JP5489261B2 - 熱伝導性接着剤 - Google Patents
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Description
また、半導体素子およびプリント基板などの配線部分の表面保護のためにポリイミドシリコーン樹脂を用いることが知られており、シリコーンゴムに比べて高湿条件下での基材への密着性および耐久性が高い(例えば、下記特許文献3を参照)。このポリイミドシリコーン樹脂を含む組成物を、半導体の接着剤として利用することも開示されている(例えば、特許文献4を参照)。しかし、これらのポリイミドシリコーン樹脂を用いた熱伝導性の接着剤、特に電気的絶縁性が要求される熱伝導性接着剤の検討はされていなかった。
(A)下記式(1)で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量5,000〜150,000のポリイミドシリコーン樹脂 100質量部、
(B)電気的絶縁性の熱伝導性フィラー 100〜10,000質量部、及び
(C)有機溶剤
を含有する熱伝導性接着剤(但し、該熱伝導性接着剤はエポキシ樹脂を含まない)
ポリイミドシリコーン樹脂は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。
最初に、Wを誘導するためのテトラカルボン酸二無水物、Xを誘導するためのジアミン及びYを誘導するためのジアミノポリシロキサンを溶剤中に仕込み、そして低温、例えば0〜50℃で反応させる。上記溶剤は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)から選択される1又は2以上の組み合わせである。さらに、イミド化の際に生成する水を共沸により除去しやすくするために、芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレンを併用することが出来る。上記反応によって、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸が製造される。次に、該ポリアミック酸の溶液を、好ましくは80〜200℃、特に好ましくは140〜180℃の温度に昇温する。該昇温によって、ポリアミック酸の酸アミドが脱水閉環反応して、ポリイミドシリコーン樹脂の溶液が得られる。該溶液を、溶剤、例えば水、メタノール、エタノール又はアセトニトリル中に投入すると、沈殿物が生じる。該生じた沈殿物を乾燥して、ポリイミドシリコーン樹脂が得られる。
電気的絶縁性の熱伝導性フィラーは、例えば、金属酸化物及びセラミックス粉体である。該金属粉体は、例えば、酸化亜鉛粉、アルミナ粉である。セラミックス粉体は、例えば、炭化珪素粉、窒化珪素粉、窒化ホウ素粉、窒化アルミニウム粉である。熱伝導性フィラーは、安定性又はコストの面から適宜選択されうる。
有機溶剤は、(A)成分と相溶性があり、(B)成分の表面状態に影響を与えないことが好ましい。有機溶剤は、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類、アミド類及び芳香族炭化水素類から選択される1又は2以上の組み合わせである。エーテル類は、例えば、テトラヒドロフラン、及びアニソールを含む。ケトン類は、例えば、シクロヘキサノン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、及びアセトフェノンを含む。エステル類は、例えば、酢酸ブチル、安息香酸メチル、及びγ−ブチロラクトンを含む。セロソルブ類は、例えば、ブチルカルビトールアセテート、ブチルセロソルブアセテート、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む。アミド類は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドンを含む。芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレンを含む。有機溶剤は、好ましくは、ケトン類、エステル類、セロソルブ類及びアミド類から選択される。有機溶剤は、特に好ましくは、ブチルカルビトールアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びN−メチル−2−ピロリドンである。これらの溶剤は単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の接着剤の硬化条件は特に限定されるものではないが、80℃以上300℃以下、好ましくは100℃以上200℃以下の範囲である。上記下限未満で硬化した場合には熱硬化に時間がかかりすぎて実用的でない。上記下限未満の低温で硬化するように成分及び組成を選んだ場合には接着剤の保存安定性に問題が起きる可能性がある。また、本発明の熱伝導性接着剤は、従来のポリアミック酸溶液と異なり、硬化のために300℃以上という高温でかつ長時間の加熱を必要としないので、基材の熱劣化を抑制できる。
下記合成例1〜4に示すようにして、4種類のポリイミドシリコーン樹脂を製造した。
撹拌機、温度計及び窒素置換装置を備えたフラスコ内に、4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物88.8g(0.2モル)及びn−メチル−2−ピロリドン500gを仕込んだ。次に、式7で表されるジアミノシロキサン142.2g(0.16モル)、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン16.4g(0.04モル)をn−メチル−2−ピロリドン100gに溶解した溶液を用意した。該溶液を上記フラスコ内に滴下した。滴下の間、反応系の温度を、50℃を越えないように調節した。滴下終了後、室温で10時間さらに撹拌した。次に、該フラスコに水分受容器付き還流冷却器を取り付けた後、キシレン50gを加え、150℃に昇温し、該温度を6時間保持した。その結果、黄褐色の溶液を得た。
