JP3032931B2 - シクロヘキサノールの製造方法 - Google Patents

シクロヘキサノールの製造方法

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JP3032931B2 JP5340206A JP34020693A JP3032931B2 JP 3032931 B2 JP3032931 B2 JP 3032931B2 JP 5340206 A JP5340206 A JP 5340206A JP 34020693 A JP34020693 A JP 34020693A JP 3032931 B2 JP3032931 B2 JP 3032931B2
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベンゼンからシクロヘ
キサノールを製造するに当たり、使用原料の利用率を向
上するようにしたシクロヘキサノールの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】シクロヘキサノールはナイロンの前駆体
であるアジピン酸、ヘキサメチレンジアミンおよびε−
カプロラクタムの重要な中間原料である。ベンゼンを部
分水素化してシクロオレフィンを製造する方法として
は、主に金属ルテニウムよりなる粒子状水素化触媒と水
を用いる方法(特開昭61−50930号公報、特開昭
62−45544号公報、特開昭62−81332号公
報、特開昭62−205037号公報、特開昭63−1
7834号公報)が提案されている。また、シクロヘキ
センを水和してシクロヘキサノールを製造する方法とし
ては、特開昭58−121229号公報、特開昭63−
156736号公報、特公平1−33453号公報など
が知られている。これらの方法は、ベンゼンを部分水素
化してシクロヘキセンとシクロヘキサンの混合物を得
て、抽出,蒸留等でシクロヘキサン、シクロヘキセン、
ベンゼンに単離し、このうちのシクロヘキセンを酸触媒
の存在下に水和して、シクロヘキサノールを得るもの
で、本発明が対象としているシクロヘキサノールの製造
方法である。
【0003】一方、シクロヘキサンはメチルシクロペン
テンを含むため、触媒存在下で水素化処理してメチルシ
クロペンテン類をメチルシクロペンタンとし、次に蒸留
によって塔頂よりメチルシクロペンタンを分離除去して
高純度のシクロヘキサンを得ていた。シクロヘキサノー
ルの主な工業的製造方法としては、フェノールの核水素
化による方法と、シクロヘキサンの空気酸化によるシク
ロヘキサノン、シクロヘキサノールの混合物を経由する
方法が挙げられるが、これは、本発明が対象としている
ものではない。本発明が対象とする前記シクロヘキサノ
ールの製造方法において、シクロヘキセンの酸触媒によ
る水和反応は平衡反応であるために、生成物であるシク
ロヘキサノールは、シクロヘキセンとの混合物として得
られる。したがって、水和反応を用いて工業的にシクロ
ヘキサノールを製造する場合、上記の混合物より、反応
生成物であるシクロヘキサノールを分離取得し、残液を
水和反応の原料に戻す技術が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】シクロヘキセンとシク
ロヘキサノールの混合物より各成分を分離取得する方法
としては、比揮発度が非常に大きいことから、蒸留によ
る分離が最も簡単であり容易であるが、シクロヘキセン
の水和反応においては、副生物としてシクロヘキセンの
異性化物であるメチルシクロペンテン類などが生成す
る。本発明は、シクロヘキサノールを分離取得した上記
のような残液を適切に循環することと共に、ベンゼンを
部分水素化して得られたシクロヘキサンを適切に循環し
て、使用原料の利用率を向上させることができるシクロ
ヘキサノールの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかるシ
クロヘキサノール、シクロヘキセンおよびメチルシクロ
ペンテンの混合物からシクロヘキサノールを分離した残
液の循環、さらには、ベンゼンを部分水素化して得られ
るシクロヘキセン、シクロヘキサンおよびベンゼンから
分離されたシクロヘキサンの処理について検討した結
果、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、 a.ベンゼンを部分水素化する工程、 b.aの反応混合物をシクロヘキセン、シクロヘキサン
およびベンゼンの各成分に分離する工程、 c.分離されたシクロヘキセンを水和し、シクロヘキサ
ノールとメチルシクロペンテンとする工程、 d.メチルシクロペンテンとシクロヘキセン混合物とシ
