以下、本発明に係る空気調和機の実施形態の一例を、図面を用いて詳細に説明する。
<A.実施の形態1>
<A−1.構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の構成を示す正面図である。また、図2は、図1に示す空気調和機の構成を示す側面図である。なお、図2は図1に示した空気調和機1を図1の斜線塗りつぶしの矢印方向から見た図であり、空気調和機1の筐体の側壁を透写して示している。なお、図2では、図1に示しているリモコン7、制御装置6及びモータードライバー51〜53の図示を省略している。
図1及び図2に示す空気調和機1は室内機を構成するもので、空気調和機1(より詳しくは、空気調和機1の筐体)の上部には吸込口3が開口形成され、空気調和機1(より詳しくは、空気調和機1の筐体)の下端には吹出口5が開口形成されている。つまり、空気調和機1内には、吸込口3と吹出口5を連通する空気流路が形成されている。そして、空気流路における吸込口3の下側には、左右方向(長手方向)に沿って、羽根車を有する送風ファンが複数設けられている。なお、本実施の形態1では、例えば軸流ファンである3つの送風ファン(送風ファン21〜23)が設けられている。これら送風ファン21〜23は、羽根車の回転軸中心が略垂直方向となるように設けられている。これら送風ファン21〜23のそれぞれは、モータードライバー51〜53を介して、制御装置6の送風ファン制御手段71に接続されている。なお、制御装置6の詳細については後述する。
送風ファン21〜23の下方には、空気を熱交換して冷却又は加熱する熱交換器4が配置されている。図1の白抜き矢印に示すように、送風ファン21〜23が作動すると、吸込口3から空気調和機1内の空気流路に室内の空気を吸い込み、この吸入空気を送風ファン21〜23の下部にある熱交換器4で冷却又は加熱した後、吹出口5から室内に吹き出すようになっている。
また、本実施の形態1に係る空気調和機1は、能動的消音に用いる消音機構が設けられている。本実施の形態1に係る空気調和機1の消音機構は、騒音検出マイクロホン61,62、制御スピーカー81,82、消音効果検出マイクロホン91,92、及び信号処理装置101,102により構成されている。つまり、本実施の形態1に係る空気調和機1の消音機構は、2つの騒音検出マイクロホン、2つの制御スピーカー及び2つの消音効果検出マイクロホンを備えている。以下、騒音検出マイクロホン61、制御スピーカー81、消音効果検出マイクロホン91及び信号処理装置101で構成される消音機構を消音機構Aとする。また、騒音検出マイクロホン62、制御スピーカー82、消音効果検出マイクロホン92及び信号処理装置102で構成される消音機構を消音機構Bとする。
騒音検出マイクロホン61,62は、送風ファン21〜23の送風音(送風ファン21〜23から放射される騒音)を含む空気調和機1の運転音(騒音)を検出する騒音検出装置である。騒音検出マイクロホン61,62は、送風ファン21〜23の下流側となる位置(例えば、送風ファン21〜23と熱交換器4との間)に設けられている。また、騒音検出マイクロホン61は空気調和機1の左側面に設けられており、騒音検出マイクロホン62は空気調和機1の右側面に設けられている。
制御スピーカー81,82は、騒音に対する制御音を出力する制御音出力装置である。制御スピーカー81,82は、騒音検出マイクロホン61,62の下流側となる位置(例えば、熱交換器4の下流側)に設けられている。また、制御スピーカー81は空気調和機1の左側面に設けられており、制御スピーカー82は空気調和機1の右側面に設けられている。そして、制御スピーカー81,82は、空気調和機1の筐体の壁面から空気流路の中央に向くように配置されている。
消音効果検出マイクロホン91,92は、制御音による消音効果を検出する消音効果検出装置である。消音効果検出マイクロホン91,92は、制御スピーカー81,82の下流側となる位置に設けられている。また、消音効果検出マイクロホン91は例えば送風ファン21の回転軸のほぼ延長線上に設けられており、消音効果検出マイクロホン92は例えば送風ファン23の回転軸のほぼ延長線上に設けられている。なお、本実施の形態1では、吹出口5を形成する吹出しノズルのケーシング上に、消音効果検出マイクロホン91,92が設けられている。つまり、消音効果検出マイクロホン91,92は、吹出口5から出てくる騒音を検出し、消音効果を検出している。
信号処理装置101は、騒音検出マイクロホン61及び消音効果検出マイクロホン91の検出結果に基づき、制御スピーカー81に制御音を出力させるものである。騒音検出マイクロホン61と消音効果検出マイクロホン91の出力信号は信号処理装置101に入力され、信号処理装置101は制御スピーカー81を制御する信号を生成する。信号処理装置102は、騒音検出マイクロホン62及び消音効果検出マイクロホン92の検出結果に基づき、制御スピーカー82に制御音を出力させるものである。騒音検出マイクロホン62と消音効果検出マイクロホン92の出力信号は信号処理装置102に入力され、信号処理装置102は制御スピーカー82を制御する信号を生成する。
なお、騒音検出マイクロホン61,62、制御スピーカー81,82及び消音効果検出マイクロホン91,92の取り付け位置は、送風ファン21〜23の下流側から順に騒音検出マイクロホン61,62、制御スピーカー81,82及び消音効果検出マイクロホン91,92の順に設置されていればよく、図1及び図2に示した位置に限定されるものではない。
図3は、本発明の実施の形態1に係る消音機構を示す構成図である。なお、図3では、消音機構Aの構成図を示している。消音機構Aと消音機構Bとは同じ構成のため、以下では、代表して消音機構Aの構成を説明する。
騒音検出マイクロホン61から入力された電気信号は、信号処理装置101内のマイクアンプ11により増幅され、A/D変換器12によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。消音効果検出マイクロホン91から入力された電気信号は、マイクアンプ11により増幅され、A/D変換器12によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。このようにして変換された各々のデジタル信号はFIRフィルター18、及びLMSアルゴリズム19に入力される。FIRフィルター18では、騒音検出マイクロホン61で検出した騒音が消音効果検出マイクロホン91が設置されている場所(制御点)に到達したときの騒音と同振幅・逆位相となるように補正をかけた制御信号を生成する。この制御信号は、D/A変換器14によりデジタル信号からアナログ信号に変換された後、アンプ15により増幅され、制御スピーカー81から制御音として放出される。消音機構Bもこれと全く同様の構成となる。
図4は、本発明の実施の形態1に係る制御装置を示す構成図である。
以下で説明する各種動作及び手段は、空気調和機1が備える制御装置6に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置6は主に、リモコン7等の外部入力装置からの信号を入力する入力部30、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU31、データーやプログラムを記憶するメモリー32を備えている。さらに、CPU31は送風ファン制御手段71を備えている。
送風ファン制御手段71は、同回転数決定手段33、ファン個別回転数決定手段34及び複数のSW35(送風ファンと同数)を備えている。同回転数決定手段33は、リモコン7から入力された運転情報に基づき、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン7から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。ファン個別回転数決定手段34は、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW35は、例えばリモコン7から入力される信号に基づき、モータードライバー51〜53へ送られる送風ファン21〜23の回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW35は、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させるか、送風ファン21〜23をそれぞれ個別の回転数で動作させるかを切り替えるものである。
<A−2.動作>
次に、空気調和機1の動作について説明する。
空気調和機1が動作すると、送風ファン21〜23の羽根車が回転し、送風ファン21〜23の上側から室内の空気が吸い込まれ、送風ファン21〜23下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、送風ファン21〜23の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。送風ファン21〜23により送られた空気は、空気流路を通り、熱交換器4へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器4には、室外機(図示せず)とつながっているパイプから低温の冷媒が送られる。熱交換器4へと送られた空気は、熱交換器4を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口5から室内へ放出される。
次に、空気調和機1の運転音の抑制方法について説明する。なお、消音機構Aと消音機構Bとは同じ動作のため、以下では、代表して消音機構Aの動作を説明する。
空気調和機1における送風ファン21〜23の送風音を含む運転音(騒音)は、送風ファン21の下流に取り付けられた騒音検出マイクロホン61で検出される。騒音検出マイクロホン61で検出された騒音は、マイクアンプ11、A/D変換器12を介してデジタル信号となり、FIRフィルター18とLMSアルゴリズム19に入力される。
FIRフィルター18のタップ係数はLMSアルゴリズム19により逐次更新される。LMSアルゴリズム19では、式1(h(n+1)=h(n)+2・μ・e(n)・x(n))に従い、誤差信号eがゼロに近づくように最適なタップ係数が更新される。
なお、h:フィルターのタップ係数、e:誤差信号、x:フィルター入力信号、μ:ステップサイズパラメーターである。また、ステップサイズパラメーターμはサンプリングごとのフィルター係数更新量を制御するものである。
このようにLMSアルゴリズム19でタップ係数が更新されてFIRフィルター18を通過したデジタル信号は、D/A変換器14にてアナログ信号に変換され、アンプ15で増幅され、制御スピーカー81から制御音として空気調和機1内の空気流路に放出される。
一方、空気調和機1の吹出口5を形成する吹出しノズルのケーシング上において送風ファン21の回転軸のほぼ延長線上に取り付けられた消音効果検出マイクロホン91には、送風ファン21〜23から空気流路を通って伝播してきた騒音に、制御スピーカー81から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。消音効果検出マイクロホン91で検出した信号は、信号処理装置101に入力される。
このようにして信号処理装置101に入力された消音効果検出マイクロホン91からの信号は、上述したLMSアルゴリズム19の誤差信号eとして扱われる。そして、この誤差信号eがゼロに近づくようにフィードバック制御され、FIRフィルター18のタップ係数が適宜更新される。その結果、FIRフィルター18を通過した制御音により消音効果検出マイクロホン91近傍の騒音を抑制することができる。
上述したように、能動的消音方法では、消音効果検出マイクロホン91,92の設置箇所(制御点)で騒音と逆位相となるように、制御スピーカー81,82から制御音を出力する。このため、消音効果検出マイクロホン91,92の付近では消音効果は高くなるが、その点から距離が離れると制御音の位相が変化してしまう。したがって、消音効果検出マイクロホン91,92から距離が離れた箇所では、騒音と制御音との位相ずれが大きくなり消音効果は低くなってしまう。
次に、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御する制御方法(以下、ファン個別制御ともいう)について説明する。
制御装置6には、リモコン7で選択された運転情報が入力される。上述したように、運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン7から制御装置6へ運転情報として入力される。制御装置6に入力された運転情報は、入力部30を介して同回転数決定手段33に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段33は、入力された運転情報から、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定する。ファン個別制御を行わない場合、送風ファン21〜23は、全て同じ回転数で制御される(以下、同回転数制御ともいう)。
同回転数決定手段33で決定された回転数(同回転数制御時の回転数)の情報は、ファン個別回転数決定手段34へ入力される。一方、ファン個別回転数決定手段34では、製品出荷時に予めメモリー32に記憶されている送風ファン情報を読み出す。この送風ファン情報とは、制御音を干渉させたときの消音効果が高い騒音を放射している送風ファンの情報である。つまり、この送風ファン情報とは、消音効果検出マイクロホン91,92と関連性が高い送風ファンの情報である。これらの識別番号は、各消音効果検出マイクロホンごとに振り分けられている。本実施の形態1では、送風ファン情報として、消音効果検出マイクロホン91,92に最も距離が近い(関連性が高い)送風ファンの識別番号を用いている。具体的には、消音効果検出マイクロホン91に最も距離が近い送風ファン21の識別番号と、消音効果検出マイクロホン92に最も距離が近い送風ファン23の識別番号である。
ファン個別回転数決定手段34は、同回転数決定手段33で決定された回転数情報及びメモリー32から読み出した送風ファン情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各送風ファンの回転数を決定する。具体的には、ファン個別回転数決定手段34は、消音効果検出マイクロホン91,92の最も近くにある送風ファン21,23の回転数を高くし、消音効果検出マイクロホン91,92から距離が離れている送風ファン22の回転数を低くする。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を決定するとよい。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図1のような構成の場合、送風ファン21と送風ファン23の回転数を10%高くすると、送風ファン22の回転数を20%低くすることで同一風量となる。
リモコン7からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW35を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置6から送風ファン21〜23へ出力する。制御装置6から出力された回転制御信号はモータードライバー51〜53に入力され、回転制御信号に従った回転数に送風ファン21〜23は制御される。
上述のように、能動的消音を行う場合、騒音制御の制御点となる消音効果検出マイクロホン91,92及びその周辺の消音効果は高くなるが、制御点から離れた箇所では制御スピーカー81,82から放射された制御音と騒音との位相ずれが大きくなり消音効果が低くなる。しかしながら、本実施の形態1では空気調和機1に複数の送風ファン21〜23を備えた構成とすることで、消音効果が高い消音効果検出マイクロホン91,92に距離の近い送風ファン21,23(消音効果が高い騒音を放射するファン)の回転数を高くし、消音効果検出マイクロホン91,92から距離の遠い送風ファン22(消音効果が低い騒音を放射するファン)の回転数を低くすることができる。
その結果、本実施の形態1に係る空気調和機1は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数の送風ファンを使用した空気調和機やファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、吹出口5全体から放射される騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態1に係る空気調和機1は、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。さらに、本実施の形態1に係る空気調和機1は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数の送風ファン21〜23の回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、図5及び図6に示すように、空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図5は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の別の一例を示す正面図である。また、図6は、図5に示す空気調和機の左側面図である。なお、図6は、空気調和機1の筐体の側壁を透写して示している。図5及び図6に示す空気調和機1は、空気流路を仕切り部材54で分割することにより、送風ファン21が吹き出す空気が通る領域、送風ファン22が吹き出す空気が通る領域、及び送風ファン23が吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Aの騒音検出マイクロホン61、制御スピーカー81及び消音効果検出マイクロホン91は、送風ファン21が吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Bの騒音検出マイクロホン62、制御スピーカー82及び消音効果検出マイクロホン92は、送風ファン23が吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように空気調和機1を構成することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Bは送風ファン23から放射される騒音のみを低減することになる。このため、送風ファン22から放射された騒音を騒音検出マイクロホン61,62及び消音効果検出マイクロホン91,92が検出してしまうことを防止できるので、騒音検出マイクロホン61,62及び消音効果検出マイクロホン91,92のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。一方、消音機構が設けられていない送風ファン22の回転数を低くすることで、消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなる。したがって、図5及び図6のように空気調和機1を構成することにより、図1の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。つまり、図5及び図6のように空気調和機1を構成しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。なお、図5及び図6では空気流路全域に仕切り部材54を挿入したが、例えば熱交換器4の上流側のみ又は熱交換器4の下流側のみといったように、空気流路の一部を仕切り部材54で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態1では騒音検出マイクロホン61,62を空気調和機1の両側面に設置したが、制御スピーカー81,82の上流側であれば騒音検出マイクロホン61,62の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態1では制御スピーカー81,82を空気調和機1の両側面に配置したが、騒音検出マイクロホン61,62の下流側、かつ、消音効果検出マイクロホン91,92の上流側であれば、制御スピーカー81,82の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態1では、消音効果検出マイクロホン91,92を送風ファン21,23の回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー81,82の下流側であれば消音効果検出マイクロホン91,92の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態1では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態1では、送風ファン制御手段71を制御装置6内のCPU31で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより送風ファン制御手段71を構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段71の構成についても図4に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態1では、複数の送風ファン21〜23として軸流ファンの場合を例に挙げたが、羽根車が回転することにより送風を行うファンであればよく、シロッコファンやラインフローファンを送風ファン21〜23として用いても勿論よい。また、送風ファン21〜23は、熱交換器4の上流側に設けられる必要はなく、例えば熱交換器の下流側に設けられてもよい。
