JP5462981B2 - シクロヘキサノール、シクロヘキサノールの製造方法及びアジピン酸の製造方法 - Google Patents

シクロヘキサノール、シクロヘキサノールの製造方法及びアジピン酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールの製造方法及びシクロヘキサノールを用いたアジピン酸の製造方法に関する。
アジピン酸は、ポリアミド66やポリウレタンの重要な中間原料である。アジピン酸の製造方法としては、シクロヘキサノン及び/又はシクロヘキサノールを硝酸により酸化してアジピン酸を合成する方法が工業的に主流である。シクロヘキサノン及び/又はシクロヘキサノールの製造方法としては、(1)シクロヘキサンの酸化によりケトンアルコールオイル(KAオイル;シクロヘキサノンとシクロヘキサノールとの混合物)を合成する方法と、(2)シクロヘキセンの水和によりシクロヘキサノールを合成する方法とが知られている。アジピン酸の製造において、前記(2)シクロヘキサノールの合成方法を経由する方法は、前記(1)KAオイルの合成方法を経由する方法と比較してコスト的に有利である点で好まれている。
シクロヘキセンの水和によりシクロヘキサノールを製造する方法としては、特許文献1に記載のように、固体触媒として結晶性メタロシリケートを使用し、液相で前記固体触媒とシクロヘキセンとを接触させる方法が知られている。
特公平2−31056号公報
しかしながら、本発明者らがシクロヘキセンの水和によりシクロヘキサノールを製造し、蒸留により高沸留分及び低沸留分を分離して精製シクロヘキサノールを得、該シクロヘキサノールの硝酸酸化により得られたアジピン酸を分析したところ、該アジピン酸は、前記(1)KAオイルの合成方法を経由する方法で得られたアジピン酸と比較して、溶融色数(着色度を評価する指数。溶融色数が小さいほど着色が少ないと判断され、高品質である)が劣っている場合があること分かった。この原因について、本発明者らが調査した結果、シクロヘキセンの水和反応により得られるシクロヘキサノールには特有の副生物が含まれており、該副生物がアジピン酸の精製を阻害していることが分かった。
シクロヘキセンから製造したシクロヘキサノールを特許文献1に記載の方法で精製した場合も、得られた精製シクロヘキサノールは着色しており、品質基準を満たさない。
この着色の原因の一つは、精製シクロヘキサノールから、シクロヘキサノールより高沸点の成分(高沸成分)を分離できないことにあると、本発明者らは推定している。具体的には、この着色の原因ついて、本発明者らは以下のとおり推定している。まず、シクロヘキセンの水和反応において、副生物として、原料及び/又は目的物の多量化によって高沸成分が生成しうる。そして、精製シクロヘキサノールを前記高沸成分と共に塔底から抜出す態様の場合、精製シクロヘキサノールから前記高沸成分を分離することができない。さらに、前記高沸成分の中に可視域に吸収を持つ物が含まれる可能性があるため、該高沸成分を含有する精製シクロヘキサノールは着色すると考えられる。
またさらに、精製シクロヘキサノールを前記高沸成分と共に塔底から抜出す態様の場合、塔底でシクロヘキサノールと高沸成分とを加熱する時間が不可避的に長くなってしまうことから、塔底でシクロヘキサノールが高沸成分と反応し、高沸成分をさらに増やしてしまう可能性も否定できない。このような高沸成分の増加が懸念される精製方法は、目的物の収量を下げてしまうという問題に加え、配管の詰まりなどのプロセス上の問題も生じさせかねないので、工業的に望まれない。
そこで、本発明の目的は、アジピン酸の精製を阻害する副生物の含有量を低減することにより、アジピン酸の原料に適した精製シクロヘキサノールを提供すること、及び該精製シクロヘキサノールを用いたアジピン酸の製造方法を提供することにある。
上述の高沸留分及び低沸留分を分離する精製方法の場合、蒸留工程においてシクロヘキサノールと共に高沸成分を塔底から留出させないので、高沸成分の増加という問題は少ないもののアジピン酸の着色の問題がある。本発明者らは鋭意検討の結果、副生物のうちメチルシクロペンタノールがアジピン酸の着色の原因となっていることを発見した。
しかし、特許文献1に記載の精製方法の場合、精製シクロヘキサノール中に含まれるメチルシクロペンタノールは1200重量ppm程度と微量であるにもかかわらず、なお精製シクロヘキサノールの着色が見られたことから、更なる着色原因物質が存在すると考え、意欲的な研究を積み重ねた。その結果、特許文献1に記載の精製方法の場合に着色の原因となる物質が、副生物のうち二重結合をもち、可視域に吸収を持つシクロヘキシルシクロヘキセン異性体であることを突き止めた。さらに、シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノール及びシクロヘキシルシクロヘキセン異性体には、アジピン酸原料として適用して溶融色数を満足するための許容量があることを発見し、併せてそのレベルまでシクロヘキサノールを精製する方法を確立することによって、本発明を完成させた。
即ち、本発明者は、メチルシクロペンタノール濃度を10〜1000重量ppmに制御し、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度を15〜500重量ppmに制御した精製シクロヘキサノールを硝酸酸化する工程を含むアジピン酸の製造方法により、アジピン酸を十分に精製でき、溶融色数の点で実用上問題のないアジピン酸が得られることを見出し本発明に到達した。
即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
[1]
メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmであって、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が15〜500重量ppmである精製シクロヘキサノール。
[2]
シクロヘキセンの水和反応により、シクロヘキサノール、メチルシクロペンタノール及び水を含む溶液(I)を生成させる工程1、
前記溶液(I)を水相とオイル相とに分離する工程2、
前記オイル相からメチルシクロペンタノールを含む粗精製シクロヘキサノールを得る工程3、及び
前記粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去することにより、メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmであって、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が15〜500重量ppmである精製シクロヘキサノールを得る工程4を含む、シクロヘキサノールの製造方法。
[3]
前記工程3において、
粗精製シクロヘキサノールを得る装置として蒸留塔を用い、
前記粗精製シクロヘキサノールを前記蒸留塔の中段から抜出す、[2]に記載のシクロヘキサノールの製造方法。
[4]
前記工程4において、
メチルシクロペンタノールを分離除去する装置として蒸留塔を用い、
該蒸留塔に導入する粗精製シクロヘキサノールが、シクロヘキサノールを95〜99.8重量%及びメチルシクロペンタノールを1500〜20000重量ppm含み、
該蒸留塔の塔頂から2〜5段の温度を144〜154℃(700mmHg)に制御する、[2]又は[3]に記載のシクロヘキサノールの製造方法。
[5]
メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmであって、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が15〜500重量ppmである精製シクロヘキサノールを硝酸酸化する工程を含む、アジピン酸の製造方法。
