JP4416699B2 - 複合積層状ベーカリー生地、層状ベーカリー食品及び複合積層状ベーカリー生地の製造方法。 - Google Patents
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Description
これらの呈味を有する層状ベーカリー食品を得るためには、ベーカリー生地中に、チーズ、チョコレート、カスタード、コーヒー等の呈味素材を練込使用する方法、ロールイン用油脂を包み込み、折り込んだベーカリー生地に、小片状の呈味素材を散布、あるいはシート状のフラワーペースト(フラワーシート)を供給し、さらに折り込んだ複合積層状ベーカリー生地を使用する方法が用いられてきた。
また、ロールイン用油脂を包み込み、折り込んだベーカリー生地に、小片状の呈味素材を散布、あるいはシート状のフラワーペースト(フラワーシート)を供給し、さらに折り込んだ複合積層状ベーカリー生地を使用する方法は、フラワーシートを用いた場合は浮きが阻害され、小片状の呈味素材を用いた場合は浮きが不均一になる等、良好な浮きの層状ベーカリー食品が得られず、また、食感がねちゃつきやすく、パリパリした食感が得られにくいといった欠点がある。
本発明の複合積層状ベーカリー生地は、呈味素材層、ロールイン油脂層及びベーカリー生地層を有する。
本発明の複合積層状ベーカリー生地の呈味素材層を構成する呈味素材としては、通常、ベーカリー生地に風味を付与するために使用する食品素材であって、塗布、積置、折込可能なものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、各種呈味成分を含有するフラワーペースト、あるいは、ゲル化剤や増粘多糖類を使用して得られるジャム、ゼリー等のゲル化食品、カスタードクリーム、アーモンドクリーム、マロンペースト、あん、チョコペースト、ヌガー等のペースト状食品、シュー生地やバターケーキ生地等の塗布可能なベーカリー生地等が挙げられる。
なお、上記のSFCは、次のようにして測定する。配合油を60℃に30分保持し、油脂を完全に融解し、そして0℃に30分保持して固化させる。さらに25℃に30分保持し、テンパリングを行い、その後、0℃に30分保持する。これを順次SFCの各測定温度に30分保持後、SFCを測定する。
ロールイン油脂層の層数が呈味素材層の層数以上であると、得られる層状ベーカリー食品において、表面のパリパリ感が得られず、また、内部のしっとりとした食感も弱いものになってしまう。
本発明の複合積層状ベーカリー生地は、上記呈味素材層の層数と上記ロールイン油脂層の層数との比(前者:後者)が、2:1〜24:1であることが好ましく、より好ましくは3:1〜12:1である。
上記の本発明の複合積層状ベーカリー生地は、上記の呈味素材、ロールイン油脂及びベーカリー生地を用いて、各層の層数が上記条件となるように積層することによって得ることができるが、例えば、好ましくは、上記ベーカリー生地と上記呈味素材とを積層した後、得られた積層物に上記ロールイン油脂を供給し、折り込む方法により、簡単に得ることができる。
すなわち、従来の呈味素材を含有する複合積層状ベーカリー生地の製造方法では、ベーカリー生地とロールイン油脂とを積層した後、呈味素材を供給し、折り込んで複合積層状ベーカリー生地を製造しているに対し、上記の本発明の複合積層状ベーカリー生地の製造方法では、ベーカリー生地と呈味素材とを積層した後、ロールイン油脂を供給し、折り込んで複合積層状ベーカリー生地を製造する点に特徴がある。
また、上記ロールイン油脂層を製造するために供給するロールイン油脂としては、バターや、水中油型マーガリン、油中水型マーガリン、ショートニング等のペースト状〜可塑性のロールイン油脂を使用でき、可塑性ロールイン油脂においては、その形状についても、小片状、シート状等の各種形状のものを使用することができるが、本発明では、上記ロールイン油脂が小片状のものであると、得られる層状ベーカリー食品の表面のパリパリ感がより良好となる点で好ましい。
小片状に成形する方法としては、特に限定されるものではないが、包丁や自動ラインでカットする方法や、小穴をあけた口金を通す押し出し成形で吐出させた後にカットする方法等が挙げられる。
なお、上記ロールイン油脂は、一般的なロールイン油脂に含まれる各種の糖や呈味素材等を含有するものであってもよい。
また、呈味素材やロールイン油脂のベーカリー生地への供給方法としては、その物性によって、積置、塗布、散布のうちの1種又は2種の方法を適宜選択することができる。