クロヘキサノールを分離する工程、 e.メチルシクロペンテンとシクロヘキセン混合物をb
工程に戻す工程、 f.b工程において分離されたシクロヘキサンを脱水素
してベンゼンに変換する工程、ならびに g.f工程の反応混合物から、またはf工程の前にベン
ゼンとメチルシクロペンテン混合物とメチルシクロペン
タンを分離する工程、 h.g工程またはf工程のベンゼンとメチルシクロペン
テン混合物をa工程および/またはb工程に循環する工
程、ならびにf工程において生成する水素の一部または
全部をa工程に循環する工程からなることを特徴とする
シクロヘキサノールの製造方法である。
【0007】本発明のa工程は、ベンゼンを部分水素化
して、シクロヘキセンを生成させる工程である。ベンゼ
ンを部分水素化する方法としては、金属ルテニウムを主
成分とする水素化触媒を水相に存在させて、ベンゼンを
部分水素化する方法が好ましい。すなわち、ベンゼンと
水を混合し、水素化触媒および反応を促進させるための
添加剤と共にオートクレーブに仕込み、水素ガスの加圧
下に、オートクレーブ内容物を攪拌混合して、部分水素
化反応を行なわせる。本反応において、気相中の水素
は、水相と接している気境界面を通じて水相に拡散溶解
する。もちろん、水素は油相にも溶解し、油相を介して
水相に溶解するものである。その溶解した水素は該触媒
上に通し、多数の活性点に吸着される。一方、ベンゼン
も同様に、水相と接している油水界面を通じて水相に拡
散溶解する。その溶解したベンゼンは触媒上に通して吸
着され、活性点で水素と反応してシクロヘキセンを生成
し、未反応ベンゼンおよび副生成物のシクロヘキサンを
含んだ混合物となる。
【0008】本発明の原料となるベンゼン組成としては
ベンゼン純度の高いものが望ましいが、不純物として炭
化水素化合物、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタ
ン等のナフテン類、ペンタン、ヘキサン等のパラフィン
類、シクロヘキセン、メチルシクロペンテン、メチルシ
クロヘキセン等のオレフィン類を含有していてもよく、
また、無機物として例えば、窒素、アルゴン等を含んで
いてもよい。ここで、オレフィン類は水素化されてナフ
テン類になる。水素ガスの組成は純度の高いものが望ま
しいが、ベンゼンの不純物と同様の炭化水素化合物や無
機物を含んでいてもよい。本発明における部分水素化触
媒の例として以下に示すが、本発明は、この触媒にかぎ
らない。
【0009】200オングストローム以下の平均結晶子
径を有する金属ルテニウムを主成分とする水素化触媒粒
子を用いる。この触媒は、種々のルテニウム化合物を還
元して得られるもの、またはその調製段階もしくは調製
後において他の金属、例えば、亜鉛もしくはクロム、モ
リブデン、タングステン、マンガン、コバルト、ニッケ
ル、鉄、銅などを加えたルテニウムを主成分とするもの
である。種々のルテニウム化合物としては特に制限はな
いが、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫
酸塩、水酸化物、酸化物、ルテニウムレッドあるいは各
種のルテニウムを含む錯体などを用いることができ、還
元法としては、水素ガスによる還元あるいはホルマリ
ン、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン等による化学
還元法によって行なうことができる。特にルテニウムの
塩を加水分解して水酸化物とし、これを還元する方法は
好ましく用いられる。
【0010】また、本発明方法においては、あらかじめ
亜鉛を含有せしめたルテニウムの還元物を使用すると、
環状オレフィンの収率をさらに高めることができ、有効
に使用される。かかる触媒は、あらかじめ有価のルテニ
ウム化合物に亜鉛化合物を含有せしめた後、還元して得
られる還元物であり、ルテニウムは金属状態まで還元さ
れたものである。使用できる有価のルテニウム化合物
は、例えば、塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの塩、アンミ
ン錯塩などの錯体、水酸化物、酸化物などであるが、特
に3価もしくは4価のルテニウムの化合物が入手もしや
すく、また、取扱い上も容易であるので好ましい。ま
た、ルテニウム触媒を作る上で使用できる亜鉛化合物
は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの塩、アンミン錯塩な
どの錯体、水酸化物、酸化物など幅広いものが使用可能
である。かかる触媒中の亜鉛含有量は、ルテニウムに対
し0.1〜50重量%、好ましくは2〜20重量%に調
製される。したがって、触媒の主構成要素は、あくまで
