JPH1111024A - 多色感熱記録材料の記録方法 - Google Patents

多色感熱記録材料の記録方法

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JPH1111024A
JPH1111024A JP9166064A JP16606497A JPH1111024A JP H1111024 A JPH1111024 A JP H1111024A JP 9166064 A JP9166064 A JP 9166064A JP 16606497 A JP16606497 A JP 16606497A JP H1111024 A JPH1111024 A JP H1111024A
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JP
Japan
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color
dye precursor
heat
recording material
multicolor
Prior art date
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Pending
Application number
JP9166064A
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English (en)
Inventor
Yasuyuki Aoki
康幸 青木
Satoshi Fukui
福井  聡
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 サーマルヘッドからの加熱印加条件の違いに
より、互いに色調の異なる多色に発色し、低温印字の時
には均一な低温発色濃度が得られ、かつ高温印字の時に
は、高温印字部の周囲に低温発色色調の発色の少ない多
色感熱記録材料の記録方法を提供する。 【解決手段】 多色感熱記録材料を用いて画像形成を行
う記録方法において、支持体上に、互いに異なる色調に
発色する2種類以上の染料前駆体と、この染料前駆体と
加熱下に反応してこれを発色させる顕色性化合物とを含
有する感熱発色層を有してなる多色感熱記録材料を発熱
抵抗体が部分グレーズ上に形成されたサーマルヘッドを
用いて多色発色させる記録方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多色感熱記録材料
の記録方法に関する。特に、サーマルヘッドからの加熱
印加条件の違いにより、互いに色調の異なる色に発色す
る多色感熱記録材料の記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、染料前駆体と、この染料前駆体
と、加熱下に接触してこれを呈色させる顕色剤との発色
反応を利用し、加熱により両発色物質を溶融接触させ、
発色画像を得るようにした記録媒体を使用したサーマル
プリンターが広く知られている。このようなサーマルプ
リンターは、その記録媒体が比較的安価であり、記録機
器がコンパクトで、かつその保守も容易であるため、フ
ァクシミリ、ワードプロセッサー、各種計算機、および
その他の用途の記録装置として、幅広い分野において使
用されている。
【0003】感熱記録方式に対し、その用途の拡大に伴
なって要求される品質も多様化しており、例えば、高感
度化、画像安定化、多色記録化等の要望をあげることが
できる。このうち、多色記録には、強調したい文字や図
形を他の部分と異なる色調によって顕著に明確に表示で
きるなどの利点がある。そのなかでも赤と黒の2色記録
可能な2色感熱記録は、汎用性に優れているため実用化
要望が高い。
【0004】多色感熱記録としては、これまでに加熱温
度の差、または熱エネルギーの差を利用する試みがなさ
れ、種々の多色感熱記録材料が提案されている。一般
に、多色感熱記録材料は、支持体上に異なる色調に発色
する高温発色層と低温発色層を順次積層して構成された
ものであって、これらを大別すると消色型と加色型の2
種類に分けられる。
【0005】消色型多色感熱記録材料としては、例え
ば、特開昭50−17865号公報、特開昭57−14
320号公報、および特開平2−80287号公報に開
示されているように、低温発色操作により低温発色層の
みが発色し、高温発色加熱の際には、低温発色層の発色
系に対して消色作用を有する消色剤が作用し、高温発色
層のみの発色を得る方法である。この方法は発色色調を
自由に選べるという長所を有するが、低温発色層に対し
充分な消色効果を得るために多量の消色剤を添加する必
要がある。すると、多量に添加された消色剤の作用によ
り記録発色画像が長期保存中に退色したり、消色剤を溶
融させるための熱量が余分に必要となるため、サーマル
ヘッドに過度の負担がかかるなどの問題があり、記録画
像の信頼性や記録感度などの点に関し、必ずしも満足の
得られるものではなかった。
【0006】これに対して加色型多色感熱記録材料は、
特公昭49−27708号公報、特公昭51−1998
9号公報、および特開昭51−146239号公報など
に記載されているように、異なる色に発色する2層の発
色層を積層し、異なる熱量を与えることにより識別可能
な2色を得る方法である。この方法は、低温では上層の
発色層が発色することで上層の発色色調を得、高温では
上下両発色層が発色し両者の色の混合色調の画像が得ら
れるため、下層発色層を黒色発色系とする場合に適して
いる。加色型記録材料においては消色剤を用いないた
め、消色型と比べると記録画像の長期保存性に優れ、か
つ比較的安価に製造できるという利点がある。また消色
剤を溶融するための余分な熱量を必要としないので消色
型に比べて、低エネルギーで高温発色層を発色させるこ
とができるという長所がある。しかしながらこのような
構成の加色型多色感熱記録材料は、低温発色時にサーマ
ルヘッドから熱量を与え過ぎると高温発色層の発色も一
部混合するために混色が起こり、低温発色画像が鮮明に
なりにくいといった問題があった。また、これを防ぐた
めにサーマルヘッドからの熱量を減少させると部分的に
感熱記録材料に伝達される熱量が不足となり画像中に白
抜けが発生するといった問題があった。
【0007】特公平4−4960号公報、および特開平
4−101885号公報には、それぞれ互いに異なる色
調に発色する発色成分を溶媒に溶解し、それぞれをガラ
ス転移温度の異なる2種以上のマイクロカプセルに含有
させることにより多色化することが記載されている。し
かしながら異なる色調に発色する2種以上の染料前駆体
を別々にマイクロカプセル化すると、両染料前駆体のそ
れぞれの発色感度が低下し、感度区分けが困難となり、
このため発色色調の混合が起こりやすいという問題があ
った。
【0008】感熱記録材料の印字品質には、履歴制御を
含め通電制御の方法、記録媒体とサーマルヘッドとの接
触状態、記録媒体自身の特性が大きく関わっている。特
に、多色感熱記録材料においては、前述のいずれの方式
の多色感熱記録材料を使用するにしても、低温印字の時
に、低温発色色調に、高温発色色調の混ざりを少なく
し、かつ高温印字の時に、高温発色画像の周りに低温発
色色調の発色を少なくするためには、単色発色の感熱記
録材料の記録方法よりさらに精密な通電制御のコントロ
ールが必要となる。また単色発色の感熱記録材料と比べ
て感熱記録時の環境温度によって画像品質が変化しやす
いため安定して優れた画像を得ることが困難であった。
【0009】一方、サーマルプリンターに使用されるサ
ーマルヘッドは、シリアルヘッドとラインヘッドに分類
され、さらにその構造、製造法により薄膜型、厚膜型、
半導体型などがあるが、現在、薄膜型と厚膜型が大多数
を占める。このうち、薄膜型サーマルヘッドの基本構造
は、通常、アルミナ基板上に、熱絶縁性のグレーズ層
(ガラス層)を形成し、その上に発熱体抵抗膜、電極を
スパッタリングし、それをフォトリソ工程で選択エッチ
ングを用いてパターン形成を施し、発熱ドットを作成
し、さらに耐摩耗層を形成することで製造される。薄膜
型サーマルヘッドは、厚膜型サーマルヘッドに比べると
解像度をあげやすく、発熱体の容量も小さく、熱応答性
も良く、こうした点は、多色感熱記録材料の記録に適し
ているが、大きい印加エネルギーをかけると発熱体が破
損しやすいといった問題があった。こうした状況におい
て、サーマルヘッドの発熱体に加えられた電気エネルギ
ーをいかに効率よく、かつ均一に多色感熱記録材料の感
熱発色層に熱エネルギーとして伝達するかが課題となっ
ていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、多色
感熱記録材料を用いて画像形成を行う記録方法におい
て、サーマルヘッドからの加熱印加条件の違いにより、
互いに異なる色調に発色し、低温印字の時には均一な低
温発色濃度が得られ、かつ高温印字の時には、高温印字
部の周囲に低温発色色調の発色の少ない多色感熱記録材
料の記録方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、多色感熱記録
材料を用いて画像形成を行う記録方法において、支持体
上に、互いに異なる色調に発色する2種類以上の染料前
駆体と、この染料前駆体と加熱下に反応してこれを発色
させる顕色性化合物とを含有する感熱発色層を有してな
る多色感熱記録材料を発熱抵抗体が部分グレーズ上に形
成されたサーマルヘッドを用いて多色発色させることを
特徴とする多色感熱記録材料の記録方法に存する。
【0012】本発明は、前記感熱発色層中に、(1)多
価イソシアネート化合物を溶媒とし第1染料前駆体を溶
質とする溶液を水中に乳化分散後、多価イソシアネート
化合物の高分子化反応を促進させることにより得られた
複合微粒子と、(2)前記第1染料前駆体とは異なる色
調に発色する第2染料前駆体からなる固体微粒子とを含
有する多色感熱記録材料を用いて画像形成を行うことを
特徴とする前述の多色感熱記録材料の記録方法に存す
る。
【0013】また、本発明は、前記感熱発色層中に、
(1)多価イソシアネート化合物を含む重合成分および
第1染料前駆体を20℃〜100℃の沸点を有する疎水
性有機溶剤に溶解し、この溶液を水中に乳化分散し、こ
の乳化分散粒子から前記疎水性有機溶剤を20〜55℃
の温度で実質的に揮発除去し、残留乳化分散粒子の前記
重合成分を重合することによって得られた複合微粒子
と、(2)前記第1染料前駆体とは異なる色調に発色す
る第2染料前駆体からなる固体微粒子とを含有する多色
感熱記録材料を用いて画像形成を行うことを特徴とする
前述の多色感熱記録材料の記録方法に存する。
【0014】さらに、本発明は、前記感熱発色層中に、
(1)第1染料前駆体を溶解した有機溶剤を内包したマ
イクロカプセルと、(2)前記第1染料前駆体とは異な
る色調に発色する第2染料前駆体からなる固体微粒子と
を含有する多色感熱記録材料を用いて画像形成を行うこ
とを特徴とする前述の多色感熱記録材料の記録方法に存
する。また本発明は、多色感熱記録材料の記録面の王研
式平滑度を300秒以上としたことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明においては、支持体上に、
互いに異なる色調に発色する2種類以上の染料前駆体
と、この染料前駆体と加熱下に反応してこれを発色させ
る顕色性化合物とを含有する感熱発色層を有してなる多
色感熱記録材料を部分グレーズ上に発熱抵抗体が形成さ
れたサーマルヘッドを用いて多色発色させる。
【0016】サーマルヘッドで感熱記録材料を印字する
