JP5478323B2 - 感熱記録材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は感熱記録材料の製造方法に関し、特に中間調領域の記録画質に優れ、且つ熱応答性に優れた感熱記録材料の製造方法に関するものである。
感熱記録材料は、一般に支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体、ならびに電子受容性化合物とを主成分とする感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物とが瞬時に反応し記録画像が得られるものである。このような感熱記録材料は、比較的簡単な装置で記録が得られ、保守が容易なこと、騒音の発生がないこと等の利点があり、計測記録計、ファクシミリ、プリンター、コンピューターの端末機、ラベル印字機、乗車券、チケットの発券機等広範囲の分野に利用されている。特に近年は、ガス、水道、電気料金等の領収書、金融機関のATMの利用明細書、各種レシート等、財務関係の記録用紙やPOSシステム用の感熱記録ラベルあるいは感熱記録タグ、等にも感熱記録材料が用いられるようになっている。
このように用途が多様化するにつれ、文字情報のみならず、グレースケール画像が印字される機会も増加しており、低濃度から高濃度までいずれの領域においてもドット再現性に優れ、印字欠けの発生しない記録画質に優れた感熱記録材料が要望されている。また記録機器の高速化に伴い熱応答性に優れた感熱記録材料も要望されている。
感熱記録材料の記録画質を向上させる手段として、感熱記録層表面の平滑性を高め、熱ヘッドとの密着性を高める方法が開発されてきている。例えば特許文献1では感熱記録層の表面をベック平滑度で200〜1000秒に表面処理する方法が提案されている。また、支持体と感熱記録層の間に断熱性のある中間層を設け、感熱記録材料の熱応答性を高めることで、記録画質を向上させる方法も提案されてきている。例えば、特許文献2では吸油性顔料を中間層に含有させる方法、特許文献3では微小中空球粒子を中間層に含有させる方法、特許文献4では微小中空を含有し、空隙率が50〜95%の中間層を3〜200μm設ける方法が提案されている。更に、中間層表面の平滑性を高めることで、感熱記録層の塗膜の厚みの均一化を図り、感熱記録層の膜厚ムラに由来する印字濃度ムラを軽減する方法も開発されてきている。例えば特許文献5では特定粘度の中間層用塗液をブレード塗工する方法、特許文献6では中間層に微小中空を含有し、且つ中間層のベック平滑度を2000秒以上とする方法、特許文献7では中間層に中空樹脂粒子を含有し、且つ該中間層を熱カレンダー処理する方法、特許文献8では中間層を2層以上設け、且つ感熱記録層の厚みの標準偏差を一定以下とする方法が提案されている。
このように感熱記録層の平滑性を高め、また断熱性のある中間層を設け、且つその平滑性を高めることで記録画質に向上は見られるものの、その改良効果は未だ不十分であり、中間調領域まで発色濃度が均一な、優れた記録画質を有する感熱記録材料が求められていた。
特公昭52−20142号公報 特開昭59−155097号公報 特開昭59−5093号公報 特開昭63−299973号公報 特開平04−290789号公報 特開平01−30785号公報 特開平06−262857号公報 国際公開第2007/023687号パンフレット
本発明の課題は、特に中間調の記録画質に優れ、且つ熱応答性に優れた感熱記録材料が得られる、感熱記録材料の製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の発明により上記課題を解決できることを見出した。
1)支持体上に鞴形状を有する中空樹脂を含有する中間層及び熱により発色する感熱記録層を順次積層し、且つパーカプリントサーフにて測定される発色面側の平滑度が1.0μm以下である感熱記録材料の製造方法であって、熱膨張性樹脂粒子を含有する塗布液を支持体上に塗布し、熱膨張性樹脂粒子の膨張開始温度よりも低い温度で一旦乾燥した後、加熱及び成型処理を同時に行うこと、あるいは一旦乾燥した後に加熱処理し、該加熱処理後に紙面温度を中空樹脂の殻のガラス転移温度以上に維持したままで加圧成型処理を行うことで中間層を形成し、該中間層上に熱により発色する感熱記録成分を塗布する、感熱記録材料の製造方法。
2)上記支持体がソフトカレンダー処理を施した密度0.9〜1.1g/cm、坪量30〜100g/mの紙であることを特徴とする上記1記載の感熱記録材料の製造方法
本発明によって、特に中間調の記録画質に優れ、且つ熱応答性に優れた感熱記録材料が得られる、感熱記録材料の製造方法を提供することができる。
鞴形状を有する中空樹脂を含有する中間層を設けた感熱記録材料の断面図 非膨潤性中空樹脂粒子を含有する中間層を設けた感熱記録材料の断面図
以下、本発明の内容を更に具体的に説明する。本発明の感熱記録材料は、中間層に鞴形状を有する中空樹脂を少なくとも含有し、且つパーカプリントサーフにて測定される発色面側の平滑度が1.0μm以下であることを特徴とする。
