JP2009144058A - 自動車外板部材。 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度、剛性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性を同時に満足する有用な自動車外板部材を提供する。
【解決手段】A)ポリアミド樹脂、(B)無機充填材および(C)前記ポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体を含有し、板状無機充填材およびポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体がポリアミド樹脂中に互いに独立して分散しており、分散した無機充填材の平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ分散したポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体の平均粒子径が0.05〜2μmであることを特徴とする自動車外板部材。
【選択図】なし

Description

本発明はポリアミド樹脂組成物に関する物であり、更に詳しくは強度、剛性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性を同時に満足する自動車外板部材に関する。
自動車業界では、燃費向上の要求によって、従来金属製の自動車の外板部材をより軽量な樹脂製に代替する動きが強くなってきている。自動車部材においては、ガソリンやオイルなどの耐薬品性のほかに、金属製自動車外板と同時塗装焼付けが可能な耐熱性、外板部材として十分な剛性及び耐衝撃性、さらに成形品の寸法安定性などが要求され、例えばポリアミド樹脂及びポリフェニレンエーテル樹脂からなるアロイ樹脂などが提案、実用化されている(例えば特許文献1、2)。これらの樹脂組成物は金属製の自動車外板と同時塗装焼付けが可能であるが、剛性と耐衝撃性のバランスおよび寸法安定性に問題が残されている。
特に自動車外板部材においては、寸法変化が大きいと、他の部材との間隙を大きく設定する必要があり、商品品位上の問題となっていた。
従来から、これらの問題を解決するために、上記樹脂組成物に充填材を添加する検討がなされてきたが、剛性と寸法安定性が向上するのに対し、耐衝撃性が著しく低下する傾向がある。前記問題を解決するため、各組成物のモルフォロジー構造を特定することが提案されているが(特許文献3)、それでも添加された無機充填材によって、衝撃強度は大きく低下してしまい、実際の自動車外板に用いる際には大きな問題となっていた。
特開昭62−132924号公報 特公平01−275656号公報 特許2777762号
本発明はポリアミド樹脂組成物の組成およびモルフォロジー構造を特定化することにより、ポリアミド樹脂の優れた強度、剛性、耐熱性、耐薬品性を保持しつつ、低温から高温まで極めて優れた耐衝撃性、寸法安定性を有する自動車外板部材の提供を可能にならしめようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々研究の結果、(A)ポリアミド樹脂、(B)無機充填材および(C)前記ポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体を含有し、無機充填材およびポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体がポリアミド樹脂中に互いに独立して分散しており、分散した無機充填材の平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ分散したポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体の平均粒子径が0.05〜2μmであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物の成形物が強度、剛性、伸度、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性を同時に満足することを見出して本発明を完成した。
本発明のポリアミド樹脂組成物における(C)成分のポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100質量部に対して2〜50質量部である。好ましくは5〜40質量部である。
本発明のポリアミド樹脂組成物における板状無機充填材の含有量は、5〜65質量%、好ましくは10〜50質量%である。
また本発明のポリアミド樹脂組成物は下記のモルフォロジー構造を有する。即ち、板状無機充填材および前記のポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体は、ポリアミド樹脂をマトリックスとしその中に互いに独立して分散しており、分散した板状無機充填材の円相当平均粒子径は0.1〜5μm、好ましくは0.3〜3μmであり、かつ分散したポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体の平均粒子径は0.05〜2μm、好ましくは0.1〜0.8μmである。かつ、無機充填材とポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体は相互に独立して分散している。なおこれらの粒子は部分的あるいは局部的に相互接着していてもよいが無機充填材の周囲を該熱可塑性弾性重合体が囲み込む状態は好ましくない。
このような組成、およびモルフオロジー構造を有する場合に、ポリアミド樹脂組成物は強度、剛性、耐熱性、寸法安定性を保持しつつ同時に極めて優れた耐衝撃性を有する自動車外板部材とすることができるのである。
