JP2009144058A - 自動車外板部材。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】A)ポリアミド樹脂、(B)無機充填材および(C)前記ポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体を含有し、板状無機充填材およびポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体がポリアミド樹脂中に互いに独立して分散しており、分散した無機充填材の平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ分散したポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体の平均粒子径が0.05〜2μmであることを特徴とする自動車外板部材。
【選択図】なし
Description
特に自動車外板部材においては、寸法変化が大きいと、他の部材との間隙を大きく設定する必要があり、商品品位上の問題となっていた。
従来から、これらの問題を解決するために、上記樹脂組成物に充填材を添加する検討がなされてきたが、剛性と寸法安定性が向上するのに対し、耐衝撃性が著しく低下する傾向がある。前記問題を解決するため、各組成物のモルフォロジー構造を特定することが提案されているが(特許文献3)、それでも添加された無機充填材によって、衝撃強度は大きく低下してしまい、実際の自動車外板に用いる際には大きな問題となっていた。
本発明のポリアミド樹脂組成物における板状無機充填材の含有量は、5〜65質量%、好ましくは10〜50質量%である。
また本発明のポリアミド樹脂組成物は下記のモルフォロジー構造を有する。即ち、板状無機充填材および前記のポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体は、ポリアミド樹脂をマトリックスとしその中に互いに独立して分散しており、分散した板状無機充填材の円相当平均粒子径は0.1〜5μm、好ましくは0.3〜3μmであり、かつ分散したポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体の平均粒子径は0.05〜2μm、好ましくは0.1〜0.8μmである。かつ、無機充填材とポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体は相互に独立して分散している。なおこれらの粒子は部分的あるいは局部的に相互接着していてもよいが無機充填材の周囲を該熱可塑性弾性重合体が囲み込む状態は好ましくない。
このような組成、およびモルフオロジー構造を有する場合に、ポリアミド樹脂組成物は強度、剛性、耐熱性、寸法安定性を保持しつつ同時に極めて優れた耐衝撃性を有する自動車外板部材とすることができるのである。
本発明におけるポリアミド樹脂とは、分子中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、具体的には、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドン等から得られる重合体又は共重合体:ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン等のジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等のジカルボン酸とを重縮合して得られる重合体又は共重合体もしくはこれらのブレンド物等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
また、板状無機充填材のアスペクト比は3〜50が好ましく、より好ましくは5〜40である。アスペクト比が3未満であると剛性及び寸法安定性の効果が不十分となり、反対にアスペクト比が50以上であると、樹脂中への分散化が困難になる。
これらの無機充填材の含有量は、5〜65質量%、好ましくは10〜50質量%である。無機充填材の含有量が5質量%未満であれば補強効果が少なく、反対に65質量%より多いと成形品が脆くなったり、成形時の流動性不良、成形品の外観不良が発生し好ましくない。
カップリング剤としてはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等いずれを使用してもよいが、そのなかでも特にアミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤が好ましい。これらのシラン系カップリング剤はポリアミド樹脂のカルボキシル末端基、又はアミノ末端基と反応し無機充填材とポリアミド樹脂を化学的に結合させ、強度、弾性率、伸度、耐衝撃性を向上させる働きをする。カップリング剤の添加量は無機充填材100質量部に対し0〜3質量部とするのがよい。
ポリアミド樹脂以外の反応性を有する熱可塑性弾性重合体が板状無機充填材を直接囲むようなモルフォロジー構造をもたせた場合、板状無機充填材を添加する目的である強度、剛性、耐熱性改良効果がうすれてしまうため好ましくない。
また、ポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性弾性重合体のポリアミド樹脂内の分散粒径は平均約2μm以下、好ましくは0.5μm以下である。2μmを超えると粒子間の距離が長くなり、強度、伸度、耐衝撃性が低下し好ましくない。
即ち、溶融混練機(例えば溶融押出機、溶融反応釜)にポリアミド樹脂とポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性弾性重合体を均一に溶融混練し、ポリアミド樹脂中該熱可塑性弾性重合体を均一に微分散させた後板状無機充填材を投入しポリアミド樹脂内に無機充填材を均一に分散させる.又は溶融混練機でポリアミド樹脂と板状無機充填材を溶融混練し、ポリアミド樹脂内に均一に無機充填材を分散させた後、ポリアミド樹脂以外の反応性基を有する熱可塑性弾性重合体を投入しポリアミド樹脂内に該熱可塑性弾性重合体を均一に微分散させる。しかし、本発明のポリアミド組成物の調製はかかる特定のブレンド方法に限られるものではなく、前記の組成およびモルフォロジー構造が得られる限り勿論他のブレンド方法を用いることができる。
また以下の実施例、比較例において示した各特性、物性値は下記の試験方法で測定した。
(1)曲げ強度、曲げ弾性率
ISO178に準拠して測定した。
(2)シャルピー衝撃強度(ノッチ付)
ISO179に準拠して測定した。
