JP6640525B2 - 折パイ用シート状ロールイン油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、風味良好で、サクサクとしたひきの少ないしっかりした食感の層状ベーカリー食品を得ることができるシート状ロールイン油脂組成物に関する。
層状ベーカリー食品にはクロワッサンやデニッシュ・ペストリー、パイなどがあり、これらは通常、シート状ロールイン油脂をドウ生地に積載して包み込み、圧延及び折り畳みの操作を複数回行うことで折込み、互層状ベーカリー生地を製造した後、これを各種成形し、次いで必要に応じてホイロをとった後、焼成及び/又はフライする事によって得られる。
この層状ベーカリー食品は、圧延および折り畳み操作の時にドウ層のグルテンが形成され、ひきのある食感になりがちであり、また、層の結着性も弱くなりやすい為に損壊しやすいことが製造上の課題として挙げられてきた。(非特許文献1参照)
これらの層状ベーカリー食品はフレーキーな食感が特徴であり、老若男女を問わず一般消費者から好まれている人気の高いベーカリー製品の一つであるが、市場では殊更サクサク感が強くひきの少ない層状ベーカリー食品が求められる傾向にあり、例えば特許文献1〜4のような先行技術が紹介されてきた。
特許文献1には、特定のトリグリセリド組成を有するロールイン油脂組成物が、特許文献2には特定の乳化剤を含有するロールイン油脂組成物が、特許文献3には水相のpHを特定範囲としたロールイン油脂組成物が、特許文献4には特定の油脂組成のロールイン油脂組成物が記載されている。
しかし、これらの油脂組成や油脂配合による方法では、層の結着性の問題が解決されず、損壊しやすい問題については残ったままであるため、この問題が解決されたしっかりした食感の層状ベーカリー食品がさらに要望された。また特許文献2や特許文献3の方法において効果を高めるために乳化剤の配合量を増やしたりpHを強酸性とすると風味に影響が出やすいという問題もあった。
このような要望に対し、粉粒状ゼラチンを使用したロールイン油脂組成物(たとえば特許文献5参照)、特定のデキストリンを使用したロールイン油脂組成物(たとえば特許文献6参照)が紹介された。また、パイ生地に対しクッキー生地を折り込む方法についても紹介された。(例えば特許文献7、8参照)。
しかし特許文献5や6の油脂組成物を使用して得られた層状ベーカリー食品はしっかりした食感ではあるが層がやや厚くなってしまい、硬い食感になってしまう問題があり、特許文献7や8に記載の方法では、別途ロールイン油脂を使用するため製造工程が1段階多くなってしまい製造が煩雑である問題に加え、折数を多くできない問題、さらには折数が少ない場合、得られた層状ベーカリー食品がチェッキングを起こしやすいという問題があった。
ここで、サクサク且つしっかりとした食感の層状ベーカリー食品を得るための一般的技法としてロールイン油脂組成物に小麦粉を添加・混合する方法があるが、小麦粉の添加量が多いと延展性が急激に悪化すること、さらにはロールイン油脂組成物中に50質量%以上添加・混合されるとそぼろ状になりやすいため、通常はロールイン油脂組成物中に30%程度以下となる添加量となっている。(非特許文献2参照)
また、澱粉と油脂の混合物を小片状として練りパイ用油脂として使用する方法について既に紹介されている(例えば特許文献9参照)が、シート状として折込油脂として使用することの記載はない。
製菓理論 基本生地とその応用 松田兼一著 昭和62年11月1日刊 p14〜17 製菓理論 基本生地とその応用 松田兼一著 昭和62年11月1日刊 p60
特開2013−236597号公報 特開2000−253816号公報 特開2007−116985号公報 特開2009−34089号公報 特開2007−124910号公報 特開2005−034138号公報 特開平11−075675号公報 特開2004−201656号公報 特開2009−240259号公報
従って本発明が解決しようとする課題は、風味良好で、サクサクとしたひきの少ないしっかりした食感の層状ベーカリー食品を提供することにある。
本発明者等が鋭意検討した結果、シート状ロールイン油脂組成物を使用した層状ベーカリー食品の製造時に、澱粉類の添加方法を工夫することで、上記課題を解決可能であることを知見した。
すなわち本発明は澱粉類を35〜75質量%含有するシート状ロールイン油脂組成物を提供するものである。
本発明によれば、風味良好で、サクサクとしたひきの少ないしっかりした食感の層状ベーカリー食品を容易に安定して得ることができる。
本発明について好ましい実施形態に基づいて、詳細を下述する。
なお、本発明において、層状ベーカリー食品とはクロワッサンやデニッシュ・ペストリー、パイなどに代表される食品であり、本発明品のシート状ロールイン油脂組成物をドウ生地に積載して包み込み、圧延及び折り畳みの操作を複数回行うことで折込んだ生地を製造した後、これを各種成形し、次いで必要に応じてホイロをとった後、適宜加熱する事によって得られるベーカリー食品をさす。