場合、発熱抵抗体へ通電することによって生ずるジュー
ル熱を感熱記録材料に効率よく伝達することが必要であ
り、この熱によって感熱発色層は発色する。発熱体に加
える印加エネルギーは、印加電圧が一定ならば通電パル
ス幅を変化させることで、また、通電パルス幅が一定の
ときは印加電圧を変化させることによって、任意に変え
ることができるが、印加エネルギーが大きいと発熱体へ
の負荷が大きくなるためヘッド寿命が短くなるといった
問題がある。特に、多色感熱記録材料においては単色発
色の感熱記録材料とは異なり、印加エネルギーの差を利
用することで低温発色と高温発色を行うために高温発色
色調を得るためには、大きい印加エネルギーをサーマル
ヘッドの発熱体に与えることが必要となる。このため、
ヘッド寿命がさらに短くなってしまい、実用性が乏しく
なるため、できるだけ小さい印加エネルギーで高温発色
させることが課題となる。
【0017】また、多色感熱記録材料においては、感熱
層に与えられた熱量に応じて低温発色色調から高温発色
色調に変化するため均一に感熱層に熱量を与えることが
できないと均一な低温発色色調を得ることができず、発
色していないところが部分的に存在したり(白抜け)あ
るいは低温発色色調に高温発色色調が混ざった発色とな
るといった問題がある。さらには、高温印字の時には、
高温印字部の周囲に低温発色色調が発色するといった問
題がある。
【0018】本発明者らは、こうした課題を解決するた
めに鋭意研究を続けた結果、サーマルヘッドとして部分
グレーズ型を使用することで、多色感熱記録材料の記録
における上記の課題が大幅に改善できることを見出し
た。サーマルヘッドの製造法、構成などについては、例
えば「サーマルヘッド技術集成、1982年、鈴木技術
士事務所編」、「サーマル記録技術、平成2年、トリケ
ップス出版部編」などに記載がある。部分グレーズ型サ
ーマルヘッドは、突起した部分グレーズ上に発熱体があ
るため平面から多少窪んだ所に発熱体がある全面グレー
ズ型サーマルヘッドに比べて発熱体と感熱記録材料の接
触をより圧力の高い状態で行うことができる。このた
め、均一に発熱体を感熱記録材料に接触することができ
る。このことが部分グレーズ型サーマルヘッドの方が、
平面グレーズ型サーマルヘッドより低温発色画像中の未
発色部分(白抜け)を少なくすることができる理由と考
えている。同時に均一な接触により部分的に加圧が強い
所が少なくなり高温発色色調の混ざった低温発色色調も
減少することができる。
【0019】さらには、部分グレーズ型サーマルヘッド
で多色感熱記録材料の高温発色画像を記録すると、全面
グレーズ型サーマルヘッドより、高温印字部の周囲の低
温発色色調が発色する面積を減少することができる。高
温印字部の周囲の低温発色、特に高温発色の最後尾に起
こるテーリングによる発色は、高温印字後も発熱体が感
熱記録材料の低温発色温度より高い温度状態が続くため
に発生する。これを防ぐには高温印字終了後、発熱体を
よりすばやく低温発色温度より低い温度まで冷却するこ
とが必要となる。部分グレーズ型サーマルヘッドは、均
一に高い圧力で記録材料に接触することで発熱体に残っ
た余分な熱が記録材料に伝わりやすく、発熱体がこれに
より冷却されやすい。この冷却効果によりテーリングに
よる不要な高温発色色調の周囲の低温発色色調の発色が
抑制できるものと考えられる。また部分的な突起のある
厚膜ヘッドに比べても、熱応答性の良い薄膜型の部分グ
レーズの方が上記のような画像品質において優れてい
る。これはヘッド表面の温度分布が薄膜型部分グレーズ
の方がよりシャープであるためと推定される。
【0020】ただし、発熱部と記録媒体との密着性はサ
ーマルヘッドの形状のみで定まるところではなく、プラ
テンロールとの圧力によっても左右される。これは、勿
論、プラテン径、プラテンゴム硬度などの条件によって
も異なるが、一般的な条件である、プラテン径20m
m、ゴム硬度45°、B4幅ヘッドの場合、プラテン圧
力は1〜10(kg/ヘッド)が望ましい。1(kg/
ヘッド)以下では発熱部と媒体との接触が弱いため十分
な濃度が得られなく、10(kg/ヘッド)以上ではス
ティッキングなどの走行不良を起こすことがある。
【0021】本発明の多色感熱記録材料の記録方法にお
いて、その記録媒体は、消色型より加色型がより望まし
い。これは、消色型の多色感熱記録材料においては、高
温発色時に消色剤を溶解するために余分に熱量が必要と
なるためサーマルヘッドへの負担が大きくなりヘッド寿
命が短くなりやすいためである。また、例えば高温発色
感熱層、消色剤層、低温発色感熱層を順次積層した構成
においては、高温発色感熱層上に2層積層したために、
高温発色感熱層に伝達される熱量が面方向に拡散され、
面方向の温度分布が広がり高温発色画像の周囲に低温発
色による異なった色調の画像が発生しやすくなってしま
うといった問題がある。
【0022】加色型多色感熱記録材料においても感熱記
録発色層を多層に積層した構成のものより、1層の感熱
発色層中に異なる色調に発色する2種類以上の染料前駆
体を含有する構成のものが望ましい。これは、上述した
積層消色型と同じ理由で高温発色画像の周囲に低温発色
が発生しやすいのに加え、高温発色層、低温発色層を順
次積層した積層加色型多色感熱記録材料は各層に部分的
な塗工量むらがある場合、それが感度むらになり均一な
発色が得られにくいためである。多色感熱記録材料の記
録においては、こうした塗工むらによる感度むらは極力
避けることが重要となる。1層型の多色感熱記録材料
は、発色層自身で感度区分けを行うために部分的な塗工
量むらの影響を受けにくいという点でより望ましい。
【0023】本発明においては、多色感熱記録材料の記
録面の王研式平滑度(JAPANTAPPI 紙パルプ
試験法 No.5)を300秒以上とすることが望まし
い。より望ましくは500秒以上とする。多色感熱記録
材料においては、単色感熱記録材料よりサーマルヘッド
の熱エネルギーをより均一に記録層に伝達することが低
温発色画像の濃度むらを防ぐために重要である。高温発
色画像の周囲の低温発色についても、記録面の高平滑化
によって向上することができる。これは記録終了後にサ
ーマルヘッドと記録面が密着していることが発熱体の冷
却に良い作用を持つためである。
【0024】本発明で使用する多色発色可能な感熱記録
材料においては、互いに異なる色調に発色する2種類以
上の染料前駆体を感熱層に含有させる。特に、染料前駆
体と高分子化合物との複合微粒子、あるいは、染料前駆
体を含有する有機溶剤を内包したマイクロカプセルを使
用することによって1層で多色が実現できる記録材料を
好ましく用いることができる。これらにおいては、多価
イソシアネート化合物を溶媒とし第1染料前駆体を溶質
とする溶液を水中に乳化分散後、多価イソシアネート化
合物の高分子化反応を促進させることにより得られた複
合微粒子と固体微粒子状態の第2染料前駆体とを感熱発
色層中に含有する。あるいは、第1染料前駆体を含有し
た有機溶剤を内包したマイクロカプセルと固体微粒子状
態の第2染料前駆体とを感熱発色層中に含有する。
【0025】より好ましくは、染料前駆体からなる固体
微粒子と、染料前駆体と高分子化合物との複合微粒子と
の組み合わせによる多色化である。これは、マイクロカ
プセルを感熱発色層で使用した場合、スーパーカレンダ
ーなどによる平滑処理でマイクロカプセルが破壊し、染
料によって地肌が発色すること(圧力かぶり)があるこ
と、また、高温高湿での保存中にマイクロカプセルから
有機溶剤が染み出して発色部を退色させる怖れがあるこ
とによる。
【0026】複合微粒子は、ポリウレアまたは、ポリウ
レタン−ポリウレアより選ばれた少なくとも1種の高分
子物質(樹脂)からなる母材と、その中に含有されてい
る染料前駆体からなるものであって、染料前駆体と高分
子物質が固溶体状態で存在していると考えられる。
【0027】この複合微粒子中に含有させた染料前駆体
の発色体は、固体微粒子状態で発色させた発色体に比べ
てきわめて良好な保存性、特に油や可塑剤に対する耐性
の優れたものとなる。その理由については必ずしも明確
ではないが、発色体と高分子物質(母材)がなんらかの
相互作用を有し、安定化しているものと思われる。
【0028】複合微粒子の外観は、電子顕微鏡で観察す
るとほぼ球状をしているか、または多少なりともくぼん
だ赤血球状である。電子顕微鏡による断面観察では、そ
の形状は、内実体であるか多孔質体であるか、または、
中空の厚薄体である。多色感熱記録材料に応用する場合
はその平均粒子径は、0.4μm〜5.0μmとするこ
とが望ましい。平均粒子径が0.4μmより小さいと、
混在させる異なる発色色調を有する固体微粒子状態の染
料前駆体との発色感度の区分けが難しくなり、低温発色
時に混色が起こることがある。平均粒子径が5.0μm
より大きいと発色感度が低下するため過大にサーマルヘ
ッドにエネルギーをかけることが必要となり好ましくな
い。
【0029】本発明で使用することのできる複合微粒子
の製造においては、まず、染料前駆体を高分子形成性原
料である多価イソシアネート化合物に溶解した溶液を作
成する。このときの溶解温度は、60℃以上が好まし
い。60℃より溶解温度が低いと染料前駆体の多価イソ
シアネート化合物に対する溶解が不十分となり、均一な
複合微粒子を製造できないことがある。本発明において
は、必要に応じて高分子形成性原料として多価イソシア
ネート化合物だけでなく、ポリオール化合物、ポリアミ
ン化合物を添加することもできる。
【0030】本発明では、この溶液を必要に応じて冷却
した後、ポリビニルアルコール等の保護コロイド物質を
溶解含有している水性媒体中に乳化分散する。界面活性
剤を使用することももちろんかまわない。乳化分散時の
温度は、特に限定されるものではないが、イソシアネー
トと水が急激に反応しない温度に設定することが望まし
い。乳化分散に用いられる機器としては、攪拌機(ミキ
サー)、ホモミキサー、ディスパーなどの高速回転攪拌
機、あるいは超音波、振動、高圧力、静電場などを利用
した均質機器(ホモジナイザー)、強制間隔通過型のコ
ロイドミル、ロールミル、ローラーミル、媒体攪拌型分
散機であるサンドミル、サンドグラインダー、アトライ
ター、ボールミルなどを挙げることができる。さらに
は、多孔質ガラスなどを用いた膜乳化方法などを含め
た、通常の微粒子乳化に用いられる手段のいずれかの方
法を使用して、乳化分散物を得ることができる。
【0031】乳化分散の後、必要により水溶性ポリアミ
ン等の反応性物質を添加して、高分子形成性原料を重合
させ、染料前駆体とポリウレアまたはポリウレタン−ポ
リウレアよりなる複合微粒子を形成する。
【0032】本発明で使用することのできる染料前駆体
を含有した有機溶剤を内包するマイクロカプセルは、各
種公知の方法で調製することができる。一般には、染料
前駆体を含有した有機溶剤を水性媒体中に乳化分散し、
油性液滴の周りに高分子物質からなる壁膜を形成する方
法によって調製される。本発明で使用するマイクロカプ
セルの外観は、電子顕微鏡で観察するとほぼ球状をして
いる。電子顕微鏡による断面観察では、その形状は、サ
ンプル作製時に有機溶剤が除去されるため、中空の薄膜
体である。その平均粒子径は、0.8μm〜7.0μm
とすることが感度区分の観点から望ましい。
【0033】本発明におけるマイクロカプセルの壁材と
しては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポ
リカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミ
