JP2017202860A - 包装用フィルム、包装用成型品ならびにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の包装用フィルムは、実質的に環状オレフィン樹脂からなるため、揮発性の薬効成分や香り成分に対する低収着性および水蒸気バリア性に優れる。またヒートシール性に優れているため、ヒートシールして密封する包装体にも適している。本明細書中で収着とは、フィルム表面への吸着と、吸着された気体分子のフィルム内部への拡散により吸収とを合わせた概念である。
本発明の包装用フィルムは、二軸配向されているため、靭性(伸びおよび引張強さ)および剛性(コシ)が優れており、かつ、降伏点を有している。また厚さを35μm以上としているため、一層剛性(コシ)が高い。このように本発明の包装用フィルムは、真空成型、圧空成型、プレス成型等の塑性加工、特に真空成型及び圧空成型に適している。
本発明の包装用フィルムであって、引張降伏ひずみが縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても15%以下であるのが好ましい。
本発明の包装用フィルムであって、前記二軸配向が二軸延伸によって実現され、延伸倍率が縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても1.2倍以上、3.0倍以下であるのが好ましい。
本発明の包装用成型品は、ブリスターパックに好ましく用いられる。特に、PTP(Press through Pack)包装体に好ましい。
環状オレフィン樹脂からなる前躯体フィルムを厚さが35μm以上となるように二軸延伸しているため、靭性(伸びおよび引張強さ)および剛性(コシ)を高めることができ、かつ、降伏点を発現させることができる。つまり、低収着性に優れ、かつ、加工性に優れた包装用フィルムを得ることができる。
本発明の包装用フィルムの製造方法であって、引張降伏ひずみが縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても15%以下となるように前躯体フィルムを二軸延伸するのが好ましい。
本発明の包装用成型品の製造方法の第2の態様は、本発明の包装用フィルムの製造方法により得られる包装用フィルムに塑性加工を施して凹み部を形成することを特徴としている。
これらの製造方法によって製造された包装用成型品は、PTP包装体等のブリスターパックに用いることができる。
ここで塑性加工は、常温で行ってもよく、材料を溶融させない範囲で加温してもよい。
この包装用フィルム10は、実質的に環状オレフィン樹脂からなるため、収容物に対して低収着性を有する。そのため、揮発性の有効成分を含む製品の包装に好ましく用いられる。このような製品としては、例えば、医薬品、医薬部外品、食品、化粧品等が挙げられ、特に、医薬品、医薬部外品が好ましく挙げられる。
この包装用フィルム10は、二軸配向されており、かつ、厚さが35μm以上であるため、靭性(伸びおよび引張強さ)および剛性が優れており、降伏点を有する。そのため、真空成型、圧空成型、プレス成型等の塑性加工に適している。特に、PTP包装体等のブリスターパックに適している。
包装用フィルム10は二軸配向しているため、フィルムに伸びおよび降伏点を発現させることができ、かつ、引張強さおよび剛性(コシ)を高めることができる。
二軸配向は、未延伸の前躯体フィルムを二軸延伸することにより達成することができる。例えば、同時二軸延伸法式、逐次二軸延伸方式等が挙げられる。未延伸の前躯体フィルムは、樹脂材料を溶融してフィルム状に成型することにより成形される。例えば、押出成型法、カレンダー成型法、キャスティング法等が挙げられる。
包装用フィルム10の引張降伏ひずみ(JIS K7161−1:2014に規定された引張試験において、試験片タイプ2、試験速度200mm/min(JIS K7127:1999)で測定)は、MDおよびTDのいずれにおいても15%以下、好ましくは10%以下である。これにより塑性加工、特に常温で塑性加工を施したとき、十分に形付けすることができる。
包装用フィルム(二軸延伸フィルム)10は、環状オレフィン樹脂からなる未延伸の前躯体フィルムを厚さが35μm以上となるように二軸延伸することにより製造できる。
二軸延伸工程によって、フィルムが二軸配向し、環状オレフィン樹脂の靭性(伸びおよび引張強さ)および剛性が向上する。具体的には、フィルムの引張破壊応力(引張強さ)および引張破壊呼びひずみ(伸び)が増大し、降伏点が発現する。そのため、このフィルムに塑性加工を施してもフィルムが破れたりすることがなく形付けでき、かつ、形成した形状を保持することができる。
延伸後の厚さの下限が35μm以上、好ましくは40μm以上、特に好ましくは50μmとする。一方、厚さの上限は、125μm以下、好ましくは100μm以下、特に好ましくは90μmとする。これにより剛性を一層高めることができる。
延伸条件により引張破壊呼びひずみがMDおよびTDのいずれにおいても、15%以上、好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上とする。
延伸条件により引張降伏ひずみがMDおよびTDのいずれにおいても15%以下、好ましくは10%以下とする。