本発明においては、ポリアミド樹脂組成物の組成およびモルフォロジー構造を特定化することにより、ポリアミド樹脂の優れた強度、剛性、耐熱性、耐薬品性を保持しつつ、低温から高温まで極めて優れた耐衝撃性、寸法安定性をもつ自動車外板部材の提供が可能である。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明におけるポリアミド樹脂とは、分子中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、具体的には、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドン等から得られる重合体又は共重合体:ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン等のジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等のジカルボン酸とを重縮合して得られる重合体又は共重合体もしくはこれらのブレンド物等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
上記のポリアミド樹脂のうち、平均分子量9000〜30000のものが好ましい。又ポリアミド樹脂のアミノ末端基、カルボキシル末端基はポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有するポリマーと反応し結合するためアミノ末端基量、カルボキシル末端基量は多い方が好ましい。また、ポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有するポリマーの反応性官能基の種類、量により両末端基量のバランスを変更してもよい。
本発明において使用する無機充填材は板状の無機充填材であり、粒子の円相当径(面積が等しい円の直径)の平均値が0.1〜5μmであり、好ましくは0.2〜3μmである。粒子径の分布は狭いほどより好ましく。円相当径10μm以上の粗大な粒子が多数存在するのは、衝撃強度が低下してしまうため好ましくなく、逆に円相当平均径が0.1以下であると、樹脂中への分散性が極端に低下してしまうため好ましくない。
また、板状無機充填材のアスペクト比は3〜50が好ましく、より好ましくは5〜40である。アスペクト比が3未満であると剛性及び寸法安定性の効果が不十分となり、反対にアスペクト比が50以上であると、樹脂中への分散化が困難になる。
これらの無機充填材の含有量は、5〜65質量%、好ましくは10〜50質量%である。無機充填材の含有量が5質量%未満であれば補強効果が少なく、反対に65質量%より多いと成形品が脆くなったり、成形時の流動性不良、成形品の外観不良が発生し好ましくない。
本発明における無機充填材は、上記形状を満足していれば良く、その種類および製法に特に制限は無い。使用されるフィラーとしては、ギブサイト、ベーマイト、ダイアスポア、コランダム、カオリナイト、パイロフィライト、ハイドロタルサイト、スメクタイト、セリサイト、タルク、ワラストナイト、雲母、黒鉛等およびこれらに準ずるものが使用され、これらを2種以上併用しても良い。
またさらに板状無機充填材とポリアミド樹脂との結合をよくするために板状無機充填材はカップリング剤と併用するか、カップリング剤処理したものを用いてもよい。
カップリング剤としてはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等いずれを使用してもよいが、そのなかでも特にアミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤が好ましい。これらのシラン系カップリング剤はポリアミド樹脂のカルボキシル末端基、又はアミノ末端基と反応し無機充填材とポリアミド樹脂を化学的に結合させ、強度、弾性率、伸度、耐衝撃性を向上させる働きをする。カップリング剤の添加量は無機充填材100質量部に対し0〜3質量部とするのがよい。
本発明におけるポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性弾性重合体は、おもに耐衝撃性を改良する目的で配合され、ポリアミド樹脂の耐衝撃改良材として公知のものが使用可能である。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレンープロピレンゴム(EPM)、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)、エチレンーアクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレンーアクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレンーアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンーメタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフイン系樹脂;AS樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン(PS)、アクリル酸エステル共重合体、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンーエチレンーブチレンースチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンーアクリロニトリル共重合体等のビニルポリマー系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリテトラメチレングリコール(PTMG)のブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリカプロラクトンのブロック共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリフエニレンオキサイド(PPO)等の樹脂があるがこれらに限定されるものではない。特に衝撃強度向上の目的から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。なおこれらの熱可塑性弾性重合体は二種又はそれ以上併用してもよい。
