JP2008238507A - 感熱記録材料 - Google Patents

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晶 中山
Masahiro Tsuchida
昌弘 土田
Taku Kajima
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Abstract

【課題】耐薬品性、スティッキング性、耐水性の良好な感熱記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前躯体と加熱時反応して該染料前躯体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層と、該感熱記録層上に少なくとも1層の保護層を有する感熱記録材料において、該保護層中にシラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン性コロイダルシリカ、滑剤を含有することを特徴とする感熱記録材料。好ましくは、該保護層中に含有される滑剤のうち一種がポリオレフィン粒子であることを特徴とする感熱記録材料。または、該保護層中に含有されるポリオレフィン粒子のコールターカウンター法で測定される体積平均粒子径が2乃至3μmであることを特徴とする感熱記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐薬品性、スティッキング性、耐水性の良好な感熱記録材料に関するものである。
感熱記録材料は、一般に支持体上に熱により呈色する感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時反応し記録画像が得られるものである。このような感熱記録材料は、比較的簡単な装置で記録が得られ、保守が容易なこと、騒音の発生がないこと等の利点があり、計測記録計、ファクシミリ、プリンター、コンピューターの端末機、ラベル印字機、乗車券、チケットの発券機等広範囲の分野に利用されている。
感熱記録材料の用途や需要が多種多様に拡大する中、種々の薬品と接触しても画像が焼失しないこと、すなわち画像保存性が要求されるようになっている。例えば、水性インク、油性インク、蛍光ペン、朱肉、接着剤、ジアゾ現像液等の事務用品、ハンドクリーム、ヘアトニック、乳液等の化粧品等、或いはポリ塩化ビニルフィルム、合成皮革に含まれる可塑剤等に対する耐薬品性が要求されている。
また、種々のバーコードを感熱記録印字して用いられる用途も増加しており、バーコード印字適性を有する感熱記録材料が求められている。
バーコードに含まれる情報量の拡大に伴い、高精細なバーコード印字への要求が高まっている。しかし、高精細なバーコードは、スティッキングなどの印字障害によるバー、またはスペースの幅の僅かな変化や、印字の白抜けによるバーコードの欠落によって、読み取り性が大きく低下するという問題を有している。また、近年の記録機器の小型化、省電力化の影響もあり、熱応答性や感熱記録ヘッドに対する機器マッチング性の向上に関する要求はますます大きくなっている。
即ち、高速化及び省電力化により低い印加エネルギーでも従来と同様の発色濃度を示し、さらにスティッキングなどの印字障害がない感熱記録材料が要求されている。
一方、ハンディターミナル用のような屋外で利用される端末機への用途や食品ラベル用途などで使用される感熱記録材料においては、水分によって印字面が剥がれ落ちることなどがないよう、耐水性が要求されている。
感熱記録材料の耐薬品性を改良することを目的として、さまざまな構成を有する保護層を感熱記録層の上に形成する方法が(例えば、特許文献1〜3参照)が提案されているが、これらの方法では、耐水性が不十分である。
保護層を有する感熱記録材料のスティッキング性を向上させることを目的として、さまざまな構成を有する感熱記録材料(例えば、特許文献4〜7参照)が提案されているが、これらの方法では、耐水性とスティッキング性とを両立させることは困難である。
特開昭59−52693号公報 特開平4−347685号公報 特開昭61−25884号公報 特開平5−8543号公報 特開平6−183150号公報 特開平6−336083号公報 特開平7−179044号公報
本発明の目的は、これらの問題点を解決し、耐薬品性、スティッキング性、耐水性の良好な感熱記録材料を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、課題を解決することができる本発明の感熱記録材料を発明するに到った。即ち、
支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前躯体と加熱時反応して該染料前躯体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層と、該感熱記録層上に少なくとも1層の保護層を有する感熱記録材料において、該保護層中にシラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン性コロイダルシリカ、滑剤を含有することを特徴とする感熱記録材料である。
好ましくは、該保護層中に含有される滑剤のうち一種がポリオレフィン粒子であることを特徴とする感熱記録材料である。
より好ましくは、該保護層中に含有されるポリオレフィン粒子のコールターカウンター法で測定される体積平均粒子径が2乃至3μmであることを特徴とする感熱記録材料である。
本発明によって、耐薬品性、スティッキング性、耐水性の良好な感熱記録材料を得ることができる。
本発明の内容をさらに具体的に説明する。本発明の感熱記録材料は、支持体上に熱により呈色する感熱記録層と、該感熱記録層上に少なくとも1層の保護層を有するものである。
本発明の感熱記録材料を構成する保護層は、無機顔料、滑剤、樹脂等から構成される。
