JP2023016246A - ペストリーの製造方法及び冷凍ペストリー生地 - Google Patents

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Abstract

【課題】サクサク感と柔らかい食感とを両立するペストリーを提供するための製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】最終発酵がされていない状態にある冷凍ペストリー生地または前記冷凍ペストリー生地を解凍したペストリー生地を、芯温が4~28℃になるまで復温する工程と、前記復温したペストリー生地を追加の発酵工程を行なうこと無く加熱する工程と、を含み、前記冷凍ペストリー生地が、穀粉類及び/または澱粉類からなる澱粉質原料及びイーストを含むパン生地とロールイン油脂とが層状に折り重なってなり、前記澱粉質原料100質量部に対してイーストを3~16質量部(水分70質量%含有生イースト換算量)含む、ペストリーの製造方法により解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、ペストリーの製造方法及び冷凍ペストリー生地に関する。
層状生地を加熱する層状ベーカリー食品として、クロワッサンやデニッシュペストリー等のペストリーと称される製品がある。ペストリーは、バターやマーガリン等の油脂をパン生地へ層状になるように折り込んで層状の生地とし、この生地を焼成することにより製造される。このようにして製造されるペストリーは、内層が多層状で層間に空隙が形成され、サクサクとした食感と油脂と共に加熱された香ばしい芳香を有しており、広く親しまれているベーカリー食品である。
近年、消費者の嗜好性は多様化が進み、ペストリーについても改良を求めるニーズがある。このようなニーズに応えるために種々検討されている。
特許文献1には、マルトース生成αアミラーゼ及びαアミラーゼを含有するロールイン油脂が開示されており、ボリューム感があり柔らかい食感を有するデニッシュを製造したことが記載されている。特許文献2には、特定の構成脂肪酸のトリグリセリドからなるコンパウンド結晶を含有するペストリー練り込み用油脂組成物が開示されており、ソフトで歯切れの良いペストリーが得られることが記載されている。
一方、ペストリーのような層状膨化食品の製造において、製造工程の合理化のためホイロ(最終発酵)後冷凍した生地を焼成する方法が報告されている(特許文献3~4)。いずれもサクサクした食感を得ることを目的としている。また、特許文献5には、最終発酵工程を経ずに油ちょうする、ベーキングパウダーとイーストとを含む生地を用いた、ボリュームがありソフトな食感を有するパンやイーストドーナツの製造方法が開示されている。
しかし、サクサク感を有しながらかつ柔らかい食感もあるペストリーを製造する方法は従来報告されていなかった。
特開2015-192638号公報 特開2004-305048号公報 特開2011-36133号公報 特開2012-196176号公報 特開2018-27057号公報
本発明は、多層構造に由来するサクサク感とパン生地のもつ柔らかい食感とを両立するペストリー製品を提供することを課題とする。より詳細には、サクサク感と柔らかい食感とを両立するペストリーを提供するための製造方法、及び前記製造方法に用いるための生地を提供することを課題とする。
従来のホイロ(最終発酵)を行なったペストリーでは、油脂層中の水分蒸発と発酵ガスの膨張で層状のパン生地間に空隙が広がり、またパン生地が油脂と共に加熱されるため、サクサク感の強い食感になる。本発明者らは、かかるサクサク感を維持しつつ、ペストリーに柔らかい食感を与えるため、イースト量を調整した生地を冷凍して発酵を抑制した後、復温条件を調整してホイロ(最終発酵)せずに焼成したペストリーが、上記課題を解決することを見いだした。
すなわち、本発明を以下の態様を提供する。
〔1〕最終発酵がされていない状態にある冷凍ペストリー生地または前記冷凍ペストリー生地を解凍したペストリー生地を、芯温が4~28℃になるまで復温する工程と、
