JP5516031B2 - 包装袋、及びそれを含む封入表示デバイス - Google Patents
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これらのガスバリア性積層体は、通常、その表面からの酸素及び水蒸気の浸入を防ぐことを目的として、基材層やガスバリア性付与層等が積層された構成を有し、接着剤を用いずに蒸着や共押出し成形のみにより積層して得られるものと(特許文献1及び2)、接着剤を用いてラミネートにより積層して得られるものとがある(特許文献3)。
の透明ガスバリア性フィルムと、該第2の透明ガスバリア性フィルム上に積層された熱融着層とを有する積層体を、該熱融着層が最内層となるように製袋して得られることを特徴とする包装袋であって、該接着性樹脂層が、架橋性基を有するフッ素含有共重合体と該架橋性基と反応する硬化剤とにより形成されたフッ素系樹脂からなる層であり、そして該熱融着層がオレフィン系ホットメルト樹脂組成物からなる層であることを特徴とする包装袋、並びに、該包装袋中に封入された表示素子からなる封入表示デバイスが、上記の目的を達成することを見出した。
1.前記フッ素含有共重合体は、少なくともフルオロオレフィン単量体と水酸基含有単量体とを単量体成分として含む。
2.前記硬化剤は、有機ポリイソシアネート化合物である。
3.前記接着性樹脂層は、さらにシランカップリング剤を含有する。
4.前記第1の透明ガスバリア性フィルム及び前記第2の透明ガスバリア性フィルムのうちの少なくとも一方は、基材層と、該基材層上に蒸着された無機酸化物蒸着層とを有する蒸着フィルムである。
5.前記蒸着フィルムは、さらに、前記無機酸化物蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を有し、該ガスバリア性塗布膜は、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による膜である。
6.前記接着性樹脂層の層厚は、2〜6μmである。
7.本発明において規定する測定方法において、包装袋を形成する積層体の端面からの水蒸気透過度が、30g/m2・day以下である。
8.上記包装袋は、水分による表示素子の劣化を防ぐ表示素子封止用包装袋である。
9.表示素子と、これを封入する上記包装袋と、を含む封入表示デバイス。
ルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物からなるガスバリア性塗布膜を設けることにより、端面ガスバリア性及び表面ガスバリア性を一層向上させることができる。
<1> 本発明の包装袋を形成する積層体の層構成
本発明にかかる包装袋を形成する積層体としては、例えば、図1に示すように、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルム(1a、1b)、接着性樹脂層(2)、並びに熱融着層(3)からなることを基本構造とする積層体を挙げることができる。
また、本発明にかかる包装袋を形成する積層体の一例として、図2に示すように、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルムがそれぞれ、基材層(4)と無機酸化物蒸着層(5)とからなる蒸着フィルムである積層体が挙げられる。
さらに、本発明にかかる包装袋を形成する積層体の一例として、図3に示すように、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルムがそれぞれ、基材層(4)、無機酸化物蒸着層(5)及びガスバリア性塗布膜(6)からなる蒸着フィルムである積層体が挙げられる。
本発明にかかる包装袋を形成する積層体を構成する接着性樹脂層は、架橋性基を有するフッ素含有共重合体と、該架橋性基と反応する硬化剤とにより形成されたフッ素系樹脂からなる。該接着性樹脂層は、第1の透明ガスバリア性フィルムと第2の透明ガスバリア性フィルムとを優れた接着力で接着し、また場合によっては第2の透明ガスバリア性フィルムと熱融着層とを優れた接着力で接着し、さらに、端面から積層体内部への酸素及び水蒸気の透過を防止する役割を果たす。
本発明において用いるフッ素含有共重合体は、汎用の有機溶剤に可溶な重合体であって、フルオロオレフィン単量体(A)と、そのフルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)とを単量体成分とするものである。
フルオロオレフィン単量体(A)としては、たとえば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどを挙げることができる。高い接着強度が得られることから、好ましくは、式1:CF2=CFX〔式中、Xはフッ素原子、塩素原子、水素原子ないしトリフルオロメチル基である〕で表されるトリフルオロエチレンであり、さらに好ましくは式中のXが塩素原子であるクロロトリフルオロエチレンである。