ルテニウムであり、亜鉛は担体ではない。
【0011】このような亜鉛を含有する有価のルテニウ
ム化合物は、亜鉛化合物およびルテニウムの化合物の混
合溶液を用いて、一般的な共沈法などによって固体とし
て得てもよいし、あるいは均一溶液の状態で得てもよ
い。かかる亜鉛を含有する有価のルテニウム化合物の還
元方法としては、一般的なルテニウムの還元方法を応用
することができる。例えば、気相において水素で還元す
る方法、液相において水素もしくは適当な化学還元剤、
例えば、NaBH4やホルマリンなどを用いて還元する
方法が好ましく応用され、水素により気相もしくは液相
で還元する方法は特に好ましい。気相において水素で還
元する場合は、結晶子径の増加を避ける意味で、極度の
高温を避けたり、あるいは水素を他の不活性気体で希釈
するなどの工夫をするとよい。また、液相で還元する場
合には、水やアルコール類に、亜鉛を含有する有価のル
テニウム化合物の固体を分散させて行なってもよいし、
もしくは均一溶液の状態で行なってもよい。この際、還
元をよりよく進行させるために、攪拌、加熱などを適当
に行なうとよい。また、水のかわりにアルカリ水溶液や
適当な金属塩水溶液、例えば、アルカリ金属塩水溶液な
どを用いてもよい。
【0012】以上の如き水素化触媒粒子は、主にルテニ
ウムよりなる結晶子および/またはその凝集した粒子と
して反応系に存在するが、環状オレフィン類の選択率や
収率、さらには反応速度を高めるためには、該結晶子の
平均結晶子径は200オングストローム以下であること
が好ましく、150オングストローム以下であることが
さらに好ましい。最も好ましくは100オングストロー
ム以下である。粒子径は微細なものほど効果的である
が、その下限は「結晶性」と言う言葉で規定される。結
晶性ては原子がある対称に従って規則正しく周期的に配
列しているものであり、X線による回折現象が認められ
るものである。ここで、平均結晶子径は一般的方法、す
なわち、X線回折法によって得られる回折線幅の拡がり
から、Sherrerの式により算出されるものであ
る。具体的には、CuKα線をX線源として用いた場合
は、回折角(2θ)で44°付近に極大をもつ回折線の
拡がりから算出されるものである。
【0013】本発明においては、上記の如き水素化触媒
粒子は単独に用いることができるが、シリカアルミナや
酸化チタン等と云った担体に担持して用いることもでき
る。上記の如き水素化触媒粒子とは別に、酸化ジルコニ
ウムもしくは酸化ハフニウムの少なくとも1種を添加し
ての反応が好ましい。添加される酸化物の量は、反応系
に共存する水に対して1×10-3〜0.3重量倍、好ま
しくは1×10-2〜0.1重量倍である。添加される酸
化物は、微粉末状であることが好ましく、その平均粒子
径0.005〜10ミクロンであることがさらに好まし
い(特開昭62−81332号に記載)。また、添加剤
としてアルコールを使用することもある(特開昭61−
44830号に記載)。さらに、水素化触媒とは別に酸
化ジルコニウムもしくは酸化ハフニウムホウ素を除くI
IIA族元素、バナジウムを除くVB族元素、クロム、
鉄、コバルト、チタン、もしくはケイ素の酸化物(特開
昭62−201830号に記載)より選ばれた少なくと
も1種を添加して反応を行なうものであってもよい。さ
らに、上記条件の水素化触媒スラリー水溶液に少なくと
も1種の水溶性亜鉛化合物共存下(特開昭62−455
44号)あるいは固体塩基性硫酸亜鉛および/または固
体塩基性硫酸亜鉛塩の共存下、中性、または酸性の条件
下に反応を行なうものであってもよい(特開昭62−2
05037号、特開昭63−17834号、特開昭63
−63627号、特開昭63−88139号、特開昭6
3−152333号に記載の方法)。
【0014】反応液水相中の触媒は少ない場合反応速度
が遅く反応器が大きくなり、工業的に成り立ちにくい
し、多いと水相の粘度が高くなりすぎて流動性がなくな
り、水相での溶解水素や単環芳香族炭化水素の拡散速度
が阻害され反応速度を落としてしまう。したがって、水
に対する水素化触媒の重量比は0.001〜0.2の範
囲が好ましい。反応温度は25〜250℃、好ましくは
100〜200℃の範囲である。また水素ガスの水素分
圧は5〜150kg/cm2 、好ましくは10〜100
kg/cm2 の範囲である。b工程は、a工程で生成し
た反応混合物をシクロヘキセン、シクロヘキサンおよび
ベンゼンの各成分に分離する工程であり、抽出,蒸留に
より分離することができる。
【0015】部分水素化反応による反応生成物は、シク
ロヘキセン、シクロヘキサン、それに未反応ベンゼンで
ある。これらの沸点は、非常に接近している。シクロヘ
キセン沸点=83.0℃、シクロヘキサン沸点=80.
