以下、本発明に係る空気調和機(より詳しくは、空気調和機の室内機)の具体的な実施の形態について説明する。なお、実施の形態1では、空気調和機の室内機を構成する各ユニットの基本構成について説明する。また、実施の形態2以降において、各ユニットの詳細構成又は別の実施例について説明する。また、以下の各実施の形態では、壁掛け型の室内機を例に本発明を説明する。また、各実施の形態で示す図では、各ユニット(又は各ユニットの構成部材)の形状や大きさ等が一部異なる場合もある。
実施の形態1.
<基本構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機(室内機100と称する)を示す縦断面図である。また、図2は、この室内機を示す外観斜視図である。なお、本実施の形態1及び後述する実施の形態では、図1の左側を室内機100の前面側として説明する。以下、図1及び図2に基づいて、室内機100の構成について説明する。
(全体構成)
この室内機100は、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで、室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。室内機100は、主に、室内空気を内部に吸い込むための吸込口2及び空調空気を空調対象域に供給するための吹出口3が形成されているケーシング1と、このケーシング1内に収納され、吸込口2から室内空気を吸い込み、吹出口3から空調空気を吹き出すファン20と、ファン20から吹出口3までの風路に配設され、冷媒と室内空気とで熱交換することで空調空気を作り出す熱交換器50と、を有している。そして、これらの構成要素によりケーシング1内に風路(矢印Z)が連通されている。吸込口2は、ケーシング1の上部に開口形成されている。吹出口3は、ケーシング1の下部(より詳しくは、ケーシング1の前面部下側)に開口形成されている。ファン20は、吸込口2の下流側でかつ、熱交換器50の上流側に配設されており、例えば軸流ファン又は斜流ファン等で構成されている。
また、室内機100には、ファン20の回転数、及び後述する上下ベーン70及び左右ベーン80(後述する補助上下ベーン71が設けられている場合には、補助上下ベーン71も含む)の向き(角度)等を制御する制御装置281を備えている。なお、本実施の形態1及び後述する各実施の形態に示す図面には、制御装置281の図示を省略する場合もある。
このように構成された室内機100においては、ファン20が熱交換器50の上流側に設けられているので、吹出口3にファン20が設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布のバラツキの発生を抑制することができる。このため、空調対象域への快適な送風が可能となる。また、吹出口3にファン等の複雑な構造物がないため、冷房運転時に暖気と冷気の境界で生じる結露の対策も容易となる。さらに、ファンモーター30が空調空気である冷気や暖気にさらされることがないため、長時間の運転寿命を提供することができる。
(ファン)
一般的に、空気調和機の室内機は設置スペースに制約があるため、ファンを大きくできないことが多い。このため、所望の風量を得るために、適度な大きさのファンを複数並列に配置する。本実施の形態1に係る室内機100は、図2に示すように、ケーシング1の長手方向(換言すると、吹出口3の長手方向)に沿って、3個のファン20が並列に配置されている。現在の一般的な空気調和機の室内機の寸法において所望の熱交換能力を得るには、ファン20はおよそ2個〜4個が好ましい。本実施の形態1に係る室内機においては、ファン20はすべて同一形状で構成され、動作回転数をすべて等しく運転することにより全てのファン20でほぼ等しい送風量を得ることができる。
このように構成することにより、必要風量や室内機100内部の通風抵抗に応じてファン20の個数、形状及び大きさ等を組合せることで、多様なスペックの室内機100に対応した最適ファン設計が可能となる。
(ベルマウス)
本実施の形態1に係る室内機100には、ファン20の周りに、ダクト上のベルマウス5が配置されている。ベルマウス5は、ファンへの吸気と排気を滑らかに誘導するためのものである。図1に示すように、本実施の形態1に係るベルマウス5は、平面視において略円形状をしている。また、縦断面において、本実施の形態1に係るベルマウス5は次のような形状をしている。上部5aは、その端部が上方に向かって広がる略円弧形状をしている。中央部5bは、ベルマウスの直径が一定となったストレート部分となっている。下部5cは、その端部が下方に向かって広がる略円弧形状をしている。そして、ベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)で吸込口2を形成している。
本実施の形態1の図1で示したベルマウス5は、ファン20の羽根車の高さより高く構成されたダクト形状となっているが、それに限定したものではなく、ベルマウス5の高さがファン20の羽根車の高さより低く構成されている半開放型のベルマウスでもよい。さらに、ベルマウス5は、図1に示す5bのストレート部分がなく、端部の5a,5cのみで構成されていてもよい。
なお、ベルマウス5は、部品点数の削減や強度向上のため、例えばケーシング1と一体で形成してもよい。また例えば、ベルマウス5、ファン20及びファンモーター30等でモジュール化し、これらとケーシング1を着脱可能な構成として、メンテナンス性を向上してもよい。
また、本実施の形態1においては、ベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)は、ベルマウス5の開口面の周方向に対して、一様形状で構成されている。つまり、ファン20の回転軸20aを中心とした回転方向に対して、ベルマウス5は切り欠きやリブ等の構造が無く、軸対称性を有した一様な形状をしている。
このようにベルマウス5を構成することにより、ファン20の回転に対してベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)が一様な形状をしているので、ファン20の吸込み流れとしても一様な流れが実現される。このため、ファン20の吸込み流れの偏流によって発生する騒音を低減することができる。
(仕切り板について)
図2に示すように、本実施の形態1に係る室内機100は、隣接したファン20の間に、仕切り板90が設けられている。これら仕切り板90は、熱交換器50とファン20の間に設置されている。つまり、熱交換器50とファン20の間の風路が、複数の風路(本実施の形態1では3つ)に分割されている。仕切り板90は、熱交換器50とファン20の間に設置されるため、熱交換器50に接する側の端部が熱交換器50に沿った形状となっている。より詳しくは、図1に示すように、熱交換器50は、室内機100の前面側から背面側にかけての縦断面(つまり、室内機100を右側から見た縦断面。以下、右側縦断面と称する)において、略Λ型に配置されている。このため、仕切り板90の熱交換器50側端部も略Λ型となっている。
なお、仕切り板90のファン20側端部の位置は、例えば次のように決定すればよい。隣接するファン20が吸込側において互いに影響を生じない程度に十分離れている場合、仕切り板90のファン20側の端部は、ファン20の出口面までとすればよい。しかし、隣接するファン20が吸込側において互いに影響を及ぼす程度に近づいている場合で、さらにベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)の形状が十分に大きく形成できる場合、仕切り板90のファン20側の端部は、隣接する風路に影響を与えないように(隣接するファン20が吸込側において互いに影響を及ぼさないように)、ファン20の上流側(吸入側)まで延設してもよい。
また、仕切り板90は、種々の材質で形成することができる。例えば、スチールやアルミ等の金属で仕切り板90を形成してもよい。また例えば、樹脂等で仕切り板90を形成してもよい。ただし、熱交換器50は暖房運転のときに高温となるため、仕切り板90が樹脂等のような低融点の材質で形成されている場合、仕切り板90と熱交換器50との間にわずかな空間を形成するとよい。仕切り板90がアルミやスチール等の融点が高い材質の場合、仕切り板90を熱交換器50と接するように配置してもよい。熱交換器50が例えばフィンチューブ型熱交換器の場合、熱交換器50のフィン間に仕切り板90を挿入してもよい。
上述したように、熱交換器50とファン20の間の風路が、複数の風路(本実施の形態1では3つ)に分割されている。この風路内、つまり、仕切り板90やケーシング1等に吸音材を設けて、ダクト内で生じる騒音を低減することもできる。
また、これら分割された風路は、平面視において、一辺がL1及びL2となった略四角形状に形成されている。つまり、分割された風路の幅が、L1及びL2となっている。このため、例えば、L1,L2で形成された略四角形状の内部に設置されたファン20が生じる風量は、確実にファン20の下流にあるL1,L2で囲まれた領域の熱交換器50を通過する。
このようにケーシング1内の風路を複数の風路に分割することにより、ファン20が下流に作る流れ場が旋回成分を有していても、各ファン20から吹き出された空気が室内機100の長手方向(図1紙面直交方向)に自由に移動できなくなる。このため、ファン20が吹き出した空気は、このファン20の下流にあるL1,L2で囲まれた領域の熱交換器50に通過させることが可能となる。その結果として、熱交換器50全体に流入する室内機100の長手方向(図1紙面直交方向)の風量分布のバラツキを抑制し、高い熱交換性能を有すことができる。また、ケーシング1内を仕切り板90で分断することで、互いに隣接したファン20同士において、隣接したファン20の発生する旋回流との干渉を防ぐことができる。このため、旋回流同士の干渉による流体のエネルギーのロスを抑制することができ、風速分布の改善と合わせて、室内機100の圧力損失低減が可能となる。なお、各仕切り板90は一枚の板で形成されている必要はなく、複数の板で形成されていてもよい。例えば、仕切り板90を前面側熱交換器51側と背面側熱交換器55側で二分割してもよい。言うまでもなく仕切り板90を構成する各板どうしの接合箇所には隙間はない方が好ましい。仕切り板90を複数に分割することにより、仕切り板90の組み付け性が向上する。
(ファンモーター)
ファン20はファンモーター30で回転駆動される。用いられるファンモーター30は、インナーローター型でもよいし、アウターローター型でもよい。アウターローター型のファンモーター30の場合には、ローターをファン20のボス21と一体にした構造(ボス21にローターを持たせる)のものも用いられる。また、ファンモーター30の寸法をファン20のボス21の寸法よりも小さくすることで、ファン20の生成する気流に損失を与えることを防止できる。さらに、ボス21の内部にモーターを配設することで、軸方向寸法も小さくすることができる。ファンモーター30とファン20を着脱容易な構造とすることにより、メンテナンス性も向上する。
なお、ファンモーター30として比較的コストの高いDCブラシレスモーターを用いることにより、効率の向上、長寿命化及び制御性の向上を図ることができるが、他の形式のモーターを採用しても空気調和機としての一次機能が満足されることは言うまでもない。 また、ファンモーター30駆動用の回路は、ファンモーター30と一体にしてもよいし、外部で構成して防塵、防火対策を施すこともできる。
ファンモーター30は、モーターステイ16により、ケーシング1に取り付けられている。さらに、ファンモーター30をCPU冷却等に用いられるボックス型(ファン20、筐体、ファンモーター30、ベルマウス5、及びモーターステイ16等が一体でモジュール化されているもの)とし、ケーシング1と着脱可能な構造とすれば、メンテナンス性が向上し、ファン20のチップクリアランスの精度も高くすることができる。一般に、チップクリアランスが狭い方が、送風性能が高く好ましい。
なお、ファンモーター30の駆動回路は、ファンモーター30内部に構成しても良いし、外部にあってもよい。
(モーターステイ)
モーターステイ16は、固定部材17及び支持部材18を備えている。固定部材17は、ファンモーター30が取り付けられるものである。支持部材18は、固定部材17をケーシング1へ固定するための部材である。支持部材18は、例えば棒状のものであり、固定部材17の外周部から例えば放射状に延設されている。図1に示すように、本実施の形態1に係る支持部材18は、およそ水平方向に延設されている。なお、支持部材18は、翼形状や板形状として静翼効果を与えてもよい。
(熱交換器)
本実施の形態1に係る室内機100の熱交換器50は、ファン20の風下側に配置されている。この熱交換器50には、例えばフィンチューブ型熱交換器等を用いるとよい。熱交換器50は、図1に示すように、右側縦断面において、対称線50aで分断されている。対称線50aは、この断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。つまり、前面側熱交換器51は対称線50aに対して前面側(図1の紙面左側)に、背面側熱交換器55は対称線50aに対して背面側(図1の紙面右側)に、それぞれ配置されている。そして、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との間の間隔が空気の流れ方向に対して広がるように、つまり右側縦断面において熱交換器50の断面形状が略Λ型となるように、ケーシング1内に配置されている。つまり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して傾斜を有するように配置されているのである。
さらに、熱交換器50は、背面側熱交換器55の風路面積が前面側熱交換器51の風路面積よりも大きくなっていることを特徴としている。つまり、熱交換器50は、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。本実施の形態1では、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。これにより、背面側熱交換器55の風路面積は、前面側熱交換器51の風路面積よりも大きくなっている。なお、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のその他の構成(図1における奥行き方向の長さ等)は、同じとなっている。つまり、背面側熱交換器55の伝熱面積は、前面側熱交換器51の伝熱面積よりも大きくなっている。また、ファン20の回転軸20aは、対称線50aの上方に設置されている。
このように熱交換器50を構成することにより、吹出口にファンが設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布の発生を抑制することができる。また、このように熱交換器50を構成することにより、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなる。そして、この風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。
また、本実施の形態1に係る室内機100においては、背面側熱交換器55から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態1に係る室内機100は、右側縦断面において熱交換器50を略v型に配置する場合と比べて、熱交換器50を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。
室内機100は、ファン20を複数個有するため、重量が重くなりがちである。室内機100が重くなると、室内機100を据付けするための壁面の強度が必要とされ、据付け上の制約となる。このため、熱交換器50の軽量化を図ることが好ましい。また、室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20を配置するので、室内機100の高さ寸法が大きくなり、据付け上の制約となりがちである。このため、熱交換器50を軽量化することが好ましい。また、熱交換器50を小型化することが好ましい。
そこで、本実施の形態1では、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)としてフィンチューブ型熱交換器を用い、熱交換器50の小型化を図っている。より詳しくは、本実施の形態1に係る熱交換器50は、所定の間隙を介して積層された複数のフィン56と、これらフィン56を貫通する複数の伝熱管57と、を備えている。本実施の形態1では、ケーシング1の左右方向(図1の紙面直交方向)に、フィン56を積層している。つまり、伝熱管57は、ケーシング1の左右方向(図1の紙面直交方向)に沿って、フィン56を貫通している。また、本実施の形態1では、熱交換器50の熱交換効率を向上させるため、熱交換器50の通風方向(フィン56の幅方向)に伝熱管57を2列配置している。これら伝熱管57は、右側縦断面において略千鳥形状に配置されている。
また、伝熱管57を直径が細い(直径3mm〜7mm程度)円管で構成し、伝熱管57を流れる冷媒(室内機100及びこの室内機100を備えた空気調和機に用いられる冷媒)をR32とすることにより、熱交換器50の小型化を図っている。つまり、熱交換器50は、伝熱管57の内部を流れる冷媒と室内空気とがフィン56を介して熱交換するものである。このため、伝熱管57を細くした場合、伝熱管の径が太い熱交換器と比べ、同一冷媒循環量では冷媒の圧力損失が大きくなる。しかしながら、R32は、R410Aと比べ、同一温度における蒸発潜熱が大きく、より少ない冷媒循環量で同一能力を発揮できる。このため、R32を使用することにより、使用する冷媒量の削減が可能となり、熱交換器50において圧力損失の低減ができる。したがって、伝熱管57を細い円管で構成し、冷媒としてR32を用いることにより、熱交換器50を小型化することができる。
また、本実施の形態1に係る熱交換器50では、フィン56及び伝熱管57をアルミニウム又はアルミニウム合金で形成することにより、熱交換器50の軽量化を図っている。なお、熱交換器50の重量が据付状の制約とならない場合、伝熱管57を銅で構成しても勿論よい。
(フィンガーガード&フィルター)
また、本実施の形態1に係る室内機100は、吸込口2に、フィンガーガード15やフィルター10が設けられている。フィンガーガード15は、回転するファン20に手を触れることができないようにする目的で設置されているものである。このため、フィンガーガード15の形状は、ファン20に手を触れることができなければ任意である。例えば、フィンガーガード15の形状は、格子状でもよいし、多数の大小異なるリングで構成されたような円形状でもよい。また、フィンガーガード15は、樹脂等の材料で構成しても金属の材料で構成してもよいが、強度が必要な場合、金属で構成することが望ましい。また、フィンガーガード15は、通風抵抗の低下と強度の保持の観点からできるだけ細く、強い材料や形状が好ましい。フィルター10は、室内機100の内部へ粉塵が流入することを防止するために設けられているものである。フィルター10は、着脱自在にケーシング1に設けられている。また、図示しないが、本実施の形態1に係る室内機100は、フィルター10を自動で掃除する自動清掃機構を備えていてもよい。
(風向制御ベーン)
また、本実施の形態1に係る室内機100は吹出口3に、気流の吹出し方向を制御する機構である上下ベーン70と左右ベーン(図示せず)が設けられている。
(ドレンパン)
図3は、本発明の実施の形態1に係る室内機を前面右側から見た斜視図である。図4は、この室内機を背面右側から見た斜視図である。図5は、この室内機を前面左側から見た斜視図である。また、図6は、本発明の実施の形態1に係るドレンパンを示す斜視図である。なお、ドレンパンの形状の理解を容易とするため、図3及び図4では室内機100の右側を断面で示し、図5では室内機100の左側を断面で示している。
前面側熱交換器51の下端部(前面側熱交換器51の前面側端部)の下方には、前面側ドレンパン110が設けられている。背面側熱交換器55の下端部(背面側熱交換器55の背面側端部)の下方には、背面側ドレンパン115が設けられている。なお、本実施の形態1では、背面側ドレンパン115とケーシング1の背面部1bが一体で形成されている。この背面側ドレンパン115には、左側端部及び右側端部の双方に、ドレンホース117が接続される接続口116が設けられている。なお、接続口116の双方へドレンホース117を接続する必要はなく、どちらか一方の接続口116へドレンホース117を接続すればよい。例えば、室内機100の据付工事の際に室内機100の右側へドレンホース117を引き出したい場合、背面側ドレンパン115の右側端部に設けられた接続口116へドレンホース117を接続し、背面側ドレンパン115の左側端部に設けられた接続口116はゴムキャップ等で閉塞すればよい。
前面側ドレンパン110は、背面側ドレンパン115よりも高い位置に配置されている。また、前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115との間には、左側端部及び右側端部の双方に、ドレンの移動路となる排水路111が設けられている。排水路111は、前面側の端部が前面側ドレンパン110と接続されており、前面側ドレンパン110から背面側ドレンパン115に向かって下方に傾斜するように設けられている。また、排水路111の背面側の端部には、舌部111aが形成されている。排水路111の背面側の端部は、背面側ドレンパン115の上面に覆い被さるように配置されている。
冷房運転時、熱交換器50で室内空気が冷却される際、熱交換器50に結露が発生する。そして、前面側熱交換器51に付着した露は、前面側熱交換器51の下端部から滴下し、前面側ドレンパン110で回収される。背面側熱交換器55に付着した露は、背面側熱交換器55の下端部から滴下し、背面側ドレンパン115で回収される。
また、本実施の形態1では背面側ドレンパン115よりも高い位置に前面側ドレンパン110を設けているので、前面側ドレンパン110で回収されたドレンは、背面側ドレンパン115の方へ向かって排水路111を流れる。そして、このドレンは、排水路111の舌部111aから背面側ドレンパン115へ滴下し、背面側ドレンパン115で回収される。背面側ドレンパン115で回収されたドレンは、ドレンホース117を通って、ケーシング1(室内機100)の外部へ排出される。
本実施の形態1のように、背面側ドレンパン115よりも高い位置に前面側ドレンパン110を設けることにより、両ドレンパンで回収されたドレンを、背面側ドレンパン115(最もケーシング1の背面側に配置されたドレンパン)に集めることができる。このため、背面側ドレンパン115にドレンホース117の接続口116を設けることにより、前面側ドレンパン110及び背面側ドレンパン115で回収されたドレンをケーシング1の外部へ排出することができる。したがって、ケーシング1の前面部等を開けて室内機100のメンテナンス(熱交換器50の清掃等)を行う場合等、ドレンホース117の接続されたドレンパンを着脱等する必要がなく、メンテナンス等の作業性が向上する。
また、排水路111が左側端部及び右側端部の双方に設けられているので、室内機100が傾いた状態で設置されても、前面側ドレンパン110で回収されたドレンを確実に背面側ドレンパン115へ導くことができる。また、ドレンホース117を接続する接続口が左側端部及び右側端部の双方に設けられているので、室内機100の据付条件に応じてホースの引き出し方向を選択することができ、室内機100を設置する際の作業性が向上する。また、排水路111が背面側ドレンパン115の上方に覆い被さるように配置されているので(つまり、排水路111と背面側ドレンパン115との間に接続機構が不要となるので)、前面側ドレンパン110を着脱することが容易となり、メンテナンス性がより向上する。
なお、排水路111の背面側の端部を背面側ドレンパン115と接続し、前面側ドレンパン110が排水路111の上方に覆い被さるように、排水路111を配置してもよい。このような構成でも、排水路111が背面側ドレンパン115の上方に覆い被さるように配置された構成と同様の効果を得ることができる。また、前面側ドレンパン110が背面側ドレンパン115よりも高い必要は必ずしもなく、前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115が同じ高さであっても、両ドレンパンで回収したドレンを背面側ドレンパン115に接続されたドレンホースから排出することができる。
(ノズル)
また、本実施の形態1に係る室内機100は、右側縦断面において、ノズル6の入り口側の開口長さd1(前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115部分との間で定義されるドレンパン間の絞り長さd1)が、ノズル6の出口側の開口長さd2(吹出口3の長さ)よりも大きく構成されている。つまり、室内機100のノズル6は、d1>d2となっている(図1参照)。
ノズル6がd1>d2となっているのは、次のような理由のためである。なお、d2は室内機の基本機能の一つである気流の到達性に影響するため、以下では、本実施の形態1に係る室内機100のd2が従来の室内機の吹出口と同程度の長さであるとして説明する。
縦断面におけるノズル6の形状をd1>d2とすることにより、空気の風路が大きくなると共に、上流側に配置された熱交換器50の角度A(熱交換器50の下流側における前面側熱交換器51と背面側熱交換器55とがなす角度)を大きくすることが可能となる。このため、熱交換器50に生じる風速分布が緩和されると共に、熱交換器50の下流の空気の風路を大きく形成できるため、室内機100全体の圧力損失の低減が可能となる。さらに、ノズル6の入口付近に生じていた風速分布の偏りを、縮流する効果によって均一化し、吹出口3に案内することができる。
例えばd1=d2の場合、ノズル6の入口付近で生じた風速分布の偏り(例えば、背面側に偏った流れ)が、そのまま吹出口3における風速分布の偏りとなる。つまり、d1=d2の場合、風速分布の偏りを持った状態で、吹出口3から空気が吹き出される。また、例えばd1<d2の場合、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過した空気がノズル6の入口付近で合流する際、縮流損失が大きくなってしまう。このため、d1<d2の場合、吹出口3のディフューズ効果が得られなければ、縮流損失分の損失が発生する。
(ANC)
また、本実施の形態1に係る室内機100は、図1に示すように能動的消音機構が設置されている。
より詳しくは、本実施の形態1に係る室内機100の消音機構は、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191、及び信号処理装置201により構成されている。騒音検出マイクロホン161は、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)を検出する騒音検出装置である。この騒音検出マイクロホン161は、ファン20と熱交換器50との間に配置されている。本実施の形態1では、ケーシング1内の前面部に設けられている。制御スピーカー181は、騒音に対する制御音を出力する制御音出力装置である。この制御スピーカー181は、騒音検出マイクロホン161の下側であって、熱交換器50の上側に配置されている。本実施の形態1では、ケーシング1内の前面部に、風路の中央を向くように設けられている。消音効果検出マイクロホン191は、制御音による消音効果を検出する消音効果検出装置である。この消音効果検出マイクロホン191は、吹出口3から出てくる騒音を検出するため、吹出口3近傍に設けられている。また、消音効果検出マイクロホン191は、吹出口3から出てくる吹出空気に当たらないように、風流を避けた位置に取り付けられている。信号処理装置201は、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191の検出結果に基づき、制御スピーカー181に制御音を出力させる制御音生成装置である。信号処理装置201は、例えば制御装置281に収容されている。
図8は、本発明の実施の形態1に係る信号処理装置を示す構成図である。騒音検出マイクロホン161、及び消音効果検出マイクロホン191から入力された電気信号はマイクアンプ151により増幅され、A/D変換器152によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号はFIRフィルター158、及びLMSアルゴリズム159に入力される。FIRフィルター158では騒音検出マイクロホン161で検出した騒音が、消音効果検出マイクロホン191が設置されている場所に到達したときの騒音と同振幅・逆位相となるように補正をかけた制御信号を生成し、D/A変換器154によりデジタル信号からアナログ信号に変換された後、アンプ155により増幅され、制御スピーカー181から制御音として放出される。
空気調和機が冷房運転する場合等、図7に示すように、熱交換器50と吹出口3の間の領域Bは、冷気により温度が低下するため、空気中の水蒸気が水滴となって現れる結露が発生する。このため、室内機100には、吹出口3付近に水滴が吹出口3から出てこないようにするための水受け等(図示せず)が取り付けられている。なお、熱交換器50の上流である騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181が配置される領域は、冷気により冷やされる領域の上流にあたるため、結露が生じない。
次に室内機100の運転音の抑制方法について説明する。室内機100におけるファン20の送風音を含む運転音(騒音)は、ファン20と熱交換器50との間に取り付けられた騒音検出マイクロホン161で検出してマイクアンプ151、A/D変換器152を介してデジタル信号となり、FIRフィルター158とLMSアルゴリズム159に入力される。
FIRフィルター158のタップ係数はLMSアルゴリズム159により逐次更新される。LMSアルゴリズム159にてタップ係数は式1(h(n+1)=h(n)+2・μ・e(n)・x(n))に従って更新され、誤差信号eがゼロに近づくように最適なタップ係数が更新される。
なお、h:フィルターのタップ係数、e:誤差信号、x:フィルター入力信号、μ:ステップサイズパラメータであり、ステップサイズパラメータμはサンプリングごとのフィルター係数更新量を制御するものである。
このように、LMSアルゴリズム159でタップ係数が更新されたFIRフィルター158を通過したデジタル信号は、D/A変換器154にてアナログ信号に変換され、アンプ155で増幅され、ファン20と熱交換器50との間に取り付けられた制御スピーカー181から制御音として室内機100内の風路に放出される。
一方、室内機100の下端で、吹出口3から放出される風が当たらないように吹出口3の外側壁方向に取り付けられた消音効果検出マイクロホン191には、ファン20から風路を通って伝播し吹出口3から出てくる騒音に制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。上述したLMSアルゴリズム159の誤差信号には、消音効果検出マイクロホン191で検出された音を入力しているため、この干渉後の音がゼロに近づくようにFIRフィルター158のタップ係数が更新されることになる。その結果、FIRフィルター158を通過した制御音により吹出口3近傍の騒音を抑制することができる。
このように、能動的消音方法を適用した室内機100においては、騒音検出マイクロホン161と制御スピーカー181をファン20と熱交換器50との間に配置し、消音効果検出マイクロホン191を吹出口3からの風流が当たらない箇所に取り付けている。このため、結露が起きる領域Bに能動的消音の必要部材を取り付けなくて済むため、制御スピーカー181、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191への水滴の付着を防止し、消音性能の劣化やスピーカーやマイクロホンの故障を防ぐことができる。
なお、本実施の形態1で示した騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191の取り付け位置は、あくまでも一例である。例えば、図9に示すように、騒音検出マイクロホン161と制御スピーカー181と共に、消音効果検出マイクロホン191をファン20と熱交換器50との間に配置してもよい。また、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果の検出手段としてマイクロホンを例に挙げたが、ケーシングの振動を検知する加速度センサー等で構成されてもよい。また、音を空気流れの乱れとして捉え、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果を、空気流れの乱れとして検出してもよい。つまり、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果の検出手段として、空気流れを検出する流速センサー、熱線プローブ等を用いてもよい。マイクロホンのゲインを上げて、空気流れを検出することも可能である。
また、本実施の形態1では、信号処理装置201にてFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、消音効果検出マイクロホン191で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。さらに、信号処理装置201は適応信号処理ではなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしても良い。また、信号処理装置201はデジタル信号処理ではなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
さらに、本実施の形態1では結露が起こるような空気の冷却を行う熱交換器50を配置した場合について記載したが、結露が起きない程度の熱交換器50を配置する場合であっても適用でき、熱交換器50による結露発生の有無を考慮せずに騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191等の性能劣化を防止できる効果がある。
実施の形態2.
<ファン&ファンモーター>
本実施の形態2〜実施の形態14では、実施の形態1に係る室内機100に設けられるファン20の一例について説明する。
実施の形態1に係る室内機100に設けられるファン20は、例えば以下のように構成してもよい。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図10は、本発明の実施の形態2に係るファンの一例を示す正面図である。なお、以下でファン20を示す図において、ファン20が室内機100に設けられた状態で室内機100を平面視したときのファン20を、ファン20の正面図としている。
本実施の形態2に係るファン20は、回転中心となるボスの外周面に複数の羽根が設けられた、軸流ファンや斜流ファン等である。このファン20は、羽根車25及び筐体26を備えている。
羽根車25は、回転中心となるボス21、ボス21の外周面に支持された複数の羽根23(主羽根)、及び羽根23の外周側に設けられたリング状部材22を備えている。また、本実施の形態2に係る羽根車25は、内周側(ボス21側)に向かってリング状部材22に支持された複数の副羽根24を備えている。これら副羽根24は、ボス21の外周面に支持されていない。これにより、ファン20に設けられた羽の枚数(羽根23の枚数+副羽根24の枚数)を増加させている。
この羽根車25の外周側には、羽根車25の外周部と所定の空隙を介して、筐体26が設けられている。つまり、羽根車25は筐体26に収められている。羽根車25のボス21はファンモーター30(図示せず)と接続されており、このファンモーターの駆動力によって羽根車25が回転する。
ここで、本実施の形態2に示す構成によってファン20の羽根枚数を増やすことの効果を説明する。図11は、羽根の設置構成(設置姿勢や設置枚数等)と空力性能との関係を説明する説明図である。なお、図11(a)は、軸流ファンや斜流ファンに用いられる一般的な羽根車を示す正面図である。また、図11(b)は、図11(a)に一点鎖線で示した位置の円筒断面を平面展開した翼列の断面図である。
翼列の空力性能は、翼弦長L及び隣合う羽根の間隔tにより定義される弦節比σ=L/tで関係付けられる。ここで、翼弦長Lは、羽根303の前縁と後縁とを結んだ直線の長さである。一般的に、弦節比σが一定である相似形の翼列は、ほぼ等しい空力性能が得られることがわかっている。つまり、翼弦長Lの短い羽根で翼弦長Lの長い羽根と等しい空力性能を得るには、羽根の枚数を増やせば良いことがわかる。
しかしながら、従来の構成で羽根の枚数を増加させることは、ボス301の外周面に支持される羽根303の枚数が増加することを意味する。羽根肉厚の薄型化には製造上、強度上の制約と限界があるため、羽根303の枚数を増やすことにより、ボス301周辺部の風路を塞いでしまうこととなる。このため、従来の構成で羽根303の枚数を増加させた場合、ボス301周辺部の風量が低下してしまう。
また、羽根303の枚数を増加させずに翼弦長Lを短くする構成としては、羽根303の取付け角を変更するという構成も考えられる。しかしながら、羽根303の取付け角を変更すると、気流と羽根303の迎角が変わる。このため、ファンは、効率の高い動作風量が変化してしまい、従来ファンとの互換性が損なわれてしまう。
一方、本実施の形態2に示す構成によってファン20(羽根車25)の羽根枚数を増やす場合、ボス21に支持される羽根の枚数を増加させる必要がない。副羽根24は、リング状部材22、つまりボス21以外に接続されているからである。このため、ボス21周辺部の風量が低下することなく、翼弦長Lを短くすることができる。また、羽根23及び副羽根24は、迎角を変更する必要もない。
以上、このように構成されたファン20においては、ファン20のファン効率を維持しつつ、副羽根24が配置された範囲における羽根23の翼弦長Lを短くすることができる。このため、ファン20は、ファン効率を維持しつつ、薄型化(羽根車25の回転軸方向の寸法を低減させること)が可能となる。
なお、副羽根24の支持構成は、図10の構成に限定されるものではない。図12は、本発明の実施の形態2に係るファンの別の一例を示す正面図である。
図12に示すファン20は、羽根23の外周部に突片23aが設けられている。そして、副羽根24は、内周側(ボス21側)に向かってこの突片23aに支持されている。つまり、ファン20は、リング状部材22を複数に分断した構成となっている。
図13は、本発明の実施の形態2に係るファンのさらに別の一例を示す正面図である。図10及び図12に示したファン20は、羽根23に設けられた部材(リング状部材22、突片23a)によって支持されていた。一方、図13に示すファン20は、羽根23に副羽根24が直接支持されている。
つまり、副羽根24は、ボス21以外に支持されていればよいということである。副羽根24がボス21以外に支持されていれば、ファンのファン効率を維持しつつ、副羽根24が配置された範囲における羽根23の翼弦長Lを短くすることができる。このため、ファン20は、ファン効率を維持しつつ、薄型化(羽根車25の回転軸方向の寸法を低減させること)が可能となる。
実施の形態3.
実施の形態2で示したように、副羽根24を支持する構成には、種々の構成を採用することができる。この中でも、リング状部材22で副羽根24を支持する構成は、以下のような効果を得ることもできる。なお、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態2と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図14は、本発明の実施の形態3に係るファンの一例を示す縦断面図である。本実施の形態3に係るファン20は、実施の形態2の図10で示したファン20と同様に、リング状部材22によって副羽根24を支持している。つまり、各羽根23の外周部は、リング状部材22によって連結されている。換言すると、各羽根23は、ボス21に加え、リング状部材22によっても支持されている。
ボス21に支持される羽根23は、羽根車25の回転によって遠心力が作用するため、ボス21との接合部分の強度対策が必要になる。このため、内周側(ボス21側)の翼肉厚を厚くして翼弦長を長くする必要性や、羽根23の外周側(筐体26側)の重量を小さくする設計制約が生じる。
しかしながら、本実施の形態3に係るファン20においては、羽根車25の回転によって羽根23に作用する遠心力は、リング状部材22によっても支持される。このため、羽根23のボス21との接合部分における翼肉厚や翼弦長等、羽根23の設計自由度を高くすることができる。
なお、図14では、羽根23と副羽根24の形状が異なっているが、羽根23と副羽根24の形状(より詳しくは接合箇所を除く形状)を等しくてもよい。
実施の形態4.
例えば、実施の形態2及び実施の形態3で説明した副羽根24を、以下のように支持することも可能である。なお、本実施の形態4において、特に記述しない項目については実施の形態2又は実施の形態3と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図15は、本発明の実施の形態4に係るファンの一例を示す正面図である。
本実施の形態4に係るファン20は、図10で示したファン20に、リング状部材23bが追加されている。リング状部材23bは、各羽根23の略中央部を接続するように設けられている。そして、副羽根24は、羽根23の外周部に設けられたリング状部材22に加え、このリング状部材23bにも支持されている。
このように構成されたファン20においては、副羽根24を2箇所で支持することができるため、副羽根24の振動を抑制し、副羽根24の強度を向上することができる。
なお、副羽根24の支持構成は、図15の構成に限定されるものではない。
図16は、本発明の実施の形態4に係るファンの別の一例を示す正面図である。
図16に示すファン20は、図10で示したファン20に、突片23cが追加されている。突片23cは、各羽根23の略中央部に設けられている。そして、副羽根24は、羽根23の外周部に設けられたリング状部材22に加え、この突片23cにも支持されている。つまり、ファン20は、ファン20のリング状部材23bを複数に分断した構成となっている。
また例えば、図12で示したファン20にリング状部材23bや突片23cを設け、副羽根24を2箇所で支持する構成としてもよい。また例えば、図13で示したファン20に実施の形態2で示したリング状部材22や突片23aを設け、副羽根24を2箇所で支持する構成としてもよい。また例えば、図15及び図16で示したファン20の副羽根24を、隣接する羽根23に直接支持させてもよい。このように構成することにより、副羽根24を2箇所以上で支持することができる。
つまり、副羽根24が複数の箇所で支持されていればよいということである。副羽根24が複数の箇所で支持されていれば、副羽根24の振動を抑制し、副羽根24の強度を向上することができる。
実施の形態5.
実施の形態2〜実施の形態4までは、羽根23と副羽根24の枚数を同数とし、回転方向においてこれらを交互に配置していた。これに限らず、羽根23及び副羽根24は、例えば以下のように配置することができる。なお、本実施の形態5において、特に記述しない項目については実施の形態2〜実施の形態4と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図17は、本発明の実施の形態5に係るファンの一例を示す正面図である。
図17に示すファン20は、副羽根24が3枚であるのに対し、羽根23が6枚設けられている。そして、羽根車25の回転方向に見た場合、羽根23が2枚設けられた後に副羽根24が1枚設けられている。これら羽根23及び副羽根24は、隣接する羽根の間隔(周方向間隔)がほぼ均一となっている。
図18は、本発明の実施の形態5に係るファンの別の一例を示す正面図である。
図18に示すファン20は、副羽根24が6枚であるのに対し、羽根23が3枚設けられている。そして、羽根車25の回転方向に見た場合、羽根23が1枚設けられた後に副羽根24が2枚設けられている。これら羽根23及び副羽根24は、隣接する羽根の間隔(周方向間隔)がほぼ均一となっている。
このように副羽根24の枚数を羽根23の枚数の約数又は倍数とし、羽根23及び副羽根24の間隔(周方向間隔)をほぼ均一に構成することで、種々の設計仕様の羽根車において、回転時も動バランスを保ち、安定した動作が可能な羽根車を得ることができる。
実施の形態6.
実施の形態2〜実施の形態5においては、外部駆動のファンモーター30をボス21に接続し、羽根車25を回転させていた。これに限らず、例えば以下のような構成のファンモーター30によって羽根車25を回転させてもよい。なお、本実施の形態6において、特に記述しない項目については実施の形態2〜実施の形態5と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。また、以下の説明では、実施の形態3で示したファン20に本実施の形態6に係るファンモーター30を採用した場合について説明する。
図19は、本発明の実施の形態6に係るファンの一例を示す縦断面図である。
本実施の形態6に係るファン20は、以下の点が実施の形態3で示したファン20と異なる。まず、本実施の形態6に係るファン20は、実施の形態3のファン20に設けられていた外部駆動のファンモーター30(ボス21と接続されていたモーター)が設けられていない。そして、外部駆動のファンモーター30に換えて、後述するローター31とステーター40を備えたファンモーター30が設けられている。
より詳しくは、ローター31は羽根車25の外周部に設けられている。本実施の形態6に係るファン20はその外周部にリング状部材22が設けられているので、ローター31をリング状部材22の外周部に設けている。また、ステーター40は、ローター31と対向するように筐体26に設けられている(配置されている)。そして、これらローター31及びステーター40を備えたファンモーター30の駆動力で、羽根車25が回転する。
このように構成されたファン20においては、外部駆動のファンモーターを設置するペースが不要となる。このため、ファン20をより薄型化することが可能となる。また、径の大きな箇所でファンモーター30を構成することができるので、同等の磁気吸引力の発生(等しいモーター消費電力)でも大きなトルクの生成が容易となる。このため、同等コストでの高効率化が可能で、又は同等性能のモーターを安価な磁石や電機子で構成することが可能になることにより、小型で安価なファン20を得ることもできる。
なお、本実施の形態6では実施の形態3に係るファン20に本実施の形態6に係るファンモーター30を採用した例について説明したが、実施の形態2、実施の形態4及び実施の形態5に係るファン20に本実施の形態6に係るファンモーター30を採用しても勿論よい。
実施の形態7.
ファン20にリング状部材22等が設けられている場合、例えば、本実施の形態7のようにファン20を構成してもよい。なお、本実施の形態7においては、実施の形態2〜実施の形態6と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図20は、本発明の実施の形態7に係るファンの一例を示す概略構成図である。なお、図20(a)がファンの正面図であり、図20(b)がファンの側面断面図である。
図20に示すファン20は、回転中心となるボス21の外周面に複数の羽根23が設けられた、軸流ファンや斜流ファン等である。このファン20は、羽根車25及び筐体26を備えている。
羽根車25は、ボス21、ボス21の外周面に設けられた複数の羽根23、及び羽根23の外周側に設けられたローター31を備えている。例えば、ローター31は、羽根23の外周側にリング状部材22等を設け、このリング状部材22を磁性体の素材で形成することにより構成する。また例えば、ローター31は、羽根23の外周側にリング状部材22等を設け、このリング状部材22の外周側に磁石の貼り付けや埋め込み等を行うことよって構成する。
この羽根車25は、筐体26に収められている。筐体26は、羽根車25の外周側(より詳しくはローター31の外周側)と対向する面(以下、内周部と称する)に、ステーター40が設けられている。つまり、ローター31とステーター40は対向配置されている。これらローター31及びステーター40により構成されるファンモーター30の駆動力で、羽根車25が回転する。
なお、図20に示すファン20は、本発明の実施の形態7に示すファンの一例である。本実施の形態7に係るファンは、例えば以下のようなファンでもよい。
図21は、本発明の実施の形態7に係るファンの別の一例を示す概略構成図である。なお、図21(a)がファンの正面図であり、図21(b)がファンの羽根の外周部を示す斜視図である。また、図21(b)に示す矢印は、羽根の回転方向である。
図21に示すファン20は、羽根23の外周部(外周端)にウイングレットのような小翼250が設けられている。例えば、ローター31は、この小翼250を磁性体の素材で形成することにより構成する。また例えば、ローター31は、この小翼250の外周側に磁石の貼り付けや埋め込み等を行うことよって構成する。
このように構成された本実施の形態7に係るファン20は、ファン効率を向上させるため、凸部251が設けられている。なお、凸部251の設置例(形成例)を示した以下の図22〜図24では、羽根23の外周部にリング状部材22が設けられたファン20を例に説明する。
例えば図22に示すように、凸部251は、空気吸入側となる位置に設けてもよい。また、この凸部251は、図22(a)に示すように、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)に設けられてもよい。また例えば、この凸部251は、図22(b)に示すように、筐体26の内周部に設けられてもよい。
また、例えば図23に示すように、凸部251は、空気吐出側となる位置に設けてもよい。また、この凸部251は、図23(a)に示すように、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)に設けられてもよい。また例えば、この凸部251は、図23(b)に示すように、筐体26の内周部に設けられてもよい。
また、図22及び図23に示した凸部251は、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)と筐体26の内周部の双方に設けてもよい。つまり、双方に設けられた凸部251が、互いに対向するように設けてもよい。
また、例えば図24に示すように、凸部251は、空気吸入側及び空気吐出側の双方に設けてもよい。また、この凸部251は、図24(a)に示すように、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)に設けられてもよい。また例えば、この凸部251は、図24(b)に示すように、筐体26の内周部に設けられてもよい。
また、図24に示した凸部251は、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)と筐体26の内周部の双方に設けてもよい。例えば、空気吸入側の凸部251を羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)に設け、空気吐出側の凸部251を羽根車25の外周部に設けてもよい。これらの形成位置を逆にしても勿論よい。
以上、このように構成されたファン20においては、凸部251を設けることにより、羽根車25と筐体26との間の最も短い部分の距離をローター31とステーター40との間の距離よりも短くできる。このため、以下のような効果を得ることができる。
モーターの効率を向上させようとした場合、ローターとステーターとの間の距離は短い方が好ましい(ローターとステーターとの間に形成される隙間が小さい方が好ましい)。しかしながら、羽根車の外周部にローターを備え、筐体側にステーターを備えた従来のファンは、ローターとステーターとの間の距離を短くした場合、ローターとステーターとの間に発生する磁力により、羽根車が振動してしまう。また、この振動により、騒音が発生してしまう。これらの振動や騒音を防止するためにローターとステーターとの間の距離を大きくすると、羽根周辺部には、ファン効率の低下原因となる気流が発生してしまう。
図25は、羽根周辺部に発生する、ファン効率の低下原因となる気流の一例を示す説明図である。なお、図25(a)及び図25(b)に示す実線矢印は、空気の流れ方向を示す。また、図25(b)に示す白塗りの矢印は、羽根303の回転方向を示す。
例えば、ボス301に形成された羽根303の外周部にリング状部材302及びローター305が設けられた従来のファンモーターの場合、ローター305とステーター309との間の距離を大きくすると、図25(a)に示すような再循環流れ252が発生し、ファン効率が低下してしまう。より詳しくは、ローター305とステーター309との間に、高圧となる空気吐出側から低圧となる空気吸入側にかけて空気が流れる。そして、この空気は再び吐出される。このため、リング状部材302及びローター305の周囲を循環する再循環流れ252が発生し、ファン効率が低下してしまう。
また、例えば、羽根303の外周部に小翼が形成された従来のファンや、羽根303の外周部にリング状部材や小翼等が設けられていない従来のファンの場合、ローターとステーターとの間の距離を大きくすると、図25(b)に示すような漏れ流れ253が発生し、ファン効率が低下してしまう。より詳しくは、高圧となる空気吐出側から低圧となる空気吸入側にかけて、羽根303の外周端側に漏れ流れ253が発生し、ファン効率が低下してしまう。
しかしながら、本実施の形態7に係るファン20は、凸部251を設けることにより、羽根車25と筐体26との間の最も短い部分の距離をローター31とステーター40との間の距離よりも短くしている。このため、ローター31とステーター40との間の距離は、羽根車25の振動やこの振動に起因する騒音を抑制できる距離とすることが可能となる。また、羽根車25と筐体26との間の距離を短くすることにより、再循環流れ252や漏れ流れ253を抑制することができる。つまり、本実施の形態7に係るファン20は、モーターの設計事項となるローター31とステーター40との間の距離とは独立して、ファン効率を高めることができる。
また、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)と筐体26の内周部の双方に凸部251を設けることにより、羽根車25と筐体26との間のシール性能が向上し、ファン20のファン効率をより向上させることができる。
なお、図22〜図24で示した凸部251の先端部は、図26に示すようにラビリンス構造にしてもよい。図26は、先端部がラビリンス構造となった凸部を凸部254として示している。また、図26は、凸部254が羽根車25の空気吐出側に設けられた例を示している。また、上記の凸部251や凸部254は、羽根車25の外周部や筐体26の内周部に連続的に設けられていてもよいし、所定の間隔を空けて断続的に設けられていてもよい。
実施の形態8.