ン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリスチレン、スチレンメ
タクリレート共重合体、ゼラチン、ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルアルコールなど従来より公知のマイクロ
カプセル壁材が挙げられる。また、これらの高分子のう
ち2種類以上を併用することもできる。特にこれらのう
ちでも、ポリウレタンおよび/またはポリウレアを壁材
としたマイクロカプセルが好ましく用いられる。
【0034】ポリウレタン、ポリウレア樹脂からなる壁
膜を有するマイクロカプセルは、イソシアネート化合物
のみ、又は多価イソシアネート及びこれと反応するポリ
オール、或いは多価イソシアネートとポリオールとの付
加物等のカプセル壁膜材をカプセル化すべき芯物質中に
混合し、ポリビニルアルコール等の保護コロイド物質を
溶解した水性媒体中に乳化分散し、液温を上昇させて油
滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造する
ことができる。乳化分散は、前述の微粒子乳化に用いら
れる手段のいずれかの方法を使用して、行うことができ
る。
【0035】本発明で使用することのできる染料前駆体
を含有する有機溶剤を内包するマイクロカプセルとは、
染料前駆体を溶解した有機溶剤が液体部分として芯物質
となっており、カプセル壁材によって保護されているも
のであり、染料前駆体が高分子と固溶体状態で存在して
いると考えられる染料前駆体を含有する複合微粒子と
は、その存在状態、形状、機能は異なる。また、複合微
粒子とマイクロカプセルは併用して使用することもでき
る。
【0036】本発明で使用することができる染料前駆体
とは、トリアリール系、ジフェニルメタン系、チアジン
系、スピロ系、ラクタム系、フルオラン系などのロイコ
体が好ましく使用できる。こうした染料前駆体は、顕色
剤との接触において、それぞれ固有の発色色調を与える
もので、その発色色調は、黒、赤、赤紫、オレンジ、
青、緑、黄色と多岐にわたっている。
【0037】本発明において多色発色可能な感熱記録材
料を得ようとする場合、例えば発色色調が黒色である第
1染料前駆体を含有する複合微粒子あるいはマイクロカ
プセルと、黒色とは異なる色調に発色する第2染料前駆
体からなる固体微粒子を同一感熱発色層中に含有する。
低温発色色調は固体微粒子状態で存在する第2染料前駆
体の発色色調であり、高温発色色調は、複合微粒子ある
いはマイクロカプセル中に存在する第1染料前駆体と第
2染料前駆体の混色色調となる。第2染料前駆体を黒色
とすることで、第1染料前駆体の発色による混色が起こ
っても、高温発色色調を黒色とすることができる。複合
微粒子あるいはマイクロカプセル中に含有させる発色性
染料前駆体は、単一化合物で黒色発色性であっても良い
し、2種あるいは3種以上の異なる色調の発色性染料前
駆体を混合することで黒色発色性としても良い。
【0038】高温発色色調をより純黒に近い色調とする
ために、低温発色の色調とは異なる色調を有する染料前
駆体、より望ましくは補色の関係にある染料前駆体を黒
色発色性の染料前駆体とともに複合微粒子あるいはマイ
クロカプセルに含有することは、望ましい。低温発色色
調を赤色とする場合は、青または、緑系に発色する染料
前駆体を複合微粒子あるいはマイクロカプセル中に黒色
発色性染料前駆体とともに含有させる。近赤外領域に吸
収がある染料前駆体を含有させ、バーコード読み取り適
性、OCR適性を向上させることもできる。
【0039】本発明で使用することができる染料前駆体
としては、黒色発色を与える染料前駆体として、3−ピ
ロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−
ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリ
ノ)フルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルア
ミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−
(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−ア
ニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラ
ヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノ
フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−ア
ニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メ
チル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−アミルア
ミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N
−イソアミル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−
アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エ
チルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミ
ノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N
−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ)−6
−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミ
ノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−
n−ブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオ
ラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノ
フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−
(2,6−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチ
ルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリ
ノ)フルオラン、2,4−ジメチル−6−(4−ジメチ
ルアミノアニリノ)フルオラン、および3−(N−シク
ロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−ア
ニリノフルオラン等をあげることができる。
【0040】本発明においては、前記黒色発色を与える
染料前駆体の中でも、耐光性の比較的優れている3−ジ
−n−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオ
ラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,6
−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ
−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フル
オラン、2,4−ジメチル−6−(4−ジメチルアミノ
アニリノ)フルオランから選ばれる少なくとも1種であ
ることが好ましい。
【0041】本発明において使用できる赤色系に発色す
る染料前駆体としては、3,6−ビス(ジエチルアミ
ノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3,6−ビス
(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(p−ニトロ)ア
ニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フル
オラン−γ−(o−クロロ)アニリノラクタム、3−ジ
メチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルア
ミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフル
オラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエ
チルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミ
ノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−
6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6
−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ
−7−tert−ブチルフルオラン、3−(N−エチル
−N−トリルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−
(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−エチルフルオ
ラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6
−メチル−7−クロロフルオラン、および3−(N−エ
チル−N−イソアミルアミノ)−7,8−ベンゾフルオ
ランなどをあげることができる。
【0042】さらに赤色系の発色を与える染料前駆体と
して、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラ
ン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−ブロ
モフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7,8−ベ
ンゾフルオラン、3−トリルアミノ−7−メチルフルオ
ラン、3−トリルアミノ−7−エチルフルオラン、2−
(N−アセチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−
ブチルアミノフルオラン、2−(N−プロピオニルアニ
リノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオ
ラン、2−(N−ベンゾイルアニリノ)−3−メチル−
6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−カル
ボブトキシアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチ
ルアミノフルオラン、2−(N−ホルミルアニリノ)−
3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2
−(N−ベンジルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n
−ブチルアミノフルオラン、2−(N−アリルアニリ
ノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラ
ン、および2−(N−メチルアニリノ)−3−メチル−