良好な記録画質を得るためにはプラテン圧力下において熱ヘッドと感熱記録材料の発色面、即ち感熱記録層、もしくは感熱記録層上に設けた保護層とが均一に密着していることが重要である。しかし、支持体が密度分布にムラを有する場合、支持体から感熱記録層側に伝わるプラテン圧力にもムラが生じ、熱ヘッドとの密着性が不均一となり、ドット毎の記録濃度にムラが発生する。特に印字エネルギーの低い中間調領域ではこの濃度ムラの一部は未発色部、即ち印字欠けとなり記録画質を著しく低下させる。塗工層の平滑性を高め、感熱記録層の厚みの均一化を図っても、塗工層に伝わる圧力が不均一であれば、発色濃度が均一な良好な記録画質を得ることは困難である。即ち、良好な記録画質のためには、加圧力の低いベック平滑度計や、触針式表面粗さ計により測定される平滑性、表面粗さではなく、高圧力下においてヘッドと接触する発色面が高平滑となり、ヘッドと均一に密着することが要求される。パーカプリントサーフにて測定される平滑性は高圧力下における測定ヘッドと測定面との密着性を示すものであり、発色面側のこの値を1.0μm以下とすることで、感熱印字の際の熱ヘッドと感熱記録材料の発色面とが良好に密着し、良好な記録画質を得ることが可能となる。より好ましくは0.8μm以下、更には0.7μm以下である。この値が1.0μmを超えると熱ヘッドと感熱記録材料の発色面との密着性が低下し、特に印字エネルギーの低い中間調域では印字欠けが発生し記録画質が低下する。
以下、パーカプリントサーフにて測定される平滑度をPPS平滑性と表記する。本発明で示すPPS平滑性は、ハードタイプのバッキングを用い、クランプ圧2000kPaにて測定される値である。
本発明に係る鞴形状を有する中空樹脂を含有する中間層を設けた感熱記録材料の断面図の一例を図1に示した。本断面図は本発明の感熱記録材料をイオンミリングにより断面処理した後、走査型電子顕微鏡にて、倍率1200倍にて撮影した反射電子像である。ここで言う鞴形状とは、図1に示されるように、中空樹脂が中間層内で支持体側を床面、感熱記録層側を天面とするように柱状構造をとり、この床面、及び天面は互いにほぼ平行に位置し、且つ柱の側面が蛇腹状の襞を複数段有するものである。この側面の蛇腹構造と内部の広い空隙により、本中空樹脂は加圧下に置いて、支持体に対して垂直方向に容易に伸縮し、このため本中空樹脂を含有する中間層は支持体の密度ムラ由来の圧力ムラを緩和し、感熱記録層に均一な圧力を伝えることが可能である。また本中間層は、この中空樹脂の高い伸縮性及び中空構造に由来する高い弾力性を有するため、効率的にヘッドと感熱記録材料との発色面とを密着させる。更に、その中空構造から本中間層は高い断熱効果も有している。以上のように、本発明の中間層により、高加圧下においてヘッドと感熱記録材料の発色面とが均一、且つ良好に密着することで高いPPS平滑性が得られ、感熱印字の際、中間調においても印字欠けのない、記録濃度の均一な、且つ熱応答性に優れた感熱記録材料が得られる。
中間層に含有される中空樹脂の形状は感熱記録材料の断面を走査型電子顕微鏡、あるいは光学顕微鏡等により1000〜3000倍の倍率にて観察することで確認できる。本発明において鞴形状は、中空樹脂の床面から天面までの長さの平均値に対し、側面の襞の深さの平均値、即ち交互に位置する襞の、支持面に対し平行方向における頂点間距離の1/2の長さの平均値が、1/15以上であることが好ましい。各々の長さは感熱記録材料断面図の任意の5箇所を測定し、その平均値として算出する。断面処理法は任意により選択されるが、ミクロトーム処理、イオンミリング処理等が挙げられる。特に処理時に断面のつぶれが起こりにくいイオンミリング処理が好ましい。
本発明に係る鞴形状を有する中空樹脂を含有する中間層の形成方法は特に限定しないが、例えば熱膨張性樹脂粒子を含有する塗布液を支持体上に塗布し、その後加熱成型処理を施すことにより得ることができる。鞴形状形成を容易とするため、該塗布液を塗布した後、熱膨張性樹脂粒子の膨張開始温度よりも低い温度で一旦乾燥した後、加熱成型処理を施すことがより好ましい。
この場合、用いる熱膨張性樹脂粒子としては、平均粒子径が好ましくは3〜25μm、より好ましくは5〜20μmであり、加熱により体積が30〜70倍に膨張し、中空率が80%以上となるものが好ましく用いられる。平均粒子径を3μm以上とすることで加熱後十分な体積及び表面積が得られ鞴形状を形成しやすくなる。また加熱後粒子内に十分な空隙が生じ、断熱効果も得やすくなる。また平均粒子径を25μm以下とすることで加熱成型後の中間層の平滑性が得やすくなる。ここで言う平均粒子径とは動的光散乱法により測定される。また加熱後の中空率を80%以上とすることで加熱後粒子内に十分な空隙が生じ、断熱効果が得やすくなる。また殻が薄膜化しやすくなり、鞴形状形成が容易になる。ここで言う中空率とは、中空樹脂の中空部の体積を、中空粒子の体積で除した値である。
熱膨張性樹脂粒子の膨張開始温度は80〜130℃の範囲であるのが好ましい。膨張開始温度が80℃以上の場合、殻の耐熱性が良好となり、本発明の感熱記録材料を長期間保存する場合においても鞴形状の維持が容易となる。また膨張開始温度を130℃以下とすることで、各種加熱成型処理における鞴形状形成が容易となる。
本発明において、熱膨張性樹脂粒子を含有する中間層の塗工量は、2〜30g/mとすることが好ましい。これにより加熱成型処理後に支持体が十分に被覆され、且つ中間層の平滑性が得やすくなる。また熱膨張性樹脂粒子の含有量は中間層の総固形量に対し20質量%以上とすることが好ましく、更に60質量%以上とすることがより好ましい。
熱膨張性樹脂粒子の加熱成型処理法は任意により選択されるが、例えば、スキャッフドライヤー、IRドライヤー、シリンダードライヤー等による加熱処理後にスーパーカレンダー、熱カレンダー等にて加圧成型を行う、もしくはヤンキードライヤー、熱カレンダー、熱プレス等にて加熱及び成型処理を同時に行う、等を挙げることができる。粒子を十分に膨張させるため、膨張開始温度より10〜100℃程度高温で、1秒以上加熱処理を行うことが好ましい。また、加熱処理後に加圧成型処理を行う場合は、紙面温度を中空樹脂の殻のガラス転移温度以上に維持したままで加圧成型処理を行うことが、鞴形状の形成が容易となり、更にニップ解放後も鞴形状が維持されやすく好ましい。また加熱及び成型処理を同時に行う場合は、粒子の十分な膨張と成型のため、例えば熱カレンダーならば2ニップ以上であるのが好ましい。
