JP2018174848A - ベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水分含量の高いフィリング材を含有するベーカリー製品において、フィリング材からの水分移行を抑制することのできるベーカリー用油脂組成物を提供すること。【解決手段】澱粉類を35〜75質量%含有することを特徴とするベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物。上記澱粉類は穀粉類であることが好ましい。上記穀粉類が乾熱処理されたものであることも好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、高水分フィリング材を用いたベーカリー製品における水分移行を抑制し、経日的な食感の低下を防止することのできる、ベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物に関する。
クリーム、フラワーペースト、餡などの水分を多く含むフィリング材を含有するパンや焼菓子などのベーカリー製品は、フィリング材からの水分移行により経日的にベーカリー製品が歯切れの悪い食感となったり、表面にふやけやしわが発生したりする問題がある。
とくにフィリング材として最近はフレッシュな素材が好まれる傾向があり、たとえばフルーツやジャム、ホイップクリーム、ガナッシュクリーム、チーズクリーム、ゼリー、ムースなどの高水分食品素材との組み合わせも多くみられるが、これらの高水分フィリング材を用いたベーカリー製品は経日的な食感の悪化以前に、焼成当初からフィリング材の周囲がべちゃついた食感になってしまい、とくにパイやデニッシュなどの積層状ベーカリー製品を使用した場合はその問題が大きく、焼成当初からパリパリ感あるいはさくさく感が得られないという問題がある。また、局所的な水分含量の増加は保存性の低下に直結し、保存期間が大幅に短くなってしまう問題がある。
このようなベーカリー製品内の水分移行を抑制する方法としては大きく2つの方法があり、ベーカリー生地にフレークや粉砕物、あるいは増粘安定剤や高融点油脂を配合する方法(例えば特許文献1〜7参照)と、高水分フィリング材とベーカリー生地の界面に他のベーカリー生地を配したり澱粉や高融点油脂の層を形成させる方法(例えば特許文献8〜12参照)がある。
しかし、前者の方法はベーカリー生地部分の食感が大幅に低下してしまうという問題があり、後者の方法は局所的に食感が変わってしまうという問題がある。
特開平05−023098号公報 特開平11−243837号公報 特開2002−335851号公報 特開2005−000124号公報 特開2013−085483号公報 特開2013−215172号公報 国際公開第2014/157111号 特表平08−512209号公報 特開2001−245583号公報 国際公開第2006/016576号 特開2008−178333号公報 特開2013−201985号公報
従って本発明の目的は、食感の大幅な変化を伴うことなく、高水分フィリング材を用いたベーカリー製品における水分移行を抑制し、経日的な食感の低下を防止することのできる、ベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物を提供することにある。
上記課題に対し本発明者が鋭意検討した結果、ベーカリー製品の製造時に、澱粉類の添加方法を工夫することで、上記課題を解決可能であることを知見した。
すなわち本発明は、澱粉類を35〜75質量%含有することを特徴とするベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物を提供するものである。
本発明によれば、高水分フィリング材を用いたベーカリー製品における水分移行を抑制し、焼成時、さらには経日的な食感の低下を防止することができる。
以下、本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物について詳細に説明する。
本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物を構成する油脂としては特に限定されず、任意の油脂を使用する事が可能である。例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、乳脂、牛脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂から、求めるベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物の物性に応じて任意の1種又は2種以上選択する事が可能である。
本発明では風味が良好な油脂組成物が得られる点、及び、澱粉類由来の風味をマスキング可能な点で、乳脂を含有する事が好ましく、好ましくは油脂組成物を構成する油脂中の15質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは100質量%使用する。
なお、本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物における油脂含有量は、下に述べるその他の成分に含まれる油脂も含め、好ましくは25〜65質量%、より好ましくは35〜60質量%である。
なお、油脂含有量が25質量%未満であると、好ましい可塑性が得られにくい。
本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物は、澱粉類を35〜75質量%、好ましくは40〜60質量%含有する。澱粉類の含有量が30質量%未満、又は、75質量%を超えると、本発明の効果が得られない。
