JP4301375B2 - 耐久性及び透光性の高い積層膜材 - Google Patents
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また、本発明は、テニスコート、ゴルフ練習場、野球場、プール、その他のスポーツ用施設、展示及びイベント用会場、並びに倉庫などのように、採光性、耐水性及び長期耐候性を必要とする建造物に有用な、耐久性及び透光性の高い積層膜材を提供しようとするものである。
前記接着樹脂層が、前記基布上に形成された接着樹脂下層と、この接着樹脂下層と前記フッ素含有樹脂外面層との間に形成された接着樹脂上層とからなり、
前記接着樹脂下層が、イソシアネート化合物及びカップリング剤化合物から選ばれた少なくとも1種を含む架橋剤により、架橋されたフッ素含有バインダー樹脂と、1万以上の平均分子量と、100nm以下の平均粒径を有する微粒子状高分子量紫外線吸収剤を含む耐候性向上剤とを含み、
前記接着樹脂上層が、平均粒径が100nm以下の微粒子酸化チタンと、イソシアネート化合物及びシランカップリング剤化合物から選ばれた少なくとも1種の架橋剤により架橋されたフッ素含有バインダー樹脂とを含み、
全体として、15%以上の可視光線透過率を有する、ことを特徴とするものである。
本発明の耐久性及び透光性の高い積層膜材において、前記基布用繊維布帛が、経糸及び緯糸がそれぞれ、糸間間隔を空けて互に平行に配置されている粗目織物から選ばれることが好ましい。
本発明の耐久性及び透光性の高い積層膜材において、前記微粒子状高分子量紫外線吸収剤が、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物及び2−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物から選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収性モノマーと、この紫外線吸収性モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の耐久性及び透光性の高い積層膜材に用いられる前記フッ素含有樹脂が、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フロロアルキルビニルエーテル、及びエチレンから選ばれた少なくとも2種の共重合体の少なくとも1種を含むフッ素含有共重合体樹脂を含むことが好ましい。
本発明の耐久性及び透光性の高い積層膜材において、前記フッ素含有樹脂外面層用フッ素含有共重合体樹脂が四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体を含むことが好ましい。
本発明の耐久性及び透光性の高い積層膜材において、前記フッ素含有樹脂外面層の可視光線透過率が70%以上であることが好ましい。
本発明の耐久性及び透光性の高い積層膜材において、前記フッ素含有樹脂外面層が90%以上の可視光線透過率を有し、実質的に透明であることが好ましい。 本発明の耐久性及び透光性の高い積層膜材において、前記接着樹脂層用フッ素含有バインダー樹脂が、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン3元共重合体を含むことが好ましい。
図1の積層膜材において、繊維布帛からなる基布1の片面上に、接着樹脂下層2が形成接合されており、その上に接着樹脂上層4が形成接合されており、さらにその上に、フッ素含有樹脂外面層3が形成接合されている。
紫外線吸収骨格となる2−ベンゾフェノン化合物としては、例えば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン及び2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノンなどを用いることが好ましく、また2−ベンゾトリアゾール化合物としては、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタアクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタアクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタアクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、及び2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタアクリロオキシメチル)フェニル]ベンゾトリアゾールなどを用いることが好ましい。
本発明に用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、及びジルコアルミニウム系カップリング剤から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。
またアルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。
さらに、ジルコアルミニウム系カップリング剤としては、テトラプロピルジルコアルミネートが挙げられる。
その製造方法として、接着樹脂層は、グラビアロールコーティング、ドクターブレードコーティング、リバースロールコーティング、ディップコーティング等の方法により形成することができる。また、フッ素含有樹脂外面層は、カレンダー成型法、Tダイによる押し出し成型法等の方法により形成されたフッ素含有樹脂フィルムを熱圧着等の方法で接着樹脂層上に積層して形成される。
前記方法で製造された積層膜材の可視光線透過率は、この膜材により構成される建造物内部の採光性及び暖房効率性の面から、15%以上であり、好ましくは20%以上である。
JIS K−7105に準拠して全光線透過率を測定した。
(2)耐候性
メタルウェザー超促進耐候試験機(大日本プラスチック(株)製)を使用し、下記試験条件で紫外線照射した後の引張強度及び接着力の保持率を測定し評価した。
紫外線強度;50(mW/cm2 )
L時(ライト);温度60℃、湿度39%、設定時間 4時間
D時(結露);温度60℃、湿度90%以上、設定時間 4時間
L時及びD時の合計時間 8時間
を1サイクルとして、合計15サイクル(120時間)を1単位の試験時間とし、合計10単位1200時間の照射を行った。
40℃の温水に1週間浸漬した後の引張強度及び接着力の保持率を評価した。
(4)耐屈曲性試験
JIS K−5400に準拠して、引張強度の保持率を評価した。
基布として、ガラス繊維糸条(繊維太さ:DEヤーン、織糸太さ:337.5Tex/2)を経糸及び緯糸として使用した布帛(模しゃ織り、目付け:270g/m2 、密度:経糸4本/25.4mm、緯糸5本/25.4mm)を使用した。この基布の可視光線透過率は70%であった。この基布を下記組成の接着樹脂下層形成用樹脂液中にディッピングし、絞り、乾燥、固化して、基布の表面に接着樹脂下層を形成した。さらにその上に下記組成の接着樹脂上層形成溶樹脂液を用いて、接着樹脂上層を形成した。
(接着樹脂下層用樹脂液組成)
フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン 100重量部
(住友スリーエム(株)製;商標:THV−350C、ディスパージョン、固形分50 %)