8℃、ベンゼン沸点=80.1℃である。反応生成物は
通常の蒸留分離では難しい。アジポニトリル、スルフォ
ラン、ジメチルアセトアミド等の溶媒を共存させて蒸留
する抽出蒸留法を用いると、各成分の親和力によって、
比揮発度を高められて蒸留分離が可能となる。ジメチル
アセトアミド溶媒を用いる特開昭58−164524
号、スルフォン化合物溶媒を用いる特開昭57−476
28号、脂肪族ジニトリル化合物を用いる特開昭57−
55129号、ジメチルアセトアミドとアジポニトリル
の混合溶媒を用いる特開平1−135730号がある。
【0016】第1塔目の中段に反応生成物を、上段付近
に該溶媒を供給して蒸留すると、塔頂よりシクロヘキサ
ンとシクロヘキセン混合物を留出し、塔底よりベンゼン
と溶媒の混合物が抜出される。この塔底液を第2塔目で
蒸留し、塔頂よりベンゼンを留出させ、塔底より溶媒を
回収し、その回収溶媒は、第1塔目の上段付近に再度供
給される。シクロヘキサンとシクロヘキセン混合物の分
離も同様にして、シクロヘキセンとシクロヘキサンに単
離できる。なお、ベンゼンは、再度、反応に使用され
る。また、該分離の順序として、第1塔目の中段に反応
生成物を、上段付近に該溶媒を供給して蒸留すると、塔
頂よりシクロヘキサンを留出し、塔底よりベンゼンとシ
クロヘキセンを溶媒の混合物で抜き出される。この塔底
液を第2塔目の中段に供給し、塔頂付近に該溶媒を供給
し、蒸留すると、塔頂よりシクロヘキセンを留出し、塔
底よりベンゼンと溶媒の混合物が抜き出される。この塔
底液を第3塔目で蒸留し、塔頂よりベンゼンを留出さ
せ、塔底より溶媒を回収し、その回収溶媒は、第1塔
目、第2塔目の上段付近に再度供給される。
【0017】反応生成物にメチルシクロペンテンやメチ
ルシクロペンタンを共存させて抽出蒸留すると、シクロ
ヘキサンと同様な分離挙動を示し、メチルシクロペンテ
ンとメチルシクロペンタンはシクロヘキサンの不純物と
して塔頂より留出し、シクロヘキセンは塔底より、抽剤
との混合物として取り出される。さらに、該混合物は蒸
留塔において分離され、塔頂より高純度のシクロヘキセ
ンが取得される。特に抽出蒸留工程に供給する粗シクロ
ヘキセン中のメチルシクロペンテン類の濃度が低い場合
にシクロヘキサン側にメチルシクロペンテンの留出する
効果があり、例えば、粗シクロヘキセン中のメチルシク
ロペンテン類の重量分率として0.01〜数%において
特に有効である。使用する抽剤量は、用いる抽剤によっ
て多少異なるが、抽剤と粗シクロヘキセン、あるいは抽
剤と粗シクロヘキセンおよびシクロヘキサンの混合物の
総量に対し、重量分率として30〜95%、好ましくは
40〜90%である。
【0018】抽出蒸留を実施する場合の操作圧力は、常
圧、加圧、減圧のいずれでもよく、エネルギーの有効利
用をはかるために多重効用システムを採用する場合に
は、減圧系を組合せることが望ましい。c工程は、b工
程で分離されたシクロヘキセンを水和し、シクロヘキサ
ノールとメチルシクロペンテンとする工程である。この
水和反応に用いる酸触媒は、例えば、硫酸、ヘテロポリ
酸等の強酸、あるいは結晶性アルミナシリケート等の固
体酸のうち、いずれを使用してもよいが、好ましくは固
体酸を用いて水相にて反応させるものである。すなわ
ち、シクロヘキセンと水と固体酸触媒をオートクレーブ
に仕込み、オートクレーブ内容物と攪拌混合して水和反
応を行なわせる。
【0019】オートクレーブにおいて油相中のシクロヘ
キセンは水相と接触している界面を通じて水相へ拡散溶
解する。その溶解したシクロヘキセンは該触媒上に達し
吸着され、同時に吸着されている水と反応してシクロヘ
キサノールを生成する。このシクロヘキサノールは触媒
より離脱して水相に溶解拡散する。この水相中のシクロ
ヘキサノールは油相と接している界面を通して油相に移
動する。この油相よりシクロヘキサノールを取得するも
のである。また、原料組成としてはシクロヘキセン純度
の高いものが望ましいが、不純物として炭化水素化合
物、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族、シクロヘ
キサン、シクロペンタン等のナフテン類、ペンタン、ヘ
キサン等のパラフィン類を含有していてもよい。これら
の不純物の濃度は30重量%以下が好ましい。また、無
機物として例えば、水、窒素、アルゴン、炭酸ガス、一
酸化炭素等を含んでいてもよい。ただし、酸素は触媒の
活性低下をきたす恐れがあり、できるだけ共存しない方
が好ましい。
【0020】本発明で使用する触媒の例として以下に示
すが、本発明ではこの例のみではない。結晶性アルミノ
シリケートは一次粒子径が0.5μm以下のものであ
り、好ましくは0.1μm以下のものである。粒子径は
微細なものほど本発明の効果が明確になるが、その下限
は前述のように、「結晶性」と言う言葉で規定される。
したがって、一定の周期が起こり、X線回折現象が認め
られるためには、結晶構造に基づくある限界の大きさが
存在する。よって、本発明で使用する結晶性アルミノシ
リケートは、X線回折現象が認められ、かつ、一次粒子
