JP2003186479A - 能動消音装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 音源の近傍に設置するだけで低周波音を低減
することができる能動消音装置を提供する。 【解決手段】 能動消音装置５は、音源から伝播する音
を検出してこの音を消音可能な音を発生するＡＡＴ方式
の消音装置である。能動消音装置５は、設置が容易なよ
うにユニット化されている。能動消音装置５ｆは、取入
口２ａから取り込まれる空気の流れを妨げず、空力的性
能に影響を与えないような位置に設置されており、ブロ
ワ２ｄの吸込口２ｂの近傍にこの吸込口２ｂと対面して
設置されている。能動消音装置５ｆと吸込口２ｂとの間
の距離は、吸込口２ｂ付近を音源とする騒音が平面波と
なり到達する程度の距離であり、かつ、吸込口２ｂと接
触しない程度の距離に設定されており、音源から伝播す
る騒音の１／２波長以内の距離に設定することが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、家庭用、業務用、
設備用の空気調和装置または冷凍機のユニット内に設置
される能動消音装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】音源の近傍に設置され音源からの騒音を
検出する検出器と、この検出器の出力信号を送信する送
信部と、この送信部からの信号を受信する受信部と、こ
の受信部の出力信号に基づいて音源から伝播してくる騒
音の特性を演算する演算装置と、音源から伝播してくる
騒音を消音可能な逆位相の音を発生する振動板と、演算
装置の演算結果に基づいて振動板を駆動制御する制御装
置などを備えるアクティブ・ノイズ・コントロール（以
下、ＡＮＣという）消音装置が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このようなＡＮＣ消音
装置では、伝播してくる音の特性をフィードフォワード
制御によって事前に予測して、伝播してきた音と逆位相
の音を発生して以降の音の伝播をキャンセルする。この
ため、ＡＮＣ消音装置では、検出器（マイクロフォン）
と振動板（スピーカ）との間にある程度の距離が必要で
あり、空気調和装置や冷凍機のユニット内などのような
狭い空間内にＡＮＣ消音装置を設置することが困難であ
った。

【０００４】一方、従来の車両用空気調和装置では、カ
ーエアコンを車内循環モードでＯＮしたときに、１００
Ｈｚ〜２５０Ｈｚの低周波音が支配的になり、吸音材な
どを用いた従来のパッシブ制御ではこの音を吸音するこ
とができず、車内音を低減することができなかった。そ
こで、車内のオーディオ用スピーカを使用したり、車内
にスピーカを新たに設置して、ローノイズ、エンジン
音、エアコンブロワ音による５０Ｈｚ〜３００Ｈｚの低
周波の車内こもり音をＡＮＣ消音装置で消音する車が発
売されている。

【０００５】また、従来の陸上輸送用冷凍機では、アン
ダーマウント型のコンデンシングユニット内においてコ
ンデンサの熱交換のために、エンジン音やコンプレッサ
音が直接騒音として放射して問題となっていた。また、
このような陸上輸送用冷凍機のエンクロージャは、外板
と吸音材とを用いたパッシブ制御であり、５００Ｈｚ以
下の領域では騒音低減効果がなかった。また、従来のア
クティブ制御による三次元空間の騒音制御では、コスト
的、技術的に困難であった。

【０００６】さらに、従来の空気調和装置では、遮音用
の塩化ビニルシートと吸音用のウレタンやフェルトとを
用いて、室外機の機械室内で発生する騒音を遮音し吸音
するパッシブ制御が一般的であった。しかし、このパッ
シブ制御では、５００Ｈｚ以下の低周波音の減音効果が
なく、効果を発揮させるためには多量の吸遮音材を使用
する必要があり、重量が増しコストが高くなるとともに
材料の設置スペースを確保することが難しく商品として
実現性が低かった。また、一般的なアクティブ制御で
は、三次元空間に対する効果が期待できず、コストやス
ペースに問題があり、三次元制御が必要で技術的に困難
であった。

【０００７】本発明の課題は、音源の近傍に設置するだ
けで低周波音を低減することができる能動消音装置を提
供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係る能動消音装
置は、空気調和装置または冷凍機のユニット内に設置さ
れる能動消音装置であって、前記ユニット内の音源から
伝播する騒音を検出する騒音検出部と、前記騒音を消音
する音を発生する消音発生部と、前記騒音検出部の出力
信号に基づいて前記消音発生部をフィードバック制御す
る制御部とを有する消音ユニットを備え、前記消音ユニ
ットは、前記音源の近傍に設置されていることを特徴と
する。

