JPH10279508A - シクロオレフィンとシクロアルカンの製造方法 - Google Patents

シクロオレフィンとシクロアルカンの製造方法

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JPH10279508A
JPH10279508A JP9084187A JP8418797A JPH10279508A JP H10279508 A JPH10279508 A JP H10279508A JP 9084187 A JP9084187 A JP 9084187A JP 8418797 A JP8418797 A JP 8418797A JP H10279508 A JPH10279508 A JP H10279508A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単環芳香族炭化水素から得られる部分水添物
であるシクロオレフィンと完全水添物であるシクロアル
カンの生成比を容易に制御することのできるシクロオレ
フィンとシクロアルカンの製造方法を提供する。 【解決手段】 高温高圧水素下で一定時間以上保持した
ルテニウム触媒を用い、かつ、水相と油相が相分離した
状態の反応系において、反応圧力を変化させることによ
って、該生成物の生成比を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルテニウム触媒存
在下に単環芳香族炭化水素を水素添加してシクロオレフ
ィン及びシクロアルカンを同時に製造する方法に関する
ものである。シクロオレフィン類、特にシクロヘキセン
類は有機化学工業製品の中間原料としてその価値が高
く、特にポリアミド原料、リジン原料などとして有用で
ある。
【0002】またシクロアルカン類、特にシクロヘキサ
ンは有機化学製品として、特にカプロラクタムやアジピ
ン酸用の原料、及び有機溶剤として、工業的に有用であ
る。
【0003】
【従来の技術】シクロオレフィン類の製造方法は様々な
方法が知られており、その中でも単環芳香族炭化水素を
ルテニウム触媒を用いて部分的に水素添加する方法が最
も一般的であり、この方法においては必ず完全水添物で
あるシクロアルカンが無視しえない割合で副生し、シク
ロアルカンも有用な工業原料であることから、事実上シ
クロオレフィンとシクロアルカンとを併産する方法とな
っている。
【0004】シクロオレフィンの選択率、収率を改良す
る方法として、触媒成分や担体の種類、あるいは反応系
への添加物としての金属塩などについて検討した結果が
多く報告されている。その中でもシクロオレフィンの生
成モル比、つまり、シクロオレフィンの選択率が比較的
高い水及び亜鉛が共存する反応系においては、例えば、
(1)単環芳香族炭化水素を水及び少なくとも1種の亜
鉛化合物の共存下、中性もしくは酸性条件下に水素によ
り部分還元するに際し、触媒として30〜200Åの平
均結晶子径を有する金属ルテニウムを主成分とする粒子
を担体に担持した触媒を用いて行う方法(特公平8−2
5919)、(2)ルテニウム触媒の存在下に、単環芳
香族炭化水素を部分的に水素添加してシクロオレフィン
を製造するに当たり、反応系中に、飽和溶解度以下の量
の、酸化亜鉛及び水酸化亜鉛の中の少なくとも1種をす
べて溶解状態で存在させて行う方法(特公平5−123
31)、(3)単環芳香族炭化水素を水の存在下、水素
により部分還元するに際し、200Å以下の平均結晶子
径を有する金属ルテニウムを主成分とする水素化触媒粒
子を用い、少なくとも1種の固体性塩基性亜鉛の共存
下、中性または酸性の条件下に反応を行う方法(特公平
8−19012)などが提案されている。
【0005】また、反応温度や反応圧力が反応成績に与
える影響についても検討が重ねられ、すでに明らかにさ
れている知見としては、該反応系に存在する水相がアル
カリ性を示す条件の場合、あるいは塩化ルテニウムを直
接反応器内で還元しそのまま原料投入して反応させる場
合には、反応温度や反応圧力を上昇させると生成するシ
クロオレフィンの選択率や収率がアップするということ
は公知となっている(J.Chem.Tech.Biotechnol. 198
0,30,677−987等)。
