以下、添付の図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。本開示では、重複する説明については、適宜に簡略化または省略する。なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、以下の各実施の形態によって開示される構成のあらゆる変形およびあらゆる組み合わせを含み得るものである。
実施の形態1.
図1から図6は、実施の形態1に係る換気空調システムの構成を説明するものである。換気空調システムは、本開示に係る送風システムの一例である。実施の形態1に係る換気空調システムには、空気調和装置および換気装置が含まれる。空気調和装置および換気装置は、空気を送り出す送風装置の一例である。また、空気調和装置および換気装置は、本開示に係る送風手段の一例でもある。
図1は、実施の形態1に係る換気空調システムの機能を示すブロック図である。図2は、実施の形態1に係る空気調和装置の室内機20の斜視図である。図3は、実施の形態1に係る空気調和装置が備える赤外線センサ21を説明する図である。図4は、実施の形態1に係る空気調和装置が備える赤外線センサ21の縦方向の検知範囲を示す図である。図5は、実施の形態1に係る空気調和装置が備える赤外線センサ21の横方向の検知範囲を示す図である。図6は、実施の形態1に係る換気装置が取り付けられた家屋の構成を模式的に示す図である。
図1に示されるように、実施の形態1に係る換気空調システムは、生体情報取得部1を備える。生体情報取得部1は、人の生体情報を取得する機能を有するものである。生体情報取得部1の機能は、例えば、人の表面温度を検出するセンサ機器、ウェアラブル型の加速度計、ウェアラブル型の心拍計およびウェアラブル型の発汗量計等の計器によって実現される。なお、生体情報取得部1の機能は、単一の計器によって実現されてもよいし、複数の計器によって実現されてもよい。
人の表面温度を検出するセンサ機器は、人が活動する室内に設置される各種の家庭用電気機器に搭載される。人の表面温度を検出するセンサ機器は、例えば、空気調和装置または換気装置に搭載される。なお、人の表面温度を検出するセンサ機器は、表面温度を検出するための専用の装置であってもよい。また、ウェアラブル型の各種の計器は、スマートフォン、携帯電話またはその他の携帯端末等に組み込まれていてもよい。
また、図1に示されるように、実施の形態1に係る換気空調システムは、活動量判定部2、位置判定部4および発汗量判定部6を備える。
活動量判定部2は、生体情報取得部1によって取得された情報および判定テーブル3に蓄積されたデータベースから、人の活動量を判定する。生体情報取得部1、活動量判定部2および判定テーブル3は、人の活動量を検出する活動量検出手段の一例を構成している。
位置判定部4は、生体情報取得部1によって取得された情報および判定テーブル5に蓄積されたデータベースから、人の位置を判定する。生体情報取得部1、位置判定部4および判定テーブル5は、人の位置を検出する位置検出手段の一例を構成している。
発汗量判定部6は、生体情報取得部1によって取得された情報および判定テーブル7に蓄積されたデータベースから、人の発汗量を判定する。生体情報取得部1、発汗量判定部6および判定テーブル7は、人の発汗量を検出する発汗量検出手段の一例を構成している。
活動量判定部2、判定テーブル3、位置判定部4、判定テーブル5、発汗量判定部6および判定テーブル7の機能は、例えば、コンピュータ等の電気回路により実現される。すなわち、実施の形態1に係る換気空調システムは、図示しないプロセッサ及び記憶装置を備えている。記憶装置に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより、予め設定された処理が実行され、上記各部の機能が実現される。
活動量判定部2、判定テーブル3、位置判定部4、判定テーブル5、発汗量判定部6および判定テーブル7の機能を実現する電気回路は、例えば、空気調和装置または換気装置に搭載される。なお、上記各部の機能は、例えば、空気調和装置または換気装置の外部のコンピュータ等によって実現されてもよい。また、上記各部の機能を実現する電気回路は、例えば、生体情報取得部1の機能を実現する計器に搭載されていてもよい。上記各部の機能は、単一の装置によって実現されてもよいし、複数の装置が連携することで実現されてもよい。
ここで、一例として、空気調和装置に搭載された赤外線センサ21によって生体情報取得部1の機能が実現されている場合の実施例について説明する。赤外線センサ21は、検出範囲における物の表面温度を非接触で検出することができるセンサ機器の一例である。