本発明の保護層には、無機顔料としてカチオン性コロイダルシリカが、樹脂としてシラノール変性ポリビニルアルコールが含有される。カチオン性コロイダルシリカをシラノール変性ポリビニルアルコールと併用することによって、耐薬品性、耐水性の良好な感熱記録材料を得ることができる。
本発明の保護層には滑剤が添加される。滑剤を添加することによって、スティッキング性の良好な感熱記録材料を得ることができる。
本発明の保護層に添加される滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、パラフィン、ポリオレフィン、酸化ポリエチレン、カスターワックス等を挙げることができる。これらの滑剤は、単独で、または2種以上併用して使用することもできる。
保護層に含有される滑剤のうち一種がポリオレフィン粒子である場合には、スティッキング性が良好となるため好ましい。ポリオレフィン粒子のコールターカウンター法で測定される体積平均粒子径が2乃至3μmである場合には、耐薬品性を維持しながらスティッキング性が良好となるため特に好ましい。
保護層には、耐光性向上等の目的から、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、分散・湿潤剤として、アニオン性、ノニオン性の高分子量のものを含む界面活性剤、さらには蛍光染料、消泡剤等が必要に応じて添加される。保護層の絶乾塗工量は0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜3g/m2がより好ましい。
本発明の感熱記録材料を構成する感熱記録層は、各発色成分を微粉砕して得られる各々の水性分散液と樹脂などを混合し、支持体上に塗工、乾燥することにより得られる。
感熱記録層には、顔料として、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、炭化水素系プラスチックピグメント等の有機顔料を使用することができる。
感熱記録層には、スティッキング改良等の目的から、滑剤を添加することができる。具体例としては、保護層の説明中に示した無機顔料と同様のものが好ましく用いられる。
感熱記録層には、耐光性向上等の目的から、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、分散・湿潤剤として、アニオン性、ノニオン性の高分子量のものを含む界面活性剤、さらには蛍光染料、消泡剤等が必要に応じて添加される。感熱記録層の塗工量は、十分な熱応答性を得るためには、通常染料前駆体の絶乾塗工量で0.05〜2.0g/m2が好ましく、0.1〜1.0g/m2がより好ましい。
本発明の感熱記録材料を構成する感熱記録層に含有される電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体としては、一般に感圧記録材料や、感熱記録材料に用いられているものに代表されるが、特に限定されるものではない。
具体的な染料前駆体の例としては、
(1)トリアリールメタン系化合物:3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
(2)ジフェニルメタン系化合物:4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
(3)キサンテン系化合物:ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン等、
(4)チアジン系化合物:ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、
(5)スピロ系化合物:3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等を挙げることができる。またこれらの染料前駆体は必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。
本発明の感熱記録材料を構成する感熱記録層に含有される電子受容性化合物としては、一般に感圧記録材料、または感熱記録材料で使用される酸性物質に代表されるが、これらに制限されることはない。例えば、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体、アリールスルホニル尿素誘導体、有機化合物の亜鉛塩などの多価金属塩、ベンゼンスルホンアミド誘導体、ウレアウレタン化合物等を挙げることができる。
以下に、感熱記録層に含有される電子受容性化合物の具体例を挙げるが、必ずしもこれらの化合物に限定されるものではない。
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−プロポキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジルオキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、3,4,4′−トリヒドロキシジフェニルスルホン、3,4,3′,4′−テトラヒドロキシジフェニルスルホン、2,3,4−トリヒドロキシジフェニルスルホン、3−フェニルスルホニル−4−ヒドロキシジフェニルスルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、4,4′−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラ(4−ヒドロキシ安息香酸)エステル、ペンタエリスリトールトリ(4−ヒドロキシ安息香酸)エステル、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールの重縮合物と4−ヒドロキシ安息香酸との脱水縮合物、
