以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、二階建て住宅としての建物について具体化している。図1は建物10の概略を示す図、図2は一階部分11における空調換気システムの構成を示す図である。
図1に示すように、建物10は一階部分11と二階部分12とを有しており、二階部分12の上には屋根13が設けられている。一階部分11及び二階部分12はそれぞれ居住空間15と天井裏空間16とを有しており、それら居住空間15と天井裏空間16とは天井17により仕切られている。なお、天井裏空間16は、一階部分11においては上下階の間の階間空間を形成しており、二階部分12においては天井裏空間や小屋裏空間を形成している。
一階部分11及び二階部分12において、建物内空間としての居住空間15には第1室としての部屋21と第2室としての廊下22とが設けられている。部屋21は廊下22に隣接して複数設けられており、それら部屋21によりリビングやダイニング、寝室等が形成されている。各部屋21と廊下22とは仕切壁23により仕切られており、仕切壁23には部屋21と廊下22とを連通する出入口25が設けられている。仕切壁23には出入口25を開閉する扉体26が設けられており、扉体26の下端部と居住空間15の床面15aとの間には通気部としてのアンダーカット27が設けられている。
なお、一階部分11には玄関29が設けられており、玄関29は部屋21に隣接しているとともに廊下22に通じている。玄関29の上方には天井裏空間16が設けられておらず、玄関29の天井高さは部屋21や廊下22の天井高さより高くなっている。
建物10には、一階部分11及び二階部分12ごとに空調及び換気を行う空調換気システムが構築されている。空調換気システムは、建物内空間全体を対象とした全館換気及び全館空調を行う構成となっており、建物内空間の換気を行う換気装置31と、建物内空間の空調を行う空調室外機32及び空調室内機33と、建物内空間の空気を空調室内機33に供給するリターンチャンバ34とを有している。
換気装置31、空調室内機33及びリターンチャンバ34は一階部分11及び二階部分12の各天井裏空間16のそれぞれに設置されており、居住空間15に対して天井により隠蔽されている。換気装置31は、一階部分11及び二階部分12のそれぞれに対して1台ずつ設けられており、各階部分11,12において個別にセントラル換気を行うことで全館換気を実現している。空調室内機33は、一階部分11及び二階部分12のそれぞれにおいて1台のリターンチャンバ34に対応して複数設けられており、各部屋21の空調を個別に行う。各空調室内機33はそれぞれマルチタイプルームエアコンとなっており、各階部分11,12ごとに別々の空調室外機32に接続されている。空調室外機32は、1階系統と2階系統とに対応して屋外に2台設置されている。
ここで、一階部分11における空調換気システムについて説明する。なお、二階部分12においても一階部分11と同様の空調換気システムが構築されている。
図2に示すように、換気装置31には、屋外から外気を取り込むための外気取込ダクト41と、取り込んだ外気を部屋21へ供給するための外気供給ダクト42と、廊下22から空気を取り込むための内気取込ダクト43と、取り込んだ空気を屋外へ排出するための内気排出ダクト44とが接続されており、それらダクト41〜44は天井裏空間16に設置されている。外気取込ダクト41及び内気排出ダクト44はそれぞれ屋外空間に通じている。外気供給ダクト42は外気供給グリル46を介して各部屋21に通じており、外気供給グリル46は各部屋21の天井にそれぞれ取り付けられている。内気取込ダクト43は内気取込グリル47を介して廊下22に通じており、内気取込グリル47は廊下22の天井に取り付けられている。
ちなみに、換気装置31は屋内外を仕切る外壁の近傍に設置されている。この場合、換気装置31が平面視における建物10中央に設置されている場合に比べて、外気取込ダクト41や内気排出ダクト44を短くすることが可能となる。
換気装置31は外気導入ファン51と内気排出ファン52とを有している。外気導入ファン51はモータ等の駆動部が駆動することにより回転し、その回転に伴って外気が外気取込ダクト41や換気装置31、外気供給ダクト42、外気供給グリル46を通じて部屋21へ導入される。内気排出ファン52はモータ等の駆動部が駆動することにより回転し、その回転に伴って廊下22の空気が内気取込グリル47や内気取込ダクト43、換気装置31、内気排出ダクト44を通じて屋外へ排出される。この場合、換気装置31により第一種機械換気システムが構築されていることになる。
換気装置31において外気導入ファン51の運転状態は、強モード及び弱モードのいずれかに切り替え可能となっている。外気導入ファン51は、その運転状態が回転速度や回転量により定められるものであり、各部屋21のそれぞれへ導入する単位時間あたりの外気導入量が例えば20〜40m3/hの範囲内となるように動作する。例えば、外気導入ファン51が強モードにある場合は外気導入量が40m3/hとなり、弱モードにある場合は外気導入量が20m3/hとなる。また、換気装置31が屋外から導入する外気の総量は、各部屋21のそれぞれへ供給される各外気導入量の総和となっている。例えば、換気装置31が2つの部屋21に外気導入を行う場合において、外気導入ファン51が強モードであれば屋外から導入される外気の総量は80m3/hとなる。なお、外気導入ファン51は強モード及び弱モードのいずれかにて外気導入を常に行っている。