【0006】一方、ルテニウム触媒を用いて、水及び硫
酸亜鉛共存下、硫酸亜鉛を水に溶解させた酸性条件下で
単環芳香族炭化水素を水添する方法においては、反応圧
力は該生成物の初期生成比、つまり、該原料転化率0m
ol%付近での該生成物生成比にはほとんど影響を与え
ないということが示されており(Applied Catalysis,8
3(1992)263−295)、これに対する反証デ
ータはなく、この知見は一般的に受け入れられている。
この論文では、該生成物の生成比は触媒表面の吸着水素
量に相関があり、この吸着水素量が変化しなければ反応
器内水素圧力が変わっても、該生成物生成比率に変化が
起こらないとしている。反応器内水素圧力を上げた場
合、該原料の転化速度が速くなるために触媒表面上の吸
着水素消費速度が速くなり、結果として触媒上の吸着水
素量は殆ど変化せず、該生成物の初期生成比率の変化が
ないと結論している。この知見から容易に類推される結
果としては、少なくともルテニウム触媒と硫酸亜鉛と水
が存在する系では反応器内の気相水素圧力、実質的には
反応圧力を変化させることによって該生成物の生成比率
は制御できないということである。
【0007】ルテニウム触媒を用いて単環芳香族炭化水
素を部分的に水素により水素添加してシクロオレフィン
を製造する方法では、先述したように部分水添物のシク
ロオレフィン以外に完全水添物のシクロアルカンが必ず
副生するが、シクロアルカンはシクロオレフィンに劣ら
ない有用な工業製品であり、この方法を工業的に実施す
る場合、シクロオレフィンとシクロアルカンの需要変動
に対応して、これらシクロオレフィンとシクロアルカン
の生産比を、制御あるいは変更する必要が出てくる。も
しこの生成比を制御できなければ、生産過剰となった物
質の処理または大型の在庫設備が必要となり、もしくは
需要の小さい物質にあわせて生産を行わなければなら
ず、生産設備の稼働率が落ちることになる。
【0008】すなわち、ルテニウム触媒存在下に単環芳
香族炭化水素を部分的に水素により水素添加してシクロ
オレフィンを製造する方法において、生成するシクロオ
レフィンとシクロアルカンの生成比を制御できなけれ
ば、工業的に極めて非効率な製造方法ということにな
る。また、従来の方法においては、未だ、工業的に十分
問題のない水準にまで触媒及び/又は反応系の安定性が
到達しておらず、工業的に生産を継続していく場合にお
いて、生成するシクロオレフィンとシクロアルカンの生
成比が同様の反応温度及び反応圧力条件においても変化
し、その調整を行う必要もある。
【0009】そこで、ルテニウムを用いるシクロオレフ
ィンの製造方法を工業的に実施するためには、該生成物
の生成比を調整あるいは変更させる制御方法が不可欠と
なるが、従来の方法では次に述べる4つの問題点があ
る。ルテニウム触媒を用いるシクロオレフィンの製造
方法の内、すでに提案させているアルカリ性条件下で行
う方法では、生成物であるシクロオレフィンの生成比
が、酸性条件下、硫酸亜鉛及び水が存在する場合の製造
方法に比べて低く、生成するシクロオレフィンの生成比
が高いところでの制御を行いたい場合には、たとえ反応
温度や反応圧力を変化させたとしても、制御範囲が狭く
不利である。一方、既に提案されている酸性条件下で
硫酸亜鉛と水とルテニウム触媒を用いるシクロオレフィ
ンの製造方法では、該生成物の生成比を具体的に制御す
る方法について言及されておらず、製造開始後に触媒性
能の変化あるいは反応への何らかの外乱が生じて該生成
物の生成比を調整あるいは変更する必要が発生した場合
に、該生成物の生成比を制御する有効な方法は提案され
ていない。反応温度の変更によって該生成比を制御す
ることはできるが、反応温度の変更は反応熱を除去又は
回収する設備の負荷変動が大きいため、反応温度だけで
は好ましい制御方法と言えない。さらに、ルテニウム
触媒を用いるシクロオレフィンとシクロアルカンの製造
方法で見られる反応の特徴、つまり、該原料転化率が高
くなればなるほど、生成するシクロオレフィンの生成比
は低下し、代わりにシクロアルカンの生成比が高くなる
という特徴を利用して、該原料転化率を変化させること
で該生成物の生成比を制御することは可能である。しか
し、この方法では、反応器から取り出した該生成物中に
