以下、本発明に係る空気調和機(より詳しくは、空気調和機の室内機)の具体的な実施の形態について説明する。なお、実施の形態1では、空気調和機の室内機を構成する各ユニットの基本構成について説明する。また、実施の形態2以降において、各ユニットの詳細構成又は別の実施例について説明する。また、以下の各実施の形態では、壁掛け型の室内機を例に本発明を説明する。また、各実施の形態で示す図では、各ユニット(又は各ユニットの構成部材)の形状や大きさ等が一部異なる場合もある。
実施の形態1.
<基本構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機(室内機100と称する)を示す縦断面図である。また、図2は、この室内機を示す外観斜視図である。なお、本実施の形態1及び後述する実施の形態では、図1の左側を室内機100の前面側として説明する。以下、図1及び図2に基づいて、室内機100の構成について説明する。
(全体構成)
この室内機100は、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで、室内等の空調対象域に空調空気を供給するものである。室内機100は、主に、室内空気を内部に吸い込むための吸込口2及び空調空気を空調対象域に供給するための吹出口3が形成されているケーシング1と、このケーシング1内に収納され、吸込口2から室内空気を吸い込み、吹出口3から空調空気を吹き出すファン20と、ファン20から吹出口3までの風路に配設され、冷媒と室内空気とで熱交換することで空調空気を作り出す熱交換器50と、を有している。そして、これらの構成要素によりケーシング1内に風路(矢印Z)が連通されている。吸込口2は、ケーシング1の上部に開口形成されている。吹出口3は、ケーシング1の下部(より詳しくは、ケーシング1の前面部下側)に開口形成されている。ファン20は、吸込口2の下流側でかつ、熱交換器50の上流側に配設されており、例えば軸流ファン又は斜流ファン等で構成されている。
また、室内機100には、ファン20の回転数、及び後述する上下ベーン70及び左右ベーンの向き(角度)等を制御する制御装置281を備えている。なお、本実施の形態1及び後述する各実施の形態に示す図面には、制御装置281の図示を省略する場合もある。
このように構成された室内機100においては、ファン20が熱交換器50の上流側に設けられているので、吹出口3にファン20が設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布のバラツキの発生を抑制することができる。このため、空調対象域への快適な送風が可能となる。また、吹出口3にファン等の複雑な構造物がないため、冷房運転時に暖気と冷気の境界で生じる結露の対策も容易となる。さらに、ファンモーター30が空調空気である冷気や暖気にさらされることがないため、長時間の運転寿命を提供することができる。
(ファン)
一般的に、空気調和機の室内機は設置スペースに制約があるため、ファンを大きくできないことが多い。このため、所望の風量を得るために、適度な大きさのファンを複数並列に配置する。本実施の形態1に係る室内機100は、図2に示すように、ケーシング1の長手方向(換言すると、吹出口3の長手方向)に沿って、3個のファン20が並列に配置されている。現在の一般的な空気調和機の室内機の寸法において所望の熱交換能力を得るには、ファン20はおよそ2個〜4個が好ましい。本実施の形態1に係る室内機においては、ファン20はすべて同一形状で構成され、動作回転数をすべて等しく運転することにより全てのファン20でほぼ等しい送風量を得ることができる。
このように構成することにより、必要風量や室内機100内部の通風抵抗に応じてファン20の個数、形状及び大きさ等を組合せることで、多様なスペックの室内機100に対応した最適ファン設計が可能となる。
(ベルマウス)
本実施の形態1に係る室内機100には、ファン20の周りに、ダクト上のベルマウス5が配置されている。ベルマウス5は、ファンへの吸気と排気を滑らかに誘導するためのものである。図1に示すように、本実施の形態1に係るベルマウス5は、平面視において略円形状をしている。また、縦断面において、本実施の形態1に係るベルマウス5は次のような形状をしている。上部5aは、その端部が上方に向かって広がる略円弧形状をしている。中央部5bは、ベルマウスの直径が一定となったストレート部分となっている。下部5cは、その端部が下方に向かって広がる略円弧形状をしている。そして、ベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)で吸込口2を形成している。
本実施の形態1の図1で示したベルマウス5は、ファン20の羽根車の高さより高く構成されたダクト形状となっているが、それに限定したものではなく、ベルマウス5の高さがファン20の羽根車の高さより低く構成されている半開放型のベルマウスでもよい。さらに、ベルマウス5は、図1に示す5bのストレート部分がなく、端部の5a,5cのみで構成されていてもよい。
なお、ベルマウス5は、部品点数の削減や強度向上のため、例えばケーシング1と一体で形成してもよい。また例えば、ベルマウス5、ファン20及びファンモーター30等でモジュール化し、これらとケーシング1を着脱可能な構成として、メンテナンス性を向上してもよい。
また、本実施の形態1においては、ベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)は、ベルマウス5の開口面の周方向に対して、一様形状で構成されている。つまり、ファン20の回転軸20aを中心とした回転方向に対して、ベルマウス5は切り欠きやリブ等の構造が無く、軸対称性を有した一様な形状をしている。
このようにベルマウス5を構成することにより、ファン20の回転に対してベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)が一様な形状をしているので、ファン20の吸込み流れとしても一様な流れが実現される。このため、ファン20の吸込み流れの偏流によって発生する騒音を低減することができる。
(仕切り板について)
図2に示すように、本実施の形態1に係る室内機100は、隣接したファン20の間に、仕切り板90が設けられている。これら仕切り板90は、熱交換器50とファン20の間に設置されている。つまり、熱交換器50とファン20の間の風路が、複数の風路(本実施の形態1では3つ)に分割されている。仕切り板90は、熱交換器50とファン20の間に設置されるため、熱交換器50に接する側の端部が熱交換器50に沿った形状となっている。より詳しくは、図1に示すように、熱交換器50は、室内機100の前面側から背面側にかけての縦断面(つまり、室内機100を右側から見た縦断面。以下、右側縦断面と称する)において、略Λ型に配置されている。このため、仕切り板90の熱交換器50側端部も略Λ型となっている。
なお、仕切り板90のファン20側端部の位置は、例えば次のように決定すればよい。隣接するファン20が吸込側において互いに影響を生じない程度に十分離れている場合、仕切り板90のファン20側の端部は、ファン20の出口面までとすればよい。しかし、隣接するファン20が吸込側において互いに影響を及ぼす程度に近づいている場合で、さらにベルマウス5の上部5aの端部(吸い込み側の円弧部分)の形状が十分に大きく形成できる場合、仕切り板90のファン20側の端部は、隣接する風路に影響を与えないように(隣接するファン20が吸込側において互いに影響を及ぼさないように)、ファン20の上流側(吸入側)まで延設してもよい。
また、仕切り板90は、種々の材質で形成することができる。例えば、スチールやアルミ等の金属で仕切り板90を形成してもよい。また例えば、樹脂等で仕切り板90を形成してもよい。ただし、熱交換器50は暖房運転のときに高温となるため、仕切り板90が樹脂等のような低融点の材質で形成されている場合、仕切り板90と熱交換器50との間にわずかな空間を形成するとよい。仕切り板90がアルミやスチール等の融点が高い材質の場合、仕切り板90を熱交換器50と接するように配置してもよい。熱交換器50が例えばフィンチューブ型熱交換器の場合、熱交換器50のフィン間に仕切り板90を挿入してもよい。
上述したように、熱交換器50とファン20の間の風路が、複数の風路(本実施の形態1では3つ)に分割されている。この風路内、つまり、仕切り板90やケーシング1等に吸音材を設けて、ダクト内で生じる騒音を低減することもできる。
また、これら分割された風路は、平面視において、一辺がL1及びL2となった略四角形状に形成されている。つまり、分割された風路の幅が、L1及びL2となっている。このため、例えば、L1,L2で形成された略四角形状の内部に設置されたファン20が生じる風量は、確実にファン20の下流にあるL1,L2で囲まれた領域の熱交換器50を通過する。
このようにケーシング1内の風路を複数の風路に分割することにより、ファン20が下流に作る流れ場が旋回成分を有していても、各ファン20から吹き出された空気が室内機100の長手方向(図1紙面直交方向)に自由に移動できなくなる。このため、ファン20が吹き出した空気は、このファン20の下流にあるL1,L2で囲まれた領域の熱交換器50に通過させることが可能となる。その結果として、熱交換器50全体に流入する室内機100の長手方向(図1紙面直交方向)の風量分布のバラツキを抑制し、高い熱交換性能を有すことができる。また、ケーシング1内を仕切り板90で分断することで、互いに隣接したファン20同士において、隣接したファン20の発生する旋回流との干渉を防ぐことができる。このため、旋回流同士の干渉による流体のエネルギーのロスを抑制することができ、風速分布の改善と合わせて、室内機100の圧力損失低減が可能となる。なお、各仕切り板90は一枚の板で形成されている必要はなく、複数の板で形成されていてもよい。例えば、仕切り板90を前面側熱交換器51側と背面側熱交換器55側で二分割してもよい。言うまでもなく仕切り板90を構成する各板どうしの接合箇所には隙間はない方が好ましい。仕切り板90を複数に分割することにより、仕切り板90の組み付け性が向上する。
(ファンモーター)
ファン20はファンモーター30で回転駆動される。用いられるファンモーター30は、インナーローター型でもよいし、アウターローター型でもよい。アウターローター型のファンモーター30の場合には、ローターをファン20のボス21と一体にした構造(ボス21にローターを持たせる)のものも用いられる。また、ファンモーター30の寸法をファン20のボス21の寸法よりも小さくすることで、ファン20の生成する気流に損失を与えることを防止できる。さらに、ボス21の内部にモーターを配設することで、軸方向寸法も小さくすることができる。ファンモーター30とファン20を着脱容易な構造とすることにより、メンテナンス性も向上する。
なお、ファンモーター30として比較的コストの高いDCブラシレスモーターを用いることにより、効率の向上、長寿命化及び制御性の向上を図ることができるが、他の形式のモーターを採用しても空気調和機としての一次機能が満足されることは言うまでもない。 また、ファンモーター30駆動用の回路は、ファンモーター30と一体にしてもよいし、外部で構成して防塵、防火対策を施すこともできる。
ファンモーター30は、モーターステイ16により、ケーシング1に取り付けられている。さらに、ファンモーター30をCPU冷却等に用いられるボックス型(ファン20、筐体、ファンモーター30、ベルマウス5、及びモーターステイ16等が一体でモジュール化されているもの)とし、ケーシング1と着脱可能な構造とすれば、メンテナンス性が向上し、ファン20のチップクリアランスの精度も高くすることができる。一般に、チップクリアランスが狭い方が、送風性能が高く好ましい。
なお、ファンモーター30の駆動回路は、ファンモーター30内部に構成しても良いし、外部にあってもよい。
(モーターステイ)
モーターステイ16は、固定部材17及び支持部材18を備えている。固定部材17は、ファンモーター30が取り付けられるものである。支持部材18は、固定部材17をケーシング1へ固定するための部材である。支持部材18は、例えば棒状のものであり、固定部材17の外周部から例えば放射状に延設されている。図1に示すように、本実施の形態1に係る支持部材18は、およそ水平方向に延設されている。なお、支持部材18は、翼形状や板形状として静翼効果を与えてもよい。
(熱交換器)
本実施の形態1に係る室内機100の熱交換器50は、ファン20の風下側に配置されている。この熱交換器50には、例えばフィンチューブ型熱交換器等を用いるとよい。熱交換器50は、図1に示すように、右側縦断面において、対称線50aで分断されている。対称線50aは、この断面における熱交換器50の設置範囲を、略中央部において左右方向に分断するものである。つまり、前面側熱交換器51は対称線50aに対して前面側(図1の紙面左側)に、背面側熱交換器55は対称線50aに対して背面側(図1の紙面右側)に、それぞれ配置されている。そして、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、前面側熱交換器51と背面側熱交換器55との間の間隔が空気の流れ方向に対して広がるように、つまり右側縦断面において熱交換器50の断面形状が略Λ型となるように、ケーシング1内に配置されている。つまり、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55は、ファン20から供給される空気の流れ方向に対して傾斜を有するように配置されているのである。
さらに、熱交換器50は、背面側熱交換器55の風路面積が前面側熱交換器51の風路面積よりも大きくなっていることを特徴としている。つまり、熱交換器50は、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなっている。本実施の形態1では、右側縦断面において、背面側熱交換器55の長手方向の長さが前面側熱交換器51の長手方向長さよりも長くなっている。これにより、背面側熱交換器55の風路面積は、前面側熱交換器51の風路面積よりも大きくなっている。なお、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のその他の構成(図1における奥行き方向の長さ等)は、同じとなっている。つまり、背面側熱交換器55の伝熱面積は、前面側熱交換器51の伝熱面積よりも大きくなっている。また、ファン20の回転軸20aは、対称線50aの上方に設置されている。
このように熱交換器50を構成することにより、吹出口にファンが設けられている従来の空気調和機の室内機と比べ、吹出口3から吹き出される空気の旋回流の発生や風速分布の発生を抑制することができる。また、このように熱交換器50を構成することにより、背面側熱交換器55の風量が前面側熱交換器51の風量よりも大きくなる。そして、この風量差により、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55のそれぞれを通過した空気が合流した際、この合流した空気は前面側(吹出口3側)へ曲がることとなる。このため、吹出口3近傍で気流を急激に曲げる必要が無くなり、吹出口3近傍での圧力損失を低減することができる。
また、本実施の形態1に係る室内機100においては、背面側熱交換器55から流出する空気の流れ方向が、背面側から前面側への流れとなる。このため、本実施の形態1に係る室内機100は、右側縦断面において熱交換器50を略v型に配置する場合と比べて、熱交換器50を通過した後の空気の流れをより曲げやすくなる。
室内機100は、ファン20を複数個有するため、重量が重くなりがちである。室内機100が重くなると、室内機100を据付けするための壁面の強度が必要とされ、据付け上の制約となる。このため、熱交換器50の軽量化を図ることが好ましい。また、室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20を配置するので、室内機100の高さ寸法が大きくなり、据付け上の制約となりがちである。このため、熱交換器50を軽量化することが好ましい。また、熱交換器50を小型化することが好ましい。
そこで、本実施の形態1では、熱交換器50(前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55)としてフィンチューブ型熱交換器を用い、熱交換器50の小型化を図っている。より詳しくは、本実施の形態1に係る熱交換器50は、所定の間隙を介して積層された複数のフィン56と、これらフィン56を貫通する複数の伝熱管57と、を備えている。本実施の形態1では、ケーシング1の左右方向(図1の紙面直交方向)に、フィン56を積層している。つまり、伝熱管57は、ケーシング1の左右方向(図1の紙面直交方向)に沿って、フィン56を貫通している。また、本実施の形態1では、熱交換器50の熱交換効率を向上させるため、熱交換器50の通風方向(フィン56の幅方向)に伝熱管57を2列配置している。これら伝熱管57は、右側縦断面において略千鳥形状に配置されている。
また、伝熱管57を直径が細い(直径3mm〜7mm程度)円管で構成し、伝熱管57を流れる冷媒(室内機100及びこの室内機100を備えた空気調和機に用いられる冷媒)をR32とすることにより、熱交換器50の小型化を図っている。つまり、熱交換器50は、伝熱管57の内部を流れる冷媒と室内空気とがフィン56を介して熱交換するものである。このため、伝熱管57を細くした場合、伝熱管の径が太い熱交換器と比べ、同一冷媒循環量では冷媒の圧力損失が大きくなる。しかしながら、R32は、R410Aと比べ、同一温度における蒸発潜熱が大きく、より少ない冷媒循環量で同一能力を発揮できる。このため、R32を使用することにより、使用する冷媒量の削減が可能となり、熱交換器50において圧力損失の低減ができる。したがって、伝熱管57を細い円管で構成し、冷媒としてR32を用いることにより、熱交換器50を小型化することができる。
また、本実施の形態1に係る熱交換器50では、フィン56及び伝熱管57をアルミニウム又はアルミニウム合金で形成することにより、熱交換器50の軽量化を図っている。なお、熱交換器50の重量が据付状の制約とならない場合、伝熱管57を銅で構成しても勿論よい。
(フィンガーガード&フィルター)
また、本実施の形態1に係る室内機100は、吸込口2に、フィンガーガード15やフィルター10が設けられている。フィンガーガード15は、回転するファン20に手を触れることができないようにする目的で設置されているものである。このため、フィンガーガード15の形状は、ファン20に手を触れることができなければ任意である。例えば、フィンガーガード15の形状は、格子状でもよいし、多数の大小異なるリングで構成されたような円形状でもよい。また、フィンガーガード15は、樹脂等の材料で構成しても金属の材料で構成してもよいが、強度が必要な場合、金属で構成することが望ましい。また、フィンガーガード15は、通風抵抗の低下と強度の保持の観点からできるだけ細く、強い材料や形状が好ましい。フィルター10は、室内機100の内部へ粉塵が流入することを防止するために設けられているものである。フィルター10は、着脱自在にケーシング1に設けられている。また、図示しないが、本実施の形態1に係る室内機100は、フィルター10を自動で掃除する自動清掃機構を備えていてもよい。
(風向制御ベーン)
また、本実施の形態1に係る室内機100は吹出口3に、気流の吹出し方向を制御する機構である上下ベーン70と左右ベーン(図示せず)が設けられている。
(ドレンパン)
図3は、本発明の実施の形態1に係る室内機を前面右側から見た斜視図である。図4は、この室内機を背面右側から見た斜視図である。図5は、この室内機を前面左側から見た斜視図である。また、図6は、本発明の実施の形態1に係るドレンパンを示す斜視図である。なお、ドレンパンの形状の理解を容易とするため、図3及び図4では室内機100の右側を断面で示し、図5では室内機100の左側を断面で示している。
前面側熱交換器51の下端部(前面側熱交換器51の前面側端部)の下方には、前面側ドレンパン110が設けられている。背面側熱交換器55の下端部(背面側熱交換器55の背面側端部)の下方には、背面側ドレンパン115が設けられている。なお、本実施の形態1では、背面側ドレンパン115とケーシング1の背面部1bが一体で形成されている。この背面側ドレンパン115には、左側端部及び右側端部の双方に、ドレンホース117が接続される接続口116が設けられている。なお、接続口116の双方へドレンホース117を接続する必要はなく、どちらか一方の接続口116へドレンホース117を接続すればよい。例えば、室内機100の据付工事の際に室内機100の右側へドレンホース117を引き出したい場合、背面側ドレンパン115の右側端部に設けられた接続口116へドレンホース117を接続し、背面側ドレンパン115の左側端部に設けられた接続口116はゴムキャップ等で閉塞すればよい。
前面側ドレンパン110は、背面側ドレンパン115よりも高い位置に配置されている。また、前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115との間には、左側端部及び右側端部の双方に、ドレンの移動路となる排水路111が設けられている。排水路111は、前面側の端部が前面側ドレンパン110と接続されており、前面側ドレンパン110から背面側ドレンパン115に向かって下方に傾斜するように設けられている。また、排水路111の背面側の端部には、舌部111aが形成されている。排水路111の背面側の端部は、背面側ドレンパン115の上面に覆い被さるように配置されている。
