JPH07196538A - シクロヘキセンの製造方法 - Google Patents

シクロヘキセンの製造方法

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JPH07196538A
JPH07196538A JP5349429A JP34942993A JPH07196538A JP H07196538 A JPH07196538 A JP H07196538A JP 5349429 A JP5349429 A JP 5349429A JP 34942993 A JP34942993 A JP 34942993A JP H07196538 A JPH07196538 A JP H07196538A
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JP
Japan
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benzene
cyclohexene
cyclohexane
reaction
ruthenium
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JP5349429A
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English (en)
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Kunihiko Yamashita
邦彦 山下
Mineyuki Iwasaki
峰征 岩崎
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベンゼンを部分水素化して得られる単離シク
ロヘキサンを適切に循環して、使用原料の利用率を向上
させることができるシクロヘキセンの製造方法を提供す
る。 【構成】 a.特定の触媒を使用し、酸性の条件下でベ
ンゼンを部分水素化する工程、b.aの反応混合物をシ
クロヘキセン、シクロヘキサンおよびベンゼンの各成分
に分離する工程、c.b工程において分離されたシクロ
ヘキサンおよび少量Cパラフィンおよび/またはC
オレフィンを脱水素してベンゼンに変換する工程、
d.c工程のベンゼンをa工程に循環する工程、ならび
にc工程において生成する水素の一部または全部をa工
程に循環する工程からなるシクロヘキセンの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベンゼンからシクロヘ
キセンを製造するに当たり、使用原料の利用率を向上す
るようにしたシクロヘキセンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロヘキセンは有機化学工業製品の中
間原料としてその価値が高く、特にポリアミド原料、リ
ジン原料などとして重要である。ベンゼンを部分水素化
してシクロオレフィンを製造する方法としては、主に金
属ルテニウムよりなる粒子状水素化触媒と水を用いる方
法(特開昭61−50930、特開昭62−4554
4、特開昭62−81332、特開昭62−20503
7、特開昭63−17834)が提案されている。
【0003】さらに、ベンゼンを部分水素化してシクロ
ヘキセンとシクロヘキサンおよび未反応ベンゼンの混合
物を得て、抽出蒸留等でシクロヘキサン、シクロヘキセ
ン、ベンゼンに単離しシクロヘキセンを取得する方法
(特開昭58−164524、特開昭57−4762
8、特開昭57−55129、特開平1−13573
0)がある。また、シクロヘキサンは少量のシクロヘキ
センを含むため、触媒存在下で水素化処理してシクロヘ
キセンをシクロヘキサンとし、高純度のシクロヘキサン
を得る方法(特開平3−287548)が提案されてい
る。シクロヘキセンの主な工業的製造方法としては、シ
クロヘキサノールの脱水によりシクロヘキセンを得る方
法が挙げられるが、これは、本発明が対象としているも
のではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が対象とする前
記シクロヘキセンの製造方法において、ベンゼンのルテ
ニウム触媒による部分水素化反応は並発逐次反応である
