以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。また、以下の図面では、各構成部材の大きさの関係が実際の関係とは異なる場合がある。
以下では、住宅内の室内環境を改善する空調システムを一例として説明するが、後述するように、ビル又は工場等における室内環境を改善する空調調和システムについても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施の形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素又は全要素をこれと均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であるが、これらの実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る空調システム100について説明する。
空調システム100は、空調対象空間である空調エリアの空調を行うシステムである。空調とは、空調エリアの空気の温度、湿度、清浄度又は気流等を調整することであって、具体的には、暖房、冷房、除湿、加湿及び空気清浄等を含む。
図1に示すように、空調システム100は、使用者に操作される端末装置1と、室内環境の指標となる情報を検知する環境因子検知部2と、システム全体を制御する制御装置3と、対流によって空調を行う対流式空調機4aと、輻射によって空調を行う輻射式空調機4bと、を備える。
これら、端末装置1、環境因子検知部2、制御装置3、対流式空調機4a、及び、輻射式空調機4bは、住宅H内(住宅Hの敷地も含む)に配置されており、それぞれ、宅内ネットワークN1又は無線LANを介して通信可能に接続されている。宅内ネットワークN1は、例えばエコーネットライト(ECHONET Lite)に準じたネットワークである。また、各装置は、図示しない商用電源、太陽光発電設備又は蓄電設備等から電力の供給を得て動作する。
また、空調システム100は、住宅H外に設置されたサーバ90と通信することができる。サーバ90は、クラウドコンピューティングにおけるリソースを提供するサーバであって、例えば、制御装置3が空調を制御するために必要となる情報、及び、住宅Hの居住者である使用者に関する情報等、種々の情報を管理している。制御装置3は、住宅H内に設置された図示しないルータ、及び、宅外ネットワークN2を介してサーバ90に通信接続し、必要な情報を読み出すことが可能である。宅外ネットワークN2は、例えば、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
端末装置1は、表示部と入力部とを有し、使用者によって操作される操作表示端末である。端末装置1は、例えば、タブレット、リモコン、携帯電話又はスマートフォン等である。また、端末装置1は、パソコン、テレビ又はカーナビ等であってもよい。なお、端末装置1に備えられた表示部と入力部とは、これらが互いに重畳して配置されたタッチパネル(タッチスクリーンともいう)として構成されるものであってもよい。
また、端末装置1は、通信部を備えた通信端末である。端末装置1は、無線LAN(Local Area Network)を介して制御装置3と通信する。例えば、端末装置1は、制御装置3において生成された画面データを受信し、表示部に表示する。そして、端末装置1は、入力部を介して使用者の操作を受け付け、受け付けた操作内容を制御装置3に送信する。
端末装置1は、例えば冷房又は暖房の目標温度、除湿又は加湿の目標湿度、又は、送風の種類等を含む、対流式空調機4a及び輻射式空調機4bの運転指令の入力を受け付ける。また、端末装置1は、使用者の快適感を決定する因子のうちの人を特定する要素である人体因子に関する情報の入力を受け付ける。人体因子とは、例えば、年齢、身長、体重、性別、既往症、着衣量、作業量、疲労度、又は、使用者の生活パターン等に関する情報である。また、端末装置1は、時間に関する情報、冷暖房負荷、換気回数、形態係数、又は、立地条件等の建築物に関する情報の入力を受け付ける。端末装置1は、受け付けた入力の情報を、無線LANを介して制御装置3に送信する。
環境因子検知部2は、使用者の快適感を決定する因子のうちの環境を特定する要素である環境因子を検知する。環境因子とは、例えば、温度、湿度、輻射温度、気流速度、光量、音量、艀遊粉塵量、又は、特定のガスの濃度等である。環境因子検知部2は、後述する温度センサ2a、湿度センサ2b、及び、赤外線センサ2c等のセンサ群を含んでいる。環境因子検知部2は、上記の環境因子のいずれか1つ又は複数を、これらセンサ群のうちの単体又は複数のセンサによって検知する。環境因子検知部2は、検知した情報を、宅内ネットワークN1又は無線LANを介して制御装置3に送信する。
制御装置3は、記憶部と制御部とを有し、端末装置1及び環境因子検知部2から宅内ネットワークN1を介して送信される情報を収集する情報収集ユニットである。制御装置3は、一例として、住宅H内に設置された各装置を統合的に制御することが可能なHEMS(Home Energy Management System)コントローラである。
制御装置3は、端末装置1から受け付けた使用者の入力情報と、環境因子検知部2から受け付けた環境因子の情報と、に基づいて、住宅H内に設置された各装置を適宜制御する。また、制御装置3は、対流式空調機4a及び輻射式空調機4bを含む各装置から現在の運転状態を取得し、取得した運転状態に基づいて、住宅H内に設置された各装置を適宜制御する。なお、制御装置3の詳細については、後述する。
対流式空調機4a及び輻射式空調機4bは、空調対象空間内の温度又は湿度等の環境因子を変化させることが可能な環境因子可変装置である。対流式空調機4aは、主に対流によって空調を行う第1の空調機であって、室内に設置される室内機51と、室外に設置される室外機52と、を備える。輻射式空調機4bは、主に輻射によって空調を行う第2の空調機であって、室内に設置される輻射パネル150と、室外に設置される室外機152と、輻射パネル150と室外機152との間に設置される中間ユニット165と、を備える。対流式空調機4a及び輻射式空調機4bを、それぞれ対流式ユニット及び輻射式ユニットともいう。このように、空調システム100は、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとを含む複数の環境因子可変装置を少なくとも有している。
図2に、空調システム100の空調対象空間である空調エリア5の様子を示す。空調エリア5は、一例として、住宅Hの居住者である使用者6が睡眠をとるためのベッド7が設置された寝室である。空調エリア5には、端末装置1と、環境因子検知部2と、制御装置3と、対流式空調機4aの室内機51と、輻射式空調機4bの輻射パネル150と、が設置されている。使用者6は、端末装置1を操作して、「冷房」及び「暖房」等のような対流式空調機4a又は輻射式空調機4bの運転モードを選択することができる。
なお、空調システム100の空調対象空間は、図2に示した寝室に限定されず、リビング、ダイニング、キッチン、和室、個室、ホール、廊下、又は、脱衣所等、一戸建て住宅内の一部又はマンション内の一部であればよい。また、空調対象空間は、住宅に限らず、ビル、工場又は作業場等の建物内の一部であってもよい。
図3を参照して、対流式空調機4aの構成について説明する。対流式空調機4aは、蒸気圧縮式のヒートポンプを搭載した空調機であって、室内機51において温度調整された空気を対流させることによって空調エリア5の空調を行う第1の空調機である。対流式空調機4aは、例えばルームエアコン又はマルチエアコン等のエアコンである。対流式空調機4aは、温度調整された空気を対流させる送風手段としての室内送風機56を備えている。
室内機51は、図2に示したように、空調エリア5に温度調整された空気を供給できるような場所(例えば、空調エリア5の壁の上部)に設置されている。室内機51より吹き出される冷風又は温風により、空調エリア5が冷暖房される。室内機51と室外機52とは、冷媒が流れる冷媒配管53及び通信線54を介して接続されている。
室内機51は、室内熱交換器55と、室内送風機56と、室内機制御部62と、を備える。室外機52は、圧縮機57と、室外熱交換器58と、室外送風機59と、膨張弁60と、四方弁61と、室外機制御部63と、を備える。冷媒配管53は、室内熱交換器55と、圧縮機57と、室外熱交換器58と、膨張弁60と、四方弁61と、を環状に接続している。これにより、ヒートポンプ(冷凍サイクル)が構成されている。
室内熱交換器55は、冷媒配管53を流れる冷媒より供給される冷温熱と、空調エリア5内の空気と、の間で熱交換を行う。室内熱交換器55で熱交換された空気は、空調空気として空調エリア5に供給される。これにより、空調エリア5が冷暖房される。室内送風機56は、空調エリア5の空気を吸い込んで室内熱交換器55に供給し、室内熱交換器55で熱交換された空気を空調エリア5に吹き出す。室内熱交換器55における冷媒と空気との熱交換量が高いほど、対流式空調機4aの冷却能力又は加熱能力は上がる。冷却能力及び加熱能力は、圧縮機57の周波数を変えることによって調整される。
