JP5591334B2 - 空気調和機の室内機、及び空気調和機 - Google Patents

空気調和機の室内機、及び空気調和機 Download PDF

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Description

本発明は、ファンと熱交換器とをケーシング内に収納した室内機、及びこの室内機を備えた空気調和機に関するものである。
従来から、ファンと熱交換器とをケーシング内に収納した空気調和機が存在する。そのようなものとして、「空気入り口及び空気出口を有する本体ケーシングと、該本体ケーシング内に配設された熱交換器とからなる空気調和機であって、前記空気出口には、複数の小型プロペラファンを前記空気出口の幅方向に併設して構成されたファンユニットを配設した空気調和機」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この空気調和機は、空気出口にファンユニットを配設し、気流の方向制御を容易にするとともに、吸込口にも同一構成のファンユニットを設けることで、風量増加による熱交換器性能を向上するようにしている。
特開2005−3244号公報(段落0012,0013,0018〜0021、図5及び図6)
特許文献1のような空気調和機は、ファンユニット(送風機)の上流側に熱交換器が設けられている。このため、空気出口側に可動ファンユニットを設けているため、ファン可動に伴う風路変化や非対称吸い込みによる流れの不安定性から、風量低下や逆流等を引き起こす原因となる。さらに、流れの乱れた空気がファンユニットに流入することとなる。
したがって、特許文献1のような空気調和機は、流速が速くなるファンユニットの羽部(プロペラ)外周部に流入する空気の流れが乱れ、ファンユニット自体が騒音の音源となってしまう(騒音悪化の原因となってしまう)という問題点があった。
さらに、隣接するファンが発生する旋回流の影響により、熱交換器での圧力損失が上昇してしまうという問題点や、熱交換器に流入する空気の風速分布のバラツキが発生してしまうという問題点があった。
本発明は、上述のような課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであり、熱交換器に流入する空気の風速分布のバラツキを改善し、熱交換器での圧力損失の上昇を抑制することが可能な室内機、及びこの室内機を備えた空気調和機を得ることを目的とする。
本発明に係る空気調和機の室内機は、上部に吸込口が形成され、前面部下側に吹出口が形成されたケーシングと、ケーシング内の吸込口の下流側に設けられた複数の軸流型又は斜流型のファンと、ケーシング内のファンの下流側であって、吹出口の上流側に設けられ、ファンから吹き出された空気と冷媒とが熱交換する熱交換器と、を備え、複数のファンは、ケーシングの左右方向に沿って並設されており、平面視において、隣接するファンは、互いの回転方向が逆方向となっており、熱交換器は、前面側に配置された前面側熱交換器と、背面側に配置された背面側熱交換器と、を有し、前面側熱交換器を流れる空気の流量は、背面側熱交換器を流れる空気の流量よりも小さくなるよう構成され、ファンが熱交換器の上流側のみに備えられているものである。
また、本発明に係る空気調和機の室内機は、上部に吸込口が形成され、前面部下側に吹出口が形成されたケーシングと、ケーシング内の吸込口の下流側に設けられた複数の軸流型又は斜流型のファンと、ケーシング内のファンの下流側であって、吹出口の上流側に設けられ、ファンから吹き出された空気と冷媒とが熱交換する熱交換器と、を備え、複数のファンは、ケーシングの左右方向に沿って並設されており、平面視において、隣接するファンは、互いの回転方向が逆方向となっており、熱交換器は、前面側に配置された前面側熱交換器と、背面側に配置された背面側熱交換器と、を有し、前面側熱交換器の伝熱面積と背面側熱交換器の伝熱面積とが異なり、ファンは、前面側熱交換器の伝熱面積及び背面側熱交換器の伝熱面積に応じた風量を、前面側熱交換器及び背面側熱交換器に供給するように配置され、ファンが熱交換器の上流側のみに備えられているものである。
また、本発明に係る空気調和機は、上記の室内機を備えたものである。
本発明においては、隣接するファンが発生する旋回流の影響を低減できるので、熱交換器に流入する空気の風速分布のバラツキを改善し、熱交換器での圧力損失の上昇を抑制することができる。このため、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。
本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機を示す外観斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る室内機を前面右側から見た斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る室内機を背面右側から見た斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る室内機を前面左側から見た斜視図である。 本発明の実施の形態1に係るドレンパンを示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る室内機の結露発生位置を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係る信号処理装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機の別の一例を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態2に係る室内機を示す斜視図である。 本発明の実施の形態2に係る室内機におけるファン回転方向とケーシング内に発生する気流との関係を示す説明図である。 本発明の実施の形態2に係る室内機の平面断面図である。 本発明の実施の形態2に係る室内機の平面断面図である。 本発明の実施の形態3に係る室内機の平面断面図である。 本発明の実施の形態4に係る室内機の平面断面図である。 本発明の実施の形態5に係る室内機の平面断面図である。 本発明の実施の形態6に係る室内機の縦断面図である。 本発明の実施の形態7に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態8に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態9に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態10に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態11に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態12に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態13に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態14に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態15に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態16に係る室内機を示す縦断面図である。 熱交換器50の構成例を説明するための概略図である。 本発明の実施の形態17に係るファンの一例を示す正面図である。 羽根の設置構成(設置姿勢や設置枚数等)と空力性能との関係を説明する説明図である。 本発明の実施の形態17に係るファンの別の一例を示す正面図である。 本発明の実施の形態17に係るファンのさらに別の一例を示す正面図である。 本発明の実施の形態18に係るファンの一例を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態18に係るファンの別の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態18に係る凸部の一例を示す要部拡大図(縦断面図)である。 本発明の実施の形態18に係る凸部の別の一例を示す要部拡大図(縦断面図)である。 本発明の実施の形態18に係る凸部のさらに別の一例を示す要部拡大図(縦断面図)である。 羽根周辺部に発生する、ファン効率の低下原因となる気流の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態18に係る凸部先端部の別の一例を示す要部拡大図(縦断面図)である。 本発明の実施の形態19に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態20に係る室内機における吹出口の風速分布の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態20に係る室内機における吹出口の風速分布の別の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態20に係る室内機の吹出口近傍を示す要部拡大図(正面断面図)である。 本発明の実施の形態21に係る室内機において各ファンの風量を同一にした場合の吹出口の風速分布を示す説明図である。 本発明の実施の形態21に係る室内機が低風量モードで運転する場合における吹出口の風速分布の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態21に係る室内機における同一風量時の中央部ファンの風量低減率と騒音低減効果の関係を示す特性図である。 本発明の実施の形態22に係る室内機における吹出口の風速分布の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係る室内機のノズル内の気流を説明するための説明図(縦断面図)である。 本発明の実施の形態24に係る室内機を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態24に係る室内機の別の一例を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係る室内機の内部で発生する気流を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態1に係る室内機の内部で発生する気流を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態25に係る室内機のノズル形状の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態25に係る室内機のノズル形状の別の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態25に係る室内機のノズル形状のさらに別の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態26に係る室内機を示す平面断面図である。 本発明の実施の形態26に係る室内機の別の一例を示す平面断面図である。
以下、本発明に係る空気調和機(より詳しくは、空気調和機の室内機)の具体的な実施の形態について説明する。なお、実施の形態1では、空気調和機の室内機を構成する各ユニットの基本構成について説明する。また、実施の形態17以降において、各ユニットの詳細構成又は別の実施例について説明する。また、以下の各実施の形態では、壁掛け型の室内機を例に本発明を説明する。また、各実施の形態で示す図では、各ユニット(又は各ユニットの構成部材)の形状や大きさ等が一部異なる場合もある。
実施の形態1.
<基本構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機(室内機100と称する)を示す縦断面図である。また、図2は、この室内機を示す外観斜視図である。なお、本実施の形態1及び後述する実施の形態では、図1の左側を室内機100の前面側として説明する。以下、図1及び図2に基づいて、室内機100の構成について説明する。
(全体構成)
この室内機100は、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで、室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。室内機100は、主に、室内空気を内部に吸い込むための吸込口2及び空調空気を空調対象域に供給するための吹出口3が形成されているケーシング1と、このケーシング1内に収納され、吸込口2から室内空気を吸い込み、吹出口3から空調空気を吹き出すファン20と、ファン20から吹出口3までの風路に配設され、冷媒と室内空気とで熱交換することで空調空気を作り出す熱交換器50と、を有している。そして、これらの構成要素によりケーシング1内に風路(矢印Z)が連通されている。吸込口2は、ケーシング1の上部に開口形成されている。吹出口3は、ケーシング1の下部(より詳しくは、ケーシング1の前面部下側)に開口形成されている。ファン20は、吸込口2の下流側でかつ、熱交換器50の上流側に配設されており、例えば軸流ファン又は斜流ファン等で構成されている。
また、室内機100には、ファン20の回転数、及び後述する上下ベーン70及び左右ベーン80の向き(角度)等を制御する制御装置281を備えている。なお、本実施の形態1及び後述する各実施の形態に示す図面には、制御装置281の図示を省略する場合もある。
このように構成された室内機100においては、ファン20が熱交換器50の上流側に設けられているので、吹出口3にファン20が設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布のバラツキの発生を抑制することができる。このため、空調対象域への快適な送風が可能となる。また、吹出口3にファン等の複雑な構造物がないため、冷房運転時に暖気と冷気の境界で生じる結露の対策も容易となる。さらに、ファンモーター30が空調空気である冷気や暖気にさらされることがないため、長時間の運転寿命を提供することができる。
(ファン)
一般的に、空気調和機の室内機は設置スペースに制約があるため、ファンを大きくできないことが多い。このため、所望の風量を得るために、適度な大きさのファンを複数並列に配置する。本実施の形態1に係る室内機100は、図2に示すように、ケーシング1の長手方向(換言すると、吹出口3の長手方向)に沿って、3個のファン20が並列に配置されている。現在の一般的な空気調和機の室内機の寸法において所望の熱交換能力を得るには、ファン20はおよそ2個〜4個が好ましい。本実施の形態1に係る室内機においては、ファン20はすべて同一形状で構成され、動作回転数をすべて等しく運転することにより全てのファン20でほぼ等しい送風量を得ることができる。
このように構成することにより、必要風量や室内機100内部の通風抵抗に応じてファン20の個数、形状及び大きさ等を組合せることで、多様なスペックの室内機100に対応した最適ファン設計が可能となる。
(ベルマウス)
本実施の形態1に係る室内機100には、ファン20の周りに、ダクト上のベルマウス5が配置されている。ベルマウス5は、ファンへの吸気と排気を滑らかに誘導するためのものである。図1に示すように、本実施の形態1に係るベルマウス5は、平面視において略円形状をしている。また、縦断面において、本実施の形態1に係るベルマウス5は次のような形状をしている。上部5aは、その端部が上方に向かって広がる略円弧形状をしている。中央部5bは、ベルマウスの直径が一定となったストレート部分となっている。下部5cは、その端部が下方に向かって広がる略円弧形状をしている。そして、ベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)で吸込口2を形成している。
本実施の形態1の図1で示したベルマウス5は、ファン20の羽根車の高さより高く構成されたダクト形状となっているが、それに限定したものではなく、ベルマウス5の高さがファン20の羽根車の高さより低く構成されている半開放型のベルマウスでもよい。さらに、ベルマウス5は、図1に示す5bのストレート部分がなく、端部の5a,5cのみで構成されていてもよい。
なお、ベルマウス5は、部品点数の削減や強度向上のため、例えばケーシング1と一体で形成してもよい。また例えば、ベルマウス5、ファン20及びファンモーター30等でモジュール化し、これらとケーシング1を着脱可能な構成として、メンテナンス性を向上してもよい。
また、本実施の形態1においては、ベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)は、ベルマウス5の開口面の周方向に対して、一様形状で構成されている。つまり、ファン20の回転軸20aを中心とした回転方向に対して、ベルマウス5は切り欠きやリブ等の構造が無く、軸対称性を有した一様な形状をしている。
このようにベルマウス5を構成することにより、ファン20の回転に対してベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)が一様な形状をしているので、ファン20の吸込み流れとしても一様な流れが実現される。このため、ファン20の吸込み流れの偏流によって発生する騒音を低減することができる。
(仕切り板について)
図2に示すように、本実施の形態1に係る室内機100は、隣接したファン20の間に、仕切り板90が設けられている。これら仕切り板90は、熱交換器50とファン20の間に設置されている。つまり、熱交換器50とファン20の間の風路が、複数の風路(本実施の形態1では3つ)に分割されている。仕切り板90は、熱交換器50とファン20の間に設置されるため、熱交換器50に接する側の端部が熱交換器50に沿った形状となっている。より詳しくは、図1に示すように、熱交換器50は、室内機100の前面側から背面側にかけての縦断面(つまり、室内機100を右側から見た縦断面。以下、右側縦断面と称する)において、略Λ型に配置されている。このため、仕切り板90の熱交換器50側端部も略Λ型となっている。
なお、仕切り板90のファン20側端部の位置は、例えば次のように決定すればよい。隣接するファン20が吸込側において互いに影響を生じない程度に十分離れている場合、仕切り板90のファン20側の端部は、ファン20の出口面までとすればよい。しかし、隣接するファン20が吸込側において互いに影響を及ぼす程度に近づいている場合で、さらにベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)の形状が十分に大きく形成できる場合、仕切り板90のファン20側の端部は、隣接する風路に影響を与えないように(隣接するファン20が吸込側において互いに影響を及ぼさないように)、ファン20の上流側(吸入側)まで延設してもよい。