本発明で用いる澱粉類としては、まず穀粉類、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などの小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉などのその他の穀粉類等が挙げられる。また、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシュ―ナッツ粉、オーナッツ粉、松実粉などの堅果粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉などの澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理などの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉等が挙げられる。
本発明では、上記の中でも、良好な可塑性のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物とすることが可能な点で穀粉類を使用することが好ましく、より好ましくは小麦粉類を穀粉類の50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上使用する。なお、本発明において澱粉類が穀粉類である場合、本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物が澱粉類を35〜75質量%含有するとは、該油脂組成物が穀粉類を35〜75質量%含有することを意味し、該油脂組成物中における穀粉類由来の澱粉成分の量は必ずしも35〜75質量%の範囲を満たさなくてもよい。
なお、穀粉類を用いる場合には、乾熱処理を施したものを用いることが好ましい。これは穀粉類中の蛋白質を失活させることにより、とくにデニッシュやパイ等の層状ベーカリー製品において良好な歯切れのある食感を付与することができるためである。乾熱処理方法については特に限定されないが、好ましくは100〜250℃で、5分〜10時間程度焙焼すればよい。焙焼する機械は粉体を加熱できるものであればよく、一般的な固定オーブンやリールオーブンをはじめ、撹拌装置のついた直火式、蒸気ジャケット式、電磁加熱式の焙煎釜若しくはロースターを用いてもよい。
尚、市販の焙焼小麦粉を使用することもできる。
なお、本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物においては、上記油脂と上記澱粉類の含有量の比が、油脂1質量部に対し、澱粉類が0.54〜3.0質量部であることが好ましく、0.80〜2.8質量部であることがより好ましい。油脂1質量部に対し、澱粉類が0.54質量部未満であると、可塑性が乏しい油脂組成物になりやすいことに加え、また、とくにデニッシュやパイ等の層状ベーカリー製品において内相がパン目となり、ひきのある食感となりやすく、3.0質量部を超えると、層状ベーカリー製品の製造時に層の結着性が弱くなりやすく損壊しやすいという製造上の問題が生じやすくなってしまう。
本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物は、上記油脂、上記澱粉類に加え、本発明の効果に影響のない範囲において、その他の成分を含むものであってもよい。
上記その他の成分としては、たとえば、水、糖類や甘味料、乳化剤、デキストリン、乳や乳製品、増粘安定剤、卵類、食塩、塩味剤、苦味料、酸味料、酵素、酸化防止剤、着色料類、pH調整剤、膨張剤、無機塩類、生地改良剤、食品保存料、日持ち向上剤、着香料、アルコール類、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、野菜類・肉類・魚介類などの食品素材、コンソメ・ブイヨンなどの植物及び動物エキス等の食品や食品添加物が挙げられる。
その他の成分は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物中合計で20質量%以下、より好ましくは10質量%以下となる範囲で使用する。
上記水としては、特に限定されず、天然水や水道水などが挙げられる。
本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物における好ましい水の含有量は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜12質量%である。20質量%を超えると、ベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物の保存性が悪化しやすいことに加え、得られる油脂組成物中に澱粉類のダマが生じやすい。
なお、本発明においては、上記水の含有量は、上記天然水や水道水をはじめ、その他の成分中に含まれる水分を併せた含有量である。
上記の糖類や甘味料としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、還元水飴、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル・グリセリン酢酸脂肪酸エステル・グリセリン乳酸脂肪酸エステル・グリセリンコハク酸脂肪酸エステル・グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル・ソルビタン脂肪酸エステル・ショ糖脂肪酸エステル・ショ糖酢酸イソ酪酸エステル・ポリグリセリン脂肪酸エステル・ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル・プロピレングリコール脂肪酸エステル・ステアロイル乳酸カルシウム・ステアロイル乳酸ナトリウム・ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド・レシチンなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物における乳化剤含量は好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%である。
