JP2010036419A - 感熱記録材料 - Google Patents

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【課題】支持体上に熱により発色する感熱記録層及び、樹脂と架橋剤を含有する保護層を順次設けた感熱記録材料において、保護層の耐水性及びバリア性に優れた感熱記録材料を提供すること。
【解決手段】支持体上に、熱により発色する感熱記録層及び、樹脂と架橋剤を含有する保護層を順次設けた感熱記録材料において、該保護層に含有される樹脂が、コアシェル構造を有する(メタ)アクリルアミド共重合体であり且つ側鎖にジアセトン基を含有することで、保護層の耐水性及びバリア性に優れた感熱記録材料を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、支持体上に熱により発色する感熱記録層及び、樹脂と架橋剤を含有する保護層を順次設けた感熱記録材料において、保護層の耐水性及びバリア性に優れた感熱記録材料に関するものである。
感熱記録材料は、一般に支持体上に熱により発色する感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、染料前駆体である電子供与性化合物と顕色剤である電子受容性化合物とが瞬時反応し記録画像が得られるものである。このような感熱記録材料は、比較的簡単な装置で記録が得られ、保守が容易なこと、騒音の発生がないこと等の利点があり、計測記録計、ファクシミリ、プリンター、コンピューターの端末機、ラベル印字機、乗車券、チケットの発券機等広範囲の分野に利用されている。
また、このような感熱記録材料も用途が多種多様化するにつれ、印刷加工される用途も多く出てきた。近年では市場から印刷加工に適した表面強度を持ち、印刷溶剤で地肌かぶりの様な地肌の発色を起こさないバリア性に優れた保護層を持つ感熱記録材料が強く望まれている。
さらに、近年は特に記録システムの発達により、感熱記録材料の使用環境はより過酷なものへと移っており、特に水分付着に曝される環境下での使用では、耐水性に優れた保護層を持つ感熱記録材料が強く望まれている。
感熱記録材料の保護層としては、バリア性に優れたポリビニルアルコール系樹脂、耐水性に優れたアクリル系樹脂を用いた様々な構成が提案されている。ポリビニルアルコール系樹脂としては、耐水性を高めるため、各種変性基を導入し架橋剤との反応性を上げる手法がとられている。例えば、特許文献1及び特許文献2ではジアセトン基などを導入したポリビニルアルコールが用いられているが、ポリビニルアルコール自体の水溶性が高いため、十分な耐水性が得られていない。一方、アクリル系樹脂は、水性エマルションのため水溶性樹脂に比べ耐水性に優れるが、バリア性の点で改良が必要であった。その改善として、特許文献3ではコアにアクリル系共重合体、シェルに(メタ)アクリルアミド共重合体を持つコアシェル型水性エマルションを使用することで、バリア性を向上させているが、シェルの水溶性を高めているため、耐水性が犠牲となっていた。さらにその耐水性を向上させるため特許文献4では(メタ)アクリルアミド共重合体にアセトアセチル基を導入して架橋反応性を高めているが未だ不十分であった。
特開平11−314457号公報 特開2002−283717号公報 特開平5−69665号公報 特開平6−32056号公報
本発明の目的は、支持体上に熱により発色する感熱記録層及び、樹脂と架橋剤を含有する保護層を順次設けた感熱記録材料において、保護層の耐水性及びバリア性に優れた感熱記録材料を提供することである。
本発明者は、鋭意検討した結果、課題を解決することができる感熱記録材料を発明するに到った。即ち、本発明の感熱記録材料は、支持体上に、熱により発色する感熱記録層及び、樹脂と架橋剤を含有する保護層を順次設けた感熱記録材料において、該保護層に含有される樹脂が、コアシェル構造を有する(メタ)アクリルアミド共重合体であり且つ側鎖にジアセトン基を含有することを特徴とする感熱記録材料である。
さらには、該保護層に含有される架橋剤がヒドラジド系化合物であることを特徴とする感熱記録材料である。ヒドラジド系化合物を架橋剤に用いることで、ジアセトン基との架橋反応が促進され耐水性が向上する。
また、保護層に含有される樹脂が側鎖に水酸基もしくはカルボキシル基を含有することにより、樹脂の成膜が促進され、保護層のバリア性が向上する。
また、該保護層がアンモニアを含有する水性塗液の状態で該感熱記録層上に塗工、乾燥して得られることを特徴とする感熱記録材料である。アンモニアを保護層塗液に含有させることで、塗液の経時による粘度上昇が抑えられ、塗液の安定性が向上する。
以上説明した様に、本発明によって、支持体上に熱により発色する感熱記録層及び、樹脂と架橋剤を含有する保護層を順次設けた感熱記録材料において、保護層の耐水性及びバリア性に優れた感熱記録材料を得ることができる。
本発明の内容をさらに具体的に説明する。本発明の感熱記録材料は、熱により発色する感熱記録層と、樹脂と架橋剤を含有する保護層を有するものである。