本発明の精製シクロヘキサノールは、アジピン酸の原料に好適である。本発明のアジピン酸の製造方法によると、副生物の生成を抑制して高品質のアジピン酸を製造し得る。
シクロヘキサノール製造装置の一例を示す模式図である。 比較例4で用いたシクロヘキサノール製造装置を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
≪精製シクロヘキサノール≫
本実施形態の精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmであり、15〜1000重量ppmであることが好ましい。該メチルシクロペンタノール濃度の上限値としては、250重量ppm以下であることがより好ましく、150重量ppm以下であることがさらに好ましい。精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノール濃度が前記上限値以下であると、該精製シクロヘキサノールから得られるアジピン酸(以下「アジピン酸製品」とも記す。)は、着色が抑制され高品質となる。
したがって、高品質のアジピン酸製品を得るには、精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノール濃度は低い方が好ましい。精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノール濃度を10ppm未満に精製することも可能ではあるが、該メチルシクロペンタノール濃度を10ppm未満としても、アジピン酸製品の溶融色数のより一層の改善は見られず、精製シクロヘキサノールの収量が低下してしまう。したがって、精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノール濃度を10ppm以上とすることが、アジピン酸製品の溶融色数とシクロヘキサノールの収量とのバランスの観点から好ましい。
本実施形態の精製シクロヘキサノールは、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が、15〜500重量ppm以下である。該シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度の上限値としては、300重量ppm以下がより好ましい。シクロヘキシルシクロヘキサン異性体もアジピン酸製品の着色の原因となる化合物である。したがって、高品質のアジピン酸製品を得るには、シクロヘキシルシクロヘキサン異性体濃度は低い方が好ましい。また、精製シクロヘキサノール中のシクロヘキシルシクロヘキサン異性体濃度を15ppm以上とすることが、アジピン酸製品の溶融色数とシクロヘキサノールの収量とのバランスの観点から好ましい。
本明細書中、「シクロヘキシルシクロヘキセン異性体」とは、シクロヘキシルシクロヘキセンの全ての異性体を指す。シクロヘキシルシクロヘキセン異性体は、例えば、シクロヘキセンの水和反応によりシクロヘキサノールを製造する場合においてシクロヘキセンの一部が2量化することで生成すると考えられる。シクロヘキシルシクロヘキセン異性体はシクロヘキサノールより高沸点であるため、蒸留分離可能である。しかしながら、シクロヘキセンの水和反応において、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体の生成量は、通常数1000重量ppm程度と微量であるため、従来の精製方法では、シクロヘキサノールからシクロヘキシルシクロヘキセン異性体を分離しないことが多い。ところが、本発明者らが検討したところ、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体は二重結合をもち、可視域に吸収を持つため、アジピン酸製品の着色の原因となる。したがって、精製シクロヘキサノール中のシクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度を15〜500重量ppmとすることが、溶融色数を満足するアジピン酸を製造する観点から好ましい。
シクロヘキシルシクロヘキセン異性体の具体例としては、特に限定されないが、例えば、シクロヘキシル−2−シクロヘキセンが挙げられる。
なお、本実施形態において、精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノール濃度、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度は、キャピラリーカラムによるガスクロマトグラフィーにより測定することができる。具体的には、例えば、以下のとおり測定することができる。
分析したい液が流れるラインには液抜き用の抜出ラインと仕切弁とを設置する。仕切弁を開放すると抜出ラインより液がサンプリングできる。ガスクロマトグラフィーで分析可能な量(最低10ml以上)の液をサンプリングし、該サンプリングした液を下記条件にてガスクロマトグラフィーで分析を行うことにより、該液中のメチルシクロペンタノール濃度及びシクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度を測定することができる。
ガスクロマトグラフィー条件は下記条件のみに限定されるものではないが、適切な条件で分析しなければ、メチルシクロペンタノール濃度及びシクロヘキシルシクロへキセン異性体濃度は測定できない可能性がある。
〈ガスクロマトグラフィー条件〉
1)機種:島津2014AFSC(FID)
2)カラム:キャピラリーカラム(CBP20−S50−050)
3)温度:80℃で15分保持後、5℃/分の速度で昇温し、140℃到達後5分保持する。5分保持後、5℃/分の速度で再度昇温し、190℃で18分保持する。
INJ.:200℃
DET.:220℃
4)キャリヤーガス:ヘリウム
5)スプリット比:1/70
6)RANG:10
7)注入量:1μl
メチルシクロペンタノール濃度及びシクロヘキシルシクロへキセン異性体濃度が上述の特定の範囲である本実施形態の精製シクロヘキサノールは、例えば、後述のシクロヘキサノールの製造方法により得ることができる。
≪シクロヘキサノールの製造方法≫
本実施形態のシクロヘキサノールの製造方法は、
シクロヘキセンの水和反応により、シクロヘキサノール、メチルシクロペンタノール及び水を含む溶液(I)を生成させる工程1、
前記溶液(I)を水相とオイル相とに分離する工程2、
前記オイル相からメチルシクロペンタノールを含む粗精製シクロヘキサノールを得る工程3、及び
前記粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去することにより、メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmであって、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が15〜500重量ppmである精製シクロヘキサノールを得る工程4を含む。
[1]シクロヘキセンの水和反応(工程1)
工程1は、シクロヘキセンの水和反応により、シクロヘキサノール、メチルシクロペンタノール及び水を含む溶液(I)を生成させる工程である。
シクロヘキセンの水和反応の触媒としては、特に限定されないが、例えば、結晶性アルミノシリケートを利用できる。結晶性アルミノシリケートの具体例として、特に限定されないが、例えば、モルデナイト、ホウジャサイト、クリノブチロライト、L型ゼオライト、ZSM系ゼオライト、チャバサイト、エリオナイトが挙げられる。AZ−1(特願昭57−228283号公報)、TPZ−3(特開昭58−110419号公報)、Nu−3(特開昭57−3714号公報)、Nu−5(特開昭57−129820号公報)、Nu−6(特開昭57−123817号公報)、Nu−10(特開昭57−200218号公報)などもシクロヘキセンの水和反応の触媒として有効である。