本発明に用いる硬化剤には、上述の架橋性基と反応して架橋結合を形成する化合物を用いることができる。水酸基含有単量体に対する硬化剤としては、イソシアネート基又はカルボキシル基を有する化合物であり、好適な硬化反応速度が得られるため、イソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート化合物が好ましい。有機ポリイソシアネート化合物には、たとえば、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、及びこれらの三量体、これらのアダクト体やビューレット体、あるいは、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらに、ブロック化されたイソシアネート類などを挙げることができる。好ましくは、イソホロンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートの三量体である。フッ素含有共重合体との相溶性が良く、適度な硬化速度を有し、高いラミネート強度を有するからである。また、エポキシ基含有単量体に対する硬化剤には、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基又はイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。また、カルボキシル基含有単量体に対する硬化剤には、水酸基、アミノ基、イソシアネート基又はエポキシ基を有する化合物を用いることができる。また、アミド基含有単量体に対する硬化剤には、エポキシ基を有する化合物を用いることができる。また、アミノ基含有単量体に対する硬化剤には、カルボキシル基、エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。また、加水分解性シリル基含有単量体に対する硬化剤には、アミノ基又はイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。
本発明において、接着性樹脂層は、フッ素系樹脂に加えてさらに、接着強度を高め、酸素及び水蒸気に対するバリア性を高めるために、シランカップリング剤を含有してもよい。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
本発明においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。これらのシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。
シランカップリング剤の配合量としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜に設
定することができるが、例えば、フッ素系樹脂に対して、0.05〜10質量%であると好ましく、0.1〜5質量%であるとさらに好ましい。0.05質量%未満であると、十分な効果が得られず、また10質量%より多いと、反応速度が遅くなるため好ましくない場合がある。
本発明に用いる接着性樹脂層の調製方法を、水酸基を含有するフッ素含有共重合体を例として説明する。水酸基を含有するフッ素含有共重合体および硬化剤を、たとえば、酢酸エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族炭化水素等の1ないし2種以上を混合した溶媒に溶解する。ここで、硬化剤は、フッ素含有共重合体中の架橋性基、例えば水酸基(−OH基)1当量に対して、硬化剤中の該架橋性基と反応する基、例えばイソシアネート基又はカルボキシル基が0.1〜5.0当量、好ましくは0.5〜1.5当量となる量で添加される。このフッ素含有共重合体及び硬化剤を溶解した溶液を、ロールコート法、グラビアコート法、バーコート法等の周知の塗布方法を用いて、第1の透明ガスバリア性フィルム上に塗布・乾燥することにより、接着性樹脂層を形成する。接着性樹脂層の層厚としては、2〜6μm、より好ましくは3〜5μmである。ラミネート強度を確保する上から2μm以上は必要であるが、端面からの水分透過をできる限り小さくするためには、接着剤樹脂層の厚さはできる限り薄い方がよく、該層厚が6μmを超えると、表示素子などの封止用包装袋として要求される端面ガスバリア性を維持できない可能性がある。
本発明の包装袋を形成する積層体を構成する透明ガスバリア性フィルムとしては、用途に応じて種々の透明ガスバリア性フィルムを使用することができるが、表示素子封止用包装袋として使用するためには、表面からの水蒸気透過度が0.1g/m2・day以下である透明フィルムを使用することが好ましい。なお、本発明において、表面からの水蒸気透過度は、ASTM F1249−90に準じて、60℃、90%RHの環境下で、MOCON社製AQUATRANを使用して測定した値である。また、本発明において透明とは、用途に応じて必要な透明性を有していればよく、無色または有色で透明なものも含まれるが、特にディスプレイの表示素子などの封止用包装袋として使用する場合は、高い透明性が要求され、例えば、可視光域380nm〜780nmにおける平均光透過率が80%以上である場合を言う。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
本発明において用いる透明ガスバリア性フィルムとして、例えば、基材層と、該基材層上に蒸着された無機酸化物蒸着層とを有する蒸着フィルムを使用することが特に好ましい。
該蒸着フィルムは、優れた表面ガスバリア性及び透明性を示すだけでなく、基材層と無機酸化物蒸着層との間の密着性が高く、層間の界面に酸素及び水蒸気が比較的浸入しにくいため、良好な端面ガスバリア性を示す。
蒸着フィルムの基材層としては、化学的ないし物理的強度に優れ、無機酸化物蒸着層を形成する条件等に耐え、それら無機酸化物蒸着層の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができるプラスチックフィルムを使用することができる。
ム、ポリイミドフィルム、TACフィルムその他の各種の樹脂のフィルム、ないしシートを使用することができる。
特にディスプレイの表示素子などの封止用包装袋として使用する場合は、透明性・耐熱性の観点から、上記のプラスチック材料からなるフィルムの中でも、特に環状オレフィンコポリマーからなるフィルムを使用することが好ましい。
本発明の基材層の層厚は、12〜400μm、より好ましくは50〜200μmである。