本実施の形態8に示すような構造でも、実施の形態7と同様に、羽根車25と筐体26との間の最も短い部分の距離をローター31とステーター40との間の距離よりも短くできる。なお、本実施の形態8において、特に記述しない項目については実施の形態7と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
本実施の形態8に係るファン20は、例えば、羽根23の外周部にリング状部材22や小翼250が形成され、これらの外周部にローター31が設けられているものである。つまり、ファン20の基本構成は、実施の形態7に係るファン20やファン20の基本構成と同様である。本実施の形態8に係るファン20は、実施の形態7で示した凸部251や凸部254に換えて、ローター31の外周部及びステーター40の内周部の少なくとも一方に、例えば樹脂等の絶縁層257が設けられている。
この絶縁層257は、例えば以下のように設けられている。なお、絶縁層257の設置例(形成例)を示した以下の図27〜図29は、羽根23の外周部にリング状部材22が設けられたファン20を例に説明する。
例えば図27に示すように、絶縁層257は、ローター31の外周部に設けてもよい。また、例えば図28に示すように、絶縁層257は、ステーター40の内周部に設けてもよい。また、例えば図29に示すように、絶縁層257は、ローター31の外周部とステーター40の内周部の双方に設けてもよい。
以上、このように構成されたファン20においては、実施の形態7と同様に、羽根車25と筐体26との間の最も短い部分の距離をローター31とステーター40との間の距離よりも短くすることができる。このため、実施の形態7と同様に、モーターの設計事項となるローター31とステーター40との間の距離とは独立して、ファン効率を高めることができる。
また、このように構成されたファン20においては、羽根車25と筐体26との隙間に凹凸を設けることなく、羽根車25と筐体26との間の最も短い部分の距離をローター31とステーター40との間の距離よりも短くすることができる。このため、製造時の組立性が向上し、埃等の堆積を抑制することができる。特に、絶縁層257をステーター40の内周部に設けることにより、ステーター40に巻かれたコイルを絶縁層257及び筐体26で覆うことが可能となる。凹凸の複雑なコイルを覆うことにより、埃等の堆積をより抑制することができる。
実施の形態9.
羽根車25の外周部に設けられる凸部は、以下のような構成としてもよい。なお、本実施の形態9において、特に記述しない項目については実施の形態7又は実施の形態8と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図30は、本発明の実施の形態9に係るファンの一例を示す要部拡大図(縦断面図)である。また、図30に示す実線矢印は、空気の流れ方向を示す。
本実施の形態9に係るファン20は、羽根車25の外周部の吸気側に吸気側ガイド255が設けられている。この吸気側ガイド255は、羽根車25の外周部に設けられる凸部の一例であり、例えばリング状部材22と一体形成されている。
吸気側ガイド255の先端部は、筐体26の内周部よりも外周側に突設された形状となっている。また、吸気側ガイド255は、空気流れ上流側に向かって拡径された形状となっている。つまり、羽根車25と筐体26との間の最も接近する距離は、羽根車25の回転軸方向の距離となっている。より詳しくは、吸気側ガイド255の先端部と筐体26との間の距離が、羽根車25と筐体26との間の最も接近する距離となっている。
なお、図30では、吸気側ガイド255の先端部と対向する範囲の筐体26に、段部を形成している。
以上、このように構成されたファン20においては、実施の形態7及び実施の形態8と同様に、羽根車25と筐体26との間の最も短い部分の距離をローター31とステーター40との間の距離よりも短くすることができる。このため、実施の形態7及び実施の形態8と同様に、モーターの設計事項となるローター31とステーター40との間の距離とは独立して、ファン効率を高めることができる。
また、このように構成されたファン20においては、空気流れ上流側に向かって拡径された吸気側ガイド255の形状により、羽根車25へ誘導される気流が滑らかとなる。このため、ファン20のファン効率がより向上する。
また、羽根車25と筐体26との間の最も接近する距離は羽根車25の回転軸方向の距離なので、吸気側ガイド255の先端部をラビリンス構造とした場合でも、ファン20の組立が容易となる。通常、羽根車25を筐体26に取り付ける場合、羽根車25の回転軸方向に沿って羽根車25を筐体26の内側に挿入する。このとき、本実施の形態9のような構成とすれば、羽根車25の回転軸方向に沿って羽根車25を筐体26の内側に挿入する際、ラビリンス構造を構成する吸気側ガイド255先端部の凹凸と筐体26側の凹凸を係合できるからである。
実施の形態10.
羽根車25の外周部に設けられる凸部は、以下のような構成としてもよい。なお、本実施の形態10において、特に記述しない項目については実施の形態7〜実施の形態9と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図31は、本発明の実施の形態10に係るファンの一例を示す要部拡大図(縦断面図)である。また、図31に示す実線矢印は、空気の流れ方向を示す。
本実施の形態10に係るファン20は、羽根車25の外周部の吐出側に吐出側ガイド256が設けられている。この吐出側ガイド256は、羽根車25の外周部に設けられる凸部の一例であり、例えばリング状部材22と一体形成されている。
吐出側ガイド256の先端部は、筐体26の内周部よりも外周側に突設された形状となっている。また、吐出側ガイド256は、空気流れ下流側に向かって拡径された形状となっている。つまり、羽根車25と筐体26との間の最も接近する距離は、羽根車25の回転軸方向の距離となっている。より詳しくは、吐出側ガイド256の先端部と筐体26との間の距離が、羽根車25と筐体26との間の最も接近する距離となっている。
なお、図31では、吐出側ガイド256の先端部と対向する範囲の筐体26に、段部を形成している。
以上、このように構成されたファン20においては、実施の形態7〜実施の形態9と同様に、羽根車25と筐体26との間の最も短い部分の距離をローター31とステーター40との間の距離よりも短くすることができる。このため、実施の形態7〜実施の形態9と同様に、モーターの設計事項となるローター31とステーター40との間の距離とは独立して、ファン効率を高めることができる。
また、このように構成されたファン20においては、空気流れ下流側に向かって拡径された吐出側ガイド256の形状により、羽根車25から吐出された空気は半径方向に広がりながら減速し、静圧回復する。このため、ファン20のファン効率はより向上する。
なお、羽根車25の外周部の吸気側に、実施の形態9の吸気側ガイド255も設けると、ファン20のファン効率はさらに向上する。また、羽根車25と筐体26との間の最も接近する距離は羽根車25の回転軸方向の距離なので、吐出側ガイド256の先端部をラビリンス構造とした場合でも、ファン20の組立が容易となる。通常、羽根車25を筐体26に取り付ける場合、羽根車25の回転軸方向に沿って羽根車25を筐体26の内側に挿入する。このとき、本実施の形態10のような構成とすれば、羽根車25の回転軸方向に沿って羽根車25を筐体26の内側に挿入する際、ラビリンス構造を構成する吐出側ガイド256先端部の凹凸と筐体26側の凹凸を係合できるからである。
実施の形態11.
ファン20の筐体26を消音機構として機能させることにより、ファン20から発生する騒音を低減することも可能となる。なお、本実施の形態11においては、実施の形態2〜実施の形態10と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図32は、本発明の実施の形態11に係るファンの縦断面図である。
本実施の形態11に係るファン20の筐体26は、上部筐体26aと下部筐体26bとに分割されている。上部筐体26aは、筐体26の上面部、ベルマウス5の上部5a及びベルマウス5の中央部5bで構成されている。また、下部筐体26bは、筐体26の外周部、筐体26の底面部及びベルマウス5の下部5cで構成されている。上部筐体26a及び下部筐体26bを組み合わせた状態においては、筐体26の内部が中空構造となる。また、上部筐体26a及び下部筐体26bを組み合わせた状態においては、ベルマウス5の中央部5bと下部5cとの間に、長さlとなる隙間が形成されている。この隙間は筐体26の内部と連通するものであり、例えば、ベルマウス5の周方向に沿って形成されている。つまり、本実施の形態11では、長さlとなる隙間がスリット形状となっている。
ファン20の羽根車25が回転すると、「羽根23の枚数と羽根車25の回転数との積」の整数倍の周波数でピークをもつ耳障りなうなり音(騒音)が発生することがある。そこで、本実施の形態11に係るファン20は、筐体26を中空構造とし、ヘルムホルツ型消音器として機能させることにより、ファン20の騒音(羽根車25の回転音)を低減させている。
このように構成することにより、次式2のfで表される周波数の音を消音することができる。
f=(a/2π)・(A/l・V)1/2 …2
なお、f:騒音の周波数、a:音速、A:隙間の面積(つまり、本実施の形態11では、隙間の長さl×ベルマウス5の中央部5bの円周長さ)、l:隙間の長さ、V:筐体26内の空間の体積である。
なお、筐体26の内部空間(中空空間)を図33のように分割することにより、より多くの周波数の騒音を消音することが可能となる。
図33は、本発明の実施の形態11に係るファンの別の一例を示す正面断面図である。
図33に示すように、ファン20の筐体26内部は、リブ26cによって複数の空間(図33では4つの空間)に分割されている。これら空間の体積(上記式2のV)を異ならせることにより、より多くの周波数の騒音を同時に消音することが可能となる。図33に示す各空間と連通する隙間の長さlを調整することにより、消音する周波数を調整することも可能である。
なお、本実施の形態11では、筐体26に連通する隙間(長さlの隙間)をベルマウス5の中央部5bと下部5cとの間に形成したが、この隙間(長さlの隙間)を形成する位置は、任意である。例えば、筐体26に連通する隙間(長さlの隙間)を、ベルマウス5の上部5aと中央部5bとの間に形成してもよい。また例えば、ベルマウス5の中央部5bを分割し、これら分割された中央部5bの間に筐体26へ連通する隙間(長さlの隙間)を形成してもよい。また例えば、ベルマウス5の上部5aと中央部5bとの間及びベルマウス5の中央部5bと下部5cとの間等、複数の隙間を形成してもよい。
また、ファン20の筐体26をヘルムホルツ型消音器として機能させるには、筐体26内に連通する連通路があればよいので、例えば図34に示すようにファン20を構成してもよい。
図34は、本発明の実施の形態11に係るファンのさらに別の一例を示す縦断面図である。
図34に示すファン20は、筐体26に連通する長さlの隙間に代えて、筐体26の内部空間に連通する複数の貫通孔5dをベルマウス5の中央部5bに形成している。このようにファン20を構成しても、ファン20の筐体26をヘルムホルツ型消音器として機能させることができる。また、筐体26内へ連通する連通路を複数の貫通孔で形成することにより、ファン20によって発生した圧力変動を低減できるため、ファン20から発生する騒音をさらに低減することができる。なお、複数の貫通孔5dを形成する代わりに、ベルマウス5を多孔質材で形成してもよい。
また、筐体26内に複数の羽根車25が配置されているファン20の場合、図35に示すように、筐体26内の空間をリブ26cで分割してもよい。このように構成することにより、筐体26内に形成される空間の体積を大きくとることができ、低周波数領域の騒音も消音することができる。
実施の形態12.
ファン20の筐体26をヘルムホルツ型消音器として機能させる場合、本実施の形態12のようにファン20を構成することにより、ファン20の送風性能を向上させることも可能となる。なお、本実施の形態12において、特に記述しない項目については実施の形態11と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図36は、本発明の実施の形態12に係るファンを示す縦断面図である。
本実施の形態12に係るファン20は、ベルマウス5の少なくとも一部が羽根車25の羽根23と一体形成されている。なお、羽根車25の羽根23と一体形成されるベルマウス5の部分は、特に限定されるものではない。例えば、図36(a)に示すように、ベルマウス5の中央部5bと羽根車25の羽根23とが一体形成されていてもよい。また例えば、図36(b)に示すように、ベルマウス5の上部5a及び中央部5bと羽根車25の羽根23とが一体形成されていてもよい。また例えば、図36(c)に示すように、ベルマウス5の中央部5b及び下部5cと羽根車25の羽根23とが一体形成されていてもよい。また例えば、図36(d)に示すように、ベルマウス5全体(上部5a、中央部5b及び下部5c)と羽根車25の羽根23とが一体形成されていてもよい。
このようにファン20を構成することにより、羽根車25の羽根23とベルマウス5と隙間において発生する漏れ流れ(翼圧力面側から翼負圧面側への流れを)等防止することができる。このため、ファン20の吸込口側と吹出口側の圧力差を保つことができ、送風性能の向上を図ることができる。また、漏れ流れ等を防止することによりファン20から発生する騒音も低減するので、ファン20の筐体26をヘルムホルツ型消音器として機能させることにより得られる消音効果に加え、さらなる消音効果を得ることもできる。
実施の形態13.
ファン20の筐体26をヘルムホルツ型消音器として機能させる場合、筐体26内の空間を以下のように有効利用することもできる。なお、本実施の形態13において、特に記述しない項目については実施の形態11又は実施の形態12と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図37は、本発明の実施の形態13に係るファンを示す縦断面図である。
図37に示すように、本実施の形態13に係るファン20は、筐体26内の空間に、回路基板30a及び消音機構の騒音検出マイクロホン161が設置されている。回路基板30aは、例えば、ファンモーター30等を制御するための回路等が実装された回路基板である。
このようにファン20を構成することにより、室内機100内部のスペース効率が向上し、室内機の小型化や風路損失の低減を図ることができ、電力効率の向上が図れる。
なお、筐体26をヘルムホルツ型消音器として機能させなくてもよい場合は、筐体26内の空間に連通する連通路を特に設ける必要はない。筐体26を介して伝わるファン20の騒音を騒音検出マイクロホン161が検出することにより、実施の形態1で示した能動的消音方法でファン20が発生する騒音を低減することができる。この場合、筐体26は、能動的な消音機構の一部として機能しているとも言える。
また、筐体26内の空間に設置されるものは、回路基板30aや騒音検出マイクロホン161に限らず、例えば温度測定用のセンサー等でもよい。
実施の形態14.
また、ファン20の筐体26をヘルムホルツ型消音器として機能させる場合、以下のようにファン20を構成することにより、広帯域に発生する騒音の低減が可能となる。なお、本実施の形態14において、特に記述しない項目については実施の形態11〜実施の形態13と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図38は、本発明の実施の形態14に係るファンを示す縦断面図である。
図38に示すように、本実施の形態14に係るファン20は、筐体26内の空間に、吸音材260が設けられている。吸音材260は、例えば、ウレタン、多孔質の樹脂又は多孔質のアルミ等で形成されている。
このようにファン20を構成することにより、ファン20によって発生した圧力変動が、吸音材260によって吸収される。このため、ファン20の筐体26をヘルムホルツ型消音器として機能させることにより得られる消音効果に加え、吸音材260によって広帯域に発生する騒音も低減することができるという消音効果も得られる。
実施の形態15.
実施の形態2〜実施の形態14で示したファン20を実施の形態1で示した室内機100に設けることにより、以下の様な効果を得ることができる。
図39は、本発明の実施の形態15に係る室内機を示す縦断面図である。この図39は、実施の形態2〜実施の形態14のいずれかで示したファン20を室内機100に用いた例を示している。また、図39は、図の左側を室内機100の前面側として示している。
このように構成された室内機100においては、小形化(薄型化)及び低コスト化が可能なファン20を用いている。このため、本実施の形態15に係る室内機100は、小型化(薄型化)することが可能となる。また、室内機100を低コスト化することが可能となる。また、このように構成された室内機100においては、ファン効率を維持しつつ小型化(薄型化)を図ったファン20を用いている。このため、同サイズで室内機を製作した場合、従来の室内機よりも風量の大きな室内機を得ることができる。
実施の形態16.
<モーター支持構造>
例えば以下のようなモーターステイ16でファン20をケーシング1へ取り付けることにより、騒音を抑制することが可能となる。なお、本実施の形態16においては、実施の形態1〜実施の形態15と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図40は、本発明の実施の形態16に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態16に係る室内機100は、ボス21にファンモーター30が接続されたファン20を備えるものである。ファンモーター30は、モーターステイ16によってケーシング1に取り付けられている。このモーターステイ16は、固定部材17及び支持部材18を備えている。固定部材17は、ファンモーター30が取り付けられるものである。支持部材18は、固定部材17をケーシング1へ固定するための部材である。支持部材18は、例えば棒状のものであり、固定部材17の外周部から例えば放射状に延設されている。また、図40に示すように、本実施の形態16に係る室内機100は、フィルター10がファン20の下流側に設けられている。そして、本実施の形態16に係る室内機100は、モーターステイ16とフィルター10が近接して(例えば両者が接するように)設けられている。なお、支持部材18は、翼形状や板形状として静翼効果を与えてもよい。
ファン20から吐き出される気流は速度分布を持つ。そして、この速度分布を持った気流が下流の構造物(例えば、モーターステイ16)に衝突することで、ファン20の回転速度と羽枚数の積に同期した騒音が発生する。一方、ファン20の下流に通風抵抗のある部材を設置すると、ファン20から吐き出される気流は、通風抵抗のある部材に近づくにつれて、その通風抵抗により速度分布が小さくなっていく。そこで、本実施の形態16では、ファン20の下流にフィルター10(通風抵抗のある部材)を設置している。そして、騒音発生源の主な構造物であるモーターステイ16をフィルター10の近傍に設置している。このため、速度分布が小さくなった気流がモーターステイ16に衝突するため、モーターステイ16にかかる負荷の変動量が小さくなり、モーターステイ16から発生する騒音を抑制することができる。
なお、本実施の形態16において、上記の「モーターステイ16をフィルター10の近傍に設置している」とは、次のような状態を示す。
モーターステイ16の後流(下流側の気流)には、急峻な速度欠損域(流速の遅い領域)が発生する。この速度欠損域の気流方向の長さは、気流方向に投影されたモーターステイ16の寸法と同程度となる。この速度欠損域は気流の速度変化が著しい部分となるので、速度欠損域では、気流の速度差によるせん断力によって強い渦や気流の乱れが発生する。そして、強い渦や気流の乱れが発生することに伴って、騒音の発生量が増大する。
ここで、ファン20の後流(下流側の気流)は複雑な流速分布を有しているので、モーターステイ16に衝突する気流の方向は様々なものとなる。このため、モーターステイ16の支持部材18を支持部材18の長手方向と直交する断面で切断し、この断面の投影寸法のうち最大となる投影寸法を最大投影寸法とすると、最大速度欠損域の長さはこの最大投影寸法と略同等となる。つまり、モーターステイ16とフィルター10との距離を最大投影寸法よりも小さくすることにより、速度欠損域で生じる気流の乱れ等に起因する騒音の発生を抑制することができる。したがって、本実施の形態16において「モーターステイ16をフィルター10の近傍に設置している」とは、モーターステイ16とフィルター10との距離が最大投影寸法よりも小さくなるように、モーターステイ16をフィルター10の上流側に設置することを言う。
また、図40ではモーターステイ16の下方(つまり下流側)にフィルター10を設けているが、図41に示すように、モーターステイ16の上方(つまり上流側)にフィルター10を設けてもよい。モーターステイ16の上方にフィルター10を設ける場合、モーターステイ16とフィルター10を近接して設ける必要はない。フィルターを通過した気流は速度分布が小さくなっているため、上記と同様にモーターステイ16から発生する騒音を抑制することができる。
また、本実施の形態16に係る室内機100において、フィルター10を着脱自在にする場合、フィルター10の移動用ガイドをモーターステイ16に形成してもよい。
さらに、通風抵抗体であるフィルター10とファン20の距離はファン20径の25%以上確保することが望ましい。
また、モーターステイ16を例えば以下のような形状とすることにより、モーターステイ16から発生する騒音をさらに抑制することが可能となる。
図42は、本発明の実施の形態16に係るモーターステイの一例を示す正面図(モーターステイが室内機に取り付けられた状態においては平面図)である。
図42に示すモーターステイ16は、略円板形状の固定部材17から放射状に、棒状の支持部材18が延設されている。これら支持部材18は、ファン20の羽根23の後縁形状と一致しないような形状となっている。なお、図42では支持部材18が曲線形状に形成されているが、支持部材18を直線形状に形成しても勿論よい。このように構成することにより、支持部材18とファン20の羽根23の後縁部が重なり合うことにより支持部材18に大きな負荷がかかることを防止でき、モーターステイ16から発生する騒音をさらに抑制することができる。
また、モーターステイ16の支持部材18の数とファン20の羽根23の数とを、互いに素の関係にしてもよい。このようにモーターステイ16を構成することにより、全ての支持部材18に係る負荷が最大負荷状態(支持部材18に係る負荷の変動量のうちの最大の負荷がかかった状態)となることを防止でき、モーターステイ16から発生する騒音をさらに抑制することができる。
また、モーターステイ16の断面形状は気流方向に鈍な形状として、気流のはく離を誘起しにくい形状としても、モーターステイ16から発生する騒音をさらに抑制することができる。さらに、柔毛素材をモーターステイ16の表面に設けることで、モーターステイ16の表面の圧力変動を抑制することができ、騒音の発生をさらに低減することができる。
また、本実施の形態16で示したような騒音抑制効果(モーターステイ16から発生する騒音を抑制する効果)を得る際、固定部材17へのファンモーター30の取り付け構造は特に限定されないが、例えば図43に示すように固定部材17へファンモーター30を取り付けるとよい。
図43〜図46は、本発明の実施の形態16に係るモーターステイの固定部材へのファンモーター取り付け例を示す斜視図である。
例えば図43に示すように、固定部材17に縦方向に貫通する貫通孔17aを設け、この貫通孔17aに挿入したネジでファンモーター30をネジ止めすることにより、ファンモーター30を固定してもよい。ファンモーター30をネジ止めする際、図44に示すように、固定部材17にファンモーター30を挿入し、貫通孔17aを固定部材17の側面部に形成してファンモーター30をネジ止めしてもよい。
また例えば、図45に示すように、リング部材を分割した2つの固定部材17bで固定部材を構成してもよい。そして、これら固定部材17bでファンモーター30を挟み込み、固定部材17b同士をネジ止め固定することにより、ファンモーター30を固定部材17へ固定してもよい。このようにファンモーター30を固定部材17へ固定することにより、ファンモーター30の中で最も強度が弱いシェル部分の強度を向上させることができる。ファンモーター30の中で最も強度が弱いシェル部分はモーター騒音を放射する部分であるため、当該部分の強度を向上することにより、ファンモーター30から放射される騒音を抑制することができる。
また例えば、図43〜図45に示した固定構造を複数組み合わせて、ファンモーター30を固定部材17へ固定してもよい。図46では、図45で示した固定構造を2つ用いることにより、ファンモーター30を固定部材17へ固定している。このように2点でファンモーター30を固定することにより、振動や回転アンバランスによるファンモーター30の振れ回りを抑制する効果を得られる。
また、図43から図46で示した固定部材17に防振材を設け、ケーシング1への振動の伝達を弱めることが良いことは言うまでもない。
また、本実施の形態16では、ボス21にファンモーター30が接続されたファン20を備えた室内機100について説明したが、羽根23と筐体26との間にファンモーター30が接続されたファン20を備えた室内機100でもよい。この場合、ボス21に回転自在に取り付けられた支持構造35(後述の図47を参照)をモーターステイ16の固定部材に固定すればよい。
また、モーターステイ16とフィルター10を一体で形成し、モーターステイ16をフィルター10の補強部材として機能させてもよい。従来のフィルターに設けられていた補強部材が不要となるため、この補強部材の分だけコスト低減が可能となる。
実施の形態17.
ファン20をケーシング1へ取り付けるモーターステイ16を以下のように構成してもよい。なお、本実施の形態17において、特に記述しない項目については実施の形態16と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図47は、本発明の実施の形態17に係る室内機を示す縦断面図である。また、図48は、この室内機を示す外観斜視図である。なお、図48は、ケーシング1を透過させて示している。また、図47及び図48は、羽根23と筐体26との間にファンモーター30を設けたファン20を備えた室内機100を備えている。
本実施の形態17に係るモーターステイ16は、室内機100の長手方向に沿って設けられた固定部材17によって構成されている。この固定部材17の長手方向の両端部は、ケーシング1に固定されている。そして、この固定部材17に、3つのファン20それぞれの支持構造35(ファン20のボス21を回転自在に支持するもの)が固定されている。また、固定部材17は、熱交換器50の変局部(熱交換器50の配置勾配が変局する箇所。つまり、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との接続箇所)の上方に設けられている。
なお、本実施の形態17に係るモーターステイ16は支持部材18を有しない構成となっているが、支持部材18によって固定部材17をケーシング1に固定しても勿論よい。
図47及び図48に示すように、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55とを変局して設置した場合、この変局部には隙間が生じる。この隙間を通る気流は熱交換しない(熱交換のわずかな)気流となるので、同一風量時の空調能力が低下してしまう。しかしながら、本実施の形態17では、変局部の上方にモーターステイ16(より詳しくは固定部材17)を設けているので、変局部の隙間を通る気流が発生せず、同一風量時の空調能力が低下するのを防止することができる。また、支持部材18を有しないようにモーターステイ16を構成した場合、ファン20の吹き出し口近傍に支持部材18が存在しないため、モーターステイ16から発生する騒音をさらに抑制することができる。
実施の形態18.
また、ファン20をケーシング1へ取り付けるモーターステイ16を以下のように構成してもよい。なお、本実施の形態17において、特に記述しない項目については実施の形態16又は実施の形態17と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図49は、本発明の実施の形態18に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態18に係るモーターステイ16の支持部材18は、側面視において、支持部材18とファン20の羽根23の後縁との距離が羽根23の先端部(羽根車25の外周部)へ向かうにしたがって大きくなるように構成されている。
ファン20が発生する気流は、羽根23の先端部(羽根車25の外周部)ほど大きくなる。つまり、支持部材18と羽根23の後縁との距離が羽根23の根元部分と先端部で同じ場合、モーターステイ16に係る負荷の変動量は、羽根23の先端部(羽根車25の外周部)に向かうにしたがって大きくなる。しかしながら、本実施の形態18では、支持部材18とファン20の羽根23の後縁との距離が羽根23の先端部(羽根車25の外周部)へ向かうにしたがって大きくなるように構成しているので、モーターステイ16に係る負荷の変動量を抑制できる。したがって、本実施の形態18で示した構成のモーターステイ16を用いることにより、支持部材18と羽根23の後縁との距離が羽根23の根元部分と先端部で同じになる構成のモーターステイ16と比べ、モーターステイ16から発生する騒音をさらに抑制することができる。
実施の形態19.
<仕切り板>
本実施の形態19〜実施の形態24に、ケーシング1内の風路を分割するために設けられる仕切り板の設置例について説明する。なお、本実施の形態19においては、実施の形態1〜実施の形態18と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図50は、本発明の実施の形態19に係る室内機を示す縦断面図である。また、図51は、この室内機を示す斜視図である。なお、図51では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板90を透過させて示している。
本実施の形態19に係る室内機100は、隣接したファン20の間に、仕切り板90が設けられている。本実施の形態19では、2枚の仕切り板90が設けられている。これら仕切り板90は、熱交換器50とファン20の間に設置されている。つまり、熱交換器50とファン20の間の風路が、複数の風路(本実施の形態19では3つ)に分割されている。仕切り板90は、熱交換器50とファン20の間に設置されるため、熱交換器50に接する側の端部が熱交換器50に沿った形状となっている。より詳しくは、熱交換器50はΛ型に配置されているため、仕切り板90の熱交換器50側端部もΛ型となっている。
また、仕切り板90のファン20側の端部は、隣接するファン20が吸込側において互いに影響を生じない程度に十分離れている場合、ファン20の出口面までとする。しかし、隣接するファン20が吸込側において互いに影響を及ぼす程度に近づいている場合で、さらにベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)の形状が十分に大きく形成できる場合、仕切り板90のファン20側の端部は、隣接する風路に影響を与えないように(隣接するファン20が吸込側において互いに影響を及ぼさないように)、ファン20の上流側(吸入側)まで延設してもよい。本実施の形態19では、仕切り板90のファン20側の端部をファン20の出口面近傍に配置している。
仕切り板90は、種々の材質で形成することができる。例えば、スチールやアルミ等の金属で仕切り板90を形成してもよい。また例えば、樹脂等で仕切り板90を形成してもよい。
ただし、熱交換器50は暖房運転のときに高温となるため、仕切り板90が樹脂等のような低融点の材質で形成されている場合、仕切り板90と熱交換器50との間にわずかな空間を形成するとよい。仕切り板90がアルミやスチール等の融点が高い材質の場合、仕切り板90を熱交換器50と接するように配置してもよい。熱交換器50が例えばフィンチューブ型熱交換器の場合、熱交換器50のフィン間に仕切り板90を挿入してもよい。
上述したように、熱交換器50とファン20の間の風路が、複数の風路(本実施の形態19では3つ)に分割されている。これら分割された風路は、平面視において、一辺がL1及びL2となった略四角形状に形成されている。つまり、分割された風路の幅が、L1及びL2となっている。
このため、例えば平面視において一辺がL1及びL2となった略四角形状の内部に設置されたファン20が送り出した空気は、確実にファン20の下流にあるこのL1及びL2で囲まれた領域の熱交換器50を通過する。
このように、ケーシング1内を仕切り板90で分割することにより、ファン20が下流に作る流れ場が旋回成分を有していても、室内機100の長手方向(図50における紙面直交方向)に自由に移動できなくなる。このため、平面視において一辺がL1及びL2となった略四角形状の内部に設置されたファン20が送り出した空気を、このファン20の下流に配置された(このL1及びL2で囲まれた領域に配置された)熱交換器50を確実に通過させることが可能となる。したがって、熱交換器50全体に流入する空気の室内機100の長手方向(図50における紙面直交方向)における風速分布を略均一とすることができる(熱交換器50を通過する空気の速度の箇所毎のバラツキを抑制することができる)。
また、ケーシング1内を仕切り板90で分断することにより、ファン20の旋回流(特にファン20の下流側の旋回流)が、隣接したファン20の旋回流(特に隣接したファン20の下流側の旋回流)と干渉することを防止できる。このため、旋回流同士の干渉によって生じる渦等エネルギーのロスを抑制することができる。したがって、風速分布の改善と合わせて、室内機100の(より詳しくはケーシング1内の風路における)圧力損失の低減が可能となる。
なお、仕切り板90は、ファン20で発生した音を隣接する風路に透過させない遮音効果も有するとよい。遮音効果を得るためには、仕切り板90の重量が必要である。このため、金属(スチールやアルミ等)よりも密度の小さい樹脂等を用いて仕切り板90を形成する場合、仕切り板90の厚みを大きくするとよい。
また、各仕切り板90は一枚の板で形成されている必要はなく、複数の板で形成されていてもよい。例えば、仕切り板90を前面側熱交換器51側と背面側熱交換器55側で二分割してもよい。仕切り板90を構成する各板どうしの接合箇所に隙間がなければ、仕切り板90を一枚の板で形成した場合と同様の効果を得られる。仕切り板90を複数に分割することにより、仕切り板90の組み付け性が向上する。
また、本発明の特徴の1つとして、ファン20の下流側となる風路に熱交換器50を配置したという特徴があるが、ファン20の上流に熱交換器50を配置した室内機においても、仕切り板を設けたことによる効果を得ることは勿論可能である。
実施の形態20.
実施の形態19では、ファン20と熱交換器50の間の風路のみを仕切り板90で分割した。ファン20と熱交換器50の間の風路に加え、熱交換器50より下流側となる風路も仕切り板によって分割することが可能である。なお、本実施の形態20において、特に記述しない項目については実施の形態19と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図52は、本発明の実施の形態20に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態20に係る室内機100は、熱交換器50と吹出口3との間に仕切り板90aが設けられている。その他の構成は、実施の形態19に係る室内機100と同様である。
熱交換器50と吹出口3との間に設けられた仕切り板90aは、ファン20と熱交換器50との間に設けられた仕切り板90と同じ数となっており、各仕切り板90の下方に設けられている。より詳しくは、仕切り板90aは、平面視において、仕切り板90と略平行に設けられている。また、仕切り板90aは、平面視において、仕切り板90と概ね重なりあうように設けられている。これにより、仕切り板90aを設けたことによる空気抵抗を抑制している。
熱交換器50はΛ型に配置されているため、仕切り板90aの熱交換器50側端部(上側端部)もΛ型となっている。このとき、熱交換器50と仕切り板90aが接触しないように、仕切り板90aは配置されている。冷房運転時、熱交換器50は低温となる。このため、空気中の水分が結露し、熱交換器50の表面に水滴が付着する。熱交換器50と仕切り板90aが接触していると、熱交換器50の表面に付着した水滴が仕切り板90aに移ってしまう。この仕切り板90aに移ってきた水滴は、仕切り板90を伝わって吹出口3まで移動し、吹出口3から吹き出される空気に同伴され、周囲に飛散してしまう。この水滴の飛散は、使用者に不快な思いをさせる可能性があり、空気調和機にとってあってはならない現象である。このため、熱交換器50の表面に付着した水滴が吹出口3から飛散することを防止するため、熱交換器50と仕切り板90aが接触しないように、仕切り板90aは配置されている。
以上、このように構成された室内機100においては、仕切り板90aを配置することにより、熱交換器50と吹出口3との間においても、隣接した風路からの気流の影響を抑制することが可能となる。換言すると、仕切り板90aを配置することにより、熱交換器50と吹出口3との間においても、ファン20の旋回流が、隣接したファン20の旋回流と干渉することを防止できる。このため、熱交換器50と吹出口3との間においても、旋回流同士の干渉によって生じる渦等エネルギーのロスを抑制することができる。また、吹出口3から吹き出される空調空気の室内機100の長手方向(図52における紙面直交方向)における風速分布を略均一とすることができる(吹出口3から吹き出される空調空気の箇所毎の速度のバラツキを抑制することができる)。したがって、より圧力損失の低い空気調和機(より詳しくは室内機)を得ることができる。
なお、本実施の形態20では、仕切り板90aの下側端部が吹出口3まで延設された場合を説明したが、仕切り板90aの下側端部は熱交換器50と吹出口3との間にあっても勿論よい。仕切り板90aを設けたことにより、実施の形態19よりも圧力損失が低減する。
実施の形態21.
実施の形態19及び実施の形態20では、ファン20の数と風路の分割数とを同数とした。これに限らず、風路の分割数をファン20の数よりも多くしてもよい。なお、本実施の形態21において、特に記述しない項目については実施の形態19又は実施の形態20と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図53は、本発明の実施の形態21に係る室内機を示す斜視図である。この図53では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板90を透過させて示している。
本実施の形態21に係る室内機100は、各仕切り板90の間に、仕切り板91が設けられている。つまり、本実施の形態21では、実施の形態19で分割した風路を、仕切り板91によってさらに分割している。つまり、L1とL2に囲まれた領域に配置された熱交換器50には、ファン20が発生する風量のおよそ半分が流入することとなる。その他の構成は、実施の形態19に係る室内機100と同様である。
仕切り板91は、隣接する仕切り板90の間隔をほぼ均等に分割できる位置に配置される。これら仕切り板91は、仕切り板90と同様に種々の材質で形成することができる。例えば、スチールやアルミ等の金属で仕切り板90を形成してもよい。また例えば、樹脂等で仕切り板90を形成してもよい。なお、仕切り板91は、仕切り板90と同様に遮音効果も有するほうがよい。このため、金属(スチールやアルミ等)よりも密度の小さい樹脂等を用いて仕切り板91を形成する場合、仕切り板91の厚みを大きくするとよい。
仕切り板91の熱交換器50側端部の形状は、熱交換器50に沿って略Λ型となっている。仕切り板91が樹脂等のような低融点の材質で形成されている場合、熱交換器50は暖房運転のときに高温となるため、仕切り板91と熱交換器50との間にわずかな空間を形成するとよい。仕切り板91がアルミやスチール等の融点が高い材質の場合、仕切り板91を熱交換器50と接するように配置してもよく、熱交換器50のフィン56とフィン56の間に仕切り板91を挿入してもよい。
仕切り板91のファン20側端部の形状は、ファン20の出口面と略平行となっている。なお、仕切り板91のファン20側の形状は、ファン20の回転中心付近を高くして周囲に行くほど低くなるような山形形状でもよい。
また、仕切り板91のファン20側端部の高さは、以下のように設定するとよい。
例えば、ファン20と熱交換器50が近い場合、仕切り板91のファン20側端部をファン20に近づけ過ぎると、仕切り板91が空気の流れの抵抗となってしまう。このため、ファン20と熱交換器50が近い場合、仕切り板91のファン20側端部とファン20との距離をできるだけ遠くした方がよい。したがって、ファン20と熱交換器50が近い場合、仕切り板91のファン20側端部の高さは、熱交換器50の上端部(ファン20と最も近接した位置)と同程度の高さとすればよい。仕切り板91のファン20側端部を熱交換器50の傾斜面の途中に配置しても勿論よい。
また例えば、ファン20と熱交換器50との間に十分な距離がある場合、仕切り板91が空気の流れの抵抗となることはない。このため、ファン20と熱交換器50との間に十分な距離がある場合、仕切り板91のファン20側端部の高さを、熱交換器50の上端部(ファン20と最も近接した位置)よりも高くするとよい。
以上、このように構成された室内機100においては、分割された風路の幅L1を、実施の形態19に係る室内機100よりも小さくすることができる。このため、本実施の形態21に係る室内機100は、実施の形態19に係る室内機100と比べ、ファン20の発生する旋回流による幅方向の自由度がさらに減少する。したがって、本実施の形態21に係る室内機100は、実施の形態19に係る室内機100と比べ、より風速分布の悪化を改善できる(速度分布をより均一化できる)。
なお、実施の形態20と同様に、熱交換器50と吹出口3との間の風路で各仕切り板91の下方となる位置に、さらに仕切り板を設けてもよい。このように構成することにより、実施の形態20と同様に、熱交換器50と吹出口3との間においても、ファン20の旋回流が、隣接したファン20の旋回流と干渉することを防止できる。
実施の形態22.
実施の形態21においては、ケーシング1の前後方向に延設された仕切り板90を設け、さらにその分割数を多くするため、仕切り板91でケーシング1内の風路を分割した。これら仕切り板91は、ファン20の出口面に対して垂直に配置したものであった。しかしながら、仕切り板91は実施の形態21のように限定されるものでなく、少なくとも仕切り板91の上端部をファン20の出口面に対して傾斜させて配置してもよい。このような仕切り板91とすることにより、ファン20の発生する旋回流をスムーズに誘導して下流側の熱交換器50に流入させることが可能となる。なお、本実施の形態22において、特に記述しない項目については実施の形態19〜実施の形態21と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図54は、本発明の実施の形態22に係る室内機を示す斜視図である。図54では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板90を透過させて示した。
本実施の形態22に係る室内機100の基本構成は、実施の形態21に係る室内機100と同様である。以下では、本実施の形態22に係る室内機100と実施の形態21に係る室内機100との差異点について説明する。
本実施の形態22に係る室内機100の仕切り板91は、その上端部91aが折り曲げ形成されている。そして、仕切り板91の上端部91aが、ファン20の出口面に対して傾斜するように配置されている。この傾斜方向はファン20の吹出流の方向となっている。室内機100に設けられているファン20が軸流型のファンや斜流型のファンの場合、図54に示すように、室内機100の前面側と背面側とでは上端部91a傾斜方向が逆になる。
なお、仕切り板91の上端部91aの断面形状は、直線となっていてもよいし、曲線形状となっていてもよい。また、上端部91aのみでなく、仕切り板91全体をファン20の出口面に対して傾斜するように配置してもよい。
以上、このように構成された室内機100においては、ファン20の発生する旋回流をスムーズに誘導して下流側の熱交換器50に流入させることが可能となる。このため、ファン20の発生する旋回流と仕切り板91との干渉による損失を低減することができる。したがって、本実施の形態22に係る室内機100は、実施の形態21に係る室内機100と較べ、風路における圧力損失をより低減させることが可能となる。
実施の形態23.
実施の形態19〜実施の形態22においては、ケーシング1の前後方向に延設された仕切り板を設け、ケーシング1内の風路を分割した。ケーシング1の左右方向(長手方向)に延設された仕切り板をさらに設けることで、ケーシング1内の風路をさらに分割することができる。なお、本実施の形態23において、特に記述しない項目については実施の形態19〜実施の形態22と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図55は、本発明の実施の形態23に係る室内機を示す斜視図である。また、図56は、この室内機の縦断面図である。なお、図55では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板90を透過させて示している。
本実施の形態23に係る室内機100の基本構成は、実施の形態21に係る室内機100と同様である。以下では、本実施の形態23に係る室内機100と実施の形態21に係る室内機100との差異点について説明する。
本実施の形態23に係る室内機100は、実施の形態21に係る室内機100に、ケーシング1内の風路を左右方向に分割する仕切り板92が設けられている。この仕切り板92は、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との間に設けられており、仕切り板90及び仕切り板91と略直角に交わるように配置されている。つまり、L1とL2に囲まれた領域に配置された熱交換器50には、ファン20が発生する風量のおよそ四分の一が流入することとなる。
なお、仕切り板92の下側端部(吹出口3側端部)の位置は、以下のように設定するとよい。
例えば、図56に示すように、仕切り板92を平板にした場合、仕切り板92の下側端部を下方まで延ばしすぎると、風路の面積が減少して(風路が仕切り板92により塞がれて)、空気の流れの抵抗となってしまう。このため、仕切り板92を平板にした場合、仕切り板92の下側端部の位置は、ノズル6の風上側に配置する。
例えば、図57に示すように、仕切り板92の下側がノズル6の形状に合わせた曲面となっている場合、仕切り板92の下側端部を吹出口3まで延ばしてもよい。仕切り板92の下側端部を吹出口3まで延ばすことにより、ノズル6内から吹出口3での風速の強弱の低減が可能である。
以上、このように構成された室内機100においては、分割された風路の幅L2を、実施の形態19〜実施の形態22に係る室内機100よりも小さくすることができる。このため、本実施の形態23に係る室内機100は、ファン20の発生する旋回流による幅方向の自由度がさらに減少する。したがって、本実施の形態23に係る室内機100は、実施の形態19〜実施の形態22に係る室内機100と比べ、より風速分布の悪化を改善できる(速度分布をより均一化できる)。
実施の形態24.
実施の形態19〜実施の形態23で示した仕切り板の表面に、後述のような吸音材を設けてもよい。又は、仕切り板を吸音材で構成してもよい。なお、本実施の形態24において、特に記述しない項目については実施の形態19〜実施の形態23と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図58は、本発明の実施の形態24に係る室内機を示す斜視図である。この図58では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板90を透過させて示している。
本実施の形態24に係る室内機100は、仕切り板90の両面に吸音材93を設けている。この吸音材93の材質は、ウレタン、多孔質の樹脂、多孔質のアルミ等である。このような吸音材93は、低周波の消音効果は小さいが、例えば1kHz以上の高周波を消音することができる。吸音材93の厚みは、厚いほど低い周波数を吸収できる。なお、能動的消音機構を設けることにより、例えば1kHz以下の音を消音することも可能となる。この場合、吸音材93は、例えば2kHzの音を吸音する20mm以下の厚みで十分効果を得ることができる。
なお、仕切り板90の材質は、実施の形態19〜実施の形態23と同様に、種々の材質で形成することができる。例えば、スチールやアルミ等の金属で仕切り板90を形成してもよい。また例えば、樹脂等で仕切り板90を形成してもよい。さらに仕切り板自体を吸音材で構成してもよい。
以上、このように構成された室内機100においては、仕切り板90等によってファン20の発生する旋回流の影響を低減できるだけでなく、ファン20から発生する騒音も低減することができる。
実施の形態25.
本実施の形態19〜実施の形態24のようにケーシング1内の風路を複数に分割した空気調和機(より詳しくは空気調和機の室内機)においては、下記のように能動的消音機構を設けることにより、ファン20が発生する音(騒音)を従来よりも効果的に消音することができる。なお、本実施の形態24において、特に記述しない項目については実施の形態19〜実施の形態24と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図59は、本発明の実施の形態25に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態25に係る室内機100は、実施の形態19で示した室内機100に能動的消音機構を設けたものとなっている。本実施の形態25の消音機構は、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を備えている。
本実施の形態25で用いている消音方式は、実施の形態1で示した消音方式と同様である。より詳しくは、騒音源から発生した音を検出し、その検出結果に基づいて生成された制御音を出力(放射)する制御方法である。この制御方法には、騒音源から発生した音を検出するマイクロフォン(本実施の形態25の騒音検出マイクロホン161に相当)、このマイクロフォンで検出された音に基づいて作成された制御音を出力するスピーカー(本実施の形態25の制御スピーカー181に相当)、及び静粛を保ちたい領域(以下、静粛領域と称する)に設けられ、静粛領域の音を検出するマイクロフォン(本実施の形態25の消音効果検出マイクロホン191に相当)等を用いる。
図59に示すように、騒音検出マイクロホン161は、音源となるファン20の近傍に配置されている。本実施の形態25では、騒音検出マイクロホン161は、ケーシング1の前面側に配置されている。
制御スピーカー181は、騒音検出マイクロホン161よりも下流側の風路に配置される。本実施の形態25では、制御スピーカー181は、ケーシング1の前面側に配置されている。このとき、制御スピーカー181は、制御スピーカー181から出力した音が風路内に放射できるように、風路内の空気と接するように配置されている。また、制御スピーカー181の後方(風路とは反対側)は、ボックス184で覆われている。このボックス184内の空間が、低周波の音を発生させるために必要なバックチャンバー184aとなる。
静粛領域の音を検出する消音効果検出マイクロホン191は、静粛領域となる吹出口3の近傍に設置されている。
次に、図60を用いて、本実施の形態25に係る室内機100の内部構造及び消音機構の配置位置について、さらに詳細に説明する。
図60は、本発明の実施の形態25に係る室内機を示す斜視図である。この図60では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板90を透過させて示し、ボックス184(バックチャンバー184a)及び信号処理装置201等の図示を省略している。
仕切り板90によって分割された風路のそれぞれには、騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181が設けられている。
上述のように、熱交換器50とファン20の間の風路が、複数の風路(本実施の形態25では3つ)に分割されている。これら分割された風路は、平面視において、一辺がL1及びL2となった略四角形状に形成されている。つまり、分割された風路の幅が、L1及びL2となっている。
このため、例えば、L1<L2とした場合、ファン20で発生した音が分割された風路を通過する際、半波長がL1よりも短い周波数fの音は、平面波化(一次元化)して伝播する。また、例えば、L1>L2とした場合、ファン20で発生した音が分割された風路を通過する際、半波長がL2よりも短い周波数fの音は、平面波化(一次元化)して伝播する。
このように、ケーシング1内の風路を仕切り板90で分割することにより、分割された風路の短い側の幅よりも半波長が短い周波数の音を、平面波化(一次元化)することができる。また、ケーシング1内の風路の分割数を多くするほど、より高い周波数まで平面波化(一次元化)することができる。
平面波化(一次元化)できる周波数fを式で表すと、
f < c/(2*L)
となる。ここで、cは音速である。また、Lは、L1及びL2のうち、長さの短い側の値である。
ファン20で発生した音のうち平面波化した音は、分割された風路のそれぞれに設けられた騒音検出マイクロホン161によって検出され、分割された風路のそれぞれに設けられた制御スピーカー181から出力される逆位相の制御音によって消音される。このとき、平面波化した音は重ね合わせにるよる消音効果が得られやすくなり、効果的に消音される。
一方、平面波化していない音は、ケーシング1の風路内で反射を繰り返し、吹出口3まで伝播する。このように平面波化していない音は、音の腹や節の位置がケーシング1の風路内において無秩序に存在するため、能動的消音方法では大きな消音効果を得にくい。
以上、このように構成された室内機100においては、仕切り板90でケーシング1内の風路を分割し、分割された風路のそれぞれに制御スピーカー181を設けることにより、従来よりも高い周波数まで消音効果を得ることができる。また、ケーシング1内の風路の分割数を多くするほど、より高い周波数で消音効果を得ることができる。
また、仕切り板90は、ファン20で発生した音を隣接する風路に透過させない遮音効果も有する。平面波化した音の一部が隣接する風路に侵入すると、音が浸入した風路においては、浸入した音と同じ周波数の音は平面波ではなくなり、消音効果が低下する。遮音効果を得るためには、仕切り板90の重量が必要である。このため、金属(スチールやアルミ等)よりも密度の小さい樹脂等を用いて仕切り板90を形成する場合、仕切り板90の厚みを大きくするとよい。
また、消音機構のうち、騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181は、熱交換器50よりも風上側となる風路に配置されている。このため、冷房運転時に熱交換器50を通過して温度の低下した空気が、騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181を通過することを防止できる。したがって、騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181への結露を防止でき、騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181の信頼性が向上する。
なお、本実施の形態25に係る室内機100では、騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181をケーシング1の前面側に配置したが、騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181の少なくとも一方をケーシング1の後面側に配置しても勿論よい。
実施の形態26.