検出範囲内における人の有無は、生体情報取得部1である赤外線センサ21によって取得された表面温度の情報と判定テーブル5に蓄積されているデータベースとから判定される。同様にして、検出範囲内における人の有無も判定される。赤外線センサ21の検出範囲内における人の有無および人の位置は、位置判定部4によって判定される。具体的には、赤外線センサ21検出範囲内における人の表面温度と当該人の周囲の表面温度との差に基づいて、人の有無および人の位置が判定される。
人の活動量は、位置判定部4によって人として判定された熱源の表面温度の情報から判定される。検出範囲内における人の活動量は、活動量判定部2によって判定される。活動量判定部2は、例えば、人の表面温度が高く且当該人の位置の移動量が多い場合には、当該人の活動量が大きいと判定する。逆に、人の表面温度が低く且つ当該人の位置の移動量が少ない場合には、活動量判定部2は、当該人の活動量が小さいと判定する。活動量判定部2は、上記したように、判定テーブル3に蓄積されているデータベースに基づいて、人の活動量を判定する。活動量は、例えば、4段階に分けられている。この4段階に分けられた活動量と人の表面温度と移動量との関係を示すテーブルを、データベースとして判定テーブル3に予め蓄積しておく。
人の発汗量は、位置判定部4によって人として判定された熱源の表面温度の情報から判定される。具体的には、検出範囲内における人の表面温度との時間変化と絶対値とに基づいて、人の発汗量が判定される。発汗量判定部6は、赤外線センサ21の検出結果と判定テーブル7に蓄積されているデータベースとに基づいて、人の発汗量と発汗部位とを判定する。
赤外線センサ21の検出結果から人の発汗量を判定する方法について、より具体的に説明する。赤外線センサ21が人の表面温度を検出したとき、当該人の肌が露出した箇所の表面温度は、非露出部すなわち着衣部の表面温度よりも高い値として検出される。人の肌が露出していない着衣部の表面温度は、露出部の表面温度よりも低い値として、赤外線センサ21によって検出される。人の肌が露出した箇所の表面温度は、例えば、30℃以上である。人の肌が露出していない着衣部は、例えば、30℃以下である。
上記の表面温度の差異に基づいて、人の露出部と非露出部との位置が、位置判定部4によって判定される。位置判定部4は、例えば、表面温度が30℃以上となっている熱源を、人の露出部として判定する。
発汗量判定部6は、位置判定部4によって露出部として判定された熱源の表面温度の時間変化量により、発汗量を判定する。人が発汗している場合には、気化熱により、当該人の露出部の表面温度が低下する。このとき、発汗量が多くなるほど、表面温度は速く低下する。
そこで、表面温度の低下速度と発汗量との関係を示す情報テーブルを、データベースとして判定テーブル7に予め蓄積しておく。発汗量判定部6は、このデータベースに基づいて発汗量を判定する。例えば、発汗量と表面温度の低下速度とを4段階に区分して、各段階における、発汗量と表面温度の低下速度との関係を示すテーブルを、データベースとして判定テーブル7に予め蓄積しておく。
また、位置判定部4によって非露出部として判定された部分と露出部として判定された部分との面積の比率から、着衣量が算出されてもよい。着衣量は、例えば、露出部全体の表面温度に対する非露出部全体の表面温度の割合に基づいて算出することができる。例えば、発汗量判定部6によって判定された発汗量は、着衣量の算出結果によって補正されてもよい。
また、露出部のうち、発汗している部位の表面温度の低下速度は、発汗していない部位の表面温度の低下速度よりも早い。発汗量判定部6は、露出部における表面温度の低下速度の差の情報と、判定テーブル7に蓄積されているデータベースとに基づいて、発汗部位を判定することができる。判定テーブル7には、例えば、発汗部位の表面温度の低下速度の情報と非発汗部位の表面温度の低下速度との情報を含むデータベースが予め蓄積されている。このように、発汗量検出手段の一例である生体情報取得部1、発汗量判定部6および判定テーブル7は、発汗量に加えて、人の発汗部位を検出することが可能である。
また、別の実施例として、ウェアラブル型の各種の計器によって生体情報取得部1の機能が実現されている場合の実施例について説明する。例えば、ウェアラブル型の加速度計および心拍計等が用いられる場合、位置判定部4は、そのウェアラブル型の計器の位置情報から人の位置を判定する。位置判定部4は、例えば、ウェアラブル型の計器から発せられる電波の強弱に応じて、判定テーブル5に蓄積されたデータベースから、当該計器を装着している人の位置を判定する。