触媒活性の高さの観点で結晶性アルミノシリケートは表面積が大きいほど好ましい。そのため、結晶性アルミノシリケートは、一次粒子径が、0.5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下、さらに好ましくは0.05μm以下である。該一次粒子径の下限は特に限定されないが、「結晶性」を有する限り該一次粒子径の小ささには限度がある。
本明細書中「結晶」とは、原子がある対称性をもって規則正しく周期的に配列しているものであって、X線による回折現象が認められる(共立出版株式会社、化学大辞典、1963年出版、第3巻、第349頁「結晶」の項に記載)ものを示す。一定の周期を有し、X線回折現象が認められるためには、結晶構造に基づくある有限の大きさが存在する。シクロヘキセンの水和反応の触媒として用いる結晶性アルミノシリケートは、X線回折現象が認められ、かつ、一次粒子径が0.5μm以下のものが好ましい。
結晶性アルミノシリケートの一次粒子には種々の状態のものがあるが、本明細書中、結晶性アルミノシリケートの一次粒子径とは、走査型電子顕微鏡で見た被測定微粒子の最も巾の狭いところの径を計測し、その計測された数値以下のものが、少なくとも全体の50数量%以上である値を言う。尚、本発明者らの知見によると、一次粒子径が0.5μm以下であれば、それらが凝集等した二次粒子で径が大きくなったものも水和反応において優れた触媒能を示す。
通常、環状オレフィンの水和反応においては、異性化、重合等の副反応が発生する。例えば、シクロヘキセンの水和反応においては、メチルシクロペンテン類、ジシクロヘキシルエーテル、ビシクロヘキシルといった副生物が生成する。この副反応を抑制し、収率良く環状アルコールを得るためには、例えば、特公平4−41131号公報に示されるような結晶性アルミノシリケートZSM−5を触媒として使用することも有効である。結晶性アルミノシリケートZSM−5とは、モービルオイル社が開発したゼオライトであり(米国特許第3702886号明細書参照)、結晶を構成するシリカとアルミナとのモル比(シリカ/アルミナ)が20以上であり、結晶構造中に、酸素10員環の入口を有する3次元の細孔を有するゼオライトである。
シクロヘキセンの水和反応の温度はシクロヘキセンの水和反応の平衡の観点及び副反応の抑制の観点から低温が有利であるが、反応温度が余り低すぎると反応速度が小さくなり経済的でない。よって反応温度は50℃〜300℃の範囲が好ましい。シクロヘキセンの水和反応の圧力は、減圧から加圧まで適用可能であるが、反応の原料であるシクロヘキセン及び水の両方が液相を保ちうる圧力が好ましい。シクロヘキセンの水和反応において、反応温度が50℃〜300℃の場合、好ましい反応圧力は0MPaG〜20MPaGである。
反応原料であるシクロヘキセンと水とのモル比は広い範囲でとることができるが、シクロヘキセンがあまりに過剰であるとシクロヘキセンの転化率が低くなり、また水があまりに過剰であるとシクロヘキセンの転化率を高くできるがシクロヘキサノールの分離精製の面で不利となるばかりでなく、反応器の容積を大きくする必要が生じ経済的でない。したがって、水とシクロヘキセンとのモル比(水/シクロヘキセン)は0.01〜200が好ましい。
シクロヘキセンと触媒との重量比は、連続的反応においては、反応温度、反応圧力、シクロヘキセンと水とのモル比等の条件により異なるが、一般的には、1時間に反応器に供給されるシクロヘキセンの重量に対し、触媒の重量を0.005〜200の範囲とすることが好ましい。
[2]水和反応生成物の精製(工程2及び工程3)
工程2は、上記工程1で生成した溶液(I)を水相とオイル相とに分離する工程である。
シクロヘキセンの水和反応の反応原料は、上述のとおりシクロヘキセンと水とを主体とするので、反応後の生成物もオイル相と水相とを含む。従って、上記工程1で生成した溶液(I)を、まず、例えば、液液分離によってオイル相と水相とに分離する。
オイル相は、例えば、シクロヘキサノール、メチルシクロペンタノール、シクロヘキセン、シクロヘキセンに同伴する不純物、水和反応時に極微量副生する低沸物及び高沸物、並びに極微量の触媒を含有する液である。そのため、工業的に製品としてシクロヘキサノールを得る方法としては、蒸留等の操作によりシクロヘキサノールを濃縮及び精製し、製品化していくと共に、未反応のシクロヘキセンを回収及びリサイクルし、また、高沸物及び触媒といった不純物を分離除去するのが一般的である。
図1は、シクロヘキサノールの製造装置の一例を示す図である。図1に示す装置は、反応器1と、反応器1に接続された分離器2と、分離器2の下流に直列に接続された複数の蒸留塔3、4及び5とを有する。
反応器1には触媒の結晶性アルミノシリケートが収容されており、原料供給管6からシクロヘキセンが供給され、原料供給管7から水が供給される。反応器1内は水和反応に適した温度及び圧力に設定されており、反応器1に流入したシクロヘキセン及び水の反応が進行する。図1に示す例では、反応器1内で一定時間滞留することにより水和反応が進行した反応液は、反応器1から連続的に分離器2に流入するようになっているので、この流出に見合う量だけシクロヘキセン及び水が反応器1に供給される。
以下、図1に示すシクロヘキサノールの製造装置を例にとって、工程2について具体的に説明する。
上記工程1におけるシクロヘキセンの水和反応で生成した溶液(I)は、オイル相と水相とを含むので、分離器2内で静置される間に、両相に分離される。配管10は分離器2の油水界面レベルより高い位置に設けられているので、上層であるオイル相のみが分離器2から下流の蒸留塔へ流出する。オイル相は、例えば、シクロヘキサノール、シクロヘキセン、シクロヘキセンに同伴する不純物、水和反応時に極微量副生する低沸物及び高沸物、極微量の触媒、並びにメチルシクロペンタノールを含有する。一般的にはオイル相におけるシクロヘキサノール濃度は、例えば8〜15重量%である。分離器2の底部に設けられた復帰管9は、反応器1の底部に接続されており、分離器2の底部からスラリー状触媒が一部の水相とともに復帰管9を経由して反応器1へリサイクルされる。
工程3は、オイル相からメチルシクロペンタノールを含む粗精製シクロヘキサノールを得る工程である。粗精製シクロヘキサノールは、例えば、蒸留塔を用いてオイル相から不純物を分離除去して得ることができる。
以下、図1に示すシクロヘキサノールの製造装置を例にとって、工程3について具体的に説明する。
分離器2から流出したオイル相は、配管10を経由して蒸留塔3へ供給され、蒸留塔3においてオイル相から不純物が粗分離除去される。蒸留塔3及び4は、例えば多段式であって、理論段数が好ましくは10段以上、より好ましくは20段以上である(コンデンサー、リボイラーも1段とする。以下同じ)。
未反応のシクロヘキセン回収の観点で、還流比は、1〜20とするのが好ましい。
蒸留塔3によりシクロヘキサノールの濃度が例えば40〜60重量%まで濃縮されたオイル相が、塔底液として配管12から抜き出され、蒸留塔4の中段に供給される。塔頂液の一部は、配管11を経由して、反応器1へリサイクルされる。
蒸留塔4において、配管12から受け入れたオイル相中のシクロヘキサノールの濃度が更に濃縮され、粗精製シクロヘキサノールを得ることができる。粗精製シクロヘキサノール中のシクロヘキサノールの濃度は、95〜99.8重量%であることが好ましく、97〜99.8重量%であることがより好ましく、98〜99.8重量%であることがさらに好ましい。シクロヘキサノールの濃度が、例えば95〜99.8重量%まで濃縮された粗精製シクロヘキサノールは、配管12の接続位置よりも低い位置に設けられた配管15を経由して蒸留塔5へ供給される。
