JP5659667B2 - ガスバリア性フィルム積層体、及び包装袋 - Google Patents
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Description
1.第1の透明ガスバリア性フィルムと、該第1の透明ガスバリア性フィルム上に積層された粘着剤層と、該粘着剤層上に積層された第2の透明ガスバリア性フィルムとを有する積層体であって、該粘着剤層がシランカップリング剤を含むことを特徴とするガスバリア性フィルム積層体。
2.前記粘着剤層の粘着剤として、アクリル系または合成ゴム系の粘着剤を用いることを特徴とするガスバリア性フィルム積層体。
3.前記第1の透明ガスバリア性フィルム及び前記第2の透明ガスバリア性フィルムのうちの少なくとも一方が、基材層と、該基材層上にプラズマ化学気相成長法により形成された炭素含有 酸化ケイ素層とを有する蒸着フィルムであることを特徴とするガスバリア性フィルム積層体。
4.前記蒸着フィルムが、さらに、前記炭素含有酸化ケイ素蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を有し、該ガスバリア性塗布膜は、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による膜であることを特徴とするガスバリア性フィルム積層体。
5.前記粘着剤層の層厚が、6〜15μmであることを特徴とするガスバリア性フィルム積層体。
6.前記第2の透明ガスバリア性フィルム上に積層された熱融着層をさらに有することを特徴とするガスバリア性フィルム積層体。
7.前記熱融着層がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とするガスバリア性フィルム積層体。
8.前記のガスバリア性フィルム積層体を、熱融着層が最内層となるように製袋して得られることを特徴とする包装袋。
9.本発明に規定する測定方法において、包装袋を形成する積層体の端面からの水蒸気透過度が、30g/m2・day以下であることを特徴とする包装袋。
10.水分による表示モジュールの劣化を防ぐ表示モジュール封止用包装袋であることを特徴とする包装袋。
<1>本発明の包装袋を形成する積層体の層構成
本発明にかかる包装袋を形成する積層体としては、例えば、図1に示すように、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルム1a、1b、粘着剤層2、並びに熱融着層3からなることを基本構造とする積層体を挙げることができる。
なお、本発明の透明ガスバリア性フィルムは、一層でもよいし二層以上の多層でもよく、必要に応じて適宜設定することができる。
本発明のガスバリア性フィルム積層体は、第1の透明ガスバリア性フィルムと、該第1の透明ガスバリア性フィルム上に積層された粘着剤層と、該粘着剤層上に積層された第2の透明ガスバリア性フィルムとを有する積層体であるが、該粘着剤層はシランカップリング剤を含むことを特徴とする。
なお、本発明では、特に、アクリル系粘着剤又は合成ゴム系粘着剤を用いることが好ましい。
本発明のシランカップリング剤として、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
本発明のアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
なお、上記アクリル系粘着剤の市販品として、例えば、SKダイン2094(綜研化学株式会社製)や、SKダイン2096(綜研化学株式会社製)等を用いることができる。
本発明の合成ゴム系粘着剤とし、例えば、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIS)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレン(PIB)、ブチルゴム(IIR)、環化ゴム等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明では、イソプレン系ゴムが好ましく、特に、SISがより好ましい。
なお、上記ゴム系粘着剤の市販品として、例えば、JSR SIS 5200(JSR株式会社製)、HYBRAR 7311(クラレ社製)等を用いることができる。
本発明の粘着剤層に配合することができる粘着付与剤は、例えば、ロジンエステル、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル等のロジン系樹脂;クマロンインデン樹脂、水添クマロンインデン樹脂、フェノール変性クマロンインデン樹脂、エポキシ変性クマロンインデン樹脂等のクマロンインデン系樹脂;ポリテルペン樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、芳香族変性脂肪族系石油樹脂、芳香族系純モノマー樹脂等の石油樹脂等が挙げられる。
粘着剤層の形成方法としては、例えば、印刷、コーティング等による方法が挙げられる。粘着剤層の厚さは、粘着剤層と接するバリアフィルム面の状態、形状等を勘案し、バリアフィルム面に対する接着性と密着性とを損なわない範囲で、適宜選択することができる。粘着剤層の厚さは通常5〜50μm、好ましくは6〜15μmである。
本発明の包装袋を形成する積層体を構成する透明ガスバリア性フィルムとしては、用途に応じて種々の透明ガスバリア性フィルムを使用することができるが、表示素子封止用包装袋として使用するためには、表面からの水蒸気透過度が0.1g/m2・day以下である透明フィルムを使用することが好ましい。