エマルジョン型高分子量紫外線吸収剤 40重量部
(一方社油脂工業(株)製;商標:ULS−383MG、分子量100万以上
平均粒径70nm、固形分30%)
シランカップリング剤 3重量部
(β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)
この樹脂液の成分の固形分重量含有量は、樹脂バインダーが76.9重量%、高分子量紫外線吸収剤が18.5重量%、カップリング剤が4.6重量%であり、塗布量は125g/m2 であった。また、接着樹脂層形成後の可視光線透過率は62%であった。
参考例1と同様にして積層膜材を作製し、試験を行った。但し、接着樹脂下層の組成に、更に平均粒径が30nmの微粒子酸化チタン(チタン工業(株)製STT−4)5重量部を追加した。この時の配合固形成分量は、樹脂バインダーが71.4重量%、高分子量紫外線吸収剤が17.1重量%、微粒子酸化チタンが7.1重量%、カップリング剤が4.3重量%であった。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表1と表3に示す。
参考例1と同様にして積層膜材を作製し、試験を行った。但し、接着樹脂下層を下記組成の樹脂液から形成し、さらにその上に下記組成の追加樹脂液から接着樹脂上層を形成した。
(接着樹脂下層用樹脂液)
フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン 100重量部
(住友スリーエム(株)製;THV−350C、ディスパージョン、固形分50%)
エマルジョン型高分子量紫外線吸収剤 40重量部
(一方社油脂工業(株)製;ULS−383MG、分子量100万以上
平均粒径70nm、固形分30%)
カップリング剤 3重量部
(β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)
フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン 100重量部
(住友スリーエム(株)製;THV−350C、ディスパージョン、固形分50%)
微粒子酸化チタン 5重量部
(石原産業(株)製;TTO−55、1次粒子径35nm)
カップリング剤 3重量部
(β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)
参考例2と同様にして膜材を作製し、試験を行った。但し、接着樹脂下層を設けず、フッ素含有樹脂フィルムを直接繊維性基布の両面に積層して外面層を形成した。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表2と表3に示す。
参考例2と同様にして膜材を作製し試験を行った。但し、接着樹脂下層の高分子紫外線吸収剤を、低分子量の紫外線吸収剤(城北化学(株)製;分子量225.3、平均粒径10nm以下) に変更した。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表2と表3に示す。
参考例2と同様にして膜材を作製し試験を行った。但し、接着樹脂下層の高分子紫外線吸収剤として粒子径の大きな高分子量紫外線吸収剤(一方社油脂工業(株)製;ULS−383MG、分子量100万以上、平均粒径200nm、固形分30%)を用いた。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表2と表3に示す。
参考例2と同様にして膜材を作製し試験を行った。但し、接着樹脂下層の微粒子酸化チタンとして、1次粒子径300nmの酸化チタンを用いた。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表2と表3に示す。
参考例2と同様にして膜材を作製し試験を行った。但し、フッ素含有樹脂外面層用フィルム中に、平均粒径300nmの酸化チタン5重量部を含有させた。得られたフィルムの光線透過率は45%であった。このフィルムを接着樹脂層を介することなく、直接に繊維基布の両面に積層した。この膜材の組成及び試験結果をそれぞれ表2と表3に示す。
2 接着樹脂下層
3 フッ素含有樹脂外面層
4 接着樹脂上層
Claims (8)
- ガラス繊維布帛からなる基布と、この基布の少なくとも1面上に形成された接着樹脂層と、この接着樹脂層を介して前記基布に接着されている少なくとも1層のフッ素含有樹脂外面層とを含み、
前記接着樹脂層が、前記基布上に形成された接着樹脂下層と、この接着樹脂下層と、前記フッ素含有樹脂外面層との間に形成された接着樹脂上層からなり、
前記接着樹脂下層が、イソシアネート化合物及びカップリング剤化合物から選ばれた少なくとも1種を含む架橋剤により、架橋されたフッ素含有バインダー樹脂と、1万以上の平均分子量と、100nm以下の平均粒径を有する微粒子状高分子量紫外線吸収剤を含む耐候性向上剤とを含み、
前記接着樹脂上層が、平均粒径が100nm以下の微粒子酸化チタンと、イソシアネート化合物及びシランカップリング剤化合物から選ばれた少なくとも1種の架橋剤により架橋されたフッ素含有バインダー樹脂とを含み、
全体として、15%以上の可視光線透過率を有する、ことを特徴とする耐久性及び透光性の高い積層膜材。 - 前記基布用繊維布帛が、経糸及び緯糸がそれぞれ、糸間間隔を空けて互に平行に配置されている粗目織物から選ばれる、請求項1に記載の耐久性及び透光性の高い積層膜材。
- 前記微粒子状高分子量紫外線吸収剤が、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物及び2−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物から選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収性モノマーと、この紫外線吸収性モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1に記載の耐久性及び透光性の高い積層膜材。
- 前記フッ素含有樹脂が、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フロロアルキルビニルエーテル、及びエチレンから選ばれた少なくとも2種の共重合体の少なくとも1種を含むフッ素含有共重合体樹脂を含む、請求項1に記載の耐久性及び透光性の高い積層膜材。
- 前記フッ素含有樹脂外面層用フッ素含有共重合体樹脂が四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体である、請求項4に記載の耐久性及び透光性の高い積層膜材。
- 前記フッ素含有樹脂外面層の可視光線透過率が70%以上である、請求項1,4及び5のいずれか1項に記載の耐久性及び透光性の高い積層膜材。
- 前記フッ素含有樹脂外面層が90%以上の可視光線透過率を有し、実質的に透明である、請求項1及び4〜6項のいずれか1項に記載の耐久性及び透光性の高い積層膜材。
- 前記接着樹脂層用フッ素含有バインダー樹脂が、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン3元共重合体である、請求項1に記載の耐久性及び透光性の高い積層膜材。
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