具体的な熱膨張性樹脂粒子の例としては積水化学のアドバンセル、日本フィライトのエクスパンセル、松本油脂製薬のマツモトマイクロスフェアー、クレハのクレハマイクロスフェアー等が市販されており入手可能である。
本発明の感熱記録材料が有する支持体としては、透明、半透明、及び不透明のいずれであってもよく、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、セラミック紙、ガラス板など、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができる。特に本発明に係る支持体としてソフトカレンダー処理を施した密度0.9〜1.1g/cm、坪量30〜100g/mの紙を用いることで、本発明の特徴である高い記録画質を更に高めることができる。
支持体にソフトカレンダー処理を施すことにより、支持体表面の凹凸が抑制され、中間層による被覆性が向上し、本発明の中間層の形成が容易となる。更に、支持体を高密度化し、且つ坪量を一定以下の値とすることで、本発明の中間層形成のための加圧成型処理を行う場合に、支持体が加圧により圧縮されがたくなり、その分十分な圧力が中間層へと伝わることで本発明の鞴形状の中空樹脂を含有する中間層の形成が容易となる。また支持体の高密度化により、支持体内部の密度ムラの発生も抑制される。この結果ソフトカレンダー処理を施した密度0.9〜1.1g/cm、坪量30〜100g/mの紙を用いることにより、中間調の記録画質にとりわけ優れた感熱記録材料が得られる。
上記ソフトカレンダー処理は支持体のサイズプレスの前に行ってもサイズプレス後の乾燥工程の後に行ってもよい。特に加熱された金属ロールと弾性ロールからなるソフトカレンダーを用いることで支持体の剛度等の必要な特性を損なうことなく、効率的に支持体表面の凹凸を抑制することができる。この際ソフトカレンダーの線圧は1500〜2500N/cm程度、処理温度は80〜250℃程度であるのが所望の特性が得られやすく好ましい。また、カレンダー処理後のベック平滑度が150秒以上であることが、中間層塗布時の被覆性を向上させるために好ましい。
本発明の中間層には発明の効果を損ねない範囲で、必要に応じて各種無機顔料、有機顔料、及び有機無機複合顔料を含有することができる。顔料としては、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ、メラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル等の通常塗工紙等に使用される顔料が挙げられ、これらを単独または2種以上併用して使用できる。また有機球状粒子、有機中空粒子なども使用可能である。これら無機及び有機顔料の含有量は熱膨張性樹脂粒子に対して0〜30質量%の範囲であるのが本発明の効果を損ねることなく好ましい。
中間層にはバインダーとして、通常の塗工で用いられる種々の水溶性高分子化合物、または水分散性樹脂を用いることができる。その具体例としては、例えば澱粉類、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、ポリアクリル酸のアルカリ塩、ポリマレイン酸のアルカリ塩、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性樹脂、及びスチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン等の水分散性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダーは単独、もしくは2種以上混合して用いることができる。バインダーの使用量は熱膨張性樹脂粒子に対して10〜400質量%とすることが好ましい。
また、中間層の塗液中には、本発明の効果を損ねない範囲において、他の添加剤、例えば、顔料分散剤、蛍光染料、着色染顔料、紫外線吸収剤、導電性物質、滑剤、耐水化剤、消泡剤、腐敗防止剤等などを含有することができる。
中間層の塗工方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の技術に従って塗工することができる。具体的な例としては、エアナイフ塗工、ロッドブレード塗工、バー塗工、ブレード塗工、グラビア塗工、カーテン塗工、Eバー塗工などが挙げられる。
本発明における熱により発色する感熱記録層については、熱により発色する感熱記録成分を中間層上に塗布することにより得られるものである。感熱記録成分は特に限定されるものではなく、感熱ヘッドによる印加エネルギーで呈色反応を生じるような組み合わせならいずれも使用可能である。例えば、無色あるいは淡色の電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組み合わせ、芳香族イソシアナート化合物とイミノ化合物の組み合わせ、無色あるいは淡色の電子供与性染料前駆体とイソシアナート化合物の組み合わせ、金属化合物と配位化合物の組み合わせ、ジアゾニウム塩とカプラーの組み合わせなどが挙げられる。発色濃度、発色しやすさ、発色の制御のしやすさなどの点で、通常無色あるいは淡色の電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組み合わせ、芳香族イソシアナート化合物とイミノ化合物の組み合わせ、通常無色あるいは淡色の電子供与性染料前駆体とイソシアナート化合物の組み合わせが好ましく用いられる。