本発明に係る保護層に含有される樹脂は、コアシェル構造を有する(メタ)アクリルアミド共重合体であり、且つ側鎖にジアセトン基を含有する。
コアシェル構造を有する(メタ)アクリルアミド共重合体は、核粒子となるシードエマルションの存在下で、(メタ)アクリルアミド及び該(メタ)アクリルアミドと共重合可能なビニル単量体とを共重合させて得られるものであり、且つ側鎖にジアセトン基を含有する。
ジアセトン基を側鎖に導入する方法は任意であり、重合後にジアセトン基を導入する方法及び、ジアセトン基を有するビニル単量体を重合時に添加し共重合する方法など挙げられるが、本発明ではジアセトン基を有するビニル単量体を(メタ)アクリルアミドと共重合する方法が好ましく用いられる。核粒子となるシードエマルションの存在下で、ジアセトン基を有するビニル単量体を(メタ)アクリルアミドと共重合することで、ジアセトン基をシェル部に導入することができ、耐水性を効果的に向上させることができる。ジアセトン基を有するビニル単量体の添加量としては、(メタ)アクリルアミド及び該(メタ)アクリルアミドと共重合可能なビニル単量体を合わせた全単量体成分に対して、0.1質量%以上50質量%未満が好ましい。ジアセトン基を有するビニル単量体の添加量が0.1質量%未満の場合は、十分な耐水性が発揮されず、50質量%以上の場合は、成膜性が悪化し十分なバリア性が得られない。ジアセトン基を有するビニル単量体としては、特に限定はされないが、(メタ)アクリルアミドとの共重合性(反応性比)から、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミドが好ましく、ジアセトンメタクリルアミドが特に好ましく用いられる。
核粒子となるシードエマルションは、公知のもの、あるいは公知の方法により重合したものが使用できる。例えば、(メタ)アクリル酸エステル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系、(メタ)アクリロニトリル系、(メタ)アクリロニトリル−ブタジエン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、一般的な高分子エマルションが使用できる。
本発明において必要に応じて用いられる上記の(メタ)アクリルアミドと共重合可能なビニル単量体の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(N−メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有単量体類、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸類、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル単量体類、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のN−置換不飽和カルボン酸アミド等が挙げられる。中でも、水酸基もしくはカルボキシル基を有するビニル単量体を共重合することで、シェルの水溶性が上がり、成膜性が向上し、優れたバリア性を持つ保護層が得られる。水酸基もしくはカルボキシル基を有するビニル単量体の添加量としては、全単量体成分に対して、0.1質量%以上30質量%未満が好ましい。
本発明に係るコアシェル構造を有し且つ側鎖にジアセトン基を持つ(メタ)アクリルアミド共重合体における、(メタ)アクリルアミド及び該(メタ)アクリルアミドと共重合可能なビニル単量体の含有量は、シードエマルションに対して10質量%以上300質量%未満であることが好ましい。
本発明の保護層に使用する架橋剤としては、ヒドラジド系化合物、グリオキサール、2,2−ジメトキシエチルアルデヒド等のアルデヒド系化合物、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などのメチロール化合物、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂に代表されるエピクロルヒドリン残基を含む化合物、多官能エポキシ樹脂などのエポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、ブロックイソシアナート化合物などのイソシアネート化合物、過硫酸塩、過酸化物等の酸化剤等が挙げられ、これらを単独または組み合わせて使用することができる。本発明では、特にジアセトン基に対する架橋剤として、ヒドラジド系化合物が好適である。具体的には、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド等であり、さらに多官能のセミカルバジド化合物も含まれる。ヒドラジド系化合物はジアセトン基との架橋反応により強固な結合を形成することで、反応後に高い耐水性を示す。ヒドラジド系化合物は、本発明の効果において特に限定されるものではないが、アジピン酸ジヒドラジドが特に好ましい。