換気装置31において内気排出ファン52の運転状態は、外気導入ファン51の運転状態に合わせて切り替えられる。内気排出ファン52は、その運転状態が回転速度や回転量により定められるものであり、廊下22から屋外へ排出する単位時間あたりの排気量が、外気導入ファン51により各部屋21のそれぞれへ供給される外気量の総和と同量になるように動作する。例えば、外気導入ファン51により導入される外気の総量が40m3/hであれば排気量を40m3/hとし、80m3/hであれば80m3/hとする。
なお、換気装置31を、その運転状態が強モードや弱モードなどにて保持される構成としてもよい。この場合でも、居住空間15の換気を常に行うことができる。
換気装置31は熱交換部53を有しており、熱交換部53において、内気排出ファン52により廊下22から屋外へ排出する内気と外気導入ファン51により部屋21へ導入する外気との熱交換を行う。例えば、屋外の温度が建物10内の温度より低い冬季などにおいては、排気から導入外気へ熱が移動され、屋外より温度の高い外気が部屋21へ導入される。一方、廊下22の温度が屋外の温度より低い夏季などにおいては、導入外気から排気へ熱が移動され、屋外より温度の低い外気が部屋21へ導入される。これらの場合、換気に伴う建物10内における温度変化の大きさが低減される。なお、熱交換部53としては、顕熱交換方式のものや全熱交換方式のものがある。
空調室内機33には、廊下22の空気を還気として取り込むための還気取込ダクト55と、空調用の空気を給気として部屋21に供給するための給気ダクト56とが接続されており、それら各ダクト55,56は天井裏空間に設置されている。リターンダクトとしての還気取込ダクト55は空調室内機33とリターンチャンバ34とを連通している。サプライダクトとしての給気ダクト56は給気グリル57を介して部屋21に通じており、給気グリル57は部屋21の天井に取り付けられている。なお、空調室内機33には上記ダクト55,56に加えて冷媒管が接続されており、その冷媒管により空調室内機33と空調室外機32(図示略)とが接続されている。
空調室内機33は空冷式パッケージエアコンとなっており、電気式の温度調整部61や湿度調整部62を有している。温度調整部61は空気を冷却する冷凍機や空気を過熱する電熱コイル等を含んで構成されており、湿度調整部62は空気を加湿する加湿器等を含んで構成されている。空調室内機33は、リターンチャンバ34を介して取り込まれた還気の温度調整や湿度調整を行い、部屋21へ供給する空調空気を生成する。空調室内機33において温度調整部61は運転状態を切り替え可能となっており、暖房状態であれば空調空気として温風を生成し、冷房状態であれば空調空気として冷風を生成する。
また、空調室内機33は給気ファン65を有している。給気ファン65はモータ等の駆動部が駆動することで回転し、その回転に伴って空調空気が空調室内機33や給気ダクト56、給気グリル57を介して部屋21へ供給される。空調室内機33において給気ファン65の運転状態は停止状態、通常状態、最大状態のいずれかに切り替え可能となっている。給気ファン65は、その運転状態が回転速度や回転量により定められるものであり、空調室内機33から部屋21へ供給する単位時間あたりの空調空気量が0〜350m3/hの範囲内となるように動作する。例えば、給気ファン65が停止状態にある場合は空調空気量が0m3/hとなり、通常状態である場合は空調空気量が210m3/hとなり、最大状態である場合は空調空気量が350m3/hとなる。したがって、給気ファン65が通常状態又は最大状態にある場合は、部屋21に供給される空調空気量が換気装置31の外気導入ファン51による外気導入量より十分に大きくされる。
リターンチャンバ34には廊下22から還気が還気取込グリル67を介して取り込まれる。還気取込グリル67は廊下22の天井に取り付けられているとともに、リターンチャンバ34に直接取り付けられている。なお、還気取込グリル67は空調用のダクトを介してリターンチャンバ34に接続されていてもよい。
リターンチャンバ34は還気ファン68を有している。還気ファン68はモータ等の駆動部が駆動することにより回転し、その回転に伴って廊下22の空気が還気としてリターンチャンバ34を介し空調室内機33へ供給される。リターンチャンバ34の還気ファン68は、その運転状態が回転速度や回転量により定められるものであり、リターンチャンバ34を介して廊下22から空調室内機33へ送り出す単位時間あたりの還気量が例えば0〜1400m3/hの範囲内となるように動作する。還気ファン68は、リターンチャンバ34の還気量と、各空調室内機33が部屋21へ供給する空調空気量の総和とが等しくなるように運転状態が可変調整される。