また、仕切り板90は、種々の材質で形成することができる。例えば、スチールやアルミ等の金属で仕切り板90を形成してもよい。また例えば、樹脂等で仕切り板90を形成してもよい。ただし、熱交換器50は暖房運転のときに高温となるため、仕切り板90が樹脂等のような低融点の材質で形成されている場合、仕切り板90と熱交換器50との間にわずかな空間を形成するとよい。仕切り板90がアルミやスチール等の融点が高い材質の場合、仕切り板90を熱交換器50と接するように配置してもよい。熱交換器50が例えばフィンチューブ型熱交換器の場合、熱交換器50のフィン間に仕切り板90を挿入してもよい。
上述したように、熱交換器50とファン20の間の風路が、複数の風路(本実施の形態1では3つ)に分割されている。この風路内、つまり、仕切り板90やケーシング1等に吸音材を設けて、ダクト内で生じる騒音を低減することもできる。
また、これら分割された風路は、平面視において、一辺がL1及びL2となった略四角形状に形成されている。つまり、分割された風路の幅が、L1及びL2となっている。このため、例えば、L1,L2で形成された略四角形状の内部に設置されたファン20が生じる風量は、確実にファン20の下流にあるL1,L2で囲まれた領域の熱交換器50を通過する。
このようにケーシング1内の風路を複数の風路に分割することにより、ファン20が下流に作る流れ場が旋回成分を有していても、各ファン20から吹き出された空気が室内機100の長手方向(図1紙面直交方向)に自由に移動できなくなる。このため、ファン20が吹き出した空気は、このファン20の下流にあるL1,L2で囲まれた領域の熱交換器50に通過させることが可能となる。その結果として、熱交換器50全体に流入する室内機100の長手方向(図1紙面直交方向)の風量分布のバラツキを抑制し、高い熱交換性能を有すことができる。また、ケーシング1内を仕切り板90で分断することで、互いに隣接したファン20同士において、隣接したファン20の発生する旋回流との干渉を防ぐことができる。このため、旋回流同士の干渉による流体のエネルギーのロスを抑制することができ、風速分布の改善と合わせて、室内機100の圧力損失低減が可能となる。なお、各仕切り板90は一枚の板で形成されている必要はなく、複数の板で形成されていてもよい。例えば、仕切り板90を前面側熱交換器51側と背面側熱交換器55側で二分割してもよい。言うまでもなく仕切り板90を構成する各板どうしの接合箇所には隙間はない方が好ましい。仕切り板90を複数に分割することにより、仕切り板90の組み付け性が向上する。
(ファンモーター)
ファン20はファンモーター30で回転駆動される。用いられるファンモーター30は、インナーローター型でもよいし、アウターローター型でもよい。アウターローター型のファンモーター30の場合には、ローターをファン20のボス21と一体にした構造(ボス21にローターを持たせる)のものも用いられる。また、ファンモーター30の寸法をファン20のボス21の寸法よりも小さくすることで、ファン20の生成する気流に損失を与えることを防止できる。さらに、ボス21の内部にモーターを配設することで、軸方向寸法も小さくすることができる。ファンモーター30とファン20を着脱容易な構造とすることにより、メンテナンス性も向上する。
なお、ファンモーター30として比較的コストの高いDCブラシレスモーターを用いることにより、効率の向上、長寿命化及び制御性の向上を図ることができるが、他の形式のモーターを採用しても空気調和機としての一次機能が満足されることは言うまでもない。 また、ファンモーター30駆動用の回路は、ファンモーター30と一体にしてもよいし、外部で構成して防塵、防火対策を施すこともできる。
ファンモーター30は、モーターステイ16により、ケーシング1に取り付けられている。さらに、ファンモーター30をCPU冷却等に用いられるボックス型(ファン20、筐体、ファンモーター30、ベルマウス5、及びモーターステイ16等が一体でモジュール化されているもの)とし、ケーシング1と着脱可能な構造とすれば、メンテナンス性が向上し、ファン20のチップクリアランスの精度も高くすることができる。一般に、チップクリアランスが狭い方が、送風性能が高く好ましい。
なお、ファンモーター30の駆動回路は、ファンモーター30内部に構成しても良いし、外部にあってもよい。
(モーターステイ)
モーターステイ16は、固定部材17及び支持部材18を備えている。固定部材17は、ファンモーター30が取り付けられるものである。支持部材18は、固定部材17をケーシング1へ固定するための部材である。支持部材18は、例えば棒状のものであり、固定部材17の外周部から例えば放射状に延設されている。図1に示すように、本実施の形態1に係る支持部材18は、およそ水平方向に延設されている。なお、支持部材18は、翼形状や板形状として静翼効果を与えてもよい。
(熱交換器)
本実施の形態1に係る室内機100の熱交換器50は、ファン20の風下側に配置されている。この熱交換器50には、例えばフィンチューブ型熱交換器等を用いるとよい。熱交換器50は、図1に示すように、右側縦断面において、対称線50aで分断されている。対称線50aは、この断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。つまり、前面側熱交換器51は対称線50aに対して前面側(図1の紙面左側)に、背面側熱交換器55は対称線50aに対して背面側(図1の紙面右側)に、それぞれ配置されている。そして、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との間の間隔が空気の流れ方向に対して広がるように、つまり右側縦断面において熱交換器50の断面形状が略Λ型となるように、ケーシング1内に配置されている。つまり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して傾斜を有するように配置されているのである。
さらに、熱交換器50は、背面側熱交換器55の風路面積が前面側熱交換器51の風路面積よりも大きくなっていることを特徴としている。つまり、熱交換器50は、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。本実施の形態1では、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。これにより、背面側熱交換器55の風路面積は、前面側熱交換器51の風路面積よりも大きくなっている。なお、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のその他の構成(図1における奥行き方向の長さ等)は、同じとなっている。つまり、背面側熱交換器55の伝熱面積は、前面側熱交換器51の伝熱面積よりも大きくなっている。また、ファン20の回転軸20aは、対称線50aの上方に設置されている。
このように熱交換器50を構成することにより、吹出口にファンが設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布の発生を抑制することができる。また、このように熱交換器50を構成することにより、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなる。そして、この風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。
また、本実施の形態1に係る室内機100においては、背面側熱交換器55から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態1に係る室内機100は、右側縦断面において熱交換器50を略v型に配置する場合と比べて、熱交換器50を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。
室内機100は、ファン20を複数個有するため、重量が重くなりがちである。室内機100が重くなると、室内機100を据付けするための壁面の強度が必要とされ、据付け上の制約となる。このため、熱交換器50の軽量化を図ることが好ましい。また、室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20を配置するので、室内機100の高さ寸法が大きくなり、据付け上の制約となりがちである。このため、熱交換器50を軽量化することが好ましい。また、熱交換器50を小型化することが好ましい。
そこで、本実施の形態1では、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)としてフィンチューブ型熱交換器を用い、熱交換器50の小型化を図っている。より詳しくは、本実施の形態1に係る熱交換器50は、所定の間隙を介して積層された複数のフィン56と、これらフィン56を貫通する複数の伝熱管57と、を備えている。本実施の形態1では、ケーシング1の左右方向(図1の紙面直交方向)に、フィン56を積層している。つまり、伝熱管57は、ケーシング1の左右方向(図1の紙面直交方向)に沿って、フィン56を貫通している。また、本実施の形態1では、熱交換器50の熱交換効率を向上させるため、熱交換器50の通風方向(フィン56の幅方向)に伝熱管57を2列配置している。これら伝熱管57は、右側縦断面において略千鳥形状に配置されている。
また、伝熱管57を直径が細い(直径3mm〜7mm程度)円管で構成し、伝熱管57を流れる冷媒(室内機100及びこの室内機100を備えた空気調和機に用いられる冷媒)をR32とすることにより、熱交換器50の小型化を図っている。つまり、熱交換器50は、伝熱管57の内部を流れる冷媒と室内空気とがフィン56を介して熱交換するものである。このため、伝熱管57を細くした場合、伝熱管の径が太い熱交換器と比べ、同一冷媒循環量では冷媒の圧力損失が大きくなる。しかしながら、R32は、R410Aと比べ、同一温度における蒸発潜熱が大きく、より少ない冷媒循環量で同一能力を発揮できる。このため、R32を使用することにより、使用する冷媒量の削減が可能となり、熱交換器50において圧力損失の低減ができる。したがって、伝熱管57を細い円管で構成し、冷媒としてR32を用いることにより、熱交換器50を小型化することができる。
また、本実施の形態1に係る熱交換器50では、フィン56及び伝熱管57をアルミニウム又はアルミニウム合金で形成することにより、熱交換器50の軽量化を図っている。なお、熱交換器50の重量が据付状の制約とならない場合、伝熱管57を銅で構成しても勿論よい。
(フィンガーガード&フィルター)
また、本実施の形態1に係る室内機100は、吸込口2に、フィンガーガード15やフィルター10が設けられている。フィンガーガード15は、回転するファン20に手を触れることができないようにする目的で設置されているものである。このため、フィンガーガード15の形状は、ファン20に手を触れることができなければ任意である。例えば、フィンガーガード15の形状は、格子状でもよいし、多数の大小異なるリングで構成されたような円形状でもよい。また、フィンガーガード15は、樹脂等の材料で構成しても金属の材料で構成してもよいが、強度が必要な場合、金属で構成することが望ましい。また、フィンガーガード15は、通風抵抗の低下と強度の保持の観点からできるだけ細く、強い材料や形状が好ましい。フィルター10は、室内機100の内部へ粉塵が流入することを防止するために設けられているものである。フィルター10は、着脱自在にケーシング1に設けられている。また、図示しないが、本実施の形態1に係る室内機100は、フィルター10を自動で掃除する自動清掃機構を備えていてもよい。
(風向制御ベーン)
また、本実施の形態1に係る室内機100は吹出口3に、気流の吹出し方向を制御する機構である上下ベーン70と左右ベーン(図示せず)が設けられている。
(ドレンパン)
図3は、本発明の実施の形態1に係る室内機を前面右側から見た斜視図である。図4は、この室内機を背面右側から見た斜視図である。図5は、この室内機を前面左側から見た斜視図である。また、図6は、本発明の実施の形態1に係るドレンパンを示す斜視図である。なお、ドレンパンの形状の理解を容易とするため、図3及び図4では室内機100の右側を断面で示し、図5では室内機100の左側を断面で示している。
前面側熱交換器51の下端部(前面側熱交換器51の前面側端部)の下方には、前面側ドレンパン110が設けられている。背面側熱交換器55の下端部(背面側熱交換器55の背面側端部)の下方には、背面側ドレンパン115が設けられている。なお、本実施の形態1では、背面側ドレンパン115とケーシング1の背面部1bが一体で形成されている。この背面側ドレンパン115には、左側端部及び右側端部の双方に、ドレンホース117が接続される接続口116が設けられている。なお、接続口116の双方へドレンホース117を接続する必要はなく、どちらか一方の接続口116へドレンホース117を接続すればよい。例えば、室内機100の据付工事の際に室内機100の右側へドレンホース117を引き出したい場合、背面側ドレンパン115の右側端部に設けられた接続口116へドレンホース117を接続し、背面側ドレンパン115の左側端部に設けられた接続口116はゴムキャップ等で閉塞すればよい。
前面側ドレンパン110は、背面側ドレンパン115よりも高い位置に配置されている。また、前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115との間には、左側端部及び右側端部の双方に、ドレンの移動路となる排水路111が設けられている。排水路111は、前面側の端部が前面側ドレンパン110と接続されており、前面側ドレンパン110から背面側ドレンパン115に向かって下方に傾斜するように設けられている。また、排水路111の背面側の端部には、舌部111aが形成されている。排水路111の背面側の端部は、背面側ドレンパン115の上面に覆い被さるように配置されている。
冷房運転時、熱交換器50で室内空気が冷却される際、熱交換器50に結露が発生する。そして、前面側熱交換器51に付着した露は、前面側熱交換器51の下端部から滴下し、前面側ドレンパン110で回収される。背面側熱交換器55に付着した露は、背面側熱交換器55の下端部から滴下し、背面側ドレンパン115で回収される。
また、本実施の形態1では背面側ドレンパン115よりも高い位置に前面側ドレンパン110を設けているので、前面側ドレンパン110で回収されたドレンは、背面側ドレンパン115の方へ向かって排水路111を流れる。そして、このドレンは、排水路111の舌部111aから背面側ドレンパン115へ滴下し、背面側ドレンパン115で回収される。背面側ドレンパン115で回収されたドレンは、ドレンホース117を通って、ケーシング1(室内機100)の外部へ排出される。
本実施の形態1のように、背面側ドレンパン115よりも高い位置に前面側ドレンパン110を設けることにより、両ドレンパンで回収されたドレンを、背面側ドレンパン115(最もケーシング1の背面側に配置されたドレンパン)に集めることができる。このため、背面側ドレンパン115にドレンホース117の接続口116を設けることにより、前面側ドレンパン110及び背面側ドレンパン115で回収されたドレンをケーシング1の外部へ排出することができる。したがって、ケーシング1の前面部等を開けて室内機100のメンテナンス(熱交換器50の清掃等)を行う場合等、ドレンホース117の接続されたドレンパンを着脱等する必要がなく、メンテナンス等の作業性が向上する。
また、排水路111が左側端部及び右側端部の双方に設けられているので、室内機100が傾いた状態で設置されても、前面側ドレンパン110で回収されたドレンを確実に背面側ドレンパン115へ導くことができる。また、ドレンホース117を接続する接続口が左側端部及び右側端部の双方に設けられているので、室内機100の据付条件に応じてホースの引き出し方向を選択することができ、室内機100を設置する際の作業性が向上する。また、排水路111が背面側ドレンパン115の上方に覆い被さるように配置されているので(つまり、排水路111と背面側ドレンパン115との間に接続機構が不要となるので)、前面側ドレンパン110を着脱することが容易となり、メンテナンス性がより向上する。
なお、排水路111の背面側の端部を背面側ドレンパン115と接続し、前面側ドレンパン110が排水路111の上方に覆い被さるように、排水路111を配置してもよい。このような構成でも、排水路111が背面側ドレンパン115の上方に覆い被さるように配置された構成と同様の効果を得ることができる。また、前面側ドレンパン110が背面側ドレンパン115よりも高い必要は必ずしもなく、前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115が同じ高さであっても、両ドレンパンで回収したドレンを背面側ドレンパン115に接続されたドレンホースから排出することができる。
(ノズル)
また、本実施の形態1に係る室内機100は、右側縦断面において、ノズル6の入り口側の開口長さd1(前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115部分との間で定義されるドレンパン間の絞り長さd1)が、ノズル6の出口側の開口長さd2(吹出口3の長さ)よりも大きく構成されている。つまり、室内機100のノズル6は、d1>d2となっている(図1参照)。
ノズル6がd1>d2となっているのは、次のような理由のためである。なお、d2は室内機の基本機能の一つである気流の到達性に影響するため、以下では、本実施の形態1に係る室内機100のd2が従来の室内機の吹出口と同程度の長さであるとして説明する。
縦断面におけるノズル6の形状をd1>d2とすることにより、空気の風路が大きくなると共に、上流側に配置された熱交換器50の角度A(熱交換器50の下流側における前面側熱交換器51と背面側熱交換器55とがなす角度)を大きくすることが可能となる。このため、熱交換器50に生じる風速分布が緩和されると共に、熱交換器50の下流の空気の風路を大きく形成できるため、室内機100全体の圧力損失の低減が可能となる。さらに、ノズル6の入口付近に生じていた風速分布の偏りを、縮流する効果によって均一化し、吹出口3に案内することができる。