実施の形態20で示した室内機100に、能動的消音機構を設けても勿論よい。なお、本実施の形態26において、特に記述しない項目については実施の形態25と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図61は、本発明の実施の形態26に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態26に係る室内機100は、実施の形態20で示した室内機100に能動的消音機構を設けたものとなっている。
以上、このように構成された室内機100においては、仕切り板90aを配置することにより、熱交換器50と吹出口3との間においても、ファン20で発生した音を平面波化することができる。このため、ファン20と熱交換器50との間で消音できなかった音を、熱交換器50と吹出口3との間で消音できるようになる。したがって、より消音効果の高い空気調和機(より詳しくは室内機)を得ることができる。
なお、本実施の形態26では、仕切り板90aの下側端部が吹出口3まで延設された場合を説明したが、仕切り板90aの下側端部は熱交換器50と吹出口3との間にあっても勿論よい。仕切り板90aを設けたことにより、実施の形態25よりも消音効果が向上する。
実施の形態27.
実施の形態21及び実施の形態22で示した室内機100に、能動的消音機構を設けても勿論よい。なお、本実施の形態27において、特に記述しない項目については実施の形態25又は実施の形態26と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図62は、本発明の実施の形態27に係る室内機を示す斜視図である。この図62では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板90を透過させて示し、ボックス184(バックチャンバー184a)及び信号処理装置201等の図示を省略している。
本実施の形態27に係る室内機100は、実施の形態21で示した室内機100に能動的消音機構を設けたものとなっている。つまり、本実施の形態27では、実施の形態25で分割した風路を、仕切り板91によってさらに分割している。このため、本実施の形態27に係る室内機100は、分割された風路と同数の消音機構(騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191)を備えており、分割された風路のそれぞれに騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181が設けられている。
以上、このように構成された室内機100においては、分割された風路の幅L1を、実施の形態25に係る室内機100よりも小さくすることができる。このため、本実施の形態27に係る室内機100は、実施の形態25に係る室内機100と比べ、より周波数の高い音を平面波化でき、消音できる。
なお、実施の形態26と同様に、熱交換器50と吹出口3との間の風路で各仕切り板91の下方となる位置に、さらに仕切り板を設けてもよい。このように構成することにより、実施の形態26と同様に、ファン20が発生する音を平面波化している区間が広がり、より高い消音効果を得ることができる。
実施の形態28.
実施の形態23で示した室内機100に、能動的消音機構を設けても勿論よい。なお、本実施の形態28において、特に記述しない項目については実施の形態25〜実施の形態27と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図63は、本発明の実施の形態28に係る室内機を示す斜視図である。また、図64は、この室内機の縦断面図である。なお、図63では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板90を透過させて示し、ボックス184(バックチャンバー184a)及び信号処理装置201等の図示を省略している。
本実施の形態28に係る室内機100は、実施の形態23で示した室内機100に能動的消音機構を設けたものとなっている。つまり、本実施の形態28に係る室内機100は、実施の形態27に係る室内機100に、ケーシング1内の風路を左右方向に分割する仕切り板92が設けられている。この仕切り板92は、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との間に設けられており、仕切り板90及び仕切り板91と略直角に交わるように配置されている。
本実施の形態28に係る室内機100においても、分割された風路と同数の消音機構(騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191)を設けている。つまり、仕切り板92を設けることによりケーシング1内の風路は前後方向にも分割されることとなるので、本実施の形態28に係る室内機100は、ケーシング1の前面側のみならずケーシング1の後面側にも消音機構を設けている。
なお、仕切り板92の下側端部(吹出口3側端部)の位置は、以下のように設定するとよい。
例えば、図64に示すように、仕切り板92を平板にした場合、仕切り板92の下側端部を下方まで延ばしすぎると、風路の面積が減少して(風路が仕切り板92により塞がれて)、空気の流れの抵抗となってしまう。このため、仕切り板92を平板にした場合、仕切り板92の下側端部の位置は、ノズル6の風上側に配置する。
例えば、図65に示すように、仕切り板92の下側がノズル6の形状に合わせた曲面となっている場合、仕切り板92の下側端部を吹出口3まで延ばしてもよい。仕切り板92の下側端部を吹出口3まで延ばすことにより、ファン20が発生する音を平面波化している区間が広がり、より高い消音効果を得ることができる。
以上、このように構成された室内機100においては、分割された風路の幅L2を、実施の形態25〜実施の形態27に係る室内機100よりも小さくすることができる。このため、本実施の形態28に係る室内機100は、実施の形態25〜実施の形態27に係る室内機100と比べ、より周波数の高い音を平面波化でき、消音できる。
実施の形態29.
実施の形態24で示した室内機100に、能動的消音機構を設けても勿論よい。なお、本実施の形態29において、特に記述しない項目については実施の形態25〜実施の形態28と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図66は、本発明の実施の形態29に係る室内機を示す斜視図である。この図66では、図面の理解を容易とするため、ケーシング1及び仕切り板90を透過させて示し、ボックス184(バックチャンバー184a)及び信号処理装置201等の図示を省略している。
本実施の形態29に係る室内機100は、実施の形態24で示した室内機100に能動的消音機構を設けたものとなっている。つまり、本実施の形態29に係る室内機100は、実施の形態25で示した室内機100の仕切り板90の両面に吸音材93を設けている。この吸音材93の材質は、ウレタン、多孔質の樹脂、多孔質のアルミ等である。このような吸音材93は、低周波の消音効果は小さいが、例えば1kHz以上の高周波を消音することができる。吸音材93の厚みは、厚いほど低い周波数を吸収できる。しかしながら、室内機100は、能動的消音方法を用いることによって例えば1kHz以下の音を消音できる。このため、吸音材93は、例えば2kHzの音を吸音する20mm以下の厚みで十分効果を得ることができる。
以上、このように構成された室内機100においては、能動的消音方法によって、低周波の音を効率的に消音することができる。また、能動的消音方法では消音しきれない高周波の音も、吸音材93によって消音することができる。
実施の形態30.
<仕切りレス化>
実施の形態1等では、仕切り板(仕切り板90等)でケーシング1内の風路を分割することにより、隣接するファン20同士の旋回流の影響を抑制した。本発明に係る室内機100は複数のファン20を備えているので、これらファン20の回転方向を以下のように設定することにより、仕切り板90を設けなくとも隣接するファン20同士の旋回流の影響を抑制できる。なお、本実施の形態30においては、実施の形態1〜実施の形態29と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図67は、本発明の実施の形態30に係る室内機を示す斜視図である。
本実施の形態30に係る室内機100においても、実施の形態1に係る室内機100と同様に、複数のファン20が設けられている。本実施の形態30に係る室内機100は、図67に示すように、3つのファン20がケーシング1の左右方向(長手方向)に沿って配設されている。これら3つのファン20は、ファン仕様(ファン形状等)が同じとなっている。また、本実施の形態30に係る室内機100は、ケーシング1内に仕切り板(仕切り板90等)が設けられていない構成となっている。なお、説明の便宜上、各ファン20を区別して説明する必要がある場合は、ケーシング1の左側から順にファン20A、ファン20B及びファン20Cと称することとする。
また、本実施の形態30では、各ファン20(ファン20A〜ファン20C)の回転方向を次のように設定している。
図68は、本発明の実施の形態30に係る室内機におけるファン回転方向とケーシング内に発生する気流との関係を示す説明図である。なお、この図68は、室内機100の平面断面図を示しており、図68の下側が室内機100の前面側となっている。また、図68では、熱交換器50の上端部のみを図示している。ここで、本実施の形態30〜実施の形態34においては、熱交換器50の上部に位置する変局部(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55の接続部)も上端部と称することとする。
図68に示すように、ファン20A〜ファン20Cの全てが同一方向に回転する場合、ケーシング1内に発生する気流は次のようになる。なお、図68では、室内機100を平面視した状態において、反時計回り方向にファン20A〜ファン20Cが回転している。ファン20A〜ファン20Cの回転方向が全て同一の場合、各ファン20の領域27a(ケーシング1に設置したファン20を平面視したときに、ファン20の並設方向と略垂直側にできる領域)に発生する気流は、同方向となる。このため、この領域27aに発生する気流が増速され、ケーシング1内には、図68の白抜き矢印で示すような流れ場が発生する。このため、ファン20A〜ファン20Cの回転方向が全て同一の場合、下流に配置された熱交換器50に流入する空気の風速分布に大きなバラツキが生じてしまう。例えば、図68に示すような場合、熱交換器50の前面右側(図68の右下側)及び背面左側(図68の左上側)に多くの空気が流入してしまう。また、図68に示すような場合、熱交換器50の前面左側(図68の左下側)及び背面右側(図68の右上側)に流入する空気が不足してしまう。
特に、熱交換器50の上端部上方にファン20が設けられた本実施の形態30に係る室内機100においては、ファン20と熱交換器50上端部との間に十分な距離を確保できない場合、領域27b(ケーシング1に設置したファン20を平面視したときに、ファン20の並設方向にできる領域)の気流の風速は、領域27aよりも小さくなってしまう。このため、熱交換器50の上端部上方にファン20が設けられた本実施の形態30に係る室内機100においては、領域27aの気流の風速がより大きくなり、熱交換器50に流入する空気の風速分布のバラツキがより大きくなってしまう。
そこで、本実施の形態30に係る室内機100は、隣接するファン20の回転方向が互いに逆方向となるように、各ファン20(ファン20A〜ファン20C)の回転方向を設定している。
図69は、本発明の実施の形態30に係る室内機の平面断面図である。
図69に示すように、隣接するファン20の回転方向が互いに逆方向となっている。本実施の形態30では、室内機100を平面視した状態において、ファン20Aの回転方向は反時計回り方向となっている。そして、ファン20Aと隣接するファン20Bの回転方向は、ファン20Aと逆方向の時計回り方向となっている。また、ファン20Bと隣接するファン20Cの回転方向は、ファン20Bと逆の反時計回り方向としている。なお、各ファン20の回転方向は、図69に示す方向に限定されるものではない。隣接するファン20の回転方向が互いに逆方向となっていればよい。
このように隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、ケーシング1内には、図69の白抜き矢印で示すような流れ場が発生する。つまり、隣接するファン20間において、領域27aの気流が隣接するファン20間で衝突し(向かい合う方向となり)、そのまま下流に配置された熱交換器50に流入することとなる。このため、隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、各ファン20が同一方向に回転する場合(図68)と比べ、熱交換器50に流入する空気の風速分布のバラツキを改善できる。したがって、隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、室内機100の圧力損失を低減でき、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。
さらに、本実施の形態30に係る室内機100は、仕切り板(仕切り板90等)を用いていないので、部品コストや製造コスト(仕切り板をケーシングに取り付ける工数等)を削減することもできる。
なお、各ファン20の並設方向は、ケーシング1の左右方向と厳密に平行である必要はない。例えば図70に示すように、各ファン20をケーシング1の前後方向に若干ずらして配置しても勿論よい。
実施の形態31.
複数のファン20は、ケーシング1の前後方向に並設される場合もある。このような場合、ケーシング1の前後方向に隣接するファン20の回転方向は、例えば次のように設定すればよい。なお、本実施の形態31において、特に記述しない項目については実施の形態30と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図71は、本発明の実施の形態31に係る室内機の平面断面図である。なお、この図71は、下側が室内機100の前面側となっている。また、図71では、熱交換器50の上端部のみを図示している。
本実施の形態31に係る室内機100は、6つのファン20を備えている。より詳しくは、ケーシング1の背面側に、その左右方向に沿って3つのファン20が並設されている。また、ケーシング1の前面側に、その左右方向に沿って3つのファン20が並設されている。ケーシング1の前面側に配置されたファン20と背面側に配置されたファン20とは、ケーシング1の前後方向に沿って配置されている。これら6つのファン20は、ファン仕様(ファン形状等)が同じとなっている。また、本実施の形態31に係る室内機100は、ケーシング1内に仕切り板(仕切り板90等)が設けられていない構成となっている。なお、説明の便宜上、各ファン20を区別して説明する必要がある場合は、ケーシング1の背面側に並設されたファン20を左側から順にファン20A、ファン20B及びファン20Cと称し、ケーシング1の前面側に並設されたファン20を左側から順にファン20D、ファン20E及びファン20Fと称する。
また、本実施の形態31に係る室内機100は、上端部を2つ有する熱交換器50が設けられている。上端部を2つ有する熱交換器50とは、例えば、後述する右側縦断面が略N型、略И型又は略M型の熱交換器50である。そして、ケーシング1の背面側に並設されたファン20A〜ファン20Cは、熱交換器50の背面側上端部の上方に設けられ、ケーシング1の前面側に並設されたファン20D〜ファン20Fは、熱交換器50の前面側上端部の上方に設けられている。
本実施の形態31に係る室内機100においては、各ファン20の回転方向を次のように設定している。
ケーシング1の左右方向に並設された各ファン20は、隣接するファン20の回転方向が互いに逆方向となっている。また、ケーシング1の前後方向に並設された各ファン20(ファン20Aとファン20D、ファン20Bとファン20E、ファン20Cとファン20F)は、隣接するファン20の回転方向が同方向に設定されている。
このように各ファン20の回転方向を設定することにより、ケーシング1内には、図71の白抜き矢印で示すような流れ場が発生する。つまり、左右方向に隣接するファン20間において、領域27aの気流が隣接するファン20間(図71に縦方向の点線で示す範囲)で衝突し、そのまま下流に配置された熱交換器50に流入することとなる。このため、左右方向に隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、実施の形態30と同様に、熱交換器50に流入する空気の風速分布のバラツキを改善できる。したがって、左右方向に隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、室内機100の圧力損失を低減でき、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。なお、本実施の形態31では、熱交換器50の上端部の上方に各ファン20を設けているので、領域27bの気流よりも領域27aの気流の方が、早い風速となっている。
さらに、本実施の形態31に係る室内機100は、前後方向に隣接するファン20の回転方向を同じにしているので、領域27aの気流が隣接するファン20間で衝突し、そのまま下流に配置された熱交換器50に流入することとなる。このため、前後方向においても、仕切り板を配置したときと同様の効果(風速分婦の改善による圧力損失の低減、及び熱交換性能の向上)を得ることができる。
なお、ケーシング1の左右方向に沿った各ファン20の並設方向は、ケーシング1の左右方向と厳密に平行である必要はない。各ファン20をケーシング1の前後方向に若干ずらして配置しても勿論よい。また、ケーシング1の前後方向に沿った各ファン20の並設方向は、ケーシング1の前後方向と厳密に平行である必要はない。各ファン20をケーシング1の左右方向に若干ずらして配置しても勿論よい。
実施の形態32.
また、ファン20がケーシング1の前後方向にも並設される場合、ケーシング1の前後方向に隣接するファン20の回転方向を、例えば次のように設定してもよい。なお、本実施の形態32において、特に記述しない項目については実施の形態30又は実施の形態31と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図72は、本発明の実施の形態32に係る室内機の平面断面図である。なお、この図72は、下側が室内機100の前面側となっている。また、図72では、熱交換器50の上端部のみを図示している。
本実施の形態32に係る室内機100は、実施の形態31に係る室内機100と同様に、6つのファン20を備えている。これら6つのファン20は、ファン仕様(ファン形状等)が同じとなっている。また、本実施の形態32に係る室内機100は、ケーシング1内に仕切り板(仕切り板90等)が設けられていない構成となっている。なお、説明の便宜上、各ファン20を区別して説明する必要がある場合は、ケーシング1の背面側に並設されたファン20を左側から順にファン20A、ファン20B及びファン20Cと称し、ケーシング1の前面側に並設されたファン20を左側から順にファン20D、ファン20E及びファン20Fと称する。
しかしながら、本実施の形態32に係る室内機100は、前後方向に隣接するファン20の回転方向の設定が本実施の形態31に係る室内機100と異なっている。つまり、ケーシング1の前後方向に並設された各ファン20(ファン20Aとファン20D、ファン20Bとファン20E、ファン20Cとファン20F)は、隣接するファン20の回転方向が逆方向に設定されている。
また、本実施の形態32に係る室内機100に設けられた熱交換器50は、実施の形態31に係る室内機100に設けられた熱交換器50とは異なり、上端部が1つの熱交換器50が設けられている。つまり、ケーシング1の背面側に並設されたファン20A〜ファン20Cは、熱交換器50の背面側上端部よりも背面側に設けられ、ケーシング1の前面側に並設されたファン20D〜ファン20Fは、熱交換器50の前面側上端部よりも前面側に設けられている。上端部が1つの熱交換器50とは、例えば、実施の形態1や実施の形態30等で示した右側縦断面略Λ型の熱交換器である。もちろん、右側縦断面略Λ型の熱交換器50に限らず、上端部が1つの熱交換器50であれば熱交換器50の右側縦断面における形状は任意である。
このように各ファン20の回転方向を設定することにより、ケーシング1内には、図72の白抜き矢印で示すような流れ場が発生する。つまり、左右方向に隣接するファン20間において、領域27aの気流が隣接するファン20間(図72に縦方向の点線で示す範囲)で衝突し、そのまま下流に配置された熱交換器50に流入することとなる。このため、左右方向に隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、実施の形態30及び実施の形態31と同様に、熱交換器50に流入する空気の風速分布のバラツキを改善できる。したがって、左右方向に隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、室内機100の圧力損失を低減でき、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。
また、本実施の形態32に係る室内機100においては、各ファン20が熱交換器50の上端部よりも前面側又は背面側に設けられているので、領域27aが熱交換器50の上端部の上方に配置することとなる。このため、領域27aの気流よりも領域27bの気流の方が、早い風速となる。したがって、前後方向に隣接するファン20の回転方向を同じにしなくても、室内機100の圧力損失を低減でき、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。つまり、ケーシング1を平面視したとき、各ファン20の設置位置を熱交換器50の上端部からずらすことにより、前後方向に隣接するファン20の回転方向を限定しなくとも、室内機100の圧力損失を低減でき、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。
なお、ケーシング1の左右方向に沿った各ファン20の並設方向は、ケーシング1の左右方向と厳密に平行である必要はない。各ファン20をケーシング1の前後方向に若干ずらして配置しても勿論よい。また、ケーシング1の前後方向に沿った各ファン20の並設方向は、ケーシング1の前後方向と厳密に平行である必要はない。各ファン20をケーシング1の左右方向に若干ずらして配置しても勿論よい。
実施の形態33.
また、以下のようなファン20を並設することも可能である。なお、本実施の形態33において、特に記述しない項目については実施の形態30〜実施の形態32と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図73は、本発明の実施の形態33に係る室内機の平面断面図である。なお、この図73は、下側が室内機100の前面側となっている。また、図73では、熱交換器50の上端部のみを図示している。
本実施の形態33に係る室内機100の基本構成は、実施の形態30に係る室内機100と同様である。つまり、3つのファン20(ファン20A〜ファン20C)がケーシング1の左右方向に並設されている。これら各ファン20は、隣接するファン20の回転方向が逆方向となっている。また、熱交換器50は、右側縦断面略Λ型の熱交換器が設けられている。また、ケーシング1内に仕切り板が設けられていない構成となっている。
しかしながら、本実施の形態33に係る室内機100は、ファン20の仕様が実施の形態30に係る室内機100と異なっている。つまり、本実施の形態33では、ファン20毎に、仕様(例えば、羽根車の径、ボス比及び羽根の取り付け角等)が異なっている。なお、本実施の形態33では、実施の形態30〜実施の形態32で示したファン20と異なり、一方向のみに回転可能なファン20を用いている。つまり、ファン20A及びファン20Cは、室内機100を平面視した状態において、反時計回り方向のみに回るファンを用いている。また、ファン20Bは、室内機100を平面視した状態において、時計回り方向のみに回るファンを用いている。
なお、複数のファン20のうち、一部のファン20の仕様を同じにしても勿論よい。また、本実施の形態33では、ケーシング1の前後方向にファン20を並設していないが、ケーシング1の前後方向にファン20を並設しても勿論よい。また、熱交換器50の形状も、右側縦断面略Λ型に限らず種々の形状とすることができる。
このような構成によれば、ファン20を回転方向に応じて個別に最適設計することが可能となり、実施の形態30〜実施の形態32と比べ、低騒音化が可能となる。また、後述するように各ファン20の風量や風速を個別に設定して吹出口3の風量分布や風速分布を調整する際、室内機100の設計自由度を向上させることができる。
実施の形態34.
ファン20を前後方向に並設する場合、例えば以下のような位置にファン20を設置するとよい。なお、本実施の形態34において、特に記述しない項目については実施の形態30〜実施の形態33と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図74は、本発明の実施の形態34に係る室内機の縦断面図である。ここで、図74(a)は、右側縦断面略W型の熱交換器50を備えた室内機100を示す。また、図74(b)は、右側縦断面略M型の熱交換器50を備えた室内機100を示す。
本実施の形態34に係る室内機100は、ケーシング1の前後方向に沿って複数のファン20が並設されている。本実施の形態34では、ケーシング1の前後方向に沿って3つのファン20が並設されている。なお、これら前後位置の異なるファン20の位置に置いて、ケーシング1の左右方向(図74の紙面直交方向)にファン20を並設しても勿論よい。
ファン20の羽根23の下方に熱交換器50の上端部が配置されている場合、流速の速い空気が熱交換器50の上端部に衝突することとなる。これにより、熱交換器50での圧力損失が増大するとともに、熱交換器に流入する空気の風速分布にバラツキが生じる。
そこで、本実施の形態34では、ファン20の羽根23の下方に熱交換器50の上端部が配置されないように、ファン20及び熱交換器50を配置している。
このように室内機100を構成することにより、ファン20の下流側の流れ(図74の白抜き矢印)は、熱交換器50の上端部に遮られる風路を最小限に設置することが可能となる。このため、熱交換器50の圧力損失を低減できると共に、熱交換器50に流入する空気の風速分布も改善することが可能となる。
実施の形態35.
<ファン個別制御>
上述のように、本発明に係る室内機100は複数のファン20を備えている。これら各ファン20を個別に制御することにより、室内機100の風向制御性等を向上させることができる。本実施の形態35では、各ファン20の風量を個別に制御する具体的な実施形態の一例を説明する。ここで、本実施の形態35では、3つのファン20がケーシング1の左右方向(長手方向)に沿って並設した室内機100を例に説明する。また、説明の便宜上、各ファン20を区別して説明する必要がある場合は、ケーシング1の左側から順にファン20A、ファン20B及びファン20Cと称することとする。また、本実施の形態35においては、実施の形態1〜実施の形態34と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。なお、室内機100に並設されるファンの数が3つ以外の場合においても、本実施の形態35で示した発明が成立することは言うまでもない。
図75は、本発明の実施の形態35に係る室内機における吹出口の風速分布の一例を示す説明図である。この図75は、室内機100の正面図を示している。
本実施の形態35に係る室内機100は、ケーシング1の左右方向(長手方向)に3つのファン20が設けられている。これらファン20の風量を図75の左側のファン20から順に大きくすると、室内機100の吹出口3における風速分布は図75の矢印に示すようになる。つまり、ファン20A〜ファン20Cの風量を、ファン20A<ファン20B<ファン20Cとすると、室内機100の吹出口3における風速分布は図75の矢印に示すようになる。なお、図75に示す矢印の方向は気流の方向を示し、図75の矢印の大きさは風速の大きさを示している。つまり、図75の矢印は、その長さが長いほど風速が速い(換言すると、風量が多い)ことを示している。
また、図76は、本発明の実施の形態35に係る室内機における吹出口の風速分布の別の一例を示す説明図である。この図76は、室内機100の正面図を示している。
各ファン20の風量を図75の右側のファン20から順に大きくすると、室内機100の吹出口3における風速分布は図76の矢印に示すようになる。つまり、ファン20A〜ファン20Cの風量を、ファン20A>ファン20B>ファン20Cとすると、室内機100の吹出口3における風速分布は図76の矢印に示すようになる。なお、図76に示す矢印の方向は気流の方向を示し、図76の矢印の大きさは風速の大きさを示している。つまり、図76の矢印は、その長さが長いほど風速が速い(換言すると、風量が多い)ことを示している。
図77は、本発明の実施の形態35に係る室内機の吹出口近傍を示す要部拡大図(正面断面図)である。この図77は、吹出口3から吹き出される気流を図77の右側方向に制御する場合の左右ベーン80を示している。
図77に示すように、左右ベーン80で曲げられた気流は、吹出口3の近傍においてケーシング1の側壁部に衝突し、通風損失になる。このような場合、図76で示すように、吹出口3の右側端部の風速が小さくなるように、各ファン20の風量を発生させるとよい(図76参照)。吹出口3の全風量を従来の室内機(ファンが1つのみ設けられている室内機、又は複数のファンのそれぞれの風量を制御しない室内機)と同一の風量に設定した場合、このように各ファン20の風量を個別に制御することにより、ケーシング1の側壁部に気流が衝突することによる通風損失を低減することができる。
なお、発明者らが吹出口3の風速分布(各ファン20毎の風量の差)が熱交換性能に及ぼす影響を調査したところ、隣接するファン20の風量の差が約20%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響が少ないことがわかった。また、隣接するファン20の風量の差が約10%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響がさらに少ないことがわかった。このため、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約20%以下であることが好ましい。また、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約10%以下であることがさらに好ましい。
また、各ファン20の風量を個別制御することの効果は、上記の通風損失低減効果に限定されるものではない。例えば、集中的に空気調和したい場所がある場合(スポット空調を行う場合)、この場所に到達する気流が大きくなるように、各ファン20の風量を個別に制御すればよい。また例えば、空調気流があたるのを避けたい場所がある場合(風よけマイルド空調を行う場合)、この場所に到達する気流が小さくなるように(又はこの場所に気流が到達しないように)各ファン20の風量を個別に制御すればよい。
また、本実施の形態35では、同一形状(同一仕様)のファン20を複数設け、各ファン20の回転数を変更することにより、各ファン20の風量を個別に制御している。この場合、「ファン20の羽根23の枚数とファン20の羽根車25の回転数との積」を各々のファン20で10Hz程度離しておくとよい。このようにすることで、各ファン20から発生するうなり音(羽根通過周波数騒音(BPF)の干渉によって生じるうなり音)を抑制する効果も期待できる。
実施の形態36.
また、以下のように各ファン20の風量を個別に制御してもよい。なお、本実施の形態36において、特に記述しない項目については実施の形態35と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図78は、本発明の実施の形態36に係る室内機において各ファン20の風量を同一にした場合の吹出口の風速分布を示す説明図である。この図78は、室内機100の正面図を示している。また、図78に示す矢印の方向は気流の方向を示し、図78の矢印の大きさは風速の大きさを示している。つまり、図78の矢印は、その長さが長いほど風速が速い(換言すると、風量が多い)ことを示している。
図78に示すように、各ファン20が発生する風量を同一とした場合、吹出口3の両端部近傍で風速が低下していることがわかる。これは、風路を構成するケーシング1の側壁等で生じる気流摩擦により風速が低減するためである。このため、室内機100を低風量(低能力)モードで運転する場合、この速度低下域(吹出口3の両端部近傍)で逆流を生じることがある。この逆流は、呼吸音のような異音を生じる場合がある。また、冷房運転時においては、この逆流は、暖気と冷気の混合によって結露を生じる等の不具合を生じる。
そこで、本実施の形態36に係る室内機100は、室内機100を低風量(低能力)モードで運転する場合、図79に示すように各ファン20の風量を制御している。
図79は、本発明の実施の形態36に係る室内機が低風量モードで運転する場合における吹出口の風速分布の一例を示す説明図である。
低風量(低能力)モードで運転する場合、本実施の形態36に係る室内機100は、吹出口3の両端部近傍の風速が大きくなるように、両端部に配置されたファン20A及びファン20Cの風量を中央部に配置されたファン20Bの風量よりも大きくしている。低風量(低能力)モードにおける吹出口3の全風量を従来の室内機(ファンが1つのみ設けられている室内機、又は複数のファンのそれぞれの風量を制御しない室内機)と同一の風量に設定した場合、このように各ファン20の風量を制御することにより、低風量(低能力)モードで発生する上記の問題点を解決することができる。
なお、発明者らが吹出口3の風速分布(各ファン20毎の風量の差)が熱交換性能に及ぼす影響を調査したところ、隣接するファン20の風量の差が約20%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響が少ないことがわかった。また、隣接するファン20の風量の差が約10%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響がさらに少ないことがわかった。このため、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約20%以下であることが好ましい。また、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約10%以下であることがさらに好ましい。
また、実施の形態35と同様に、例えば、集中的に空気調和したい場所がある場合(スポット空調を行う場合)、この場所に到達する気流が大きくなるように、各ファン20の風量をさらに個別に制御してもよい。また例えば、空調気流があたるのを避けたい場所がある場合(風よけマイルド空調を行う場合)、この場所に到達する気流が小さくなるように(又はこの場所に気流が到達しないように)各ファン20の風量をさらに個別に制御してもよい。
また、上述した消音機構や後述する消音機構(例えば、吸音材の使用、ヘルムホルツ型消音器として機能するファン20の筐体26、能動的消音機構)を室内機100に設けた場合、各ファン20の風量を個別に制御する構成をこれら消音機構と組み合わせることにより、消音効果がさらに向上する。例えば能動的消音機構を室内機100に設ける場合、音源の数(ファン20の数)に応じた消音機構を設けることが好ましい。しかしながら、室内機100の寸法上の制限やコスト上の制限により、音源の数(ファン20の数)に応じた消音機構を設けることができない場合がある。このような場合でも、各ファン20の風量を個別に制御する構成を組み合わせることにより、十分な消音効果を得ることができる。
図80は、本発明の実施の形態36に係る室内機における同一風量時の中央部ファンの風量低減率と騒音低減効果の関係を示す特性図である。この図80は、吹出口3の全風量を同一にして、中央部に配置されたファン20bの風量を低減させたときの騒音低減量を示している。また、図80に示す−1dB,−2dB,−3dB,−4dB,−5dBは、この消音検出装置が検出する音と最も関連性が高い騒音に対する消音効果である。図80の結果を得るために用いた消音機構の騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカーは、風路内の気流に影響を及ぼさないように、ケーシング1の左右両側面部に設けられた機械ボックス(制御基板等が格納されているボックス、図示せず)内に設置した。このため、図80に示す−1dB,−2dB,−3dB,−4dB,−5dBは、ファン20A及びファン20Cが放出する騒音に対する消音効果を示している。
例えば、消音効果−5dBの消音機構を室内機100に設けた場合、両端部近傍に配置されたファン20A及びファン20Bが放射する騒音は、それぞれ5dB低減する。一方、中央部に配置されたファン20Bから放射される騒音には消音機構の効果がないため、室内機100全体では、合計で2.7dBの消音効果が得られる。このとき、本実施の形態36で示したように中央部のファン20Bの風量を約15%低減させたとすると、同一風量を得るために、両端部近傍に配置されたファン20A及びファン20Bはそれぞれ7.5%風量を増大する。このように各ファン20の風量を個別制御すると、両端部近傍に配置されたファン20A及びファン20Bが放射する騒音が1.9dB増大し、中央部に配置されたファン20Bから放射される騒音は2dB低減される。結果として、室内機100全体では合計で3.5dBの消音効果が得られ、各ファン20の風量を個別に制御する前よりも消音効果が向上する。
なお、本実施の形態36では、同一形状(同一仕様)のファン20を複数設け、各ファン20の回転数を変更することにより、各ファン20の風量を個別に制御している。この場合、「ファン20の羽根23の枚数とファン20の羽根車25の回転数との積」を各々のファン20で10Hz程度離しておくとよい。このようにすることで、各ファン20から発生するうなり音(羽根通過周波数騒音(BPF)の干渉によって生じるうなり音)を抑制する効果も期待できる。
実施の形態37.
また、以下のように各ファン20の風量を個別に制御してもよい。なお、本実施の形態37において、特に記述しない項目については実施の形態35又は実施の形態36と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図81は、本発明の実施の形態37に係る室内機における吹出口の風速分布の一例を示す説明図である。この図81は、室内機100の正面図を示している。また、図81に示す矢印の方向は気流の方向を示し、図81の矢印の大きさは風速の大きさを示している。つまり、図81の矢印は、その長さが長いほど風速が速い(換言すると、風量が多い)ことを示している。
本実施の形態37に係る室内機100は、吹出口3の中央部の風速が両端部近傍の風速よりも大きくなるように、中央部に配置されたファン20Bの風量を両端部に配置されたファン20A及びファン20Cの風量よりも大きくしている。
吹出口3から吹き出された気流は、室内の低速又は停止空気と接するところで速度エネルギーを徐々に失い、最後に気流中央部の速度が低減する。このため、吹出口3から吹き出される気流を本実施の形態37のようにすることにより、同一風量発生時における気流中央部の流速を従来の室内機(ファンが1つのみ設けられている室内機、又は複数のファンのそれぞれの風量を制御しない室内機)よりも大きくすることができ、気流到達性を向上することができる。
なお、発明者らが吹出口3の風速分布(各ファン20毎の風量の差)が熱交換性能に及ぼす影響を調査したところ、隣接するファン20の風量の差が約20%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響が少ないことがわかった。また、隣接するファン20の風量の差が約10%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響がさらに少ないことがわかった。このため、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約20%以下であることが好ましい。また、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約10%以下であることがさらに好ましい。
また、実施の形態35と同様に、例えば、集中的に空気調和したい場所がある場合(スポット空調を行う場合)、この場所に到達する気流が大きくなるように、各ファン20の風量をさらに個別に制御してもよい。また例えば、空調気流があたるのを避けたい場所がある場合(風よけマイルド空調を行う場合)、この場所に到達する気流が小さくなるように(又はこの場所に気流が到達しないように)各ファン20の風量をさらに個別に制御してもよい。
また、本実施の形態37では、同一形状(同一仕様)のファン20を複数設け、各ファン20の回転数を変更することにより、各ファン20の風量を個別に制御している。この場合、「ファン20の羽根23の枚数とファン20の羽根車25の回転数との積」を各々のファン20で10Hz程度離しておくとよい。このようにすることで、各ファン20から発生するうなり音(羽根通過周波数騒音(BPF)の干渉によって生じるうなり音)を抑制する効果も期待できる。
実施の形態38.
実施の形態35〜実施の形態37では、同一形状(同一仕様)のファン20を複数設け、各ファン20の回転数を変更することにより、各ファン20の風量を個別に制御していた。これに限らず、送風能力の異なるファン20(例えばファン径、ボス比、翼の取り付け角等が異なるファン20)を用いても、実施の形態35〜実施の形態37と同様の効果が得られる。送風能力の異なるファン20を複数用いることにより、ファン20の実装密度が向上する、室内機100(ケーシング1)内部の風速分布をより詳細に制御できる等、実施の形態35〜実施の形態37では得られなかった効果をさらに得ることもできる。
なお、隣接するファン20の風量の差は約20%以下(より好ましくは10%以下)にして熱交換性能の低下を防止することと、「ファン20の羽根23の枚数とファン20の羽根車25の回転数との積」を各々のファン20で10Hz程度離してうなり音を防止することの両方を成立させるためには、羽根23の枚数が異なるファン20を用いるのが効果的である。
実施の形態39.
<熱交換器>
本発明の特徴の1つは、熱交換器50の上流側にファン20を配置することである。これにより、吹出口にファンが設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布の発生を抑制している。したがって、熱交換器50の形状は、実施の形態1で示した形状に限らず、例えば以下のような形状としてもよい。なお、本実施の形態39においては、実施の形態1〜実施の形態38と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図82は、本発明の実施の形態39に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態39に係る室内機100においては、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55に分割されていない熱交換器50が、ファン20の下流側に設けられている。
このような構成によれば、フィルター10を通過した空気がファン20に流入する。つまり、ファン20に流入する空気は、従来の室内機に流入する空気(熱交換器を通過した)よりも、流れの乱れが少ないものとなる。このため、従来の室内機と比べ、ファン20の羽根23の外周部を通過する空気は、流れの乱れが少ないものとなる。したがって、本実施の形態39に係る室内機100は、従来の室内機と比べ、騒音を抑制することができる。
また、室内機100は、ファン20が熱交換器50の上流側に設けられているので、吹出口にファンが設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布の発生を抑制することができる。また、吹出口3にファン等の複雑な構造物がないため、逆流等により発生する結露の対策も容易となる。
実施の形態40.
熱交換器50を前面側熱交換器51と背面側熱交換器55で構成することにより、実施の形態39に係る室内機100よりもさらに騒音を抑制することが可能となる。このとき、実施の形態1に示した熱交換器50の形状に限らず、例えば以下のような形状とすることができる。なお、本実施の形態40では上述した実施の形態39との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態39と同一部分には、同一符号を付している。
図83は、本発明の実施の形態40に係る室内機を示す縦断面図である。
図83に示すように、熱交換器50を構成している前面側熱交換器51と背面側熱交換器55とは、右側縦断面において、対称線50aで分断されている。対称線50aは、この断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。つまり、前面側熱交換器51は対称線50aに対して前面側(紙面左側)に、背面側熱交換器55は対称線50aに対して背面側(紙面右側)に、それぞれ配置されている。そして、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との間の間隔が空気の流れ方向に対して狭まるように、つまり右側縦断面において熱交換器50の断面形状が略V型となるように、ケーシング1内に配置されている。
つまり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して傾斜を有するように配置されているのである。さらに、背面側熱交換器55の風路面積は、前面側熱交換器51の風路面積よりも大きくなっていることを特徴としている。本実施の形態40では、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。これにより、背面側熱交換器55の風路面積は、前面側熱交換器51の風路面積よりも大きくなっている。なお、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のその他の構成(図83における奥行き方向の長さ等)は、同じとなっている。つまり、背面側熱交換器55の伝熱面積は、前面側熱交換器51の伝熱面積よりも大きくなっている。また、ファン20の回転軸20aは、対称線50aの上方に設置されている。
このような構成によれば、ファン20が熱交換器50の上流側に設けられているので、実施の形態39と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態40に係る室内機100によれば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれには、風路面積に応じた量の空気が通過する。つまり、背面側熱交換器55の風量は前面側熱交換器51の風量よりも大きくなる。そして、この風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態40に係る室内機100は、実施の形態39に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、本実施の形態40に係る室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれには、伝熱面積に応じた量の空気が通過することとなる。このため、熱交換器50の熱交換性能が向上する。
なお、図83に示す熱交換器50は、別々に形成された前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55により略V型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を一体型の熱交換器で構成してもよい(図92参照)。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図92参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図92参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55で構成する場合)、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図92参照)。
図92は、熱交換器50の構成例を説明するための概略図である。この図92は、右側縦断面から見た熱交換器50を示している。なお、図92に示す熱交換器50の全体形状は略Λ型となっているが、熱交換器の全体形状はあくまでも一例である。
図92(a)に示すように、熱交換器50を複数の熱交換器で構成してもよい。図92(b)に示すように、熱交換器50を一体型の熱交換器で構成してもよい。12(c)に示すように、熱交換器50を構成する熱交換器を、さらに複数の熱交換器で構成してもよい。また、図92(c)に示すように、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を、垂直に配置してもよい。図92(d)に示すように、熱交換器50の形状を曲線形状としてもよい。
実施の形態41.
また、熱交換器50は、以下のように構成されてもよい。なお、本実施の形態41では上述した実施の形態40との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態40と同一部分には、同一符号を付している。
図84は、本発明の実施の形態41に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態41の室内機100は、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態40の室内機100と相違している。
本実施の形態41に係る熱交換器50は、3つの熱交換器で構成されており、これら各熱交換器は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略N型となっている。ここで、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器51a及び熱交換器51bが前面側熱交換器51を構成し、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器55a及び熱交換器55bが背面側熱交換器55を構成する。つまり、本実施の形態41では、熱交換器51b及び熱交換器55bが一体型の熱交換器で構成されている。なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器55の風量は、前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器51を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器55を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
このような構成によれば、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態40と同様に、風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態41に係る室内機100は、実施の形態39に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、熱交換器50の形状を右側縦断面において略N型とすることにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態40よりも小さくすることが可能となる。このため、実施の形態40と比べ、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図84に示す熱交換器50は、別々に形成された3つ熱交換器により略N型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器50を構成する3つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図92参照)。また例えば、熱交換器50を構成する3つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図92参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図92参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図92参照)。
実施の形態42.
また、熱交換器50は以下のように構成されてもよい。なお、本実施の形態42では上述した実施の形態40及び実施の形態41との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態40及び実施の形態41と同一部分には、同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図85は、本発明の実施の形態42に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態42の室内機100は、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態40及び実施の形態41に示す室内機と相違している。
実施の形態42に係る熱交換器50は、4つの熱交換器で構成されており、これら各熱交換器は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略W型となっている。ここで、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器51a及び熱交換器51bが前面側熱交換器51を構成し、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器55a及び熱交換器55bが背面側熱交換器55を構成する。なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器55の風量は、前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器51を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器55を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
このような構成によれば、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態40及び実施の形態41と同様に、風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態42に係る室内機100は、実施の形態39に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、熱交換器50の形状を右側縦断面において略W型とすることにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態40及び実施の形態41よりも小さくすることが可能となる。このため、実施の形態40及び実施の形態41と比べ、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図85に示す熱交換器50は、別々に形成された4つ熱交換器により略W型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器50を構成する4つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図92参照)。また例えば、熱交換器50を構成する4つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図92参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図92参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図92参照)。
実施の形態43.
また、熱交換器50は、実施の形態1でも示したように、以下のように構成されてもよい。なお、本実施の形態43では上述した実施の形態40〜実施の形態42との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態40〜実施の形態42と同一部分には、同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図86は、本発明の実施の形態43に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態43の室内機100では、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態40〜実施の形態42に示す室内機と相違している。
より詳しくは、本実施の形態43の室内機100は、実施の形態40と同様に、2つの熱交換器(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)で構成されている。しかしながら、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の配置の仕方が実施の形態40に示す室内機100と相違している。
つまり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。また、対称線50aよりも前面側に前面側熱交換器51が配置されており、対称線50aよりも背面側に背面側熱交換器55が配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略Λ型となっている。
なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器55の風量は、前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器51を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器55を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
このように構成された室内機100は、その内部における空気の流れが以下のようになる。
まず、室内空気は、ファン20によってケーシング1の上部に形成されている吸込口2から室内機100(ケーシング1)内に流れ込む。このとき、フィルター10によって空気に含まれている塵埃が除去される。この室内空気は、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)を通過する際、熱交換器50内を導通している冷媒によって加熱又は冷却されて空調空気となる。このとき、前面側熱交換器51を通過する空気は、室内機100の前面側から背面側に流れる。また、背面側熱交換器55を通過する空気は、室内機100の背面側から前面側に流れる。
熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)を通過した空調空気は、ケーシング1の下部に形成されている吹出口3から室内機100の外部、つまり空調対象域に吹き出される。
このような構成によれば、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態40〜実施の形態42と同様に、風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態43に係る室内機100は、実施の形態39に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態43に係る室内機100においては、背面側熱交換器55から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態43に係る室内機100は、熱交換器50を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。つまり、本実施の形態43に係る室内機100は、実施の形態40に係る室内機100と比べ、吹出口3から吹き出される空気の気流制御がさらに容易となる。したがって、本実施の形態43に係る室内機100は、実施の形態40に係る室内機100と比べ、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要がさらに無くなり、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図86に示す熱交換器50は、別々に形成された前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を一体型の熱交換器で構成してもよい(図92参照)。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図92参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図92参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図92参照)。
実施の形態44.
また、熱交換器50は以下のように構成されてもよい。なお本実施の形態44では上述した実施の形態40〜実施の形態43との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態40〜実施の形態43と同一部分には、同一符号を付している。
図87は、本発明の実施の形態44に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態44の室内機100は、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態40〜実施の形態43に示す室内機と相違している。
より詳しくは、本実施の形態44の室内機100は、実施の形態41と同様に、3つの熱交換器で構成されている。しかしながら、これら3つの熱交換器の配置の仕方が実施の形態41に示す室内機100と相違している。
つまり、熱交換器50を構成する3つの熱交換器のそれぞれは、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略И型となっている。ここで、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器51a及び熱交換器51bが前面側熱交換器51を構成し、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器55a及び熱交換器55bが背面側熱交換器55を構成する。つまり、本実施の形態44では、熱交換器51b及び熱交換器55bが一体型の熱交換器で構成されている。なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器55の風量は、前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器51を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器55を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
このような構成によれば、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態40〜実施の形態43と同様に、風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態44に係る室内機100は、実施の形態39に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態44に係る室内機100においては、背面側熱交換器55から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態44に係る室内機100は、熱交換器50を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。つまり、本実施の形態44に係る室内機100は、実施の形態41に係る室内機100と比べ、吹出口3から吹き出される空気の気流制御がさらに容易となる。したがって、本実施の形態44に係る室内機100は、実施の形態41に係る室内機100と比べ、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要がさらに無くなり、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
また、熱交換器50の形状を右側縦断面において略И型とすることにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態43よりも小さくすることが可能となる。このため、実施の形態43と比べ、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図87に示す熱交換器50は、別々に形成された3つ熱交換器により略И型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器50を構成する3つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図92参照)。また例えば、熱交換器50を構成する3つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図92参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図92参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図92参照)。
実施の形態45.
