JP5501031B2 - ロールケーキ様食品用の型及びその型を用いたロールケーキ様食品の製造法 - Google Patents

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本発明は、ロールケーキに代表される、スポンジケーキにフィリング類を挟み込んだ形態のロールケーキ様食品を作製する型とその型を用いたロールケーキ様食品の製造法に関する。
従来、市場には様々な食品が存在するが、中でも組合せ食品、特にその中でもフィリングと焼成食品を組合せた組合せ食品は非常にポピュラーなものであった。 一例を挙げると、焼成食品としてスポンジケーキにフィリングであるクリームを巻いたロールケーキなどは代表的なものである。
しかしながら、ロールケーキは柔らかいスポンジケーキにフィリングを乗せ、フィリングごと巻き込むように成形するため、その製造には熟練を要し、早く大量に生産することが困難である。
また、ロールケーキを成形する際に1回転以上巻き込む場合は、ケーキとフィリングが重層構造となり、内部ほどその湾曲度合いが高く、ひずみが生じやすかったこと、さらにはロールケーキの構造を維持するためにはスポンジケーキ自体の物性にも制限があり、例えばスポンジケーキが、堅く脆いものであったり、スフレのように極めて柔らかく脆弱な構造を持つものの場合は、スポンジケーキが割れたり、崩れたりしてその形状を著しく損ねることになり、商品的に大きなマイナスである。
さらに、ロールケーキは市場で人気のある商品であるものの、スポンジケーキとフィリングとの組合せという比較的自由度の少ないものであるため、既存のものはスポンジケーキとフィリングの2層をらせん状に巻き込んだような典型的なものが多く、スポンジケーキの物性をより柔らかくしてよりソフトな食感、口当たりにすることや、上記熟練を要し、早く大量に生産にくいという製造方法の改善、新しい形態のロールケーキといったことへの市場での潜在的な要求は大きいものであった。
特許文献1では、プリンとケーキ生地とからなるロールケーキであって、上記プリンが、乳製品、卵、糖類、ゲル化剤を含有し、プリン液の全配合量中、上記乳製品として牛乳を50〜70重量%又は濃縮乳を3〜25重量%又は練乳を22〜31重量%含有し、且つプリン液の全配合量中、卵を20〜40重量%、糖類を10〜20重量%及びゲル化剤を0.09〜5重量%含有するものであることを特徴とするロールケーキという提案がなされている。
たしかに、特許文献1は、ケーキ生地の上にプリンを載せ、巻き上げても、プリンが折れたり、割れたりしないという事を課題としているが、ケーキ生地自体の組成に制限があり、またゲル化剤によりわれにくい物性をもたらしているため、そのゲル化剤の風味やネタつき、それに割れにくいという物性を付与したことに伴う強い弾力などが最終的な商品設計上望ましくない場合には応用ができない。
当然、製造工程の熟練を要することに関してはなんら指摘も無く、早く大量に作る事についても何ら言及されておらず、新形態への応用の示唆もない。
特許文献2では、平板状の作業台、平板状のパン生地を載せたシートをループ状に巻付ける巻付けローラとそれを移動しうるロボットのアーム、ローラ5を回転自在に支持するローラフレームなどを備えることでロール巻き作業の時間が短縮され、ロール巻きの作業効率を著しく向上するといった提案がされている。しかしながら、大きな設備を導入する必要があり、しかもスポンジケーキを用いたロールケーキへの応用が可能かどうかは不明である。
特開2001−112407号公報 特開平7−241160号公報
本発明は、極めて平易な方法にて、しかも従来にでは用いることのできなかったような物性のスポンジケーキを用いることが可能であり、しかも早く大量のロールケーキ様食品を製造できる型ならびにその型を用いた新形態のロールケーキ様食品の製造法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、以下のとおりである。
(1)中空の柱状であり、長手方向に垂直な断面の形状が開口しており、かつ開口部幅が断面内壁の長径より小さい事を特徴とするロールケーキ様食品用の型。
(2)断面が円又は楕円の弧である事を特徴とする(1)記載のロールケーキ様食品用の型。
(3)シート状食品素材を敷紙とともに略筒状に湾曲させ、(1)記載のロールケーキ様食品用の型の端部より挿入させて型内に沿わせて配置し、次いでフィリング類を湾曲した内側に注入する事を特徴とするロールケーキ様食品の製造法。
