JP5471478B2 - エキシマレーザ用合成石英ガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
請求項1:
シリカ原料化合物を酸水素火炎により気相加水分解又は酸化分解して得られるシリカ微粒子をターゲット上に堆積させて多孔質シリカ母材を作製し、これを真空焼結炉内においてガラス化した後、熱間成型、アニール処理及び水素ドープ処理する合成石英ガラスの製造方法であって、上記多孔質シリカ母材のガラス化において、
(a)400℃以上900℃未満の全温度域において、真空焼結炉内の真空度を20.0Pa以下に保持する工程と、
(b)900℃以上1100℃未満の全温度域において、真空焼結炉内の真空度を10.0Pa以下に保持する工程と、
(c)1100℃以上透明ガラス化温度までの全温度域において、真空焼結炉内の真空度を3.0Pa以下に保持する工程と
を含むと共に、真空焼結炉の炉外の湿度を60%RH以下に保つことを特徴とするエキシマレーザ用合成石英ガラスの製造方法。
請求項2:
ガラス化のための昇温前の多孔質シリカ母材を150℃以上400℃未満の温度域で30分〜6時間保持して多孔質シリカ母材に吸着した水分を脱離する請求項1記載の製造方法。
請求項3:
400℃以上900℃未満の全温度域(a)において、真空焼結炉内の真空度を10.0Pa以下に保持する請求項1又は2記載の製造方法。
請求項4:
真空焼結炉の減圧ポンプからの排出ガス中のCO濃度を10ppm以下にする請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
請求項5:
上記ガラス化することによって得られた合成石英ガラスインゴットを
(i)温度1700〜1900℃の範囲で所望の形状に熱間成型し、
(ii)熱間成型した合成石英ブロックを温度1000〜1300℃の範囲でアニールし、
(iii)アニールした合成石英ガラスブロックを必要により所望の厚みでスライスし、
(iv)必要に応じて、スライスした合成石英ガラス基板を研摩する
という各工程を経て加工し、
(v)合成石英ガラスを水素雰囲気中、温度200〜500℃の範囲で大気圧以上の圧力下で一定時間熱処理する
請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
請求項6:
エキシマレーザがArFエキシマレーザである請求項1〜5のいずれか1項記載のエキシマレーザ用合成石英ガラスの製造方法。
請求項7:
ArFエキシマレーザの周波数が4kHz以上である請求項6記載のエキシマレーザ用合成石英ガラスの製造方法。
(a)400℃以上900℃未満の全温度域において、真空度を20.0Pa以下に保持する工程と、
(b)900℃以上1100℃未満の全温度域において、真空度を10.0Pa以下に保持する工程と、
(c)1100℃以上透明ガラス化温度までの全温度域において、真空度を3.0Pa以下に保持する工程と
を含むことを特徴とする。この真空焼結炉としては、容量が0.01〜15m3程度のものを使用することが好ましい。
H2O + C → CO + H2 式(1)
H2 + Si−O−Si → Si−OH + Si−H 式(2)
2Si−H → Si−Si + H2 式(3)
RnSiX4-n (1)
(式中、Rは水素原子又は脂肪族一価炭化水素基を示し、Xは塩素、臭素等のハロゲン原子又はアルコキシ基、nは0〜4の整数である。)
(R1)nSi(OR2)4-n (2)
(式中、R1,R2は同一又は異種の脂肪族一価炭化水素基を示し、nは0〜3の整数である。)
ガラス中のOH基量を均一に下げるには、多孔質シリカ母材の焼結度の指標となるかさ密度を0.3〜0.7g/cm3の範囲にすることが好ましく、更には0.4〜0.6g/cm3の範囲にすることが好ましい。
なお、多孔質シリカ母材を製造する装置は、竪型又は横型でもいずれも使用することができる。
この場合、本発明の合成石英ガラスのOH基濃度は、5ppm以上40ppm以下であることが好ましい。より好ましくは5ppm以上30ppm以下である。OH基濃度が5ppm未満では耐エキシマレーザ性を維持することができない場合があり、40ppmを超えるとレアファクション現象を引き起こす原因となる場合がある。
(i)温度1700〜1900℃の範囲で所望の形状に熱間成型し、
(ii)熱間成型した合成石英ブロックを温度1000〜1300℃の範囲でアニールし、
(iii)アニールした合成石英ガラスブロックを必要により所望の厚みでスライスし、
(iv)必要に応じて、スライスした合成石英ガラス基板を研摩する
という各工程を経て加工し、
(v)合成石英ガラスを水素雰囲気中、温度200〜500℃の範囲で大気圧以上の圧力下で一定時間熱処理する
ことによって、耐エキシマレーザ性を強化することができる。
内部透過率:紫外分光光度法(具体的には、VARIAN社製透過率測定装置(Cary400))により測定した。