冷房運転時、熱交換器50で室内空気が冷却される際、熱交換器50に結露が発生する。そして、前面側熱交換器51に付着した露は、前面側熱交換器51の下端部から滴下し、前面側ドレンパン110で回収される。背面側熱交換器55に付着した露は、背面側熱交換器55の下端部から滴下し、背面側ドレンパン115で回収される。
また、本実施の形態1では背面側ドレンパン115よりも高い位置に前面側ドレンパン110を設けているので、前面側ドレンパン110で回収されたドレンは、背面側ドレンパン115の方へ向かって排水路111を流れる。そして、このドレンは、排水路111の舌部111aから背面側ドレンパン115へ滴下し、背面側ドレンパン115で回収される。背面側ドレンパン115で回収されたドレンは、ドレンホース117を通って、ケーシング1(室内機100)の外部へ排出される。
本実施の形態1のように、背面側ドレンパン115よりも高い位置に前面側ドレンパン110を設けることにより、両ドレンパンで回収されたドレンを、背面側ドレンパン115(最もケーシング1の背面側に配置されたドレンパン)に集めることができる。このため、背面側ドレンパン115にドレンホース117の接続口116を設けることにより、前面側ドレンパン110及び背面側ドレンパン115で回収されたドレンをケーシング1の外部へ排出することができる。したがって、ケーシング1の前面部等を開けて室内機100のメンテナンス(熱交換器50の清掃等)を行う場合等、ドレンホース117の接続されたドレンパンを着脱等する必要がなく、メンテナンス等の作業性が向上する。
また、排水路111が左側端部及び右側端部の双方に設けられているので、室内機100が傾いた状態で設置されても、前面側ドレンパン110で回収されたドレンを確実に背面側ドレンパン115へ導くことができる。また、ドレンホース117を接続する接続口が左側端部及び右側端部の双方に設けられているので、室内機100の据付条件に応じてホースの引き出し方向を選択することができ、室内機100を設置する際の作業性が向上する。また、排水路111が背面側ドレンパン115の上方に覆い被さるように配置されているので(つまり、排水路111と背面側ドレンパン115との間に接続機構が不要となるので)、前面側ドレンパン110を着脱することが容易となり、メンテナンス性がより向上する。
なお、排水路111の背面側の端部を背面側ドレンパン115と接続し、前面側ドレンパン110が排水路111の上方に覆い被さるように、排水路111を配置してもよい。このような構成でも、排水路111が背面側ドレンパン115の上方に覆い被さるように配置された構成と同様の効果を得ることができる。また、前面側ドレンパン110が背面側ドレンパン115よりも高い必要は必ずしもなく、前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115が同じ高さであっても、両ドレンパンで回収したドレンを背面側ドレンパン115に接続されたドレンホースから排出することができる。
(ノズル)
また、本実施の形態1に係る室内機100は、右側縦断面において、ノズル6の入り口側の開口長さd1(前面側ドレンパン110と背面側ドレンパン115部分との間で定義されるドレンパン間の絞り長さd1)が、ノズル6の出口側の開口長さd2(吹出口3の長さ)よりも大きく構成されている。つまり、室内機100のノズル6は、d1>d2となっている(図1参照)。
ノズル6がd1>d2となっているのは、次のような理由のためである。なお、d2は室内機の基本機能の一つである気流の到達性に影響するため、以下では、本実施の形態1に係る室内機100のd2が従来の室内機の吹出口と同程度の長さであるとして説明する。
縦断面におけるノズル6の形状をd1>d2とすることにより、空気の風路が大きくなると共に、上流側に配置された熱交換器50の角度A(熱交換器50の下流側における前面側熱交換器51と背面側熱交換器55とがなす角度)を大きくすることが可能となる。このため、熱交換器50に生じる風速分布が緩和されると共に、熱交換器50の下流の空気の風路を大きく形成できるため、室内機100全体の圧力損失の低減が可能となる。さらに、ノズル6の入口付近に生じていた風速分布の偏りを、縮流する効果によって均一化し、吹出口3に案内することができる。
例えばd1=d2の場合、ノズル6の入口付近で生じた風速分布の偏り(例えば、背面側に偏った流れ)が、そのまま吹出口3における風速分布の偏りとなる。つまり、d1=d2の場合、風速分布の偏りを持った状態で、吹出口3から空気が吹き出される。また、例えばd1<d2の場合、前面側熱交換器51及び背面側熱交換器55を通過した空気がノズル6の入口付近で合流する際、縮流損失が大きくなってしまう。このため、d1<d2の場合、吹出口3のディフューズ効果が得られなければ、縮流損失分の損失が発生する。
(ANC)
また、本実施の形態1に係る室内機100は、図1に示すように能動的消音機構が設置されている。
より詳しくは、本実施の形態1に係る室内機100の消音機構は、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191、及び信号処理装置201により構成されている。騒音検出マイクロホン161は、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)を検出する騒音検出装置である。この騒音検出マイクロホン161は、ファン20と熱交換器50との間に配置されている。本実施の形態1では、ケーシング1内の前面部に設けられている。制御スピーカー181は、騒音に対する制御音を出力する制御音出力装置である。この制御スピーカー181は、騒音検出マイクロホン161の下側であって、熱交換器50の上側に配置されている。本実施の形態1では、ケーシング1内の前面部に、風路の中央を向くように設けられている。消音効果検出マイクロホン191は、制御音による消音効果を検出する消音効果検出装置である。この消音効果検出マイクロホン191は、吹出口3から出てくる騒音を検出するため、吹出口3近傍に設けられている。また、消音効果検出マイクロホン191は、吹出口3から出てくる吹出空気に当たらないように、風流を避けた位置に取り付けられている。信号処理装置201は、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191の検出結果に基づき、制御スピーカー181に制御音を出力させる制御音生成装置である。信号処理装置201は、例えば制御装置281に収容されている。
図8は、本発明の実施の形態1に係る信号処理装置を示す構成図である。騒音検出マイクロホン161、及び消音効果検出マイクロホン191から入力された電気信号はマイクアンプ151により増幅され、A/D変換器152によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号はFIRフィルター158、及びLMSアルゴリズム159に入力される。FIRフィルター158では騒音検出マイクロホン161で検出した騒音が、消音効果検出マイクロホン191が設置されている場所に到達したときの騒音と同振幅・逆位相となるように補正をかけた制御信号を生成し、D/A変換器154によりデジタル信号からアナログ信号に変換された後、アンプ155により増幅され、制御スピーカー181から制御音として放出される。
空気調和機が冷房運転する場合等、図7に示すように、熱交換器50と吹出口3の間の領域Bは、冷気により温度が低下するため、空気中の水蒸気が水滴となって現れる結露が発生する。このため、室内機100には、吹出口3付近に水滴が吹出口3から出てこないようにするための水受け等(図示せず)が取り付けられている。なお、熱交換器50の上流である騒音検出マイクロホン161及び制御スピーカー181が配置される領域は、冷気により冷やされる領域の上流にあたるため、結露が生じない。
次に室内機100の運転音の抑制方法について説明する。室内機100におけるファン20の送風音を含む運転音(騒音)は、ファン20と熱交換器50との間に取り付けられた騒音検出マイクロホン161で検出してマイクアンプ151、A/D変換器152を介してデジタル信号となり、FIRフィルター158とLMSアルゴリズム159に入力される。
FIRフィルター158のタップ係数はLMSアルゴリズム159により逐次更新される。LMSアルゴリズム159にてタップ係数は式1(h(n+1)=h(n)+2・μ・e(n)・x(n))に従って更新され、誤差信号eがゼロに近づくように最適なタップ係数が更新される。
なお、h:フィルターのタップ係数、e:誤差信号、x:フィルター入力信号、μ:ステップサイズパラメータであり、ステップサイズパラメータμはサンプリングごとのフィルター係数更新量を制御するものである。
このように、LMSアルゴリズム159でタップ係数が更新されたFIRフィルター158を通過したデジタル信号は、D/A変換器154にてアナログ信号に変換され、アンプ155で増幅され、ファン20と熱交換器50との間に取り付けられた制御スピーカー181から制御音として室内機100内の風路に放出される。
一方、室内機100の下端で、吹出口3から放出される風が当たらないように吹出口3の外側壁方向に取り付けられた消音効果検出マイクロホン191には、ファン20から風路を通って伝播し吹出口3から出てくる騒音に制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。上述したLMSアルゴリズム159の誤差信号には、消音効果検出マイクロホン191で検出された音を入力しているため、この干渉後の音がゼロに近づくようにFIRフィルター158のタップ係数が更新されることになる。その結果、FIRフィルター158を通過した制御音により吹出口3近傍の騒音を抑制することができる。
このように、能動的消音方法を適用した室内機100においては、騒音検出マイクロホン161と制御スピーカー181をファン20と熱交換器50との間に配置し、消音効果検出マイクロホン191を吹出口3からの風流が当たらない箇所に取り付けている。このため、結露が起きる領域Bに能動的消音の必要部材を取り付けなくて済むため、制御スピーカー181、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191への水滴の付着を防止し、消音性能の劣化やスピーカーやマイクロホンの故障を防ぐことができる。
なお、本実施の形態1で示した騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191の取り付け位置は、あくまでも一例である。例えば、図9に示すように、騒音検出マイクロホン161と制御スピーカー181と共に、消音効果検出マイクロホン191をファン20と熱交換器50との間に配置してもよい。また、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果の検出手段としてマイクロホンを例に挙げたが、ケーシングの振動を検知する加速度センサー等で構成されてもよい。また、音を空気流れの乱れとして捉え、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果を、空気流れの乱れとして検出してもよい。つまり、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果の検出手段として、空気流れを検出する流速センサー、熱線プローブ等を用いてもよい。マイクロホンのゲインを上げて、空気流れを検出することも可能である。
また、本実施の形態1では、信号処理装置201にてFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、消音効果検出マイクロホン191で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。さらに、信号処理装置201は適応信号処理ではなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしても良い。また、信号処理装置201はデジタル信号処理ではなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
さらに、本実施の形態1では結露が起こるような空気の冷却を行う熱交換器50を配置した場合について記載したが、結露が起きない程度の熱交換器50を配置する場合であっても適用でき、熱交換器50による結露発生の有無を考慮せずに騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191等の性能劣化を防止できる効果がある。
実施の形態2.
以下では、能動的消音方法の他の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態2においては、実施の形態1と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図10は、本発明の実施の形態2に係る室内機を示す縦断面図である。なお、図10は、図の右側を室内機100の前面側としている。
本実施の形態2に記載した室内機100が実施の形態1に係る室内機100と異なる点は、実施の形態1に記載の室内機100では能動的消音を行うための騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191の二つのマイクロホンを用いて信号処理装置201にて制御音の生成を行っていたが、本実施の形態2の室内機100では、これらを一つのマイクロホンである騒音・消音効果検出マイクロホン211に置き換わっているところである。また、それに伴い、信号処理の方法が異なるため、信号処理装置204の内容が異なっている。
ファン20下側の壁部には、騒音に対する制御音を出力する制御スピーカー181が壁から風路の中央に向くように配置されており、さらにその下側に、ファン20から風路を通って伝播し、吹出口3から出てくる騒音に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音を検出する騒音・消音効果検出マイクロホン211が配置されている。制御スピーカー181と騒音・消音効果検出マイクロホン211とは、ファン20と熱交換器50の間に取り付けられている。
騒音・消音効果検出マイクロホン211の出力信号は制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための制御音生成手段である信号処理装置204に入力されている。
図11は、本発明の実施の形態2に係る信号処理装置を示す構成図である。信号処理装置204の構成図を示している。騒音・消音効果検出マイクロホン211により音声信号から変換された電気信号はマイクアンプ151により増幅され、A/D変換器152によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は、LMSアルゴリズム159に入力される他、FIRフィルター158の出力信号にFIRフィルター160を畳み込んだ信号との差分信号がFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159に入力される。次に、差分信号は、FIRフィルター158でLMSアルゴリズム159により算出されたタップ係数による畳み込み演算が施された後、D/A変換器154によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、アンプ155により増幅され、制御スピーカー181から制御音として放出される。
次に室内機100の運転音の抑制方法について説明する。室内機100におけるファン20の送風音を含む運転音(騒音)に対し、制御スピーカー181から出力される制御音を干渉させた後の音は、ファン20と熱交換器50との間に取り付けられた騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出してマイクアンプ151、A/D変換器152を介してデジタル信号となる。
実施の形態1に記述した運転音の抑制方法と同等の抑制方法を行うにはFIRフィルター158には消音したい騒音を入力し、LMSアルゴリズム159には式1にも示した通り、入力信号となる消音したい騒音と誤差信号となる制御音を干渉させた後の音を入力する必要がある。しかし、騒音・消音効果検出マイクロホン211では制御音を干渉させた後の音しか検出することができないため、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音から消音したい騒音を作り出すことが必要となる。
図12は、騒音と制御音との干渉後の音の波形(図12中のa)、制御音の波形(図12中のb)、騒音の波形(図12中のc)を示したものである。音の重ね合わせの原理からb+c=aとなることから、aからcを得るためにはaとbとの差分を取ることでcを得ることができる。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した干渉後の音と制御音との差分から消音したい騒音を作り出すことができる。
図13は、FIRフィルター158から出力される制御信号が制御音となって制御スピーカー181から出力された後、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出され、信号処理装置204に入力される経路を示した図である。D/A変換器154、アンプ155、制御スピーカー181から騒音・消音効果検出マイクロホン211までの経路、騒音・消音効果検出マイクロホン211、マイクアンプ151、A/D変換器152を経ている。
この経路がもつ伝達特性をHとすると、図11のFIRフィルター160は、この伝達特性Hを推定したものである。FIRフィルター158の出力信号に対してFIRフィルター160を畳み込むことで、制御音を騒音・消音効果検出マイクロホン211にて検出した信号bとして推定でき、騒音・消音効果検出マイクロホン211にて検出した干渉後の音aとの差分を取ることで消音したい騒音cが生成される。
このようにして生成した消音したい騒音cが入力信号としてLMSアルゴリズム159、及びFIRフィルター158に供給される。LMSアルゴリズム159でタップ係数が更新されたFIRフィルター158を通過したデジタル信号はD/A変換器154にてアナログ信号に変換され、アンプ155で増幅され、ファン20と熱交換器50との間に取り付けられた制御スピーカー181から制御音として室内機100内の風路に放出される。
一方、制御スピーカー181の下側に取り付けられた騒音・消音効果検出マイクロホン211には、ファン20から風路を通って伝播し、吹出口3から出てくる騒音に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。上述したLMSアルゴリズム159の誤差信号には、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出された音を入力しているため、この干渉後の音がゼロに近づくようにFIRフィルター158のタップ係数が更新されることになる。その結果、FIRフィルター158を通過した制御音により吹出口3近傍の騒音を抑制することができる。
このように、能動的消音方法を適用した室内機100において、騒音・消音効果検出マイクロホン211と制御スピーカー181をファン20と熱交換器50との間に配置することにより、結露が起きる領域Bに能動的消音の必要部材を取り付けなくて済むため、制御スピーカー181、騒音・消音効果検出マイクロホン211への水滴の付着を防止し、消音性能の劣化やスピーカーやマイクロホンの故障を防ぐことができる。
なお、本実施の形態2では、騒音・消音効果検出マイクロホン211を熱交換器50の上流側に配置したが、図14のように室内機100の下端で、吹出口3から放出される風が当たらない箇所(風流を避けた位置)に設置してもよい。また、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果の検出手段としてマイクロホンを例に挙げたが、ケーシングの振動を検知する加速度センサー等で構成されてもよい。また、音を空気流れの乱れとして捉え、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果を、空気流れの乱れとして検出してもよい。つまり、騒音や制御音により騒音を打ち消した後の消音効果の検出手段として、空気流れを検出する流速センサー、熱線プローブ等を用いてもよい。マイクロホンのゲインを上げて、空気流れを検出することも可能である。
また、本実施の形態2では、信号処理装置204の適応信号処理回路としてFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。さらに、信号処理装置204は適応信号処理ではなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしても良い。また、信号処理装置204はデジタル信号処理ではなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
さらに、本実施の形態2では結露が起こるような空気の冷却を行う熱交換器50を配置した場合について記載したが、結露が起きない程度の熱交換器50を配置する場合であっても適用でき、熱交換器50による結露発生の有無を考慮せずに騒音・消音効果検出マイクロホン211、制御スピーカー181等の性能劣化を防止できる効果がある。
実施の形態3.