また、熱交換器50は以下のように構成されてもよい。なお本実施の形態45では上述した実施の形態40〜実施の形態44との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態40〜実施の形態44と同一部分には、同一符号を付している。
図88は、本発明の実施の形態45に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態45の室内機100は、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態40〜実施の形態44に示す室内機と相違している。
より詳しくは、本実施の形態45の室内機100は、実施の形態42と同様に、4つの熱交換器で構成されている。しかしながら、これら4つの熱交換器の配置の仕方が実施の形態42に示す室内機100と相違している。
つまり、熱交換器50を構成する4つの熱交換器のそれぞれは、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略M型となっている。ここで、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器51a及び熱交換器51bが前面側熱交換器51を構成し、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器55a及び熱交換器55bが背面側熱交換器55を構成する。なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器55の風量は、前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器51を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器55を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
このような構成によれば、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態40〜実施の形態44と同様に、風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態45に係る室内機100は、実施の形態39に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態45に係る室内機100においては、背面側熱交換器55から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態45に係る室内機100は、熱交換器50を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。つまり、本実施の形態45に係る室内機100は、実施の形態42に係る室内機100と比べ、吹出口3から吹き出される空気の気流制御がさらに容易となる。したがって、本実施の形態45に係る室内機100は、実施の形態42に係る室内機100と比べ、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要がさらに無くなり、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
また、熱交換器50の形状を右側縦断面において略M型とすることにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態43及び実施の形態44よりも小さくすることが可能となる。このため、実施の形態43及び実施の形態44と比べ、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図88に示す熱交換器50は、別々に形成された4つ熱交換器により略M型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器50を構成する4つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図92参照)。また例えば、熱交換器50を構成する4つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図92参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図92参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図92参照)。
実施の形態46.
また、熱交換器50は以下のように構成されてもよい。なお本実施の形態46では上述した実施の形態40〜実施の形態45との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態40〜実施の形態45と同一部分には、同一符号を付している。
図89は、本発明の実施の形態46に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態46の室内機100は、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態40〜実施の形態45に示す室内機と相違している。
より詳しくは、本実施の形態46の室内機100は、実施の形態43と同様に、2つの熱交換器(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)で構成され、右側縦断面において略Λ型となっている。しかしながら、本実施の形態46では、前面側熱交換器51の圧力損失と背面側熱交換器55の圧力損失とを異ならせることにより、前面側熱交換器51の風量と背面側熱交換器55の風量とを異ならせている。
つまり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。対称線50aよりも前面側に前面側熱交換器51が配置されており、対称線50aよりも背面側に背面側熱交換器55が配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略Λ型となっている。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さと前面側熱交換器51の長手方向長さとは同じになっている。そして、背面側熱交換器55の圧力損失が前面側熱交換器51の圧力損失よりも小さくなるように、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の仕様を決定している。前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55としてフィンチューブ型熱交換器を用いる場合、例えば、右側縦断面における背面側熱交換器55の短手方向長さ(背面側熱交換器55のフィン56の幅)を、右側縦断面における前面側熱交換器51の短手方向長さ(前面側熱交換器51のフィン56の幅)よりも小さくするとよい。また例えば、背面側熱交換器55のフィン56間距離を、前面側熱交換器51のフィン56間距離よりも大きくするとよい。また例えば、背面側熱交換器55の伝熱管57の直径を、前面側熱交換器51の伝熱管57の直径よりも小さくするとよい。また例えば、背面側熱交換器55の伝熱管57の本数を、前面側熱交換器51の伝熱管57の本数よりも少なくするとよい。
なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
このような構成によれば、ファン20が熱交換器50の上流側に設けられているので、実施の形態39と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態46に係る室内機100によれば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれには、圧力損失に応じた量の空気が通過する。つまり、背面側熱交換器55の風量は前面側熱交換器51の風量よりも大きくなる。そして、この風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態46に係る室内機100は、右側縦断面における背面側熱交換器55の長さを長くすることなく、実施の形態39に係る室内機100よりもさらに騒音を抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
なお、図89に示す熱交換器50は、別々に形成された前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、右側縦断面における熱交換器50の形状を、略V型、略N型、略W型、略И型又は略M型等に構成してもよい。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を一体型の熱交換器で構成してもよい(図92参照)。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図92参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の圧力損失を、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の圧力損失よりも小さくすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの圧力損失の和が、前面側熱交換器51の圧力損失となる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの圧力損失の和が、背面側熱交換器55の圧力損失となる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図92参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55で構成する場合)、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図92参照)。
実施の形態47.
また、上述した実施の形態40〜実施の形態46において、ファン20を以下のように配置してもよい。なお本実施の形態47では上述した実施の形態40〜実施の形態46との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態40〜実施の形態46と同一部分には、同一符号を付している。
図90は、本発明の実施の形態47に係る室内機を示す縦断面図である。図90(a)〜図90(c)に基づいて、室内機100におけるファン20の配置の仕方について説明する。
本実施の形態47に係る室内機100の熱交換器50は、実施の形態43の室内機100と同様の配置となっている。しかしながら、本実施の形態47に係る室内機100は、ファン20の配置の仕方が実施の形態43の室内機100と相違している。
つまり、本実施の形態47に係る室内機100は、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の風量や伝熱面積に応じて、ファン20の配置位置が決定されている。
例えば、図90(a)に示す状態(右側縦断面において、ファン20の回転軸20aと対称線50aとの位置が略一致している状態)において、前面側熱交換器51よりも伝熱面積の大きな背面側熱交換器55の風量が不足する場合がある。このように背面側熱交換器55の風量が不足すると、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)は、所望の熱交換性能を発揮できない場合がある。このような場合、図90(b)に示すように、ファン20の配置位置を背面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の伝熱面積に応じた風量分配が可能となり、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)の熱交換性能が向上する。
また例えば、図90(a)に示す状態において、背面側熱交換器55の圧力損失が大きい場合等、背面側熱交換器55の風量が不足する場合がある。また、ケーシング1内のスペースの制約上、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の構成による風量調整のみでは、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に調整できない場合がある。このように背面側熱交換器55の風量が不足すると、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気が、所望の角度よりも曲がらない場合がある。このような場合、図90(b)に示すように、ファン20の配置位置を背面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれの風量の微小制御が可能となり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に曲げることができる。このため、吹出口3の形成位置に応じて、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気の流れ方向を、適した方向に調整することができる。
また例えば、前面側熱交換器51の伝熱面積が背面側熱交換器55の伝熱面積よりも大きい場合がある。このような場合、図90(c)に示すように、ファン20の配置位置を前面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の伝熱面積に応じた風量分配が可能となり、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)の熱交換性能が向上する。
また例えば、図90(a)に示す状態において、背面側熱交換器55の風量が必要以上に大きくなる場合がある。また、ケーシング1内のスペースの制約上、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の構成による風量調整のみでは、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に調整できない場合がある。このため、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気が、所望の角度以上に曲がってしまう場合がある。このような場合、図90(c)に示すようにファン20の配置位置を前面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれの風量の微小制御が可能となり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に曲げることができる。このため、吹出口3の形成位置に応じて、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気の流れ方向を、適した方向に調整することができる。
なお、図90に示す熱交換器50は、別々に形成された前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、右側縦断面における熱交換器50の形状を、略V型、略N型、略W型、略И型又は略M型等に構成してもよい。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を一体型の熱交換器で構成してもよい(図92参照)。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図92参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図92参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55で構成する場合)、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図92参照)。
実施の形態48.
また、上述した実施の形態40〜実施の形態46において、ファン20を以下のように配置してもよい。なお、本実施の形態48では上述した実施の形態40〜実施の形態47との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態40〜実施の形態47と同一部分には、同一符号を付している。
図91は、本発明の実施の形態48に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態48に係る室内機100の熱交換器50は、実施の形態43の室内機100と同様の配置となっている。しかしながら、本実施の形態47に係る室内機100は、ファン20の配置の仕方が実施の形態43の室内機100と相違している。
つまり、本実施の形態48に係る室内機100は、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の風量や伝熱面積に応じて、ファン20の傾斜が決定されている。
例えば、前面側熱交換器51よりも伝熱面積の大きな背面側熱交換器55の風量が不足する場合がある。また、ケーシング1内のスペース上の制限により、ファン20を前後方向に移動させて風量調整を行えない場合がある。このように背面側熱交換器55の風量が不足すると、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)は、所望の熱交換性能を発揮できない場合がある。このような場合、図91に示すように、右側縦断面において、ファン20を背面側熱交換器55側に傾斜されるとよい。
このように構成することにより、ファン20を前後方向に移動させられない場合でも、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の伝熱面積に応じた風量分配が可能となり、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)の熱交換性能が向上する。
また例えば、背面側熱交換器55の圧力損失が大きい場合等、背面側熱交換器55の風量が不足する場合がある。また、ケーシング1内のスペースの制約上、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の構成による風量調整のみでは、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に調整できない場合がある。さらに、ケーシング1内のスペース上の制限により、ファン20を前後方向に移動させて風量調整を行えない場合がある。このように背面側熱交換器55の風量が不足すると、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気が、所望の角度よりも曲がらない場合がある。このような場合、図91に示すように、右側縦断面において、ファン20を背面側熱交換器55側に傾斜されるとよい。
このように構成することにより、ファン20を前後方向に移動させられない場合でも、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれの風量の微小制御が可能となり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に曲げることができる。このため、吹出口3の形成位置に応じて、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気の流れ方向を、適した方向に調整することができる。
なお、図91に示す熱交換器50は、別々に形成された前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、右側縦断面における熱交換器50の形状を、略V型、略N型、略W型、略И型又は略M型等に構成してもよい。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を一体型の熱交換器で構成してもよい(図92参照)。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図92参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図92参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55で構成する場合)、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図92参照)。
実施の形態49.
(扁平管)
実施の形態1等の上記の各実施の形態では、伝熱管57を円管で構成した。これに限らず、伝熱管57を扁平管で構成しても勿論よい。なお、本実施の形態49では、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付している。
図93は、本発明の実施の形態49に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態49に係る熱交換器50は、伝熱管57が扁平管で構成されている。その他の構成は、実施の形態1で示した熱交換器50と同様である。また、本実施の形態49では、実施の形態1と同様に、伝熱管57を流れる冷媒(室内機100及びこの室内機100を備えた空気調和機に用いられる冷媒)をR32としている。
扁平管状の伝熱管57を用いた熱交換器50は、円管状の伝熱管を用いた熱交換器と比べ、冷媒流路が狭くなる。このため、扁平管状の伝熱管57を用いた熱交換器50は、円管状の伝熱管を用いた熱交換器と比べ、同一冷媒循環量では冷媒の圧力損失が大きくなる。しかしながら、R32は、R410Aと比べ、同一温度における蒸発潜熱が大きく、より少ない冷媒循環量で同一能力を発揮できる。このため、R32を使用することにより、使用する冷媒量の削減が可能となり、熱交換器50において圧力損失の低減ができる。したがって、伝熱管57を扁平管で構成し、冷媒としてR32を用いることにより、熱交換器50を小型化することができる。
また、本実施の形態49では、伝熱管57の長辺方向が通風方向に沿うように、熱交換器50を配置している。より詳しくは、ファン20が駆動されると、熱交換器50の通風方向(熱交換器50を流れる空気の方向)は、図93に白抜き矢印で示す方向となる。そして、本実施の形態49では、伝熱管57の長辺方向がこの通風方向に沿うように、熱交換器50を配置している。これにより、熱交換器50の通風抵抗が低減されるので、ファン20の動力を小さく抑えることができ、ファン20の消費電力を削減することができる。また、熱交換器50の通風抵抗が低減されるので、隣接する伝熱管57の間の間隔を小さく(狭く)することができる。このため、熱交換器50をより小型化することができる。
また、本実施の形態49に係る熱交換器50においても、フィン56及び伝熱管57をアルミニウム又はアルミニウム合金で形成するとよい。これにより、熱交換器50の軽量化を図ることができる。
実施の形態50.
(伝熱管密度)
例えば、以下のように熱交換器50を構成しても、熱交換器50を小型化することができる。なお、本実施の形態50では、上述した実施の形態1及び実施の形態49との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1及び実施の形態49と同一部分には、同一符号を付している。
図94は、本発明の実施の形態50に係る室内機を示す縦断面図である。
軸流ファンや斜流ファンであるファン20は、ファン20の中心部側ほど風量が少なくなり、ファン20の外周側ほど風量が多くなる。つまり、ファン20と対向している範囲の熱交換器50においては、ファン20の中心部と対向している範囲ほど通過しようとする風量が少なくなり、ファン20の外周側と対向している範囲ほど通過しようとする風量が多くなる。そこで、本実施の形態50に係る熱交換器50は、通過しようとする風量が多くなる範囲(ファン20の外周側と対向している範囲)の通風抵抗を、通過しようとする風量が少なくなる範囲(ファン20の中心部と対向する範囲)の通風抵抗よりも大きくしている。
より詳しくは、右側縦断面が略Λ型となっている本実施の形態50に係る熱交換器50においては、前面側熱交換器51の背面側端部から前面側熱交換器51の前面側端部にかけて、徐々に通風抵抗を増加させている。また、背面側熱交換器55の前面側端部から背面側熱交換器55の背面側端部にかけて、徐々に通風抵抗を増加させている。本実施の形態50では、隣接する伝熱管57の間隔を調整することにより、通風抵抗を調整している。つまり、右側縦断面が略Λ型となっている本実施の形態50に係る熱交換器50においては、前面側熱交換器51の背面側端部から前面側熱交換器51の前面側端部にかけて、隣接する伝熱管57の間隔が徐々に小さくなっている。また、背面側熱交換器55の前面側端部から背面側熱交換器55の背面側端部にかけて、隣接する伝熱管57の間隔が徐々に小さくなっている。
このように熱交換器50を構成することにより、熱交換器50の各範囲における風速(つまり、風量)が均一化し、熱交換器50の熱交換能力が向上する。このため、熱交換器50を小型化することができる。
なお、本実施の形態50では、隣接する伝熱管57の間隔を調整することにより通風抵抗を調整したが、伝熱管57の直径を変更することにより通風抵抗を調整してもよい。つまり、右側縦断面が略Λ型となっている本実施の形態50に係る熱交換器50においては、前面側熱交換器51の背面側端部から前面側熱交換器51の前面側端部にかけて、伝熱管57の直径を徐々に大きくすればよい。また、背面側熱交換器55の前面側端部から背面側熱交換器55の背面側端部にかけて、伝熱管57の直径を徐々に大きくすればよい。
また、熱交換器50の通風抵抗は、ファン20の中心部と対向する範囲からファン20の外周側と対向する範囲にかけて徐々に大きくする必要はない。例えば、ファン20の中心部と対向する範囲からファン20の外周側と対向する範囲にかけて、熱交換器50の通風抵抗を段階的に増加させていってもよい。つまり、ファン20の外周側と対向している範囲の通風抵抗が、ファン20の中心部と対向する範囲の通風抵抗よりも大きくなっていればよい。
また、本実施の形態50に係る熱交換器50の伝熱管57は、実施の形態1で示したように直径が細い(直径3mm〜7mm程度)円管で構成してもよいし、実施の形態49で示したように扁平管で構成してもよい。このとき、冷媒としてR32を用いることにより、熱交換器50をより小型化することができる。伝熱管57を扁平管で構成する場合、扁平管の長辺方向が通風方向に沿うように熱交換器50を配置することで、熱交換器50をさらに小型化することができる。
また、本実施の形態50に係る熱交換器50においても、フィン56及び伝熱管57をアルミニウム又はアルミニウム合金で形成するとよい。これにより、熱交換器50の軽量化を図ることができる。
実施の形態51.
(熱交換器のパス)
熱交換器50のパス(熱交換器50内を流れる冷媒の流路)を以下のようにすると、熱交換器50の熱交換性能を向上させることが可能となる。なお、本実施の形態51においては、実施の形態1〜実施の形態50と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図95は、本発明の実施の形態51に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態51に係る室内機100は、右側縦断面略Λ型の熱交換器50を備えている。この熱交換器50は、例えば、ケーシング1の前面側から順に、熱交換器51a,55b,55aを配置し、略Λ型としている。また、熱交換器51aの風上側には、熱交換器51aと同等以下の伝熱面積をもつ熱交換器51cが配置されている。また、熱交換器55bの風上側には、熱交換器55bと同等以下の伝熱面積をもつ熱交換器55dが配置されている。これら熱交換器51a,51c,55a,55b,55dは、例えば実施の形態1で示したような、フィン56及び伝熱管57を備えたフィンチューブ型熱交換器である。
なお、本実施の形態51では、熱交換器55aの風上側に熱交換器を配置していないが、設置スペースがあれば、同様に熱交換器を配置してもよい。
また、フィン56の形状は、実施の形態1等で示したような矩形に限らず、曲線を有するものであってもよい。また、フィン56を部分的に切り起こしスリットを形成したり、折り目をつけてワッフルを形成したりしてもよい。フィン56近傍を通過する空気の流れに乱れが促進されて、熱交換器50の熱交換性能を向上させることができる。本実施の形態51では、例えば、厚さが0.000095mのアルミニウム製フィンを用い、積層されたフィン同士の間隔を0.0012mとしている。
また、伝熱管57は、実施の形態49で示したように扁平管としてもよいし、断面形状が楕円形状の管としても勿論よい。また、伝熱管57として、伝熱管57の内壁に溝加工を施した溝つき管を用いてもよいし、内部が複数の区画に分けられたマルチフロー管を用いてもよい。また、これら複数種の伝熱管57を組み合わせてもよい。また、伝熱管57の材料は、特に限定されるものではなく、安価で熱伝導率が高く加工性も良好な銅や銅合金を用いてもよいし、軽量化のためにアルミニウムやアルミニウム合金を用いてもよい。また、伝熱管57が円管の場合、通過する冷媒の圧力損失を考慮し、断面の直径を3〜8mm程度とするとよい。また、伝熱管57が円管以外の管の場合でも、円管の場合と同程度の断面積の管を用いるとよい。また、異なる断面積の管を組み合わせてもよい。本実施の形態51では、伝熱管57として、例えば直径7mmの銅製伝熱管を用いている。
また、本実施の形態51に示す効果(熱交換器50の熱交換性能の向上)を得る際、熱交換器50を流れる冷媒は特に限定されるものではない。例えば、実施の形態1、実施の形態49及び実施の形態50で示したように、熱交換器50を流れる冷媒としてR32を用いてもよい。また例えば、熱交換器50を流れる冷媒として、HFC等のフルオロカーボンや、二酸化炭素等の自然冷媒を用いてもよい。
続いて、本実施の形態51に係る熱交換器50の冷媒流路について説明する。
まず、熱交換器50の冷媒流路を説明するにあたり、伝熱管57の配列及び冷媒流路の表現を次のように定義する。
右側縦断面(図95)において伝熱管57の配列を表現する場合、フィン56の長手方向に沿った方向を段方向とし、フィン56の短手方向に沿った方向を列方向とする。
例えば、熱交換器51aは、フィン56の長手方向に7本の伝熱管57が配置されており、これらの伝熱管57がフィン56の短手方向に2列となっている。このため、熱交換器51aにおける伝熱管57の配置は、2列×7段となる。同様に、熱交換器51cにおける伝熱管57の配置は1列×6段となり、熱交換器55bにおける伝熱管57の配置は2列×5段となり、熱交換器55aにおける伝熱管57の配置は2列×3段となり、熱交換器55dにおける伝熱管57の配置は1列×4段となる。なお、本実施の形態51では、熱交換器51a,55b,55aのように伝熱管57が2列以上になる場合、伝熱管57を略千鳥状に配置している。また、本実施の形態51では、同列において隣接する伝熱管57の中心間距離を0.0204mの等間隔としている。同列において隣接する伝熱管57の中心間距離はこの限りでなく、同列において隣接する伝熱管57の中心間距離を不等間隔としても勿論よい。
また、熱交換器50の冷媒流路において、1本の冷媒流路のみとなっている部分を1パスと称し、2本の流路が並列になっている部分を2パスと称することとする。例えば、本実施の形態51に係る熱交換器50の冷媒流路は、次のように表すことができる。
図95に示す太線の矢印は、冷房運転時における冷媒の流れ方向を示すものである。また、伝熱管57同士を接続する太線の実線は、図95の手前側において伝熱管57が接続されている状態を示すものである。また、伝熱管57同士を接続する太線の破線は、図95の奥側において伝熱管57が接続されている状態を示すものである。このため、冷房運転時においては、熱交換器51cに流入し熱交換器55dを通って分岐部60へ至るまでの冷媒流路は、1パスとなる。また、分岐部60で分岐されてから熱交換器51aを流出するまでの冷媒流路は、2パスとなる。つまり、本実施の形態50に係る熱交換器50は、1−2パスとなっている。なお、暖房運転時における冷媒の流れ方向は、冷房運転時における冷媒の流れ方向(図95に示す方向)と逆方向になる。また、図示しないが、例えば、1パス部分、2パス部分及び4パス部分を順に経る冷媒流路は、1−2−4パスと称することになる。また、3箇所から流入し、3箇所から流出する構成は、3−3パスと称することになる。
ここで、熱交換器50の熱交換性能を向上させるためには、熱交換器50の冷媒流路を設定するに際し、次の点を考慮する必要がある。本実施の形態51に係るファン20は、軸流ファンや斜流ファンのため、ファン20の中心部から外周側へ向かって風速が速くなるという風速分布を持つ。このため、熱交換器50の冷媒流路をどのように構成するかによって、熱交換器50の熱交換性能は大きく変化する。特に、本実施の形態51のように、伝熱管57の列が2列以上になるように熱交換器50を構成した場合、冷媒流路による熱交換性能の変化はより顕著となる。
(1)冷媒と空気の温度差
熱交換器50で冷媒と空気とが熱交換する際、冷媒と空気の温度差を部位によらずできるだけ均等していくことで、熱交換器50の性能を向上させることができる。
本実施の形態51でも用いているフィンチューブ型熱交換器等の熱交換器においては、互いに熱交換する冷媒と空気は、熱交換器に流入してから流出するまでの過程で温度勾配をもつ。
例えば、室内機100が冷房運転する場合、熱交換器50において互いに熱交換する冷媒と空気の温度変化は、図96のようになる。室内機100が冷房運転する場合、熱交換器50は蒸発器として機能する。このため、熱交換器50を流れる冷媒の大部分は、気液二相状態の冷媒となる。したがって、室内機100が冷房運転する場合、図96に示すように、冷媒温度は、熱交換器50に流入してから流出に至る過程でほぼ単調に低下する。また、ファン20から送り出される空気の温度も同様に、熱交換器50に流入してから流出に至る過程でほぼ単調に低下する。
つまり、冷媒と空気の流れを同方向にすれば、両者の温度変化は概ね平行し、空気と冷媒の温度差を均等に近づけることができる。
そこで、本実施の形態51に係る室内機では、冷房運転時における熱交換器50の冷媒流路を、概ね風上側から風下側に向かって冷媒が流れるように設定している。つまり、熱交換器50の各伝熱管57は、ファン20から送り出される空気に対して見た場合、図98のようになる。ここで、R1が風上側に配置された伝熱管57を示し、R3が風下側に配置された伝熱管57を示し、R2がこれらの中間に配置された伝熱管57を示す。このため、本実施の形態51に係る室内機では、概ね、風上領域R1に配置された伝熱管57、中間領域に配置された伝熱管57及び風下領域R3に配置された伝熱管57の順に冷媒が流れるように、冷房運転時における熱交換器50の冷媒流路を設定している。
一方、室内機100が暖房運転する場合、熱交換器50において互いに熱交換する冷媒と空気の温度変化は、図97のようになる。室内機100が暖房運転する場合、熱交換器50は凝縮器として機能する。このため、熱交換器50を流れる冷媒は、ガス冷媒、気液二相冷媒、液冷媒と相変化する。したがって、室内機100が暖房運転する場合、図97に示すようになる。つまり、冷媒温度は、熱交換器50に流入してから流出に至る過程で低下していく。このとき、冷媒が気液二相のうちは、ほぼ変化なく冷媒温度が推移する。しかしながら、冷媒が液単相になると、冷媒温度が急激に低下する過冷却領域となる。ファン20から送り出される空気の温度は、熱交換器50に流入してから流出に至る過程でほぼ単調に上昇する。
つまり、冷媒と空気の流れを逆方向にすれば、同方向の場合に比べ、空気と冷媒の温度差を均等に近づけることができる。
そこで、本実施の形態51に係る室内機では、暖房運転時における熱交換器50の冷媒流路を、概ね風下側から風上側に向かって冷媒が流れるように設定している。つまり、熱交換器50の各伝熱管57は、概ね、風下領域R3に配置された伝熱管57、中間領域に配置された伝熱管57及び風上領域R1に配置された伝熱管57の順に冷媒が流れるように、冷房運転時における熱交換器50の冷媒流路を設定している。
以上のように、冷媒と空気の温度差ができるだけ均等となるように熱交換器50の冷媒流路を設定することにより、熱交換器50の熱交換性能を向上させることができる。
(2)冷媒の出入り口
上述のように、本実施の形態51に係るファン20は、軸流ファンや斜流ファンのため、ファン20の中心部から外周側へ向かって風速が速くなるという風速分布を持つ。このため、熱交換器50に設けられる冷媒の出入り口の場所を以下のように設定することにより、熱交換器50の熱交換性能を向上させることができる。
例えば、室内機100が暖房運転する場合(熱交換器50が凝縮器として機能する場合)、冷媒出口近傍の冷媒流路は過冷却領域となり、空気との温度差が比較的小さくなる。このため、室内機100が暖房運転する場合(熱交換器50が凝縮器として機能する場合)、熱交換器50の冷媒出口は、風速の小さい範囲に設けられるのが好ましい。つまり、室内機100が暖房運転する場合(熱交換器50が凝縮器として機能する場合)、熱交換器50の冷媒出口は、ファン20の外周側と対向する範囲(風速の大きい範囲)に配置するよりも、ファン20中心部直下付近(風速の小さい範囲)に設置するとよい。
また例えば、室内機100が冷房運転する場合(熱交換器50が蒸発器として機能する場合)、冷媒出口近傍の冷媒は、空気との温度差が小さくなる。このため、室内機100が冷房運転する場合(熱交換器50が蒸発器として機能する場合)、熱交換器50の冷媒出口は、風速の小さい範囲に設けられるのが好ましい。つまり、室内機100が冷房運転する場合(熱交換器50が蒸発器として機能する場合)、熱交換器50の冷媒出口は、ファン20の外周側と対向する範囲(風速の大きい範囲)に配置するよりも、ファン20中心部直下付近(風速の小さい範囲)に設置するとよい。
そこで、本実施の形態51では、熱交換器51cの伝熱管57のうちで最もファン20の回転軸20aに近い伝熱管57を、冷房運転時における熱交換器50の冷媒入り口(暖房運転時における熱交換器50の冷媒出口)としている。また、熱交換器51aの伝熱管57のうちでファン20の回転軸20aに近い伝熱管57を、冷房運転時における熱交換器50の冷媒出口(暖房運転時における熱交換器50の冷媒入り口)としている。
以上のように、熱交換器50に設けられる冷媒の出入り口を設定することにより、熱交換器50の熱交換性能をより向上させることができる。
(3)過冷却域
室内機100が暖房運転する場合(熱交換器50が凝縮器として機能する場合)、冷媒の過冷却領域をどの伝熱管57に充てるかによっても、熱交換器50の熱交換性能は大きく変化する。
冷凍サイクルを成り立たせる上では、ある程度の過冷却度をつけることが必要である。しかしながら、過冷却領域は、気液二相領域に比べ熱伝達率が低い。このため、できるだけ少ない領域(伝熱管長さ)で要求される過冷却度を確保することにより、熱交換器50の熱交換性能を向上させることができる。また、過冷却領域では、できるだけ冷媒の流速を確保して熱伝達率の低下を抑制することが肝要となる。このため、熱交換器50を凝縮器として機能させる際、冷媒出口近傍の冷媒流路は、できるだけ分岐させない方がよい。さらに、過冷却領域は、気液二相領域に比べ冷媒温度が低い。このため、過冷却領域となる伝熱管57と気液二相領域となる伝熱管57が熱交換しやすい状態で設置されていると(例えば同一フィンに設けられている場合等)、熱交換器内部で熱交換が生じ、熱交換性能が低下する。このため、過冷却領域となる伝熱管57は、熱的に他の伝熱管57と分離されていることが望ましい。
そこで、本実施の形態51では、凝縮器と機能する際の熱交換器50の冷媒出口を熱交換器51cの伝熱管57とし、熱交換器55d及び熱交換器51cの冷媒流路を1パスに構成した。これにより、過冷却領域が熱交換器51cの伝熱管57のみならず熱交換器55dの伝熱管57まで及んだ場合でも、当該冷媒流路は1パス部分なので、冷媒流速を確保でき、熱伝達率の低下を抑制することができる。また、熱交換器51c及び熱交換器55dは、他の熱交換器と別体で構成されているので、熱交換器内部の熱交換器を避けることができる。なお、本実施の形態51では、別体で構成した熱交換器(熱交換器51c及び熱交換器55d)を過冷却領域に充てたが、フィン56にスリット等を入れて熱的に概ね分離した部分を過冷却領域に充ててもよい。
(4)分岐部(複数パス部)
一般的に、熱交換器の冷媒流路は、圧力損失の低減をはかるため、複数の流路に分岐して構成される。本実施の形態51に係る熱交換器50においても、圧力損失の低減をはかるため、2パス部分が存在する。このとき、複数パス部分(本実施の形態51に係る熱交換器50では2パス部分)において、各パスの熱交換量のバラツキを是正することにより、熱交換器50の熱交換性能を向上させることができる。
複数パス部分における各パスの熱交換量は、熱交換器に流入する空気の流量分布(風量分布)により、大きく変化する。このため、冷媒流路を分岐する際は、熱交換器に対するファンの回転軸位置(中心軸位置)、ファン20と熱交換器との距離、ファンの大きさ、熱交換器とファンの間で圧力損失を生じさせる部材(例えばフィルター等)の存在、ファンの上流側で圧力損失を生じさせる部材(例えばフィルター等)の存在、熱交換器の構成、及び風路形状等を考慮する必要がある。
本実施の形態51に係る室内機100の場合、ファン20の回転軸20aの位置は、熱交換器50の対称線50a(右側縦断面略Λ型の熱交換器50の頂上部分)よりやや前面側に配置されている。また、ケーシング1におけるファン20と熱交換器50との間の風路は、ファン20の回転軸20aより前方に形成される風路が、ファン20の回転軸20aの後方に形成される風路よりも大きくなっている。さらに、フィルター10の前面側の部分が熱交換器50側に折り曲げられているため、ファン20とフィルター10の距離は、ファン20の回転軸20aより前方の方が、ファン20の回転軸20aの後方よりも大きくなっている。
このため、本実施の形態51に係る室内機100においては、熱交換器51a,51cで構成される前面側熱交換器51の風量の方が、熱交換器55a,55b,55dで構成される背面側熱交換器55の風量よりも多くなる。例えば、各伝熱管57の断面積が等しく各伝熱管57内を流れる冷媒量が同じ場合、前面側熱交換器51に設けられた伝熱管57における熱交換量の方が、背面側熱交換器55に設けられた伝熱管57における熱交換量よりも多くなる。
そこで、本実施の形態51に係る熱交換器50の2パス部分においては、背面側熱交換器55を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数を、前面側熱交換器51を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数よりも多くなるように構成している。より具体的には、背面側熱交換器55を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数を16本とし、前面側熱交換器51を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数を14本としている。また、分岐部60では、前面側熱交換器51を比較的多く通過するパスに流入する冷媒量と、背面側熱交換器55を比較的多く通過するパスに流入する冷媒量と、を同量に調整している。
以上のように、2パス部分における各パスの熱交換量のバラツキを是正することにより、熱交換器50の熱交換性能をより向上させることができる。
なお、前面側熱交換器51を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数や、背面側熱交換器55を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数は、あくまでも一例である。例えば、前面側熱交換器51の風量がさらに多い場合、前面側熱交換器51を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数を14本よりも少なくし、この少なくした本数分の伝熱管57を、背面側熱交換器55を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数に追加すればよい。
また、各パスを構成する伝熱管57の本数を調整する以外にも、2パス部分における各パスの熱交換量のバラツキを是正することは可能である。例えば、分岐部60において、前面側熱交換器51を比較的多く通過するパスに流入する冷媒量を、背面側熱交換器55を比較的多く通過するパスに流入する冷媒量よりも多くしてもよい。これにより、2パス部分における各パスの熱交換量のバラツキを是正することができ、熱交換器50の熱交換性能をより向上させることができる。また、2パス部分において、各パスを構成する伝熱管57の本数、及び各パスに流入する冷媒の流量の双方を調整しても勿論よい。
また、各パスを構成する伝熱管57の本数や各パスに流入する冷媒の流量の調整とは別に、前面側熱交換器51の風量及び背面側熱交換器55の風量を調整することにより、2パス部分における各パスの熱交換量のバラツキを是正してもよい。各パスを構成する伝熱管57の本数や各パスに流入する冷媒の流量の調整と共に、前面側熱交換器51の風量及び背面側熱交換器55の風量を調整しても勿論よい。前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の風量の調整は、例えばファン20を背面側に移動する、例えば前面側熱交換器51の伝熱面積を増加させる、例えば背面側熱交換器55の伝熱面積を減少させる、例えばフィルター10の折り曲げ部分を平面形状にする、等により行うことができる。
また、本実施の形態51では、前面側熱交換器51の風量が背面側熱交換器55の風量よりも多い室内機100について説明したが、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも多い室内機100においても、2パス部分における各パスの熱交換量のバラツキを是正することにより、熱交換器50の熱交換性能をより向上させることができる。背面側熱交換器55の風量を前面側熱交換器51の風量よりも多くすることにより、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。
以上、本実施の形態51の(1)〜(4)の説明では、冷媒流路が1−2パスの熱交換器50について説明したが、熱交換器50の冷媒流路はこれに限られるものではない。室内機100に要求される空調能力やエネルギー効率に応じて、熱交換器50の冷媒流路を適宜決定すればよい。例えば、室内機100が冷房用途のみに限定される場合や、室内機100を暖房用途として使用する期間が短い場合もある。また、室内機100の要求される空調能力が熱交換器50の伝熱面積に対して大きく、冷媒の圧力損失が過大となる場合もある。このような場合、熱交換器50の冷媒流路に1パス部を設けず、2−2パス、2−4パス又は3−3パスといった具合に、複数パス部分を増やして熱交換器50の冷媒流路を構成してもよい。
実施の形態52.
実施の形態51で説明した熱交換器50の熱交換性能の向上方法{実施の形態51で説明した(1)〜(4)}は、右側縦断面略Λ型の熱交換器50に限らず、その他の形状の熱交換器50にも実施することができる。なお、本実施の形態52において、特に記述しない項目については実施の形態51と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図99は、本発明の実施の形態52に係る室内機を示す縦断面図である。この図99には、図95と同様の表現により、室内機100が冷房運転する場合(熱交換器50が蒸発器として機能する場合)の冷媒流路の一例も示している。なお、室内機100が暖房運転する場合(熱交換器50が凝縮器として機能する場合)の冷媒流路は、室内機100が冷房運転する場合(熱交換器50が蒸発器として機能する場合)の冷媒流路と逆になる。
本実施の形態52に係る室内機100は、熱交換器50の形状が、実施の形態51に示す室内機100と相違している。つまり、本実施の形態52に係る室内機100の熱交換器50は、右側縦断面において略M型となっている。熱交換器50を右側縦断面略M型とすることにより、同じ厚さ(図99における左右方向長さ)の室内機100でも、より大きい伝熱面積を持つ熱交換器50が搭載可能となる。
より詳しくは、本実施の形態52に係る熱交換器50は、ケーシング1の前面側から順に、熱交換器51a,51b,55c,55b,55aを配置し、略M型としている。また、熱交換器55bの風上側には、熱交換器55bと同等以下の伝熱面積をもつ熱交換器55dが配置されている。つまり、本実施の形態52に係る熱交換器50においては、前面側熱交換器51が熱交換器51a,51bで構成され、背面側熱交換器55が熱交換器55a,55b,55c,55dで構成されている。
また、これら熱交換器における伝熱管57の配置は、熱交換器51aが2列×4段、熱交換器51bが2列×6段、熱交換器55cが2列×6段、熱交換器55bが2列×4段、熱交換器55aが2列×4段、熱交換器55dが1列×4段となっている。そして、本実施の形態52に係る熱交換器50は、熱交換器55dに流入し熱交換器55aを通って分岐部60へ至るまでの冷媒流路は、1パスとなっている。また、分岐部60で分岐されてからの冷媒流路は2パスとなっている。より詳しくは、2パス部分の一方のパスは、分岐部60から流出した冷媒が熱交換器55c,55bを通る冷媒流路となっている。2パス部分の他方のパスは、分岐部60から流出した冷媒が熱交換器51a,51bを通る冷媒流路となっている。つまり、本実施の形態50に係る熱交換器50は、1−2パスとなっている。本実施の形態52では、2パス部分の両パスに均等に冷媒が流れるように、分岐部60は調整されている。
なお、図99で示した伝熱管57の配置や冷媒流路はあくまでも一例であり、ファン20から熱交換器50に送られる空気の流量分布等によって適宜決定すればよい。
本実施の形態52に係る熱交換器50においても、実施の形態51で説明した(1)〜(4)の点を考慮することにより、熱交換器50の熱交換性能を向上させることができる。
例えば、本実施の形態52に係る熱交換器50の冷媒流路は、実施の形態51で説明した(1)の点を考慮して構成されている。つまり、冷房運転時における熱交換器50の冷媒流路を、概ね風上側から風下側に向かって冷媒が流れるように設定している。また、暖房運転時における熱交換器50の冷媒流路を、概ね風下側から風上側に向かって冷媒が流れるように設定している。これにより、熱交換器50の熱交換性能を向上させることができる。
また、本実施の形態52に係る熱交換器50の冷媒流路は、実施の形態51で説明した(3)の点も考慮して構成されている。つまり、暖房運転において過冷却領域となる熱交換器を熱交換器55dとし、熱交換器55dを他の熱交換器と別体で構成している。これにより、熱交換器50の熱交換性能をより向上させることができる。
また、本実施の形態52に係る熱交換器50の冷媒流路は、実施の形態51で説明した(4)の点も考慮して構成されている。つまり、本実施の形態52に係る熱交換器50の2パス部分においては、各パスの熱交換量が概ね均等になるように構成されている。より詳しくは、本実施の形態52に係る熱交換器50は、前面側熱交換器51の風量と背面側熱交換器55の風量が、略同等になっている。このため、前面側熱交換器51を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数、及び背面側熱交換器55を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数を、共に20本としている。これにより、熱交換器50の熱交換性能をさらに向上させることができる。
なお、前面側熱交換器51を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数や、背面側熱交換器55を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数は、あくまでも一例である。例えば、前面側熱交換器51の風量が多い場合、前面側熱交換器51を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数を少なくし、この少なくした本数分の伝熱管57を、背面側熱交換器55を比較的多く通過するパスの伝熱管57の本数に追加すればよい。
また、分岐部60において、前面側熱交換器51を比較的多く通過するパスに流入する冷媒量と、背面側熱交換器55を比較的多く通過するパスに流入する冷媒量と、を調整し、各パスの熱交換量のバラツキを是正してもよい。また、2パス部分において、各パスを構成する伝熱管57の本数、及び各パスに流入する冷媒の流量の双方を調整しても勿論よい。
また、前面側熱交換器51の風量及び背面側熱交換器55の風量を調整することにより、2パス部分における各パスの熱交換量のバラツキを是正しても勿論よい。前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の風量の調整は、例えばファン20を前後方向に移動する、例えば前面側熱交換器51の伝熱面積を増加させる、例えば背面側熱交換器55の伝熱面積を減少させる、例えばフィルター10の折り曲げ部分を平面形状にする、等により行うことができる。
また、本実施の形態52では、前面側熱交換器51の風量と背面側熱交換器55の風量とが同じ室内機100について説明したが、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも多い室内機100においても、2パス部分における各パスの熱交換量のバラツキを是正することにより、熱交換器50の熱交換性能をより向上させることができる。背面側熱交換器55の風量を前面側熱交換器51の風量よりも多くすることにより、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。
以上、本実施の形態52では、冷媒流路が1−2パスの熱交換器50について説明したが、熱交換器50の冷媒流路はこれに限られるものではない。室内機100に要求される空調能力やエネルギー効率に応じて、熱交換器50の冷媒流路を適宜決定すればよい。例えば、室内機100が冷房用途のみに限定される場合や、室内機100を暖房用途として使用する期間が短い場合もある。また、室内機100の要求される空調能力が熱交換器50の伝熱面積に対して大きく、冷媒の圧力損失が過大となる場合もある。このような場合、熱交換器50の冷媒流路に1パス部を設けず、2−2パス、2−4パス又は3−3パスといった具合に、複数パス部分を増やして熱交換器50の冷媒流路を構成してもよい。
また、本実施の形態52では、実施の形態51で説明した(2)の点を特に考慮しなかったが、実施の形態51で説明した(2)の点を考慮して熱交換器50の冷媒流路を構成しても勿論よい。つまり、ファン20の回転軸20aに近い伝熱管57を、冷房運転時における熱交換器50の冷媒入り口(暖房運転時における熱交換器50の冷媒出口)とすればよい。また、ファン20の回転軸20aに近い伝熱管57を、冷房運転時における熱交換器50の冷媒出口(暖房運転時における熱交換器50の冷媒入り口)とすればよい。熱交換器50の熱交換性能がさらに向上する。
実施の形態53.
熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合(例えば、実施の形態51及び実施の形態52)、再熱式除湿を行う室内機として室内機100を構成することが可能となる。このような場合、熱交換器50の冷媒流路を、例えば以下のように構成すればよい。なお、本実施の形態53において、特に記述しない項目については実施の形態51又は実施の形態52と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図100は、本発明の実施の形態53に係る室内機を示す縦断面図である。この図100には、図95と同様の表現により、室内機100が冷房運転する場合の冷媒流路の一例も示している。
本実施の形態53に係る室内機100の熱交換器50は、実施の形態52と同様、右側縦断面において略M型となっている。つまり、本実施の形態53に係る熱交換器50は、ケーシング1の前面側から順に、熱交換器51a,51b,55c,55b,55aを配置し、略M型としている。また、熱交換器55bの風上側には、熱交換器55bと同等以下の伝熱面積をもつ熱交換器55dが配置されている。つまり、本実施の形態52に係る熱交換器50においては、前面側熱交換器51が熱交換器51a,51bで構成され、背面側熱交換器55が熱交換器55a,55b,55c,55dで構成されている。また、これら熱交換器における伝熱管57の配置も、実施の形態52と同様である。
しかしながら、再熱式除湿を行う室内機として室内機100を構成するため、本実施の形態53に係る熱交換器50の冷媒流路は、実施の形態52と異なっている。
再熱式除湿とは、室温の低下を抑制しつつ湿度の低下を図る除湿方法である。つまり、通常の冷房運転時の冷凍サイクルでは、室外機に設けられた熱交換器を凝縮器として機能させ、室内機に設けられた熱交換器を蒸発器として機能させる。これに対し、冷房運転時に再熱式除湿を行う際の冷凍サイクルでは、室内機に設けられた熱交換器の一部を凝縮器として機能させる。室内機に設けられた熱交換器を蒸発部と凝縮部とに分けることにより、蒸発部で除湿する際に生じる空調空気の過度な温度低下を、凝縮部で補うことができる。
本実施の形態53に係る室内機100では、熱交換器50の冷媒流路の途中に絞り装置61を設け、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を凝縮器として使用している。そして、本実施の形態53においては、通常の冷房運転時及び再熱式除湿を行う冷房運転時の双方において、熱交換器50の冷媒流路は同じとなっている。より詳しくは、冷媒流路の入口は、熱交換器55dに設けられている。この入口から熱交換器55d,55aを通って分岐部60へ至るまでは1パス部分となっている。そして、分岐部60で2パスに分岐される。この2パス部分は熱交換器55b,55cを通っている。この2パス部分は、熱交換器55b,55cを通過後、絞り装置61で合流する。絞り装置61で合流した冷媒流路は再び2パスに分岐される。この2パス部分は、熱交換器51b,51aを通る。冷媒流路の出口は、熱交換器51aに設けられている。
通常の冷房運転時は、絞り装置61が冷媒を膨張させないように、絞り装置61を制御する。これにより、通常の冷房運転時、熱交換器50を構成する全ての熱交換器が蒸発器として機能する。一方、再熱式除湿を行う冷房運転時は、絞り装置61が冷媒を膨張させるように、絞り装置61を制御する。これにより、熱交換器50を構成する熱交換器のうち、熱交換器55a,55b,55c,55dが凝縮器として機能し(凝縮部を構成し)、熱交換器51a,51bが蒸発器として機能する(蒸発部を構成する)。
なお、蒸発器として機能する熱交換器及び凝縮器として機能する熱交換器を設定する際、熱交換器50を流れる気流に留意して決定するとよい。例えば、蒸発器として機能する熱交換器を通過した気流が凝縮器として機能する熱交換器に流入するとする。このような場合、蒸発器で除湿する際に発生した凝縮水が、凝縮器に流入して再び蒸発してしまう場合がある。このため、蒸発器として機能する熱交換器を通過した気流が凝縮器として機能する熱交換器に流入しないよう、蒸発器として機能する熱交換器及び凝縮器として機能する熱交換器を設定するとよい。
以上、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、本実施の形態53のように熱交換器50の冷媒流路を構成することにより、再熱式除湿を行う室内機として室内機100を構成することができる。
なお、本実施の形態53では、再熱式除湿を行う冷房運転時、熱交換器55a,55b,55c,55dを凝縮器として機能させ、熱交換器51a,51bを蒸発器として機能させた。しかしながら、熱交換器50を構成する熱交換器のうち、どの熱交換器を凝縮器として機能させるか(又は蒸発器として機能させるか)は任意である。これらは、必要とする顕熱能力と潜熱能力の割合等により、適宜決定すればよい。
図101及び図102は、本発明の実施の形態53に係る室内機の別の一例を示す縦断面図である。なお、図101及び図102では、再熱式除湿を行う冷房運転時に凝縮器として機能する熱交換器をハッチングしている。
再熱式除湿を行う冷房運転時、例えば図101に示すように、熱交換器55b,55dを凝縮器として機能させ、熱交換器51a,51b,55a,55cを蒸発器として機能させてもよい。また、再熱式除湿を行う冷房運転時、例えば図102に示すように、熱交換器51b,55a,55b,55c,55dを凝縮器として機能させ、熱交換器51aを蒸発器として機能させても勿論よい。
実施の形態54.