また、活動量判定部2は、ウェアラブル型の計器が計測した加速度および心拍数の大小に応じて、判定テーブル3に蓄積されたデータベースから、活動量を判定する。例えば、活動量判定部2は、ウェアラブル型の計器が計測した加速度および心拍数が大きい場合には、当該計器を装着している人の活動量が大きいと判定する。活動量判定部2は、ウェアラブル型の計器が計測した加速度および心拍数が小さい場合には、当該計器を装着している人の活動量が小さいと判定する。
発汗量判定部6は、例えば、ウェアラブル型の発汗量計によって計測された検出値と判定テーブル7に蓄積されたデータベースとから、人の発汗量を判定する。なお、発汗量判定部6は、例えば、ウェアラブル型の計器が計測した加速度および心拍数と判定テーブル7に蓄積されたデータベースとから、人の発汗量を判定してもよい。
実施の形態1に係る換気空調システムに含まれる空気調和装置および換気装置の動作は、上記した活動量判定部2と位置判定部4と発汗量判定部6との判定結果に基づいて制御される。特に、空気調和装置および換気装置は、発汗量検出手段の一例である生体情報取得部1、発汗量判定部6および判定テーブル7によって検出された発汗量に応じて動作することを特徴としている。
図1に示されるように、実施の形態1に係る換気空調システムは、システム制御部8、空調制御部10および換気制御部11を備える。システム制御部8、空調制御部10および換気制御部11は、換気空調システムの動作を制御する制御手段の一例である。システム制御部8は、換気空調システム全体の制御をするためのものである。空調制御部10は、空気調和装置を制御するためのものである。換気制御部11は、換気装置を制御するためのものである。
システム制御部8は、活動量判定部2と位置判定部4と発汗量判定部6との判定結果に基づいて、制御知識部9に蓄積されたデータベースから、空気調和装置を制御するための制御情報を選択する。システム制御部8は、選択した制御情報を、例えば電気信号等に変換して、空調制御部10に出力する。
空調制御部10は、システム制御部8から出力された制御情報に基づいて、空気調和装置を制御する。図1に示されるように、実施の形態1に係る換気空調システムは、風向板動作部12、圧縮機制御装置13および空調ファンモータ14を備える。風向板動作部12、圧縮機制御装置13および空調ファンモータ14は、空気調和装置に備えられている。空調制御部10は、システム制御部8から出力された制御情報に基づいて、風向板動作部12、圧縮機制御装置13および空調ファンモータ14のそれぞれに対して、制御信号を出力する。
風向板動作部12は、空気調和装置によって送り出される空気の風向を変化させる風向板を動作させる。風向板は、空気調和装置に備えられている。風向板動作部12は、空調制御部10から出力された制御信号に基づいて、風向板を動作させる。
図1に示されるように、風向板動作部12は、生体情報取得部1、活動量判定部2、判定テーブル3、位置判定部4、判定テーブル5、発汗量判定部6、判定テーブル7によって得られた人の生体情報に基づいて動作する。すなわち、実施の形態1に係る換気空調システムにおいて、空気調和装置によって送り出される空気の風向は、人の発汗量、発汗部位および活動量等の生体情報に応じて変化する。
圧縮機制御装置13は、空気調和装置が送り出す空気の温度を調整する圧縮機を制御する。圧縮機は、空気調和装置に備えられている。圧縮機制御装置13は、空調制御部10から出力された制御信号に基づいて、圧縮機を制御する。
図1に示されるように、圧縮機制御装置13は、生体情報取得部1、活動量判定部2、判定テーブル3、位置判定部4、判定テーブル5、発汗量判定部6、判定テーブル7によって得られた人の生体情報に基づいて動作する。すなわち、実施の形態1に係る換気空調システムにおいて、空気調和装置によって送り出される空気の温度は、人の発汗量、発汗部位および活動量等の生体情報に応じて変化する。
空調ファンモータ14は、空調制御部10から出力された制御信号に基づいて動作する。空調ファンモータ14の動作状態によって、空気調和装置から送り出される風の強さ、すなわち風量が変化する。
図1に示されるように、空調ファンモータ14は、生体情報取得部1、活動量判定部2、判定テーブル3、位置判定部4、判定テーブル5、発汗量判定部6、判定テーブル7によって得られた人の生体情報に基づいて動作する。すなわち、実施の形態1に係る換気空調システムにおいて、空気調和装置によって送り出される空気の風量は、人の発汗量、発汗部位および活動量等の生体情報に応じて変化する。
