JP6063653B2 - メロンパンおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はメロン皮が時間の経過とともにベタつきが生じる現象、いわゆる「なき」が長期間生じることのないメロンパンおよびその製造方法を提供するものである。
パン類は多くの種類のものが市販されているが、その中でも菓子パンには様々な種類のものがあり、餡やクリームをパン生地で包んで焼成したもの、パン生地にチョコレートなど甘味のある素材を練りこんで焼成したもの、そぼろやナッツ類、ホワイトペースト、クッキー生地などのトッピング素材を上掛けして焼成したものなど、菓子の要素が付与され嗜好性が高く、様々な食シーンで幅広い層の消費者に食されている。特にクッキー生地などの被覆生地でパン生地を被覆して焼成したメロンパンは、柔らかでしっとりとしたクラムと、クラムの表面を被覆しているサクミがあり香ばしく風味豊かな被覆生地との食感や風味の対比を楽しむことができ、人気の菓子パンである。メロンパンは、被覆生地に比較的水分が低くサクサクとした食感を有するクッキー生地(以下、メロン皮とも言う。)を用いることで、クラムとメロン皮との食感の違いを出している。しかし、メロン皮は、焼成後時間が経過すると、クラムの水分が移行することで、水分量が増加してベタつく、いわゆる「なき」が生じやすいものであることから、焼成後でもメロン皮がサクサクとしたとした食感を維持することができるメロンパンを作成することが課題とされている。
例えば、乾燥固形分の粗蛋白質含量が55〜95重量%のパフを、トッピングとしてあるいはトッピング層中に含んで用いることを特徴とするメロンパン、シュトロイゼルまたはデニッシュが提案されている(特許文献1)。
また、長時間保存しても外皮がカリカリした食感を有するメロンパンの製造法を提供することを目的として、中生地および外皮生地からなるメロンパンの製造法において、中生地の調製にあたり、油脂を全小麦粉量に対し、15〜50重量%添加してなる、メロンパンの製造法(特許文献2)や、中生地とメロン皮の間にチョコレートのコーティングをすることが提案されている(特許文献3)。
さらに、意図的に食物繊維を添加していないパン生地製発泡部分と、発泡部分の外面の少なくとも1部を覆う皮膜部分であって、意図的に所定量の食物繊維を添加してある上掛生地製皮膜部分とから成る食物繊維入りパンにおいて、発泡部分の平衡水分含有量W1が5〜9質量%、皮膜部分の平衡水分含有量W2が5〜8質量%であり、かつW1>W2の関係にあることにより食味、食感に優れおいしい特性を有するパンが提案されている(特許文献4)。
特開2009−240225号公報 特開2002−306055号公報 特開2006−81448号公報 特開2005-185251号公報
しかしながら、特許文献1のように高蛋白質のパフをメロン皮に含有させると、高蛋白質のパフの独特な味質や食感により、通常のクッキー生地とは異なる食味のメロン皮になるばかりか、焼成4日程度の後まではサクみを維持できるが、焼成後10日以上経過したメロンパンのメロン皮は、サクみがなく表面がベタついてしてしまい、いわゆる「なき」の抑制効果は十分ではないことが判明した。
また、特許文献2や特許文献3のようなメロンパンでは、焼成後10日以上経過したメロンパンにおいては十分な「なき」の抑制効果は得られない。また、焼成後時間が経つにつれてクラムの食感もパサつき、商品価値の低いものとなるという問題点を本発明者らは見出した。
さらに、特許文献4で提案された範囲にまで水分量を下げてメロンパンを製造すると、メロン皮の「なき」は抑制されるが、水分量が低すぎるため、クラムがパサパサとして硬い食感になり、メロンパン全体としての食味が好ましくない結果となる。
このように、従来技術において製造されたメロンパン類には解決すべき問題があることが判明した。