前記復温したペストリー生地を追加の発酵工程を行なうこと無く加熱する工程と、
を含み、
前記冷凍ペストリー生地が、穀粉類及び/または澱粉類からなる澱粉質原料及びイーストを含むパン生地とロールイン油脂とが層状に折り重なってなり、前記澱粉質原料100質量部に対してイーストを3~16質量部(水分70質量%含有生イースト換算量)含む、
ペストリーの製造方法。
〔2〕ペストリーがデニッシュペストリーである、〔1〕記載のペストリーの製造方法。
〔3〕〔1〕または〔2〕記載のペストリーの製造方法において使用するための、最終発酵がされていない状態にある冷凍ペストリー生地であって、穀粉類及び/または澱粉類からなる澱粉質原料及びイーストを含むパン生地とロールイン油脂とが層状に折り重なってなり、前記澱粉質原料100質量部に対してイーストを3~16質量部(水分70質量%含有生イースト換算量)含む、上記冷凍ペストリー生地。
本発明により、サクサク感と柔らかい食感とを両立するペストリーを提供することができる。また、本発明により、発酵時間の複雑な調整を経ることなく、容易にサクサク感と柔らかい食感とを両立するペストリーを製造することができる、ペストリーの製造方法及び冷凍ペストリー生地を提供することができる。
本発明の実施例のペストリーの断面写真である。 本発明の実施例のペストリーの断面写真である。 本発明の比較例のペストリーの断面写真である。 標準的なデニッシュペストリーの断面写真である。
<ペストリーの製造方法>
初めに従来の一般的なペストリーの製造方法を説明する。
一般的にペストリーは、パン原料を混合してパン生地を得る工程、パン生地を分割する工程、パン生地を一次発酵させる工程、パン生地とロールイン油脂とを積層してペストリー生地を得る工程、ペストリー生地を成形する工程、成型したペストリー生地を最終発酵(ホイロ)させる工程、発酵済みペストリー生地を焼成する工程を経て製造される。ここで、一次発酵とは、パン生地を温度25~39℃、相対湿度70~85%で15~40分間発酵させることであり、最終発酵(ホイロ)とは、通常、ペストリー生地を温度25~39℃、相対湿度70~85%で20~70分間発酵させることである。任意に、一次発酵の後にガス抜きのためにパンチを行ってもよく、混合や成形により衝撃を受けた生地を休ませるためにフロアタイムを設けることもできる。なお、前記一次発酵に代えてリタードを行うこともある。
従来の方法において、ペストリー生地を冷凍生地とする場合には、最終発酵させていない成形済みペストリー生地または最終発酵済みペストリー生地を急速冷凍して冷凍生地とすることができる。
本発明のペストリーの製造方法は、
(A)最終発酵がされていない状態にある冷凍ペストリー生地または前記冷凍ペストリー生地を解凍したペストリー生地を、芯温が4~28℃になるまで復温する工程と、
(B)前記復温したペストリー生地を追加の発酵工程を行なうこと無く加熱する工程と、
を含み、
(C)前記冷凍ペストリー生地が、穀粉類及び/または澱粉類からなる澱粉質原料及びイーストを含むパン生地とロールイン油脂とが層状に折り重なってなり、前記澱粉質原料100質量部に対してイーストを3~16質量部(水分70質量%含有生イースト換算量)含む、
方法である。
本発明の製造方法について以下詳細に説明する。
(1)冷凍ペストリー生地
ペストリーは、ベーカリー食品の一種であり、その内部が薄膜状に焼成されたパン生地と空隙とが幾重にも連なる特有の層状構造を有している生地を焼成したベーカリー食品であり、デニッシュペストリー、クロワッサン、フレーキーペストリー、パフペストリー、シューペストリー等が挙げられる。本発明において、ペストリーは、好ましくはデニッシュペストリーである。
ペストリー生地はパン生地層と油脂層とが交互に積層された積層生地であり、これを焼成すると油脂層中に含まれる水分が蒸発し、その水蒸気圧で層状パン生地が持ち上げられることにより空隙が生じ、その結果として層状構造が形成される。