また、システム制御部8は、活動量判定部2と位置判定部4と発汗量判定部6との判定結果に基づいて、制御知識部9に蓄積されたデータベースから、換気装置を制御するための制御情報を選択する。システム制御部8は、選択した制御情報を、例えば電気信号等に変換して、換気制御部11に出力する。
換気制御部11は、システム制御部8から出力された制御情報に基づいて、換気装置を制御する。図1に示されるように、実施の形態1に係る換気空調システムは、ダンパ制御装置15および換気ファンモータ16を備える。ダンパ制御装置15および換気ファンモータ16は、換気装置に備えられている。換気制御部11は、システム制御部8から出力された制御情報に基づいて、ダンパ制御装置15および換気ファンモータ16のそれぞれに対して、制御信号を出力する。
ダンパ制御装置15は、換気装置に備えられたダンパ30の開閉状態を制御する。ダンパ30の開閉状態によって、室外から室内へ取り込まれる外気の量、すなわち換気量が変化する。ダンパ制御装置15は、換気制御部11から出力された制御信号に基づいて、ダンパ30を開閉する。
換気ファンモータ16は、換気制御部11から出力された制御信号に基づいて動作する。換気ファンモータ16の動作状態によって、換気装置によって室内へ送り出される風の強さ、すなわち風量が変化する。
図1に示されるように、ダンパ制御装置15および換気ファンモータ16は、生体情報取得部1、活動量判定部2、判定テーブル3、位置判定部4、判定テーブル5、発汗量判定部6、判定テーブル7によって得られた人の生体情報に基づいて動作する。実施の形態1に係る換気空調システムにおいて、換気装置によって取り込まれる外気の量は、人の生体情報、特に活動量に応じて変化する。
制御手段の一例であるシステム制御部8、空調制御部10および換気制御部11は、活動量判定部2、判定テーブル3、位置判定部4、判定テーブル5、発汗量判定部6および判定テーブル7と同様に、コンピュータ等の電気回路により実現される。システム制御部8、空調制御部10および換気制御部11の機能を実現する電気回路は、例えば、空気調和装置または換気装置に搭載される。上記各部の機能は、例えば、空気調和装置または換気装置の外部の装置によって実現されてもよい。
ここで、実施の形態1に係る空気調和装置の構成について説明する。空気調和装置は、冷風を吹き出す冷房運転、温風を吹き出す暖房運転および常温の風を吹き出す送風運転を含む空調運転を実行可能な装置である。
図2に示される空気調和装置の室内機20には、冷媒が流れる配管を介して、室外機が接続されている。この配管および室外機の図示を、本開示では省略している。また、空気調和装置が空調運転を実行するために必要な冷凍サイクルを構成する各機器および空気を送り出すための送風ファン等の図示も、本開示では省略している。冷凍サイクルを構成する各機器には、例えば、熱交換器および圧縮機等が含まれる。上記したように、圧縮機は、圧縮機制御装置13によって制御される。送風ファンは、空調ファンモータ14が動作することによって回転し、気流を発生させる。
図2に示されるように、室内機20は、室内機本体22を備えている。室内機本体22には、吸込口23が形成されている。吸込口23は、室内機本体22の内部に空気を取り込むための開口である。一例として、吸込口23は、室内機本体22の上部に形成されている。
室内機本体22には、当該室内機本体22の内部から外部へと空気を送り出すための開気孔である吹出口が形成されている。一例として、吹出口は、室内機本体22の前面側の下部に形成されている。
上記した送風ファンおよび熱交換器は、室内機本体22内に搭載されている。送風ファンには、例えば、ラインフローファン、クロスフローファン、ターボファンまたは軸流ファン等が用いられる。送風ファンが駆動すると、室内の空気が、吸込口23から室内機本体22の内部へ吸い込まれる。室内機本体22の内部へ吸い込まれた空気は、熱交換器を通過して温度調整された後、吹出口から吹き出される。
室内機本体22には、吹出口から吹き出される空気の風向を変化させる上下ルーバ24が設けられている。上下ルーバ24は、上記した風向板の一例である。上下ルーバ24は、上下に動くことで、室内機本体から吹き出される空気の上下方向の吹き出し角度を調整する。
上下ルーバ24は、モータによって動かされる。このモータは、風向板動作部12の一例である。一例として、室内機本体22には、2つの上下ルーバ24が設けられている。2つの上下ルーバ24は、それぞれ、独立して駆動可能なモータによって動かされる。
なお、上下ルーバ24の数量は、上記した実施例に限られず、任意の数でよい。また、室内機本体22には、吹出口から吹き出される空気の左右方向の吹き出し角度を調整するルーバが設けられていてもよい。