<プレフィルター>
フィルター10を以下のように設置することにより、フィルターの圧力損失の低減、熱交換器へ流入する気流の風速分布の改善等の効果を得ることができる。なお、本実施の形態54においては、実施の形態1〜実施の形態53と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図103は、本発明の実施の形態54に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態54に係る室内機100は、フィルター10の設置位置が実施の形態1に係る室内機100と異なっている。より詳しくは、本実施の形態54に係る室内機100は、フィンガーガード15の上流側(例えばフィンガーガード15の上面部)にフィルター10が配置されている。
このような構成によれば、フィルター10とファン20との距離を確保することが出来るとともに、補強部材をフィルター10内やフィルター10の下方に設ける必要がなくなる。フィルター10の補強部材とは、フィルター10がファン20に干渉しないようにするためのものであり、例えば格子状や縦格子状の部材である。つまり、フィルター10をフィンガーガード15の上流側に設置することで、フィンガーガード15は、ファン20に指が入らないようにするフィンガーガード15としての機能に加え、ファン20とフィルター10との干渉を防ぐ強度部材しての機能も果たすこととなる。換言すると、フィルター10の補強部材をフィンガーガード15として用いることができる。このため、従来のフィルターに設けられていた補強部材が不要となるため、この補強部材の分だけコスト低減が可能となる。
さらに、フィルター10をフィンガーガード15の上流側に配置することで、フィルター10とファン20の距離が大きくなる。このため、図103に示すように、実際にフィルター10を通過する有効風路(以下、前面面積と称する)を大きくすることができる。このため、同一風量時のフィルター10の圧力損失の低下が可能となる。
なお、フィルター10の前面面積が拡大するように、フィンガーガード15の形状を変更してもよい。また、フィルター10とフィンガーガード15は別体として(両者を着脱自在に)構成してもよいし、例えば接着等により一体の形状で構成してもよい。本実施の形態54では、フィルター10の前面面積が拡大するように、フィンガーガード15の周縁部を下方に傾斜させて、フィンガーガード15を形成している。
実施の形態55.
例えば、フィルター10は、ファン20の下流側に設置してもよい。なお、本実施の形態55において、特に記述しない項目については実施の形態54と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図104は、本発明の実施の形態55に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態55に係る室内機100は、フィルター10の設置位置が実施の形態1及び実施の形態54に係る室内機100と異なっている。より詳しくは、本実施の形態55に係る室内機100は、ファン20と熱交換器50との間にフィルター10が配置されている。また、本実施の形態55に係るフィルター10は、熱交換器50の上面部に沿って、前面側と背面側が斜め下方に折り曲げられた形状となっている。
このような構成によれば、ファン20から流出した流速の大きい気流が直接熱交換器50に衝突することを防止できる。このため、ファン20から流出した流速の大きい気流を一旦フィルター10で整流した後、熱交換器50へ流入させることが可能となる。さらに、フィルター10は、ケーシング1の前面側と背面側に折り曲げられているため、フィルター10の前面面積を大きくとることが可能となる。このため、フィルター10の圧力損失を低減でき、熱交換器50に生じる風速分布のバラツキを軽減することができる。したがって、室内機100の性能の向上が可能となる。
なお、フィルター10を折り曲げて形成する際、例えば図105に示すように、ケーシングの前面側のみを折り曲げてフィルター10を形成してもよい。このようにフィルター10を形成することにより、ケーシング1の前面側からフィルター10を着脱することが容易となる。
実施の形態56.
また、フィルター10をファン20の下流側に設置する場合、フィルター10とファン20との距離を十分に確保できるならば、例えば以下のようにフィルター10を設置してもよい。なお、本実施の形態56において、特に記述しない項目については実施の形態54又は実施の形態55と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図106は、本発明の実施の形態56に係る室内機の縦断面図である。
本実施の形態56に係る室内機100は、実施の形態55に係る室内機100と同様に、ファン20と熱交換器50との間にフィルター10が配置されている。しかしながら、本実施の形態56に係る室内機100に設けられているフィルター10は、その形状が実施の形態55で示したフィルター10と異なっている。より詳しくは、実施の形態55では、フィルター10の前面面積を確保するために(ファン20から吹き出された気流の一部が一旦静圧に変換させるスペースを確保するために)、前面側と背面側を折り曲げた形状としていた。一方、本実施の形態56に係る室内機100は、フィルター10とファン20との距離を十分に確保できるため、略平面状(前面側や背面側が折り曲げられていない)のフィルター10となっている。
なお、フィルター10とファン20との距離を十分に確保できる場合とは、フィルター10とファン20との距離をD/4以上確保できる場合である。ここで、Dはファン20(より詳しくは、ファン20の羽根車25)の直径を示す。フィルター10とファン20との距離を十分に確保することができれば、図106に示すようなフィルター10の形状としても、ファン20から吹き出された気流の一部を静圧に変換することができる。
このような構成によれば、フィルター10とファン20が面対称な配置となっているので、ファン20から吹き出された気流が直接熱交換器に衝突した際に発生する騒音(フィルター10をファン20の上流側に配置した場合に発生)、又はファン20から吹き出された気流が非対称のフィルター10(図105に示す前面側のみが折り曲がったフィルター10)に衝突した際に発生する騒音を防止することが可能となる。
また、本実施の形態56で示した形状のフィルター10をファン20の下流側に配置することにより、以下のような効果を得ることもできる。
図107及び図108は、本発明の実施の形態55に係る室内機の内部で発生する気流を説明するための説明図(縦断面図)である。なお、図107が図104で示した室内機100の内部で発生する気流を説明するための説明図(縦断面図)であり、図108が図105で示した室内機100の内部で発生する気流を説明するための説明図(縦断面図)である。
図107及び図108に示すように、フィルター10に傾斜している範囲があると、ファン20から吹き出された空気は、フィルター10の傾斜している範囲に沿って流れる。つまり、フィルター10に傾斜している範囲があると、ファン20から吹き出された気流は、図107のD,Eや図108のFに示す領域に向かって流れる気流となる。このため熱交換器150には、図107のD,Eや図108のFに示す領域を通過した気流が多く流入することとなる。このため、熱交換器50に流入する気流の速度分布にバラツキが生じてしまう。一方、本実施の形態56のように略平面状のフィルター10は、フィルター10とファン20が面対称な配置となる。このため、ファン20から吹き出された気流は、このファン20で均一に整流される。このため、フィルター10の下流にある熱交換器に生じる風速分布を改善することができ、室内機100の性能の向上が可能となる。
実施の形態57.
また、フィルター10は、ファン20の上流側及び下流側の双方に配置しても勿論よい。なお、本実施の形態57において、特に記述しない項目については実施の形態54〜実施の形態56と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図109は、本発明の実施の形態57に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態57に係る室内機100は、ファン20の上流側及び下流側の双方にフィルター10が設置されている。また、本実施の形態57では、ファン20の上流側及び下流側に設けられたフィルター10の圧力損失の合計が、実施の形態54で示したフィルター10(ファン20の上流側のみに設置されたフィルター)の圧力損失や実施の形態55及び実施の形態56で示したフィルター10(ファン20の下流側のみに設けられたフィルター)の圧力損失と同程度となっている。つまり、本実施の形態57では、ファン20の上流側及び下流側に設けられたフィルター10各々の粗さや前面面積を調整することにより、これらの圧力損失の合計を、実施の形態54で示したフィルター10(ファン20の上流側のみに設置されたフィルター)の圧力損失や実施の形態55及び実施の形態56で示したフィルター10(ファン20の下流側のみに設けられたフィルター)の圧力損失と同程度と設定している。
このような構成によれば、ファン20の下流側に設置されたフィルター10で気流を整流するだけでなく、ファン20の上流側のフィルター10で、ファン20に付着する粉塵を回収することが可能となる。このため、熱交換器50へ流入する気流の風速分布を改善するだけでなく、粉塵の付着や蓄積によるファン20の風量低下を防ぐことも可能となる。
なお、ファン20の下流側に設置されるフィルター10に関しては、整流効果のあるハニカム構造を使用してもよい。例えば、ハニカム構造清浄フィルターを用いることにより、集塵だけでなく、空気清浄機能も追加することが可能となる。また、ファン20の下流側で集塵する必要がない場合、ファン20の下流側に設置されるフィルター10の位置に、通風抵抗のある部材を配置してもよい。このように通風抵抗のある部材を配置することにより、熱交換器50へ流入する気流を整流することができ、熱交換器50へ流入する気流の速度分布を改善することができる(つまり、熱交換器50の熱交換性能を向上させることができる)。例えば、ファン20の下流側に設置される通風抵抗のある部材として、熱交換器50とは別の熱交換器を設けてもよい。これにより、室内機100の性能(空調性能)を向上させることができる。
実施の形態58.
また、ファン20に付着する粉塵は、以下のように回収してもよい。なお、本実施の形態58において、特に記述しない項目については実施の形態54〜実施の形態57と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
実施の形態57に係る室内機100は、ファン20の上流側及び下流側の双方にフィルター10を配置した構成になっている。このため、室内機100の厚み(前後方向の幅)を薄く構成する場合、フィルター10の前面面積が減少し、圧力損失が上昇してしまう可能性がある。
このような場合、実施の形態55及び実施の形態56で示したようにフィルター10をファン20の下流側のみに設置し、ファン20に付着する粉塵を次のように回収するとよい。
例えば、ファン20を逆回転させたり、ファン20の動作点を変更してファン20をサージングさせて、ファン20に付着した粉塵を落下させ、この落下した粉塵をファン20の下流側に設置したフィルター10で回収してもよい。例えば、室内機100の吹出口3を上下ベーン70や左右ベーン80等で全閉することにより、ファン20に係る圧力が上昇するので、ファン20にサージングを起こさせることができる。
このような構成によれば、フィルター10をファン20の下流側の一枚で構成することが可能となる。このため、室内機100を小型、薄型にした際にも、圧力損失の大幅な増加を回避することが可能となる。
実施の形態59.
<風向制御ベーン>
室内に存在する人の位置を検知する人検知センサーが室内機100に設けられている場合、これらの検知結果に基づいて、上下ベーン70及び左右ベーン80と共に各ファン20の風量を個別に制御するとよい。これにより、室内機100の気流制御性をより向上させることが可能となる。なお、本実施の形態59においては、実施の形態1〜実施の形態58と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図110は、本発明の実施の形態59に係る室内機を示す正面断面図である。また、図111は、この室内機を示す斜視図である。なお、図110は、ファン20の略中心部を切断した正面断面図である。また、図110及び図111に示す室内機100は、3つのファン20(ファン20A〜ファン20C)を備えた室内機100を示している。
左右ベーン80は、リンク棒82を介して、ステッピングモーター等であるモーター81と連結されている。制御装置281からの指令ステップ数に応じてモーター81が駆動することにより、左右ベーン80の向き(角度)が変更され、吹出口3から吹き出される気流の向きを左右方向に制御することができる。上下ベーン70は、ステッピングモーター等のモーター(図示せず)に連結されている。制御装置281からの指令ステップ数に応じてこのモーターが駆動することにより、上下ベーン70の向き(角度)が変更され、吹出口3から吹き出される気流の向きを上下方向に制御することができる。
また、本実施の形態59に係る室内機100には、室内に存在する人の位置を検知する人検知センサーが設けられている。人検知センサーとしては、カメラを用いた人検知センサー等、種々のものを用いることができる。本実施の形態59では、人検知センサーとして赤外線センサー410を用いている。赤外線センサー410は、室内の温度検出対象範囲を走査しながら温度検出対象範囲の温度を検出し、人や発熱機器等の存在を検知するものである。
この赤外線センサー410は、ケーシング1の前面の下部で吹出口3の上方に設けられている。赤外線センサー410は、左右方向に回転自在となっており、俯角約24.5度の角度で下向きに取り付けられている。ここで、俯角とは、赤外線センサー410の中心軸と水平線とがなす角度である。換言すると、赤外線センサー410は、水平線に対して約24.5度の角度で下向きに取り付けられている。
図112は、本発明の実施の形態59に係る赤外線センサーの受光素子の各配光視野角を示す説明図である。
図112に示すように、赤外線センサー410は、金属缶411の内部に8個の受光素子(図示せず)を縦方向に一列に配列している。金属缶411の上面には、8個の受光素子に赤外線を通すためのレンズ製の窓(図示せず)が設けられている。各受光素子の配光視野角412は、縦方向7度、横方向8度となっている。ここで、本実施の形態59では、各受光素子の配光視野角412が縦方向7度、横方向8度のものを示したが、配光視野角412はこの値(縦方向7度、横方向8度)に限定されるものではない。各受光素子の配光視野角412に応じて、受光素子の数を変更すればよい。例えば、1個の受光素子の縦配光視野角と受光素子の数との積が一定になるようにすればよい。
図113は、本発明の実施の形態59に係る赤外線センサーを収納する筐体を示す斜視図である。この図113は、赤外線センサー410付近を裏側(ケーシング1の内部から)から見た斜視図である。
図113に示すように、赤外線センサー410は、筐体413内に収納されている。そして、筐体413の上方に、赤外線センサー410を駆動する(より詳しくは、赤外線センサー410を左右方向に回転させる)モーター414が設けられている。モーター414は、例えばステッピングモーターである。筐体413と一体形成された取付部415がケーシング1の前面下部に固定されることにより、赤外線センサー410がケーシング1に取り付けられる。赤外線センサー410がケーシング1に取り付けられた状態では、モーター414と筐体413は略垂直となる。そして、筐体413の内部で赤外線センサー410が、俯角約24.5度の角度で下向きに取り付けられる。
赤外線センサー410は、モーター414により左右方向に所定角度範囲を回転駆動する(このような回転駆動をここでは、可動する、と称する)。具体的には、図114に示すようになる。
図114は、本発明の実施の形態59に係る赤外線センサーの可動状態を示す説明図である。ここで、図114(a)は、赤外線センサーが左側端部(室内機100から室内を見た状態では右側端部)へ可動した状態を示す斜視図である。図114(b)は、赤外線センサーが中央部へ可動した状態を示す斜視図である。また、図114(c)は、赤外線センサーが右側端部(室内機100から室内を見た状態では左側端部)へ可動した状態を示す斜視図である。
赤外線センサー410は、左側端部(a)から中央部(b)を経由して右側端部(c)まで可動し、右側端部(c)に来ると逆方向に反転して可動する。この動作を繰り返すことにより、赤外線センサー410は、室内の温度検出対象範囲を左右に走査しながら温度検出対象の温度を検出する。
ここで、赤外線センサー410による部屋の壁や床等の熱画像データーの取得方法について述べる。なお、赤外線センサー410等の制御は、所定の動作がプログラムされた制御装置281(例えば、マイクロコンピューター)によって行われる。なお、以下の説明では、一々夫々の制御を制御装置281が行うという記載は省略する。
部屋の壁や床等の熱画像データーを取得する場合、赤外線センサー410をモーター414により左右方向に可動し、モーター414の可動角度(赤外線センサー410の回転駆動角度)1.6度毎に各位置で赤外線センサー410を所定時間(0.1〜0.2秒)停止させる。各位置で赤外線センサー410を停止させた際、所定時間(0.1〜0.2秒より短い時間)待ち、赤外線センサー410の8個の受光素子の検出結果(熱画像データー)を取り込む。赤外線センサー410の検出結果を取り込み終了後、再びモーター414を駆動(可動角度1.6度)して後停止し、同様の動作により赤外線センサー410の8個の受光素子の検出結果(熱画像データー)を取り込む。
上記の動作を繰り返し行い、左右方向に94箇所の赤外線センサー410の検出結果をもとに検知エリア内の熱画像データーを演算する。モーター414の可動角度1.6度毎に94箇所で赤外線センサー410を停止させて熱画像データーを取り込むので、赤外線センサー410の左右方向の可動範囲(左右方向に回転駆動する角度範囲)は、約150.4度である。
図115は、本発明の実施の形態59に係る赤外線センサーの縦断面における縦配光視野角を示す説明図である。この図115は、室内機100を部屋の床面から1800mmの高さに据付けた状態で、8個の受光素子が縦に一列に配列された赤外線センサー410の縦断面における縦配光視野角を示している。なお、図115に示す角度7°は、1個の受光素子の縦配光視野角である。
図115の角度37.5°は、赤外線センサー410の縦視野領域に入らない領域(室内機100が取り付けられた壁からの角度)を示している。赤外線センサー410の俯角が0°であれば、この角度は、90°−4(水平より下の受光素子の数)×7°(1個の受光素子の縦配光視野角)=62°になる。本実施の形態59に係る赤外線センサー410は、俯角が24.5°であるから、62°−24.5°=37.5°になる。
このような赤外線センサー410を用いることにより、例えば以下のような熱画像データーを得ることができる。
図116は、本実施の形態59に係る赤外線センサーによって得られる熱画像データーの一例である。この図116は、8畳相当の部屋で主婦416が幼児417を抱いている一生活シーンを赤外線センサー410を左右方向に可動させながら得られた検出結果をもとに熱画像データーとして演算した結果を示している。
図116は、季節が冬で、かつ天候が曇りの日に取得した熱画像データーである。したがって、窓418の温度は、10〜15℃と低い。一方、主婦416と幼児417の温度が最も高い。特に、主婦416と幼児417の上半身の温度は、26〜30℃となっている。このように、赤外線センサー410を左右方向に可動させることにより、例えば、室内の各部の温度情報を取得することができる。
そこで、本実施の形態59に係る室内機100は、赤外線センサー410によって得られた室内の各部の温度情報に基づき、各ファン20のそれぞれの風量、上下ベーン70の向き、及び左右ベーン80の向きを制御している。より詳しくは、室内機100に設けられた制御装置281は、入力部、CPU、メモリー及び出力部を備えている。さらに、CPU内部には、室内状態判断部、目標エリア決定部、エリア風向制御部が内蔵されている。そして、制御装置281は、室内の床面エリアを複数のエリア区画に区分し、赤外線センサー410によって得られた熱画像データーの各座標点を、これら複数のエリア区画へ置き換える。これにより、室内のどのエリア区画に人が存在するかを高精度に把握することができる。
図117は、本実施の形態59に係る室内機が室内の床面エリアを複数のエリア区画に区分する際の一例である。
例えば、室内機100の制御装置281は、室内の床面エリアをA1〜E3の15のエリア区画に区分する。そして、制御装置281は、赤外線センサー410から得られた熱源データーを基に、上下ベーン70及び左右ベーン80の向きを制御する。また、制御装置281は、赤外線センサー410から得られた熱源データーを基に、各ファン20の風量を制御する。
例えば、吹出口3から吹き出される気流を遠くまで届ける必要がある場合、ファン20すべての回転数を増加させ(ファン20全ての風量を増加させ)、吹出口3から吹き出される風量を増加させる。また例えば、吹出口3から吹き出される気流を室内機100の極近くに届ける場合、ファン20すべての回転数を減少させ(ファン20全ての風量を減少させ)、吹出口3から吹き出される風量を減少させる。
また例えば、室内の温度が設定温度に近づいた場合でも、人が存在するエリア区画を集中的に空気調和したい場合がある。このような場合、集中的に空気調和したい場所(人が存在するエリア区画)に到達する気流を発生させているファン20の風量(つまり回転数)を増加させる。このとき、残りのファン20は、低回転で運転してもよいし、停止させてもよい。このように各ファン20の風量を制御することにより、室内機100の吹出口3から吹き出される気流全体としては少ない風量となるが、人が存在するエリア区画へ集中的に気流を届けることができる。これにより、人が存在するエリア区画の温度環境をより安定させることが可能となり、快適で省エネルギーな室内機100の運転を実現することができる。
また例えば、室内機100の吹出口3から吹き出される気流を避けたい人が存在する場合もある。このように、室内機100の吹出口3から吹き出される気流を避けたい場所がある場合、吹出口3から吹き出される気流を避けたい場所に到達する気流を発生させているファン20の風量(つまり回転数)を減少させる。このように各ファン20の風量を制御することにより、吹出口3から吹き出される気流が当該場所に到達することを抑制しながら、室内の空気調和を行うことができる。これにより、室内機100の吹出口3から吹き出される気流を避けたい場所の環境を安定させながら、快適で省エネルギーな室内機100の運転を実現することができる。
なお、上述のように各ファン20の風量を個別に制御する場合、「集中的に空気調和したい場所」や「吹出口3から吹き出される気流を避けたい場所」に到達する気流を発生させているファン20を、これらの場所に最も近いファン20にするとよい。例えば、図117に示すエリア区画E3がこれらの場所に相当する場合、これらの場所に到達する気流を発生させているファン20を、これらの場所に最も近いファン20C(図110参照)とすればよい。このようにファン20を選択することにより、室内機100の吹出口3から吹き出される気流全体は室内の略中央部へ向けることができ、より省エネルギーな室内機100の運転を実現することができる。
実施の形態60.
(ベーンを複数に分割)
赤外線センサー410の検知結果に基づいて上下ベーン70、左右ベーン80及び各ファン20の風量を制御する場合、上下ベーン70及び左右ベーン80を複数に分割し、これらを個別に制御するとよい。これにより、快適性をさらに向上させることが可能となる。なお、本実施の形態60において、特に記述しない項目については実施の形態59と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図118は、本発明の実施の形態60に係る室内機を示す正面断面図である。また、図119は、この室内機を示す斜視図である。なお、図118は、ファン20の略中心部を切断した正面断面図である。
本実施の形態60に係る室内機100は、上下ベーン70及び左右ベーン80が複数に分割されている(図118及び図119では、上下ベーン70及び左右ベーン80が2つに分割されている)。
より詳しくは、左右ベーン80は、ケーシング1の左側に配置された左右ベーン80aと、ケーシング1の右側に配置された左右ベーン80bと、に分割されている。左右ベーン80aは、リンク棒82aを介して、ステッピングモーター等であるモーター81aと連結されている。また、左右ベーン80bは、リンク棒82bを介して、ステッピングモーター等であるモーター81bと連結されている。制御装置281からの指令ステップ数に応じてモーター81a及びモーター81bが駆動することにより、左右ベーン80a及び左右ベーン80bの向き(角度)が変更され、吹出口3から吹き出される気流の向きを左右方向に制御することができる。左右ベーン80aと左右ベーン80bは、それぞれ個別にその向き(角度)を変更することができる。
また、上下ベーン70は、ケーシング1の左側に配置された上下ベーン70aと、ケーシング1の右側に配置された上下ベーン70bと、に分割されている。上下ベーン70a及び上下ベーン70bのそれぞれは、ステッピングモーター等のモーター(図示せず)に連結されている。制御装置281からの指令ステップ数に応じてこれらのモーターが駆動することにより、上下ベーン70a及び上下ベーン70bの向き(角度)が変更され、吹出口3から吹き出される気流の向きを上下方向に制御することができる。上下ベーン70aと上下ベーン70bは、それぞれ個別にその向き(角度)を変更することができる。
つまり、本実施の形態60に係る室内機100は、室内の異なる2箇所へ、同時に異なる風量の気流を送ることが可能となっている。このため、室内の異なる2箇所において、集中的に気流を送りたい場合は当該場所へ送る気流の風量を増加させ、気流を避けたい場合には当該場所へ送る気流の風量を減少させることができる。したがって、同時に異なる2つの場所の環境を安定に保ちながら、室内を空気調和することが可能となっている。
例えば、2人の人が室内の離れた2つのエリア区画に存在しているとする。そして、これら2つのエリア区画を集中的に空気調和したい場合、これら2つのエリア区画に到達する気流を発生させているファン20の風量(つまり回転数)を増加させる。また、残りのファン20は、低風量での運転や停止状態とする。このように各ファン20の風量を制御することにより、室内機100の吹出口3から吹き出される気流全体としては少ない風量となるが、人が存在するエリア区画へ集中的に気流を届けることができる。これにより、人が存在するエリア区画の温度環境をより安定させることが可能となり、快適で省エネルギーな室内機100の運転を実現することができる。
また例えば、2人の人が室内の離れた2つのエリア区画に存在し、1つのエリア区画が設定温度に達し、残りの1つのエリア区画が設定温度に達していないとする。このような場合、集中的に空気調和したい場所(設定温度に達していないエリア区画)に到達する気流を発生させているファン20の風量(つまり回転数)を増加させる。また、設定温度に達したエリア区画に到達する気流を発生させているファン20の風量(つまり回転数)は、低風量とする。また、残りのファン20は、低風量での運転や停止状態とする。このように各ファン20の風量を制御することにより、集中的に空気調和したい場所(設定温度に達していないエリア区画)には集中的に気流を送ることができ、設定温度に達したエリア区画にも少ない風量の気流を送ることができる。
つまり、上下ベーン70及び左右ベーン80が分割された本実施の形態60に係る室内機100は、実施の形態59に係る室内機100よりもより快適で省エネルギーな運転を実現することができる。
実施の形態61.
(ベーンをファン数と同数に分割)
上下ベーン70及び左右ベーン80の分割数を多くすることにより、快適性をさらに向上させることが可能となる。また、上下ベーン70及び左右ベーン80の分割数をファン20の個数と同数とすることにより、快適性をさらに向上させることが可能となる。なお、本実施の形態61において、特に記述しない項目については実施の形態59又は実施の形態60と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図120は、本発明の実施の形態61に係る室内機を示す正面断面図である。また、図121は、この室内機を示す斜視図である。なお、図120は、ファン20の略中心部を切断した正面断面図である。また、図120及び図121に示す室内機100は、3つのファン20(ファン20A〜ファン20C)を備えた室内機100を示している。
本実施の形態61に係る室内機100は、上下ベーン70及び左右ベーン80がファン20の個数と同数に分割されている。本実施の形態61に係る室内機100は、3つのファン20(ファン20A〜ファン20C)が設けられているため、上下ベーン70及び左右ベーン80も3つに分割されている。
より詳しくは、左右ベーン80は、ケーシング1の左側に配置された左右ベーン80aと、ケーシング1の中央部に配置された左右ベーン80bと、ケーシング1の右側に配置された左右ベーン80cと、に分割されている。左右ベーン80aは、リンク棒82aを介して、ステッピングモーター等であるモーター81aと連結されている。左右ベーン80bは、リンク棒82bを介して、ステッピングモーター等であるモーター81bと連結されている。また、左右ベーン80cは、リンク棒82cを介して、ステッピングモーター等であるモーター81cと連結されている。制御装置281からの指令ステップ数に応じてモーター81a〜モーター81cのそれぞれが駆動することにより、左右ベーン80a〜左右ベーン80cの向き(角度)が変更され、吹出口3から吹き出される気流の向きを左右方向に制御することができる。左右ベーン80a〜左右ベーン80cのそれぞれは、個別にその向き(角度)を変更することができる。
また、上下ベーン70は、ケーシング1の左側に配置された上下ベーン70aと、ケーシング1の中央部に配置された上下ベーン70と、ケーシング1の右側に配置された上下ベーン70cと、に分割されている。上下ベーン70a〜上下ベーン70cのそれぞれは、ステッピングモーター等のモーター(図示せず)に連結されている。制御装置281からの指令ステップ数に応じてこれらのモーターが駆動することにより、上下ベーン70a〜上下ベーン70cの向き(角度)が変更され、吹出口3から吹き出される気流の向きを上下方向に制御することができる。上下ベーン70a〜上下ベーン70cのそれぞれは、個別にその向き(角度)を変更することができる。
つまり、本実施の形態61に係る室内機100は、室内の異なる3箇所へ、同時に異なる風量の気流を送ることが可能となっている。このため、室内の異なる3箇所において、集中的に気流を送りたい場合は当該場所へ送る気流の風量を増加させ、気流を避けたい場合には当該場所へ送る気流の風量を減少させることができる。したがって、同時に異なる3つの場所の環境を安定に保ちながら、室内を空気調和することが可能となっている。
例えば、3人の人が室内の離れた3つのエリア区画に存在しており、1つのエリア区画が設定温度に達し、残りの2つのエリア区画が設定温度に達していないとする。このような場合、集中的に空気調和したい場所(設定温度に達していない2つのエリア区画)に到達する気流を発生させているファン20の風量(つまり回転数)をそれぞれ増加させる。また、設定温度に達したエリア区画に到達する気流を発生させているファン20の風量(つまり回転数)は、低風量とする。このように各ファン20の風量を制御することにより、集中的に空気調和したい場所(設定温度に達していない2つのエリア区画)には集中的に気流を送ることができ、設定温度に達したエリア区画にも少ない風量の気流を送ることができる。これにより、集中的に空気調和したい場所(設定温度に達していない2つのエリア区画)を積極的に空気調和しながら、設定温度に達したエリア区画の温度環境も安定させることができる。
つまり、実施の形態60よりも上下ベーン70及び左右ベーン80の分割数が多い本実施の形態61に係る室内機100は、実施の形態60に係る室内機100よりもさらに快適で省エネルギーな運転を実現することができる。
また、本実施の形態61では上下ベーン70及び左右ベーン80の分割数をファン20の個数と同数にしているので、快適性がさらに向上する。つまり、図120及び図121に示すように、ファン20Aが発生させる気流の向きは、上下ベーン70a及び左右ベーン80aで制御されることとなる。ファン20Bが発生させる気流の向きは、上下ベーン70b及び左右ベーン80bで制御されることとなる。また、ファン20Cが発生させる気流の向きは、上下ベーン70c及び左右ベーン80cで制御されることとなる。このため、各上下ベーン70及び左右ベーン80が制御する気流は、複数のファン20が発生させた気流ではなく、1つのファン20が発生した気流となる。したがって、集中的に風量を制御したい場所に送る気流の風量を高精度に調整でき、上下ベーン70及び左右ベーン80の分割数とファン20の個数が異なる室内機100(例えば実施の形態59や実施の形態60に係る室内機100)よりも、さらに快適で省エネルギーな運転を実現することができる。
実施の形態62.
(補助上下ベーン)
実施の形態1に係る室内機100は、熱交換器50を通過した気流の上下方向の制御を上下ベーン70のみで行っている。上下ベーン70の上流側に以下のような補助上下ベーンを設けることにより、室内機100の気流制御性を向上させることができる。なお、本実施の形態62においては、実施の形態1〜実施の形態61と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図122は、本発明の実施の形態62に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態62に係る室内機100は、熱交換器50と上下ベーン70との間(つまり上下ベーン70の上流側)に補助上下ベーン71が設けられている。
従来の室内機は、ファン(クロスフローファン等)の上流側を覆うように熱交換器が設けられている。一方、本実施の形態62に係る室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20が設けられている。このため、本実施の形態62に係る室内機100は、従来の室内機ではファンに占有されていた領域に、補助上下ベーン71を設けることができる。したがって、右側縦断面において、補助上下ベーン71の上流側端部が熱交換器50の両下端部を結ぶ仮想直線(図122に示す二点鎖線)よりも上方に位置するように、補助上下ベーン71を設けることもできる。従来の室内機において上下ベーン70のみでは気流を曲げるための距離が不足し、所望の気流制御性が得られない場合でも、本実施の形態62に係る室内機100は、上下ベーン70の上流側に補助上下ベーン71を設けることができるので、気流制御性を向上させることができる。
このように構成された室内機100は、次のように熱交換器50を通過した気流の方向を制御する。
図123は、本発明の実施の形態62に係る室内機の気流制御動作を説明するための説明図(縦断面図)である。
例えば、暖房運転時のように熱交換器50を通過した気流を下方向に曲げたい場合、図122に示す状態から図123に示す状態となるように、上下ベーン70及び補助上下ベーン71を制御すればよい。つまり、右側縦断面において、上下ベーン70及び補助上下ベーン71を反時計回りに回転させ、上下ベーン70及び補助上下ベーン71が下向きになるように制御すればよい。このとき、上下ベーン70よりも上向きとなるように、補助上下ベーン71を制御するとよい。このように上下ベーン70と補助上下ベーン71の角度を異ならせることにより、熱交換器50を通過した気流を滑らかに曲げることができ、気流制御性がより向上する。
図124は、本発明の実施の形態62に係る室内機の気流制御動作を説明するための説明図(縦断面図)である。
例えば、冷房運転時のように熱交換器50を通過した気流を上方向に曲げたい場合、図122に示す状態から図124に示す状態となるように、上下ベーン70及び補助上下ベーン71を制御すればよい。つまり、右側縦断面において、上下ベーン70及び補助上下ベーン71を時計回りに回転させ、上下ベーン70及び補助上下ベーン71が上向きになるように制御すればよい。このとき、上下ベーン70よりも下向きとなるように、補助上下ベーン71を制御するとよい。このように上下ベーン70と補助上下ベーン71の角度を異ならせることにより、熱交換器50を通過した気流を滑らかに曲げることができ、気流制御性がより向上する。
以上、このように構成された室内機100においては、上下ベーン70の上流側に補助上下ベーン71が設けられているので、暖房運転時及び冷房運転時の双方において、熱交換器50を通過した気流を曲げるために十分な距離を得ることができる。このため、室内機100の気流制御性が向上する。
実施の形態63.
補助上下ベーン71を複数個設置してもよい。なお、本実施の形態63において、特に記述しない項目については実施の形態62と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図125及び図126は、本発明の実施の形態63に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態63に係る室内機100は、熱交換器50と上下ベーン70との間(つまり上下ベーン70の上流側)に2つの補助上下ベーン(補助上下ベーン71a及び補助上下ベーン71b)が設けられている。より詳しくは、上下ベーン70の上流側に、補助上下ベーン71aが設けられている。そして、この補助上下ベーン71aの上流側には、さらに補助上下ベーン71bが設けられている。なお、補助上下ベーン71を3つ以上設けても勿論よい。
このように構成された室内機100は、次のように熱交換器50を通過した気流の方向を制御する。
例えば、冷房運転時のように熱交換器50を通過した気流を上方向に曲げたい場合、図125に示す状態となるように、上下ベーン70、補助上下ベーン71a及び補助上下ベーン71bを制御すればよい。このとき、上下ベーン70よりも下向きとなるように、補助上下ベーン71aを制御するとよい。また、補助上下ベーン71aよりも下向きとなるように、補助上下ベーン71bを制御するとよい。このように上下ベーン70、補助上下ベーン71a及び補助上下ベーン71bの角度を異ならせることにより、実施の形態62よりもより滑らかに熱交換器50を通過した気流を曲げることができる。
例えば、暖房運転時のように熱交換器50を通過した気流を下方向に曲げたい場合、図126に示す状態となるように、上下ベーン70、補助上下ベーン71a及び補助上下ベーン71bを制御すればよい。このとき、上下ベーン70よりも上向きとなるように、補助上下ベーン71aを制御するとよい。また、補助上下ベーン71aよりも上向きとなるように、補助上下ベーン71bを制御するとよい。このように上下ベーン70、補助上下ベーン71a及び補助上下ベーン71bの角度を異ならせることにより、実施の形態62よりもより滑らかに熱交換器50を通過した気流を曲げることができる。
以上、本実施の形態63に係る室内機100は、上下ベーン70の上流側に複数の補助上下ベーン71が設けられているので、実施の形態62に係る室内機100よりも、より滑らかに熱交換器50を通過した気流を曲げることができる。このため、本実施の形態63に係る室内機100は、実施の形態62に係る室内機100と比べ、気流制御性がさらに向上する。
実施の形態64.
また、上下ベーン70や補助上下ベーン71の回転軸位置を可動としてもよい。なお、本実施の形態64において、特に記述しない項目については実施の形態62又は実施の形態63と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図127及び図128は、本発明の実施の形態64に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態64に係る室内機100は、暖房運転時における補助上下ベーン71の回転軸位置と冷房運転時における補助上下ベーン71の回転軸位置を異ならせている。
つまり、熱交換器50を通過した気流を下向きに曲げたい場合、図127に示すように、補助上下ベーン71の回転軸は、回転軸位置71cに移動する。そして、この回転軸位置71cを中心として、補助上下ベーン71は回転する。
また、熱交換器50を通過した気流を上向きに曲げたい場合、図128に示すように、補助上下ベーン71の回転軸は、回転軸位置71dに移動する。そして、この回転軸位置71dを中心として、補助上下ベーン71は回転する。
なお、補助上下ベーン71の回転軸位置は、上記の2点(回転軸位置71c及び回転軸位置71d)に限定されるものではない。上下ベーン70及び補助上下ベーン71の角度に応じて上記の二点の間に補助上下ベーン71の回転軸位置を移動すればよい。
このように補助上下ベーン71の回転軸位置を可変とする場合、例えば次のような移動機構を設ければよい。
図139は、本発明の実施の形態64に係る補助上下ベーン71の回転軸位置を移動させる移動機構の一例を示す要部拡大図である。
図139に示す移動機構は、直動アクチュエーター72、及び例えばステッピングモーター等であるモーター73を備えている。モーター73には、補助上下ベーン71の回転軸が取り付けられている。より詳しくは、補助上下ベーン71の回転軸はケーシング1の側面部に開口形成されたスリット1aに挿入されて、モーター73に取り付けられている。また、モーター73は、直動アクチュエーター72の可動部に取り付けられている。
直動アクチュエーター72の可動部がスリット1aの長手方向に沿って移動することにより、補助上下ベーン71の回転軸位置も移動する。また、モーター73を回転させることにより、補助上下ベーン71が回転軸を中心に回転する。
また、補助上下ベーン71の回転軸位置を可変とする場合、例えば次のような移動機構を設けてもよい。
図140は、本発明の実施の形態64に係る補助上下ベーン71の回転軸位置を移動させる移動機構の別の一例を示す要部拡大図である。
図140に示す移動機構は、例えばステッピングモーター等であるモーター74、例えばステッピングモーター等であるモーター73、及びモーター73とモーター74とを接続するアーム75を備えている。モーター73には、補助上下ベーン71の回転軸が取り付けられている。より詳しくは、補助上下ベーン71の回転軸はケーシング1の側面部に開口形成されたスリット1aに挿入されて、モーター73に取り付けられている。また、モーター73は、アーム75を介してモーター74に取り付けられている。
モーター74が回転することにより、モーター73はスリット1aに沿って移動する。これにより、補助上下ベーン71の回転軸位置もスリット1aに沿って移動する。また、モーター73を回転させることにより、補助上下ベーン71が回転軸を中心に回転する。
以上、このように構成された室内機100においては、気流の方向に合わせて補助上下ベーン71の回転軸位置を調整できるため、上下ベーン70及び補助上下ベーン71の角度にかかわらず、上下ベーン70の上流側端部と補助上下ベーン71の下流側端部を接近させることができる。このため、補助上下ベーン71での気流の剥離を抑えることができる。したがって、室内機100の電力効率の低下を抑えつつ、気流を滑らかに曲げることができる。
なお、上下ベーン70の回転軸位置を可動としても、本実施の形態64で示した効果を得ることができる。上下ベーン70の回転軸位置と補助上下ベーン71の回転軸位置の双方を可動にしても勿論よい。
実施の形態65.
補助上下ベーン71を設けることにより、従来よりも熱交換器の近傍から気流の制御を行うことができる。このため、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55に独立した熱交換作用をもたせることにより、気流制御性をさらに向上させることが可能となる。なお、本実施の形態65において、特に記述しない項目については実施の形態62〜実施の形態64と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図129及び図130は、本発明の実施の形態65に係る室内機を示す縦断面図である。
図129に示すように、暖房運転時には、前面側熱交換器51において冷気(矢印C)を発生させ、背面側熱交換器55において暖気(矢印H)を発生させる。このように構成することにより、暖気の舞上がりを冷気によって抑えることができるため、気流制御性が向上する。
また、図130に示すように、冷房運転時には、前面側熱交換器51において冷気を発生させ、背面側熱交換器55において暖気を発生させる。このように構成することにより、冷気だれを暖気によって抑えることができ、気流制御性が向上する。
上記のように前面側熱交換器51と背面側熱交換器55に独立した熱交換作用をもたせるには、本実施の形態65に係る室内機100を備えた空気調和機の冷媒回路を次のように構成すればよい。
図131は、本発明の実施の形態65に係る室内機を備えた空気調和機の冷媒回路図である。
この冷媒回路は、圧縮機401、四方弁402、室外熱交換器403、絞り装置404、流路切換装置405、背面側熱交換器55、絞り装置406、及び前面側熱交換器51が冷媒配管で接続されて構成されている。また、流路切換装置405は、逆止弁405a〜逆止弁405dを備えている。
圧縮機401は、冷媒配管を流れる冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温・高圧の状態とするものである。四方弁402は、暖房運転時と冷房運転時で、圧縮機401から吐出された冷媒の流路を切り換えるものである。室外熱交換器403は、凝縮器又は蒸発器として機能し、冷媒配管を流れる冷媒と流体(空気や水、冷媒等)との間で熱交換を行ない、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)に熱エネルギーを供給するものである。絞り装置404及び絞り装置406は、冷媒配管を流れる冷媒を減圧して膨張させるものである。この絞り装置404及び絞り装置406は、例えば毛細管や電磁弁等で構成するとよい。熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)は、凝縮器又は蒸発器として機能し、冷媒配管を流れる冷媒と流体との間で熱交換を行なうものである。流路切換装置405は、冷媒配管を流れる冷媒の流れの方向を一方向に規定するものである。
ここで、このような冷媒回路の動作について簡単に説明する。
[冷房運転]
冷房運転時、四方弁402の冷媒流路は、図131に示すようになる。
圧縮機401で圧縮されて高温・高圧になった冷媒は室外熱交換器403に流入する。室外熱交換器403において、冷媒は低温・高圧の気液二相冷媒となる。この冷媒は絞り装置404において減圧され、低温・低圧の気液二相冷媒となる。絞り装置404から流出した冷媒の流れ方向は流路切換装置405により規定されているため、冷媒は背面側熱交換器55に流入する。このとき、室内空気は冷却され冷房空気となる。背面側熱交換器55で熱交換した冷媒は、絞り装置406に流入して減圧された後、前面側熱交換器51に流入する。このとき、絞り装置404における減圧量を少なくし、絞り装置406における減圧量を多くすることにより、背面側熱交換器55では前面側熱交換器51よりも高い温度の空調空気を発生させることができる。また、図133に示すように、流路切換装置405の代わりに四方弁407を用いても同様の効果を得ることができる。
[暖房運転]
暖房運転時、四方弁402の冷媒流路は、図132に示すようになる。
圧縮機で圧縮されて高温・高圧になった冷媒は、流れ方向が流路切換装置405により規定されているため、背面側熱交換器55に流入する。このとき、室内空気は加熱され暖房空気となる。背面側熱交換器55で熱交換した冷媒は、絞り装置406に流入る。絞り装置406に流入した冷媒は、低温・低圧の気液二相冷媒に減圧され、前面側熱交換器51に流入する。冷媒は前面側熱交換器51において、低温・低圧の液冷媒となる。前面側熱交換器51を流出した冷媒は、絞り装置404で減圧された後に室外熱交換器403に流入し、加熱されて低温・低圧のガス冷媒となる。絞り装置404における減圧量を少なくし、絞り装置406における減圧量を多くすることにより、背面側熱交換器55では前面側熱交換器51よりも高い温度の空調空気を発生させることができる。また、図134に示すように、逆止弁の代わりに四方弁を用いても同様の効果を得ることができる。
実施の形態66.
また、上下ベーン70と補助上下ベーン71をケーシング1の長手方向(左右方向)に複数に分割し、これらを独立に制御できるように構成してもよい。なお、本実施の形態66において、特に記述しない項目については実施の形態62〜実施の形態65と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図135は、本発明の実施の形態66に係る室内機を示す斜視図である。
本実施の形態66に係る室内機100は、ケーシング1の長手方向に沿って、上下ベーン70が複数の上下ベーンに分割されている。図135では、3つの上下ベーン(上下ベーン70a〜上下ベーン70c)に分割されている。これら上下ベーン70a〜上下ベーン70cは、それぞれ独立して回転角度を制御することができる。また、本実施の形態66に係る室内機100は、ケーシング1の長手方向に沿って、補助上下ベーン71が複数の補助上下ベーンに分割されている。図135では、3つの補助上下ベーン(補助上下ベーン71e〜補助上下ベーン71g)に分割されている。補助上下ベーン71eは、上下ベーン70aの上流側に配置されている。補助上下ベーン71fは、上下ベーン70bの上流側に配置されている。補助上下ベーン71gは、上下ベーン70cの上流側に配置されている。これら補助上下ベーン71e〜補助上下ベーン71gは、それぞれ独立して回転角度を制御することができる。
このように構成された室内機100においては、ケーシングの長手方向に気流の上吹き、下吹きの分布を持たせることができる。このため、複数人が空調対象域に存在した場合等、各人に合わせた気流を発生できるため、空調の快適性が向上する。
実施の形態67.
右側縦断面において熱交換器50の下部に変局部が存在する場合(例えば略M型の熱交換器50)等、ケーシング1の風路内にドレンパンが設けられる場合がある。このような場合、例えば以下のような位置に補助上下ベーン71を配置するとよい。なお、本実施の形態67において、特に記述しない項目については実施の形態62〜実施の形態66と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図136は、本発明の実施の形態67に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態67に係る室内機100は、右側縦断面において略M型の熱交換器50が設けられている。そして、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55の接続部の下方には、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55から発生したドレンを回収する中間ドレンパン118が設けられている。そして、補助上下ベーン71は、中間ドレンパン118の下方(例えば直下)に配置されている。風路内ドレンの下方は吹出し気流の死水域となるため、補助上下ベーン71はこの死水域に配置されていることとなる。
このように構成された室内機100は、次のように熱交換器50を通過した気流の方向を制御する。
例えば、暖房運転時のように熱交換器50を通過した気流を下方向に曲げたい場合、図137に示す状態となるように、上下ベーン70、補助上下ベーン71を下向きに制御する。このとき、補助上下ベーン71が死水域に配置されているため、熱交換器50を通過した気流と補助上下ベーン71が衝突することによる送風性能の悪化を抑制することができる。
例えば、冷房運転時のように熱交換器50を通過した気流を上方向に曲げたい場合、図138に示す状態となるように、上下ベーン70、補助上下ベーン71を上向きに制御する。このとき、補助上下ベーン71が死水域に配置されているため、熱交換器50を通過した気流と補助上下ベーン71が衝突することによる送風性能の悪化を抑制することができる。
以上、このように構成された室内機100においては、熱交換器50を通過した気流と補助上下ベーン71が衝突することによる送風性能の悪化を抑制しつつ、気流制御性を向上させることができる。
また、本実施の形態67のように補助上下ベーン71を配置することにより、前面側熱交換器51を通過した気流と、背面側熱交換器55を通過した気流と、を確実に分離することができる。このため、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55に独立した熱交換作用をもたせた際の気流制御性がさらに向上する。
実施の形態68.