径が0.5μm以下のものということができる。なお、
一次粒子径の測定は走査型電子顕微鏡写真(倍率20,
000〜10,000倍)を用いて行なう。
【0021】本発明で使用する一次粒子径が0.5μm
以下の結晶性アルミノシリケートは、シリカとアルミナ
のモル比を特に規定するものでないが、シリカとアルミ
ナのモル比が10以上であるもの、特にシリカとアルミ
ナのモル比が20以上であるものが好ましい。シリカと
アルミナのモル比が高いと、水和反応の活性点である酸
点の酸強度は増加するが、一方、酸点の量は著しく減少
する。シクロヘキセンを原料とする場合、その性質、反
応性等よりそのままでは必ずしも水和反応の活性、選択
性を向上させるものではないが、微粒化することによ
り、反応の活性点の増加およびその他の作用によって、
著しい活性、選択性の向上がみられ、実用的な意味は大
きい。
【0022】ところで、一次粒子の粒径が小さければ、
それらの凝集等によりできる二次粒子の径が大きくなっ
たものでも有効である。二次粒子径は50μm以下が好
ましい。これ以上になると触媒粒子のマクロ細孔内での
シクロヘキセンやシクロヘキサノールの物質移動が抑え
られて、反応速度が低下するものである。ここで言う粒
径とは、その示された数値以下のものが少なくとも50
重量%以上であるものを云う。反応液中の水相中の触媒
は少ない場合反応速度が遅く反応器が大きくなり、工業
的に成り立ちにくいし、多いと水相の粘度が高く成りす
ぎて流動性がなくなり、水相での環状オレフィンの拡散
速度が阻害され反応速度を落としてしまう。したがっ
て、水に対する触媒の重量比は0.01〜2.0の範囲
が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.0の範囲で
ある。
【0023】反応温度は通常50〜250℃の範囲で行
なわれるが、好ましくは70〜200℃、特に80〜1
50℃の範囲が好ましい。また、反応圧力は特に制限は
ないが、水およびオレフィンのりょ右方が液相を保ちう
る圧力にすることが好ましい。d工程は、c工程で生成
した反応物からシクロヘキサノールを分離する工程であ
り、蒸留により分離することができる。シクロヘキサノ
ール、シクロヘキセンおよびメチルシクロペンテン類の
混合物とは、上記の水和反応で得られるものであり、さ
らに、メチルシクロペンテン類の水和物である極微量の
メチルシクロペンタノール類も含まれる。また、他の不
純物として、シクロヘキセンの製造方法に由来するも
の、例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を含んでいて
も差し支えないし、水和反応器から流出する水も含まれ
ていてもなんら問題ない。
【0024】メチルシクロペンテン類とは、詳しくは1
−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロペンテンお
よび4−メチルシクロペンテンを云い、特に1−メチル
シクロペンテン、3−メチルシクロペンテンを云う。メ
チルシクロペンタノール類とは、1−メチルシクロペン
タノール、2−メチルシクロペンタノールおよび3−メ
チルシクロペンタノールを云い、特に1−メチルシクロ
ペンタノール、3−メチルシクロペンタノールを云う。
シクロヘキセン、シクロヘキサノール、副生物のメチル
シクロペンテン類および同じく副生物のメチルシクロペ
ンタノール類を含む混合物より、メチルシクロペンタノ
ール類を含むシクロヘキサノールを取得する方法として
は、蒸留塔を使用する以外にも、例えば、液々抽出と蒸
留の組合せ等が挙げられるが、操作の簡便さおよび設備
面からみて、蒸留によってメチルシクロペンタノールを
含むシクロヘキサノールを塔底より取得することが最も
有効である。
【0025】e工程は、d工程でシクロヘキサノールを
分離した残液であるメチルシクロペンテンとシクロヘキ
セン混合物をb工程、すなわち、抽出蒸留に戻す工程で
あり、この工程と以後の工程の結合によって、使用原料
の利用率を向上させることができる。すなわち、シクロ
ヘキサノールを取得後の残液は、一部は直接、水和反応
の原料に戻してもよいし、他の一部もしくは全てを抽出
蒸留に付してメチルシクロペンテン類が低濃度の流れと
した後、水和反応の原料に戻してもよい。抽出蒸留に付
す量は、水和反応器入口の水和反応の原料中のメチルシ
クロペンテン類濃度と関係する。水和反応器入口のメチ
ルシクロペンテン類濃度は0〜5重量%以下、好ましく
は0〜2重量%以下、さらに好ましくは0〜5,000
ppm以下に管理することにより、平衡生成物であるメ
チルシクロペンタノール類の生成が抑制され、その結
果、分離取得されるシクロヘキサノール中のメチルシク
ロペンタノール類の濃度を1重量%以下、好ましくは
5,000ppm以下、さらに好ましくは1,000p
pm以下にすることができる。したがって、抽出蒸留に
付す量は、シクロヘキサノールを分離取得した後の残液
中のメチルシクロペンテン類の濃度、抽出蒸留によるメ
チルシクロペンテン類の除去率および反応消費シクロヘ