生体情報取得部1の機能を実現する赤外線センサ21は、図2に示されるように、室内機本体22の前面部に搭載されている。なお、赤外線センサ21が搭載される位置は、室内機本体22の前面部に限られない。赤外線センサ21は、例えば、室内機本体22の側面部または下面部等に搭載されていてもよい。
赤外線センサ21は、縦方向に並べられた複数の受光素子を備えている。例えば、赤外線センサ21は、縦方向に並べられた8個の受光素子を備えている。これら8個の受光素子のそれぞれは、赤外線の受光および温度の検出を個別に実行可能な検出素子である。8個の受光素子は、例えば、図3に示されるように、円筒状の金属缶21aの内部に、縦方向に直線状に並んで配置されている。金属缶21aの上面には、8個の受光素子に赤外線を通すための、図示しないレンズ製の窓が設けられている。赤外線センサ21は、図3および図4に示されるように、室内の温度を互いに高さが異なる8個のエリアに区分して検出することができる。
8個の受光素子のそれぞれの検出範囲は、図3に示されるように、互いに大きさが等しい四角形状のエリアとして設定されている。各受光素子の配光視野角は、例えば、縦方向における配光視野角が7°に設定され、横方向における配光視野角が8°に設定されている。各受光素子の配光視野角を合わせた赤外線センサ21全体の配光視野角は、上下方向に細長いエリアとして設定されている。
なお、縦方向における配光視野角および横方向における配光視野角の具体的な値は、上記した例に限定されるものではない。また、受光素子の個数は、上記した8個に限定されるものではなく、任意に設定される。受光素子の配光視野角および数量は、例えば、1個の受光素子の縦方向における配光視野角と受光素子との数との積が一定になる条件のもとで、任意に設定される。また、各受光素子の配光視野角は、同じでなくともよい。
赤外線センサ21は、図5に示されるように、複数の受光素子を予め設定された角度範囲内において左右に向きを変えることができるように構成されている。縦方向に並べられた複数の受光素子は、例えば、図示しないステッピングモータによって横方向に回転駆動する。赤外線センサ21は、縦方向に並べられた複数の受光素子を横方向に動かして、予め設定された検出範囲を走査する機能を備えている。
赤外線センサ21は、室内の検出範囲を走査することで、複数の熱画像データを取得する。赤外線センサ21は、例えば、予め設定された一定時間毎に熱画像を撮影する。例えば、ステッピングモータは、複数の受光素子を、所定の角度だけ移動させる毎に、所定の時間だけ停止させる。この所定の角度は、例えば、1°から5°の範囲内で設定される。また、所定の時間は、例えば、0.1秒から0.2秒の範囲内で設定される。
複数の受光素子が所定の時間だけ停止している間、当該受光素子によって熱画像データが取得される。取得された熱画像データは、活動量判定部2、位置判定部4および発汗量判定部6等へ取り込まれる。受光素子によって取得された熱画像データの取り込みが完了した後、ステッピングモータは、複数の受光素子を再び所定の角度だけ移動させる。
赤外線センサ21は、上記の動作を繰り返し行い、複数の熱画像データを取得する。赤外線センサ21は、例えば、横方向における90から100箇所での熱画像データを取得する。複数の熱画像データは、活動量判定部2、位置判定部4および発汗量判定部6等へ取り込まれる。活動量判定部2、位置判定部4および発汗量判定部6は、取り込んだ熱画像データに基づいて各種の演算を行う。
なお、受光素子は、縦方向だけでなく、横方向にも複数並べられていてもよい。複数の受光素子が横方向に並んでいる場合には、ステッピングモータによって受光素子が1回に移動させられる角度を大きく設定することができ、取得する熱画像データの量を減らすことができる。
赤外線センサ21が取得した複数の熱画像データには、検出範囲における表面温度の情報が含まれる。赤外線センサ21によって取得された熱画像データには、壁面、床面および窓等の表面温度の情報、また、人の表面温度の情報が含まれる。赤外線センサ21によって取得された熱画像データが処理されることで、例えば、人と背景との温度差から、検出範囲内における人の有無および人の位置を検出することができる。また、赤外線センサ21によって取得された熱画像データが処理されることで、人の露出部と非露出部と検出することができる。また、赤外線センサ21によって取得された熱画像データが処理されることで、人の活動量、発汗量および発汗部位を検出することができる。