上記の空調換気システムによれば、換気装置31により外気が部屋21に導入されたり空調室内機33により空調空気が部屋21に供給されたりした場合、それら外気や空調空気は扉体26のアンダーカット27を通じて部屋21から廊下22へ流れ出る。この結果、部屋21及び廊下22の空調及び換気が行われる。この場合、導入された外気と空調空気とが流れる方向はアンダーカット27において同一方向となり、外気や空調空気が部屋21だけに直接放出される構成にもかかわらず、一階部分11の居住空間15全体を対象とした空調及び換気を行うことが可能となる。
ここで、扉体26のアンダーカット27は、部屋21及び廊下22の換気や空調が好適に行われる大きさとなっている。アンダーカット27の大きさと換気との関係について、図3,図4を参照しつつ説明する。図3は扉体26の構成を示す正面図、図4は外気導入量について説明するための図である。なお、図4は、アンダーカット27の高さ寸法Hが10mmに設定されている場合に発明者らにより行われた試験の結果を示す図であり、(a)では空調室内機33の運転状態と外気導入量との関係を表で示し、(b)ではグラフで示している。
まず、扉体26について説明する。図3に示すように、扉体26は略矩形状の板部とされており、出入口25において仕切壁23に軸支されている。扉体26の回動軸は鉛直方向に延びており、扉体26は片開き可能となっている。この場合、人は扉体26を部屋21側又は廊下22側へ回動させることにより出入口25を開閉することができる。
扉体26において、アンダーカット27は扉体26の下端と床面15aとの間に形成された隙間であり、その高さ寸法Hは例えば20mmとなっている。また、扉体26の幅寸法Wは例えば800mm程度となっており、アンダーカット27の開口面積は高さ寸法Hと幅寸法Wの積となっている。
次に、外気導入量について説明する。ここでは、図4(a)に示すように、建物10内に設置された空調室内機33は4台であり、それら空調室内機33の運転状態は停止状態、通常状態、最大状態のいずれかに個別に設定される場合に、空調パターンとして27通りの運転状態の組み合わせに対応した外気導入量が算出されている。
空調パターンP1においては、全ての空調室内機33がそれぞれ停止状態にあり、外気導入ファン51による外気導入量が216m3/hとなっている。これに対して、他の空調パターンでは外気導入量が空調パターンP1に比べて小さくなっているものの、空調パターンP1の外気導入量との差異は僅かなものとなっている。例えば、空調パターンP9や空調パターンP18においては外気導入量が215m3/hであり、それら外気導入量は表中の空調パターンの中で最も小さくなっているが、それでも216m3/hからの変動率は0.5%以内となっている。図4(b)によっても、他の空調パターンにおける外気導入量が、いずれも空調パターンP1及び空調パターンP9(空調パターンP18)の各外気導入量の間に収まっていることが示されている。
ここで、外気が部屋21へ導入されやすい度合いを、外気導入ファン51の運転状態に見合った外気導入量に対するその部屋21に実際に導入された外気導入量の比率として外気導入率で表す場合に、全ての空調室内機33が停止状態にある場合(空調パターンP1)の外気導入率を100%とすれば、空調パターンP9の外気導入量は99.5%以上となる。したがって、アンダーカット27の高さ寸法Hが10mmに設定されている場合、空調パターンが切り替えられても外気導入量はほとんど変化しないことになる。つまり、この場合、部屋21と廊下22とを繋ぐ流通経路の一部としてのアンダーカット27が、建物10内において空気の流れに対する抵抗にならないことになる。
また、アンダーカット27の高さ寸法Hが10mmより大きい場合、高さ寸法Hが10mmである場合と同様に、空調パターンが切り替えられても外気導入率がほとんど変化しないことが発明者らにより見出されている。したがって、本実施形態のようにアンダーカット27の高さ寸法Hが20mmに設定されている場合は、部屋21への外気導入率がほぼ100%となる。
これに対して、アンダーカット27の高さ寸法Hが10mmより小さいと、アンダーカット27が部屋21から廊下22へ向けて流れようとする空気を絞ることになり、部屋21から廊下22へ空気が流れ出にくくなる。この結果、外気が部屋21に入り込みにくくなり、部屋21に導入される外気量は、換気装置31における外気導入ファン51の運転状態に見合う量よりも少なくなる。つまり、外気導入率が低下してしまい、実際の外気導入量が外気導入ファン51の運転状態に見合った大きさとならない。この場合、空調室内機33及び換気装置31から部屋21へ空調空気や外気が供給されることにより部屋21が加圧され、部屋21の室内圧力が廊下22の室内圧力より高くなってしまう。したがって、部屋21と廊下22との間での圧力バランスが崩れ、給気ファン65や外気導入ファン51の運転状態に対して実際に部屋21に供給される空調空気や外気の総量が、部屋21の室内圧力が高いことに起因して少なくなってしまう。