【０００９】本発明によれば、能動消音装置がユニット
化されており低周波領域用の吸音材のように簡単に使用
することができるとともに、設置スペースが少ないため
空気調和装置や冷凍機などの狭いユニット内に簡単に設
置することができる。また、従来の消音装置に比べてコ
ストを大幅に少なくすることができるとともに、消音ユ
ニットを音源の近傍に設置するだけで低周波音を低減す
ることができる。さらに、消音発生部を制御部がフィー
ドバック制御するので、入射してくる音の特性をフィー
ドフォワード制御により事前に予測するＡＮＣ消音装置
に比べて、音源の直ぐ近くに消音ユニットを設置するこ
とができる。

【００１０】ここで、前記消音ユニットは、前記音源か
ら前記騒音の１／２波長以内の距離に設置されているこ
とが好ましい。このように設置することによって、音源
付近の音圧が低減され音源から見た放射抵抗が低減し、
音響への変換効率を低減することができる。

【００１１】また、前記消音ユニットは、車両用空気調
和装置のブロワユニット内で騒音を発生するブロワの吸
込口の近傍に設置することが好ましい。このような位置
に設置することによって、吸音材などでは低減できない
５００Ｈｚ以下の低周波音を低減することができる。

【００１２】また、前記消音ユニットは、冷凍機のエン
クロージャ内で騒音を発生するエンジンおよび／または
圧縮機の近傍に設置することが好ましい。このような位
置に設置することによって、エンクロージャ外への放射
騒音を低減することができる。

【００１３】さらに、前記消音ユニットは、空気調和装
置のユニット内で騒音を発生する圧縮機および／または
ファンの近傍に設置することが好ましい。特に、騒音の
大きい圧縮機の上側に設置することによって、低周波音
を減少させることができる。

【００１４】本発明に係る空気調和装置、および冷凍機
は、上記のような構造の能動消音装置を具備することを
特徴とする。本発明によれば、能動消音装置の働きによ
り低騒音化を図って静粛性を高めることができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】［第１実施形態］以下、図面を参
照して、本発明の第１実施形態について詳しく説明す
る。図１は、本発明の第１実施形態に係る能動消音装置
を備える車両用空気調和装置の構成図である。図２は、
本発明の第１実施形態に係る能動消音装置の構成図であ
る。

【００１６】車両用空気調和装置１は、図１に示すよう
に、ブロワユニット２と、このブロワユニット２を通過
してきた空気を冷却するエバポレータ３ａなどを収納す
るクーラユニット３と、このクーラユニット３を通過し
てきたを空気を加熱するヒータ４ａなどを備えるヒータ
ユニット４とから構成されている。ブロワユニット２
は、内外気を取り入れる取入口２ａと、この取入口２ａ
から取り込まれた空気を吸込口２ｂから吸込み吹出口２
ｃから排出するブロワ２ｄと、このブロワ２ｄを回転す
るモータ２ｅと、能動消音装置５などを備えている。

【００１７】能動消音装置５は、音源から伝播する音を
検出してこの音を消音可能な音を発生するアクティブ・
アコースティック・トリートメント（以下、ＡＡＴとい
う）消音装置である。能動消音装置５は、図２に示すよ
うに、多孔質材若しくは多孔板またはこれらの組合せか
らなり音源と対向して配置された多孔質材５ａと、この
多孔質材５ａの背後に間隔を開けて配置された背後壁５
ｂと、多孔質材５ａと背後壁５ｂとの間を複数のセル
（空間）５ｃに仕切る仕切板５ｄと、多孔質材５ａに設
置されており音源から伝播する騒音の音圧を検出する騒
音検出部５ｅと、セル５ｃ内に設置されておりこの騒音
を消音可能な音を発生するスピーカ、圧電素子、圧電フ
ィルムなどの振動板を備える消音発生部５ｆと、騒音検
出部５ｅの出力信号に基づいて消音発生部５ｆをフィー
ドバック制御する制御部５ｇなどを備えている。

【００１８】能動消音装置５は、設置が容易で増設が可
能なようにユニット化されている。能動消音装置５ｆ
は、取入口２ａから取り込まれる空気の流れを妨げず、
空力的性能に影響を与えないような位置に設置されてお
り、ブロワ２ｄの吸込口２ｂの近傍にこの吸込口２ｂと
対面して設置されている。能動消音装置５ｆと吸込口２
ｂとの間の距離は、吸込口２ｂ付近を音源とする騒音が
平面波になって到達する程度の距離であり、かつ、吸込
口２ｂと接触しない程度の距離に設定されており、音源
から伝播する騒音の１／２波長以内の距離に設定するこ
とが好ましい。例えば、吸込口２ｂ付近を音源とする１
００〜２５０Ｈｚの低周波音を消音する場合には、吸込
口２ｂと能動消音装置５との間の距離を０．５ｍ程度以
内に設定することが好ましく、３４０Ｈｚ程度の低周波
音を消音する場合には１ｍ程度以内に設定することが好
ましい。