キセンの補充量で決められる。
【0026】前述のb工程抽出蒸留はシクロヘキセン中
のメチルシクロペンテン類を除去するためにも必要であ
る。f工程は、b工程において分離されたシクロヘキサ
ンを脱水素してベンゼンに変換する工程である。この場
合の脱水素方法としては、触媒存在下、気相条件下にシ
クロヘキサンを流通させてベンゼンに変換する。シクロ
ヘキサン類からベンゼン類を製造する方法は広範に知ら
れており、例えば、USPNo.3,326,094、
USPNo.4,355,091、USPNo.4,0
83,883等に記載されている。これらの内、USP
No.4,083,883の方法によれば、白金、ロジ
ウム、ニッケルを組合せてアルミナに担持させた触媒を
用いて、シクロヘキサン類を気相反応を行なって脱水素
することにより、ベンゼン類を製造することができる。
【0027】さらに詳しく云うと、白金属系の金属をポ
ーラスな担体に担持させた触媒を用い、気相条件下にシ
クロヘキサン類を流通させてベンゼン類に変換する。こ
の場合の白金属系の金属としては、白金、パラジウム、
ロジウム、ルテニウム等である。触媒はこれらを2種以
上組合せ、さらにニッケル等を添加して調製される。金
属を担持させるポーラスな担体としては、耐火性の無機
酸化物、例えば、アルミナ、チタニン、ジルコニア等で
あるが、アルミナが特に好ましい。反応温度は170〜
650℃の範囲、圧力は0.1〜10気圧の範囲であ
る。LHSVは1〜40Hr-1である。水素と炭化水素
のモル比は1:1から20:1の範囲が好ましい。この
場合、メチルシクロペンタンやメチルシクロペンテンが
シクロヘキサンに共存しているが、メチルシクロペンタ
ンやメチルシクロペンテンは、脱水素触媒下では一部異
性化してシクロヘキサン経由でベンゼンになるため、さ
らに、使用原料が有効に利用できる。
【0028】g工程は、f工程の反応混合物から、ある
いはf工程の前でベンゼンとメチルシクロペンテン混合
物とメチルシクロペンタンを分離する工程であり、蒸留
により分離することができる。各成分の沸点はベンゼン
80.1℃、1−メチルシクロペンテン75℃、3−メ
チルシクロペンテン65.0℃、メチルシクロペンテン
72.1℃であり、抽出蒸留工程のメチルシクロペンテ
ンやメチルシクロペンタン類の蓄積を避けるため、蒸留
分離する。蒸留塔の中段より該混合物を供給し、塔頂よ
りメチルシクロペンタンを主成分としてベンゼン、メチ
ルシクロペンテンを留出し、塔底よりベンゼンを主成分
としてメチルシクロペンテンを含む混合物が抜き出され
る。
【0029】h工程は、g工程またはf工程のベンゼン
とメチルシクロペンテン混合物、およびf工程において
生成する水素の一部または前部をa工程および/または
b工程に循環する工程である。すなわち、f工程の反応
ガスは直接あるいは凝縮冷却器を用いて水素ガス以外の
液状同伴成分を除いた後、圧縮機で圧縮し、a工程のベ
ンゼンを部分水素下してシクロヘキセンを製造する工程
へ循環する。脱水素工程でシクロヘキサンの転化率が1
00%でない場合も考えられる。そのときはa工程に循
環するよりb工程でシクロヘキサンとベンゼンを分離す
ることが好ましい。本発明においては、シクロヘキサン
を副生しないので、ベンゼンからシクロヘキセン経由で
シクロヘキサノールを製造する場合の原料ベンゼンおよ
び水素ガスの使用を大幅に削減できるため、実用的、か
つ、経済的なプロセスが提供される。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるも
のではない。 (実施例1) (シクロヘキセンの製造)金属ルテニウム粒子の水素下
触媒は平均結晶子径55オングストロームで、亜鉛含有
量が7.4重量%であるものを水相中に懸濁させて、ベ
ンゼンの部分水素化反応を以下の条件で行なった。部分
水素化反応器として、内面にテフロンコーティングを施
した内容積4リットルの撹拌機付耐圧反応器の内部に、
温度計サヤ管・原料液導入管・水素ガス吹き込み管・反
応生成物抜出管・圧力計を取りつけ、攪拌翼はタービン
翼一段とした。反応生成物抜出ノズルの付近に気液界面
を貫いた堰板を設けて油水分離する静置量域とした。さ
らに、反応器外面に温調用電気ヒーターを取りつけ、原
料液導入管にはベンゼン供給管と水供給管を接続した。
それぞれの配管はすべて流量計を取り付けた。反応生成
物抜出ノズルは反応器の上方に設けた。なお、油水分離
状態を観察し界面位置を測定するために、反応器の側面
の一部にじか付けのガラス製の覗き窓を設けた。
【0031】水素化反応は、はじめに装置内を窒素パー
ジした後、上記水素化触媒9.8g、水1.40リット
ル、ZnSO4 ・7H2 O248g、ZrO2 粉末(平
均粒径0.35ミクロン)49gを反応器内に仕込み、
撹拌機を6,000rpmで回転し、電気ヒーターにて
昇温して反応器内温を140℃一定になるように制御し
た。水素ガスを圧入して全圧を常時50kg/cm2
なるよう制御して、フレッシュなベンゼン液としてメチ
ルシクロペンテン0.1%を含むベンゼンを徐々に供給
していき、定常時1.25kg/hrとした。反応器内