圧縮機57は、冷媒を圧縮し、高圧及び高温となった冷媒を四方弁61に吐出する。四方弁61は、圧縮機57の吐出側に設置されている。四方弁61は、空調システム100の運転が冷房又は除湿運転であるか暖房運転であるかに応じて、冷媒配管53中の冷媒の流れる方向を切り替える。
室外熱交換器58は、ヒートポンプを流れる冷媒により供給される冷温熱と、屋外の空気と、の間で熱交換を行う。室外送風機59は、屋外の空気を吸い込んで室外熱交換器58に供給し、室外熱交換器58で熱交換された空気を屋外に吹き出す。膨張弁60は、室内熱交換器55と室外熱交換器58との間に設置されている。膨張弁60は、冷媒を減圧して膨張させる。膨張弁60は、例えば開度が可変に制御可能な例えば電子式膨張弁である。
室内機制御部62及び室外機制御部63は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備えている。室内機制御部62及び室外機制御部63において、CPUがRAMをワークメモリとして用いながらROMに格納されたプログラムを実行することにより、それぞれ室内機51及び室外機52を制御する。室内機制御部62と室外機制御部63とは、通信線54を介して協調動作し、対流式空調機4a全体を制御する。なお、通信線54は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
対流式空調機4aは、制御装置3又は使用者6からの運転指令により運転を開始する。使用者6は、端末装置1又はリモコン64等を操作して、対流式空調機4aに運転指令を与えることができる。運転指令は、「冷房」、「除湿」、「暖房」又は「送風」等の運転モードの設定情報を含んでいる。
第1に、対流式空調機4aが「冷房」又は「除湿」の運転モードで運転する場合について説明する。端末装置1又はリモコン64等を介して「冷房」又は「除湿」の運転モードでの運転が指令されると、その運転指令が、室内機制御部62に伝達され、更に通信線54を介して室外機制御部63に伝達される。室外機制御部63は、運転指令を受信すると、圧縮機57から吐出された冷媒が室外熱交換器58に流入するように四方弁61の流路を切り替え、膨張弁60を開き、そして圧縮機57と室外送風機59とを駆動させる。また、室内機制御部62は、運転指令を受信すると、室内送風機56を駆動させる。
圧縮機57が駆動すると、圧縮機57から吐出された冷媒は、四方弁61を通過して室外熱交換器58へと流れる。室外熱交換器58に流入した冷媒は、室外空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁60へと流れる。膨張弁60に流入した冷媒は、膨張弁60で減圧された後、室内熱交換器55へと流れる。室内熱交換器55に流入した冷媒は、室内空気と熱交換して蒸発した後、四方弁61を通過して、再び圧縮機57に吸入される。このように、室内熱交換器55の配管内には低圧低温の冷媒が流れ、室内熱交換器55の表面は低温になっており、そこを通過する室内空気が冷やされる。室内送風機56は、室内熱交換器55を通過する冷気を、空調エリア5へ送風する。
第2に、対流式空調機4aが「暖房」の運転モードで運転する場合について説明する。端末装置1又はリモコン64等を介して「暖房」の運転モードでの運転が指令されると、その運転指令が、室内機制御部62に伝達され、更に通信線54を介して室外機制御部63に伝達される。室外機制御部63は、運転指令を受信すると、圧縮機57から吐出された冷媒が室内熱交換器55に流入するように四方弁61の流路を切り替え、膨張弁60を開き、そして圧縮機57と室外送風機59とを駆動させる。また、室内機制御部62は、運転指令を受信すると、室内送風機56を駆動させる。
圧縮機57が駆動すると、圧縮機57から吐出された冷媒は、四方弁61を通過して室内熱交換器55へと流れる。室内熱交換器55に流入した冷媒は、室内空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁60へと流れる。膨張弁60に流入した冷媒は、膨張弁60で減圧された後、室外熱交換器58へと流れる。室外熱交換器58に流入した冷媒は、室外空気と熱交換して蒸発した後、四方弁61を通過して、再び圧縮機57に吸入される。このように、室内熱交換器55の配管内には高圧高温の冷媒が流れ、室内熱交換器55の表面は高温になっており、そこを通過する室内空気が温められる。室内送風機56は、室内熱交換器55を通過する暖気を、空調エリア5へ送風する。
第3に、対流式空調機4aが「送風」の運転モードで運転する場合について説明する。端末装置1又はリモコン64等を介して「送風」の運転モードでの運転が指令されると、その運転指令が、室内機制御部62に伝達される。室内機制御部62は、運転指令を受信すると、室内送風機56を駆動させる。これに対して、「送風」の運転モードでの運転が指令された場合、室外機制御部63は、圧縮機57を駆動させない。そのため、室内熱交換器55を通過する空気の温度は変化しない。このように、対流式空調機4aに「送風」の運転モードでの運転が指令された場合、室内熱交換器55による空気の冷暖房は行われず、室内送風機56からの送風のみが行われる。
室内機51には、環境因子検知部2を構成するセンサ群のうちの、温度センサ2aと、湿度センサ2bと、赤外線センサ2cと、が設置されている。温度センサ2aは、空調エリア5内の空気の温度を検知するセンサであって、より具体的には空調を行う室内機51の吸込空気の温度を検知する。湿度センサ2bは、空調エリア5内の空気の湿度を検知する。赤外線センサ2cは、被検知体が放射する赤外線を検知するセンサであって、空調エリア5内の天井、壁、床、人間及び輻射パネル150等の表面温度を検知する。温度センサ2a、湿度センサ2b及び赤外線センサ2cで検知された情報は、制御装置3に送信される。
次に、図4を参照して、輻射式空調機4bの構成について説明する。輻射式空調機4bは、蒸気圧縮式のヒートポンプを搭載した空調機であって、輻射パネル150からの輻射によって空調エリア5の空調を行う第2の空調機である。
輻射パネル150は、図2に示したように、空調エリア5に輻射による空調を提供できるような場所(例えば、空調エリア5の床と天井との間)に設置されている。輻射パネル150の配管内には冷水と温水とのどちらも流すことができ、輻射パネル150からの輻射熱により、空調エリア5が冷暖房される。輻射パネル150と中間ユニット165とは、冷温水が流れる水配管151を介して接続されている。中間ユニット165と室外機152とは、冷媒が流れる冷媒配管153及び通信線154を介して接続されている。
中間ユニット165は、中間熱交換器155と、ポンプ156と、中間制御部162と、を備える。室外機152は、圧縮機157と、室外熱交換器158と、室外送風機159と、膨張弁160と、四方弁161と、室外機制御部163と、を備える。冷媒配管153は、圧縮機157と、四方弁161と、室外熱交換器158と、膨張弁160と、中間熱交換器155と、を環状に接続している。これにより、ヒートポンプ(冷凍サイクル)が構成されている。水配管151は、中間熱交換器155と、ポンプ156と、輻射パネル150と、を環状に接続している。
中間熱交換器155は、冷媒配管153を流れる冷媒より供給される冷温熱と、水配管151を流れる水と、の間で熱交換を行う。中間熱交換器155で熱交換された水は、輻射パネル150に供給される。中間熱交換器155における冷媒と空気との熱交換量が高いほど、輻射式空調機4bの冷却能力又は加熱能力は上がる。冷却能力及び加熱能力は、圧縮機157の周波数を変えることによって調整される。
圧縮機157、室外熱交換器158、室外送風機159、膨張弁160、及び、四方弁161の構成及び機能は、それぞれ、上述した対流式空調機4aに備えられた圧縮機57、室外熱交換器58、室外送風機59、膨張弁60、及び、四方弁61の構成及び機能と同様である。そのため、ここでは詳細な説明を省略する。
中間制御部162及び室外機制御部163は、CPU、ROM及びRAM等を備えている。中間制御部162及び室外機制御部163において、CPUがRAMをワークメモリとして用いながらROMに格納されたプログラムを実行することにより、それぞれ中間ユニット165及び室外機152を制御する。中間制御部162と室外機制御部163とは、通信線154を介して協調動作し、輻射式空調機4b全体を制御する。なお、通信線154は、有線であってもよいし、無線であってもよい。また、中間制御部162と室外機制御部163とは、通信線154を介して、空調エリア5内に設置された壁リモコン164と接続されている。
輻射式空調機4bは、制御装置3又は使用者6からの運転指令により運転を開始する。使用者6は、端末装置1又は壁リモコン164等を操作して、輻射式空調機4bに運転指令を与える。運転指令は、「冷房」又は「暖房」等の運転モードの設定情報を含んでいる。