例えばd1=d2の場合、ノズル6の入口付近で生じた風速分布の偏り(例えば、背面側に偏った流れ)が、そのまま吹出口3における風速分布の偏りとなる。つまり、d1=d2の場合、風速分布の偏りを持った状態で、吹出口3から空気が吹き出される。また、例えばd1<d2の場合、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過した空気がノズル6の入口付近で合流する際、縮流損失が大きくなってしまう。このため、d1<d2の場合、吹出口3のディフューズ効果が得られなければ、縮流損失分の損失が発生する。
(ANC)
また、本実施の形態1に係る室内機100は、図1に示すように能動的消音機構が設置されている。
より詳しくは、本実施の形態1に係る室内機100の消音機構は、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191、及び信号処理装置201により構成されている。騒音検出マイクロホン161は、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)を検出する騒音検出装置である。この騒音検出マイクロホン161は、ファン20と熱交換器50との間に配置されている。本実施の形態1では、ケーシング1内の前面部に設けられている。制御スピーカー181は、騒音に対する制御音を出力する制御音出力装置である。この制御スピーカー181は、騒音検出マイクロホン161の下側であって、熱交換器50の上側に配置されている。本実施の形態1では、ケーシング1内の前面部に、風路の中央を向くように設けられている。消音効果検出マイクロホン191は、制御音による消音効果を検出する消音効果検出装置である。この消音効果検出マイクロホン191は、吹出口3から出てくる騒音を検出するため、吹出口3近傍に設けられている。また、消音効果検出マイクロホン191は、吹出口3から出てくる吹出空気に当たらないように、風流を避けた位置に取り付けられている。信号処理装置201は、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191の検出結果に基づき、制御スピーカー181に制御音を出力させる制御音生成装置である。信号処理装置201は、例えば制御装置281に収容されている。
図8は、本発明の実施の形態1に係る信号処理装置を示す構成図である。騒音検出マイクロホン161、及び消音効果検出マイクロホン191から入力された電気信号はマイクアンプ151により増幅され、A/D変換器152によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号はFIRフィルター158、及びLMSアルゴリズム159に入力される。FIRフィルター158では騒音検出マイクロホン161で検出した騒音が、消音効果検出マイクロホン191が設置されている場所に到達したときの騒音と同振幅・逆位相となるように補正をかけた制御信号を生成し、D/A変換器154によりデジタル信号からアナログ信号に変換された後、アンプ155により増幅され、制御スピーカー181から制御音として放出される。
空気調和機が冷房運転する場合等、図7に示すように、熱交換器50と吹出口3の間の領域Bは、冷気により温度が低下するため、空気中の水蒸気が水滴となって現れる結露が発生する。このため、室内機100には、吹出口3付近に水滴が吹出口3から出てこないようにするための水受け等(図示せず)が取り付けられている。なお、熱交換器50の上流である騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181が配置される領域は、冷気により冷やされる領域の上流にあたるため、結露が生じない。
次に室内機100の運転音の抑制方法について説明する。室内機100におけるファン20の送風音を含む運転音(騒音)は、ファン20と熱交換器50との間に取り付けられた騒音検出マイクロホン161で検出してマイクアンプ151、A/D変換器152を介してデジタル信号となり、FIRフィルター158とLMSアルゴリズム159に入力される。
FIRフィルター158のタップ係数はLMSアルゴリズム159により逐次更新される。LMSアルゴリズム159にてタップ係数は式1(h(n+1)=h(n)+2・μ・e(n)・x(n))に従って更新され、誤差信号eがゼロに近づくように最適なタップ係数が更新される。
なお、h:フィルターのタップ係数、e:誤差信号、x:フィルター入力信号、μ:ステップサイズパラメータであり、ステップサイズパラメータμはサンプリングごとのフィルター係数更新量を制御するものである。
このように、LMSアルゴリズム159でタップ係数が更新されたFIRフィルター158を通過したデジタル信号は、D/A変換器154にてアナログ信号に変換され、アンプ155で増幅され、ファン20と熱交換器50との間に取り付けられた制御スピーカー181から制御音として室内機100内の風路に放出される。
一方、室内機100の下端で、吹出口3から放出される風が当たらないように吹出口3の外側壁方向に取り付けられた消音効果検出マイクロホン191には、ファン20から風路を通って伝播し吹出口3から出てくる騒音に制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。上述したLMSアルゴリズム159の誤差信号には、消音効果検出マイクロホン191で検出された音を入力しているため、この干渉後の音がゼロに近づくようにFIRフィルター158のタップ係数が更新されることになる。その結果、FIRフィルター158を通過した制御音により吹出口3近傍の騒音を抑制することができる。
このように、能動的消音方法を適用した室内機100においては、騒音検出マイクロホン161と制御スピーカー181をファン20と熱交換器50との間に配置し、消音効果検出マイクロホン191を吹出口3からの風流が当たらない箇所に取り付けている。このため、結露が起きる領域Bに能動的消音の必要部材を取り付けなくて済むため、制御スピーカー181、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191への水滴の付着を防止し、消音性能の劣化やスピーカーやマイクロホンの故障を防ぐことができる。
なお、本実施の形態1で示した騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191の取り付け位置は、あくまでも一例である。例えば、図9に示すように、騒音検出マイクロホン161と制御スピーカー181と共に、消音効果検出マイクロホン191をファン20と熱交換器50との間に配置してもよい。また、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果の検出手段としてマイクロホンを例に挙げたが、ケーシングの振動を検知する加速度センサー等で構成されてもよい。また、音を空気流れの乱れとして捉え、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果を、空気流れの乱れとして検出してもよい。つまり、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果の検出手段として、空気流れを検出する流速センサー、熱線プローブ等を用いてもよい。マイクロホンのゲインを上げて、空気流れを検出することも可能である。
また、本実施の形態1では、信号処理装置201にてFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、消音効果検出マイクロホン191で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。さらに、信号処理装置201は適応信号処理ではなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしても良い。また、信号処理装置201はデジタル信号処理ではなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
さらに、本実施の形態1では結露が起こるような空気の冷却を行う熱交換器50を配置した場合について記載したが、結露が起きない程度の熱交換器50を配置する場合であっても適用でき、熱交換器50による結露発生の有無を考慮せずに騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191等の性能劣化を防止できる効果がある。
実施の形態2.
<仕切りレス化>
実施の形態1等では、仕切り板(仕切り板90等)でケーシング1内の風路を分割することにより、隣接するファン20同士の旋回流の影響を抑制した。本発明に係る室内機100は複数のファン20を備えているので、これらファン20の回転方向を以下のように設定することにより、仕切り板90を設けなくとも隣接するファン20同士の旋回流の影響を抑制できる。なお、本実施の形態2においては、実施の形態1と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図10は、本発明の実施の形態2に係る室内機を示す斜視図である。
本実施の形態2に係る室内機100においても、実施の形態1に係る室内機100と同様に、複数のファン20が設けられている。本実施の形態2に係る室内機100は、図10に示すように、3つのファン20がケーシング1の左右方向(長手方向)に沿って配設されている。これら3つのファン20は、ファン仕様(ファン形状等)が同じとなっている。また、本実施の形態2に係る室内機100は、ケーシング1内に仕切り板(仕切り板90等)が設けられていない構成となっている。なお、説明の便宜上、各ファン20を区別して説明する必要がある場合は、ケーシング1の左側から順にファン20A、ファン20B及びファン20Cと称することとする。
また、本実施の形態2では、各ファン20(ファン20A〜ファン20C)の回転方向を次のように設定している。
図11は、本発明の実施の形態2に係る室内機におけるファン回転方向とケーシング内に発生する気流との関係を示す説明図である。なお、この図11は、室内機100の平面断面図を示しており、図11の下側が室内機100の前面側となっている。また、図11では、熱交換器50の上端部のみを図示している。ここで、本実施の形態2〜実施の形態6においては、熱交換器50の上部に位置する変局部(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55の接続部)も上端部と称することとする。
図11に示すように、ファン20A〜ファン20Cの全てが同一方向に回転する場合、ケーシング1内に発生する気流は次のようになる。なお、図11では、室内機100を平面視した状態において、反時計回り方向にファン20A〜ファン20Cが回転している。ファン20A〜ファン20Cの回転方向が全て同一の場合、各ファン20の領域27a(ケーシング1に設置したファン20を平面視したときに、ファン20の並設方向と略垂直側にできる領域)に発生する気流は、同方向となる。このため、この領域27aに発生する気流が増速され、ケーシング1内には、図11の白抜き矢印で示すような流れ場が発生する。このため、ファン20A〜ファン20Cの回転方向が全て同一の場合、下流に配置された熱交換器50に流入する空気の風速分布に大きなバラツキが生じてしまう。例えば、図11に示すような場合、熱交換器50の前面右側(図11の右下側)及び背面左側(図11の左上側)に多くの空気が流入してしまう。また、図11に示すような場合、熱交換器50の前面左側(図11の左下側)及び背面右側(図11の右上側)に流入する空気が不足してしまう。
特に、熱交換器50の上端部上方にファン20が設けられた本実施の形態2に係る室内機100においては、ファン20と熱交換器50上端部との間に十分な距離を確保できない場合、領域27b(ケーシング1に設置したファン20を平面視したときに、ファン20の並設方向にできる領域)の気流の風速は、領域27aよりも小さくなってしまう。このため、熱交換器50の上端部上方にファン20が設けられた本実施の形態2に係る室内機100においては、領域27aの気流の風速がより大きくなり、熱交換器50に流入する空気の風速分布のバラツキがより大きくなってしまう。
そこで、本実施の形態2に係る室内機100は、隣接するファン20の回転方向が互いに逆方向となるように、各ファン20(ファン20A〜ファン20C)の回転方向を設定している。
図12は、本発明の実施の形態2に係る室内機の平面断面図である。
図12に示すように、隣接するファン20の回転方向が互いに逆方向となっている。本実施の形態2では、室内機100を平面視した状態において、ファン20Aの回転方向は反時計回り方向となっている。そして、ファン20Aと隣接するファン20Bの回転方向は、ファン20Aと逆方向の時計回り方向となっている。また、ファン20Bと隣接するファン20Cの回転方向は、ファン20Bと逆の反時計回り方向としている。なお、各ファン20の回転方向は、図12に示す方向に限定されるものではない。隣接するファン20の回転方向が互いに逆方向となっていればよい。
このように隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、ケーシング1内には、図12の白抜き矢印で示すような流れ場が発生する。つまり、隣接するファン20間において、領域27aの気流が隣接するファン20間で衝突し(向かい合う方向となり)、そのまま下流に配置された熱交換器50に流入することとなる。このため、隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、各ファン20が同一方向に回転する場合(図11)と比べ、熱交換器50に流入する空気の風速分布のバラツキを改善できる。したがって、隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、室内機100の圧力損失を低減でき、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。
さらに、本実施の形態2に係る室内機100は、仕切り板(仕切り板90等)を用いていないので、部品コストや製造コスト(仕切り板をケーシングに取り付ける工数等)を削減することもできる。
なお、各ファン20の並設方向は、ケーシング1の左右方向と厳密に平行である必要はない。例えば図13に示すように、各ファン20をケーシング1の前後方向に若干ずらして配置しても勿論よい。
実施の形態3.
複数のファン20は、ケーシング1の前後方向に並設される場合もある。このような場合、ケーシング1の前後方向に隣接するファン20の回転方向は、例えば次のように設定すればよい。なお、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態2と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図14は、本発明の実施の形態3に係る室内機の平面断面図である。なお、この図14は、下側が室内機100の前面側となっている。また、図14では、熱交換器50の上端部のみを図示している。
本実施の形態3に係る室内機100は、6つのファン20を備えている。より詳しくは、ケーシング1の背面側に、その左右方向に沿って3つのファン20が並設されている。また、ケーシング1の前面側に、その左右方向に沿って3つのファン20が並設されている。ケーシング1の前面側に配置されたファン20と背面側に配置されたファン20とは、ケーシング1の前後方向に沿って配置されている。これら6つのファン20は、ファン仕様(ファン形状等)が同じとなっている。また、本実施の形態3に係る室内機100は、ケーシング1内に仕切り板(仕切り板90等)が設けられていない構成となっている。なお、説明の便宜上、各ファン20を区別して説明する必要がある場合は、ケーシング1の背面側に並設されたファン20を左側から順にファン20A、ファン20B及びファン20Cと称し、ケーシング1の前面側に並設されたファン20を左側から順にファン20D、ファン20E及びファン20Fと称する。
また、本実施の形態3に係る室内機100は、上端部を2つ有する熱交換器50が設けられている。上端部を2つ有する熱交換器50とは、例えば、後述する右側縦断面が略N型、略И型又は略M型の熱交換器50である。そして、ケーシング1の背面側に並設されたファン20A〜ファン20Cは、熱交換器50の背面側上端部の上方に設けられ、ケーシング1の前面側に並設されたファン20D〜ファン20Fは、熱交換器50の前面側上端部の上方に設けられている。
本実施の形態3に係る室内機100においては、各ファン20の回転方向を次のように設定している。
ケーシング1の左右方向に並設された各ファン20は、隣接するファン20の回転方向が互いに逆方向となっている。また、ケーシング1の前後方向に並設された各ファン20(ファン20Aとファン20D、ファン20Bとファン20E、ファン20Cとファン20F)は、隣接するファン20の回転方向が同方向に設定されている。
このように各ファン20の回転方向を設定することにより、ケーシング1内には、図14の白抜き矢印で示すような流れ場が発生する。つまり、左右方向に隣接するファン20間において、領域27aの気流が隣接するファン20間(図14に縦方向の点線で示す範囲)で衝突し、そのまま下流に配置された熱交換器50に流入することとなる。このため、左右方向に隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、実施の形態2と同様に、熱交換器50に流入する空気の風速分布のバラツキを改善できる。したがって、左右方向に隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、室内機100の圧力損失を低減でき、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。なお、本実施の形態3では、熱交換器50の上端部の上方に各ファン20を設けているので、領域27bの気流よりも領域27aの気流の方が、早い風速となっている。
さらに、本実施の形態3に係る室内機100は、前後方向に隣接するファン20の回転方向を同じにしているので、領域27aの気流が隣接するファン20間で衝突し、そのまま下流に配置された熱交換器50に流入することとなる。このため、前後方向においても、仕切り板を配置したときと同様の効果(風速分婦の改善による圧力損失の低減、及び熱交換性能の向上)を得ることができる。
なお、ケーシング1の左右方向に沿った各ファン20の並設方向は、ケーシング1の左右方向と厳密に平行である必要はない。各ファン20をケーシング1の前後方向に若干ずらして配置しても勿論よい。また、ケーシング1の前後方向に沿った各ファン20の並設方向は、ケーシング1の前後方向と厳密に平行である必要はない。各ファン20をケーシング1の左右方向に若干ずらして配置しても勿論よい。
実施の形態4.