本発明のシート状ロールイン油脂組成物を構成する油脂としては特に限定されず、任意の油脂を使用する事が可能である。例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、乳脂、牛脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂から、求めるシート状ロールイン油脂組成物の物性に応じて任意の1種又は2種以上選択する事が可能である。
本発明では風味が良好な油脂組成物が得られる点、及び、澱粉類由来の風味をマスキング可能な点で、乳脂を含有する事が好ましく、好ましくは油脂組成物を構成する油脂中の15質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは100質量%使用する。
なお、本発明のシート状ロールイン油脂組成物における油脂含有量は、下に述べるその他の成分に含まれる油脂も含め、好ましくは25〜65質量%、より好ましくは35〜60質量%である。
油脂含有量が25質量%未満であると、シート状ロールイン油脂組成物として好ましい可塑性が得られにくいことに加え、得られる層状ベーカリー食品に良好な層状構造が得られないおそれがあり、65質量%を超えると、得られる層状ベーカリー食品の浮きが不均一になるおそれがある。
本発明のシート状ロールイン油脂組成物は、澱粉類を35〜75質量%、好ましくは40〜60質量%含有する。澱粉類の含有量が30質量%未満、又は、75質量%を超えると、本発明の効果が得られない。
本発明で用いる澱粉類としては、まず穀粉類、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などの小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉などのその他の穀粉類等が挙げられる。また、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシュ―ナッツ粉、オーナッツ粉、松実粉などの堅果粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉などの澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理などの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉等が挙げられる。
本発明では、上記の中でも、良好な可塑性のシート状ロールイン油脂組成物とすることが可能な点で穀粉類を使用することが好ましく、より好ましくは小麦粉類を穀粉類の50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上使用する。小麦粉類の中でも、とりわけ蛋白質含量が高い強力粉を用いることで、特にサクサク感が強くひきの少ない層状ベーカリー生地が得られやすい為、好ましい。また強力粉は小麦蛋白質量が10.5質量%以上であることが好ましい。なお、本発明において澱粉類が穀粉類である場合、本発明のシート状ロールイン油脂組成物が澱粉類を35〜75質量%含有するとは、該油脂組成物が穀粉類を35〜75質量%含有することを意味し、該油脂組成物中における穀粉類由来の澱粉成分の量は必ずしも35〜75質量%の範囲を満たさなくてもよい。
なお、穀粉類を用いる場合には、乾熱処理を施したものを用いることが好ましい。これは穀粉類中の蛋白質を失活させることにより、層状ベーカリー食品に対してよりサクサクとした食感を付与すると共に、ドウ層の間に挟まれた本発明品の層がドウ層同士の結着を防ぐことが出来るためである。乾熱処理方法については特に限定されないが、好ましくは100〜250℃で、5分〜10時間程度行なえばよい。穀粉類の乾熱処理条件については特に制限はなく、通常、大気雰囲気下で行うことができ、焙焼温度や焙焼時間を適宜調整すればよい。例えば焙焼温度は、焙焼方法によって異なるが、好ましくは60〜160℃、さらに好ましくは80〜140℃である。また、例えば焙焼時間は、好ましくは5分〜24時間、さらに好ましくは10分〜12時間である。焙焼する機械は粉体を加熱できるものであればよく、一般的な固定オーブンやリールオーブンをはじめ、撹拌装置のついた直火式、蒸気ジャケット式、電磁加熱式の焙煎釜若しくはロースターを用いてもよい。尚、市販の焙焼小麦粉を使用しても問題はない。このように処理して得られた焙焼小麦粉は、焙焼後に空冷などの方法によって冷却を行う。粒状や塊状になった場合には元の穀粉類と同じ程度の粒度になるまで適宜粉砕処理を施すことが好ましい。水分量を低下させる乾熱処理等の処理が施されていない穀粉類の通常の水分量としては、例えば10〜15質量%程度であることが知られている。これに対し乾熱処理を施した穀粉類の水分量はこの範囲よりも小さくなるが、1〜6質量%の範囲であることが好ましい。これらの水分含量は常圧加熱乾燥法や減圧加熱乾燥法を用いて測定される。
なお、本発明のシート状ロールイン油脂組成物においては、上記油脂と上記澱粉類の含有量の比が、油脂1質量部に対し、澱粉類が0.54〜3.0質量部であることが好ましく、0.80〜2.8質量部であることがより好ましい。油脂1質量部に対し、澱粉類が0.54質量部未満であると、シート状に成形し難いと同時に得られる層状ベーカリー食品がパン目となり、ひきのある食感となりやすく、3.0質量部を超えると、層状ベーカリー食品の製造時に層の結着性が弱くなりやすく損壊しやすいという製造上の問題が生じやすくなってしまう。