本発明において、該保護層を、アンモニアを含有する水性塗液の状態で塗工、乾燥させて感熱記録層上に設けることで、保護層塗液の安定性を向上させることができる。本発明の保護層は酸性状態で架橋反応が進行するが、塗液の状態で強い酸性の場合、粘度上昇・凝集などが起き、塗液の安定性が著しく低下する。そのため、塗液は中性〜塩基性付近において安定する。一方、アンモニアは、水性塗液中では比較的安定して存在するが、乾燥過程において揮発し乾燥後は保護層のpHを必要以上に上げない。つまり、アンモニアを保護層塗液に含有させることで、塗液状態では架橋反応を抑制して塗液を安定化し、乾燥後は、揮発して架橋反応を抑制しないため、効果的に耐水化を発現させることが可能となる。アンモニアの含有量は、特に限定はされないが、保護層塗液のpHが8以上になるように調整する量であることが好ましい。また、保護層塗液に酸性物質をアンモニアと共に含有させることで、乾燥後の保護層の表面pHをより酸性にすることができ、乾燥後の耐水化促進の面で特に好ましい。本発明に係るアンモニアは、保護層塗液に添加する際、酸とのアンモニア中和塩の状態であっても同様に機能する。
本発明の保護層には、顔料としてケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、スチレン系プラスチック顔料、アクリル系プラスチック顔料、炭化水素系プラスチック顔料等の有機顔料を使用することができる。
さらに保護層には、スティッキング性向上等の目的から、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸アミド、パラフィン、ポリオレフィン、酸化ポリエチレン、カスターワックス等の滑剤、耐光性向上等の目的から、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、分散・湿潤剤として、アニオン性、ノニオン性の高分子量のものを含む界面活性剤、さらには蛍光染料、消泡剤等が必要に応じて添加される。保護層の絶乾塗工量は0.2〜10g/m2が好ましく、1〜5g/m2がより好ましい。
本発明の感熱記録材料を構成する感熱記録層は、各発色成分を微粉砕して得られる各々の水性分散液と樹脂などを混合し、支持体上に塗工、乾燥することにより得られる。
感熱記録層には、顔料として、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、スチレン系プラスチック顔料、アクリル系プラスチック顔料、炭化水素系プラスチック顔料等の有機顔料を使用することができる。
感熱記録層には、スティッキング改良等の目的から、滑剤を添加することができる。具体例としては、保護層の説明中に示した滑剤と同様のものが好ましく使用される。
感熱記録層には、耐光性向上等の目的から、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、分散・湿潤剤として、アニオン性、ノニオン性の高分子量のものを含む界面活性剤、さらには蛍光染料、消泡剤等が必要に応じて添加される。感熱記録層の塗工量は、十分な熱応答性を得るためには、通常染料前駆体の絶乾塗工量で0.05〜2.0g/m2が好ましく、0.1〜1.0g/m2がより好ましい。
本発明の感熱記録材料を構成する、感熱記録層に含有される通常無色ないし淡色の染料前駆体である電子供与性化合物は、一般に感圧記録材料や、感熱記録材料に用いられているものに代表されるが、特に限定されるものではない。
具体的な染料前駆体の例としては、
(1)トリアリールメタン系化合物:3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
(2)ジフェニルメタン系化合物:4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
(3)キサンテン系化合物:ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン等、
(4)チアジン系化合物:ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、
(5)スピロ系化合物:3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等を挙げることができる。またこれらの染料前駆体は必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。
本発明の感熱記録材料を構成する、感熱記録層に含有される顕色剤である電子受容性化合物は、一般に感圧記録材料、または感熱記録材料で使用される酸性物質に代表されるが、特に限定されるものではない。例えば、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体、アリールスルホニル尿素誘導体、有機化合物の亜鉛塩などの多価金属塩、ベンゼンスルホンアミド誘導体、ウレアウレタン化合物等を挙げることができる。
以下に、感熱記録層に含有される電子受容性化合物の具体例を挙げるが、必ずしもこれらの化合物に限定されるものではない。
