JP5501031B2 - ロールケーキ様食品用の型及びその型を用いたロールケーキ様食品の製造法 - Google Patents
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Description
しかしながら、ロールケーキは柔らかいスポンジケーキにフィリングを乗せ、フィリングごと巻き込むように成形するため、その製造には熟練を要し、早く大量に生産することが困難である。
さらに、ロールケーキは市場で人気のある商品であるものの、スポンジケーキとフィリングとの組合せという比較的自由度の少ないものであるため、既存のものはスポンジケーキとフィリングの2層をらせん状に巻き込んだような典型的なものが多く、スポンジケーキの物性をより柔らかくしてよりソフトな食感、口当たりにすることや、上記熟練を要し、早く大量に生産にくいという製造方法の改善、新しい形態のロールケーキといったことへの市場での潜在的な要求は大きいものであった。
たしかに、特許文献1は、ケーキ生地の上にプリンを載せ、巻き上げても、プリンが折れたり、割れたりしないという事を課題としているが、ケーキ生地自体の組成に制限があり、またゲル化剤によりわれにくい物性をもたらしているため、そのゲル化剤の風味やネタつき、それに割れにくいという物性を付与したことに伴う強い弾力などが最終的な商品設計上望ましくない場合には応用ができない。
当然、製造工程の熟練を要することに関してはなんら指摘も無く、早く大量に作る事についても何ら言及されておらず、新形態への応用の示唆もない。
(1)中空の柱状であり、長手方向に垂直な断面の形状が開口しており、かつ開口部幅が断面内壁の長径より小さい事を特徴とするロールケーキ様食品用の型。
(2)断面が円又は楕円の弧である事を特徴とする(1)記載のロールケーキ様食品用の型。
(3)シート状食品素材を敷紙とともに略筒状に湾曲させ、(1)記載のロールケーキ様食品用の型の端部より挿入させて型内に沿わせて配置し、次いでフィリング類を湾曲した内側に注入する事を特徴とするロールケーキ様食品の製造法。
(4)敷紙はシート状食品素材を湾曲して吊下可能な把持用余巾を有するものである(3)記載のロールケーキ様食品の製造法。
(5)長手方向に垂直な断面の形状がC字状であることを特徴とする(2)記載のロールケーキ様食品用の型。
(6)長手方向に垂直な断面の形状がC字状であることを特徴とするロールケーキ様食品。
ただし、シート状食品はフィリングを全て巻き込んでいる必要は無く、フィリングは一部が外周部へと達している形状のものであってもかまわない。(図1)
特に限定はされないが、ロールケーキなどが挙げられる。
ここでいう柱状とは円や楕円、多角形などを一定方向(長手方向と称す)に移動させた際にできる連続体形状であり、円に相当するのは円柱である。柱の長手方向に垂直な断面がどこでも同じものをさす。
またフィリング類はそれ自体にシート状食品に挟んだり巻き込んだりした際にシート状食品に糊着し、その形状を維持する程度の保形性がある方が望ましい。糊着能が弱いと、シート状食品にもよるが、巻き込んだロールケーキ様食品が解けたり、あるいはロールケーキ様食品が自重で潰れかねない。保形性が高すぎるとシート状食品素材との組み合わせ作業時にハンドリングがしにくいが、その際には喫食時に十分な保形性が発揮されるように冷却固化性を発揮するフィリング類を使用するのが望ましい。
なお、筒状構造とは、中空の柱状構造をさすが、その長手方向に垂直な断面の形状が現れる筒底面又は筒上面を「端部」、長手方向に平行な面を「側面」(筒の側面に当たる)と称する。(図2(b))
新形態ロールケーキ様食品用の型は前述のとおり筒状構造をしており、その2つある端部のうち少なくとも一端が開いている状態であることが望ましい(端部開口部と称する)。
さらに長手方向に垂直な断面の形状で見た場合、開口部幅が長手方向に垂直な断面の内壁における長径(断面が円または楕円で無い場合は最大幅を指す)より小さい事が必要である。(図2(a))
新形態ロールケーキ様食品は型の中で形成されるが最終的にシート状食品素材とフィリング類とが組み合わせられた状態においては、ケーキの最大幅である内壁の長径より開口部幅が小さいため、側面開口部からは取り出せないため、少なくとも一端が開いた端部開口部よりロールケーキ様食品を引き出すことになる。
上記ロールケーキ様食品用の型の断面の形状は特に限定はないが、円又は楕円の一部が開いたもの(残った部分は弧と称する)、特にC字状であると、その型をもちいて得られる新形態ロールケーキ様食品が所謂ロールケーキの形状に似たものとなるため好適に利用できる。
長手方向の長さも特に限定はされないが、望ましくは長径の20倍、更に望ましくは15倍以下であることが好ましい。20倍を越えると作業性が悪くなり好ましくない。
本願で言うところの敷紙はスポンジケーキの底などに敷く紙であり、食品に用いられるものでありさえすれば、特に限定はされないが表面が平滑で滑りやすいものほど、後述のロールケーキ様食品のスポンジ部分を型に挿入したり、ロールケーキ様食品を引き出したりしやすいので望ましい。一例としては、更紙、上質紙、グラシン紙、クッキングシートなどが挙げられる。
まずシート状食品素材として、上記従来方法では旨く巻き上げることが出来ない柔らかく脆い、シート状のスポンジケーキ様食品を敷紙に底面が接触した状態で設置し(図3)シート状のスポンジケーキ様食品を敷紙ごと略筒状に湾曲させた(図4)上で上記ロールケーキ様食品用の型の端部より挿入することで型内にシート状のスポンジケーキ様食品を配置(図5)する。