第1に、輻射式空調機4bが「冷房」の運転モードで運転する場合について説明する。端末装置1又は壁リモコン164等を介して「冷房」の運転モードでの運転が指令されると、その運転指令が、中間制御部162に伝達され、更に通信線154を介して室外機制御部163に伝達される。室外機制御部163は、運転指令を受信すると、圧縮機157から吐出された冷媒が室外熱交換器158に流入するように四方弁161の流路を切り替え、膨張弁160を開き、そして圧縮機157と室外送風機159とを駆動させる。また、中間制御部162は、運転指令を受信すると、ポンプ156を駆動させる。
圧縮機157が駆動すると、圧縮機157から吐出された冷媒は、四方弁161を通過して室外熱交換器158へと流れる。室外熱交換器158に流入した冷媒は、室外空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁160へと流れる。膨張弁160に流入した冷媒は、膨張弁160で減圧された後、中間熱交換器155へと流れる。中間熱交換器155に流入した冷媒は、水配管151を流れる水と熱交換して蒸発した後、四方弁161を通過して、再び圧縮機157に吸入される。このように、中間熱交換器155の配管内には低圧低温の冷媒が流れ、中間熱交換器155は低温になっており、そこを通過する水が冷やされる。中間熱交換器155の冷水は、ポンプ156によって輻射パネル150へ送水され、輻射パネル150が冷やされる。空調エリア5は、輻射パネル150の輻射によって冷やされる。
第2に、輻射式空調機4bが「暖房」の運転モードで運転する場合について説明する。端末装置1又は壁リモコン164等を介して「暖房」の運転モードでの運転が指令されると、その運転指令が、中間制御部162に伝達され、更に通信線154を介して室外機制御部163に伝達される。室外機制御部163は、運転指令を受信すると、圧縮機157から吐出された冷媒が中間熱交換器155に流入するように四方弁161の流路を切り替え、膨張弁160を開き、そして圧縮機157と室外送風機159とを駆動させる。また、中間制御部162は、運転指令を受信すると、ポンプ156を駆動させる。
圧縮機157が駆動すると、圧縮機157から吐出された冷媒は、四方弁161を通過して中間熱交換器155へと流れる。中間熱交換器155に流入した冷媒は、水配管151を流れる水と熱交換して凝縮液化し、膨張弁160へと流れる。膨張弁160に流入した冷媒は、膨張弁160で減圧された後、室外熱交換器158へと流れる。室外熱交換器158に流入した冷媒は、室外空気と熱交換して蒸発した後、四方弁161を通過して、再び圧縮機157に吸入される。このように、中間熱交換器155の配管内には高圧高温の冷媒が流れ、中間熱交換器155は高温になっており、そこを通過する水が温められる。中間熱交換器155の温水は、ポンプ156によって輻射パネル150へ送水され、輻射パネル150が温められる。空調エリア5は、輻射パネル150の輻射によって温められる。
壁リモコン164には、環境因子検知部2を構成するセンサ群のうちの温度センサ2dが設置されている。温度センサ2dは、空調エリア5内の空気の温度、より具体的には壁リモコン164が設置された場所の空気の温度を検知する。すなわち、温度センサ2dは、空調エリア5内における対流式空調機4aの室内機51に設置された温度センサ2aとは異なる場所の空気の温度を検知する。また、水配管151には、環境因子検知部2を構成するセンサ群のうちの水温度センサ2eが設置されている。水温度センサ2eは、水配管151を流れる冷温水の温度を検知する。温度センサ2d及び水温度センサ2eで検知された情報は、制御装置3に送信される。
次に、制御装置3の詳細について、以下、図5及び図6を参照して説明する。
図5に示すように、制御装置3は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、記憶装置14と、RTC(Real Time Clock)15と、宅内インタフェース16と、宅外インタフェース17と、を備える。制御装置3に備えられた各構成要素は、バスを介して相互に接続される。
CPU11は、ROM12に格納されているプログラムに従って動作して、制御装置3の全体の動作を制御する。CPU11は、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、DSP(Digital Signal Processor)等ともいう。ROM12は、制御装置3全体の動作を制御するためのプログラムやデータを格納する。RAM13は、CPU11のワークエリアとして機能する。すなわち、CPU11は、RAM13にプログラム又はデータを一時的に書き込み、これらのプログラム又はデータを適宜参照する。
記憶装置14は、例えば、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリである。記憶装置14は、CPU11が各種処理を行うために使用する各種プログラム及びデータを記憶する。また、記憶装置14は、CPU11が各種処理を行うことにより生成又は取得する各種データを記憶する。RAM13を主記憶部、記憶装置14を補助記憶部ともいう。RTC15は、水晶発振子による発振回路を備えた計時用のデバイスである。RTC15は、制御装置3の電源がオフの間も計時を継続する。
宅内インタフェース16は、制御装置3を、宅内ネットワークN1及び無線LANに接続するためのインタフェースである。制御装置3は、宅内ネットワークN1又は無線LANを介して、住宅H内の機器と通信する。宅外インタフェース17は、制御装置3を、宅外ネットワークN2に接続するためのインタフェースである。制御装置3は、宅外ネットワークN2を介して、住宅H外の機器と通信する。
図6に示すように、制御装置3は、機能的に、入力情報取得部31と、設定部32と、環境情報取得部33と、判定部34と、空調制御部35と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM12又は記憶装置14に格納される。CPU11が、ROM12又は記憶装置14に記憶されたプログラムを実行することによって、各部の機能を実現する。また、制御装置3は、データ記憶部39を備える。データ記憶部39は、例えば記憶装置14内の記憶領域に構築される。
入力情報取得部31は、空調エリア5内の使用者6によって入力された入力情報を取得する。具体的に説明すると、使用者6は、端末装置1を操作して、対流式空調機4a及び輻射式空調機4bの運転指令及び各種の設定情報等の情報を入力する。入力情報取得部31は、このように使用者6によって端末装置1に入力された入力情報を、無線LANを介して端末装置1から受け付ける。このように、入力情報取得部31の機能は、CPU11及び宅内インタフェース16等が協働することによって、実現される。
空調制御部35は、入力情報取得部31によって取得された入力情報に基づいて、対流式空調機4a又は輻射式空調機4bの少なくとも一方を制御する。具体的に説明すると、空調制御部35は、入力情報取得部31によって取得された情報に含まれる運転指令及び各種の設定情報等に基づいて、制御指令を生成する。そして、空調制御部35は、生成した制御指令を、対流式空調機4a及び輻射式空調機4bのうちの制御対象の空調機に、宅内ネットワークN1を介して送信する。このように、空調制御部35の機能は、CPU11及び宅内インタフェース16等が協働することによって、実現される。
端末装置1は、具体的には図7から図9に示すような画面を表示部1aに表示することによって、使用者6からの入力を受け付ける。そして、端末装置1は、受け付けた入力情報を、制御装置3の入力情報取得部31に送信する。
具体的に説明すると、端末装置1は、例えば対流式空調機4aと輻射式空調機4bとが運転を開始する前の状態において、図7に示す初期登録画面を表示部1aに表示する。初期登録画面において、使用者6は、「ルームエアコンA」及び「輻射パネルB」のように、入力領域R1,R2に連動させる2つの空調機の情報を入力する。このとき、空調機の名称又は番号等の識別情報を使用者6が直接入力してもよいし、複数の候補のうちから所望の空調機をプルダウン方式で選択できるようにしてもよい。入力領域R1,R2に連動させる2つの空調機の情報が入力された後、「登録」ボタンB1が選択されると、入力された2つの空調機の情報が端末装置1に登録される。登録された2つの空調機の情報は、無線LANを介して制御装置3に送信される。
初期登録画面において2つの空調機の情報が登録された後、使用者6によって空調の運転モードを設定する操作入力を受け付けると、端末装置1は、図8に示す運転モード選択画面を表示部1aに表示する。運転モード選択画面において、使用者6は、選択領域R3に表示された「暖房」、「冷房」、「除湿」、「送風」及び「空気清浄」の中から、所望の運転モードを選択する。図8は、「冷房」の運転モードが選択された場合の例を示している。なお、運転モードの種類は、図8に示した「暖房」、「冷房」、「除湿」、「送風」及び「空気清浄」より少なくてもよいし、これら5つの運転モード以外の運転モードがあってもよい。