本発明のシート状ロールイン油脂組成物は、上記油脂、上記澱粉類に加え、本発明の効果に影響のない範囲において、その他の成分を含むものであってもよい。
上記その他の成分としては、たとえば、水、糖類や甘味料、乳化剤、デキストリン、乳や乳製品、増粘安定剤、卵類、食塩、塩味剤、苦味料、酸味料、酵素、酸化防止剤、着色料類、pH調整剤、膨張剤、無機塩類、生地改良剤、食品保存料、日持ち向上剤、着香料、アルコール類、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、野菜類・肉類・魚介類などの食品素材、コンソメ・ブイヨンなどの植物及び動物エキス等の食品や食品添加物が挙げられる。
その他の成分は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、本発明のシート状ロールイン油脂組成物中合計で20質量%以下、より好ましくは10質量%以下となる範囲で使用する。
上記水としては、特に限定されず、天然水や水道水などが挙げられる。
本発明のシート状ロールイン油脂組成物における好ましい水の含有量は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜12質量%である。20質量%を超えると、シート状ロールイン油脂組成物の保存性が悪化しやすいことに加え、得られる互層状ベーカリー生地にダマが生じやすい。
なお、本発明においては、上記水の含有量は、上記天然水や水道水をはじめ、その他の成分中に含まれる水分を併せた含有量である。
上記の糖類や甘味料としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、還元水飴、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル・グリセリン酢酸脂肪酸エステル・グリセリン乳酸脂肪酸エステル・グリセリンコハク酸脂肪酸エステル・グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル・ソルビタン脂肪酸エステル・ショ糖脂肪酸エステル・ショ糖酢酸イソ酪酸エステル・ポリグリセリン脂肪酸エステル・ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル・プロピレングリコール脂肪酸エステル・ステアロイル乳酸カルシウム・ステアロイル乳酸ナトリウム・ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド・レシチンなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のシート状ロールイン油脂組成物における乳化剤含量は好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%である。
上記乳や乳製品としては、カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳・純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリーム・ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・クリームチーズ・ゴーダチーズ・チェダーチーズなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記増粘安定剤としては、キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、ペクチン、プルラン、タマリンドシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、ファーセルラン、タラガム、カラヤガム、トラガントガム、ジェランガム、大豆多糖類などが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
なお、本発明のシート状ロールイン油脂組成物は気相が含まれるものであっても含まれないものであってもよい。
本発明のシート状ロールイン油脂組成物の製造方法について述べる。
本発明のシート状ロールイン油脂組成物は、可塑性油脂組成物を製造する際に澱粉類を添加して製造し、シート状に成形する方法や、油脂と澱粉類を混合後にシート状に成形する方法であってもよいが、粘度やラインでの圧力を考慮する必要がなく製造がより容易である点で油脂と澱粉類を混合後にシート状に成形する方法であることが好ましい。
なお、上記油脂と澱粉類の混合方法としては特に限定されず、可塑性を有するか又は溶解した状態の油脂を澱粉類とミキサー等を使用して混合する方法や、溶解した状態の油脂を澱粉類にスプレーしながら混合する方法等の方法を挙げることができる。
