JP5516032B2 - ガスバリア性積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、飲食品、医薬品及び電子部材等の包装材料として用いられるガスバリア性積層体、及び、ディスプレイ等の、酸素及び水蒸気に感受性である表示素子の劣化を抑えるために使用されるガスバリア性積層体に関する。
本発明のガスバリア性積層体の主な用途としては、封止用部材、特にディスプレイの有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)や電子ペーパー等の表示素子の封止用部材であるが、ディスプレイ用フィルム基板、照明用フィルム基板、太陽電池用フィルム基板、サーキットボード用フィルム基板、電子ペーパー、電気泳動インク若しくは有機半導体などの支持基材、並びに、飲食品、医薬品及び電子部材の包装部材等、ガスバリア性を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
近年、包装分野では、内容物の保存や包装形態の維持、品質保証等において、飲食品や医薬品、電子部材等の包装材料として、またディスプレイ分野では、酸素及び水蒸気に感受性である表示素子の劣化を抑えるために、酸素及び水蒸気の透過を防ぐガスバリア性積層体が用いられている。
これらのガスバリア性積層体は、通常、その表面からの酸素及び水蒸気の浸入を防ぐことを目的として、基材層やガスバリア性付与層等が積層された構成を有し、接着剤を用いずに蒸着や共押出し成形のみにより積層して得られるものと(特許文献1及び2)、接着剤を用いてラミネートにより積層して得られるものとがある(特許文献3)。
電子部材の包装材料や表示素子の封止用部材として使用される積層体には、極めて高いガスバリア性が要求され、この要求を満たすものとして、2枚又はそれ以上のガスバリア性フィルムを接着剤で接着して、そのガスバリア性を向上させた積層体を使用することができる。このようなガスバリア性積層体は、その表面からの酸素及び水蒸気の透過を好適に防ぐことができる。
しかしながら、酸素及び水蒸気は、該ガスバリア性積層体の端面、すなわち側面からも浸入し、特に、フィルム同士を接着する接着剤層からも浸入し、内容物の劣化を促すことが分かった。
特開2003−340956号公報 特開2007−130857号公報 特開2005−161691号公報
したがって、本発明は、表面からだけでなく、端面からの酸素及び水蒸気の浸入も防ぐことができ、且つ、種々の包装用途及びディスプレイ分野に適用することができる透明性を兼ね備えたガスバリア性積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々研究の結果、第1の透明ガスバリア性フィルムと、該第1の透明ガスバリア性フィルム上に積層された第1の接着性樹脂層と、該接着性樹脂層上に積層された第2の透明ガスバリア性フィルムと、該第2の透明ガスバリア性フィルム上に積層された第2の接着性樹脂層と、該第2の接着性樹脂層上に積層されたシーラントフィルムとを有する積層体であって、該第1及び第2の接着性樹脂層が、架橋性基を有するフッ素含有共重合体と該架橋性基と反応する硬化剤とにより形成されたフッ素系樹脂からなる層であり、そして該シーラントフィルムがポリオレフィン系樹脂からなるシーラントフィルムであることを特徴とする積層体が、上記の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.第1の透明ガスバリア性フィルムと、該第1の透明ガスバリア性フィルム上に積層された第1の接着性樹脂層と、該接着性樹脂層上に積層された第2の透明ガスバリア性フィルムと、該第2の透明ガスバリア性フィルム上に積層された第2の接着性樹脂層と、該第2の接着性樹脂層上に積層されたシーラントフィルムとを有する積層体であって、該第1及び第2の接着性樹脂層が、架橋性基を有するフッ素含有共重合体と該架橋性基と反応する硬化剤とにより形成されたフッ素系樹脂からなる層であり、そして該シーラントフィルムがポリオレフィン系樹脂からなるシーラントフィルムであることを特徴とする積層体。2.前記フッ素含有共重合体が、少なくともフルオロオレフィン単量体と水酸基含有単量体とを単量体成分として含むことを特徴とする、上記1に記載の積層体。
3.前記硬化剤が、有機ポリイソシアネート化合物であることを特徴とする、上記1又は2に記載の積層体。
4.前記第1の接着性樹脂層及び前記第2の接着性樹脂層のうちの少なくとも一方が、さらにシランカップリング剤を含有することを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の積層体。
5.前記第1の透明ガスバリア性フィルム及び前記第2の透明ガスバリア性フィルムのうちの少なくとも一方が、基材層と、該基材層上に蒸着された無機酸化物蒸着層とを有する蒸着フィルムであることを特徴とする、上記1〜4のいずれかに記載の積層体。
6.前記蒸着フィルムが、さらに、前記無機酸化物蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を有し、該ガスバリア性塗布膜は、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による膜であることを特徴とする、上記5に記載の積層体。
7.前記第1の接着性樹脂層及び前記第2の接着性樹脂層の層厚が、それぞれ2〜6μmであることを特徴とする、上記1〜6のいずれかに記載の包装袋。
8.本発明に規定する測定方法において、端面からの水蒸気透過度が、30g/m2・day以下であることを特徴とする、上記1〜7のいずれかに記載の積層体。
本発明によれば、2枚又はそれ以上の透明ガスバリア性フィルム及び1枚のシーラントフィルムを、酸素及び水蒸気に対する高いバリア性を有し、且つ耐熱性及び接着性に優れるフッ素系樹脂を用いて貼り合わせることにより、表面からだけでなく、端面からの酸素及び水蒸気の浸入も防ぐことができ、且つ透明性を兼ね備えたガスバリア性積層体を得ることができる。以下、本発明において、表面からの酸素及び水蒸気の浸入を防ぐ能力を表面ガスバリア性と呼び、端面からの酸素及び水蒸気の浸入を防ぐ能力を端面ガスバリア性と呼ぶ。
本発明において、フッ素系樹脂からなる接着性樹脂層は、該層中への酸素及び水蒸気の浸透が防がれるだけでなく、該層と透明ガスバリア性フィルム及びシーラントフィルムとの界面に酸素及び水蒸気が浸入するのを防ぐことができる。したがって、本発明の積層体からなる包装袋中に有機ELや電子ペーパー等の表示素子を封入することにより、酸素や水蒸気への暴露によるこれら電子部材の劣化を有意に防ぐことができる。
また、透明ガスバリア性フィルムとして、基材層と、該基材層上に蒸着された無機酸化物蒸着層とを有する蒸着フィルムを用いると、該基材層と該蒸着層及び該蒸着層と接着性樹脂層との間に、本発明の目的に好適な、強固な接合を有する界面が形成される。
さらに、前記無機酸化物蒸着層上に、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物からなるガスバリア性塗布膜を設けることにより、端面ガスバリア性及び表面ガスバリア性を一層向上させることができる。