選択領域R3において運転モードが選択された後、「設定」ボタンB2が選択されると、端末装置1は、図9に示す設定画面を表示部1aに表示する。図9は、「冷房」の運転モードが選択された場合の設定画面を示している。設定画面において、使用者6は、選択された運転モードにおける詳細な設定を入力することができる。例えば「冷房」の運転モードが選択された場合、図9に示すように、使用者6は、設定領域R4に、冷房の目標温度を設定することができる。また、「暖房」の運転モードが選択された場合は、設定領域R4には暖房の目標温度を設定することができる。設定領域R4に設定情報が入力された後、「設定」ボタンB3が選択されると、入力された設定情報が、無線LANを介して制御装置3に送信される。
このようにして、入力情報取得部31は、入力情報として、対流式空調機4a及び輻射式空調機4bの運転モード、及び、運転モードが冷房又は暖房であった場合にその目標温度を取得する。そして、空調制御部35は、入力情報取得部31によって取得された目標温度で、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの双方に空調エリア5を冷房又は暖房させる。
すなわち、図8及び図9に示した運転モード選択画面及び設定画面は、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとで共通であって、この2つの空調機の運転モード及び目標温度等を一括して設定することができる。運転モード選択画面において「冷房」の運転モードが選択された場合、空調制御部35は、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの双方に冷房を開始させる。また、設定画面において温度が26℃に設定された場合、空調制御部35は、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの双方に26℃を目標温度として冷房させる。
なお、端末装置1ではなく、使用者6がリモコン64を操作して対流式空調機4aに冷房又は暖房させる指示を入力した場合、入力情報取得部31は、その指示入力を取得し、空調制御部35は、取得した指示入力に従って輻射式空調機4bにも同じ目標温度で冷房又は暖房させる。また、使用者6が壁リモコン164を操作して輻射式空調機4bに冷房又は暖房させた場合、入力情報取得部31は、その指示入力を取得し、空調制御部35は、取得した指示入力に従って対流式空調機4aにも同じ目標温度で冷房又は暖房させる。
このように、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの設定を共通化して、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの双方に同じ運転モード及び同じ目標温度で運転させることで、使用者6の操作回数が減り、使い勝手が向上する。また、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとをそれぞれ異なる設定温度で冷房又は暖房させると、どちらか一方の冷却能力又は加熱能力を十分に発揮することができず、無駄な電力が消費される。対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの設定を共通化することで、このような無駄な電力の消費を抑えることができ、省エネルギー性が改善する。
なお、図8に示した運転モード選択画面において、「除湿」の運転モードが選択された場合は、設定領域R4には除湿の目標湿度を設定することができる。「送風」の運転モードが選択された場合は、設定領域R4には送風の強さ及びモード等を設定することができる。「除湿」及び「送風」等、対流式空調機4aのみで設定可能な運転モードが選択された場合は、対流式空調機4aのみに設定が反映され、輻射式空調機4bには設定が反映されない。
入力情報取得部31は、入力情報として、上述した空調エリア5の冷房又は暖房の目標温度だけではなく、使用者6に関する使用者情報を取得する。使用者情報とは、例えば、使用者6の年齢、身長、体重、性別、既往症、着衣量、作業量、疲労度、又は、使用者の生活パターン等、人体因子に関する情報、あるいはペット情報である。使用者6は、このような自身の人体因子に関する情報を、端末装置1に入力することができる。入力情報取得部31は、入力された使用者6の人体因子に関する情報を、無線LANを介して端末装置1から取得する。
具体的に説明すると、使用者6は、人体因子のうちの年齢について、「10歳未満」、「10歳から29歳」、「30歳から49歳」、「50歳から69歳」又は「70歳以上」等、端末装置1の表示部1aに表示された複数の項目の中から使用者6自身の年齢に該当する項目を選択することができる。また、使用者6は、人体因子のうちの身長、体重又は性別等について、身長、体重又は性別等に応じて区分けされた複数の項目の中から使用者6自身の体重に該当する項目を選択することができる。さらに、使用者6は、他の人体因子についても同様に使用者6自身に該当する項目を選択することができる。
設定部32は、このような選択によって入力された使用者情報に基づいて、目標温度又は目標湿度等を設定する。具体的に説明すると、設定部32は、例えば「冷房」又は「暖房」の運転が指令された場合には、その目標温度を設定し、「除湿」の運転が指令された場合には、その目標湿度を設定する。設定部32の機能は、CPU11及び記憶装置14等が協働することによって、実現される。
図10に、人体因子のうちの年齢に応じて定められた、冷房の目標温度、暖房の目標温度及び除湿の目標湿度の設定範囲の例を示す。データ記憶部39は、図10に示すような設定範囲テーブルを予め記憶している。設定範囲テーブルは、冷房の目標温度、暖房の目標温度及び除湿の目標湿度等、環境因子の設定範囲を定めたテーブルである。設定範囲テーブルに定められた設定範囲は、使用者6にとって快適な環境を保つことができる範囲として予め決められた環境因子の範囲である。
例えば、対流式空調機4a及び輻射式空調機4bに冷房させる場合であって、且つ、使用者6によって「30歳から49歳」の項目が選択された場合、設定部32は、23℃から27℃の範囲で冷房の目標温度を設定する。或いは、対流式空調機4a及び輻射式空調機4bに暖房させる場合であって、且つ、使用者6によって「10歳から29歳」の項目が選択された場合、設定部32は、20℃から24℃の範囲で暖房の目標温度を設定する。設定部32は、このような設定範囲の中から、他の人体因子に基づいて目標温度又は目標湿度を設定する。例えば、設定部32は、使用者6によって選択された性別が男性である場合は、選択された性別が女性である場合よりも低い目標温度又は目標湿度を設定する。或いは、設定部32は、使用者6によって選択された身長又は体重が大きいほど、低い目標温度又は目標湿度を設定する。なお、このような設定の方法は一例であって、これら以外の設定も自由である。このように、設定部32は、使用者6の人体因子に応じて、一般的な傾向として最適であると推定される目標温度又は目標湿度を設定する。
空調制御部35は、入力情報取得部31によって取得された使用者情報に基づいて設定された目標温度で、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの双方に空調エリア5を冷房又は暖房させる。これにより、使用者6に応じて最適と推定される目標温度又は目標湿度が自動的に設定されるため、送風制御と組み合わせることで、快適性が向上する。乳幼児又はペットのように意思を伝達できない人又は動物のために空調をつけているとき、温度目標値の管理及び気流の管理が可能となり安心して利用することができ、誤操作の危険性も低減できる。高齢者の熱中症対策及び健康管理にも役立てることができる。
また、設定部32は、「送風」の運転が指令された場合に、送風モードを設定する。具体的に説明すると、設定部32は、入力情報取得部31によって取得された使用者情報に基づいて、複数の送風モードの中から1つの送風モードを選択する。空調制御部35は、設定部32によって選択された送風モードで、対流式空調機4aの室内送風機56に送風させる。
具体的に説明すると、対流式空調機4aの送風モードには、「サーキュレーションモード」、「風あてモード」、「風よけモード」及び「自然風モード」のいずれか1つ以上の送風モードがある。「サーキュレーションモード」は、空調エリア5内の空気を循環させて上下方向及び水平方向の温度分布の偏りを解消する送風モードである。「風あてモード」は、上下左右の風向を制御して使用者6に直接風をあてる送風モードである。「風よけモード」は、上下左右の風向を制御して使用者6に直接風をあてないようにする送風モードである。「自然風モード」は、上下左右の風向と風量とを非定常に制御して外気の風を再現する送風モードである。設定部32は、このような1つ以上の送風モードの中から、空調エリア5内の使用者6が誰であるかに応じて、室内送風機56に空調エリア5を送風させる際の送風モードを選択する。