本発明の層状ベーカリー食品は、呈味素材が偏在することもなく均一に分散されているため、呈味素材の風味の発現性が良好であり、また、形状も均一で良好な浮きを示し、且つ、表面はパリパリであるが、内部はしっとりした良好な食感を示す。
<シート状フラワーペーストの製造>
パーム油24.5%及びナタネ極度硬化油0.5%に、キサンタンガム0.01%及びペクチン0.3%を添加し、油相とした。水30%、デンプン4%、小麦粉3%、ゼラチン2%、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖27%、脱脂粉乳3%、乾燥全卵5%及び香料0.69%を混合し、水相とした。この油相と水相とを混合、乳化、均質化した後、加熱殺菌し、次いで、22℃まで冷却した後、長さ400mm、幅200mm、厚さ8mmのシート状に成形し、カスタード風味のシート状フラワーペーストを得た。
<小片状フラワーペーストの製造>
製造例1で得られたシート状フラワーペーストを2℃で7日間冷蔵後、包丁を用いて8mm角の立方体に切りだし、カスタード風味の小片状フラワーペーストを得た。
<小片状ロールイン油脂の製造>
豚脂、大豆極度硬化油及びパーム中部油を75:5:20の質量割合で配合した混合油脂81%、レシチン0.5%並びにステアリン酸モノグリセリド0.5%からなる油相と、水17%及び食塩1%からなる水相とを、常法により、油中水型乳化後、急冷可塑化し、可塑性油脂(マーガリン)を得た。この可塑性油脂(マーガリン)を2℃で7日間冷蔵後、押し出し成形により、直径13mm、長さ30mmのストロー状に成形し、小片状ロールイン油脂を得た。このロールイン油脂の油相のSFCは10℃で50、20℃で35であった。
<シート状ロールイン油脂の製造>
製造例3と同様にして可塑性油脂(マーガリン)を得た。この可塑性油脂(マーガリン)を2℃で7日間冷蔵後、長さ400mm、幅200mm、厚さ8mmのシート状に成形し、シート状ロールイン油脂を得た。このシート状ロールイン油脂の油相のSFCは10℃で50、20℃で35であった。
薄力粉40質量部、強力粉60質量部、イースト5質量部、イーストフード0.1質量部、上白糖20質量部、食塩1.2質量部、全卵12質量部、牛乳30質量部及び水30質量部をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーにて低速で5分、中速で10分混合後、練込油脂(マーガリン)10質量部を投入し、低速で2分、中速で5分混合し、ベーカリー生地を得た。得られたベーカリー生地は、フロアタイム30分(25℃)とった後、2℃で12時間静置した。次いで、リバースシーターを用いて、空折り4つ折りを1回行ない、この生地上に、製造例1で得られたシート状フラワーペースト50質量部を積置して、更に3つ折りを2回(9層)実施した後、厚さ10mmまで圧延し、ここに10℃に調温した製造例3で得られた小片状ロールイン油脂20質量部を散布して、4つ折りを2回(計16層)行ない、呈味素材層の層数が144層、ロールイン油脂層の層数が16層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との合計が160層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との比が9:1である複合積層状ベーカリー生地を得た。
この生地を5℃で1時間レストをとった後、10mmまで圧延し、これを240mm×20mmの大きさに打ち抜き後、ツイスト成形を行ない、34℃、相対湿度85%、50分のホイロをとった後、195℃の固定窯で15分焼成し、デニッシュスティックを得た。
得られたデニッシュスティックは、カスタードの風味が強く感じられる上に、表面はパリパリであるが、内部はしっとりしており、大変良好なものであった。また、浮き、形状の安定性とも良好であった。
フラワーペーストを積置してから、小片状ロールイン油脂を散布するまでの折り数を4つ折り2回(16層)とし、小片状ロールイン油脂を散布してからの折り数を3つ折り2回(計9層)とした以外は、実施例1と同様の配合・製法により、呈味素材層の層数が144層、ロールイン油脂層の層数が9層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との合計が153層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との比が16:1である複合積層状ベーカリー生地を得た。
この生地を使用して、実施例1と同様の製法で層状ベーカリー食品(デニッシュスティック)を製造した。
