JP5517050B2 - 架橋樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性ナノフィラーを含有する架橋樹脂組成物およびその製造方法に関する。
カーボン系ナノフィラーに代表される導電性ナノフィラーは、熱伝導性、電気伝導性、機械的特性などに優れることから、これを樹脂に添加し、樹脂にこれらの特性を付与したり、向上させることが検討されている。例えば、特開2003−342480号公報(特許文献1)には、熱可塑性エラストマーにゴムを配合した熱可塑性エラストマー材料にカーボンナノチューブを分散させた導電性熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。この導電性熱可塑性エラストマー組成物は、先ず、熱可塑性エラストマーにゴムを配合してゴムに動的架橋を施し、得られた熱可塑性エラストマー材料にカーボンナノチューブを分散させることによって調製される。このように、カーボンナノチューブなどの導電性ナノフィラーの添加によって、電気伝導性は比較的容易に向上させることは可能であったが、熱伝導性を大幅に向上させることは容易ではなかった。
そこで、熱伝導性を向上させた樹脂組成物として、特開2005−54094号公報(特許文献2)には、繊維状カーボンなどのカーボンを2種以上の樹脂混合物中に分散させてなる熱伝導性樹脂材料が提案されている。この樹脂材料においては、カーボンを1種の樹脂相のみに選択的に分散させてカーボンからなる熱伝導パスを形成することによって熱伝導性を高めている。また、特開2005−54095号公報(特許文献3)には、繊維状カーボンなどのカーボンを2種以上の樹脂混合物中に分散させてなる導電性樹脂材料が開示されている。この導電性樹脂材料においては、カーボンを1種の樹脂相のみに選択的に分散させてカーボンからなる電気伝導パスを形成することによって電気伝導性を高めている。すなわち、特許文献1〜2に記載の樹脂材料は同じ組成であり、カーボンからなるパスが熱伝導パスと電気伝導パスの両方として作用し、熱伝導性と電気伝導性の両方が向上する。このため、この樹脂材料は熱伝導性(放熱性)と絶縁性とが要求される用途には適用できなかった。
また、特開2005−150362号公報(特許文献4)には、汎用樹脂である熱可塑性樹脂にカーボンナノチューブなどの熱伝導性充填材を分散させた高熱伝導性シートが開示されており、さらに、シートの電気伝導性を抑え、電気的短絡を防止するためにアルミナなどの電気絶縁性材料を分散させることも開示されている。しかしながら、カーボンナノチューブを分散させた高熱伝導性シートにアルミナなどの電気絶縁材料を分散させても、高度な絶縁性は達成されず、高熱伝導性シートの熱伝導率の異方性も大きかった。また、絶縁性を向上させるためにこれらの比重が大きい電気絶縁性材料を多量に配合すると、シートの比重が増大したり、成形加工性および靭性が低下する傾向にあった。また、移動媒体の各種部品、電気・電子機器用各種部品などの用途、特に自動車用各種樹脂部品の用途においては、二酸化炭素の排出量の削減および省エネルギーの観点から材料の軽量化と高機能化が求められており、比重の増大を抑制し、良好な成形加工性を維持しながら熱伝導性と絶縁性とを兼ね備えた樹脂材料が求められていた。
特開2003−342480号公報 特開2005−54094号公報 特開2005−54095号公報 特開2005−150362号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、熱伝導性と絶縁性とを高水準で兼ね備え、さらに、射出成形などのせん断下での加工においても熱伝導率の異方性が発現しにくい樹脂組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、導電性ナノフィラー、架橋樹脂およびこの架橋樹脂以外のその他の樹脂を含有する架橋樹脂組成物において、図1A〜図1C(図中の各相の成分は主成分を描いたものであり、本発明の架橋樹脂組成物の各相中の成分はこれに限定されるものではない。)に示すような導電性ナノフィラーを含む分散相と連続相とからなる相構造を形成することによって、電気的短絡の防止が可能となり、前記架橋樹脂組成物が熱伝導性と絶縁性とを高水準で兼ね備え、さらに、せん断下での加工においても熱伝導率の異方性が発現しにくいものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の架橋樹脂組成物は、異方性の導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)、および該架橋樹脂(B)以外のその他の樹脂(C)を含有する架橋樹脂組成物であり、
該架橋樹脂組成物は、前記架橋樹脂(B)により形成された分散相と、前記その他の樹脂(C)により形成された連続相とを備えるものであり、
前記分散相には前記導電性ナノフィラー(A)が存在し、
前記架橋樹脂組成物全体に対する前記分散相の割合をX(単位:容量%)、および全導電性ナノフィラー(A)に対する前記分散相中に含まれる導電性ナノフィラー(Adsp)の割合をY(単位:容量%)としたとき、Yが20容量%以上であり、Y/Xが1.1以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の架橋樹脂組成物の製造方法は、異方性の導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)、および該架橋樹脂(B)以外のその他の樹脂(C)を含有する架橋樹脂組成物の製造方法であって、
前記導電性ナノフィラー(A)の存在下で前記架橋樹脂(B)の前駆体を架橋(好ましくは動的架橋)させる架橋工程を含み、
前記架橋工程において、前記導電性ナノフィラー(A)の少なくとも一部と前記架橋樹脂(B)の前駆体の少なくとも一部とを混合し、得られた混合物を混練して前記架橋樹脂(B)の前駆体を架橋させた後、
前記架橋工程において得られた前記導電性ナノフィラー(A)と前記架橋樹脂(B)との混合物と前記その他の樹脂(C)とを混合することによって、前記架橋樹脂(B)からなる分散相と前記その他の樹脂(C)からなる連続相とを形成させ、前記分散相に前記導電性ナノフィラー(A)を存在させることを特徴とするものである。
本発明において、前記その他の樹脂(C)としては熱可塑性樹脂が好ましい。また、本発明の架橋樹脂組成物には、相溶化剤(D)がさらに含まれていることが好ましい。
このような本発明の架橋樹脂組成物においては、定常法により測定した、厚さ2mmの成形体の厚さ方向の熱伝導率が0.3W/mK以上であることが好ましい。また、JIS K6911に準拠して印加電圧500V、印加時間1分間の条件で測定した、厚さ2mmの成形体の体積抵抗率が1013Ω・cm以上であることが好ましい。
なお、導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)およびこの架橋樹脂(B)以外のその他の樹脂(C)を含有する本発明の架橋樹脂組成物が、図1A〜図1Cに示すような導電性ナノフィラーを含む分散相とその他の樹脂により形成された連続相とからなる相構造となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の架橋樹脂組成物は、導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)の前駆体およびその他の樹脂(C)を含有する架橋樹脂前駆体組成物に架橋処理を施すことによって製造される。前記架橋樹脂前駆体組成物においては、架橋樹脂(B)の前駆体により分散相が形成されており、その他の樹脂により連続相が形成されており、前記導電性ナノフィラー(A)は前記分散相に選択的に取り込まれて偏在化(局在化)していると推察される。このような相構造を有する架橋樹脂前駆体組成物に架橋処理を施すと導電性ナノフィラー(A)を取り込んだ状態で架橋樹脂(B)の前駆体が架橋されるため、本発明の架橋樹脂組成物においては、図1A〜図1Cに示すような分散相2に導電性ナノフィラー(A)1が偏在化(局在化)した相構造が形成されると推察される。
一方、架橋樹脂(B)(前記前駆体に架橋処理を施したもの)とその他の樹脂(C)との混合物に導電性ナノフィラー(A)を添加した場合には、導電性ナノフィラー(A)が架橋樹脂(B)に取り込まれにくいため、図2に示すように、導電性ナノフィラー(A)1は分散相2に偏在化(局在化)せず、連続相3に分散した状態で存在すると推察される。
また、本発明の架橋樹脂組成物が図1A〜図1Cに示すような相構造を形成することによって熱伝導性と絶縁性とを高水準で兼ね備えるものとなる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、一般に、架橋樹脂に導電性ナノフィラーを添加すると熱伝導性が向上する。さらに、本発明の架橋樹脂組成物においては、導電性ナノフィラー(A)1が分散相2に閉じ込められており、分散相2中の導電性ナノフィラー(Adsp)1は、他の分散相中や連続相3中の導電性ナノフィラー(A)と接触しにくく、電気伝導パスを形成しにくいため、絶縁性を大幅に低下させずに熱伝導性を向上させることが可能となると推察される。