また、本発明においては、シーラントフィルムとして、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムを用いる。このポリオレフィン系樹脂からなるシーラントフィルムは、それ自体が酸素及び水蒸気に対して良好なガスバリア性を有するため、積層体の表面ガスバリア性を向上させ、さらに、端面ガスバリア性の低下を防ぐことができる。
本発明にかかる積層体の層構成について、一例を示す概略的断面図である。 本発明にかかる積層体の層構成について、他の一例を示す概略的断面図である。 本発明にかかる積層体の層構成について、他の一例を示す概略的断面図である。
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
<1> 本発明の積層体の層構成
本発明にかかる積層体としては、例えば、図1に示すように、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルム(1a,1b)、第1及び第2の接着性樹脂層(2a,2b)、並びにシーラントフィルム(3)からなることを基本構造とする積層体を挙げることができる。
また、本発明にかかる積層体の一例として、図2に示すように、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルムがそれぞれ、基材層(4)と無機酸化物蒸着層(5)とからなる蒸着フィルムである積層体が挙げられる。
さらに、本発明にかかる積層体の一例として、図3に示すように、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルムがそれぞれ、基材層(4)、無機酸化物蒸着層(5)及びガスバリア性塗布膜(6)からなる蒸着フィルムである積層体が挙げられる。
<2> 接着性樹脂層
本発明にかかる積層体を構成する接着性樹脂層は、架橋性基を有するフッ素含有共重合体と、該架橋性基と反応する硬化剤とにより形成されたフッ素系樹脂からなる。該接着性樹脂層は、第1の透明ガスバリア性フィルムと第2の透明ガスバリア性フィルムとを優れた接着力で接着し、また第2の透明ガスバリア性フィルムとシーラントフィルムとを優れた接着力で接着し、さらに、端面から積層体内部への酸素及び水蒸気の透過を防止する役割を果たす。
フッ素含有共重合体
本発明において用いるフッ素含有共重合体は、汎用の有機溶剤に可溶な重合体であって、フルオロオレフィン単量体(A)と、そのフルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)とを単量体成分とするものである。
フルオロオレフィン単量体(A)としては、たとえば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどを挙げることができる。高い接着強度が得られることから、好ましくは、式1:CF2=CFX〔式中、Xはフッ素原子、塩素原子、水素原子ないしトリフルオロメチル基である〕で表されるトリフルオロエチレンであり、さらに好ましくは式中のXが塩素原子であるクロロトリフルオロエチレンである。
フルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)としては、架橋性基として水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基又は加水分解性シリル基を有する単量体が挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル等の水酸基含有単量体、グリシジルビニルエーテルやグリジジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体、アクリル酸やメタアクリル酸等のカルボキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有単量体、アミノアルキルビニルエーテルやアミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基含有単量体、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有単量体を挙げることができるが、グラビアコート法により加工がし易く、かつ適度な硬化速度が得られるため、水酸基含有単量体、特に式2:CH2=CHR1〔式中、R1は−OR2ないし−CH2OR2(但し、R2は水酸基を有するアルキル基)である〕で表される水酸基含有単量体を用いることが特に好ましい。
本発明に用いるフッ素含有共重合体は、フルオロオレフィン単量体及び架橋性基含有単量体に加え、さらに必要に応じて、塗工性や塗膜特性(硬度や可撓性等)を向上させるため、上記2種の単量体と共重合可能な単量体を共重合して含有することができる。このような単量体としては、式3:CH2=CR(CH3)〔式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である〕で表されるβ−メチル置換α−オレフィン単量体(C)、式4:CHR3=CHOR3(CH3)〔式中、R3は炭素数1〜8のアルキル基である〕で表されるビニルエーテル単量体(D)、式5:CH2=CHR3〔式中、R3は−OR4ないし−CH2OR4(但し、R4はカルボキシル基を有するアルキル基)である〕で表されるビニルエーテル単量体(E)、及び、架橋性官能基を有さず、かつ、前記式1〜5の単量体と共重合し得る他の単量体(F)が挙げられる。
本発明において、(A)から(F)の単量体をすべて含む共重合体は、塗工性が安定化されるために特に好ましい。
本発明に用いるフッ素含有共重合体は、フルオロオレフィン単量体(A)と、そのフルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)を必須成分として含み、必要に応じて(C)、(D)、(E)及び(F)の単量体から選択された少なくとも1種の単量体を加えて乳化重合、溶液重合、懸濁重合などの周知の方法で共重合することにより得ることができる。
本発明のフッ素含有共重合体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算での値として、1000〜500000、好ましくは3000〜100000のものである。数平均分子量が1000より小さいと、水蒸気及び酸素に対するバリア性が低下し得る。また500000より大きいと、塗工性に劣る場合がある。
本発明のフッ素含有共重合体中のフルオロオレフィン単量体(A)と、そのフルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)との組成比は、モル換算で、(A):(B)が1:1〜10:1であることが好ましく、特に好ましくは、2:1〜5:1である。単量体(A)の比率が低すぎると水蒸気及び酸素に対するバリア性が低下し得、また高すぎると塗工性に劣る場合があるため、好ましくない。
単量体(C)、(D)、(E)及び(F)の合計量は特に限定されず、本発明の効果が損なわれない範囲であればよいが、例えば、単量体全体の合計量に対して、5〜30モル%であると好ましく、10〜25モル%であるとさらに好ましい。単量体(C)、(D)、(E)及び(F)の間の組成比は、用途に応じて適宜に設定することができる。
本発明において用いられるフッ素含有共重合体には、必要に応じて、当業者に既知の配合剤を添加してもよい。
硬化剤