得られたデニッシュスティックは、カスタードの風味が強く感じられる上に、表面はパリパリであるが、内部はしっとりしており、大変良好なものであった。なお、浮きは実施例1のデニッシュスティックより若干良好であったものの、形状の安定性は実施例1のデニッシュスティックに比べて若干劣っていた。
フラワーペーストを積置してから、小片状ロールイン油脂を散布するまでの折り数を4つ折り1回(4層)とし、小片状ロールイン油脂を散布してからの折り数を3つ折り2回、4つ折り1回(計36層)とした以外は、実施例1と同様の配合・製法により、呈味素材層の層数が144層、ロールイン油脂層の層数が36層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との合計が180層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との比が4:1である複合積層状ベーカリー生地を得た。
この生地を使用して、実施例1と同様の製法で層状ベーカリー食品(デニッシュスティック)を製造した。
得られたデニッシュスティックは、カスタードの風味が強く感じられる上に、表面はパリパリであるが、内部はしっとりしており、大変良好なものであった。なお、浮きは実施例1のデニッシュスティックより若干劣っていたものの、形状の安定性は実施例1のデニッシュスティックに比べて若干良好であった。
小片状ロールイン油脂に代えて、製造例4で得られたシート状ロールイン油脂を使用した以外は、実施例1と同様の配合・製法により、呈味素材層の層数が144層、ロールイン油脂層の層数が16層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との合計が160層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との比が、9:1である複合積層状ベーカリー生地を得た。
この生地を使用して、実施例1と同様の製法で層状ベーカリー食品(デニッシュスティック)を製造した。
得られたデニッシュスティックは、カスタードの風味が強く感じられ、内部のしっとり感は良好であったが、表面のパリパリ感は実施例1のデニッシュスティックより若干劣っていた。なお、浮き、形状の安定性は実施例1のデニッシュスティックとほぼ同一であった。
薄力粉40質量部、強力粉60質量部、上白糖20質量部、及び10℃に調温した製造例3で得られた小片状ロールイン油脂30質量部をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーにて低速で1分混合後、イースト5質量部、イーストフード0.1質量部、食塩1.2質量部、全卵12質量部、牛乳30質量部及び水30質量部をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーにて低速で5分、中速で10分混合後、練込油脂(マーガリン)10質量部を投入し、低速で2分、中速で5分混合し、ベーカリー生地を得た。得られたベーカリー生地は、フロアタイム30分(25℃)とった後、2℃で12時間静置した。次いで、リバースシーターを用いて、4つ折りを2回行ない(計16層)、この生地上に製造例1で得られたシート状フラワーペースト50質量部を積置して、3つ折り2回(計9層)行ない、呈味素材層の層数が9層、ロールイン油脂層の層数が144層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との合計が153層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との比が0.06:1である複合積層状ベーカリー生地を得た。
この生地を使用して、実施例1と同様の製法で層状ベーカリー食品(デニッシュスティック)を製造した。
得られたデニッシュスティックは、カスタードの風味が強く感じられたが、表面のパリパリ感がなく、内部のしっとり感も実施例1のデニッシュスティックより悪いものであった。なお、浮き、形状の安定性も実施例1のデニッシュスティックより劣るものであった。
