JP6200272B2 - 層状パンの製造方法及び層状パン - Google Patents
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一方、特許文献3には、アイスクリーム等を入れて冷凍した状態で可食なパンも記載されている。
一方で、従来の冷凍可食パンは、パンの部分が食パンや菓子パンであり、冷凍した状態で食するにはパンの部分が硬すぎるものである。また、単にアイスクリーム等をサンドしたものよりも味や食感にすぐれた新しい冷凍可食パンなどの商品バリエーションの展開は、消費者が望むところである。
特に、前記成形工程後に、前記成形体を冷凍する焼成前冷凍工程を行い、前記冷凍した成形体又は半解凍後の成形体を切断することが、切断面の崩れをなくし、空隙の形状を整える点において望ましい。
本発明の第一の態様において、前記層状パンの内相が、均一で連続的な網目構造を有しており、前記網目構造中の空隙の平均孔径が1cm以上であることが好ましい。
本発明の第一の態様において、前記焼成工程後、前記焼成後冷凍工程の前に、カスタードクリームとホイップ用クリームとを混合撹拌して得られた、混合撹拌後の比重が0.63〜0.72であるクリーム状組成物を、前記層状パンにサンド及び/又は封入してなるクリーム状組成物注入工程を有することが好ましい。また、前記クリーム状組成物が、トレハロースを含有したものであることが好ましい。
本発明は、冷凍で可食な層状パンの製造方法であって、生地層と油脂層とが交互に積層された層状パン生地を製造する生地製造工程と、前記層状パン生地を成形し、成形体を製造する成形工程と、当該成形体中の前記生地層と前記油脂層からなる積層構造の積層面に対して切断面が垂直になるように切断する切断工程と、切断した成形体の切断面を底面にした状態で静置する静置工程と、静置した前記成形体を発酵する発酵工程と、発酵した成形体を焼成し、層状パンを製造する焼成工程と、焼成後の層状パンを冷凍する焼成後冷凍工程と、を有することを特徴とする層状パンの製造方法である。
本発明は、生地層と油脂層とが交互に積層された層状パン生地を製造する生地製造工程を有する。
本発明において「生地層」とは、小麦粉、イースト、水等を主体に、必要に応じて油脂、卵、乳製品、食塩、糖、イースト、膨張剤、調味料、フレーバーなどを加え、捏ねあげ、発酵させた生地からなるシート状の層をいう。その組成は特に限定されず、既存の層状パンに用いられる小麦粉生地を適宜用いることができる。
本発明において「油脂層」とは、例えば、ロールイン油脂組成物からなるシート状の層をいう。
ロールイン油脂組成物としては、バターや、水中油型マーガリン、油中水型マーガリン、ショートニング等のペースト状〜可塑性のロールイン油脂を使用できる。また、その油脂組成物に使用する油脂についても特に限定されずに使用することができ、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂、サル脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂や、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)等が挙げられ、これらの油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明は、前記生地製造工程の次に、前記生地製造工程で得られた層状パン生地を成形し、成形体を製造する成形工程を有する。
前記層状パン生地を成形する方法は特に限定されるものではなく、包丁や自動ラインで層状パン生地を切断、又は小穴をあけた口金を通す押し出し成形で吐出させた後に切断し、切断した層状パン生地を所望の形に成形する方法が挙げられる。
本発明は、前記成形工程の次に、得られた成形体を冷凍する焼成前冷凍工程を有する。
焼成前冷凍工程における冷凍方法は特に限定されず、例えば−20℃で急速冷凍する方法が挙げられる。
本発明は、前記焼成前冷凍工程の次に、得られた冷凍した成形体、又はこれを半解凍した後の成形体を、当該成形体中の前記生地層と前記油脂層からなる積層構造の積層面に対して切断面が垂直になるように切断する切断工程を有する。切断工程においては、前記冷凍した成形体を冷凍状態のまま切断してもよく、室温で10分〜60分間程度放置することにより半解凍した後に切断してもよい。なお、「半解凍」とは、成形体の表面の少なくとも一部は解凍されているが、中心部は凍っている状態を意味する。