上記乳や乳製品としては、カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳・純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリーム・ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・クリームチーズ・ゴーダチーズ・チェダーチーズなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記増粘安定剤としては、キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、ペクチン、プルラン、タマリンドシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、ファーセルラン、タラガム、カラヤガム、トラガントガム、ジェランガム、大豆多糖類などが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
なお、本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物は気相が含まれるものであっても含まれないものであってもよい。
本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物は、特にロールイン油脂とする場合において、その形状に関して、シート状、ブロック状、あるいは立方体状、直方体状、角柱状、円柱状、半円柱状、球状、薄片状、そぼろ状、塊状等の小片状等の形状としてもよい。
各々の形状についての好ましいサイズは、例えばシート状場合は、縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ1〜50mmであり、ブロック状の場合は縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ50〜500mmである。
また、小片状の場合の好ましいサイズは、例えば立方体状又は直方体状のものは一辺の長さが2mm以上30mm以下程度、角柱状のものは断面となる多角形の一辺が2mm以上30mm以下で長さが2mm以上100mm以下程度、円柱状又は半円柱状のものは直径が2mm以上30mm以下で長さが2mm以上100mm以下程度、球状のものは直径が2mm以上30mm以下程度、薄片状のものは厚さが0.5mm以上5mm以下程度、そぼろ状や塊状の場合はその平均粒径が2mm以上30mm程度のものである。
次に本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物の製造方法について述べる。
本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物は、可塑性油脂組成物を製造する際に澱粉類を添加して製造する方法や、油脂と澱粉類を混合するものであってもよいが、粘度やラインでの圧力を考慮する必要がなく製造がより容易である点で油脂と澱粉類を混合する方法であることが好ましい。
なお、上記油脂と澱粉類の混合方法としては特に限定されず、可塑性〜溶解した状態の油脂を澱粉類とミキサー等を使用して混合する方法や、溶解した状態の油脂を澱粉類にスプレーしながら混合する方法等の方法を挙げることができる。なお、澱粉類1質量部に対する油脂の配合比が少ない場合は、油脂をクリーミングして比重を低下させてから澱粉類を加えると均質な混合物が得られやすいことから好ましい。
なお、上記油脂は油脂を多く含有する食品を使用することもできる。該食品としては、ショートニングやバター、マーガリン、ラード、ヘットなど可塑性油脂組成物、液状油や流動ショートニング、溶かしバターなどの流動状〜液体の形態、もしくは粉末油脂などを挙げることができる。特に上記油脂として、バター及びマーガリン等の油中水型乳化油脂組成物を用いると、望ましい構成のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物を効率よく得られる観点や製造がより容易であるという観点から好ましい。
なお、シート状に成形する場合、その成形方法としては、可塑性油脂組成物を得た後、あるいは油脂と澱粉類の混合物を得た後に、圧延・スライスなどの方法でシート状に成形する方法や、あらかじめシート状となる型に流し込み成形する方法、あるいは、連続ラインでファットポンプを使用して押し出す際にシート状に押し出す方法などが挙げられる。
また、小片状に成形する場合、その成形方法としては、油脂と澱粉類の混合物を、小片状の型に流しこみ冷却固化させる方法や、いったん冷却した混合物を、包丁や自動ラインで小片状にカットする方法や、小穴をあけた口金を通す押し出し成形で吐出させた後にカットして小片状とする方法等が挙げられる。
上記のようにして得られたベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物は、ベーカリー生地製造時に練り込み油脂、ロールイン油脂、塗布用油脂、スプレー用油脂、フライ用油脂などの通常のベーカリー用油脂として使用することができるが、本発明の高い効果が得られる点で練り込み油脂及び/又はロールイン油脂として使用することが好ましく、なかでも本発明の高い効果が得られる点でロールイン油脂組成物であることが好ましく、とりわけ、折パイ方式に用いるシート状ロールイン油脂組成物であることが特に好ましい。
次に本発明のベーカリー生地について述べる。