含まれる未反応原料の濃度が大きく変動し、この未反応
原料を分離する工程での負荷変動が大きく、特に反応方
式として、連続的に原料を供給し、連続的に該生成物を
取り出す連続反応方式を採用する場合には、本製造設備
と次の未反応原料分離回収工程との間に、この変動を吸
収させるための大型の中間ドラムが必要となる等問題点
も多く、好ましい方法ではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はこれら
の課題を同時に解決し、シクロオレフィンとシクロアル
カンの生成比を容易に調整できる、工業的に実施可能な
シクロオレフィンとシクロアルカンの製造方法を提案す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ルテニウ
ム触媒、水及び硫酸亜鉛の存在下に、酸性条件で単環芳
香族炭化水素を水素により水素添加してシクロオレフィ
ンとシクロアルカンを製造するに当たり、生成するシク
ロオレフィンとシクロアルカンの生成比つまり生成モル
比を制御する製造方法を開発すべく、鋭意研究を行った
結果、1時間以上、特定の高温高圧水素下で保持された
触媒スラリーを用いると、シクロオレフィンとシクロア
ルカンの生成比は、反応圧力に顕著な依存性を有すると
いう特徴を見いだし、この特徴を利用して、シクロオレ
フィンとシクロアルカンの生成モル比を制御することに
成功し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は、(1)ルテニウム触
媒、水、硫酸亜鉛の存在下に、酸性条件で単環芳香族炭
化水素を水素により水素添加して反応させ、シクロオレ
フィンとシクロアルカンを製造するに当たり、100〜
200℃、1〜100atmの高温高圧水素下で1時間
以上保持されたルテニウム触媒、水及び硫酸亜鉛を含む
触媒スラリ−を用い、且つ、原料及び生成物を主成分と
するオイル相と水を主成分とする水相が相分離した状態
で、反応圧力を制御することにより、生成するシクロオ
レフィンとシクロアルカンの生成モル比を制御すること
を特徴とするシクロオレフィンとシクロアルカンの製造
方法。 (2)該水添反応が該単環芳香族炭化水素の反応転化率
を変化させずに行う反応であることを特徴とする(1)
記載の方法。 (3)該水添反応の反応温度が100℃〜200℃の範
囲であることを特徴とする(1)または(2)記載の方
法。 (4)該水に溶解した硫酸亜鉛濃度が0.01〜10m
ol/lである(1)記載の方法。 (5)該水が該単環芳香族炭化水素の0.001〜10
0重量倍存在することを特徴とする(1)〜(4)のい
ずれかに記載の方法。 (6)該ルテニウム触媒が、ルテニウム化合物を還元す
ることによって得られる金属ルテニウムからなる非担持
型触媒であって、該金属ルテニウムの平均結晶子径が2
00Å以下であることを特徴とする(1)〜(5)のい
ずれかに記載の方法。 (7)該金属ルテニウムが、予め亜鉛化合物を含有した
ルテニウム化合物を還元することによって得られる亜鉛
化合物を含有した金属ルテニウムであって、かつ、ルテ
ニウムに対する亜鉛の含有量が0.1〜50重量%であ
ることを特徴とする(6)に記載の方法。
【0013】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明で原料として用いられる単環芳香族炭化水素として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン類、低級アルキルベ
ンゼン類である。ルテニウム触媒としては、数々のルテ
ニウム化合物を還元して得られる金属ルテニウムを含む
触媒が用いられる。ルテニウム化合物としては特に制限
されないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸
塩、水酸化物、あるいは各種のルテニウムを含む錯体な
どを用いることができる。還元法としては、水素や一酸
化炭素などによる接触還元法、あるいはホルマリン、水
素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンなどによる化学還元
法が用いられる。また、この還元処理は、気相で行って