例えば、以下のような位置に消音機構を設置してもよい。なお、本実施の形態3においては、実施の形態1〜実施の形態2と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
本発明の実施の形態3では、消音機構の構成要素のうち、騒音検出マイクロホン161(騒音検出装置に相当)、制御スピーカー181(制御音出力装置に相当)及び消音効果検出マイクロホン191(消音効果検出装置に相当)を熱交換器50の下流側に備えている。このため、ファン20で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン191に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー181から発した制御音が制御点へ到達するまでの経路を短縮することが可能となる。したがって、本実施の形態3に係る室内機100は、消音機構によって精度の高い騒音制御を行うことができる。さらに、本実施の形態3に係る室内機は、信号処理回路のコストを削減することも可能となっている。
以下、更に詳しく説明する。
図15は、本発明の実施の形態3に係る室内機を示す縦断面図である。この図15は、図1と同様、図の左側を室内機100の前面側として示している。図15に基づいて、室内機100の構成について説明する。
室内機100の構成は消音機構である騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181の配置が図1と異なっており、それ以外の構成は実施の形態1に係る室内機100と同じである。
室内機100は、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191及び信号処理装置201で構成されている消音機構を備えている。騒音検出マイクロホン161は、熱交換器50の下流側に取り付けられている。消音効果検出マイクロホン191は、熱交換器50の下流側の吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル6部分)に取り付けられている。また、制御スピーカー181は、ケーシング1の側面(より詳しくは、熱交換器50の下側であって消音効果検出マイクロホン191の近く)に設けられている。また、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191は、ケーシング1の壁から風路の中央に向くように配置されている。
なお、消音効果検出マイクロホン191の設置位置は、吹出口3のノズル6部分に限らず、吹出口3の開口部であればよい。例えば、消音効果検出マイクロホン191を、吹出口3の下部や側部に取り付けてもよい。また、本実施の形態3では、制御スピーカー181がケーシング1の側面に取り付けられているが、ケーシング1の前面又は背面に制御スピーカー181を取り付けてもよい。また、騒音検出マイクロホン161は必ずしも熱交換器50の下流側に設けられている必要はなく、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191が熱交換器50の下流側に設けられていればよい。
また、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191の出力信号は、制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための信号処理装置201に入力されている。信号処理装置201の構成は実施の形態1における室内機100と全く同じである。
ここで、本実施の形態3に係る消音機構が高い消音効果を得るためには、騒音検出マイクロホン161で検出した音と消音効果検出マイクロホン191で検出した音のコヒーレンスが高い必要がある。しかしながら、ファン20の羽根車25の回転による気流乱れが起こっている領域(例えば、室内機100ではファン20と熱交換器50との間の風路)に騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を設置すると、本来の騒音以外の成分である気流乱れによる圧力変動成分を検出してしまい、両マイクロホン間のコヒーレンスが低下してしまう。
そこで、本実施の形態3に係る室内機100では、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の下流側に設置している。室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20を設置しているため、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191とファン20との間に熱交換器50を設置することができる。このように騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を設置すると、ファン20で発生した気流乱れが熱交換器50のフィン56間を通過することにより抑えられるため、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191では気流乱れによる影響を低減することができる。したがって、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191との間のコヒーレンスが上昇し、高い消音効果を得ることができる。
図16は、騒音検出マイクロホン及び消音効果検出マイクロホンの設置位置による両マイクロホン間のコヒーレンス特性を示した特性図である。ここで、図16(a)は、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の上流側(より詳しくはファン20と熱交換器50との間)に設けた場合の両マイクロホン間のコヒーレンス特性を示した特性図である。また、図16(b)は、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の下流側に設けた場合の両マイクロホン間のコヒーレンス特性を示した特性図である。図16(a)と図16(b)を比較すると、ファン20が熱交換器50の上流側にあるような室内機100では、騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の下流側に設けることで、両マイクロホン間のコヒーレンスが上昇することがわかる。
また、消音効果には、制御スピーカー181の設置位置から消音効果検出マイクロホン191の設置位置(制御点)までの距離も影響する。つまり、消音効果には、制御スピーカー181から放出された制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン191の設置位置)に到達するまでの伝達経路の長さも影響する。より詳しくは、制御スピーカー181から放出された制御音は、制御点(消音効果検出マイクロホン191の設置位置)に到達するまでの伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化する。伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化してしまい、制御音が騒音と同振幅・逆位相ではなくなると、消音効果が低下してしまう。
このような伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するため、一般的なFiltered−Xアルゴリズムでは、制御音の伝達経路を予め求めておき、制御音を生成する過程で補正をかけることで上記の問題点を解消している。しかしながら、伝達経路が長くなると、求める伝達経路のフィルタータップ数が長くなってしまい、演算処理が増えてしまう。さらに、気温等の変化により音速が変化した場合等、伝達経路が長いと、求めた伝達経路と実際の伝達経路との誤差が大きくなってしまい、消音効果が低下してしまう。
このため、伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するためには、制御スピーカー181と消音効果検出マイクロホン191とを近くに設置することが好ましい。このように制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を設置することにより、制御音の伝達距離を短くすることができ、振幅特性及び位相特性の変化を小さく抑えることができる。つまり、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を近くに設置することにより、精度の高い音波の重ねあわせが可能となるため、高い消音効果を得ることができる。そこで、本実施の形態3に係る室内機100では、消音効果検出マイクロホン191の設置位置である熱交換器50の下流側に、制御スピーカー181を設けている。このため、制御スピーカー181から放出された制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン191の設置位置)に到達するまでの伝達経路を短縮することができ、高い消音効果を得ることができる。
また、室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20を設置することができるので、騒音源となるファン20をケーシング1内の上方に設置することができる。このため、ファン20からの騒音が吹出口3から放出されるまでの騒音の伝達経路を長くすることができる。このため、制御スピーカー181を熱交換器50の下流側に設置することにより、騒音検出マイクロホン161と制御スピーカー181との距離を長くとることができる。つまり、騒音検出マイクロホン161で検出した音に対する制御音を生成するまでの演算時間を長くとることができるため、演算速度を高速にする必要がなくなる。したがって、本実施の形態1に係る室内機100は、A/D変換器152や信号処理を行うデジタルシグナルプロセッサーのスペックを低くすることができるため、コストを削減することができる。
なお、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
以上、本実施の形態3に係る室内機100は、消音機構の構成要素のうち、少なくとも制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191を熱交換器50の下流側に備えている。このため、室内機100は、ファン20で発生した気流の乱れが消音効果検出マイクロホン191に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー181から発した制御音が制御点(消音効果検出マイクロホン191の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となる。このため、室内機100は、消音機構によって精度の高い騒音制御を行うことができる。
また、本実施の形態3に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホン161も熱交換器50の下流側に設けている。このため、ファン20で発生した気流の乱れが騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191に及ぼす影響を低減でき、両マイクロホン間のコヒーレンスを上昇させることができるので、高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態3に係る室内機100においては、熱交換器50の上流側であってケーシング1内の上方にファン20を設けることができる。このため、ファン20からの騒音の伝達経路を長くすることができ、騒音検出マイクロホン161と制御スピーカー181との距離を長くとることができる。このため、演算処理の速度を高速にする必要がなくなるので、室内機100のコストを削減することができる。
実施の形態4.
以下のような消音機構を用いても実施の形態3と同様の消音効果を得ることができる。なお、本実施の形態4において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態3と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図17は、本発明の実施の形態4に係る室内機を示す縦断面図である。
本実施の形態4に係る室内機100と実施の形態3に係る室内機100との異なる点は、能動的消音に用いられるマイクロホンが異なる点である。より詳しくは、実施の形態3に係る室内機100は、二つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191)を用い、信号処理装置201にて制御音の生成を行っていた。一方、本実施の形態4の室内機100では、これら騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191を一つのマイクロホンである騒音・消音効果検出マイクロホン211に置き換えている。また、能動的消音に用いられるマイクロホンが異なることによって信号処理の方法が異なるため、本実施の形態4の室内機100は、実施の形態3に係る室内機100の信号処理装置201とは異なる信号処理装置204を用いている。
つまり、本実施の形態4に係る室内機100は、制御スピーカー181、騒音・消音効果検出マイクロホン211及び信号処理装置204で構成されている消音機構を備えている。
より詳しくは、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、熱交換器50の下流にある吹出口3付近(例えば吹出口3を形成しているノズル6部分)に取り付けられている。この騒音・消音効果検出マイクロホン211は、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音を検出する。また、騒音に対する制御音を出力する制御スピーカー181が、ケーシング1の側面(より詳しくは、熱交換器50の下側であって騒音・消音効果検出マイクロホン211の近く)に設けられている。また、制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211は、熱交換器50の下側に、ケーシング1の壁から風路の中央に向くように配置されている。
なお、騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置は、吹出口3のノズル6部分に限らず、吹出口3の開口部であればよい。例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン211を、吹出口3の下部や側部に取り付けてもよい。また、本実施の形態4では、制御スピーカー181がケーシング1の側面に取り付けられているが、ケーシング1の前面又は背面に制御スピーカー181を取り付けてもよい。
また、騒音・消音効果検出マイクロホン211の出力信号は、制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための信号処理装置204に入力されている。なお、信号処理装置204の構成は実施の形態2における室内機100と全く同じである。
ここで本実施の形態4に係る消音機構が高い消音効果を得るためには、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音が気流乱れによる圧力変動成分を検出しないようにすることが必要である。
そこで、本実施の形態4に係る室内機100では、騒音・消音効果検出マイクロホン211を熱交換器50の下流側に設置している。室内機100は、熱交換器50の上流側にファン20が設置されているため、騒音・消音効果検出マイクロホン211とファン20との間に熱交換器50を設置することができる。このように騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置すると、ファン20で発生した気流乱れが熱交換器50のフィン56間を通過することにより抑えられる。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、気流乱れによる影響が低減され、高い消音効果を得ることができる。
また、消音効果には、制御スピーカー181の設置位置から騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置(制御点)までの距離も影響する。つまり、消音効果には、制御スピーカー181から放出された制御音が制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置)に到達するまでの伝達経路の長さも影響する。より詳しくは、制御スピーカー181から放出された制御音は、制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置)に到達するまでの伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化する。伝達経路において振幅特性及び位相特性が変化してしまい、制御音が騒音と同振幅・逆位相ではなくなると、消音効果が低下してしまう。
このような伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するため、一般的なFiltered−Xアルゴリズムでは、制御音の伝達経路を予め求めておき、制御音を生成する過程で補正をかけることで上記の問題点を解消している。しかしながら、伝達経路が長くなると、求める伝達経路のフィルタータップ数が長くなってしまい、演算処理が増えてしまう。さらに、気温等の変化により音速が変化した場合等、伝達経路が長いと、求めた伝達経路と実際の伝達経路との誤差が大きくなってしまい、消音効果が低下してしまう。
このため、伝達経路に起因する消音効果の低下を抑制するためには、制御スピーカー181と騒音・消音効果検出マイクロホン211とを近くに設置することが好ましい。このように制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置することにより、制御音の伝達距離を短くすることができ、振幅特性及び位相特性の変化を小さく抑えることができる。つまり、制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211を近くに設置することにより、精度の高い音波の重ねあわせが可能となるため、高い消音効果を得ることができる。
そこで、本実施の形態4に係る室内機100では、騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置である熱交換器50の下流側に、制御スピーカー181を設けている。このため、制御スピーカー181から放出された制御音が制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置)に到達するまでの伝達経路を短縮することができ、高い消音効果を得ることができる。
なお、制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211を熱交換器50の下流側に設ける場合、冷気に直接触れることで結露を起こす可能性があるため、防水加工を施したものを使用してもよい。
以上、本実施の形態4に係る室内機100は、熱交換器50がファン20の下流側に設けられている。さらに、室内機100は、消音機構の構成要素のうち、少なくとも制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211を熱交換器50の下流側に備えている。このため、室内機100は、ファン20で発生した気流の乱れが騒音・消音効果検出マイクロホン211に及ぼす影響を低減でき、制御スピーカー181から発した制御音が制御点(騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置)へ到達するまでの経路を短縮することが可能となる。このため、室内機100は、消音機構によって精度の高い騒音制御を行うことができる。
実施の形態5.
(騒音検出マイクロホンをボスに設置)
また例えば、以下のような位置に消音機構を設置してもよい。なお、本実施の形態5においては、実施の形態1〜実施の形態4と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図18は、本発明の実施の形態5に係る室内機を示す縦断面図である。この図18は、図の右側を室内機100の前面側として示している。
本実施の形態5に係る室内機100は、熱交換器50が熱交換器固定金具58によってケーシング1内に固定されている。図18中の白抜き矢印に示すように、ファン20が作動すると、吸込口2から室内機100内の風路に室内の空気を吸い込み、この吸入空気をファン20の下部にある熱交換器50で冷却又は加熱した後、吹出口3から室内に吹き出すようになっている。
図19は、本発明の実施の形態5に係るファンの底面図(図18の下側から見た図)である。また、図20は、図19に示したファン20を断面Mで切った断面図である。
本実施の形態5では、ファン20、ファンモーター、ベルマウス及びモーターステイ16等がモジュール化されたファンを用いている。ケーシング1と着脱可能な構造とすれば、メンテナンス性が向上し、ファン20のチップクリアランスの精度を向上させることができるからである。ファン20は、動翼と呼ばれる羽根車25を備えている。この羽根車25の動力源となるファンモーターは、モーターステイ16の固定部材17の中に設けられている。また、固定部材17は、支持部材18を介して、モジュール化されたファンの筐体等に接続されている。図19中の網掛けの部分が、ファン20の羽根の内周にあたる部分(つまり、羽根車25の羽根の内周部に接する内接円)を示している。なお、支持部材18は、翼形状や板形状として静翼効果を与えてもよい。
羽根車25の動力源となるファンモーターと羽根車25のボス21は、回転軸20aによって接続されている。これにより、ファンモーターの回転が回転軸20aを介して羽根車25に伝えられ、羽根車25が回転する。羽根車25が回転することにより、図20の白抜き矢印に示す方向へ、空気が流れる(送風される)。なお、図20中、斜線で示している部分が、ファン20の動作時に回転する部分を示している。また、斜線のない部分が、ファン20の動作時でも回転しない部分(つまり不動部材)を示している。また、ファン20の羽根の内周にあたる部分(つまり、羽根車25の羽根の内周部に接する内接円)は、ボス21の外周部となっている。なお、本実施の形態5では、固定部材17の直径を、ボス21の直径と略同じに形成している。
再び、図18に着目すると、ファン20の羽根の内周に相当する固定部材17には、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)を検出する騒音検出装置として騒音検出マイクロホン161が取り付けられている。つまり、騒音検出マイクロホン161は、羽根車25の羽根の内周部に接する内接円を羽根車25の回転軸方向に延設した円柱領域(以下、円柱領域Sと称する)に配置されている。なお、この固定部材17は、ファン20の動作時、図20に示したとおり、回転する羽根車25とは独立しており、回転しないように構成されている。このため、騒音検出マイクロホン161もファン20の動作時は回転しない。さらに、騒音検出マイクロホン161の下側には、騒音に対する制御音を出力する制御音出力装置として制御スピーカー181が、ケーシング1の壁から風路の中央に向くように配置されている。
さらに、室内機100の下端の壁には、吹出口3から出てくる騒音を検出し、消音効果を検出する消音効果検出装置として消音効果検出マイクロホン191が、吹出口3の例えば上部に取り付けられている。この消音効果検出マイクロホン191は、流路と反対向きに取り付けられている。なお、消音効果検出マイクロホン191の設置位置は、吹出口3の上部に限らず、吹出口3の開口部であればよい。例えば消音効果検出マイクロホン191を、吹出口3の下部や側部に取り付けてもよい。また、消音効果検出マイクロホン191は、正確に流路と反対向きに設けられている必要はない。消音効果検出マイクロホン191は、室内機100(ケーシング)の外側に向かって設けられていればよい。つまり、消音効果検出マイクロホン191は、室内に放射された騒音を検出できる位置に設置すればよい。
また、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191の出力信号は、制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための制御音生成装置である信号処理装置207に入力されている。室内機100の消音機構は、これら騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191、及び信号処理装置207により構成されている。
次に室内機100の動作について説明する。室内機100が動作すると、ファン20の羽根車25が回転し、ファン20の上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。
ファン20の吹出口3近傍では羽根車25の回転により気流乱れが起こっている。また、ファン20から吹出される空気は、ファン20の吹出口から外側へ向かって吹出されるため、室内機100のケーシング1の側壁にぶつかり、更なる気流乱れが引き起こされる。このため、ケーシング1の側壁では、気流乱れによる圧力変動が大きくなる。それに比べ、ファン20の羽根の内周よりも内側の領域(円柱領域S)では気流の乱れが小さく、気流による圧力変動も小さい。
これを裏付けるため、ファン20から吹出される気流を可視化した実験の結果を図22に示す。図22は、ダクト形状の筒の右端にファン20を取り付け、ダクト内に白煙を滞留させた後、ファン20を動作させた時の写真である。ファン20の吹出口近傍に着目すると、固定部材17付近及び円柱領域Sを除いた領域は、白く滞留していた煙が薄くなっており、白煙が気流によって流されていることがわかる。一方、ファン20の固定部材17付近及び円柱領域Sは、白煙が滞留したままとなっており、気流の影響が小さい。つまり、ファン20の固定部材17付近及び円柱領域Sは、気流の影響を受けにくく、気流乱れによる圧力変動が小さいことがわかる。
ファン20により送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている冷媒配管から冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
次に、室内機100の運転音の抑制方法について説明する。
図21は、本発明の実施の形態5に係る信号処理装置を示す構成図である。