一方、図2に示すような相構造を有する架橋樹脂組成物においては、導電性ナノフィラー(A)1が連続相3に分散しているため、他の導電性ナノフィラー(A)と接触しやすく、電気伝導パスが形成されやすい。その結果、このような架橋樹脂組成物においては、熱伝導性は向上するものの、体積抵抗率が低くなり、絶縁性が低下すると推察される。
さらに、本発明の架橋樹脂組成物がせん断下での加工においても熱伝導率の異方性が発現しにくいものとなる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の架橋樹脂組成物においては、導電性ナノフィラー(A)は分散相2中に偏在化(局在化)しているため、射出成形などのせん断下での加工による導電性ナノフィラー(A)の配向を低減することができ、導電性ナノフィラー(A)の配向による熱伝導性などの各種特性の異方性を小さくすることが可能となるものと推察される。
一方、図2に示すような相構造を有する架橋樹脂組成物においては、導電性ナノフィラー(A)1が連続相3に分散しているため、射出成形などのせん断下での加工を施すと導電性ナノフィラー(A)が配向し、熱伝導性などの各種特性の異方性が発現するものと推察される。
本発明によれば、熱伝導性と絶縁性とを高水準で兼ね備え、さらに、せん断下での加工においても熱伝導率の異方性が発現しにくい架橋樹脂組成物を得ることが可能となる。
導電性ナノフィラーを含有する本発明の架橋樹脂組成物の一実施態様を示す模式図である。 導電性ナノフィラーを含有する本発明の架橋樹脂組成物の他の実施態様を示す模式図である。 導電性ナノフィラーを含有する本発明の架橋樹脂組成物の他の実施態様を示す模式図である。 導電性ナノフィラーを含有する従来の架橋樹脂組成物の状態を示す模式図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の架橋樹脂組成物について説明する。本発明の架橋樹脂組成物は、導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)、およびこの架橋樹脂(B)以外のその他の樹脂(C)を含有するものである。この架橋樹脂組成物においては、架橋樹脂(B)により分散相が形成され、その他の樹脂(C)により連続相が形成されている。また、前記分散相には前記導電性ナノフィラー(A)が存在している。
先ず、本発明に用いられる導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)およびその他の樹脂(C)について説明する。
(A)導電性ナノフィラー
本発明に用いられる導電性ナノフィラー(A)としては特に制限はないが、例えば、カーボン系ナノフィラー、金属系ナノフィラー、および金属や導電性高分子などで被覆されたナノフィラーなどが好ましい。これらの導電性ナノフィラーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。このような導電性ナノフィラーのうち、熱伝導性および機械強度の向上という観点から、異方性の導電性ナノフィラーが好ましく、異方性のカーボン系ナノフィラー、異方性の金属系ナノフィラーがより好ましく、異方性のカーボン系ナノフィラーが特に好ましい。
前記カーボン系ナノフィラーとしては、特に制限はなく、例えば、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノコーン、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、カーボンマイクロコイル、カーボンナノウォール、カーボンナノチャプレット、フラーレン、グラファイト、グラフェン、カーボンナノフレーク、およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらのカーボン系ナノフィラーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。このようなカーボン系ナノフィラーのうち、熱伝導性および機械強度の向上の観点から、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノコーン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノコイル、カーボンナノウォール、カーボンナノチャプレット、グラファイトおよびグラフェンなどの異方性カーボン系ナノフィラーがより好ましく、熱伝導性のさらなる向上の観点から、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノコーン、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、カーボンナノウォールおよびカーボンナノチャプレットがさらに好ましく、カーボンナノファーバーおよびカーボンナノチューブが特に好ましく、カーボンナノチューブが最も好ましい。
このようなカーボン系ナノフィラーの形状としては、1本の幹状でも多数のカーボン系ナノフィラーが枝のように外方に成長している樹枝状であってもよいが、熱伝導性、機械強度などの向上の観点から、1本の幹状であることが好ましい。また、前記カーボン系ナノフィラーには炭素以外の原子、分子などが含まれていてもよく、必要に応じて金属や他のナノ構造体を内包させてもよい。
本発明においては、カーボン系ナノフィラーについてラマン分光光度計で測定して得られるラマンスペクトルのピークのうち、グラフェン構造での炭素原子のずれ振動に起因する約1585cm−1付近に観察されるGバンドと、グラフェン構造にダングリングボンドのような欠陥があると観測される約1350cm−1付近に観察されるDバンドの比(G/D)としては特に制限はないが、高熱伝導樹脂材料など高熱伝導性が要求される用途においては、0.1以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、3.0以上がさらに好ましく、5.0以上が特に好ましく、10.0以上が最も好ましい。G/Dが前記下限未満になると熱伝導性が十分に向上しない傾向にある。
前記異方性カーボン系ナノフィラーのアスペクト比としては特に制限はないが、樹脂と混合した場合に、少量の添加で架橋樹脂組成物の引張強度、衝撃強度などの機械強度、熱伝導性が向上するという観点から、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましくは、40以上が特に好ましく、80以上が最も好ましい。
また、導電性ナノフィラー(A)としてカーボンナノチューブおよび/またはカーボンナノファイバーを使用する場合、これらは単層、多層(2層以上)のいずれのものも用いることができ、用途に応じて使い分けたり、併用したりすることができる。
このようなカーボン系ナノフィラーは、レーザーアブレーション法、アーク合成法、HiPcoプロセスなどの化学気相成長法(CVD法)、溶融紡糸法などの従来公知の製造方法を用途に応じて適宜選択することにより製造できるが、これらの方法により製造されたものに限定されるものではない。
本発明に用いられる金属系ナノフィラーとしては、金属フィラー、ならびに金属酸化物および金属水酸化物などの金属化合物のフィラーが挙げられる。このような金属系ナノフィラーを構成する金属としては特に制限はないが、例えば、銀、銅、金、黄銅、アルミニウム、鉄、白金、スズ、マグネシウム、モリブデン、ロジウム、亜鉛、パラジウム、タングステン、クロム、コバルト、ニッケル、チタン、金属ケイ素、およびこれらの合金などが好ましい。これらの金属のうち、成形加工性の向上の観点からは、低融点金属(例えば、Sn)、低融点金属化合物(例えば、SnO)、スズ系合金(例えば、Sn/Ag、Sn/Cu、Sn/Zn、Sn/Bi、Pb/Sn、Pb/Sn/Bi、Pb/Sn/Ag)およびPb/Agといった低融点合金などが好ましい。また、熱伝導性の向上の観点からは、銀、銅、金、黄銅、アルミニウム、鉄、白金、スズ、およびこれらの合金や酸化物などが好ましい。さらに、このような金属は、熱伝導性に加えて、各金属特有の機能(例えば、銀の場合は抗菌作用など)を架橋樹脂組成物に付与することができる。
このような金属系ナノフィラーの形状としては特に制限はなく、例えば、粒状、平板状、ロッド状、繊維状、チューブ状などが挙げられ、中でも、熱伝導性の向上の観点から、平板状、ロッド状、繊維状、チューブ状といった異方性形状が好ましい。
また、本発明に用いられる金属や導電性高分子などで被覆されたナノフィラーとしては特に制限はなく、例えば、銀、銅、金などの金属により被覆されたガラスビーズ、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(パラフェニレン)、ポリチオフェンまたはポリフェニレンビニレンなどの導電性高分子により被覆されたガラスビーズなどが挙げられる。