このようなペストリー生地は、パン生地をシート状に成形し、シート状のパン生地にロールイン油脂を載置して包み込んでこれを延展し、1回以上に折り込みまたは折り重ねて延展し、適当な回数この操作を繰り返し、パン生地層とロールイン油脂層とが交互に積層されることにより得ることができる。あるいは、シート状のパン生地にシート状のロールイン油脂を重ね合わせた後、1回以上折り込みまたは折り重ねて延展し、同様に操作を繰り返して得ることもできる。これを所望の最終厚に延展し、所望の形状及び大きさにカットし、所望の形状に成形して個々のペストリー生地としてもよい。
本発明において、前記ペストリー生地はその後冷凍される。冷凍前に最終発酵(ホイロ)と呼ばれる発酵をされていない状態にある。一次発酵はされていてもよい。本発明では、生地を冷凍することは、生地の発酵を完全に止めるための操作である。
冷凍ペストリー生地は、上述の方法で製造したペストリー生地を任意の形状及び大きさに必要に応じてカットし、冷凍することにより得ることができる。冷凍ペストリー生地を得るに際して、氷の結晶が成長するとパン生地の組織やイーストが損傷を受けやすいため、氷結晶が最も成長する最大氷結晶生成帯(-1~-5℃付近)を速やかに通過するように急速冷凍することが望ましい。
(2)パン生地
ペストリー生地に使用するパン生地としては特に制限はなく、菓子パン生地、食パン生地など一般に使用されているパン生地であれば何れであってもよい。そのようなパン生地は、小麦粉等の穀粉類及び/または澱粉類からなる澱粉質原料、イースト、水等を主体に、必要に応じて油脂、卵、乳製品、食塩、糖、イースト、膨張剤、調味料、フレーバーなどの副原料を加え、捏ねあげることにより得ることができ、その組成に限定はない。澱粉質原料及びイーストについては後述する。明確な定義があるわけではないが、糖類や卵等の副資材が比較的多いリッチ系のパン生地を使用するとデニッシュペストリー、そのような副資材が比較的少ないリーン系のパン生地を使用するとクロワッサンとされることがある。なお、本発明においてペストリー生地に用いるパン生地は、一次発酵はされていてもよいが、最終発酵がされていないパン生地である。一次発酵は任意であり、焼成したデニッシュペストリーがパン目になる恐れを避けるために、一次発酵を短時間に済ませるか、あるいは一次発酵を行わないことが好ましい。
本発明において、ペストリー生地は、好ましくはデニッシュペストリー生地である。デニッシュペストリー生地のためのパン生地は、糖類や卵原料等の副資材の使用割合が多い比較的リッチな配合であるため、より柔らかく口溶けのよい食感のペストリーを得ることができる。リッチになり過ぎるとサクサク感が損なわれる恐れがあるため、澱粉質原料100質量部に対して糖類10~30質量部、卵原料10~40質量部であることが好ましい。
(3)ロールイン油脂
ペストリー生地に使用するロールイン油脂としては、パン生地と共に折り畳むことができるロールイン油脂であれば特に制限はなく、例えばバター、マーガリン、ショートニング等のペースト状ないしは可塑性の油脂が挙げられる。このようなロールイン油脂は、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂、サル脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂を原料とし、水素添加、分別及びエステル交換等の加工処理を施し、常温でペーストないしは可塑性の性状を示す加工油脂であればよく、このような性状の加工油脂の中から選ばれる1種または2種以上の混合物であってもよい。前記原料となる油脂の内、常温でペースト状ないしは可塑性の性状を示すものであれば、加工処理を施すことなく使用することもできる。ペストリー生地に使用するペースト状ないしは可塑性の油脂の形状としては、あらかじめシート状に成形されていると折り込みまたは折り重ね作業に適用し易いが、ブロック状ないしは小片状等の他の形状であっても差し支えない。ペストリー生地を得るために使用するロールイン油脂の量は特に制限されるものではないが、パン生地100質量部に対して10~100質量部であり、好ましくは15~60質量部であり、より好ましくは18~40質量部である。
(4)澱粉質原料