<ドレンパン>
室内機100に設けるドレンパンは、実施の形態1で示した構成に限らず、例えば以下のように構成してもよい。なお、本実施の形態68においては、実施の形態1〜実施の形態67と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図141は、本発明の実施の形態68に係るドレンパンの一例を示す斜視図である。また、図142は、本発明の実施の形態68に係るドレンパンの別の一例を示す斜視図である。
上述のように、本発明に係る室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20を配置している。このため、前面側ドレンパン110を着脱することなくファン20のメンテナンス等(ファン20の交換や清掃等)を行うことができる。このため、熱交換器50の上流側にファン20を配置するだけでも、熱交換器の下流側にファンを配置した従来の室内機よりもメンテナンス性が向上する。したがって、室内機100の組立性等を向上させるには、図141や図142に示すようなドレンパンとしてもよい。
例えば、図141に示すドレンパンは、排水路111の背面側端部と背面側ドレンパン115とを接続することにより、前面側ドレンパン110、排水路111及び背面側ドレンパン115を一体形成している。このように構成することにより、前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115の高低差を気にすることなく室内機100を組み立てることができる。このため、室内機100の組立工数を削減でき、室内機100のコストを削減することができる。
また例えば、図142に示すドレンパンは、図142に示したドレンパンとケーシング1の背面部1bとを、さらに一体形成している。このように構成しても、前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115の高低差を気にすることなく室内機100を組み立てることができ、室内機100の組立工数を削減でき、室内機100のコストを削減することができる。また、ドレンパンの成型コストも削減することができ、室内機100のコストをさらに削減することができる。
実施の形態69.
実施の形態1及び実施の形態68では、右側縦断面略Λ型の熱交換器50を備えた室内機100に設けるドレンパンについて説明した。これに限らず、種々の形状の熱交換器50を備えた室内機100において、実施の形態1や実施の形態68で説明したドレンパンと同様のドレンパンを設けることが可能である。以下に、その一例を紹介する。なお、本実施の形態69において、特に記述しない項目については実施の形態1又は実施の形態68と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
例えば、右側縦断面略Λ型の熱交換器50に限らず、下端部が2つとなる熱交換器50(例えば、右側縦断面において略N型、略W型又は略И型の形状をした熱交換器)を備えた室内機100であれば、実施の形態1や実施の形態68で説明したドレンパンと同様のドレンパンを設けることができる。
図143は、本発明の実施の形態69に係る室内機の一例を示す縦断面図である。この図143は、右側縦断面略И型の熱交換器50を備えた室内機100を示している。
図143に示すように、右側縦断面略И型の熱交換器50は、右側縦断面において2つの下端部が形成されている。より詳しくは、前面側熱交換器51を構成する熱交換器51aと熱交換器51bとの接続部(変局部)が下端部となっており、背面側熱交換器55を構成する熱交換器55aの背面側端部が下端部となっている。
このような室内機100においては、前面側熱交換器51を構成する熱交換器51aと熱交換器51bとの接続部(変局部)の下方に、実施の形態1や実施の形態68で示した前面側ドレンパン110を設ければよい。また、背面側熱交換器55を構成する熱交換器55aの背面側端部の下方に、実施の形態1や実施の形態68で示した背面側ドレンパン115を設ければよい。
このように背面側ドレンパン115及び前面側ドレンパン110を設けることにより、実施の形態1と同様に、両ドレンパンで回収されたドレンを背面側ドレンパン115(最もケーシング1の背面側に配置されたドレンパン)に集めることができる。このため、背面側ドレンパン115にドレンホース117の接続口116を設けることにより、前面側ドレンパン110及び背面側ドレンパン115で回収されたドレンをケーシング1の外部へ排出することができる。したがって、ケーシング1の前面部等を開けて室内機100のメンテナンス(熱交換器50の清掃等)を行う場合等、ドレンホース117の接続されたドレンパンを着脱等する必要がなく、メンテナンス等の作業性が向上する。
また例えば、下端部が3つ以上有する熱交換器50(例えば、右側縦断面略M型の熱交換器)を備えた室内機100であれば、以下に示すようにドレンパンを設ければよい。
図144は、本発明の実施の形態69に係る室内機の別の一例を示す縦断面図である。図145は、この室内機を前面右側から見た斜視図である。図146は、この室内機を背面右側から見た斜視図である。図147は、この室内機を前面左側から見た斜視図である。また、図148は、この室内機に設けられたドレンパンを示す斜視図である。なお、ドレンパンの形状の理解を容易とするため、図145及び図146では室内機100の右側を断面で示し、図147では室内機100の左側を断面で示している。
右側縦断面略M型の熱交換器50は、右側縦断面において3つの下端部が形成されている。より詳しくは、前面側熱交換器51を構成する熱交換器51aの前面側端部が下端部となっており、前面側熱交換器51を構成する熱交換器51bと背面側熱交換器55を構成する熱交換器55bとの接続部(変局部)が下端部となっており、背面側熱交換器55を構成する熱交換器55aの背面側端部が下端部となっている。
このような室内機100においては、前面側の下端部と背面側の下端部との間に形成された下端部(前面側熱交換器51を構成する熱交換器51bと背面側熱交換器55を構成する熱交換器55bとの接続部)に中間ドレンパン118を設ければよい。より詳しくは、前面側熱交換器51を構成する熱交換器51aの前面側端部の下方には、前面側ドレンパン110が設けられている。前面側熱交換器51を構成する熱交換器51bと背面側熱交換器55を構成する熱交換器55bとの接続部の下方には、中間ドレンパン118が設けられている。背面側熱交換器55を構成する熱交換器55aの背面側端部の下方には、背面側ドレンパン115が設けられている。なお、背面側ドレンパン115とケーシング1の背面部1bは、一体で形成されている。この背面側ドレンパン115には、左側端部及び右側端部の双方に、ドレンホース117が接続される接続口116が設けられている。
前面側ドレンパン110は、中間ドレンパン118よりも高い位置に配置されている。また、中間ドレンパン118は、背面側ドレンパン115よりも高い位置に配置されている。そして、前面側ドレンパン110と中間ドレンパン118との間には、左側端部及び右側端部の双方に、ドレンの移動路となる排水路111が設けられている。中間ドレンパン118と背面側ドレンパン115との間には、左側端部及び右側端部の双方に、ドレンの移動路となる排水路119が設けられている。排水路111は、前面側の端部が前面側ドレンパン110と接続されており、背面側の端部が中間ドレンパン118と接続されている。この排水路111は、前面側ドレンパン110から中間ドレンパン118に向かって下方に傾斜するように設けられている。排水路119は、前面側の端部が中間ドレンパン118と接続されており、中間ドレンパン118から背面側ドレンパン115に向かって下方に傾斜するように設けられている。また、排水路119の背面側の端部には、舌部119aが形成されている。排水路119の背面側の端部は、背面側ドレンパン115の上面に覆い被さるように配置されている。
このように熱交換器50の下方に各ドレンパン(前面側ドレンパン110、中間ドレンパン118及び背面側ドレンパン115)を設けることにより、熱交換器50に付着した露は、熱交換器50の各下端部から各ドレンパンに滴下し、各ドレンパンで回収される。また、前面側ドレンパン110及び中間ドレンパン118で回収されたドレンは、排水路111及び排水路119を介して、背面側ドレンパン115に集められる。背面側ドレンパン115に集められたドレンは、ドレンホース117を通って、ケーシング1(室内機100)の外部へ排出される。
以上のように、各ドレンパン(前面側ドレンパン110、中間ドレンパン118及び背面側ドレンパン115)を設けることにより、各ドレンパンで回収されたドレンを、背面側ドレンパン115(最もケーシング1の背面側に配置されたドレンパン)に集めることができる。このため、背面側ドレンパン115にドレンホース117の接続口116を設けることにより、前面側ドレンパン110及び背面側ドレンパン115で回収されたドレンをケーシング1の外部へ排出することができる。したがって、ケーシング1の前面部等を開けて室内機100のメンテナンス(熱交換器50の清掃等)を行う場合等、ドレンホース117の接続されたドレンパンを着脱等する必要がなく、メンテナンス等の作業性が向上する。
なお、図144〜図148に示すドレンパンは、前面側ドレンパン110、排水路111、中間ドレンパン118及び排水路119を一体形成している。つまり、図144〜図148に示すドレンパンは、排水路119と背面側ドレンパン115との間で分断されている。しかしながら、この分断される位置(接続されない位置)は任意である。メンテナンス性や組立性等を考慮して、分断される位置(接続されない位置)を適宜決定すればよい。また、前面側ドレンパン110が中間ドレンパン118よりも高い必要は必ずしもなく、中間ドレンパン118が背面側ドレンパン115よりも高い必要は必ずしもない。前面側ドレンパン110と中間ドレンパン118が同じ高さであっても、両ドレンパンで回収したドレンを背面側ドレンパン115に接続されたドレンホースから排出することができる。同様に、中間ドレンパン118と背面側ドレンパン115が同じ高さであっても、両ドレンパンで回収したドレンを背面側ドレンパン115に接続されたドレンホースから排出することができる。
実施の形態70.
<ノズル>
実施の形態1では、右側縦断面において、ノズル6の入り口側の開口長さd1がノズル6の出口側の開口長さd2よりも大きくなるように、ノズル6を構成していた。そして、これにより、ノズル6の入口付近に生じていた風速分布の偏りを是正していた。この構成に、以下のような構成を追加することにより、ノズル6の入り口付近や出口付近(吹出口3)に生じる風速分布の偏りをさらに是正することができる。なお、本実施の形態70においては、実施の形態1〜実施の形態69と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
本実施の形態70では、実施の形態1に対して、右側縦断面におけるノズル6の形状が異なっている。以下に、本実施の形態70に係るノズル6の形状と、実施の形態1に係るノズル6の形状と、の違いについて詳細に説明する。
図149は、本発明の実施の形態1に係る室内機のノズル内の気流を説明するための説明図(縦断面図)である。
図149に示すように、実施の形態1に係るノズル6は、前面側曲線6b及び背面側曲線6aの双方が背面側に凸形状となっていた。このような構成においては、図149に示すように、背面側ドレンパン115からの気流の回り込みにより、剥離による有効風路の減少、損失、及び吹出口3における風速分布の発生が課題となる場合がある。つまり、実施の形態1のようなノズル6の形状の場合、前面側熱交換器51を通過する流量に対して、背面側熱交換器55の通過する流量が大きくなる。そして、背面側熱交換器55の下端部に位置する背面側ドレンパン115の底部を通過した気流が背面側ドレンパン115を乗り越えてノズル6に流出する際、流速が大きいために曲がりきれず、背面側曲線6aの上部(ノズル6の入り口側)で剥離してしまう。背面側熱交換器55を通過する流量が大きければ大きい程、さらに背面側熱交換器55の下端部に大きな風速分布が生じていればいる程、上記の剥離領域は大きくなる。
そこで、本実施の形態70では、ノズル6の形状を次のようにしている。
図150は、本発明の実施の形態70に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態70では、ノズル6を構成する背面側曲線6aを前面側に凸となる曲線で構成している。なお、背面側曲線6aは、図150に示すように全体を前面側に凸となる形状としてもよいし、図151に示すように背面側曲線6aの一部を前面側に凸となる形状としてもよい。背面側曲線6aの一部を前面側に凸となる形状とする場合、上述した剥離領域を凸とするのが望ましい。一般的に、上述した剥離領域はノズル6の入り口側(上部)に発生することが多いので、背面側曲線6aの一部を前面側に凸となる形状とする場合、曲線中央より上流側で凸形状を構成するのが望ましい。また、背面側曲線6aは、上流側を前面側に凸となる形状とし、下流側を背面側に凸となる形状としてもよい。つまり、右側縦断面における背面側曲線6aの形状を、全体として略S字状のような形状としてもよい。
このような構成によれば、背面側ドレンパン115を乗り越えてノズル6に流入する流れは、剥離することなく吹出口3に誘導される。さらに、剥離や逆流等がなくなるために、吹出口3における風速分布も改善される。このため、逆流等による露付き対策や気流の方向制御が容易になるので、室内機100全体での品質改善が可能となる。
実施の形態71.
ケーシング1の長手方向(左右方向)において、ノズル6の前後方向の形状を変更することにより、吹出口3の風速分布の偏りを是正することもできる。なお、本実施の形態71において、特に記述しない項目については実施の形態70と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
実施の形態1に係る室内機100は、ケーシング1の長手方向(左右方向)において、ノズル6の形状が一様だった。このようにノズル6を形成した場合、次のような課題が発生する場合がある。
図152は、本発明の実施の形態1に係る室内機の内部で発生する気流を説明するための説明図である。なお、図152(a)は実施の形態1に係る室内機100の平面断面図を示しており、図152(a)の下側が室内機100の前面側となる。また、図152(b)は図152(a)のY−Y断面図を示しており、図152(c)は図152(a)のX−X断面図を示している。また、図152では、室内機100を平面視したときに反時計回りに各ファン20が回る場合について示している。
図152(a)に示すように、ケーシング1の上部に設けられたファン20が発生する旋回流の影響により、下流側に配置された熱交換器50におけるG領域の風速が速くなる。(換言すると、風量が多くなる)。熱交換器50で生じたこの風速分布の偏りは、下流側でも存在することとなる。このため、熱交換器を通過した気流は、このような風速分布を持ったままノズル6に流入することとなる。
つまり、吹出口3付近において、風速分布の偏りが発生することとなる。さらに、実施の形態1に係る室内機100のような熱交換器50の配置(右側縦断面略Λ型)にあっては、背面側熱交換器55を通過する風量が前面側熱交換器51に対して大きいため、右側縦断面における風速分布は、図152(b)及び図152(c)に示すような風速分布になる。より詳しくは、断面Y−Yでは、背面側熱交換器55からの流量が大きいため、ノズル6内での主流の流れは、ノズル6の略中央部又はケーシング1の前面側にやや偏った流れとなる。また、断面X−Xでは、前面側熱交換器51からの流量が大きいため、ノズル6内での主流の流れは、ケーシング1の背面側にやや偏った流れとなる。
さらに、実施の形態1に係る室内機100のような熱交換器50の配置(右側縦断面略Λ型)にあっては、熱交換器50の上面に沿って空気が流れるため、熱交換器50に流入する気流の風速分布に偏りが生じる。より詳しくは、各ファン20が平面視で反時計回りに回転する場合、図153に示すように、前面側熱交換器51の右側の下端部近傍(領域J)の風速が小さくなり、これに伴って風速の大きい領域(領域K)も発生する。
なお、図152及び図153では、各ファン20が平面視で反時計回りに回転する場合について説明しているが、各ファン20が平面視で時計回りに回転する場合、風速の大きい領域や小さい領域は、左右方向に逆転する。また、風速の大きい領域や小さい領域は、熱交換器50の配置、ファン20の回転軸20aと熱交換器50の対称線50aとの関係が変わると変化する。
そこで、本実施の形態71では、ノズル6の形状を以下のようにしている。
図154は、本発明の実施の形態71に係る室内機のノズル形状の一例を示す説明図である。なお、図154(a)は本実施の形態71に係る室内機100のノズル6近傍を示す縦断面図であり、図154(b)は図154(a)のW−W断面図である。なお、図154(b)の下側がケーシング1の前面側となる。
図154に示すように、本実施の形態71に係るノズル6は、ノズル6内の主流の流れに応じて、前後方向の幅を変更している。
より詳しくは、ノズル6内の主流の流れがケーシング1の前面側にも背面側にも寄っていない範囲(ケーシング1の左右方向における中央部)では、ノズル6の前後方向の幅は、ノズル6の前後方向の幅を変更する前のL1となっている。また、ノズル6内の主流の流れがケーシング1の前面側に寄っている範囲(ケーシング1の左右方向における左側)では、ノズル6の前後方向の幅を前面側へ縮め、ノズル6の前後方向の幅をL2としている。また、ノズル6内の主流の流れがケーシング1の背面側に寄っている範囲(ケーシング1の左右方向における右側)では、ノズル6の前後方向の幅を背面側へ縮め、ノズル6の前後方向の幅をL2としている。
なお、ノズル6の前後方向の幅は、ケーシング1の左右方向に沿って段階的に変更する必要は必ずしもない。ノズル6の前後方向の幅を、ケーシング1の左右方向に沿って滑らかに変化させていってもよい。
また、ノズル6の前後方向の幅を変更せずに、ノズル6内の主流の流れに応じて、ケーシング1の左右方向に沿ってノズル6の前後方向の位置を変化させていってもよい。
図155は、本発明の実施の形態71に係る室内機のノズル形状の別の一例を示す説明図である。
図155に示すように、ノズル6の前後方向の位置は、ケーシング1の左側から右側にかけて、前面側へ徐々に(滑らかに)寄っている。なお、図155は、ノズル6内の主流の流れが、ケーシング1の左側から右側にかけて、ケーシング1の前面側に寄っている場合を想定している。
また、ノズル6の前後方向の位置を変更せずに、ノズル6内の主流の流れに応じて、ケーシング1の左右方向に沿ってノズル6の前後方向の幅を変化させていってもよい。
図156は、本発明の実施の形態71に係る室内機のノズル形状のさらに別の一例を示す説明図である。
図156に示すように、ノズル6の前後方向の幅は、ケーシング1の左側から右側にかけて、L5からL6へと徐々に(滑らかに)狭くなっている。なお、図156は、ケーシング1の左側から右側にかけて、ノズル6を流れる風量が小さくなる場合を想定している。
つまり、ケーシング1の長手方向(左右方向)において、ノズル6を流れる気流の風速分布に応じてノズル6の前後方向の形状を変更することにより、吹出口3の風速分布の偏りをさらに是正することもできる。
また、本実施の形態71は、ノズル6の入り口側の形状について説明したが、ノズル6の出口側の形状を上記と同様に変更しても勿論よい。
以上、このような構成によれば、吹出口3付近における風速分布の偏りを是正することが可能となる。このため、吹出口3付近における風速分布を改善することができ、逆流等による対策や気流の方向制御が容易になるので、室内機100全体での品質改善が可能となる。
実施の形態72.
吹出口3の風速分布の偏りを是正する際、以下のようにファンを追加してもよい。なお、本実施の形態72において、特に記述しない項目については実施の形態70又は実施の形態71と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図157は、本発明の実施の形態72に係る室内機を示す平面断面図である。なお、図157には、熱交換器50の上端部のみを示している。
本実施の形態72に係る室内機100の基本構成は、実施の形態1に係る室内機100と同じである。つまり、本実施の形態72に係る室内機100は、複数設けられたファン20の下流側に、右側縦断面略Λ型の熱交換器が設けられている。本実施の形態72に係る室内機100が実施の形態1に係る室内機100と異なる点は、ファン20bが設けられている点である。ファン20bは、隣接するファン20の旋回流に影響を及ぼさない程度に小さいものである。このため、ファン20bは、ファン20と相似形状であってもよいし異なる形状でも構わないが、なるべく、ファン20の旋回流を小さくするように羽根を設計したものが良い。なおファン20bの回転方向は、ファン20と同方向であってもよいし、ファン20と逆方向であってもよい。図157では、ファン20bの回転方向をファン20の回転方向と同方向にしている。
ファン20が平面視で反時計回りに回転した場合、ケーシング1の右側側面近傍の気流の多くは熱交換器50の前面側から熱交換器50へ流入する。このため、熱交換器50の右側後方の風量が小さくなってしまう。そこで、本実施の形態72では、この風量が小さくなる領域の風量を増加させるため、ケーシング1上面部の右側後方にファン20bを配置している。
このように構成された室内機100においては、風速が小さくなる領域の風量を部分的に増加することが可能となる。つまり、吹出口3全体での風速を均一に近い状態にすることが可能となる。このため、吹出口3付近における風速分布を改善することができ、逆流等による対策や気流の方向制御が容易になるので、室内機100全体での品質改善が可能となる。
また、ファン20bは、ケーシング1上面の右側後方及び右側前方に設けてもよい。ケーシング1上面部の全角部の近傍に設けてもよい。
図158は、本発明の実施の形態72に係る室内機の別の一例を示す平面断面図である。なお、図158には、熱交換器50の上端部のみを示している。
図158に示す室内機100は、図157に示す室内機100に対し、ケーシング1上面の右側前方へさらにファン20bを追加している。なお、ケーシング1の左側を図示していないが、ケーシング1上面の左側の角部近傍にファン20bを設置してもよい。つまり、ケーシング1の左右両側面部に複数のファン20bを配置してもよい。
実施の形態36でも説明したように、室内機100を低風量(低能力)モードで運転する場合、吹出口3の両端部近傍で逆流を生じることがある。このような場合、図158に示すように室内機100を構成することにより、吹出口3の両端部近傍の風速を増加させることができる。このため、吹出口3の両端部で問題となる逆流による耐力を向上させることができ、室内機100全体の品質の改善が可能となる。
実施の形態73.
<ANC>
以下では、能動的消音方法の他の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態73においては、実施の形態1〜実施の形態72と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図159は、本発明の実施の形態73に係る室内機を示す縦断面図である。なお、図159は、図の右側を室内機100の前面側としている。
本実施の形態73に記載した室内機100が実施の形態1に係る室内機100と異なる点は、実施の形態1に記載の室内機100では能動的消音を行うための騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191の二つのマイクロホンを用いて信号処理装置201にて制御音の生成を行っていたが、本実施の形態73の室内機100では、これらを一つのマイクロホンである騒音・消音効果検出マイクロホン211に置き換わっているところである。また、それに伴い、信号処理の方法が異なるため、信号処理装置204の内容が異なっている。
ファン20下側の壁部には、騒音に対する制御音を出力する制御スピーカー181が壁から風路の中央に向くように配置されており、さらにその下側に、ファン20から風路を通って伝播し、吹出口3から出てくる騒音に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音を検出する騒音・消音効果検出マイクロホン211が配置されている。制御スピーカー181と騒音・消音効果検出マイクロホン211とは、ファン20と熱交換器50の間に取り付けられている。
騒音・消音効果検出マイクロホン211の出力信号は制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための制御音生成手段である信号処理装置204に入力されている。
図160は、本発明の実施の形態73に係る信号処理装置を示す構成図である。信号処理装置204の構成図を示している。騒音・消音効果検出マイクロホン211により音声信号から変換された電気信号はマイクアンプ151により増幅され、A/D変換器152によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は、LMSアルゴリズム159に入力される他、FIRフィルター158の出力信号にFIRフィルター160を畳み込んだ信号との差分信号がFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159に入力される。次に、差分信号は、FIRフィルター158でLMSアルゴリズム159により算出されたタップ係数による畳み込み演算が施された後、D/A変換器154によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、アンプ155により増幅され、制御スピーカー181から制御音として放出される。
次に室内機100の運転音の抑制方法について説明する。室内機100におけるファン20の送風音を含む運転音(騒音)に対し、制御スピーカー181から出力される制御音を干渉させた後の音は、ファン20と熱交換器50との間に取り付けられた騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出してマイクアンプ151、A/D変換器152を介してデジタル信号となる。
実施の形態1に記述した運転音の抑制方法と同等の抑制方法を行うにはFIRフィルター158には消音したい騒音を入力し、LMSアルゴリズム159には式1にも示した通り、入力信号となる消音したい騒音と誤差信号となる制御音を干渉させた後の音を入力する必要がある。しかし、騒音・消音効果検出マイクロホン211では制御音を干渉させた後の音しか検出することができないため、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音から消音したい騒音を作り出すことが必要となる。
図161は、騒音と制御音との干渉後の音の波形(図161中のa)、制御音の波形(図161中のb)、騒音の波形(図161中のc)を示したものである。音の重ね合わせの原理からb+c=aとなることから、aからcを得るためにはaとbとの差分を取ることでcを得ることができる。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した干渉後の音と制御音との差分から消音したい騒音を作り出すことができる。
図162は、FIRフィルター158から出力される制御信号が制御音となって制御スピーカー181から出力された後、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出され、信号処理装置204に入力される経路を示した図である。D/A変換器154、アンプ155、制御スピーカー181から騒音・消音効果検出マイクロホン211までの経路、騒音・消音効果検出マイクロホン211、マイクアンプ151、A/D変換器152を経ている。
この経路がもつ伝達特性をHとすると、図160のFIRフィルター160は、この伝達特性Hを推定したものである。FIRフィルター158の出力信号に対してFIRフィルター160を畳み込むことで、制御音を騒音・消音効果検出マイクロホン211にて検出した信号bとして推定でき、騒音・消音効果検出マイクロホン211にて検出した干渉後の音aとの差分を取ることで消音したい騒音cが生成される。
このようにして生成した消音したい騒音cが入力信号としてLMSアルゴリズム159、及びFIRフィルター158に供給される。LMSアルゴリズム159でタップ係数が更新されたFIRフィルター158を通過したデジタル信号はD/A変換器154にてアナログ信号に変換され、アンプ155で増幅され、ファン20と熱交換器50との間に取り付けられた制御スピーカー181から制御音として室内機100内の風路に放出される。
一方、制御スピーカー181の下側に取り付けられた騒音・消音効果検出マイクロホン211には、ファン20から風路を通って伝播し、吹出口3から出てくる騒音に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。上述したLMSアルゴリズム159の誤差信号には、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出された音を入力しているため、この干渉後の音がゼロに近づくようにFIRフィルター158のタップ係数が更新されることになる。その結果、FIRフィルター158を通過した制御音により吹出口3近傍の騒音を抑制することができる。
このように、能動的消音方法を適用した室内機100において、騒音・消音効果検出マイクロホン211と制御スピーカー181をファン20と熱交換器50との間に配置することにより、結露が起きる領域Bに能動的消音の必要部材を取り付けなくて済むため、制御スピーカー181、騒音・消音効果検出マイクロホン211への水滴の付着を防止し、消音性能の劣化やスピーカーやマイクロホンの故障を防ぐことができる。
なお、本実施の形態73では、騒音・消音効果検出マイクロホン211を熱交換器50の上流側に配置したが、図163のように室内機100の下端で、吹出口3から放出される風が当たらない箇所(風流を避けた位置)に設置してもよい。また、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果の検出手段としてマイクロホンを例に挙げたが、ケーシングの振動を検知する加速度センサー等で構成されてもよい。また、音を空気流れの乱れとして捉え、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果を、空気流れの乱れとして検出してもよい。つまり、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果の検出手段として、空気流れを検出する流速センサー、熱線プローブ等を用いてもよい。マイクロホンのゲインを上げて、空気流れを検出することも可能である。
また、本実施の形態73では、信号処理装置204の適応信号処理回路としてFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。さらに、信号処理装置204は適応信号処理ではなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしても良い。また、信号処理装置204はデジタル信号処理ではなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
さらに、本実施の形態73では結露が起こるような空気の冷却を行う熱交換器50を配置した場合について記載したが、結露が起きない程度の熱交換器50を配置する場合であっても適用でき、熱交換器50による結露発生の有無を考慮せずに騒音・消音効果検出マイクロホン211、制御スピーカー181等の性能劣化を防止できる効果がある。
実施の形態74.
(制御スピーカー、消音効果検出マイクロホンを熱交換器の下方に配置)
例えば、以下のような位置に消音機構を設置してもよい。なお、本実施の形態74においては、実施の形態1〜実施の形態73と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
本発明の実施の形態74では、消音機構の構成要素のうち、騒音検出マイクロホン161(騒音検出装置に相当)、制御スピーカー181(制御音出力装置に相当)及び消音効果検出マイクロホン191(消音効果検出装置に相当)を熱交換器50の下流側に備えている。このため、ファン20で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン191に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー181から発した制御音が制御点へ到達するまでの経路を短縮することが可能となる。したがって、本実施の形態74に係る室内機100は、消音機構によって精度の高い騒音制御を行うことができる。さらに、本実施の形態74に係る室内機は、信号処理回路のコストを削減することも可能となっている。
以下、更に詳しく説明する。
図164は、本発明の実施の形態74に係る室内機を示す縦断面図である。この図164は、図1と同様、図の左側を室内機100の前面側として示している。図164に基づいて、室内機100の構成について説明する。
室内機100の構成は消音機構である騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181の配置が図1と異なっており、それ以外の構成は実施の形態1に係る室内機100と同じである。
室内機100は、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191及び信号処理装置201で構成されている消音機構を備えている。騒音検出マイクロホン161は、熱交換器50の下流側に取り付けられている。消音効果検出マイクロホン191は、熱交換器50の下流側の吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル6部分)に取り付けられている。また、制御スピーカー181は、ケーシング1の側面(より詳しくは、熱交換器50の下側であって消音効果検出マイクロホン191の近く)に設けられている。また、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191は、ケーシング1の壁から風路の中央に向くように配置されている。
なお、消音効果検出マイクロホン191の設置位置は、吹出口3のノズル6部分に限らず、吹出口3の開口部であればよい。例えば、消音効果検出マイクロホン191を、吹出口3の下部や側部に取り付けてもよい。また、本実施の形態74では、制御スピーカー181がケーシング1の側面に取り付けられているが、ケーシング1の前面又は背面に制御スピーカー181を取り付けてもよい。また、騒音検出マイクロホン161は必ずしも熱交換器50の下流側に設けられている必要はなく、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191が熱交換器50の下流側に設けられていればよい。
また、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191の出力信号は、制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための信号処理装置201に入力されている。信号処理装置201の構成は実施の形態1における室内機100と全く同じである。
ここで、本実施の形態74に係る消音機構が高い消音効果を得るためには、騒音検出マイクロホン161で検出した音と消音効果検出マイクロホン191で検出した音のコヒーレンスが高い必要がある。しかしながら、ファン20の羽根車25の回転による気流乱れが起こっている領域(例えば、室内機100ではファン20と熱交換器50との間の風路)に騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を設置すると、本来の騒音以外の成分である気流乱れによる圧力変動成分を検出してしまい、両マイクロホン間のコヒーレンスが低下してしまう。
そこで、本実施の形態74に係る室内機100では、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の下流側に設置している。室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20を設置しているため、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191とファン20との間に熱交換器50を設置することができる。このように騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を設置すると、ファン20で発生した気流乱れが熱交換器50のフィン56間を通過することにより抑えられるため、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191では気流乱れによる影響を低減することができる。したがって、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191との間のコヒーレンスが上昇し、高い消音効果を得ることができる。
図165は、騒音検出マイクロホン及び消音効果検出マイクロホンの設置位置による両マイクロホン間のコヒーレンス特性を示した特性図である。ここで、図165(a)は、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の上流側(より詳しくはファン20と熱交換器50との間)に設けた場合の両マイクロホン間のコヒーレンス特性を示した特性図である。また、図165(b)は、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の下流側に設けた場合の両マイクロホン間のコヒーレンス特性を示した特性図である。図165(a)と図165(b)を比較すると、ファン20が熱交換器50の上流側にあるような室内機100では、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の下流側に設けることで、両マイクロホン間のコヒーレンスが上昇することがわかる。
また、消音効果には、制御スピーカー181の設置位置から消音効果検出マイクロホン191の設置位置(制御点)までの距離も影響する。つまり、消音効果には、制御スピーカー181から放出された制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン191の設置位置)に到達するまでの伝達経路の長さも影響する。より詳しくは、制御スピーカー181から放出された制御音は、制御点(消音効果検出マイクロホン191の設置位置)に到達するまでの伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化する。伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化してしまい、制御音が騒音と同振幅・逆位相ではなくなると、消音効果が低下してしまう。
このような伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するため、一般的なFiltered−Xアルゴリズムでは、制御音の伝達経路を予め求めておき、制御音を生成する過程で補正をかけることで上記の問題点を解消している。しかしながら、伝達経路が長くなると、求める伝達経路のフィルタータップ数が長くなってしまい、演算処理が増えてしまう。さらに、気温等の変化により音速が変化した場合等、伝達経路が長いと、求めた伝達経路と実際の伝達経路との誤差が大きくなってしまい、消音効果が低下してしまう。
このため、伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するためには、制御スピーカー181と消音効果検出マイクロホン191とを近くに設置することが好ましい。このように制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を設置することにより、制御音の伝達距離を短くすることができ、振幅特性及び位相特性の変化を小さく抑えることができる。つまり、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を近くに設置することにより、精度の高い音波の重ねあわせが可能となるため、高い消音効果を得ることができる。そこで、本実施の形態74に係る室内機100では、消音効果検出マイクロホン191の設置位置である熱交換器50の下流側に、制御スピーカー181を設けている。このため、制御スピーカー181から放出された制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン191の設置位置)に到達するまでの伝達経路を短縮することができ、高い消音効果を得ることができる。
また、室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20を設置することができるので、騒音源となるファン20をケーシング1内の上方に設置することができる。このため、ファン20からの騒音が吹出口3から放出されるまでの騒音の伝達経路を長くすることができる。このため、制御スピーカー181を熱交換器50の下流側に設置することにより、騒音検出マイクロホン161と制御スピーカー181との距離を長くとることができる。つまり、騒音検出マイクロホン161で検出した音に対する制御音を生成するまでの演算時間を長くとることができるため、演算速度を高速にする必要がなくなる。したがって、本実施の形態1に係る室内機100は、A/D変換器152や信号処理を行うデジタルシグナルプロセッサーのスペックを低くすることができるため、コストを削減することができる。
なお、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
以上、本実施の形態74に係る室内機100は、消音機構の構成要素のうち、少なくとも制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の下流側に備えている。このため、室内機100は、ファン20で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン191に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー181から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン191の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となる。このため、室内機100は、消音機構によって精度の高い騒音制御を行うことができる。また、本実施の形態74に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホン161も熱交換器50の下流側に設けている。このため、ファン20で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191に及ぼす影響を低減でき、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。また、本実施の形態74に係る室内機100においては、熱交換器50の上流側であってケーシング1内の上方にファン20を設けることができる。このため、ファン20からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン161と制御スピーカー181との距離を長くとることができる。このため、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機100のコストを削減することができる。
実施の形態75.
以下のような消音機構を用いても実施の形態74と同様の消音効果を得ることができる。なお、本実施の形態75において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態74と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図166は、本発明の実施の形態75に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態75に係る室内機100と実施の形態74に係る室内機100との異なる点は、能動的消音に用いられるマイクロホンが異なる点である。より詳しくは、実施の形態74に係る室内機100は、二つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191)を用い、信号処理装置201にて制御音の生成を行っていた。一方、本実施の形態75の室内機100では、これら騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を一つのマイクロホンである騒音・消音効果検出マイクロホン211に置き換えている。また、動的消音に用いられるマイクロホンが異なることによって信号処理の方法が異なるため、本実施の形態75の室内機100は、実施の形態74に係る室内機100の信号処理装置201とは異なる信号処理装置204を用いている。
つまり、本実施の形態75に係る室内機100は、制御スピーカー181、騒音・消音効果検出マイクロホン211及び信号処理装置204で構成されている消音機構を備えている。
より詳しくは、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、熱交換器50の下流にある吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル6部分)に取り付けられている。この騒音・消音効果検出マイクロホン211は、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音を検出する。また、騒音に対する制御音を出力する制御スピーカー181が、ケーシング1の側面(より詳しくは、熱交換器50の下側であって騒音・消音効果検出マイクロホン211の近く)に設けられている。また、制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211は、熱交換器50の下側に、ケーシング1の壁から風路の中央に向くように配置されている。
なお、騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置は、吹出口3のノズル6部分に限らず、吹出口3の開口部であればよい。例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン211を、吹出口3の下部や側部に取り付けてもよい。また、本実施の形態75では、制御スピーカー181がケーシング1の側面に取り付けられているが、ケーシング1の前面又は背面に制御スピーカー181を取り付けてもよい。
また、騒音・消音効果検出マイクロホン211の出力信号は、制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための信号処理装置204に入力されている。なお、信号処理装置204の構成は実施の形態73における室内機100と全く同じである。
ここで本実施の形態75に係る消音機構が高い消音効果を得るためには、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音が気流乱れによる圧力変動成分を検出しないようにすることが必要である。
そこで、本実施の形態75に係る室内機100では、騒音・消音効果検出マイクロホン211を熱交換器50の下流側に設置している。室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20が設置されているため、騒音・消音効果検出マイクロホン211とファン20との間に熱交換器50を設置することができる。このように騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置すると、ファン20で発生した気流乱れが熱交換器50のフィン56間を通過することにより抑えられる。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、気流乱れによる影響が低減され、高い消音効果を得ることができる。
また、消音効果には、制御スピーカー181の設置位置から騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置(制御点)までの距離も影響する。つまり、消音効果には、制御スピーカー181から放出された制御音が制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置)に到達するまでの伝達経路の長さも影響する。より詳しくは、制御スピーカー181から放出された制御音は、制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置)に到達するまでの伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化する。伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化してしまい、制御音が騒音と同振幅・逆位相ではなくなると、消音効果が低下してしまう。
このような伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するため、一般的なFiltered−Xアルゴリズムでは、制御音の伝達経路を予め求めておき、制御音を生成する過程で補正をかけることで上記の問題点を解消している。しかしながら、伝達経路が長くなると、求める伝達経路のフィルタータップ数が長くなってしまい、演算処理が増えてしまう。さらに、気温等の変化により音速が変化した場合等、伝達経路が長いと、求めた伝達経路と実際の伝達経路との誤差が大きくなってしまい、消音効果が低下してしまう。
このため、伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するためには、制御スピーカー181と騒音・消音効果検出マイクロホン211とを近くに設置することが好ましい。このように制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置することにより、制御音の伝達距離を短くすることができ、振幅特性及び位相特性の変化を小さく抑えることができる。つまり、制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211を近くに設置することにより、精度の高い音波の重ねあわせが可能となるため、高い消音効果を得ることができる。
そこで、本実施の形態75に係る室内機100では、騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置である熱交換器50の下流側に、制御スピーカー181を設けている。このため、制御スピーカー181から放出された制御音が制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置)に到達するまでの伝達経路を短縮することができ、高い消音効果を得ることができる。
なお、制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211を熱交換器50の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
以上、本実施の形態75に係る室内機100は、熱交換器50がファン20の下流側に設けられている。さらに、室内機100は、消音機構の構成要素のうち、少なくとも制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211を熱交換器50の下流側に備えている。このため、室内機100は、ファン20で発生した気流の乱れが騒音・消音効果検出マイクロホン211に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー181から発した制御音が制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となる。このため、室内機100は、消音機構によって精度の高い騒音制御を行うことができる。
実施の形態76.