また、本発明においては、導電性ナノフィラー(A)として、前記カーボン系ナノフィラーや金属系ナノフィラーなどの導電性ナノフィラーの構造中にカルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、有機シリル基などの置換基、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどの高分子、前記導電性高分子などが化学結合により導入されたものや、前記導電性ナノフィラーを他の導電性材料で被覆したものを用いることができる。
本発明に用いられる導電性ナノフィラー(A)の平均直径としては特に制限はないが、1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、300nm以下がさらに好ましく、200nm以下が特に好ましく、100nm以下が最も好ましい。導電性ナノフィラー(A)の平均直径が前記上限を超えると、導電性ナノフィラー(A)を樹脂に添加しても少量の添加では十分に熱伝導性が向上しなかったり、曲げ弾性率などの機械強度が十分に発現しない傾向にある。なお、導電性ナノフィラー(A)の平均直径の下限値としては特に制限はないが、0.4nm以上が好ましく、0.5nm以上がより好ましい。
本発明の架橋樹脂組成物において、導電性ナノフィラー(A)の含有量の下限としては特に制限はないが、架橋樹脂組成物全体に対して0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、0.7質量%以上が特に好ましく、1.0質量%以上が最も好ましい。導電性ナノフィラー(A)の含有量が前記下限未満になると熱伝導性および機械強度が低下する傾向にある。また、導電性ナノフィラー(A)の含有量の上限としては絶縁性を維持できる限り特に制限はないが、架橋樹脂組成物全体に対して50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましく、10質量%以下が最も好ましい。導電性ナノフィラー(A)の含有量が前記上限を超えると、得られる架橋樹脂組成物の成形加工性が低下する傾向にある。
本発明の架橋樹脂組成物においては、このような導電性ナノフィラー(A)は、通常、前記分散相に局在化して存在しているが、一部は連続相に存在していてもよい。
(B)架橋樹脂
本発明の架橋樹脂組成物において、架橋樹脂(B)とは、少なくとも一部に架橋構造を有する樹脂を意味し、架橋樹脂(B)の前駆体(B1)(以下、「架橋樹脂前駆体(B1)」という)に架橋処理を施して得られるものをいう。このような架橋樹脂前駆体(B1)としては、架橋剤や電子線により架橋構造を形成し得るものであれば特に制限はないが、エラストマーが好ましく、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴム、プロピレン−ブテンゴム、イソプレン−ブチレンゴム、ポリイソブチレン、イソブテン−イソプレンゴム(ブチルゴム)、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ノルボルネンゴム、アクリルゴムといったゴム;シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、スチレン−エチレンブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレンプロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)といった熱可塑性エラストマー;カルボキシル基変性スチレン−ブタジエンゴム、水酸基変性スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシル基水酸基変性スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシル基末端ブタジエン−ニトリルゴム(CTBN)、水酸基末端ブタジエン−ニトリルゴムといった変性ゴムなどの変性エラストマー;水素化ニトリルゴム、水素化CTBNといった水素化ゴム;水素化シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンといった水素化熱可塑性エラストマーなどがより好ましい。これらのエラストマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。このようなエラストマーのうち、架橋性に優れているという観点からゴム(ゴム、変性ゴムおよび水素化ゴム)がより好ましく、EPM、EPDMがさらに好ましく、EPDMが特に好ましい。
前記EPDMに用いられるジエン類としては特に制限はなく、公知のものを用いることができ、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。また、EPDMとしては、油展タイプのものを用いることが好ましい。
このような架橋樹脂前駆体(B1)の架橋方法としては特に制限はなく、架橋剤を用いたり、電子線を照射することによって架橋樹脂(B)を形成することができる。中でも、架橋度の向上の観点から架橋剤(B2)を用いることが好ましい。このような架橋剤(B2)としては特に制限はないが、例えば、硫黄、過酸化物、含硫黄有機系化合物、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体、臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物といった樹脂系架橋剤などが挙げられる。このような架橋剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。このような架橋剤のうち、樹脂系架橋剤としてはアルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体(田岡化学工業(株)製「タッキロール201」)と臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体(田岡化学工業(株)製「タッキロール250−III」)との混合物が好ましい。
架橋剤(B2)の添加量としては、得られる架橋樹脂(B)100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜15質量部がより好ましい。また、架橋反応を促進させるために、公知の架橋促進剤や架橋促進助剤(例えば、酸化亜鉛)の存在下で架橋させることが好ましい。
架橋方法としては特に制限はないが、押出機を用いて混練(より好ましくは溶融混練)して架橋樹脂前駆体(B1)を動的架橋させることが好ましい。これにより、熱伝導性および絶縁性により優れた架橋樹脂組成物が得られる。
このようにして架橋樹脂前駆体(B1)に架橋処理を施すことによって得られる架橋樹脂(B)においては、架橋結合により連結した部分が架橋網目構造を形成してゲル成分を含むものであることが好ましいが、未架橋部分を含んでいてもよい。前記架橋樹脂(B)のゲル分率としては特に制限はないが、得られる架橋樹脂組成物が熱伝導性および絶縁性を高水準で兼ね備えるという観点から1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく70質量%以上が特に好ましく、80質量%以上が最も好ましい。
なお、本発明においてゲル分率とは、前記架橋樹脂(B)中に占める架橋結合を有する部分の比率(%)を表す。本発明において、このゲル分率は以下の方法により求められる値である。すなわち、ペレット状の架橋樹脂組成物200mgを秤量し、0.5mm×0.5mm×0.5mmの細片に切断する。この細片を30mlのシクロヘキサンに23℃で48時間浸漬して可溶成分を溶出させる。得られた溶液をろ過して前記可溶成分を除去し、得られた残渣に、質量減少が確認されなくなるまで真空乾燥処理(室温、72時間以上)を施し、乾燥後の残渣の質量を測定した。各成分の配合比から架橋樹脂(B)以外のシクロヘキサン不溶成分(導電性ナノフィラー(A)、その他の樹脂(C)、および相溶化剤(D)など)の質量を算出し、前記残渣の質量からこのシクロヘキサン不溶成分の質量を減じた値を架橋樹脂(B)中の架橋結合を有する部分の質量(y)とする。また、各成分の配合比から架橋樹脂(B)以外のシクロヘキサン可溶成分の質量を算出し、前記架橋樹脂組成物の質量(200mg)からこのシクロヘキサン可溶成分の質量と前記シクロヘキサン不溶成分の質量とを減じた値を架橋樹脂(B)の質量(x)とする。従って、架橋樹脂組成物における架橋樹脂(B)のゲル分率(シクロヘキサン不溶分)は、次式:
架橋樹脂(B)のゲル分率(質量%)=y/x×100
により求められる。