複屈折:複屈折測定装置(具体的には、UNIOPT社製複屈折測定装置(ABR−10A))を用いて測定した。
水素分子濃度:レーザラマン分光光度法(具体的には、Zhurnal Priklandnoi Spektroskopii Vol.46 No.6 pp.987〜991,1987に示される方法)により測定した。使用機器は日本分光(株)製NRS−2100を用い、ホトンカウント法にて測定を行った。アルゴンレーザラマン分光光度法による水素分子濃度の測定は検出器の感度曲線によっては値が変わってしまうことがあるので、標準試料を用いて値を校正した。
酸素欠損型欠陥の有無:分光蛍光光度計(具体的には、(株)日立ハイテクノロジーズ製分光蛍光光度計(F−4500))を用い、248nmを励起光源として測定した。
多孔質シリカ母材の作製
特開2001−316122号公報に記載のバーナーを使用した。具体的には、中心管ノズル(第1ノズル)と、これを取り囲むよう同心円上に配設された第2リング管(第2ノズル)と、第2リング管を取り囲む第3リング管(第3ノズル)と、第3リング管を取り囲む第4リング管(第4ノズル)とを有する四重管バーナーを用いた。
中心管ノズル(第1ノズル)に原料としてトリクロロメチルシラン4000g/hr及び窒素1.6Nm3/hrを供給した。第2ノズルに酸素2Nm3/hr及び窒素0.3Nm3/hrを供給した。第3ノズルに水素10Nm3/hrを供給した。第4ノズルに酸素6Nm3/hrを供給した。竪型炉内に設置した当該バーナーからの酸水素炎により原料ガスを酸化又は燃焼分解させてシリカ微粒子を生成させ、これを回転している石英製ターゲット上に堆積し、多孔質シリカ母材を作製した。得られた多孔質シリカ母材は250mmφ×1000mmLの寸法、かさ密度は0.45g/cm3であった。
作製した多孔質シリカ母材を油回転ポンプ及びメカニカルブースターポンプを減圧ポンプとして用いた加熱源にカーボンヒータを有する1100mmφ×2300mmLの真空焼結炉内に設置、透明ガラス化し、150mmφ×600mmLの透明な合成石英ガラスインゴットを得た。この時の昇温プログラム及び炉内の真空度を図1に示す。また、透明ガラス化時の炉外の湿度は40%RHを保持した。減圧ポンプからの排気ガス中のCO濃度は1ppm以下であった。この場合、15〜35時間の間は温度1095℃に維持し、45〜65時間の間は温度1235℃に維持した。
得られた合成石英ガラスインゴットの先端側及び石英製ターゲット側より一辺が12mm四角の棒状のサンプルを切り出し、6面を研磨、洗浄した後、それぞれのサンプルのインゴット中央部及び外周部の分光蛍光光度計による蛍光測定(励起/照射波長:235nm、測定波長:390nm)を実施し、酸素欠損型欠陥の有無を確認した。結果を表1に示す。
蛍光測定用サンプルを切り出した後の合成石英ガラスインゴットの表面を円筒研削機にて表面を研削した後、表面清浄のため、50質量%フッ酸溶液中に浸漬させた後、純水槽内で洗い流し、クリーンブース内で乾燥させた。
乾燥させたインゴットを予め真空下1800℃で加熱純化した高純度カーボン製型材の中に設置し、アルゴンガス雰囲気下1780℃で40分間加熱し、熱間成型した。その後、更にアニール処理として1200℃で2時間保持した後、1000℃まで2℃/hrの速度で冷却し、160mm×160mm×200mmLの合成石英ガラスブロックを作製した。
当該合成石英ガラスブロックを約7mm厚さにスライスし、純化処理した石英ガラス管内に設置し、380℃、水素濃度20vol%、0.2MPaで100時間水素ドープ処理した。処理後の合成石英ガラス基板中の水素分子濃度を表1に示す。
実施例1と同様に作製した多孔質シリカ母材を実施例1と同一の真空焼結炉を用い、同一の昇温プログラムで透明ガラス化した。この時、メカニカルブースターポンプの出力を意図的に下げて、炉内の真空度を低下させた。昇温プログラム及び炉内の真空度を図2に示す。この時、炉外の湿度は40%RHを保持した。減圧ポンプからの排気ガス中のCO濃度は1ppm以下であった。
更に実施例1と同様の蛍光測定、熱間成型及びアニール処理、水素ドープ処理を施した合成石英ガラス基板の波長193.4nmに対する内部透過率分布及びOH基濃度分布、複屈折値(基板内最大値)及び水素分子濃度を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1と同様に作製した多孔質シリカ母材を実施例1とは異なる真空度が上がりにくい真空焼結炉を用いて透明ガラス化した。昇温プログラムは実施例1と同一のものを用いた。この時、真空焼結炉には実施例1と同一の能力を有する減圧ポンプを使用した。昇温プログラム及び炉内の真空度を図3に示す。炉外の湿度は40%RHを保持した。減圧ポンプからの排気ガス中のCO濃度は1〜15ppmで推移していた。