また、本実施の形態1では、信号処理装置101,102にFIRフィルター18とLMSアルゴリズム19を用いたが、消音効果検出マイクロホン91,92で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置101,102は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置101,102は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。また、本実施の形態1では信号処理装置101,102の構成を1入力1出力のシステムとしたが、多入力多出力のシステムとして信号処理装置101,102を構成してもよい。
また、本実施の形態1では、送風ファン制御手段71は消音効果検出マイクロホン91,92に距離の近い送風ファン21,23の回転数を高くし、かつ、距離の遠い送風ファン22の回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
<A−3.効果>
以上、本実施の形態1に係る空気調和機1においては、複数の送風ファン21〜23を配置し、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御する制御装置6(より詳しくは、送風ファン制御手段71)が設けられている。送風ファン制御手段71は、消音効果が高い領域である消音効果検出マイクロホン91,92付近の領域に送風している送風ファン21,23の回転数を高くするように制御し、消音効果が低くなる領域である消音効果検出マイクロホン91,92から距離が遠い領域に送風している送風ファン22の回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数の送風ファンを使用した空気調和機、又はファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、高い騒音低減効果を得ることができる。つまり、本実施の形態1に係る空気調和機1は、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段71は、吹出口5から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Bは送風ファン23から放射される騒音のみを低減することになる。このため、送風ファン22から放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割することにより、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていない送風ファン22の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図1の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。また、仕切り部材54で空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
<B.実施の形態2>
実施の形態1の構成に限らず、消音効果検出マイクロホンが検出する消音効果に基づいてファン個別制御を行ってもよい。なお、本実施の形態2では、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1と同一部分には同一符号を付している。
<B−1.構成>
図7は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の構成を示す正面図である。実施の形態1と同様に、本実施の形態2に係る空気調和機1Aは室内機を構成するものである。
本実施の形態2に係る空気調和機1Aが実施の形態1の空気調和機1と異なる点は、消音機構C(騒音検出マイクロホン63、制御スピーカー83、消音効果検出マイクロホン93及び信号処理装置103)が設けられている点である。信号処理装置103の構成は、信号処理装置101,102(図3)と全く同じである。なお、騒音検出マイクロホン63、制御スピーカー83及び消音効果検出マイクロホン93の取り付け位置は、実施の形態1と同様、送風ファン22の下流側から順に、騒音検出マイクロホン63、制御スピーカー83及び消音効果検出マイクロホン93が設置されていればよい。
さらに、信号処理装置101〜103から送風ファン制御手段72へと接続される信号線(信号S1,S2,S3を送る信号線)が設けられている点も、実施の形態1の空気調和機1と異なる。このため、送風ファン制御手段72の構成も、実施の形態1に係る送風ファン制御手段71の構成と異なっている。具体的には、信号処理装置101〜103から送風ファン制御手段72へ送られる信号S1,S2,S3は、消音効果検出マイクロホン91〜93から入力された信号がマイクアンプ11を経てA/D変換器12にてデジタル変換された信号である(図3に信号S1を示す)。つまり、信号S1,S2,S3は、消音効果検出マイクロホン91〜93で検出した音圧レベルのデジタル値である。
次に、送風ファン制御手段72の構成について説明する。
図8は、本発明の実施の形態2に係る制御装置を示す構成図である。以下で説明する各種動作及び手段は、空気調和機1Aが備える制御装置6に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置6は主に、実施の形態1で述べた構成と同様、リモコン7等の外部入力装置からの信号を入力する入力部30、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU31、データーやプログラムを記憶するメモリー32を備えている。さらに、CPU31は送風ファン制御手段72を備えている。
送風ファン制御手段72は、同回転数決定手段33、複数の平均化手段36(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別回転数決定手段34A及び複数のSW35(送風ファンと同数)を備えている。同回転数決定手段33は、リモコン7から入力された運転情報に基づき、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン7から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。平均化手段36は、消音効果検出マイクロホン91〜93にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3が入力されるものであり、これらS1,S2,S3の信号をある一定時間平均化するものである。
ファン個別回転数決定手段34Aは、平均化手段36にて平均化されたS1,S2,S3それぞれの信号と同回転数決定手段33から入力された回転数情報に基づき、送風ファン21〜23をファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW35は、例えばリモコン7から入力される信号に基づき、モータードライバー51〜53へ送られる送風ファン21〜23の回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW35は、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、送風ファン21〜23をそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
<B−2.動作>
次に、空気調和機1Aの動作について説明する。
実施の形態1と同様、空気調和機1Aが動作すると、送風ファン21〜23の羽根車が回転し、送風ファン21〜23の上側から室内の空気が吸い込まれ、送風ファン21〜23下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、送風ファン21〜23の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。送風ファン21〜23により送られた空気は、空気流路を通り、熱交換器4へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器4には、室外機(図示せず)とつながっているパイプから低温の冷媒が送られる。熱交換器4へと送られた空気は、熱交換器4を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口5から室内へ放出される。
また、消音機構A〜Cの動作についても実施の形態1と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン91〜93で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン91〜93における騒音を抑制するよう動作する。
なお、本実施の形態2に係る空気調和機1Aの場合、消音効果検出マイクロホン93には、送風ファン22から放射される騒音の他に、隣接する送風ファン21,23から放射される騒音(クロストークノイズ成分)も入ってくる。一方、消音効果検出マイクロホン91,92にて検出されるクロストークノイズ成分は、消音効果検出マイクロホン93で検出されるクロストークノイズ成分と比べて小さくなる。消音効果検出マイクロホン91,92は、隣接する送風ファンが1つのみ(送風ファン22)だからである。このため、消音機構Cに比べて、消音機構A,Bの消音効果が高くなる。
次に、本実施の形態2に係る送風ファン21〜23のファン個別制御について説明する。
制御装置6には、リモコン7で選択された運転情報が入力される。上述したように、運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン7から制御装置6へ運転情報として入力される。制御装置6に入力された運転情報は、入力部30を介して同回転数決定手段33に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段33は、入力された運転情報から、送風ファン21〜23を同回転数制御する場合の回転数を決定する。
一方、信号処理装置101〜103から平均化手段36へ入力されたS1〜S3(消音効果検出マイクロホン91〜93で検出された音圧レベルのデジタル値)は、平均化手段36にてある一定期間平均化される。
これらS1〜S3のそれぞれを平均化した音圧レベル値、及び同回転数決定手段33で決定された回転数(同回転数制御時の回転数)の情報、は、ファン個別回転数決定手段34Aへ入力される。ファン個別回転数決定手段34Aは、これらの情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各送風ファンの回転数を決定する。具体的には、平均化された音圧レベル値の小さい消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)送風ファンの回転数を高くし、平均化された音圧レベル値の大きい消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)送風ファンの回転数を低くするように、送風ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態2に係る空気調和機1Aにおいて、消音効果検出マイクロホン91で検出した騒音レベルの平均値が45dB、消音効果検出マイクロホン92で検出した騒音レベルの平均値が45dB、及び消音効果検出マイクロホン93で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、ファン個別回転数決定手段34Aは、送風ファン21,23の回転数を高くし、送風ファン22の回転数を低くするように各送風ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図7のような構成の場合、送風ファン21と送風ファン23の回転数を10%高くすると、送風ファン22の回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述した送風ファン21〜23の回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、消音効果検出マイクロホン91で検出した騒音レベルの平均値が45dB、消音効果検出マイクロホン92で検出した騒音レベルの平均値が47dB、及び消音効果検出マイクロホン93で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、送風ファン21の回転数を高くし、送風ファン22の回転数を低くし、送風ファン23の回転数をそのままにするように、各送風ファンの回転数を決定してもよい。つまり、検出した騒音レベルが最も小さい消音効果検出マイクロホン91に距離が近い送風ファン21の回転数を高くし、検出した騒音レベルが最も大きい消音効果検出マイクロホン93に距離が近い送風ファン22の回転数を低くし、そのどちらでもない送風ファン23の回転数はそのままにするように、各送風ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン7からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW35を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置6から送風ファン21〜23へ出力する。制御装置6から出力された回転制御信号はモータードライバー51〜53に入力され、回転制御信号に従った回転数に送風ファン21〜23は制御される。
ここで上述したように、本実施の形態2に係る空気調和機1Aの場合、隣接する送風ファンからのクロストークノイズ成分の大小により、消音効果検出マイクロホン93の近辺の領域に比べて、消音効果検出マイクロホン91,92の近辺の領域は消音効果が高くなる。つまり、本実施の形態2に係る空気調和機1Aの場合、消音効果検出マイクロホン93の近辺の領域に比べて、消音効果検出マイクロホン91,92の近辺の領域は検出する騒音レベルが小さくなる。一方、消音効果検出マイクロホン93の近辺の領域は、消音効果が低くなる。そこで、複数の送風ファン21〜23を備えた本実施の形態2に係る空気調和機1Aにおいては、消音効果検出マイクロホン91〜93により検出された騒音レベル値の平均値のうち、検出した騒音レベル平均値が小さい消音効果検出マイクロホン91,92に距離の近い送風ファン21,23の回転数を高くし、検出した騒音レベル平均値が大きい消音効果検出マイクロホン93に距離の近い送風ファン22の回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態2に係る空気調和機1Aは、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数の送風ファンを使用した空気調和機やファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、吹出口5全体から放射される騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態2に係る空気調和機1Aは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。さらに、本実施の形態2に係る空気調和機1Aは、同回転数制御時と風量が一定となるように複数の送風ファン21〜23の回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、図9及び図10に示すように、空気調和機1Aの空気流路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図9は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の別の一例を示す正面図である。また、図10は、図9に示す空気調和機の左側面図である。なお、図10は、空気調和機1Aの筐体の側壁を透写して示している。図9及び図10に示す空気調和機1Aは、空気流路を仕切り部材54で分割することにより、送風ファン21が吹き出す空気が通る領域、送風ファン22が吹き出す空気が通る領域、及び送風ファン23が吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Aの騒音検出マイクロホン61、制御スピーカー81及び消音効果検出マイクロホン91は、送風ファン21が吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Bの騒音検出マイクロホン62、制御スピーカー82及び消音効果検出マイクロホン92は、送風ファン23が吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Cの騒音検出マイクロホン63、制御スピーカー83及び消音効果検出マイクロホン93は、送風ファン22が吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように空気調和機1Aを構成することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Bは送風ファン23から放射される騒音のみを低減し、消音機構Cは送風ファン22から放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音検出マイクロホン61〜63及び消音効果検出マイクロホン91〜93が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられた送風ファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1A内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、図9及び図10のように空気調和機1Aを構成することにより、図7の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。換言すると、図9及び図10のように空気調和機1Aを構成しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。なお、図9及び図10では空気流路全域に仕切り部材54を挿入したが、例えば熱交換器4の上流側のみ又は熱交換器4の下流側のみといったように、空気流路の一部を仕切り部材54で区切るようにしてもよい。また、実施の形態1と同様に、図11のように消音機構が設けられていない送風ファン(図11中では送風ファン22に消音機構Cが設けられていない)がある場合でも、その送風ファンの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
なお、騒音検出マイクロホン61〜63の設置位置は、制御スピーカー81〜83の上流側であればどこでもよい。さらに、制御スピーカー81〜83の設置位置は、騒音検出マイクロホン61〜63の下流側、かつ、消音効果検出マイクロホン91〜93の上流側であればどこでもよい。さらに、本実施の形態2では、消音効果検出マイクロホン91〜93を送風ファン21〜23の回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー81〜83の下流側であれば消音効果検出マイクロホン91〜93の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態2では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2〜3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態2では、送風ファン制御手段72を制御装置6内のCPU31で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段72の構成についても図8に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態2では、複数の送風ファン21〜23として軸流ファンの場合を例に挙げたが、羽根車が回転することにより送風を行うファンであればよく、シロッコファンやラインフローファンを送風ファン21〜23として用いても勿論よい。また、送風ファン21〜23は、熱交換器4の上流側に設けられる必要はなく、例えば熱交換器の下流側に設けられてもよい。
また、本実施の形態2では、信号処理装置101〜103にFIRフィルター18とLMSアルゴリズム19を用いたが、消音効果検出マイクロホン91〜93で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置101〜103は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置101〜103は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。また、本実施の形態2では信号処理装置101〜103の構成を1入力1出力のシステムとしたが、多入力多出力のシステムとして信号処理装置101〜103を構成してもよい。
また、本実施の形態2では、送風ファン制御手段72は、騒音レベルの小さい消音効果検出マイクロホン91,92に距離の近い送風ファン21,23の回転数を高くし、かつ、騒音レベルの大きい消音効果検出マイクロホン93に距離の近い送風ファン22の回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
<B−3.効果>