粗精製シクロヘキサノール中のシクロヘキサノールの濃度を適切な範囲に濃縮するために、配管15の温度を143〜161℃(大気圧の場合)に管理するのが好ましい。シクロヘキサノールの濃度を適切な範囲に濃縮し、かつ未反応のシクロヘキセンを塔頂より回収する観点で、例えば、理論段数:15段の蒸留塔4において、配管15の接続位置は、配管12の接続位置より5段以上低く設けられるのが好ましく、10段以上低く設けられるのがより好ましく、配管14の接続位置(流入箇所)より0.2段以上高く設けられるのが好ましく、1段以上高く設けられるのがより好ましい。
蒸留塔4において粗精製シクロヘキサノールを塔底からでなく中段(配管15)から抜出すことで、シクロヘキセンの水和反応において副生するジシクロヘキシルエーテルやシクロヘキシルシクロヘキセン異性体をシクロヘキサノールから分離することができる。配管15より抜き出す粗精製シクロヘキサノール中のシクロヘキシルシクロヘキセン異性体の濃度は、15〜500重量ppmであることが好ましく、15〜300重量ppmであることがより好ましく、15〜200重量ppmであることがさらに好ましい。配管15より抜き出す粗精製シクロヘキサノール中のシクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度を15重量ppm未満にすることも技術的には可能であるが、シクロヘキサノールを加熱する時間が長くなり、高沸成分の更なる生成が起こるため、結果的にシクロヘキサノールの生産性は低下する。したがって、シクロヘキサノールの生産性の観点から、配管15より抜き出す粗精製シクロヘキサノール中のシクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度は、15重量ppm以上であることが好ましい。また、上記と同様の理由の為、工程3において、粗精製シクロヘキサノールを蒸留塔4の中段(配管15)から抜出すことが好ましい。蒸留塔4の塔底液は、通常触媒及びシクロヘキサノールを含有するが、シクロヘキシルエーテルや濃縮したシクロヘキシルシクロヘキセン異性体を抜き出すことを目的として、配管14を経て系外へ抜き出される。
[3]メチルシクロペンタノールの分離(工程4)
工程4は、前記粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去することにより、メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmであって、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が15〜500重量ppmである精製シクロヘキサノールを得る工程である。
工程4において、メチルシクロペンタノールを分離除去する装置としては、蒸留塔を用いることが好ましい。
以下、図1に示すシクロヘキサノールの製造装置を例にとって、工程4について具体的に説明する。
蒸留塔5において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールが分離除去される。
蒸留塔5は、メチルシクロペンタノールを分離し易くする観点で、理論段数は40段以上が好ましく、50段以上がより好ましい。また、塔頂にメチルシクロペンタノールを濃縮する観点で、配管15は、例えば、理論段数:50段の蒸留塔5の中段(例えば25〜35段)に接続されるのが好ましい。配管15から蒸留塔5に導入する粗精製シクロヘキサノールは、シクロヘキサノールを95〜99.8重量%、メチルシクロペンタノールを1500〜20000重量ppm含むことが好ましい。粗精製シクロヘキサノールは、より好ましくはシクロヘキサノールを97〜99.8重量%、メチルシクロペンタノールを1500〜20000重量ppm含み、さらに好ましくはシクロヘキサノールを98〜99.8重量%、メチルシクロペンタノールを1500〜10000重量ppm含む。蒸留塔5に導入する粗精製シクロヘキサノール中のシクロヘキサノール及びメチルシクロペンタノールの含有量を前記範囲内とすることにより、蒸留塔5の蒸気使用量が少なくなる傾向にあり、好ましい。
なお、本実施形態において、粗精製シクロヘキサノール中のシクロヘキサノール及びメチルシクロペンタノールの含有量は、キャピラリーカラムによるガスクロマトグラフィーにより測定することができる。当該測定方法の詳細は、上述したメチルシクロペンタノール濃度及びシクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度の測定方法と同様である。
還流比は、100〜5000であることが好ましい。
蒸留塔5において、メチルシクロペンタノールの濃度が、例えば30〜80重量%に濃縮された塔頂留出成分を配管16から抜き出す。これにより、メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmとなった精製シクロヘキサノールが塔底の配管17より得られる。
蒸留塔5では塔頂よりメチルシクロペンタノールを濃縮して抜き出すが、濃縮不足になると製品となるべき精製シクロヘキサノールのロスとなるため、経済性の指標からメチルシクロペンタノールの濃縮管理を行うことが好ましい。一般的な蒸留の場合、メチルシクロペンタノールの濃縮管理は還流比のみで行うが、蒸留塔5では少量の不純物を抜き出すために、配管16の抜き出し量が少なく、還流比が安定しない場合がある。そこで、例えば、理論段数:50段の蒸留塔5の塔頂付近(例えば塔頂から2〜5段)の温度を、好ましくは144〜154℃(700mmHg)、より好ましくは144〜152℃(700mmHg)、さらに好ましくは144〜150℃(700mmHg)に制御することで、メチルシクロペンタノールの濃縮管理を行うのが好ましい。
[4]シクロヘキサノール
シクロヘキセンの水和反応でシクロヘキサノールを得る方法(以下「シクロヘキセン法」とも記す。)の場合、上述のとおり粗精製シクロヘキサノールには、通常、メチルシクロペンタノールが微量含まれている。条件によっては、粗精製シクロヘキサノール中に1500重量ppm程度のメチルシクロペンタノールを含有する場合がある。このような粗精製シクロヘキサノールを用いた製品は、用途によっては問題を生じる。シクロヘキセン法による場合に、粗精製シクロヘキサノールがメチルシクロペンタノールを含有する理由は、次のとおりである。水和反応においてシクロヘキセンが一部異性化し、メチルシクロペンテンとなるが、そのメチルシクロペンテンが水和されメチルシクロペンタノールが生成する。メチルシクロペンタノールはシクロヘキサノールと沸点が近いため、工業的に行われている通常の蒸留方法では除去できない。
これに対し、本実施形態のシクロヘキサノールの製造方法は、上記特定の工程4において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去することにより、メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmの精製シクロヘキサノールを得ることができる。メチルシクロペンタノール濃度を10〜1000重量ppmに制御する方法としては、例えば、上述した蒸留塔5のような、メチルシクロペンタノールを分離する専用の蒸留塔を用いる方法が挙げられる。