赤外線センサ21による生体情報の検出精度は、当該赤外線センサ21の受光素子の画素数が多いほど高くなる。例えば、8個の各受光素子の画素数が30画素以上であれば、赤外線センサ21は、室内における表面温度の情報を十分に高精度で取得することができる。
次に、実施の形態1に係る換気装置の構成について説明する。上記したように、図6は実施の形態1に係る換気装置が取り付けられた家屋の構成を模式的に示す図である。
換気装置が取り付けられた家屋には、複数の部屋が設けられている。例えば、図6に示されるように、換気装置が取り付けられた家屋の一階には、和室およびLDK(リビング・ダイニング・キッチン)が設けられている。例えば、換気装置が取り付けられた家屋の二階には、寝室および2つの洋室が設けられている。なお、本開示に係る換気装置が取り付けられた家屋の部屋の構成は、上記した例に限られるものではない。
換気装置は、換気の対象となる各部屋の室内に、屋外の空気、すなわち外気を取り込むためのものである。換気装置は、換気装置本体31および給気ダクト32を備えている。換気装置本体31は、例えば、中空の箱状を呈する。換気装置本体31は、例えば、図6に示されるように、1階の天井裏すなわち天井の上側に設置されている。
換気装置が取り付けられた家屋には、屋外吸気口33および排気口34が形成されている。屋外吸気口33は、屋外の空気、すなわち外気を屋内へ取り込むための開口である。排気口34は、屋内の空気を屋外に排出するための開口である。
換気の対象となる各部屋には、図6に示されるように、屋内給気口35が形成されている。屋内給気口35は、屋外吸気口33から取り込まれた屋外の空気を、各部屋に供給するための開口である。屋外吸気口33は、例えば、各部屋の天井に設けられる。
換気装置本体31の一端側は、屋外吸気口33に通じている。換気装置本体31の他端側には、給気ダクト32の一端が接続されている。給気ダクト32は、中空筒状の管等によって形成されるダクトである。給気ダクト32は、屋外吸気口33から取り込まれた屋外の空気を各部屋に搬送するためのダクトである。給気ダクト32の他端側は、複数に分岐して、複数の屋内給気口35のそれぞれに通じている。
図6に示されるように、給気ダクト32には、複数のダンパ30が設けられている。それぞれのダンパ30は、給気ダクト32のうち、屋内給気口35のそれぞれに通じる部分に設けられている。ダンパ30は、屋内給気口35と同数設けられ、屋内給気口35と一対一で対応している。各ダンパ30が開閉することで、各部屋への給気量が調整される。ダンパ30の動作は、上記したように、ダンパ制御装置15によって制御される。
また、換気装置本体31には、図6に示されるように、換気ファン36が設けられている。換気ファン36は、給気ダクト32内に、屋外吸気口33から屋内給気口35に向かう気流を生成する。換気ファン36は、換気ファンモータ16が動作することによって回転し、気流を生成する。
換気装置による家屋全体における換気量は、換気ファンモータ16および換気ファン36によって調整される。各部屋への給気量は、上記したように、各ダンパ30によって調整される。換気ファン36の動作とダンパ30との動作とは、独立して制御される。このため、家屋全体における換気量は変化させずに、各部屋への給気量のみを変化させることが可能である。例えば、使用しない部屋へ通じるダンパ30を閉め、使用する部屋に通じるダンパ30を開けることで、効率よく換気を行うことができる。
なお、換気装置は、例えば、熱交換器を備えていてもよい。換気装置は、屋外の空気を、熱交換器によって温度調整してから屋内へ取り込む機能を有していてもよい。換気装置は、屋内の空気を、熱交換器によって温度調整してから屋外へ排出する機能を有していてもよい。
次に、フローチャートを参照して、実施の形態1に係る換気空調システムの動作について説明する。図7は、実施の形態1に係る換気空調システムの動作例を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、一例として、空調装置が冷房運転または送風運転を行う場合の動作例を示している。すなわち、図7のフローチャートは、夏季等の温かい時季における換気空調システムの動作例を示している。
まず、生体情報取得部1による、室内の人の生体情報の取得が行われる(ステップS101)。ステップS101で取得された生体情報に基づいて、室内における人の有無および人の位置の判定が行われる。人の有無および人の位置の判定は、位置判定部4によって行われる。