N,N′−ジフェニルチオ尿素、4,4′−ビス[3−(4−メチルフェニルスルホニル)ウレイド]ジフェニルメタン、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N′−フェニル尿素、N−(ベンゼンスルホニル)−N′−[3−(4−トルエンスルホニルオキシフェニル)]尿素、N−(4−トルエンスルホニル)−N′−[3−(4−トルエンスルホニルオキシフェニル)]尿素、
サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ビス(α−メチルベンジル)サリチル酸、4−[2′−(4−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、3−(オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸あるいはこれらサリチル酸誘導体の金属塩(例えば亜鉛塩)、
N−(4−ヒドロキシフェニル)−4−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−4−トルエンスルホンアミド、N−フェニル−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドなどである。
本発明の感熱記録材料を構成する感熱記録層は、その熱応答性を向上させるために、熱可融性物質を含有させることができる。この場合、60℃〜180℃の融点を持つものが好ましく、特に80℃〜140℃の融点を持つものがより好ましく使用される。
具体的には、ステアリン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、N−ステアリル尿素、ベンジル−2−ナフチルエーテル、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、α、α′−ジフェノキシキシレン、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、蓚酸ジベンジル、蓚酸ジ(4−メチルベンジルエステル)、蓚酸ビス(4−クロロベンジル)エステル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、ビス(4−アリルオキシフェニル)スルホン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、4−アセチルアセトフェノン、アセト酢酸アニリド類、脂肪酸アニリド類、等公知の熱可融性物質が挙げられるが、高級脂肪酸アミドを用いた場合には、滑剤としても機能するためより好ましい。
これらの化合物は単独もしくは2種以上併用して使用することもできる。また、十分な熱応答性を得るためには、感熱記録層の総固形分中、熱可融性物質が5〜50質量%を占めることが好ましい。
感熱記録層に用いられる樹脂としては、保護層の場合と同様に通常の塗工で用いられる種々の樹脂を用いることができる。具体例としては、保護層の説明中に示した樹脂と同様のものが好ましく用いられる。
本発明における感熱記録材料において使用する支持体としては、紙が主として使用されるが、紙の他に各種織布、不織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、蒸着シート、或いはこれらを貼り合わせ等で組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に使用することができる。
本発明における感熱記録材料は、必要に応じて支持体と感熱記録層の間に単層あるいは複数層の顔料あるいは樹脂等からなる下塗り層を1層以上設けることができる。本発明における感熱記録材料が下塗り層を設けたものである場合、その下塗り層の絶乾塗工量は、1〜30g/m2が好ましく、3〜20g/m2がより好ましい。
下塗り層の顔料としては、一般的には焼成カオリンが使用されるが、それ以外にもケイソウ土、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、炭化水素系プラスチックピグメント等の有機顔料を使用することができる。
下塗り層の樹脂としては、保護層、感熱記録層の場合と同様に通常の塗工で使用される種々の水溶性樹脂または水分散性樹脂を使用することができる。具体例に関しては、保護層の説明中に示した。
感熱記録層、保護層または下塗り層の形成方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の技術に従って形成することができる。具体的な例としては、エアナイフ塗工、ロッドブレード塗工、バー塗工、ブレード塗工、グラビア塗工、カーテン塗工、Eバー塗工などの方法により塗液を塗工し、乾燥により感熱記録層、保護層または下塗り層を形成させることができる。また、平版、凸版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等によって各層を形成させても良い。
必要に応じて、下塗り層塗工後、感熱記録層塗工後、または保護層塗工後にスーパーカレンダー処理をし、画質を向上させることもできる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。ただし、これらに限定されるものではない。なお以下に示す部、ならびに%はいずれも質量基準であり、塗工量は絶乾塗工量である。
下塗り層用塗液の作製
焼成カオリン〔商品名:アンシレックス、エンゲルハード社製〕100部、固形分濃度50%のスチレン/ブタジエン系ラテックス24部および水200部からなる組成物を混合攪拌して下塗り層用の塗液を得た。
<分散液A>
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が1μmになるまで粉砕し分散液Aを得た。
<分散液B>