例えば、蒸留塔5における蒸留操作によって、精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノール濃度を10重量ppm未満にすることも可能であるが、そのためには、蒸留塔5の塔頂からの抜き出し量を増やす必要がある。すると、蒸留塔5で分離出来ないシクロヘキシルシクロヘキサン異性体及びメチルシクロヘキサノールが濃縮される。そのため、塔底から得られる精製シクロヘキサノールは、シクロヘキシルシクロヘキサン異性体及びメチルシクロヘキサノールの含有量が高くなる。このような精製シクロヘキサノールをアジピン酸原料とする場合、シクロヘキシルシクロヘキサン異性体及びメチルシクロヘキサノールが原因でアジピン酸の品質が悪化する。したがって、高品質のアジピン酸を得る観点から、精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノール濃度は10重量ppm以上とする。
なお、シクロヘキセン法によって得られるシクロヘキサノールは、ペンタノール、メチルシクロヘキサノールの含有量がシクロヘキサン法によるものより少ない。ペンタノール、メチルシクロヘキサノールは、アジピン酸の製造過程で、分離し難い化合物を生成することにより、アジピン酸の品質に影響することがある。しかし、例えば、蒸留塔5における蒸留操作によって、ペンタノールはメチルシクロペンタノールと同様に分離除去され、精製シクロヘキサノール中のペンタノール濃度は粗精製シクロヘキサノール中のペンタノール濃度よりも低減される。よって、シクロヘキセン法によって製造されたシクロヘキサノールであって、メチルシクロペンタノール濃度を上記特定の範囲に適切に制御した精製シクロヘキサノールは、高品質のアジピン酸を得るための原料として好適である。
≪アジピン酸の製造方法≫
本実施形態のアジピン酸の製造方法は、メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmであって、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が15〜500重量ppmである精製シクロヘキサノールを硝酸酸化する工程を含む。メチルシクロペンタノール濃度及びシクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度を特定の範囲に制御した精製シクロヘキサノールを原料として用いることにより、溶融色数に優れた高品質のアジピン酸を得ることができる。
本実施形態のアジピン酸の製造方法は、精製シクロヘキサノールを硝酸酸化する工程後、晶析精製工程を含むことが好ましい。
精製シクロヘキサノールの硝酸酸化反応は、過剰量の硝酸水溶液中に精製シクロヘキサノールを供給することにより進行する。ここで言う硝酸水溶液とは、硝酸濃度10〜70%の水溶液であり、硝酸濃度50〜65%の水溶液が好ましく、触媒としての銅及びバナジウムを含むことが好ましい。
精製シクロヘキサノールの硝酸酸化反応の反応温度は60〜100℃とするのが好ましい。
晶析精製工程としては、例えば、硝酸酸化反応生成物を含む硝酸水溶液を室温に冷却し、アジピン酸を晶析させた後、ろ過により粗アジピン酸結晶を得る工程である。得られた粗アジピン酸結晶を純水に入れて溶解させ、晶析及び固液分離し、乾燥することで精製アジピン酸が得られる。晶析に当たっては、溶液を攪拌したり加熱したりして粗アジピン酸結晶を溶解させてもよいし、適当な時間だけ熟成させて、結晶成長をさせてもよい。乾燥の条件は、アジピン酸の融点以下で、適当な条件を選択すればよい。
本発明者らの検討によれば、メチルシクロペンタノールを1000重量ppm超含有する粗精製シクロヘキサノールを用いてアジピン酸を製造した場合に、得られる製品アジピン酸の溶融色数が著しく損なわれることが判明した。本発明者らは、この原因の一つとして、粗精製シクロヘキサノール中に残存したメチルシクロペンタノールから硝酸酸化反応工程において生成するジカルボン酸類が、粗アジピン酸の晶析による精製工程においてアジピン酸の結晶成長を抑制することで、アジピン酸の精製を阻害し、結果として満足する品質の製品アジピン酸が得られなくなると推定している。
アジピン酸の溶融色数は日本工業規格JIS K4172に準拠して次のように測定される。アジピン酸製造において、溶融色数は、着色の指標として利用されている。
[溶融色数測定(品質測定)]
精製アジピン酸25gを試験管に入れ、温度250±2℃に調節した溶融装置で溶融させる。溶融させた精製アジピン酸をハーゼン色数(APHA)標準液と並べて比較して色数を測る。
メチルシクロペンタノール濃度を10〜1000重量ppmに制御し、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度を15〜500重量ppmに制御した精製シクロヘキサノールを原料として用いることで、得られる精製アジピン酸は溶融色数が良好となる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り実施例に限定されるものではない。なお、実施例中におけるメチルシクロペンタノール等の各成分の定量はキャピラリーカラムによるガスクロマトグラフィーにより行った。
[実施例1]
[シクロヘキセンの水和反応]
シクロヘキセンの水和反応を図1における反応器1で行った。
反応器1である撹拌翼を備えたオートクレーブに、触媒として特開平3−193622号公報に記載の結晶性アルミノシリケートであるZSM−5微粒子体を導入した。該結晶性アルミノシリケートを重量比で2倍の水と混合することでスラリー状触媒とした。該結晶性アルミノシリケートの一次粒子径は0.1μmであった。
反応温度は125℃とし、反応圧力は6kg/cm2Gとなるように窒素ガスにて気相部を加圧し、攪拌翼回転数を530rpmとした。
反応器1に、触媒1重量部に対しシクロヘキセンを1時間当たり1重量部、図1の原料供給管6を通じて供給し、反応消費水量に見合った分の水を原料供給管7を通じて供給して、シクロヘキセンの水和反応を行うことにより、シクロヘキサノール、メチルシクロペンタノール及び水を含む溶液(I−1)が生成した。
[水相とオイル相との分離]
上記生成した溶液(I−1)を、配管8を通じて分離器2に供給した。分離器2において溶液(I−1)を静置することにより水相とオイル相とに分離した。
また、分離器2の油水界面レベルが、配管10より下方に位置するように、スラリー状触媒が復帰管9を経由して反応器1へ復帰する量を調整した。これにより、上層であるオイル相のみが分離器2から配管10を経由して蒸留塔3へ供給された。
配管10を経由して蒸留塔3へ供給されたオイル相は、シクロヘキサノール及びメチルシクロペンタノールを含む混合物であった。該混合物はシクロヘキサノールに対してメチルシクロペンタノールを2000重量ppm含有していた。シクロヘキサノールの収率は11.0%であった。
[シクロヘキサノールの精製]
上記分離されたオイル相100重量部を、配管10を経由して蒸留塔3へ供給して、シクロヘキサノールの精製を行った。蒸留塔3の塔頂より留出液88.198重量部を抜き出し、配管11を経由して原料供給管6と合流後、反応器1へリサイクルした。この留出液の組成はシクロヘキセンが99.21重量%であり、トルエン0.23重量%、ノルカンファン0.30重量%、メチルシクロヘキサン0.26重量%であった。
蒸留塔3の塔底液を、配管12を経由して蒸留塔4へ供給して、さらにシクロヘキサノールの精製を行った。
蒸留塔4の塔底より配管14を経て触媒及びシクロヘキサノール0.500重量部を系外へ抜き出した。蒸留塔4の塔頂からの留出液を、復帰管13を経由して蒸留塔3へリサイクルした。この留出液の組成は、シクロヘキセンが91.50重量%であり、トルエン1.80重量%、ノルカンファン2.50重量%、メチルシクロヘキサン2.10重量%、シクロヘキサノール2.10重量%であった。