また、ステップS101で取得された生体情報に基づいて、発汗量の判定および活動量の判定が行われる(ステップS102)。発汗量の判定は、発汗量判定部6によって行われる。活動量の判定は、活動量判定部2によって行われる。そして、発汗量判定部6の判定結果および活動量判定部2の判定結果に基づいて、空気調和装置および換気装置が制御される。
図7のフローチャートによって示される動作例においては、一例として、発汗量および活動量は、それぞれ、大小の二段階に判定される。換言すると、発汗量は、基準値より大きい第1の量であるか当該基準値より小さい第2の量であるか判定される。同様に、活動量は、基準値より大きい第3の量であるか当該基準値より小さい第4の量であるか判定される。
発汗量および活動量の両方が小さい場合(ステップS103)には、圧縮機制御装置13によって空調温度を高め、空調ファンモータ14によって空調風量を少なくし、ダンパ制御装置15および換気ファンモータ16によって換気量も少なくする。具体的には、空調温度を設定温度aより高くし、空調風量を設定風量bよりも少なくし、換気量を設定換気量iよりも少なくする(ステップS104)。
一方、発汗量が少なくて活動量が大きい場合(ステップS105)には、圧縮機制御装置13によって空調温度を低め、空調ファンモータ14によって空調風量を多くし、ダンパ制御装置15および換気ファンモータ16によって換気量も多くする。具体的には、空調温度を設定温度aより低くし、空調風量を設定風量bよりも多くし、換気量を設定換気量iよりも多くする(ステップS106)。
本実施の形態に係る換気空調システムは、上記したステップS103からステップS106によって示されるように、活動量に応じて動作する。人の体感温度は、一般的に、活動量と相関がある、本実施の形態に係る換気空調システムは、人の体感温度に応じた温度調整が可能である。また、本実施の形態に係る換気空調システムは、人の活動量に応じた二酸化炭素濃度の調整を、換気により実施できる。
なお、換気空調システムは、屋外の温度を計測する機能を有していてもよい。例えば、屋外の気温が低い場合には、換気によって屋内の温度を低下させることができる。換気空調システムは、屋外の温度に応じて、空調温度と空調風量と換気量とを調整する機能を有していてもよい。
また、発汗量が大きく活動量が少ない場合(ステップS107)には、圧縮機制御装置13によって空調温度を低める。具体的には、空調温度を設定温度aより低くする。このとき、発汗部位に冷風が当たると刺激が高く、生体負荷が高くなる可能性が高い。そこで、風向板動作部12によって、発汗部位を避けて送風するように、風向板が制御される。なお、人の発汗量が大きい場合、空気調和装置は、当該人の全体を避けて送風してもよい。さらに、活動量が低いため、換気量を設定換気量iよりも少なくする(ステップS108)。これにより、必要以上に多量の外気が取り込まれることがなく、空気調和装置による屋内の温度調整が効率よく行われる。
発汗量および活動量の両方が大きい場合(ステップS109)には、圧縮機制御装置13によって空調温度を低める。具体的には、空調温度を設定温度aより低くする。また、換気量を設定換気量iよりも多くする。これにより、人が効率よく冷却され、かつ室内の二酸化炭素濃度を低下させることができる。そして、風向板動作部12によって、発汗部位または人全体を避けて送風するように、風向板が制御される(ステップS110)。
例えば、ステップS105に示される発汗量が少なくて活動量が大きい場合には、空気調和装置は、人に向けて積極的に送風してもよい。これにより、活動量の高い人の体感温度を効率よく下げることができる。
また、ステップS107およびステップS109に示されるように発汗量が大きい場合、空気調和装置は、必ずしも発汗部位または人全体を避けて送風しなくてもよい。例えば、空気調和装置は、人の発汗量が大きい場合には、風向を変更する代わりに風量を低減させてもよい。発汗している人に当たる風の強さが低減することで、人への送風によって生じる生体負荷を抑えることができる。
また、一般的には、人の上半身は下半身に比べて汗腺が多い。このことを考慮し、空気調和装置は、人の発汗量が大きい場合には、風向を下方に変更してもよい。例えば、空気調和装置は、人の発汗量が大きい場合には、人の足元へ向けて送風してもよい。これにより、人の足元を冷却することで当該人の体温を効果的に下げつつ、発汗部位への送風によって生じる生体負荷を抑制することができる。
また、発汗はしているが発汗量が少なく、発汗部位が狭い場合には、空気調和装置は、あえて発汗部位を狙って送風してもよい。これにより、効果的に汗を引かせることができる。また、発汗量が少ないが発汗部位が広い場合には、空気調和装置は、人全体を避けて送風してもよい。このように、本実施の形態の換気空調システムを構成する空気調和装置が送風する風量および風向は、生体負荷を抑制することができるように、発汗量に応じて任意に制御される。