上記のような、実際の外気導入量が外気導入ファン51の運転状態に見合った大きさとならない状態は、空調室内機33から部屋21に供給される空調空気量が多い場合に生じやすい。つまり、空調パターンP9や空調パターンP18にて空調室内機33が運転されている場合に発生しやすい。しかも、この場合、外気導入量は空調空気量に比べて少ないため、外気導入がより一層行われにくくなると考えられる。その一方で、空調パターンP1といった空調室内機33が全て停止状態である場合は、外気導入ファン51により外気だけが部屋21へ供給されるため、アンダーカット27の高さ寸法が10mmよりも小さくても実際の外気導入量が外気導入ファン51の運転状態に見合った大きさに達する可能性が高い。
この結果、アンダーカット27の高さ寸法Hが10mmより小さい場合、空調室内機33から部屋21に供給される空調空気量が少なければ外気導入量が外気導入ファン51の運転状態に見合った大きさとなるが、空調空気量が多くなると外気導入量が外気導入ファン51の運転状態に見合わなくなってしまう。つまり、給気ファン65の運転状態によって、部屋21への外気導入量が変動してしまう。
アンダーカット27の高さ寸法Hが大きすぎる場合は、空調室内機33から供給された空調空気が部屋21内からアンダーカット27を通じて廊下22へ流れ出てしまい、空調室内機33による空調の効率が低下することが考えられる。そこで、アンダーカット27の高さ寸法Hを制限することにより、アンダーカット27を通じて部屋21から廊下22へ流れ出る空気量が適度に制限され、空調室内機33による空調の効率が低下することが抑制される。具体的には、アンダーカット27の高さ寸法Hが50mmよりも小さい場合に、空調室内機33による空調の効率が低下することを抑制できる。
以上の結果、アンダーカット27の高さ寸法Hが20mmに設定されている場合、空調室内機33の運転状態にかかわらず換気装置31による外気導入率を一定に保つことができ、しかも空調効率の低下を抑制できる。なお、アンダーカット27の高さ寸法Hは10mm〜50mmの範囲内であれば20mmでなくてもよい。
建物10においては、床や天井、壁、開口、サッシ、ドア等により建物外皮が形成されており、その建物外皮は高気密構造となっている。これにより、建物10の気密性能が高められている。高気密構造は、屋根及び天井により連続した気密層が形成されていることや、天井面に形成された点検口やコンセントにおける気密性が確保されていることにより構築されている。建物外皮が高気密構造である場合、高気密構造より気密性の低い低気密構造である場合に比べて、建物内空間から屋外空間へ漏出したり屋外空間から建物内空間へ漏入したりする漏気が少ない。
ここでは、建物10の気密性能をC値で表示する。C値は、実質延べ床面積に対する建物外皮の隙間大きさの割合を示す相当隙間面積である。C値が小さいほど建物10の気密性能が高いことになり、本実施形態における建物10のC値は2.0cm2/m2となっている。ちなみに、C値が2.0cm2/m2である建物構造を高気密構造と称する場合、C値が5.0cm2/m2である建物構造を気密構造と称する。
図5に、建物10における漏気量とアンダーカット27の高さ寸法H及びC値との関係をグラフにて示す。図5において、例えばアンダーカット27の高さ寸法Hが10mmである場合、C値が小さいほど(気密性能が高いほど)建物外皮からの漏気量が小さくなっている。また、アンダーカット27の高さ寸法Hが20mmである場合、C値が小さいほど漏気量が小さくなっているが、C値が同じであればアンダーカット27の高さ寸法Hが10mmである場合に比べて漏気量が小さくなっている。
また、アンダーカット27が小さいことにより部屋21への外気導入率が低下している場合、部屋21の室内圧力は廊下22の室内圧力より高いことはもちろん屋外空間の圧力より高くなっている。つまり、部屋21は大気に比べて正圧となっている。この場合、部屋21の室内圧力が大気圧と同じ場合に比べて、部屋21から屋外空間へ漏出する漏出量が大きくなってしまう。ここで、上記したように、アンダーカット27の高さ寸法Hが20mmである場合、高さ寸法Hが10mmである場合に比べて漏気量が小さいため、部屋21からの漏出量が小さくなる。この場合、部屋21へ供給された空調空気が漏気として部屋21から屋外空間へ漏出しにくくなるため、部屋21における空調効率の低下が抑制される。
一方、アンダーカット27が小さいことにより廊下22から部屋21へ流れ込む空気量が少なくなっている場合、廊下22の室内圧力は部屋21の室内圧力より低いことはもちろん屋外空間の圧力より低くなっている。つまり、部屋21は大気に比べて負圧となっている。この場合、廊下22の室内圧力が大気圧と同じ場合に比べて、屋外空から廊下22へ漏入する漏入量が大きくなってしまう。ここで、上記したように、アンダーカット27の高さ寸法Hが20mmである場合、高さ寸法Hが10mmである場合に比べて漏気量が小さいため、廊下22への漏入量が小さくなる。この場合、外気が廊下22へ漏入しにくくなるため、廊下22における空調効率の低下が抑制される。