2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200gと水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が0.7μmになるまで粉砕し分散液Bを得た。
<分散液C>
ベンジル−2−ナフチルエーテル200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が1μmになるまで粉砕し分散液Cを得た。
<分散液D>
沈降炭酸カルシウム〔商品名:Unibur−70 白石工業製〕200gを0.2%ポリアクリル酸ナトリウム塩水溶液800g中に分散し、ホモジナイザーで5分間撹拌し、分散液Dを得た。
<水溶液1>
完全鹸化ポリビニルアルコール〔商品名:ゴーセノールNM−11 日本合成化学工業製〕100gを水900gに溶解し、水溶液1を得た。
感熱記録層用塗液の作製
上記の分散液を使用して、下記に示す配合で混合し、固形分濃度が17%の水分散液になるように添加水を加え、充分撹拌して感熱記録層塗液を作製した。
分散液A 30部
分散液B 70部
分散液C 70部
分散液D 50部
水溶液1 80部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 25部
<水溶液2>
シラノール変性ポリビニルアルコール〔商品名:R−1130 クラレ製〕100gを水900gに溶解し、水溶液2を得た。
保護層用塗液の作製
下記に示す配合で混合し、固形分濃度が12%の水分散液になるように添加水を加え、十分攪拌して保護層用塗液を作製した。
20%カチオン性コロイダルシリカ 150部
〔商品名:スノーテックスAK 日産化学工業製 粒子径:10nm〜20nm〕
水溶液2 200部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
40%グリオキザール水溶液 5部
感熱記録材料の作製
坪量50g/m2の上質の中性紙の片面に、下塗り層用塗液の固形分塗工量が9g/m2、感熱記録層用塗液の固形分塗工量が染料前駆体の塗工量で0.5g/m2、保護層用塗液の固形分塗工量が2g/m2となるように順次塗工乾燥して下塗り層、感熱記録層および保護層を形成し、カレンダー処理を行って感熱記録材料を作製した。
実施例1の感熱記録材料の作製において、保護層用塗液の配合を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
20%カチオン性コロイダルシリカ 150部
〔商品名:スノーテックスAK−L 日産化学工業製 粒子径:40nm〜50nm〕
水溶液2 200部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
40%グリオキザール水溶液 5部
実施例1の感熱記録材料の作製において、保護層用塗液の配合を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
20%カチオン性コロイダルシリカ 150部
〔商品名:スノーテックスAK−YL 日産化学工業製 粒子径:50nm〜80nm〕
水溶液2 200部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
40%グリオキザール水溶液 5部
実施例1の感熱記録材料の作製において、保護層用塗液の配合を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
20%カチオン性コロイダルシリカ 150部
〔商品名:スノーテックスAK−L 日産化学工業製 粒子径:40nm〜50nm〕
水溶液2 200部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
40%ポリプロピレン粒子分散液 5部
〔商品名:ケミパールW401 三井化学製 体積平均粒子径:1μm〕
40%グリオキザール水溶液 5部
実施例1の感熱記録材料の作製において、保護層用塗液の配合を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
20%カチオン性コロイダルシリカ 150部
〔商品名:スノーテックスAK−L 日産化学工業製 粒子径:40nm〜50nm〕
水溶液2 200部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
40%ポリエチレン粒子分散液 5部
〔商品名:ケミパールW200 三井化学製 体積平均粒子径:6μm〕
40%グリオキザール水溶液 5部
実施例1の感熱記録材料の作製において、保護層用塗液の配合を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
20%カチオン性コロイダルシリカ 150部
〔商品名:スノーテックスAK−L 日産化学工業製 粒子径:40nm〜50nm〕
水溶液2 200部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
40%ポリエチレン粒子分散液 5部
〔商品名:ケミパールW500 三井化学製 体積平均粒子径:2.5μm〕
40%グリオキザール水溶液 5部
(比較例1)
実施例1の感熱記録材料の作製において、保護層用塗液の配合を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
20%カチオン性コロイダルシリカ 150部
〔商品名:スノーテックスAK 日産化学工業製 粒子径:10nm〜20nm〕
水溶液1 200部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
40%グリオキザール水溶液 5部
(比較例2)
20%アニオン性コロイダルシリカ 150部