室内機100におけるファン20の送風音を含む運転音(騒音)は、ファン20の固定部材17に取り付けられた騒音検出マイクロホン161で検出される。騒音検出マイクロホン161で検出された騒音は、マイクアンプ151、A/D変換器152を介してデジタル信号となり、FIRフィルター158とLMSアルゴリズム159に入力される。
FIRフィルター158のタップ係数はLMSアルゴリズム159により逐次更新される。LMSアルゴリズム159では、実施の形態1の式1と同様に(h(n+1)=h(n)+2・μ・e(n)・x(n))に従い、誤差信号eがゼロに近づくように最適なタップ係数が更新される。
このようにLMSアルゴリズム159でタップ係数が更新されてFIRフィルター158を通過したデジタル信号は、D/A変換器154にてアナログ信号に変換され、アンプ155で増幅され、制御スピーカー181から制御音として室内機100内の風路に放出される。
一方、室内機100の吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けられた消音効果検出マイクロホン191には、ファン20から風路を通って伝播し、吹出口3から室内へ放出された騒音に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。消音効果検出マイクロホン191で検出した信号は、デジタル信号に変換され、重み付け手段153にて平均化される。
図23は、本発明の実施の形態5に係る重み付け手段の回路を示す構成図である。重み付け手段153は、入力信号に対して重み付け係数を乗じる乗算器121、加算器122、1サンプリング分の遅延素子123、及び乗算器124からなる積分器で構成される。
本実施の形態5では、乗算器121の重み付け係数は、設置環境等により外部から設定可能となっている。
例えば、外乱が大きく動作が不安定となる環境下では、乗算器121の重み付け係数を小さく設定してもよい。逆に外乱が小さい環境下では、乗算器121の重み付け係数を大きく設定してもよい。これにより、環境変化に対する感度を変化させることができる。ここで、LMSアルゴリズム159が安定するまでは、重み付け手段153による平均化は行わないようにしてもよい。これは、LMSアルゴリズム159が安定していない間は騒音が十分低減できておらず、重み付け手段153の出力値が暴走する場合があるからである。さらに、重み付け手段153の出力値が一定の値を超えた場合にリセットがかかるようにしておいてもよい。
このようにして平均化された信号は、上述したLMSアルゴリズム159の誤差信号eとして扱われる。そして、この誤差信号eがゼロに近づくようにフィードバック制御され、FIRフィルター158のタップ係数が適宜更新される。その結果、FIRフィルター158を通過した制御音により吹出口3近傍の騒音を抑制することができる。
人が感じる室内機100からの騒音は吹出口3から室内へと放出された後の騒音であるため、消音効果検出マイクロホン191を流路の反対側である室内に向けることで、室内へと放出された騒音を検出することができる。つまり、消音効果検出マイクロホン191を吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けることで、室内へ放出された騒音とコヒーレンスの高い音を検出することが可能となる。さらに、消音効果検出マイクロホン191は、気流が直接当たらないため、気流による風切音を検出することがない。一方、消音効果検出マイクロホン191を流路内に向けると、流路内の騒音を検出することになる。このため、吹出口から放出されるところでの音の特性の変化を検出することができないので、消音効果検出マイクロホン191の検出する音は、室内の騒音と特性が異なってしまう。したがって、消音効果検出マイクロホン191で検出した音と室内へ放出された音とのコヒーレンスの低下を招いてしまう。さらに、消音効果検出マイクロホン191には気流が直接当たるため、消音効果検出マイクロホン191は、風切音を検出してしまい、更なるコヒーレンスの低下を招いてしまう。
また、室内では、ファン20から発生する騒音以外の音が多分に含まれているため、これらの騒音以外の音により、フィードバック制御の安定性が損なわれてしまう。このため、フィードバック制御の前段に重み付け手段153を配置することで、騒音以外の音を平均化している。これにより、無相関な騒音以外の音の成分をキャンセルすることができ、フィードバック制御を安定的に動作させることができる。つまり、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191とのコヒーレンスを高めることが可能となる。
そして、本実施の形態5では、騒音検出マイクロホン161をファン20の固定部材17に取り付けているため、騒音検出マイクロホン161に気流が直接当たらない。このため、騒音検出マイクロホン161が気流乱れによる圧力変動成分を検出することを低減できる。したがって、騒音検出マイクロホン161は、ファン20の運転音である騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができる。また、消音効果検出マイクロホン191を吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けているため、消音効果検出マイクロホン191には気流が直接当たらず、消音効果検出マイクロホン191は気流の影響を受けない。さらに、消音効果検出マイクロホン191は室内へと放出された騒音のみを検出することができるため、実際に室内にいる人が聞く騒音とコヒーレンスの高い騒音を消音効果検出マイクロホン191にて検出することができる。さらに、消音効果検出マイクロホン191で検出した音に対して重み付け手段153による平均化を行い、フィードバック制御を行うため、消音効果検出マイクロホン191で検出した音に含まれる室内機100からの騒音以外の成分を平均化し、キャンセルすることができる。このため、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191の検出音について高いコヒーレンスが得られる。これらのことから、ファン20から発生する騒音、騒音検出マイクロホン161の検出音、消音効果検出マイクロホン191の検出音、及び室内機100から騒音が放射された室内の騒音の間で、高いコヒーレンスを得ることができ、高い消音効果を得ることができる。
騒音検出マイクロホン161を実際にファン20の羽根内周(円柱領域S)よりも内側に取り付けたときの、騒音検出マイクロホン161−消音効果検出マイクロホン191間のコヒーレンスを測定した実験結果について説明する。
図24は、騒音検出マイクロホン161を円柱領域Sの外側に設置してファン20を動作させた時の、騒音検出マイクロホン161の検出音と消音効果検出マイクロホン191の検出音とのコヒーレンス特性である。次に、図25は、円柱領域Sの内側に設置してファン20を動作させた時の、騒音検出マイクロホン161の検出音と消音効果検出マイクロホン191の検出音とのコヒーレンス特性である。図24と図25を比較すると、騒音検出マイクロホン161を円柱領域Sの内側に設置した場合の方が、明らかにコヒーレンスが高いことがわかる。
さらに、ファン20の固定部材17に騒音検出マイクロホン161を取り付けることで、新たに部品点数を増やすことなく、騒音検出マイクロホン161を容易に取り付けることができ、精密な取付け機構が不要となる。また、ファン20の固定部材17に騒音検出マイクロホン161を設置することで、ファン20と騒音検出マイクロホン161との距離が短くてすむため、室内機100の高さを短くすることができる。
なお、本実施の形態5では騒音検出マイクロホン161を固定部材17に設置したが、ファン20の回転に伴う固有の機械振動が固定部材17に伝わり、その振動を騒音検出マイクロホン161が検出してしまう場合がある。この場合、局所的に騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191とのコヒーレンスが悪化してしまうことがある。このような場合、円柱領域S内で固定部材17以外の箇所に騒音検出マイクロホン161を設置してもよい。例えば図26に示すように、円柱領域S内となる範囲の熱交換器50上に騒音検出マイクロホン161を設置してもよい。また例えば図27に示すように、円柱領域S内となる範囲の熱交換器固定金具58の下に騒音検出マイクロホン161を設置してもよい。このように騒音検出マイクロホン161を設置することにより、騒音検出マイクロホン161を固定部材17に設置した場合よりも、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191とのコヒーレンスをさらに高めることができ、より高い消音効果を得ることができる。
また、図28に示すように、騒音検出マイクロホン161を壁部材270で覆ってもよい。壁部材より気流を遮断することができるため、気流の影響を一層受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。図28では、壁部材270を略円筒状に形成しているが、壁部材270の形状は任意である。
また、熱交換器50や熱交換器固定金具58に騒音検出マイクロホン161を取り付けた場合にも、騒音検出マイクロホン161を壁部材270で覆うとよい。気流の影響を一層受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。
また、吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けられた消音効果検出マイクロホン191を、壁部材で覆ってもよい。気流を遮断することができるため、消音効果検出マイクロホン191においても気流の影響を受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態5では、信号処理装置207にFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、消音効果検出マイクロホン191で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、重み付け手段153は、積分器である必要はなく、平均化できる手段であればよい。また、信号処理装置207は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置207は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
以上、本実施の形態5に係る室内機100においては、騒音検出装置である騒音検出マイクロホン161は、円柱領域S内で、かつファン20の不動部材に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、室内機100の部品点数を増やすことなく騒音検出マイクロホン161を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。
なお、ファン20の不動部材は、固定部材17に限定されるものではない。ファン20の構成要素のうち、少なくとも一部が円柱領域S内に配置される不動部材があれば、その不動部材の円柱領域S内となる範囲に騒音検出マイクロホン161を設けてもよい。
また、本実施の形態5に係る室内機100においては、騒音検出装置である騒音検出マイクロホン161は、円柱領域S内で、かつファン20の下流側に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、室内機100の部品点数を増やすことなく騒音検出マイクロホン161を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音検出マイクロホン161により検出しないため、騒音検出マイクロホン161をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
なお、騒音検出マイクロホン161をファン20の下流側に設ける場合、騒音検出マイクロホン161を設ける構成要素は、熱交換器50や熱交換器固定金具58に限定されるものではない。少なくとも一部が円柱領域S内であってファン20の下流側に配置された構成要素があれば、その構成要素の円柱領域S内となる範囲に騒音検出マイクロホン161を設けてもよい。
また、本実施の形態5に係る室内機100においては、消音効果検出装置である消音効果検出マイクロホン191を、吹出口3の開口部に設け、室内機100の外側に向けて配置している。このため、気流の影響を受けず、室内へと放出された騒音を検出することができる。したがって、室内機100から放射された室内の騒音と消音効果検出マイクロホン191の検出音について高いコヒーレンスが得られる。このため、室内機100から放射された室内の騒音に対して精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態5に係る室内機100においては、制御音生成装置である信号処理装置207は、消音効果検出装置である消音効果検出マイクロホン191にて検出した検出結果に重み付けをし、フィードバック制御を行う回路を備えている。このため、消音効果検出マイクロホン191にて検出した室内機100の騒音以外の音を平均化することでキャンセルすることができる。したがって、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191との間で高いコヒーレンスの音を検出することができ、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態5に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホン161は、ファン20の固定部材17における円柱領域S内となる範囲に設置されている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音検出マイクロホン161を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。
また、本実施の形態5に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホン161は、熱交換器50の円柱領域S内となる範囲に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音検出マイクロホン161を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音検出マイクロホン161により検出しないため、騒音検出マイクロホン161をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態5に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホン161は、熱交換器固定金具58の円柱領域S内となる範囲に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音検出マイクロホン161を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音検出マイクロホン161により検出しないため、騒音検出マイクロホン161をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態5に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホン161を壁部材270で覆っている。気流を遮断することにより、騒音検出マイクロホン161が気流の影響を一層受けなくなるので、より高い消音効果を得ることができる。
また、本実施の形態5に係る室内機100においては、消音効果検出マイクロホン191を壁部材で覆っている。気流を遮断することにより、消音効果検出マイクロホン191が気流の影響を一層受けなくなるので、より高い消音効果を得ることができる。
実施の形態6.
本実施の形態6では、本実施の形態5における騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191とを集約した騒音・消音効果検出装置として騒音・消音効果検出マイクロホン211を配置した室内機100について説明する。なお、本実施の形態6において、特に記述しない項目については実施の形態5と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図29は、本発明の実施の形態6に係る室内機を示す縦断面図である。この図29は、図の右側を室内機100の前面側として示している。
本実施の形態6に係る室内機100は、熱交換器50が熱交換器固定金具58によってケーシング1内に固定されている。図29中の白抜き矢印に示すように、ファン20が作動すると、吸込口2から室内機100内の風路に室内の空気を吸い込み、この吸入空気をファン20の下部にある熱交換器50で冷却又は加熱した後、吹出口3から室内に吹き出すようになっている。
本実施の形態6に係る室内機100が実施の形態5に係る室内機100と異なる点は、以下の点である。つまり、実施の形態5に係る室内機100は、能動的消音を行うための騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191の二つのマイクロホンを用いて信号処理装置207にて制御音の生成を行っていた。一方、本実施の形態6に係る室内機100で、これらを一つのマイクロホンである騒音・消音効果検出マイクロホン211に置き換えている。また、それに伴い、信号処理の方法が異なるため、信号処理装置204の内容が異なっている。室内機100のケーシング1の側壁部には、騒音に対する制御音を出力する制御スピーカー181が壁から風路の中央に向くように配置されている。また、固定部材17の円柱領域S内となる範囲には、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音を検出する騒音・消音効果検出マイクロホン211が配置されている。
なお、この固定部材17は、ファン20の動作時、回転する羽根車25は独立しており、回転しないように構成されている。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211もファン20の動作時は回転しないことになる。騒音・消音効果検出マイクロホン211の出力信号は、制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための制御音生成装置である信号処理装置204に入力されている。室内機100の消音機構は、これら騒音・消音効果検出マイクロホン211、制御スピーカー181、及び信号処理装置204により構成されている。信号処理装置204は、実施の形態2で説明した図11と全く同じ構成である。
次に室内機100の動作について説明する。室内機100が動作すると、ファン20の羽根車25が回転し、ファン20の上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20の吹出口近傍では、実施の形態5と同様に、羽根車25の回転により気流乱れが起こっている。また、ファン20から吹出される空気は、ファン20の吹出口から外側へ向かって吹出すため、室内機100の筐体の側壁にぶつかり、更なる気流乱れが引き起こされる。このため、室内機100の側壁では気流乱れによる圧力変動が大きくなる。それに比べ、ファン20の羽根内周よりも内側の領域(円柱領域S)では気流の乱れが小さく、気流による圧力変動も小さい。
ファン20により送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている冷媒配管から冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
室内機100の運転音の抑制方法は実施の形態2で説明した方法と全く同じであり、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として騒音・消音効果検出マイクロホン211における騒音を抑制するよう動作する。
このように、本実施の形態6では、能動的消音方法を適用した室内機100において、騒音・消音効果検出マイクロホン211を固定部材17の円柱領域S内となる範囲に取り付けているため、空気流れが直接当たらず、気流乱れによる圧力変動成分の検出を低減することができる。このため、ファン20の運転音である騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができ、高い消音効果を得ることができる。
さらに、ファン20の固定部材17に騒音・消音効果検出マイクロホン211を取り付けることで、新たに部品点数を増やすことなく、騒音・消音効果検出マイクロホン211を容易に取り付けることができ、精密な取付け機構が不要となる。また、ファン20の固定部材17に騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置することで、ファン20と騒音・消音効果検出マイクロホン211との距離が短くてすむため、室内機100の高さを短くすることができる。
なお、本実施の形態6では、騒音・消音効果検出マイクロホン211を固定部材17に設置したが、ファン20の回転に伴う固有の機械振動が騒音・消音効果検出マイクロホン211に伝わり、その振動を騒音・消音効果検出マイクロホン211が検出してしまう場合がある。このため、消音効果が低減してしまうことがある。このような場合、円柱領域S内で固定部材17以外の箇所に騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置してもよい。例えば図30に示すように、円柱領域S内となる範囲の熱交換器50上に騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置してもよい。また例えば図31に示すように、円柱領域S内となる範囲の熱交換器固定金具58の下に騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置してもよい。このように騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置することにより、騒音・消音効果検出マイクロホン211を固定部材17に設置した場合よりも、より高い消音効果を得ることができる。
また、図32に示すように、騒音・消音効果検出マイクロホン211を壁部材270で覆ってもよい。壁部材270より気流を遮断することができるため、気流の影響を一層受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。図32では、壁部材270を略円筒状に形成しているが、壁部材270の形状は任意である。また、熱交換器50や熱交換器固定金具58に騒音・消音効果検出マイクロホン211を取り付けた場合にも、騒音・消音効果検出マイクロホン211を壁部材270で覆うとよい。気流の影響を一層受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。
以上、本実施の形態6に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出装置である騒音・消音効果検出マイクロホン211は、円柱領域S内で、かつファン20の不動部材に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、室内機100の部品点数を増やすことなく騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。
また、本実施の形態6では、信号処理装置204にFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置204は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置204は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、本実施の形態6に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出装置である騒音・消音効果検出マイクロホン211は、円柱領域S内で、かつファン20の下流側に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、室内機100の部品点数を増やすことなく騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音・消音効果検出マイクロホン211により検出しないため、騒音・消音効果検出マイクロホン211をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態6に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、ファン20の固定部材17における円柱領域S内となる範囲に設置されている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。
また、本実施の形態6に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、熱交換器50の円柱領域S内となる範囲に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音・消音効果検出マイクロホン211により検出しないため、騒音・消音効果検出マイクロホン211をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態6に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、熱交換器固定金具58の円柱領域S内となる範囲に設けられている。このため、ファン20の吹出口からの気流の影響を低減でき、騒音とコヒーレンスの高い音を検出することができるので、精度の高い能動消音を行うことができる。また、ファン20の機構を変えずに、空気調和機の部品点数を増やすことなく騒音・消音効果検出マイクロホン211を設置できるため、設置自由度が高い室内機100を実現することができる。さらに、ファン20の回転に伴う固有の機械振動を騒音・消音効果検出マイクロホン211により検出しないため、騒音・消音効果検出マイクロホン211をファン20の不動部材に設けた場合よりも、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態6に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211を壁部材270で覆っている。気流を遮断することにより、騒音・消音効果検出マイクロホン211が気流の影響を一層受けなくなるので、より高い消音効果を得ることができる。
実施の形態7.