なお、部屋21の気密性能と廊下22の気密性能とが異なる場合、アンダーカット27の高さ寸法Hが流通経路として抵抗にならない大きさとなっていれば、部屋21に出入りする空気量と廊下22に出入りする空気量とは同じ量となるため、部屋21及び廊下22のうち気密性能の低い方の空間における漏気量が、気密性能の高い方の空間における漏気量と同じ量となる。したがって、部屋21及び廊下22のうち一方が高気密構造とされていれば、それら部屋21及び廊下22の両方について空調効率の低下が抑制される。
次に、空調換気システムの電気的構成について説明する。
図2に示すように、建物10の空調換気システムは制御手段としてのホームサーバ81を含んで構成されている。ホームサーバ81は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、例えば部屋21の壁面に取り付けられている。ホームサーバ81は操作部82と記憶部83とを有している。操作部82は操作ボタン等の入力部やディスプレイ等の表示部を有しており、人は表示部に表示された画面を見ながら入力部を操作することにより居住空間15の目標温度や目標湿度を適宜設定することができる。記憶部83は、目標温度や目標湿度など空調換気システムに関する情報を記憶している。
ホームサーバ81には、部屋21に人がいることを検知する人検知手段としての人感センサ85と、部屋21や廊下22等の居住空間15における空気中の二酸化炭素濃度を検知する濃度検知手段としてのガスセンサ86と、居住空間15の温度を検知する屋内温度検知手段としての屋内温度センサ87と、屋外の温度を検知する外気温度検知手段としての外気温度センサ88とが接続されており、これらセンサ85〜88は検知信号をホームサーバ81に対して出力する。例えば、人感センサ85は各部屋21の壁面に取り付けられており、例えば各部屋21へ出入りする人を検知する。また、ガスセンサ86及び屋内温度センサ87は各部屋21や廊下22の壁面に取り付けられており、外気温度センサ88は外壁の屋外側面に設置されている。
ホームサーバ81には、換気装置31、空調室内機33及びリターンチャンバ34が接続されており、ホームサーバ81は指令信号を出力することでこれら換気装置31、空調室内機33、リターンチャンバ34の動作制御を個別に行う。
続いて、ホームサーバ81によって実行される空調換気システムの制御処理について、図6のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、ホームサーバ81はこの制御処理を所定の時間周期にて繰り返し行う。
図6において、ステップS101では、人感センサ85、ガスセンサ86、屋内温度センサ87、外気温度センサ88の検知信号を取得する。そして、ステップS102〜S105にて換気装置31を対象とした換気制御処理を行い、ステップS106〜S113にて空調室内機33を対象とした空調制御処理を行う。
換気制御処理において、ステップS102では、部屋21の空気が清浄であるか否かを判定する。例えば、ガスセンサ86の検知信号に基づいて居住空間15の二酸化炭素濃度を取得し、その二酸化炭素濃度が所定濃度より低いか否かを判定する。二酸化炭素濃度が所定濃度より低ければ部屋21の空気が清浄であることになる。なお、人感センサ85の検知信号に基づいて部屋21への人の出入り状況を取得するとともに、部屋21に存在する人の数を算出し、在室人数が所定人数より少ないか否かを判定してもよい。この場合、在室人数が所定人数より少なければ部屋21の空気が清浄であることになる。これは、在室人数が少なければ、部屋21において二酸化炭素濃度が高くなったり空気が汚れてしまったりする可能性が低いためである。
部屋21の空気が清浄でない場合、ステップS103に進み、外気導入ファン51を強モードにて運転させる。この場合、部屋21への外気導入が促進されるため、部屋21を新鮮な空気で満たすことが可能となる。つまり、居住空間15を人にとって快適な状態にすることができる。これに対して、部屋21の空気が清浄である場合、ステップS104に進み、換気装置31の動作制御を行い、外気導入ファン51を弱モードにて運転させる。この場合、居住空間15を人にとって快適な状態にて保ちつつ、外気導入ファン51が強モードにある場合に比べて省エネルギ効果を得ることができる。
次に、空調制御処理において、ステップS105では、屋内温度センサ87の検知信号に基づいて居住空間15の温度を実温度として取得し、その実温度が目標温度と等しいか否かを判定する。実温度が目標温度と等しい場合、ステップS106にて空調室内機33における温度調整部61の動作を停止させるとともに、ステップS107にて給気ファン65を停止状態に移行させる。つまり、実温度が目標温度に達している場合には空調室内機33の運転が停止され、エネルギの消費量を低減できる。
実温度が目標温度と等しくない場合、ステップS108に進み、温度調整部61の動作制御を行う。例えば、実温度が目標温度より低ければ温度調整部61にて空調空気を加熱し、高ければ空調空気を冷却する。これにより、居住空間15の実温度に合わせて温度調整を行うことができる。