ため、中間生成物であるシクロヘキセンは、シクロヘキ
サンやベンゼンの混合物として得られる。
【化1】 しかも、シクロヘキセンの収率を上げるためにベンゼン
転化率を上げると、シクロヘキサンが多量に生成するの
で、シクロヘキサンの需給バランスによっては、シクロ
ヘキサンの副生を抑えるためにベンゼンの転化率を下げ
ざる得ず、シクロヘキセン収率を高めることができなか
った。
【0005】ベンゼン、シクロヘキセンとシクロヘキサ
ンの混合物より各成分を分離取得する方法としては、比
揮発度が非常に小さいことから、抽出蒸留による分離が
最も簡単であり、容易であるが、特に、抽出蒸留を用い
ても、シクロヘキサンとシクロヘキセンの分離の比揮発
度は小さく、多量の抽剤を使用することが必要であり、
しかも、単離シクロヘキセン純度を高めるには、単離シ
クロヘキサン中のシクロヘキセン濃度を甘くせざるを得
ず、単離シクロヘキサンはシクロヘキセンを含むため、
市場での価値が減少していた。きいおい、不純分のシク
ロヘキセンを水素化処理して、高純度のシクロヘキサン
を得ることになり、ベンゼンの部分水素化反応工程と、
抽出蒸留工程さらに単離シクロヘキサンの水素化処理を
含めて、全体としてのシクロヘキセン収率を下げること
になっていた。本発明は、ベンゼンを部分水素化して得
られた単離シクロヘキサンを適切に循環して、使用原料
の利用率を向上させることができるシクロヘキセンの製
造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかるベ
ンゼンを部分水素添加して得られるシクロヘキセン、シ
クロヘキサンおよびベンゼンから分離したシクロヘキサ
ンの処理について検討した結果、本発明を完成するに至
った。
【0007】すなわち、本発明は、a.主にルテニウム
を含有する水素化触媒と水および少なくとも1種の亜鉛
化合物の存在下、液相において水素により部分還元する
に際し、水素化触媒として200オングストローム以下
の平均結晶子径を有する金属ルテニウム結晶子および/
またはその凝集した粒子を使用し、添加剤の共存下もし
くは非共存下、酸性の条件下でベンゼンを部分水素化す
る工程、 b.aの反応混合物をシクロヘキセン、シクロヘキサン
およびベンゼンの各成分に分離する工程、 c.b工程において分離されたシクロヘキサンおよび少
量のCパラフィンおよび/またはCオレフィン
を脱水素してベンゼンに変換する工程、 d.c工程のベンゼンをa工程に循環する工程、ならび
にc工程において生成する水素の一部または全部を上記
a工程に循環する工程からなることを特徴とするシクロ
ヘキセンの製造方法である。
【0008】本発明のa工程は、ベンゼンを部分水素添
加して、シクロヘキセンを生成させる工程である。ベン
ゼンを部分水素添加する方法としては、金属ルテニウム
を主成分とする水素化触媒を水相に存在させて、ベンゼ
ンを部分水素化する方法が好ましい。すなわち、ベンゼ
ンと水を混合し、水素化触媒および反応を促進させるた
めの添加剤とともにオートクレーブに仕込み、水素ガス
の加圧下に、オートクレーブ内容物を攪拌混合して、部
分水素化反応を行なわせる。
【0009】本反応において、気相中の水素は、水相と
接している気液界面を通じて水相に拡散溶解する。もち
ろん、水素は油相にも溶解し、油相を介して水相に溶解
するものである。その溶解した水素は該触媒上に達し、
多数の活性点に吸着される。一方、ベンゼンも同様に、
水相と接している油水界面を通じて水相に拡散溶解す
る。その溶解したベンゼンは触媒上に達して吸着され、
活性点で水素と反応してシクロヘキセンを生成し、未反
応ベンゼンおよび副生成物のシクロヘキサンを含んだ混
合物となる。
【0010】本発明の原料となるベンゼン組成として
は、ベンゼン純度の高いものが望ましいが、不純物とし
て炭化水素化合物、例えば、シクロヘキサン、シクロペ
ンタン等のナフテン類、ペンタン、ヘキサン、メチルシ
クロペンタン等のパラフィン類、シクロヘキセン、メチ
ルシクロペンテン、メチルシクロヘキセン等のオレフィ
ン類を含有していてもよく、また、無機物として例え
ば、窒素、アルゴン等を含んでいてもよい。ここで、オ
レフィン類は水素化されてナフテン類になる。水素ガス
の組成は、純度の高いものが望ましいが、ベンゼンの不
純物と同様の炭化水素化合物や無機物を含んでいてもよ
い。