本発明の感熱記録材料を構成する感熱記録層に用いられる染料前駆体としては、一般に感圧記録材料、または感熱記録材料に用いられているものに代表されるが、これらに制限されることはない。
具体的な例を挙げれば、次のとおりである。
(1)トリアリールメタン系化合物:3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドなど、
(2)ジフェニルメタン系化合物:4,4−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなど、
(3)キサンテン系化合物:ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェノキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなど、
(4)チアジン系化合物:ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなど、
(5)スピロ系化合物:3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピランなどを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、また必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。
電子受容性化合物としては、例えば粘土物質、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリルチオ尿素誘導体、N−スルホニル尿素などの尿素誘導体、またはそれらの金属塩などが使用される。具体的な例としては、酸性白土、活性白土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン等の粘土物質、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−プロポキシジフェニルスルホン、3−フェニルスルホニル−4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス[4−(4−トルエンスルホニル)アミノカルボニルアミノフェニル]メタン、N−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジアリル−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、N−p−トルエンスルホニル−N′−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)アニリン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4′−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸クロロベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、ノボラックフェノール樹脂、変性テルペンフェノール樹脂、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−t−ノニルサリチル酸、3,5−ジドデシルサリチル酸、3−メチル−5−t−ドデシルサリチル酸、5−シクロヘキシルサリチル酸、3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−メチル−5−(α−メチルベンジル)サリチル酸、4−n−オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸等、及びこれらの亜鉛、ニッケル、アルミニウム、カルシウム等の金属塩等が挙げることができるが、これに限定されるものではなく、必要に応じて2種類以上併用して使用することもできる。
芳香族イソシアナート化合物は、常温で固体の無色または淡色の芳香族イソシアナート化合物、あるいは複素環イソシアナート化合物であり、具体的には、2,6−ジクロロフェニルイソシアナート、p−クロロフェニルイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシアナート、1,4−ジメチルベンゼン−2,5−ジイソシアナート、1−エトキシベンゼン−2,4−ジイソシアナート、2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジエトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジブトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、アゾベンゼン−4,4′−ジイソシアナート、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアナート、ナフタリン−1,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,5−ジイソシアナート、ナフタリン−2,6−ジイソシアナート、ナフタリン−2,7−ジイソシアナート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアナート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアナート、ジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアナート、ベンゾフェノン−3,3′−ジイソシアナート、フルオレン−2,7−ジイソシアナート、アンスラキノン−2,6−ジイソシアナート、9−エチルカルバゾール−3,6−ジイソシアナート、ピレン−3,8−ジイソシアナート、ナフタレン−1,3,7−トリイソシアナート、ビフェニル−2,4,4′−トリイソシアナート、4,4′,4′′−トリイソシアナート−2,5−ジメトキシトリフェニルアミン、p−ジメチルアミノフェニルイソシアナート、トリス(4−フェニルイソシアナート)チオフォスフェートなどの物質が挙げられるが、本発明に係る芳香族イソシアナート化合物は、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