ステップS109では、換気装置31における外気導入ファン51の運転状態が強モードであるか否かを判定し、ステップS110では、外気温度センサ88の検知信号に基づいて外気温を取得するとともに、外気温と屋内の実温度との差を実温度差として算出し、その実温度差が所定温度差より大きいか否かを判定する。なお、所定温度差に関する情報は記憶部83に記憶されている。
外気導入ファン51の運転状態が強モードであり、且つ実温度が所定温度差より小さい場合、ステップS111に進み、給気ファン65の運転状態を最大状態に移行させる。ここで、換気装置31により居住空間15の換気が行われる場合、熱交換部53により導入外気と排気との間で熱交換が行われるが、全ての熱が交換されるわけではないため、外気導入量が多く且つ屋内外で温度差が大きいと、外気を導入することにより居住空間15の温度が変化しやすくなる。そこで、外気導入ファン51の運転状態が強モードであり且つ屋内外の実温度差が大きい場合には、部屋21に供給する空調空気量を多くすることにより、外気導入に伴う屋内温度の変化を抑制できる。
これに対して、外気導入ファン51の運転状態が強モードではない場合(弱モードである場合)、又は屋内外の実温度差が所定温度差以下である場合は、ステップS112に進み、給気ファン65の運転状態を通常状態に移行させる。ここで、外気導入ファン51の運転状態が弱モードにある場合は、強モードにある場合に比べて外気導入量が少ないため、部屋21に供給する空調空気量が少なくても外気導入に伴う屋内温度の変化を抑制できる。また、屋内外の実温度差が小さい場合は、実温度差が大きい場合に比べて外気導入が行われても居住空間15の温度が変化しにくい。したがって、部屋21に供給する空調空気量が少なくても居住空間15の温度調整を行うことが可能となる。しかも、給気ファン65を通常状態にて運転することにより、給気ファン65の運転状態が最大状態にある場合に比べてエネルギの消費量を低減できる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
建物10において構築されている空調換気システムによれば、部屋21に対して、屋外の外気が換気装置31により導入されるとともに空調空気が空調室内機33により供給される。また、廊下22からは、屋外へ排出するための内気が換気装置31により取り込まれるとともに、空調室内機33へ供給するための換気がリターンチャンバ34により取り込まれる。この場合、導入された外気及び空調空気は両方とも扉体26のアンダーカット27を通じて廊下22へ流れ込む。したがって、部屋21及び廊下22といった居住空間15全体の空調及び換気が行われる。
また、アンダーカット27の高さ寸法Hが20mmに設定されていることにより、アンダーカット27を通過することが可能な単位時間あたりの空気量が十分に確保されている。この場合、空調室内機33の給気ファン65により各部屋21へ供給される空調空気量が変化しても、部屋21と廊下22との各室内バランスが崩れにくいため、換気装置31における外気導入ファン51の運転状態に見合った量の外気を屋外から各部屋21へ導入することができる。また、導入外気を各部屋21から廊下22へ流れ込ませるとともに廊下22の空気を屋外へ排出することができる。つまり、建物10において、空調状態に関係なく全館換気を好適に行うことができる。
扉体26のアンダーカット27が部屋21と廊下22との間の通気部とされているため、仮にアンダーカット27の通気能力が不足していても、仕切壁23に通気部が直接形成されている構成とは異なり、アンダーカット27の開口面積を拡大させることが容易である。例えば、扉体26をアンダーカット27の開口面積が大きなものに取り替えることが可能である。また、扉体26が例えば木材や合成樹脂材料等により形成されていれば、扉体26を加工してアンダーカット27を拡張させることも可能である。これらの場合、仕切壁23に直接形成された通気部を拡張させる場合に比べてコスト低減を図ることができる。ちなみに、居住空間15の空調効率が低下してしまうことを前提とすれば、扉体26を開放させることにより部屋21と廊下22との間の通気量を過剰に大きくすることもできる。
換気装置31により外気が部屋21へ導入されるため、換気装置31がセントラル換気を行う構成であっても部屋21内の空気環境を好適な状態で維持できる。例えば、セントラル換気により外気が廊下22へ導入される構成の場合、導入された外気が廊下22を介して部屋21へ流れ込むため、廊下22の汚れなども外気と一緒に流れ込む可能性があり、部屋21に取り込まれる空気は必ずしも新鮮であるとは限らない。また、部屋21は廊下22に比べて人の滞在時間が長い空間であるため、外気が部屋21へ導入されることにより部屋21が新鮮な空気で満たされることは人にとって都合がよい。
部屋21にいる人数が多い場合や居住空間15における二酸化炭素濃度が高い場合に換気装置31による換気量が増加される。これにより、居住空間15の空気が汚れやすい場合でもその空気が汚れたり、空気中における二酸化炭素の濃度が上昇したりすることを抑制できる。