なお、上記油脂は油脂を多く含有する食品を使用することもできる。該食品としては、ショートニングやバター、マーガリン、ラード、ヘットなど可塑性油脂組成物、液状油や流動ショートニング、溶かしバターなどの流動状〜液体の形態、もしくは粉末油脂などを挙げることができる。特に上記油脂として、バター及びマーガリン等の油中水型乳化油脂組成物を用いると、望ましい構成のシート状ロールイン油脂組成物を効率よく得られる観点や製造がより容易であるという観点から好ましい。
なお、シート状に成形する方法としては、可塑性油脂組成物を得た後、あるいは油脂と澱粉類の混合物を得た後に、圧延・スライスなどの方法でシート状に成形する方法や、あらかじめシート状となる型に流し込み成形する方法、あるいは、連続ラインでファットポンプを使用して押し出す際にシート状に押し出す方法などが挙げられる。
上記シート状とは、厚さが2mm以上30mm以下程度であればよく、好ましくは5mm以上20mm以下のものである。シート状の形状においては、通常、厚さ方向に直交する任意の一方向(縦方向)及びこの方向及び厚さ方向と直交する方向(横方向)の長さが、厚さ(厚さ方向の長さ)よりも長いものとなる。
次に、本発明の互層状ベーカリー生地について述べる。
本発明の互層状ベーカリー生地は、本発明のシート状ロールイン油脂組成物とドウ生地からなるものであり、折パイ方式で製造される層状ベーカリー食品を得るための生地である。
なお、ドウ生地とは、小麦粉等の穀粉類に、水と、必要に応じて油脂、卵、粉乳、食塩、糖類、呈味剤、イースト菌、膨張剤等を加えて練り上げたものであり、具体的には、折パイ方式で製造されるパイ、クロワッサン、デニッシュ・ペストリー、フライパイ等の、ロールイン前のベーカリー生地が挙げられる。なお、本発明品で用いるドウ生地の水の配合量は、ドウ生地に使用する澱粉類100質量部に対し40〜55質量部であることが好ましい。この範囲内とすることで、得られるドウ生地の硬さと、本発明品のシート状ロールイン油脂組成物の硬さの差異を小さくし、これにより、リバースシーター等で互層状ベーカリー生地を製造する際に油脂層が割れてドウ生地層同士が結着する恐れを防止することが容易である。本発明品で用いるドウ生地中における澱粉類の割合は、好ましくは50〜70質量%、より好ましくは53〜67質量%である。
本発明の互層状ベーカリー生地中の本発明のシート状ロールイン油脂組成物の含有量は、互層状ベーカリー生地中で使用する小麦粉等の穀粉類(シート状ロールイン油脂組成物中の穀粉類含量も含める)100質量部に対して、好ましくは10〜130質量部、さらに好ましくは15〜90質量部、最も好ましくは20〜70質量部となる量である。10質量部未満であると、層状ベーカリー食品の層が形成されないおそれがあり、130質量部を超えると、焼成時に油の流出が起こるおそれがある。
次に、本発明の互層状ベーカリー生地の製造方法について述べる。
本発明の互層状ベーカリー生地の製造方法は、澱粉類を35〜75質量%含有するシート状ロールイン油脂組成物を、ドウ生地に積載した後、折りたたみ操作を行い、互層状ベーカリー生地とするものである。
ここで、ドウ生地に本発明のシート状ロールイン油脂組成物を折り込む方法は、特に限定されず、一般のデニッシュペストリー方式の層状ベーカリー食品の製造方法と同様の方法で添加することができる。具体的には、ドウ生地にシート状ロールイン油脂組成物を積載し、包み込み、圧延、折り畳みする方法や、連続ラインでラミネーター方式で折り込む方法、あるいは、シート状に成形したドウ生地とシート状ロールイン油脂組成物を重層した生地を一定の大きさに切断した生地を積層する方法などを挙げることができる。
なお、上記折り畳み操作やラミネートする際には、リバースシーターやラミネーター等、通常の装置を用いることができる。
なお、折り数は、好ましくは4〜256層、より好ましくは9〜128層である。4層未満であると、浮きが不均一になりやすく、また、焼成時に油の流出が起こるおそれがあり、また、256層を超えると、層状ベーカリー食品の層が形成されないおそれがある。
なお、勿論、本発明の互層状ベーカリー生地は、冷凍保存することも可能である。
次に、本発明の層状ベーカリー食品について述べる。
本発明の層状ベーカリー食品は、本発明の互層状ベーカリー生地を、常法により、必要に応じ、包餡、成形、ホイロ等の処理をした後、焼成及び/又はフライしてなるものである。
焼成する場合の加熱条件は、ベーカリー食品の種類によって異なるが、例えばオーブンを使用する場合、好ましくは150〜240℃で4〜25分、さらに好ましくは180〜230℃で5〜20分である。
また、フライする場合の加熱条件は、好ましくは180〜260℃で1〜10分、さらに好ましくは200〜250℃で2〜5分である。
焼成とフライを組み合わせる場合は、焼成後にフライしても、フライ後に焼成してもよい。
次に本発明のシート状ロールイン油脂組成物の実施例、及び該シート状ロールイン油脂組成物を使用した層状ベーカリー食品(デニッシュ・ペストリー)の実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳述するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。なお、強力粉の水分量は常圧加熱乾燥法で測定した。
<シート状ロールイン油脂組成物の製造>