前記パン生地に使用する澱粉質原料は、穀粉類及び/または澱粉類からなる。「穀粉類」とは、普通小麦、デュラム小麦、米、ライ麦、大麦、とうもろこし、そば、大豆、ひえ、あわ、アマランサス等の穀物由来の穀粉;馬鈴薯、里芋、キャッサバあるいは甘藷、山芋等の穀物に準ずる主食となる農作物である塊茎粉あるいは塊根粉などをいう。「澱粉類」とは、穀物、塊茎、塊根、樹幹等及びそれらのワキシー種またはハイアミロース種から分離精製された澱粉(小麦澱粉、米澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、サゴ澱粉等、及びそれらのワキシー澱粉並びにハイアミロース澱粉)、及び、前記澱粉をエーテル化、エステル化、アセチル化、架橋、酸化処理、熱処理、酵素処理等並びにそれらを組合せて処理を行った変性澱粉などをいう。前記澱粉質原料は、好ましくは穀粉類、更に好ましくは小麦粉からなるが、所望する食味や食感あるいは製造における作業性を考慮して小麦粉以外の穀粉類及び/または澱粉類を使用することができる。そのような場合、澱粉質原料における穀粉類、好ましくは小麦粉、の含有率は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
澱粉質原料と共にパン生地に使用する副原料としては、求めるペストリーの種別に応じ、小麦ふすま、米ぬか等の糠類;イーストフード;セルロース、難消化性澱粉等の水不溶性食物繊維;ポリデキストロース、大麦βグルカン、難消化性デキストリン等の水溶性食物繊維;デキストリン、サイクロデキストリン等の澱粉分解物及びその誘導体;ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、イヌリン等の増粘多糖類;メチルセルロース類等のセルロース誘導体;ブドウ糖、果糖、乳糖、砂糖、イソマルトースなどの糖類;卵黄、卵白、全卵及びそれらを粉末化したものやその他の卵に由来する成分である卵成分;粉乳、脱脂粉乳、大豆粉乳等の乳成分;グルテン、大豆蛋白、小麦蛋白、えんどう豆蛋白等のタンパク質類;ショートニング、ラード、マーガリン、バター、オリーブ油、ダイズ油等の固形状あるいは液状の油脂類;グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、サポニン、カゼインナトリウム等の乳化剤;食塩等の無機塩類;保存料;香料;色素;香辛料;ビタミン;カルシウム等の強化剤等、通常パンの製造に用いられる副原料であれば何れも使用することができる。
(5)イースト
前記パン生地に使用するイーストは、通常パンの製造に使用されるイーストであれば特に制限はないが、冷凍生地とする観点から冷凍耐性を有するイーストであることが好ましい。使用するイーストの態様としては、生イースト(水分含量65~73質量%)、セミドライイースト(水分含量約25質量%)、ドライイースト(水分含量8質量%)、インスタントドライイースト(水分含量4質量%以下)が挙げられる。これら何れの態様で用いてもよいが、各々適量が異なるため、本発明においてイースト量を述べるときは、生イースト(水分含量70質量%)に換算して使用量を規定し、換算した値であることを示すため、数値の後に「(水分70質量%含有生イースト換算量)」と記載する。セミドライ―スト等の生イースト以外のイーストは、その発酵能によって生イーストに換算することができる。その発酵能としては、イーストを基質と共にインキュベーションした際に発生する総ガス量で評価することができる。例えば、ファーモグラフ(アトー株式会社)を使用し、小麦粉200質量部、食塩4質量部、水200質量部及びイースト1質量部を混合して流動状の生地を調製して28℃で24時間インキュベートし、発生したガス量の経時変化を測定して発酵能を評価することができる。