本発明においては、前記層状パン生地を成形し、成形体を製造する成形工程の後に、前記成形体を冷凍する焼成前冷凍工程を行い、前記冷凍した成形体又は半解凍後の成形体を切断する工程を有することが好ましい。これにより、切断面のつぶれもなく、良好な空隙を形成できる点で優れている。ただし、これに限定されるものではなく、冷凍前の生の生地においても、超音波カッターなどの良好な切れ味を有する方法で切断すれば同様の効果を得ることが可能である。
本発明は、前記切断工程の次に、切断した成形体の切断面を底面にした状態で静置する静置工程を有する。つまり、当該静置工程においては、切断された成形体を、当該成形体中の前記生地層と前記油脂層からなる積層構造の積層面が、当該成形体を載せ置いた面に対して垂直になる状態で静置する。層状パンがクロワッサンの場合には、例えば、図2に示す切断後のクロワッサン生地2のように切断面を容器20底面に接触させた状態で静置する。
従前の方法のように、切断面が当該成形体を載せ置いた面に対して垂直になる状態で静置した状態であれば、静置中にパン生地内の酵母が発酵し、二酸化炭素を発生しても、その上部を覆うようにパン生地があるために十分には大きな気泡を作れず、楕円状の気泡になってしまうと考えられる。
これに対し、層構造を底面と略垂直になるようにパン生地を置いて静置した場合には、層構造が略垂直に存在するため、酵母の発酵により発生した気泡が、上に上がろうとすることをパン生地が阻害せず、その結果大きな空隙が形成されると考えられる。
なお、静置工程前のパン生地が冷凍されていた場合には、静置工程によってパン生地が解凍されるので、解凍工程ともいうことができる。
本発明は、前記静置工程の次に、静置した前記成形体を発酵する発酵工程を有する。該発酵工程は、いわゆる最終発酵(ホイロ)を示し、例えば、30〜39℃で20〜60分間程度発酵させる方法が挙げられる。
本発明は、前記発酵工程の次に、発酵した成形体を焼成し、層状パンを製造する焼成工程を有する。焼成方法は特に限定されず、常法により焼成すればよい。
本発明は、前記焼成工程の次に、焼成後の層状パンを冷凍する焼成後冷凍工程を有する。焼成後冷却工程においては焼成後の層状パンを放冷した後、例えば−20℃で急速冷凍する方法が挙げられる。
本発明においては、空隙の平均孔径は1.1cm以上であることが好ましく、1.2cm以上であることが好ましい。
本発明は、前記焼成工程後、前記焼成後冷凍工程の前に、カスタードクリームとホイップ用クリームとを混合撹拌して得られた、混合撹拌後の比重が0.63〜0.72あるクリーム状組成物を、前記層状パンにサンド及び/又は封入してなるクリーム状組成物注入工程を有することが好ましい。
本発明において、クリーム状組成物とは、カスタードクリームとホイップ用クリームとを混合撹拌したものであって、混合撹拌後の比重が0.63〜0.72であるクリームをいう。
ホイップ用クリームとは、牛乳又は生乳から乳脂肪以外の成分を除去したものをいう。ホイップ用クリームをホイップ、つまり気泡を含有させることによりホイップドクリームを得ることができる。
撹拌は、ミキサーボール等を使用し、ミキシング速度を適宜調整しながら10秒〜数分撹拌すればよい。
本発明において、クリーム状組成物の比重は、水の容積比を1.0(cc/g)とした場合のクリームの容積重量比である。クリーム状組成物の比重は、カスタードクリームとホイップ用クリームの混合割合、撹拌時間等により適宜調整できる。
該クリーム状組成物は、解凍して食べてもよい。解凍した状態では、クリームがなめらかで、おいしいクリームである。
トレハロースの混合比(質量比)は特に限定されず、ホイップ用クリームに対し、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
本発明は、内相が、厚みが均一で連続的な網目構造を有しており、前記網目構造中の空隙の平均孔径が1cm以上である層状パンである。
本発明の層状パンは、上記≪層状パンの製造方法≫により得られたものであることが好ましい。