図11に、使用者6に応じて定められた送風モードの例を示す。図11に示すように、使用者6に対応付けて、4つの送風モードのうちのいずれかの送風モードが設定されている。データ記憶部39は、このような使用者6と送風モードとの対応関係を定めた送風モードテーブルを予め記憶している。使用者6は、例えば端末装置1、リモコン64又は壁リモコン164等を介して自身が好む送風モードを入力することによって、その使用者6に対応する送風モードを設定することができる。或いは、使用者6が最も長い時間又は最も高い頻度で使用した送風モードが、その使用者6に対応する送風モードとして自動的に設定されてもよい。
設定部32は、入力情報取得部31によって使用者情報が取得されると、取得された使用者情報に基づいて使用者6を識別し、複数の送風モードの中から、識別した使用者6に対応付けられてデータ記憶部39に記憶されている送風モードを選択する。設定部32は、年齢、身長、体重又は性別等の人体因子に基づいて使用者6を識別してもよいし、顔認証又は指紋認証等によって使用者6を識別してもよい。このように、様々な送風モードが備えられていることで、使用者6の好みに合わせてドラフト感を変更できる。そして、様々な送風モードの中から使用者6に応じて送風モードを選択することで、使用者6にとって最適と推定される送風モードで送風できるため、快適性が向上する。
図6に示した制御装置3の機能構成の説明に戻る。環境情報取得部33は、空調エリア5内の環境に関する環境情報を取得する。環境情報とは、環境因子検知部2を構成する各センサによって検知された環境因子の情報である。具体的に説明すると、環境情報取得部33は、環境情報として、空調エリア5内の温度を取得する。この空調エリア5内の温度は、空調エリア5内の代表温度であって、室内機51に設置された温度センサ2aと壁リモコン164に設置された温度センサ2dとのどちらか一方又は双方で検知された温度であってもよいし、湿度センサ2b又は赤外線センサ2c等によって検知された情報と組み合わせて取得されるものであってもよい。また、環境情報取得部33は、環境情報として、湿度センサ2bによって検知された空調エリア5内の湿度、赤外線センサ2cによって検知された空調エリア5内の天井、壁、床、人間及び輻射パネル150等の表面温度、並びに、水温度センサ2eによって検知された水配管151を流れる冷温水の温度等を取得する。
環境情報取得部33は、このような環境情報を、環境因子検知部2を構成する各センサから宅内ネットワークN1を介して取得する。このとき、環境情報取得部33は、予め定められた周期で各センサから環境情報を取得してもよいし、必要なタイミングで各センサから環境情報を取得してもよい。このように、環境情報取得部33の機能は、CPU11及び宅内インタフェース16等が協働することによって、実現される。
空調制御部35は、端末装置1を介して使用者6から受け付けた指示入力に従って、又は、予め定められた運転スケジュールに従って、対流式空調機4a及び輻射式空調機4bを運転させる。以下では、空調制御部35が、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとに共に空調エリア5の冷房又は暖房を開始させた場合について説明する。
対流式空調機4aに冷房又は暖房を開始させるとは、空調制御部35が、宅内ネットワークN1を介して室内機制御部62及び室外機制御部63に制御指令を送信し、室内機制御部62に室内送風機56の駆動を開始させ、且つ、室外機制御部63に圧縮機57の駆動を開始させることを意味する。すなわち、空調制御部35は、圧縮機57を駆動させてヒートポンプに冷媒を流し、これにより室内熱交換器55における熱交換を開始させる。そして、空調制御部35は、室内送風機56によって、熱交換された空気を空調エリア5に送風させる。
輻射式空調機4bに冷房又は暖房を開始させるとは、空調制御部35が、宅内ネットワークN1を介して中間制御部162及び室外機制御部163に制御指令を送信し、中間制御部162にポンプ156の駆動を開始させ、且つ、室外機制御部163に圧縮機157の駆動を開始させることを意味する。すなわち、空調制御部35は、圧縮機157を駆動させてヒートポンプに冷媒を流し、これにより中間熱交換器155における熱交換を開始させる。そして、空調制御部35は、ポンプ156を駆動させることによって、熱交換された水を輻射パネル150に送り出す。
判定部34は、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの双方によって空調エリア5が冷房又は暖房されている場合において、環境情報取得部33によって取得された環境情報が、対流式空調機4aによる冷房又は暖房を停止させるべき条件として予め定められた第1の停止条件、又は、室内送風機56による送風を含む対流式空調機4aの運転を停止させるべき条件として予め定められた、第1の停止条件とは異なる第2の停止条件を満たしたか否かを判定する。これら第1の停止条件及び第2の停止条件は、データ記憶部39に記憶されている。このように、判定部34の機能は、CPU11及び記憶装置14等が協働することによって、実現される。
具体的に説明すると、第1の停止条件は、環境情報取得部33によって取得された空調エリア5内の温度と予め設定された目標温度との差が第1の閾値未満、且つ、第2の閾値以上であるときに満たされる。また、第2の停止条件は、環境情報取得部33によって取得された空調エリア5内の温度と予め設定された目標温度との差が第2の閾値未満であるときに満たされる。
図12に、環境情報取得部33によって取得された空調エリア5内の代表温度と冷房の目標温度との関係を示す。図12において、環境情報取得部33によって取得された空調エリア5内の代表温度は実線で示されており、冷房の目標温度は一点鎖線で示されている。図12に示すように、空調エリア5の冷房を開始した時点では、空調エリア5内の温度は、冷房の目標温度よりも高い。その後、空調エリア5の冷房が進むと、空調エリア5内の温度は目標温度にまで徐々に低下していく。判定部34は、このように空調エリア5内の温度が目標温度に近づいていくときの空調エリア5内の温度と目標温度との差(温度差)が第1の閾値C未満になったとき、第1の停止条件が満たされたと判定する。また、判定部34は、この温度差が第1の閾値Cよりも小さい第2の閾値D未満になったとき、第2の停止条件が満たされたと判定する。
空調制御部35は、輻射式空調機4bによって空調エリア5が冷房又は暖房され、且つ、対流式空調機4aによって空調エリア5が冷房又は暖房されている場合において、環境情報取得部33によって取得された環境情報が第1の停止条件を満たしたと判定部34によって判定されたとき、室内送風機56による送風を停止させずに、対流式空調機4aによる冷房又は暖房を停止させる。具体的に説明すると、空調制御部35は、宅内ネットワークN1を介して室外機制御部63に制御指令を送信し、室外機制御部63に圧縮機57の駆動を停止させて冷媒の流れを停止させ、これにより室内熱交換器55における熱交換を停止させる。このとき、空調制御部35は、室内機制御部62に室内送風機56の駆動を停止させず、温度調整されていない空気を空調エリア5に送風させる。
すなわち、冷房がある程度進んで、空調エリア5内の温度と目標温度との差が第1の閾値C未満になると、空調制御部35は、輻射式空調機4bに「冷房」又は「暖房」の運転モードで運転させたまま、対流式空調機4aの運転モードを「冷房」又は「暖房」から「送風」に切り替える。
このとき、空調制御部35は、上述した「サーキュレーションモード」、「風あてモード」、「風よけモード」及び「自然風モード」の送風モードの中から使用者6に応じて選択された送風モードで、室内送風機56に送風させる。すなわち、空調制御部35は、環境情報取得部33によって取得された環境情報が第1の停止条件を満たしたと判定部34によって判定された場合、入力情報取得部31によって取得された使用者情報に基づいて複数の送風モードの中から選択された送風モードで、室内送風機56に送風させる。これにより、使用者6にとって最適と推定される送風モードで送風されるため、快適性が向上する。
空調制御部35は、このように第1の停止条件が満たされて対流式空調機4aによる冷房又は暖房を停止させた後において、さらに第2の停止条件が満たされた判定部34によって判定されたとき、室内送風機56による送風を停止させる。具体的に説明すると、空調制御部35は、宅内ネットワークN1を介して対流式空調機4aに制御指令を送信し、室内送風機56の駆動を停止させる。「冷房」又は「暖房」の運転は既に停止しているため、これにより、「送風」の運転モードで運転していた対流式空調機4aの運転は、全て停止する。その結果、空調エリア5は、輻射式空調機4bのみによって冷房されるようになる。