これらの芳香族イソシアナート化合物は、必要に応じて、フェノール類、ラクタム類、オキシム類などとの付加化合物である、所謂ブロックイソシアナートの形で用いてもよく、ジイソシアナートの2量体、例えば、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアナートの2量体、及び3量体であるイソシアヌレートの形で用いてもよく、また、各種のポリオールなどで付加したポリイソシアナートとして用いることも可能である。
イミノ化合物とは、常温で固体の無色または淡色の化合物であり、具体的には、3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オン、1,3−ジイミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1,3−ジイミノイソインドリン、1,3−ジイミノベンズ(f)イソインドリン、1,3−ジイミノナフト(2,3−f)イソインドリン、1,3−ジイミノ−5−ニトロイソインドリン、1,3−ジイミノ−5−フェニルイソインドリン、1,3−ジイミノ−5−メトキシイソインドリン、1,3−ジイミノ−5−クロロイソインドリン、5−シアノ−1,3−ジイミノイソインドリン、5−アセトアミド−1,3−ジイミノイソインドリン、1,3−ジイミノ−5−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)−イソインドリン、5−(p−t−ブチルフェノキシ)−1,3−ジイミノイソインドリン、5−(p−クミルフェノキシ)−1,3−ジイミノイソインドリン、5−イソブトキシ−1,3−ジイミノイソインドリン、1,3−ジイミノ−4,7−ジメトキシイソインドリン、4,7−ジエトキシ−1,3−ジイミノイソインドリン、4,5,6,7−テトラブロモ−1,3−ジイミノイソインドリン、4,5,6,7−テトラフルオロ−1,3−ジイミノイソインドリン、4,5,7−トリクロロ−1,3−ジイミノ−6−メチルメルカプトイソインドリン、1−イミノジフェン酸イミド、1−(シアノ−p−ニトロフェニルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノベンゾチアゾリル−(2′)−カルバモイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2′)メチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2′)−メチレン〕−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2′)−メチレン〕−3−イミノ−5−メトキシイソインドリン、1−〔(1′−フェニル−3′−メチル−5−オキソ)−ピラゾリデン−4′〕−3−イミノイソインドリン、3−イミノ−1−スルホ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,7−トリクロロ−6−メチルメルカプト安息香酸イミド、3−イミノ−2−メチル−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オンなどの物質が挙げられるが、本発明に係るイミノ化合物は、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
本発明の感熱記録材料を構成する感熱記録層は、その熱応答性を向上させるために熱可融性化合物を含有させることもできる。この場合、60℃〜180℃の融点を有するものが好ましく、特に、80℃〜140℃の融点を持つものがより好ましい。
具体的には、ステアリン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、N−ステアリル尿素、ベンジル−2−ナフチルエーテル、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、4−アセチルビフェニル、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、α、α′−ジフェノキシキシレン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4−メチルベンジル)、シュウ酸ビス(4−クロロベンジル)エステル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、ビス(4−アリルオキシフェニル)スルホン、4−アセチルアセトフェノン、アセト酢酸アニリド類、脂肪酸アニリド類、等公知の熱可融性物質が挙げられる。これらの化合物は単独もしくは2種以上併用して使用することもできる。
また、熱可融性化合物の含有量は上記電子受容性化合物に対し質量比で30〜200質量%が好ましい範囲であり、更に好ましい範囲は50〜150質量%である。この範囲とすることで、熱応答性、発色画像の飽和濃度、ならびに地肌の白色度など基本特性も良好な感熱記録材料が得られる。