本実施の形態7では、騒音・消音効果検出マイクロホン211を吹出口3の上部に流路と反対側を向くように設置した室内機100について説明する。なお、本実施の形態7において、特に記述しない項目については実施の形態5又は実施の形態6と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図33は、本発明の実施の形態7に係る室内機を示す縦断面図である。この図33は、図の右側を室内機100の前面側として示している。
本実施の形態7に係る室内機100が実施の形態6に係る室内機100と異なる点は、騒音・消音効果検出マイクロホン211を、吹出口3の上部に流路と反対側を向くように配置した点である。これに伴い、信号処理装置208の構成も異なっている。騒音・消音効果検出マイクロホン211を吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けた場合も、実施の形態6と同様に、新たに部品点数を増やすことなく、騒音・消音効果検出マイクロホン211を容易に取り付けることができ、精密な取付け機構が不要となる。室内機100のケーシング1の側壁部には、騒音に対する制御音を出力する制御スピーカー181が壁から風路の中央に向くように配置されている。また、ファン20の送風音を含む室内機100の運転音(騒音)に、制御スピーカー181から放出された制御音を干渉させた後の音を検出する騒音・消音効果検出マイクロホン211が、吹出口3の上部に流路の反対側を向くように配置されている。騒音・消音効果検出マイクロホン211の出力信号は、制御スピーカー181を制御する信号(制御音)を生成するための制御音生成装置である信号処理装置208に入力されている。
図34は信号処理装置208の構成図を示している。図11に示した信号処理装置204と異なる点は、A/D変換器152の出力とLMSアルゴリズム159の入力との間に重み付け手段153が配置されている点である。それ以外の構成は実施の形態2の信号処理装置204と同様である。
次に室内機100の動作について説明する。室内機100が動作すると、ファン20の羽根車25が回転し、ファン20上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20の吹出口近傍では、実施の形態5及び実施の形態6と同様に、羽根車25の回転により気流乱れが起こっている。また、ファン20から吹出される空気は、ファン20の吹出口から外側へ向かって吹出すため、室内機100の筐体の側壁にぶつかり、更なる気流乱れが引き起こされる。このため、室内機100の側壁では気流乱れによる圧力変動が大きくなる。
しかし、本実施の形態7では、騒音・消音効果検出マイクロホン211が、吹出口3の上部に流路と反対向きに配置されている。吹出口3付近は、ファン20近傍に比べると、気流乱れの大きいファン20の吹出口からの距離が十分に大きい。さらに、吹出口3付近では、熱交換器50によって気流乱れが整流される。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211の付近での気流乱れは小さくなっている。さらに、騒音・消音効果検出マイクロホン211が設けられている領域には気流が直接当たらないため、騒音・消音効果検出マイクロホン211は気流乱れによる影響をほとんど受けない。さらに、人が感じる室内機100からの騒音は、吹出口3から室内へと放出された後の騒音であるため、騒音・消音効果検出マイクロホン211を流路の反対側である室内に向けることで、室内へと放出された騒音を検出することができる。すなわち、騒音・消音効果検出マイクロホン211を吹出口3の上部に流路と反対向きに取り付けることで、室内へ放出された騒音とコヒーレンスの高い音を検出することが可能となる。
次に、室内機100の運転音の抑制方法について説明する。本実施の形態7の制御音の生成方法は、実施の形態2に記述した方法と同様である。本実施の形態7の制御音の生成方法が実施の形態2に記述した方法と異なる点は、LMSアルゴリズム159に誤差信号として入力される信号に対して重み付け手段153により平均化を行う点である。騒音・消音効果検出マイクロホン211を吹出口3の上部に流路と反対向きに配置した場合、騒音・消音効果検出マイクロホン211が検出する騒音の中には、ファン20から発生する騒音以外の音が多分に含まれている。このため、これらの騒音以外の音によりフィードバック制御の安定性が損なわれてしまう。そこで、本実施の形態7では、フィードバック制御の前段に重み付け手段153を配置することで騒音以外の音を平均化している。これにより、無相関な騒音以外の音の成分をキャンセルすることができ、フィードバック制御を安定的に動作させることができる。すなわち、吹出口3から室内へと放出された後の騒音と騒音・消音効果検出マイクロホン211とのコヒーレンスを高めることが可能となる。
なお、実施の形態5と同様に、LMSアルゴリズム159が安定するまでは、重み付け手段153による平均化は行わないようにしてもよい。これは、LMSアルゴリズム159が安定していない間は騒音が十分低減できておらず、重み付け手段153の出力値が暴走する場合があるからである。さらに、重み付け手段153の出力値が一定の値を超えた場合にリセットがかかるようにしておいてもよい。また、気流の影響をさらに受けなくするために、騒音・消音効果検出マイクロホン211を壁部材270で覆ってもよい。壁部材により気流を遮断することができるため、気流の影響を一層受けなくなり、より高い消音効果を得ることができる。
また、騒音・消音効果検出マイクロホン211の設置位置は、吹出口3の上部に限らず、吹出口3の開口部であればよい。例えば騒音・消音効果検出マイクロホン211を、吹出口3の下部や側部に取り付けてもよい。また、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、正確に流路と反対向きに設けられている必要はない。騒音・消音効果検出マイクロホン211は、室内機100(筐体)の外側に向かって設けられていればよい。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン211は、室内に放射された騒音を検出できる位置に設置すればよい。
また、本実施の形態7では、信号処理装置208にFIRフィルター158とLMSアルゴリズム159を用いたが、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、重み付け手段153は、積分器である必要はなく、平均化できる手段であればよい。また、信号処理装置208は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置208は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
以上、本実施の形態7に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出装置である騒音・消音効果検出マイクロホン211を、吹出口3の開口部に設け、室内機100の外側に向けて配置している。このため、気流の影響を受けず、室内へと放出された騒音を検出することができる。したがって、室内機100から放射された室内の騒音と騒音・消音効果検出マイクロホン211の検出音について高いコヒーレンスが得られる。このため、室内機100から放射された室内の騒音に対して精度の高い能動消音を行うことができる。
また、本実施の形態7に係る室内機100においては、制御音生成装置である信号処理装置208は、騒音・消音効果検出装置である騒音・消音効果検出マイクロホン211にて検出した検出結果に重み付けをし、フィードバック制御を行う回路を備えている。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211にて検出した室内機100の騒音以外の音を平均化することでキャンセルすることができる。したがって、さらに精度の高い能動消音を行うことができる。また、本実施の形態7に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211を壁部材270で覆っている。気流を遮断することにより、騒音・消音効果検出マイクロホン211が気流の影響を一層受けなくなるので、より高い消音効果を得ることができる。
実施の形態8.
(ファン個別制御)
室内機100に設けられた各ファン20の回転数を個別に制御することにより、能動的消音機構の消音効果がより向上する。なお、本実施の形態8においては、実施の形態1〜実施の形態7と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図35は、本発明の実施の形態8に係る室内機を示す正面図である。また、図36は、図35に示す室内機を示す側面図である。なお、図36は図35に示した室内機100を図35の斜線塗りつぶしの矢印方向から見た図であり、室内機100のケーシング1の側壁を透写して示している。なお、図36では、図35に示しているリモコン280、制御装置281及びモータードライバー282A〜282Cの図示を省略している。
図35及び図36に示す室内機100は室内機100(より詳しくは、室内機100のケーシング1)の上部には吸込口2が開口形成され、室内機100(より詳しくは、室内機100のケーシング1)の下端には吹出口3が開口形成されている。つまり、室内機100内には、吸込口2と吹出口3を連通する風路が形成されている。そして、風路における吸込口2の下側には、左右方向(長手方向)に沿って、羽根車25を有するファン20が複数設けられている。なお、本実施の形態8では、3つのファン(ファン20A〜20C)が設けられている。これらファン20A〜20Cは、羽根車25の回転軸中心が略垂直方向となるように設けられている。これらファン20A〜20Cのそれぞれは、モータードライバー282A〜282Cを介して、制御装置281の送風ファン制御手段171に接続されている。なお、制御装置281の詳細については後述する。
ファン20A〜20Cの下方には、空気を熱交換して冷却又は加熱する熱交換器50が配置されている。図35の白抜き矢印に示すように、ファン20A〜20Cが作動すると、吸込口2から室内機100内の風路に室内の空気を吸い込み、この吸入空気をファン20A〜20Cの下部にある熱交換器50で冷却又は加熱した後、吹出口3から室内に吹き出すようになっている。
また、本実施の形態8に係る室内機100は、能動的消音に用いる消音機構が設けられている。本実施の形態8に係る室内機100の消音機構は、騒音検出マイクロホン161,162、制御スピーカー181,182、消音効果検出マイクロホン191,192、及び信号処理装置201,202により構成されている。つまり、本実施の形態8に係る室内機100の消音機構は、2つの騒音検出マイクロホン、2つの制御スピーカー及び2つの消音効果検出マイクロホンを備えている。以下、騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181、消音効果検出マイクロホン191及び信号処理装置201で構成される消音機構を消音機構Aとする。また、騒音検出マイクロホン162、制御スピーカー182、消音効果検出マイクロホン192及び信号処理装置202で構成される消音機構を消音機構Bとする。
騒音検出マイクロホン161,162は、ファン20A〜20Cの送風音(ファン20A〜20Cから放射される騒音)を含む室内機100の運転音(騒音)を検出する騒音検出装置である。騒音検出マイクロホン161,162は、ファン20A〜20Cの下流側となる位置(例えば、ファン20A〜20Cと熱交換器50との間)に設けられている。また、騒音検出マイクロホン161は室内機100の左側面に設けられており、騒音検出マイクロホン162は室内機100の右側面に設けられている。
制御スピーカー181,182は、騒音に対する制御音を出力する制御音出力装置である。制御スピーカー181,182は、騒音検出マイクロホン161,162の下流側となる位置(例えば、熱交換器50の下流側)に設けられている。また、制御スピーカー181は室内機100の左側面に設けられており、制御スピーカー182は室内機100の右側面に設けられている。そして、制御スピーカー181,182は、室内機100のケーシング1の壁面から風路の中央に向くように配置されている。
消音効果検出マイクロホン191,192は、制御音による消音効果を検出する消音効果検出装置である。消音効果検出マイクロホン191,192は、制御スピーカー181,182の下流側となる位置に設けられている。また、消音効果検出マイクロホン191は例えばファン20Aの回転軸のほぼ延長線上に設けられており、消音効果検出マイクロホン192は例えばファン20Cの回転軸のほぼ延長線上に設けられている。なお、本実施の形態8では、吹出口3を形成するノズル6上に、消音効果検出マイクロホン191,192が設けられている。つまり、消音効果検出マイクロホン191,192は、吹出口3から出てくる騒音を検出し、消音効果を検出している。
信号処理装置201,202の構成は実施の形態1で説明した図8に示した構成と全く同じである。
図37は、本発明の実施の形態8に係る制御装置を示す構成図である。
以下で説明する各種動作及び手段は、室内機100が備える制御装置281に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置281は主に、リモコン280等の外部入力装置からの信号を入力する入力部130、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU131、データーやプログラムを記憶するメモリー132を備えている。さらに、CPU131は送風ファン制御手段171を備えている。
送風ファン制御手段171は、同回転数決定手段133、ファン個別制御回転数決定手段134及び複数のSW135(ファン20と同数)を備えている。同回転数決定手段133は、リモコン280から入力された運転情報に基づき、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン280から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。ファン個別制御回転数決定手段134は、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW135は、例えばリモコン280から入力される信号に基づき、モータードライバー282A〜282Cへ送られるファン20A〜20Cの回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW135は、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させるか、ファン20A〜20Cをそれぞれ個別の回転数で動作させるかを切り替えるものである。
次に、室内機100の動作について説明する。
室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
なお、消音機構A及び消音機構Bの動作については実施の形態1と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン191,192で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン191,192における騒音を抑制するよう動作する。
能動的消音方法では、消音効果検出マイクロホン191,192の設置箇所(制御点)で騒音と逆位相となるように、制御スピーカー181,182から制御音を出力する。このため、消音効果検出マイクロホン191,192の付近では消音効果は高くなるが、その点から距離が離れると制御音の位相が変化してしまう。したがって、消音効果検出マイクロホン191,192から距離が離れた箇所では、騒音と制御音との位相ずれが大きくなり消音効果は低くなってしまう。
次に、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御方法(以下、ファン個別制御ともいう)について説明する。
制御装置281には、リモコン280で選択された運転情報が入力される。運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン280から制御装置281へ運転情報として入力される。制御装置281に入力された運転情報は、入力部130を介して同回転数決定手段133に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段133は、入力された運転情報から、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定する。ファン個別制御を行わない場合、ファン20A〜20Cは、全て同じ回転数で制御される(以下、同回転数制御ともいう)。
同回転数決定手段133で決定された回転数(同回転数制御時の回転数)の情報は、ファン個別制御回転数決定手段134へ入力される。一方、ファン個別制御回転数決定手段134では、製品出荷時に予めメモリー132に記憶されている送風ファン情報を読み出す。この送風ファン情報とは、制御音を干渉させたときの消音効果が高い騒音を放射しているファン20の情報である。つまり、この送風ファン情報とは、消音効果検出マイクロホン191,192と関連性が高いファン20の情報である。これらの識別番号は、各消音効果検出マイクロホンごとに振り分けられている。本実施の形態8では、送風ファン情報として、消音効果検出マイクロホン191,192に最も距離が近い(関連性が高い)ファン20の識別番号を用いている。具体的には、消音効果検出マイクロホン191に最も距離が近いファン20Aの識別番号と、消音効果検出マイクロホン192に最も距離が近いファン20Cの識別番号である。
ファン個別制御回転数決定手段134は、同回転数決定手段133で決定された回転数情報及びメモリー132から読み出した送風ファン情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファン20の回転数を決定する。具体的には、ファン個別制御回転数決定手段134は、消音効果検出マイクロホン191,192の最も近くにあるファン20A,20Cの回転数を高くし、消音効果検出マイクロホン191,192から距離が離れているファン20Bの回転数を低くする。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図35のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
上述のように、能動的消音を行う場合、騒音制御の制御点となる消音効果検出マイクロホン191,192及びその周辺の消音効果は高くなるが、制御点から離れた箇所では制御スピーカー181,182から放射された制御音と騒音との位相ずれが大きくなり消音効果が低くなる。しかしながら、本実施の形態8では室内機100に複数のファン20A〜20Cを備えた構成とすることで、消音効果が高い消音効果検出マイクロホン191,192に距離の近いファン20A,20C(消音効果が高い騒音を放射するファン)の回転数を高くし、消音効果検出マイクロホン191,192から距離の遠いファン20B(消音効果が低い騒音を放射するファン)の回転数を低くすることができる。
その結果、本実施の形態8に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を制御することで空力的な性能の劣化もなく実現することができる。
さらに、図38及び図39に示すように、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図38は、本発明の実施の形態8に係る室内機の別の一例を示す正面図である。また、図39は、図38に示す室内機の左側面図である。なお、図39は、室内機100のケーシング1の側壁を透写して示している。図38及び図39に示す室内機100は、風路を仕切り板90,90aで分割することにより、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域、及びファン20Cが吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Aの騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191は、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Bの騒音検出マイクロホン162、制御スピーカー182及び消音効果検出マイクロホン192は、ファン20Cが吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように室内機100を構成することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音を騒音検出マイクロホン161,162及び消音効果検出マイクロホン191,192が検出してしまうことを防止できるので、騒音検出マイクロホン161,162及び消音効果検出マイクロホン191,192のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。一方、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで、消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなる。したがって、図38及び図39のように室内機100を構成することにより、図35の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、図38及び図39では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態8では騒音検出マイクロホン161,162を室内機100の両側面に設置したが、制御スピーカー181,182の上流側であれば騒音検出マイクロホン161,162の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態8では制御スピーカー181,182を室内機100の両側面に配置したが、騒音検出マイクロホン161,162の下流側、かつ、消音効果検出マイクロホン191,192の上流側であれば、制御スピーカー181,182の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態8では、消音効果検出マイクロホン191,192をファン20A,20Cの回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー181,182の下流側であれば消音効果検出マイクロホン191,192の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態8では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態8では、送風ファン制御手段171を制御装置281内のCPU131で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより送風ファン制御手段171を構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段171の構成についても図37に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態8では、送風ファン制御手段171は消音効果検出マイクロホン191,192に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、距離の遠いファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態8に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段171)が設けられている。送風ファン制御手段171は、消音効果が高い領域である消音効果検出マイクロホン191,192付近の領域に送風しているファン20A,20Cの回転数を高くするように制御し、消音効果が低くなる領域である消音効果検出マイクロホン191,192から距離が遠い領域に送風しているファン20Bの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、高い騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段171は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図35の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。
実施の形態9.
