調システム31は、複数台の空調装置34を備えていてもよい。また、上記実施の形態では、空調装置34は、1台の室外機42と1台の室内機41とを備えていた。しかしながら、本発明において、空調装置34は、1台の室外機42と複数台の室内機41とを備えていても良い。或いは、空調装置34は、1台の室外機42と中継機(図示省略)と逆止弁(図示省略)と複数台の室内機41とを備えており、冷房する室内機41と暖房する室内機41とを混在させて運転することが可能なものであっても良い。また、室内機41及び室外機42が設置される位置は、図2から図4で示したものに限定されない。例えば、室内機41がリビング2等の天井裏に設置されても良いし、室外機42が建物の屋上に設置されても良い。
また、上記実施の形態では、指標取得部130は、送風装置35に送風を停止させるタイミングを決めるための指標として、空調が停止してからの経過時間、第1エリアの環境を示す第1の情報、又は第2エリアの環境を示す第2の情報を取得した。本発明において、これらの要素を自由に組み合わせることができる。言い換えると、本発明に係る制御装置36において、取得手段は、空調装置34によって空調された第1エリアの空気が送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が空調を停止した場合、空調装置34が空調を停止してからの経過時間、第1エリアの環境を示す第1の情報、又は第2エリアの環境を示す第2の情報の少なくともいずれかを取得する。そして、送風制御手段は、これら経過時間、第1の情報、又は第2の情報の少なくともいずれかが予め定められた条件を満たした場合、送風装置35に第1エリアから第2エリアへの送風を停止させる。
例えば、上記実施の形態2から4及び6から10では、予め定められた送風停止条件は、第1エリアの環境を示す第1の値(室内温度、体感温度、又は日射が当たる場所の表面温度)、第2エリアの環境を示す第2の値(室内温度)、又はその差が、基準値又は閾値に達した場合に満たされた。しかしながら、予め定められた送風停止条件は、実施の形態1,5と同様に、空調装置34が空調を停止してからの経過時間が基準時間を超えた場合に満たされ、この基準時間が、空調装置34が空調を停止した時の第1の値、第2の値、又はその差等に応じて設定されるようにしても良い。
具体的に説明すると、取得手段は、空調装置34によって空調された第1エリアの空気が送風装置35によって第2エリアに送風されている際に、空調装置34が空調を停止した場合、空調装置34が空調を停止してからの経過時間と、空調装置34が空調を停止した時の第1エリアの環境を示す第1の情報又は第2エリアの環境を示す第2の情報の少なくとも一方を取得する。そして、送風制御手段は、空調装置34が空調を停止してからの経過時間が、第1の情報又は第2の情報の少なくとも一方に応じて設定される基準時間を超えた場合に、送風装置35に送風を停止させる。例えば、空調装置34が暖房を停止した場合、暖房を停止した時の第1エリアの室内温度又は体感温度が高いほど、第1エリアに暖房の効果が長く残るため、基準時間を長い時間に設定することができる。また、空調装置34が冷房を停止した場合、冷房を停止した時の第1エリアの室内温度又は体感温度が低いほど、第1エリアに冷房の効果が長く残るため、基準時間を長い時間に設定することができる。或いは、空調装置34が暖房又は冷房を停止した場合、暖房又は冷房を停止した時の第1エリアの室内温度と第2エリアの室内温度との差が大きいほど、基準時間を長い時間に設定することができる。
上記実施の形態では、制御装置36が住宅1内に設置されている場合について説明した。しかしながら、本発明において、制御装置36と同等の機能を有する装置を住宅1外に設置しても良い。図24に、この場合の空調システム31aの例を示す。図24に示す空調システム31aでは、住宅1には、制御装置36の代わりにルータ91が設置されている。ルータ91は、宅外ネットワークN2を介してサーバ90と通信する装置であって、例えばブロードバンドルータである。宅外ネットワークN2は、例えばインターネット等の広域ネットワークである。この場合、ルータ91とサーバ90とが協調して制御装置36の役割を果たす。
上記実施の形態では、空調システム31が適用される対象として、住宅1を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明において、空調システム31が適用される対象は、住宅1のような一般住宅であることに限らず、集合住宅、施設、ビル、又は、工場等であっても良い。また、上記実施の形態では、空調装置34によって空調される第1エリアとして住宅1内のリビング2を例にとって説明したが、第1エリアはリビング2以外のエリアであっても良い。同様に、第2エリアは、キッチン3、和室4又は廊下5以外のエリアであっても良い。
上記実施の形態では、制御装置36の制御部80において、CPU101がROM102又は記憶部104に記憶されたプログラムを実行することによって、運転情報取得部110、送風制御部120、指標取得部130、条件判定部140、設定受付部150、基準温度設定部160及び学習部170のそれぞれとして機能した。しかしながら、本発明において、制御部80は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部80が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部80は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
本発明に係る制御装置36の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等に適用することで、当該パーソナルコンピュータ又は情報端末装置等を、本発明に係る制御装置36として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
この出願は、2016年3月28日に出願された国際出願PCT/JP2016/59905号に基づく。本明細書中に国際出願PCT/JP2016/59905号の明細書、請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。