以上、本実施の形態2に係る空気調和機1Aにおいては、複数の送風ファン21〜23を配置し、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御する制御装置6(より詳しくは、送風ファン制御手段72)が設けられている。送風ファン制御手段72は、消音効果検出マイクロホン91〜93で検出した騒音レベルの平均値のうち、検出した騒音レベルが小さい消音効果検出マイクロホンに距離が近い送風ファンの回転数を高くするように制御し、検出した騒音レベルが大きい消音効果検出マイクロホンに距離が近い送風ファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果が高い(つまり、騒音レベルの小さい)領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低い(つまり騒音レベルの大きい)領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数の送風ファンを使用した空気調和機、又はファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、より騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態2に係る空気調和機1Aは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段72は、吹出口5から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Aの空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Bは送風ファン23から放射される騒音のみを低減し、消音機構Cは送風ファン22から放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Aの空気流路を複数の領域に分割することにより、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1A内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図7の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。また、図11のように消音機構が設けられていない送風ファンがある場合でも、その送風ファンの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。また、仕切り部材54で空気調和機1Aの空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
<C.実施の形態3>
消音効果検出マイクロホンが検出する消音効果に応じてファン個別制御を行う場合、例えば以下のようにファン個別制御を行ってもよい。なお、本実施の形態3では、上述した実施の形態1,2との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1,2と同一部分には同一符号を付している。
<C−1.構成>
図12は、本発明の実施の形態3に係る空気調和機の構成を示す正面図である。実施の形態2と同様に、本実施の形態3に係る空気調和機1Bは室内機を構成するものである。
本実施の形態3に係る空気調和機1Bが実施の形態2の空気調和機1Aと異なる点は、信号処理装置101〜103から送風ファン制御手段73へと接続される信号線(信号T1,T2,T3を送る信号線)がさらに設けられている点である。このため、送風ファン制御手段73の構成も、実施の形態2に係る送風ファン制御手段72の構成と異なっている。具体的には、信号処理装置101〜103から送風ファン制御手段73へ送られる信号S1,S2,S3は、実施の形態2と同様に、消音効果検出マイクロホン91〜93から入力された信号がマイクアンプ11を経てA/D変換器12にてデジタル変換された信号である。つまり、信号S1,S2,S3は、消音効果検出マイクロホン91〜93で検出した音圧レベルのデジタル値である。また、新たに追加された信号T1,T2,T3は、騒音検出マイクロホン61〜63から入力された信号がマイクアンプ11を経てA/D変換器12にてデジタル変換された信号である。つまり、信号T1,T2,T3は、騒音検出マイクロホン61〜63で検出した音圧レベルのデジタル値である。
次に、送風ファン制御手段73の構成について説明する。
図13は、本発明の実施の形態3に係る制御装置を示す構成図である。以下で説明する各種動作及び手段は、空気調和機1Bが備える制御装置6に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置6は主に、実施の形態2で述べた構成と同様、リモコン7等の外部入力装置からの信号を入力する入力部30、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU31、データーやプログラムを記憶するメモリー32を備えている。さらに、CPU31は送風ファン制御手段73を備えている。
送風ファン制御手段73は、同回転数決定手段33、複数のコヒーレンス演算手段37(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別回転数決定手段34B及び複数のSW35(送風ファンと同数)を備えている。同回転数決定手段33は、リモコン7から入力された運転情報に基づき、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン7から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。コヒーレンス演算手段37は、消音効果検出マイクロホン91〜93にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3及び騒音検出マイクロホン61〜63にて検出した音圧レベルのデジタル値T1,T2,T3が入力されるものである。コヒーレンス演算手段37は、S1とT1、S2とT2及びS3とT3のコヒーレンスを演算する。
ファン個別回転数決定手段34Bは、コヒーレンス演算手段37で演算されたコヒーレンス値と同回転数決定手段33から入力された回転数情報に基づき、送風ファン21〜23をファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW35は、例えばリモコン7から入力される信号に基づき、モータードライバー51〜53へ送られる送風ファン21〜23の回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW35は、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、送風ファン21〜23をそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
<C−2.動作>
次に、空気調和機1Bの動作について説明する。
実施の形態2と同様、空気調和機1Bが動作すると、送風ファン21〜23の羽根車が回転し、送風ファン21〜23の上側から室内の空気が吸い込まれ、送風ファン21〜23下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、送風ファン21〜23の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。送風ファン21〜23により送られた空気は、空気流路を通り、熱交換器4へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器4には、室外機(図示せず)とつながっているパイプから低温の冷媒が送られる。熱交換器4へと送られた空気は、熱交換器4を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口5から室内へ放出される。
また、消音機構A〜Cの動作についても実施の形態2と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン91〜93で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン91〜93における騒音を抑制するよう動作する。
一般的に、能動的消音による消音効果は、騒音検出マイクロホン61〜63と消音効果検出マイクロホン91〜93とのコヒーレンス値が大きく影響する。つまり、騒音検出マイクロホン61〜63と消音効果検出マイクロホン91〜93とのコヒーレンスが高くないと消音効果は期待できない。逆に、騒音検出マイクロホン61〜63と消音効果検出マイクロホン91〜93とのコヒーレンス値から消音効果を予測することもできる。
そこで、本実施の形態3に係る空気調和機1B(より詳しくは、制御装置6の送風ファン制御手段73)は、騒音検出マイクロホン61〜63と消音効果検出マイクロホン91〜93とのコヒーレンス値に基づき、消音効果が高いと推測される領域の送風ファンの回転数を高くし、消音効果が低いと推測される領域の送風ファンの回転数を低くするように送風ファン21〜23の回転数を制御する。
次に、本実施の形態3に係る送風ファン21〜23のファン個別制御について説明する。
制御装置6には、リモコン7で選択された運転情報が入力される。上述したように、運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン7から制御装置6へ運転情報として入力される。制御装置6に入力された運転情報は、入力部30を介して同回転数決定手段33に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段33は、入力された運転情報から、送風ファン21〜23を同回転数制御する場合の回転数を決定する。
一方、信号処理装置101〜103から入力される消音効果検出マイクロホン91〜93で検出された音圧レベルのデジタル値S1〜S3、及び騒音検出マイクロホン61〜63で検出された音圧レベルのデジタル値T1〜T3は、コヒーレンス演算手段37にてそれぞれのマイクロホン間のコヒーレンス値が求められる。
コヒーレンス演算手段37で演算されたコヒーレンス値及び同回転数決定手段33で決定された回転数(同回転数制御時の回転数)の情報、は、ファン個別回転数決定手段34Bへ入力される。ファン個別回転数決定手段34Bは、これらの情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各送風ファンの回転数を決定する。具体的には、コヒーレンス値の高い消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)送風ファンの回転数を高くし、コヒーレンス値の低い消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)送風ファンの回転数を低くするように、送風ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態3に係る空気調和機1Bにおいて、騒音検出マイクロホン61と消音効果検出マイクロホン91との間のコヒーレンス値が0.8、騒音検出マイクロホン62と消音効果検出マイクロホン92との間のコヒーレンス値が0.8、及び騒音検出マイクロホン63と消音効果検出マイクロホン93との間のコヒーレンス値が0.5だった場合、ファン個別回転数決定手段34Bは、送風ファン21,23の回転数を高くし、送風ファン22の回転数を低くするように、各送風ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図12のような構成の場合、送風ファン21と送風ファン23の回転数を10%高くすると、送風ファン22の回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述した送風ファン21〜23の回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、騒音検出マイクロホン61と消音効果検出マイクロホン91との間のコヒーレンス値が0.8、騒音検出マイクロホン62と消音効果検出マイクロホン92との間のコヒーレンス値が0.7、及び騒音検出マイクロホン63と消音効果検出マイクロホン93との間のコヒーレンス値が0.5だった場合、送風ファン21の回転数を高くし、送風ファン22の回転数を低くし、送風ファン23の回転数をそのままにするように、各送風ファンの回転数を決定してもよい。つまり、最もコヒーレンス値が高い消音効果検出マイクロホン91に距離が近い送風ファン21の回転数を高くし、最もコヒーレンス値が低い消音効果検出マイクロホン93に距離が近い送風ファン22の回転数を低くし、そのどちらでもない送風ファン23の回転数はそのままにするように、各送風ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン7からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW35を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置6から送風ファン21〜23へ出力する。制御装置6から出力された回転制御信号はモータードライバー51〜53に入力され、回転制御信号に従った回転数に送風ファン21〜23は制御される。
上述のように、能動的消音を用いる場合、騒音検出マイクロホン61〜63と消音効果検出マイクロホン91〜93とのコヒーレンス値によって、期待される消音効果が異なる。つまり、コヒーレンス値の高い消音効果検出マイクロホンは消音効果が高いと推測でき、コヒーレンス値の低い消音効果検出マイクロホンは消音効果が低いと推測できる。そこで、複数の送風ファン21〜23を備えた本実施の形態3に係る空気調和機1Bでは、コヒーレンス値の高い消音効果検出マイクロホンに距離の近い送風ファンの回転数を高くし、コヒーレンス値の低い消音効果検出マイクロホンに距離の近い送風ファンの回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態3に係る空気調和機1Bは、消音効果が高いと推測される領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低いと推測される領域は騒音が小さくなる。このため、単数の送風ファンを使用した空気調和機やファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、吹出口5全体から放射される騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態3に係る空気調和機1Bは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。さらに、本実施の形態3に係る空気調和機1Bは、同回転数制御時と風量が一定となるように複数の送風ファン21〜23の回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、実施の形態2の図9及び図10に示したように、空気調和機1Bの空気流路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。つまり、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Bは送風ファン23から放射される騒音のみを低減し、消音機構Cは送風ファン22から放射される騒音のみを低減することができる。このため、騒音を騒音検出マイクロホン61〜63及び消音効果検出マイクロホン91〜93が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられた送風ファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1B内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、空気調和機1Bの空気流路を複数の領域に分割することにより、図12の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。なお、実施の形態2の図11と同様に、消音機構が設けられていない送風ファンがある場合、その送風ファンの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
また、空気調和機1Bの空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。なお、仕切り部材54は空気流路全域に設ける必要はなく、例えば熱交換器4の上流側のみ又は熱交換器4の下流側のみといったように、空気流路の一部を仕切り部材54で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態3に係る騒音検出マイクロホン61〜63の設置位置は、制御スピーカー81〜83の上流側であればどこでもよい。さらに、制御スピーカー81〜83の設置位置は、騒音検出マイクロホン61〜63の下流側、かつ、消音効果検出マイクロホン91〜93の上流側であればどこでもよい。さらに、本実施の形態3では、消音効果検出マイクロホン91〜93を送風ファン21〜23の回転軸のほぼ延長線上に配置したが制御スピーカー81〜83の下流側であれば消音効果検出マイクロホン91〜93の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態3では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態3では、送風ファン制御手段73を制御装置6内のCPU31で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段73の構成についても図13に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態3では、複数の送風ファン21〜23として軸流ファンの場合を例に挙げたが、羽根車が回転することにより送風を行うファンであればよく、シロッコファンやラインフローファンを送風ファン21〜23として用いても勿論よい。また、送風ファン21〜23は、熱交換器4の上流側に設けられる必要はなく、例えば熱交換器の下流側に設けられてもよい。
また、本実施の形態3では、信号処理装置101〜103にFIRフィルター18とLMSアルゴリズム19を用いたが、消音効果検出マイクロホン91〜93で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置101〜103は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置101〜103は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。また、本実施の形態3では信号処理装置101〜103の構成を1入力1出力のシステムとしたが、多入力多出力のシステムとして信号処理装置101〜103を構成してもよい。
また、本実施の形態3では、送風ファン制御手段73は、コヒーレンス値の大きい消音効果検出マイクロホン91,92に距離の近い送風ファン21,23の回転数を高くし、かつ、コヒーレンス値の小さい消音効果検出マイクロホン93に距離の近い送風ファン22の回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
<C−3.効果>
以上、本実施の形態3に係る空気調和機1Bにおいては、複数の送風ファン21〜23を配置し、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御する制御装置6(より詳しくは、送風ファン制御手段73)が設けられている。送風ファン制御手段73は、騒音検出マイクロホン61〜63と消音効果検出マイクロホン91〜93とのコヒーレンス値を算出し、騒音検出マイクロホンとのコヒーレンス値が高い消音効果検出マイクロホンに距離が近い送風ファンの回転数を高くするように制御し、騒音検出マイクロホンとのコヒーレンス値が低い消音効果検出マイクロホンに距離が近い送風ファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。その結果、高い消音効果が期待できる領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が期待できない領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数の送風ファンを使用した空気調和機、又はファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、より騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態3に係る空気調和機1Bは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段73は、吹出口5から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Bの空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Bは送風ファン23から放射される騒音のみを低減し、消音機構Cは送風ファン22から放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Bの空気流路を複数の領域に分割することにより、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1B内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図12の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。また、消音機構が設けられていない送風ファンがある場合でも、その送風ファンの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。また、仕切り部材54で空気調和機1Bの空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態3に係る空気調和機1Bにおいては、騒音検出マイクロホンと消音効果検出マイクロホンとのコヒーレンス値に基づき回転数の制御を行っている。コヒーレンス値から理論上の消音効果を推測することができるため、各消音効果検出マイクロホンのコヒーレンス値に基づき、より最適で細かに送風ファンの回転数の制御が可能となる。このため、本実施の形態3に係る空気調和機1Bは、実施の形態1、2の構成に比べて、より高い消音効果を得ることができる。