本発明において、ペストリー生地に使用するパン生地に使用するイーストの量は、澱粉質原料100質量部に対して生イースト換算で3~16質量部であり、好ましくは5~15質量部であり、より好ましくは9~14質量部であり、より更に好ましくは11~13質量部である。3質量部未満では、ペストリーの内層が密に詰まったパイ様になって硬いサクサクとした食感になる。16質量部超では内層がパン目になってサクサク感のない柔らかい食感になる。3~16質量部であれば、サクサク感と柔らかな食感が両立した良好な食感になる。冷凍ペストリー生地の解凍及び復温に際して、恒温機等の保温装置を用いずに室温で行える点から、生イーストは8質量部を超えること、更には10質量部を超えること、より更には12質量部を超えることが望ましい。
(6)解凍
本発明において、「解凍する」とは、冷凍ペストリー生地における芯温が氷点を超えるように適当な雰囲気温度下で適当な時間静置することである。雰囲気温度は、解凍から焼成までの作業の流れに応じて適時選択することができ、例えば、解凍後冷蔵保存する場合であれば0~10℃が好ましく、解凍に続いて復温及び焼成する場合であれば20~50℃が好ましい。なお、前記「氷点」とは、ペストリー生地の氷点のことであり、パン生地に含まれる食塩等の凝固点降下作用を有する資材や油脂の配合割合ならびにロールイン油脂に使用されている原料油脂の融点などに依存するが、概ね-10℃以上である。そのため、ペストリー生地の芯温が0℃に達していれば実質的に解凍されたと判断することができる。
(7)復温
本発明において、「復温する」とは、冷凍ペストリー生地または解凍済みペストリー生地の芯温が4~28℃になるまで適当な雰囲気温度下で静置することである。前記芯温は、好ましくは6~26℃であり、より好ましくは10~25℃であり、更に好ましくは15~24℃、より更に好ましくは18~23℃である。芯温が4℃未満では、焼成したペストリーの内層が密に詰まったパイ様になり、硬いサクサクとした食感になる恐れがある。28℃を超えると、ペストリーの内層がパン目になってサクサク感のない柔らかい食感になる。復温に係る雰囲気温度に特に制限はないが、20~45℃であることが好ましく、より好ましくは25~40℃である。雰囲気温度が20℃未満でも品質上の問題はないが、復温に要する時間が長くなるため商品提供サイクルが長くなる。雰囲気温度が45℃を超えると、ペストリー生地の芯温が上記範囲に復温した際にペストリー生地の外表面に近い部分でイースト発酵が起こり、焼成したペストリーの外表面付近の内層がパン目になる恐れがある。復温に係る静置時間は特に限定されるものではなく、目標とするペストリー生地の芯温と復温に係る雰囲気温度との関連で適宜設定すればよい。例えば、適当な雰囲気温度下で解凍済みペストリー生地の復温を開始し、サーモセンサーを用いてペストリー生地の芯温をモニタリングし、目標とする芯温に達した時点で復温を終了することが好ましい。
本発明において、解凍する工程と復温する工程とを分けることなく一つの解凍復温する工程として行うこともできる。その場合、ペストリー生地の芯温並びに雰囲気温度は、前記復温する工程に係る条件に準じて解凍復温すればよい。
前記解凍する工程、復温する工程及び解凍復温する工程において、ペストリー生地からの水分飛散を防止するために、相対湿度60~95%で行うことが好ましい。
なお、本発明における「芯温」とは、ペストリー生地において、外部からの熱の伝達が最も遅い中心部付近の温度のことである。ペストリー生地の芯温は、棒状のサーミスタセンサーを付属するデジタル温度計等のサーモセンサーを用いて測定することができ、そのようなサーモセンサーとして株式会社エー・アンド・デイのAD-5625等が挙げられる。
(8)追加の発酵工程(最終発酵工程)
本発明において、復温したペストリー生地は、追加の発酵工程を行なわない。よって、一般的に最終発酵(ホイロ)と呼ばれる発酵をすることなく焼成される。任意に復温したペストリー生地を冷蔵保存することもできるが、復温に次いで焼成することが好ましい。復温と焼成との間にフロアタイムが含まれていてもよいが、出来る限り短時間であることが好ましい。フロアタイムが長くなるとイースト発酵が起こる恐れがあるためである。例えば、復温から焼成への作業移行に伴うフロアタイムは許容され得る範疇である。