その他、感熱記録層には、顔料として、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー等の有機顔料を含有することができる。
その他の添加剤としては、加熱印字ヘッドの摩耗防止、またはスティッキング防止などの目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスタードワックスなどのワックス類、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの分散剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、更に界面活性剤、蛍光染料などを必要に応じて含有することができる。
感熱記録層のバインダーとしては、通常の塗工で用いられる種々の水溶性高分子化合物、または水分散性樹脂を用いることができる。その具体例として、中間層に用いられるバインダーの具体例として記述したバインダーが挙げられる。バインダーは単独、もしくは2種以上混合して用いることができる。
感熱記録層の塗工量は、通常染料前駆体の塗工量で0.1〜2.0g/mの範囲が十分な熱応答性を得るために適当であり、更に好ましい範囲は0.15〜1.5g/mである。
本発明の感熱記録材料は、耐水性、耐薬品性、耐可塑剤性の向上、引っ掻き等の擦れによる発色(擦れカブリ)を防止することを目的として、感熱記録層の上に1種、あるいは数種のバインダー、及び/または顔料からなる保護層を1層以上設けることができる。
保護層に用いられるバインダーとしては、通常の塗工に用いられる種々の水溶性高分子化合物、ならびに水分散性樹脂を挙げることができる。その具体例として、中間層に用いられるバインダーの具体例として記述したバインダーが挙げられる。バインダーは単独、もしくは2種以上混合して用いることができる。
本発明の感熱記録材料の感熱記録層上に設ける保護層には、必要な場合はエポキシ基を持つ化合物やジルコニウム塩類などの硬膜剤、架橋剤を含有することもできる。更に、筆記性、ならびに走行性をより向上させるため、顔料などを含有することもできる。
保護層に用いられる顔料として、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカなどの無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダーなどの有機顔料が挙げられるが、これに制限されるものではない。なお、顔料は単独、もしくは2種以上混合して用いることができる。
その他の添加物としては、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止などの目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスタードワックスなどのワックス類を、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの分散剤、更に界面活性剤、蛍光染料などを含有することもできる。
保護層の塗工量は、0.2〜10g/m、好ましくは1〜5g/mの範囲であり、必要に応じて、2層以上の多層構造にすることもできる。
感熱記録層、または保護層の形成方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の技術に従って形成することができる。具体的な例としては、エアナイフ塗工、ロッドブレード塗工、バー塗工、ブレード塗工、グラビア塗工、カーテン塗工、Eバー塗工などの方法により塗工液を塗工し、乾燥により感熱記録層を形成させることができる。
また、平版、凸版、フレキソ、グラビア、スクリーンなどの方式による各種印刷機などによって各層を形成しても良い。
なお、本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて裏面側にも保護層(バリヤー)を設けたり、粘着剤層を設けたり、磁気記録層、インクジェット記録層等の任意の情報記録層を設けたり、あるいは各層の塗布後にスーパーカレンダー掛け等の平滑化処理を施すこともできる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、%及び部はすべて質量基準である。また塗工量は絶乾塗工量である。
実施例1
(1)中間層塗布支持体の作製
熱膨張性樹脂粒子エクスパンセル053−40DU(日本フィライト社、平均粒子径10〜16μm、膨張開始温度96〜103℃、膨張率約50倍)100部を10%ポリビニルアルコール水溶液200部に分散させた後、ソフトカレンダー処理を施していない密度0.8g/cm、坪量120g/mの上質紙に固形分塗工量として10g/mになるように塗布し、その後紙面温度80℃以下を保って乾燥した。更にその後直径500mm、3段型2ニップ式の熱カレンダーにて線圧500N/cm、処理温度150℃、処理速度40m/minにて熱ロールとの接触時間が約1秒となるように加熱成型処理して中間層塗布支持体を得た。
(2)感熱記録層用塗液の作製
<分散液A>
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン30部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液70部に分散し、ビーズミルで体積平均粒子径が0.8μmになるまで粉砕し、分散液Aを調製した。
<分散液B>
