JP3662395B2 - ベーカリー生地 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイ生地と特定のクッキー生地とからなる積層構造を有するベーカリー生地、及び該生地を焼成してなるベーカリー製品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
パイ生地とクッキー生地とを組み合わせたベーカリー生地の従来技術としては、特開昭62−259540号公報や特開平8−242755号公報に記載された発明があげられる。
上記特開昭62−259540号公報には、クッキー生地をパイ生地の20〜80重量%使用したパイ風クッキーについて記載されているが、このクッキー生地について特に詳細な説明はなく、実施例でクッキー生地の具体例が記載されているが、このクッキー生地は、小麦粉100重量部に対して砂糖60重量部及び油脂90重量部を配合したものであり、焼成した場合、クッキーの浮きが良すぎるため、パイと組み合わせたときに形状が一定とならないという欠点を有するものであった。
また、上記特開平8−242755号公報には、上層部がパイ生地で下層部がクッキー生地である千鳥状の切れ目を設けた複合積層生地が記載されており、この複合積層生地をベーカリー製品の上部にのせたり、ベーカリー製品をこの複合積層生地で包み込んだりして焼成することにより、菱形の網目模様を有するベーカリー製品を得ることが記載されているが、ここで使用する複合積層生地は、焼成した場合、クッキー部分が硬すぎるため食感が悪いという欠点を有する。
【0003】
従って、本発明の目的は、焼成した場合、食感が良く、壊れにくく、安定した、パイ生地とクッキー生地とからなる積層構造を有するベーカリー製品となるベーカリー生地を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パイ生地と、小麦粉100重量部に対して糖類80〜130重量部及び油脂60〜90重量部を配合してなるクッキー生地とからなり、該クッキー生地の層数が20〜30層である積層構造を有することを特徴とするベーカリー生地を提供することにより、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記の本発明のベーカリー生地を切断し、切断面を上にして焼成することを特徴とするベーカリー製品を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のベーカリー生地について詳述する。
本発明で用いられるパイ生地としては、通常の製造方法によって得られるパイ生地、例えば、小麦粉に、油脂及び水と、必要に応じて卵、乳製品、糖類、食塩、呈味剤、イースト菌、膨張剤等を混捏し、圧延して生地を作成し、これにシート状やキューブ状の油脂を包み込み、圧延し、折り畳み操作を行うことにより得られるパイ生地を用いることができ、製造方法として折りパイ、練りパイのどちらでもよい。また、冷凍や冷蔵されたパイ生地を用いることもできる。
【0006】
また、本発明で用いられるクッキー生地は、小麦粉100部(重量部。以下同じ)に対して糖類80〜130部、好ましくは100〜120部、及び油脂60〜90部、好ましくは60〜80部を配合してなるものである。
上記糖類の配合量が80部よりも少ないと、クッキーの浮きが良すぎるためベーカリー製品の形状が不安定となるので好ましくなく、130部よりも多いと、逆にクッキーの浮きが悪いためベーカリー製品のクッキー部分がかたすぎ、食感が悪いものとなってしまうので好ましくない。また、上記油脂の配合量が60部よりも少ないと、ベーカリー製品の食感がかたくなるので好ましくなく、90部よりも多いと、ベーカリー製品が壊れやすくなるので好ましくない。
【0007】
また、上記クッキー生地に使用する小麦粉の種類は特に制限はないが、薄力粉を用いるのが好ましい。
また、上記クッキー生地に使用する糖類も特に制限はなく、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、糖アルコールの中から1種または2 種以上を用いることができ、グラニュー糖、上白糖、トレハロース、マルトースのうち1種または2種以上を用いるのが好ましい。
また、上記クッキー生地に使用する油脂も特に制限はなく、バター、マーガリン、ショートニングの単独または併用して用いることが可能である。また、上記クッキー生地には、その他の材料として、必要であれば卵、食塩、膨張剤、澱粉、バター、チーズ等の乳製品、呈味剤、フルーツやナッツ類及びこれらの乾燥粉末を配合することもできる。また、上記クッキー生地は、冷蔵、冷凍保存したクッキー生地でもよい。