本発明において用いる透明ガスバリア性フィルムとして、例えば、基材層と、該基材層上に蒸着された炭素含有酸化ケイ素蒸着層とを有する蒸着フィルムを使用することが特に好ましい。
蒸着フィルムの基材層としては、化学的ないし物理的強度に優れ、炭素含有酸化ケイ素蒸着層を形成する条件等に耐え、それら炭素含有酸化ケイ素蒸着層の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができるプラスチックフィルムを使用することができる。
本発明の基材層の層厚は、2〜400μm、より好ましくは10〜200μmである。
本発明において好適な蒸着層は、上記の基材層及び接着性樹脂層との密接着性、透明性、並びに表面及び端面ガスバリア性の観点から、以下に説明するプラズマ化学気相成長法により形成された炭素含有酸化ケイ素が好ましい。
本発明においては、上記炭素含有酸化ケイ素蒸着層上にガスバリア性塗布膜を設けてもよい。
るものを使用することが好ましい。
本発明の積層体を構成する熱融着層は、オレフィン系熱融着樹脂組成物(オレフィン系ホットメルト樹脂組成物)からなる層であってもよいし、あるいは、熱融着性のフィルム(シーラントフィルム)からなる層であってもよい。
本発明において、ホットメルト樹脂組成物とは、ベースポリマー及び粘着付与剤を含み、熱溶融性と粘着性とを備えた樹脂組成物を意味し、ベースポリマーがオレフィン系樹脂であるものを、特にオレフィン系ホットメルト樹脂組成物と呼ぶ。
本発明の熱融着性のフィルム(シーラントフィルム)は、常温では非粘着性であるが、熱により溶融させてから、同じく熱により溶融させた熱融着層と重ね合わせ、圧着し、冷却することによって、互いに接着する。ここで、常温とは、JIS Z 8703に基づき、5℃から35℃の範囲にある温度状態をいう。非粘着性とは、JIS Z 0237に準じて測定した180度ひきはがし法の試験で測定不能なものをいう。
本発明においては、第1の透明ガスバリア性フィルム上に、上記の粘着剤層を塗布し乾燥させた後、該粘着剤層上に第2の透明ガスバリア性フィルムを積層し、さらにその上に熱融着層を積層し、本発明の包装袋を形成する積層体が得られる。
加しても、高い端面ガスバリア性を維持することができる。
高い表面ガスバリア性を得るために透明ガスバリア性フィルムを何枚も貼り合わせると、一般的には、表面ガスバリア性が向上する代わりに、端面ガスバリア性が低下する。
本発明のガスバリア性フィルム積層体は、貼り合わせ(積層)後の後処理として、電子線を照射して未硬化物等を処理し、バリア性をさらに向上することができる。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
本発明の包装袋は、上述の積層体を二つ折にするか、又は積層体2枚を用意し、そのシーラントフィルムの面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋として製造することができる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、厚さ10nmの炭素含有酸化珪素蒸着層を形成した。
蒸着用混合ガス反応ガス組成物の混合比
へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム
=1:10:10(単位:slm)
真空度:6Pa
冷却・電極ドラム供給電力 :22Kw
ライン速度:100m/min
しかる後、さらに、もう一機のマグネトロンスパッタリング装置を使用し、酸素ガス1000sccmを導入して、出力5kWでプラズマ処理を行って、上記の酸化珪素の蒸着層の面に、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成して巻き取った。
しかる後、さらに、もう一機のマグネトロンスパッタリング装置を使用し、酸素ガス500sccmを導入して、出力3kWでプラズマ処理を行って、上記の酸化珪素の蒸着層の面に、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成して巻き取った。
アクリル系粘着剤
(固形分25%、綜研化学株式会社製、SKダイン2094) 100質量部
エポキシ系架橋剤
(固形分5%、綜研化学株式会社製 E−5XM) 0.27質量部
希釈溶剤(トルエン/MEK=1/1) 30質量部
シランカップリング剤
(固形分100%、信越シリコーン株式会社製KBM−802)0.16質量部
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、厚さ10nmの炭素含有酸化珪素蒸着層を形成した。
蒸着用混合ガス反応ガス組成物の混合比
へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム
=1:10:10(単位:slm)
真空度:6Pa
冷却・電極ドラム供給電力 :22Kw
ライン速度:100m/min
蒸着チャンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;25kw
フィルムの搬送速度;600m/min
次に、上記で厚さ10nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧 6.0×10-2mbar、処理速度 600m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
(1)実施例1(4)で製造した第1の透明ガスバリア性フィルムを、ラミネート機の第1送り出しロールに装着し、そのガスバリア性塗布膜面に、下記の組成からなる溶液を、ダイコート法を用いて塗布し、乾燥させて、粘着性樹脂層(層厚10μm)を形成した。