上述したとおり、従来の一般的なペストリーの製造方法では、成型したペストリー生地をホイロで最終発酵させる工程を行ない、この最終発酵済みのペストリー生地を焼成する工程を経て製造される。この最終発酵は、冷凍生地とする前または後に行なわれる。最終発酵は、ペストリー生地を温度25~39℃、相対湿度70~85%で20~70分間発酵させることである。
これに対し、本発明のペストリーの製造方法では、上述の復温したペストリー生地を、追加の発酵工程させることなく(すなわち、最終発酵させることなく)、加熱する。
本発明のペストリーの製造方法における、ペストリー生地の加熱は、従来公知の方法で行なうことができる。例えば、オーブンや固定釜等による焼成、油ちょうなどが挙げられる。加熱温度は、例えば、160~250℃であればよく、好ましくは170~220℃の範囲で加熱する。
<製造例1 デニッシュペストリーの製造>
下記配合表の原料を用いてペストリーを製造した。すなわち、
(1)ショートニング以外のパン生地原料を縦型ミキサーに投入し、フックを用いて低速2分高速4分混合し、ショートニングを投入して更に低速2分高速7分混合してパン生地を得た。
(2)パン生地を厚さ10mmのシート状に延展し、マーガリンを満遍なく広げた。
(3)シーターを用いて折り込み(3つ折り3回、4つ折り1回)、最終厚さ12mmに延展し、デニッシュペストリー生地を得た。
(4)上面視で一辺65mmの正方形に切り出して成形し、金属製バットに敷き詰め、-30℃で急速冷凍して冷凍デニッシュペストリー生地を得た。使用するまで-20℃で保管した。
(5)冷凍デニッシュペストリー生地を金属製バットごと恒温機に投入し、庫内温度40℃(雰囲気温度)、相対湿度80%で保温した。
(6)保温開始から5分経過後、ランダムに選択したデニッシュペストリー生地5個の上面視中央部からにデジタル温度計(株式会社エー・アンド・デイ、AD-5625)のセンサー先端部を6mm差し込み、芯温を測定しながら更に保温を続けた。
(7)保温開始から20分経過後、金属製バットごと恒温機から取り出し、デニッシュペストリー生地を天板に並べた。
(8)180℃に予熱した固定オーブンに投入し、180℃で24分間焼成してデニッシュペストリーを得た。
<配合表>
Figure 2023016246000001

*生イーストは冷凍耐性イースト(株式会社カネカ、イーストGA)であり、水分含量は68.1質量%である。生イースト(水分含量70質量%)に換算すると、12.76質量部である。
<評価例1 デニッシュペストリーの官能評価>
得られたデニッシュペストリーを略正中で二等分し、食感及び内層の状態について、10名の熟練パネラーにより下記評価基準表1に従って官能評価を行った。
なお、配合表において生イースト量を4質量部とし、製造例1の工程(1)で得られたパン生地を温度34℃、相対湿度75%で20分間一次発酵させ、製造例1の工程(5)で得られた成形済みデニッシュペストリー生地を温度38℃、相対湿度80%で50分間最終発酵(ホイロ)し、工程(8)と同様に焼成した標準的なデニッシュペストリーのサクサク感を5点、ソフト感を3点とした。内層の状態について、標準的なデニッシュペストリーでは空隙が大きく膨らむため、評価の基準として採用しなかった(図4参照)。
評価基準表1
Figure 2023016246000002
<試験例1 復温の検討>
表1記載の保温温度及び保温時間とした以外は製造例1に従ってデニッシュペストリーを製造し、評価例1に従って評価した。芯温は、恒温機からデニッシュペストリー生地を取り出した直後の温度である。SDは標準偏差である。なお、保温温度25℃では、解凍状況を鑑み、保温開始から10分経過後にデジタル温度計のセンサーをデニッシュペストリー生地に差し込んだ。結果を表1に示す。