本発明の架橋樹脂組成物において、架橋樹脂(B)の含有量の下限としては特に制限はないが、架橋樹脂組成物全体に対して1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましく、30質量%以上が最も好ましい。また、架橋樹脂(B)の含有量の上限としては、架橋樹脂(B)により分散相が形成される限り特に制限はないが、95質量%以下が好ましく、92質量%以下がより好ましく、90質量%以下が特に好ましい。架橋樹脂(B)の含有量が前記下限未満になると熱伝導性および絶縁性が十分に向上しにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると絶縁性が低下する傾向にある。
(C)その他の樹脂
本発明においては、前記架橋樹脂(B)以外にその他の樹脂(以下、「その他の樹脂(C)」という)を使用する。前記その他の樹脂(C)としては、架橋樹脂(B)として使用した樹脂以外の樹脂であって架橋樹脂(B)が分散相を形成するものあれば特に制限はないが、架橋樹脂(B)が分散相を形成しやすいという観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性イミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミド、熱硬化性シリコーン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂およびウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン樹脂といった芳香族ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、これらの共重合体といったアクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル樹脂といったシアン化ビニル系樹脂、イミド環含有ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、環状ポリオレフィンといったポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体といったエチレン系共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチルテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルアミドなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。このような樹脂は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
このような樹脂のうち、成形加工性の観点から、熱可塑性樹脂が好ましく、中でも、熱伝導性および機械強度が向上するという観点からは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチルテレフタレート、液晶ポリエステル、ポリアリーレンスルフィド、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルなどのフッ素系樹脂、ポリ乳酸、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルアミドなどの結晶性樹脂がより好ましい。また、成形体の表面外観が優れ、絶縁性が向上するという観点からはエチレン系共重合体が好ましく、特に、得られる架橋樹脂組成物が熱伝導性および絶縁性をより高水準で兼ね備えるという観点から、前記その他の樹脂(C)としてこのエチレン系共重合体と他の樹脂とを併用することが好ましい。
本発明の架橋樹脂組成物において、前記その他の樹脂(C)の含有量の上限としては特に制限はないが、架橋樹脂組成物全体に対して10質量%以上が好ましく、14質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上が特に好ましく、30質量%以上が最も好ましく、また、98質量%以下が好ましく、96質量%以下がより好ましく、94質量%以下がさらに好ましく、90質量%以下が特に好ましく、85質量%以下が最も好ましい。前記その他の樹脂(C)の含有量が前記下限未満になると絶縁性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると熱伝導性が低下する傾向にある。
(D)相溶化剤
本発明の架橋樹脂組成物においては相溶化剤(D)を含有させることが好ましい。これにより、熱伝導性および絶縁性をより高水準で兼ね備える架橋樹脂組成物が得られる。このような相溶化剤(D)としては、架橋樹脂(B)により形成される分散相とその他の樹脂(C)により形成される連続相の相溶性が向上する限り特に制限はなく、架橋樹脂(B)およびその他の樹脂(C)のうちの少なくとも一方との親和性および/または反応性を示す公知の相溶化剤が挙げられ、使用する架橋樹脂(B)およびその他の樹脂(C)によって適宜選択される。
例えば、架橋樹脂前駆体(B1)としてEPDMを使用し、その他の樹脂(C)としてポリプロピレンを用いる場合においては、前記相溶化剤(D)としては、オレフィン結晶−エチレン−ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体(CEBC)、スチレン−エチレン−ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、エチレン−ブチレン共重合体(EBM)、ブテン−1共重合体(ブテン−エチレン共重合体、ブテン−プロピレン共重合体など)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体など)などが好ましい。このような相溶化剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。このような相溶化剤のうち、前記分散相と前記連続相との相溶性がより向上し、これらの界面の熱抵抗がより低減され、架橋樹脂組成物の熱伝導性がより向上するとともに、前記界面の絶縁性もさらに向上するという観点から、CEBCが特に好ましい。
また、その他の樹脂(C)として末端反応性基などの反応性官能基を有する樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチルテレフタレート、液晶ポリエステル、ポリアリーレンスルフィド、ポリオキシメチレン、ポリ乳酸など)を用いる場合においては、熱伝導性がさらに向上するという観点から、これらの樹脂と化学結合を形成し得る相溶化剤が好ましい。このような相溶化剤を添加することによって、分散相と連続相との界面に安定した層が形成され、分散相中に導電性ナノフィラー(A)を安定して内包することが可能となる。また、分散相と連続相との界面においては、相溶化剤(D)同士が反応していることがより好ましい。これにより、分散相と連続相との界面に形成された層がより厚く強固なものとなり、前記分散相中に導電性ナノフィラー(A)が効果的に内包されるとともに、絶縁性がより向上し、界面の熱抵抗がより低減される(熱伝導性がより向上する)傾向にある。
このようなその他の樹脂(C)と反応し得る相溶化剤(D)としては、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基、カルボキシル基、オキセタン基およびオキサゾリン基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有するものが好ましい。前記相溶化剤(D)にこのような官能基を導入する方法としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸といった官能基含有ビニル系モノマーを共重合させる方法;ラジカル開始剤の存在下で官能基含有ビニル系モノマーをグラフト重合させる方法などが挙げられる。
本発明の架橋樹脂組成物において、相溶化剤(D)の含有量としては特に制限はないが、架橋樹脂組成物全体に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、0.2質量%以上が特に好ましく、また、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。相溶化剤(D)の含有量が前記下限未満になると絶縁性が十分に確保されない傾向にあり、他方、前記上限を超えると架橋樹脂組成物の成形加工性が低下する傾向にある。
(E)充填材
本発明の架橋樹脂組成物においては、必要に応じて充填材(E)を含有させてもよい。これにより、得られる架橋樹脂組成物の強度、剛性、耐熱性、熱伝導性などを向上させることができる。このような充填材(E)は繊維状のものであっても粒状などの非繊維状のものであってもよい。その具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、モンモリロナイトに代表される粘土鉱物、マイカ(雲母)鉱物およびカオリン鉱物に代表される層状ケイ酸塩、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウムおよびドロマイトなどが挙げられる。本発明の架橋樹脂組成物における充填材(E)の含有率としては、充填材の種類によって異なるため一概に規定はできないが、例えば、架橋樹脂組成物全体に対して0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