本発明に用いる硬化剤には、上述の架橋性基と反応して架橋結合を形成する化合物を用いることができる。水酸基含有単量体に対する硬化剤としては、イソシアネート基又はカルボキシル基を有する化合物であり、好適な硬化反応速度が得られるため、イソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート化合物が好ましい。有機ポリイソシアネート化合物には、たとえば、2,4ートリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、及びこれらの三量体、これらのアダクト体やビューレット体、あるいは、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらに、ブロック化されたイソシアネート類などを挙げることができる。好ましくは、イソホロンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートの三量体である。フッ素含有共重合体との相溶性が良く、適度な硬化速度を有し、高いラミネート強度を有するからである。また、エポキシ基含有単量体に対する硬化剤には、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基又はイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。
また、カルボキシル基含有単量体に対する硬化剤には、水酸基、アミノ基、イソシアネート基又はエポキシ基を有する化合物を用いることができる。また、アミド基含有単量体に対する硬化剤には、エポキシ基を有する化合物を用いることができる。また、アミノ基含有単量体に対する硬化剤には、カルボキシル基、エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。また、加水分解性シリル基含有単量体に対する硬化剤には、アミノ基又はイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。
なお、上記の水酸基を有する化合物には、例えば、1,4−ビス−2’−ヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート等を挙げることができる。また、上記のカルボキシル基を有する化合物には、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸等の脂肪族二塩基酸や無水フタル酸等の酸無水物を挙げることができる。また、上記のエポキシ基を有する化合物には、テレフタル酸ジグリシジルエステル、パラオキシ安息香酸ジグリシジルエステル等を挙げることができる。
シランカップリング剤
本発明において、接着性樹脂層は、フッ素系樹脂に加えてさらに、接着強度を高め、酸素及び水蒸気に対するバリア性を高めるために、シランカップリング剤を含有してもよい。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
本発明においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。これらのシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。
シランカップリング剤の配合量としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜に設定することができるが、例えば、フッ素系樹脂に対して、0.05〜10質量%であると好ましく、0.1〜5質量%であるとさらに好ましい。0.05質量%未満であると、十分な効果が得られず、また10質量%より多いと、反応速度が遅くなるため好ましくない場合がある。
接着性樹脂層の調製方法
本発明に用いる接着性樹脂層の調製方法を、水酸基を含有するフッ素含有共重合体を例に取り説明する。水酸基を含有するフッ素含有共重合体および硬化剤を、たとえば、酢酸エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族炭化水素等の1ないし2種以上を混合した溶媒に溶解する。ここで、硬化剤は、フッ素含有共重合体中の架橋性基、例えば水酸基(−OH基)1当量に対して、硬化剤中の該架橋性基と反応する基、例えばイソシアネート基又はカルボキシル基が0.1〜5.0当量、好ましくは0.5〜1.5当量となる量で添加される。このフッ素含有共重合体及び硬化剤を溶解した溶液を、ロールコート法、グラビアコート法、バーコート法等の周知の塗布方法を用いて、第1の透明ガスバリア性フィルム上に塗布・乾燥することにより、第1の接着性樹脂層を形成し、同様に第2のガスバリア性フィルム上に塗布・乾燥することにより、第2の接着性樹脂層を形成する。第1の接着性樹脂層及び第2の接着性樹脂層の層厚としては、それぞれ2〜6μm、より好ましくは3〜5μmである。ラミネート強度を確保する上から2μm以上は必要であるが、端面からの水分透過をできる限り小さくするためには、接着剤樹脂層の厚さはできる限り薄い方がよく、該層厚が6μmを超えると、表示素子などの封止用部材として要求される端面ガスバリア性を維持できない可能性がある。
<3> 透明ガスバリア性フィルム
本発明の積層体を構成する透明ガスバリア性フィルムとしては、用途に応じて種々の透明ガスバリア性フィルムを使用することができるが、表示素子の封止用部材として使用するためには、表面からの水蒸気透過度が0.1g/m2・day以下である透明フィルムを使用することが好ましい。なお、本発明において、表面からの水蒸気透過度は、ASTM
F1249−90に準じて、60℃、90%RHの環境下で、MOCON社製AQUATRANを使用して測定した値である。また、本発明において透明とは、用途に応じて必要な透明性を有していればよく、無色または有色で透明なものも含まれるが、特にディスプレイの表示素子などの封止用部材として使用する場合は、高い透明性が要求され、例えば、可視光域380nm〜780nmにおける平均光透過率が80%以上である場合を言う。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
蒸着フィルム
本発明において用いる透明ガスバリア性フィルムとして、例えば、基材層と、該基材層上に蒸着された無機酸化物蒸着層とを有する蒸着フィルムを使用することが特に好ましい。
該蒸着フィルムは、優れた表面ガスバリア性及び透明性を示すだけでなく、基材層と無機酸化物蒸着層との間の密着性が高く、層間の界面に酸素及び水蒸気が比較的浸入しにくいため、良好な端面ガスバリア性を示す。
基材層
このような蒸着フィルムの基材層としては、化学的ないし物理的強度に優れ、無機酸化物蒸着層を形成する条件等に耐え、それら無機酸化物蒸着層の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができるプラスチックフィルムを使用することができる。
このようなプラスチックフィルムとしては、具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状オレフィンコポリマーフィルム、環状オレフィンポリマーフィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリイミドフィルム、TACフィルムその他の各種の樹脂のフィルム、ないしシートを使用することができる。