(3)ヒートサグ値(試験温度180℃、試験片厚さ3.2mm)
JIS7195に準拠して測定した。
(4)成形品のモルフォロジー観察方法
各ポリアミド樹脂組成物について、日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡を使用したTEM観察を行った。観察用試料は、上記曲げ特性に供した試料と同形状の試料の中央部から試料を切り出し、樹脂流れ方向に対し垂直な面の凍結切片を得て、該切片をリンタングステン酸溶液で30分間染色して、さらにカーボン蒸着を施して作製した。TEM観察は日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡で200kvの加速電圧、直接倍率5000倍にて行い写真撮影を行った。次いで、得られた写真を画像解析装置に供することで、約100個のドメインの平均粒子径を求めた。当該装置では、ドメインの観察像が楕円形状である場合は、球に換算した直径を粒子径であるとみなす。
<ポリアミド樹脂>
(A−1)ポリアミド樹脂:ナイロン6(東洋紡績株式会社製、銘柄T−803(分子量=16000、アミノ末端量=58meq/kg、カルボキシ末端量=58meq/kg))
<無機充填材>
(B−1)タルク:ミクロン406(林化成株式会社製、平均粒子径=5μm)
(B−2)カオリン:ASP200(林化成株式会社製、平均粒子径=0.4μm)
<反応性官能基を有する熱可塑性樹脂>
(C−1)変性エチレン−αオレフィン共重合体:タフマーMH−7020(三井化学株式会社製)
表1に示す組成を、サイドフィード口を持つ2軸押出機(東芝機械株式会社製、TEM35)を用いて溶融混練を行い、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。なお2軸押出し機のシリンダー温度は240〜280℃である。得られたペレットは射出成形機(東芝機械株式会社製、IS80)でISO規格のテストピースを成形し、物性測定に供した。射出成形機の成形条件はシリンダー温度280℃、金型温度80℃である。
〔実施例1〕
実施例1はポリアミド樹脂(A−1)60質量部、板状無機充填材(B−2)25質量部を同時にブレンド後押出し機ホッパー口より供給し、熱可塑性弾性重合体(C−1)15質量部をシリンダー途中のベント口より供給し、溶融混練してポリアミド樹脂組成物を得た。この樹脂特性値は強度、弾性率、シャルピー衝撃強度、熱変形温度すべてにおいて優れた特性を有していた。成形品のモルフォロジー構造はポリアミド中に熱可塑性弾性重合体が微分散接着しており、無機充填材は直接ポリアミドに分散接着しており、板状無機充填材の周りには熱可塑性弾性重合体は接着していなかった。
〔比較例1〕
比較例1はポリアミド樹脂(A−1)100質量部を押出し機ホッパー口より投入し溶融混練を実施した。
〔比較例2〕
比較例2はポリアミド樹脂(A−1)85質量部、熱可塑性弾性重合体(C−1)15質量部を同時にブレンド後、押出機ホッパー口より投入し溶融混練を実施した。この樹脂特性値は比較例1と比較すればシャルピー衝撃は向上したが、強度、弾性率、ヒートサグ値は低下した。成形品のモルフォロジー構造は熱可塑性弾性重合体が微分散接着していた。
〔比較例3〕
比較例3はポリアミド樹脂(A−1)60質量部、無機充填材(B−2)25質量部、熱可塑性弾性重合体(C−1)15質量部を同時にブレンド後、押出機ホッパー口より投入し溶融混練を実施した。比較例3は実施例1と同組成であるにもかかわらず、得られた成形品の強度、弾性率、衝撃強度ともに大きく低かった。成形品のモルフォロジー構造は熱可塑性弾性重合体が無機充填材の回りを囲むように接着しており、熱可塑性弾性重合体は微分散できず粗大化しているものが確認できた。強度、弾性率が大幅に低下したのは無機充填材の周囲を熱可塑性弾性重合体が囲んでいるため本来の無機充填材添加目的である強度、弾性率向上作用が低下したためであり、無機充填材によって熱可塑性弾性重合体の分散が阻害された結果、衝撃強度も向上しなかったと考える。
〔比較例4〕
実施例1の無機充填材を(B−1)に変更した以外は実施例1を繰り返してポリアミド樹脂組成物を得た。比較例4は無機充填材の添加により、成形品の強度、弾性率、ヒートサグ値が向上しているものの、シャルピー衝撃強度が大幅に低下している。成形品のモルフォロジー構造は、反応性官能基を有する熱可塑性樹脂が2μm以下にポリアミド中に微分散しているが、無機充填材は6〜10μmの粒子径でポリアミド中に分散していた。粗大な無機充填材が破壊起点となり衝撃強度が大幅に低下したと考える。
Claims (6)
- (A)ポリアミド樹脂、(B)無機充填材および(C)前記ポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体を含有し、板状無機充填材およびポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体がポリアミド樹脂中に互いに独立して分散しており、分散した無機充填材の平均粒子径が0.1〜5μmであり、かつ分散したポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体の平均粒子径が0.05〜2μmであることを特徴とする自動車外板部材。
- (C)ポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体の含有量が、(A)成分のポリアミド樹脂100質量部に対して2〜50質量部である請求項1に記載の自動車外板部材。
- (B)板状無機充填材が、(A)成分のポリアミド樹脂100質量部に対して5〜65質量%含む請求項1〜2に記載の自動車外板部材。
- (B)板状無機充填材のアスペクト比の平均値が3〜50であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の自動車外板部材。
- ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品のシャルピー衝撃強度が40kJ/m2以上であり、かつ曲げ弾性率が1600MPa以上である請求項1〜4いずれかに記載の自動車外板部材。
- ポリアミド樹脂以外の反応性官能基を有する熱可塑性弾性重合体がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の自動車外板部材。
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