プラスチックフィルムは、必要に応じて、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガスなどを用いて低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品などを用いて処理する酸化処理、その他の前処理を任意に施すことができる。また、上記表面前処理は、プラスチックフィルムと無機酸化物蒸着層との密着性を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密着性を改善する方法として、例えば、プラスチックフィルムの表面に、あらかじめ、プライマーコート剤層、アンダーコート層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層などを任意に形成することもできる。
本発明において好適な無機酸化物蒸着層は、上記の基材層及び接着性樹脂層との密接着性、透明性、並びに表面及び端面ガスバリア性の観点から、以下に説明する無機酸化物からなる蒸着層を適用することができる。
無機酸化物蒸着層を形成する材料としては、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する物であればよく、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物であるが、特に、ガスバリア性、生産効率の点などから、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素のいずれかが好ましい。
無機酸化物蒸着層の形成方法としては、真空蒸着法、反応蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等の真空成膜法で行なうことが挙げられる。
無機酸化物蒸着層の層厚としては、層全体の厚さとして、5〜100nm、より好ましくは10〜50nmの範囲で適宜設定することができる。100nmを超えると、フレキシビリティ性が低下し、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外力で、蒸着層に亀裂を生じる恐れがあり、透明性が低下したりし、また、材料自身の応力が大きくなり、着色したりして好ましくない。また、上記の厚さが100nmを超えると、生産性を著しく低下させ、さらに異常粒の成長から突起が形成される傾向があるので好ましくない。また一方で、無機化合物層の厚さが5nm未満では、透明性は良いが、均一な層が得られにくく、またガスバリア性の機能を十分に果たすことが難しい。
本発明においては、上記無機酸化物蒸着層上に、さらに以下で説明するようなガスバリア性塗布膜を設けることによって、一層優れた表面ガスバリア性が得られるだけでなく、上記接着性樹脂層との密接着性が高まり、さらに高い端面ガスバリア性が得られる。
本発明において、ガスバリア性塗布膜とは、アルコキシドと水溶性高分子とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布し乾燥させた膜である。
該ガスバリア性組成物において用いるアルコキシドとしては、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドを挙げることができる。
また、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか又はその両方を好ましく用いることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基その他のアルキル基を挙げることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基その他を挙げることができる。
尚、本発明において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することができ、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH3)4、テトラエトキシシラン Si(OC2H5)4、テトラプロポキシシラン Si(OC3H7)4、テトラブトキシシラン Si(OC4H9)4等が挙げられる。
チレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%であるものを使用することが好ましい。上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
また、上記のガスバリア性組成物の調製において用いられる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸その他を使用することができる。更に、有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等を用いることができる。
更に、上記のガスバリア性組成物に関して、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む塗工液中で溶解した状態にあることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択される。本発明において、溶剤中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(日本合成化学社製)として市販されているものを使用することができる。
更に、加水分解によって生じた水酸基や、シランカップリング剤由来のシラノール基が無機酸化物蒸着層の表面の水酸基と結合する為、該無機酸化物蒸着層とガスバリア性塗布膜との密接着性等が良好なものとなる。
ール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高いため、良好な表面ガスバリア性を示す。