【0011】本発明における部分水素化触媒の例とし
て、以下に示す200オングストローム以下の平均結晶
子径を有する金属ルテニウムを主成分とする水素化触媒
粒子を用いる。この触媒は、種々のルテニウム化合物を
還元して得られるもの、またはその調製段階もしくは調
製後において他の金属、例えば、亜鉛もしくはクロム、
モリブデン、タングステン、マンガン、コバルト、ニッ
ケル、鉄、銅などを加えたルテニウムを主成分とするも
のである。種々のルテニウム化合物としては特に制限は
ないが、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、
硫酸塩、水酸化物、ルテニウムレッド、あるいは各種の
ルテニウムを含む錯体などを用いることができ、還元法
としては、水素ガスによる還元あるいはホルマリン、水
素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン等による化学還元法
によって行うことができる。特にルテニウムの塩を加水
分解して水酸化物とし、これを還元する方法は好ましく
用いられる。
【0012】また、本発明方法においては、あらかじめ
亜鉛を含有せしめたルテニウムの還元物を使用すると、
環状オレフィンの収率をさらに高めることができ、有効
に使用される。かかる触媒は、あらかじめ有価のルテニ
ウム化合物に亜鉛化合物を含有せしめた後、還元して得
られる還元物であり、ルテニウムは金属状態まで還元さ
れたものである。使用できる有価のルテニウム化合物
は、例えば、塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの塩、アンミ
ン錯塩などの錯体、水酸化物、酸化物などであるが、特
に3価もしくは4価のルテニウムの化合物が入手もしや
すく、また、取扱い上も容易であるので好ましい。ま
た、ルテニウム触媒を作る上で使用できる亜鉛化合物
は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの塩、アンミン錯塩な
どの錯体、水酸化物、酸化物など幅広いものが使用可能
である。
【0013】かかる触媒中の亜鉛含有量は、ルテニウム
に対し0.1〜50重量%、好ましくは2〜20重量%
に調製される。したがって、触媒の主構成要素は、あく
までルテニウムであり、亜鉛は担体ではない。このよう
な亜鉛を含有する有価のルテニウム化合物は、亜鉛化合
物およびルテニウムの化合物の混合溶液を用いて、一般
的な共沈法などによって固体として得てもよいし、ある
いは均一溶液の状態で得てもよい。
【0014】かかる亜鉛を含有する有価のルテニウム化
合物の還元方法としては、一般的なルテニウムの還元方
法を応用することができる。例えば、気相において水素
で還元する方法、液相において水素もしくは適当な化学
還元剤、例えば、NaBHやホルマリンなどを用いて
還元する方法が好ましく応用され、水素により気相もし
くは液相で還元する方法は特に好ましい。気相において
水素で還元する場合は、結晶子径の増加を避ける意味
で、極度の高温を避けたり、あるいは水素を他の不活性
気体で希釈するなどの工夫をするとよい。また、液相で
還元する場合には、水やアルコール類に、亜鉛を含有す
る有価のルテニウム化合物の固体を分散させて行っても
よいし、もしくは均一溶液の状態で行ってもよい。この
際、還元をよりよく進行させるために、攪拌、加熱など
を適当に行うとよい。また、水のかわりにアルカリ水溶
液や適当な金属塩水溶液、例えば、アルカリ金属塩水溶
液などを用いてもよい。
【0015】以上の如き水素化触媒粒子は、主にルテニ
ウムよりなる結晶子および/またはその凝集した粒子と
して反応系に存在するが、シクロヘキセンの選択率や収
率、さらには反応速度を高めるためには、該結晶子の平
均結晶子径は200オングストローム以下であることが
好ましく、150オングストローム以下であることがさ
らに好ましい。最も好ましくは100オングストローム
以下である。粒子径は微細なものほど効果的であるが、
その下限は「結晶性」と言う言葉で規定される。結晶性
とは原子がある対称に従って規則正しく周期的に配列し
ているものであり、X線による回折現象が認められるも
のである。ここで、平均結晶子径は一般的方法、すなわ
ち、X線回折法によって得られる回折線幅の拡がりか