特にディスプレイの表示素子などの封止用部材として使用する場合は、透明性・耐熱性の観点から、上記のプラスチック材料からなるフィルムの中でも、特に環状オレフィンコポリマーからなるフィルムを使用することが好ましい。
本発明において、基材層の層厚としては、12〜400μm、より好ましくは50〜200μmが望ましい。
プラスチックフィルムは、必要に応じて、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガスなどを用いて低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品などを用いて処理する酸化処理、その他の前処理を任意に施すことができる。また、上記表面前処理は、プラスチックフィルムと無機酸化物蒸着層との密着性を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密着性を改善する方法として、例えば、プラスチックフィルムの表面に、あらかじめ、プライマーコート剤層、アンダーコート層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層などを任意に形成することもできる。
無機酸化物蒸着層
本発明において好適な無機酸化物蒸着層は、上記の基材層及び接着性樹脂層との密接着性、透明性、並びに表面及び端面ガスバリア性の観点から、以下に説明する無機酸化物からなる蒸着層を適用することができる。
無機酸化物蒸着層を形成する材料としては、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する物であればよく、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物であるが、特に、ガスバリア性、生産効率の点などから、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素のいずれかが好ましい。
無機酸化物蒸着層の形成方法としては、真空蒸着法、反応蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等の真空成膜法で行なうことが挙げられる。
また、無機酸化物蒸着層は、1回の蒸着工程により形成される単層からなっていてもよく、又は蒸着工程を複数回繰り返すことにより形成される多層構造であってもよい。多層構造である場合には、各層は、同一の材料からなっていても、又は異なる材料からなっていてもよく、また同一の形成方法により形成されても、又は異なる形成方法により形成されてもよい。例えば、基材層上に、化学気相成長法によって酸化ケイ素からなる蒸着膜を形成し、次いで物理気相成長法によって酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成してもよい。
無機酸化物蒸着層の層厚としては、層全体の厚さとして、5〜100nm、より好ましくは10〜50nmの範囲で適宜設定することができる。100nmを超えると、フレキシビリティ性が低下し、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外力で、蒸着層に亀裂を生じる恐れがあり、透明性が低下したりし、また、材料自身の応力が大きくなり、着色したりして好ましくない。また、上記の厚さが100nmを超えると、生産性を著しく低下させ、さらに異常粒の成長から突起が形成される傾向があるので好ましくない。また一方で、無機化合物層の厚さが5nm未満では、透明性は良いが、均一な層が得られにくく、またガスバリア性の機能を十分に果たすことが難しい。
ガスバリア性塗布膜
本発明においては、上記無機酸化物蒸着層上に、さらに以下で説明するようなガスバリア性塗布膜を設けることによって、一層優れた表面ガスバリア性が得られるだけでなく、上記接着性樹脂層との密接着性が高まり、さらに高い端面ガスバリア性が得られる。
本発明において、ガスバリア性塗布膜とは、アルコキシドと水溶性高分子とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布し乾燥させてなる膜である。
該ガスバリア性組成物において用いることができるアルコキシドとしては、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドを好ましく用いることができる。
また、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか又はその両方を好ましく用いることができる。
本発明において、一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、金属原子Mとして、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムその他を使用することができる。また、本発明において、単独又は二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うことができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基その他のアルキル基を挙げることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基その他を挙げることができる。
尚、本発明において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することができ、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH34、テトラエトキシシラン Si(OC254、テトラプロポキシシラン Si(OC374、テトラブトキシシラン Si(OC494等が挙げられる。
また、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、上記のアルコキシドの合計量100質量部に対して5〜500質量部の範囲であることが好ましい。上記において、500質量部を超えると、形成されるガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、その耐侯性等も低下することから好ましくない。
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂として、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製PVA110(ケン化度=98〜99%、重合度=1100)、PVA117(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)、PVA124(ケン化度=98〜99%、重合度=2400)、PVA135H(ケン化度=99.7%以上、重合度=3500)、同社製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1400)及びゴーセノールNH−18(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)等を使用することができる。