また、本発明において、より高い表面ガスバリア性を得るために、ガスバリア性塗布膜を設けた後で、さらに無機酸化物蒸着層とガスバリア性塗布膜とを、この順序で、交互に1回又はそれ以上繰り返し積層し、好ましくはガスバリア性塗布膜が最外層となるように形成して、透明ガスバリア性フィルムとしてもよい。
本発明の包装袋を形成する積層体を構成する熱融着層は、オレフィン系ホットメルト樹脂組成物からなる層である。
本発明において、ホットメルト樹脂組成物とは、ベースポリマー及び粘着付与剤を含み、熱溶融性と粘着性とを備えた樹脂組成物を意味し、ベースポリマーがオレフィン系樹脂であるものを、特にオレフィン系ホットメルト樹脂組成物と呼ぶ。
ベースポリマーとは、ホットメルト樹脂組成物にバルク物性を付与することで、凝集力を付与するものであり、強靭で引張り強度や圧縮応力に対して強い性質を有するものである。ベースポリマーとしてオレフィン系樹脂を含有するオレフィン系ホットメルト樹脂組成物は、端面からの酸素及び水蒸気の浸入の抑制性に優れたものとなるため好ましい。
熱融着層の層厚としては、20〜50μmであることが好ましい。50μmより厚いと、熱融着層の端面から浸透する酸素及び水蒸気量が多くなる。また20μmより薄いと、ヒートシール強度が低くなり、リークの原因となる。
本発明において、第1の透明ガスバリア性フィルム上に、フッ素含有共重合体と硬化剤とを含む溶液を塗布し、乾燥させて接着性樹脂層を形成し、該接着性樹脂層上に第2の透明ガスバリア性フィルムを積層し、さらにその上に熱融着層を積層し、本発明の包装袋を形成する積層体が得られる。
、一般的には、表面ガスバリア性が向上する代わりに、端面ガスバリア性が低下する。しかしながら、表示素子の封止用包装袋として好適に使用するために、該包装袋は、優れた表面ガスバリア性及び端面ガスバリア性の両方を示す必要がある。特に端面ガスバリア性については、下記に記載される方法に基づく端面からの水蒸気透過度の測定値として、包装袋を形成する積層体の端面からの水蒸気透過度が30g/m2・day以下、より好ましくは15g/m2・day以下、さらに好ましくは10g/m2・day以下という低い値を示すことが要求されるが、本発明によれば、この要求を達成することができる。
本発明の包装袋は、上述の積層体を二つ折にするか、又は積層体2枚を用意し、その熱融着層の面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態に製造することができる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の巻き出しロールに装着し、次いで、ライン速度600mm/minで搬送し、マグネトロンスパッタリング装置を使用し、アルゴンガス500sccmを導入して、出力20kWでプラズマ処理を行って、基材フィルムの一方の面に、不活性ガスによるプラズマ処理面を形成し、次いで、そのプラズマ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚10nmの酸化アルミニウムからなる蒸着層を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバー内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度:2×10-2mbar
電子ビーム電力:25kw
フィルムの搬送速度:600m/min
しかる後、更に、もう一機のマグネトロンスパッタリング装置を使用し、酸素ガス1000sccmを導入して、出力5kWでプラズマ処理を行って、上記の酸化アルミニウムの蒸着層の面に、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成して巻き取った。
しかる後、さらに、もう一機のマグネトロンスパッタリング装置を使用し、酸素ガス500sccmを導入して、出力3kWでプラズマ処理を行って、上記の酸化アルミニウムの蒸着層の面に、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成して巻き取った。
(4)上記の(3)で形成した酸素ガスによるプラズマ処理面に、上記(2)で製造したガスバリア性組成物を使用して、これをグラビアロールコート法によりコーティングし、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)の第2のガスバリア性塗布膜を形成して、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルムを製造した。
形成した。
(組成)
・フルオロオレフィン−水酸基含有ビニルエーテル共重合体100質量部(固形分60%、ダイキン工業株式会社製、ゼッフルGK550)
・ヘキサメチレンジイソシアネート三量体60質量部(固形分70%)(フルオロオレフィン−水酸基含有ビニルエーテル共重合体の水酸基1当量に対して1.1当量となる量)
・酢酸エチル 160質量部
・シランカップリング剤(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.5質量部
(6)次いで、上記(4)で製造した第2の透明ガスバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜面を、接着性樹脂層と対向させて、ドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させた。
(7)次いで、上記(6)で得られた積層体の一方の面に、230℃で溶融させたオレフィン系ホットメルト樹脂組成物(東亞合成株式会社製、アロンメルトHMP)を押出し成形して、層厚20μmの熱融着層を形成し、本発明に係る包装袋を形成する積層体(総厚み48μm)を製造した。