6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−7−フェノキシフルオラン、3−(N−エチル−
N−イソアミルアミノ)−7−フェノキシフルオランを
あげることができる。
【0043】さらには、3,3′−ビス(1−n−ブチ
ル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,
3′−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−
イル)フタリド、3,3′−ビス(1−n−オクチル−
2−メチルインドール−3−イル)フタリド、7−(N
−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−
フェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3
−c〕ピラゾール)−4,3′−フタリド〕、7−(N
−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−
p−メチルフェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメ
ノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3′−フタリ
ド〕、および7−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミ
ノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ〔(1,4−ジ
ヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3′
−フタリド〕などを赤色染料前駆体としてあげることが
できる。
【0044】青色発色を与える染料前駆体としては、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジ
メチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2
−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニ
ル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル
−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエ
チルアミノフェニル)フタリド、3−(1−エチル−2
−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−
4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3
−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−
4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルイン
ドール−3−イル)−3−(2−n−ヘキシルオキシ−
4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、お
よび3−ジフェニルアミノ−6−ジフェニルアミノフル
オランなどをあげることができる。
【0045】緑色発色を与える染料前駆体としては、3
−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニ
リノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジル
アミノフルオラン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ
−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−
(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−(N−フ
ェニル−N−メチルアミノ)フルオラン、3−〔p−
(p−アニリノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7
−クロロフルオラン、および3,6−ビス(ジメチルア
ミノ)フルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチ
ルアミノ)フタリドなどをあげることができる。
【0046】黄色系統の発色を与える染料前駆体として
は、3,6−ジメトキシフルオラン、および1−(4−
n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−
(2−キノリル)エチレンなどがある。
【0047】イソシアネートは、水と反応することによ
りウレア結合を形成し、高分子化する。また、ポリオー
ル化合物はイソシアネートと反応し、ウレタン結合を形
成する。本発明で使用できる多価イソシアネート化合物
としては、多価イソシアネート化合物のポリオール付加
物、ビウレット体、イソシアヌレート体等の多量体であ
ってもよい。
【0048】多価イソシアネート化合物としては例え
ば、ノルボルネンジイソシアネート、m−フェニレンジ
イソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレン
ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネ
ート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、ジシ
クロヘキシルメタン−4、4′−ジイソシアネート、5
−イソシアネート−1−(イソシアネートメチル)−
1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、3,3′−ジ
メチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネー
ト、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4′
−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−
1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2
−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイ
ソシアネート等のジイソシアネート類をあげることがで
きる。
【0049】さらには、4,4′,4″−トリフェニル
メタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−ト
リイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4′
−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テ
トライソシアネート等のテトライソシアネート類、など
がある。多価イソシアネートとポリオールとの付加物と
しては、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのトリ
メチロールプロパン付加物、2,4−トリレンジイソシ
アネートのトリメチロールプロパン付加物、キシリレン
ジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ト
リレンジイソシアネートのヘキサントリオール付加物等
のイソシアネートプレポリマーを用いることができる。
他に、これら多価イソシアネート化合物、例えばヘキサ
メチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチ
レンジイソシアネートのイソシアヌレート体なども用い
ることができる。
【0050】高分子形成性原料に用いられるポリオール
化合物としては、例えばエチレングリコール、1,3−
プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7
−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、プロ
ピレングリコール、2,3−ジヒドロキシブタン、1,
2−ジヒドロキシブタン、1,3−ジヒドロキシブタ
ン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、
2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシシクロヘキ
サン、ジエチレングリコール、1,2,6−トリヒドロ
キシヘキサン、フェニルエチレングリコール、1,1,
1−トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペ
ンタエリスリトール、グリセリン等の脂肪族ポリオー
ル、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の
芳香族多価アルコールとアルキレンオキサイドとの縮合
生成物、p−キシリレングリコール、m−キシリレング
リコール、α,α′−ジヒドロキシ−p−ジイソプロピ
ルベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタ
ン、2−(p,p′−ジヒドロキシジフェニルメチル)
ベンジルアルコール、4,4′−イソプロピリデンジフ
ェノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4′−イソプロピリデンジフェノールのエチレンオ
キサイド付加物、4,4′−イソプロピリデンジフェノ
ールのプロピレンオキサイド付加物、2−ヒドロキシア
クリレートのような分子内にヒドロキシル基のあるアク
リレート等が挙げられる。
【0051】もちろん、多価イソシアネート化合物、及
びポリオール化合物などは、上記化合物に限定されるも
のではなく、また、必要に応じて数種類の化合物を併用
してもよい。
【0052】また本発明において他に高分子形成性原料
として用いることができるポリアミン化合物としては、
例えばエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テト
ラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェ
ニレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、
2,5−ジメチルピペラジン、2−ヒドロキシトリメチ
レンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレント
リアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプ
ロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、エポキシ化
合物のアミン付加物等が挙げられる。また本発明の目的
を損なわない範囲で、他の高分子物質を含有させること
もできる。
【0053】本発明では発色感度をあげる目的で複合微
粒子作成時の溶質として、染料前駆体の他に融点が40
℃以上150℃以下であり、かつ沸点150℃以上の有