また、ファン20がケーシング1の前後方向にも並設される場合、ケーシング1の前後方向に隣接するファン20の回転方向を、例えば次のように設定してもよい。なお、本実施の形態4において、特に記述しない項目については実施の形態2又は実施の形態3と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図15は、本発明の実施の形態4に係る室内機の平面断面図である。なお、この図15は、下側が室内機100の前面側となっている。また、図15では、熱交換器50の上端部のみを図示している。
本実施の形態4に係る室内機100は、実施の形態3に係る室内機100と同様に、6つのファン20を備えている。これら6つのファン20は、ファン仕様(ファン形状等)が同じとなっている。また、本実施の形態4に係る室内機100は、ケーシング1内に仕切り板(仕切り板90等)が設けられていない構成となっている。なお、説明の便宜上、各ファン20を区別して説明する必要がある場合は、ケーシング1の背面側に並設されたファン20を左側から順にファン20A、ファン20B及びファン20Cと称し、ケーシング1の前面側に並設されたファン20を左側から順にファン20D、ファン20E及びファン20Fと称する。
しかしながら、本実施の形態4に係る室内機100は、前後方向に隣接するファン20の回転方向の設定が本実施の形態3に係る室内機100と異なっている。つまり、ケーシング1の前後方向に並設された各ファン20(ファン20Aとファン20D、ファン20Bとファン20E、ファン20Cとファン20F)は、隣接するファン20の回転方向が逆方向に設定されている。
また、本実施の形態4に係る室内機100に設けられた熱交換器50は、実施の形態3に係る室内機100に設けられた熱交換器50とは異なり、上端部が1つの熱交換器50が設けられている。つまり、ケーシング1の背面側に並設されたファン20A〜ファン20Cは、熱交換器50の背面側上端部よりも背面側に設けられ、ケーシング1の前面側に並設されたファン20D〜ファン20Fは、熱交換器50の前面側上端部よりも前面側に設けられている。上端部が1つの熱交換器50とは、例えば、実施の形態1や実施の形態2等で示した右側縦断面略Λ型の熱交換器である。もちろん、右側縦断面略Λ型の熱交換器50に限らず、上端部が1つの熱交換器50であれば熱交換器50の右側縦断面における形状は任意である。
このように各ファン20の回転方向を設定することにより、ケーシング1内には、図15の白抜き矢印で示すような流れ場が発生する。つまり、左右方向に隣接するファン20間において、領域27aの気流が隣接するファン20間(図15に縦方向の点線で示す範囲)で衝突し、そのまま下流に配置された熱交換器50に流入することとなる。このため、左右方向に隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、実施の形態2及び実施の形態3と同様に、熱交換器50に流入する空気の風速分布のバラツキを改善できる。したがって、左右方向に隣接するファン20の回転方向を逆方向に設定することにより、室内機100の圧力損失を低減でき、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。
また、本実施の形態4に係る室内機100においては、各ファン20が熱交換器50の上端部よりも前面側又は背面側に設けられているので、領域27aが熱交換器50の上端部の上方に配置することとなる。このため、領域27aの気流よりも領域27bの気流の方が、早い風速となる。したがって、前後方向に隣接するファン20の回転方向を同じにしなくても、室内機100の圧力損失を低減でき、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。つまり、ケーシング1を平面視したとき、各ファン20の設置位置を熱交換器50の上端部からずらすことにより、前後方向に隣接するファン20の回転方向を限定しなくとも、室内機100の圧力損失を低減でき、熱交換器50の熱交換性能を向上することができる。
なお、ケーシング1の左右方向に沿った各ファン20の並設方向は、ケーシング1の左右方向と厳密に平行である必要はない。各ファン20をケーシング1の前後方向に若干ずらして配置しても勿論よい。また、ケーシング1の前後方向に沿った各ファン20の並設方向は、ケーシング1の前後方向と厳密に平行である必要はない。各ファン20をケーシング1の左右方向に若干ずらして配置しても勿論よい。
実施の形態5.
また、以下のようなファン20を並設することも可能である。なお、本実施の形態5において、特に記述しない項目については実施の形態2〜実施の形態4と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図16は、本発明の実施の形態5に係る室内機の平面断面図である。なお、この図16は、下側が室内機100の前面側となっている。また、図16では、熱交換器50の上端部のみを図示している。
本実施の形態5に係る室内機100の基本構成は、実施の形態2に係る室内機100と同様である。つまり、3つのファン20(ファン20A〜ファン20C)がケーシング1の左右方向に並設されている。これら各ファン20は、隣接するファン20の回転方向が逆方向となっている。また、熱交換器50は、右側縦断面略Λ型の熱交換器が設けられている。また、ケーシング1内に仕切り板が設けられていない構成となっている。
しかしながら、本実施の形態5に係る室内機100は、ファン20の仕様が実施の形態2に係る室内機100と異なっている。つまり、本実施の形態5では、ファン20毎に、仕様(例えば、羽根車の径、ボス比及び羽根の取り付け角等)が異なっている。なお、本実施の形態5では、実施の形態2〜実施の形態4で示したファン20と異なり、一方向のみに回転可能なファン20を用いている。つまり、ファン20A及びファン20Cは、室内機100を平面視した状態において、反時計回り方向のみに回るファンを用いている。また、ファン20Bは、室内機100を平面視した状態において、時計回り方向のみに回るファンを用いている。
なお、複数のファン20のうち、一部のファン20の仕様を同じにしても勿論よい。また、本実施の形態5では、ケーシング1の前後方向にファン20を並設していないが、ケーシング1の前後方向にファン20を並設しても勿論よい。また、熱交換器50の形状も、右側縦断面略Λ型に限らず種々の形状とすることができる。
このような構成によれば、ファン20を回転方向に応じて個別に最適設計することが可能となり、実施の形態2〜実施の形態4と比べ、低騒音化が可能となる。また、後述するように各ファン20の風量や風速を個別に設定して吹出口3の風量分布や風速分布を調整する際、室内機100の設計自由度を向上させることができる。
実施の形態6.
ファン20を前後方向に並設する場合、例えば以下のような位置にファン20を設置するとよい。なお、本実施の形態6において、特に記述しない項目については実施の形態2〜実施の形態5と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図17は、本発明の実施の形態6に係る室内機の縦断面図である。ここで、図17(a)は、右側縦断面略W型の熱交換器50を備えた室内機100を示す。また、図17(b)は、右側縦断面略M型の熱交換器50を備えた室内機100を示す。
本実施の形態6に係る室内機100は、ケーシング1の前後方向に沿って複数のファン20が並設されている。本実施の形態6では、ケーシング1の前後方向に沿って3つのファン20が並設されている。なお、これら前後位置の異なるファン20の位置に置いて、ケーシング1の左右方向(図17の紙面直交方向)にファン20を並設しても勿論よい。
ファン20の羽根23の下方に熱交換器50の上端部が配置されている場合、流速の速い空気が熱交換器50の上端部に衝突することとなる。これにより、熱交換器50での圧力損失が増大するとともに、熱交換器に流入する空気の風速分布にバラツキが生じる。
そこで、本実施の形態6では、ファン20の羽根23の下方に熱交換器50の上端部が配置されないように、ファン20及び熱交換器50を配置している。
このように室内機100を構成することにより、ファン20の下流側の流れ(図17の白抜き矢印)は、熱交換器50の上端部に遮られる風路を最小限に設置することが可能となる。このため、熱交換器50の圧力損失を低減できると共に、熱交換器50に流入する空気の風速分布も改善することが可能となる。
実施の形態7.
<熱交換器>
本発明の特徴の1つは、熱交換器50の上流側にファン20を配置することである。これにより、吹出口にファンが設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布の発生を抑制している。したがって、熱交換器50の形状は、実施の形態1〜実施の形態6で示した形状に限らず、例えば以下のような形状としてもよい。なお、本実施の形態7においては、実施の形態1〜実施の形態6と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図18は、本発明の実施の形態7に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態7に係る室内機100においては、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55に分割されていない熱交換器50が、ファン20の下流側に設けられている。
このような構成によれば、フィルター10を通過した空気がファン20に流入する。つまり、ファン20に流入する空気は、従来の室内機に流入する空気(熱交換器を通過した)よりも、流れの乱れが少ないものとなる。このため、従来の室内機と比べ、ファン20の羽根23の外周部を通過する空気は、流れの乱れが少ないものとなる。したがって、本実施の形態7に係る室内機100は、従来の室内機と比べ、騒音を抑制することができる。
また、室内機100は、ファン20が熱交換器50の上流側に設けられているので、吹出口にファンが設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布の発生を抑制することができる。また、吹出口3にファン等の複雑な構造物がないため、逆流等により発生する結露の対策も容易となる。
実施の形態8.
熱交換器50を前面側熱交換器51と背面側熱交換器55で構成することにより、実施の形態7に係る室内機100よりもさらに騒音を抑制することが可能となる。このとき、実施の形態1に示した熱交換器50の形状に限らず、例えば以下のような形状とすることができる。なお、本実施の形態8では上述した実施の形態7との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態7と同一部分には、同一符号を付している。
図19は、本発明の実施の形態8に係る室内機を示す縦断面図である。
図19に示すように、熱交換器50を構成している前面側熱交換器51と背面側熱交換器55とは、右側縦断面において、対称線50aで分断されている。対称線50aは、この断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。つまり、前面側熱交換器51は対称線50aに対して前面側(紙面左側)に、背面側熱交換器55は対称線50aに対して背面側(紙面右側)に、それぞれ配置されている。そして、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との間の間隔が空気の流れ方向に対して狭まるように、つまり右側縦断面において熱交換器50の断面形状が略V型となるように、ケーシング1内に配置されている。
つまり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して傾斜を有するように配置されているのである。さらに、背面側熱交換器55の風路面積は、前面側熱交換器51の風路面積よりも大きくなっていることを特徴としている。本実施の形態8では、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。これにより、背面側熱交換器55の風路面積は、前面側熱交換器51の風路面積よりも大きくなっている。なお、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のその他の構成(図19における奥行き方向の長さ等)は、同じとなっている。つまり、背面側熱交換器55の伝熱面積は、前面側熱交換器51の伝熱面積よりも大きくなっている。また、ファン20の回転軸20aは、対称線50aの上方に設置されている。
このような構成によれば、ファン20が熱交換器50の上流側に設けられているので、実施の形態7と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態8に係る室内機100によれば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれには、風路面積に応じた量の空気が通過する。つまり、背面側熱交換器55の風量は前面側熱交換器51の風量よりも大きくなる。そして、この風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態8に係る室内機100は、実施の形態7に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、本実施の形態8に係る室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれには、伝熱面積に応じた量の空気が通過することとなる。このため、熱交換器50の熱交換性能が向上する。
なお、図19に示す熱交換器50は、別々に形成された前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55により略V型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を一体型の熱交換器で構成してもよい(図28参照)。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図28参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図28参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55で構成する場合)、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図28参照)。
図28は、熱交換器50の構成例を説明するための概略図である。この図28は、右側縦断面から見た熱交換器50を示している。なお、図28に示す熱交換器50の全体形状は略Λ型となっているが、熱交換器の全体形状はあくまでも一例である。
図28(a)に示すように、熱交換器50を複数の熱交換器で構成してもよい。図28(b)に示すように、熱交換器50を一体型の熱交換器で構成してもよい。12(c)に示すように、熱交換器50を構成する熱交換器を、さらに複数の熱交換器で構成してもよい。また、図28(c)に示すように、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を、垂直に配置してもよい。図28(d)に示すように、熱交換器50の形状を曲線形状としてもよい。
実施の形態9.
また、熱交換器50は、以下のように構成されてもよい。なお、本実施の形態9では上述した実施の形態8との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8と同一部分には、同一符号を付している。
図20は、本発明の実施の形態9に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態9の室内機100は、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態8の室内機100と相違している。
本実施の形態9に係る熱交換器50は、3つの熱交換器で構成されており、これら各熱交換器は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略N型となっている。ここで、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器51a及び熱交換器51bが前面側熱交換器51を構成し、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器55a及び熱交換器55bが背面側熱交換器55を構成する。つまり、本実施の形態9では、熱交換器51b及び熱交換器55bが一体型の熱交換器で構成されている。なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器55の風量は、前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器51を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器55を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
このような構成によれば、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態8と同様に、風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態9に係る室内機100は、実施の形態7に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、熱交換器50の形状を右側縦断面において略N型とすることにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態8よりも小さくすることが可能となる。このため、実施の形態8と比べ、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図20に示す熱交換器50は、別々に形成された3つ熱交換器により略N型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器50を構成する3つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図28参照)。また例えば、熱交換器50を構成する3つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図28参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図28参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図28参照)。
実施の形態10.
また、熱交換器50は以下のように構成されてもよい。なお、本実施の形態10では上述した実施の形態8及び実施の形態9との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8及び実施の形態9と同一部分には、同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図21は、本発明の実施の形態10に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態10の室内機100は、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態8及び実施の形態9に示す室内機と相違している。
実施の形態10に係る熱交換器50は、4つの熱交換器で構成されており、これら各熱交換器は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略W型となっている。ここで、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器51a及び熱交換器51bが前面側熱交換器51を構成し、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器55a及び熱交換器55bが背面側熱交換器55を構成する。なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器55の風量は、前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器51を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器55を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
このような構成によれば、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態8及び実施の形態9と同様に、風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態10に係る室内機100は、実施の形態7に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、熱交換器50の形状を右側縦断面において略W型とすることにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態8及び実施の形態9よりも小さくすることが可能となる。このため、実施の形態8及び実施の形態9と比べ、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図21に示す熱交換器50は、別々に形成された4つ熱交換器により略W型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器50を構成する4つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図28参照)。また例えば、熱交換器50を構成する4つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図28参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図28参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図28参照)。
実施の形態11.