また、本発明の架橋樹脂組成物には、充填材(E)として熱伝導性フィラーを含有させることもできる。このような熱伝導性フィラーとしては特に制限はないが、例えば、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、結晶性シリカ、溶融シリカ、ダイヤモンド、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの形状としては特に制限はなく、例えば、粒状、平板状、ロッド状、繊維状、チューブ状などが挙げられる。これらの熱伝導性フィラーは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。この熱伝導性フィラーの熱伝導率としては特に制限はないが、0.5W/mK以上が好ましく、1W/mK以上がより好ましく、5W/mK以上がさらに好ましく、10W/mK以上が特に好ましく、20W/mK以上が最も好ましい。
本発明の架橋樹脂組成物における熱伝導性フィラーの含有率は特に制限されないが、架橋樹脂組成物全体に対して、0.1質量%以上が好ましく、また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましく、40質量%以下が最も好ましい。熱伝導性フィラーの含有率が前記下限未満になると得られる成形体の熱伝導性が十分に向上しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると架橋樹脂組成物の比重が増大し、流動性が低下しやすい傾向にある。
(その他の添加剤)
本発明の架橋樹脂組成物には、カーボンブラック、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(パラフェニレン)、ポリチオフェンおよびポリフェニレンビニレンといった導電性ポリマーなどの導電性物質、および前記導電性物質で被覆されたフィラーなどを含有させることもできる。このような導電性物質および導電性物質で被覆されたフィラーの添加量としては特に制限はないが、絶縁性(体積抵抗率が好ましくは1013Ω・cm以上)を維持できる範囲内であることが好ましい。また、前記導電性物質および前記導電性物質で被覆されたフィラーの分散状態としては特に制限はないが、絶縁性を維持したまま、これらの添加による効果を得るという観点からは、これらの少なくとも一部が架橋樹脂(B)により形成された分散相中に含まれていることが好ましく、これらの添加量の半分以上が架橋樹脂(B)により形成された分散相中に含まれていることがより好ましい。
また、本発明の架橋樹脂組成物には、その他の成分、例えば、塩化銅、ヨウ化第I銅、酢酸銅、ステアリン酸セリウムなどの金属塩安定剤、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、アクリレート系、リン系有機化合物などの酸化防止剤や耐熱安定剤、ベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤や耐候剤、光安定剤、離型剤、滑剤、結晶核剤、粘度調節剤、着色剤、シランカップリング剤などの表面処理剤、顔料、蛍光顔料、染料、蛍光染料、着色防止剤、可塑剤、難燃剤(赤燐、金属水酸化物系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、およびこれらのハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせなど)、木材粉、もみがら粉、くるみ粉、古紙、蓄光顔料、ホウ酸ガラスや銀系抗菌剤などの抗菌剤や抗カビ剤、マグネシウム−アルミニウムヒドロキシハイドレートに代表されるハイドロタルサイトなどの金型腐食防止剤を添加することができる。
<架橋樹脂組成物の製造方法>
次に、本発明の架橋樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明の架橋樹脂組成物の製造方法は、導電性ナノフィラー(A)の存在下で架橋樹脂前駆体(B1)を架橋させる工程(架橋工程)を含むものである。このような製造方法としては、例えば、前記架橋工程において、導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂前駆体(B1)、その他の樹脂(C)、および必要に応じて、相溶化剤(D)、充填材(E)、その他の添加剤を一括で混合した後、前記架橋樹脂前駆体(B1)に架橋処理を施す方法(以下、「第一の製造方法」という);前記架橋工程において、導電性ナノフィラー(A)と架橋樹脂前駆体(B1)との混合物を予め調製した後、前記架橋樹脂前駆体(B1)に架橋処理を施し、得られた前記導電性ナノフィラー(A)と前記架橋樹脂(B)との混合物と残りの成分(その他の樹脂(C)、および必要に応じて、相溶化剤(D)、充填材(E)、その他の添加剤)とを混合する方法(以下、「第二の製造方法」という)などが挙げられる。このような製造方法のうち、本発明にかかる相構造が好適に形成され、得られる架橋樹脂組成物が熱伝導性および絶縁性を高水準で兼ね備えるという観点から、前記第二の製造方法が好ましい。
前記第一の製造方法において前記各成分を混合する方法としては特に制限はないが、例えば、押出機やバンバリーミキサー、ゴムロール機などによる混練、溶媒中での超音波処理、高速撹拌機やミル(例えば、ボールミル)などによる撹拌、ドライブレンドなどが挙げられ、中でも、溶融混練が好ましい。また、その他の樹脂(C)として熱硬化性樹脂を混合する場合には、自公転ミキサーを用いたり、超音波処理を施したりすることが好ましい。
また、前記第二の製造方法において導電性ナノフィラー(A)と架橋樹脂前駆体(B1)との混合物を調製する方法としては特に制限はなく、例えば、押出機やバンバリーミキサー、ゴムロール機などによる混練、溶媒中での超音波処理、高速撹拌機やミル(例えば、ボールミル)などによる撹拌、ドライブレンド、導電性ナノフィラー(A)存在下での架橋樹脂前駆体(B1)の合成(in situ重合)挙げられ、中でも、溶融混練が好ましい。
前記第二の製造方法において、導電性ナノフィラー(A)と架橋樹脂の前駆体(B1)とを混合する場合、導電性ナノフィラー(A)の少なくとも一部と架橋樹脂前駆体(B1)の少なくとも一部とを先ず混合した後、残りの導電性ナノフィラー(A)および架橋樹脂前駆体(B1)を添加して混合してもよいが、所定量の架橋樹脂前駆体(B1)に所定量の50%以上の導電性ナノフィラー(A)を先ず混合した後、残りの導電性ナノフィラー(A)を添加して混合することが好ましく、所定量の導電性ナノフィラー(A)と所定量の架橋樹脂前駆体(B1)とを一括で混合することが特に好ましい。
前記第一および第二の製造方法において、架橋樹脂前駆体(B1)を架橋させる方法としては特に制限はなく、例えば、加熱処理、電子線照射などが挙げられ、中でも、架橋樹脂前駆体(B1)を動的架橋させて、得られる架橋樹脂組成物の熱伝導性および絶縁性を向上させるという観点から押出機による溶融混練が好ましい。また、前記各成分の混合と前記架橋樹脂前駆体(B1)の架橋とを同時に進行させることができるという観点から、架橋樹脂前駆体(B1)を含む混合物を所定の温度で溶融混練することが好ましい。
前記第二の製造方法において、架橋処理後の架橋樹脂(B)と導電性ナノフィラー(A)との混合物と前記残りの成分とを混合する方法としては特に制限はなく、例えば、押出機やバンバリーミキサー、ゴムロール機などによる混練、超音波処理(液状の場合)、高速撹拌機やミル(例えば、ボールミル)などによる撹拌、ドライブレンドなどが挙げられ、中でも、溶融混練が好ましい。また、その他の樹脂(C)として熱硬化性樹脂を混合する場合には、自公転ミキサーを用いたり、超音波処理を施したりすることが好ましい。
さらに、前記第二の製造方法においては、1つまたは複数のサイドフィーダーを備える押出機の上流のホッパーから、導電性ナノフィラー(A)と架橋樹脂前駆体(B1)とを投入して溶融混練し、前記架橋樹脂前駆体(B1)を架橋させ、得られた導電性ナノフィラー(A)と架橋樹脂(B)との混練物に、残りの成分を前記サイドフィーダーから同時にまたは独立して投入して溶融混練することが好ましい。また、残りの成分のうち、充填材(E)およびその他の添加剤については、機械的特性や熱伝導性の向上の観点から、その他の樹脂(C)を投入する投入口より下流のサイドフィーダーから投入することが好ましく、また、導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)およびその他の樹脂(C)を含有する溶融混練物に、単軸押出機や混練能力の弱いスクリューアレンジメントに設定した二軸押出機を用いて最後に添加することも好ましい。