ら、Sherrerの式により算出されるものである。
具体的には、Cukα線をX線源として用いた場合は、
回折角(2θ)で44°付近に極大をもつ回折線の拡が
りから算出されるものである。
【0016】本発明においては、上記の如き水素化触媒
粒子は単独に用いることができるが、シリカアルミナや
酸化チタン等と言った担体に担持して用いることもでき
る。上記の如き水素化触媒粒子とは別に、酸化ジルコニ
ウムもしくは酸化ハフニウムの少なくとも1種を添加し
ての反応が好ましい。添加される酸化物の量は、反応系
に共存する水に対して1×10−3〜0.3重量倍、好
ましくは1×10−2〜0.1重量倍である。添加され
る酸化物は、微粉末状であることが好ましく、その平均
粒子径は0.005〜10ミクロンであることがさらに
好ましい(特開昭62−81332に記載)。また、添
加剤としてアルコールを使用することもある(特開昭6
1−44830に記載)。さらに、水素化触媒とは別に
酸化ジルコニウムもしくは酸化ハフニウムホウ素を除く
IIIA族元素、バナジウムを除くVB族元素、クロ
ム、鉄、コバルト、チタン、もしくはケイ素の酸化物
(特開昭62−201830に記載)より選ばれた少な
くとも1種を添加して反応を行うものであってよい。さ
らに、上記条件の水素化触媒スラリー水溶液に少なくと
も1種の水溶性亜鉛化合物共存下(特開昭62−455
44)あるいは固体塩基性硫酸亜鉛および/または固体
塩基性硫酸亜鉛塩の共存下、中性、または酸性の条件下
に反応を行うものであってよい(特開昭62−2050
37、特開昭63−17834、特開昭63−6362
7、特開昭63−88139、特開昭63−15233
3に記載の方法)。
【0017】反応液水相中の触媒は少ない場合反応速度
が遅く反応器が大きくなり、工業的に成り立ちにくい
し、多いと水相の粘度が高くなりすぎて流動性がなくな
り、水相での溶解水素やベンゼンの拡散速度が阻害され
反応速度を落としてしまう。したがって、水に対する水
素化触媒の重量比は0.001〜0.2の範囲が好まし
い。反応温度は25〜250℃、好ましくは100〜2
00℃の範囲である。また、水素ガスの水素分圧は5〜
150kg/cm、好ましくは10〜100kg/
cmの範囲である。
【0018】本発明ではシクロヘキサンの脱水素によ
り、ベンゼン、水素を部分水素化工程に戻すことができ
るため、シクロヘキサンの需給バランスに左右されず
に、ベンゼンの部分水素化反応工程では、シクロヘキセ
ン収率の最大値付近で運転することができる。一例であ
るが、第1図に示すベンゼンの転化率とシクロヘキセン
収率の関係の図において、シクロヘキセン収率最大とな
るベンゼン転化率は78%である。もちろん、当然なが
ら触媒の種類や反応条件によって、その最適値は振れ、
さらに、抽出蒸留を含めエネルギー使用量を含めた最適
操作条件が存在するが、ベンゼン転化率30〜95%の
範囲が好ましい。さらに好ましくは35〜90%であ
る。b工程は、a工程で生成した反応混合物をシクロヘ
キセン、シクロヘキサンおよびベンゼンの各成分に分離
する工程であり、抽出蒸留により分離することができ
る。
【0019】部分水素化反応による反応生成物は、シク
ロヘキセン、シクロヘキサン、それに未反応ベンゼンで
ある。これらの沸点は、非常に接近している。シクロヘ
キセン沸点=83.0℃、シクロヘキサン沸点=80.
8℃、ベンゼン沸点=80.1℃である。反応生成物は
通常の蒸留分離では難しい。アジポニトリル、スルフォ
ラン、ジメチルアセトアミド等の溶媒を共存させて蒸留
する抽出蒸留法を用いると、各成分の親和力によって、
比揮発度を高められて蒸留分離が可能となる。ジメチル
アセトアミド溶媒を用いる特開昭58−164524、
スルフォン化合物溶媒を用いる特開昭57−4762
8、脂肪族ジニトリル化合物を用いる特開昭57−55
129、ジメチルアセトアミドとアジポニトリルの混合
溶媒を用いる特開平1−135730がある。
【0020】第1塔目の中段に反応生成物を、上段付近
に該溶媒を供給して蒸留すると、塔頂よりシクロヘキサ
ンとシクロヘキセン混合物を留出し、塔底よりベンゼン
と溶媒の混合物が抜出される。この塔底液を第2塔目で
蒸留し、塔頂よりベンゼンを留出させ、塔底より溶媒を
回収し、その回収溶媒は、第1塔目の上段付近に再度供
給される。シクロヘキサンとシクロヘキセン混合物の分