配管14と蒸留塔4との接続部より上部で、配管12と蒸留塔4との接続部より下部に設けた配管15より、蒸気として、シクロヘキセン2重量ppm、トルエン5重量ppmを含む粗精製シクロヘキサノール11.298重量部が得られた。該粗精製シクロヘキサノールは、シクロヘキサノールを99.8重量%、メチルシクロペンタノールを1500重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体を300重量ppm、ペンタノールを50重量ppm、メチルシクロヘキサノールを50重量ppm含有していた。
[メチルシクロペンタノールの分離除去]
上記得られた粗精製シクロヘキサノールを、粗精製品の配管15を経由して蒸留塔5へ供給した。蒸留塔5において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去した。理論段数:50段の蒸留塔5の塔頂付近(塔頂から2〜5段)の温度を149℃(700mmHg)に制御し、蒸留塔5の塔頂からの留出液を、配管16を経由して0.0027重量部系外へ抜き出した。この留出液はメチルシクロペンタノールを52重量%含有していた。蒸留塔5の塔底の精製品抜き出し管17より精製シクロヘキサノールが得られた。該精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が250重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が308重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、メチルシクロヘキサノール濃度が51重量ppmであった。
[アジピン酸の合成]
上記の精製シクロヘキサノールを、過剰量の硝酸水溶液中に供給して、シクロヘキサノールの硝酸酸化反応を行った。ここでいう硝酸水溶液とは、硝酸濃度60%の水溶液であり、微量の銅およびバナジウムを含む水溶液とした。
反応温度は80℃、反応圧力は大気圧として、1時間硝酸酸化反応を行った。
その後、反応生成物を含む硝酸水溶液を室温に冷却し、アジピン酸を晶析させ、ろ過により固液分離し、粗アジピン酸結晶を得た。次に、該粗アジピン酸結晶を純水に入れて加熱し溶解させた。そして、前記同様に晶析、固液分離し、乾燥させて精製アジピン酸を得た。
[品質測定]
上記の精製アジピン酸25gを試験管に入れ、温度250±2℃に調節した溶融装置で溶融させた。溶融させた精製アジピン酸をハーゼン色数(APHA)標準液と並べて比較して色数を測った(日本工業規格 JIS K4172に準拠)ところ、上記の精製アジピン酸の溶融色数は10APHA以下であった。
[実施例2]
実施例1と同様の操作で得られた粗精製シクロヘキサノール(シクロヘキサノール濃度:99.8重量%、メチルシクロペンタノール濃度:1500重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:300重量ppm、ペンタノール濃度:50重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度:50重量ppm)を、配管15より蒸留塔5に供給した。蒸留塔5において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去した。理論段数:50段の蒸留塔5の塔頂付近(塔頂から2〜5段)の温度を146℃(700mmHg)に制御し、蒸留塔5の塔頂からの留出液を、配管16を経由して0.0024重量部系外へ抜き出した。この留出液はメチルシクロペンタノールを70重量%含有していた。蒸留塔5の塔底の精製品抜き出し管17より精製シクロヘキサノールが得られた。該精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が15重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が301重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、メチルシクロヘキサノール濃度が50重量ppmであった。
得られた精製シクロヘキサノールを使用した以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は10APHA以下であった。
[実施例3]
実施例1と同様の操作で得られた粗精製シクロヘキサノール(シクロヘキサノール濃度:99.8重量%、メチルシクロペンタノール濃度:1500重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:300重量ppm、ペンタノール濃度:50重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度:50重量ppm)を、配管15より蒸留塔5に供給した。蒸留塔5において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去した。理論段数:50段の蒸留塔5の塔頂付近(塔頂から2〜5段)の温度を155℃(700mmHg)に制御し、蒸留塔5の塔頂からの留出液を、配管16を経由して0.0074重量部系外へ抜き出した。この留出液はメチルシクロペンタノールを75重量%含有していた。蒸留塔5の塔底の精製品抜き出し管17より精製シクロヘキサノールが得られた。該精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が15重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が302重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、メチルシクロヘキサノール濃度が50重量ppmであった。
得られた精製シクロヘキサノールを使用した以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は10APHA以下であった。
[実施例4]
実施例1と同様の操作で得られた粗精製シクロヘキサノール(シクロヘキサノール濃度:99.8重量%、メチルシクロペンタノール濃度:1500重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:300重量ppm、ペンタノール濃度:50重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度:50重量ppm)を、配管15より蒸留塔5に供給した。蒸留塔5において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去した。理論段数:50段の蒸留塔5の塔頂付近(塔頂から2〜5段)の温度を156℃(700mmHg)に制御し、蒸留塔5の塔頂からの留出液を、配管16を経由して0.13重量部系外へ抜き出した。この留出液はメチルシクロペンタノールを13重量%含有していた。蒸留塔5の塔底の精製品抜き出し管17より精製シクロヘキサノールが得られた。該精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が15重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が344重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、メチルシクロヘキサノール濃度が57重量ppmであった。
得られた精製シクロヘキサノールを使用した以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は10APHA以下であった。
[実施例5]
蒸留塔3でのシクロヘキサノールの精製操作までは実施例1と同様の操作を行って、蒸留塔3の塔底液を得た。
蒸留塔3の塔底液を、配管12を経由して蒸留塔4へ供給して、蒸留塔4での分離状態を変化させた以外は、実施例1と同様にして、さらにシクロヘキサノールの精製を行った。