このような第一または第二の製造方法に用いられる押出機としては、十分な混練能力のあるものであれば特に制限はなく、一軸または多軸のベントを有するものなどが挙げられる。
本発明の架橋樹脂組成物の製造方法において、前記各成分の形状としては特に制限はなく、ペレット状、粉末状、細片状などいずれの形状のものを使用してもよい。また、高速撹拌機やミルを用いる場合や超音波処理を施す場合には溶媒を使用することができる。この場合、得られた混合物から溶媒を除去するために、再沈殿、ろ過および乾燥などの後処理を施すことが好ましい。さらに、得られた混合物の形状が塊状である場合には、粉砕処理を施すことが好ましい。
<架橋樹脂組成物>
このようにして調製された本発明の架橋樹脂組成物は、上述したように、架橋樹脂(B)により形成された分散相と前記その他の樹脂(C)により形成された連続相を備えており、前記分散相に導電性ナノフィラー(A)が存在するものである。これにより熱伝導性および絶縁性が向上する傾向にある。なお、本発明の架橋樹脂組成物において分散相とは、前記架橋樹脂(B)がその他の樹脂(C)に取り囲まれた部分を意味する。
このような相構造を備える本発明の架橋樹脂組成物の熱伝導率としては特に制限はないが、厚さ2mmの成形体について定常法により測定した厚さ方向の熱伝導率が0.3W/mK以上であることが好ましく、0.4W/mK以上であることがより好ましく、0.5W/mK以上であることが特に好ましく、0.6W/mK以上であることが最も好ましい。また、体積抵抗率としては特に制限はないが、厚さ2mmの成形体についてJIS K6911に準拠して印加電圧500V、印加時間1分間の条件で測定した体積抵抗率が1013Ω・cm以上であることが好ましく、1014Ω・cm以上であることがより好ましく、1015Ω・cm以上であることが特に好ましく、1016Ω・cm以上であることが最も好ましい。
図1A〜図1Cは、このような架橋樹脂組成物の相構造を模式的に示したものであるが、本発明の架橋樹脂組成物の相構造はこれに限定されるものではない。分散相2は、前記架橋樹脂(B)により形成されたものであるが、分散相2と連続相3が形成される限りにおいて、導電性ナノフィラー(A)と親和性を有する他の樹脂やその他の樹脂(C)が含まれていてもよい。分散相2の1つあたりに含まれる導電性ナノフィラー(Adsp)1の数として特に制限はなく、図1Aに示すように1本でもよいし、図1Bおよび図1Cに示すように複数でもよい。さらに、分散相2中に導電性ナノフィラー(Adsp)1が複数存在する場合、その分散状態としては特に制限はなく、導電性ナノフィラー(Adsp)1は、互いに接触していても接触していなくてもよく、図1Bに示すように完全に孤立分散していても、図1Cに示すように個々が完全に接触していてもよいが、熱伝導率の異方性が小さくなるという観点から、各導電性ナノフィラー(Adsp)1の長軸方向がより3次元的に存在していることが好ましい。また、本発明の架橋樹脂組成物においては、図1A〜図1Cで示される状態のうちの2つ以上の状態が混在していてもよい。分散相2の形状は特に制限はなく、真円形であっても、筋状、多角形状、楕円形などの非円形であってもよい。
連続相3は、その他の樹脂(C)により形成されたものであるが、分散相2と連続相3が形成される限りにおいて前記架橋樹脂(B)が含まれていてもよい。また、連続相3には、導電性ナノフィラー(A)が含まれていてもよいが、絶縁性が要求される用途においては、その含有量は架橋樹脂組成物の絶縁性(体積抵抗率が好ましくは1013Ω・cm以上)が維持される範囲であることが好ましい。
本発明の架橋樹脂組成物においては、分散相2と連続相3との界面に相溶化剤(D)が存在していることが好ましい。これにより、分散相2と連続相3の相溶性が向上し、前記界面の熱抵抗がより低減され、架橋樹脂組成物の熱伝導性がより向上するとともに、前記界面の絶縁性もさらに向上する傾向にある。
また、架橋樹脂(B)およびその他の樹脂(C)のうちの少なくとも1種として末端反応性基などの反応性官能基を有する樹脂を用いた場合においては、熱伝導性が向上するという観点から、前記相溶化剤(D)は、前記架橋樹脂(B)および/または前記その他の樹脂(C)と化学結合を形成していることが好ましい。これにより、分散相2と連続相3との界面に安定した層が形成され、分散相2中に導電性ナノフィラー(A)を安定して内包することが可能となる。さらに、分散相2と連続相3との界面においては、相溶化剤(D)同士が反応していることがより好ましい。これにより、分散相2と連続相3との界面に形成された層がより厚く強固なものとなり、前記分散相2中に導電性ナノフィラー(A)が効果的に内包されるとともに、絶縁性がより向上し、界面の熱抵抗がより低減される(熱伝導率がより向上する)傾向にある。
このような架橋樹脂組成物の相構造は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡により観察することによって確認することができる。本発明の架橋樹脂組成物においては、架橋脂組成物全体に対する前記分散相の割合をX(単位:容量%)、全導電性ナノフィラー(A)に対する前記分散相中に含まれる導電性ナノフィラー(Adsp)の割合をY(単位:容量%)としたとき、これらの比(Y/X)は1.1以上である。Y/X値が前記下限未満になると絶縁性が低下する。また、絶縁性が向上しやすいという観点から、Y/X値としては1.2以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.4以上がさらに好ましく、1.5以上が特に好ましく、2.0以上が最も好ましい。
また、全導電性ナノフィラー(A)に対する前記分散相中に含まれる導電性ナノフィラー(Adsp)の割合Yは20容量%以上である。前記割合Yが前記下限未満になると熱伝導性および絶縁性が低下する。また、熱伝導性および絶縁性が向上しやすいという観点から、Yは40容量%以上が好ましく、50容量%以上がより好ましく、60容量%以上がさらに好ましく、80容量%以上が特に好ましく、100容量%が最も好ましい。
さらに、本発明の架橋樹脂組成物において、架橋樹脂組成物全体に対する前記導電性ナノフィラー(Adsp)を含む分散相の割合Zとしては特に制限はないが、1容量%以上が好ましく、3容量%以上がより好ましく、5容量%以上がさらに好ましく、7容量%以上が特に好ましく、10容量%以上が最も好ましく、また、85容量%以下が好ましく、80容量%以下がより好ましく、70容量%以下がさらに好ましく、60容量%以下が特に好ましく、50容量%以下が最も好ましい。前記割合Zが前記下限未満になると熱伝導性および絶縁性が低下し、熱伝導率の異方性が増大する傾向にあり、他方、前記上限を超えると架橋樹脂組成物の流動性が低下する傾向にある。
なお、本発明において、X、YおよびZの値は、以下のようにして走査型電子顕微鏡(SEM)写真に基づいて求めた値である。すなわち、本発明の架橋樹脂組成物から所定の厚みの成形品を作製し、この成形品の中心部(表面から全厚みの40〜60%の深さの範囲)のうちの任意の部分を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、厚みが均一な印画紙に現像する。得られたSEM写真において、成形品の大きさで90μm×90μmの範囲を任意に5箇所抽出する。この抽出した範囲の質量を測定し、この抽出範囲から所定の部分(導電性ナノフィラー、分散相など)を切り取り、切り取った部分の写真の質量を測定して、所定の部分に関する写真の質量割合(質量%)を算出する。この写真の質量割合は、使用した印画紙の厚みが均一であるため、所定の部分に関する実際の容量割合(容量%)とみなすことができる。この容量割合を前記抽出した任意の5箇所について求め、その平均値をX、YまたはZの値(容量%)とする。
また、本発明の架橋樹脂組成物において、分散相の直径または長径の数平均値としては特に制限はないが、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、500nm以上がさらに好ましく、1μm以上が特に好ましく、2μm以上が最も好ましく、また、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。分散相の直径または長径の数平均値が前記下限未満になると熱伝導性および絶縁性が低下し、熱伝導率の異方性が増大する傾向にあり、他方、前記上限を超えると架橋樹脂組成物の機械強度が低下する傾向にある。
なお、本発明において、分散相の直径または長径は、電子顕微鏡写真において成形品の大きさで90μm×90μmの範囲を任意に5箇所抽出して測定を実施し、これらの測定値を平均した値である。