また、熱交換器50は、実施の形態1でも示したように、以下のように構成されてもよい。なお、本実施の形態11では上述した実施の形態8〜実施の形態10との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態10と同一部分には、同一符号を付している。また、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。
図22は、本発明の実施の形態11に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態11の室内機100では、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態8〜実施の形態10に示す室内機と相違している。
より詳しくは、本実施の形態11の室内機100は、実施の形態8と同様に、2つの熱交換器(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)で構成されている。しかしながら、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の配置の仕方が実施の形態8に示す室内機100と相違している。
つまり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。また、対称線50aよりも前面側に前面側熱交換器51が配置されており、対称線50aよりも背面側に背面側熱交換器55が配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略Λ型となっている。
なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器55の風量は、前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器51を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器55を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
このように構成された室内機100は、その内部における空気の流れが以下のようになる。
まず、室内空気は、ファン20によってケーシング1の上部に形成されている吸込口2から室内機100(ケーシング1)内に流れ込む。このとき、フィルター10によって空気に含まれている塵埃が除去される。この室内空気は、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)を通過する際、熱交換器50内を導通している冷媒によって加熱又は冷却されて空調空気となる。このとき、前面側熱交換器51を通過する空気は、室内機100の前面側から背面側に流れる。また、背面側熱交換器55を通過する空気は、室内機100の背面側から前面側に流れる。
熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)を通過した空調空気は、ケーシング1の下部に形成されている吹出口3から室内機100の外部、つまり空調対象域に吹き出される。
このような構成によれば、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態8〜実施の形態10と同様に、風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態11に係る室内機100は、実施の形態7に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態11に係る室内機100においては、背面側熱交換器55から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態11に係る室内機100は、熱交換器50を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。つまり、本実施の形態11に係る室内機100は、実施の形態8に係る室内機100と比べ、吹出口3から吹き出される空気の気流制御がさらに容易となる。したがって、本実施の形態11に係る室内機100は、実施の形態8に係る室内機100と比べ、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要がさらに無くなり、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図22に示す熱交換器50は、別々に形成された前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を一体型の熱交換器で構成してもよい(図28参照)。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図28参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図28参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図28参照)。
実施の形態12.
また、熱交換器50は以下のように構成されてもよい。なお本実施の形態12では上述した実施の形態8〜実施の形態11との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態11と同一部分には、同一符号を付している。
図23は、本発明の実施の形態12に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態12の室内機100は、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態8〜実施の形態11に示す室内機と相違している。
より詳しくは、本実施の形態12の室内機100は、実施の形態9と同様に、3つの熱交換器で構成されている。しかしながら、これら3つの熱交換器の配置の仕方が実施の形態9に示す室内機100と相違している。
つまり、熱交換器50を構成する3つの熱交換器のそれぞれは、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略И型となっている。ここで、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器51a及び熱交換器51bが前面側熱交換器51を構成し、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器55a及び熱交換器55bが背面側熱交換器55を構成する。つまり、本実施の形態12では、熱交換器51b及び熱交換器55bが一体型の熱交換器で構成されている。なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器55の風量は、前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器51を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器55を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
このような構成によれば、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態8〜実施の形態11と同様に、風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態12に係る室内機100は、実施の形態7に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態12に係る室内機100においては、背面側熱交換器55から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態12に係る室内機100は、熱交換器50を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。つまり、本実施の形態12に係る室内機100は、実施の形態9に係る室内機100と比べ、吹出口3から吹き出される空気の気流制御がさらに容易となる。したがって、本実施の形態12に係る室内機100は、実施の形態9に係る室内機100と比べ、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要がさらに無くなり、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
また、熱交換器50の形状を右側縦断面において略И型とすることにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態11よりも小さくすることが可能となる。このため、実施の形態11と比べ、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図23に示す熱交換器50は、別々に形成された3つ熱交換器により略И型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器50を構成する3つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図28参照)。また例えば、熱交換器50を構成する3つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図28参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図28参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図28参照)。
実施の形態13.
また、熱交換器50は以下のように構成されてもよい。なお本実施の形態13では上述した実施の形態8〜実施の形態12との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態12と同一部分には、同一符号を付している。
図24は、本発明の実施の形態13に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態13の室内機100は、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態8〜実施の形態12に示す室内機と相違している。
より詳しくは、本実施の形態13の室内機100は、実施の形態10と同様に、4つの熱交換器で構成されている。しかしながら、これら4つの熱交換器の配置の仕方が実施の形態10に示す室内機100と相違している。
つまり、熱交換器50を構成する4つの熱交換器のそれぞれは、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略M型となっている。ここで、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器51a及び熱交換器51bが前面側熱交換器51を構成し、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器55a及び熱交換器55bが背面側熱交換器55を構成する。なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。つまり、背面側熱交換器55の風量は、前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。ここで、長さの比較については、前面側熱交換器51を構成する熱交換器群の長さの和と背面側熱交換器55を構成する熱交換器群の長さの和で、長短を比較すればよい。
このような構成によれば、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。このため、実施の形態8〜実施の形態12と同様に、風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態13に係る室内機100は、実施の形態7に係る室内機100と比べ、騒音をさらに抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
また、本実施の形態13に係る室内機100においては、背面側熱交換器55から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態13に係る室内機100は、熱交換器50を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。つまり、本実施の形態13に係る室内機100は、実施の形態10に係る室内機100と比べ、吹出口3から吹き出される空気の気流制御がさらに容易となる。したがって、本実施の形態13に係る室内機100は、実施の形態10に係る室内機100と比べ、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要がさらに無くなり、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
また、熱交換器50の形状を右側縦断面において略M型とすることにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過する面積を大きく取ることができるため、それぞれを通過する風速を実施の形態11及び実施の形態12よりも小さくすることが可能となる。このため、実施の形態11及び実施の形態12と比べ、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55での圧力損失を低減することができ、さらなる低消費電力化、低騒音化が可能となる。
なお、図24に示す熱交換器50は、別々に形成された4つ熱交換器により略M型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、熱交換器50を構成する4つの熱交換器を一体型の熱交換器で構成してもよい(図28参照)。また例えば、熱交換器50を構成する4つの熱交換器のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図28参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図28参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所において各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図28参照)。
実施の形態14.
また、熱交換器50は以下のように構成されてもよい。なお本実施の形態14では上述した実施の形態8〜実施の形態13との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態13と同一部分には、同一符号を付している。
図25は、本発明の実施の形態14に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態14の室内機100は、熱交換器50の配置の仕方が実施の形態8〜実施の形態13に示す室内機と相違している。
より詳しくは、本実施の形態14の室内機100は、実施の形態11と同様に、2つの熱交換器(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)で構成され、右側縦断面において略Λ型となっている。しかしながら、本実施の形態14では、前面側熱交換器51の圧力損失と背面側熱交換器55の圧力損失とを異ならせることにより、前面側熱交換器51の風量と背面側熱交換器55の風量とを異ならせている。
つまり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して異なる傾斜を有して配置されている。対称線50aよりも前面側に前面側熱交換器51が配置されており、対称線50aよりも背面側に背面側熱交換器55が配置されている。そして、熱交換器50は、右側縦断面において略Λ型となっている。
また、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さと前面側熱交換器51の長手方向長さとは同じになっている。そして、背面側熱交換器55の圧力損失が前面側熱交換器51の圧力損失よりも小さくなるように、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の仕様を決定している。前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55としてフィンチューブ型熱交換器を用いる場合、例えば、右側縦断面における背面側熱交換器55の短手方向長さ(背面側熱交換器55のフィン56の幅)を、右側縦断面における前面側熱交換器51の短手方向長さ(前面側熱交換器51のフィン56の幅)よりも小さくするとよい。また例えば、背面側熱交換器55のフィン56間距離を、前面側熱交換器51のフィン56間距離よりも大きくするとよい。また例えば、背面側熱交換器55の伝熱管57の直径を、前面側熱交換器51の伝熱管57の直径よりも小さくするとよい。また例えば、背面側熱交換器55の伝熱管57の本数を、前面側熱交換器51の伝熱管57の本数よりも少なくするとよい。
なお、対称線50aは、右側縦断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。
このような構成によれば、ファン20が熱交換器50の上流側に設けられているので、実施の形態7と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態14に係る室内機100によれば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれには、圧力損失に応じた量の空気が通過する。つまり、背面側熱交換器55の風量は前面側熱交換器51の風量よりも大きくなる。そして、この風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。したがって、本実施の形態14に係る室内機100は、右側縦断面における背面側熱交換器55の長さを長くすることなく、実施の形態7に係る室内機100よりもさらに騒音を抑制することが可能となる。また、室内機100は、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができるので、消費電力を低減させることも可能となる。
なお、図25に示す熱交換器50は、別々に形成された前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、右側縦断面における熱交換器50の形状を、略V型、略N型、略W型、略И型又は略M型等に構成してもよい。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を一体型の熱交換器で構成してもよい(図28参照)。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図28参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の圧力損失を、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の圧力損失よりも小さくすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの圧力損失の和が、前面側熱交換器51の圧力損失となる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの圧力損失の和が、背面側熱交換器55の圧力損失となる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図28参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55で構成する場合)、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図28参照)。
実施の形態15.
また、上述した実施の形態8〜実施の形態14において、ファン20を以下のように配置してもよい。なお本実施の形態15では上述した実施の形態8〜実施の形態14との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態14と同一部分には、同一符号を付している。
図26は、本発明の実施の形態15に係る室内機を示す縦断面図である。図26(a)〜図26(c)に基づいて、室内機100におけるファン20の配置の仕方について説明する。
本実施の形態15に係る室内機100の熱交換器50は、実施の形態11の室内機100と同様の配置となっている。しかしながら、本実施の形態15に係る室内機100は、ファン20の配置の仕方が実施の形態11の室内機100と相違している。
つまり、本実施の形態15に係る室内機100は、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の風量や伝熱面積に応じて、ファン20の配置位置が決定されている。
例えば、図26(a)に示す状態(右側縦断面において、ファン20の回転軸20aと対称線50aとの位置が略一致している状態)において、前面側熱交換器51よりも伝熱面積の大きな背面側熱交換器55の風量が不足する場合がある。このように背面側熱交換器55の風量が不足すると、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)は、所望の熱交換性能を発揮できない場合がある。このような場合、図26(b)に示すように、ファン20の配置位置を背面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の伝熱面積に応じた風量分配が可能となり、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)の熱交換性能が向上する。
また例えば、図26(a)に示す状態において、背面側熱交換器55の圧力損失が大きい場合等、背面側熱交換器55の風量が不足する場合がある。また、ケーシング1内のスペースの制約上、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の構成による風量調整のみでは、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に調整できない場合がある。このように背面側熱交換器55の風量が不足すると、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気が、所望の角度よりも曲がらない場合がある。このような場合、図26(b)に示すように、ファン20の配置位置を背面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれの風量の微小制御が可能となり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に曲げることができる。このため、吹出口3の形成位置に応じて、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気の流れ方向を、適した方向に調整することができる。
また例えば、前面側熱交換器51の伝熱面積が背面側熱交換器55の伝熱面積よりも大きい場合がある。このような場合、図26(c)に示すように、ファン20の配置位置を前面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の伝熱面積に応じた風量分配が可能となり、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)の熱交換性能が向上する。
また例えば、図26(a)に示す状態において、背面側熱交換器55の風量が必要以上に大きくなる場合がある。また、ケーシング1内のスペースの制約上、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の構成による風量調整のみでは、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に調整できない場合がある。このため、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気が、所望の角度以上に曲がってしまう場合がある。このような場合、図26(c)に示すようにファン20の配置位置を前面方向へ移動するとよい。
このように構成することにより、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれの風量の微小制御が可能となり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に曲げることができる。このため、吹出口3の形成位置に応じて、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気の流れ方向を、適した方向に調整することができる。
なお、図26に示す熱交換器50は、別々に形成された前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、右側縦断面における熱交換器50の形状を、略V型、略N型、略W型、略И型又は略M型等に構成してもよい。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を一体型の熱交換器で構成してもよい(図28参照)。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図28参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図28参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55で構成する場合)、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図28参照)。
実施の形態16.
また、上述した実施の形態8〜実施の形態14において、ファン20を以下のように配置してもよい。なお、本実施の形態16では上述した実施の形態8〜実施の形態15との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態15と同一部分には、同一符号を付している。
図27は、本発明の実施の形態16に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態16に係る室内機100の熱交換器50は、実施の形態11の室内機100と同様の配置となっている。しかしながら、本実施の形態15に係る室内機100は、ファン20の配置の仕方が実施の形態11の室内機100と相違している。
つまり、本実施の形態16に係る室内機100は、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の風量や伝熱面積に応じて、ファン20の傾斜が決定されている。
例えば、前面側熱交換器51よりも伝熱面積の大きな背面側熱交換器55の風量が不足する場合がある。また、ケーシング1内のスペース上の制限により、ファン20を前後方向に移動させて風量調整を行えない場合がある。このように背面側熱交換器55の風量が不足すると、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)は、所望の熱交換性能を発揮できない場合がある。このような場合、図27に示すように、右側縦断面において、ファン20を背面側熱交換器55側に傾斜されるとよい。
このように構成することにより、ファン20を前後方向に移動させられない場合でも、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の伝熱面積に応じた風量分配が可能となり、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)の熱交換性能が向上する。
また例えば、背面側熱交換器55の圧力損失が大きい場合等、背面側熱交換器55の風量が不足する場合がある。また、ケーシング1内のスペースの制約上、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55の構成による風量調整のみでは、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に調整できない場合がある。さらに、ケーシング1内のスペース上の制限により、ファン20を前後方向に移動させて風量調整を行えない場合がある。このように背面側熱交換器55の風量が不足すると、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気が、所望の角度よりも曲がらない場合がある。このような場合、図27に示すように、右側縦断面において、ファン20を背面側熱交換器55側に傾斜されるとよい。
このように構成することにより、ファン20を前後方向に移動させられない場合でも、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれの風量の微小制御が可能となり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気を所望の角度に曲げることができる。このため、吹出口3の形成位置に応じて、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した後に合流した空気の流れ方向を、適した方向に調整することができる。
なお、図27に示す熱交換器50は、別々に形成された前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55により略Λ型に構成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、右側縦断面における熱交換器50の形状を、略V型、略N型、略W型、略И型又は略M型等に構成してもよい。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を一体型の熱交換器で構成してもよい(図28参照)。また例えば、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを、複数の熱交換器の組み合わせで構成してもよい(図28参照)。一体型熱交換器の場合、対称線50aを基準に、前面側が前面側熱交換器51となり、後面側が背面側熱交換器55となる。つまり、対称線50aよりも背面側に配置された熱交換器の長手方向長さを、対称線50aよりも前面側に配置された熱交換器の長手方向長さよりも長くすればよい。また、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを複数の熱交換器の組み合わせで構成した場合、前面側熱交換器51を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、前面側熱交換器51の長手方向長さとなる。背面側熱交換器55を構成する複数の熱交換器それぞれの長手方向長さの和が、背面側熱交換器55の長手方向長さとなる。
また、熱交換器50を構成する熱交換器の全てを右側縦断面において傾斜させる必要はなく、熱交換器50を構成する熱交換器の一部を右側縦断面において垂直に配置してもよい(図28参照)。
また、熱交換器50を複数の熱交換器で構成する場合(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55で構成する場合)、熱交換器50の配置勾配が変局する箇所(例えば前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との実質的な接続箇所)で各熱交換器が完全に接触している必要はなく、多少の隙間があってもよい。
また、右側縦断面における熱交換器50の形状は、一部又は全部が曲線形状となっていてもよい(図28参照)。
実施の形態17.