【0008】
上記パイ生地と上記クッキー生地とは、パイ生地100部に対し、クッキー生地を20〜50部の比率で組み合わせるのが好ましい。クッキー生地が20部よりも少ないと、ベーカリー製品の浮きがよすぎるため、形状が不安定となりやすく、50部よりも多いと、ベーカリー製品の浮きが悪いため、食感が悪くなる傾向にある。
【0009】
本発明の積層構造を得るには、2つの方法がある。1つめは、パイ生地でクッキー生地を包み込み、圧延、折り畳み操作を行うことにより積層構造とする方法である。2つめは、同じ大きさのパイ生地とクッキー生地とを用意し、これらの生地を重ねあわせ、圧延することにより積層構造とする方法である。2つめの方法では、折り畳み操作を行わないで積層構造とするので、生地の端までクッキー生地が行き渡るため、積層模様が均一となる。
積層構造の層数は、クッキー生地を20〜30層とする。クッキー生地の層数が20層よりも少ないと、浮きが良すぎるため、焼成後のベーカリー製品の形状が不安定となりやすく、30層よりも多いと、浮きが悪いため、食感が悪くなる傾向にある。
【0010】
上述の本発明のベーカリー生地を焼成してベーカリー製品とする場合、上記ベーカリー生地を切断し、切断面を上にして焼成することが好ましい。このとき切断する時の生地の大きさを縦をA、横をB、厚さをCとすると、切断面を上にすることにより、長さがA、幅がC、高さがBの生地となる。このとき長さAと幅Cは目的とするベーカリー製品の形状により異なるが、高さBは形状がどんなものであっても1〜2.5cmとするのが好ましい。高さBが1cmより薄いと、焼成後のベーカリー製品が壊れやすく、2.5cmよりも厚いと、火通りが悪い。
【0011】
上記ベーカリー生地の焼成は、切断した生地の切断面を上にして型にいれて焼成することもできる。このとき使用する型を円形のものとし、型に入れる生地の数を4〜6個とすることにより、焼成により生地が膨張するため、輪切りのパイナップルの形状様のベーカリー製品とすることができる。このとき使用する型の大きさに特に制限はないが、5〜15cmのものを使用するのがよい。このときの型に入れる生地の大きさは型に入れる生地の数によって異なる。型に入れる生地の数が4個のときは、生地の長さAは使用する型の直径の30〜40%、幅Cは円周の4分の1を3.5〜4.5で割った長さとするとよい。また、型に入れる生地の数が5個のときは、生地の長さAは使用する型の直径の35〜45%、幅Cは円周の5分の1を3.0〜4.0で割った長さとするとよい。また、型に入れる生地の数が6個のときは、生地の長さAは使用する型の直径の40〜50%、幅Cは円周の6分の1を2.5〜3.5で割った長さとするとよい。
また、上記ベーカリー生地の焼成条件は、ベーカリー製品の形状により異なるが、通常、焼成温度180〜200℃、焼成時間は20〜50分とするとよい。さらに必要により、焼成後のベーカリー製品に、油脂に混ぜたフレーバーや、シーズニングパウダー、溶かしたチョコレートを塗布することにより風味に特徴をもたせることができる。
【0012】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
実施例1
パイ生地を以下のような配合、製法で製造した。強力粉500g、薄力粉500g、脱脂粉乳20g、練込用油脂50g及び全卵50gをボールにいれ、低速で1分間ミキシングをした後、これに、水530gに食塩10gを溶かしたものを加え、低速2分、中速3分、高速2分間ミキシングをした。この生地を3〜5℃の冷蔵庫で10時間休ませた。この生地1660gに対して折込用油脂900gを包み込み、リバースシーターで圧延し、生地を折るたびに1時間冷蔵庫で休ませながら、3つ折り2回、4つ折り2回行い、折り数が144層のパイ生地シートを得た。
また、クッキー生地を以下のような配合、製法で製造した。油脂600g、上白糖1000g及び食塩5gをボールに入れ、ビーターで低速1分間ミキシング後、中速で7分間ミキシングし、これに全卵250gを低速でミキシングしながら加え、約2分間混合する。これに、薄力粉1000g及びベーキングパウダー5gを混合し、ふるったものを加え、低速で30秒間混合する。最後にココナッツファイン150gを混合して均一なクッキー生地を得た。この生地を3〜5℃の冷蔵庫に10時間休ませた。
上記で得られたパイ生地1kgをリバースシーターで圧延して厚さ5mmの生地シートを得、これを3等分した。また、上記で得られたクッキー生地330gを圧延できる物性に手捏ねした生地をリバースシーターで圧延して厚さ2mmの生地シートを得、これを2等分した。尚、3等分したパイ生地と2等分したクッキー生地の大きさは同じである。