(実施例1)
バター(油分含量83質量%、水分含量15.8質量%)30質量部を比重が0.35になるまでクリーミングし、ここに強力粉(水分含量14質量%)70質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で3日間保管・調温し、油脂含有量が24.9質量%であり、澱粉類を70質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が2.8質量部である、本発明のシート状ロールイン油脂組成物Aを得た。
(実施例2)
バター(油分含量83質量%、水分含量15.8質量%)50質量部に強力粉(水分含量14質量%)50質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で3日間保管・調温し、油脂含有量が41.5質量%であり、澱粉類を50質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が1.2質量部である、本発明のシート状ロールイン油脂組成物Bを得た。
(実施例3)
加熱融解させたバター(油分含量83質量%、水分含量15.8%)50質量部に強力粉(水分含量14質量%)50質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合した後、さらに冷却速度−20℃/分以上で急冷しながら混練し、さらに厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で3日間保管・調温し、油脂含有量が41.5質量%であり、澱粉類を50質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が1.2質量部である、本発明のシート状ロールイン油脂組成物Cを得た。
(実施例4)
バター(油分含量83質量%、水分含量15.8質量%)60質量部に強力粉(水分含量14質量%)40質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で3日間保管・調温し、油脂含有量が49.8質量%であり、澱粉類を40質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が0.8質量部である、本発明のシート状ロールイン油脂組成物Dを得た。
(実施例5)
マーガリン(油分含量83質量%、水分含量15.7質量%、バターコンパウンド率20質量%)30質量部を比重が0.35になるまでクリーミングし、ここに強力粉(水分含量14質量%)70質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で3日間保管・調温し、油脂含有量が24.9質量%であり、澱粉類を70質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が2.8質量部である、本発明のシート状ロールイン油脂組成物Eを得た。
(実施例6)
マーガリン(油分含量83質量%、水分含量15.7質量%、バターコンパウンド率20質量%)50質量部に強力粉(水分含量14質量%)50質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で3日間保管・調温し、油脂含有量が41.5質量%であり、澱粉類を50質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が1.2質量部である、本発明のシート状ロールイン油脂組成物Fを得た。
(実施例7)
マーガリン(油分含量83質量%、水分含量15.7質量%、バターコンパウンド率20質量%)60質量部に強力粉(水分含量14質量%)40質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で3日間保管・調温し、油脂含有量が49.8質量%であり、澱粉類を40質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が0.8質量部である、本発明のシート状ロールイン油脂組成物Gを得た。
(実施例8)
強力粉に代えて、大気雰囲気下、130℃で90分間、乾熱処理した強力粉(水分含量2質量%)を使用した以外は実施例6と同様の配合及び製法で、油脂含有量が41.5質量%であり、澱粉類を50質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が1.2質量部である、本発明のシート状ロールイン油脂組成物Hを得た。
(比較例1)
バター(油分含量83質量%、水分含量15.8質量%)20質量部を比重が0.35になるまでクリーミングし、ここに強力粉(水分含量14質量%)80質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で3日間保管・調温し、油脂含有量が16.6質量%であり、澱粉類を80質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が4.8質量部である、比較例のシート状ロールイン油脂組成物Iを得た。