機化合物を併用することができる。本発明で用いること
ができる融点が40℃以上150℃以下であり、かつ沸
点150℃以上の有機化合物としては、芳香族ケトン化
合物、芳香族エーテル化合物、芳香族環状エステル化合
物、フェノール化合物が好ましく使用できる。その具体
例を下記に示す。
【0054】芳香族ケトン化合物としては、ベンゾフェ
ノン、芳香族エーテル化合物としては、1,2−ジ(m
−トリルオキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタ
ン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(2−メチ
ルフェノキシ)エタン、芳香族環状エステル化合物とし
ては、クマリン、フタリドなどがある。フェノール化合
物としては、p−ベンジルオキシフェノールなどがあ
る。これらの有機化合物は単独で使用してもかまわない
が、2種以上併用することも可能である。
【0055】本発明で使用するマイクロカプセルを製造
する際に、染料前駆体に対して溶媒として作用する有機
溶剤を使用する。有機溶剤としては特に限定されるもの
ではなく、染料前駆体に対して溶媒として作用し、かつ
疎水性のものが使用できる。具体的には例えば、リン酸
トリクレシル、リン酸オクチルジフェニル等のリン酸エ
ステル類、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等の
フタル酸エステル類、オレイン酸ブチル等のカルボン酸
エステル類、各種脂肪酸アミド類、ジエチレングリコー
ルジベンゾエート、モノイソプロピルナフタレン、ジイ
ソプロピルナフタレン等のアルキル化ナフタレン類、1
−メチル−1−フェニル−1−トリルメタン、1−メチ
ル−1−フェニル−1−キシリルメタン、1−フェニル
−1−トリルメタン等のアルキル化ベンゼン類、イソプ
ロピルビフェニル等のアルキル化ビフェニル類、o−フ
ェニルフェノールグリシジルエーテル等のキセノキシア
ルカン類、トリメチロールプロパントリアクリレート等
のアクリル酸エステル類、多価アルコールと不飽和カル
ボン酸とのエステル、塩素化パラフィン、および灯油等
の他、酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチレン等が挙げ
られる。勿論、これらは二種以上を併用することもでき
る。
【0056】複合微粒子製造における染料前駆体と多価
イソシアネート化合物との重量比率は、発色感度、製造
のしやすさの点から染料前駆体100重量部に対して、
多価イソシアネート化合物が、50重量部〜2000重
量部であることが好ましく、より好ましくは250〜6
00重量部である。多価イソシアネート化合物は、常温
で低粘性の液体で、かつ染料前駆体に対する溶解性の高
いものを選択することが望ましい。特に、ジシクロヘキ
シルメタン−4、4′−ジイソシアネート、ノルボルネ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレー
ト体などは低粘性のため好ましく使用することができ
る。
【0057】マイクロカプセル製造における染料前駆体
と多価イソシアネート化合物および有機溶剤との重量比
率は、発色感度、製造のしやすさの点から染料前駆体1
00重量部に対して、多価イソシアネート化合物および
有機溶剤が、それぞれ、50重量部〜2000重量部、
および50〜5000重量部あることが好ましく、より
好ましくはそれぞれ250〜600重量部および250
〜1000重量部である。
【0058】本発明において、複合微粒子あるいはマイ
クロカプセルの調製に用いられる乳化剤(保護コロイド
剤)としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリ
ドン、ポリビニルアルコール、スルホン基変性ポリビニ
ルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、メチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−
無水マレイン酸共重合体塩及びそれらの誘導体などの水
溶性合成高分子化合物を使用することができる。必要に
応じて、同時に界面活性剤、消泡剤などを使用してもよ
い。複合微粒子調製の際の乳化剤の使用量については特
に限定はないが、一般に、複合微粒子重量に対して1〜
50重量%であることが好ましく、3〜30重量%程度
であることがより好ましい。
【0059】本発明で使用する複合微粒子およびマイク
ロカプセルは、染料前駆体の他に、必要に応じて紫外線
吸収剤、酸化防止剤、油溶性蛍光染料、離型剤の他、感
熱記録材料で知られているような増感剤等が添加されて
いてもよい。このような添加物質は、常温で固体である
ことが好ましいが、液体であってもよい。特に、紫外線
吸収剤やヒンダードフェノール系の酸化防止剤は、耐光
性を改善することができ、好ましく使用することができ
る。
【0060】また、高分子化の際に、反応促進剤として
錫化合物、ポリアミド化合物、エポキシ化合物、ポリア
ミン化合物などを併用してもよい。尚、ポリアミン化合
物を使用する場合は、耐光性を低下させないという点か
ら、脂肪族ポリアミン化合物を用いることが好ましい。
【0061】本発明において、複合微粒子あるいはマイ
クロカプセルに含有させる第1染料前駆体とは異なる色
調に発色する第2染料前駆体は固体微粒子状態で使用す
ることが望ましい。この場合、当該第2染料前駆体は、
水を分散媒体として、サンドグラインダー、アトライタ
ー、ボールミル、コボーミル等の各種湿式粉砕機によっ
て粉砕し、これをポリアクリルアミド、ポリビニルピロ
リドン、ポリビニルアルコール、スルホン基変性ポリビ
ニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、メチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン
−無水マレイン酸共重合体塩及びそれらの誘導体などの
水溶性高分子化合物の他、必要に応じて界面活性剤、消
泡剤などと共に分散媒体中に分散させ分散液とし、この
分散液を感熱発色層形成用塗料の調製に用いることがで
きる。また染料前駆体を有機溶剤に溶解した後、この溶
液を水中で上記水溶性高分子を安定化剤として乳化分散
後、この乳化液から有機溶剤を蒸発させ染料前駆体を固
体微粒子化して使用することもできる。いずれの場合も
固体微粒子状態で使用する染料前駆体の分散粒子の平均
粒子径は、適切な発色感度を得るために0.2〜3.0
μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜
1.0μmである。
【0062】本発明において使用する顕色性化合物につ
いては特に制限はないが、一般に温度の上昇によって液
化、又は溶解する性質を有し、かつ上記染料前駆体と接
触してこれを発色させる性質を有するものから選ばれ
る。代表的な顕色性化合物としては4−tert−ブチ
ルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert
−オクチルフェノール、4,4′−sec−ブチリデン
ジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルメタン、4,4′−イソプロピリ
デンジフェノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル
エーテル、4,4′−シクロヘキシリデンジフェノー
ル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フ
ェニルエタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルサル
ファイド、4,4′−チオビス(3−メチル−6−te
rt−ブチルフェノール)、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニル
スルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフ
ェニルスルホン、およびビス(3−アリル−4−ヒドロ
キシフェニル)スルホンなどのフェノール性化合物をあ
げることができる。
【0063】さらに本発明において、顕色性化合物とし
て使用できる化合物としては4−ヒドロキシベンゾフェ
ノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキ
シ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、
4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロ
キシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジ
ル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安
息香酸クロロフェニル、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテルなどのフェノール性化合物、または、安息
香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息
香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチ
ルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−ベン
ジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル
酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸などの芳
香族カルボン酸、およびこれらフェノール性化合物、芳
香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニ
ウム、カルシウムなどの多価金属との塩などの有機酸性
物質などが挙げられる。
【0064】本発明において、顕色性化合物としてヒド
ロキシル基を分子内に含むジフェニルスルホン誘導体を
使用することは特に好ましい。このような化合物として
は、例えば、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−
ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホ
ン、およびビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホンなどをあげることができる。このような顕
色性化合物は、発色画像の保存性に優れた特性を有す
る。これは、上記顕色性化合物のスルホン基の強い電子
吸引性によるものと推測される。また、油や可塑剤など
が接触してもより消色しにくい発色画像を形成するため
には、顕色性化合物として4,4′−ビス(p−トルエ
ンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタ
ン、又はN−(p−トルエンスルホニル)−N′−フェ
ニル尿素を使用することが好ましい。
【0065】顕色性化合物は通常、複合微粒子あるいは
マイクロカプセル100重量部に対し、30〜300重
量部の量で用いられることが好ましく、より好ましくは
50〜200重量部の割合で使用される。もちろん必要
に応じて、2種類以上の顕色性化合物を併用することも