また、本発明において、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。このようなケン化物には、酢酸基が数十モル%残存する部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないか又は酢酸基が全く残存していない完全ケン化物までが包含される。特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、ケン化度が80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であるものを使用することが望ましい。また、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%であるものを使用することが好ましい。上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
本発明において、本発明に係るガスバリア性塗布膜を形成するガスバリア性組成物を調製するには、シランカップリング剤等も添加することができる。好適に用いられるシランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
本発明において用いられるガスバリア性組成物は、アルコキシドと水溶性高分子とを、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾルゲル法によって加水分解及び、重縮合することにより調製することができる。
ガスバリア性塗布膜は、ガスバリア性組成物を上記無機酸化物蒸着層の上に塗布し、20℃〜200℃、好ましくは140℃以上、且つ基材層を構成するプラスチックフィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理することにより形成することができる。
また、上記のガスバリア性組成物の調製において用いられる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸その他を使用することができる。更に、有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等を用いることができる。
更に、上記のガスバリア性組成物に関して、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む塗工液中で溶解した状態にあることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択される。本発明において、溶剤中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(日本合成化学社製)として市販されているものを使用することができる。
上記のガスバリア性組成物を、無機酸化物蒸着層の上に塗布し、加熱して溶媒及び重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、透明なガスバリア性塗布膜が形成される。
更に、加水分解によって生じた水酸基や、シランカップリング剤由来のシラノール基が無機酸化物蒸着層の表面の水酸基と結合する為、該無機酸化物蒸着層とガスバリア性塗布膜との密接着性等が良好なものとなる。
上述のように形成されることにより、本発明のガスバリア性塗布膜は、結晶性を有する直鎖状ポリマーを含み、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造を取る。このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高いため、良好な表面ガスバリア性を示す。
本発明においては、無機酸化物蒸着層とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合による化学結合、水素結合、或いは、配位結合等を形成し、これら2層間の密着性が向上し、相乗効果により、より良好な表面ガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
本発明において、上記のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により、1回或いは複数回の塗布で、乾燥膜厚が0.01〜30μm、好ましくは0.1〜10μmのガスバリア性塗布膜を形成することができる。
また、本発明において、より高い表面ガスバリア性を得るために、ガスバリア性塗布膜を設けた後で、さらに無機酸化物蒸着層とガスバリア性塗布膜とを、この順序で、交互に1回又はそれ以上繰り返し積層し、且つガスバリア性塗布膜が最外層となるように形成して、透明ガスバリア性フィルムとしてもよい。
<4> シーラントフィルム
本発明において、シーラントフィルムとは、常温で非粘着性のフィルムであって、熱により溶融させてから、同じく熱により溶融させたシーラントフィルムと重ね合わせ、圧着し、冷却することによって、互いに接着するフィルムである。ここで、常温とは、JIS
Z 8703に基づき、5℃から35℃の範囲にある温度状態をいう。非粘着性とは、JIS Z 0237に準じて測定した180度ひきはがし法の試験で測定不能なものをいう。
本発明の積層体を構成するシーラントフィルムは、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラントフィルムである。
ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体等のポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂等が、単体で又は2種又はそれ以上の混合物として、場合によっては任意の添加剤を含有する樹脂組成物として使用される。なお、ポリオレフィン系樹脂が任意の添加剤を含有して樹脂組成物として使用される場合、該組成物は、粘着付与剤、例えば脂肪族炭化水素、環状脂肪族炭化水素、水添石油樹脂等の飽和石油樹脂は含まない。
ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムは、ポリオレフィン系樹脂からなる単層のフィルムであっても、ポリオレフィン系樹脂からなる層を最外層として有する共押出しフィルムであってもよい。優れた端面ガスバリア性を維持するためには、ポリオレフィン系樹脂からなる単層のフィルム、又は全ての層がポリオレフィン系樹脂からなる層である共押出しフィルムであることが好ましい。
本発明において、シーラントフィルムは、第2の接着性樹脂層を介して、第2の透明ガスバリア性フィルム上に積層する。なお、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムが共押出しフィルムである場合は、ポリオレフィン系樹脂からなる層が、最外層となるように積層する。
シーラントフィルムを、フッ素系樹脂からなる上述の接着性樹脂層を介して積層することによって、積層体の総厚みが厚くなるにもかかわらず、高い端面ガスバリア性を維持したまま、シーラントフィルムと第2のガスバリア性フィルムとを高い密着強度で貼り合わせることができる。
ポリオレフィン系樹脂は防水性を示すため、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラントフィルムを貼り合わせることにより、積層体の表面ガスバリア性を向上させ、さらに、端面ガスバリア性の低下を防ぐことができる。