本発明におけるポリアミド樹脂以外の熱可塑性弾性重合体の有する反応性基とはポリアミド樹脂の末端基であるアミノ基、カルボキシル基および主鎖アミド基と反応しうる基であり、具体的にはカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、アミノ基、イソシアネート基等が例示されるがこれらのなかで酸無水物基が最も反応性に優れている。このようにポリアミド樹脂と反応する反応性基を有する熱可塑性弾性重合体はポリアミド中に微分散し、微分散するがゆえに粒子間の距離が短くなり耐衝撃性が大幅に改良されるという報告もある〔S.Wu:Polymer26,1855(1985)〕。
本発明のポリアミド樹脂組成物のモルフォロジー構造として、板状無機充填材およびポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性弾性重合体は互いに実質的に独立してポリアミド樹脂内に均一に微分散している必要があり、板状無機充填材とポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性弾性重合体は部分的あるいは局部的接着はよいが板状無機充填材を囲みこむ接着は好ましくない。
ポリアミド樹脂以外の反応性を有する熱可塑性弾性重合体が板状無機充填材を直接囲むようなモルフォロジー構造をもたせた場合、板状無機充填材を添加する目的である強度、剛性、耐熱性改良効果がうすれてしまうため好ましくない。
また板状無機充填材はポリアミド樹脂内に円相当平均径5μm以下に均一分散させる必要がある。板状無機充填材の平均粒子径が5μmを超えたり、樹脂中への分散が十分でなく凝集粒子が多数存在したりした場合、板状無機充填材が破壊起点となり衝撃強度が著しく低下してしまう。
また、ポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性弾性重合体のポリアミド樹脂内の分散粒径は平均約2μm以下、好ましくは0.5μm以下である。2μmを超えると粒子間の距離が長くなり、強度、伸度、耐衝撃性が低下し好ましくない。
前記のようなモルフォロジー構造を有するポリアミド樹脂組成物は単にポリアミド樹脂、板状無機充填材、ポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性弾性重合体をブレンド後押出機等で溶融混練する常法では得られ難く、特別の方法による混練分散が推奨される。
即ち、溶融混練機(例えば溶融押出機、溶融反応釜)にポリアミド樹脂とポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性弾性重合体を均一に溶融混練し、ポリアミド樹脂中該熱可塑性弾性重合体を均一に微分散させた後板状無機充填材を投入しポリアミド樹脂内に無機充填材を均一に分散させる.又は溶融混練機でポリアミド樹脂と板状無機充填材を溶融混練し、ポリアミド樹脂内に均一に無機充填材を分散させた後、ポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性弾性重合体を投入しポリアミド樹脂内に該熱可塑性弾性重合体を均一に微分散させる。しかし、本発明のポリアミド組成物の調製はかかる特定のブレンド方法に限られるものではなく、前記の組成およびモルフォロジー構造が得られる限り勿論他のブレンド方法を用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、各種用途目的に応じて、難燃剤、離型剤、光又は熱安定剤、導電材、着色剤等を添加することができる。難燃剤としてはハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモンの組み合わせが良く、ハロゲン系難燃剤としてはブロム化ポリスチレン、ポリジブロムフエニレンオキサイド、デカブロムジフエニールエーテル等が好ましい。又非ハロゲン系難燃剤としては各種有機リン系難燃剤、トリアジン系難燃剤、赤りン等が好ましい。離型剤としてはグリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステル類に代表される脂肪酸エステルが好ましい。光又は熱安定剤としては、カーボンブラック、ハロゲン化銅とハロゲン化カリウムの組み合わせ、ヒンダードフエノール系安定剤、リン系安定剤およびそれらの組み合わせ等が好ましい。しかしこれらに限定されるものではない。
次に実施例および比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが本発明がこれら実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
また以下の実施例、比較例において示した各特性、物性値は下記の試験方法で測定した。
(1)曲げ強度、曲げ弾性率
ISO178に準拠して測定した。
(2)シャルピー衝撃強度(ノッチ付)
ISO179に準拠して測定した。
(3)ヒートサグ値(試験温度180℃、試験片厚さ3.2mm)
JIS7195に準拠して測定した。
(4)成形品のモルフォロジー観察方法
各ポリアミド樹脂組成物について、日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡を使用したTEM観察を行った。観察用試料は、上記曲げ特性に供した試料と同形状の試料の中央部から試料を切り出し、樹脂流れ方向に対し垂直な面の凍結切片を得て、該切片をリンタングステン酸溶液で30分間染色して、さらにカーボン蒸着を施して作製した。TEM観察は日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡で200kvの加速電圧、直接倍率5000倍にて行い写真撮影を行った。次いで、得られた写真を画像解析装置に供することで、約100個のドメインの平均粒子径を求めた。当該装置では、ドメインの観察像が楕円形状である場合は、球に換算した直径を粒子径であるとみなす。
実施例、比較例に用いた原材料は下記のとおりである。
<ポリアミド樹脂>
(A−1)ポリアミド樹脂:ナイロン6(東洋紡績株式会社製、銘柄T−803(分子量=16000、アミノ末端量=58meq/kg、カルボキシ末端量=58meq/kg))