も液相で行ってもよい。
【0014】更に、ルテニウム触媒として、ルテニウム
化合物の還元調整段階もしくは調整後において、他の金
属、例えば、亜鉛、クロム、モリブデン、タングステ
ン、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄、銅、金、白金
などを加えることによって得られる他の金属を有する金
属ルテニウム触媒を用いてもよい。これらの金属は、塩
化物、硝酸塩、硫酸等の塩、アンミン錯体等の錯体、水
酸化物、酸化物等の金属化合物として加えられてもよ
い。かかる金属を使用する場合には、ルテニウム原子に
対する他金属の原子比は、通常0.001〜20の範囲
から選択される。更に、かかる金属として、特に亜鉛が
好ましく、中でも、触媒の還元調整後に、ルテニウムに
対して亜鉛を0.1〜50重量%含有する金属ルテニウ
ムとなる量の亜鉛を、触媒の還元調整前に、塩化物、硝
酸塩、硫酸塩等の塩、アンミン錯体等の錯体、水酸化
物、酸化物等の亜鉛化合物として加えることが好まし
い。
【0015】ルテニウム触媒は、担体に担持させて使用
しても良い。用いられる担体は、特に制限されるもので
はないが、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、カ
ルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コ
バルト、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフ
ニウム、タングステンなど、あるいは、かかる金属の酸
化物、複合酸化物、水酸化物、硫酸塩、難水溶性金属
塩、あるいは、このような担体となりうるものを2種以
上化学的あるいは物理的に組み合わせた化合物や混合物
などが例示される。ルテニウムの担持方法としては、吸
着法、イオン交換法、浸せき法、共沈法、乾固法などが
例示される。ルテニウムの担持量についても特に制限さ
れるものではないが、通常担体に対して0.001〜2
0重量%である。しかし、好ましくは、ルテニウムを担
体に担持せず、そのまま用いた方がよい。
【0016】ルテニウム触媒として、担体に担持させず
にそのまま用いた場合には、還元して得た金属ルテニウ
ムの平均結晶子径が200Å以下であることが好まし
い。この平均結晶子径が大きすぎると、反応の活性点が
存在すると考えられるルテニウム表面のルテニウム単位
重量当たりの面積が減少するので触媒活性が下がり、本
願発明の方法では多量のルテニウム触媒が必要となるた
め、あまり好ましくない。
【0017】また、本願発明の反応系においては水が存
在しており、その量は反応形式によって異なるが、原料
及び生成物を主成分とする有機液相と、水を含む液相と
が1相とならない量、言い換えると、原料及び生成物が
主成分の有機物液相つまりオイル相と水が主成分の水相
が相分離した状態、つまりオイル相と水相の液2相状態
となる量でなければならない。水の量が多すぎると、反
応器が大きくなる等弊害があるため、好ましくは、用い
る原料単環芳香族炭化水素に対して0.001〜100
重量倍、更に好ましくは、0.5〜20重量倍共存させ
るのが良い。尚、ここで言う主成分とは、該液相を構成
する成分のうちモル数にして最大割合を示す成分のこと
である。
【0018】さらに、本発明において、共存する硫酸亜
鉛の少なくとも一部が該水相に溶解状態で存在する必要
があり、反応系に共存させる水相中の水素イオン濃度つ
まりPHは、7.0未満の酸性で無ければならない。系
に共存させる硫酸亜鉛については、水への溶解度が大き
いと言う性質上、大半が該水相に溶解した状態で存在す
るが、その量は添加した硫酸亜鉛の内、該水相中に溶解
した硫酸亜鉛濃度として、好ましくは0.01〜10m
ol/lであり、より好ましくは0.05〜5mol/
lである。また溶解せずに固体として存在する亜鉛化合
物が存在してもよく、固体として存在する亜鉛化合物の
量は、好ましくは、亜鉛として触媒であるルテニウムの
100重量倍以下であるが、更に好ましくは0.1重量
倍以下である。
【0019】本発明におけるの反応系では、従来知られ
た方法と同様に金属塩を存在させてもよい。金属塩の種