〔商品名:スノーテックス20 日産化学工業製 粒子径:10nm〜20nm〕
水溶液2 200部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
40%グリオキザール水溶液 5部
(比較例3)
実施例1の感熱記録材料の作製において、保護層用塗液の配合を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
20%アニオン性コロイダルシリカ 150部
〔商品名:スノーテックスXL 日産化学工業製 粒子径:40nm〜60nm〕
水溶液2 200部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
40%グリオキザール水溶液 5部
<分散液E>
水酸化アルミニウム200gを0.2%ポリアクリル酸ナトリウム塩水溶液800g中に分散し、ホモジナイザーで5分間撹拌し、分散液Eを得た。
(比較例4)
実施例1の感熱記録材料の作製において、保護層用塗液の配合を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
分散液E 150部
水溶液2 200部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
40%グリオキザール水溶液 5部
(比較例5)
実施例1の感熱記録材料の作製において、保護層用塗液の配合を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
20%カチオン性コロイダルシリカ 150部
〔商品名:スノーテックスAK 日産化学工業製 粒子径:10nm〜20nm〕
水溶液2 200部
40%グリオキザール水溶液 5部
以上の実施例1〜6、比較例1〜5で作製した感熱記録材料を下記の評価に供した。その結果を表1に示す。
[保護層用塗液安定性]
保護層用塗液を作成後、1時間放置し、塗液の状態を目視により評価した。評価基準は以下の指標に従った。
○:塗液の状態は全く変化せず、塗工を行うことが可能
×:塗液が固まってしまい、塗工が行えない
[熱応答性試験]
大倉電機製ファクシミリ試験機TH−PMDを使用して印字した。ドット密度8ドット/mm、ヘッド抵抗1685Ωのサーマルヘッドを使用し、ヘッド電圧21V、パルス幅1.6msecで通電して画像を得た。画像部の濃度をマクベスRD−918型反射濃度計(ビジュアルフィルター)にて測定した。
[耐薬品性試験]
熱応答性の評価で用いたパルス幅1.6msecで印字した印字画像に軟質塩ビシートを密着させ、室温条件下で72時間保存した後の画像部の濃度をマクベスRD−918型反射濃度計(ビジュアルフィルター)にて測定した。
[スティッキング性試験]
キヤノン(株)製プリンターHT950を使用し、5℃30%RHの環境条件で印字して、印字面のスティッキングの程度を4段階で評価した。評価基準は以下の指標に従った。
◎:スティッキングが全く発生しない
○:スティッキングがごく僅かに発生する
△:スティッキングが一部に発生する
×:スティッキングが全面に発生する
[耐水性試験]
熱応答性の評価で用いたパルス幅1.6msecで印字した印字画像に20℃の水を3ml滴下し、水の付着している印字画像を30回擦る。このときの保護層、及び印字画像の状態を目視により評価した。評価基準は以下の指標に従った。
○:保護層は殆ど変化なく、印字部にも変化はない
×:保護層が完全に剥がれ落ち、印字部も剥がれる
Figure 2008238507
表1から分かるように、実施例1〜6は、比較例2、3に比べ、保護層用塗液安定性に優れる。また、比較例4に比べ、耐薬品性に優れる。前者は保護層中にカチオン性コロイダルシリカを含有している。
実施例1〜6は比較例1に比べ、耐水性に優れる。前者は保護層中のバインダーとしてシラノール変性ポリビニルアルコールを含有している。
実施例1〜6は比較例5に比べ、スティッキング性に優れる。前者は保護層中に滑剤を含有している。
実施例4〜6は実施例1〜3に比べ、スティッキング性に優れる。前者は保護層中の滑剤のうち一種がポリオレフィン粒子である。
実施例6は、実施例5に比べ耐薬品性に優れる。また、実施例4に比べスティッキング性に優れる。前者は保護層中に含有されるポリオレフィン粒子のコールターカウンター法で測定される体積平均粒子径が2乃至3μmである。

Claims (3)

  1. 支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前躯体と加熱時反応して該染料前躯体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層と、該感熱記録層上に少なくとも1層の保護層を有する感熱記録材料において、該保護層中にシラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン性コロイダルシリカ、滑剤を含有することを特徴とする感熱記録材料。
  2. 該保護層中に含有される滑剤のうち一種がポリオレフィン粒子であることを特徴とする請求項1記載の感熱記録材料。
  3. 該保護層中に含有されるポリオレフィン粒子のコールターカウンター法で測定される体積平均粒子径が2乃至3μmであることを特徴とする請求項2記載の感熱記録材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103402782A (zh) * 2011-03-11 2013-11-20 三菱制纸株式会社 热敏记录材料及其制造方法
JP2015182327A (ja) * 2014-03-25 2015-10-22 日本製紙株式会社 感熱記録体

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