【００１９】次に、本発明の第１実施形態に係る能動消
音装置の動作を説明する。取入口２ａから取り込まれた
内外気は、吸込口２ｂからブロワ２ｄに吸込まれて吹出
口２ｃから排出される。このとき発生する騒音のうち吹
出口２ｃ付近で発生する騒音は吸音材などによって吸音
されたり、ダクト内を通過する間に減衰する。一方、吸
音材などによって吸音できない１００〜２５０Ｈｚの低
周波音が吸込口２ｂ付近で発生すると、能動消音装置５
がこの付近の音圧を低減して音源から見た放射抵抗を低
減し、音響への変換効率を低減する。

【００２０】［第２実施形態］図３は、本発明の第２実
施形態に係る能動消音装置を備える陸上輸送用冷凍機の
斜視図である。図４は、本発明の第２実施形態に係る能
動消音装置が設置されるエンクロージャの構成図であ
る。陸上輸送用冷凍機は、トラックの荷台に搭載された
冷凍庫１０の内部を冷却するための装置である。この陸
上輸送用冷凍機は、冷凍庫１０の内部に設置されエバポ
レータユニット１１と、冷凍庫１０の外側に設置された
エンクロージャ（パワーユニット）１２と、エバポレー
タユニット１１とエンクロージャ１２とを接続する冷媒
配管１３などから構成されている。エンクロージャ１２
は、通常冷凍庫１０を搭載し固定する車両シャーシの下
部に吊り下げられ設置される。

【００２１】エンクロージャ１２は、外板１２ａによっ
て形成されたケーシングであり、この外板１２ａの内面
には吸音材１２ｂが設けられている。エンクロージャ１
２には、低音低圧のガス冷媒を圧縮するコンプレッサ
（圧縮機）１４と、このコンプレッサ１４を駆動するエ
ンジン１５と、このエンジン１５を始動させるモータ１
６と、エンジン１５の回転力をコンプレッサ１４に伝達
するベルト１７ａ，１７ｂと、図２に示す能動消音装置
５などが収納されている。能動消音装置５は、図４に示
すように、エンジン１５の上方近傍にこのエンジン１５
と対面して外板１２ａに設置されており、エンクロージ
ャ１２外への低周波音による騒音放射を低減する。能動
消音装置５は、コンプレッサ１４の上方近傍に単独で設
置してもよいし、コンプレッサ１４およびエンジン１５
の両方の近傍に設置してもよい。

【００２２】［第３実施形態］図５は、本発明の第３実
施形態に係る能動消音装置を備える空気調和装置の室外
ユニットの構成図である。空気調和装置は、図示しない
室内ユニットと室外ユニット２０とから構成されてお
り、これらは冷媒が流れる冷媒配管や電気配線などによ
って接続されている。室外ユニット２０は、サイドパネ
ル２０ａ、天板２０ｂ、ベース２０ｃおよび仕切板２０
ｄなどから構成される筐体でる。室外ユニット２０に
は、背面から前面へと抜ける空気流を生じさせるファン
２１と、低音低圧のガス冷媒を高音高圧のガス冷媒に変
換して送り出すコンプレッサ２２と、このコンプレッサ
２２の囲むように配置された吸遮音材２３と、ファン２
１およびコンプレッサ２２などの動作を制御する制御ユ
ニット２４と、図２に示す能動消音装置５などを備えて
いる。能動消音装置５は、図５に示すように、コンプレ
ッサ２２の上方近傍にこのコンプレッサ２２と対面する
ように制御ユニット２４寄りに設置されており、室外ユ
ニット２０外への低周波音による騒音放射を低減する。
能動消音装置５は、ファン２１の近傍に単独で設置して
もよいし、ファン２１およびコンプレッサ２２の両方の
近傍に設置してもよい。また、能動消音装置５は、室内
ユニット側のファンの近傍に設置してもよい。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
能動消音装置がユニット化されており低周波領域用の吸
音材のように簡単に使用することができるとともに、設
置スペースが少ないため空気調和装置や冷凍機などの狭
いユニット内に簡単に設置することができる。また、従
来の消音装置に比べてコストを大幅に少なくすることが
できるとともに、消音ユニットを音源の近傍に設置する
だけで低周波音を低減することができる。さらに、消音
発生部を制御部がフィードバック制御するので、入射し
てくる音の特性をフィードフォワード制御により事前に
予測するＡＮＣ消音装置に比べて、音源の直ぐ近くに消
音ユニットを設置することができる。