本発明のベーカリー生地は上述のように本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物を使用したものであり、使用方法としては、練り込み、ロールイン、塗布、スプレー、フライなどが挙げられるが、好ましくはベーカリー生地製造時に練り込み及び/又はロールインしたものであり、さらに好ましくはロールインしたものである。上記のベーカリー生地としては、例えば、クッキー生地、パイ生地、シュー生地、サブレ生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ生地、ケーキドーナツ生地等の菓子生地や、食パン生地、フランスパン生地、バラエティブレッド生地、ブリオッシュ生地、デニッシュ生地、スイートロール生地、イーストドーナツ生地、マフィン生地、ピザ生地、スコーン生地、蒸しパン生地、ワッフル生地、イングリッシュマフィン生地、バンズ生地等のパン生地が挙げられるが、ロールイン油脂を使用する生地である、パイ生地又はデニッシュ生地であることが特に好ましい。
上記のベーカリー生地における本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物の使用量は、ベーカリー生地の種類により異なるが、練り込み使用する場合で、菓子生地の場合は菓子生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜21質量部であり、パン生地の場合はパン生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜21質量部である。
なお、ロールイン使用する場合、菓子生地の場合は菓子生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、好ましくは30〜150質量部、より好ましくは50〜100質量部であり、パン生地の場合はパン生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは30〜70質量部である。
またロールイン使用する場合の好ましい層数は目的とする製品により異なるものであり、特に限定されるものではないが、十分な浮きの層状ベーカリー製品を得るためには、菓子生地の場合、好ましくは16〜1024層、より好ましくは64〜256層であり、パン生地の場合、好ましくは9〜256層、より好ましくは16〜81層である。
なお、上記ベーカリー生地に使用する澱粉類としては、上述の油脂組成物に使用する澱粉類と同様のものを使用することができ、本発明では、澱粉類中、好ましくは小麦粉類を50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、最も好ましくは100質量%使用することが望ましい。
なお、該ベーカリー生地は、一般的なベーカリー生地の製造方法に従って得ることができ、パン生地であれば中種法、ストレート法、湯種法等、菓子生地であれば、オールインミックス法、シュガーバッター法、フラワーバッター法等を適宜選択可能である。
次に、本発明のベーカリー製品について述べる。
本発明のベーカリー製品は、上記ベーカリー生地の加熱品、及び、高水分フィリング材からなるものである。ここで、高水分フィリング材との複合時期は、上記の本発明のベーカリー生地の製造時でもよく、また、上記ベーカリー生地の製造後の加熱処理前でもよく、また、加熱処理後でもよいが、本発明の高い効果が得られる点で、上記ベーカリー生地の製造後の加熱処理前であることが好ましい。
なお、具体的な複合方法について述べると、ベーカリー生地製造時または加熱処理前に複合させる場合は、上記本発明のベーカリー生地で高水分フィリング材を包餡したり、ベーカリー生地に高水分フィリング材を塗布あるいは積載したり、ベーカリー生地に高水分フィリング材をロールインしたり、ベーカリー生地中に高水分フィリング材を分散させたり、ベーカリー生地中に高水分フィリング材を注入したりすることによって得ることができる。
また加熱処理後に複合させる場合は、高水分フィリング材を注入、サンド、積載などの方法で複合させることによって得ることができる。
ここで高水分フィリング材としては、たとえば、餡、ジャム、カスタードクリーム、ホイップクリーム、ガナッシュクリーム、フラワーペースト、バタークリーム、フルーツ、チーズクリーム、ゼリー、ムース等が挙げられる。
なお、上記加熱処理前には上記本発明のベーカリー生地を、常法により、必要に応じ、成形、ホイロリタード、レスト等の処理をすることもできる。
ここで上記成形は、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
上記加熱処理としては、例えば、焼成、フライ、蒸し、蒸し焼きが挙げられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上の処理を行うことができるが、焼成によることが好ましい。
最後に、本発明の高水分フィリング材を含有するベーカリー製品の水分移行抑制方法について述べる。
本発明の高水分フィリング材を含有するベーカリー製品の水分移行抑制方法は、澱粉類を35〜75質量%含有する油脂組成物を、ベースとなるベーカリー生地に折り込み及び/又は練り込むことを特徴とする。
上記高水分フィリング材を含有するベーカリー製品の水分移行抑制方法を利用することで、焼成時、さらには経日的な食感の低下を防止することができる。
ここで、上記ベースとなるベーカリー生地の種類や、澱粉類を35〜75質量%含有する油脂組成物の添加方法、添加量については上述のとおりである。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<シート状ロールイン油脂組成物の製造>
バター(油分含量83質量%、水分含量15.8質量%)30質量部を比重が0.35になるまでクリーミングし、ここに強力粉(水分含量14質量%)70質量部を加え、タテ型ミキサーを使用して均一になるように低速5分混合し、この混合物を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で3日間保管・調温し、油脂含有量が24.9質量%であり、澱粉類を70質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が2.8質量部である、本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物であるシート状ロールイン油脂組成物Aを得た。