<ファン&ファンモーター>
本実施の形態17では、実施の形態1〜実施の形態16に係る室内機100に設けられるファン20の一例について説明する。
実施の形態1に係る室内機100に設けられるファン20は、例えば以下のように構成してもよい。なお、本実施の形態17において、実施の形態1と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図29は、本発明の実施の形態17に係るファンの一例を示す正面図である。なお、以下でファン20を示す図において、ファン20が室内機100に設けられた状態で室内機100を平面視したときのファン20を、ファン20の正面図としている。
本実施の形態17に係るファン20は、回転中心となるボスの外周面に複数の羽根が設けられた、軸流ファンや斜流ファン等である。このファン20は、羽根車25及び筐体26を備えている。
羽根車25は、回転中心となるボス21、ボス21の外周面に支持された複数の羽根23(主羽根)、及び羽根23の外周側に設けられたリング状部材22を備えている。また、本実施の形態17に係る羽根車25は、内周側(ボス21側)に向かってリング状部材22に支持された複数の副羽根24を備えている。これら副羽根24は、ボス21の外周面に支持されていない。これにより、ファン20に設けられた羽の枚数(羽根23の枚数+副羽根24の枚数)を増加させている。
この羽根車25の外周側には、羽根車25の外周部と所定の空隙を介して、筐体26が設けられている。つまり、羽根車25は筐体26に収められている。羽根車25のボス21はファンモーター30(図示せず)と接続されており、このファンモーターの駆動力によって羽根車25が回転する。
ここで、本実施の形態17に示す構成によってファン20の羽根枚数を増やすことの効果を説明する。図30は、羽根の設置構成(設置姿勢や設置枚数等)と空力性能との関係を説明する説明図である。なお、図30(a)は、軸流ファンや斜流ファンに用いられる一般的な羽根車を示す正面図である。また、図30(b)は、図30(a)に一点鎖線で示した位置の円筒断面を平面展開した翼列の断面図である。
翼列の空力性能は、翼弦長L及び隣合う羽根の間隔tにより定義される弦節比σ=L/tで関係付けられる。ここで、翼弦長Lは、羽根303の前縁と後縁とを結んだ直線の長さである。一般的に、弦節比σが一定である相似形の翼列は、ほぼ等しい空力性能が得られることがわかっている。つまり、翼弦長Lの短い羽根で翼弦長Lの長い羽根と等しい空力性能を得るには、羽根の枚数を増やせば良いことがわかる。
しかしながら、従来の構成で羽根の枚数を増加させることは、ボス301の外周面に支持される羽根303の枚数が増加することを意味する。羽根肉厚の薄型化には製造上、強度上の制約と限界があるため、羽根303の枚数を増やすことにより、ボス301周辺部の風路を塞いでしまうこととなる。このため、従来の構成で羽根303の枚数を増加させた場合、ボス301周辺部の風量が低下してしまう。
また、羽根303の枚数を増加させずに翼弦長Lを短くする構成としては、羽根303の取付け角を変更するという構成も考えられる。しかしながら、羽根303の取付け角を変更すると、気流と羽根303の迎角が変わる。このため、ファンは、効率の高い動作風量が変化してしまい、従来ファンとの互換性が損なわれてしまう。
一方、本実施の形態17に示す構成によってファン20(羽根車25)の羽根枚数を増やす場合、ボス21に支持される羽根の枚数を増加させる必要がない。副羽根24は、リング状部材22、つまりボス21以外に接続されているからである。このため、ボス21周辺部の風量が低下することなく、翼弦長Lを短くすることができる。また、羽根23及び副羽根24は、迎角を変更する必要もない。
以上、このように構成されたファン20においては、ファン20のファン効率を維持しつつ、副羽根24が配置された範囲における羽根23の翼弦長Lを短くすることができる。このため、ファン20は、ファン効率を維持しつつ、薄型化(羽根車25の回転軸方向の寸法を低減させること)が可能となる。
なお、副羽根24の支持構成は、図29の構成に限定されるものではない。図31は、本発明の実施の形態17に係るファンの別の一例を示す正面図である。
図31に示すファン20は、羽根23の外周部に突片23aが設けられている。そして、副羽根24は、内周側(ボス21側)に向かってこの突片23aに支持されている。つまり、ファン20は、リング状部材22を複数に分断した構成となっている。
図32は、本発明の実施の形態17に係るファンのさらに別の一例を示す正面図である。図29及び図31に示したファン20は、羽根23に設けられた部材(リング状部材22、突片23a)によって支持されていた。一方、図32に示すファン20は、羽根23に副羽根24が直接支持されている。
つまり、副羽根24は、ボス21以外に支持されていればよいということである。副羽根24がボス21以外に支持されていれば、ファンのファン効率を維持しつつ、副羽根24が配置された範囲における羽根23の翼弦長Lを短くすることができる。このため、ファン20は、ファン効率を維持しつつ、薄型化(羽根車25の回転軸方向の寸法を低減させること)が可能となる。
実施の形態18.
ファン20にリング状部材22等が設けられている場合、例えば、本実施の形態18のようにファン20を構成してもよい。なお、本実施の形態18においては、実施の形態1〜実施の形態17と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図33は、本発明の実施の形態18に係るファンの一例を示す概略構成図である。なお、図33(a)がファンの正面図であり、図33(b)がファンの側面断面図である。
図33に示すファン20は、回転中心となるボス21の外周面に複数の羽根23が設けられた、軸流ファンや斜流ファン等である。このファン20は、羽根車25及び筐体26を備えている。
羽根車25は、ボス21、ボス21の外周面に設けられた複数の羽根23、及び羽根23の外周側に設けられたローター31を備えている。例えば、ローター31は、羽根23の外周側にリング状部材22等を設け、このリング状部材22を磁性体の素材で形成することにより構成する。また例えば、ローター31は、羽根23の外周側にリング状部材22等を設け、このリング状部材22の外周側に磁石の貼り付けや埋め込み等を行うことよって構成する。
この羽根車25は、筐体26に収められている。筐体26は、羽根車25の外周側(より詳しくはローター31の外周側)と対向する面(以下、内周部と称する)に、ステーター40が設けられている。つまり、ローター31とステーター40は対向配置されている。これらローター31及びステーター40により構成されるファンモーター30の駆動力で、羽根車25が回転する。
なお、図33に示すファン20は、本発明の実施の形態18に示すファンの一例である。本実施の形態18に係るファンは、例えば以下のようなファンでもよい。
図34は、本発明の実施の形態18に係るファンの別の一例を示す概略構成図である。なお、図34(a)がファンの正面図であり、図34(b)がファンの羽根の外周部を示す斜視図である。また、図34(b)に示す矢印は、羽根の回転方向である。
図34に示すファン20は、羽根23の外周部(外周端)にウイングレットのような小翼250が設けられている。例えば、ローター31は、この小翼250を磁性体の素材で形成することにより構成する。また例えば、ローター31は、この小翼250の外周側に磁石の貼り付けや埋め込み等を行うことよって構成する。
このように構成された本実施の形態18に係るファン20は、ファン効率を向上させるため、凸部251が設けられている。なお、凸部251の設置例(形成例)を示した以下の図35〜図37では、羽根23の外周部にリング状部材22が設けられたファン20を例に説明する。
例えば図35に示すように、凸部251は、空気吸入側となる位置に設けてもよい。また、この凸部251は、図35(a)に示すように、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)に設けられてもよい。また例えば、この凸部251は、図35(b)に示すように、筐体26の内周部に設けられてもよい。
また、例えば図36に示すように、凸部251は、空気吐出側となる位置に設けてもよい。また、この凸部251は、図36(a)に示すように、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)に設けられてもよい。また例えば、この凸部251は、図36(b)に示すように、筐体26の内周部に設けられてもよい。
また、図35及び図36に示した凸部251は、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)と筐体26の内周部の双方に設けてもよい。つまり、双方に設けられた凸部251が、互いに対向するように設けてもよい。
また、例えば図37に示すように、凸部251は、空気吸入側及び空気吐出側の双方に設けてもよい。また、この凸部251は、図37(a)に示すように、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)に設けられてもよい。また例えば、この凸部251は、図37(b)に示すように、筐体26の内周部に設けられてもよい。
また、図37に示した凸部251は、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)と筐体26の内周部の双方に設けてもよい。例えば、空気吸入側の凸部251を羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)に設け、空気吐出側の凸部251を羽根車25の外周部に設けてもよい。これらの形成位置を逆にしても勿論よい。
以上、このように構成されたファン20においては、凸部251を設けることにより、羽根車25と筐体26との間の最も短い部分の距離をローター31とステーター40との間の距離よりも短くできる。このため、以下のような効果を得ることができる。
モーターの効率を向上させようとした場合、ローターとステーターとの間の距離は短い方が好ましい(ローターとステーターとの間に形成される隙間が小さい方が好ましい)。しかしながら、羽根車の外周部にローターを備え、筐体側にステーターを備えた従来のファンは、ローターとステーターとの間の距離を短くした場合、ローターとステーターとの間に発生する磁力により、羽根車が振動してしまう。また、この振動により、騒音が発生してしまう。これらの振動や騒音を防止するためにローターとステーターとの間の距離を大きくすると、羽根周辺部には、ファン効率の低下原因となる気流が発生してしまう。
図38は、羽根周辺部に発生する、ファン効率の低下原因となる気流の一例を示す説明図である。なお、図38(a)及び図38(b)に示す実線矢印は、空気の流れ方向を示す。また、図38(b)に示す白塗りの矢印は、羽根303の回転方向を示す。
例えば、ボス301に形成された羽根303の外周部にリング状部材302及びローター305が設けられた従来のファンモーターの場合、ローター305とステーター309との間の距離を大きくすると、図38(a)に示すような再循環流れ252が発生し、ファン効率が低下してしまう。より詳しくは、ローター305とステーター309との間に、高圧となる空気吐出側から低圧となる空気吸入側にかけて空気が流れる。そして、この空気は再び吐出される。このため、リング状部材302及びローター305の周囲を循環する再循環流れ252が発生し、ファン効率が低下してしまう。
また、例えば、羽根303の外周部に小翼が形成された従来のファンや、羽根303の外周部にリング状部材や小翼等が設けられていない従来のファンの場合、ローターとステーターとの間の距離を大きくすると、図38(b)に示すような漏れ流れ253が発生し、ファン効率が低下してしまう。より詳しくは、高圧となる空気吐出側から低圧となる空気吸入側にかけて、羽根303の外周端側に漏れ流れ253が発生し、ファン効率が低下してしまう。
しかしながら、本実施の形態18に係るファン20は、凸部251を設けることにより、羽根車25と筐体26との間の最も短い部分の距離をローター31とステーター40との間の距離よりも短くしている。このため、ローター31とステーター40との間の距離は、羽根車25の振動やこの振動に起因する騒音を抑制できる距離とすることが可能となる。また、羽根車25と筐体26との間の距離を短くすることにより、再循環流れ252や漏れ流れ253を抑制することができる。つまり、本実施の形態18に係るファン20は、モーターの設計事項となるローター31とステーター40との間の距離とは独立して、ファン効率を高めることができる。
また、羽根車25の外周部(例えばリング状部材22の外周部)と筐体26の内周部の双方に凸部251を設けることにより、羽根車25と筐体26との間のシール性能が向上し、ファン20のファン効率をより向上させることができる。
なお、図35〜図37で示した凸部251の先端部は、図39に示すようにラビリンス構造にしてもよい。図39は、先端部がラビリンス構造となった凸部を凸部254として示している。また、図39は、凸部254が羽根車25の空気吐出側に設けられた例を示している。また、上記の凸部251や凸部254は、羽根車25の外周部や筐体26の内周部に連続的に設けられていてもよいし、所定の間隔を空けて断続的に設けられていてもよい。
実施の形態19.
実施の形態17及び実施の形態18で示したファン20を実施の形態1〜実施の形態16で示した室内機100に設けることにより、以下の様な効果を得ることができる。
図40は、本発明の実施の形態19に係る室内機を示す縦断面図である。この図40は、実施の形態17又は実施の形態18で示したファン20を室内機100に用いた例を示している。また、図40は、図の左側を室内機100の前面側として示している。
このように構成された室内機100においては、小形化(薄型化)及び低コスト化が可能なファン20を用いている。このため、本実施の形態19に係る室内機100は、小型化(薄型化)することが可能となる。また、室内機100を低コスト化することが可能となる。また、このように構成された室内機100においては、ファン効率を維持しつつ小型化(薄型化)を図ったファン20を用いている。このため、同サイズで室内機を製作した場合、従来の室内機よりも風量の大きな室内機を得ることができる。
実施の形態20.