<D.実施の形態4>
本発明を実施するための消音機構は、実施の形態1〜実施の形態3に示した消音機構に限定されるものではない。例えば上述とは異なる消音機構を用いても、実施の形態1〜実施の形態3と同様の効果を有する空気調和機を得ることができる。なお、本実施の形態4では、実施の形態1に係る空気調和機に異なる消音機構を用いた例について説明する。また、本実施の形態4では、上述した実施の形態1〜実施の形態3との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1〜実施の形態3と同一部分には同一符号を付している。
<D−1.構成>
図14は、本発明の実施の形態4に係る空気調和機の構成を示す正面図である。実施の形態1と同様に、本実施の形態4に係る空気調和機1Cは室内機を構成するものである。
本実施の形態4に係る空気調和機1Cが実施の形態1の空気調和機1と異なる点は、消音機構の構成である。具体的には、実施の形態1に係る空気調和機1の消音機構Aでは、能動的消音を行うために2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン61及び消音効果検出マイクロホン91)を用いていた。一方、消音機構Aに対応する消音機構として本実施の形態4に係る空気調和機1Cに用いられている消音機構Dは、消音機構Aの2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン61及び消音効果検出マイクロホン91)を1つのマイクロホン(騒音・消音効果検出マイクロホン111)に置き換えている。同様に、実施の形態1に係る空気調和機1の消音機構Bでは、能動的消音を行うために2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン62及び消音効果検出マイクロホン92)を用いていた。一方、消音機構Bに対応する消音機構として本実施の形態4に係る空気調和機1Cに用いられている消音機構Eは、消音機構Bの2つのマイクロホン(騒音検出マイクロホン62及び消音効果検出マイクロホン92)を1つのマイクロホン(騒音・消音効果検出マイクロホン112)に置き換えている。また、これに伴って信号処理の方法が異なってくるため、本実施の形態4に係る空気調和機1Cでは、信号処理装置101,102に換えて、信号処理装置104,105を設けている。
つまり、本実施の形態4に係る消音機構は、制御スピーカー81,82、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112、及び信号処理装置104,105により構成されている。また、消音機構Dは、制御スピーカー81、騒音・消音効果検出マイクロホン111及び信号処理装置104で構成される。消音機構Eは、制御スピーカー82、騒音・消音効果検出マイクロホン112、及び信号処理装置105で構成される。なお、本実施の形態4では、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112は、制御スピーカー81,82の下流側となる位置に設けられている。また、騒音・消音効果検出マイクロホン111は例えば送風ファン21の回転軸のほぼ延長線上に設けられており、騒音・消音効果検出マイクロホン112は例えば送風ファン23の回転軸のほぼ延長線上に設けられている。また、本実施の形態4では、吹出口5を形成する吹出しノズルのケーシング上に、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112が設けられている。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112は、吹出口5から出てくる騒音を検出し、消音効果を検出している。
次に、本実施の形態4に係る消音機構D,Eの構成について説明する。
図15は、本発明の実施の形態4に係る消音機構を示す構成図である。なお、図15では、消音機構Dの構成図を示している。消音機構Dと消音機構Eとは同じ構成のため、以下では、代表して消音機構Dの構成を説明する。
騒音・消音効果検出マイクロホン111により音声信号から変換された電気信号は、マイクアンプ11により増幅され、A/D変換器12によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は、LMSアルゴリズム19に入力される。また、FIRフィルター18の出力信号にFIRフィルター20を畳み込んだ信号との差分信号が、FIRフィルター18とLMSアルゴリズム19に入力される。次に、差分信号は、FIRフィルター18でLMSアルゴリズム19により算出されたタップ係数による畳み込み演算が施された後、D/A変換器14によりデジタル信号からアナログ信号に変換され、アンプ15により増幅され、制御スピーカー81から制御音として放出される。
<D−2.動作>
次に空気調和機1Cの動作について説明する。
実施の形態1と同様、空気調和機1Cが動作すると、送風ファン21〜23の羽根車が回転し、送風ファン21〜23の上側から室内の空気が吸い込まれ、送風ファン21〜23下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、送風ファン21〜23の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。送風ファン21〜23により送られた空気は、空気流路を通り、熱交換器4へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器4には、室外機(図示せず)とつながっているパイプから低温の冷媒が送られる。熱交換器4へと送られた空気は、熱交換器4を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口5から室内へ放出される。
次に空気調和機1Cの運転音の抑制方法について説明する。なお、消音機構Dと消音機構Eとは同じ動作のため、以下では、代表して消音機構Dの動作を説明する。
送風ファン21〜23の送風音を含む運転音(騒音)に制御スピーカー81から出力される制御音を干渉させた後の音は、騒音・消音効果検出マイクロホン111で検出される。騒音・消音効果検出マイクロホン111で検出された騒音は、マイクアンプ11、A/D変換器12を介してデジタル信号となる。
実施の形態1に記述した運転音の抑制方法と同等の抑制方法を行うには、FIRフィルター18に消音したい騒音を入力する必要がある。また、LMSアルゴリズム19には、式1にも示した通り、入力信号となる消音したい騒音と誤差信号となる制御音を干渉させた後の音を入力する必要がある。しかし、騒音・消音効果検出マイクロホン111では制御音を干渉させた後の音しか検出することができないため、騒音・消音効果検出マイクロホン111で検出した音から消音したい騒音を作り出すことが必要となる。
図16は、騒音と制御音との干渉後の音の波形(図16中のa)、制御音の波形(図16中のb)、及び騒音の波形(図16中のc)を示したものである。音の重ね合わせの原理からb+c=aとなる。したがって、aからcを得るためには、aとbとの差分を取ればよい。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン111で検出した干渉後の音と制御音との差分から、消音したい騒音を作り出すことができる。
図17は、FIRフィルター18から出力される制御信号が制御音となって制御スピーカー81から出力された後、騒音・消音効果検出マイクロホン111で検出され、信号処理装置104に入力されるまでの経路を示した図である。
FIRフィルター18から出力される制御信号は、D/A変換器14、アンプ15、制御スピーカー81から騒音・消音効果検出マイクロホン111までの経路を経て、マイクアンプ11、A/D変換器12の経路を経ている。
この経路がもつ伝達特性をHとすると、図15のFIRフィルター20は、この伝達特性Hを推定したものである。FIRフィルター18の出力信号に対してFIRフィルター20を畳み込むことで、制御音を騒音・消音効果検出マイクロホン111にて検出した信号bとして推定でき、騒音・消音効果検出マイクロホン111にて検出した干渉後の音aとの差分を取ることで消音したい騒音cが生成される。
このようにして生成した消音したい騒音cが、入力信号として、LMSアルゴリズム19及びFIRフィルター18に供給される。LMSアルゴリズム19でタップ係数が更新されたFIRフィルター18を通過したデジタル信号は、D/A変換器14にてアナログ信号に変換され、アンプ15で増幅され、制御スピーカー81から制御音として空気調和機1内の空気流路に放出される。
一方、騒音・消音効果検出マイクロホン111には、送風ファン21〜23から発生する騒音に、制御スピーカー81から放出された制御音を干渉させた後の音が検出される。上述したLMSアルゴリズム19の誤差信号には、騒音・消音効果検出マイクロホン111で検出された音を入力しているため、この干渉後の音がゼロに近づくようにFIRフィルター18のタップ係数が更新されることになる。その結果、FIRフィルター18を通過した制御音により、送風ファン21〜23から発生する騒音を抑制することができる。
実施の形態1でも説明したように、能動的消音方法では、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112の設置箇所(制御点)で騒音と逆位相となるように、制御スピーカー81,82から制御音を出力する。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112の付近では消音効果は高くなるが、その点から距離が離れると制御音の位相が変化してしまう。したがって、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112から距離が離れた箇所では、騒音と制御音との位相ずれが大きくなり消音効果は低くなってしまう。
なお、本実施の形態4に係る送風ファン21〜23のファン個別制御は、実施の形態1で説明した送風ファン制御手段71と同じ制御である。
このように、複数の送風ファン21〜23を備えた空気調和機1Cにおいては、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112と距離が近い送風ファン21,23の回転数を高くし、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112と距離が遠い送風ファン22の回転数を低くすることにより、能動消音による消音効果が高い騒音・消音効果検出マイクロホン111,112付近への騒音を大きくし、能動消音による消音効果が低くなる騒音・消音効果検出マイクロホン111,112から距離が離れている領域の騒音を小さくすることができる。
つまり、能動的消音を用いる場合、上述のように、騒音制御の制御点となる騒音・消音効果検出マイクロホン111,112及びその周辺の消音効果は高くなるが、制御点から離れた箇所では制御スピーカー81,82から放射された制御音と騒音との位相ずれが大きくなり消音効果が低くなる。しかしながら、本実施の形態4では空気調和機1Cに複数の送風ファン21〜23を備えた構成とすることで、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112に距離の近い送風ファン21,23(消音効果が高い騒音を放射するファン)の回転数を高くし、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112から距離の遠い送風ファン22(消音効果が低い騒音を放射するファン)の回転数を低くすることができる。
その結果、本実施の形態4に係る空気調和機1Cは、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数の送風ファンを使用した空気調和機やファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、吹出口5全体から放射される騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態4に係る空気調和機1Cは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。さらに、本実施の形態4に係る空気調和機1Cは、同回転数制御時と風量が一定となるように複数の送風ファン21〜23の回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、図18及び図19に示すように、空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図18は、本発明の実施の形態4に係る空気調和機の別の一例を示す正面図である。また、図19は、図18に示す空気調和機の左側面図である。なお、図19は、空気調和機1Cの筐体の側壁を透写して示している。図18及び図19に示す空気調和機1Cは、空気流路を仕切り部材54で分割することにより、送風ファン21が吹き出す空気が通る領域、送風ファン22が吹き出す空気が通る領域、及び送風ファン23が吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Dの制御スピーカー81及び騒音・消音効果検出マイクロホン111は、送風ファン21が吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Eの制御スピーカー82及び騒音・消音効果検出マイクロホン112は、送風ファン23が吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように空気調和機1Cを構成することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Eは送風ファン23から放射される騒音のみを低減することになる。このため、送風ファン22から放射された騒音を騒音・消音効果検出マイクロホン111,112が検出してしまうことを防止できるので、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1C内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、図18及び図19のように空気調和機1Cを構成することにより、図14の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。つまり、図18及び図19のように空気調和機1Cを構成しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。なお、図18及び図19では空気流路全域に仕切り部材54を挿入したが、例えば熱交換器4の上流側のみ又は熱交換器4の下流側のみといったように、空気流路の一部を仕切り部材54で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態4では、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112を制御スピーカー81,82の下流側に設置したが、制御スピーカー81,82の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン111,112を設置してもよい。さらに、本実施の形態4では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態4では、送風ファン制御手段71を制御装置6内のCPU31で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段71の構成についても、実施の形態1と同様に、図4に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態4では、複数の送風ファン21〜23として軸流ファンの場合を例に挙げたが、羽根車が回転することにより送風を行うファンであればよく、シロッコファンやラインフローファンを送風ファン21〜23として用いても勿論よい。また、送風ファン21〜23は、熱交換器4の上流側に設けられる必要はなく、例えば熱交換器の下流側に設けられてもよい。
また、本実施の形態4では、信号処理装置104,105にFIRフィルター18とLMSアルゴリズム19を用いたが、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置104,105は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置104,105は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。また、本実施の形態4では信号処理装置104,105の構成を1入力1出力のシステムとしたが、多入力多出力のシステムとして信号処理装置104,105を構成してもよい。
また、本実施の形態4では、送風ファン制御手段71は騒音・消音効果検出マイクロホン111,112に距離の近い送風ファン21,23の回転数を高くし、かつ、距離の遠い送風ファン22の回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
<D−3.効果>
以上、本実施の形態4に係る空気調和機1Cにおいては、複数の送風ファン21〜23を配置し、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御する制御装置6(より詳しくは、送風ファン制御手段71)が設けられている。送風ファン制御手段71は、消音効果が高い領域である騒音・消音効果検出マイクロホン111,112付近の領域に送風している送風ファン21,23の回転数を高くするように制御し、消音効果が低くなる領域である騒音・消音効果検出マイクロホン111,112から距離が遠い領域に送風している送風ファン22の回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果が高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数の送風ファンを使用した空気調和機、又はファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、より騒音を低減することができる。つまり、本実施の形態4に係る空気調和機1Cは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段71は、吹出口5から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、送風ファン21〜23の回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Eは送風ファン23から放射される騒音のみを低減することになる。このため、送風ファン22から放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割することにより、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1C内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていない送風ファン22の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図14の構成に比べて、高い騒音低減効果を得ることができる。また、仕切り部材54で空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態4では、騒音検出マイクロホン61,62と消音効果検出マイクロホン91,92を騒音・消音効果検出マイクロホン111,112に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減できるので、さらにコストを下げることができる。
<E.実施の形態5>
実施の形態2で示した空気調和機に、実施の形態4で示した消音機構を用いても勿論よい。なお、本実施の形態5では、上述した実施の形態1〜実施の形態4との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1〜実施の形態4と同一部分には同一符号を付している。
<E−1.構成>
図20は、本発明の実施の形態5に係る空気調和機の構成を示す正面図である。実施の形態4と同様に、本実施の形態5に係る空気調和機1Dは室内機を構成するものである。