また、換気装置は、空気調和装置と同様に、風向板を備えていてもよい。風向板は、例えば、屋内給気口35に設けられる。換気装置によって室内に取り込まれる外気の風向も空気調和装置が送り出す空気の風向と同様に、発汗量および発汗部位に応じて制御されてもよい。例えば、換気装置は、発汗部位を避けて送風してもよい。これによって、換気によって生じる生体負荷を抑制することができる。
上記したように、図7のフローチャートは、あくまで換気空調システムの動作の一例を示すものである。例えば、空調温度、空調風量および換気量の制御は、2段階の制御でなくてもよい。上記したように、活動量および発汗量は、一例として、4段階に判定される。例えば、空調温度、空調風量および換気量の制御は、活動量および発汗量の判定結果に応じて、4段階に調整されてもよい。空調温度、空調風量および換気量の制御は、任意の数の段階の制御でもよいし、また、無段階制御であってもよい。
また、換気空調システムを構成する空気調和装置は、暖房運転を行ってもよい。空気調和装置は、例えば、冬季に暖房運転を行う場合においても、発汗部位への送風を避けてもよい。これにより、発汗部位への送風による生体負荷が抑制される。また、空気調和装置は、例えば、冬季に暖房運転を行う場合においては、発汗部位を避けつつ、足元等の冷えやすい末梢へ暖気を送風してもよい。
上記の実施の形態に係る換気空調システムは、送風手段の一例である空気調和装置と、送風手段を制御する制御手段の一例である空調制御部10と、を備える。空調制御部10は、発汗量検出手段の一例である生体情報取得部1、発汗量判定部6および判定テーブル7によって検出された発汗量に応じて、空気調和装置によって送り出される空気の風向と風量とを変化させる。上記の構成によれば、使用者への生体負荷を抑制しつつ、当該使用者の状態に応じた温熱環境を自動的に生成することが可能な換気空調システムが得られる。
上記の実施の形態において、空調制御部10は、発汗量に加えて、活動量検出手段の一例である生体情報取得部1、活動量判定部2および判定テーブル3によって検出された活動量に応じて、空気調和装置によって送り出される空気の風向と風量とを変化させる。上記の構成によれば、使用者への生体負荷を抑制しつつ、当該使用者の状態に応じた温熱環境をより効果的に生成することが可能な換気空調システムが得られる。
また、空調制御部10は、発汗量に応じて、空気調和装置によって送り出される空気の温度を変化させる。制御手段の一例である換気制御部11は、活動量に応じて、送風手段の一例である換気装置によって取り込まれる外気の量を変化させる。上記の構成によれば、使用者の状態に応じた温熱環境をより効果的に生成することが可能な換気空調システムが得られる。
活動量検出手段の一例である生体情報取得部1の機能は、上記したように、赤外線センサ21によって実現することができる。上記の構成によれば、使用者の状態を非接触で検出することができ、かつ複雑な構成を必要としない換気空調システムが得られる。
なお、上記した実施の形態1に係る換気空調システムは、本開示に係る送風システムの一例である。本開示に係る送風システムは、例えば、単一の送風装置から構成されていてもよい。送風装置は、温度を調整する機能を有していない換気装置であってもよいし、換気を行う機能を有していない空気調和装置であってもよい。また、送風装置は、温度を調整する機能と換気を行う機能との両方を備えていないものでもよいし、両方を備える換気空調装置でもよい。
換言すると、本開示に係る送風システムが備える送風手段は、単一の送風装置であってもよいし、複数の送風装置であってもよい。送風装置は、空気を送り出す機能を有する任意のものでよい。また、本開示に係る送風システムが備える制御手段は、送風装置に搭載されていてもよいし、送風装置とは別の機器であってもよい。
本開示に係る送風システムは、例えば、少なくとも1つ以上の送風装置と外部装置とから構成されていてもよい。外部装置には、例えば、上記の実施の形態で例示したウェアラブル型の計器、外部のコンピュータまたはサーバ装置等が該当する。
上記の実施の形態においては、発汗量と活動量とのそれぞれが、独立して検出されている。発汗量および活動量は、例えば、一方から他方が推定されてもよい。例えば、活動量と発汗量との間には正の相関があると仮定し、活動量が多いほど発汗量が多いとして、発汗量および活動量の一方から他方が推定されてもよい。本例においては、送風システムの構成をより単純化することができる。