<ファン個別制御>
上述のように、本発明に係る室内機100は複数のファン20を備えている。これら各ファン20を個別に制御することにより、室内機100の風向制御性等を向上させることができる。本実施の形態20では、各ファン20の風量を個別に制御する具体的な実施形態の一例を説明する。ここで、本実施の形態20では、3つのファン20がケーシング1の左右方向(長手方向)に沿って並設した室内機100を例に説明する。また、説明の便宜上、各ファン20を区別して説明する必要がある場合は、ケーシング1の左側から順にファン20A、ファン20B及びファン20Cと称することとする。また、本実施の形態20においては、実施の形態1〜実施の形態19と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。なお、室内機100に並設されるファンの数が3つ以外の場合においても、本実施の形態20で示した発明が成立することは言うまでもない。
図41は、本発明の実施の形態20に係る室内機における吹出口の風速分布の一例を示す説明図である。この図41は、室内機100の正面図を示している。
本実施の形態20に係る室内機100は、ケーシング1の左右方向(長手方向)に3つのファン20が設けられている。これらファン20の風量を図41の左側のファン20から順に大きくすると、室内機100の吹出口3における風速分布は図41の矢印に示すようになる。つまり、ファン20A〜ファン20Cの風量を、ファン20A<ファン20B<ファン20Cとすると、室内機100の吹出口3における風速分布は図41の矢印に示すようになる。なお、図41に示す矢印の方向は気流の方向を示し、図41の矢印の大きさは風速の大きさを示している。つまり、図41の矢印は、その長さが長いほど風速が速い(換言すると、風量が多い)ことを示している。
また、図42は、本発明の実施の形態20に係る室内機における吹出口の風速分布の別の一例を示す説明図である。この図42は、室内機100の正面図を示している。
各ファン20の風量を図41の右側のファン20から順に大きくすると、室内機100の吹出口3における風速分布は図42の矢印に示すようになる。つまり、ファン20A〜ファン20Cの風量を、ファン20A>ファン20B>ファン20Cとすると、室内機100の吹出口3における風速分布は図42の矢印に示すようになる。なお、図42に示す矢印の方向は気流の方向を示し、図42の矢印の大きさは風速の大きさを示している。つまり、図42の矢印は、その長さが長いほど風速が速い(換言すると、風量が多い)ことを示している。
図43は、本発明の実施の形態20に係る室内機の吹出口近傍を示す要部拡大図(正面断面図)である。この図43は、吹出口3から吹き出される気流を図43の右側方向に制御する場合の左右ベーン80を示している。
図43に示すように、左右ベーン80で曲げられた気流は、吹出口3の近傍においてケーシング1の側壁部に衝突し、通風損失になる。このような場合、図42で示すように、吹出口3の右側端部の風速が小さくなるように、各ファン20の風量を発生させるとよい(図42参照)。吹出口3の全風量を従来の室内機(ファンが1つのみ設けられている室内機、又は複数のファンのそれぞれの風量を制御しない室内機)と同一の風量に設定した場合、このように各ファン20の風量を個別に制御することにより、ケーシング1の側壁部に気流が衝突することによる通風損失を低減することができる。
なお、発明者らが吹出口3の風速分布(各ファン20毎の風量の差)が熱交換性能に及ぼす影響を調査したところ、隣接するファン20の風量の差が約20%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響が少ないことがわかった。また、隣接するファン20の風量の差が約10%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響がさらに少ないことがわかった。このため、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約20%以下であることが好ましい。また、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約10%以下であることがさらに好ましい。
また、各ファン20の風量を個別制御することの効果は、上記の通風損失低減効果に限定されるものではない。例えば、集中的に空気調和したい場所がある場合(スポット空調を行う場合)、この場所に到達する気流が大きくなるように、各ファン20の風量を個別に制御すればよい。また例えば、空調気流があたるのを避けたい場所がある場合(風よけマイルド空調を行う場合)、この場所に到達する気流が小さくなるように(又はこの場所に気流が到達しないように)各ファン20の風量を個別に制御すればよい。
また、本実施の形態20では、同一形状(同一仕様)のファン20を複数設け、各ファン20の回転数を変更することにより、各ファン20の風量を個別に制御している。この場合、「ファン20の羽根23の枚数とファン20の羽根車25の回転数との積」を各々のファン20で10Hz程度離しておくとよい。このようにすることで、各ファン20から発生するうなり音(羽根通過周波数騒音(BPF)の干渉によって生じるうなり音)を抑制する効果も期待できる。
実施の形態21.
また、以下のように各ファン20の風量を個別に制御してもよい。なお、本実施の形態21において、特に記述しない項目については実施の形態20と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図44は、本発明の実施の形態21に係る室内機において各ファン20の風量を同一にした場合の吹出口の風速分布を示す説明図である。この図44は、室内機100の正面図を示している。また、図44に示す矢印の方向は気流の方向を示し、図44の矢印の大きさは風速の大きさを示している。つまり、図44の矢印は、その長さが長いほど風速が速い(換言すると、風量が多い)ことを示している。
図44に示すように、各ファン20が発生する風量を同一とした場合、吹出口3の両端部近傍で風速が低下していることがわかる。これは、風路を構成するケーシング1の側壁等で生じる気流摩擦により風速が低減するためである。このため、室内機100を低風量(低能力)モードで運転する場合、この速度低下域(吹出口3の両端部近傍)で逆流を生じることがある。この逆流は、呼吸音のような異音を生じる場合がある。また、冷房運転時においては、この逆流は、暖気と冷気の混合によって結露を生じる等の不具合を生じる。
そこで、本実施の形態21に係る室内機100は、室内機100を低風量(低能力)モードで運転する場合、図45に示すように各ファン20の風量を制御している。
図45は、本発明の実施の形態21に係る室内機が低風量モードで運転する場合における吹出口の風速分布の一例を示す説明図である。
低風量(低能力)モードで運転する場合、本実施の形態21に係る室内機100は、吹出口3の両端部近傍の風速が大きくなるように、両端部に配置されたファン20A及びファン20Cの風量を中央部に配置されたファン20Bの風量よりも大きくしている。低風量(低能力)モードにおける吹出口3の全風量を従来の室内機(ファンが1つのみ設けられている室内機、又は複数のファンのそれぞれの風量を制御しない室内機)と同一の風量に設定した場合、このように各ファン20の風量を制御することにより、低風量(低能力)モードで発生する上記の問題点を解決することができる。
なお、発明者らが吹出口3の風速分布(各ファン20毎の風量の差)が熱交換性能に及ぼす影響を調査したところ、隣接するファン20の風量の差が約20%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響が少ないことがわかった。また、隣接するファン20の風量の差が約10%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響がさらに少ないことがわかった。このため、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約20%以下であることが好ましい。また、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約10%以下であることがさらに好ましい。
また、実施の形態20と同様に、例えば、集中的に空気調和したい場所がある場合(スポット空調を行う場合)、この場所に到達する気流が大きくなるように、各ファン20の風量をさらに個別に制御してもよい。また例えば、空調気流があたるのを避けたい場所がある場合(風よけマイルド空調を行う場合)、この場所に到達する気流が小さくなるように(又はこの場所に気流が到達しないように)各ファン20の風量をさらに個別に制御してもよい。
また、上述した消音機構や後述する消音機構(例えば、吸音材の使用、ヘルムホルツ型消音器として機能するファン20の筐体26、能動的消音機構)を室内機100に設けた場合、各ファン20の風量を個別に制御する構成をこれら消音機構と組み合わせることにより、消音効果がさらに向上する。例えば能動的消音機構を室内機100に設ける場合、音源の数(ファン20の数)に応じた消音機構を設けることが好ましい。しかしながら、室内機100の寸法上の制限やコスト上の制限により、音源の数(ファン20の数)に応じた消音機構を設けることができない場合がある。このような場合でも、各ファン20の風量を個別に制御する構成を組み合わせることにより、十分な消音効果を得ることができる。
図46は、本発明の実施の形態21に係る室内機における同一風量時の中央部ファンの風量低減率と騒音低減効果の関係を示す特性図である。この図46は、吹出口3の全風量を同一にして、中央部に配置されたファン20Bの風量を低減させたときの騒音低減量を示している。また、図46に示す−1dB,−2dB,−3dB,−4dB,−5dBは、この消音検出装置が検出する音と最も関連性が高い騒音に対する消音効果である。図46の結果を得るために用いた消音機構の騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカーは、風路内の気流に影響を及ぼさないように、ケーシング1の左右両側面部に設けられた機械ボックス(制御基板等が格納されているボックス、図示せず)内に設置した。このため、図46に示す−1dB,−2dB,−3dB,−4dB,−5dBは、ファン20A及びファン20Cが放出する騒音に対する消音効果を示している。
例えば、消音効果−5dBの消音機構を室内機100に設けた場合、両端部近傍に配置されたファン20A及びファン20Bが放射する騒音は、それぞれ5dB低減する。一方、中央部に配置されたファン20Bから放射される騒音には消音機構の効果がないため、室内機100全体では、合計で2.7dBの消音効果が得られる。このとき、本実施の形態21で示したように中央部のファン20Bの風量を約15%低減させたとすると、同一風量を得るために、両端部近傍に配置されたファン20A及びファン20Bはそれぞれ7.5%風量を増大する。このように各ファン20の風量を個別制御すると、両端部近傍に配置されたファン20A及びファン20Bが放射する騒音が1.9dB増大し、中央部に配置されたファン20Bから放射される騒音は2dB低減される。結果として、室内機100全体では合計で3.5dBの消音効果が得られ、各ファン20の風量を個別に制御する前よりも消音効果が向上する。
なお、本実施の形態21では、同一形状(同一仕様)のファン20を複数設け、各ファン20の回転数を変更することにより、各ファン20の風量を個別に制御している。この場合、「ファン20の羽根23の枚数とファン20の羽根車25の回転数との積」を各々のファン20で10Hz程度離しておくとよい。このようにすることで、各ファン20から発生するうなり音(羽根通過周波数騒音(BPF)の干渉によって生じるうなり音)を抑制する効果も期待できる。
実施の形態22.
また、以下のように各ファン20の風量を個別に制御してもよい。なお、本実施の形態22において、特に記述しない項目については実施の形態20又は実施の形態21と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図47は、本発明の実施の形態22に係る室内機における吹出口の風速分布の一例を示す説明図である。この図47は、室内機100の正面図を示している。また、図47に示す矢印の方向は気流の方向を示し、図47の矢印の大きさは風速の大きさを示している。つまり、図47の矢印は、その長さが長いほど風速が速い(換言すると、風量が多い)ことを示している。
本実施の形態22に係る室内機100は、吹出口3の中央部の風速が両端部近傍の風速よりも大きくなるように、中央部に配置されたファン20Bの風量を両端部に配置されたファン20A及びファン20Cの風量よりも大きくしている。
吹出口3から吹き出された気流は、室内の低速又は停止空気と接するところで速度エネルギーを徐々に失い、最後に気流中央部の速度が低減する。このため、吹出口3から吹き出される気流を本実施の形態22のようにすることにより、同一風量発生時における気流中央部の流速を従来の室内機(ファンが1つのみ設けられている室内機、又は複数のファンのそれぞれの風量を制御しない室内機)よりも大きくすることができ、気流到達性を向上することができる。
なお、発明者らが吹出口3の風速分布(各ファン20毎の風量の差)が熱交換性能に及ぼす影響を調査したところ、隣接するファン20の風量の差が約20%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響が少ないことがわかった。また、隣接するファン20の風量の差が約10%以下であれば、熱交換性能に及ぼす影響がさらに少ないことがわかった。このため、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約20%以下であることが好ましい。また、各ファン20毎に風量を個別制御する場合、隣接するファン20の風量の差は約10%以下であることがさらに好ましい。
また、実施の形態20と同様に、例えば、集中的に空気調和したい場所がある場合(スポット空調を行う場合)、この場所に到達する気流が大きくなるように、各ファン20の風量をさらに個別に制御してもよい。また例えば、空調気流があたるのを避けたい場所がある場合(風よけマイルド空調を行う場合)、この場所に到達する気流が小さくなるように(又はこの場所に気流が到達しないように)各ファン20の風量をさらに個別に制御してもよい。
また、本実施の形態22では、同一形状(同一仕様)のファン20を複数設け、各ファン20の回転数を変更することにより、各ファン20の風量を個別に制御している。この場合、「ファン20の羽根23の枚数とファン20の羽根車25の回転数との積」を各々のファン20で10Hz程度離しておくとよい。このようにすることで、各ファン20から発生するうなり音(羽根通過周波数騒音(BPF)の干渉によって生じるうなり音)を抑制する効果も期待できる。
実施の形態23.
実施の形態20〜実施の形態22では、同一形状(同一仕様)のファン20を複数設け、各ファン20の回転数を変更することにより、各ファン20の風量を個別に制御していた。これに限らず、送風能力の異なるファン20(例えばファン径、ボス比、翼の取り付け角等が異なるファン20)を用いても、実施の形態20〜実施の形態22と同様の効果が得られる。送風能力の異なるファン20を複数用いることにより、ファン20の実装密度が向上する、室内機100(ケーシング1)内部の風速分布をより詳細に制御できる等、実施の形態20〜実施の形態22では得られなかった効果をさらに得ることもできる。
なお、隣接するファン20の風量の差は約20%以下(より好ましくは10%以下)にして熱交換性能の低下を防止することと、「ファン20の羽根23の枚数とファン20の羽根車25の回転数との積」を各々のファン20で10Hz程度離してうなり音を防止することの両方を成立させるためには、羽根23の枚数が異なるファン20を用いるのが効果的である。
実施の形態24.
<ノズル>
実施の形態1では、右側縦断面において、ノズル6の入り口側の開口長さd1がノズル6の出口側の開口長さd2よりも大きくなるように、ノズル6を構成していた。そして、これにより、ノズル6の入口付近に生じていた風速分布の偏りを是正していた。この構成に、以下のような構成を追加することにより、ノズル6の入り口付近や出口付近(吹出口3)に生じる風速分布の偏りをさらに是正することができる。なお、本実施の形態24においては、実施の形態1〜実施の形態23と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
本実施の形態24では、実施の形態1に対して、右側縦断面におけるノズル6の形状が異なっている。以下に、本実施の形態24に係るノズル6の形状と、実施の形態1に係るノズル6の形状と、の違いについて詳細に説明する。
図48は、本発明の実施の形態1に係る室内機のノズル内の気流を説明するための説明図(縦断面図)である。
図48に示すように、実施の形態1に係るノズル6は、前面側曲線6b及び背面側曲線6aの双方が背面側に凸形状となっていた。このような構成においては、図48に示すように、背面側ドレンパン115からの気流の回り込みにより、剥離による有効風路の減少、損失、及び吹出口3における風速分布の発生が課題となる場合がある。つまり、実施の形態1のようなノズル6の形状の場合、前面側熱交換器51を通過する流量に対して、背面側熱交換器55の通過する流量が大きくなる。そして、背面側熱交換器55の下端部に位置する背面側ドレンパン115の底部を通過した気流が背面側ドレンパン115を乗り越えてノズル6に流出する際、流速が大きいために曲がりきれず、背面側曲線6aの上部(ノズル6の入り口側)で剥離してしまう。背面側熱交換器55を通過する流量が大きければ大きい程、さらに背面側熱交換器55の下端部に大きな風速分布が生じていればいる程、上記の剥離領域は大きくなる。
そこで、本実施の形態24では、ノズル6の形状を次のようにしている。
図49は、本発明の実施の形態24に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態24では、ノズル6を構成する背面側曲線6aを前面側に凸となる曲線で構成している。なお、背面側曲線6aは、図49に示すように全体を前面側に凸となる形状としてもよいし、図50に示すように背面側曲線6aの一部を前面側に凸となる形状としてもよい。背面側曲線6aの一部を前面側に凸となる形状とする場合、上述した剥離領域を凸とするのが望ましい。一般的に、上述した剥離領域はノズル6の入り口側(上部)に発生することが多いので、背面側曲線6aの一部を前面側に凸となる形状とする場合、曲線中央より上流側で凸形状を構成するのが望ましい。また、背面側曲線6aは、上流側を前面側に凸となる形状とし、下流側を背面側に凸となる形状としてもよい。つまり、右側縦断面における背面側曲線6aの形状を、全体として略S字状のような形状としてもよい。
このような構成によれば、背面側ドレンパン115を乗り越えてノズル6に流入する流れは、剥離することなく吹出口3に誘導される。さらに、剥離や逆流等がなくなるために、吹出口3における風速分布も改善される。このため、逆流等による露付き対策や気流の方向制御が容易になるので、室内機100全体での品質改善が可能となる。
実施の形態25.