薄力粉40質量部、強力粉60質量部、イースト5質量部、イーストフード0.1質量部、上白糖20質量部、食塩1.2質量部、全卵12質量部、牛乳30質量部及び水30質量部をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーにて低速で5分、中速で10分混合後、練込油脂(マーガリン)10質量部を投入し、低速で2分、中速で5分混合し、ベーカリー生地を得た。得られたベーカリー生地は、フロアタイム30分(25℃)とった後、2℃で12時間静置した。次いで、この生地上に、10℃に調温した製造例4で得られたシート状ロールイン油脂20質量部を積置して、リバースシーターを用いて、4つ折りを2回(16層)実施した後、厚さ10mmまで圧延し、ここに製造例1で得られたシート状フラワーペースト50質量部を積置して、3つ折り2回(計9層)行ない、呈味素材層の層数が9層、ロールイン油脂層の層数が144層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との合計が153層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との比が0.06:1である複合積層状ベーカリー生地を得た。
この生地を5℃で1時間レストをとった後、10mmまで圧延し、これを240mm×20mmの大きさに打ち抜き後、ツイスト成形を行ない、34℃、相対湿度85%、50分のホイロをとった後、195℃の固定窯で15分焼成し、デニッシュスティックを得た。
得られたデニッシュスティックは、カスタードの風味が強く感じられたが、表面のパリパリ感が全くなく、内部のしっとり感も感じられないものであった。なお、浮き、形状の安定性は比較例1のデニッシュスティックよりさらに若干劣るものであった。
薄力粉40質量部、強力粉60質量部、イースト5質量部、イーストフード0.1質量部、上白糖20質量部、食塩1.2質量部、全卵12質量部、牛乳30質量部及び水30質量部をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーにて低速で5分、中速で10分混合後、練込油脂(マーガリン)10質量部を投入し、低速で2分、中速で5分混合し、ベーカリー生地を得た。得られたベーカリー生地は、フロアタイム30分(25℃)とった後、2℃で12時間静置した。次いで、この生地上に、10℃に調温した製造例4で得られたシート状ロールイン油脂20質量部を積置して、さらにその上から、製造例2で得られた小片状フラワーペースト50質量部を散布して、4つ折りを2回、3つ折りを2回(計64層)行ない、呈味素材層の層数が144層、ロールイン油脂層の層数が144層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との合計が288層、呈味素材層の層数とロールイン油脂層の層数との比が1:1である複合積層状ベーカリー生地を得た。
この生地を使用して、実施例1と同様の製法で層状ベーカリー食品(デニッシュスティック)を製造した。
得られたデニッシュスティックは、カスタードの風味が強く感じられたが、表面のパリパリ感がなく、全体がしっとりした食感であった。なお、浮きは良好であるが、形状の安定性は実施例1のデニッシュスティックより極めて悪いものであった。
Claims (10)
- 呈味素材層、ロールイン油脂層及びベーカリー生地層を含む複合積層状ベーカリー生地であって、上記呈味素材層の層数より、上記ロールイン油脂層の層数が小であることを特徴とする複合積層状ベーカリー生地。
- 上記呈味素材層の層数と上記ロールイン油脂層の層数との比(前者:後者)が、2:1〜24:1である請求項1記載の複合積層状ベーカリー生地。
- 上記ロールイン油脂層の層数が、3層〜96層である請求項1又は2記載の複合積層状ベーカリー生地。
- 上記呈味素材層の層数と上記ロールイン油脂層の層数との合計が、9層〜584層である請求項1〜3のいずれかに記載の複合積層状ベーカリー生地。
- 上記呈味素材層が、フラワーペーストである請求項1〜4のいずれかに記載の複合積層状ベーカリー生地。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の複合積層状ベーカリー生地を加熱してなる層状ベーカリー食品。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の複合積層状ベーカリー生地を製造する方法であって、ベーカリー生地と呈味素材との積層物を製造した後、該積層物にロールイン油脂を供給し、折り込むことを特徴とする複合積層状ベーカリー生地の製造方法。
- 上記呈味素材として、シート状呈味素材を使用する請求項7記載の複合積層状ベーカリー生地の製造方法。
- 上記ロールイン油脂として、小片状のロールイン油脂を使用する請求項7又は8記載の複合積層状ベーカリー生地の製造方法。
- 上記呈味素材1質量部に対し、上記ロールイン油脂を0.1〜1質量部使用する請求項7〜9のいずれかに記載の複合積層状ベーカリー生地の製造方法。
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