(4)敷紙はシート状食品素材を湾曲して吊下可能な把持用余巾を有するものである(3)記載のロールケーキ様食品の製造法。
(5)長手方向に垂直な断面の形状がC字状であることを特徴とする(2)記載のロールケーキ様食品用の型。
(6)長手方向に垂直な断面の形状がC字状であることを特徴とするロールケーキ様食品。
本発明における新形態ロールケーキ様食品とは、柱状であり、柱の長手方向に垂直な断面を見た場合、シート状食品素材がフィリング類を巻き込んだ形状になる、組み合わせた食品である。
ただし、シート状食品はフィリングを全て巻き込んでいる必要は無く、フィリングは一部が外周部へと達している形状のものであってもかまわない。(図1)
特に限定はされないが、ロールケーキなどが挙げられる。
ここでいう柱状とは円や楕円、多角形などを一定方向(長手方向と称す)に移動させた際にできる連続体形状であり、円に相当するのは円柱である。柱の長手方向に垂直な断面がどこでも同じものをさす。
本発明におけるシート状食品素材とは柔軟性のある一定の厚みのあるシート状の食品素材を指す。厚みは特に限定はされないが、1〜40mm、好ましくは2〜35mmのものが好適に利用できる。食品素材としては、小麦粉および水を主成分とする混捏物を焼成したものが好適にもちいられ、一例としては、スポンジケーキ、パン、どら焼きの皮、クレープなどが挙げられる。特にスポンジケーキの中でも従来のスポンジケーキのようなものより柔らかく脆い、例えばスフレのようなものは従来の「手巻き」や「機械巻き」では壊れやすくロールケーキ様食品の形状に巻き上げるのが困難である。本願ではそういった脆性の強いスフレケーキのような物性のものも含め、スポンジケーキ様食品と称するが、そういった脆く柔らかなものほど本願発明の方法を用いると壊さず、手早く、綺麗に巻けて効果的である。
本発明におけるフィリング類とは、シート状食品素材に挟んだり巻き込んだりした具材であり、作業時や喫食時に流れ出ない程度の保形性があれば特に限定はされない。一例としては、ゼリーやババロア、ムース、あんまんの具に代表されるような粒餡や練餡、胡麻餡、肉まんの具に代表されるようなひき肉や、卵、小麦粉といった動・植物由来の蛋白食品、クリーム、アイスクリーム、バタークリームなどが挙げられる。
またフィリング類はそれ自体にシート状食品に挟んだり巻き込んだりした際にシート状食品に糊着し、その形状を維持する程度の保形性がある方が望ましい。糊着能が弱いと、シート状食品にもよるが、巻き込んだロールケーキ様食品が解けたり、あるいはロールケーキ様食品が自重で潰れかねない。保形性が高すぎるとシート状食品素材との組み合わせ作業時にハンドリングがしにくいが、その際には喫食時に十分な保形性が発揮されるように冷却固化性を発揮するフィリング類を使用するのが望ましい。
本発明における新形態ロールケーキ様食品用の型とは上記ロールケーキ様食品を成形する際に用いられる型であり、筒状構造をしているが、内部にてロールケーキ様食品を成形するため、中空である必要がある。(図2)
なお、筒状構造とは、中空の柱状構造をさすが、その長手方向に垂直な断面の形状が現れる筒底面又は筒上面を「端部」、長手方向に平行な面を「側面」(筒の側面に当たる)と称する。(図2(b))
新形態ロールケーキ様食品用の型は前述のとおり筒状構造をしており、その2つある端部のうち少なくとも一端が開いている状態であることが望ましい(端部開口部と称する)。
またその長手方向に垂直な断面の形状はその一部が開口している必要があり、その筒状構造にも側面に開口部(側面開口部と称する)がある必要がある。(図2(b))
さらに長手方向に垂直な断面の形状で見た場合、開口部幅が長手方向に垂直な断面の内壁における長径(断面が円または楕円で無い場合は最大幅を指す)より小さい事が必要である。(図2(a))
新形態ロールケーキ様食品は型の中で形成されるが最終的にシート状食品素材とフィリング類とが組み合わせられた状態においては、ケーキの最大幅である内壁の長径より開口部幅が小さいため、側面開口部からは取り出せないため、少なくとも一端が開いた端部開口部よりロールケーキ様食品を引き出すことになる。
上記ロールケーキ様食品用の型の断面の形状は特に限定はないが、円又は楕円の一部が開いたもの(残った部分は弧と称する)、特にC字状であると、その型をもちいて得られる新形態ロールケーキ様食品が所謂ロールケーキの形状に似たものとなるため好適に利用できる。