このようにして得られたパイ生地3枚の間にクッキー生地2枚を交互に重ねあわせて積層生地を作成した。これを生地温度が8〜10℃となるまで冷蔵庫にいれて調温した後、リバースシーターで圧延して厚さ6mmとする。さらに、これを3等分し、この3つの生地を重ねあわせ、圧延し、厚さ6mmとする。そしてこの生地を4等分し、この4つの生地を重ねあわせ、冷蔵保管して生地温度を8〜10℃とする。
この生地を厚さ20mmまで圧延しクッキー生地が24層の積層生地とした。そして、縦35mm、横16mmにカットした。この積層生地片の切断面を上にして長さ35mm、幅20mm、高さ16mmの生地片とし、この生地片4つを直径10cmの円形の型に入れ、190℃で35分焼成した。得られたベーカリー製品は食感がよく、壊れにくく、安定した形状のものであった。
【0014】
実施例2
実施例1において最終の生地の大きさを長さ25mm、幅15mm、高さ15mmの生地片とし、この生地片4つを直径7cmの円形の型に入れ、190℃で25分焼成した。得られたベーカリー製品は食感がよく、壊れにくく、安定した形状のものであった。
【0015】
実施例3
実施例1のパイ生地とクッキー生地を用い、パイ生地1kgで、圧延できる物性に手捏ねしたクッキー生地500gを包み込み、3つ折り3回行い、クッキー生地が27層の積層生地を得た。これを冷蔵保管して生地温度を8〜10℃とした。
この生地を厚さ18mmまで圧延し、縦45mm、横18mmにカットした。この積層生地片の切断面を上にして長さ45mm、幅18mm、高さ18mmの生地片とし、この生地片6つを直径10cmの円形の型に入れ、190℃で40分焼成した。得られたベーカリー製品は食感がよく、壊れにくく、安定した形状のものであった。
【0016】
比較例1
実施例1においてクッキー生地に配合する上白糖を60gとした他は実施例1と同様の方法で積層生地を作成し、この積層生地を用いて実施例1と同様にしてベーカリー製品を製造した。得られたベーカリー製品は浮きがよすぎるため、生地のあばれにより、形状が不安定であった。
【0017】
比較例2
実施例1においてクッキー生地に配合する油脂を20gとした他は実施例1と同様の方法で積層生地を作成し、この積層生地を用いて実施例1と同様にしてベーカリー製品を製造した。得られたベーカリー製品はクッキー生地部分がかたいため食感が悪いものであった。
【0018】
【発明の効果】
本発明のベーカリー生地によれば、食感が良く、壊れにくく、安定した、パイ生地とクッキー生地とからなる積層構造を有するベーカリー製品を提供できる。
Claims (5)
- パイ生地と、小麦粉100重量部に対して糖類80〜130重量部及び油脂60〜90重量部を配合してなるクッキー生地とからなり、該クッキー生地の層数が20〜30層である積層構造を有することを特徴とするベーカリー生地。
- パイ生地でクッキー生地を包み込み、圧延、折り畳み操作により、積層構造とすることを特徴とする請求項1記載のベーカリー生地。
- 同じ大きさのパイ生地とクッキー生地とを重ねあわせ、圧延することにより、積層構造とすることを特徴とする請求項1記載のベーカリー生地。
- 請求項1〜3の何れかに記載のベーカリー生地を切断し、切断面を上にして焼成することを特徴とするベーカリー製品。
- 型に入れて焼成することを特徴とする請求項4記載のベーカリー製品。
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JP24100997A JP3662395B2 (ja) | 1997-09-05 | 1997-09-05 | ベーカリー生地 |
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JP24100997A JP3662395B2 (ja) | 1997-09-05 | 1997-09-05 | ベーカリー生地 |
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-
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- 1997-09-05 JP JP24100997A patent/JP3662395B2/ja not_active Expired - Lifetime
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