このような本発明の架橋樹脂組成物を成形体に加工する方法としては特に制限はないが、溶融成形加工が好ましい。このような溶融成形方法としては、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、圧縮成形またはガスアシスト成形などの従来公知の成形方法が挙げられる。また、成形加工時に磁場、電場、超音波などを印加することにより導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)およびその他の樹脂(C)の配向を制御することができる。
また、本発明の架橋樹脂組成物は、せん断下で加工を施しても各種特性(例えば、熱伝導率)に異方性が発現しにくい。ここで、せん断下とは、物体内部でずれを生じさせる力(せん断力)が付与される状態を意味し、せん断下での加工としては、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形などが挙げられる。例えば、架橋樹脂組成物を射出成形すると、架橋樹脂組成物が射出成形機のノズルから押し出される際に架橋樹脂組成物には吐出方向(流れ方向)に平行且つ逆向きの力がかかり、架橋樹脂組成物のある断面にすべりやずれが生じる。その結果、導電性ナノフィラー(A)が分散相に偏在(局在)していない従来の架橋樹脂組成物おいては導電性ナノフィラー(A)が流れ方向に配向し、得られる成形体においては各種特性(例えば、熱伝導率)に異方性が発現する。一方、本発明の架橋樹脂組成物においては、導電性ナノフィラー(A)を含む分散相が3次元的に均一に近い状態に分散しているため、せん断下での加工を施しても導電性ナノフィラー(A)は配向しにくく、得られる成形体においては各種特性(例えば熱伝導率)に異方性が発現しにくく、熱伝導性などの特性は3次元的に均一に近い状態となる傾向にある。
なお、射出成形に比べてプレス成形時のせん断力は著しく小さく、プレス成形品においては、導電性ナノフィラーや樹脂の配向性が極めて小さくなる。このため、プレス成形品においては各種特性の異方性が極めて小さくなる。そこで、本発明においては、プレス成形品の厚さ方向の物性値(例えば、熱伝導率)に対する射出成形品の厚さ方向の物性値(例えば、熱伝導率)の比を求め、この物性値の比により架橋樹脂組成物が発現する特性(例えば、熱伝導性)の異方性を定量的に評価する。例えば、前記物性値の比が1に近い架橋樹脂組成物ほど、熱伝導性などの特性は異方性が小さく、3次元的に均一に近いものであるといえる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、得られた樹脂組成物の物性は以下の方法により測定した。
(1)体積抵抗率
ペレット状の樹脂組成物を80℃で12時間真空乾燥した後、250℃でプレス成形を行い、厚み2mmの成形品を得た。この成形品から直径100mm、厚み2mmの円盤状の試料を切り出し、ハイレジスタンスメータ(アジレント・テクノロジー(株)製「AGILENT4339B」)を用い、JIS K6911に準拠して500Vを印加し、1分後の体積抵抗率を測定した。
(2)熱伝導率
ペレット状の樹脂組成物を80℃で12時間真空乾燥した後、250℃でプレス成形を行い、厚み2mmの成形品を得た。この成形品から25mm×25mm×2mmの試料を切り出し、定常法熱伝導率測定装置(アルバック理工(株)製「GH−1」)を用い、40℃(上下の温度差24℃)で試料の厚み方向の熱伝導率(W/mK)を測定した。
(3)熱伝導率の異方性
ペレット状の樹脂組成物を80℃で12時間真空乾燥した後、成形温度250℃、金型温度50℃の条件で射出成形を行い、厚み2mmの成形品を得た。この成形品から25mm×25mm×2mmの試料を切り出し、定常法熱伝導率測定装置(アルバック理工(株)製「GH−1」)を用い、40℃(上下の温度差24℃)で試料の厚み方向の熱伝導率(W/mK)を測定した。
この射出成形品の厚み方向の熱伝導率(W/mK)と前記(2)で測定したプレス成形品の厚み方向の熱伝導率(W/mK)とから、次式:
熱伝導率の異方性=(射出成形品の厚み方向の熱伝導率)/(前記(2)で
測定したプレス成形品の厚み方向の熱伝導率)
により熱伝導率の異方性を求めた。なお、プレス成形品においては、厚み方向とこれに垂直な方向の熱伝導率にほとんど差がない。従って、前記熱伝導率の比が1に近いほど、射出成形時の導電性ナノフィラーの流れ方向への配向が小さく、異方性が小さいといえる。
(4)Y/X値
ペレット状の樹脂組成物を80℃で12時間真空乾燥した後、250℃でプレス成形を行い、厚み2mmの成形品を得た。この成形品から40mm×5mm×2mmの試料を切り出し、この試料の中央部の凍結破断面の中心部(表面から0.8〜1.2mmの範囲の部分)のうちの任意の部分を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、厚みが均一な印画紙に現像した。得られたSEM写真において、成形品の大きさで90μm×90μmの範囲を任意に5箇所抽出した。この抽出した範囲の写真の質量を測定した後、前記抽出範囲から架橋樹脂(B)により形成された分散相に相当する部分を切り取り、切り取った部分の写真の質量を測定し、前記抽出範囲に対する前記分散相に相当する部分の写真の質量割合(質量%)を算出した。この写真の質量割合は、使用した印画紙の厚みが均一であるため、前記抽出範囲における樹脂組成物に対する分散相の容量割合(容量%)とみなすことができる。以下の実施例および比較例においては、前記抽出した任意の5箇所について前記分散相の容量割合を求め、その平均値を、樹脂組成物全体に対する分散相の割合X(単位:容量%)とした。
また、上記と同様にしてSEM写真撮影を行い、得られたSEM写真において任意の5箇所(それぞれ、成形品の大きさで90μm×90μmの範囲)を抽出した。この抽出した範囲の写真から導電性ナノフィラー(A)に相当する部分を全て切り取り、切り取った部分の写真の総質量を測定した。また、前記導電性ナノフィラー(A)に相当する部分のうち、分散相に含まれていた導電性ナノフィラー(Adsp)に相当する部分の写真の質量を測定し、前記抽出範囲ついて全導電性ナノフィラー(A)に対する分散相中の導電性ナノフィラー(Adsp)の写真の質量割合(質量%)を算出した。この場合も上記と同様に、前記写真の質量割合を、前記抽出範囲における全導電性ナノフィラー(A)に対する分散相中の導電性ナノフィラー(Adsp)の容量割合(容量%)とみなすことができ、以下の実施例および比較例においては、前記抽出した任意の5箇所について前記分散相中の導電性ナノフィラー(Adsp)の容量割合を求め、その平均値を、樹脂組成物中の全導電性ナノフィラー(A)に対する分散相中の導電性ナノフィラー(Adsp)の割合Y(単位:容量%)とした。
このようにして算出したXおよびYの値からY/X値を求めた。
また、実施例および比較例において使用した導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)の各成分およびその他の樹脂(C)を以下に示す。なお、下記導電性ナノフィラー(A)のG/D値は、レーザーラマン分光システム〔日本分光(株)製「NRS−3300」〕を用い、励起レーザー波長532nmにおいて測定を行い、約1585cm−1付近に観察されるGバンドと約1350cm−1付近に観察されるDバンドのラマンスペクトルのピーク強度から求めた。
(A)導電性ナノフィラー:
・導電性ナノフィラー(a−1)
カーボンナノファイバー(昭和電工(株)製「VGCF」、平均直径150nm、アスペクト比60、G/D値9.6)。
・導電性ナノフィラー(a−2)
多層カーボンナノチューブ(ナノカーボンテクノロジーズ(株)製「MWNT−7」、直径分布40〜90nm、アスペクト比100以上、G/D値8.0)。
(B1)架橋樹脂の前駆体:
・架橋樹脂前駆体(b1−1)
エチレン−プロピレン−ジエンゴム(三井化学(株)製「EPT3012」)。
(B2)架橋剤:
・架橋剤(b2−1)
硫黄。
(B3)架橋促進剤:
・架橋促進剤(b3−1)
N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業(株)製「ノクセラーMSA−G」)。
・架橋促進剤(b3−2)
テトラメチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業(株)製「ノクセラーTT」)。
(B4)架橋促進助剤:
・架橋促進助剤(b4−1)
酸化亜鉛(正同化学工業(株)製「活性亜鉛華アゾー」)。
(C)その他の樹脂:
・樹脂(c−1)
ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP MA3」)。
・樹脂(c−2)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ポリケム(株)製「ノバテックEVA」)。
(D)相溶化剤:
・相溶化剤(d−1)
オレフィン結晶−エチレンブテン−オレフィン結晶ブロック共重合体(JSR(株)製「DYNARON6200P」)。