実施の形態8の構成に限らず、消音効果検出マイクロホンが検出する消音効果に基づいてファン個別制御を行ってもよい。なお、本実施の形態9では、上述した実施の形態8との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8と同一部分には同一符号を付している。
図40は、本発明の実施の形態9に係る室内機の正面図である。
本実施の形態9に係る室内機100が実施の形態8の室内機100と異なる点は、消音機構C(騒音検出マイクロホン163、制御スピーカー183、消音効果検出マイクロホン193及び信号処理装置203)が設けられている点である。信号処理装置203の構成は、信号処理装置201,202と全く同じである。なお、騒音検出マイクロホン163、制御スピーカー183及び消音効果検出マイクロホン193の取り付け位置は、実施の形態8と同様、ファン20Bの下流側から順に、騒音検出マイクロホン163、制御スピーカー183及び消音効果検出マイクロホン193が設置されていればよい。
さらに、信号処理装置201〜203から送風ファン制御手段172へと接続される信号線(信号S1,S2,S3を送る信号線)が設けられている点も、実施の形態8の室内機100と異なる。このため、送風ファン制御手段172の構成も、実施の形態8に係る送風ファン制御手段171の構成と異なっている。具体的には、信号処理装置201〜203から送風ファン制御手段172へ送られる信号S1,S2,S3は、消音効果検出マイクロホン191〜193から入力された信号がマイクアンプ151を経てA/D変換器152にてデジタル変換された信号である。つまり、信号S1,S2,S3は、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルのデジタル値である。
次に、送風ファン制御手段172の構成について説明する。
図41は、本発明の実施の形態9に係る制御装置を示す構成図である。以下で説明する各種動作及び手段は、室内機100が備える制御装置281に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置281は主に、実施の形態8で述べた構成と同様、リモコン280等の外部入力装置からの信号を入力する入力部130、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU131、データーやプログラムを記憶するメモリー132を備えている。さらに、CPU131は送風ファン制御手段172を備えている。
送風ファン制御手段172は、同回転数決定手段133、複数の平均化手段136(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別制御回転数決定手段134A及び複数のSW135(ファン20と同数)を備えている。同回転数決定手段133は、リモコン280から入力された運転情報に基づき、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン280から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。平均化手段136は、消音効果検出マイクロホン191〜193にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3が入力されるものであり、これらS1,S2,S3の信号をある一定時間平均化するものである。
ファン個別制御回転数決定手段134Aは、平均化手段136にて平均化されたS1,S2,S3それぞれの信号と同回転数決定手段133から入力された回転数情報に基づき、ファン20A〜20Cをファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW135は、例えばリモコン280から入力される信号に基づき、モータードライバー282A〜282Cへ送られるファン20A〜20Cの回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW135は、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、ファン20A〜20Cをそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
次に、室内機100の動作について説明する。
実施の形態8と同様、室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
また、消音機構A〜Cの動作についても実施の形態8と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン191〜193における騒音を抑制するよう動作する。
なお、本実施の形態9に係る室内機100の場合、消音効果検出マイクロホン193には、ファン20Bから放射される騒音の他に、隣接するファン20A,20Cから放射される騒音(クロストークノイズ成分)も入ってくる。一方、消音効果検出マイクロホン191,192にて検出されるクロストークノイズ成分は、消音効果検出マイクロホン193で検出されるクロストークノイズ成分と比べて小さくなる。消音効果検出マイクロホン191,192は、隣接するファン20が1つのみ(ファン20B)だからである。このため、消音機構Cに比べて、消音機構A,Bの消音効果が高くなる。
次に、本実施の形態9に係るファン20A〜20Cのファン個別制御について説明する。
制御装置281には、リモコン280で選択された運転情報が入力される。上述したように、運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン280から制御装置281へ運転情報として入力される。制御装置281に入力された運転情報は、入力部130を介して同回転数決定手段133に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段133は、入力された運転情報から、ファン20A〜20Cを同回転数制御する場合の回転数を決定する。
一方、信号処理装置201〜203から平均化手段136へ入力されたS1〜S3(消音効果検出マイクロホン191〜193で検出された音圧レベルのデジタル値)は、平均化手段136にてある一定期間平均化される。
これらS1〜S3のそれぞれを平均化した音圧レベル値、及び同回転数決定手段133で決定された回転数(同回転数制御時の回転数)の情報は、ファン個別制御回転数決定手段134Aへ入力される。ファン個別制御回転数決定手段134Aは、これらの情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファン20の回転数を決定する。具体的には、平均化された音圧レベル値の小さい消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を高くし、平均化された音圧レベル値の大きい消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を低くするように、ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態9に係る室内機100において、消音効果検出マイクロホン191で検出した騒音レベルの平均値が45dB、消音効果検出マイクロホン192で検出した騒音レベルの平均値が45dB、及び消音効果検出マイクロホン193で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、ファン個別制御回転数決定手段134Aは、ファン20A,20Cの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くするように各ファン20の回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図40のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述したファン20A〜20Cの回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、消音効果検出マイクロホン191で検出した騒音レベルの平均値が45dB、消音効果検出マイクロホン192で検出した騒音レベルの平均値が47dB、及び消音効果検出マイクロホン193で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、ファン20Aの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くし、ファン20Cの回転数をそのままにするように、各ファン20の回転数を決定してもよい。つまり、検出した騒音レベルが最も小さい消音効果検出マイクロホン191に距離が近いファン20Aの回転数を高くし、検出した騒音レベルが最も大きい消音効果検出マイクロホン193に距離が近いファン20Bの回転数を低くし、そのどちらでもないファン20Cの回転数はそのままにするように、各ファン20の回転数を決定してもよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
ここで上述したように、本実施の形態9に係る室内機100の場合、隣接するファンからのクロストークノイズ成分の大小により、消音効果検出マイクロホン193の近辺の領域に比べて、消音効果検出マイクロホン191,192の近辺の領域は消音効果が高くなる。つまり、本実施の形態9に係る室内機100の場合、消音効果検出マイクロホン193の近辺の領域に比べて、消音効果検出マイクロホン191,192の近辺の領域は検出する騒音レベルが小さくなる。一方、消音効果検出マイクロホン193の近辺の領域は、消音効果が低くなる。そこで、複数のファン20A〜20Cを備えた本実施の形態9に係る室内機100においては、消音効果検出マイクロホン191〜193により検出された騒音レベル値の平均値のうち、検出した騒音レベル平均値が小さい消音効果検出マイクロホン191,192に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、検出した騒音レベル平均値が大きい消音効果検出マイクロホン193に距離の近いファン20Bの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態9に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。
さらに、図42及び図43に示すように、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図42は、本発明の実施の形態9に係る室内機の別の一例を示す正面図である。また、図43は、図42に示す室内機の左側面図である。なお、図43は、室内機100のケーシング1の側壁を透写して示している。図42及び図43に示す室内機100は、風路を仕切り板90,90aで分割することにより、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域、及びファン20Cが吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Aの騒音検出マイクロホン161、制御スピーカー181及び消音効果検出マイクロホン191は、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Bの騒音検出マイクロホン162、制御スピーカー182及び消音効果検出マイクロホン192は、ファン20Cが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Cの騒音検出マイクロホン163、制御スピーカー183及び消音効果検出マイクロホン193は、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように室内機100を構成することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音検出マイクロホン161〜163及び消音効果検出マイクロホン191〜193が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられたファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、図42及び図43のように室内機100を構成することにより、図40の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、図42及び図43では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。また、実施の形態8と同様に、図44のように消音機構が設けられていないファン20(図44中ではファン20Bに消音機構Cが設けられていない)がある場合でも、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
なお、騒音検出マイクロホン161〜163の設置位置は、制御スピーカー181〜183の上流側であればどこでもよい。さらに、制御スピーカー181〜183の設置位置は、騒音検出マイクロホン161〜163の下流側、かつ、消音効果検出マイクロホン191〜193の上流側であればどこでもよい。さらに、本実施の形態9では、消音効果検出マイクロホン191〜193をファン20A〜20Cの回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー181〜183の下流側であれば消音効果検出マイクロホン191〜193の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態9では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2〜3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態9では、送風ファン制御手段172を制御装置281内のCPU131で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段172の構成についても図41に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態9では、送風ファン制御手段172は、騒音レベルの小さい消音効果検出マイクロホン191,192に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、騒音レベルの大きい消音効果検出マイクロホン193に距離の近いファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態9に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段172)が設けられている。送風ファン制御手段172は、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した騒音レベルの平均値のうち、検出した騒音レベルが小さい消音効果検出マイクロホンに距離が近いファンの回転数を高くするように制御し、検出した騒音レベルが大きい消音効果検出マイクロホンに距離が近いファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果が高い(つまり、騒音レベルの小さい)領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低い(つまり騒音レベルの大きい)領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、送風ファン制御手段172は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図40の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。また、図44のように消音機構が設けられていないファン20がある場合でも、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
実施の形態10.
消音効果検出マイクロホンが検出する消音効果に応じてファン個別制御を行う場合、例えば以下のようにファン個別制御を行ってもよい。なお、本実施の形態10では、上述した実施の形態8又は実施の形態9との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8又は実施の形態9と同一部分には同一符号を付している。
図45は、本発明の実施の形態10に係る室内機を示す正面図である。
本実施の形態10に係る室内機100が実施の形態9の室内機100と異なる点は、信号処理装置201〜203から送風ファン制御手段173へと接続される信号線(信号T1,T2,T3を送る信号線)がさらに設けられている点である。このため、送風ファン制御手段173の構成も、実施の形態9に係る送風ファン制御手段172の構成と異なっている。具体的には、信号処理装置201〜203から送風ファン制御手段173へ送られる信号S1,S2,S3は、実施の形態9と同様に、消音効果検出マイクロホン191〜193から入力された信号がマイクアンプ151を経てA/D変換器152にてデジタル変換された信号である。つまり、信号S1,S2,S3は、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルのデジタル値である。また、新たに追加された信号T1,T2,T3は、騒音検出マイクロホン161〜163から入力された信号がマイクアンプ151を経てA/D変換器152にてデジタル変換された信号である。つまり、信号T1,T2,T3は、騒音検出マイクロホン161〜163で検出した音圧レベルのデジタル値である。
次に、送風ファン制御手段173の構成について説明する。
図46は、本発明の実施の形態10に係る制御装置を示す構成図である。以下で説明する各種動作及び手段は、室内機100が備える制御装置281に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置281は主に、実施の形態9で述べた構成と同様、リモコン280等の外部入力装置からの信号を入力する入力部130、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU131、データーやプログラムを記憶するメモリー132を備えている。さらに、CPU131は送風ファン制御手段173を備えている。
送風ファン制御手段173は、同回転数決定手段133、複数のコヒーレンス演算手段137(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別制御回転数決定手段134B及び複数のSW135(ファン20と同数)を備えている。同回転数決定手段133は、リモコン280から入力された運転情報に基づき、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン280から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。コヒーレンス演算手段137は、消音効果検出マイクロホン191〜193にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3及び騒音検出マイクロホン161〜163にて検出した音圧レベルのデジタル値T1,T2,T3が入力されるものである。コヒーレンス演算手段137は、S1とT1、S2とT2及びS3とT3のコヒーレンスを演算する。
ファン個別制御回転数決定手段134Bは、コヒーレンス演算手段137で演算されたコヒーレンス値と同回転数決定手段133から入力された回転数情報に基づき、ファン20A〜20Cをファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW135は、例えばリモコン280から入力される信号に基づき、モータードライバー282A〜282Cへ送られるファン20A〜20Cの回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW135は、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、ファン20A〜20Cをそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
次に、室内機100の動作について説明する。
実施の形態9と同様、室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
また、消音機構A〜Cの動作についても実施の形態9と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン191〜193における騒音を抑制するよう動作する。
一般的に、能動的消音による消音効果は、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンス値が大きく影響する。つまり、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンスが高くないと消音効果は期待できない。逆に、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンス値から消音効果を予測することもできる。
そこで、本実施の形態10に係る室内機100(より詳しくは、制御装置281の送風ファン制御手段173)は、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンス値に基づき、消音効果が高いと推測される領域のファンの回転数を高くし、消音効果が低いと推測される領域のファンの回転数を低くするようにファン20A〜20Cの回転数を制御する。
次に、本実施の形態10に係るファン20A〜20Cのファン個別制御について説明する。
制御装置281には、リモコン280で選択された運転情報が入力される。上述したように、運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン280から制御装置281へ運転情報として入力される。制御装置281に入力された運転情報は、入力部130を介して同回転数決定手段133に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段133は、入力された運転情報から、ファン20A〜20Cを同回転数制御する場合の回転数を決定する。
一方、信号処理装置201〜203から入力される消音効果検出マイクロホン191〜193で検出された音圧レベルのデジタル値S1〜S3、及び騒音検出マイクロホン161〜163で検出された音圧レベルのデジタル値T1〜T3は、コヒーレンス演算手段137にてそれぞれのマイクロホン間のコヒーレンス値が求められる。
コヒーレンス演算手段137で演算されたコヒーレンス値及び同回転数決定手段133で決定された回転数(同回転数制御時の回転数)の情報、は、ファン個別制御回転数決定手段134Bへ入力される。ファン個別制御回転数決定手段134Bは、これらの情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファンの回転数を決定する。具体的には、コヒーレンス値の高い消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を高くし、コヒーレンス値の低い消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を低くするように、ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態10に係る室内機100において、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191との間のコヒーレンス値が0.8、騒音検出マイクロホン162と消音効果検出マイクロホン192との間のコヒーレンス値が0.8、及び騒音検出マイクロホン163と消音効果検出マイクロホン193との間のコヒーレンス値が0.5だった場合、ファン個別制御回転数決定手段134Bは、ファン20A,20Cの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くするように、各ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図45のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述したファン20A〜20Cの回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191との間のコヒーレンス値が0.8、騒音検出マイクロホン162と消音効果検出マイクロホン192との間のコヒーレンス値が0.7、及び騒音検出マイクロホン163と消音効果検出マイクロホン193との間のコヒーレンス値が0.5だった場合、ファン20Aの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くし、ファン20Cの回転数をそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。つまり、最もコヒーレンス値が高い消音効果検出マイクロホン191に距離が近いファン20Aの回転数を高くし、最もコヒーレンス値が低い消音効果検出マイクロホン193に距離が近いファン20Bの回転数を低くし、そのどちらでもないファン20Cの回転数はそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
上述のように、能動的消音を用いる場合、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンス値によって、期待される消音効果が異なる。つまり、コヒーレンス値の高い消音効果検出マイクロホンは消音効果が高いと推測でき、コヒーレンス値の低い消音効果検出マイクロホンは消音効果が低いと推測できる。そこで、複数のファン20A〜20Cを備えた本実施の形態10に係る室内機100では、コヒーレンス値の高い消音効果検出マイクロホンに距離の近いファンの回転数を高くし、コヒーレンス値の低い消音効果検出マイクロホンに距離の近いファンの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態10に係る室内機100は、消音効果が高いと推測される領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低いと推測される領域は騒音が小さくなる。このため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態10に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、実施の形態9の図42及び図43に示したように、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。つまり、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することができる。このため、騒音検出マイクロホン161〜163及び消音効果検出マイクロホン191〜193が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられたファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、図45の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、実施の形態9の図44と同様に、消音機構が設けられていないファンがある場合、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
なお、本実施の形態10に係る騒音検出マイクロホン161〜163の設置位置は、制御スピーカー181〜183の上流側であればどこでもよい。さらに、制御スピーカー181〜183の設置位置は、騒音検出マイクロホン161〜163の下流側、かつ、消音効果検出マイクロホン191〜193の上流側であればどこでもよい。さらに、本実施の形態10では、消音効果検出マイクロホン191〜193をファン20A〜20Cの回転軸のほぼ延長線上に配置したが制御スピーカー181〜183の下流側であれば消音効果検出マイクロホン191〜193の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態10では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態10では、送風ファン制御手段173を制御装置281内のCPU131で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段173の構成についても図46に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態10では、送風ファン制御手段173は、コヒーレンス値の大きい消音効果検出マイクロホン191,192に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、コヒーレンス値の小さい消音効果検出マイクロホン193に距離の近いファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態10に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段173)が設けられている。送風ファン制御手段173は、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193とのコヒーレンス値を算出し、騒音検出マイクロホンとのコヒーレンス値が高い消音効果検出マイクロホンに距離が近いファンの回転数を高くするように制御し、騒音検出マイクロホンとのコヒーレンス値が低い消音効果検出マイクロホンに距離が近いファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。その結果、高い消音効果が期待できる領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が期待できない領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、送風ファン制御手段173は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図45の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。また、消音機構が設けられていないファン20がある場合でも、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態10に係る室内機100においては、騒音検出マイクロホンと消音効果検出マイクロホンとのコヒーレンス値に基づき回転数の制御を行っている。コヒーレンス値から理論上の消音効果を推測することができるため、各消音効果検出マイクロホンのコヒーレンス値に基づき、より最適で細かにファンの回転数の制御が可能となる。このため、本実施の形態10に係る室内機100は、実施の形態8及び実施の形態9の構成に比べて、より高い消音効果を得ることができる。
実施の形態11.
本発明を実施するための消音機構は、実施の形態8〜実施の形態10に示した消音機構に限定されるものではない。例えば上述とは異なる消音機構を用いても、実施の形態8〜実施の形態10と同様の効果を有する空気調和機を得ることができる。なお、本実施の形態11では、実施の形態8に係る空気調和機に異なる消音機構を用いた例について説明する。また、本実施の形態11では、上述した実施の形態8〜実施の形態10との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態10と同一部分には同一符号を付している。
図47は、本発明の実施の形態11に係る室内機を示す正面図である。
本実施の形態11に係る室内機100が実施の形態8の室内機100と異なる点は、消音機構の構成である。具体的には、実施の形態8に係る室内機100の消音機構Aでは、能動的消音を行うために2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191)を用いていた。一方、消音機構Aに対応する消音機構として本実施の形態11に係る室内機100に用いられている消音機構Dは、消音機構Aの2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン161及び消音効果検出マイクロホン191)を1つのマイクロホン(騒音・消音効果検出マイクロホン211)に置き換えている。同様に、実施の形態8に係る室内機100の消音機構Bでは、能動的消音を行うために2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン162及び消音効果検出マイクロホン192)を用いていた。一方、消音機構Bに対応する消音機構として本実施の形態11に係る室内機100に用いられている消音機構Eは、消音機構Bの2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン162及び消音効果検出マイクロホン192)を1つのマイクロホン(騒音・消音効果検出マイクロホン212)に置き換えている。また、これに伴って信号処理の方法が異なってくるため、本実施の形態11に係る室内機100では、信号処理装置201,202に換えて、信号処理装置204,205を設けている。なお、信号処理装置204,205の構成は、実施の形態2で説明した構成と全く同じである。
次に室内機100の動作について説明する。
実施の形態8と同様、室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
なお、室内機100の運転音の抑制方法についても実施の形態2と全く同じであり、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として騒音・消音効果検出マイクロホン211,212における騒音を抑制するよう動作する。
実施の形態8でも説明したように、能動的消音方法では、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212の設置箇所(制御点)で騒音と逆位相となるように、制御スピーカー181,182から制御音を出力する。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212の付近では消音効果は高くなるが、その点から距離が離れると制御音の位相が変化してしまう。したがって、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212から距離が離れた箇所では、騒音と制御音との位相ずれが大きくなり消音効果は低くなってしまう。
なお、本実施の形態11に係るファン20A〜20Cのファン個別制御は、実施の形態8で説明した送風ファン制御手段171と同じ制御である。
このように、複数のファン20A〜20Cを備えた室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212と距離が近いファン20A,20Cの回転数を高くし、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212と距離が遠いファン20Bの回転数を低くすることにより、能動消音による消音効果が高い騒音・消音効果検出マイクロホン211,212付近への騒音を大きくし、能動消音による消音効果が低くなる騒音・消音効果検出マイクロホン211,212から距離が離れている領域の騒音を小さくすることができる。
つまり、能動的消音を用いる場合、上述のように、騒音制御の制御点となる騒音・消音効果検出マイクロホン211,212及びその周辺の消音効果は高くなるが、制御点から離れた箇所では制御スピーカー181,182から放射された制御音と騒音との位相ずれが大きくなり消音効果が低くなる。しかしながら、本実施の形態11では室内機100に複数のファン20A〜20Cを備えた構成とすることで、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212に距離の近いファン20A,20C(消音効果が高い騒音を放射するファン)の回転数を高くし、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212から距離の遠いファン20B(消音効果が低い騒音を放射するファン)の回転数を低くすることができる。
その結果、本実施の形態11に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態11に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、図48及び図49に示すように、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図48は、本発明の実施の形態11に係る室内機の別の一例を示す正面図である。また、図49は、図48に示す室内機の左側面図である。なお、図49は、室内機100のケーシング1の側壁を透写して示している。図48及び図49に示す室内機100は、風路を仕切り板90,90aで分割することにより、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域、及びファン20Cが吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Dの制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211は、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Eの制御スピーカー182及び騒音・消音効果検出マイクロホン212は、ファン20Cが吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように室内機100を構成することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音を騒音・消音効果検出マイクロホン211,212が検出してしまうことを防止できるので、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、図48及び図49のように室内機100を構成することにより、図47の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、図48及び図49では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態11では、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212を制御スピーカー181,182の下流側に設置したが、制御スピーカー181,182の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン211,212を設置してもよい。さらに、本実施の形態11では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態11では、送風ファン制御手段171を制御装置281内のCPU131で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段171の構成についても、実施の形態8と同様に、図37に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態11では、送風ファン制御手段171は騒音・消音効果検出マイクロホン211,212に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、距離の遠いファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態11に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段171)が設けられている。送風ファン制御手段171は、消音効果が高い領域である騒音・消音効果検出マイクロホン211,212付近の領域に送風しているファン20A,20Cの回転数を高くするように制御し、消音効果が低くなる領域である騒音・消音効果検出マイクロホン211,212から距離が遠い領域に送風しているファン20Bの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果が高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、送風ファン制御手段171は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図47の構成に比べて、高い騒音低減効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態11では、騒音検出マイクロホン161,162と消音効果検出マイクロホン191,192を騒音・消音効果検出マイクロホン211,212に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減できるので、さらにコストを下げることができる。
実施の形態12.