できる。
【0066】本発明においては、主に発色記録画像の保
存性向上のために、画像安定化剤を用いてもよい。この
ような画像安定化剤としては、例えば1,1,3−トリ
ス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシル
フェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−
4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタ
ン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−
tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4′−〔1,
4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフ
ェノール、および4,4′−〔1,3−フェニレンビス
(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノールなどのフェ
ノール系の化合物、4−ベンジルオキシフェニル−4′
−(2−メチル−2,3−エポキシプロピルオキシ)フ
ェニルスルホン、4−(2−メチル−1,2−エポキシ
エチル)ジフェニルスルホン、および4−(2−エチル
−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエ
ポキシ化合物、並びに1,3,5−トリス(2,6−ジ
メチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチ
ル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸化合物から選
ばれた1種以上を含むものを用いることができる。もち
ろん、画像安定化剤はこれらに限定されるものではな
く、又必要に応じて2種類以上の化合物を併用すること
もできる。
【0067】本発明においては、感熱記録発色感度を向
上させるために増感剤を使用することができる。増感剤
としては、従来から感熱記録材料の増感剤として知られ
ている化合物を使用することができ、例えばパラベンジ
ルビフェニル、ジベンジルテレフタレート、1−ヒドロ
キシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、
アジピン酸ジ−o−クロルベンジル、1,2−ジフェノ
キシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エ
タン、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸ジ−
p−クロルベンジル、1,2−ビス(3,4−ジメチル
フェニル)エタン、1,3−ビス(2−ナフトキシ)プ
ロパン、メタターフェニル、ジフェニル、ベンゾフェノ
ンなどをあげることができる。これらの化合物の中で
も、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルとシュウ酸ジ−p
−クロルベンジルを増感剤として使用すると、かぶりが
少ない増感効果が得られる。
【0068】本発明において使用する顕色性化合物、画
像安定化剤および増感剤などの添加剤は、染料前駆体を
固体微粒子状態で使用する時と同じ方法で水中に分散さ
せ、感熱発色層形成塗料の調製の際にこれに混合すれば
よい。また、これらの添加剤を溶剤に溶解し、これを水
溶性高分子化合物を乳化剤として用いて水中に乳化して
使用することもできる。また画像安定化剤および増感剤
は、染料前駆体を含有する複合微粒子あるいはマイクロ
カプセル中に含有させてもよい。
【0069】本発明においては、感熱発色層の白色度向
上、および画像の均一性向上のため、白色度が高く、平
均粒子径が10μm以下の微粒子顔料を感熱発色層に含
有させることができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、焼成クレ
ー、シリカ、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、酸
化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウ
ム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカなどの無機
顔料、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタ
クリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が
使用できる。サーマルヘッドに対するかす付着、および
スティッキングの防止のためには、吸油量が50ml/1
00g以上の顔料を使用することが好ましい。顔料の配
合量は、発色濃度を低下させない程度の量、すなわち、
感熱発色層の全固形分重量に対して50重量%以下であ
ることが好ましい。
【0070】本発明において、感熱発色層を構成する他
の成分材料としては接着剤を用い、さらに必要により、
架橋剤、ワックス類、金属石鹸、有色染料、有色顔料、
および蛍光染料などを用いることができる。接着剤とし
ては、例えばポリビニルアルコール及びその誘導体、澱
粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロー
ス誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリド
ン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、ア
クリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、
イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼ
ラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並び
に、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、
ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体等のエマルジョンやスチレン−ブタジエン共
重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体な
どの水不溶性重合体のラテックスなどをあげることがで
きる。
【0071】また、感熱発色層の耐水性を向上させるた
めに、接着剤を三次元硬化させるための架橋剤を感熱発
色層中に含有させることができる。例えば、グリオキザ
ール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等の
ポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹
脂、メラミン樹脂、ジメチロールウレア化合物、アジリ
ジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、並びに過
硫酸アンモニウムや塩化第二鉄、および塩化マグネシウ
ム、四ホウ酸ソーダ、四ホウ酸カリウム等の無機化合物
又はホウ酸、ホウ酸トリエステル、ホウ素系ポリマー等
から選ばれた少なくとも1種の架橋性化合物を感熱発色
層の全固形分100重量部に対し1〜10重量部の範囲
で用いることが好ましい。
【0072】感熱発色層に添加されるワックスとして
は、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイ
クロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックス、
およびポリエチレンワックスなどのワックス類、並びに
例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸
アミドなどの高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、
およびその誘導体などをあげることができる。特にメチ
ロール化脂肪酸アミドを感熱発色層に添加すると、地肌
かぶりを悪化せずに増感効果を得ることができるので好
ましく使用できる。
【0073】感熱発色層に添加される金属石鹸として
は、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、
およびオレイン酸亜鉛等をあげることができる。本発明
の感熱記録材料を2色感熱記録材料とする場合、低温発
色色調に対して補色の関係にある色調を有する有色染
料、および/又は有色顔料を感熱発色層中に含有させる
ことは、印字前の記録材料の色調を調節するために好ま
しく用いられる。必要に応じて、本発明の効果を損なわ
ない範囲で、感熱発色層中に、さらに撥油剤、消泡剤、
粘度調節剤など各種添加剤を添加することができる。感
熱発色層は、乾燥後の塗工量が2〜20g/m2、より
好ましくは4〜10g/m2となるように塗工される。
本発明においては、2色感熱記録材料とするだけでな
く、3色以上の発色が可能な感熱記録材料を用いること
ももちろんできる。
【0074】本発明においては、紫外線吸収剤を内包し
たマイクロカプセルまたは紫外線吸収剤の固体微粒子を
感熱発色層あるいはその上に設けられた保護層に含有す
ることで、耐光性を大幅に向上させることもできる。紫
外線吸収剤の具体例としては、例えば以下のものがあげ
られる。フェニルサリシレート、p−tert−ブチル
フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレ
ート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベ
ンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベ
ンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−
ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシ−5スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫
外線吸収剤をあげることができる。
【0075】さらには、2−(2’−ヒドロキシ−5’
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−
ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−
5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−ter
t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’
−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テト
ラヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニ
ル〕ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,
α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリ
アゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−
5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
〔2’−ヒドロキシ−4’−(2”−エチルヘキシル)
オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、ポリエチレング
リコール(分子量約300)とメチル−3−〔3−te
rt−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−
イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとの
縮合物等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、2’
−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルア
クリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニル
アクリレート等のシアノアクリレート系の紫外線吸収剤
等をあげることができる。勿論、これらに限られるもの
ではなく、また必要に応じて二種類以上を併用すること
もできる。
【0076】紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセル
または紫外線吸収剤の固体微粒子の添加量については特
に限定するものではないが、感熱発色層に含有する場
合、および感熱発色層上に設けた保護層に含有する場
合、いずれの場合においても、各層の全固形分に対し
て、5〜70重量%程度が好ましい。特に好ましくは1
5〜50重量%の範囲に調節する。5重量%より少ない
と耐光性に対する改善効果が乏しく、70重量%より多
く含有しても耐光性改善効果が乏しいだけでなく、感熱
発色層の感度が低下する場合がある。紫外線吸収剤を内
包したマイクロカプセルまたは紫外線吸収剤の固体微粒
子は感熱発色層中に含有するより保護層中に含有させた
ほうがより有効に耐光性を改善することができる。
【0077】紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセル
は、各種公知の方法で調製することができ、壁膜となる
高分子物質の具体例としては、例えばポリウレタン樹
脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メ
ラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−メタクリレ
ート共重合体樹脂、スチレン−アクリレート樹脂、ゼラ
チン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの
うちでも、特にポリウレタン−ポリウレア樹脂、あるい
はアミノアルデヒド樹脂からなる壁膜を有するマイクロ
カプセルは、耐熱性に優れるため、サーマルヘッドへの
スティッキングを防止する目的で感熱発色層あるいは、
保護層中に添加される無機顔料の機能をも果たすという
優れた付随効果を発揮し、しかも、他の壁膜からなるマ
イクロカプセルや通常の顔料に比較して屈折率が低く、
且つ形状が球形であるため、保護層中に多量に添加して
も光の乱反射に起因する濃度低下を招く恐れがないので
好ましく用いられる。
【0078】本発明においては、感熱発色層、保護層に
蛍光増白剤を添加することも耐光性改善効果があり、好
ましく使用できる。蛍光増白剤は紫外線領域の光を吸収
し、より長波長の可視光領域の光を放出する作用がある
ため増白剤として広く用いられている。本発明で使用す
る複合微粒子中に含有させた染料前駆体は、エネルギー
の高い紫外線領域の光で分解し黄変しやすい性質を持つ
が、蛍光増白剤によって紫外線をより無害な長波長領域
の光に変化させることで、黄変を防止できるだけでな
く、白色度に対する効果も得ることができる。また印字
部の光による消色も蛍光増白剤を含有させることで改善
できる。
【0079】本発明で使用できる蛍光増白剤としては、
例えば、ピレン、クマリン、オキサゾール、イミダゾー
ル、イミダゾロン、ピラゾール、ベンジジン、ジアミノ
カルバゾール、ナフタール酸、ジアミノスチルベンジス
ルホン酸の誘導体をあげることができる。より具体的に
は、1,2−ビス(5−メチルオキサゾール−2−イ
ル)エチレン、β,4−ビス(5−メチルオキサゾール
−2−イル)−スチレン、3−エチルオキシカルボニル
−7,8−ベンゾクマリン、N−メチル−4−メトキシ
ナフタレン−1,8−ジカルボン酸イミド、4−〔3−
(4−クロロフェニル)−5−フェニル−1−ピラゾリ
ン−1−イル〕−ベンゼンスルホン酸ソーダ、1,2−
ビス〔4−(フェニルアミノカルボニルアミノ)−2−
ソジウムオキシスルホニルフェニル〕エチレン、1,2
−ビス{4−〔2−(p−ソジウムオキシスルホニルア
ニリノ)−4−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−
1,3,5−トリアジン−6−イル〕アミノ−2−ソジ
ウムオキシスルホニルフェニル}エチレン等が挙げられ
る。これらの化合物のなかでも、ジアミノスチルベンジ
スルホン酸誘導体である1,2−ビス{4−〔2−(p
−ソジウムオキシスルホニルアニリノ)−4−ビス(2
−ヒドロキシエチル)アミノ−1,3,5−トリアジン
−6−イル〕アミノ−2−ソジウムオキシスルホニルフ
ェニル}エチレンが塗工液調製時の取り扱いの容易さの
観点からも好ましい。
【0080】蛍光増白剤の添加量については特に限定す
るものではないが、感熱発色層全固形分に対して0.5
〜15重量%程度が好ましい。特に好ましくは、1〜1
0重量%の範囲となるように調節する。0.5重量%よ
りも少ない場合は充分な効果が得られず、10重量%よ
り多くすると蛍光増白剤自身の色により地肌が着色し自
然紙感の乏しい感熱記録材料となるため好ましくない。
【0081】支持体の感熱発色層が設けられていない面
上、あるいは支持体と感熱発色層の間に磁気記録層を設
けることもできる。磁気記録層は、従来から磁気乗車
券、プリペイドカード、磁気定期券などに使用されてい
る磁気記録層を使用することができる。磁気記録層は、
支持体と感熱発色層の間に設ける場合は当然として、支
持体の感熱発色層が設けられていない面に設ける場合に
おいても、感熱発色層を塗工する前に塗工することが感
熱発色層の白色度を高く保つために望ましい。
【0082】感熱発色層の上に従来より公知の感熱記録
材料に使用されているような水溶性高分子材料と顔料を
含有する保護層を設けることが望ましい。水溶性高分子
材料、および顔料としては、感熱発色層で例示したよう
な材料を使用することができる。このとき架橋剤を添加
して、保護層に耐水性を付与することがより望ましい。
このような保護層は、乾燥後の塗工量が0.5〜10g
/m2となるように感熱発色層上に塗工される。より好
ましくは1〜5g/m2となるように塗工する。
【0083】本発明では、電子線や紫外線で硬化した樹
脂層を感熱発色層上、あるいは保護層上に設けることも
できる。電子線で硬化した樹脂の例としては、特開昭5
8−177392号公報、特開昭58−177392号
公報などに記載がある。このような樹脂中に、非電子線
硬化樹脂、顔料、および消泡剤、レベリング剤、滑剤、
界面活性剤、可塑剤等の添加剤を適宜添加することもで
きる。特に、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなど
の顔料や、ワックス類、シリコンなどの滑剤を添加する
ことは、サーマルヘッドに対するスティッキング防止に
役立つため好ましい。電子線や紫外線で硬化した樹脂層
は、乾燥後の塗工量が0.5〜10g/m2となるよう
に塗工される。より好ましくは1〜5g/m2となるよ
うに塗工する。
【0084】本発明においては、UVインキ、フレキソ
インキなどで種種の色調を有する印刷をすることができ
る。この場合、印刷は、感熱層上、保護層上、電子線硬
化樹脂層、あるいは紫外線硬化樹脂層など、どの層の上
に印刷してもかまわない。
【0085】本発明に用いられる支持体材料の種類、形
状、寸法などには、格別の限定はなく、例えば上質紙
(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、キ
ャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、ポリ
オレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、合成樹脂フ
ィルム等の他、各種透明支持体等も適宜選択して使用す
ることができる。磁気乗車券用途に本発明を使用する場
合は、紙を使用することが望ましいが、プリペイドカー
ド、あるいは磁気定期券用途として本発明を使用する場
合は、厚さ100μm以上のポリエチレンテレフタレー
トからなるプラスチック基材、特に発泡基材を使用する
ことが感熱発色感度の点から望ましい。もちろん発泡ポ
リエチレンテレフタレートフィルムと発泡していないポ
リエチレンテレフタレートフィルムとのラミネート基材
などを使用することもできる。
【0086】本発明においては、従来より公知の感熱記
録材料に使用されている下塗層も利用することができ
る。特に紙を支持体とした場合は、下塗層を設けること
が望ましい。下塗り層に、シリカ、焼成カオリンなどの
ような空隙率の高い顔料を使用することにより、感熱発
色層の発色感度をあげることができる。また下塗り層中
にプラスチックピグメント、中空粒子、発泡体などを含
有させることもその上に形成される感熱発色層の発色感
度向上に効果がある。
【0087】本発明においては、感熱記録材料の付加価
値を高めるために、これにさらに加工を施し、より高い
機能を付与した感熱記録材料とすることができる。例え
ば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の
粘着剤などによる塗布加工を施すことにより粘着紙、再
湿接着紙、ディレードタック紙とすることができる。特
に、本発明の感熱記録材料に粘着加工を施したものはそ
の保存性の良さから感熱ラベルとして有用である。ま
た、裏面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェッ
ト用紙、ノーカーボン用紙、静電記録用紙、ゼログラフ
ィー用紙としての機能を付与し、両面記録が可能な記録
紙とすることもできる。もちろん両面感熱記録材料とす
ることもできる。
【0088】支持体上に上記各層を形成する方法として
は、エアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロール
コーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、および
エクストルージョン法などの既知の塗布方法のいずれを
利用してもよい。また、記録材料裏面からの油や可塑剤
の浸透を抑制したり、又はカールコントロールのために
バック層を設けることもできる。感熱記録面をスーパー
カレンダーやソフトカレンダーなどの既知の平滑化方法
を用いて平滑化処理することは、その発色感度を高める
事に効果がある。感熱記録面を、カレンダーの金属ロー
ルおよび弾性ロールのいずれに当てて処理してもよい。
【0089】
【実施例】本発明を下記実施例により更に詳しく説明す