(実施例1)
導電性ナノフィラー(a−1)10質量部、架橋樹脂前駆体(b1−1)70質量部、架橋剤(b2−1)0.5質量部、架橋促進剤(b3−1)0.5質量部、架橋促進剤(b3−2)0.5質量部、架橋促進助剤(b4−1)1質量部、および樹脂(c−1)20質量部を配合し、得られた混合物を、ベントを備えた二軸溶融混練押出機((株)テクノベル製、スクリュ径:15mm、L/D:60)に投入して、シリンダ設定温度230℃、スクリュ回転数300rpmの条件で溶融混練して動的架橋を施した。吐出された混練物をストランド状に押し出し、冷却後にカッターにより切断してペレット状の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物について、Y/X値、体積抵抗率、熱伝導率およびその異方性を前記方法に従って測定した。その結果を表1に示す。
(実施例2)
導電性ナノフィラー(a−1)10質量部および架橋樹脂前駆体(b1−1)70質量部を配合し、得られた混合物を、ベントとサイドフィーダーを備えた二軸溶融混練押出機((株)日本製鋼所製「TEX30」、スクリュ径:30mm、L/D:77)の最上流部のホッパーから投入して、シリンダ設定温度230℃、スクリュ回転数300rpmの条件で溶融混練を行い、この混練物に、架橋剤(b2−1)0.5質量部、架橋促進剤(b3−1)0.5質量部、架橋促進剤(b3−2)0.5質量部、架橋促進助剤(b4−1)1質量部、および樹脂(c−1)20質量部を配合した混合物を前記サイドフィーダーから投入してシリンダ設定温度230℃、スクリュ回転数300rpmの条件でさらに溶融混練して動的架橋を施した。吐出された混練物をストランド状に押し出し、冷却後にカッターにより切断してペレット状の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物について、Y/X値、体積抵抗率、熱伝導率およびその異方性を前記方法に従って測定した。その結果を表1に示す。
(実施例3〜5)
表1に示す種類と配合量の導電性ナノフィラー(A)と架橋樹脂(B)の前駆体(B1)との混合物を前記ホッパーから投入し、表1に示す種類と配合量の架橋剤(B2)と架橋促進剤(B3)と架橋促進助剤(B4)とその他の樹脂(C)と相溶化剤(D)との混合物を前記サイドフィーダーから投入した以外は実施例2と同様にしてペレット状の樹脂組成物を得た。これらの樹脂組成物について、Y/X値、体積抵抗率、熱伝導率およびその異方性を前記方法に従って測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
表1に示す種類と配合量の架橋樹脂(B)の前駆体(B1)と架橋剤(B2)と架橋促進剤(B3)と架橋促進助剤(B4)とその他の樹脂(C)との混合物を、ベントを備えた二軸溶融混練押出機((株)テクノベル製、スクリュ径:15mm、L/D:60)に投入して、シリンダ設定温度230℃、スクリュ回転数300rpmの条件で溶融混練して動的架橋を施した。吐出された混練物をストランド状に押し出し、冷却後にカッターにより切断してペレット状の樹脂組成物を得た。
このペレット状の樹脂組成物に、表1に示す配合量の導電性ナノフィラー(a−1)を添加し、得られた混合物を前記二軸溶融混練押出機に投入して、シリンダ設定温度230℃、スクリュ回転数300rpmの条件で溶融混練を行なった。吐出された混練物をストランド状に押し出し、冷却後にカッターにより切断してペレット状の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物について、Y/X値、体積抵抗率、熱伝導率およびその異方性を前記方法に従って測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005517050
表1に示した結果から明らかなように、導電性ナノフィラー(A)の存在下で架橋樹脂(B)の前駆体(B1)に動的架橋を施した本発明の架橋樹脂組成物(実施例1〜5)は、架橋樹脂(B)の前駆体(B1)に動的架橋を施した後に導電性ナノフィラー(A)を混合した場合(比較例1〜3)に比べて、架橋樹脂(B)により形成された分散相に多くに導電性ナノフィラー(A)が偏在し、熱伝導性と絶縁性とを高水準で兼ね備え、さらに、射出成形を施した場合でも熱伝導率の異方性が発現しにくいものであった。
また、実施例2と実施例1とを比較すると、予め、導電性ナノフィラー(A)と架橋樹脂(B)の前駆体(B1)とを混合した後、その他の樹脂(C)を添加し、前記架橋樹脂(B)の前駆体(B1)に動的架橋を施した場合(実施例2)には、導電性ナノフィラー(A)と架橋樹脂(B)の前駆体(B1)とその他の樹脂(C)とを一括で混合した場合(実施例1)に比べて、絶縁性が向上し、熱伝導率の異方性はより発現しにくくなることがわかった。
さらに、実施例3と実施例2を比較すると、相溶化剤(D)を添加することによって熱伝導率および絶縁性がより向上し、熱伝導率の異方性はさらに発現しにくくなることがわかった。これは、相溶化剤(D)により架橋樹脂(B)により形成された分散相とその他の樹脂(C)により形成された連続相との界面の親和性が向上したためと推察される。また、実施例4と実施例3とを比較すると、その他の樹脂(C)としてエチレン系共重合体を併用することによって熱伝導率および絶縁性がさらに向上し、熱伝導率の異方性はさらに発現しにくくなることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、熱伝導性と絶縁性とを高水準で兼ね備え、さらに、せん断下での加工においても熱伝導率の異方性が発現しにくい架橋樹脂組成物を得ることが可能となる。
したがって、本発明の架橋樹脂組成物は、熱伝導性、放熱性、熱伝導率の等方性および絶縁性などが要求される用途、例えば、自動車用各種部品、電気・電子機器用各種部品、高熱伝導性シート、放熱板、電磁波吸収体などの用途として有用である。
1:導電性ナノフィラー(A)、2:分散相(主として架橋樹脂(B))、3:連続相(主としてその他の樹脂(B))。

Claims (7)

  1. 異方性の導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)、および該架橋樹脂(B)以外のその他の樹脂(C)を含有する架橋樹脂組成物であり、
    該架橋樹脂組成物は、前記架橋樹脂(B)により形成された分散相と、前記その他の樹脂(C)により形成された連続相とを備えるものであり、
    前記分散相には前記導電性ナノフィラー(A)が存在し、
    前記架橋樹脂組成物全体に対する前記分散相の割合をX(単位:容量%)、および全導電性ナノフィラー(A)に対する前記分散相中に含まれる導電性ナノフィラー(Adsp)の割合をY(単位:容量%)としたとき、Yが20容量%以上であり、Y/Xが1.1以上であることを特徴とする架橋樹脂組成物。
  2. 前記その他の樹脂(C)が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の架橋樹脂組成物。
  3. 相溶化剤(D)をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の架橋樹脂組成物。
  4. 定常法により測定した、厚さ2mmの成形体の厚さ方向の熱伝導率が0.3W/mK以上であることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の架橋樹脂組成物。
  5. JIS K6911に準拠して印加電圧500V、印加時間1分間の条件で測定した、厚さ2mmの成形体の体積抵抗率が1013Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の架橋樹脂組成物。
  6. 異方性の導電性ナノフィラー(A)、架橋樹脂(B)、および該架橋樹脂(B)以外のその他の樹脂(C)を含有する架橋樹脂組成物の製造方法であって、
    前記導電性ナノフィラー(A)の存在下で前記架橋樹脂(B)の前駆体を架橋させる架橋工程を含み、
    前記架橋工程において、前記導電性ナノフィラー(A)の少なくとも一部と前記架橋樹脂(B)の前駆体の少なくとも一部とを混合し、得られた混合物を混練して前記架橋樹脂(B)の前駆体を架橋させた後、
    前記架橋工程において得られた前記導電性ナノフィラー(A)と前記架橋樹脂(B)との混合物と前記その他の樹脂(C)とを混合することによって、前記架橋樹脂(B)からなる分散相と前記その他の樹脂(C)からなる連続相とを形成させ、前記分散相に前記導電性ナノフィラー(A)を存在させることを特徴とする架橋樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記架橋が動的架橋であることを特徴とする請求項に記載の架橋樹脂組成物の製造方法。
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