(比較例2)
バター(油分含量83質量%、水分含量15.8質量%)90質量部を比重が0.35になるまでクリーミングし、ここに強力粉(水分含量14質量%)10質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で4日間保管・調温し、油脂含有量が74.7質量%であり、澱粉類を10質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が0.13質量部である、比較例のシート状ロールイン油脂組成物Jを得た。
(比較例3)
マーガリン(油分含量83質量%、水分含量15.7質量%、バターコンパウンド率20質量%)20質量部を比重が0.35になるまでクリーミングし、ここに強力粉(水分含量14質量%)80質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で3日間保管・調温し、油脂含有量が16.6質量%であり、澱粉類を80質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が4.8質量部である、比較例のシート状ロールイン油脂組成物Kを得た。
(比較例4)
マーガリン(油分含量83質量%、水分含量15.7質量%、バターコンパウンド率20質量%)90質量部に強力粉(水分含量14質量%)10質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で4日間保管・調温し、油脂含有量が74.7質量%であり、澱粉類を10質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が0.13質量部である、比較例のシート状ロールイン油脂組成物Lを得た。
<層状ベーカリー食品の製造>
上記の実施例1〜8、および比較例1〜4の工程を経て製造された、シート状ロールイン油脂組成物A〜Lを用いて、下記の配合及び製法により実施例9〜16及び比較例5〜8の、デニッシュ・ペストリーを製造した。なお、得られたデニッシュ・ペストリーは風味、浮きの安定性、食感、層の状態について下記の評価基準に従って評価を行い、結果を表1および表2に記載した。また、ロールイン作業時のシート状ロールイン油脂組成物の延展性及びハンドリング性についても下記の評価基準に従って評価を行い、結果を表1および表2に記載した。
<デニッシュ・ペストリーの配合・製法>
強力粉100質量部、食塩1.3質量部、上白糖15質量部、脱脂粉乳3質量部、イースト8質量部、イーストフード0.2質量部、水50質量部、バター5質量部をタテ型ミキサーにて低速2分および中速6分ミキシングし、ドウ生地を得た。このドウ生地を冷蔵庫内で1晩リタードした後、厚さ10mmに圧延してシート状とし、シート状ロールイン油脂組成物A〜Lを85質量部積載し、常法によって折り込み(3つ折り3回)、これを成型し(縦10センチ×横10センチ×厚さ4mm)、展板に載せ、32℃、相対湿度85%、60分のホイロを取った後、210℃で12分間焼成した。
<評価基準>
・風味
◎ :極めて良好
○ :良好
△ :やや不良
× :粉っぽい風味が感じられた
・浮き
◎ :均一且つ良好な浮きが見られた
○ :浮きが均一であった
△ :浮きが不均一であった
× :浮きが不均一であり、且つ不良であった
・食感
◎ :サクサクとしたひきの少ないしっかりした食感であった。
○ :ややサクサク感が少ないがひきはなくしっかりした食感であった。
△ :しっかりした食感ではあるがサクサク感に乏しくひきが感じられる食感であった。
× :サクサクとしているがひきが感じられ、崩れやすい食感であった。
・層の状態
◎ :均質な層状構造であり、極めて良好な状態
○ :一部不均質な層状がみられるが基本的には良好な層状構造である
△ :不均質な層状構造である
× :層状構造がみられず、パン目である状態
・延展性
◎ :極めて良好であった
○ :良好であった
△ :やや不良であり、亀裂がみられた
× :全く不良であり、破断がみられた
・ハンドリング性
◎ :ロールイン作業中に殆どべたつかず極めて良好である
○ :ロールイン作業中にややべたつくが良好である
△ :ロールイン作業中にべたつき不良である
× :ロールイン作業中にドウ層にロールイン油脂組成物が練り込まれてしまった

Figure 0006640525
Figure 0006640525

Claims (6)

  1. 澱粉類を35〜75質量%含有する折パイ用シート状ロールイン油脂組成物。
  2. 上記澱粉類が穀粉類である、請求項1記載の折パイ用シート状ロールイン油脂組成物。
  3. 上記穀粉類が乾熱処理されたものである、請求項2記載の折パイ用シート状ロールイン油脂組成物。
  4. 上記穀粉類が強力粉である、請求項2又は3記載の折パイ用シート状ロールイン油脂組成物。
  5. 澱粉類を35〜75質量%含有するシート状ロールイン油脂組成物、及びドウ生地からなる互層状ベーカリー生地。
  6. 請求項記載の互層状ベーカリー生地を加熱した層状ベーカリー食品。
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