(8)次いで、上記(7)で得られた積層体の熱融着層同士を向かい合わせて、ヒートシール(温度120℃、時間1秒、圧力0.1MPa、シール幅3mm)し、3方シール袋として、本発明の包装袋を製造した。
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、厚さ10nmの酸化ケイ素の蒸着層を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;300m/min
パワー;35kW
(蒸着条件)
蒸着チャンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;25kw
フィルムの搬送速度;600m/min
次に、上記で厚さ10nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧 6.0×10-2mbar、処理速度 600m/minで酸素/アル
ゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
(4)上記(3)で製造した第1の透明ガスバリア性フィルムを、ドライラミネート機の第1送り出しロールに装着し、そのガスバリア性塗布膜面に、上記実施例1(5)と同様にして、接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(5)次いで、上記(3)で製造した第2の透明ガスバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜面を、接着性樹脂層と対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させた。
(6)次いで、上記(5)で得られた積層体の一方の面に、オレフィン系ホットメルト樹脂組成物からなるフィルム(厚さ30μm、倉敷紡績製、クランベターM4)を熱プレス(110℃、5秒、0.1MPa)により接着させて熱融着層を形成し、本発明に係る包装袋を形成する積層体(総厚み58μm)を製造した。
(7)次いで、上記(6)で得られた積層体の熱融着層同士を向かい合わせて、ヒートシール(温度120℃、時間1秒、圧力0.1MPa、シール幅3mm)し、3方シール袋として、本発明の包装袋を製造した。
(1)実施例2の(1)及び(2)に記載されたと同様にして、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)上に、酸化ケイ素の蒸着層(厚さ10nm)及び酸化アルミニウムの蒸着層(厚さ10nm)を順に設け、その酸化アルミニウムの蒸着層面にプラズマ処理面を形成し、第1及び第2の透明ガスバリア性フィルムとした。
(2)次いで、上記(1)で製造した第1の透明ガスバリア性フィルムを、ドライラミネート機の第1送り出しロールに装着し、そのプラズマ処理面に、上記実施例1(5)と同様にして、接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(3)次いで、上記(1)で製造した第2の透明ガスバリア性フィルムのプラズマ処理面を、接着性樹脂層と対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させた。
(4)次いで、上記(3)で得られた積層体の一方の面に、230℃で溶融させたオレフィン系ホットメルト樹脂組成物(東亞合成株式会社製、アロンメルトHMP)を押出し成形して、層厚50μmの熱融着層を形成し、本発明に係る包装袋を形成する積層体(総厚み78μm)を製造した。
(5)次いで、上記(4)で得られた積層体の熱融着層同士を向かい合わせて、ヒートシール(温度120℃、時間1秒、圧力0.1MPa、シール幅3mm)し、3方シール袋として、本発明の包装袋を製造した。
(1)実施例1(1)〜(4)と同様にして製造した第1の透明ガスバリア性フィルムを、ドライラミネート機の第1送り出しロールに装着し、そのガスバリア性塗布膜面に、下記の組成からなる溶液を、グラビアロールコート法を用いて塗布し、乾燥させて、接着性樹脂層(層厚4μm)を形成した。
(組成)
・フルオロオレフィン−アミド基含有(メタ)アクリルアミド共重合体100質量部(固形分70%、旭硝子製、ルミフロン)
・エポキシ系硬化剤60質量部(固形分75%、三菱化学製、JER、アミド基(−NH2基)1当量に対して1.1当量となる量)
・酢酸エチル200質量部
・シランカップリング剤(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.5質量部
(2)次いで、実施例1(1)〜(4)と同様にして製造した第2の透明ガスバリア性フィルムのガスバリア性塗布膜面を、接着性樹脂層と対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化反応を促進させた。
(3)次いで、上記(2)で得られた積層体の一方の面に、230℃で溶融させたオレフィン系ホットメルト樹脂組成物(東亞合成株式会社製、アロンメルトHMP)を押出し成形して、層厚30μmの熱融着層を形成し、本発明に係る包装袋を形成する積層体(総厚み58μm)を製造した。
(4)次いで、上記(3)で得られた積層体の熱融着層同士を向かい合わせて、ヒートシール(温度120℃、時間1秒、圧力0.1MPa、シール幅3mm)し、3方シール袋として、本発明の包装袋を製造した。
2液硬化型ポリウレタン系接着剤(三井化学製、主剤タケラックA−515/硬化剤タケネートA−50)を使用して接着性樹脂層(4μm)を形成した以外は、実施例1と同様にして包装袋を製造した。
[比較例2]
2液硬化型ポリウレタン系接着剤(三井化学製、主剤タケラックA−515/硬化剤タケネートA−50)を使用して接着性樹脂層(4μm)を形成した以外は、実施例2と同様にして包装袋を製造した。