合成ゴム系粘着剤
(固形分100%、クラレ株式会社製、SIS5200) 70質量部
粘着付与剤
(固形分100%、荒川化学工業株式会社製、KE−100) 30質量部
希釈溶剤(トルエン/MEK=1/1) 200質量部
シランカップリング剤
(固形分100%、信越シリコーン株式会社製KBM−802) 0.2質量部
(1)実施例2(3)で製造した第1の透明ガスバリア性フィルムを、ラミネート機の第1送り出しロールに装着し、そのガスバリア性塗布膜面に、実施例3(1)の溶液を、ダイコート法を用いて塗布し、乾燥させて、粘着性樹脂層(層厚10μm)を形成した。
粘着性樹脂溶液を調整する際にシランカップリング剤を添加しなかった事以外は実施例1と同様の方法にて、包装袋を製造した。
粘着性樹脂溶液を調整する際にシランカップリング剤を添加しなかった事以外は実施例3と同様の方法にて、包装袋を製造した。
(1)ポリイミドフィルム上にアルミ電極を施したフレキシブルプリント基板(厚さ100μm)と、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にITO透明電極を施し、マイクロカプセルを均一に塗布した電子インクシート(厚さ100μm)とを用意した。フレキシブルプリント基板のアルミ電極を施した面と、電子インクシートのマイクロカプセルを塗布した面とが対向するように重ね合わせ、電気泳動表示素子を製造した。この表示素子は、アルミ電極に印加される電圧に応じて、マイクロカプセル内の黒色顔料片(マイナスに帯電)と白色顔料片(プラスに帯電)とが移動し、白黒の画像を形成できるように構成されている。
包装袋の表面及び端面から、酸素及び水蒸気が内部に浸入すると、マイクロカプセル内の白色顔料と黒色顔料の移動が妨げられ、コントラスト比が低下する。
結果を表2に示す。
(1)積層体2枚を、その熱融着層の面同士が対向するように重ね合わせ、3方をヒートシールし、塩化カルシウム10gを入れてから残り1辺をヒートシールして、内寸100mm×100mm、シール幅3mmの包装袋を製造する。
端面からの水蒸気透過度={(評価用袋の水蒸気透過量)−2×(0.01m2あたりの表面方向の水蒸気透過量)}/(評価用袋の端面の面積)
上記の方法に基づいて、実施例1〜4及び比較例1〜2で製造した包装袋を形成する各積層体について、端面からの水蒸気透過度を測定した。
結果を表3に示す。
実施例1〜4の包装袋を用いた封入表示デバイスは、200時間後もコントラスト比20以上であったが、比較例1〜2の包装袋を用いた封入表示デバイスでは、200時間後にはコントラスト比が大幅に低下した。
2. 粘着剤層
3. 熱融着層
4. 基材層
5. 炭素含有酸化ケイ素蒸着層
6. ガスバリア性塗布膜
7a、7b. 基板
8a、8b. 電極
9. 発光体
10a、10b. 積層体
Claims (7)
- 第1の透明ガスバリア性フィルムと、該第1の透明ガスバリア性フィルム上に積層された粘着剤層と、該粘着剤層上に積層された第2の透明ガスバリア性フィルムとを有する積層体であって、該粘着剤層がシランカップリング剤を含み、
該シランカップリング剤の配合量が粘着剤固形分100質量部に対して、0.03〜1.2質量部であり、
該粘着剤層の粘着剤として、アクリル系または合成ゴム系の粘着剤を用い、
該第1の透明ガスバリア性フィルム及び前記第2の透明ガスバリア性フィルムが、基材層と、該基材層上にプラズマ化学気相成長法により形成された炭素含有酸化ケイ素蒸着層とを有する蒸着フィルムであって、
該蒸着フィルムが、さらに、前記炭素含有酸化ケイ素蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を有していてもよく、該ガスバリア性塗布膜は、一般式R 1 n M(OR 2 ) m (ただし、式中、R 1 、R 2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による膜であり、
該第1の透明ガスバリア性フィルム及び該第2の透明ガスバリア性フィルムの、ガスバリア性塗布膜面同士、あるいはガスバリア性塗布膜面と炭素含有酸化ケイ素蒸着層が対向するように、該粘着剤層により接着された、端面からの酸素及び水蒸気の侵入を防ぐガスバリア性フィルム積層体。 - 前記粘着剤層の層厚が、6〜15μmであることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリア性フィルム積層体。
- 前記第2の透明ガスバリア性フィルム上に積層された熱融着層をさらに有することを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム積層体。
- 前記熱融着層がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム積層体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム積層体を、熱融着層が最内層となるように製袋して得られることを特徴とする包装袋。
- 本願発明に規定する測定方法において、包装袋を形成する積層体の端面からの水蒸気透過度が、30g/m2・day以下であることを特徴とする、請求項5に記載の包装袋。
- 水分による表示モジュールの劣化を防ぐ表示モジュール封止用包装袋であることを特徴とする、請求項5または6に記載の包装袋。
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