<デニッシュ(クイニャマン)の製造>
上記シート状ロールイン油脂組成物Aを用いて、下記の配合及び製法によりデニッシュ(クイニャマン)を製造した。
強力粉100質量部、食塩2質量部、上白糖5質量部、イースト1.8質量部、水58質量部、バター5質量部をタテ型ミキサーにて低速2分および中速3分ミキシングし、ドウ生地を得た。このドウ生地を冷蔵庫内で1晩リタードした後、厚さ10mmに圧延してシート状とし、シート状ロールイン油脂組成物Aを40質量部積載し、常法によって折り込み(4つ折り3回)、これを成型し(縦10センチ×横10センチ×厚さ4mm)、表面中央にフラワーペースト(株式会社ADEKA製「パリッシュ703」)を約60g塗布後、シロップ漬けリンゴ(ハーフカット)を載せて四方から折り畳み、合わせ目を下にして、グラニュー糖を敷き詰めた紙パーチに置き、30℃、相対湿度80%、60分のホイロを取った後、210℃で25分間焼成した。
得られたデニッシュ(クイニャマン)を20℃で1時間放冷後に試食したところ、底面のカラメル化層はハードな良好な食感であり、内部の層状部分も歯切れのよい良好な食感であった。なお、一部については袋に入れて、2日後に再び試食したところ、若干の袋への付着はあったが、底面のハードな良好な食感は保持しており、内部の層状部分もやや水分を吸った感はあるが歯切れのよい良好な食感を有していた。
(実施例2)
バターを30質量部から50質量部に、強力粉を70質量部から50質量部に変更した以外は実施例1と同様の製法で、油脂含有量が41.5質量%であり、澱粉類を50質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が1.2質量部である、本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物であるシート状ロールイン油脂組成物Bを得た。
上記シート状ロールイン油脂組成物Bを用いて、上記実施例1と同様の配合及び製法によりデニッシュ(クイニャマン)を製造した。
得られたデニッシュ(クイニャマン)を20℃で1時間放冷後に試食したところ、底面のカラメル化層はハードな良好な食感であり、内部の層状部分も歯切れのよい良好な食感であった。なお、一部については袋に入れて、2日後に再び試食したところ、若干の袋への付着はあったが、底面のハードな良好な食感は保持しており、内部の層状部分もやや水分を吸った感はあるが歯切れのよい良好な食感を有していた。
(実施例3)
強力粉に代えて、大気雰囲気下、130℃で90分間、乾熱処理した強力粉(水分含量2質量%)を使用した以外は実施例2と同様の配合及び製法で、油脂含有量が41.5質量%であり、澱粉類を50質量%含有し、油脂1質量部に対し、澱粉類が1.2質量部である、本発明のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物であるシート状ロールイン油脂組成物Cを得た。
上記シート状ロールイン油脂組成物Cを用いて、上記実施例1と同様の配合及び製法によりデニッシュ(クイニャマン)を製造した。
得られたデニッシュ(クイニャマン)を20℃で1時間放冷後に試食したところ、底面のカラメル化層はハードな良好な食感であり、内部の層状部分も歯切れのよい良好な食感であった。なお、一部については袋に入れて、2日後に再び試食したところ、若干の袋への付着はあったが、底面のハードな良好な食感は保持しており、内部の層状部分もやや水分を吸った感はあるが実施例2で得られたデニッシュ(クイニャマン)よりも歯切れのよい良好な食感を有していた。
(比較例1)
バター(油分含量83質量%、水分含量15.8質量%)を厚さ10mm、縦400mm、横300mmのシート状に成形した後、0℃で4日間保管・調温し、比較例のシート状ロールイン油脂組成物Dを得た。
上記シート状ロールイン油脂組成物Dを用いて、上記実施例1と同様の配合及び製法によりデニッシュ(クイニャマン)を製造した。
得られたデニッシュ(クイニャマン)を20℃で1時間放冷後に試食したところ、底面のカラメル化層はハードな良好な食感であり、内部の層状部分も歯切れのよい良好な食感であった。しかし、一部について袋に入れて、2日後に再び試食したところ、袋への付着が激しく、底面のハードな良好な食感は消失してべちゃつきが激しく、内部の層状部分も水分を吸ってべちゃつきが激しく歯切れの悪い不良な食感となっていた。

Claims (7)

  1. 澱粉類を35〜75質量%含有することを特徴とするベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物。
  2. 上記澱粉類が穀粉類である、請求項1に記載のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物。
  3. 上記穀粉類が乾熱処理されたものである、請求項2に記載のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物。
  4. シート状ロールイン油脂組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のベーカリー製品内水分移行抑制油脂組成物を含有するベーカリー生地。
  6. 請求項5に記載のベーカリー生地の加熱品、及び、高水分フィリング材からなるベーカリー製品。
  7. 澱粉類を35〜75質量%含有する油脂組成物を、ベースとなるベーカリー生地に折り込み及び/又は練り込むことを特徴とする、高水分フィリング材を含有するベーカリー製品の水分移行抑制方法。
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