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン30部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液70部に分散し、ビーズミルで体積平均粒子径が0.7μmになるまで粉砕し、分散液Bを調製した。
<分散液C>
ベンジル−2−ナフチルエーテル30部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液70部に分散し、ビーズミルで体積平均粒子径が0.8μmになるまで粉砕し、分散液Cを調製した。
上記の分散液を使用して、下記に示す配合で混合し、充分撹拌して感熱記録層用塗液を作製した。
分散液A 100部
分散液B 100部
分散液C 100部
10%ポリビニルアルコール水溶液 200部
30%軽質炭酸カルシウム水分散液 100部
40%ステアリン酸亜鉛水分散液 25部
水 60部
(4)感熱記録材料の作製
(1)において得られ中間層塗布支持体上に感熱記録層用塗液の塗工量が、染料前駆体の塗工量で0.5g/mとなるように塗工した後、カレンダー処理を行って感熱記録材料を作製した。
実施例2
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、熱膨張性樹脂粒子エクスパンセル053−40DUの代わりに熱膨張性樹脂粒子エクスパンセル461−20DU(日本フィライト社、平均粒子径6〜9μm、膨張開始温度100〜106℃、膨張率約35倍)を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
実施例3
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、線圧1000N/cm、処理速度20m/minにて熱ロールとの接触時間が約2秒となるように加熱成型処理を行った以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
実施例4
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、支持体として密度0.8g/cm、坪量50g/mの上質紙を用い、且つ線圧1000N/cm、処理速度20m/minにて熱ロールとの接触時間が約2秒となるように加熱成型処理を行った以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
実施例5
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、支持体として密度1.0g/cm、坪量120g/mの上質紙を用い、且つ線圧1000N/cm、処理速度20m/minにて熱ロールとの接触時間が約2秒となるように加熱成型処理を行った以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
実施例6
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、支持体として密度1.0g/cm、坪量50g/mの上質紙を用い、且つ線圧1000N/cm、処理速度20m/minにて熱ロールとの接触時間が約2秒となるように加熱成型処理を行った以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
実施例7
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、支持体として線圧2000N/cm、処理温度150℃にてソフトカレンダー処理を施した密度0.9g/cm、坪量30g/mの上質紙を用い、且つ線圧1000N/cm、処理速度20m/minにて熱ロールとの接触時間が約2秒となるように加熱成型処理を行った以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
実施例8
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、支持体として線圧2000N/cm、処理温度150℃にてソフトカレンダー処理を施した密度1.1g/cm、坪量100g/mの上質紙を用い、且つ線圧1000N/cm、処理速度20m/minにて熱ロールとの接触時間が約2秒となるように加熱成型処理を行った以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例1
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、熱膨張性樹脂粒子エクスパンセル053−40DUを20部とし、焼成カオリン(ノードカオリン製ノーカル)80部を加えて分散させた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例2
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、乾燥時の紙面温度を130℃として熱膨張性樹脂粒子を膨張させ、その後の熱カレンダー処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例3
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、線圧1000N/cm、処理温度90℃、処理速度20m/minにて熱ロールとの接触時間が約2秒となるように加熱成型処理した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例4