<無機充填材>
(B−1)タルク:ミクロン406(林化成株式会社製、平均粒子径=5μm)
(B−2)カオリン:ASP200(林化成株式会社製、平均粒子径=0.4μm)
<反応性官能基を有する熱可塑性樹脂>
(C−1)変性エチレン−αオレフィン共重合体:タフマーMH−7020(三井化学株式会社製)
〔実施例1、比較例1〜4〕
表1に示す組成を、サイドフィード口を持つ2軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM35)を用いて溶融混練を行い、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。なお2軸押出し機のシリンダー温度は240〜280℃である。得られたペレットは射出成形機(東芝機械株式会社製、IS80)でISO規格のテストピースを成形し、物性測定に供した。射出成形機の成形条件はシリンダー温度280℃、金型温度80℃である。
〔実施例1〕
実施例1はポリアミド樹脂(A−1)60質量部、板状無機充填材(B−2)25質量部を同時にブレンド後押出し機ホッパー口より供給し、熱可塑性弾性重合体(C−1)15質量部をシリンダー途中のベント口より供給し、溶融混練してポリアミド樹脂組成物を得た。この樹脂特性値は強度、弾性率、シャルピー衝撃強度、熱変形温度すべてにおいて優れた特性を有していた。成形品のモルフォロジー構造はポリアミド中に熱可塑性弾性重合体が微分散接着しており、無機充填材は直接ポリアミドに分散接着しており、板状無機充填材の周りには熱可塑性弾性重合体は接着していなかった。
〔比較例1〕
比較例1はポリアミド樹脂(A−1)100質量部を押出し機ホッパー口より投入し溶融混練を実施した。
〔比較例2〕
比較例2はポリアミド樹脂(A−1)85質量部、熱可塑性弾性重合体(C−1)15質量部を同時にブレンド後、押出機ホッパー口より投入し溶融混練を実施した。この樹脂特性値は比較例1と比較すればシャルピー衝撃は向上したが、強度、弾性率、ヒートサグ値は低下した。成形品のモルフォロジー構造は熱可塑性弾性重合体が微分散接着していた。
〔比較例3〕
比較例3はポリアミド樹脂(A−1)60質量部、無機充填材(B−2)25質量部、熱可塑性弾性重合体(C−1)15質量部を同時にブレンド後、押出機ホッパー口より投入し溶融混練を実施した。比較例3は実施例1と同組成であるにもかかわらず、得られた成形品の強度、弾性率、衝撃強度ともに大きく低かった。成形品のモルフォロジー構造は熱可塑性弾性重合体が無機充填材の回りを囲むように接着しており、熱可塑性弾性重合体は微分散できず粗大化しているものが確認できた。強度、弾性率が大幅に低下したのは無機充填材の周囲を熱可塑性弾性重合体が囲んでいるため本来の無機充填材添加目的である強度、弾性率向上作用が低下したためであり、無機充填材によって熱可塑性弾性重合体の分散が阻害された結果、衝撃強度も向上しなかったと考える。
〔比較例4〕
実施例1の無機充填材を(B−1)に変更した以外は実施例1を繰り返してポリアミド樹脂組成物を得た。比較例4は無機充填材の添加により、成形品の強度、弾性率、ヒートサグ値が向上しているものの、シャルピー衝撃強度が大幅に低下している。成形品のモルフォロジー構造は、反応性官能基を有する熱可塑性樹脂が2μm以下にポリアミド中に微分散しているが、無機充填材は6〜10μmの粒子径でポリアミド中に分散していた。粗大な無機充填材が破壊起点となり衝撃強度が大幅に低下したと考える。
表1に示された結果から明らかなように、本発明のポリアミド樹脂組成物から得られる成形物は、強度、剛性、伸度、耐衝撃性、耐熱性いずれにおいても優れていることが判る。
本発明のポリアミド樹脂組成物の成形物は自動車外板部材としての、強度、剛性、伸度、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性を同時に満足することから、自動車外板部材として有用である。
本発明実施例1の電子顕微鏡写真 比較例3ポリアミド系導電性樹脂組成物の電子顕微鏡写真

Claims (6)

  1. (A)ポリアミド樹脂、(B)無機充填材および(C)前記ポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体を含有し、板状無機充填材およびポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体がポリアミド樹脂中に互いに独立して分散しており、分散した無機充填材の平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ分散したポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体の平均粒子径が0.05〜2μmであることを特徴とする自動車外板部材。
  2. (C)ポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体の含有量が、(A)成分のポリアミド樹脂100質量部に対して2〜50質量部である請求項1に記載の自動車外板部材。
  3. (B)板状無機充填材が、(A)成分のポリアミド樹脂100質量部に対して5〜65質量%含む請求項1〜2に記載の自動車外板部材。
  4. (B)板状無機充填材のアスペクト比の平均値が3〜50であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の自動車外板部材。
  5. ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品のシャルピー衝撃強度が40kJ/m2以上であり、かつ曲げ弾性率が1600MPa以上である請求項1〜4いずれかに記載の自動車外板部材。
  6. ポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の自動車外板部材。

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