部屋21と廊下22との間の通気部としてのアンダーカット27が扉体26の下端部と床面15aとの間に形成されているため、扉体26にその板面を貫通する通気口が形成されている構成に比べて、開口の高さ寸法Hを小さくすることができる。これは、アンダーカット27の幅寸法Wが扉体26の幅寸法と同一になっており、通気口よりも幅寸法Wを大きくすることができるためである。これにより、アンダーカット27における通気能力を確保しつつ、扉体26が閉鎖されていれば廊下22と部屋21との間で互いの内部が見えにくい構成を実現できる。
アンダーカット27の高さ寸法Hが20mmとされることによりアンダーカット27における通気量が十分に確保されるため、建物10の建物外皮が高気密構造とされていても、部屋21と廊下22との間で圧力バランスを保つことができる。仮にアンダーカットにおける通気量が十分に確保されない場合に建物外皮が高気密構造とされていると、部屋21と廊下22との各室内圧力に差異が生じやすくなってしまう。また、建物外皮が低気密構造とされていると、部屋21から空調空気が漏出したり廊下22へ外気が漏入したりすることにより部屋21と廊下22との間で圧力バランスを保つことはできるが、部屋21及び廊下22の空調効率が低下してしまう。これに対して、本実施形態のように、アンダーカット27における通気量が十分に確保され且つ建物外皮が高気密構造である場合は、空調状態に関係なく換気を好適に行いつつ空調効率を高めることができ、ひいては、空調システムにおけるエネルギ消費量を低減することができる。
換気装置31や空調室内機33、リターンチャンバ34、外気取込ダクト41等といった空調換気システムを構築している機器や部材が、居住空間15に対して隠蔽されるように天井裏空間16に設置されているため、それら機器や部材が居住空間15に設置されていたり露出していたりする構成に比べて、居住空間15における美観を高めることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)出入口25において、扉体26の下端部と床面15aとの間に形成されたアンダーカット27に代えて、扉体26に通気部としての通気口が設けられていてもよい。例えば図7に示すように、扉体26に通気口91が形成され、その通気口91に通気ガラリ92が嵌め込まれている構成とする。この例において、通気口91は扉体26の下部においてその板面を貫通しており、略矩形状に形成されている。通気ガラリ92は略矩形状に形成されたガラリ枠93を有しており、そのガラリ枠93の内側にはスラット94が複数設けられている。通気ガラリ92にはスラット94により目隠し機能が付与されており、扉体26が閉鎖されていれば廊下22と部屋21との間で互いの内部が見えにくくなっている。
通気ガラリ92(通気口91)は、上記実施形態のアンダーカット27と同様に、部屋21及び廊下22の換気や空調が好適に行われる大きさとなっている。ここで、通気ガラリ92の大きさを実質有効開口面積(αA)にて表すと、部屋21への外気導入率は、通気ガラリ92の実質有効開口面積が小さいと低く、実質有効開口面積が大きいと高くなる。なお、実質有効開口面積とは、通気ガラリ92において部屋21側と廊下22側とに圧力差を与えた場合の空気の流量に基づいて算出される面積である。
通気ガラリ92の実質有効開口面積が小さすぎる場合、アンダーカット27の高さ寸法Hが小さすぎる場合と同様に、空調室内機33から部屋21に供給される空調空気量が多くなると外気導入量が外気導入ファン51の運転状態に見合わなくなり、給気ファン65の運転状態によって部屋21への外気導入量が変化してしまう。また、通気ガラリ92の実質有効開口面積が大きすぎる場合、アンダーカット27の高さ寸法Hが大きすぎる場合と同様に、空調室内機33から供給された空調空気が部屋21内からアンダーカット27を通じて廊下22へ流れ出てしまい、空調室内機33による空調の効率が低下することが考えられる。
これに対して、通気ガラリ92の実質有効開口面積が150〜500cm2の範囲内である場合、アンダーカット27の高さ寸法Hが15〜50mmの範囲内である場合と同様に、空調室内機33の運転状態にかかわらず換気装置31による外気導入率を一定に保つことができ、しかも空調効率の低下を抑制できる。具体的には、通気ガラリ92の実質有効開口面積は200cm2とされることが好ましい。
また、出入口25において、アンダーカット27に加えて扉体26に通気口91が設けられていてもよい。この場合、高さ寸法Hが7.5〜25mmの範囲内であるアンダーカット27と、実質有効開口面積が75〜250cm2の範囲内である通気口91(又は通気ガラリ92)とが組み合わされていることが好ましい。これにより、アンダーカット27の高さ寸法Hが15〜50mmの範囲内である場合や、通気口91の実質有効開口面積が150〜500cm2の範囲内である場合と同様に、空調室内機33の運転状態にかかわらず換気装置31による外気導入率を一定に保つことができ、しかも空調効率の低下を抑制できる。
(2)アンダーカット27等の通気部は、扉体26の下端部と床面15aの間に加えて又は代えて、扉体26の外周面と出入口25の内周面との間に形成されていてもよい。また、通気部を仕切壁23に形成した通気口やガラリ等にて構成してもよい。いずれの場合でも、上記(1)に記載したように、通気部の実質有効開口面積が150〜500cm2の範囲内に設定されている構成とすることが好ましい。