静置量域の油水界面レベルは、反応生成物抜出ノズルよ
り下方に位置するようにし、反応生成物に溶解して持ち
出される水量に見合った分の水を原料導入管を通じて供
給した。気液界面は反応生成物抜出ノズルをオーバーフ
ロー形式とすることで一定に保つことにした。全系安定
後、反応器抜出ノズルからの反応生成物組成を分析した
結果、ベンゼンの転化率=38%、シクロヘキセン選択
率=80%であり、副生成物はシクロヘキサンであっ
た。また、メチルシクロペンテンはメチルシクロペンタ
ンに水素化されていた。
【0032】(シクロヘキセン、シクロヘキサン、およ
びベンゼンの分離)実段数60段のシーブトレイ型精留
塔を用い、下から30段目に、上記反応混合物100部
と、水和反応工程で留出した粗シクロヘキセン5部を加
えた後の組成が重量分率で1−メチルシクロペンテンが
0.17%、3−メチルシクロペンテンが0.03%、
メチルシクロペンタン0.1%、ベンゼン59%、シク
ロヘキサン8%、残りシクロヘキセン32.7%である
混合物を10kg/Hで供給した。一方、抽剤である
N,N−ジメチルアセトアミドを使用し、原料に対しモ
ル比3で、下から55段目に供給し、還流比2で常圧に
て運転を行なったところ、塔頂留出液中のベンゼン濃度
は0.1%であり、シクロヘキサンは20%、1−メチ
ルシクロペンテンは0.4%、3−メチルシクロペンテ
ンは0.08%、メチルシクロペンタンは0.3%、残
りシクロヘキセンであった。
【0033】また、塔底液を実段40段のシーブトレイ
型精留塔を用いて、下から20段目に供給し、還流比2
で常圧にて運転したところ、塔頂よりシクロヘキセン
0.2%、ベンゼン99.8%の純度で5.9kg/H
で得られた。シクロヘキセン、シクロヘキサンの留出液
を再び抽出蒸留工程にフィードした。すなわち、上記で
用いた蒸留塔を用い、塔底から30段目のところに、混
合物を10kg/Hで連続的に供給した。一方、抽剤と
してN,N−ジメチルアセトアミドを使用し、原料に対
しモル比9で、下から55段目に供給し、還流比11.
0で常圧にて運転を行なったところ、塔頂留出液中のシ
クロヘキセン濃度は0.55%であり、1−メチルシク
ロペンテンは1.20%、3−メチルシクロペンテンは
0.22%、メチルシクロペンタンは1.5%、他はシ
クロヘキサンであった。また、塔底液を実段数40段の
シーブトレイ型精留塔を用いて、下から20段目に供給
し、還流比4.0で常圧にて運転したところ、塔頂よ
り、1−メチルシクロペンテン0.005%を含むシク
ロヘキセンが99.8%の純度で7.7kg/Hで取得
できた。なお、3−メチルシクロペンテンは検出されな
かった。
【0034】(シクロヘキサノールの製造)平均一次粒
子径0.04μmで、SiO2 Al2 3 比が28であ
るH型のZSM−5の触媒を用いて、シクロヘキセンの
水和反応を以下の条件にて行なった。内部の状態が観察
できるようにガラスの覗き窓をじか付けした4リットル
のステンレス製撹拌機付オートクレーブを用いて、内部
に、温度計サヤ管・原料導入管・反応生成物抜き出し管
圧力計を取り付け、攪拌翼はプロペラ翼一段として、そ
の翼下直近に、分散器を原料導入管に接続して設け、反
応生成物抜き出しノズルの付近の気液界面を貫いた堰板
を設けて油水分離する静置部とした。さらに、オートク
レーブ外面に温調用電気ヒーターを取り付け、原料導入
管にはシクロヘキセン供給管と水供給管を接続した。そ
れぞれの配管は全て流量計を取り付けた。反応生成物抜
き出しノズルはオートクレーブの上方に設けた。攪拌部
内壁面にバッフルプレートを4枚装着した。
【0035】水和反応は、はじめに、水和反応器内を窒
素パージした後、該触媒30重量%の触媒濃度の水スラ
リー2.68kgを反応器内に仕込み、撹拌機を530
rpmで回転し、電気ヒーターにて昇温して反応器内温
を120℃一定になるように制御した。メチルシクロペ
ンテン類3.5%を含む原料シクロヘキセン液を徐々に
供給していき、定常時約1.37kg/hrとした。反
応器内圧は6kg/cm2 ゲージ一定になるよう窒素に
て常時加圧した。反応器内静置部の油水界面レベルは、
反応生成物抜き出しノズルより下方に位置するように、
消費水量に見合った分の水を原料導入管を通じて供給し
た。気液界面は反応生成物抜き出しノズルをオーバーフ
ロー型式にすることで一定に保つことにした。全系安定
後、反応器出の反応生成物中のシクロヘキサノール濃度
は11.1重量%であり、不純物はメチルシクロペンテ
ン類が4.0%、メチルシクロペンタノールが0.03
%であった。
【0036】(シクロヘキサノールの分離)実施したフ
ローを図1に示す。以下、図面にしたがい実施内容を説
明する。1は反応消費分のシクロヘキセンを補充する流
れであり、低濃度のメチルシクロペンテン類を含有する
循環シクロヘキセン流れ7と混合し、水和反応器R1に
供給する。未反応シクロヘキセンと主生成物であるシク
ロヘキサノールおよび副生物である微量のメチルシクロ
ペンテン類とメチルシクロペンタノール類を含有する生