離も同様にして、シクロヘキセンとシクロヘキサンに単
離できる。なお、ベンゼンは、再度、反応に使用され
る。
【0021】また、別の分離の順序として、第1塔目の
中段に反応生成物を、上段付近に該溶媒を供給して蒸留
すると、塔頂よりシクロヘキサンを留出し、塔底よりベ
ンゼンとシクロヘキセンを溶媒の混合物が抜き出され
る。この塔底液を第2塔目の中段に供給し、塔頂付近に
該溶媒を供給して蒸留すると、塔頂よりシクロヘキセン
を留出し、塔底よりベンゼンと溶媒の混合物が抜き出さ
れる。この塔底液を第3塔目で蒸留し、塔頂よりベンゼ
ンを留出させ、塔底より溶媒を回収し、その回収溶媒
は、第1塔目、第2塔目の上段付近に再度供給される。
【0022】使用する抽剤量は、用いる抽剤によって多
少異なるが、ベンゼン、シクロヘキセンとシクロヘキサ
ン混合物中からベンゼンを単離する場合、抽剤と該混合
物、あるいは抽剤とベンゼンの混合物の総量に対し、重
量分率として20〜85%、好ましくは25〜80%で
ある。一方、ベンゼンを除去したシクロヘキセンとシク
ロヘキサンの混合物から、それぞれの成分を単離するに
は、抽剤とシクロヘキセン、あるいは抽剤とシクロヘキ
センおよびシクロヘキサンの混合物の総量に対し、重量
分率として30〜95%、好ましくは40〜95%であ
る。
【0023】抽出蒸留による該混合物からベンゼンを単
離することは、比較的比揮発度が高いため容易である。
一方、シクロヘキサン、シクロヘキセンを抽出蒸留で分
離するには、その比揮発度が低いため、抽出溶媒を多く
使用する必要がある。また、単離シクロヘキセンは製品
であり、純度は所定のスペックがある。一方、単離シク
ロヘキサンは脱水素反応させて、ベンゼンと水素を回収
して再度部分水素化工程の原料で使用できるため、単離
シクロヘキサン中の不純物シクロヘキセン濃度を自由に
することができる。通常、0.1%から30%が好まし
く、さらに好ましくは0.5〜20%である。
【0024】抽出蒸留を実施する場合の操作圧力は、常
圧、加圧、減圧のいずれでもよく、エネルギーの有効利
用をはかるために多重効用システムを採用する場合に
は、減圧系を組合わせることが望ましい。c工程は、b
工程において分離されたシクロヘキサンを脱水素してベ
ンゼンに変換する工程である。この場合の脱水素方法と
しては、触媒存在下、気相条件下にシクロヘキサンを流
通させてベンゼンに変換する。シクロヘキサン類からベ
ンゼン類を製造する方法は広範に知られており、例えば
USP No.3,326,994、USP No.
4,366,091、USP No.4,083,88
3等に記載されている。これらの内、USP No.
4,083,883の方法によれば、白金、ロジウム、
ニッケルを組合せてアルミナに担持させた触媒を用い
て、シクロヘキサン類を気相反応条件下で脱水素するこ
とにより、ベンゼン類を製造することができる。
【0025】さらに詳しく述べると、白金族系の金属を
ポーラスな担体に担持させた触媒を用い、気相条件下に
シクロヘキサン類を流通させてベンゼン類に変換する。
この場合の白金族系の金属としては、白金、パラジウ
ム、ロジウム、ルテニウム等である。触媒はこれらを2
種以上組合せ、さらに、ニッケル等を添加して調製され
る。金属を担持させるポーラスな担体としては、耐火性
の無機酸化物、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニ
ア等であるが、アルミナが特に好ましい。反応温度は3
70〜650℃の範囲、圧力は0.1〜10気圧の範囲
である。LHSVは1〜40Hr−1である。水素と炭
化水素のモル比は1:1から20:1の範囲が好まし
い。
【0026】この場合、シクロヘキセンがシクロヘキサ
ンに共存しているが、シクロヘキセンは脱水素触媒下で
はベンゼンに転化するため、さらに使用原料が有効に利
用できる。d工程は、c工程のベンゼン、およびc工程
において生成する水素の一部または全部をa工程に循環
する工程である。c工程の反応ガスは、直接あるいは凝
縮冷却器を用いて水素ガス以外の液状同伴成分を除いた
後、圧縮機で圧縮し、a工程のベンゼンを部分水素化し
てシクロヘキセンを製造する工程へ循環する。本発明に
おいては、シクロヘキサンを副生しないため、ベンゼン
からシクロヘキセンを製造する場合の原料ベンゼン、お