(3)出入口25を開閉する開閉体は扉体26ではなく、スライド式の引き戸やサッシ戸でもよい。要は、所定の開口面積を有するアンダーカット27等の通気部が開閉体に形成されている構成であればよい。
(4)リターンチャンバ34により廊下22から取り込まれた還気の少なくとも一部が、空調室内機33に送り出されるのではなく換気装置31を介して部屋21へ供給されてもよい。例えば、図2における空調換気システムの一部を変更した図8に示すように、リターンチャンバ34と換気装置31とが還気循環ダクト101により接続されている構成とする。この例において、リターンチャンバ34には、還気循環ダクト101との接続部分を開閉する開閉部102が設けられており、開閉部102が開状態にある場合に還気が空調室内機33に加えて還気循環ダクト101を介して換気装置31へ送り出され、開閉部102が閉状態にある場合に還気が空調室内機33だけに送り出される。
換気装置31には、リターンチャンバ34から送り込まれた還気と屋外から取り込んだ外気とを混合する混合部103が設けられており、還気と外気とは混合部103にて混合された状態で部屋21へ供給される。また、換気装置31において熱交換部53は顕熱交換方式とされており、部屋21へ導入する外気と屋外へ排出する内気との間で湿気の交換は行われずに熱の交換だけが行われる構成となっている。
ホームサーバ81には、居住空間15(例えば各部屋21)の湿度を検知する屋内湿度センサ105と、屋外の湿度を検知する外気湿度センサ106とが電気的に接続されており、これらセンサ105,106は検知信号をホームサーバ81に対して出力する。
上記構成においてホームサーバ81は還気循環制御を行う。ホームサーバ81は、屋内湿度センサ105の検知信号に基づいて各部屋21の湿度を実湿度として取得するとともに、外気湿度センサ106の検知信号に基づいて屋外湿度を取得し、それら実湿度と屋外湿度との差を実湿度差として算出する。そして、実湿度差が所定湿度差より大きいか否かを判定する。実湿度差が所定湿度差より大きければ、リターンチャンバ34の動作制御を行うことで開閉部102を開状態に移行させ、廊下22からリターンチャンバ34に取り込まれた還気の一部を、換気装置31により部屋21へ導入される外気に混合させる。この場合、部屋21へ導入される外気の湿度と部屋21の実湿度との差が小さくなるため、外気が導入されても部屋21の湿度が変化しにくい。
例えば、冬季において外気の湿度が低い状態で屋内が加湿機等により加湿されている場合に、廊下22からの還気が混合されることにより、外気導入に伴って屋内の湿度が低下してしまうことを抑制できる。同様に、梅雨時期において外気の湿度が高い状態で屋内の湿度が除湿機等により除湿されている場合に、廊下22からの還気が混合されることにより、外気導入に伴って屋内の湿度が上昇してしまうことを抑制できる。つまり、全館換気を行いつつ、居住空間15の湿度が変化してしまうことを抑制できる。
また、ホームサーバ81は、屋内温度センサ87及び外気温度センサ88の検知信号に基づいて算出した屋内外の実温度差が所定温度差より大きいか否かを判定する。そして、実温度差が所定温度差より大きければ、実湿度差が所定湿度差より大きい場合と同様に、リターンチャンバ34の開閉部102を開状態に移行させ、換気装置31により部屋21へ導入される外気に廊下22からの還気の一部を混合させる。この場合、部屋21に導入される外気温と部屋21の実温度との差が小さくなるため、外気が導入されても部屋21の温度が変化しにくい。
例えば、冬季において空調が行われることで屋内の温度が外気の温度より高くなっている場合に、廊下22からの還気が混合されることにより、外気導入に伴って屋内の温度が低下してしまうことを抑制できる。同様に、夏季において空調が行われることで屋内の温度が屋外の温度より低くなっている場合に、外気導入に伴って屋内の温度が上昇してしまうことを抑制できる。つまり、全館換気を行いつつ、居住空間15の温度が変化してしまうことを抑制できる。
(5)外気導入が行われる第1室を部屋21ではなく廊下22とし、第2室を廊下22ではなく部屋21としてもよい。この場合、空調空気は空調室内機33により廊下22へ供給され、それから扉体26のアンダーカット27を通じて部屋21へ流れ込む。また、空調空気と同様に、外気は換気装置31により廊下22へ供給され、それからアンダーカット27を通じて部屋21へ流れ込む。したがって、この場合でも、アンダーカット27の高さ寸法Hが所定範囲(15〜50mm)内に設定されていれば、全館空調及び全館換気が好適に行われる。
また、第1室としての部屋21は1つ設けられている構成としてもよい。
(6)空調室内機33は各部屋21ごとに設置されているが、換気装置31と同様に複数の部屋21に対して1台設置されていてもよい。この例では、空調室内機33に複数の給気ダクト56が接続されている構成とする。これにより、空調室内機33が各部屋21ごとに設置されていなくてもそれぞれの部屋21の空調を行うことができる。