成物流3を蒸留塔11に供給し、シクロヘキサノール液
5を取得する。さらに、メチルシクロペンテン類を含有
する流れ4の100部に耐子手2部をb工程の抽出蒸留
塔へ供給する。残り98部は水和反応器へ戻す。各組成
は表1のとおりである。
【0037】
【表1】
【0038】(シクロヘキサンのベンゼンへの変換)ベ
ンゼン部分水素化の反応混合物を抽出蒸留して分離した
シクロヘキサンを次のように脱水素反応させた。シクロ
ヘキサンの組成は、シクロヘキセン0.55%、1−メ
チルシクロペンテン1.20%、3−メチルシクロペン
テン0.22%、メチルシクロペンタン1.5%であっ
た。白金0.3重量%、ロジウム0.1重量%およびニ
ッケル0.3重量%以下)をアルミナに担持した触媒
(塩素の含量は0.2%以下)を反応管に充填し、反応
温度480℃、圧力7kg/cm2 、LHSV3.0H
-4の条件下、脱水素反応を行なった。反応管の出口か
ら排出される生成物混合ガスは、リサイクルガスとして
反応管入口に循環し、シクロヘキセンはこのリサイクル
ガスに耐子手1/4モルの割合で供給した。反応系が安
定したところで、反応生成物の分析を行なったところ、
供給したシクロヘキサン、シクロヘキセンはほぼ定量的
にベンゼンに変換していた。1−メチルシクロペンテン
は1.0%、3−メチルシクロペンテンは0.2%、メ
チルシクロペンタンは0.8%であった。
【0039】(メチルシクロペンタンの分離)シクロヘ
キサンの脱水素工程で得られた反応物を冷却し、水素を
除去した後、実段数60段のシーブトレイ型蒸留塔を用
い、下から30段目に液状生成物を供給した。塔頂よ
り、メチルシクロペンタン30%、メチルシクロペンテ
ン類10%、残りベンゼンの液が留出した。塔底よりメ
チルシクロペンテン類1.0%、残りベンゼンの液を得
た。塔底液は、a.シクロヘキセン製造工程の原料ベン
ゼンとして戻した。一方、脱水素反応で生成し、冷却分
離した水素は圧縮し、a.シクロヘキセン製造工程の原
料水素として戻した。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ヘキセンを原料
としてシクロヘキサノールを製造する方法において、前
記a〜hの工程の各工程を結合することにより、ベン
ゼンからシクロヘキサノールが合理的に製造でき、し
かも、シクロヘキサンをベンゼンに変更する工程で発生
する水素ガスおよびベンゼンを原料として、部分水素化
によるシクロヘキセンの製造に友好に利用できるので、
プロセス全体の経済性を著しく高めることができる。 さらに、メチルシクロペンテン類の副反応生成物は、
脱水素工程で一部異性化されベンゼンにできるために、
ベンゼンからのシクロヘキサノールが理論原単位にほぼ
等しくでき、廃棄物をほとんど発生しないプロセスにな
る。 a工程の部分水素化で副生するシクロヘキサンの量を
自由に制御することが可能となり、シクロヘキセン収率
の高い反応条件の最適化が可能となる。 本発明の工業化した場合、プラントの立上げや停止時
に従来ではシクロヘキサンが多量に出るが、シクロヘキ
サンをベンゼンに戻すことができるため、その処理が必
要でなくなる等の効果もあり、運転操作上非常に容易に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるシクロヘキサノールの分離工程
説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−90242(JP,A) 特開 平1−128949(JP,A) 特開 昭56−43227(JP,A) 特開 平4−41448(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 35/08 C07C 29/04 C07B 61/00 300

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a.ベンゼンを部分水素化する工程、 b.aの反応混合物をシクロヘキセン、シクロヘキサン
    およびベンゼンの各成分に分離する工程、 c.分離されたシクロヘキセンを水和し、シクロヘキサ
    ノールとメチルシクロペンテンとする工程、 d.メチルシクロペンテンとシクロヘキセン混合物とシ
    クロヘキサノールを分離する工程、 e.メチルシクロペンテンとシクロヘキセン混合物をb
    工程に戻す工程、 f.b工程において分離されたシクロヘキサンを脱水素
    してベンゼンに変換する工程、ならびに g.f工程の反応混合物から、またはf工程の前にベン
    ゼンとメチルシクロペンテン混合物とメチルシクロペン
    タンを分離する工程、 h.g工程またはf工程のベンゼンとメチルシクロペン
    テン混合物をa工程および/またはb工程に循環する工
    程、 ならびにf工程において生成する水素の一部または全部
    を上記a工程に循環する工程からなることを特徴とする
    シクロヘキサノールの製造方法。
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