(1)ポリイミドフィルム上にアルミ電極を施したフレキシブルプリント基板(厚さ100μm)と、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にITO透明電極を施し、マイクロカプセルを均一に塗布した電子インクシート(厚さ100μm)とを用意した。フレキシブルプリント基板のアルミ電極を施した面と、電子インクシートのマイクロカプセルを塗布した面とが対向するように重ね合わせ、電気泳動表示素子を製造した。この表示素子は、アルミ電極に印加される電圧に応じて、マイクロカプセル内の黒色顔料片(マイナスに帯電)と白色顔料片(プラスに帯電)とが移動し、白黒の画像を形成できるように構成されている。
(2)上記表示素子を、実施例1〜4及び比較例1〜2の包装袋中に挿入し、熱プレス(110℃、5秒、0.1MPa)によって残る一辺を封止し、評価用の封入表示デバイスを作成した。
(3)封入表示デバイスを駆動機器に接続し、60℃、90%RHの環境下において、白色表示時の輝度及び黒色表示時の輝度を株式会社トプコンテクノハウス製色彩輝度計BM−5ASを用いて測定し、コントラスト比(=白色表示時の輝度/黒色表示時の輝度)を算出した。
結果を表2に示す。
(1)積層体2枚を、その熱融着層の面同士が対向するように重ね合わせ、3方をヒートシールし、塩化カルシウム10gを入れてから残り1辺をヒートシールして、内寸100mm×100mm、シール幅3mmの包装袋を製造する。
(2)上記で製造した包装袋を、60℃、90%RHの環境下で静置し、24時間後の塩化カルシウムの重量増加を測定する。
(3)一方で、ASTM F1249−90に準じて、60℃、90%RHの環境下で、MOCON社製AQUATRANを使用して、以下のとおり、24時間あたり、積層体0.01m2あたりの表面方向の水蒸気透過量を測定する。
(4)上記(2)の測定値(包装袋の水蒸気透過量)から、上記(3)の測定値(0.01m2あたりの表面方向の水蒸気透過量)の2倍値を引き、得られた値を包装袋の端面の面積で割り、これによって得られた値を、その積層体の端面からの水蒸気透過度とする。
端面からの水蒸気透過度={(評価用袋の水蒸気透過量)−2×(0.01m2あたりの表面方向の水蒸気透過量)}/(評価用袋の端面の面積)
上記の方法に基づいて、実施例1〜4及び比較例1〜2で製造した包装袋を形成する各積層体について、端面からの水蒸気透過度を測定した。
結果を表3に示す。
実施例1〜4の包装袋を用いた封入表示デバイスは、200時間後もコントラスト比30以上であり、劣化はほとんど観察されなかった。これに対し、比較例1〜2の包装袋を用いた封入表示デバイスでは、200時間後にはコントラスト比が大幅に低下した。
また、実施例1〜4及び比較例1〜2の包装袋を形成する積層体は、表面方向の水蒸気
透過量については、ほぼ等しい値を示したが、包装袋の水蒸気透過量は、実施例1〜4の包装袋が、比較例1〜2の包装袋よりも小さい値を示した。実施例1〜4の包装袋では、フッ素系樹脂からなる接着性樹脂層が、端面からの水蒸気の透過を防ぐため、端面からの水蒸気透過度は極めて低い値に抑えられる。
2. 接着性樹脂層
3. 熱融着層
4. 基材層
5. 無機酸化物蒸着層
6. ガスバリア性塗布膜
7a,7b. 基板
8a,8b. 電極
9. 発光体
10a,10b. 積層体
Claims (7)
- 第1の透明ガスバリア性フィルムと、該第1の透明ガスバリア性フィルム上に積層された接着性樹脂層と、該接着性樹脂層上に積層された第2の透明ガスバリア性フィルムと、該第2の透明ガスバリア性フィルム上に積層された熱融着層とを有する積層体を、該熱融着層が最内層となるように製袋して得られることを特徴とする包装袋であって、該接着性樹脂層が、架橋性基を有するフッ素含有共重合体と該架橋性基と反応する硬化剤とにより形成されたフッ素系樹脂からなる層であり、該架橋性基を有するフッ素含有共重合体が、少なくともフルオロオレフィン単量体と水酸基含有単量体とを単量体成分として含み、該接着性樹脂層の層厚が、2〜6μmであり、
そして該熱融着層がオレフィン系ホットメルト樹脂組成物からなる層であることを特徴とする包装袋。 - 前記硬化剤が、有機ポリイソシアネート化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
- 前記接着性樹脂層が、さらにシランカップリング剤を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の包装袋。
- 前記第1の透明ガスバリア性フィルム及び前記第2の透明ガスバリア性フィルムのうちの少なくとも一方が、基材層と、該基材層上に蒸着された無機酸化物蒸着層とを有する蒸着フィルムであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装袋。
- 前記蒸着フィルムが、さらに、前記無機酸化物蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を有し、該ガスバリア性塗布膜は、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による膜であることを特徴とする、請求項4に記載の包装袋。
- 水分による表示素子の劣化を防ぐ表示素子封止用包装袋であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装袋。
- 表示素子と、これを封入する請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装袋と、を含む封入表示デバイス。
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