シーラントフィルムの膜厚としては、15〜30μmであることが好ましい。30μmより厚いと、シーラントフィルムの端面から浸透する酸素及び水蒸気量が多くなる。また15μmより薄いと、ヒートシール強度が低くなり、リークの原因となる。
<5> 貼り合わせ
本発明において、第1の透明ガスバリア性フィルム上に、フッ素含有共重合体と硬化剤とを含む溶液を塗布し、乾燥させて第1の接着性樹脂層を形成し、該接着性樹脂層上に第2の透明ガスバリア性フィルムを積層し、その上に再び、フッ素含有共重合体と硬化剤とを含む溶液を塗布し、乾燥させて第2の接着性樹脂層を形成し、さらにその上にシーラントフィルムを積層し、本発明の積層体が得られる。
ここで、第1の透明ガスバリア性フィルムが、上記の蒸着フィルムである場合は、その無機酸化物蒸着層が第1の接着性樹脂層と接するように、またガスバリア性塗布膜が設けられる場合は、そのガスバリア性塗布膜が第1の接着性樹脂層と接するように貼り合わせ、その基材層が積層体の表層となるようにすると、積層体の取り扱い性の観点から好ましい。
本発明の接着性樹脂層は、無機酸化物蒸着層又はガスバリア性塗布膜と強固に接着し、貼り合わせた境界面への酸素及び水蒸気の浸入を防ぐため、端面ガスバリア性を一層高める。
また本発明の一態様として、第1の透明ガスバリア性フィルムの、第2の透明ガスバリア性フィルムと対向する面と反対の面上に、1又はそれ以上の更なる層を積層してもよい。更なる層として、接着性樹脂を介してフィルム、例えば透明ガスバリア性フィルムを貼り合わせる場合、本発明のフッ素系樹脂からなる接着性樹脂層を用いて貼り合わせることにより、積層体の厚さが増加しても、高い端面ガスバリア性を維持することができる。
高い表面ガスバリア性を得るために透明ガスバリア性フィルムを何枚も貼り合わせると、一般的には、表面ガスバリア性が向上する代わりに、端面ガスバリア性が低下する。しかしながら、積層体を、表示素子の封止用部材として好適に使用するために、該積層体は、優れた表面ガスバリア性及び端面ガスバリア性の両方を示す必要がある。特に端面ガスバリア性については、下記に記載される方法に基づく端面からの水蒸気透過度の測定値として、積層体の端面からの水蒸気透過度が30g/m2・day以下、より好ましくは15g/m2・day以下、さらに好ましくは10g/m2・day以下という低い値を示すことが要求されるが、本発明によれば、この要求を達成することができる。
<6> 積層体の使用
本発明の積層体は、種々の包装材料又は支持基材として使用することができるが、特に、本発明の積層体を二つ折にするか、又は本発明の積層体2枚を用意し、そのシーラントフィルムの面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋として製袋することができる。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明の積層体からなる包装袋は、種々の包装材料として使用することができるが、特に、ディスプレイ中の表示素子などの封止用包装袋として好適に使用することができる。
封入される表示素子としては、有機EL表示素子、電気泳動表示素子、液晶表示素子、発光ダイオード表示素子等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、封入される表示素子としては、例えば、特表2004−526210等に記載されたものが適用できる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の巻き出しロールに装着し、次いで、ライン速度600mm/minで搬送し、マグネトロンスパッタリング装置を使用し、アルゴンガス500sccmを導入して、出力20kWでプラズマ処理を行って、基材フィルムの一方の面に、不活性ガスによるプラズマ処理面を形成し、次いで、そのプラズマ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚10nmの酸化アルミニウムからなる蒸着層を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバー内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度:2×10-2mbar
電子ビーム電力:25kw
フィルムの搬送速度:600m/min
しかる後、更に、もう一機のマグネトロンスパッタリング装置を使用し、酸素ガス1000sccmを導入して、出力5kWでプラズマ処理を行って、上記の酸化アルミニウムの蒸着層の面に、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成して巻き取った。
(2)他方、下記の表1に示す組成に従って、組成a.EVOH(エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌、更に予め調製した組成c.のポリビニルアルコール水溶液、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040) 、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、無色透明のガスバリア性組成物を得た。
Figure 0005516032
次に、上記の(1)で形成した酸素ガスによるプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用して、これをグラビアロールコート法によりコーティングし、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)の第1のガスバリア性塗布膜を形成した。
(3)次に、上記で第1のガスバリア性塗布膜を形成した基材フィルムを使用し、再度、これを巻き取り式真空蒸着装置の巻き出しロールに装着し、第1のガスバリア性塗布膜の面に、不活性ガスによるプラズマ処理面を形成し、次いで、そのプラズマ処理面に、上記の(1)と同じ条件下で、膜厚10nmの酸化アルミニウムの蒸着層を形成した。
しかる後、さらに、もう一機のマグネトロンスパッタリング装置を使用し、酸素ガス500sccmを導入して、出力3kWでプラズマ処理を行って、上記の酸化アルミニウムの蒸着層の面に、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成して巻き取った。
(4)上記の(3)で形成した酸素ガスによるプラズマ処理面に、上記(2)で製造したガスバリア性組成物を使用して、これをグラビアロールコート法によりコーティングし、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)の第2のガスバリア性塗布膜を形成して、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルムを製造した。
(5)上記(4)で製造した第1の透明ガスバリア性フィルムを、ドライラミネート機の第1送り出しロールに装着し、そのガスバリア性塗布膜面に、下記の組成からなる溶液を、グラビアロールコート法を用いて塗布し、乾燥させて、第1の接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(組成)