そこで、本発明は、メロンパンにおけるメロン皮の「なき」を抑制し「サクみ」が維持され、なお且つクラムの「パサつき」が改善された、パンとしての総合評価が高く、賞味期限を流通に余裕を持たせられる期間にまで延長することを可能とする食感に優れたメロンパンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、メロンパンにおいてメロン皮部分の水分量が経時に伴い増加するのは、焼成後のメロン皮部分の水分量がクラム部分の水分量よりも低いため、クラムからメロン皮への水分移行がおこることが原因と考え、こうした問題点を解決すべく鋭意研究を積み重ねることにより本発明に到達した。
すなわち、焼成直後のメロン皮は、サクサクとして好ましい食感であるが、クラムからメロン皮への水分移行がおこるために、時間の経過とともにメロン皮にはベタつきが生じ、クラムにはパサつきが生じ、食感・見た目ともに悪くなり商品価値が著しく低下するのである。なお、一般に、メロン皮がベタついている状態のことを「なき」という言葉で表現されているが、本明細書においても「なき」という言葉を同様の意味で使用することがある。
袋詰めされて流通するホールセールの製品において、メロン皮の「なき」及びクラムのパサつきの問題は特に顕著であり、メロン皮に「なき」が生じると、表面がベタつき袋に付着してしまい、著しく商品価値が低下する。一般に、工場で生産されるメロンパンは、焼成後、袋詰めされて流通するホールセールの商品であり、メロン皮の「なき」の問題が商品としての価値を決定することからメロン皮の「なき」が発生するまでの期間を賞味期限とし、通常、製造後3〜5日程度となっているのが現状である。また、ホールセールの製品は工場で生産後市場に流通し、消費者の元へ届くまでに一定の時間が必要である。この間も、徐々にメロン皮の「サクみ」は低下するため、賞味期限内であっても、焼成直後のものと比較すると食感が劣ることになる。さらに、流通に必要な時間や消費者のもとで保存される期間までを考慮すると、よりメロン皮の「なき」が生じにくく「サクみ」が維持される賞味期限の長い、食感に優れた製品が求められる。
本発明者らは、上述の従来技術の問題と本発明者らの新たな知見をもとに、工場生産後に市場に流通するメロンパンにおけるメロン皮の「なき」を抑制し「サクみ」を維持し、クラムの「パサつき」を改善することにより、パンとしての総合評価が高く、賞味期限を流通に余裕を持たせられる期間にまで延長することを可能とする、食感に優れたメロンパンおよびその製造方法を提供するものである。
本発明は、以下の(1)のメロンパンを要旨とする。
(1)クラムが層構造を有し、焼き上がり時のクラムが、水分量10〜20重量%の範囲にあること、ならびに、焼き上がり後10日のメロン皮の水分量が11.7重量%以上18重量%以下であり、
クラムの層構造が、パン生地に、折り込み油脂、フラワーペースト、ジャムおよびフィリングから選ばれる1以上の材料を折り込んだ層構造を有するパン生地由来であることを特徴とするメロンパン。
また、本発明は、以下の()のメロンパンの製造方法を要旨とする。
パン生地に、折り込み油脂、フラワーペースト、ジャムおよびフィリングから選ばれる1以上の材料を折り込むことによって、層構造を有するパン生地を成形し、そのパン生地を被覆生地で被覆してメロンパン生地とし、焼き上がり時のクラムが、水分量が10〜20重量%の範囲にあるように、ならびに、その後、焼き上がり後10日のメロン皮の水分量が11.7重量%以上18重量%以下であるように、焼成することを特徴とするメロンパンの製造方法。
焼き上がり時のクラムが層構造を有するように、層構造を有するパン生地を成形し、そのパン生地を被覆生地で被覆してメロンパン生地とし、その後、焼成することにより、焼成後のクラムからメロン皮への水分移行が抑制され、メロン皮における「なき」が改善され、長時間保存してもメロン皮が「サクみ」を保持することができる。また、パン生地が層構造を有することにより、焼成時にクラムがパサつくことなく水分量を低減できる。焼き上がり時のクラムの水分量を低減することにより、クラムからメロン皮への水分移行が抑制され、メロン皮の「なき」が改善される。油脂やフラワーペースト、ジャムなどを折り込むことにより層構造を形成することで、クラムの「パサつき」を効果的に抑制できる。