よび水素ガスの使用量を大巾に削減できるので、実用的
かつ経済的なプロセスが提供される。
【0027】
【実施例】以下に実施例を上げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるも
のではない。 (実施例1) (シクロヘキセンの製造)金属ルテニウム粒子の水素化
触媒は平均結晶子径55オングストロームで、亜鉛含有
量が7.4重量%であるものを水相中に懸濁させて、ベ
ンゼンの部分水素化反応を以下の条件で行った。
【0028】部分水素化反応器として、内面にテフロン
コーティングを施した内容積4リットルの攪拌機付耐圧
反応器を3槽直列に設け、その内部に、温度計サヤ管・
原料液導入管・水素ガス吹き込み管・反応生成物抜出管
・圧力計を取り付け、攪拌翼はタービン翼一段とした。
反応生成物抜出ノズルの付近に気液界面を貫いた堰板を
設けて、油水分離する静置領域とした。さらに、反応器
外面に温調用電気ヒーターを取り付け、原料液導入管に
はベンゼン供給管と水供給管を接続した。それぞれの配
管はすべて流量計を取り付けた。反応生成物抜出ノズル
は反応器の上方に設けた。なお、油分分離状態を観察し
界面位置を測定するために、反応器の側面の一部にじか
付けのガラス製の覗き窓を設けた。3槽は反応液を重力
供給できるよう第1槽から第3槽まで位置を逐次下げて
配置するとともに、配管で連結した。
【0029】水素化反応は、はじめに装置内を窒素パー
ジした後、各槽にそれぞれ上記水素化触媒9.8g、水
1.40リットル、ZnSO・7HO 248
g、ZrO粉末(平均粒径0.35ミクロン)49
gを仕込み、攪拌機を600rpmで回転し、電気ヒー
ターにて昇温して反応器内温を140℃一定にあるよう
に制御した。水素ガスを圧入して全圧を常時50kg/
cm一定になるよう制御して、フレッシュなベンゼ
ンとしてn−ヘキサン0.1%を含むベンゼン液を徐々
に供給していき、定常時1.25kg/hrとした。反
応器内静置領域の油水界面レベルは、反応生成物抜出ノ
ズルより下方に位置するようにし、反応生成物に溶解し
て持ち出される水量に見合った分の水を原料導入管を通
じて供給した。気液界面は反応生成物抜出ノズルをオー
バーフロー形式とすることで一定に保つことにした。全
系安定後、反応器抜出ノズルからの反応生成物組成を分
析した結果、ベンゼンの転化率=78%、シクロヘキセ
ン選択率=70%、シクロヘキセン収率=55%であ
り、副生成物はシクロヘキサンであった。この値は、シ
クロヘキセン収率が最大のときの反応成績であった。
【0030】(シクロヘキセン、シクロヘキサンおよび
ベンゼンの分離)実段数60段のシーブトレイ型精留塔
を用い、下から30段目に、上記反応混合物100部
と、n−ヘキサン0.12%、ベンゼン22%、シクロ
ヘキサン23.4%、残りシクロヘキセンである混合物
を10kg/Hで供給した。一方、抽剤であるN,N−
ジメチルアセトアミドを使用し、原料に対しモル比3
で、下から55段目に供給し、還流比1.6で常圧にて
運転を行なったところ、塔頂留出液中のベンゼン濃度は
0.1%であり、シクロヘキサンは30%、n−ヘキサ
ン0.15%、残りシクロヘキセンであった。
【0031】また、塔底液を実数40段のシーブトレイ
型精留塔を用いて、下から20段目に供給し、還流比2
で常圧にて運転したところ、塔頂よりシクロヘキセン
0.2%、ベンゼンが99.8%の純度で2.2kg/
Hで得られた。シクロヘキセン、シクロヘキサンの留出
液を再び抽出蒸留した。すなわち、上記で用いた蒸留塔
を用い、塔底から30段目のところに、上記混合物を1
0kg/Hで連続的に供給した。一方、抽剤としてN,
N−ジメチルアセトアミドを使用し、原料に対しモル比
9で、下から55段目に供給し、還流比5.0で常圧に
て運転を行なったところ、塔頂留出液中のシクロヘキセ
ン濃度は5.0%であり、n−ヘキサン0.5%、他は
シクロヘキサンであった。また、塔底液を実段数40段
のシーブトレイ型精留塔を用いて、下から20段目に供
給し、還流比4.0で常圧にて運転を行なったところ、
塔頂より、シクロヘキサン0.1%を含むシクロヘキセ
ンが99.9%の純度で6.8kg/Hで取得できた。
【0032】(シクロヘキサンのベンゼンへの変換)ベ
ンゼン部分水添工程の反応混合物を抽出蒸留して分離し