二軸延伸によっては、DSC(示差走査熱量測定)によるガラス転移温度はほとんど変化しない。しかし、樹脂が配向することにより、ヒートシール性は若干低下する。
なお、延伸後の熱固定処理は行わないのが好ましい。熱固定を行うと、延伸による靱性向上等の効果が減殺されてしまうからである。
ここで塑性加工とは、素材を溶融させずに、フィルムを塑性変形させる加工法である。例えば、真空成型、圧空成型、プレス成型等が挙げられる。塑性加工は材料を溶融させない範囲で加温してもよいが、生産性が良く、かつ、低コストでできるため常温で行うのが好ましい。
なお、機能的な層(例えば、アルミニウム層や合成樹脂層等)を設ける場合、二軸延伸フィルムの片面に機能的な層を積層して二層フィルム(または多層フィルム)を成形し、その後、その二層フィルム(または多層フィルム)に塑性加工を施して凹み部を形成する。
なお、図2bの包装用成型品20aのように所定の大きさの包装用フィルム10を成形し、一個毎に凹み部21を設けてもよい。
[成型評価]
図2bの包装用成型品20aを次のとおりに成形した。ノルボルネンとエチレンの共重合体で非晶性の環状オレフィンコポリマー(COC1、COC2)を、それぞれT−ダイを先端に取り付けた押出機を用いて250℃、280℃にて溶融押出後、冷却して前躯体フィルムを得た。これらの前躯体フィルムをそれぞれ92℃、152℃で延伸速度300%/分でMDおよびTDに同時二軸延伸した。これにより、厚さ75μm、60μmの二軸延伸フィルムを得た。この二軸延伸フィルムに常温で真空成型することにより包装用成型品20aを得た。これらをそれぞれ実施例1、2とする。また、比較例1のフィルムは、実施例1と同じ樹脂を用いて製造した未延伸の前躯体フィルムに、常温で真空成型することにより得た成型品である。
成形した実施例および比較例の長方形状の成型品の大きさは、幅100mm、長さ150mmとし、長方形状の凹み部の大きさは幅50mm、長さ90mm、深さ3mmとした。
・COC1:ポリプラスチックス株式会社製、TOPAS−8007、Tg=78℃
・COC2:ポリプラスチックス株式会社製、TOPAS−6013、Tg=138℃
※2:○:破れ、白化なく、真空成型(絞り成形)が可能であった。
×:破れ、白化があり、真空成型(絞り成形)が不可であった。
そして、実施例1、2の成型品には問題が見られなかったが、比較例1の成型品には破れおよび白化が見られた。
次に、実施例1、2と同じ条件で前躯体フィルムを成形し、同じ条件で同時二軸延伸し、それぞれ厚さ25μmの二軸延伸フィルムを得た。これらの二軸延伸フィルムに常温で真空成型することによりそれぞれ比較例2、3の成型品を得た。
実施例1、2は、指で軽く押しても変形しなかったが、比較例2、3は指で軽く押しただけで凹み部の底部が伸びて変形した。その結果を表2に示す。
×:指で軽く押すだけで変形した。
20 包装用成型品
20a 包装用成型品
21 凹み部
25 ブリスターカバー
Claims (13)
- 実質的に環状オレフィン樹脂からなり、二軸配向されたフィルムであって、
厚さが35μm以上である、包装用フィルム。 - 引張破壊呼びひずみが縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても15%以上である、
請求項1記載の包装用フィルム。 - 引張降伏ひずみが縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても15%以下である、
請求項1または2記載の包装用フィルム。 - 前記二軸配向が二軸延伸によって実現され、延伸倍率が縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても1.2倍以上、3.0倍以下である、
請求項1から3いずれか記載の包装用フィルム。 - ブリスターパックに用いられる、
請求項1から4いずれか記載の包装用フィルム。 - 請求項1から5いずれか記載の包装用フィルムに凹み部が設けられた、
包装用成型品。 - ブリスターパックに用いられる、
請求項6記載の包装用成型品。 - 実質的に環状オレフィン樹脂からなる包装用フィルムの製造方法であって、
フィルムの厚さが35μm以上となるように前駆体フィルムを二軸延伸する、
包装用フィルムの製造方法。 - 前記二軸延伸の延伸倍率が縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても1.2倍以上、3.0倍以下である、
請求項8記載の包装用フィルムの製造方法。 - 引張破壊呼びひずみが縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても15%以上となるように前躯体フィルムを二軸延伸する、
請求項8または9記載の包装用フィルムの製造方法。 - 引張降伏ひずみが縦方向(MD)および横方向(TD)のいずれにおいても15%以下となるように前躯体フィルムを二軸延伸する、
請求項8から10いずれか記載の包装用フィルムの製造方法。 - 前記請求項1〜5に記載の二軸配向された包装用フィルムに塑性加工を施して凹み部を形成する包装用成型品の製造方法。
- 前記請求項8〜11に記載の製造方法により得られた包装用フィルムに塑性加工を施して凹み部を形成する包装用成型品の製造方法。
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