焼き上がりの形状としては、短辺が5cm以下で長辺が15cm以下のスティック状もしくは、1辺が10cm以下のスクエア状で、厚みが2.5cm以下で重量が55g以下となるようにすると、焼成時に水分が効率的に蒸発し、焼き上がり時のクラムの水分量が10〜20重量%となるように焼成しやすいため、メロン皮の「なき」を効果的に抑制できる。
層構造を形成するためにパン生地に折り込む素材としては、油脂やフラワーペースト、ジャム、フィリングなど製パン素材として通常使われるものであればよいが、油脂を折り込んだ場合に特に食感や食味がよく、油脂とフラワーペーストやジャム、フィリングなどを組み合わせて用いるとさらに食味の優れたパンが得られる。
本発明により、焼成後のメロン皮の経時変化が殆どなく、焼成後10日以上を経過しても、メロン皮の水分量を18重量%以下、好ましくは17重量%以下に保つことができ、「なき」が発生せず、クラムのパサつきもないため、商品として十分な品質を長期間維持することができるメロンパンを提供することができる。
[メロンパンの定義]
メロンパンとは、菓子パンの一種で、パン生地を甘いビスケット生地やクッキー生地などの被覆生地で被覆して焼成したもののことをいう。本明細書では、焼成後のメロンパンにおける被覆生地部分のことを「メロン皮」、パン生地部分のことを「クラム」と表現する場合がある。
メロンパンは、クラム部分はしっとりとしていて口溶けがよく、メロン皮は、サクサクとした軽い食感であることが好ましい。また、被覆生地の上にさらにグラニュー糖などをまぶして焼成する場合もあるが、このような場合は、焼成後時間が経ってもグラニュー糖が溶けずに形状を保っている状態が好ましい。
本発明により、上記の好ましい状態のメロンパンを提供することができる。
本発明のメロンパンは、クラムが層構造を有し、焼き上がり後10日のメロン皮の水分量が18重量%以下であることを特徴とする。メロン皮が、焼き上がり時にベタつきがなくサクサクとした食感を有し、かつ、焼き上がり後10日もそのサクみを維持しているメロンパンである。
[クラムの層構造]
焼き上がり時のクラムは、層構造を有することを特徴とする。焼き上がり時のクラムにおいて、層構造の内部構造は、通常、網状構造が多層状に積み重なったような構造を有するが、内部構造が完全に一定の間隔で積層をなしている必要はなく、部分的に層間が密着するなどの構造を有していても良い。一方、通常の食パン、ロールパン、コッペパン等は油脂をパン生地に均一に練り込んで製造されるため、クラムの構造は膨化しているものの、ランダムな空隙を有し、層構造を有さない。
層構造の効果でクラムからの水分の移行を抑制することができる。さらに、層構造をとることで、クラムがパサつくことなく水分量を低減することができる。
層構造は、酵母を添加したパン生地に、折り込み油脂やフラワーペースト、ジャム、フィリングなどの素材を層状に折り込んだ生地を発酵した後、焼成して製造される。
好ましくは、焼き上がり時に、クラムの水分量が10〜20重量%の範囲にあることを特徴とする。層構造の効果に加え、焼き上がり時のクラムの水分量が低いことで、より効果的にクラムからメロン皮への水分の移行を抑制することができる。
[メロン皮]
メロン皮は甘いビスケット生地やクッキー生地でできており、従来のメロンパンに使用する被覆生地を用いることができる。該被覆生地でパン生地を被覆してから焼成することによりメロンパンを製造する。本発明のメロンパンにおいては、メロン皮の「なき」や「サクみ」が改善されている。
[外観形状]
本発明のメロンパンは、外観上平らに認識される扁平形状の外観を有することを特徴とする。焼成後の重量が10〜55gである。扁平形状の外観の厚み、すなわち扁平方向に対して垂直方向の厚みは、扁平面の大きさにも影響され、扁平形状を保つ程度であれば良いが、通常は厚みが2.5cm以下であり、好ましくは2.2cm以下である。扁平面の大きさも特に限定はされないが、一辺が10cm以下のスクエア状、または、長辺が15cm以下で短辺が5cm以下のスティック状であることが好ましい。