実施の形態9で示した室内機に、実施の形態11で示した消音機構を用いても勿論よい。なお、本実施の形態12では、上述した実施の形態8〜実施の形態11との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態11と同一部分には同一符号を付している。
図50は、本発明の実施の形態12に係る室内機を示す正面図である。
本実施の形態12に係る室内機100が実施の形態11の室内機100と異なる点は、消音機構F(制御スピーカー183、騒音・消音効果検出マイクロホン213及び信号処理装置206)が設けられている点である。信号処理装置206の構成は、信号処理装置204,205と全く同じである。
さらに、実施の形態9と同様に、信号処理装置204〜206から送風ファン制御手段172へと接続される信号線(信号S1,S2,S3を送る信号線)が設けられている点も、実施の形態11の室内機100と異なる。信号処理装置204〜206から送風ファン制御手段172へ送られる信号S1,S2,S3は、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213から入力された信号がマイクアンプ151を経てA/D変換器152にてデジタル変換された信号である。つまり、信号S1,S2,S3は、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出した音圧レベルのデジタル値である。
送風ファン制御手段172の構成は実施の形態9で説明した構成と同じであり、図41に示す構成となる。送風ファン制御手段172は、同回転数決定手段133、複数の平均化手段136(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別制御回転数決定手段134A及び複数のSW135(ファン20と同数)を備えている。同回転数決定手段133は、リモコン280から入力された運転情報に基づき、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン280から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。平均化手段136は、消音効果検出マイクロホン191〜193にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3が入力されるものであり、これらS1,S2,S3の信号をある一定時間平均化するものである。
ファン個別制御回転数決定手段134Aは、平均化手段136にて平均化されたS1,S2,S3それぞれの信号と同回転数決定手段133から入力された回転数情報に基づき、ファン20A〜20Cをファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW135は、例えばリモコン280から入力される信号に基づき、モータードライバー282A〜282Cへ送られるファン20A〜20Cの回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW135は、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、ファン20A〜20Cをそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
次に室内機100の動作について説明する。
実施の形態11と異なる点は、送風ファン制御手段172の動作のみである。また、送風ファン制御手段172の動作は、実施の形態9で説明したとおりである。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出された音圧レベルのデジタル値S1〜S3を平均化手段136にてある一定期間平均化する。これら平均化された音圧レベル値と及び同回転数決定手段133で決定された回転数に基づき、ファン個別制御回転数決定手段134Aは、ファン個別制御を行う際の各ファンの回転数を決定する。具体的には、平均化された音圧レベル値の小さい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を高くし、平均化された音圧レベル値の大きい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)ファンの回転数を低くするように、ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態12に係る室内機100において、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した騒音レベルの平均値が45dB、騒音・消音効果検出マイクロホン212で検出した騒音レベルの平均値が45dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン213で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、ファン個別制御回転数決定手段134Aは、ファン20A,20Cの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くするように各ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図50のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述したファン20A〜20Cの回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した騒音レベルの平均値が45dB、騒音・消音効果検出マイクロホン212で検出した騒音レベルの平均値が47dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン213で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、ファン20Aの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くし、ファン20Cの回転数をそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。つまり、検出した騒音レベルが最も小さい騒音・消音効果検出マイクロホン211に距離が近いファン20Aの回転数を高くし、検出した騒音レベルが最も大きい騒音・消音効果検出マイクロホン213に距離が近いファン20Bの回転数を低くし、そのどちらでもないファン20Cの回転数はそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、各ファンの回転数は個別に制御される。つまり、リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
ここで、本実施の形態12に係る室内機100の場合、実施の形態9と同様に、隣接するファンからのクロストークノイズ成分の大小により、騒音・消音効果検出マイクロホン213の近辺の領域に比べて、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212の近辺の領域は消音効果が高くなる。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン213の近辺の領域に比べて、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212の近辺の領域は検出する騒音レベルが小さくなる。一方、騒音・消音効果検出マイクロホン213の近辺の領域は、消音効果が低くなる。そこで、複数のファン20A〜20Cを備えた本実施の形態12に係る室内機100においては、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213により検出された騒音レベル値の平均値のうち、検出した騒音レベル平均値が小さい騒音・消音効果検出マイクロホン211,212に距離の近いファン20A,20Cの回転数を高くし、検出した騒音レベル平均値が大きい騒音・消音効果検出マイクロホン213に距離の近いファン20Bの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態12に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態12に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、図51及び図52に示すように、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図51は、本発明の実施の形態12に係る室内機の別の一例を示す正面図である。また、図52は、図51に示す室内機の左側面図である。なお、図52は、室内機100のケーシング1の側壁を透写して示している。図51及び図52に示す室内機100は、風路を仕切り板90,90aで分割することにより、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域、及びファン20Cが吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Dの制御スピーカー181及び騒音・消音効果検出マイクロホン211は、ファン20Aが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Eの制御スピーカー182及び騒音・消音効果検出マイクロホン212は、ファン20Cが吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Fの制御スピーカー183及び騒音・消音効果検出マイクロホン213は、ファン20Bが吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように室内機100を構成することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Fはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられたファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、図51及び図52のように室内機100を構成することにより、図50の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、図51及び図52では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。また、実施の形態11と同様に、図53のように消音機構が設けられていないファン20がある場合でも、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
なお、本実施の形態12では、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213を制御スピーカー181〜183の下流側に設置したが、制御スピーカー181〜183の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213を設置してもよい。さらに、本実施の形態12では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン、信号処理装置をそれぞれ2〜3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態12では、送風ファン制御手段172を制御装置281内のCPU131で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段172の構成についても、実施の形態9と同様に、図41に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態12では、送風ファン制御手段172は、騒音レベルの小さい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離の近いファンの回転数を高くし、かつ、騒音レベルの大きい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離の近いファンの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態12に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段172)が設けられている。送風ファン制御手段172は、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出した騒音レベルの平均値のうち、検出した騒音レベルが小さい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離が近いファンの回転数を高くするように制御し、検出した騒音レベルが大きい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離が近い送風ファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果が高い(つまり、騒音レベルの小さい)領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低い(つまり騒音レベルの大きい)領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、送風ファン制御手段172は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Fはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。したがって、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213における消音効果が高くなり、図51の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。また、消音機構が設けられていないファン20がある場合でも、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態12では、騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193を騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減し、さらにコストを下げることができる。
実施の形態13.
実施の形態8〜実施の形態12では、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンに関連性の高い騒音を放出するファン(つまり、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンが消音効果を発揮しやすい騒音を放出するファン)を、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンから距離の近いファンとしていた。これに限らず、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンに関連性の高い騒音を放出するファン(つまり、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンが消音効果を発揮しやすい騒音を放出するファン)を、以下のようなファンとしてもよい。なお、本実施の形態13では、実施の形態8に係る空気調和機を例に用いて説明する。また、本実施の形態13では、上述した実施の形態8〜実施の形態12との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態12と同一部分には同一符号を付している。
上述のように、本実施の形態13に係る室内機100の基本的な構成は、実施の形態8で説明した図35と同様である。本実施の形態13に係る室内機100が実施の形態8の室内機100と異なる点は、制御装置281のメモリー132に入力されている送風ファン情報が異なる点である。つまり、本実施の形態13に係る室内機100が実施の形態8の室内機100と異なる点は、メモリー132からファン個別制御回転数決定手段134へ入力される送風ファン情報が異なる点である。
また、実施の形態8では制御スピーカー181,182の室内機100側面への詳細な設置構成については説明しなかったが、本実施の形態13では、次のように制御スピーカー181,182を室内機100側面へ設置している。
制御スピーカー181,182はある程度の厚みがあるため、室内機100の前面や背面に設置すると、風路を塞いでしまい、空力性能の劣化につながってしまう。このため、本実施の形態13では、ケーシング1の両側面部に設けられた機械ボックス(制御基板等が格納されているボックス、図示せず)内に、制御スピーカー181,182を配置している。このように制御スピーカー181,182を配置することにより、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることを防止できる。
より詳しくは、実施の形態8では、消音効果検出マイクロホン191,192に距離が近いファン20の識別番号を送風ファン情報としていた。一方、本実施の形態13では、室内機100のケーシング1の両端に設置されているファン20の識別番号を送風ファン情報としている。つまり、図35からわかるように、本実施の形態13における送風ファン情報は、ファン20Aとファン20Cの識別番号となる。
室内機100における動作は実施の形態8で説明した動作と同様である。このため、以下には、ファン20A〜20Cのファン個別制御について説明する。
送風ファン制御手段171のファン個別制御回転数決定手段134は、実施の形態8と同様に、同回転数決定手段133で決定された回転数情報及びメモリー132から読み出した送風ファン情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファン20の回転数を決定する。具体的には、ファン個別制御回転数決定手段134は識別番号がメモリー132に入力されているファン20A,20Cの回転数を高くし、識別番号がメモリー132に入力されていないファン20Bの回転数を低くする。結果として、ファン個別制御回転数決定手段134は、室内機100のケーシング1の両端に設置されているファン20A,20Cの回転数を高くし、室内機100のケーシング1の両端以外に設置されているファン20Bの回転数を低くすることになる。なお、このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
両端のファン20A,20Cが放射する騒音を能動的に消音する場合と、両端以外のファン20Bが放射する騒音を能動的に消音する場合とでは、これらファンの騒音を検出する際のクロストークノイズ成分が異なってくる。ファン20Bから放射される騒音を検出する場合、隣接するファン20A,20Cから放射される騒音もクロストークノイズ成分として入ってくるためである。このため、本実施の形態13では、室内機100を複数のファン20A〜20Cを備えた構成とし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が小さい両端のファン20A,20Cの回転数を高くし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が大きい両端以外のファン20Bの回転数を低くする。
その結果、本実施の形態13に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態13に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態13では、制御スピーカー181,182が風路へはみ出さないように、制御スピーカー181,182を室内機100の両側面に設置している。このため、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、本実施の形態13に係る室内機100においても、実施の形態8の図38及び図39で示した室内機100と同様に、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音を騒音検出マイクロホン161,162及び消音効果検出マイクロホン191,192が検出してしまうことを防止できるので、騒音検出マイクロホン161,162及び消音効果検出マイクロホン191,192のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。一方、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで、消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなる。したがって、本実施の形態13に係る室内機100においても、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、図35の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、仕切り板は風路全域に設ける必要はなく、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態13では騒音検出マイクロホン161,162を室内機100の両側面に設置したが、制御スピーカー181,182の上流側であれば騒音検出マイクロホン161,162の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態13では、消音効果検出マイクロホン191,192をファン20A,20Cの回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー181,182の下流側であれば消音効果検出マイクロホン191,192の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態13では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態13では、送風ファン制御手段171を制御装置281内のCPU131で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより送風ファン制御手段171を構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段171の構成についても図37に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態13では、送風ファン制御手段171は、室内機100の両端のファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、両端以外のファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態13に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する送風ファン制御手段171が設けられている。送風ファン制御手段171は、室内機100の両端に設置しているファン20A,20Cの回転数を高くするように制御し、室内機100の両端以外に設置しているファン20Bの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、隣接するファンからのクロストークノイズ成分が小さく消音効果が高い領域はさらに消音効果が高くなり、クロストークノイズ成分が大きく消音効果が低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、高い騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段171は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、制御スピーカー181,182が風路へはみ出さないように、制御スピーカー181,182を室内機100の両側面に設置している。このため、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図35の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。
実施の形態14.
実施の形態11に係る室内機に、実施の形態13で示した送風ファン情報を用いても勿論よい。なお、本実施の形態14では、上述した実施の形態8〜実施の形態13との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態13と同一部分には同一符号を付している。
本実施の形態14に係る室内機100の基本的な構成は、実施の形態11で説明した図47と同様である。本実施の形態14に係る室内機100が実施の形態11の室内機100と異なる点は、制御装置281のメモリー132に入力されている送風ファン情報が異なる点である。より詳しくは、本実施の形態14では、室内機100のケーシング1の両端に設置されているファン20の識別番号を送風ファン情報としている。つまり、図47からわかるように、本実施の形態14における送風ファン情報は、ファン20Aとファン20Cの識別番号となる。
また、実施の形態11では制御スピーカー181,182の室内機100側面への詳細な設置構成については説明しなかったが、本実施の形態14では、次のように制御スピーカー181,182を室内機100側面へ設置している。
制御スピーカー181,182はある程度の厚みがあるため、室内機100の前面や背面に設置すると、風路を塞いでしまい、空力性能の劣化につながってしまう。このため、本実施の形態14では、ケーシング1の両側面部に設けられた機械ボックス(制御基板等が格納されているボックス、図示せず)内に、制御スピーカー181,182を配置している。このように制御スピーカー181,182を配置することにより、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることを防止できる。
室内機100における動作は実施の形態11で説明した動作と同様である。このため、以下には、ファン20A〜20Cのファン個別制御について説明する。
送風ファン制御手段171のファン個別制御回転数決定手段134は、実施の形態11と同様に、同回転数決定手段133で決定された回転数情報及びメモリー132から読み出した送風ファン情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファンの回転数を決定する。具体的には、ファン個別制御回転数決定手段134は識別番号がメモリー132に入力されているファン20A,20Cの回転数を高くし、識別番号がメモリー132に入力されていないファン20Bの回転数を低くする。結果として、ファン個別制御回転数決定手段134は、室内機100のケーシング1の両端に設置されているファン20A,20Cの回転数を高くし、室内機100のケーシング1の両端以外に設置されているファン20Bの回転数を低くすることになる。なお、このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
両端のファン20A,20Cが放射する騒音を能動的に消音する場合と、両端以外のファン20Bが放射する騒音を能動的に消音する場合とでは、これらファンの騒音を検出する際のクロストークノイズ成分が異なってくる。ファン20Bから放射される騒音を検出する場合、隣接するファン20A,20Cから放射される騒音もクロストークノイズ成分として入ってくるためである。このため、本実施の形態14では、室内機100を複数のファン20A〜20Cを備えた構成とし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が小さい両端のファン20A,20Cの回転数を高くし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が大きい両端以外のファン20Bの回転数を低くする。
その結果、本実施の形態14に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態14に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態14では、制御スピーカー181,182が風路へはみ出さないように、制御スピーカー181,182を室内機100の両側面に設置している。このため、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、本実施の形態14に係る室内機100においても、実施の形態11の図48及び図49で示した室内機100と同様に、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音・消音効果検出マイクロホン211,212が検出してしまうことを防止できるので、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。一方、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで、消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなる。したがって、本実施の形態14に係る室内機100においても、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、図47の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、仕切り板は風路全域に設ける必要はなく、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態14では、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212を制御スピーカー181,182の下流側に設置したが、制御スピーカー181,182の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン211,212を設置してもよい。さらに、本実施の形態14では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態14では、送風ファン制御手段171を制御装置281内のCPU131で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段171の構成についても限定されるものではない。
また、本実施の形態14では、送風ファン制御手段171は、室内機100の両端のファン20A,20Cの回転数を高くし、かつ、両端以外のファン20Bの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
以上、本実施の形態14に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する送風ファン制御手段171が設けられている。送風ファン制御手段171は、室内機100の両端に設置しているファン20A,20Cの回転数を高くするように制御し、室内機100の両端以外に設置しているファン20Bの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、隣接するファンからのクロストークノイズが小さく消音効果が高い領域はさらに消音効果が高くなり、クロストークノイズが大きく消音効果が低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、送風ファン制御手段171は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、制御スピーカー181,182が風路へはみ出さないように、制御スピーカー181,182を室内機100の両側面に設置している。このため、制御スピーカー181,182が風路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減することになる。このため、ファン20Bから放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていないファン20Bの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図47の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態14では、騒音検出マイクロホン161,162と消音効果検出マイクロホン191,192を騒音・消音効果検出マイクロホン211,212に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減できるので、さらにコストを下げることができる。
実施の形態15.