類としては、周期表のリチウム、ナトリウム、カリウム
などの1族金属、マグネシウム、カルシウムなどの2族
金属(族番号はIUPAC無機化学命名法改訂版(19
89)による)、あるいは亜鉛、マンガン、コバルト、
銅、カドミウム、鉛、砒素、鉄、ガリウム、ゲルマニウ
ム、バナジウム、クロムニウム、銀、金、白金、ニッケ
ル、パラジウム、バリウム、アルミニウムなどの金属硝
酸塩、塩化物、酸化物、水酸化物、硫酸塩、酢酸塩、燐
酸塩など、又はこれらを2種以上化学的及び/又は物理
的に混合して用いることなどが例示され、この中でも水
酸化亜鉛、酸化亜鉛などの亜鉛塩の添加は好ましく、特
に水酸化亜鉛と硫酸亜鉛とで構成される複塩の存在は好
ましい。金属塩の使用量は、水相を酸性に保てる限り、
特に制限はないが、通常は、用いるルテニウムに対して
1×10-5〜1×105 重量倍であり、これらは反応系
内のどこに存在してもかまわないし、存在形態について
も特に制限するものではない。
【0020】さらに水の他に水酸基を1つ以上持つ1種
類以上の有機物が反応系内に存在していても良く、その
量についても特に制限はないが、水及び単環芳香族炭化
水素とそれらから得られるシクロオレフィンとシクロア
ルカンの両方を、反応条件下溶解させ得るものについて
は、反応系内に存在する水相とオイル相が液相として1
相とならない範囲でなければならない。つまり、該有機
物の添加量は該反応液が該水相及び該オイル相の液相2
相状態の存在を保ちうる範囲に限定される。
【0021】本発明において重要な特徴は、ルテニウム
触媒、水及び硫酸亜鉛の存在下に、酸性条件で単環芳香
族炭化水素を水素により水素添加してシクロオレフィン
とシクロアルカンを製造するに当たり、1時間以上、特
定の高温高圧水素下で保持された触媒スラリーを用い、
且つ、原料及び生成物を主成分とするオイル相と水を主
成分とする水相が相分離した状態で、反応圧力を制御す
ることにより、生成するシクロオレフィンとシクロアル
カンの生成モル比を制御する点にある。
【0022】従来の知見では、先述した文献(Applied
Catalysis,83(1992)263−295)が示唆し
ている点からも明らかな様に、ルテニウム触媒及び硫酸
亜鉛の存在下、酸性条件において、反応圧力を変化させ
ることによって該生成物の生成比つまり生成モル比を制
御することは困難であると考えられてきた。ところが、
反応に用いるルテニウム触媒、水及び硫酸亜鉛で構成さ
れる触媒スラリーを反応器に仕込み、常温常圧状態から
昇温し、水素導入により昇圧後、しばらく保持した後、
原料である単環芳香族炭化水素を投入して反応させた場
合には、驚くべき事に、該生成物の生成比に対する反応
圧力の影響が顕著に現れた。さらに、単環芳香族炭化水
素の水添反応を行いつつ、反応条件下に1時間以上保持
された触媒スラリーについても、該生成物の生成比の反
応圧力に対する依存性を検討したところ、単環芳香族炭
化水素の水添反応を行わずに、水素下高温高圧状態で保
持した後に反応させた場合と同様に、該生成物の生成比
に対する反応圧力の影響が顕著に現れた。要するに、該
単環芳香族炭化水素原料の存在下、非存在下に係わら
ず、高温高圧水素下で該触媒スラリーを一定時間以上保
持することで、これらの現象、つまり、反応圧力が該生
成物であるシクロオレフィンとシクロアルカンの生成比
に影響するという現象が現れる。先述した文献に記載さ
れた内容と発明者らの実験で得た事実、つまり、該生成
物の生成比が反応圧力依存性を持つという現象が一致し
ないのは、おそらく触媒スラリーが水素下高温高圧状態
に曝された時間が異なっていたためであろう考えられ
る。この現象は、一定時間以上、水素下高温高圧状態に
触媒スラリーが曝されることで、何らかの変化が触媒ス
ラリーに生じ、硫酸亜鉛存在下、酸性条件でルテニウム
に吸着する水素の状態が経時的に変化するためではない
かと考えられる。また、酸性条件下、硫酸亜鉛の存在す
る系において特有の現象と言えることから、水素下高温
高圧状態によって、硫酸亜鉛のルテニウムへの作用、特
にシクロアルカンの生成比率を抑える作用が、何らかの
変化を生じているためではないかとも推察される。
【0023】尚、本願発明における高温高圧水素下と
は、100〜200℃及び1〜100atmの条件の水