また、筒状構造である新形態ロールケーキ様食品用の型の長手方向の形状も特に限定はされないが、より直線状である方が端部開口部よりロールケーキ様食品を引き出しやすいため望ましい。
長手方向の長さも特に限定はされないが、望ましくは長径の20倍、更に望ましくは15倍以下であることが好ましい。20倍を越えると作業性が悪くなり好ましくない。
本願で言うところの敷紙はスポンジケーキの底などに敷く紙であり、食品に用いられるものでありさえすれば、特に限定はされないが表面が平滑で滑りやすいものほど、後述のロールケーキ様食品のスポンジ部分を型に挿入したり、ロールケーキ様食品を引き出したりしやすいので望ましい。一例としては、更紙、上質紙、グラシン紙、クッキングシートなどが挙げられる。
上記、ロールケーキ様食品用の型を用いてロールケーキ様食品を作製する方法としては、以下のような方法がある。
まずシート状食品素材として、上記従来方法では旨く巻き上げることが出来ない柔らかく脆い、シート状のスポンジケーキ様食品を敷紙に底面が接触した状態で設置し(図3)シート状のスポンジケーキ様食品を敷紙ごと略筒状に湾曲させた(図4)上で上記ロールケーキ様食品用の型の端部より挿入することで型内にシート状のスポンジケーキ様食品を配置(図5)する。
略筒状に湾曲とは、ロールケーキ様食品用の型の断面の内壁における長径より小さく、かつ型と同じ方向に長手方向が向いた円筒に類する形状であり、特に左記条件を満たせば限定はされない。敷紙ごと略筒状に湾曲させたシート状のスポンジケーキ様食品は型内に配置した際に型と同様に側面開口部を有し、且つ型とシート状のスポンジケーキ様食品の側面開口部の向きが一致していることが望ましい。
また略筒状に湾曲した状態のシート状のスポンジケーキ様食品の長手方向の長さは、型の長手方向の長さ以下であることが望ましい。長い場合、型の外にシート状のスポンジケーキ様食品がはみ出した部分の形状が歪んだりするので好ましくない。
型内に敷紙を接した状態で配置したシート状のスポンジケーキ様食品は型の側面開口部または端部開口部よりフィリング類を注入する。(図6)
フィリング類をスポンジケーキ様食品の中空部を満たし、その後スポンジケーキ様食品を敷紙ごと型の端部開口部より型から引き出す。またフィリング類等を堅く締めてその保形性を増す為に、適宜型ごと冷蔵・冷凍下においた後に引き出してもかまわない。
敷紙はシート状食品素材を湾曲して吊下可能な把持用余巾を有するものであると、よりスポンジケーキ様食品を敷紙ごと型の端部開口部より型から引き出しやすい。
なお、スポンジケーキ様食品生地の配合や焼成条件、フィリング類の配合や製造条件は公知の方法に準じて行えばよく、型の材質も特に限定はされない。
あと、本願はあくまでも「ロールケーキ様」であって、用いられるシート状食品素材は通常のロールケーキのように複数回ロールしておらず、そのため、内部のシート状食品素材の湾曲度が低く、ひずみが生じにくいため、解けたり、割れたりしにくい。
さらには、ロールケーキ様食品がその型に収まった時に側面開口部にあたる部位は、ロールケーキ様食品を引き出した際にロールケーキ様食品の底部平面として存在するため転がりにくく安定性が得られる。その際その側面開口部は平面を大きいほどその安定性は高いものとなる。
また、型の長手方向に垂直な断面の形状がC字状であると、その型をもちいて得られるロールケーキ様食品自体もC字状となり、所謂ロールケーキの形状に似たものとなるため好適に利用できる。(図7(c)参照)
ただ、上記断面の形状は、開口部幅が断面の内壁における長径より小さければ、特にその形状には特に制限はなく図7(d)のような「の」の字であってもかまわない。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は重量基準を意味する。
<実施例1>
(シート状食品素材の調製)
クリームチーズ150部と卵黄70部、無塩バター20部を混ぜ合わせたものに、ヨーグルト20部、牛乳28部、生クリーム(乳脂肪45%)20部を加えて混合、さらにふるった薄力粉10部を加えて均一に混合する。
これに別途卵白140部、グラニュー糖30部を加えて泡立てて作製したメレンゲと混ぜ合わせ、平板状の型に入れて110℃のオーブンで1時間程度湯煎焼きをし、冷却して、シート状食品素材を得た。シート状食品素材の寸法は縦×横×厚さ=200mm×200mm×25mmであった。