た粗シクロヘキサンを次のように脱水素反応させた。粗
シクロヘキサンの組成は、シクロヘキセン5.0%、n
−ヘキサン=0.50%、残りはシクロヘキサンであっ
た。白金0.3重量%、ロジウム0.1重量%およびニ
ッケル0.2重量%をアルミナに担持した触媒(塩素の
含量は0.2%以下)を反応管に充填し、反応温度48
0℃、圧力7kgf/cm、LHSV3.0Hr
−1の条件下、脱水素反応を行った。反応管の出口から
排出される生成物混合ガスは、リサイクルガスとして反
応管入口に循環し、シクロヘキサンはこのリサイクルガ
スに対して1/4モルの割合で供給した。反応系が安定
したところで、反応生成物の分析を行ったところ、供給
したシクロヘキサン、シクロヘキセンはほぼ定量的にベ
ンゼンに変換していた。n−ヘキサンは0.35%であ
った。
【0033】(脱水素工程の生成物の循環)シクロヘキ
サンの脱水素工程で得られた反応物を冷却し、水素を除
去した後、aシクロヘキセン製造工程の原料ベンゼンと
して戻した。一方、脱水素反応で生成し、冷却分離した
水素は圧縮し、aシクロヘキセン製造工程の原料水素と
して戻した。
【0034】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ベンゼンを原料
としてシクロヘキセンを製造する方法において、前記a
〜dの工程の各工程を結合することにより、 ベンゼ
ンからシクロヘキセンが合理的に製造でき、 しか
も、シクロヘキサンをベンゼンに変更する工程で発生す
る水素ガスおよびベンゼンを原料として部分水素化によ
るシクロヘキセンの製造に有効に利用できるので、プロ
セス全体の経済性を著しく高めることができるし、シク
ロヘキサンの市場での需給バランスによって経済性がそ
こなわれることがない。 さらに、b工程で単離され
たシクロヘキサン中のシクロヘキセン濃度は、c工程の
脱水素に供されベンゼンに戻しうるため、抽出蒸留工程
の最適運転が可能となり、エネルギーをも削減すること
ができる。 a工程の部分水素化で副生するシクロヘ
キサンの量を自由に制御することが可能となり、シクロ
ヘキセン収率の高い反応条件の最適化が可能となる。
本発明を工業化した場合、プラントの立上げや停止時
に従来ではシクロヘキサンが多量に出るが、シクロヘキ
サンをベンゼンに戻すことができるため、その処理が必
要でなくなる等の効果もあり、運転操作上非常に容易に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のベンゼンの部分水素化工程におけるベ
ンゼン転化率とシクロヘキセン収率の関係を示すグラフ
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a.主にルテニウムを含有する水素化触
    媒と水および少なくとも1種の亜鉛化合物の存在下、液
    相において水素により部分還元するに際し、水素化触媒
    として200オングストローム以下の平均結晶子径を有
    する金属ルテニウム結晶子および/またはその凝集した
    粒子を使用し、添加剤の共存下もしくは非共存下、酸性
    の条件下でベンゼンを部分水素化する工程、 b.aの反応混合物をシクロヘキセン、シクロヘキサン
    およびベンゼンの各成分に分離する工程、 c.b工程において分離されたシクロヘキサンおよび少
    量のCパラフィンおよび/またはCオレフィン
    を脱水素してベンゼンに変換する工程、 d.c工程のベンゼンをa工程に循環する工程、ならび
    にc工程において生成する水素の一部または全部を上記
    a工程に循環する工程からなることを特徴とするシクロ
    ヘキセンの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008063274A (ja) * 2006-09-07 2008-03-21 Asahi Kasei Chemicals Corp シクロヘキセンの製造方法
JP2010138169A (ja) * 2008-11-14 2010-06-24 Asahi Kasei Chemicals Corp シクロヘキセンの精製及び製造方法

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