(騒音検出マイクロホンをボスに設置)
また例えば、以下のような位置に消音機構を設置してもよい。なお、本実施の形態76においては、実施の形態1〜実施の形態75と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図167は、本発明の実施の形態76に係る室内機を示す縦断面図である。この図167は、図の右側を室内機100の前面側として示している。
本実施の形態76に係る室内機100は、熱交換器50が熱交換器固定金具58によってケーシング1内に固定されている。図167中の白抜き矢印に示すように、ファン20が作動すると、吸込口2から室内機100内の風路に室内の空気を吸い込み、この吸入空気をファン20の下部にある熱交換器50で冷却又は加熱した後、吹出口3から室内に吹き出すようになっている。
図168は、本発明の実施の形態76に係るファンの底面図(図167の下側から見た図)である。また、図169は、図168に示したファン20を断面Mで切った断面図である。
ファン20は、動翼と呼ばれる羽根車25を備えている。この羽根車25の動力源となるファンモーターは、固定部材17の中に設けられている。また、固定部材17は、支持部材18を介してケーシング1等に接続されている。図168中の網掛けの部分が、ファン20の羽根の内周にあたる部分(つまり、羽根車25の羽根の内周部に接する内接円)を示している。
羽根車25の動力源となるファンモーターと羽根車25のボス21は、回転軸20aによって接続されている。これにより、ファンモーターの回転が回転軸20aを介して羽根車25に伝えられ、羽根車25が回転する。羽根車25が回転することにより、図169の白抜き矢印に示す方向へ、空気が流れる(送風される)。なお、図169中、斜線で示している部分が、ファン20の動作時に回転する部分を示している。また、斜線のない部分が、ファン20の動作時でも回転しない部分(つまり不動部材)を示している。また、ファン20の羽根の内周にあたる部分(つまり、羽根車25の羽根の内周部に接する内接円)は、ボス21の外周部となっている。なお、本実施の形態76では、固定部材17の直径を、ボス21の直径と略同じに形成している。
再び、図167に着目すると、ファン20の羽根の内周に相当する固定部材17には、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)を検出する騒音検出装置として騒音検出マイクロホン161が取り付けられている。つまり、騒音検出マイクロホン161は、羽根車25の羽根の内周部に接する内接円を羽根車25の回転軸方向に延設した円柱領域(以下、円柱領域Sと称する)に配置されている。なお、この固定部材17は、ファン20の動作時、図169に示したとおり、回転する羽根車25とは独立しており、回転しないように構成されている。このため、騒音検出マイクロホン161もファン20の動作時は回転しない。さらに、騒音検出マイクロホン161の下側には、騒音に対する制御音を出力する制御音出力装置として制御スピーカー181が、ケーシング1の壁から風路の中央に向くように配置されている。
さらに、室内機100の下端の壁には、吹出口3から出てくる騒音を検出し、消音効果を検出する消音効果検出装置として消音効果検出マイクロホン191が、吹出口3の例えば上部に取り付けられている。この消音効果検出マイクロホン191は、流路と反対向きに取り付けられている。なお、消音効果検出マイクロホン191の設置位置は、吹出口3の上部に限らず、吹出口3の開口部であればよい。例えば消音効果検出マイクロホン191を、吹出口3の下部や側部に取り付けてもよい。また、消音効果検出マイクロホン191は、正確に流路と反対向きに設けられている必要はない。消音効果検出マイクロホン191は、室内機100(ケーシング)の外側に向かって設けられていればよい。つまり、消音効果検出マイクロホン191は、室内に放射された騒音を検出できる位置に設置すればよい。
また、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191の出力信号は、制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための制御音生成装置である信号処理装置207に入力されている。室内機100の消音機構は、これら騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191、及び信号処理装置207により構成されている。
次に室内機100の動作について説明する。室内機100が動作すると、ファン20の羽根車25が回転し、ファン20の上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。
ファン20の吹出口3近傍では羽根車25の回転により気流乱れが起こっている。また、ファン20から吹出される空気は、ファン20の吹出口から外側へ向かって吹出されるため、室内機100のケーシング1の側壁にぶつかり、更なる気流乱れが引き起こされる。このため、ケーシング1の側壁では、気流乱れによる圧力変動が大きくなる。それに比べ、ファン20の羽根の内周よりも内側の領域(円柱領域S)では気流の乱れが小さく、気流による圧力変動も小さい。
これを裏付けるため、ファン20から吹出される気流を可視化した実験の結果を図171に示す。図171は、ダクト形状の筒の右端にファン20を取り付け、ダクト内に白煙を滞留させた後、ファン20を動作させた時の写真である。ファン20の吹出口近傍に着目すると、固定部材17付近及び円柱領域Sを除いた領域は、白く滞留していた煙が薄くなっており、白煙が気流によって流されていることがわかる。一方、ファン20の固定部材17付近及び円柱領域Sは、白煙が滞留したままとなっており、気流の影響が小さい。つまり、ファン20の固定部材17付近及び円柱領域Sは、気流の影響を受けにくく、気流乱れによる圧力変動が小さいことがわかる。
ファン20により送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている冷媒配管から冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
次に、室内機100の運転音の抑制方法について説明する。
図170は、本発明の実施の形態76に係る信号処理装置を示す構成図である。
室内機100におけるファン20の送風音を含む運転音(騒音)は、ファン20の固定部材17に取り付けられた騒音検出マイクロホン161で検出される。騒音検出マイクロホン161で検出された騒音は、マイクアンプ151、A/D変換器152を介してデジタル信号となり、FIRフィルター158とLMSアルゴリズム159に入力される。
FIRフィルター158のタップ係数はLMSアルゴリズム159により逐次更新される。LMSアルゴリズム159では、実施の形態1の式1と同様に(h(n+1)=h(n)+2・μ・e(n)・x(n))に従い、誤差信号eがゼロに近づくように最適なタップ係数が更新される。
このようにLMSアルゴリズム159でタップ係数が更新されてFIRフィルター158を通過したデジタル信号は、D/A変換器154にてアナログ信号に変換され、アンプ155で増幅され、制御スピーカー181から制御音として室内機100内の風路に放出される。
一方、室内機100の吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けられた消音効果検出マイクロホン191には、ファン20から風路を通って伝播し、吹出口3から室内へ放出された騒音に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。消音効果検出マイクロホン191で検出した信号は、デジタル信号に変換され、重み付け手段153にて平均化される。
図172は、本発明の実施の形態76に係る重み付け手段の回路を示す構成図である。重み付け手段153は、入力信号に対して重み付け係数を乗じる乗算器121、加算器122、1サンプリング分の遅延素子123、及び乗算器124からなる積分器で構成される。
本実施の形態76では、乗算器121の重み付け係数は、設置環境等により外部から設定可能となっている。
例えば、外乱が大きく動作が不安定となる環境下では、乗算器121の重み付け係数を小さく設定してもよい。逆に外乱が小さい環境下では、乗算器121の重み付け係数を大きく設定してもよい。これにより、環境変化に対する感度を変化させることができる。ここで、LMSアルゴリズム159が安定するまでは、重み付け手段153による平均化は行わないようにしてもよい。これは、LMSアルゴリズム159が安定していない間は騒音が十分低減できておらず、重み付け手段153の出力値が暴走する場合があるからである。さらに、重み付け手段153の出力値が一定の値を超えた場合にリセットがかかるようにしておいてもよい。
このようにして平均化された信号は、上述したLMSアルゴリズム159の誤差信号eとして扱われる。そして、この誤差信号eがゼロに近づくようにフィードバック制御され、FIRフィルター158のタップ係数が適宜更新される。その結果、FIRフィルター158を通過した制御音により吹出口3近傍の騒音を抑制することができる。
人が感じる室内機100からの騒音は吹出口3から室内へと放出された後の騒音であるため、消音効果検出マイクロホン191を流路の反対側である室内に向けることで、室内へと放出された騒音を検出することができる。つまり、消音効果検出マイクロホン191を吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けることで、室内へ放出された騒音とコヒーレンスの高い音を検出することが可能となる。さらに、消音効果検出マイクロホン191は、気流が直接当たらないため、気流による風切音を検出することがない。一方、消音効果検出マイクロホン191を流路内に向けると、流路内の騒音を検出することになる。このため、吹出口から放出されるところでの音の特性の変化を検出することができないので、消音効果検出マイクロホン191の検出する音は、室内の騒音と特性が異なってしまう。したがって、消音効果検出マイクロホン191で検出した音と室内へ放出された音とのコヒーレンスの低下を招いてしまう。さらに、消音効果検出マイクロホン191には気流が直接当たるため、消音効果検出マイクロホン191は、風切音を検出してしまい、更なるコヒーレンスの低下を招いてしまう。
また、室内では、ファン20から発生する騒音以外の音が多分に含まれているため、これらの騒音以外の音により、フィードバック制御の安定性が損なわれてしまう。このため、フィードバック制御の前段に重み付け手段153を配置することで、騒音以外の音を平均化している。これにより、無相関な騒音以外の音の成分をキャンセルすることができ、フィードバック制御を安定的に動作させることができる。つまり、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191とのコヒーレンスを高めることが可能となる。
そして、本実施の形態76では、騒音検出マイクロホン161をファン20の固定部材17に取り付けているため、騒音検出マイクロホン161に気流が直接当たらない。このため、騒音検出マイクロホン161が気流乱れによる圧力変動成分を検出することを低減できる。したがって、騒音検出マイクロホン161は、ファン20の運転音である騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができる。また、消音効果検出マイクロホン191を吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けているため、消音効果検出マイクロホン191には気流が直接当たらず、消音効果検出マイクロホン191は気流の影響を受けない。さらに、消音効果検出マイクロホン191は室内へと放出された騒音のみを検出することができるため、実際に室内にいる人が聞く騒音とコヒーレンスの高い騒音を消音効果検出マイクロホン191にて検出することができる。さらに、消音効果検出マイクロホン191で検出した音に対して重み付け手段153による平均化を行い、フィードバック制御を行うため、消音効果検出マイクロホン191で検出した音に含まれる室内機100からの騒音以外の成分を平均化し、キャンセルすることができる。このため、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191の検出音について高いコヒーレンスが得られる。これらのことから、ファン20から発生する騒音、騒音検出マイクロホン161の検出音、消音効果検出マイクロホン191の検出音、及び室内機100から騒音が放射された室内の騒音の間で、高いコヒーレンスを得ることができ、高い消音効果を得ることができる。
騒音検出マイクロホン161を実際にファン20の羽根内周(円柱領域S)よりも内側に取り付けたときの、騒音検出マイクロホン161−消音効果検出マイクロホン191間のコヒーレンスを測定した実験結果について説明する。
図173は、騒音検出マイクロホン161を円柱領域Sの外側に設置してファン20を動作させた時の、騒音検出マイクロホン161の検出音と消音効果検出マイクロホン191の検出音とのコヒーレンス特性である。次に、図174は、円柱領域Sの内側に設置してファン20を動作させた時の、騒音検出マイクロホン161の検出音と消音効果検出マイクロホン191の検出音とのコヒーレンス特性である。図173と図174を比較すると、騒音検出マイクロホン161を円柱領域Sの内側に設置した場合の方が、明らかにコヒーレンスが高いことがわかる。
さらに、ファン20の固定部材17に騒音検出マイクロホン161を取り付けることで、新たに部品点数を増やすことなく、騒音検出マイクロホン161を容易に取り付けることができ、精密な取付け機構が不要となる。また、ファン20の固定部材17に騒音検出マイクロホン161を設置することで、ファン20と騒音検出マイクロホン161との距離が短くてすむため、室内機100の高さを短くすることができる。
なお、本実施の形態76では騒音検出マイクロホン161を固定部材17に設置したが、ファン20の回転に伴う固有の機械振動が固定部材17に伝わり、その振動を騒音検出マイクロホン161が検出してしまう場合がある。この場合、局所的に騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191とのコヒーレンスが悪化してしまうことがある。このような場合、円柱領域S内で固定部材17以外の箇所に騒音検出マイクロホン161を設置してもよい。例えば図175に示すように、円柱領域S内となる範囲の熱交換器50上に騒音検出マイクロホン161を設置してもよい。また例えば図176に示すように、円柱領域S内となる範囲の熱交換器固定金具58の下に騒音検出マイクロホン161を設置してもよい。このように騒音検出マイクロホン161を設置することにより、騒音検出マイクロホン161を固定部材17に設置した場合よりも、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191とのコヒーレンスをさらに高めることができ、より高い消音効果を得ることができる。
また、図177に示すように、騒音検出マイクロホン161を壁部材270で覆ってもよい。壁部材より気流を遮断することができるため、気流の影響を一層受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。図177では、壁部材270を略円筒状に形成しているが、壁部材270の形状は任意である。
また、熱交換器50や熱交換器固定金具58に騒音検出マイクロホン161を取り付けた場合にも、騒音検出マイクロホン161を壁部材270で覆うとよい。気流の影響を一層受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。
また、吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けられた消音効果検出マイクロホン191を、壁部材で覆ってもよい。気流を遮断することができるため、消音効果検出マイクロホン191においても気流の影響を受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態76では、信号処理装置207にFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、消音効果検出マイクロホン191で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、重み付け手段153は、積分器である必要はなく、平均化できる手段であればよい。また、信号処理装置207は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置207は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
以上、本実施の形態76に係る室内機100においては、騒音検出装置である騒音検出マイクロホン161は、円柱領域S内で、かつファン20の不動部材に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、室内機100の部品点数を増やすことなく騒音検出マイクロホン161を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。
なお、ファン20の不動部材は、固定部材17に限定されるものではない。ファン20の構成要素のうち、少なくとも一部が円柱領域S内に配置される不動部材があれば、その不動部材の円柱領域S内となる範囲に騒音検出マイクロホン161を設けてもよい。
また、本実施の形態76に係る室内機100においては、騒音検出装置である騒音検出マイクロホン161は、円柱領域S内で、かつファン20の下流側に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、室内機100の部品点数を増やすことなく騒音検出マイクロホン161を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音検出マイクロホン161により検出しないため、騒音検出マイクロホン161をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。なお、騒音検出マイクロホン161をファン20の下流側に設ける場合、騒音検出マイクロホン161を設ける構成要素は、熱交換器50や熱交換器固定金具58に限定されるものではない。少なくとも一部が円柱領域S内であってファン20の下流側に配置された構成要素があれば、その構成要素の円柱領域S内となる範囲に騒音検出マイクロホン161を設けてもよい。
また、本実施の形態76に係る室内機100においては、消音効果検出装置である消音効果検出マイクロホン191を、吹出口3の開口部に設け、室内機100の外側に向けて配置している。このため、気流の影響を受けず、室内へと放出された騒音を検出することができる。したがって、室内機100から放射された室内の騒音と消音効果検出マイクロホン191の検出音について高いコヒーレンスが得られる。このため、室内機100から放射された室内の騒音に対して精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態76に係る室内機100においては、制御音生成装置である信号処理装置207は、消音効果検出装置である消音効果検出マイクロホン191にて検出した検出結果に重み付けをし、フィードバック制御を行う回路を備えている。このため、消音効果検出マイクロホン191にて検出した室内機100の騒音以外の音を平均化することでキャンセルすることができる。したがって、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191との間で高いコヒーレンスの音を検出することができ、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態76に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホン161は、ファン20の固定部材17における円柱領域S内となる範囲に設置されている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音検出マイクロホン161を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。
また、本実施の形態76に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホン161は、熱交換器50の円柱領域S内となる範囲に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音検出マイクロホン161を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音検出マイクロホン161により検出しないため、騒音検出マイクロホン161をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態76に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホン161は、熱交換器固定金具58の円柱領域S内となる範囲に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音検出マイクロホン161を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音検出マイクロホン161により検出しないため、騒音検出マイクロホン161をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態76に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホン161を壁部材270で覆っている。気流を遮断することにより、騒音検出マイクロホン161が気流の影響を一層受けなくなるので、より高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態76に係る室内機100においては、消音効果検出マイクロホン191を壁部材で覆っている。気流を遮断することにより、消音効果検出マイクロホン191が気流の影響を一層受けなくなるので、より高い消音効果を得ることができる。
実施の形態77.
本実施の形態77では、本実施の形態76における騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191とを集約した騒音・消音効果検出装置として騒音・消音効果検出マイクロホン211を配置した室内機100について説明する。なお、本実施の形態77において、特に記述しない項目については実施の形態76と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図178は、本発明の実施の形態77に係る室内機を示す縦断面図である。この図178は、図の右側を室内機100の前面側として示している。
本実施の形態77に係る室内機100は、熱交換器50が熱交換器固定金具58によってケーシング1内に固定されている。図178中の白抜き矢印に示すように、ファン20が作動すると、吸込口2から室内機100内の風路に室内の空気を吸い込み、この吸入空気をファン20の下部にある熱交換器50で冷却又は加熱した後、吹出口3から室内に吹き出すようになっている。
本実施の形態77に係る室内機100が実施の形態76に係る室内機100と異なる点は、以下の点である。つまり、実施の形態76に係る室内機100は、能動的消音を行うための騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191の二つのマイクロホンを用いて信号処理装置207にて制御音の生成を行っていた。一方、本実施の形態77に係る室内機100で、これらを一つのマイクロホンである騒音・消音効果検出マイクロホン211に置き換えている。また、それに伴い、信号処理の方法が異なるため、信号処理装置204の内容が異なっている。室内機100のケーシング1の側壁部には、騒音に対する制御音を出力する制御スピーカー181が壁から風路の中央に向くように配置されている。また、固定部材17の円柱領域S内となる範囲には、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音を検出する騒音・消音効果検出マイクロホン211が配置されている。
なお、この固定部材17は、ファン20の動作時、回転する羽根車25は独立しており、回転しないように構成されている。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211もファン20の動作時は回転しないことになる。騒音・消音効果検出マイクロホン211の出力信号は、制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための制御音生成装置である信号処理装置204に入力されている。室内機100の消音機構は、これら騒音・消音効果検出マイクロホン211、制御スピーカー181、及び信号処理装置204により構成されている。信号処理装置204は、実施の形態73で説明した図160と全く同じ構成である。
次に室内機100の動作について説明する。室内機100が動作すると、ファン20の羽根車25が回転し、ファン20の上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20の吹出口近傍では、実施の形態76と同様に、羽根車25の回転により気流乱れが起こっている。また、ファン20から吹出される空気は、ファン20の吹出口から外側へ向かって吹出すため、室内機100の筐体の側壁にぶつかり、更なる気流乱れが引き起こされる。このため、室内機100の側壁では気流乱れによる圧力変動が大きくなる。それに比べ、ファン20の羽根内周よりも内側の領域(円柱領域S)では気流の乱れが小さく、気流による圧力変動も小さい。
ファン20により送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている冷媒配管から冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
室内機100の運転音の抑制方法は実施の形態73で説明した方法と全く同じであり、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として騒音・消音効果検出マイクロホン211における騒音を抑制するよう動作する。
このように、本実施の形態77では、能動的消音方法を適用した室内機100において、騒音・消音効果検出マイクロホン211を固定部材17の円柱領域S内となる範囲に取り付けているため、空気流れが直接当たらず、気流乱れによる圧力変動成分の検出を低減することができる。このため、ファン20の運転音である騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができ、高い消音効果を得ることができる。さらに、ファン20の固定部材17に騒音・消音効果検出マイクロホン211を取り付けることで、新たに部品点数を増やすことなく、騒音・消音効果検出マイクロホン211を容易に取り付けることができ、精密な取付け機構が不要となる。また、ファン20の固定部材17に騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置することで、ファン20と騒音・消音効果検出マイクロホン211との距離が短くてすむため、室内機100の高さを短くすることができる。
なお、本実施の形態77では、騒音・消音効果検出マイクロホン211を固定部材17に設置したが、ファン20の回転に伴う固有の機械振動が騒音・消音効果検出マイクロホン211に伝わり、その振動を騒音・消音効果検出マイクロホン211が検出してしまう場合がある。このため、消音効果が低減してしまうことがある。このような場合、円柱領域S内で固定部材17以外の箇所に騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置してもよい。例えば図179に示すように、円柱領域S内となる範囲の熱交換器50上に騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置してもよい。また例えば図180に示すように、円柱領域S内となる範囲の熱交換器固定金具58の下に騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置してもよい。このように騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置することにより、騒音・消音効果検出マイクロホン211を固定部材17に設置した場合よりも、より高い消音効果を得ることができる。
また、図181に示すように、騒音・消音効果検出マイクロホン211を壁部材270で覆ってもよい。壁部材270より気流を遮断することができるため、気流の影響を一層受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。図181では、壁部材270を略円筒状に形成しているが、壁部材270の形状は任意である。また、熱交換器50や熱交換器固定金具58に騒音・消音効果検出マイクロホン211を取り付けた場合にも、騒音・消音効果検出マイクロホン211を壁部材270で覆うとよい。気流の影響を一層受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。
以上、本実施の形態77に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出装置である騒音・消音効果検出マイクロホン211は、円柱領域S内で、かつファン20の不動部材に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、室内機100の部品点数を増やすことなく騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。
また、本実施の形態77では、信号処理装置204にFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置204は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置204は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、本実施の形態77に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出装置である騒音・消音効果検出マイクロホン211は、円柱領域S内で、かつファン20の下流側に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、室内機100の部品点数を増やすことなく騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音・消音効果検出マイクロホン211により検出しないため、騒音・消音効果検出マイクロホン211をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態77に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、ファン20の固定部材17における円柱領域S内となる範囲に設置されている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。
また、本実施の形態77に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、熱交換器50の円柱領域S内となる範囲に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音・消音効果検出マイクロホン211により検出しないため、騒音・消音効果検出マイクロホン211をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態77に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、熱交換器固定金具58の円柱領域S内となる範囲に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音・消音効果検出マイクロホン211により検出しないため、騒音・消音効果検出マイクロホン211をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態77に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211を壁部材270で覆っている。気流を遮断することにより、騒音・消音効果検出マイクロホン211が気流の影響を一層受けなくなるので、より高い消音効果を得ることができる。
実施の形態78.
本実施の形態78では、騒音・消音効果検出マイクロホン211を吹出口3の上部に流路と反対側を向くように設置した室内機100について説明する。なお、本実施の形態78において、特に記述しない項目については実施の形態76又は実施の形態77と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図182は、本発明の実施の形態78に係る室内機を示す縦断面図である。この図182は、図の右側を室内機100の前面側として示している。
本実施の形態78に係る室内機100が実施の形態77に係る室内機100と異なる点は、騒音・消音効果検出マイクロホン211を、吹出口3の上部に流路と反対側を向くように配置した点である。これに伴い、信号処理装置208の構成も異なっている。騒音・消音効果検出マイクロホン211を吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けた場合も、実施の形態77と同様に、新たに部品点数を増やすことなく、騒音・消音効果検出マイクロホン211を容易に取り付けることができ、精密な取付け機構が不要となる。室内機100のケーシング1の側壁部には、騒音に対する制御音を出力する制御スピーカー181が壁から風路の中央に向くように配置されている。また、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音を検出する騒音・消音効果検出マイクロホン211が、吹出口3の上部に流路の反対側を向くように配置されている。騒音・消音効果検出マイクロホン211の出力信号は、制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための制御音生成装置である信号処理装置208に入力されている。
図183は信号処理装置208の構成図を示している。図160に示した信号処理装置204と異なる点は、A/D変換器152の出力とLMSアルゴリズム159の入力との間に重み付け手段153が配置されている点である。それ以外の構成は実施の形態73の信号処理装置204と同様である。
次に室内機100の動作について説明する。室内機100が動作すると、ファン20の羽根車25が回転し、ファン20上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20の吹出口近傍では、実施の形態76及び実施の形態77と同様に、羽根車25の回転により気流乱れが起こっている。また、ファン20から吹出される空気は、ファン20の吹出口から外側へ向かって吹出すため、室内機100の筐体の側壁にぶつかり、更なる気流乱れが引き起こされる。このため、室内機100の側壁では気流乱れによる圧力変動が大きくなる。
しかし、本実施の形態78では、騒音・消音効果検出マイクロホン211が、吹出口3の上部に流路と反対向きに配置されている。吹出口3付近は、ファン20近傍に比べると、気流乱れの大きいファン20の吹出口からの距離が十分に大きい。さらに、吹出口3付近では、熱交換器50によって気流乱れが整流される。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211の付近での気流乱れは小さくなっている。さらに、騒音・消音効果検出マイクロホン211が設けられている領域には気流が直接当たらないため、騒音・消音効果検出マイクロホン211は気流乱れによる影響をほとんど受けない。さらに、人が感じる室内機100からの騒音は、吹出口3から室内へと放出された後の騒音であるため、騒音・消音効果検出マイクロホン211を流路の反対側である室内に向けることで、室内へと放出された騒音を検出することができる。すなわち、騒音・消音効果検出マイクロホン211を吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けることで、室内へ放出された騒音とコヒーレンスの高い音を検出することが可能となる。
次に、室内機100の運転音の抑制方法について説明する。本実施の形態78の制御音の生成方法は、実施の形態73に記述した方法と同様である。本実施の形態78の制御音の生成方法が実施の形態73に記述した方法と異なる点は、LMSアルゴリズム159に誤差信号として入力される信号に対して重み付け手段153により平均化を行う点である。騒音・消音効果検出マイクロホン211を吹出口3の上部に流路と反対向きに配置した場合、騒音・消音効果検出マイクロホン211が検出する騒音の中には、ファン20から発生する騒音以外の音が多分に含まれている。このため、これらの騒音以外の音によりフィードバック制御の安定性が損なわれてしまう。そこで、本実施の形態78では、フィードバック制御の前段に重み付け手段153を配置することで騒音以外の音を平均化している。これにより、無相関な騒音以外の音の成分をキャンセルすることができ、フィードバック制御を安定的に動作させることができる。すなわち、吹出口3から室内へと放出された後の騒音と騒音・消音効果検出マイクロホン211とのコヒーレンスを高めることが可能となる。
なお、実施の形態76と同様に、LMSアルゴリズム159が安定するまでは、重み付け手段153による平均化は行わないようにしてもよい。これは、LMSアルゴリズム159が安定していない間は騒音が十分低減できておらず、重み付け手段153の出力値が暴走する場合があるからである。さらに、重み付け手段153の出力値が一定の値を超えた場合にリセットがかかるようにしておいてもよい。また、気流の影響をさらに受けなくするために、騒音・消音効果検出マイクロホン211を壁部材270で覆ってもよい。壁部材により気流を遮断することができるため、気流の影響を一層受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。
また、騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置は、吹出口3の上部に限らず、吹出口3の開口部であればよい。例えば騒音・消音効果検出マイクロホン211を、吹出口3の下部や側部に取り付けてもよい。また、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、正確に流路と反対向きに設けられている必要はない。騒音・消音効果検出マイクロホン211は、室内機100(筐体)の外側に向かって設けられていればよい。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、室内に放射された騒音を検出できる位置に設置すればよい。
また、本実施の形態78では、信号処理装置208にFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、重み付け手段153は、積分器である必要はなく、平均化できる手段であればよい。また、信号処理装置208は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置208は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
以上、本実施の形態78に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出装置である騒音・消音効果検出マイクロホン211を、吹出口3の開口部に設け、室内機100の外側に向けて配置している。このため、気流の影響を受けず、室内へと放出された騒音を検出することができる。したがって、室内機100から放射された室内の騒音と騒音・消音効果検出マイクロホン211の検出音について高いコヒーレンスが得られる。このため、室内機100から放射された室内の騒音に対して精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態78に係る室内機100においては、制御音生成装置である信号処理装置208は、騒音・消音効果検出装置である騒音・消音効果検出マイクロホン211にて検出した検出結果に重み付けをし、フィードバック制御を行う回路を備えている。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211にて検出した室内機100の騒音以外の音を平均化することでキャンセルすることができる。したがって、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。また、本実施の形態78に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211を壁部材270で覆っている。気流を遮断することにより、騒音・消音効果検出マイクロホン211が気流の影響を一層受けなくなるので、より高い消音効果を得ることができる。
実施の形態79.
(ファン個別制御)
室内機100に設けられた各ファン20の回転数を個別に制御することにより、能動的消音機構の消音効果がより向上する。なお、本実施の形態79においては、実施の形態1〜実施の形態78と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図184は、本発明の実施の形態79に係る室内機を示す正面図である。また、図185は、図184に示す室内機を示す側面図である。なお、図185は図184に示した室内機100を図184の斜線塗りつぶしの矢印方向から見た図であり、室内機100のケーシング1の側壁を透写して示している。なお、図185では、図184に示しているリモコン280、制御装置281及びモータードライバー282A〜282Cの図示を省略している。
図184及び図185に示す室内機100は室内機100(より詳しくは、室内機100のケーシング1)の上部には吸込口2が開口形成され、室内機100(より詳しくは、室内機100のケーシング1)の下端には吹出口3が開口形成されている。つまり、室内機100内には、吸込口2と吹出口3を連通する風路が形成されている。そして、風路における吸込口2の下側には、左右方向(長手方向)に沿って、羽根車25を有するファン20が複数設けられている。なお、本実施の形態79では、3つのファン(ファン20A〜20C)が設けられている。これらファン20A〜20Cは、羽根車25の回転軸中心が略垂直方向となるように設けられている。これらファン20A〜20Cのそれぞれは、モータードライバー282A〜282Cを介して、制御装置281の送風ファン制御手段171に接続されている。なお、制御装置281の詳細については後述する。
ファン20A〜20Cの下方には、空気を熱交換して冷却又は加熱する熱交換器50が配置されている。図184の白抜き矢印に示すように、ファン20A〜20Cが作動すると、吸込口2から室内機100内の風路に室内の空気を吸い込み、この吸入空気をファン20A〜20Cの下部にある熱交換器50で冷却又は加熱した後、吹出口3から室内に吹き出すようになっている。
また、本実施の形態79に係る室内機100は、能動的消音に用いる消音機構が設けられている。本実施の形態79に係る室内機100の消音機構は、騒音検出マイクロホン161,162、制御スピーカー181,182、消音効果検出マイクロホン191,192、及び信号処理装置201,202により構成されている。つまり、本実施の形態79に係る室内機100の消音機構は、2つの騒音検出マイクロホン、2つの制御スピーカー及び2つの消音効果検出マイクロホンを備えている。以下、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191及び信号処理装置201で構成される消音機構を消音機構Aとする。また、騒音検出マイクロホン162、制御スピーカー182、消音効果検出マイクロホン192及び信号処理装置202で構成される消音機構を消音機構Bとする。
騒音検出マイクロホン161,162は、ファン20A〜20Cの送風音(ファン20A〜20Cから放射される騒音)を含む室内機100の運転音(騒音)を検出する騒音検出装置である。騒音検出マイクロホン161,162は、ファン20A〜20Cの下流側となる位置(例えば、ファン20A〜20Cと熱交換器50との間)に設けられている。また、騒音検出マイクロホン161は室内機100の左側面に設けられており、騒音検出マイクロホン162は室内機100の右側面に設けられている。
制御スピーカー181,182は、騒音に対する制御音を出力する制御音出力装置である。制御スピーカー181,182は、騒音検出マイクロホン161,162の下流側となる位置(例えば、熱交換器50の下流側)に設けられている。また、制御スピーカー181は室内機100の左側面に設けられており、制御スピーカー182は室内機100の右側面に設けられている。そして、制御スピーカー181,182は、室内機100のケーシング1の壁面から風路の中央に向くように配置されている。
消音効果検出マイクロホン191,192は、制御音による消音効果を検出する消音効果検出装置である。消音効果検出マイクロホン191,192は、制御スピーカー181,182の下流側となる位置に設けられている。また、消音効果検出マイクロホン191は例えばファン20Aの回転軸のほぼ延長線上に設けられており、消音効果検出マイクロホン192は例えばファン20Cの回転軸のほぼ延長線上に設けられている。なお、本実施の形態79では、吹出口3を形成するノズル6上に、消音効果検出マイクロホン191,192が設けられている。つまり、消音効果検出マイクロホン191,192は、吹出口3から出てくる騒音を検出し、消音効果を検出している。
信号処理装置201,202の構成は実施の形態1で説明した図8に示した構成と全く同じである。
図186は、本発明の実施の形態79に係る制御装置を示す構成図である。
以下で説明する各種動作及び手段は、室内機100が備える制御装置281に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置281は主に、リモコン280等の外部入力装置からの信号を入力する入力部130、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU131、データーやプログラムを記憶するメモリー132を備えている。さらに、CPU131は送風ファン制御手段171を備えている。
送風ファン制御手段171は、同回転数決定手段133、ファン個別制御回転数決定手段134及び複数のSW135(ファン20と同数)を備えている。同回転数決定手段133は、リモコン280から入力された運転情報に基づき、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン280から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。ファン個別制御回転数決定手段134は、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW135は、例えばリモコン280から入力される信号に基づき、モータードライバー282A〜282Cへ送られるファン20A〜20Cの回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW135は、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させるか、ファン20A〜20Cをそれぞれ個別の回転数で動作させるかを切り替えるものである。
次に、室内機100の動作について説明する。
室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
なお、消音機構A及び消音機構Bの動作については実施の形態1と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン191,192で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン191,192における騒音を抑制するよう動作する。
能動的消音方法では、消音効果検出マイクロホン191,192の設置箇所(制御点)で騒音と逆位相となるように、制御スピーカー181,182から制御音を出力する。このため、消音効果検出マイクロホン191,192の付近では消音効果は高くなるが、その点から距離が離れると制御音の位相が変化してしまう。したがって、消音効果検出マイクロホン191,192から距離が離れた箇所では、騒音と制御音との位相ずれが大きくなり消音効果は低くなってしまう。
次に、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御方法(以下、ファン個別制御ともいう)について説明する。
制御装置281には、リモコン280で選択された運転情報が入力される。運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン280から制御装置281へ運転情報として入力される。制御装置281に入力された運転情報は、入力部130を介して同回転数決定手段133に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段133は、入力された運転情報から、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定する。ファン個別制御を行わない場合、ファン20A〜20Cは、全て同じ回転数で制御される(以下、同回転数制御ともいう)。
同回転数決定手段133で決定された回転数(同回転数制御時の回転数)の情報は、ファン個別制御回転数決定手段134へ入力される。一方、ファン個別制御回転数決定手段134では、製品出荷時に予めメモリー132に記憶されている送風ファン情報を読み出す。この送風ファン情報とは、制御音を干渉させたときの消音効果が高い騒音を放射しているファン20の情報である。つまり、この送風ファン情報とは、消音効果検出マイクロホン191,192と関連性が高いファン20の情報である。これらの識別番号は、各消音効果検出マイクロホンごとに振り分けられている。本実施の形態79では、送風ファン情報として、消音効果検出マイクロホン191,192に最も距離が近い(関連性が高い)ファン20の識別番号を用いている。具体的には、消音効果検出マイクロホン191に最も距離が近いファン20Aの識別番号と、消音効果検出マイクロホン192に最も距離が近いファン20Cの識別番号である。
ファン個別制御回転数決定手段134は、同回転数決定手段133で決定された回転数情報及びメモリー132から読み出した送風ファン情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファン20の回転数を決定する。具体的には、ファン個別制御回転数決定手段134は、消音効果検出マイクロホン191,192の最も近くにあるファン20A,20Cの回転数を高くし、消音効果検出マイクロホン191,192から距離が離れているファン20Bの回転数を低くする。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図184のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
上述のように、能動的消音を行う場合、騒音制御の制御点となる消音効果検出マイクロホン191,192及びその周辺の消音効果は高くなるが、制御点から離れた箇所では制御スピーカー181,182から放射された制御音と騒音との位相ずれが大きくなり消音効果が低くなる。しかしながら、本実施の形態79では室内機100に複数のファン20A〜20Cを備えた構成とすることで、消音効果が高い消音効果検出マイクロホン191,192に距離の近いファン20A,20C(消音効果が高い騒音を放射するファン)の回転数を高くし、消音効果検出マイクロホン191,192から距離の遠いファン20B(消音効果が低い騒音を放射するファン)の回転数を低くすることができる。
その結果、本実施の形態79に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を制御することで空力的な性能の劣化もなく実現することができる。
さらに、図187及び図188に示すように、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図187は、本発明の実施の形態79に係る室内機の別の一例を示す正面図である。また、図188は、図187に示す室内機の左側面図である。なお、図188は、室内機100のケーシング1の側壁を透写して示している。図187及び図188に示す室内機100は、風路を仕切り板90,90aで分割することにより、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域、及びファン20Cが吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Aの騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191は、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Bの騒音検出マイクロホン162、制御スピーカー182及び消音効果検出マイクロホン192は、ファン20Cが吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように室内機100を構成することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音を騒音検出マイクロホン161,162及び消音効果検出マイクロホン191,192が検出してしまうことを防止できるので、騒音検出マイクロホン161,162及び消音効果検出マイクロホン191,192のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。一方、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで、消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなる。したがって、図187及び図188のように室内機100を構成することにより、図184の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、図187及び図188では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態79では騒音検出マイクロホン161,162を室内機100の両側面に設置したが、制御スピーカー181,182の上流側であれば騒音検出マイクロホン161,162の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態79では制御スピーカー181,182を室内機100の両側面に配置したが、騒音検出マイクロホン161,162の下流側、かつ、消音効果検出マイクロホン191,192の上流側であれば、制御スピーカー181,182の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態79では、消音効果検出マイクロホン191,192をファン20A,20Cの回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー181,182の下流側であれば消音効果検出マイクロホン191,192の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態79では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態79では、送風ファン制御手段171を制御装置281内のCPU131で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより送風ファン制御手段171を構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段171の構成についても図186に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態79では、送風ファン制御手段171は消音効果検出マイクロホン191,192に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、距離の遠いファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態79に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段171)が設けられている。送風ファン制御手段171は、消音効果が高い領域である消音効果検出マイクロホン191,192付近の領域に送風しているファン20A,20Cの回転数を高くするように制御し、消音効果が低くなる領域である消音効果検出マイクロホン191,192から距離が遠い領域に送風しているファン20Bの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、高い騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段171は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図184の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。
実施の形態80.
実施の形態79の構成に限らず、消音効果検出マイクロホンが検出する消音効果に基づいてファン個別制御を行ってもよい。なお、本実施の形態80では、上述した実施の形態79との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態79と同一部分には同一符号を付している。
図189は、本発明の実施の形態80に係る室内機の正面図である。
本実施の形態80に係る室内機100が実施の形態79の室内機100と異なる点は、消音機構C(騒音検出マイクロホン163、制御スピーカー183、消音効果検出マイクロホン193及び信号処理装置203)が設けられている点である。信号処理装置203の構成は、信号処理装置201,202と全く同じである。なお、騒音検出マイクロホン163、制御スピーカー183及び消音効果検出マイクロホン193の取り付け位置は、実施の形態79と同様、ファン20Bの下流側から順に、騒音検出マイクロホン163、制御スピーカー183及び消音効果検出マイクロホン193が設置されていればよい。
さらに、信号処理装置201〜203から送風ファン制御手段172へと接続される信号線(信号S1,S2,S3を送る信号線)が設けられている点も、実施の形態79の室内機100と異なる。このため、送風ファン制御手段172の構成も、実施の形態79に係る送風ファン制御手段171の構成と異なっている。具体的には、信号処理装置201〜203から送風ファン制御手段172へ送られる信号S1,S2,S3は、消音効果検出マイクロホン191〜193から入力された信号がマイクアンプ151を経てA/D変換器152にてデジタル変換された信号である。つまり、信号S1,S2,S3は、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルのデジタル値である。
次に、送風ファン制御手段172の構成について説明する。
図190は、本発明の実施の形態80に係る制御装置を示す構成図である。以下で説明する各種動作及び手段は、室内機100が備える制御装置281に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置281は主に、実施の形態79で述べた構成と同様、リモコン280等の外部入力装置からの信号を入力する入力部130、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU131、データーやプログラムを記憶するメモリー132を備えている。さらに、CPU131は送風ファン制御手段172を備えている。
送風ファン制御手段172は、同回転数決定手段133、複数の平均化手段136(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別制御回転数決定手段134A及び複数のSW135(ファン20と同数)を備えている。同回転数決定手段133は、リモコン280から入力された運転情報に基づき、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン280から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。平均化手段136は、消音効果検出マイクロホン191〜193にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3が入力されるものであり、これらS1,S2,S3の信号をある一定時間平均化するものである。
ファン個別制御回転数決定手段134Aは、平均化手段136にて平均化されたS1,S2,S3それぞれの信号と同回転数決定手段133から入力された回転数情報に基づき、ファン20A〜20Cをファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW135は、例えばリモコン280から入力される信号に基づき、モータードライバー282A〜282Cへ送られるファン20A〜20Cの回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW135は、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、ファン20A〜20Cをそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
次に、室内機100の動作について説明する。
実施の形態79と同様、室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
また、消音機構A〜Cの動作についても実施の形態79と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン191〜193における騒音を抑制するよう動作する。
なお、本実施の形態80に係る室内機100の場合、消音効果検出マイクロホン193には、ファン20Bから放射される騒音の他に、隣接するファン20A,20Cから放射される騒音(クロストークノイズ成分)も入ってくる。一方、消音効果検出マイクロホン191,192にて検出されるクロストークノイズ成分は、消音効果検出マイクロホン193で検出されるクロストークノイズ成分と比べて小さくなる。消音効果検出マイクロホン191,192は、隣接するファン20が1つのみ(ファン20B)だからである。このため、消音機構Cに比べて、消音機構A,Bの消音効果が高くなる。
次に、本実施の形態80に係るファン20A〜20Cのファン個別制御について説明する。
制御装置281には、リモコン280で選択された運転情報が入力される。上述したように、運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン280から制御装置281へ運転情報として入力される。制御装置281に入力された運転情報は、入力部130を介して同回転数決定手段133に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段133は、入力された運転情報から、ファン20A〜20Cを同回転数制御する場合の回転数を決定する。
一方、信号処理装置201〜203から平均化手段136へ入力されたS1〜S3(消音効果検出マイクロホン191〜193で検出された音圧レベルのデジタル値)は、平均化手段136にてある一定期間平均化される。
これらS1〜S3のそれぞれを平均化した音圧レベル値、及び同回転数決定手段133で決定された回転数(同回転数制御時の回転数)の情報は、ファン個別制御回転数決定手段134Aへ入力される。ファン個別制御回転数決定手段134Aは、これらの情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファン20の回転数を決定する。具体的には、平均化された音圧レベル値の小さい消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を高くし、平均化された音圧レベル値の大きい消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を低くするように、ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態80に係る室内機100において、消音効果検出マイクロホン191で検出した騒音レベルの平均値が45dB、消音効果検出マイクロホン192で検出した騒音レベルの平均値が45dB、及び消音効果検出マイクロホン193で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、ファン個別制御回転数決定手段134Aは、ファン20A,20Cの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くするように各ファン20の回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図189のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述したファン20A〜20Cの回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、消音効果検出マイクロホン191で検出した騒音レベルの平均値が45dB、消音効果検出マイクロホン192で検出した騒音レベルの平均値が47dB、及び消音効果検出マイクロホン193で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、ファン20Aの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くし、ファン20Cの回転数をそのままにするように、各ファン20の回転数を決定してもよい。つまり、検出した騒音レベルが最も小さい消音効果検出マイクロホン191に距離が近いファン20Aの回転数を高くし、検出した騒音レベルが最も大きい消音効果検出マイクロホン193に距離が近いファン20Bの回転数を低くし、そのどちらでもないファン20Cの回転数はそのままにするように、各ファン20の回転数を決定してもよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
ここで上述したように、本実施の形態80に係る室内機100の場合、隣接するファンからのクロストークノイズ成分の大小により、消音効果検出マイクロホン193の近辺の領域に比べて、消音効果検出マイクロホン191,192の近辺の領域は消音効果が高くなる。つまり、本実施の形態80に係る室内機100の場合、消音効果検出マイクロホン193の近辺の領域に比べて、消音効果検出マイクロホン191,192の近辺の領域は検出する騒音レベルが小さくなる。一方、消音効果検出マイクロホン193の近辺の領域は、消音効果が低くなる。そこで、複数のファン20A〜20Cを備えた本実施の形態80に係る室内機100においては、消音効果検出マイクロホン191〜193により検出された騒音レベル値の平均値のうち、検出した騒音レベル平均値が小さい消音効果検出マイクロホン191,192に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、検出した騒音レベル平均値が大きい消音効果検出マイクロホン193に距離の近いファン20Bの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態80に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。
さらに、図191及び図192に示すように、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図191は、本発明の実施の形態80に係る室内機の別の一例を示す正面図である。また、図192は、図191に示す室内機の左側面図である。なお、図192は、室内機100のケーシング1の側壁を透写して示している。図191及び図192に示す室内機100は、風路を仕切り板90,90aで分割することにより、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域、及びファン20Cが吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Aの騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191は、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Bの騒音検出マイクロホン162、制御スピーカー182及び消音効果検出マイクロホン192は、ファン20Cが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Cの騒音検出マイクロホン163、制御スピーカー183及び消音効果検出マイクロホン193は、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように室内機100を構成することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音検出マイクロホン161〜163及び消音効果検出マイクロホン191〜193が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられたファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、図191及び図192のように室内機100を構成することにより、図189の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、図191及び図192では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。また、実施の形態79と同様に、図193のように消音機構が設けられていないファン20(図193中ではファン20Bに消音機構Cが設けられていない)がある場合でも、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
なお、騒音検出マイクロホン161〜163の設置位置は、制御スピーカー181〜183の上流側であればどこでもよい。さらに、制御スピーカー181〜183の設置位置は、騒音検出マイクロホン161〜163の下流側、かつ、消音効果検出マイクロホン191〜193の上流側であればどこでもよい。さらに、本実施の形態80では、消音効果検出マイクロホン191〜193をファン20A〜20Cの回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー181〜183の下流側であれば消音効果検出マイクロホン191〜193の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態80では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2〜3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態80では、送風ファン制御手段172を制御装置281内のCPU131で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段172の構成についても図190に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態80では、送風ファン制御手段172は、騒音レベルの小さい消音効果検出マイクロホン191,192に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、騒音レベルの大きい消音効果検出マイクロホン193に距離の近いファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態80に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段172)が設けられている。送風ファン制御手段172は、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した騒音レベルの平均値のうち、検出した騒音レベルが小さい消音効果検出マイクロホンに距離が近いファンの回転数を高くするように制御し、検出した騒音レベルが大きい消音効果検出マイクロホンに距離が近いファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果が高い(つまり、騒音レベルの小さい)領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低い(つまり騒音レベルの大きい)領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、送風ファン制御手段172は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図189の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。また、図193のように消音機構が設けられていないファン20がある場合でも、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
実施の形態81.
消音効果検出マイクロホンが検出する消音効果に応じてファン個別制御を行う場合、例えば以下のようにファン個別制御を行ってもよい。なお、本実施の形態81では、上述した実施の形態79又は実施の形態80との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態79又は実施の形態80と同一部分には同一符号を付している。
図194は、本発明の実施の形態81に係る室内機を示す正面図である。
本実施の形態81に係る室内機100が実施の形態80の室内機100と異なる点は、信号処理装置201〜203から送風ファン制御手段173へと接続される信号線(信号T1,T2,T3を送る信号線)がさらに設けられている点である。このため、送風ファン制御手段173の構成も、実施の形態80に係る送風ファン制御手段172の構成と異なっている。具体的には、信号処理装置201〜203から送風ファン制御手段173へ送られる信号S1,S2,S3は、実施の形態80と同様に、消音効果検出マイクロホン191〜193から入力された信号がマイクアンプ151を経てA/D変換器152にてデジタル変換された信号である。つまり、信号S1,S2,S3は、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルのデジタル値である。また、新たに追加された信号T1,T2,T3は、騒音検出マイクロホン161〜163から入力された信号がマイクアンプ151を経てA/D変換器152にてデジタル変換された信号である。つまり、信号T1,T2,T3は、騒音検出マイクロホン161〜163で検出した音圧レベルのデジタル値である。
次に、送風ファン制御手段173の構成について説明する。
図195は、本発明の実施の形態81に係る制御装置を示す構成図である。以下で説明する各種動作及び手段は、室内機100が備える制御装置281に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置281は主に、実施の形態80で述べた構成と同様、リモコン280等の外部入力装置からの信号を入力する入力部130、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU131、データーやプログラムを記憶するメモリー132を備えている。さらに、CPU131は送風ファン制御手段173を備えている。
送風ファン制御手段173は、同回転数決定手段133、複数のコヒーレンス演算手段137(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別制御回転数決定手段134B及び複数のSW135(ファン20と同数)を備えている。同回転数決定手段133は、リモコン280から入力された運転情報に基づき、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン280から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。コヒーレンス演算手段137は、消音効果検出マイクロホン191〜193にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3及び騒音検出マイクロホン161〜163にて検出した音圧レベルのデジタル値T1,T2,T3が入力されるものである。コヒーレンス演算手段137は、S1とT1、S2とT2及びS3とT3のコヒーレンスを演算する。
ファン個別制御回転数決定手段134Bは、コヒーレンス演算手段137で演算されたコヒーレンス値と同回転数決定手段133から入力された回転数情報に基づき、ファン20A〜20Cをファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW135は、例えばリモコン280から入力される信号に基づき、モータードライバー282A〜282Cへ送られるファン20A〜20Cの回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW135は、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、ファン20A〜20Cをそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
次に、室内機100の動作について説明する。
実施の形態80と同様、室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
また、消音機構A〜Cの動作についても実施の形態80と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン191〜193における騒音を抑制するよう動作する。
一般的に、能動的消音による消音効果は、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンス値が大きく影響する。つまり、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンスが高くないと消音効果は期待できない。逆に、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンス値から消音効果を予測することもできる。
そこで、本実施の形態81に係る室内機100(より詳しくは、制御装置281の送風ファン制御手段173)は、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンス値に基づき、消音効果が高いと推測される領域のファンの回転数を高くし、消音効果が低いと推測される領域のファンの回転数を低くするようにファン20A〜20Cの回転数を制御する。
次に、本実施の形態81に係るファン20A〜20Cのファン個別制御について説明する。
制御装置281には、リモコン280で選択された運転情報が入力される。上述したように、運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン280から制御装置281へ運転情報として入力される。制御装置281に入力された運転情報は、入力部130を介して同回転数決定手段133に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段133は、入力された運転情報から、ファン20A〜20Cを同回転数制御する場合の回転数を決定する。
一方、信号処理装置201〜203から入力される消音効果検出マイクロホン191〜193で検出された音圧レベルのデジタル値S1〜S3、及び騒音検出マイクロホン161〜163で検出された音圧レベルのデジタル値T1〜T3は、コヒーレンス演算手段137にてそれぞれのマイクロホン間のコヒーレンス値が求められる。
コヒーレンス演算手段137で演算されたコヒーレンス値及び同回転数決定手段133で決定された回転数(同回転数制御時の回転数)の情報、は、ファン個別制御回転数決定手段134Bへ入力される。ファン個別制御回転数決定手段134Bは、これらの情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファンの回転数を決定する。具体的には、コヒーレンス値の高い消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を高くし、コヒーレンス値の低い消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を低くするように、ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態81に係る室内機100において、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191との間のコヒーレンス値が0.8、騒音検出マイクロホン162と消音効果検出マイクロホン192との間のコヒーレンス値が0.8、及び騒音検出マイクロホン163と消音効果検出マイクロホン193との間のコヒーレンス値が0.5だった場合、ファン個別制御回転数決定手段134Bは、ファン20A,20Cの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くするように、各ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図194のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述したファン20A〜20Cの回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191との間のコヒーレンス値が0.8、騒音検出マイクロホン162と消音効果検出マイクロホン192との間のコヒーレンス値が0.7、及び騒音検出マイクロホン163と消音効果検出マイクロホン193との間のコヒーレンス値が0.5だった場合、ファン20Aの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くし、ファン20Cの回転数をそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。つまり、最もコヒーレンス値が高い消音効果検出マイクロホン191に距離が近いファン20Aの回転数を高くし、最もコヒーレンス値が低い消音効果検出マイクロホン193に距離が近いファン20Bの回転数を低くし、そのどちらでもないファン20Cの回転数はそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
上述のように、能動的消音を用いる場合、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンス値によって、期待される消音効果が異なる。つまり、コヒーレンス値の高い消音効果検出マイクロホンは消音効果が高いと推測でき、コヒーレンス値の低い消音効果検出マイクロホンは消音効果が低いと推測できる。そこで、複数のファン20A〜20Cを備えた本実施の形態81に係る室内機100では、コヒーレンス値の高い消音効果検出マイクロホンに距離の近いファンの回転数を高くし、コヒーレンス値の低い消音効果検出マイクロホンに距離の近いファンの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態81に係る室内機100は、消音効果が高いと推測される領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低いと推測される領域は騒音が小さくなる。このため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態81に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、実施の形態80の図191及び図192に示したように、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。つまり、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することができる。このため、騒音を騒音検出マイクロホン161〜163及び消音効果検出マイクロホン191〜193が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられたファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、図194の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、実施の形態80の図193と同様に、消音機構が設けられていないファンがある場合、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
なお、本実施の形態81に係る騒音検出マイクロホン161〜163の設置位置は、制御スピーカー181〜183の上流側であればどこでもよい。さらに、制御スピーカー181〜183の設置位置は、騒音検出マイクロホン161〜163の下流側、かつ、消音効果検出マイクロホン191〜193の上流側であればどこでもよい。さらに、本実施の形態81では、消音効果検出マイクロホン191〜193をファン20A〜20Cの回転軸のほぼ延長線上に配置したが制御スピーカー181〜183の下流側であれば消音効果検出マイクロホン191〜193の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態81では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態81では、送風ファン制御手段173を制御装置281内のCPU131で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段173の構成についても図195に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態81では、送風ファン制御手段173は、コヒーレンス値の大きい消音効果検出マイクロホン191,192に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、コヒーレンス値の小さい消音効果検出マイクロホン193に距離の近いファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態81に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段173)が設けられている。送風ファン制御手段173は、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンス値を算出し、騒音検出マイクロホンとのコヒーレンス値が高い消音効果検出マイクロホンに距離が近いファンの回転数を高くするように制御し、騒音検出マイクロホンとのコヒーレンス値が低い消音効果検出マイクロホンに距離が近いファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。その結果、高い消音効果が期待できる領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が期待できない領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、送風ファン制御手段173は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図194の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。また、消音機構が設けられていないファン20がある場合でも、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態81に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホンと消音効果検出マイクロホンとのコヒーレンス値に基づき回転数の制御を行っている。コヒーレンス値から理論上の消音効果を推測することができるため、各消音効果検出マイクロホンのコヒーレンス値に基づき、より最適で細かにファンの回転数の制御が可能となる。このため、本実施の形態81に係る室内機100は、実施の形態79及び実施の形態80の構成に比べて、より高い消音効果を得ることができる。
実施の形態82.