ケーシング1の長手方向(左右方向)において、ノズル6の前後方向の形状を変更することにより、吹出口3の風速分布の偏りを是正することもできる。なお、本実施の形態25において、特に記述しない項目については実施の形態24と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
実施の形態1に係る室内機100は、ケーシング1の長手方向(左右方向)において、ノズル6の形状が一様だった。このようにノズル6を形成した場合、次のような課題が発生する場合がある。
図51は、本発明の実施の形態1に係る室内機の内部で発生する気流を説明するための説明図である。なお、図51(a)は実施の形態1に係る室内機100の平面断面図を示しており、図51(a)の下側が室内機100の前面側となる。また、図51(b)は図51(a)のY−Y断面図を示しており、図51(c)は図51(a)のX−X断面図を示している。また、図51では、室内機100を平面視したときに反時計回りに各ファン20が回る場合について示している。
図51(a)に示すように、ケーシング1の上部に設けられたファン20が発生する旋回流の影響により、下流側に配置された熱交換器50におけるG領域の風速が速くなる。(換言すると、風量が多くなる)。熱交換器50で生じたこの風速分布の偏りは、下流側でも存在することとなる。このため、熱交換器を通過した気流は、このような風速分布を持ったままノズル6に流入することとなる。
つまり、吹出口3付近において、風速分布の偏りが発生することとなる。さらに、実施の形態1に係る室内機100のような熱交換器50の配置(右側縦断面略Λ型)にあっては、背面側熱交換器55を通過する風量が前面側熱交換器51に対して大きいため、右側縦断面における風速分布は、図51(b)及び図51(c)に示すような風速分布になる。より詳しくは、断面Y−Yでは、背面側熱交換器55からの流量が大きいため、ノズル6内での主流の流れは、ノズル6の略中央部又はケーシング1の前面側にやや偏った流れとなる。また、断面X−Xでは、前面側熱交換器51からの流量が大きいため、ノズル6内での主流の流れは、ケーシング1の背面側にやや偏った流れとなる。
さらに、実施の形態1に係る室内機100のような熱交換器50の配置(右側縦断面略Λ型)にあっては、熱交換器50の上面に沿って空気が流れるため、熱交換器50に流入する気流の風速分布に偏りが生じる。より詳しくは、各ファン20が平面視で反時計回りに回転する場合、図52に示すように、前面側熱交換器51の右側の下端部近傍(領域J)の風速が小さくなり、これに伴って風速の大きい領域(領域K)も発生する。
なお、図51及び図52では、各ファン20が平面視で反時計回りに回転する場合について説明しているが、各ファン20が平面視で時計回りに回転する場合、風速の大きい領域や小さい領域は、左右方向に逆転する。また、風速の大きい領域や小さい領域は、熱交換器50の配置、ファン20の回転軸20aと熱交換器50の対称線50aとの関係が変わると変化する。
そこで、本実施の形態25では、ノズル6の形状を以下のようにしている。
図53は、本発明の実施の形態25に係る室内機のノズル形状の一例を示す説明図である。なお、図53(a)は本実施の形態25に係る室内機100のノズル6近傍を示す縦断面図であり、図53(b)は図53(a)のW−W断面図である。なお、図53(b)の下側がケーシング1の前面側となる。
図53に示すように、本実施の形態25に係るノズル6は、ノズル6内の主流の流れに応じて、前後方向の幅を変更している。
より詳しくは、ノズル6内の主流の流れがケーシング1の前面側にも背面側にも寄っていない範囲(ケーシング1の左右方向における中央部)では、ノズル6の前後方向の幅は、ノズル6の前後方向の幅を変更する前のL1となっている。また、ノズル6内の主流の流れがケーシング1の前面側に寄っている範囲(ケーシング1の左右方向における左側)では、ノズル6の前後方向の幅を前面側へ縮め、ノズル6の前後方向の幅をL2としている。また、ノズル6内の主流の流れがケーシング1の背面側に寄っている範囲(ケーシング1の左右方向における右側)では、ノズル6の前後方向の幅を背面側へ縮め、ノズル6の前後方向の幅をL2としている。
なお、ノズル6の前後方向の幅は、ケーシング1の左右方向に沿って段階的に変更する必要は必ずしもない。ノズル6の前後方向の幅を、ケーシング1の左右方向に沿って滑らかに変化させていってもよい。
また、ノズル6の前後方向の幅を変更せずに、ノズル6内の主流の流れに応じて、ケーシング1の左右方向に沿ってノズル6の前後方向の位置を変化させていってもよい。
図54は、本発明の実施の形態25に係る室内機のノズル形状の別の一例を示す説明図である。
図54に示すように、ノズル6の前後方向の位置は、ケーシング1の左側から右側にかけて、前面側へ徐々に(滑らかに)寄っている。なお、図54は、ノズル6内の主流の流れが、ケーシング1の左側から右側にかけて、ケーシング1の前面側に寄っている場合を想定している。
また、ノズル6の前後方向の位置を変更せずに、ノズル6内の主流の流れに応じて、ケーシング1の左右方向に沿ってノズル6の前後方向の幅を変化させていってもよい。
図55は、本発明の実施の形態25に係る室内機のノズル形状のさらに別の一例を示す説明図である。
図55に示すように、ノズル6の前後方向の幅は、ケーシング1の左側から右側にかけて、L5からL6へと徐々に(滑らかに)狭くなっている。なお、図55は、ケーシング1の左側から右側にかけて、ノズル6を流れる風量が小さくなる場合を想定している。
つまり、ケーシング1の長手方向(左右方向)において、ノズル6を流れる気流の風速分布に応じてノズル6の前後方向の形状を変更することにより、吹出口3の風速分布の偏りをさらに是正することもできる。
また、本実施の形態25は、ノズル6の入り口側の形状について説明したが、ノズル6の出口側の形状を上記と同様に変更しても勿論よい。
以上、このような構成によれば、吹出口3付近における風速分布の偏りを是正することが可能となる。このため、吹出口3付近における風速分布を改善することができ、逆流等による対策や気流の方向制御が容易になるので、室内機100全体での品質改善が可能となる。
実施の形態26.
吹出口3の風速分布の偏りを是正する際、以下のようにファンを追加してもよい。なお、本実施の形態26において、特に記述しない項目については実施の形態24又は実施の形態25と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図56は、本発明の実施の形態26に係る室内機を示す平面断面図である。なお、図56には、熱交換器50の上端部のみを示している。
本実施の形態26に係る室内機100の基本構成は、実施の形態1に係る室内機100と同じである。つまり、本実施の形態26に係る室内機100は、複数設けられたファン20の下流側に、右側縦断面略Λ型の熱交換器が設けられている。本実施の形態26に係る室内機100が実施の形態1に係る室内機100と異なる点は、ファン20bが設けられている点である。ファン20bは、隣接するファン20の旋回流に影響を及ぼさない程度に小さいものである。このため、ファン20bは、ファン20と相似形状であってもよいし異なる形状でも構わないが、なるべく、ファン20の旋回流を小さくするように羽根を設計したものが良い。なおファン20bの回転方向は、ファン20と同方向であってもよいし、ファン20と逆方向であってもよい。図56では、ファン20bの回転方向をファン20の回転方向と同方向にしている。
ファン20が平面視で反時計回りに回転した場合、ケーシング1の右側側面近傍の気流の多くは熱交換器50の前面側から熱交換器50へ流入する。このため、熱交換器50の右側後方の風量が小さくなってしまう。そこで、本実施の形態26では、この風量が小さくなる領域の風量を増加させるため、ケーシング1上面部の右側後方にファン20bを配置している。
このように構成された室内機100においては、風速が小さくなる領域の風量を部分的に増加することが可能となる。つまり、吹出口3全体での風速を均一に近い状態にすることが可能となる。このため、吹出口3付近における風速分布を改善することができ、逆流等による対策や気流の方向制御が容易になるので、室内機100全体での品質改善が可能となる。
また、ファン20bは、ケーシング1上面の右側後方及び右側前方に設けてもよい。ケーシング1上面部の全角部の近傍に設けてもよい。
図57は、本発明の実施の形態26に係る室内機の別の一例を示す平面断面図である。なお、図57には、熱交換器50の上端部のみを示している。
図57に示す室内機100は、図56に示す室内機100に対し、ケーシング1上面の右側前方へさらにファン20bを追加している。なお、ケーシング1の左側を図示していないが、ケーシング1上面の左側の角部近傍にファン20bを設置してもよい。つまり、ケーシング1の左右両側面部に複数のファン20bを配置してもよい。
実施の形態21でも説明したように、室内機100を低風量(低能力)モードで運転する場合、吹出口3の両端部近傍で逆流を生じることがある。このような場合、図57に示すように室内機100を構成することにより、吹出口3の両端部近傍の風速を増加させることができる。このため、吹出口3の両端部で問題となる逆流による耐力を向上させることができ、室内機100全体の品質の改善が可能となる。
1 ケーシング、1b 背面部、2 吸込口、3 吹出口、5 ベルマウス、5a 上部、5b 中央部、5c 下部、6 ノズル、6a 背面側曲線、6b 前面側曲線、10 フィルター、15 フィンガーガード、16 モーターステイ、17 固定部材、18 支持部材、20(20A〜20F) ファン、20a 回転軸、20b ファン、21 ボス、22 リング状部材、23 羽根(主羽根)、23a 突片、24 副羽根、25 羽根車、26 筐体、27a 領域、27b 領域、30 ファンモーター、31 ローター、40 ステーター、50 熱交換器、50a 対称線、51 前面側熱交換器、51a,51b 熱交換器、55 背面側熱交換器、55a,55b 熱交換器、56 フィン、57 伝熱管、70 上下ベーン、80 左右ベーン、90 仕切り板、100 室内機、110 前面側ドレンパン、111 排水路、111a 舌部、115 背面側ドレンパン、116 接続口、117 ドレンホース、151 マイクアンプ、152 A/D変換器、154 D/A変換器、155 アンプ、158 FIRフィルター、159 LMSアルゴリズム、161 騒音検出マイクロホン、181 制御スピーカー、191 消音効果検出マイクロホン、201 信号処理装置、250 小翼、251 凸部、252 再循環流れ、253 漏れ流れ、254 凸部、281 制御装置、301 ボス(従来)、302 リング状部材(従来)、303 羽根(従来)、305 ローター(従来)、309 ステーター(従来)。

Claims (11)

  1. 上部に吸込口が形成され、前面部下側に吹出口が形成されたケーシングと、
    前記ケーシング内の前記吸込口の下流側に設けられた複数の軸流型又は斜流型のファンと、
    前記ケーシング内の前記ファンの下流側であって、前記吹出口の上流側に設けられ、前記ファンから吹き出された空気と冷媒とが熱交換する熱交換器と、
    を備え、
    複数の前記ファンは、前記ケーシングの左右方向に沿って並設されており、
    平面視において、隣接する前記ファンは、互いの回転方向が逆方向となっており、
    前記熱交換器は、
    前面側に配置された前面側熱交換器と、
    背面側に配置された背面側熱交換器と、
    を有し、
    前記前面側熱交換器を流れる空気の流量は、前記背面側熱交換器を流れる空気の流量よりも小さくなるよう構成され、
    ファンが前記熱交換器の上流側のみに備えられている空気調和機の室内機。
  2. 上部に吸込口が形成され、前面部下側に吹出口が形成されたケーシングと、
    前記ケーシング内の前記吸込口の下流側に設けられた複数の軸流型又は斜流型のファンと、
    前記ケーシング内の前記ファンの下流側であって、前記吹出口の上流側に設けられ、前記ファンから吹き出された空気と冷媒とが熱交換する熱交換器と、
    を備え、
    複数の前記ファンは、前記ケーシングの左右方向に沿って並設されており、
    平面視において、隣接する前記ファンは、互いの回転方向が逆方向となっており、
    前記熱交換器は、
    前面側に配置された前面側熱交換器と、
    背面側に配置された背面側熱交換器と、
    を有し、
    前記前面側熱交換器の伝熱面積と前記背面側熱交換器の伝熱面積とが異なり、
    前記ファンは、
    前記前面側熱交換器の伝熱面積及び前記背面側熱交換器の伝熱面積に応じた風量を、前記前面側熱交換器及び前記背面側熱交換器に供給するように配置され、
    ファンが前記熱交換器の上流側のみに備えられている空気調和機の室内機。
  3. 前記ファンは、前記ケーシングの前後方向にも並設されており、
    平面視において、前記ケーシングの前後方向に隣接する前記ファンは、互いの回転方向が逆方向となっている請求項1又は請求項2に記載の空気調和機の室内機。
  4. 前記ファンは、前記ケーシングの前後方向にも並設されており、
    平面視において、前記ケーシングの前後方向に隣接する前記ファンは、互いの回転方向が同方向となっている請求項1又は請求項2に記載の空気調和機の室内機。
  5. 前記ファンは、一方の回転方向のみに回転可能なファンである請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
  6. 前記熱交換器は、前記ケーシングの前面側から背面側にかけて切断した縦断面において、少なくとも1つの上端部が形成されており、
    該上端部は、前記ファンの羽根部の下方と対向しない位置に配置されている請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
  7. 面視において、
    前記前面側熱交換器の長手方向の長さは、前記背面側熱交換器の長手方向の長さよりも短い請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
  8. 記前面側熱交換器の圧力損失は、前記背面側熱交換器の圧力損失よりも大きい請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
  9. 前記ファンの回転軸は、前記前面側熱交換器及び前記背面側熱交換器のうち、伝熱面積の大きい方へ向かうように傾斜して配置されたことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の室内機。
  10. 前記ファンの回転軸は、前記前面側熱交換器及び前記背面側熱交換器のうち、伝熱面積の大きい方の上方に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の室内機。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の室内機を備えた空気調和機。
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