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−プロポキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジルオキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンモノアリルエーテル、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、3,4,4′−トリヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−〔オキシビス(エチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル)〕ジフェノール、3,4,3′,4′−テトラヒドロキシジフェニルスルホン、2,3,4−トリヒドロキシジフェニルスルホン、3−フェニルスルホニル−4−ヒドロキシジフェニルスルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラ(4−ヒドロキシ安息香酸)エステル、ペンタエリスリトールトリ(4−ヒドロキシ安息香酸)エステル、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールの重縮合物と4−ヒドロキシ安息香酸との脱水縮合物、
N,N′−ジフェニルチオ尿素、4,4′−ビス[3−(4−メチルフェニルスルホニル)ウレイド]ジフェニルメタン、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N′−フェニル尿素、N−(ベンゼンスルホニル)−N′−[3−(4−トルエンスルホニルオキシフェニル)]尿素、N−(4−トルエンスルホニル)−N′−[3−(4−トルエンスルホニルオキシフェニル)]尿素、ウレアウレタン化合物、
サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ビス(α−メチルベンジル)サリチル酸、4−[2′−(4−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、3−(オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸あるいはこれらサリチル酸誘導体の金属塩(例えば亜鉛塩)、
N−(4−ヒドロキシフェニル)−4−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−4−トルエンスルホンアミド、N−フェニル−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドなどである。
本発明の感熱記録材料を構成する感熱記録層は、その熱応答性を向上させるために、熱可融性物質を増感剤として含有させることができる。この場合、60〜180℃の融点を持つものが好ましく、特に80〜140℃の融点を持つものがより好ましく使用される。
具体的には、ステアリン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、N−ステアリル尿素、ベンジル−2−ナフチルエーテル、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、α、α′−ジフェノキシ−o−キシレン、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ビス(4−クロロベンジル)エステル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、ビス(4−アリルオキシフェニル)スルホン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、4−アセチルアセトフェノン、アセト酢酸アニリド類、脂肪酸アニリド類、等公知の増感剤が挙げられるが、高級脂肪酸アミドを用いた場合には、滑剤としても機能するためより好ましい。
これらの化合物は単独もしくは2種以上併用して使用することもできる。また、十分な熱応答性を得るためには、感熱記録層の総固形分中、増感剤が5〜50質量%を占めることが好ましい。
本発明における感熱記録材料は、必要に応じて支持体と感熱記録層の間に顔料あるいは樹脂等からなる下塗り層を1層以上設けることができる。本発明における感熱記録材料が下塗り層を設けたものである場合、その下塗り層の絶乾塗工量は、1〜30g/m2が好ましく、3〜20g/m2がより好ましい。
下塗り層の顔料としては、一般的には焼成カオリンが使用されるが、それ以外にもケイソウ土、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、スチレン系プラスチック顔料、アクリル系プラスチック顔料、炭化水素系プラスチック顔料等の有機顔料を使用することができる。また公知の接着剤が、顔料と共に塗工される。