るが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、特に断わらない限り、「部」および「%」はそれ
ぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0090】多色感熱記録材料の作製 <黒色発色性染料前駆体含有複合微粒子分散液Aの調製
>黒色発色性染料前駆体として3−ジ−n−アミルアミ
ノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部を100
℃に加熱したジシクロヘキシルメタン−4、4′−ジイ
ソシアネート24部に溶解し、この溶液を25℃に冷却
後、同じ温度の8%ポリビニルアルコール(日本合成化
学工業製、商標:ゴーセノールGM−14L)水溶液2
50部に徐々に添加し、TKホモミキサー(モデルHV
−M、特殊機化工業社製)を用い、回転数4000rp
mの撹拌によって乳化分散した後、この乳化分散液に水
100部を加えて均一化した。この乳化分散液を80℃
に昇温し、10時間の硬化反応を行わせて、平均粒子径
1.6μmの、黒色発色性染料前駆体含有複合微粒子A
の分散液を調製した。
【0091】<黒色発色性染料前駆体含有複合微粒子分
散液Bの調製>黒色発色性染料前駆体として3−ジ−n
−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
10部を塩化メチレン40部に溶解し、次に、この溶液
にトリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネー
トとのモル比1:3の付加物12部を添加して均一に混
合し、この混合液を、5%ポリビニルアルコール(日本
合成化学工業製、商標:ゴーセノールGM−14L)水
溶液250部に徐々に添加し、TKホモミキサー(モデ
ルHV−M、特殊機化工業社製)を用い、回転数500
0rpmの撹拌によって乳化分散した後、この乳化分散
液に水100部を加えて均一化した。この乳化分散液を
45℃に昇温し、撹拌を7時間続けることにより塩化メ
チレンを蒸発した。その後、80℃に昇温し、3時間の
硬化反応を行わせて、平均粒子径1.6μmの、黒色発
色性染料前駆体含有複合微粒子Bの分散液を調製した。
【0092】<黒色発色性染料前駆体内包マイクロカプ
セル分散液の調製>黒色発色性染料前駆体として3−ジ
−n−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオ
ラン6部を90℃に加熱したトリクレジルフォスフェー
ト12部に溶解し、トリメチロールプロパンとキシリレ
ンジイソシアネートとのモル比1:3の付加物12部を
添加し均一に混合した。この溶液を25℃に冷却後、同
じ温度の8%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業
製、商標:ゴーセノールGM−14L)水溶液250部
に徐々に添加し、TKホモミキサー(モデルHV−M、
特殊機化工業社製)を用い、回転数4000rpmの撹
拌によって乳化分散した後、この乳化分散液に水100
部を加えて均一化した。この乳化分散液を60℃に昇温
し、6時間の硬化反応を行わせて、平均粒子径1.2μ
mの、黒色発色性染料前駆体内包マイクロカプセルの分
散液を調製した。
【0093】<固体微粒子状態の染料前駆体、顕色性化
合物、増感剤分散液の調製> 黒色発色性染料前駆体:3−ジ−n−アミルアミノ−6
−メチル−7−アニリノフルオラン 赤色発色性染料前駆体:3−ジエチルアミノ−7−クロ
ロフルオラン 顕色性化合物:ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェ
ニル)スルホン 増感剤:シュウ酸ジ−p−メチルベンジル
【0094】上記染料前駆体、顕色性化合物、および増
感剤を別個にポリビニルアルコールと下記の配合比率で
混合し、各混合物を縦型サンドミル(アイメックス
(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径
が1.0〜1.2μmとなるように粉砕、分散し、固体
微粒子状態の各化合物の分散液を得た。
【0095】 成分 量(重量部) 各化合物 40 ポリビニルアルコール10%液 40 (重合度500、鹸化度90%) 水 20
【0096】<無機顔料分散液の調製>軽質炭酸カルシ
ウムおよび焼成クレーを個別にポリアクリル酸ソーダと
下記の配合比率で混合し、この混合物をカウレス分散機
で分散した。 成分 量(重量部) 無機顔料 50 ポリアクリル酸ソーダ1.0%溶液 50
【0097】別に接着剤液として固形分濃度10%のポ
リビニルアルコール(NM11Q、日本合成化学工業
(株)製)水溶液、および滑剤分散液として固形分濃度
21%のステアリン酸亜鉛水性分散液(Z−7、中京油
脂(株)製)、コロイダルシリカ分散液(スノーテック
スN、日産化学(株)製)を用意した。
【0098】(1)下塗り層の形成 上記の焼成クレー分散液と接着剤液を固形分配合比率
が、85:15となるように配合し、この塗料をメイヤ
ーバーを用いて坪量60g/m2の上質紙(中性紙)上
に12.0g/m2(乾燥)塗工し、下塗り層を形成し
た。
【0099】(2)感熱発色層の形成 固形分配合比率が、表の1〜3の赤黒2色感熱記録材料
に対応するように配合した感熱発色層塗工液を先に形成
した下塗り層の上に8.0g/m2の塗工量(乾燥)と
なるようにメイヤーバーを用いて塗工し、1層2色発色
型の感熱発色層を形成した。さらに表の2色感熱記録材
料1の感熱発色層配合中の黒色発色性染料前駆体含有複
合微粒子A30部と赤色発色性染料前駆体固体微粒子7
部のかわりに、黒色発色性染料前駆体固体微粒子37部
とした感熱発色層塗工液を先に形成した下塗り層の上に
8.0g/m2の塗工量(乾燥)となるようにメイヤー
バーを用いて塗工し、黒色発色型の感熱発色層を形成
し、さらにその上に表の2色感熱記録材料1の感熱発色
層配合中の黒色発色性染料前駆体含有複合微粒子A30
部と赤色発色性染料前駆体固体微粒子7部のかわりに、
赤色発色性染料前駆体固体微粒子37部とした感熱発色
層塗工液を6.0g/m2の塗工量(乾燥)となるよう
にメイヤーバーを用いて塗工し、2層積層型の赤黒2色
感熱記録発色層を形成した。
【0100】(3)保護層の形成 上記コロイダルシリカ分散液、接着剤液、滑剤を固形分
配合比率が、40:55:5となるように配合し、この
保護層塗工液を先に形成した感熱発色層の上に3.0g
/m2の塗工量(乾燥)となるようにメイヤーバーを用
いて塗工し、平滑化処理前のそれぞれの感熱記録材料を
得た。
【0101】このようにして得た感熱記録材料をスーパ
ーカレンダーにて、平滑化処理を行い、赤黒2色感熱記
録材料を得た。それぞれを表に示す。2層積層型の赤黒
2色感熱記録材料は、2色感熱記録材料7として表し
た。
【0102】<サーマルプリンター>感熱印字試験装置
TH−PMD(大倉電機製)を用いて、発熱体が部分グ
レーズ形状を有するサーマルヘッド((株)TDK製)を
搭載したものをサーマルプリンターAとし、一方、発熱
体が平面グレーズ形状を有するサーマルヘッド((株)京
セラ製)を搭載したものをサーマルプリンターBとし
た。
【0103】<感熱記録>上記の赤黒2色発色感熱記録
材料について、サーマルプリンターAおよびBを用い
て、1ライン記録時間:5msec、副走査線密度:8ライ
ン/mm、ドット当たり印加エネルギー:0.5mJの条件
下に256ラインのベタ印字を施し、低温印字における
赤発色記録を行った。また、別に、1ライン記録時間:
5msec、副走査線密度:8ライン/mm、ドット当たり印
加エネルギー:2.0mJの条件下に256ラインのベタ
印字を施し、高温印字における黒発色記録を行った。
【0104】このようにして得られた発色物について、
目視により画像品質を評価した。低温赤発色において
は、低温発色色調の赤色に黒色が混ざり、アズキ色とな
っているかまたは未発色部分(白抜け)が発生している
かで均一な発色が得られない状態を評価し、その程度を
×、△、○で表した。高温黒発色においては、高温発色
画像の周囲の低温赤発色領域がどの程度あるかを評価
し、同様に×、△、○で表した。×、△、○の順に画像
品質が良いことを表す。
【0105】
【表1】
【0106】
【発明の効果】本発明によって、サーマルヘッドからの
加熱印加条件の違いにより、互いに色調の異なる多色に
発色し、低温印字の時には均一な低温発色濃度が得ら
れ、かつ高温印字の時には、高温印字部の周囲に低温発
色色調の発色の少ない多色感熱記録材料の記録方法を提
供することが可能となった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多色感熱記録材料を用いて画像形成を行
    う記録方法において、支持体上に、互いに異なる色調に
    発色する2種類以上の染料前駆体と、この染料前駆体と
    加熱下に反応してこれを発色させる顕色性化合物とを含
    有する感熱発色層を有してなる多色感熱記録材料を発熱
    抵抗体が部分グレーズ上に形成されたサーマルヘッドを
    用いて多色発色させることを特徴とする多色感熱記録材
    料の記録方法。
  2. 【請求項2】 前記感熱発色層中に、(1)多価イソシ
    アネート化合物を溶媒とし第1染料前駆体を溶質とする
    溶液を水中に乳化分散後、多価イソシアネート化合物の
    高分子化反応を促進させることにより得られた複合微粒
    子と、(2)前記第1染料前駆体とは異なる色調に発色
    する第2染料前駆体からなる固体微粒子とを含有する多
    色感熱記録材料を用いて画像形成を行うことを特徴とす
    る請求項1に記載の多色感熱記録材料の記録方法。
  3. 【請求項3】 前記感熱発色層中に、(1)多価イソシ
    アネート化合物を含む重合成分および第1染料前駆体を
    20℃〜100℃の沸点を有する疎水性有機溶剤に溶解
    し、この溶液を水中に乳化分散し、この乳化分散粒子か
    ら前記疎水性有機溶剤を20〜55℃の温度で実質的に
    揮発除去し、残留乳化分散粒子の前記重合成分を重合す
    ることによって得られた複合微粒子と、(2)前記第1
    染料前駆体とは異なる色調に発色する第2染料前駆体か
    らなる固体微粒子とを含有する多色感熱記録材料を用い
    て画像形成を行うことを特徴とする請求項1に記載の多
    色感熱記録材料の記録方法。
  4. 【請求項4】 前記感熱発色層中に、(1)第1染料前
    駆体を溶解した有機溶剤を内包したマイクロカプセル
    と、(2)前記第1染料前駆体とは異なる色調に発色す
    る第2染料前駆体からなる固体微粒子とを含有する多色
    感熱記録材料を用いて画像形成を行うことを特徴とする
    請求項1に記載の多色感熱記録材料の記録方法。
  5. 【請求項5】 多色感熱記録材料の記録面の王研式平滑
    度を300秒以上としたことを特徴とする請求項1〜4
    に記載の多色感熱記録材料の記録方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003059639A1 (fr) * 2001-12-20 2003-07-24 Fuji Photo Film Co., Ltd. Materiau d'impression sensible a la chaleur
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