【００２４】本発明によれば、消音ユニットを、音源か
ら騒音の１／２波長以内の距離に設置することにより、
音源付近の音圧が低減され音源から見た放射抵抗が低減
し、音響への変換効率を低減することができる。

【００２５】本発明によれば、消音ユニットを、車両用
空気調和装置のブロワユニット内で騒音を発生するブロ
ワの吸込口の近傍にすることにより、吸音材などでは低
減できない５００Ｈｚ以下の低周波音を低減することが
できる。

【００２６】本発明によれば、消音ユニットを、冷凍機
のエンクロージャ内で騒音を発生するエンジンおよび／
または圧縮機の近傍に設置することにより、エンクロー
ジャ外への放射騒音を低減することができる。

【００２７】本発明によれば、消音ユニットを、空気調
和装置のユニット内で騒音を発生する圧縮機および／ま
たはファンの近傍に設置することにより、低周波音を減
少させることができる。

【００２８】本発明によれば、能動消音装置の働きによ
り低騒音化を図って空気調和装置、および冷凍機の静粛
性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１実施形態に係る能動消音装置を
備える車両用空気調和装置の構成図である。

【図２】 本発明の第１実施形態に係る能動消音装置の
構成図である。

【図３】 本発明の第２実施形態に係る能動消音装置を
備える陸上輸送用冷凍機の斜視図である。

【図４】 本発明の第２実施形態に係る能動消音装置が
設置されるエンクロージャの構成図である。

【図５】 本発明の第３実施形態に係る能動消音装置を
備える空気調和装置の室外ユニットの構成図である。

【符号の説明】

１ 車両用空気調和装置 ２ ブロワユニット ２ｂ 吸込口 ２ｃ 吹出口 ２ｄ ブロワ ５ 能動消音装置 ５ｅ 騒音検出部 ５ｆ 消音発生部 ５ｇ 制御部 １２ エンクロージャ １３ コンプレッサ（圧縮機） １５ エンジン ２０ 室外ユニット ２１ ファン ２２ コンプレッサ（圧縮機） ２４ 制御ユニット

フロントページの続き (72)発明者 大西 慶三 兵庫県高砂市荒井町新浜２丁目１番１号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 新井 隆範 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目８番19号 高菱エンジニアリング株式会社内 Ｆターム(参考） 3G004 AA06 BA02 CA02 CA12 CA13 5D061 FF02

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気調和装置または冷凍機のユニット内
   に設置される能動消音装置であって、 前記ユニット内の音源から伝播する騒音を検出する騒音
   検出部と、 前記騒音を消音する音を発生する消音発生部と、 前記騒音検出部の出力信号に基づいて前記消音発生部を
   フィードバック制御する制御部と、 を有する消音ユニットを備え、 前記消音ユニットは、前記音源の近傍に設置されている
   ことを特徴とする能動消音装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の能動消音装置におい
   て、 前記消音ユニットは、前記音源から前記騒音の１／２波
   長以内の距離に設置されていることを特徴とする能動消
   音装置。
3. 【請求項３】 請求項１または請求項２に記載の能動消
   音装置において、 前記消音ユニットは、車両用空気調和装置のブロワユニ
   ット内で騒音を発生するブロワの吸込口の近傍に設置さ
   れていることを特徴とする能動消音装置。
4. 【請求項４】 請求項１または請求項２に記載の能動消
   音装置において、 前記消音ユニットは、冷凍機のエンクロージャ内で騒音
   を発生するエンジンおよび／または圧縮機の近傍に設置
   されていることを特徴とする能動消音装置。
5. 【請求項５】 請求項１または請求項２に記載の能動消
   音装置において、 前記消音ユニットは、空気調和装置のユニット内で騒音
   を発生する圧縮機および／またはファンの近傍に設置さ
   れていることを特徴とする能動消音装置。
6. 【請求項６】 請求項１ないし請求項５記載の能動消音
   装置を具備することを特徴とする空気調和装置。
7. 【請求項７】 請求項１ないし請求項５記載の能動消音
   装置を具備することを特徴とする冷凍機。