本発明における感熱記録材料において使用する支持体としては、紙が主として使用されるが、紙の他に各種織布、不織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、蒸着シート、あるいはこれらを貼り合わせ等で組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に使用することができる。
本発明に係る支持体の感熱記録層及び保護層を設ける反対の面に、必要に応じてバックコート層を設けることができる。バックコート層は公知のものが使用でき、特に限定はされない。
感熱記録層、保護層、バックコート層または下塗り層の形成方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の技術に従って形成することができる。具体的な例としては、フィルムプレス塗工、エアナイフ塗工、ロッドブレード塗工、バー塗工、ブレード塗工、グラビア塗工、カーテン塗工、Eバー塗工などの方法により塗液を塗工し、乾燥により各層を形成させることができる。また、平版、凸版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等によって各層を形成させても良い。
必要に応じて、下塗り層塗工後、感熱記録層塗工後、保護層塗工後、またはバックコート層塗工後にスーパーカレンダー処理により画質を向上させることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。ただし、これらに限定されるものではない。なお以下に示す部、ならびに%はいずれも質量基準であり、塗工量は絶乾塗工量である。
実施例1
(1)シードエマルションAの合成
ビーカー内にてアクリロニトリル20部、アクリル酸ブチル20部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2部、メタクリル酸2部を混合し、水70部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部の入った70℃に保った重合容器中に、攪拌のもと添加した。再び重合容器内を70℃に保った後、2%過硫酸カリウム水溶液を30部加え、窒素雰囲気下7時間重合し、核粒子となるシードエマルションAを合成した。
(2)保護層用樹脂分散液の合成
ビーカー内にて3%アンモニア水100部、メタクリルアミド20部、ジアセトンアクリルアミド2部、メタクリル酸1部を混合し、70℃に保った上記シードエマルションAの重合容器に添加した。再び重合容器内を70℃に保った後、2%過硫酸カリウム水溶液
30部を加え、窒素雰囲気下で7時間重合した後、室温まで冷却し保護層用樹脂分散液を合成した。
(3)保護層用塗液の作製
下記に示す配合で混合し、十分攪拌して保護層用塗液を調製した。
(2)で作製した保護層用樹脂分散液 50部
50%水酸化アルミニウム〔昭和電工製:H42〕水分散液 10部
30%ステアリン酸亜鉛水分散液 6部
5%アジピン酸ジヒドラジド水溶液 20部
水 90部
(4)感熱記録層用塗液の作製
下記の(A)(B)(C)の混合液を、各々ダイノミル(WEB製サンドミル)で体積平均粒子径2μm以下となるように粉砕し、各分散液を得た。
(A)染料前駆体分散液
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 30部
2.5%ポリビニルアルコール水溶液 70部
(B)電子受容性化合物分散液
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン 30部
2.5%ポリビニルアルコール水溶液 70部
(C)顔料・増感剤分散液
炭酸カルシウム(白石工業製:カルライトSA) 50部
ベンジル−2−ナフチルエーテル 30部
2.5%ポリビニルアルコール水溶液 200部
次に、(A)、(B)、(C)の各分散液の他に下記のものを混合、攪拌して感熱記録層用塗液を調製した。
(A)染料前駆体分散液 100部
(B)電子受容性化合物分散液 100部
(C)顔料・増感剤分散液 280部
40%ステアリン酸亜鉛水分散液 25部
40%メチロールステアリン酸アミド水分散液 25部
20%パラフィンワックス水分散液 25部
10%ポリビニルアルコール〔日本合成化学製:NM11〕水溶液 200部
水 100部
(5)下塗り層用塗液の作製
焼成カオリン〔エンゲルハード製:アンシレックス〕50部、固形分濃度27.5%の有機中空粒子分散液〔ローム&ハース製:AF1055〕180部、50%のスチレン/ブタジエン系ラテックス40部、10%の酸化澱粉水溶液50部及び水100部からなる組成物を混合攪拌し、下塗り層用塗液を調製した。
(6)感熱記録材料の作製
坪量50g/m2の上質紙に、下塗り層用塗液の固形分塗工量が5g/m2、感熱記録層用塗液の固形分塗工量が染料前駆体の塗工量で0.5g/m2、保護層用塗液の固形分塗工量が3g/m2となるようにそれぞれの層を塗工・乾燥し、その後カレンダー処理を行って感熱記録材料を作製した。
実施例2