・フルオロオレフィン−水酸基含有ビニルエーテル共重合体100質量部(固形分60%、ダイキン工業株式会社製、ゼッフルGK550)
・ヘキサメチレンジイソシアネート三量体60質量部(固形分70%)(フルオロオレフィン−水酸基含有ビニルエーテル共重合体の水酸基1当量に対して1.1当量となる量)
・酢酸エチル 160質量部
・シランカップリング剤(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.5質量部
(6)次いで、上記(4)で製造した第2の透明ガスバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜面を、第1の接着性樹脂層と対向させて、ドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させた。
(7)次いで、上記(6)で得られた積層体の一方の面に、グラビアロールコート法を用いて、上記(5)と同様にして第2の接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(8)次いで、ポリプロピレンシーラントフィルム(東レフィルム加工株式会社製、トレファンNO−3501、厚み30μm)のコロナ処理面を、第2の接着性樹脂層と対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させて、本発明の積層体(総厚み62μm)を製造した。
[実施例2]
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、厚さ10nmの酸化ケイ素の蒸着層を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0: 2.5(単位:slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;300m/min
パワー;35kW
(2)次に、上記で厚さ10nmの酸化ケイ素の蒸着層を形成した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これを、巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これを繰り出し、その二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さ10nmの酸化ケイ素の蒸着層の面に、マグネトロンスパッタリング装置を使用し、ライン速度600m/minで搬送し、アルゴンガス500sccmを導入し、出力20kWでプラズマ処理を行って、プラズマ処理面を形成し、次いで、そのプラズマ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚10nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;25kw
フィルムの搬送速度;600m/min
次に、上記で厚さ10nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧 6.0×10-2mbar、処理速度 600m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
(3)他方、実施例1(2)と同様にして、無色透明のガスバリア性組成物を得、これを上記の(2)で形成したプラズマ処理面に、グラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルムを製造した。
(4)上記(3)で製造した第1の透明ガスバリア性フィルムを、ドライラミネート機の第1送り出しロールに装着し、そのガスバリア性塗布膜面に、上記実施例1(5)と同様にして、第1の接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(5)次いで、上記(3)で製造した第2の透明ガスバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜面を、第1の接着性樹脂層と対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させた。
(6)次いで、上記(5)で得られた積層体の一方の面に、グラビアロールコート法を用いて、上記(4)と同様にして第2の接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(7)次いで、高密度ポリエチレンシーラントフィルム(タマポリ株式会社製、商品名HD、厚み20μm)のコロナ処理面を、第2の接着性樹脂層と対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させて、本発明の積層体(総厚み52μm)を製造した。
[実施例3]
(1)実施例2の(1)及び(2)と同様にして、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)上に、酸化ケイ素の蒸着層(厚さ10nm)及び酸化アルミニウムの蒸着層(厚さ10nm)を順に設け、その酸化アルミニウムの蒸着層面にプラズマ処理面を形成し、
第1及び第2の透明ガスバリア性フィルムとした。
(2)次いで、上記(1)で製造した第1の透明ガスバリア性フィルムを、ドライラミネート機の第1送り出しロールに装着し、そのプラズマ処理面に、上記実施例1(5)と同様にして、第1の接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(3)次いで、上記(1)で製造した第2の透明ガスバリア性フィルムのプラズマ処理面を、接着性樹脂層と対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させた。
(4)次いで、上記(3)で得られた積層体の一方の面に、グラビアロールコート法を用いて、上記(2)と同様にして第2の接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(5)次いで、線状低密度ポリエチレンシーラントフィルム(東セロ株式会社製、TUX−FCD−NP、厚み30μm)のコロナ処理面を、第2の接着性樹脂層と対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させて、本発明の積層体(総厚み62μm)を製造した。
[実施例4]
(1)実施例1(1)〜(4)と同様にして製造した第1の透明ガスバリア性フィルムを、ドライラミネート機の第1送り出しロールに装着し、そのガスバリア性塗布膜面に、下記の組成からなる溶液を、グラビアロールコート法を用いて塗布し、乾燥させて、第1の接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(組成)
・フルオロオレフィン−アミド基含有(メタ)アクリルアミド共重合体100質量部(固形分70%、旭硝子製、ルミフロン)
・エポキシ系硬化剤60質量部(固形分75%、三菱化学製、JER、アミド基(−NH2基)1当量に対して1.1当量となる量)
・酢酸エチル200質量部
・シランカップリング剤(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.5質量部