すなわち、冷房がさらに進んで、空調エリア5内の温度と目標温度との差が第2の閾値D未満になると、空調制御部35は、輻射式空調機4bに「冷房」又は「暖房」の運転モードで運転させたまま、対流式空調機4aの運転を全て停止させる。
このように、空調制御部35は、冷房の開始直後のように空調エリア5内の温度と目標温度との差が大きいときは、対流式空調機4aと輻射式空調機4bの両方を冷房又は暖房で運転させるため、すぐに涼しく又は温かくなる。そして、冷房又は暖房が進んで空調エリア5内の温度と目標温度の差が小さくなったら、対流式空調機4aの運転モードを「送風」及び「停止」へと、段階的に切り替える。そのため、空調エリア5の状況に合わせて空調を調整でき、冷え過ぎ又は温め過ぎを抑えられる。また、空調エリア5内の空気と目標温度との差が小さくなって冷房又は暖房の負荷が減少したら、輻射式空調機4bの単体での運転になるので、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの2台を運転するより省エネルギー性が向上する。
なお、図12における閾値A及び閾値Bは、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとのうちの対流式空調機4aのみ又は輻射式空調機4bのみによって空調エリア5が冷房された場合における、運転を切り替える基準として用いられる閾値である。閾値Aと閾値Bとは、例えば同じ大きさの値に設定される。
具体的に説明すると、空調制御部35は、輻射式空調機4bを運転させずに対流式空調機4a単体で空調エリア5を冷房する場合、環境情報取得部33によって取得された空調エリア5内の代表温度が目標温度よりも閾値A以上高いときは、対流式空調機4aを冷房運転させ、代表温度が目標温度よりも閾値B未満に低下したときは、対流式空調機4aによる冷房を停止させる。このとき、空調制御部35は、室内送風機56による送風は停止させない。輻射式空調機4bを運転させていないため、対流式空調機4aの冷房を停止させると、空調エリア5内の温度は上昇し、再び代表温度が目標温度よりも閾値A以上高くなる。すると、空調制御部35は、対流式空調機4aによる冷房を再開させ、空調エリア5内の温度を低下させる。この繰り返しによって、空調エリア5内の温度を目標温度付近に保つ。なお、対流式空調機4aを運転させずに輻射式空調機4b単体で空調エリア5を冷房する場合、及び、対流式空調機4a単体又は輻射式空調機4b単体で空調エリア5を暖房する場合も、対流式空調機4a単体で空調エリア5を冷房する場合と同様であるため、説明を省略する。
このように対流式空調機4a単体又は輻射式空調機4b単体で空調エリア5を冷房又は暖房する場合に比べて、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの双方を運転させて空調エリア5を冷房又は暖房する場合、一方の空調機の冷房又は暖房を停止させるタイミングは早く到来する。そのため、閾値A及び閾値Bは、上述した第1の閾値C及び第2の閾値Dよりも小さい値に設定される。
次に、図13に示すフローチャートを参照して、制御装置3において実行される空調制御処理について説明する。
なお、図13に示すフローチャートは、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとを共に「冷房」で運転させる指令を端末装置1から受け付けた場合における、制御装置3の空調制御処理の流れを示している。なお、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとを共に「暖房」で運転させる指令を受け付けた場合も同様に説明することができる。また、対流式空調機4a単体に「冷房」、「暖房」、「除湿」又は「送風」等の運転モードで運転する指令を受け付けた場合、及び、輻射式空調機4b単体に「冷房」又は「暖房」等の運転モードで運転する指令を受け付けた場合には、制御装置3は、受け付けた指令に従って、対流式空調機4a又は輻射式空調機4bを運転させる。また、予め運転スケジュールが設定されている場合には、運転スケジュールに従って、対流式空調機4a又は輻射式空調機4bを運転させる。
CPU11は、端末装置1からの入力情報を待ち受け、端末装置1から入力情報が送信されると、その入力情報を取得する(ステップS101)。これにより、CPU11は、使用者6によって端末装置1に入力された、対流式空調機4a及び輻射式空調機4bの運転指令、各種の設定情報、及び、年齢又は性別等のような使用者6に関する使用者情報等を取得する。ステップS101において、CPU11は、入力情報取得部31として機能する。
入力情報を取得すると、CPU11は、冷房の目標温度を設定する(ステップS102)。具体的に説明すると、取得した入力情報に使用者6が設定した目標温度が含まれている場合には、CPU11は、その目標温度を設定する。これに対して、取得した入力情報に使用者6が設定した目標温度が含まれていない場合には、CPU11は、図10に示したようにデータ記憶部39に記憶された設定範囲テーブルを参照し、ステップS101において取得した使用者情報に基づいて、使用者6に応じた目標温度を設定する。また、このとき、CPU11は、上述した「サーキュレーションモード」、「風あてモード」、「風よけモード」及び「自然風モード」の送風モードの中から、使用者6に応じた送風モードを選択する。ステップS102において、CPU11は、設定部32として機能する。
目標温度を設定すると、CPU11は、2つの空調機による冷房を開始させる(ステップS103)。具体的に説明すると、CPU11は、宅内ネットワークN1を介して対流式空調機4aに制御指令を送信し、圧縮機57及び室内送風機56の駆動を開始させる。また、CPU11は、宅内ネットワークN1を介して輻射式空調機4bに制御指令を送信し、圧縮機157及びポンプ156の駆動を開始させる。ステップS103において、CPU11は、空調制御部35として機能する。
このように対流式空調機4aと輻射式空調機4bとに空調エリア5を冷房させると共に、CPU11は、空調エリア5内の温度を取得する(ステップS104)。具体的に説明すると、CPU11は、温度センサ2a又は温度センサ2d等によって検知された空調エリア5内の温度を示す情報を、適宜のタイミングで受信することにより、空調エリア5内の温度を取得する。ステップS104において、CPU11は、環境情報取得部33として機能する。
空調エリア5内の温度を取得すると、CPU11は、取得した空調エリア5内の温度と目標温度との温度差が第1の閾値C未満であるか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、CPU11は、運転を開始した冷房によって、空調エリア5内の温度が、目標温度に対して第1の閾値C未満にまで近づいたか否かを判定する。ステップS105において、CPU11は、判定部34として機能する。
空調エリア5内の代表温度と目標温度との温度差が第1の閾値C以上である場合(ステップS105;NO)、CPU11は、処理をステップS104に戻す。そして、CPU11は、引き続き、空調エリア5内の温度を取得して、取得した空調エリア5内の温度と目標温度との温度差が第1の閾値C未満であるか否かを判定する。このように、CPU11は、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとに空調エリア5を冷房させながら、空調エリア5内の代表温度と目標温度との温度差が第1の閾値C未満になるまで待機する。
空調エリア5内の代表温度と目標温度との温度差が第1の閾値C未満になると(ステップS105;YES)、CPU11は、室内送風機56による送風を停止させずに、対流式空調機4aによる冷房を停止させる(ステップS106)。具体的に説明すると、CPU11は、宅内ネットワークN1を介して対流式空調機4aに制御指令を送信し、室内送風機56を駆動させたまま圧縮機57の駆動を停止させる。これにより、CPU11は、対流式空調機4aの運転モードを「冷房」から「送風」に切り替える。このとき、CPU11は、輻射式空調機4bによる冷房は停止させず、輻射式空調機4bに「冷房」の運転モードのまま運転させる。空調制御部35は、上述した「サーキュレーションモード」、「風あてモード」、「風よけモード」及び「自然風モード」の送風モードの中から選択された送風モードで、室内送風機56に送風させる。ステップS106において、CPU11は、空調制御部35として機能する。
対流式空調機4aを「送風」の運転モードで運転させると、CPU11は、さらに空調エリア5内の温度を取得する(ステップS107)。すなわち、CPU11は、ステップS104における処理と同様に、温度センサ2a又は温度センサ2d等によって検知された空調エリア5内の温度を示す情報を、適宜のタイミングで受信することにより、空調エリア5内の温度を取得する。ステップS107において、CPU11は、環境情報取得部33として機能する。