実施例1の(3)保護層用塗液の作製において、水90部の代わりに、5%アンモニア水2部と水88部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。なお、保護層用塗液のpHは8.5であった。
実施例3
実施例1の(2)保護層用樹脂分散液の合成において、ジアセトンアクリルアミド2部の代わりに、ジアセトンメタクリルアミド2部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例1
実施例1の(2)保護層用樹脂分散液の合成において、ジアセトンアクリルアミド2部の代わりに、アクリルアミド2部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例2
実施例1の(2)保護層用樹脂分散液の合成において、メタクリルアミド20部の代わりに、メタクリル酸メチル20部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
比較例3
実施例1の(3)保護層用塗液の作製において、(2)で作製した保護層用樹脂分散液50部の代わりに、10%ジアセトン変性ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール製DF−17)水溶液100部を用いた以外は、実施例1と同様にして、感熱記録材料を作製した。
以上の実施例1〜3、比較例1〜3で作製した感熱記録材料を下記の評価に供した。その結果を表1に示す。
〔耐水性〕
作製した各感熱記録材料それぞれについて、5cm×5cmのサイズに2枚ずつ切り取り、感熱記録材料の保護層面上に純水を1滴滴下し、その上に保護層面同士が接するように同じ感熱記録材料を重ね、3kgの重りで荷重をかけた状態で、温度40℃且つ湿度90%RHの環境下で24時間静置した。その後、互いの感熱記録材料を剥離し、保護層同士の貼り付き程度より耐水性を評価した。評価基準は以下の指標に従った。
○:保護層同士がほとんど付着せず、容易に剥離できる。
×:保護層同士が付着しており、剥離しにくく、塗層ごと剥がれる箇所がある。
〔バリア性〕
作製した感熱記録材料それぞれについて、大倉電機製ファクシミリ試験機TH−PMDを用いて、ドット密度8ドット/mm、ヘッド抵抗1685Ωのサーマルヘッドを使用し、印加電圧20ボルトで、印加パルス幅1.0ミリ秒で印字した。その後、その印字紙片に軟質塩ビ製フィルム(コクヨ製ソフトカードケース)をのせ、上から100g/cm2の荷重をかけ、40℃下で24時間保存し、処理前後の画像部の光学濃度を濃度計(マクベスRD918)を用い、フィルターホールの位置を黒で測定し、画像部の残存率%[(処理後画像部光学濃度/処理前画像部光学濃度)×100]を求めた。
〔塗液の安定性〕
それぞれの感熱記録材料に使用した保護層用塗液について、作製1週間後の塗液の状態を以下の評価基準に従い評価した。
◎:塗液作製直後と大きな変化が見られない。
○:塗液作製直後に比べ、粘度上昇が見られるが、塗工可能である。
×:粘度が上昇し、流動性がほとんどなく、塗工不可能である。
Figure 2010036419
表1から分かるように、実施例1〜3は、比較例1〜3に比べ、耐水性、バリア性の点で優れている。実施例1は、比較例1に比べ耐水性に優れている。前者はジアセトン基を側鎖に有する樹脂を保護層に用いている。実施例1は、比較例2に比べバリア性に優れている。前者は、メタクリルアミドとジアセトンアクリルアミドの共重合体樹脂を保護層に用いている。実施例1は、比較例3に比べ、耐水性に優れている。後者は、水溶性の高いポリビニルアルコール系樹脂を用いている。

Claims (4)

  1. 支持体上に、熱により発色する感熱記録層及び、樹脂と架橋剤を含有する保護層を順次設けた感熱記録材料において、該保護層に含有される樹脂が、コアシェル構造を有する(メタ)アクリルアミド共重合体であり且つ側鎖にジアセトン基を含有することを特徴とする感熱記録材料。
  2. 該保護層に含有される架橋剤がヒドラジド系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
  3. 該保護層に含有される樹脂が、側鎖に水酸基もしくはカルボキシル基を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感熱記録材料。
  4. 該保護層が、アンモニアを含有する水性塗料の状態で該感熱記録層上に塗工、乾燥して得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録材料。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012056218A (ja) * 2010-09-10 2012-03-22 Mitsui Chemicals Inc 感熱紙保護層用樹脂およびそれを用いた感熱記録材料
JP2013086402A (ja) * 2011-10-20 2013-05-13 Oji Holdings Corp 感熱記録体

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