(2)次いで、実施例1(1)〜(4)と同様にして製造した第2の透明ガスバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜面を、第1の接着性樹脂層と対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させた。
(3)次いで、上記(2)で得られた積層体の一方の面に、グラビアロールコート法を用いて、上記(1)と同様にして第2の接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(4)次いで、ポリプロピレンシーラントフィルム(東レフィルム加工株式会社製、トレファンNO−3501、厚み30μm)のコロナ処理面を、第2の接着性樹脂層と対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させて、本発明の積層体(総厚み52μm)を製造した。
[比較例1]
2液硬化型ポリウレタン系接着剤(三井化学製、主剤タケラックA−515/硬化剤タケネートA−50)を使用して接着性樹脂層(4μm)を形成した以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
[比較例2]
2液硬化型ポリウレタン系接着剤(三井化学製、主剤タケラックA−515/硬化剤タケネートA−50)を使用して接着性樹脂層(4μm)を形成した以外は、実施例2と同様にして積層体を製造した。
[ガスバリア性の評価]
(1)ポリイミドフィルム上にアルミ電極を施したフレキシブルプリント基板(厚さ100μm)と、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にITO透明電極を施し、マイクロカプセルを均一に塗布した電子インクシート(厚さ100μm)とを用意した。フレキシブルプリント基板のアルミ電極を施した面と、電子インクシートのマイクロカプセルを塗布した面とが対向するように重ね合わせ、電気泳動表示素子を製造した。この表示素子は、アルミ電極に印加される電圧に応じて、マイクロカプセル内の黒色顔料片(マイナスに帯電)と白色顔料片(プラスに帯電)とが移動し、白黒の画像を形成できるように構成されている。
(2)上記表示素子を、実施例1〜4及び比較例1〜2の積層体の、シーラントフィルムの面同士が向かい合うように配置した間に挿入し、熱プレス(110℃、5秒、0.1MPa)によって四方を封止し、評価用封入表示デバイスを作成した。
(3)評価用封入表示デバイスを駆動機器に接続し、60℃、90%RHの環境下において、白色表示時の輝度及び黒色表示時の輝度を株式会社トプコンテクノハウス製色彩輝度計BM−5ASを用いて測定し、コントラスト比(=白色表示時の輝度/黒色表示時の輝度)を算出した。
積層体の表面及び端面から、酸素及び水蒸気が内部に浸入すると、マイクロカプセル内の白色顔料と黒色顔料の移動が妨げられ、コントラスト比が低下する。
結果を表2に示す。
Figure 0005516032
[端面からの水蒸気透過度の測定方法]
(1)積層体2枚を、そのシーラントフィルムの面同士が対向するように重ね合わせ、3方をヒートシールし、塩化カルシウム10gを入れてから残り1辺をヒートシールして、内寸100mm×100mm、シール幅3mmの評価用袋を製造する。
(2)上記で製造した評価用袋を、60℃、90%RHの環境下で静置し、24時間後の塩化カルシウムの重量増加を測定する。
(3)一方で、ASTM F1249−90に準じて、60℃、90%RHの環境下で、MOCON社製AQUATRANを使用して、以下のとおり、24時間あたり、積層体0.01m2あたりの表面方向の水蒸気透過量を測定する。
(4)上記(2)の測定値(評価用袋の水蒸気透過量)から、上記(3)の測定値(0.01m2あたりの表面方向の水蒸気透過量)の2倍値を引き、得られた値を評価用袋の端面の面積で割り、これによって得られた値を、その積層体の端面からの水蒸気透過度とする。
端面からの水蒸気透過度={(評価用袋の水蒸気透過量)−2×(0.01m2あたりの表面方向の水蒸気透過量)}/(評価用袋の端面の面積)
[端面ガスバリア性の評価]
上記の方法に基づいて、実施例1〜4及び比較例1〜2で製造した各積層体について、端面からの水蒸気透過度を測定した。
結果を表3に示す。
Figure 0005516032
[評価結果]
実施例1〜4の積層体を用いた評価用封入表示デバイスは、200時間後もコントラスト比30以上であり、劣化はほとんど観察されなかった。これに対し、比較例1〜2の積層体を用いた評価用封入表示デバイスでは、200時間後にはコントラスト比が大幅に低下した。
また、実施例1〜4及び比較例1〜2の積層体は、表面方向の水蒸気透過量については、ほぼ等しい値を示したが、評価用袋の水蒸気透過量は、実施例1〜4の積層体が、比較例1〜2の積層体よりも小さい値を示した。実施例1〜4の積層体では、フッ素系樹脂からなる接着性樹脂層が、端面からの水蒸気の透過を防ぐため、端面からの水蒸気透過度は極めて低い値に抑えられる。
1a,1b. 透明ガスバリア性フィルム
2a,2b. 接着性樹脂層
3. シーラントフィルム
4. 基材層
5. 無機酸化物蒸着層
6. ガスバリア性塗布膜

Claims (5)

  1. 第1の透明ガスバリア性フィルムと、該第1の透明ガスバリア性フィルム上に積層された第1の接着性樹脂層と、該接着性樹脂層上に積層された第2の透明ガスバリア性フィルムと、該第2の透明ガスバリア性フィルム上に積層された第2の接着性樹脂層と、該第2の接着性樹脂層上に積層されたシーラントフィルムとを有する積層体であって、該第1及び第2の接着性樹脂層が、架橋性基を有するフッ素含有共重合体と該架橋性基と反応する硬化剤とにより形成されたフッ素系樹脂からなる層であり、
    該架橋性基を有するフッ素含有共重合体が、少なくともフルオロオレフィン単量体と水酸基含有単量体とを単量体成分として含み、該接着性樹脂層の層厚が、2〜6μmであり、
    そして該シーラントフィルムがポリオレフィン系樹脂からなるシーラントフィルムであることを特徴とする積層体。
  2. 前記硬化剤が、有機ポリイソシアネート化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第1の接着性樹脂層及び前記第2の接着性樹脂層のうちの少なくとも一方が、さらにシランカップリング剤を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記第1の透明ガスバリア性フィルム及び前記第2の透明ガスバリア性フィルムのうちの少なくとも一方が、基材層と、該基材層上に蒸着された無機酸化物蒸着層とを有する蒸着フィルムであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記蒸着フィルムが、さらに、前記無機酸化物蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を有し、該ガスバリア性塗布膜は、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による膜
    であることを特徴とする、請求項に記載の積層体。
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