本実施の形態5に係る空気調和機1Dが実施の形態4の空気調和機1Cと異なる点は、消音機構F(制御スピーカー83、騒音・消音効果検出マイクロホン113及び信号処理装置106)が設けられている点である。信号処理装置106の構成は、信号処理装置104,105(図15)と全く同じである。
さらに、実施の形態2と同様に、信号処理装置104〜106から送風ファン制御手段72へと接続される信号線(信号S1,S2,S3を送る信号線)が設けられている点も、実施の形態4の空気調和機1Cと異なる。信号処理装置104〜106から送風ファン制御手段72へ送られる信号S1,S2,S3は、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113から入力された信号がマイクアンプ11を経てA/D変換器12にてデジタル変換された信号である。つまり、信号S1,S2,S3は、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113で検出した音圧レベルのデジタル値である。
送風ファン制御手段72の構成は実施の形態2で説明した構成と同じであり、図8に示す構成となる。送風ファン制御手段72は、同回転数決定手段33、複数の平均化手段36(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別回転数決定手段34A及び複数のSW35(送風ファンと同数)を備えている。同回転数決定手段33は、リモコン7から入力された運転情報に基づき、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン7から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。平均化手段36は、消音効果検出マイクロホン91〜93にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3が入力されるものであり、これらS1,S2,S3の信号をある一定時間平均化するものである。
ファン個別回転数決定手段34Aは、平均化手段36にて平均化されたS1,S2,S3それぞれの信号と同回転数決定手段33から入力された回転数情報に基づき、送風ファン21〜23をファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。SW35は、例えばリモコン7から入力される信号に基づき、モータードライバー51〜53へ送られる送風ファン21〜23の回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW35は、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、送風ファン21〜23をそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
<E−2.動作>
次に空気調和機1Dの動作について説明する。
実施の形態4と異なる点は、送風ファン制御手段72の動作のみである。また、送風ファン制御手段72の動作は、実施の形態2で説明したとおりである。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113で検出された音圧レベルのデジタル値S1〜S3を平均化手段36にてある一定期間平均化する。これら平均化された音圧レベル値と及び同回転数決定手段33で決定された回転数に基づき、ファン個別回転数決定手段34Aは、ファン個別制御を行う際の各送風ファンの回転数を決定する。具体的には、平均化された音圧レベル値の小さい消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)送風ファンの回転数を高くし、平均化された音圧レベル値の大きい消音効果検出マイクロホンに距離が近い(関連性が高い)送風ファンの回転数を低くするように、送風ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態5に係る空気調和機1Dにおいて、騒音・消音効果検出マイクロホン111で検出した騒音レベルの平均値が45dB、騒音・消音効果検出マイクロホン112で検出した騒音レベルの平均値が45dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン113で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、ファン個別回転数決定手段34Aは、送風ファン21,23の回転数を高くし、送風ファン22の回転数を低くするように各送風ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図20のような構成の場合、送風ファン21と送風ファン23の回転数を10%高くすると、送風ファン22の回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述した送風ファン21〜23の回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン111で検出した騒音レベルの平均値が45dB、騒音・消音効果検出マイクロホン112で検出した騒音レベルの平均値が47dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン113で検出した騒音レベルの平均値が50dBだった場合、送風ファン21の回転数を高くし、送風ファン22の回転数を低くし、送風ファン23の回転数をそのままにするように、各送風ファンの回転数を決定してもよい。つまり、検出した騒音レベルが最も小さい騒音・消音効果検出マイクロホン111に距離が近い送風ファン21の回転数を高くし、検出した騒音レベルが最も大きい騒音・消音効果検出マイクロホン113に距離が近い送風ファン22の回転数を低くし、そのどちらでもない送風ファン23の回転数はそのままにするように、各送風ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン7からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、各送風ファンの回転数は個別に制御される。つまり、リモコン7からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW35を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置6から送風ファン21〜23へ出力する。制御装置6から出力された回転制御信号はモータードライバー51〜53に入力され、回転制御信号に従った回転数に送風ファン21〜23は制御される。
ここで、本実施の形態5に係る空気調和機1Dの場合、実施の形態2と同様に、隣接する送風ファンからのクロストークノイズ成分の大小により、騒音・消音効果検出マイクロホン113の近辺の領域に比べて、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112の近辺の領域は消音効果が高くなる。つまり、騒音・消音効果検出マイクロホン113の近辺の領域に比べて、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112の近辺の領域は検出する騒音レベルが小さくなる。一方、騒音・消音効果検出マイクロホン113の近辺の領域は、消音効果が低くなる。そこで、複数の送風ファン21〜23を備えた本実施の形態5に係る空気調和機1Dにおいては、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113により検出された騒音レベル値の平均値のうち、検出した騒音レベル平均値が小さい騒音・消音効果検出マイクロホン111,112に距離の近い送風ファン21,23の回転数を高くし、検出した騒音レベル平均値が大きい騒音・消音効果検出マイクロホン113に距離の近い送風ファン22の回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態5に係る空気調和機1Dは、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数の送風ファンを使用した空気調和機やファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、吹出口5全体から放射される騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態5に係る空気調和機1Dは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。さらに、本実施の形態5に係る空気調和機1Dは、同回転数制御時と風量が一定となるように複数の送風ファン21〜23の回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、図21及び図22に示すように、空気調和機1Dの空気流路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
図21は、本発明の実施の形態5に係る空気調和機の別の一例を示す正面図である。また、図22は、図21に示す空気調和機の左側面図である。なお、図22は、空気調和機1Dの筐体の側壁を透写して示している。図21及び図22に示す空気調和機1Dは、空気流路を仕切り部材54で分割することにより、送風ファン21が吹き出す空気が通る領域、送風ファン22が吹き出す空気が通る領域、及び送風ファン23が吹き出す空気が通る領域に区切っている。そして、消音機構Dの制御スピーカー81及び騒音・消音効果検出マイクロホン111は、送風ファン21が吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Eの制御スピーカー82及び騒音・消音効果検出マイクロホン112は、送風ファン23が吹き出す空気が通る領域に配置されている。また、消音機構Fの制御スピーカー83及び騒音・消音効果検出マイクロホン113は、送風ファン22が吹き出す空気が通る領域に配置されている。
このように空気調和機1Dを構成することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Eは送風ファン23から放射される騒音のみを低減し、消音機構Fは送風ファン22から放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられた送風ファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1D内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、図21及び図22のように空気調和機1Dを構成することにより、図20の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。換言すると、図21及び図22のように空気調和機1Dを構成しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。なお、図21及び図22では空気流路全域に仕切り部材54を挿入したが、例えば熱交換器4の上流側のみ又は熱交換器4の下流側のみといったように、空気流路の一部を仕切り部材54で区切るようにしてもよい。また、実施の形態4と同様に、図23のように消音機構が設けられていない送風ファン(図23中では送風ファン22に消音機構Fが設けられていない)がある場合でも、その送風ファンの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。
なお、本実施の形態5では、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113を制御スピーカー81〜83の下流側に設置したが、制御スピーカー81〜83の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113を設置してもよい。さらに、本実施の形態5では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン、信号処理装置をそれぞれ2〜3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態5では、送風ファン制御手段72を制御装置6内のCPU31で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段72の構成についても、実施の形態2と同様に、図8に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態5では、複数の送風ファン21〜23として軸流ファンの場合を例に挙げたが、羽根車が回転することにより送風を行うファンであればよく、シロッコファンやラインフローファンを送風ファン21〜23として用いても勿論よい。また、送風ファン21〜23は、熱交換器4の上流側に設けられる必要はなく、例えば熱交換器の下流側に設けられてもよい。
また、本実施の形態5では、信号処理装置104〜106にFIRフィルター18とLMSアルゴリズム19を用いているが、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置104〜106は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置104〜106は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。また、本実施の形態5では信号処理装置104〜106の構成を1入力1出力のシステムとしたが、多入力多出力のシステムとしてとして信号処理装置104〜106を構成してもよい。
また、本実施の形態5では、送風ファン制御手段72は、騒音レベルの小さい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離の近い送風ファンの回転数を高くし、かつ、騒音レベルの大きい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離の近い送風ファンの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
<E−3.効果>
以上、本実施の形態5に係る空気調和機1Dにおいては、複数の送風ファン21〜23を配置し、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御する制御装置6(より詳しくは、送風ファン制御手段72)が設けられている。送風ファン制御手段72は、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113で検出した騒音レベルの平均値のうち、検出した騒音レベルが小さい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離が近い送風ファンの回転数を高くするように制御し、検出した騒音レベルが大きい騒音・消音効果検出マイクロホンに距離が近い送風ファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音効果が高い(つまり、騒音レベルの小さい)領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果が低い()つまり騒音レベルの大きい)領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数の送風ファンを使用した空気調和機、又はファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、より騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態5に係る空気調和機1Dは、制御スピーカーの数を1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段72は、吹出口5から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、送風ファン21〜23の回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Dの空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Eは送風ファン23から放射される騒音のみを低減し、消音機構Fは送風ファン22から放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Dの空気流路を複数の領域に分割することにより、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1D内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。したがって、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113における消音効果が高くなり、図20の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。また、図23のように消音機構が設けられていない送風ファンがある場合でも、その送風ファンの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の消音効果を得ることができる。また、仕切り部材54で空気調和機1Dの空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態5では、騒音検出マイクロホン61〜63と消音効果検出マイクロホン91〜93を騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減し、さらにコストを下げることができる。
<F.実施の形態6>
実施の形態1〜実施の形態5では、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンに関連性の高い騒音を放出する送風ファン(つまり、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンが消音効果を発揮しやすい騒音を放出する送風ファン)を、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンから距離の近い送風ファンとしていた。これに限らず、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンに関連性の高い騒音を放出する送風ファン(つまり、消音効果検出マイクロホン又は騒音・消音効果検出マイクロホンが消音効果を発揮しやすい騒音を放出する送風ファン)を、以下のような送風ファンとしてもよい。なお、本実施の形態6では、実施の形態1に係る空気調和機を例に用いて説明する。また、本実施の形態6では、上述した実施の形態1〜実施の形態5との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1〜実施の形態5と同一部分には同一符号を付している。
<F−1.構成>
上述のように、本実施の形態6に係る空気調和機1の基本的な構成は、実施の形態1で説明した図1と同様である。本実施の形態6に係る空気調和機1が実施の形態1の空気調和機1と異なる点は、制御装置6のメモリー32に入力されている送風ファン情報が異なる点である。つまり、本実施の形態6に係る空気調和機1が実施の形態1の空気調和機1と異なる点は、メモリー32からファン個別回転数決定手段34へ入力される送風ファン情報が異なる点である。
また、実施の形態1では制御スピーカー81,82の空気調和機1側面への詳細な設置構成については説明しなかったが、本実施の形態6では、次のように制御スピーカー81,82を空気調和機1側面へ設置している。
制御スピーカー81,82はある程度の厚みがあるため、空気調和機1の前面や背面に設置すると、空気流路を塞いでしまい、空力性能の劣化につながってしまう。このため、本実施の形態6では、筐体の両側面部に設けられた機械ボックス(制御基板等が格納されているボックス、図示せず)内に、制御スピーカー81,82を配置している。このように制御スピーカー81,82を配置することにより、制御スピーカー81,82が空気流路にはみ出ることを防止できる。
より詳しくは、実施の形態1では、消音効果検出マイクロホン91,92に距離が近い送風ファンの識別番号を送風ファン情報としていた。一方、本実施の形態6では、空気調和機1の筐体の両端に設置されている送風ファンの識別番号を送風ファン情報としている。つまり、図1からわかるように、本実施の形態6における送風ファン情報は、送風ファン21と送風ファン23の識別番号となる。
<F−2.動作>
空気調和機1における動作は実施の形態1で説明した動作と同様である。このため、以下には、送風ファン21〜23のファン個別制御について説明する。
送風ファン制御手段71のファン個別回転数決定手段34は、実施の形態1と同様に、同回転数決定手段33で決定された回転数情報及びメモリー32から読み出した送風ファン情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各送風ファンの回転数を決定する。具体的には、ファン個別回転数決定手段34は識別番号がメモリー32に入力されている送風ファン21,23の回転数を高くし、識別番号がメモリー32に入力されていない送風ファン22の回転数を低くする。結果として、ファン個別回転数決定手段34は、空気調和機1の筐体の両端に設置されている送風ファン21,23の回転数を高くし、空気調和機1の筐体の両端以外に設置されている送風ファン22の回転数を低くすることになる。なお、このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を決定するとよい。