空調エリア5内の温度を取得すると、CPU11は、取得した空調エリア5内の温度と目標温度との温度差が第2の閾値D未満であるか否かを判定する(ステップS108)。すなわち、CPU11は、運転を開始した冷房によって目標温度に対して第1の閾値C未満にまで近づいた空調エリア5内の温度が、目標温度に対して、第1の閾値Cよりも小さい第2の閾値Dにまでさらに近づいたか否かを判定する。ステップS108において、CPU11は、判定部34として機能する。
空調エリア5内の代表温度と目標温度との温度差が第2の閾値D以上である場合(ステップS108;NO)、CPU11は、処理をステップS107に戻す。そして、CPU11は、引き続き、空調エリア5内の温度を取得して、取得した空調エリア5内の温度と目標温度との温度差が第2の閾値D未満であるか否かを判定する。このように、CPU11は、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとに空調エリア5を冷房させながら、空調エリア5内の代表温度と目標温度との温度差が第2の閾値D未満になるまで待機する。
空調エリア5内の代表温度と目標温度との温度差が第2の閾値D未満になると(ステップS108;YES)、CPU11は、室内送風機56による送風を停止させる(ステップS109)。具体的に説明すると、CPU11は、宅内ネットワークN1を介して対流式空調機4aに制御指令を送信し、室内送風機56の駆動を停止させる。これにより、「送風」の運転モードで運転していた対流式空調機4aの運転が全て停止する。ステップS109において、CPU11は、空調制御部35として機能する。
対流式空調機4aの運転を停止した結果、空調エリア5は、輻射式空調機4bのみによって冷房される。以上により、図13に示したフローチャートの処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態に係る空調システム100は、輻射式空調機4bによって空調エリア5が冷房又は暖房され、且つ、対流式空調機4aによって空調エリア5が冷房又は暖房されている場合において、空調エリア5内の温度と目標温度との差が第1の閾値C未満になったとき、室内送風機56による送風を停止させずに、対流式空調機4aによる冷房又は暖房を停止させる。対流式空調機4aを完全には停止させず、「冷房」又は「暖房」の運転モードから「送風」の運転モードに切り替えるため、温度変化を和らげることができる。また、対流式空調機4aを完全に停止させる場合に比べて早いタイミングで冷房又は暖房を停止させることができる。その結果、冷え過ぎ又は温め過ぎを抑えることができ、使用者6の快適性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る空調システム100は、対流式空調機4aの運転モードを「冷房」又は「暖房」から「送風」に切り替える際、「サーキュレーションモード」、「風あてモード」、「風よけモード」及び「自然風モード」の中から1つの送風モードを使用者情報に基づいて選択し、選択した送風モードで室内送風機56により送風する。そのため、使用者6にとって最適と推定される送風モードで送風でき、使用者6にとって不快な送風とならないため、使用者6の快適性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態に係る空調システム100は、空調エリア5内の温度と目標温度との差が第2の閾値D未満になったとき、室内送風機56による送風を停止させる。このように、本実施の形態に係る空調システム100は、冷房の開始直後のように空調エリア5内の温度と目標温度との差が大きいときは、対流式空調機4aと輻射式空調機4bの両方を冷房又は暖房で運転させ、冷房又は暖房が進んで空調エリア5内の温度と目標温度の差が小さくなったら、対流式空調機4aの運転モードを「送風」及び「停止」へと、段階的に切り替える。そのため、空調エリア5の状況に合わせて空調を調整でき、使用者6の快適性を向上させることができる。また、空調エリア5内の空気と目標温度との差が小さくなって冷房又は暖房の負荷が減少したら、輻射式空調機4bの単体での運転になるので、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの2台を運転するより省エネルギー性が向上する。
(変形例)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
本発明において、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。
例えば、対流式空調機4aによる冷房又は暖房を停止させるべき第1の停止条件は、上述したように空調エリア5内の温度と目標温度との差が第1の閾値C未満になったとき以外にも、満たされてもよい。また、室内送風機56による送風を含む対流式空調機4aの運転を停止させるべき第2の停止条件は、上述したように空調エリア5内の温度と目標温度との差が第2の閾値D未満になったとき以外にも、満たされてもよい。以下、いくつかの具体例について説明する。
第1の例として、環境情報取得部33は、環境情報として、空調エリア5内の使用者6の表面温度を取得し、空調制御部35は、環境情報取得部33によって取得された使用者6の表面温度に基づいて使用者6が安静状態にあることが推定されたとき、室内送風機56による送風を停止させてもよい。この場合、判定部34は、第1の停止条件が満たされた後であって、且つ、環境情報取得部33によって取得された使用者6の表面温度に基づいて使用者6が安静状態にあることが推定されたとき、第2の停止条件が満たされたと判定する。
具体的に説明すると、環境情報取得部33は、空調エリア5内に設置された赤外線センサ2cによって検知された、使用者6の体を含む空調エリア5内の物体の表面温度を取得する。判定部34は、環境情報取得部33によって取得された表面温度の中に含まれる使用者6の表面温度の分布から、空調エリア5内における使用者6の位置及び姿勢等の情報を取得し、使用者6が安静状態にあるか否かを判定する。例えば判定部34は、使用者6がベッド7の上で就寝している場合、又は、使用者6が動いていない状態が予め定められた時間以上継続している場合等に、使用者6が安静状態にあると判定する。そして、使用者6が安静状態にあると判定された場合、空調制御部35は、室内送風機56による送風を含む対流式空調機4aの運転を停止させる。対流式空調機4aを停止させて輻射式空調機4b単体での冷房又は暖房に切り替えることで、使用者6が安静にしている際のドラフト感を解消させることができる。また、使用者6が安静状態にあっても、上述した第1の条件が満たされない限りは対流式空調機4aの運転が停止しないため、対流式空調機4aの停止までに空調エリア5をある程度に空調された状態にすることができる。その結果、快適性を向上させることができる。
第2の例として、空調制御部35は、対流式空調機4aの運転モードを睡眠モードに移行させる指示が入力されてから予め定められた時間が経過した場合に、室内送風機56による送風を停止させてもよい。この場合、判定部34は、第1の停止条件が満たされた後であって、且つ、対流式空調機4aの運転モードを睡眠モードに移行させる指示が入力されてから予め定められた時間が経過したとき、第2の停止条件が満たされたと判定する。
具体的に説明すると、使用者6は、端末装置1、リモコン64又は壁リモコン164のいずれかを介して、空調エリア5内の冷房又は暖房の運転モードを睡眠モードに移行させる指示を入力することができる。入力情報取得部31は、このような睡眠モードの指示の入力情報を取得する。そして、空調制御部35は、入力情報取得部31によって睡眠モードの指示の入力情報が取得されてから予め定められた時間が経過した場合に、室内送風機56による送風を含む対流式空調機4aの運転を停止させる。対流式空調機4aを停止させて輻射式空調機4b単体での冷房又は暖房に切り替えることで、使用者6が眠っている際のドラフト感を解消させることができる。また、睡眠モードの指示の入力情報が取得されてから予め定められた時間が経過した場合であっても、上述した第1の条件が満たされない限りは対流式空調機4aの運転が停止しないため、対流式空調機4aの停止までに空調エリア5をある程度に空調された状態にすることができる。その結果、快適性を向上させることができる。
第3の例として、環境情報取得部33は、環境情報として、空調エリア5内の湿度を取得し、空調制御部35は、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとによって空調エリア5が冷房されている場合において、環境情報取得部33によって取得された湿度が予め定められた値未満であるとき、室内送風機56による送風を停止させずに、対流式空調機4aによる冷房を停止させてもよい。この場合、判定部34は、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとによって空調エリア5が冷房されている場合において、環境情報取得部33によって取得された湿度が予め定められた値未満であるとき、上述した第1の停止条件が満たされたと判定する。