メロンパンの外観を扁平形状とする手段は限定されないが、一例をあげると、混捏したパン生地に折り込み資材を折り込んだ、層構造を有するパン生地を麺棒やリバースシター等を使用してシート状に伸ばしたものに、同じくシート状に薄くした被覆生地をかぶせた後、さらに目的の厚みまで薄く延ばす。その後、スクエアもしくはスティック状に生地をカットし、30℃〜38℃、相対湿度60〜90%の条件下で50分〜90分発酵を取った後、180℃〜210℃で12分〜18分間焼成を行い作成する。
[メロンパンの特性]
本発明のメロンパンは、焼き上がり時のクラムの水分量が10〜20重量%とすることが好ましい。焼き上がり時にクラムに含まれている水分は、焼成後には蒸発して環境へと拡散するか、メロン皮に吸収されることとなるが、焼成直後に多量の水分が含まれていると必然的にメロン皮への吸収量が多くなって、メロン皮のベタつきが発生する大きな原因となる。また、クラムの水分量が少なすぎるとシットリ感がなくパサついた食感となるためパンとしての総合的な評価が大きく落ちることとなるため好ましくない。
本発明では、焼き上がり時のクラムが、水分量が10〜20重量%であることと、層構造を具備することにより、メロン皮の「なき」を抑制し「サクみ」が維持され、なおかつクラムのパサつきが改善された、総合評価に優れたメロンパンを提供することが可能となる。このことは、例えば、実施例2と比較例3を対比することにより明らかとなる。実施例2では折り込み資材を使用した層構造があることにより「なき」や「サクみ」が改善されている。
本発明のメロンパンのメロン皮の水分量は、焼成後10日において18重量%以下、好ましくは17重量%以下であることが好ましい。焼成後10日の水分量が18重量%を超えるとメロン皮の「なき」が発生する。
また、本発明者らは、焼成したメロンパンの寸法には、その形状に応じて好ましい範囲があることを見出した。具体的には、厚みは2.5cm以下、より好ましくは2.2cm以下であることが好ましい。また、扁平面の外周は40cm以下、より好ましくは30cm以下であることが好ましく、例えば、スクエア状の形状をしたメロンパンでは、一辺が10cm以下であることが好ましく、スティック形状であるメロンパンでは長辺が15cm以下で短辺が5cm以下であることが好ましい。さらに、扁平面の面積は、100cm以下、より好ましくは75cm以下であることが好ましい。こうした形状の範囲にあることにより、焼成後のクラムの水分量、およびメロン皮の水分量を制御しやすくなると考えられる。
さらに、メロンパンの焼成後の重量は10〜55gであることが好ましい。重量が多いことはパンに含まれる水分量が多いこと、および好ましいメロンパンの寸法を超えていることに通じることから、クラムの水分量が高くなりやすく、メロン皮にクラムに含まれる水分が吸収されやすくなることが考えられ、適度な重量範囲内であることが好ましい。
パン地の配合は、通常のパンに用いられる材料を用いることができ、特に限定されない。パン生地の材料としては、例えば小麦粉、イースト、糖類、乳製品、卵、油脂類を用いる。層構造を有するパン生地は、混捏したパン生地に、通常のデニッシュペストリーに用いられる、折り込み油脂などの折り込み資材を折り込んだ生地を用いる。被覆生地の材料としては、例えば薄力粉 、卵 、砂糖 、油脂(バターやマーガリン、ショートニング等)、ベーキングパウダーを用いる。その他、パン生地や被覆生地には、通常パンの製造に使用される、イーストフード、乳化剤、乳蛋白、製パン用酵素などを適宜添加することができる。
イーストの入ったパン生地で折り込み資材を包んだ後、薄く延ばし、何重にも重ねてパン生地と折り込み資材による層構造を作成する。層構造は、必要に応じ、折り込み油脂、フラワーペースト、ジャムおよびフィリングから選ばれる1以上の材料を折り込むことにより形成される。イーストの添加量としては、小麦粉に対して4〜8重量%が好ましく、5〜7重量%がより好ましい。該パン生地は油分の多い配合、具体的には生地中に均一に練り込む油脂の量が小麦粉に対し5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、20重量%以下となる配合であるのが生地の伸展性に優れるため好ましい。パン生地を混捏する際に添加する水の量は、小麦粉に対して25〜30重量%が好ましく、27〜29重量%がより好ましい。折り込み油脂は、クロワッサンやデニッシュの製造において、生地に折り込んで使用される可塑性油脂を指し、典型的にはシート状マーガリンなどが挙げられ、本発明では折り込み用として市販されるいずれの可塑性油脂も用いることができる。油脂を折り込む場合、折り込み油脂の折り込み量は、生地への小麦粉配合重量に対し、通常20〜80重量%であるが、より好ましくは40〜60重量%である。折り込む油脂の層の数は、多層であり、好ましくは10〜50層である。