本発明を実施するための消音機構は、実施の形態79〜実施の形態81に示した消音機構に限定されるものではない。例えば上述とは異なる消音機構を用いても、実施の形態79〜実施の形態81と同様の効果を有する空気調和機を得ることができる。なお、本実施の形態82では、実施の形態79に係る空気調和機に異なる消音機構を用いた例について説明する。また、本実施の形態82では、上述した実施の形態79〜実施の形態81との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態79〜実施の形態81と同一部分には同一符号を付している。
図196は、本発明の実施の形態82に係る室内機を示す正面図である。
本実施の形態82に係る室内機100が実施の形態79の室内機100と異なる点は、消音機構の構成である。具体的には、実施の形態79に係る室内機100の消音機構Aでは、能動的消音を行うために2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191)を用いていた。一方、消音機構Aに対応する消音機構として本実施の形態82に係る室内機100に用いられている消音機構Dは、消音機構Aの2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191)を1つのマイクロホン(騒音・消音効果検出マイクロホン211)に置き換えている。同様に、実施の形態79に係る室内機100の消音機構Bでは、能動的消音を行うために2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン162及び消音効果検出マイクロホン192)を用いていた。一方、消音機構Bに対応する消音機構として本実施の形態82に係る室内機100に用いられている消音機構Eは、消音機構Bの2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン162及び消音効果検出マイクロホン192)を1つのマイクロホン(騒音・消音効果検出マイクロホン212)に置き換えている。また、これに伴って信号処理の方法が異なってくるため、本実施の形態82に係る室内機100では、信号処理装置201,202に換えて、信号処理装置204,205を設けている。なお、信号処理装置204,205の構成は、実施の形態73で説明した構成と全く同じである。
次に室内機100の動作について説明する。
実施の形態79と同様、室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
なお、室内機100の運転音の抑制方法についても実施の形態73と全く同じであり、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として騒音・消音効果検出マイクロホン211,212における騒音を抑制するよう動作する。
実施の形態79でも説明したように、能動的消音方法では、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212の設置箇所(制御点)で騒音と逆位相となるように、制御スピーカー181,182から制御音を出力する。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212の付近では消音効果は高くなるが、その点から距離が離れると制御音の位相が変化してしまう。したがって、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212から距離が離れた箇所では、騒音と制御音との位相ずれが大きくなり消音効果は低くなってしまう。
なお、本実施の形態82に係るファン20A〜20Cのファン個別制御は、実施の形態79で説明した送風ファン制御手段171と同じ制御である。
このように、複数のファン20A〜20Cを備えた室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212と距離が近いファン20A,20Cの回転数を高くし、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212と距離が遠いファン20Bの回転数を低くすることにより、能動消音による消音効果が高い騒音・消音効果検出マイクロホン211,212付近への騒音を大きくし、能動消音による消音効果が低くなる騒音・消音効果検出マイクロホン211,212から距離が離れている領域の騒音を小さくすることができる。
つまり、能動的消音を用いる場合、上述のように、騒音制御の制御点となる騒音・消音効果検出マイクロホン211,212及びその周辺の消音効果は高くなるが、制御点から離れた箇所では制御スピーカー181,182から放射された制御音と騒音との位相ずれが大きくなり消音効果が低くなる。しかしながら、本実施の形態82では室内機100に複数のファン20A〜20Cを備えた構成とすることで、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212に距離の近いファン20A,20C(消音効果が高い騒音を放射するファン)の回転数を高くし、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212から距離の遠いファン20B(消音効果が低い騒音を放射するファン)の回転数を低くすることができる。
その結果、本実施の形態82に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態82に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、図197及び図198に示すように、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図197は、本発明の実施の形態82に係る室内機の別の一例を示す正面図である。また、図198は、図197に示す室内機の左側面図である。なお、図198は、室内機100のケーシング1の側壁を透写して示している。図197及び図198に示す室内機100は、風路を仕切り板90,90aで分割することにより、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域、及びファン20Cが吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Dの制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211は、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Eの制御スピーカー182及び騒音・消音効果検出マイクロホン212は、ファン20Cが吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように室内機100を構成することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音を騒音・消音効果検出マイクロホン211,212が検出してしまうことを防止できるので、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、図197及び図198のように室内機100を構成することにより、図196の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、図197及び図198では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態82では、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212を制御スピーカー181,182の下流側に設置したが、制御スピーカー181,182の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン211,212を設置してもよい。さらに、本実施の形態82では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態82では、送風ファン制御手段171を制御装置281内のCPU131で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段171の構成についても、実施の形態79と同様に、図186に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態82では、送風ファン制御手段171は騒音・消音効果検出マイクロホン211,212に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、距離の遠いファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態82に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段171)が設けられている。送風ファン制御手段171は、消音効果が高い領域である騒音・消音効果検出マイクロホン211,212付近の領域に送風しているファン20A,20Cの回転数を高くするように制御し、消音効果が低くなる領域である騒音・消音効果検出マイクロホン211,212から距離が遠い領域に送風しているファン20Bの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果が高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、送風ファン制御手段171は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図196の構成に比べて、高い騒音低減効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態82では、騒音検出マイクロホン161,162と消音効果検出マイクロホン191,192を騒音・消音効果検出マイクロホン211,212に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減できるので、さらにコストを下げることができる。
実施の形態83.
実施の形態80で示した室内機に、実施の形態82で示した消音機構を用いても勿論よい。なお、本実施の形態83では、上述した実施の形態79〜実施の形態82との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態79〜実施の形態82と同一部分には同一符号を付している。
図199は、本発明の実施の形態83に係る室内機を示す正面図である。
本実施の形態83に係る室内機100が実施の形態82の室内機100と異なる点は、消音機構F(制御スピーカー183、騒音・消音効果検出マイクロホン213及び信号処理装置206)が設けられている点である。信号処理装置206の構成は、信号処理装置204,205と全く同じである。
さらに、実施の形態80と同様に、信号処理装置204〜206から送風ファン制御手段172へと接続される信号線(信号S1,S2,S3を送る信号線)が設けられている点も、実施の形態82の室内機100と異なる。信号処理装置204〜206から送風ファン制御手段172へ送られる信号S1,S2,S3は、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213から入力された信号がマイクアンプ151を経てA/D変換器152にてデジタル変換された信号である。つまり、信号S1,S2,S3は、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出した音圧レベルのデジタル値である。
送風ファン制御手段172の構成は実施の形態80で説明した構成と同じであり、図190に示す構成となる。送風ファン制御手段172は、同回転数決定手段133、複数の平均化手段136(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別制御回転数決定手段134A及び複数のSW135(ファン20と同数)を備えている。同回転数決定手段133は、リモコン280から入力された運転情報に基づき、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン280から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。平均化手段136は、消音効果検出マイクロホン191〜193にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3が入力されるものであり、これらS1,S2,S3の信号をある一定時間平均化するものである。
ファン個別制御回転数決定手段134Aは、平均化手段136にて平均化されたS1,S2,S3それぞれの信号と同回転数決定手段133から入力された回転数情報に基づき、ファン20A〜20Cをファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW135は、例えばリモコン280から入力される信号に基づき、モータードライバー282A〜282Cへ送られるファン20A〜20Cの回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW135は、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、ファン20A〜20Cをそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
次に室内機100の動作について説明する。
実施の形態82と異なる点は、送風ファン制御手段172の動作のみである。また、送風ファン制御手段172の動作は、実施の形態80で説明したとおりである。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出された音圧レベルのデジタル値S1〜S3を平均化手段136にてある一定期間平均化する。これら平均化された音圧レベル値と及び同回転数決定手段133で決定された回転数に基づき、ファン個別制御回転数決定手段134Aは、ファン個別制御を行う際の各ファンの回転数を決定する。具体的には、平均化された音圧レベル値の小さい消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を高くし、平均化された音圧レベル値の大きい消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を低くするように、ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態83に係る室内機100において、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した騒音レベルの平均値が45dB、騒音・消音効果検出マイクロホン212で検出した騒音レベルの平均値が45dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン213で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、ファン個別制御回転数決定手段134Aは、ファン20A,20Cの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くするように各ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図199のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述したファン20A〜20Cの回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した騒音レベルの平均値が45dB、騒音・消音効果検出マイクロホン212で検出した騒音レベルの平均値が47dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン213で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、ファン20Aの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くし、ファン20Cの回転数をそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。つまり、検出した騒音レベルが最も小さい騒音・消音効果検出マイクロホン211に距離が近いファン20Aの回転数を高くし、検出した騒音レベルが最も大きい騒音・消音効果検出マイクロホン213に距離が近いファン20Bの回転数を低くし、そのどちらでもないファン20Cの回転数はそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、各ファンの回転数は個別に制御される。つまり、リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
ここで、本実施の形態83に係る室内機100の場合、実施の形態80と同様に、隣接するファンからのクロストークノイズ成分の大小により、騒音・消音効果検出マイクロホン213の近辺の領域に比べて、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212の近辺の領域は消音効果が高くなる。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン213の近辺の領域に比べて、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212の近辺の領域は検出する騒音レベルが小さくなる。一方、騒音・消音効果検出マイクロホン213の近辺の領域は、消音効果が低くなる。そこで、複数のファン20A〜20Cを備えた本実施の形態83に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213により検出された騒音レベル値の平均値のうち、検出した騒音レベル平均値が小さい騒音・消音効果検出マイクロホン211,212に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、検出した騒音レベル平均値が大きい騒音・消音効果検出マイクロホン213に距離の近いファン20Bの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態83に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態83に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、図200及び図201に示すように、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図200は、本発明の実施の形態83に係る室内機の別の一例を示す正面図である。また、図201は、図200に示す室内機の左側面図である。なお、図201は、室内機100のケーシング1の側壁を透写して示している。図200及び図201に示す室内機100は、風路を仕切り板90,90aで分割することにより、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域、及びファン20Cが吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Dの制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211は、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Eの制御スピーカー182及び騒音・消音効果検出マイクロホン212は、ファン20Cが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Fの制御スピーカー183及び騒音・消音効果検出マイクロホン213は、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように室内機100を構成することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Fはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられたファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、図200及び図201のように室内機100を構成することにより、図199の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、図200及び図201では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。また、実施の形態82と同様に、図202のように消音機構が設けられていないファン20がある場合でも、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
なお、本実施の形態83では、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213を制御スピーカー181〜183の下流側に設置したが、制御スピーカー181〜183の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213を設置してもよい。さらに、本実施の形態83では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン、信号処理装置をそれぞれ2〜3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態83では、送風ファン制御手段172を制御装置281内のCPU131で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段172の構成についても、実施の形態80と同様に、図190に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態83では、送風ファン制御手段172は、騒音レベルの小さい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離の近いファンの回転数を高くし、かつ、騒音レベルの大きい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離の近いファンの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態83に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段172)が設けられている。送風ファン制御手段172は、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出した騒音レベルの平均値のうち、検出した騒音レベルが小さい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離が近いファンの回転数を高くするように制御し、検出した騒音レベルが大きい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離が近い送風ファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果が高い(つまり、騒音レベルの小さい)領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低い(つまり騒音レベルの大きい)領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、送風ファン制御手段172は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Fはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。したがって、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213における消音効果が高くなり、図200の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。また、消音機構が設けられていないファン20がある場合でも、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態83では、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193を騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減し、さらにコストを下げることができる。
実施の形態84.
実施の形態79〜実施の形態83では、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンに関連性の高い騒音を放出するファン(つまり、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンが消音効果を発揮しやすい騒音を放出するファン)を、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンから距離の近いファンとしていた。これに限らず、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンに関連性の高い騒音を放出するファン(つまり、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンが消音効果を発揮しやすい騒音を放出するファン)を、以下のようなファンとしてもよい。なお、本実施の形態84では、実施の形態79に係る空気調和機を例に用いて説明する。また、本実施の形態84では、上述した実施の形態79〜実施の形態83との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態79〜実施の形態83と同一部分には同一符号を付している。
上述のように、本実施の形態84に係る室内機100の基本的な構成は、実施の形態79で説明した図184と同様である。本実施の形態84に係る室内機100が実施の形態79の室内機100と異なる点は、制御装置281のメモリー132に入力されている送風ファン情報が異なる点である。つまり、本実施の形態84に係る室内機100が実施の形態79の室内機100と異なる点は、メモリー132からファン個別制御回転数決定手段134へ入力される送風ファン情報が異なる点である。
また、実施の形態79では制御スピーカー181,182の室内機100側面への詳細な設置構成については説明しなかったが、本実施の形態84では、次のように制御スピーカー181,182を室内機100側面へ設置している。
制御スピーカー181,182はある程度の厚みがあるため、室内機100の前面や背面に設置すると、風路を塞いでしまい、空力性能の劣化につながってしまう。このため、本実施の形態84では、ケーシング1の両側面部に設けられた機械ボックス(制御基板等が格納されているボックス、図示せず)内に、制御スピーカー181,182を配置している。このように制御スピーカー181,182を配置することにより、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることを防止できる。
より詳しくは、実施の形態79では、消音効果検出マイクロホン191,192に距離が近いファン20の識別番号を送風ファン情報としていた。一方、本実施の形態84では、室内機100のケーシング1の両端に設置されているファン20の識別番号を送風ファン情報としている。つまり、図184からわかるように、本実施の形態84における送風ファン情報は、ファン20Aとファン20Cの識別番号となる。
室内機100における動作は実施の形態79で説明した動作と同様である。このため、以下には、ファン20A〜20Cのファン個別制御について説明する。
送風ファン制御手段171のファン個別制御回転数決定手段134は、実施の形態79と同様に、同回転数決定手段133で決定された回転数情報及びメモリー132から読み出した送風ファン情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファン20の回転数を決定する。具体的には、ファン個別制御回転数決定手段134は識別番号がメモリー132に入力されているファン20A,20Cの回転数を高くし、識別番号がメモリー132に入力されていないファン20Bの回転数を低くする。結果として、ファン個別制御回転数決定手段134は、室内機100のケーシング1の両端に設置されているファン20A,20Cの回転数を高くし、室内機100のケーシング1の両端以外に設置されているファン20Bの回転数を低くすることになる。なお、このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
両端のファン20A,20Cが放射する騒音を能動的に消音する場合と、両端以外のファン20Bが放射する騒音を能動的に消音する場合とでは、これらファンの騒音を検出する際のクロストークノイズ成分が異なってくる。ファン20Bから放射される騒音を検出する場合、隣接するファン20A,20Cから放射される騒音もクロストークノイズ成分として入ってくるためである。このため、本実施の形態84では、室内機100を複数のファン20A〜20Cを備えた構成とし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が小さい両端のファン20A,20Cの回転数を高くし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が大きい両端以外のファン20Bの回転数を低くする。
その結果、本実施の形態84に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態84に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態84では、制御スピーカー181,182が風路へはみ出さないように、制御スピーカー181,182を室内機100の両側面に設置している。このため、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、本実施の形態84に係る室内機100においても、実施の形態79の図187及び図188で示した室内機100と同様に、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音を騒音検出マイクロホン161,162及び消音効果検出マイクロホン191,192が検出してしまうことを防止できるので、騒音検出マイクロホン161,162及び消音効果検出マイクロホン191,192のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。一方、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで、消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなる。したがって、本実施の形態84に係る室内機100においても、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、図184の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、仕切り板は風路全域に設ける必要はなく、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態84では騒音検出マイクロホン161,162を室内機100の両側面に設置したが、制御スピーカー181,182の上流側であれば騒音検出マイクロホン161,162の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態84では、消音効果検出マイクロホン191,192をファン20A,20Cの回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー181,182の下流側であれば消音効果検出マイクロホン191,192の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態84では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態84では、送風ファン制御手段171を制御装置281内のCPU131で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより送風ファン制御手段171を構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段171の構成についても図186に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態84では、送風ファン制御手段171は、室内機100の両端のファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、両端以外のファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態84に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する送風ファン制御手段171が設けられている。送風ファン制御手段171は、室内機100の両端に設置しているファン20A,20Cの回転数を高くするように制御し、室内機100の両端以外に設置しているファン20Bの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、隣接するファンからのクロストークノイズ成分が小さく消音効果が高い領域はさらに消音効果が高くなり、クロストークノイズ成分が大きく消音効果が低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、高い騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段171は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、制御スピーカー181,182が風路へはみ出さないように、制御スピーカー181,182を室内機100の両側面に設置している。このため、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図184の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。
実施の形態85.
実施の形態82に係る室内機に、実施の形態84で示した送風ファン情報を用いても勿論よい。なお、本実施の形態85では、上述した実施の形態79〜実施の形態84との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態79〜実施の形態84と同一部分には同一符号を付している。
本実施の形態85に係る室内機100の基本的な構成は、実施の形態82で説明した図196と同様である。本実施の形態85に係る室内機100が実施の形態82の室内機100と異なる点は、制御装置281のメモリー132に入力されている送風ファン情報が異なる点である。より詳しくは、本実施の形態85では、室内機100のケーシング1の両端に設置されているファン20の識別番号を送風ファン情報としている。つまり、図196からわかるように、本実施の形態85における送風ファン情報は、ファン20Aとファン20Cの識別番号となる。
また、実施の形態82では制御スピーカー181,182の室内機100側面への詳細な設置構成については説明しなかったが、本実施の形態85では、次のように制御スピーカー181,182を室内機100側面へ設置している。
制御スピーカー181,182はある程度の厚みがあるため、室内機100の前面や背面に設置すると、風路を塞いでしまい、空力性能の劣化につながってしまう。このため、本実施の形態85では、ケーシング1の両側面部に設けられた機械ボックス(制御基板等が格納されているボックス、図示せず)内に、制御スピーカー181,182を配置している。このように制御スピーカー181,182を配置することにより、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることを防止できる。
室内機100における動作は実施の形態82で説明した動作と同様である。このため、以下には、ファン20A〜20Cのファン個別制御について説明する。
送風ファン制御手段171のファン個別制御回転数決定手段134は、実施の形態82と同様に、同回転数決定手段133で決定された回転数情報及びメモリー132から読み出した送風ファン情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファンの回転数を決定する。具体的には、ファン個別制御回転数決定手段134は識別番号がメモリー132に入力されているファン20A,20Cの回転数を高くし、識別番号がメモリー132に入力されていないファン20Bの回転数を低くする。結果として、ファン個別制御回転数決定手段134は、室内機100のケーシング1の両端に設置されているファン20A,20Cの回転数を高くし、室内機100のケーシング1の両端以外に設置されているファン20Bの回転数を低くすることになる。なお、このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
両端のファン20A,20Cが放射する騒音を能動的に消音する場合と、両端以外のファン20Bが放射する騒音を能動的に消音する場合とでは、これらファンの騒音を検出する際のクロストークノイズ成分が異なってくる。ファン20Bから放射される騒音を検出する場合、隣接するファン20A,20Cから放射される騒音もクロストークノイズ成分として入ってくるためである。このため、本実施の形態85では、室内機100を複数のファン20A〜20Cを備えた構成とし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が小さい両端のファン20A,20Cの回転数を高くし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が大きい両端以外のファン20Bの回転数を低くする。
その結果、本実施の形態85に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態85に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態85では、制御スピーカー181,182が風路へはみ出さないように、制御スピーカー181,182を室内機100の両側面に設置している。このため、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、本実施の形態85に係る室内機100においても、実施の形態82の図197及び図198で示した室内機100と同様に、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音・消音効果検出マイクロホン211,212が検出してしまうことを防止できるので、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。一方、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで、消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなる。したがって、本実施の形態85に係る室内機100においても、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、図196の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、仕切り板は風路全域に設ける必要はなく、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態85では、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212を制御スピーカー181,182の下流側に設置したが、制御スピーカー181,182の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン211,212を設置してもよい。さらに、本実施の形態85では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態85では、送風ファン制御手段171を制御装置281内のCPU131で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段171の構成についても限定されるものではない。
また、本実施の形態85では、送風ファン制御手段171は、室内機100の両端のファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、両端以外のファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態85に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する送風ファン制御手段171が設けられている。送風ファン制御手段171は、室内機100の両端に設置しているファン20A,20Cの回転数を高くするように制御し、室内機100の両端以外に設置しているファン20Bの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、隣接するファンからのクロストークノイズが小さく消音効果が高い領域はさらに消音効果が高くなり、クロストークノイズが大きく消音効果が低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、送風ファン制御手段171は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、制御スピーカー181,182が風路へはみ出さないように、制御スピーカー181,182を室内機100の両側面に設置している。このため、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図196の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態85では、騒音検出マイクロホン161,162と消音効果検出マイクロホン191,192を騒音・消音効果検出マイクロホン211,212に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減できるので、さらにコストを下げることができる。
実施の形態86.
消音効果検出マイクロホンや騒音・消音効果検出マイクロホンの消音効果に応じてファン個別制御を行う場合、例えば以下のようにファン個別制御を行ってもよい。なお、本実施の形態86では、上述した実施の形態79〜実施の形態85との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態79〜実施の形態85と同一部分には同一符号を付している。
図203は、本発明の実施の形態86に係る室内機を示す正面図である。
本実施の形態86に係る室内機100が実施の形態80の室内機100と異なる点は、送風ファン制御手段174の構成のみである。
本実施の形態86に係る送風ファン制御手段174について説明する。
図204は、本発明の実施の形態86に係る制御装置を示す構成図である。以下で説明する各種動作及び手段は、室内機100が備える制御装置281に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置281は主に、実施の形態79〜実施の形態85で述べた構成と同様、リモコン280等の外部入力装置からの信号を入力する入力部130、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU131、データーやプログラムを記憶するメモリー132を備えている。さらに、本実施の形態86に係るCPU131は、送風ファン制御手段174を備えている。
送風ファン制御手段174は、同回転数決定手段133、複数の消音量算出手段138(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別制御回転数決定手段134C及び複数のSW135(ファン20と同数)を備えている。同回転数決定手段133は、リモコン280から入力された運転情報に基づき、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン280から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。消音量算出手段138は、消音効果検出マイクロホン191〜193にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3が入力されるものであり、これらS1,S2,S3の信号から消音量を算出するものである。
ファン個別制御回転数決定手段134Cは、消音量算出手段138で算出された消音量とメモリー132に記憶されている送風ファン情報に基づき、ファン20A〜20Cをファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。送風ファン情報とは、消音効果検出マイクロホン191〜193と関連性が高いファン20の情報である。SW135は、例えばリモコン280から入力される信号に基づき、モータードライバー282A〜282Cへ送られるファン20A〜20Cの回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW135は、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、ファン20A〜20Cをそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
図205は、本発明の実施の形態86に係る消音量算出手段を示す構成図である。
消音量算出手段138は、入力される信号(S1、S2又はS3)を平均化する平均化手段136と、能動的消音制御を開始する前の音圧レベルを記憶しておく制御前音圧レベル記憶手段139と、差分器140と、を備えている。
次に室内機100の動作について説明する。
実施の形態80と同様、室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
また、消音機構A〜Cの動作についても実施の形態80と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン191〜193における騒音を抑制するよう動作する。
本実施の形態86に係る室内機100の場合、消音効果検出マイクロホン193には、ファン20Bから放射される騒音の他に、隣接するファン20A,20Cから放射される騒音(クロストークノイズ成分)も入ってくる。一方、消音効果検出マイクロホン191,192にて検出されるクロストークノイズ成分は、消音効果検出マイクロホン193で検出されるクロストークノイズ成分と比べて小さくなる。消音効果検出マイクロホン191,192は、隣接するファンが1つのみ(ファン20B)だからである。このため、消音機構Cに比べて、消音機構A,Bの消音効果が高くなる。
次に、本実施の形態86に係るファン20A〜20Cのファン個別制御について説明する。
制御装置281には、リモコン280で選択された運転情報が入力される。上述したように、運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン280から制御装置281へ運転情報として入力される。制御装置281に入力された運転情報は、入力部130を介して同回転数決定手段133に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段133は、入力された運転情報から、ファン20A〜20Cを同回転数制御する場合の回転数を決定する。ファン個別制御を行わない場合、ファン20A〜20Cは、全て同じ回転数で制御される。
一方、消音量算出手段138には、信号処理装置201〜203から平均化手段136へS1〜S3(消音効果検出マイクロホン191〜193で検出された音圧レベルのデジタル値)が入力される。また、消音量算出手段138は、能動的消音制御を行う前に消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルを平均化手段136で一定期間平均化し、この平均化された音圧レベルを制御前音圧レベル記憶手段139に記憶しておく。次に、消音量算出手段138は、能動的消音制御時に消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルを平均化手段136で一定期間平均化する。
そして、消音量算出手段138は、「能動的消音制御時に消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルを平均化手段136で一定期間平均化した音圧レベル」と「能動的消音制御を行う前に消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルを平均化手段136で一定期間平均化した音圧レベル」(制御前音圧レベル記憶手段139に記憶されているもの)との差から、消音量を算出する。消音量算出手段138で算出された消音量は、ファン個別制御回転数決定手段134Cに入力される。
また、メモリー132には、送風ファン情報が記憶されている。送風ファン情報とは、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出される音に対して最も関連性が高い騒音を放射するファン20の情報である。これらの識別番号は、各消音効果検出マイクロホンごとに振り分けられている。本実施の形態86では、送風ファン情報となる識別番号を以下のように求めている。例えば、消音効果検出マイクロホン191で検出される音が、ファン20A〜20Cから放射される騒音のうちのどの騒音と最も関連性が高いかを確認する。消音効果検出マイクロホン191で検出される音がファン20Aから放射される騒音と最も関連性が高い場合、消音効果検出マイクロホン191に対応する送風ファン情報はファン20Aを示す識別番号となる。同様に、消音効果検出マイクロホン192,193についても対応する送風ファン情報が決められ、予めメモリー132に記憶させておく。
送風ファン情報の決定は、例えば次のように行うとよい。例えば製品出荷前、ファン20A〜20Cを動作させた状態で、ファン20A〜20Cから放射される騒音を正確に検出するマイクロホンにより検出する。そして、これらのマイクロホンで検出された音と、消音効果検出マイクロホン191で検出した音とのコヒーレンス値を測定する。その後、消音効果検出マイクロホン191検出値に対して最もコヒーレンス値の高かった検出値のマイクロホンを決定する。このマイクロホンが検出する騒音を放射しているファン20の識別番号が、消音効果検出マイクロホン191に対応する送風ファン情報となる。消音効果検出マイクロホン192,193に対応する送風ファン情報も同様に決定するとよい。
また、送風ファン情報の決定は、例えば次のように行ってもよい。室内機100の送風ファン制御手段174等に、実施の形態81で示したようなコヒーレンス演算手段137を搭載しておく。そして、製品出荷後の運転時において、騒音検出マイクロホン161〜163の検出値と消音効果検出マイクロホン191〜193の検出値とのコヒーレンス値を測定する。そして、消音効果検出マイクロホン191〜193それぞれについて最もコヒーレンス値の高かった騒音検出マイクロホンに距離の近いファン20の識別番号を送風ファン情報としてもよい。
なお、送風ファン情報の決定の仕方は、上記の方法に限られるものではない。消音効果検出マイクロホン191〜193にて検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンを特定できる方法であればよい。
消音量算出手段138で算出された消音量とメモリー132に記憶されている送風ファン情報は、ファン個別制御回転数決定手段134Cへ入力される。ファン個別制御回転数決定手段134Cは、これらの情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファンの回転数を決定する。具体的には、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高いファンの回転数を高くし、消音量が小さい消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高いファンの回転数を低くするように、ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態86に係る室内機100において、消音効果検出マイクロホン191で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Aであり、消音効果検出マイクロホン192で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Cであり、消音効果検出マイクロホン193で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Bであったとする。そして、消音効果検出マイクロホン191における消音量が−5dB、消音効果検出マイクロホン192における消音量が−5dB、及び消音効果検出マイクロホン193における消音量が−2dBであるとする。この場合、ファン個別制御回転数決定手段134Cは、ファン20A,20Cの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くするように各ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図203のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述したファン20A〜20Cの回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、本実施の形態86に係る室内機100において、消音効果検出マイクロホン191で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Aであり、消音効果検出マイクロホン192で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Cであり、消音効果検出マイクロホン193で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Bであったとする。そして、消音効果検出マイクロホン191における消音量が−5dB、消音効果検出マイクロホン192における消音量が−3dB、及び消音効果検出マイクロホン193における消音量が−2dBであるとする。この場合、ファン20Aの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くし、ファン20Cの回転数をそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。つまり、消音量が最も大きい消音効果検出マイクロホン191に関連性が高いファン20Aの回転数を高くし、消音量が最も小さい消音効果検出マイクロホン193に関連性が高いファン20Bの回転数を低くし、そのどちらでもないファン20Cの回転数はそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
ここで上述したように、本実施の形態86に係る室内機100の場合、隣接するファンからのクロストークノイズ成分の大小により、消音効果検出マイクロホン193の近辺の領域に比べて、消音効果検出マイクロホン191,192の近辺の領域は量が大きくなる。一方、消音効果検出マイクロホン193の近辺の領域は、消音量が小さくなる。そこで、複数のファン20A〜20Cを備えた本実施の形態86に係る室内機100においては、消音量が大きい消音効果検出マイクロホン191,192に関連性の高い騒音を放射しているファン20A,20Cの回転数を高くし、消音量が小さい消音効果検出マイクロホン193に関連性の高い騒音を放射しているファン20Bの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態86に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態86に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態86に係る室内機100においても、実施の形態80の図191及び図192で示した室内機100と同様に、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音検出マイクロホン161〜163及び消音効果検出マイクロホン191〜193が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられたファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、本実施の形態86に係る室内機100においても、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、図203の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。一方、消音機構が設けられていないファンがある場合、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の効果を得ることができる。また、図191及び図192では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態86では、消音効果検出マイクロホン191〜193をファン20A〜20Cの回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー181〜183の下流側であれば消音効果検出マイクロホン191〜193の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態86では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態86では、送風ファン制御手段174を制御装置281内のCPU131で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段174の構成についても図204及び図205に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態86では、送風ファン制御手段174は、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くし、かつ、消音量が小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
また、本実施の形態86では、ファンの回転数を制御するパラメーターとして消音効果検出マイクロホン191〜193における消音量を用いているが、ファンの回転数を制御するパラメーターとしてその他のものを用いても勿論よい。例えば、消音効果検出マイクロホン191〜193のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くしてもよい。また例えば、消音効果検出マイクロホン191〜193のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くしてもよい。これら両方を行うようにしても勿論よい。
また、ファンの回転数を制御するパラメーターとして、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191、騒音検出マイクロホン162と消音効果検出マイクロホン192、騒音検出マイクロホン163と消音効果検出マイクロホン193とのコヒーレンス値を用いてもよい。例えば、最もコヒーレンス値が小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くしてもよい。また例えば、最もコヒーレンス値が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くしてもよい。これら両方を行うようにしても勿論よい。
以上、本実施の形態86に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段174)が設けられている。送風ファン制御手段174は、消音効果検出マイクロホン191〜193における消音量のうち、消音量の大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くするように制御し、消音量の小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音量が大きい領域の回転数を高くすることでさらに消音効果が高くなり、消音量の小さい領域の回転数を低くすることでその領域の騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、本実施の形態86にかかる室内機100においては、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンを特定しているため、放射される音圧レベルが異なる複数のファン20A〜20Cを用いた場合においても正確に回転数制御を行うことができる。
さらに、送風ファン制御手段174は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図203の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。一方、消音機構が設けられていない領域がある場合、消音機構が設けられていないファンの回転数を低くすることで、その領域の騒音が小さくなり、同様に消音効果を得ることができる。
実施の形態87.
実施の形態86で示したファン個別制御(消音効果検出マイクロホンと関連性が高いファン20の情報を用いるファン個別制御)は、実施の形態86に係る消音機構とは異なる消音機構を備えた空気調和機においても実施可能である。なお、以下では、実施の形態83に係る室内機に実施の形態86で示したファン個別制御を採用した場合について説明する。また、本実施の形態87では、上述した実施の形態79〜実施の形態86との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態79〜実施の形態86と同一部分には同一符号を付している。
図206は、本発明の実施の形態87に係る室内機を示す正面図である。
本実施の形態87に係る室内機100が実施の形態83の室内機100と異なる点は、送風ファン制御手段174の構成のみである。なお、送風ファン制御手段174の構成は、実施の形態86の図204に示した構成と全く同じである。
次に、室内機100の動作について説明する。
実施の形態83と同様、室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
また、消音機構D〜Fの動作についても実施の形態83と全く同じであり、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213における騒音を抑制するよう動作する。
本実施の形態87に係る室内機100の場合、騒音・消音効果検出マイクロホン213には、ファン20Bからの騒音の他に、隣接するファン20A,20Cから放射される騒音(クロストークノイズ成分)も入ってくる。一方、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212にて検出されるクロストークノイズ成分は、騒音・消音効果検出マイクロホン213で検出されるクロストークノイズ成分と比べて小さくなる。騒音・消音効果検出マイクロホン211,212は、隣接するファンが1つのみ(ファン20B)だからである。このため、消音機構Fに比べて消音機構D、Eの消音効果が高くなる。
ファン20A〜20Cのファン個別制御は、実施の形態86で説明した内容とほとんど同様である。本実施の形態87のファン個別制御が実施の形態86で説明したファン個別と異なる点は、消音量算出手段138に入力されるS1〜S3が騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出した音圧レベルのデジタル値である点である。また、本実施の形態87のファン個別制御が実施の形態86で説明したファン個別制御と異なる点は、メモリー132に蓄積しておく送風ファン情報が、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出される音に対して最も関連性が高い騒音を放射するファン20の識別番号である点である。
このため、送風ファン制御手段174のファン個別制御回転数決定手段134Cは、消音量算出手段138で算出された消音量とメモリー132に記憶されている送風ファン情報に基づき、消音量が大きい騒音・消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高いファンの回転数を高くし、消音量が小さい騒音・消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高いファンの回転数を低くするようにファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態87に係る室内機100において、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Aであり、騒音・消音効果検出マイクロホン212で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Cであり、騒音・消音効果検出マイクロホン213で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Bであったとする。そして、騒音・消音効果検出マイクロホン211における消音量が−5dB、騒音・消音効果検出マイクロホン212における消音量が−5dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン213における消音量が−2dBであるとする。この場合、ファン個別制御回転数決定手段134Cは、ファン20A,20Cの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くするように各ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図206のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述したファン20A〜20Cの回転数の決定方法は、あくまでも一例である。本実施の形態87に係る室内機100において、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Aであり、騒音・消音効果検出マイクロホン212で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Cであり、騒音・消音効果検出マイクロホン213で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Bであったとする。そして、騒音・消音効果検出マイクロホン211における消音量が−5dB、騒音・消音効果検出マイクロホン212における消音量が−3dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン213における消音量が−2dBであるとする。この場合、ファン20Aの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くし、ファン20Cの回転数をそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。つまり、消音量が最も大きい消音効果検出マイクロホン191に関連性が高いファン20Aの回転数を高くし、消音量が最も小さい消音効果検出マイクロホン193に関連性が高いファン20Bの回転数を低くし、そのどちらでもないファン20Cの回転数はそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
ここで上述したように、本実施の形態87に係る室内機100の場合、隣接するファンからのクロストークノイズ成分の大小により、騒音・消音効果検出マイクロホン213の近辺の領域に比べて、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212の近辺の領域は消音量が大きくなる。一方、騒音・消音効果検出マイクロホン213の近辺の領域は消音量が小さくなる。そこで、複数のファン20A〜20Cを備えた本実施の形態87に係る室内機100においては、消音量が大きい消音効果検出マイクロホン191,192に関連性の高い騒音を放射しているファン20A,20Cの回転数を高くし、消音量が小さい消音効果検出マイクロホン193に関連性の高い騒音を放射しているファン20Bの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態87に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態87に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態87に係る室内機100においても、実施の形態83の図200及び図201で示した室内機100と同様に、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Fはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられたファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、本実施の形態87に係る室内機100においても、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、図206の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。一方、消音機構が設けられていないファンがある場合、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の効果を得ることができる。また、図200及び図201では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態87では、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213を制御スピーカー181〜183の下流側に設置したが、制御スピーカー181〜183の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213を設置してもよい。さらに、本実施の形態87では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン、信号処理装置をそれぞれ3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態87では、送風ファン制御手段174を制御装置281内のCPU131で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段174の構成についても図204に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態87では、送風ファン制御手段174は、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くし、かつ、消音量が小さい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
また、本実施の形態87では、ファンの回転数を制御するパラメーターとして騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213における消音量を用いているが、ファンの回転数を制御するパラメーターとしてその他のものを用いても勿論よい。例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が大きい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くしてもよい。また例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が小さい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くしてもよい。これら両方を行うようにしても勿論よい。
以上、本実施の形態87に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段174)が設けられている。送風ファン制御手段174は、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213における消音量のうち、消音量の大きい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くするように制御し、消音量の小さい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音量が大きい領域はさらに消音効果が高くなり、消音量が小さい領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、本実施の形態87にかかる室内機100においては、消音量が大きい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンを特定しているため、放射される音圧レベルが異なる複数のファン20A〜20Cを用いた場合においても正確に回転数制御を行うことができる。
さらに、送風ファン制御手段174は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Fはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図206の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。一方、消音機構が設けられていない領域がある場合、消音機構が設けられていないファンの回転数を低くすることで、その領域の騒音が小さくなり、同様に消音効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態87では騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193を騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減し、さらにコストを下げることができる。
実施の形態88.
<風路モジュール連結>
従来より、異なる空調能力の空気調和機を製造する場合、空気調和機の各ユニットの大きさを異ならせることにより、空気調和機の空調能力を調整している。例えば、上記の各実施の形態で示した室内機100の場合、所望の空調能力に応じて、熱交換器50の幅方向(ケーシング1の幅方向と同じ方向)の長さを調整することとなる。また、これに応じて、所望の送風能力を確保できる数のファン20をケーシング1に搭載するため、ケーシング1では、吸込口2の個数や幅方向の長さを調整することとなる。このため、異なる空調能力の室内機100を取り揃えようとした場合、室内機100を構成する各ユニット毎に種々の大きさのものを製造しておく必要が生じ、室内機100がコストアップしてしまう場合がある。このような場合、室内機100を構成する各ユニットの少なくとも一部を以下のようにモジュール化することにより、室内機100のコストアップを防止することができる。なお、本実施の形態88においては、実施の形態1〜実施の形態87と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図207は、本発明の実施の形態88に係る室内機を示す斜視図である。また、図208は、この室内機の風路モジュールを示す斜視図である。なお、図207は、室内機100の組立途中を示すものであり、図の上側が室内機100の前面側となっている。また、図208は図の前側が室内機100の前面側となっている。
本実施の形態88に係る室内機100は、複数の風路モジュール101を室内機100の幅方向に連結することにより構成されている。
風路モジュール101は、中空となった略直方体形状をしている。そして、風路モジュール101の上部には吸込口2が開口形成され、風路モジュール101の下部(より詳しくは、風路モジュール101の前面部下側)には吹出口3が形成されている。風路モジュール101の吸込口2には、ファン20が設けられている。つまり、風路モジュール101内には、吸込口2から吹出口3へ至る風路が形成されている。また、風路モジュール101の両側面部(左側側面部及び右側側面部)には、熱交換器50が挿入される開口部101aが形成されている。
このように構成された複数の風路モジュール101は、室内機100の幅方向に連結すされる。これら風路モジュール101を連結する場合、例えば図207に示すように、風路モジュール101を横置きにして1枚のベース部材105上に配置し、各風路モジュール101を連結していく。そして、これら風路モジュール101の開口部101aに熱交換器50が挿入されることにより、各風路モジュール101の風路内に熱交換器50が設置される。各風路モジュール101の風路内において、熱交換器50は、ファン20よりも下流側となり吹出口3よりも上流側となる位置に設けられることとなる。つまり、各風路モジュール101の風路内において、ファン20によって吸込口2から風路モジュール101内に吸い込まれた室内空気は、ファン20の下流側に配置された熱交換器50で熱交換し、空調空気となって吹出口3から吹き出される。
ベース部材105上で室内機100の幅方向に連結されたこれら風路モジュール101は、その前面部(組立途中を示す図207では上部となる部分)に1枚の意匠パネル106が設けられ、両側面部にサイドパネル107が設けられる。これにより、室内機100が完成する。
つまり、室内機100が壁面に取り付けられた状態においては、ベース部材105が壁面に取り付けられる部材となり、意匠パネル106が室内機100の前面部となり、サイドパネル107が室内機100の側面部となる。換言すると、本実施の形態88に係る室内機100においては、上記の各実施の形態で示したケーシング1が、ベース部材105、意匠パネル106、サイドパネル107、風路モジュール101の上部、及び風路モジュール101の下部により形成されることとなる。また、風路モジュール101の側面部は、仕切り板90及び仕切り板90aとして機能することとなる。
なお、図207及び図208には図示していないが、気流の吹出し方向を制御する上下ベーン70及び左右ベーン80、室内機100に設けられた各モーター(例えばファンモーター30等)を駆動するための回路、熱交換器50と室外機とを接続する冷媒配管、ドレンを排出するドレンホース117等、室内機100を構成する上で必要な部品が設けられていることは言うまでもない。
このように構成された室内機100においては、同一構成の風路モジュール101を室内機100の幅方向(正面視幅方向)に連結することにより、風路モジュール101の個数に応じて空調能力の異なる室内機100を製造することが可能となる。このため、異なる空調能力の室内機100を取り揃える場合(空調能力別の製品ラインナップを構築する場合)でも、製造する部品点数を大幅に減らすことができ、室内機100のコストを削減することができる。
また、本実施の形態88に係る室内機100においては、風路モジュール101毎に風路が区切られているので、実施の形態1等で示したようなケーシング1内の風路を仕切り板で区切った室内機100と同様に、隣接するファン20同士の旋回流の干渉を防止することができる。
また、本実施の形態88に係る室内機100においては、各風路モジュール101に設けられたファン20の回転数(つまり風量)を個別に制御することにより、各風路モジュール101毎に、吹出口3から吹き出される気流の風量を制御することができる。このため、本実施の形態88に係る室内機100は、実施の形態35〜実施の形態38で示した室内機100や、実施の形態59〜実施の形態61で示した室内機100と同様に、気流制御性も格段に向上する。
また、1つの風路モジュール101に対して1つのファン20を備えるのが理想的であるが、図209に示すように、1つの風路モジュール101に複数のファン20を備えても勿論よい。図209のように風路モジュール101を構成しても、コスト低減効果や気流制御性の向上を損ねるものでないことは明らかである。
なお、本実施の形態88では、熱交換器50、ベース部材105及び意匠パネル106をモジュールとして分割しない例を示している。ベース部材105をモジュールとして分割しないことにより、室内機100の幅方向(正面視幅方向)に長尺となるベース部材105を設けることができ、組立て後における室内機100の強度が向上する。また、熱交換器50をモジュールとして分割した場合、各風路モジュール101を連結する際に熱交換器50同士を冷媒配管で接続することが必要になるが、熱交換器50を一体で構成することにより、熱交換器50同士を冷媒配管で接続することが不要となる。このため、熱交換器50をモジュールとして分割しないことにより、組立て性の向上と接続部品の削減が可能となる。また、意匠パネル106をモジュールとして分割しないことにより、意匠パネル106の接続部において意匠性が損なわれるのを防ぐことができる。ただし、これらの部品を含め、室内機100を構成するすべて主要部品(ユニット)をモジュール化して併設しても勿論よい。室内機100を構成するすべて主要部品(ユニット)をモジュール化して併設しても、室内機100の一次機能である空気調和能力を損ねるものでないことは言うまでもない。
実施の形態89.
室内機100を構成する各ユニットの少なくとも一部をモジュール化した場合でも、能動的消音機構を用いることにより、室内機100の騒音を抑制することができる。なお、本実施の形態89おいて、特に記述しない項目については実施の形態88と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図210は、本発明の実施の形態89に係る風路モジュールを示す斜視図である。
本実施の形態89に係る風路モジュール101には、風路モジュール101内の略ダクト状となった風路で騒音を消音するため、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を備えた消音機構が設けられている。また、本実施の形態89に係る風路モジュール101の風路(つまり、騒音の伝播経路)は、平面視略四角形状をしている。そして、その短辺の長さは、17cm(耳障りな2kHz程度以下の音波の波長)以下となっている。なお、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191の設置位置は、図210の位置に限られるものではない。所望の効果に応じて、上記の実施の形態で示した位置に騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を設置すればよい。また、本実施の形態89に係る風路モジュール101を用いて室内機100を製造する工程は、実施の形態88と同様である。
このように風路モジュール101を構成することにより、耳障りな2kHz程度以下の音波の波長を風路モジュール101内で平面波化でき、消音機構の消音効果を向上することができる。
なお、風路モジュール101に設けられる能動的消音機構は、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を備えた消音機構に限定されるものではない。例えば図211に示すように、制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211を備えた消音機構を風路モジュール101に設けても勿論よい。これら制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置は、所望の効果に応じて、上記の実施の形態で示した位置とすればよい。
このように風路モジュール101を構成することにより、騒音検出マイクロホン161が不要になる分だけ消音機構が安価となるので、図210で示した風路モジュール101よりも安価な風路モジュール101を得ることができる。