リモコン7からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW35を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置6から送風ファン21〜23へ出力する。制御装置6から出力された回転制御信号はモータードライバー51〜53に入力され、回転制御信号に従った回転数に送風ファン21〜23は制御される。
両端の送風ファン21,23が放射する騒音を能動的に消音する場合と、両端以外の送風ファン22が放射する騒音を能動的に消音する場合とでは、これら送風ファンの騒音を検出する際のクロストークノイズ成分が異なってくる。送風ファン22から放射される騒音を検出する場合、隣接する送風ファン21,23から放射される騒音もクロストークノイズ成分として入ってくるためである。このため、本実施の形態6では、空気調和機1を複数の送風ファン21〜23を備えた構成とし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が小さい両端の送風ファン21,23の回転数を高くし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が大きい両端以外の送風ファン22の回転数を低くする。
その結果、本実施の形態6に係る空気調和機1は、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数の送風ファンを使用した空気調和機やファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、吹出口5全体から放射される騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態6に係る空気調和機1は、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。さらに、本実施の形態6に係る空気調和機1は、同回転数制御時と風量が一定となるように複数の送風ファン21〜23の回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態6では、制御スピーカー81,82が空気流路へはみ出さないように、制御スピーカー81,82を空気調和機1の両側面に設置している。このため、制御スピーカー81,82が空気流路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、本実施の形態6に係る空気調和機1においても、実施の形態1の図5及び図6で示した空気調和機1と同様に、空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り部材54で空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Bは送風ファン23から放射される騒音のみを低減することになる。このため、送風ファン22から放射された騒音を騒音検出マイクロホン61,62及び消音効果検出マイクロホン91,92が検出してしまうことを防止できるので、騒音検出マイクロホン61,62及び消音効果検出マイクロホン91,92のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。一方、消音機構が設けられていない送風ファン22の回転数を低くすることで、消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなる。したがって、本実施の形態6に係る空気調和機1においても、空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割することにより、図1の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。つまり、本実施の形態6に係る空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。なお、仕切り部材54は空気流路全域に設ける必要はなく、例えば熱交換器4の上流側のみ又は熱交換器4の下流側のみといったように、空気流路の一部を仕切り部材54で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態6では騒音検出マイクロホン61,62を空気調和機1の両側面に設置したが、制御スピーカー81,82の上流側であれば騒音検出マイクロホン61,62の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態6では制御スピーカー81,82を空気調和機1の両側面に配置したが、騒音検出マイクロホン61,62の下流側、かつ、消音効果検出マイクロホン91,92の上流側であれば、制御スピーカー81,82の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態6では、消音効果検出マイクロホン91,92を送風ファン21,23の回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー81,82の下流側であれば消音効果検出マイクロホン91,92の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態6では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態6では、送風ファン制御手段71を制御装置6内のCPU31で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより送風ファン制御手段71を構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段71の構成についても図4に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態6では、複数の送風ファン21〜23として軸流ファンの場合を例に挙げたが、羽根車が回転することにより送風を行うファンであればよく、シロッコファンやラインフローファンを送風ファン21〜23として用いても勿論よい。また、送風ファン21〜23は、熱交換器4の上流側に設けられる必要はなく、例えば熱交換器の下流側に設けられてもよい。
また、本実施の形態6では、信号処理装置101,102にFIRフィルター18とLMSアルゴリズム19を用いたが、消音効果検出マイクロホン91,92で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置101,102は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置101,102は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。また、本実施の形態6では信号処理装置101,102の構成を1入力1出力のシステムとしたが、多入力多出力のシステムとして信号処理装置101,102を構成してもよい。
また、本実施の形態6では、送風ファン制御手段71は、空気調和機1の両端の送風ファン21,23の回転数を高くし、かつ、両端以外の送風ファン22の回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
<F−3.効果>
以上、本実施の形態6に係る空気調和機1においては、複数の送風ファン21〜23を配置し、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御する送風ファン制御手段71が設けられている。送風ファン制御手段71は、空気調和機1の両端に設置している送風ファン21,23の回転数を高くするように制御し、空気調和機1の両端以外に設置している送風ファン22の回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、隣接する送風ファンからのクロストークノイズ成分が小さく消音効果が高い領域はさらに消音効果が高くなり、クロストークノイズ成分が大きく消音効果が低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数の送風ファンを使用した空気調和機、又はファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、高い騒音低減効果を得ることができる。つまり、本実施の形態6に係る空気調和機1は、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段71は、吹出口5から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、制御スピーカー81,82が空気流路へはみ出さないように、制御スピーカー81,82を空気調和機1の両側面に設置している。このため、制御スピーカー81,82が空気流路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Bは送風ファン23から放射される騒音のみを低減することになる。このため、送風ファン22から放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割することにより、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていない送風ファン22の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図1の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。また、仕切り部材54で空気調和機1の空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
<G.実施の形態7>
実施の形態4に係る空気調和機に、実施の形態6で示した送風ファン情報を用いても勿論よい。なお、本実施の形態7では、上述した実施の形態1〜実施の形態6との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1〜実施の形態6と同一部分には同一符号を付している。
<G−1.構成>
本実施の形態7に係る空気調和機1Cの基本的な構成は、実施の形態4で説明した図14と同様である。本実施の形態7に係る空気調和機1Cが実施の形態4の空気調和機1Cと異なる点は、制御装置6のメモリー32に入力されている送風ファン情報が異なる点である。より詳しくは、本実施の形態7では、空気調和機1Cの筐体の両端に設置されている送風ファンの識別番号を送風ファン情報としている。つまり、図14からわかるように、本実施の形態7における送風ファン情報は、送風ファン21と送風ファン23の識別番号となる。
また、実施の形態4では制御スピーカー81,82の空気調和機1C側面への詳細な設置構成については説明しなかったが、本実施の形態7では、次のように制御スピーカー81,82を空気調和機1C側面へ設置している。
制御スピーカー81,82はある程度の厚みがあるため、空気調和機1Cの前面や背面に設置すると、空気流路を塞いでしまい、空力性能の劣化につながってしまう。このため、本実施の形態7では、筐体の両側面部に設けられた機械ボックス(制御基板等が格納されているボックス、図示せず)内に、制御スピーカー81,82を配置している。このように制御スピーカー81,82を配置することにより、制御スピーカー81,82が空気流路にはみ出ることを防止できる。
<G−2.動作>
空気調和機1Cにおける動作は実施の形態4で説明した動作と同様である。このため、以下には、送風ファン21〜23のファン個別制御について説明する。
送風ファン制御手段71のファン個別回転数決定手段34は、実施の形態4と同様に、同回転数決定手段33で決定された回転数情報及びメモリー32から読み出した送風ファン情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各送風ファンの回転数を決定する。具体的には、ファン個別回転数決定手段34は識別番号がメモリー32に入力されている送風ファン21,23の回転数を高くし、識別番号がメモリー32に入力されていない送風ファン22の回転数を低くする。結果として、ファン個別回転数決定手段34は、空気調和機1Cの筐体の両端に設置されている送風ファン21,23の回転数を高くし、空気調和機1Cの筐体の両端以外に設置されている送風ファン22の回転数を低くすることになる。なお、このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を決定するとよい。
リモコン7からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW35を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置6から送風ファン21〜23へ出力する。制御装置6から出力された回転制御信号はモータードライバー51〜53に入力され、回転制御信号に従った回転数に送風ファン21〜23は制御される。
両端の送風ファン21,23が放射する騒音を能動的に消音する場合と、両端以外の送風ファン22が放射する騒音を能動的に消音する場合とでは、これら送風ファンの騒音を検出する際のクロストークノイズ成分が異なってくる。送風ファン22から放射される騒音を検出する場合、隣接する送風ファン21,23から放射される騒音もクロストークノイズ成分として入ってくるためである。このため、本実施の形態7では、空気調和機1Cを複数の送風ファン21〜23を備えた構成とし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が小さい両端の送風ファン21,23の回転数を高くし、騒音検出時にクロストークノイズ成分が大きい両端以外の送風ファン22の回転数を低くする。
その結果、本実施の形態7に係る空気調和機1Cは、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数の送風ファンを使用した空気調和機やファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、吹出口5全体から放射される騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態7に係る空気調和機1Cは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。さらに、本実施の形態7に係る空気調和機1Cは、同回転数制御時と風量が一定となるように複数の送風ファン21〜23の回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態7では、制御スピーカー81,82が空気流路へはみ出さないように、制御スピーカー81,82を空気調和機1Cの両側面に設置している。このため、制御スピーカー81,82が空気流路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、本実施の形態7に係る空気調和機1Cにおいても、実施の形態4の図18及び図19で示した空気調和機1Cと同様に、空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り部材54で空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Eは送風ファン23から放射される騒音のみを低減することになる。このため、送風ファン22から放射された騒音・消音効果検出マイクロホン111,112が検出してしまうことを防止できるので、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112のクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1C内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。一方、消音機構が設けられていない送風ファン22の回転数を低くすることで、消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなる。したがって、本実施の形態7に係る空気調和機1Cにおいても、空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割することにより、図14の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。つまり、本実施の形態7に係る空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。なお、仕切り部材54は空気流路全域に設ける必要はなく、例えば熱交換器4の上流側のみ又は熱交換器4の下流側のみといったように、空気流路の一部を仕切り部材54で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態7では、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112を制御スピーカー81,82の下流側に設置したが、制御スピーカー81,82の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン111,112を設置してもよい。さらに、本実施の形態7では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ2個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態7では、送風ファン制御手段71を制御装置6内のCPU31で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段71の構成についても図4に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態7では、複数の送風ファン21〜23として軸流ファンの場合を例に挙げたが、羽根車が回転することにより送風を行うファンであればよく、シロッコファンやラインフローファンを送風ファン21〜23として用いても勿論よい。また、送風ファン21〜23は、熱交換器4の上流側に設けられる必要はなく、例えば熱交換器の下流側に設けられてもよい。
また、本実施の形態7では、信号処理装置104,105にFIRフィルター18とLMSアルゴリズム19を用いたが、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置104,105は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置104,105は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。
また、本実施の形態7では信号処理装置104,105の構成を1入力1出力のシステムとしたが、多入力多出力のシステムとして信号処理装置104,105を構成してもよい。
また、本実施の形態7では、送風ファン制御手段71は、空気調和機1Cの両端の送風ファン21,23の回転数を高くし、かつ、両端以外の送風ファン22の回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
<G−3.効果>
以上、本実施の形態7に係る空気調和機1Cにおいては、複数の送風ファン21〜23を配置し、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御する送風ファン制御手段71が設けられている。送風ファン制御手段71は、空気調和機1Cの両端に設置している送風ファン21,23の回転数を高くするように制御し、空気調和機1Cの両端以外に設置している送風ファン22の回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、隣接する送風ファンからのクロストークノイズが小さく消音効果が高い領域はさらに消音効果が高くなり、クロストークノイズが大きく消音効果が低い領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数の送風ファンを使用した空気調和機、又はファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、より騒音を低減することができる。つまり、本実施の形態7に係る空気調和機1Cは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