蒸留塔4の塔底より配管14を経て触媒及びシクロヘキサノール0.500重量部を系外へ抜き出した。蒸留塔4の塔頂からの留出液を、復帰管13を経由して蒸留塔3へリサイクルした。この留出液の組成は、シクロヘキセンが86.50重量%であり、トルエン1.80重量%、ノルカンファン2.50重量%、メチルシクロヘキサン2.10重量%、シクロヘキサノール7.10重量%であった。
配管14と蒸留塔との接続部より上部で、配管12と蒸留塔4との接続部より下部に設けた配管15より、蒸気として、シクロヘキセン2重量ppm、トルエン5重量ppmを含む粗精製シクロヘキサノール11.2重量部が得られた。該粗精製シクロヘキサノールは、シクロヘキサノール濃度:98重量%、メチルシクロペンタノール濃度:3500重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:300重量ppm、ペンタノール濃度:50重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度:50重量ppmであった。
上記で得られた粗精製シクロヘキサノールを、配管15より蒸留塔5に供給した。蒸留塔5において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去した。理論段数:50段の蒸留塔5の塔頂付近(塔頂から2〜5段)の温度を146℃(700mmHg)に制御し、蒸留塔5の塔頂からの留出液を、配管16を経由して0.0046重量部系外へ抜き出した。この留出液はメチルシクロペンタノールを75重量%含有していた。蒸留塔5の塔底の精製品抜き出し管17より精製シクロヘキサノールが得られた。該精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が15重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が301重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度が50重量ppmであった。
得られた精製シクロヘキサノールを使用した以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は10APHA以下であった。
[実施例6]
実施例5と同様の操作で得られた粗精製シクロヘキサノール(シクロヘキサノール濃度:98重量%、メチルシクロペンタノール濃度:3500重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:300重量ppm、ペンタノール濃度:50重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度:50重量ppm)を配管15より蒸留塔5に供給した。蒸留塔5において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去した。理論段数:50段の蒸留塔5の塔頂付近(塔頂から2〜5段)の温度を155℃(700mmHg)に制御し、蒸留塔5の塔頂からの留出液を、配管16を経由して0.0136重量部系外へ抜き出した。この留出液はメチルシクロペンタノールを75重量%含有していた。蒸留塔5の塔底の精製品抜き出し管17より精製シクロヘキサノールが得られた。精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が15重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が304重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度が51重量ppmであった。
得られた精製シクロヘキサノールを使用した以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は10APHA以下であった。
[実施例7]
実施例5と同様の操作で得られた粗精製シクロヘキサノール(シクロヘキサノール濃度:98重量%、メチルシクロペンタノール濃度:3500重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:300重量ppm、ペンタノール濃度:50重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度:50重量ppm)を配管15より蒸留塔5に供給した。蒸留塔5において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去した。理論段数:50段の蒸留塔5の塔頂付近(塔頂から2〜5段)の温度を158℃(700mmHg)に制御し、蒸留塔5の塔頂からの留出液を、配管16を経由して0.10重量部系外へ抜き出した。この留出液はメチルシクロペンタノールを75重量%含有していた。蒸留塔5の塔底の精製品抜き出し管17より精製シクロヘキサノールが得られた。精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が15重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が333重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度が55重量ppmであった。
得られた精製シクロヘキサノールを使用した以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は10APHA以下であった。
[実施例8]
実施例1と同様の操作にて1000hr連続運転を実施した。1000hr後の蒸留塔5の塔底の精製品抜き出し管17より精製シクロヘキサノールが得られた。該精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が15重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が300重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、メチルシクロヘキサノール濃度が50重量ppmであった。
得られた精製シクロヘキサノールを使用した以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は10APHA以下であった。
[比較例1]
実施例1において配管15より得られた粗精製シクロヘキサノール(シクロヘキサノール濃度:99.8重量%、メチルシクロペンタノール濃度:1500重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:300重量ppm、ペンタノール濃度:100重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度:50重量ppm)を、アジピン酸の合成原料として用いた以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は100APHAであった。
[比較例2]
実施例1において配管14よりシクロヘキサノール含有混合物(シクロヘキサノール濃度:99.8重量%、メチルシクロペンタノール濃度:50重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:1500重量ppm)を得た。該シクロヘキサノール含有混合物をアジピン酸の合成原料として用いた以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は30APHAであった。