また略筒状に湾曲した状態のシート状のスポンジケーキ様食品の長手方向の長さは、型の長手方向の長さ以下であることが望ましい。長い場合、型の外にシート状のスポンジケーキ様食品がはみ出した部分の形状が歪んだりするので好ましくない。
型内に敷紙を接した状態で配置したシート状のスポンジケーキ様食品は型の側面開口部または端部開口部よりフィリング類を注入する。(図6)
敷紙はシート状食品素材を湾曲して吊下可能な把持用余巾を有するものであると、よりスポンジケーキ様食品を敷紙ごと型の端部開口部より型から引き出しやすい。
なお、スポンジケーキ様食品生地の配合や焼成条件、フィリング類の配合や製造条件は公知の方法に準じて行えばよく、型の材質も特に限定はされない。
あと、本願はあくまでも「ロールケーキ様」であって、用いられるシート状食品素材は通常のロールケーキのように複数回ロールしておらず、そのため、内部のシート状食品素材の湾曲度が低く、ひずみが生じにくいため、解けたり、割れたりしにくい。
さらには、ロールケーキ様食品がその型に収まった時に側面開口部にあたる部位は、ロールケーキ様食品を引き出した際にロールケーキ様食品の底部平面として存在するため転がりにくく安定性が得られる。その際その側面開口部は平面を大きいほどその安定性は高いものとなる。
ただ、上記断面の形状は、開口部幅が断面の内壁における長径より小さければ、特にその形状には特に制限はなく図7(d)のような「の」の字であってもかまわない。
(シート状食品素材の調製)
クリームチーズ150部と卵黄70部、無塩バター20部を混ぜ合わせたものに、ヨーグルト20部、牛乳28部、生クリーム(乳脂肪45%)20部を加えて混合、さらにふるった薄力粉10部を加えて均一に混合する。
これに別途卵白140部、グラニュー糖30部を加えて泡立てて作製したメレンゲと混ぜ合わせ、平板状の型に入れて110℃のオーブンで1時間程度湯煎焼きをし、冷却して、シート状食品素材を得た。シート状食品素材の寸法は縦×横×厚さ=200mm×200mm×25mmであった。
なお、このシート状食品素材は脆く柔らかいものであった。以降、スポンジケーキ様食品と称す。
図2の形状のロールケーキ様食品用の型を用意する。型の寸法は長径75mm、開口部幅70mm(内壁基準)長手方向の長さは250mmであった。
上記方法で得られたシート状のスポンジケーキ様食品を敷紙に底面が接触した状態で設置し(図3参照)シート状のスポンジケーキ様食品を敷紙ごと略筒状に湾曲させた(図4参照)上でロールケーキ様食品用の型の端部より挿入することで型内にシート状食品素材を配置(図5参照)した。
なお、クッキングシート上にシート状食品素材を乗せるのが困難なほどシート状食品が柔らかい場合は、クッキングシートを焼成前から型に敷いておき、クッキングシートごと取り出し、作業するとよい。
フィリングは生クリーム90部に対して砂糖を10部加えたものをホイップして作製し絞り袋につめて型の側面開口部より注入し、シート状食品の内部を満たした。はみ出したフィリングは取り除き端部の断面を成形したのち、型ごと冷蔵下に1時間程度置いた後に型からクッキングシートごと引き出し、クッキングシートを取り外した。(図8参照)
また、長手方向に垂直に切断したところ、断面の形状がC字状であった。(図9参照)
得られたロールケーキ様食品はきわめて柔軟な生地であるにもかかわらず、成形が容易ですばやく作れるものあり、またその柔軟さからも従来にない柔らかい口溶けでかつ、比べ特異な形状をしたものであった。また、型は厚紙製で安価であるにも拘らず、十分な強度があり、ロールケーキ様食品を作製するにあたり連続使用に耐えられるものであった。
実施例1と同様の組成と工程でシート状食品素材とフィリングを作製し、型を用いずにシート状食品素材上にフィリングを実施例1と同量絞り、一面に延ばしてロール状に成形しようしたが全体均一に屈曲させることができず、局所的に折れ曲がり崩れ、商品価値を大きく損なうものであった。
実施例1とは、型ごと冷蔵せずに成形後そのまま型から取り外す以外は同様の組成と工程でロールケーキ様食品を得た。
冷蔵によるシート状食品素材とフィリングの保形性の向上が得られない分、やや扁平であったが、生地の柔軟性とそれに伴う柔らかい口溶け、成形の容易さは実施例1と同様のものであった。
b ロールケーキ様食品用の型の全体図。
c ロールケーキ様食品用の型の長手方向に垂直な断面の形状がC字状の場合の型とロールケーキ様食品断面図
d ロールケーキ様食品用の型の長手方向に垂直な断面の形状が「の」の字状の場合の型とロールケーキ様食品断面図
Claims (4)
- シート状食品素材を敷紙とともに略筒状に湾曲させ、次に示すロールケーキ様食品用の型の端部より挿入させて型内に沿わせて配置し、次いでフィリング類を湾曲した内側に注入する事を特徴とするロールケーキ様食品の製造法。但し、当該ロールケーキ様食品用の型は、中空の柱状であり、長手方向に垂直な断面の形状が開口しており、かつ開口部幅が断面内壁の長径より小さいものに限る。
- 型の断面が円又は楕円の弧である請求項1記載のロールケーキ様食品の製造法。
- 敷紙はシート状食品素材を湾曲して吊下可能な把持用余巾を有するものである請求項1〜2のいずれか1項記載のロールケーキ様食品の製造法。
- 型の長手方向に垂直な断面の形状がC字状である請求項1記載のロールケーキ様食品の製造法。
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