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、熱膨張性樹脂粒子エクスパンセル053−40DUの代わりに非膨張性中空樹脂粒子HP−91(ロームアンドハース社、平均粒子径1.0μm、中空率50%)を用い、乾燥後の熱カレンダー処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例5
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、熱膨張性樹脂粒子エクスパンセル053−40DUの代わりに非膨張性中空樹脂粒子HP−91(ロームアンドハース社、平均粒子径1.0μm、中空率50%)を用い、線圧1000N/cm、処理速度20m/minにて熱ロールとの接触時間が約2秒となるように加熱成型処理を行った以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例6
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、支持体として線圧2000N/cm、処理温度150℃にてソフトカレンダー処理を施した密度1.0g/cm、坪量50g/mの上質紙を用い、熱膨張性樹脂粒子エクスパンセル053−40DUの代わりに非膨張性中空樹脂粒子HP−91(ロームアンドハース社、平均粒子径1.0μm、中空率50%)を用い、線圧1000N/cm、処理速度20m/minにて熱ロールとの接触時間が約2秒となるように加熱成型処理を行った以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例7
実施例1の中間層塗布支持体の作製において、熱膨張性樹脂粒子エクスパンセル053−40DUの代わりに球状稠密粒子V1004(日本ゼオン社、平均粒子径0.3μm)を用い、乾燥後の熱カレンダー処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
以上の実施例1〜8及び比較例1〜7で作製した感熱記録材料について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
[鞴形状確認]
実施例1〜8及び比較例1〜7の感熱記録材料を、イオンミリングにて断面処理し、日立製走査電子顕微鏡S−2300にて1500倍の倍率で観察し、鞴形状の有無の確認を行った。また鞴形状を有する場合は樹脂の床面から天面の長さの平均値に対する襞の深さの平均値を算出した。なお参考として比較例4の、非膨潤性中空樹脂粒子を含有する中間層を設けた感熱記録材料の断面図を図2に示した。
[PPS平滑性試験]
実施例1〜8及び比較例1〜7の感熱記録材料の発色面を米国TESTING MACHINES INC社製パーカプリントサーフ平滑度計にて測定した。
[記録画質試験]
実施例1〜8及び比較例1〜7の感熱記録材料を、大倉電機製ファクシミリ試験機TH−PMDを用いて印字した。ドット密度8ドット/mm、ヘッド抵抗1685Ωのサーマルヘッドを使用し、印可電圧21ボルトで、印加パルス幅0.2msec、0.4msec、及び0.6msecで印字した文字の画質を目視にて評価した。評価基準は以下の指標に従った。
◎:印字欠けがほとんど存在せず、記録濃度が均一である。
○:わずかに印字欠けが見られるものの実使用上問題ない。
△:印字欠けが存在し、記録濃度にバラつきが見られる。
×:印字欠けが多数存在し判読不能である。
[熱応答性試験]
実施例1〜8及び比較例1〜7の感熱記録材料を、大倉電機製ファクシミリ試験機TH−PMDを用いて印字した。ドット密度8ドット/mm、ヘッド抵抗1685Ωのサーマルヘッドを使用し、印可電圧21ボルトで、印加パルス幅0.6msec及び1.0msecでベタ画像を印字した。印字画像をグレタグマクベスRD−19型反射濃度計にて測定した。評価基準は以下の指標に従った。
◎:印字濃度が1.2以上
○:印字濃度が1.0以上1.2未満
△:印字濃度が0.5以上1.0未満
×:印字濃度が0.5未満
表1より明らかなごとく、中間層が鞴形状を有する中空樹脂を含有し、且つPPS平滑性が1.0μm以下である実施例1〜8は、鞴形状の中空樹脂を含有するもののPPS平滑性が1.0μmを超える比較例1、及び鞴形状の中空樹脂を含有せず、且つPPS平滑性が1.0μmを超える比較例2〜7に比べ、中間調の記録画質、及び熱応答性に優れる。特に支持体としてソフトカレンダー処理を施した密度0.9〜1.1g/cm、坪量30〜100g/mの紙を用いた実施例7及び実施例8は実施例1〜6と比較しても低濃度領域での記録画質に優れる。

Claims (2)

  1. 支持体上に鞴形状を有する中空樹脂を含有する中間層及び熱により発色する感熱記録層を順次積層し、且つパーカプリントサーフにて測定される発色面側の平滑度が1.0μm以下である感熱記録材料の製造方法であって、熱膨張性樹脂粒子を含有する塗布液を支持体上に塗布し、熱膨張性樹脂粒子の膨張開始温度よりも低い温度で一旦乾燥した後、加熱及び成型処理を同時に行うこと、あるいは一旦乾燥した後に加熱処理し、該加熱処理後に紙面温度を中空樹脂の殻のガラス転移温度以上に維持したままで加圧成型処理を行うことで中間層を形成し、該中間層上に熱により発色する感熱記録成分を塗布する、感熱記録材料の製造方法。
  2. 前記支持体がソフトカレンダー処理を施した密度0.9〜1.1g/cm、坪量30〜100g/mの紙であることを特徴とする請求項1記載の感熱記録材料の製造方法。
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