消音効果検出マイクロホンや騒音・消音効果検出マイクロホンの消音効果に応じてファン個別制御を行う場合、例えば以下のようにファン個別制御を行ってもよい。なお、本実施の形態15では、上述した実施の形態8〜実施の形態14との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態14と同一部分には同一符号を付している。
図54は、本発明の実施の形態15に係る室内機を示す正面図である。
本実施の形態15に係る室内機100が実施の形態9の室内機100と異なる点は、送風ファン制御手段174の構成のみである。
本実施の形態15に係る送風ファン制御手段174について説明する。
図55は、本発明の実施の形態15に係る制御装置を示す構成図である。以下で説明する各種動作及び手段は、室内機100が備える制御装置281に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置281は主に、実施の形態8〜実施の形態14で述べた構成と同様、リモコン280等の外部入力装置からの信号を入力する入力部130、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU131、データーやプログラムを記憶するメモリー132を備えている。さらに、本実施の形態15に係るCPU131は、送風ファン制御手段174を備えている。
送風ファン制御手段174は、同回転数決定手段133、複数の消音量算出手段138(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別制御回転数決定手段134C及び複数のSW135(ファン20と同数)を備えている。同回転数決定手段133は、リモコン280から入力された運転情報に基づき、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン280から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。消音量算出手段138は、消音効果検出マイクロホン191〜193にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3が入力されるものであり、これらS1,S2,S3の信号から消音量を算出するものである。
ファン個別制御回転数決定手段134Cは、消音量算出手段138で算出された消音量とメモリー132に記憶されている送風ファン情報に基づき、ファン20A〜20Cをファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。送風ファン情報とは、消音効果検出マイクロホン191〜193と関連性が高いファン20の情報である。SW135は、例えばリモコン280から入力される信号に基づき、モータードライバー282A〜282Cへ送られるファン20A〜20Cの回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW135は、ファン20A〜20Cを全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、ファン20A〜20Cをそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
図56は、本発明の実施の形態15に係る消音量算出手段を示す構成図である。
消音量算出手段138は、入力される信号(S1、S2又はS3)を平均化する平均化手段136と、能動的消音制御を開始する前の音圧レベルを記憶しておく制御前音圧レベル記憶手段139と、差分器140と、を備えている。
次に室内機100の動作について説明する。
実施の形態9と同様、室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
また、消音機構A〜Cの動作についても実施の形態9と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン191〜193における騒音を抑制するよう動作する。
本実施の形態15に係る室内機100の場合、消音効果検出マイクロホン193には、ファン20Bから放射される騒音の他に、隣接するファン20A,20Cから放射される騒音(クロストークノイズ成分)も入ってくる。一方、消音効果検出マイクロホン191,192にて検出されるクロストークノイズ成分は、消音効果検出マイクロホン193で検出されるクロストークノイズ成分と比べて小さくなる。消音効果検出マイクロホン191,192は、隣接するファンが1つのみ(ファン20B)だからである。このため、消音機構Cに比べて、消音機構A,Bの消音効果が高くなる。
次に、本実施の形態15に係るファン20A〜20Cのファン個別制御について説明する。
制御装置281には、リモコン280で選択された運転情報が入力される。上述したように、運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン280から制御装置281へ運転情報として入力される。制御装置281に入力された運転情報は、入力部130を介して同回転数決定手段133に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段133は、入力された運転情報から、ファン20A〜20Cを同回転数制御する場合の回転数を決定する。ファン個別制御を行わない場合、ファン20A〜20Cは、全て同じ回転数で制御される。
一方、消音量算出手段138には、信号処理装置201〜203から平均化手段136へS1〜S3(消音効果検出マイクロホン191〜193で検出された音圧レベルのデジタル値)が入力される。また、消音量算出手段138は、能動的消音制御を行う前に消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルを平均化手段136で一定期間平均化し、この平均化された音圧レベルを制御前音圧レベル記憶手段139に記憶しておく。次に、消音量算出手段138は、能動的消音制御時に消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルを平均化手段136で一定期間平均化する。
そして、消音量算出手段138は、「能動的消音制御時に消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルを平均化手段136で一定期間平均化した音圧レベル」と「能動的消音制御を行う前に消音効果検出マイクロホン191〜193で検出した音圧レベルを平均化手段136で一定期間平均化した音圧レベル」(制御前音圧レベル記憶手段139に記憶されているもの)との差から、消音量を算出する。消音量算出手段138で算出された消音量は、ファン個別制御回転数決定手段134Cに入力される。
また、メモリー132には、送風ファン情報が記憶されている。送風ファン情報とは、消音効果検出マイクロホン191〜193で検出される音に対して最も関連性が高い騒音を放射するファン20の情報である。これらの識別番号は、各消音効果検出マイクロホンごとに振り分けられている。本実施の形態15では、送風ファン情報となる識別番号を以下のように求めている。例えば、消音効果検出マイクロホン191で検出される音が、ファン20A〜20Cから放射される騒音のうちのどの騒音と最も関連性が高いかを確認する。消音効果検出マイクロホン191で検出される音がファン20Aから放射される騒音と最も関連性が高い場合、消音効果検出マイクロホン191に対応する送風ファン情報はファン20Aを示す識別番号となる。同様に、消音効果検出マイクロホン192,193についても対応する送風ファン情報が決められ、予めメモリー132に記憶させておく。
送風ファン情報の決定は、例えば次のように行うとよい。例えば製品出荷前、ファン20A〜20Cを動作させた状態で、ファン20A〜20Cから放射される騒音を正確に検出するマイクロホンにより検出する。そして、これらのマイクロホンで検出された音と、消音効果検出マイクロホン191で検出した音とのコヒーレンス値を測定する。その後、消音効果検出マイクロホン191検出値に対して最もコヒーレンス値の高かった検出値のマイクロホンを決定する。このマイクロホンが検出する騒音を放射しているファン20の識別番号が、消音効果検出マイクロホン191に対応する送風ファン情報となる。消音効果検出マイクロホン192,193に対応する送風ファン情報も同様に決定するとよい。
また、送風ファン情報の決定は、例えば次のように行ってもよい。室内機100の送風ファン制御手段174等に、実施の形態10で示したようなコヒーレンス演算手段137を搭載しておく。そして、製品出荷後の運転時において、騒音検出マイクロホン161〜163の検出値と消音効果検出マイクロホン191〜193の検出値とのコヒーレンス値を測定する。そして、消音効果検出マイクロホン191〜193それぞれについて最もコヒーレンス値の高かった騒音検出マイクロホンに距離の近いファン20の識別番号を送風ファン情報としてもよい。
なお、送風ファン情報の決定の仕方は、上記の方法に限られるものではない。消音効果検出マイクロホン191〜193にて検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンを特定できる方法であればよい。
消音量算出手段138で算出された消音量とメモリー132に記憶されている送風ファン情報は、ファン個別制御回転数決定手段134Cへ入力される。ファン個別制御回転数決定手段134Cは、これらの情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各ファンの回転数を決定する。具体的には、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高いファンの回転数を高くし、消音量が小さい消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高いファンの回転数を低くするように、ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態15に係る室内機100において、消音効果検出マイクロホン191で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Aであり、消音効果検出マイクロホン192で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Cであり、消音効果検出マイクロホン193で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Bであったとする。そして、消音効果検出マイクロホン191における消音量が−5dB、消音効果検出マイクロホン192における消音量が−5dB、及び消音効果検出マイクロホン193における消音量が−2dBであるとする。この場合、ファン個別制御回転数決定手段134Cは、ファン20A,20Cの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くするように各ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図54のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述したファン20A〜20Cの回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、本実施の形態15に係る室内機100において、消音効果検出マイクロホン191で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Aであり、消音効果検出マイクロホン192で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Cであり、消音効果検出マイクロホン193で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Bであったとする。そして、消音効果検出マイクロホン191における消音量が−5dB、消音効果検出マイクロホン192における消音量が−3dB、及び消音効果検出マイクロホン193における消音量が−2dBであるとする。この場合、ファン20Aの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くし、ファン20Cの回転数をそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。つまり、消音量が最も大きい消音効果検出マイクロホン191に関連性が高いファン20Aの回転数を高くし、消音量が最も小さい消音効果検出マイクロホン193に関連性が高いファン20Bの回転数を低くし、そのどちらでもないファン20Cの回転数はそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
ここで上述したように、本実施の形態15に係る室内機100の場合、隣接するファンからのクロストークノイズ成分の大小により、消音効果検出マイクロホン193の近辺の領域に比べて、消音効果検出マイクロホン191,192の近辺の領域は量が大きくなる。一方、消音効果検出マイクロホン193の近辺の領域は、消音量が小さくなる。そこで、複数のファン20A〜20Cを備えた本実施の形態15に係る室内機100においては、消音量が大きい消音効果検出マイクロホン191,192に関連性の高い騒音を放射しているファン20A,20Cの回転数を高くし、消音量が小さい消音効果検出マイクロホン193に関連性の高い騒音を放射しているファン20Bの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態15に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態15に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態15に係る室内機100においても、実施の形態9の図42及び図43で示した室内機100と同様に、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音検出マイクロホン161〜163及び消音効果検出マイクロホン191〜193が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられたファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、本実施の形態15に係る室内機100においても、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、図54の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。一方、消音機構が設けられていないファンがある場合、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の効果を得ることができる。また、図42及び図43では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態15では、消音効果検出マイクロホン191〜193をファン20A〜20Cの回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー181〜183の下流側であれば消音効果検出マイクロホン191〜193の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態15では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態15では、送風ファン制御手段174を制御装置281内のCPU131で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段174の構成についても図55及び図56に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態15では、送風ファン制御手段174は、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くし、かつ、消音量が小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
また、本実施の形態15では、ファンの回転数を制御するパラメーターとして消音効果検出マイクロホン191〜193における消音量を用いているが、ファンの回転数を制御するパラメーターとしてその他のものを用いても勿論よい。例えば、消音効果検出マイクロホン191〜193のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くしてもよい。また例えば、消音効果検出マイクロホン191〜193のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くしてもよい。これら両方を行うようにしても勿論よい。
また、ファンの回転数を制御するパラメーターとして、騒音検出マイクロホン161と消音効果検出マイクロホン191、騒音検出マイクロホン162と消音効果検出マイクロホン192、騒音検出マイクロホン163と消音効果検出マイクロホン193とのコヒーレンス値を用いてもよい。例えば、最もコヒーレンス値が小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くしてもよい。また例えば、最もコヒーレンス値が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くしてもよい。これら両方を行うようにしても勿論よい。
以上、本実施の形態15に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段174)が設けられている。送風ファン制御手段174は、消音効果検出マイクロホン191〜193における消音量のうち、消音量の大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くするように制御し、消音量の小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音量が大きい領域の回転数を高くすることでさらに消音効果が高くなり、消音量の小さい領域の回転数を低くすることでその領域の騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、本実施の形態15にかかる室内機100においては、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンを特定しているため、放射される音圧レベルが異なる複数のファン20A〜20Cを用いた場合においても正確に回転数制御を行うことができる。
さらに、送風ファン制御手段174は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Bはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Cはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図54の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。一方、消音機構が設けられていない領域がある場合、消音機構が設けられていないファンの回転数を低くすることで、その領域の騒音が小さくなり、同様に消音効果を得ることができる。
実施の形態16.
実施の形態15で示したファン個別制御(消音効果検出マイクロホンと関連性が高いファン20の情報を用いるファン個別制御)は、実施の形態15に係る消音機構とは異なる消音機構を備えた空気調和機においても実施可能である。なお、以下では、実施の形態12に係る室内機に実施の形態15で示したファン個別制御を採用した場合について説明する。また、本実施の形態16では、上述した実施の形態8〜実施の形態15との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態8〜実施の形態15と同一部分には同一符号を付している。
図57は、本発明の実施の形態16に係る室内機を示す正面図である。
本実施の形態16に係る室内機100が実施の形態12の室内機100と異なる点は、送風ファン制御手段174の構成のみである。なお、送風ファン制御手段174の構成は、実施の形態15の図55に示した構成と全く同じである。
次に、室内機100の動作について説明する。
実施の形態12と同様、室内機100が動作すると、ファン20A〜20Cの羽根車が回転し、ファン20A〜20Cの上側から室内の空気が吸い込まれ、ファン20A〜20C下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、ファン20A〜20Cの吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。ファン20A〜20Cにより送られた空気は、風路を通り、熱交換器50へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器50には、室外機(図示せず)とつながっている配管から低温の冷媒が送られる。熱交換器50へと送られた空気は、熱交換器50を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口3から室内へ放出される。
また、消音機構D〜Fの動作についても実施の形態12と全く同じであり、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213における騒音を抑制するよう動作する。
本実施の形態16に係る室内機100の場合、騒音・消音効果検出マイクロホン213には、ファン20Bからの騒音の他に、隣接するファン20A,20Cから放射される騒音(クロストークノイズ成分)も入ってくる。一方、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212にて検出されるクロストークノイズ成分は、騒音・消音効果検出マイクロホン213で検出されるクロストークノイズ成分と比べて小さくなる。騒音・消音効果検出マイクロホン211,212は、隣接するファンが1つのみ(ファン20B)だからである。このため、消音機構Fに比べて消音機構D、Eの消音効果が高くなる。
ファン20A〜20Cのファン個別制御は、実施の形態15で説明した内容とほとんど同様である。本実施の形態16のファン個別制御が実施の形態15で説明したファン個別と異なる点は、消音量算出手段138に入力されるS1〜S3が騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出した音圧レベルのデジタル値である点である。また、本実施の形態16のファン個別制御が実施の形態15で説明したファン個別制御と異なる点は、メモリー132に蓄積しておく送風ファン情報が、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213で検出される音に対して最も関連性が高い騒音を放射するファン20の識別番号である点である。
このため、送風ファン制御手段174のファン個別制御回転数決定手段134Cは、消音量算出手段138で算出された消音量とメモリー132に記憶されている送風ファン情報に基づき、消音量が大きい騒音・消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高いファンの回転数を高くし、消音量が小さい騒音・消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高いファンの回転数を低くするようにファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態16に係る室内機100において、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Aであり、騒音・消音効果検出マイクロホン212で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Cであり、騒音・消音効果検出マイクロホン213で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Bであったとする。そして、騒音・消音効果検出マイクロホン211における消音量が−5dB、騒音・消音効果検出マイクロホン212における消音量が−5dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン213における消音量が−2dBであるとする。この場合、ファン個別制御回転数決定手段134Cは、ファン20A,20Cの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くするように各ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図57のような構成の場合、ファン20Aとファン20Cの回転数を10%高くすると、ファン20Bの回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述したファン20A〜20Cの回転数の決定方法は、あくまでも一例である。本実施の形態16に係る室内機100において、騒音・消音効果検出マイクロホン211で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Aであり、騒音・消音効果検出マイクロホン212で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Cであり、騒音・消音効果検出マイクロホン213で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射しているファンがファン20Bであったとする。そして、騒音・消音効果検出マイクロホン211における消音量が−5dB、騒音・消音効果検出マイクロホン212における消音量が−3dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン213における消音量が−2dBであるとする。この場合、ファン20Aの回転数を高くし、ファン20Bの回転数を低くし、ファン20Cの回転数をそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。つまり、消音量が最も大きい消音効果検出マイクロホン191に関連性が高いファン20Aの回転数を高くし、消音量が最も小さい消音効果検出マイクロホン193に関連性が高いファン20Bの回転数を低くし、そのどちらでもないファン20Cの回転数はそのままにするように、各ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン280からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW135を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置281からファン20A〜20Cへ出力する。制御装置281から出力された回転制御信号はモータードライバー282A〜282Cに入力され、回転制御信号に従った回転数にファン20A〜20Cは制御される。
ここで上述したように、本実施の形態16に係る室内機100の場合、隣接するファンからのクロストークノイズ成分の大小により、騒音・消音効果検出マイクロホン213の近辺の領域に比べて、騒音・消音効果検出マイクロホン211,212の近辺の領域は消音量が大きくなる。一方、騒音・消音効果検出マイクロホン213の近辺の領域は消音量が小さくなる。そこで、複数のファン20A〜20Cを備えた本実施の形態16に係る室内機100においては、消音量が大きい消音効果検出マイクロホン191,192に関連性の高い騒音を放射しているファン20A,20Cの回転数を高くし、消音量が小さい消音効果検出マイクロホン193に関連性の高い騒音を放射しているファン20Bの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態16に係る室内機100は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数のファンを使用した室内機やファン個別制御を行わない室内機に比べ、吹出口3全体から放射される騒音を低減することができる。さらに、本実施の形態16に係る室内機100は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数のファン20A〜20Cの回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態16に係る室内機100においても、実施の形態12の図51及び図52で示した室内機100と同様に、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Fはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられたファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、本実施の形態16に係る室内機100においても、室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、図57の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。一方、消音機構が設けられていないファンがある場合、そのファン20の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の効果を得ることができる。また、図51及び図52では風路全域に仕切り板を挿入したが、例えば熱交換器50の上流側のみ又は熱交換器50の下流側のみといったように、風路の一部を仕切り板で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態16では、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213を制御スピーカー181〜183の下流側に設置したが、制御スピーカー181〜183の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213を設置してもよい。さらに、本実施の形態16では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン、信号処理装置をそれぞれ3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態16では、送風ファン制御手段174を制御装置281内のCPU131で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段174の構成についても図55に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態16では、送風ファン制御手段174は、消音量が大きい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くし、かつ、消音量が小さい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
また、本実施の形態16では、ファンの回転数を制御するパラメーターとして騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213における消音量を用いているが、ファンの回転数を制御するパラメーターとしてその他のものを用いても勿論よい。例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が大きい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くしてもよい。また例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が小さい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くしてもよい。これら両方を行うようにしても勿論よい。
以上、本実施の形態16に係る室内機100においては、複数のファン20A〜20Cを配置し、ファン20A〜20Cの回転数を個別に制御する制御装置281(より詳しくは、送風ファン制御手段174)が設けられている。送風ファン制御手段174は、騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213における消音量のうち、消音量の大きい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を高くするように制御し、消音量の小さい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音量が大きい領域はさらに消音効果が高くなり、消音量が小さい領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数のファンを使用した室内機、又はファン個別制御を行わない室内機に比べ、より騒音を低減することができる。
また、本実施の形態16にかかる室内機100においては、消音量が大きい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射しているファンを特定しているため、放射される音圧レベルが異なる複数のファン20A〜20Cを用いた場合においても正確に回転数制御を行うことができる。
さらに、送風ファン制御手段174は、吹出口3から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、ファン20A〜20Cのそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、ファン20A〜20Cから放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dはファン20Aから放射される騒音のみを低減し、消音機構Eはファン20Cから放射される騒音のみを低減し、消音機構Fはファン20Bから放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り板90,90aで室内機100の風路を複数の領域に分割することにより、風路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、室内機100内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図57の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。一方、消音機構が設けられていない領域がある場合、消音機構が設けられていないファンの回転数を低くすることで、その領域の騒音が小さくなり、同様に消音効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態16では騒音検出マイクロホン161〜163と消音効果検出マイクロホン191〜193を騒音・消音効果検出マイクロホン211〜213に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減し、さらにコストを下げることができる。