なお、このシート状食品素材は脆く柔らかいものであった。以降、スポンジケーキ様食品と称す。
(シート状食品素材の成形)
図2の形状のロールケーキ様食品用の型を用意する。型の寸法は長径75mm、開口部幅70mm(内壁基準)長手方向の長さは250mmであった。
上記方法で得られたシート状のスポンジケーキ様食品を敷紙に底面が接触した状態で設置し(図3参照)シート状のスポンジケーキ様食品を敷紙ごと略筒状に湾曲させた(図4参照)上でロールケーキ様食品用の型の端部より挿入することで型内にシート状食品素材を配置(図5参照)した。
なお、クッキングシート上にシート状食品素材を乗せるのが困難なほどシート状食品が柔らかい場合は、クッキングシートを焼成前から型に敷いておき、クッキングシートごと取り出し、作業するとよい。
フィリングは生クリーム90部に対して砂糖を10部加えたものをホイップして作製し絞り袋につめて型の側面開口部より注入し、シート状食品の内部を満たした。はみ出したフィリングは取り除き端部の断面を成形したのち、型ごと冷蔵下に1時間程度置いた後に型からクッキングシートごと引き出し、クッキングシートを取り外した。(図8参照)
また、長手方向に垂直に切断したところ、断面の形状がC字状であった。(図9参照)
得られたロールケーキ様食品はきわめて柔軟な生地であるにもかかわらず、成形が容易ですばやく作れるものあり、またその柔軟さからも従来にない柔らかい口溶けでかつ、比べ特異な形状をしたものであった。また、型は厚紙製で安価であるにも拘らず、十分な強度があり、ロールケーキ様食品を作製するにあたり連続使用に耐えられるものであった。
<比較例1>
実施例1と同様の組成と工程でシート状食品素材とフィリングを作製し、型を用いずにシート状食品素材上にフィリングを実施例1と同量絞り、一面に延ばしてロール状に成形しようしたが全体均一に屈曲させることができず、局所的に折れ曲がり崩れ、商品価値を大きく損なうものであった。
<実施例2>
実施例1とは、型ごと冷蔵せずに成形後そのまま型から取り外す以外は同様の組成と工程でロールケーキ様食品を得た。
冷蔵によるシート状食品素材とフィリングの保形性の向上が得られない分、やや扁平であったが、生地の柔軟性とそれに伴う柔らかい口溶け、成形の容易さは実施例1と同様のものであった。
本発明により、極めて平易な方法にて、しかも従来では用いることのできなかったような物性のスポンジケーキを用いること、さらに早く大量のロールケーキ様食品を製造できる型ならびにその型を用いた新形態のロールケーキ様食品の製造法を提供することが可能となった。
ロールケーキ様食品とその断面を示す模式図。 ロールケーキ様食品用の型とその断面を示す模式図。 スポンジケーキ様食品の敷紙上での設置を示す模式図。 スポンジケーキ様食品の湾曲させた形状を示す模式図。 ロールケーキ様食品用の型内にスポンジケーキ様食品を配置した状態を示す模式図。 ロールケーキ様食品用の型内にスポンジケーキ様食品を配置した状態でフィリング類を注入した状態を示す模式図。 ロールケーキ様食品用の型とロールケーキ様食品用の断面を示す模式図 実施例1のロールケーキ様食品の図面代用写真。 実施例1のロールケーキ様食品の断面の図面代用写真。
a ロールケーキ様食品用の型の長手方向に垂直な断面。
b ロールケーキ様食品用の型の全体図。
c ロールケーキ様食品用の型の長手方向に垂直な断面の形状がC字状の場合の型とロールケーキ様食品断面図
d ロールケーキ様食品用の型の長手方向に垂直な断面の形状が「の」の字状の場合の型とロールケーキ様食品断面図

Claims (4)

  1. シート状食品素材を敷紙とともに略筒状に湾曲させ、次に示すロールケーキ様食品用の型の端部より挿入させて型内に沿わせて配置し、次いでフィリング類を湾曲した内側に注入する事を特徴とするロールケーキ様食品の製造法。但し、当該ロールケーキ様食品用の型は、中空の柱状であり、長手方向に垂直な断面の形状が開口しており、かつ開口部幅が断面内壁の長径より小さいものに限る。
  2. 型の断面が円又は楕円の弧である請求項1記載のロールケーキ様食品の製造法。
  3. 敷紙はシート状食品素材を湾曲して吊下可能な把持用余巾を有するものである請求項1〜2のいずれか1項記載のロールケーキ様食品の製造法。
  4. 型の長手方向に垂直な断面の形状がC字状である請求項1記載のロールケーキ様食品の製造法。
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