層構造はパン生地で折り込み資材を包んだ後、引き延ばした生地を折りたたむことで形成する。折り込む素材としては、油脂やフラワーペースト、ジャム、フィリングなど製パン素材として通常使われるものであればよいが、油脂を折り込んだ場合に特に食味がよく、油脂とフラワーペーストやジャム、フィリングなどを組み合わせて用いるとさらに食味の優れたパンが得られる。すなわち、パン生地に、油脂やフラワーペースト、ジャムなどを折り込み、パン生地の焼成後の水分量を10〜20重量%となるように焼成することが好ましい。
焼成後のメロンパンの重量が10〜55gであることが好ましい。焼成時に水分を蒸発しやすくするため、焼き上がりの形状が、厚みが2.5cm以下で、一辺が10cm以下のスクエア状、または、長辺が15cm以下で短辺が5cm以下のスティック状であることが好ましい。
本発明のメロンパンは、クラムはしっとりとしていて口溶けがよく、メロン皮は、サクサクとした軽い食感である。また、メロン皮の上にさらにグラニュー糖などがまぶされている場合もあるが、このような場合は、グラニュー糖が溶けずに形状が保たれている。
通常、焼成後のメロンパンでは、焼成直後よりクラムからメロン皮への水分移行がおこるため、メロン皮の水分が徐々に上昇する。そして、焼成後2〜3日でメロン皮の「なき」が発生し、焼成後5〜10日前後にメロン皮の水分量が最も高くなる。その後、メロンパン全体の水分が蒸発するため、メロン皮の水分量も若干低下する。そのため、30日後の水分量をみると、層構造を有していなくても、メロン皮の水分量が18重量%以下となる場合がある。しかし、メロンパンの品質としては、一度メロン皮の水分が上昇して、「なき」が発生したものは、その後、水分量が下がっても、皮のサクみがなくなったりカビが発生したりするため、商品価値はなくなる。また、層構造を有していないものでは、クラム部分のパサつきが、焼成後30日にはより顕著なものとなり、パンとしての品質が著しく劣る。本発明の特徴は、メロン皮の水分量が最も高くなる焼成後2〜10日の間の、メロン皮の水分量が一定以下に抑えられているため、焼成後10日、好ましくは30日を過ぎても、メロン皮の食感や食味が良好で、なおかつ焼成後30日を過ぎてもクラムのパサつきがなく、焼成後30日程度まで十分な商品価値を有するメロンパンを提供するものである。
クラムの水分量が低いことに加え、層構造の効果でクラムからの水分の移行を抑制することができる。また、層構造の効果によりクラムがパサつくことなく水分量を低減できる。これにより焼成後時間が経過してもメロン皮に「なき」が生じにくく「サクみ」が維持され、食感に優れた商品となるため、賞味期限が長く、個包別袋に包装し、該個包装品を複数個まとめてさらに包装することで、例えば賞味期限が20日以上のメロンパンを販売することが可能である。
[製造方法]
本発明のメロンパンおよびその製造方法についてさらに説明すると、本発明のメロンパンの製造では、焼き上がり時のクラムが折り込みによる層構造をなすような工程を設けること以外は従来の製造方法が適用される。その一例を示す。まず、小麦粉、イースト、イーストフード、糖類、食塩、油脂類、乳製品、卵、水を所定量混合し、パン生地を捏ね上げシート状に成型する。その後、折り込み資材をパン生地で包み、層構造となるように処理する。一方、被覆生地は糖類と油脂をペースト状になるまで捏ねたものに卵・水を少量ずつ加えていき、最後に篩いにかけた小麦粉を入れ、均一になるまで混ぜて得る。その後にパン生地を被覆生地で包み、グラニュー糖を表面に付着させる。所定時間発酵をとった後に、190℃〜210℃のオーブンにて所定時間焼成する。
以下、実施例等により本発明の実施形態をより具体的に記載する。
[水分量の測定方法]