本発明の層状パンは、平均孔径が1cm以上の空隙を有し、均一で連続的な内相が存在することにより、解凍した状態ではもちろんのこと、冷凍した状態であっても、パンが硬すぎず、サクサク感がありおいしく喫食することができる。
本発明は、カスタードクリームとホイップ用クリームとを混合撹拌したものであり、混合撹拌後の比重が0.63〜0.72であるクリーム状組成物である。クリーム状組成物に関する説明は前記同様である。
[実施例1]
定法により作成した冷凍クロワッサン生地を室温で30分程昇温させた後、図1に示すように、生地層と油脂層からなる積層構造の積層面に対して垂直になるように、包丁で半分に切断した。
切断したクロワッサン生地を図2に示すように、切断面が底面になるように天板上に並べ、室温で3時間昇温させた。
次に、昇温したクロワッサンを図3に示すように倒して等間隔に並べ、室温で1時間程度昇温させた。
その後、発酵させ、常法により焼成し、層状パンを製造した。
切断面が底面になるように並べて昇温させず、解凍工程の当初から図3に示すように倒した状態で解凍したこと以外は、実施例1と同様にクロワッサンを製造した。
実施例1及び比較例1のクロワッサンについて、中心部から2cmのところを垂直に切断し、断面の網目構造を観察した。実施例1の結果を図4に、比較例1の結果を図5に示す。
図4の(A)〜(C)に示すように、実施例1のクロワッサンは、平均孔径が1cm以上の大きな内相を有しており、内相がはっきりしていた。特に図4の(B)においては、はっきりした大きな内相を確認できた。比較例1のクロワッサンの内相は、図5の(A)〜(C)に示すように実施例1に比べて平均孔径が小さく、つぶれがちであった。
下記表1〜6に示す配合比(質量比)でホイップ用クリーム(トッピング200ND、不二製油)、カスタードクリーム(フラワーホワイト80、ソントン)、及びその他の副原料を配合したクリーム組成物1〜6を製造した。
その後、比較例2、実施例2〜5、参考例1のクリームを冷凍庫で1週間保管し、官能評価に供した。表7〜8に評価結果及び比重を記載する。
以下の表中、
総合評価において、
◎は、味にメリハリがあり良好、
○は、味的に良好だが、あっさりしている、
×は、水っぽく、ベト付いた食感、
を示す。
硬さ評価において、
◎は、良好、
○は、食することができる、
△は、硬くて食するには不適、
を示す。
3…切断後のクロワッサン生地 (A)…クロワッサンの断面 (B)…クロワッサンの断面 (C)…クロワッサンの断面
Claims (5)
- 冷凍で可食な層状パンの製造方法であって、
生地層と油脂層とが交互に積層された層状パン生地を製造する生地製造工程と、
前記層状パン生地を成形し、成形体を製造する成形工程と、
当該成形体中の前記生地層と前記油脂層からなる積層構造の積層面に対して切断面が垂直になるように切断する切断工程と、
切断した成形体の切断面を底面にした状態で静置する静置工程と、
静置した前記成形体を発酵する発酵工程と、
発酵した成形体を焼成し、層状パンを製造する焼成工程と、
焼成後の層状パンを冷凍する焼成後冷凍工程と、
を有することを特徴とする層状パンの製造方法。 - 前記成形工程後、前記切断工程の前に、
前記成形体を冷凍する焼成前冷凍工程を有し、前記切断工程において、前記焼成前冷凍工程において冷凍した成形体又は半解凍後の成形体を切断することを特徴とする請求項1に記載の層状パンの製造方法。 - 切断した成形体の切断面を底面にした状態で解凍する解凍工程と、
解凍した前記成形体を発酵する発酵工程と、
前記層状パンの内相が、均一で連続的な網目構造を有しており、前記網目構造の空隙の平均孔径が1cm以上である請求項1又は2に記載の層状パンの製造方法 - 前記焼成工程後、前記焼成後冷凍工程の前に、
カスタードクリームとホイップ用クリームとを混合撹拌して得られた、混合撹拌後の比重が0.63〜0.72であるクリーム状組成物を、前記層状パンにサンド及び/又は封入してなるクリーム状組成物注入工程、
を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の層状パンの製造方法。 - 前記クリーム状組成物が、トレハロースを含有したものである、請求項4に記載の層状パンの製造方法。
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