また、送風ファン制御手段71は、吹出口5から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、制御スピーカー81,82が空気流路へはみ出さないように、制御スピーカー81,82を空気調和機1Cの両側面に設置している。このため、制御スピーカー81,82が空気流路にはみ出ることによって発生する圧力損失を防止でき、空力的な性能の劣化を防止することができる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Eは送風ファン23から放射される騒音のみを低減することになる。このため、送風ファン22から放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割することにより、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1C内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなる。さらに、消音機構が設けられていない送風ファン22の回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、図14の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。また、仕切り部材54で空気調和機1Cの空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態7では、騒音検出マイクロホン61,62と消音効果検出マイクロホン91,92を騒音・消音効果検出マイクロホン111,112に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減できるので、さらにコストを下げることができる。
<H.実施の形態8>
消音効果検出マイクロホンや騒音・消音効果検出マイクロホンの消音効果に応じてファン個別制御を行う場合、例えば以下のようにファン個別制御を行ってもよい。なお、本実施の形態8では、上述した実施の形態1〜実施の形態7との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1〜実施の形態7と同一部分には同一符号を付している。
<H−1.構成>
図24は、本発明の実施の形態8に係る空気調和機の構成を示す正面図である。
本実施の形態8に係る空気調和機1Eは、実施の形態1〜7と同様に室内機を構成するものである。空気調和機1Eの基本的な構成は、実施の形態2の図7に示した空気調和機1Aとほぼ同じ構成となっている。
本実施の形態8に係る空気調和機1Eが実施の形態2の空気調和機1Aと異なる点は、送風ファン制御手段74の構成のみである。
本実施の形態8に係る送風ファン制御手段74について説明する。
図25は、本発明の実施の形態8に係る制御装置を示す構成図である。以下で説明する各種動作及び手段は、空気調和機1Eが備える制御装置6に組み込まれたプログラムを実行することにより行われる。制御装置6は主に、実施の形態1〜実施の形態7で述べた構成と同様、リモコン7等の外部入力装置からの信号を入力する入力部30、組み込まれたプログラムに従って演算を行うCPU31、データーやプログラムを記憶するメモリー32を備えている。さらに、本実施の形態8に係るCPU31は、送風ファン制御手段74を備えている。
送風ファン制御手段74は、同回転数決定手段33、複数の消音量算出手段38(消音効果検出マイクロホンと同数)、ファン個別回転数決定手段34C及び複数のSW35(送風ファンと同数)を備えている。同回転数決定手段33は、リモコン7から入力された運転情報に基づき、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させる場合の回転数を決定するものである。リモコン7から入力された運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報や、強、中、及び弱等の風量情報である。消音量算出手段38は、消音効果検出マイクロホン91〜93にて検出した音圧レベルのデジタル値S1,S2,S3が入力されるものであり、これらS1,S2,S3の信号から消音量を算出するものである。
ファン個別回転数決定手段34Cは、消音量算出手段38で算出された消音量とメモリー32に記憶されている送風ファン情報に基づき、送風ファン21〜23をファン個別制御するときのそれぞれの回転数を決定するものである。送風ファン情報とは、消音効果検出マイクロホン91〜93と関連性が高い送風ファンの情報である。SW35は、例えばリモコン7から入力される信号に基づき、モータードライバー51〜53へ送られる送風ファン21〜23の回転制御信号を切り替えるものである。つまり、SW35は、送風ファン21〜23を全て同じ回転数で動作させるか(同回転数制御するか)、送風ファン21〜23をそれぞれ個別の回転数で動作させるか(ファン個別制御するか)を切り替えるものである。
図26は、本発明の実施の形態8に係る消音量算出手段を示す構成図である。
消音量算出手段38は、入力される信号(S1、S2又はS3)を平均化する平均化手段36と、能動的消音制御を開始する前の音圧レベルを記憶しておく制御前音圧レベル記憶手段39と、差分器40と、を備えている。
<H−2.動作>
次に空気調和機1Eの動作について説明する。
実施の形態2と同様、空気調和機1Eが動作すると、送風ファン21〜23の羽根車が回転し、送風ファン21〜23の上側から室内の空気が吸い込まれ、送風ファン21〜23下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、送風ファン21〜23の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。送風ファン21〜23により送られた空気は、空気流路を通り、熱交換器4へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器4には、室外機(図示せず)とつながっているパイプから低温の冷媒が送られる。熱交換器4へと送られた空気は、熱交換器4を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口5から室内へ放出される。
また、消音機構A〜Cの動作についても実施の形態2と全く同じであり、消音効果検出マイクロホン91〜93で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として消音効果検出マイクロホン91〜93における騒音を抑制するよう動作する。
本実施の形態8に係る空気調和機1Eの場合、消音効果検出マイクロホン93には、送風ファン22から放射される騒音の他に、隣接する送風ファン21,23から放射される騒音(クロストークノイズ成分)も入ってくる。一方、消音効果検出マイクロホン91,92にて検出されるクロストークノイズ成分は、消音効果検出マイクロホン93で検出されるクロストークノイズ成分と比べて小さくなる。消音効果検出マイクロホン91,92は、隣接する送風ファンが1つのみ(送風ファン22)だからである。このため、消音機構Cに比べて、消音機構A,Bの消音効果が高くなる。
次に、本実施の形態8に係る送風ファン21〜23のファン個別制御について説明する。
制御装置6には、リモコン7で選択された運転情報が入力される。上述したように、運転情報とは、例えば、冷房運転モード、暖房運転モード及び除湿運転モード等の運転モード情報である。さらに、強、中、及び弱等の風量情報も同様に、リモコン7から制御装置6へ運転情報として入力される。制御装置6に入力された運転情報は、入力部30を介して同回転数決定手段33に入力される。運転情報が入力された同回転数決定手段33は、入力された運転情報から、送風ファン21〜23を同回転数制御する場合の回転数を決定する。ファン個別制御を行わない場合、送風ファン21〜23は、全て同じ回転数で制御される。
一方、消音量算出手段38には、信号処理装置101〜103から平均化手段36へS1〜S3(消音効果検出マイクロホン91〜93で検出された音圧レベルのデジタル値)が入力される。また、消音量算出手段38は、能動的消音制御を行う前に消音効果検出マイクロホン91〜93で検出した音圧レベルを平均化手段36で一定期間平均化し、この平均化された音圧レベルを制御前音圧レベル記憶手段39に記憶しておく。次に、消音量算出手段38は、能動的消音制御時に消音効果検出マイクロホン91〜93で検出した音圧レベルを平均化手段36で一定期間平均化する。
そして、消音量算出手段38は、「能動的消音制御時に消音効果検出マイクロホン91〜93で検出した音圧レベルを平均化手段36で一定期間平均化した音圧レベル」と「能動的消音制御を行う前に消音効果検出マイクロホン91〜93で検出した音圧レベルを平均化手段36で一定期間平均化した音圧レベル」(制御前音圧レベル記憶手段39に記憶されているもの)との差から、消音量を算出する。消音量算出手段38で算出された消音量は、ファン個別回転数決定手段34Cに入力される。
また、メモリー32には、送風ファン情報が記憶されている。送風ファン情報とは、消音効果検出マイクロホン91〜93で検出される音に対して最も関連性が高い騒音を放射する送風ファンの情報である。これらの識別番号は、各消音効果検出マイクロホンごとに振り分けられている。本実施の形態8では、送風ファン情報となる識別番号を以下のように求めている。例えば、消音効果検出マイクロホン91で検出される音が、送風ファン21〜23から放射される騒音のうちのどの騒音と最も関連性が高いかを確認する。消音効果検出マイクロホン91で検出される音が送風ファン21から放射される騒音と最も関連性が高い場合、消音効果検出マイクロホン91に対応する送風ファン情報は送風ファン21を示す識別番号となる。同様に、消音効果検出マイクロホン92,93についても対応する送風ファン情報が決められ、予めメモリー32に記憶させておく。
送風ファン情報の決定は、例えば次のように行うとよい。例えば製品出荷前、送風ファン21〜23を動作させた状態で、送風ファン21〜23から放射される騒音を正確に検出するマイクロホンにより検出する。そして、これらのマイクロホンで検出された音と、消音効果検出マイクロホン91で検出した音とのコヒーレンス値を測定する。その後、消音効果検出マイクロホン91検出値に対して最もコヒーレンス値の高かった検出値のマイクロホンを決定する。このマイクロホンが検出する騒音を放射している送風ファンの識別番号が、消音効果検出マイクロホン91に対応する送風ファン情報となる。消音効果検出マイクロホン92,93に対応する送風ファン情報も同様に決定するとよい。
また、送風ファン情報の決定は、例えば次のように行ってもよい。空気調和機1Eの送風ファン制御手段74等に、実施の形態3で示したようなコヒーレンス演算手段37を搭載しておく。そして、製品出荷後の運転時において、騒音検出マイクロホン61〜63の検出値と消音効果検出マイクロホン91〜93の検出値とのコヒーレンス値を測定する。そして、消音効果検出マイクロホン91〜93それぞれについて最もコヒーレンス値の高かった騒音検出マイクロホンに距離の近い送風ファンの識別番号を送風ファン情報としてもよい。
なお、送風ファン情報の決定の仕方は、上記の方法に限られるものではない。消音効果検出マイクロホン91〜93にて検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンを特定できる方法であればよい。
消音量算出手段38で算出された消音量とメモリー32に記憶されている送風ファン情報は、ファン個別回転数決定手段34Cへ入力される。ファン個別回転数決定手段34Cは、これらの情報に基づき、ファン個別制御を行う際の各送風ファンの回転数を決定する。具体的には、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高い送風ファンの回転数を高くし、消音量が小さい消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高い送風ファンの回転数を低くするように、送風ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態8に係る空気調和機1Eにおいて、消音効果検出マイクロホン91で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン21であり、消音効果検出マイクロホン92で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン23であり、消音効果検出マイクロホン93で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン22であったとする。そして、消音効果検出マイクロホン91における消音量が−5dB、消音効果検出マイクロホン92における消音量が−5dB、及び消音効果検出マイクロホン93における消音量が−2dBであるとする。この場合、ファン個別回転数決定手段34Cは、送風ファン21,23の回転数を高くし、送風ファン22の回転数を低くするように各送風ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図24のような構成の場合、送風ファン21と送風ファン23の回転数を10%高くすると、送風ファン22の回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述した送風ファン21〜23の回転数の決定方法は、あくまでも一例である。例えば、本実施の形態8に係る空気調和機1Eにおいて、消音効果検出マイクロホン91で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン21であり、消音効果検出マイクロホン92で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン23であり、消音効果検出マイクロホン93で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン22であったとする。そして、消音効果検出マイクロホン91における消音量が−5dB、消音効果検出マイクロホン92における消音量が−3dB、及び消音効果検出マイクロホン93における消音量が−2dBであるとする。この場合、送風ファン21の回転数を高くし、送風ファン22の回転数を低くし、送風ファン23の回転数をそのままにするように、各送風ファンの回転数を決定してもよい。つまり、消音量が最も大きい消音効果検出マイクロホン91に関連性が高い送風ファン21の回転数を高くし、消音量が最も小さい消音効果検出マイクロホン93に関連性が高い送風ファン22の回転数を低くし、そのどちらでもない送風ファン23の回転数はそのままにするように、各送風ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン7からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW35を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置6から送風ファン21〜23へ出力する。制御装置6から出力された回転制御信号はモータードライバー51〜53に入力され、回転制御信号に従った回転数に送風ファン21〜23は制御される。
ここで上述したように、本実施の形態8に係る空気調和機1Eの場合、隣接する送風ファンからのクロストークノイズ成分の大小により、消音効果検出マイクロホン93の近辺の領域に比べて、消音効果検出マイクロホン91,92の近辺の領域は量が大きくなる。一方、消音効果検出マイクロホン93の近辺の領域は、消音量が小さくなる。そこで、複数の送風ファン21〜23を備えた本実施の形態8に係る空気調和機1Eにおいては、消音量が大きい消音効果検出マイクロホン91,92に関連性の高い騒音を放射している送風ファン21,23の回転数を高くし、消音量が小さい消音効果検出マイクロホン93に関連性の高い騒音を放射している送風ファン22の回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態8に係る空気調和機1Eは、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数の送風ファンを使用した空気調和機やファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、吹出口5全体から放射される騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態8に係る空気調和機1Eは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。さらに、本実施の形態8に係る空気調和機1Eは、同回転数制御時と風量が一定となるように複数の送風ファン21〜23の回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態8に係る空気調和機1Eにおいても、実施の形態2の図9及び図10で示した空気調和機1Aと同様に、空気調和機1Eの空気流路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り部材54で空気調和機1Eの空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Aは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Bは送風ファン23から放射される騒音のみを低減し、消音機構Cは送風ファン22から放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音検出マイクロホン61〜63及び消音効果検出マイクロホン91〜93が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられた送風ファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1E内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、本実施の形態8に係る空気調和機1Eにおいても、空気調和機1Eの空気流路を複数の領域に分割することにより、図24の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。一方、消音機構が設けられていない送風ファンがある場合、その送風ファンの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の効果を得ることができる。また、図9及び図10では空気流路全域に仕切り部材54を挿入したが、例えば熱交換器4の上流側のみ又は熱交換器4の下流側のみといったように、空気流路の一部を仕切り部材54で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態8では、消音効果検出マイクロホン91〜93を送風ファン21〜23の回転軸のほぼ延長線上に配置したが、制御スピーカー81〜83の下流側であれば消音効果検出マイクロホン91〜93の設置位置はどこでもよい。さらに、本実施の形態8では、騒音検出マイクロホン、制御スピーカー、消音効果検出マイクロホン及び信号処理装置をそれぞれ3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態8では、送風ファン制御手段74を制御装置6内のCPU31で構成したが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段74の構成についても図25及び図26に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態8では、複数の送風ファン21〜23として軸流ファンの場合を例に挙げたが、羽根車が回転することにより送風を行うファンであればよく、シロッコファンやラインフローファンを送風ファン21〜23として用いても勿論よい。また、送風ファン21〜23は、熱交換器4の上流側に設けられる必要はなく、例えば熱交換器の下流側に設けられてもよい。
また、本実施の形態8では、信号処理装置101〜103にFIRフィルター18とLMSアルゴリズム19を用いたが、消音効果検出マイクロホン91〜93で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置101〜103は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置101〜103は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。また、本実施の形態8では信号処理装置101〜103の構成を1入力1出力のシステムとしたが、多入力多出力のシステムとして信号処理装置101〜103を構成してもよい。
また、本実施の形態8では、送風ファン制御手段74は、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を高くし、かつ、消音量が小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
また、本実施の形態8では、送風ファンの回転数を制御するパラメーターとして消音効果検出マイクロホン91〜93における消音量を用いているが、送風ファンの回転数を制御するパラメーターとしてその他のものを用いても勿論よい。例えば、消音効果検出マイクロホン91〜93のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を低くしてもよい。また例えば、消音効果検出マイクロホン91〜93のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を高くしてもよい。これら両方を行うようにしても勿論よい。
また、送風ファンの回転数を制御するパラメーターとして、騒音検出マイクロホン61と消音効果検出マイクロホン91、騒音検出マイクロホン62と消音効果検出マイクロホン92、騒音検出マイクロホン63と消音効果検出マイクロホン93とのコヒーレンス値を用いてもよい。例えば、最もコヒーレンス値が小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を低くしてもよい。また例えば、最もコヒーレンス値が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を高くしてもよい。これら両方を行うようにしても勿論よい。