焼き上がり時のクラム部分およびメロン皮部分に含まれる水分量の測定は、常圧加熱乾燥法にて行った。
即ち、焼き上がったメロンパンを25℃まで放冷した後、パン生地の水分は、パン生地の内層部分を10g秤量し、FINE社製熱風循環式定温乾燥機「FS−45W」にて135℃で90分乾燥後、重量を測定することで水分量を測定した。また、メロン皮の水分は、メロン皮部分を10g秤量し、同様に水分量を測定した。
[実施例1〜5および比較例1〜4]
〈パン生地の配合と調製〉
小麦粉、上白粉、イースト、脱脂粉乳、食塩、イーストフード、マーガリン、液全卵、水を表1に記載の配合になるよう秤量し、一定の時間ミキサーで混捏し、材料を均一に混ぜた生地を作成した。なお、表1の配合は、小麦粉の重量を100とした場合の各材料の配合量を記載した。
〈折り込み資材〉
折り込み資材としては、折り込み油脂、フラワーペースト、ジャムシートを使用した。
〈折り込みによる層構造の形成〉
混捏後の生地を厚みが約2cmになるように伸ばし、−5℃にて保管した。なお、混捏後の生地を冷やすのは生地の伸展性を確保し、折り込み資材が生地へ溶け込むのを防ぐためである。冷やした生地で表1に記載の折り込み資材を包み、薄く引き延ばした後に折りたたむことにより、生地と折り込み資材が層状に重なったパン生地を形成した。
〈被覆生地の配合と調製〉
薄力粉100重量部、マーガリン20重量部、上白糖60重量部、食塩0.2重量部、レモンオイル0.2重量部、全卵5重量部、ベーキングパウダー1重量部、水20重量部となるよう秤量した。シュガーバッター法によりミキシングするにあたり次の順序により実施した。マーガリンに塩を混ぜ、クリーム状になるまで混ぜた。さらに上白粉を加え、クリーム状になるまで混ぜた。卵を徐々に加えながらミキシングし、水・レモンオイルを徐々に加えた。篩った小麦粉およびベーキングパウダーを加え混合した。
捏ね上げ温度は20〜21℃とし、パン生地を被覆できる量に分割して、2〜3mmの厚さに伸ばして上記工程で調製したパン生地を覆い、表面にグラニュー糖をまぶした。
〈成型と最終発酵〉
層状にしたパン生地に前記被覆生地をかぶせたメロンパン生地を、最終厚がおおよそ5〜10mmになるように伸ばし、所定の製品形状になるように生地をカットした。その後、生地を38℃、相対湿度85%の条件下で60分発酵を取った後、焼成工程に供した。
〈焼成と評価〉
被覆生地をかぶせて成形後、発酵させたメロンパン生地を、オーブン(戸倉商事(株)TOOKOVEN)で表1記載の条件で焼成した。焼成時のオーブンの設定温度は、上火を190℃、下火を210℃とした。焼き上がりの寸法は、表1記載の通りであった。
焼きあがったメロンパンを25℃まで放冷した後、メロン皮およびクラムの水分量を測定した。焼成後個包装し、10日または30日間室温(保管期間の室温は20℃〜25℃であった)条件下に保管した後の、メロン皮およびクラムの水分量を測定した。さらに、焼成後10日間保管したメロンパンについて、メロン皮の「なき」と「サクみ」およびクラムの「パサつき」を、また、焼成後30日間保管したメロンパンについて、メロン皮の「サクみ」およびクラムの「パサつき」を評価した。
評価結果を表1に示す。実施例1〜5で製造したメロンパンは、焼き上がり時のクラムの水分量が20重量%以下であり、焼成後10日が経過しても、メロン皮の水分量が18重量%以下に維持されていて「なき」は生じなかった。また、焼成後10日または30日のメロンパンは、外観に優れ、メロン皮は「サクみ」があり、クラムは「パサつき」がないという総合評価に優れたメロンパンであった。
次に、焼成時間および折り込み資材の種類や有無の影響を評価した。評価結果は、表1に示す。実施例2は実施例1と同じ折り込み資材を用い、焼成時間を短くしたメロンパンである。実施例3および実施例5は油脂を折り込まずフラワーペーストまたはジャムシートだけを折り込んだ生地を、実施例1と同様の焼成条件で焼成したメロンパンであり、実施例4は油脂を折り込まずフラワーペーストだけ折り込んだ生地を焼成する際、実施例1よりも焼成時間を短くして焼成したメロンパンである。実施例2〜5のメロンパンは、メロン皮のサクみやクラムのパサつきにおいて、実施例1よりもやや劣る場合があるものの、良好な結果が得られた。