[比較例3]
実施例1と同様の操作で得られた粗精製シクロヘキサノール(シクロヘキサノール濃度:99.8重量%、メチルシクロペンタノール濃度:1500重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:300重量ppm、ペンタノール濃度:50重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度:50重量ppm)を配管15より蒸留塔5に供給した。蒸留塔5において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去した。理論段数:50段の蒸留塔5の塔頂付近(塔頂から2〜5段)の温度を158℃(700mmHg)に制御し、蒸留塔5の塔頂からの留出液を、配管16を経由して0.50重量部系外へ抜き出した。この留出液はメチルシクロペンタノールを0.7重量%含有していた。蒸留塔5の塔底の精製品抜き出し管17より精製シクロヘキサノールが得られた。該精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が1重量ppm以下、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が600重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、メチルシクロヘキサノール濃度が100重量ppmであった。
得られた精製シクロヘキサノールを使用した以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は30APHAであった。
[比較例4]
実施例5と同様の操作で得られた粗精製シクロヘキサノール(シクロヘキサノール濃度:98重量%、メチルシクロペンタノール濃度:3500重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:300重量ppm、ペンタノール濃度:50重量ppm、メチルシクロヘキサノール濃度:50重量ppm)を配管15より蒸留塔5に供給した。蒸留塔5において、粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去した。理論段数:50段の蒸留塔5の塔頂付近(塔頂から2〜5段)の温度を158℃(700mmHg)に制御し、蒸留塔5の塔頂からの留出液を、配管16を経由して0.50重量部系外へ抜き出した。この留出液はメチルシクロペンタノールを0.7重量%含有していた。蒸留塔5の塔底の精製品抜き出し管17より精製シクロヘキサノールが得られた。該精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が1重量ppm以下、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が600重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、メチルシクロヘキサノール濃度が100重量ppmであった。
得られた精製シクロヘキサノールを使用した以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は30APHAであった。
[比較例5]
製造装置として図2に示す製造装置を用いた以外は、実施例1と同様の操作で配管14よりシクロヘキサノール含有混合物(シクロヘキサノール濃度:99.8重量%、メチルシクロペンタノール濃度:50重量ppm、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度:1500重量ppm)を得た。図2に示すとおり、該シクロヘキサノール含有混合物を配管14より蒸留塔5に供給し、連続運転を実施した。50hr程度経過したころから、蒸留塔の運転状態が不安定となったため、100hrにて連続運転を停止した。100hr後の蒸留塔5の塔頂より精製シクロヘキサノールが得られた。該精製シクロヘキサノールは、メチルシクロペンタノール濃度が50重量ppm、ペンタノール濃度が1重量ppm以下、メチルシクロヘキサノール濃度が50重量ppm含有し、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が1000ppmであった。
得られた精製シクロヘキサノールを使用した以外は実施例1と同様の方法で、アジピン酸を合成し、得られた精製アジピン酸の品質測定を行った。
得られた精製アジピン酸の溶融色数は20APHAであった。
上記連続運転後の蒸留塔5を開放したところ、蒸留塔の下部に堆積物が見られた。該堆積物はシクロヘキシルシクロヘキセン異性体などが反応して生成したものと考えられる。これらの物質が蒸留塔の詰まりを引き起こし、安定運転を阻害していた。
Figure 0005462981
本出願は、2011年7月12日出願の日本特許出願(特願2011−154023号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の精製シクロヘキサノールによれば高品質のアジピン酸を得ることができる。本発明により得られる高品質のアジピン酸は、自動車部品や電気部品等の様々な分野の材料の中間原料として有用であり、産業上の利用可能性を有する。
1・・・反応器
2・・・分離器
3、4、5・・・蒸留塔
6、7・・・原料供給管
8、10、11、12、14、15、16・・・配管
9、13・・・復帰管
17・・・精製品抜き出し管

Claims (5)

  1. メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmであって、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が15〜500重量ppmである精製シクロヘキサノール。
  2. シクロヘキセンの水和反応により、シクロヘキサノール、メチルシクロペンタノール及び水を含む溶液(I)を生成させる工程1、
    前記溶液(I)を水相とオイル相とに分離する工程2、
    前記オイル相からメチルシクロペンタノールを含む粗精製シクロヘキサノールを得る工程3、及び
    前記粗精製シクロヘキサノール中のメチルシクロペンタノールを分離除去することにより、メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmであって、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が15〜500重量ppmである精製シクロヘキサノールを得る工程4を含む、シクロヘキサノールの製造方法。
  3. 前記工程3において、
    粗精製シクロヘキサノールを得る装置として蒸留塔を用い、
    前記粗精製シクロヘキサノールを前記蒸留塔の中段から抜出す、請求項2に記載のシクロヘキサノールの製造方法。
  4. 前記工程4において、
    メチルシクロペンタノールを分離除去する装置として蒸留塔を用い、
    該蒸留塔に導入する粗精製シクロヘキサノールが、シクロヘキサノールを95〜99.8重量%及びメチルシクロペンタノールを1500〜20000重量ppm含み、
    該蒸留塔の塔頂から2〜5段の温度を144〜154℃(700mmHg)に制御する、請求項2又は3に記載のシクロヘキサノールの製造方法。
  5. メチルシクロペンタノール濃度が10〜1000重量ppmであって、シクロヘキシルシクロヘキセン異性体濃度が15〜500重量ppmである精製シクロヘキサノールを硝酸酸化する工程を含む、アジピン酸の製造方法。
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