具体的に説明すると、環境情報取得部33は、空調エリア5内に設置された湿度センサ2bによって検知された空調エリア5内の湿度を取得する。判定部34は、環境情報取得部33によって取得された空調エリア5内の湿度が、空調エリア5内において結露が生じないような湿度の値として予め定められた値未満であるか否かを判定する。そして、空調エリア5内の湿度が予め定められた値未満であると判定された場合、空調制御部35は、対流式空調機4aによる冷房を停止させる。このように、空調制御部35は、空調エリア5内の湿度が高い場合には対流式空調機4aの冷房を停止させずに湿度を下げ、湿度が十分に下がってから対流式空調機4aの冷房を停止させる。これにより、空調エリア5における結露を防止することができ、快適性が向上する。
第4の例として、環境情報取得部33は、環境情報として、空調エリア5内の湿度と輻射パネル150の表面温度とを取得し、空調制御部35は、輻射式空調機4bによって空調エリア5が冷房されている場合において、環境情報取得部33によって取得された輻射パネル150の表面温度が、環境情報取得部33によって取得された空調エリア5内の湿度によって定められる空調エリア5内の露点温度未満であるとき、輻射式空調機4bを制御して、輻射パネル150に送る水の温度を増加させる、又は、輻射パネル150に送る水の量を減少させてもよい。
具体的に説明すると、環境情報取得部33は、湿度センサ2bによって検知された空調エリア5内の湿度と、赤外線センサ2cによって検知された輻射パネル150の表面温度と、を取得する。判定部34は、空調エリア5内の湿度によって定められる空調エリア5内の露点温度を計算し、計算した露点温度を輻射パネル150の表面温度と比較する。比較の結果、輻射パネル150の表面温度が露点温度よりも低ければ、輻射パネル150に結露が生じるおそれがあるため、空調制御部35は、輻射式空調機4bを制御して、輻射パネル150の表面温度を上げる。輻射パネル150の表面温度を上げる第1の方法として、空調制御部35は、宅内ネットワークN1を介して輻射式空調機4bの室外機制御部163に制御指令を送信し、圧縮機157の周波数を調整して中間熱交換器155における熱交換量を高め、輻射パネル150への送水温度を増加させる。或いは、輻射パネル150の表面温度を上げる第2の方法として、空調制御部35は、宅内ネットワークN1を介して輻射式空調機4bの中間制御部162に制御指令を送信し、ポンプ156の駆動を低下させて輻射パネル150への送水量を減少させる。これにより、輻射パネル150の結露を防ぐことができ、輻射パネル150の表面が汚れにくくなる。その結果、快適性及び輻射パネル150の使い勝手が向上する。
なお、対流式空調機4aによる冷房又は暖房を停止させるべき第1の停止条件、及び、室内送風機56による送風を含む対流式空調機4aの運転を停止させるべき第2の停止条件は、上述したような複数の条件のうちからどのように組み合わせてもよい。
例えば、空調エリア5内の温度と目標温度との差が第1の閾値C未満になった場合に第1の停止条件が満たされ、且つ、使用者6の表面温度に基づいて使用者6が安静状態にあることが推定された場合、又は、対流式空調機4aの運転モードを睡眠モードに移行させる指示が入力されてから予め定められた時間が経過した場合に、第2の停止条件が満たされてもよい。或いは、空調エリア5内の湿度が予め定められた値未満になった場合に第1の停止条件が満たされ、且つ、空調エリア5内の温度と目標温度との差が第2の閾値D未満になった場合に第2の停止条件が満たされてもよい。
さらに、第1の停止条件は、空調エリア5内の温度と目標温度との差が第1の閾値C未満になった場合と、空調エリア5内の湿度が予め定められた値未満になった場合と、が両立した場合に満たされてもよいし、どちらか一方だけでも成立した場合に満たされてもよい。また、第2の停止条件は、空調エリア5内の温度と目標温度との差が第2の閾値D未満になった場合と、使用者6の表面温度に基づいて使用者6が安静状態にあることが推定された場合と、対流式空調機4aの運転モードを睡眠モードに移行させる指示が入力されてから予め定められた時間が経過した場合と、の全てが成立した場合に満たされてもよいし、いずれか1つだけでも成立した場合に満たされてもよい。このように、多彩な組み合わせの中から選択された組み合わせで対流式空調機4aと輻射式空調機4bとを制御することができるため、様々な状況においても快適性、省エネルギー性及び使い勝手を向上させることができる。
上記実施の形態では、輻射式空調機4bは、1つの輻射パネル150を備えていた。しかしながら、本発明において、輻射式空調機4bは、複数の輻射パネルを備えていてもよい。その場合、水配管151を分岐させることにより、複数の輻射パネルのそれぞれに中間熱交換器155からの冷温水が供給されるように構成する。また、輻射パネル毎に電磁弁を設置し、使用する輻射パネルのみに冷温水が流れるように制御することもできる。
また、上記実施の形態では、制御装置3は、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとの双方を制御することができ、双方の各種の運転モードでの運転と停止とを切り替えることができた。しかしながら、本発明において、輻射式空調機4bは制御装置3の制御下になくともよく、制御装置3が対流式空調機4aのみを制御できるものであってもよい。この場合、制御装置3は、例えば、輻射パネル150の表面温度又は輻射パネル150の周囲の温度等を赤外線センサ2c又は温度センサ2a,2d等によって検知することで輻射式空調機4bによって冷房されているか暖房されているかの情報を取得する。そして、輻射式空調機4bによって空調エリア5が冷房又は暖房されている場合において、対流式空調機4aを上述のように制御する。これにより、制御装置3が輻射式空調機4bを制御できなくても、空調エリア5内の使用者6の快適性を向上させることができる。また、上記実施の形態では、対流式空調機4aの室外機52と輻射式空調機4bの室外機152とは別であったが、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されたように、対流式空調機4aと輻射式空調機4bとが共通の室外機によって動作してもよい。
上記実施の形態では、端末装置1が表示部及び入力部を備えており、制御装置3は、端末装置1に入力された入力情報を、宅内ネットワークN1を介して取得した。しかしながら、本発明において、制御装置3が表示部及び入力部を備えていてもよい。すなわち、制御装置3自身に、端末装置1の機能が備わっていてもよい。この場合、入力情報取得部31は、端末装置1を介してではなく、制御装置3に備えられた入力部を介して、空調エリア5内の使用者6によって入力された入力情報を取得する。
上記実施の形態では、制御装置3が住宅H内に設置されている場合について説明した。しかしながら、本発明において、制御装置3と同等の機能を有する装置を住宅H外に設置するようにしてもよい。図14に、この場合の空調システム101の例を示す。図14に示す空調システム101では、住宅Hには、制御装置3の代わりにルータ80が設置されている。ルータ80は、宅外ネットワークN2を介してサーバ90と通信する装置であって、例えばブロードバンドルータである。この場合、ルータ80とサーバ90とが協調して制御装置3の役割を果たす。
上記実施の形態及び変形例では、CPU11がROM12又は記憶装置14に記憶されたプログラムを実行することによって、入力情報取得部31、設定部32、環境情報取得部33、判定部34及び空調制御部35のそれぞれとして機能した。しかしながら、本発明において、入力情報取得部31、設定部32、環境情報取得部33、判定部34及び空調制御部35は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。入力情報取得部31、環境情報取得部33、判定部34、及び、空調制御部35が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、入力情報取得部31、設定部32、環境情報取得部33、判定部34及び空調制御部35は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
本発明に係る制御装置3の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等に適用することで、当該パーソナルコンピュータ又は情報端末装置等を、本発明に係る制御装置3として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。