一方、比較例1は実施例1と同様の折り込み資材を用いているが、焼成が不十分で焼き上がり時のクラムの水分量が高く、焼成後10日のメロン皮は「なき」が発生していた。また、比較例2は層構造をとらずに実施例1と同様の焼成条件で焼成したメロンパンであり、メロン皮の「なき」は抑制されているものの、クラムにパサつきが生じ、総合的にパンとしての品質の低いものとなった。さらに、比較例3は層構造をとらずに実施例2と同様の焼成条件で焼成したメロンパンであり、メロン皮に「なき」が生じ、クラムはパサついたものとなった。なお、比較例4は一般的に製造販売されているドーム状のメロンパンであるが、クラムの水分量が高いため、焼成後30日間保管すると、メロン皮に「なき」が生じるだけでなくカビが発生した。
これらの実施例、比較例を対比することによって本件発明の要件である、クラムが層構造を有すること、焼き上がり時のパン生地の水分量が10〜20重量%の範囲にあることが好ましいとの結論が得られた。
[実施例6〜8および比較例5〜8]
焼成した後のメロンパンの寸法や形状の影響について評価し検討した。メロンパンの形状はスティック状とスクエア状とをなし、周囲の長さと厚みおよび焼成条件を表2に記載の通り変化させて、実施例1に準じてメロンパンを調製して評価した。評価結果を表2に示す。表2にはメロンパンの寸法や形状が実施例とは異なる比較例5〜8の試験結果を同時に示している。
実施例1および、実施例6〜実施例8の結果より、製品の形状が、厚みが2.5cm以下で、一辺が10cm以下のスクエア状、または、長辺が15cm以下で短辺が5cm以下のスティック状であれば、焼き上がり時のクラムの水分量が20重量%以下となり、焼成後10日が経過しても、メロン皮の水分量が18重量%以下に維持され、「なき」はなく、また、焼成後10日または30日が経過しても、「サクみ」があり、クラムには「パサつき」はないという良好なメロンパンが製造された。一方で、焼きあがり時の厚みが2.5cmよりも厚い場合、あるいは、周囲の長さが、上記の範囲を超えている場合は、焼きあがり時のパン生地の水分量が高くなり、焼成後10日のメロン皮は「なき」が発生した。
本発明は、焼成後30日が経過しても、メロン皮に「なき」が生じ難くサクみが維持され、クラムのパサつきが抑制されたメロンパン製品を提供することを可能としたものである。工場で生産されるメロンパンは、焼成後、袋詰めされて流通するホールセールの商品であり、消費者に届くまでには数日間を要することがしばしば生ずることから、少なくとも10日間はメロン皮に「なき」が発生することがないメロンパンおよびその製造方法が求められていた。本発明では、「なき」の発生を長期間確実に抑制することができるため、工場での生産後の保管、市場に流通期間、消費者の元へ届いた後の保存期間に余裕を持つことが可能となり、効率的な生産、流通による経済効果、および消費者に変質しないおいしいメロンパンを届けることができるという産業上に大きな利点を達成することができる。

Claims (2)

  1. クラムが層構造を有し、焼き上がり時のクラムが、水分量10〜20重量%の範囲にあること、ならびに、焼き上がり後10日のメロン皮の水分量が11.7重量%以上18重量%以下であり、
    クラムの層構造が、パン生地に、折り込み油脂、フラワーペースト、ジャムおよびフィリングから選ばれる1以上の材料を折り込んだ層構造を有するパン生地由来であることを特徴とするメロンパン。
  2. パン生地に、折り込み油脂、フラワーペースト、ジャムおよびフィリングから選ばれる1以上の材料を折り込むことによって、層構造を有するパン生地を成形し、そのパン生地を被覆生地で被覆してメロンパン生地とし、焼き上がり時のクラムが、水分量が10〜20重量%の範囲にあるように、ならびに、その後、焼き上がり後10日のメロン皮の水分量が11.7重量%以上18重量%以下であるように、焼成することを特徴とするメロンパンの製造方法。
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