<H−3.効果>
以上、本実施の形態8に係る空気調和機1Eにおいては、複数の送風ファン21〜23を配置し、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御する制御装置6(より詳しくは、送風ファン制御手段74)が設けられている。送風ファン制御手段74は、消音効果検出マイクロホン91〜93における消音量のうち、消音量の大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を高くするように制御し、消音量の小さい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音量が大きい領域の回転数を高くすることでさらに消音効果が高くなり、消音量の小さい領域の回転数を低くすることでその領域の騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数の送風ファンを使用した空気調和機、又はファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、より騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態8に係る空気調和機1Eは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
また、本実施の形態8にかかる空気調和機1Eにおいては、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンを特定しているため、放射される音圧レベルが異なる複数の送風ファン21〜23を用いた場合においても正確に回転数制御を行うことができる。
さらに、送風ファン制御手段74は、吹出口5から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Eの空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Aは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Bは送風ファン23から放射される騒音のみを低減し、消音機構Cは送風ファン22から放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Eの空気流路を複数の領域に分割することにより、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1E内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図24の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。一方、消音機構が設けられていない領域がある場合、消音機構が設けられていない送風ファンの回転数を低くすることで、その領域の騒音が小さくなり、同様に消音効果を得ることができる。また、仕切り部材54で空気調和機1Eの空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
<I.実施の形態9>
実施の形態8で示したファン個別制御(消音効果検出マイクロホンと関連性が高い送風ファンの情報を用いるファン個別制御)は、実施の形態8に係る消音機構とは異なる消音機構を備えた空気調和機においても実施可能である。なお、以下では、実施の形態5に係る空気調和機に実施の形態8で示したファン個別制御を採用した場合について説明する。また、本実施の形態9では、上述した実施の形態1〜実施の形態8との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1〜実施の形態8と同一部分には同一符号を付している。
<I−1.構成>
図27は、本発明の実施の形態9に係る空気調和機の構成を示す正面図である。
本実施の形態9に係る空気調和機1Fは、実施の形態1〜8と同様に室内機を構成するものである。空気調和機1Fの基本的な構成は、実施の形態5の図20に示した空気調和機1Dとほぼ同じ構成となっている。
本実施の形態9に係る空気調和機1Fが実施の形態5の空気調和機1Dと異なる点は、送風ファン制御手段74の構成のみである。なお、送風ファン制御手段74の構成は、実施の形態8の図25に示した構成と全く同じである。
<I−2.動作>
次に、空気調和機1Fの動作について説明する。
実施の形態5と同様、空気調和機1Fが動作すると、送風ファン21〜23の羽根車が回転し、送風ファン21〜23の上側から室内の空気が吸い込まれ、送風ファン21〜23下側へと空気が送られることにより気流が発生する。これに伴い、送風ファン21〜23の吹出口近傍において運転音(騒音)が発生し、その音は下流側へと伝搬する。送風ファン21〜23により送られた空気は、空気流路を通り、熱交換器4へと送られる。例えば、冷房運転の場合、熱交換器4には、室外機(図示せず)とつながっているパイプから低温の冷媒が送られる。熱交換器4へと送られた空気は、熱交換器4を流れる冷媒に冷やされて冷気となり、そのまま吹出口5から室内へ放出される。
また、消音機構D〜Fの動作についても実施の形態5と全く同じであり、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113で検出される騒音をゼロに近づけるように制御音を出力し、結果として騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113における騒音を抑制するよう動作する。
本実施の形態9に係る空気調和機1Fの場合、騒音・消音効果検出マイクロホン113には、送風ファン22からの騒音の他に、隣接する送風ファン21,23から放射される騒音(クロストークノイズ成分)も入ってくる。一方、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112にて検出されるクロストークノイズ成分は、騒音・消音効果検出マイクロホン113で検出されるクロストークノイズ成分と比べて小さくなる。騒音・消音効果検出マイクロホン111,112は、隣接する送風ファンが1つのみ(送風ファン22)だからである。このため、消音機構Fに比べて消音機構D、Eの消音効果が高くなる。
送風ファン21〜23のファン個別制御は、実施の形態8で説明した内容とほとんど同様である。本実施の形態9のファン個別制御が実施の形態8で説明したファン個別と異なる点は、消音量算出手段38に入力されるS1〜S3が騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113で検出した音圧レベルのデジタル値である点である。また、本実施の形態9のファン個別制御が実施の形態8で説明したファン個別制御と異なる点は、メモリー32に蓄積しておく送風ファン情報が、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113で検出される音に対して最も関連性が高い騒音を放射する送風ファンの識別番号である点である。
このため、送風ファン制御手段74のファン個別回転数決定手段34Cは、消音量算出手段38で算出された消音量とメモリー32に記憶されている送風ファン情報に基づき、消音量が大きい騒音・消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高い送風ファンの回転数を高くし、消音量が小さい騒音・消音効果検出マイクロホンにて検出した音に関連性の高い送風ファンの回転数を低くするように送風ファンの回転数を決定する。このとき、ファン個別制御をした場合に得られる風量が同回転数制御時と同じ風量となるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を決定するとよい。
例えば、本実施の形態9に係る空気調和機1Fにおいて、騒音・消音効果検出マイクロホン111で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン21であり、騒音・消音効果検出マイクロホン112で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン23であり、騒音・消音効果検出マイクロホン113で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン22であったとする。そして、騒音・消音効果検出マイクロホン111における消音量が−5dB、騒音・消音効果検出マイクロホン112における消音量が−5dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン113における消音量が−2dBであるとする。この場合、ファン個別回転数決定手段34Cは、送風ファン21,23の回転数を高くし、送風ファン22の回転数を低くするように各送風ファンの回転数を決定する。風量と回転数は比例関係にあるため、例えば、図27のような構成の場合、送風ファン21と送風ファン23の回転数を10%高くすると、送風ファン22の回転数を20%低くすることで同一風量となる。
なお、上述した送風ファン21〜23の回転数の決定方法は、あくまでも一例である。本実施の形態9に係る空気調和機1Fにおいて、騒音・消音効果検出マイクロホン111で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン21であり、騒音・消音効果検出マイクロホン112で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン23であり、騒音・消音効果検出マイクロホン113で検出した音と最も関連性の高い騒音を放射している送風ファンが送風ファン22であったとする。そして、騒音・消音効果検出マイクロホン111における消音量が−5dB、騒音・消音効果検出マイクロホン112における消音量が−3dB、及び騒音・消音効果検出マイクロホン113における消音量が−2dBであるとする。この場合、送風ファン21の回転数を高くし、送風ファン22の回転数を低くし、送風ファン23の回転数をそのままにするように、各送風ファンの回転数を決定してもよい。つまり、消音量が最も大きい消音効果検出マイクロホン91に関連性が高い送風ファン21の回転数を高くし、消音量が最も小さい消音効果検出マイクロホン93に関連性が高い送風ファン22の回転数を低くし、そのどちらでもない送風ファン23の回転数はそのままにするように、各送風ファンの回転数を決定してもよい。
リモコン7からファン個別制御を行う旨の運転情報信号(例えば静音モード等の信号)が入力された場合、SW35を切り替えることにより、同回転数制御の回転制御信号からファン個別制御における回転制御信号に切り替え、この回転制御信号を制御装置6から送風ファン21〜23へ出力する。制御装置6から出力された回転制御信号はモータードライバー51〜53に入力され、回転制御信号に従った回転数に送風ファン21〜23は制御される。
ここで上述したように、本実施の形態9に係る空気調和機1Fの場合、隣接する送風ファンからのクロストークノイズ成分の大小により、騒音・消音効果検出マイクロホン113の近辺の領域に比べて、騒音・消音効果検出マイクロホン111,112の近辺の領域は消音量が大きくなる。一方、騒音・消音効果検出マイクロホン113の近辺の領域は消音量が小さくなる。そこで、複数の送風ファン21〜23を備えた本実施の形態9に係る空気調和機1Fにおいては、消音量が大きい消音効果検出マイクロホン91,92に関連性の高い騒音を放射している送風ファン21,23の回転数を高くし、消音量が小さい消音効果検出マイクロホン93に関連性の高い騒音を放射している送風ファン22の回転数を低くしている。
その結果、本実施の形態9に係る空気調和機1Fは、消音効果の高い領域はさらに消音効果が高くなり、消音効果の低い領域は騒音が小さくなるため、単数の送風ファンを使用した空気調和機やファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、吹出口5全体から放射される騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態9に係る空気調和機1Fは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。さらに、本実施の形態9に係る空気調和機1Fは、同回転数制御時と風量が一定となるように複数の送風ファン21〜23の回転数を個別に制御することで、空力的な性能の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施の形態9に係る空気調和機1Fにおいても、実施の形態5の図21及び図22で示した空気調和機1Dと同様に、空気調和機1Fの空気流路を複数の領域に分割することにより、消音効果をさらに向上させることができる。
つまり、仕切り部材54で空気調和機1Fの空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれの領域に分離することができ、消音機構Dは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Eは送風ファン23から放射される騒音のみを低減し、消音機構Fは送風ファン22から放射される騒音のみを低減することになる。このため、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113が検出するクロストークノイズ成分(隣接する流路に設けられた送風ファンから放射される騒音)が小さくなる。
さらに、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1F内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、消音効果がより高くなる。したがって、本実施の形態9に係る空気調和機1Fにおいても、空気調和機1Fの空気流路を複数の領域に分割することにより、図27の構成に比べ、さらに騒音を低減することができる。一方、消音機構が設けられていない送風ファンがある場合、その送風ファンの回転数を低くすることで消音機構が設けられていない領域の騒音が小さくなり、同様の効果を得ることができる。また、図21及び図22では空気流路全域に仕切り部材54を挿入したが、例えば熱交換器4の上流側のみ又は熱交換器4の下流側のみといったように、空気流路の一部を仕切り部材54で区切るようにしてもよい。
なお、本実施の形態9では、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113を制御スピーカー81〜83の下流側に設置したが、制御スピーカー81〜83の上流側に騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113を設置してもよい。さらに、本実施の形態9では、制御スピーカー、騒音・消音効果検出マイクロホン、信号処理装置をそれぞれ3個配置しているが、これに限るものではない。
また、本実施の形態9では、送風ファン制御手段74を制御装置6内のCPU31で構成しているが、LSI(Large Scale Integration)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアにより構成してもよい。さらに、送風ファン制御手段74の構成についても図25に示した構成に限るものではない。
また、本実施の形態9では、複数の送風ファン21〜23として軸流ファンの場合を例に挙げたが、羽根車が回転することにより送風を行うファンであればよく、シロッコファンやラインフローファンを送風ファン21〜23として用いても勿論よい。また、送風ファン21〜23は、熱交換器4の上流側に設けられる必要はなく、例えば熱交換器の下流側に設けられてもよい。
また、本実施の形態9では、信号処理装置104〜106にFIRフィルター18とLMSアルゴリズム19を用いたが、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113で検出した音をゼロに近づける適応信号処理回路であればよく、能動的消音方法で一般的に使用されているfiltered−Xアルゴリズムを用いたものでもよい。また、信号処理装置104〜106は、適応信号処理をする構成である必要はなく、固定のタップ係数により制御音を生成する構成にしてもよい。また、信号処理装置104〜106は、デジタル信号処理回路である必要はなく、アナログ信号処理回路であってもよい。また、本実施の形態9では信号処理装置104〜106の構成を1入力1出力のシステムとしたが、多入力多出力のシステムとして信号処理装置104〜106を構成してもよい。
また、本実施の形態9では、送風ファン制御手段74は、消音量が大きい消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を高くし、かつ、消音量が小さい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を低くするように構成したが、そのどちらか一方を行うように構成してもよい。
また、本実施の形態9では、送風ファンの回転数を制御するパラメーターとして騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113における消音量を用いているが、送風ファンの回転数を制御するパラメーターとしてその他のものを用いても勿論よい。例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が大きい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を低くしてもよい。また例えば、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113のそれぞれで検出した音圧レベルの平均値を算出し、最も音圧レベルの平均値が小さい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を高くしてもよい。これら両方を行うようにしても勿論よい。
<I−3.効果>
以上、本実施の形態9に係る空気調和機1Fにおいては、複数の送風ファン21〜23を配置し、送風ファン21〜23の回転数を個別に制御する制御装置6(より詳しくは、送風ファン制御手段74)が設けられている。送風ファン制御手段74は、騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113における消音量のうち、消音量の大きい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を高くするように制御し、消音量の小さい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンの回転数を低くするように回転数制御を行う。このため、消音量が大きい領域はさらに消音効果が高くなり、消音量が小さい領域は騒音が小さくなる。このため、同じ構成の消音機構にて単数の送風ファンを使用した空気調和機、又はファン個別制御を行わない空気調和機に比べ、より騒音を低減することができる。換言すると、本実施の形態9に係る空気調和機1Fは、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
また、本実施の形態9にかかる空気調和機1Fにおいては、消音量が大きい騒音・消音効果検出マイクロホンが検出する音と関連性の高い騒音を放射している送風ファンを特定しているため、放射される音圧レベルが異なる複数の送風ファン21〜23を用いた場合においても正確に回転数制御を行うことができる。
さらに、送風ファン制御手段74は、吹出口5から放射される風量がファン個別制御をした場合と同回転数制御をした場合で同じとなるように、送風ファン21〜23のそれぞれの回転数を制御するため、空力性能を劣化させることなく騒音を低減することができる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Fの空気流路を複数の領域に分割することにより、送風ファン21〜23から放射される騒音をそれぞれ分離することができ、消音機構Dは送風ファン21から放射される騒音のみを低減し、消音機構Eは送風ファン23から放射される騒音のみを低減し、消音機構Fは送風ファン22から放射される騒音のみを低減することになる。このため、各領域において、隣接する領域に放射された騒音によるクロストークノイズ成分が小さくなる。
さらに、仕切り部材54で空気調和機1Fの空気流路を複数の領域に分割することにより、空気流路をダクト構造に近づけることになるため、騒音を一次元で捉えられる。このため、空気調和機1F内部を伝達する騒音の位相が均一となり、制御音を干渉させた際の位相誤差が小さくなるので、図27の構成に比べて、さらに高い騒音低減効果を得ることができる。一方、消音機構が設けられていない領域がある場合、消音機構が設けられていない送風ファンの回転数を低くすることで、その領域の騒音が小さくなり、同様に消音効果を得ることができる。また、仕切り部材54で空気調和機1Fの空気流路を複数の領域に分割しても、制御スピーカーの数を制御対象周波数の1/4波長ごとに設置する必要がなく、制御スピーカーの数を減らすことができるため、コストが低減されるうえ、一定の騒音低減効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態9では騒音検出マイクロホン61〜63と消音効果検出マイクロホン91〜93を騒音・消音効果検出マイクロホン111〜113に集約しているため、マイクロホンの数を減らすことができ、部品点数を削減し、さらにコストを下げることができる。