冷凍デニッシュペストリー生地を40℃で保温(解凍及び復温)した場合、芯温が4.7℃に復温した試験番号1では、焼成済生地層間の空隙が狭いが密とまでは言えず、許容し得るものであり(図1)、その食感はしっかりとサクサク感があり、また許容し得る程度に柔らかくふんわり感のある食感であった。芯温が13.8℃の試験番号2では層と空隙とのバランスが非常に良好であり、サクサク感があり、やや柔らかくふわりとした食感であった。芯温が22.9℃の試験番号3では空隙がやや広い部分があるが層と空隙のバランスは良好であり(図2)、その食感はややサクサク感があり、より柔らかくふんわり感のあるものであった。が強めであるがサクサク感もあった。芯温が26.4℃の試験番号4では、更に柔らかくふんわり感があるが、内層の外皮側がややパン目になっており、サクサク感はやや良好な程度であった。芯温が29.7℃の試験番号5では、部分的に大きな空隙が散見され、イースト発酵が進んだためか内層のパン目様が更に強くになっており(図3)、柔らかさは非常に良好であったが、それに反比例してサクサク感は劣っていた。
冷凍デニッシュペストリー生地を25℃で保温(解凍及び復温)した場合、試験番号6~8では食感及び内層の状態共に良好であった。試験番号9では、芯温が21.2℃と試験番号8と同じであることからプラトーに達しており、イースト発酵が進行したためか内層がパン目になっており、その食感は柔らかく、サクサク感があまりなかった。このことから、デニッシュペストリー生地の芯温が所定の範囲内に達した際に焼成すると良好なデニッシュペストリーが得られるが、その芯温のまましばらく保温を継続するとイースト発酵が起こるためか内層がパン目になることが判った。
表1-1
Figure 2023016246000003
Figure 2023016246000004
<試験例2 イーストの使用量の検討>
表2記載の生イーストを使用し、25℃で40分間または40℃で20分間保温した以外は製造例1に従ってデニッシュペストリーを製造し、評価例1に従って評価した。なお、生イーストの配合量の変更に応じて生地中の水分量が変動するので、水の配合割合を増やして生地中の水分量を一定に保った。結果を表2に示す。
試験番号11では、試験番号3同様に層と空隙とのバランスが良好であり、その食感はサクサク感があり、やや柔らかく良好であった。試験番号10では、大きな空隙が散見されたが多層構造とのバランスは許容し得るものであり、その食感は十分にサクサク感があり良好であり、許容される柔らかさであった。試験番号12では、発酵が進んだためかパン目になり、サクサク感があまりなかった。
試験番号14では、試験番号7よりもやや層が密であったが空隙とのバランスが良好であり、その食感はサクサク感があり、やや柔らかくふんわりとしたものであった。試験番号13では、空隙があまりなく層が密に詰まっているがバランスは許容し得るものであり、その食感はサクサク感が良好で、許容され得る柔らかさであった。試験番号15では、試験番号12同様にパン目になり、サクサク感が十分ではなかった。
表2
Figure 2023016246000005

*1水分含量が68.1質量%の生イースト

Claims (3)

  1. 最終発酵がされていない状態にある冷凍ペストリー生地または前記冷凍ペストリー生地を解凍したペストリー生地を、芯温が4~28℃になるまで復温する工程と、
    前記復温したペストリー生地を追加の発酵工程を行なうこと無く加熱する工程と、
    を含み、
    前記冷凍ペストリー生地が、穀粉類及び/または澱粉類からなる澱粉質原料及びイーストを含むパン生地とロールイン油脂とが層状に折り重なってなり、前記澱粉質原料100質量部に対してイーストを3~16質量部(水分70質量%含有生イースト換算量)含む、
    ペストリーの製造方法。
  2. ペストリーがデニッシュペストリーである、請求項1記載のペストリーの製造方法。
  3. 請求項1または2記載のペストリーの製造方法において使用するための、最終発酵がされていない状態にある冷凍ペストリー生地であって、穀粉類及び/または澱粉類からなる澱粉質原料及びイーストを含むパン生地とロールイン油脂とが層状に折り重なってなり、前記澱粉質原料100質量部に対してイーストを3~16質量部(水分70質量%含有生イースト換算量)含む、上記冷凍ペストリー生地。
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