更に実施例1と同様の蛍光測定、熱間成型及びアニール処理、水素ドープ処理を施した合成石英ガラス基板の波長193.4nmに対する内部透過率分布及びOH基濃度分布、複屈折値(基板内最大値)及び水素分子濃度を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1と同様に作製した多孔質シリカ母材を実施例1と同一の真空焼結炉及び減圧ポンプを用い、同一の昇温プログラムで透明ガラス化した。この時、室温から1000℃まで意図的に炉外の大気をわずかに流入させた。昇温プログラム及び炉内の真空度を図4に示す。炉外の湿度は40%RHを保持した。減圧ポンプからの排気ガス中のCO濃度は1〜15ppmで推移していた。
更に実施例1と同様の蛍光測定、熱間成型及びアニール処理、水素ドープ処理を施した合成石英ガラス基板の波長193.4nmに対する内部透過率分布及びOH基濃度分布、複屈折値(基板内最大値)及び水素分子濃度を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1と同様に作製した多孔質シリカ母材を実施例1と同一の真空焼結炉及び減圧ポンプを用い、同一の昇温プログラムで透明ガラス化した。この時、室温から600℃まで意図的に炉外の大気をわずかに流入させた。昇温プログラム及び炉内の真空度を図5に示す。炉外の湿度は40%RHを保持した。減圧ポンプからの排気ガス中のCO濃度は1〜15ppmで推移していた。
更に実施例1と同様の蛍光測定、熱間成型及びアニール処理、水素ドープ処理を施した合成石英ガラス基板の波長193.4nmに対する内部透過率分布及びOH基濃度分布、複屈折値(基板内最大値)及び水素分子濃度を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1と同様に作製した多孔質シリカ母材を実施例1と同一の真空焼結炉及び減圧ポンプを用い、同一の昇温プログラムで透明ガラス化した。この時、室温から600℃まで意図的に炉外の大気をわずかに流入させた。昇温プログラム及び炉内の真空度を図6に示す。炉外の湿度を制御しなかったため、65%RHから70%RHで推移していた。減圧ポンプからの排気ガス中のCO濃度は1〜15ppmで推移していた。
更に実施例1と同様の蛍光測定、熱間成型及びアニール処理、水素ドープ処理を施した合成石英ガラス基板の波長193.4nmに対する内部透過率分布及びOH基濃度分布、複屈折値(基板内最大値)及び水素分子濃度を測定した。測定結果を表1に示す。
Claims (7)
- シリカ原料化合物を酸水素火炎により気相加水分解又は酸化分解して得られるシリカ微粒子をターゲット上に堆積させて多孔質シリカ母材を作製し、これを真空焼結炉内においてガラス化した後、熱間成型、アニール処理及び水素ドープ処理する合成石英ガラスの製造方法であって、上記多孔質シリカ母材のガラス化において、
(a)400℃以上900℃未満の全温度域において、真空焼結炉内の真空度を20.0Pa以下に保持する工程と、
(b)900℃以上1100℃未満の全温度域において、真空焼結炉内の真空度を10.0Pa以下に保持する工程と、
(c)1100℃以上透明ガラス化温度までの全温度域において、真空焼結炉内の真空度を3.0Pa以下に保持する工程と
を含むと共に、真空焼結炉の炉外の湿度を60%RH以下に保つことを特徴とするエキシマレーザ用合成石英ガラスの製造方法。 - ガラス化のための昇温前の多孔質シリカ母材を150℃以上400℃未満の温度域で30分〜6時間保持して多孔質シリカ母材に吸着した水分を脱離する請求項1記載の製造方法。
- 400℃以上900℃未満の全温度域(a)において、真空焼結炉内の真空度を10.0Pa以下に保持する請求項1又は2記載の製造方法。
- 真空焼結炉の減圧ポンプからの排出ガス中のCO濃度を10ppm以下にする請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- 上記ガラス化することによって得られた合成石英ガラスインゴットを
(i)温度1700〜1900℃の範囲で所望の形状に熱間成型し、
(ii)熱間成型した合成石英ブロックを温度1000〜1300℃の範囲でアニールし、
(iii)アニールした合成石英ガラスブロックを必要により所望の厚みでスライスし、
(iv)必要に応じて、スライスした合成石英ガラス基板を研摩する
という各工程を経て加工し、
(v)合成石英ガラスを水素雰囲気中、温度200〜500℃の範囲で大気圧以上の圧力下で一定時間熱処理する
請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。 - エキシマレーザがArFエキシマレーザである請求項1〜5のいずれか1項記載のエキシマレーザ用合成石英ガラスの製造方法。
- ArFエキシマレーザの周波数が4kHz以上である請求項6記載のエキシマレーザ用合成石英ガラスの製造方法。
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