撹拌機、温度計及び窒素置換装置を備えたフラスコ内に、4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物88.8g(0.2モル)及びn−メチル−2−ピロリドン500gを仕込んだ。次に、式8で表されるジアミノシロキサン165.3g(0.1モル)、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン41.1g(0.1モル)をn−メチル−2−ピロリドン100gに溶解した溶液を用意した。該溶液を上記フラスコ内に滴下した。滴下の間、反応系の温度を、50℃を越えないように調節した。滴下終了後、室温で10時間さらに撹拌した。次に、該フラスコに水分受容器付き還流冷却器を取り付けた後、キシレン50gを加え、150℃に昇温し、該温度を6時間保持した。その結果、黄褐色の溶液が得られた。
撹拌機、温度計及び窒素置換装置を備えたフラスコ内に、4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物88.8g(0.2モル)及びn−メチル−2−ピロリドン500gを仕込んだ。次に、式9で表されるジアミノシロキサン263.1g(0.08モル)、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン49.3g(0.12モル)をn−メチル−2−ピロリドン100gに溶解した溶液を用意した。該溶液を上記フラスコ内に滴下した。滴下の間、反応系の温度を、50℃を越えないように調節した。滴下終了後、室温で10時間さらに撹拌した。次に、該フラスコに水分受容器付き還流冷却器を取り付けた後、キシレン50gを加え、150℃に昇温し、該温度を6時間保持した。その結果、黄褐色の溶液を得た。
撹拌機、温度計及び窒素置換装置を備えたフラスコ内に、4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物88.8g(0.2モル)及びn−メチル−2−ピロリドン500gを仕込んだ。次に、式(10)で表されるジアミノシロキサン244.8g(0.08モル)、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン49.3g(0.12モル)をn−メチル−2−ピロリドン100gに溶解した溶液を用意した。該溶液を上記フラスコ内に滴下した。滴下の間、反応系の温度を、50℃を越えないように調節した。滴下終了後、室温で10時間さらに撹拌した。次に、該フラスコに水分受容器付き還流冷却器を取り付けた後、キシレン50gを加え、150℃に昇温し、該温度を6時間保持した。その結果、黄褐色の溶液を得た。
下記の原料を用いた。
(A)ポリイミドシリコーン樹脂: 上記合成例1〜4で得られたポリイミドシリコーン樹脂(1)、(2)、(3)、又は(4)を使用した。
(B)電気的絶縁性の熱伝導性フィラー:
(B1)熱伝導性フィラーA:平均粒径10μmのアルミナ (比重 3.98)
(B2)熱伝導性フィラーB:平均粒径1μmのアルミナ (比重 3.98)
(C)有機溶剤: ブチルカルビトールアセテート(BCA)
(D)パーオキシカーボネート: t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート
(A)ポリイミドシリコーン樹脂(1)ないし(4)の夫々、(B)電気的絶縁性の熱伝導性フィラー(B1及びB2)、(C)有機溶剤、及び(D)パーオキシカーボネートを、表1に示す質量割合で、自転公転ミキサーに仕込み、均一になるように攪拌し、そして脱泡して、接着剤を得た。
実施例1〜4、並びに比較例1〜2で得られた接着剤について、粘度、熱伝導率及び接着強度の評価試験を、下記方法に従い行った。また、加熱硬化性一液タイプのシリコーンゴムC(市販品)及D(市販品)について、上記と同じ手順で評価試験を行った(それぞれ、比較例3及び比較例4)。結果を表2に示す。
各接着剤の粘度は、BH型回転粘度計を用いて25℃で測定する。
各接着剤をテフロン(商標)(デュポン社製)板の溝に流し込み、80℃で30分間乾燥し、引き続き、該接着剤を150℃で1時間加熱して、10mmφ×1mmの試験片を作成する。レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(LFA447(NETZSCH社製))を用いて、該試験片の熱拡散率及び比熱容量を測定し、熱伝導率を求める。
各接着剤を銅板(100mm×25mm×1mm)に塗布面積20mm×20mmで塗布し、同じ大きさのもう一つの銅板と貼り合わせる。 該貼り合わせた銅板を80℃で30分間乾燥し、引き続き4MPaの圧力下で150℃、2分間さらに乾燥し、そして150℃で1時間加熱して、試験片を得る。試験片の剪断接着強度を、オートグラフ(STROGRAPH V10−D(東洋精機社製))を使用して5mm/minのスピードで測定する。
また、上記と同じくして得た試験片を80℃/95%RHに240時間曝露し(高温高湿試験)、上記と同じくして剪断接着強度(高温高湿試験後)を測定する。
Claims (5)
- (A)下記式(1)で表される繰り返し単位を有する、重量平均分子量5,000〜150,000のポリイミドシリコーン樹脂 100質量部、
(B)電気的絶縁性の熱伝導性フィラー 100〜10,000質量部、及び
(C)有機溶剤
を含有する熱伝導性接着剤(但し、該熱伝導性接着剤はエポキシ樹脂を含まない)
- R2が、ビニル基、プロペニル基、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、(メタ)アクリロイルオキシエチル基、(メタ)アクリロイルオキシメチル基、及びスチリル基からなる群から選ばれる、請求項1に記載の熱伝導性接着剤。
- (D)パーオキシカーボネート 0.1〜10質量部をさらに含有する、請求項1又は請求項2に記載の熱伝導性接着剤。
- 銅片に対する接着強度が、3Mpa以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導性接着剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の熱伝導性接着剤を硬化して得られた物質により放熱部材あるいは発熱部材に接着された電子素子からなる電子部材。
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