素下を示し、好ましくは110〜160℃及び20〜9
0atmの条件の水素下である。ルテニウム触媒の高温
高圧水素下での保持時間は、1時間以上、好ましくは2
2時間以上である。
【0024】また、反応圧力は、生成するシクロオレフ
ィンとシクロアルカンの生成比や触媒活性の劣化速度を
考慮して、自由にコントロ−ルすることができる。更
に、反応圧力と同様に反応温度を変化させることでも、
該生成物の生成比を変化させることもできるので、反応
圧力を変化せることと反応温度を変化させることを組み
合わせることによって、さらに該生成物の生成比を大き
な範囲で制御することもできる。好ましい反応温度は、
100〜200℃である。
【0025】本発明の方法は、回分式反応方式及び連続
式反応方式の両方に適用できるが、該生成物の生成比が
異なるルテニウム触媒を予め準備しておき、これらを反
応毎に入れ替えて、該生成物の生成比を変えることが比
較的容易な回分式反応方式に比べ、その方式の性質上、
触媒入れ替えの機会が少ない連続式反応方式において、
本発明の製造方法を用いれば、製造設備を一時たりとも
停止することなく必要に応じて、該生成物の生成比を制
御することができ、極めて有効な製造方法となる。
【0026】また、本発明の方法を回分式反応方式また
は連続式反応方式で用いることによって、原料転化率を
積極的に変化させずに、反応圧力を変えることで該生成
物であるシクロオレフィンとシクロアルカンの生成比を
変えることができ、あるいは触媒性能の変化や何らかの
外乱により該生成物の生成比が予定していた生成比とず
れても、反応圧力を変更することで該生成比を予定して
いた生成比に維持することが可能となる。例えば、原料
転化率50モル%でシクロオレフィンの選択率60モル
%の生成物を得ていた反応で、反応圧力のみを上げるこ
とによって、原料転化率を変化させずとも、60モル%
より高いシクロオレフィンの選択率を得ることができ
る。逆に、反応圧力のみを下げることによって、原料転
化率を変化させずとも、60モル%より低いシクロオレ
フィンの選択率を得ることができる。
【0027】回分式反応方式では、該原料転化率を変化
させないためには、適宜反応容器内のオイル相から一部
抜き出して組成分析を行い、原料転化率の推移を監視す
る必要がある。しかし、この監視を行ったとしても、該
原料転化率を完全に一定にすることは困難であり、該生
成物を反応器から取り出すために、該反応の停止時に予
定される原料転化率に対して−3〜3モル%は制御幅と
して変動する。連続反応方式では、反応条件が変わらな
ければ、理想的には原料転化率は変化しないが、実際の
連続反応では外乱その他の理由により、反応条件を変え
ていないつもりでも多少は原料転化率が変動する。よっ
て、先に述べた「原料転化率を変化させずに」の意味
は、反応の停止時に予定される原料転化率に−3〜3モ
ル%を加えた範囲内に原料転化率があることを言う。例
えば、その予定原料転化率を60モル%とした場合に原
料転化率が57〜63モル%の範囲にあれば原料転化率
を変化させていないと言うことになる。
【0028】「原料添加率を変化させない」為には、反
応温度、オイル相/水相比、原料のフィ−ド量、反応時
間等を適宜調整すればよい。本発明の方法において、反
応圧力又は反応圧力及び反応温度を変えることで、その
他の条件に変更がなくても、原料である単環芳香族炭化
水素の反応速度が変化する場合があるが、適当な方法で
触媒活性の変更を行うことで容易に調整可能であり、問
題はない。
【0029】尚、本願発明における反応圧力とは、該反
応容器内の該触媒スラリー及び該単環芳香族炭化水素と
該生成物であるシクロオレフィン及びシクロアルカンが
主になって構成する液相と接触して存在する気相部の反
応器内最上部の圧力であって、これらの液相に存する成
分の反応温度に於ける飽和蒸気圧と反応器内に導入した
水素の分圧との和である。
【0030】尚、本明細書におけるルテニウム触媒の平
均結晶子径とは、一般的方法、すなわち、X線回折法に
よって得られる回折線巾の拡がりから、Scherre
rの式により算出されるものである。具体的にはCuK
α線をX線源として用いた場合には、回折角(2θ)で
44°付近に極大をもつ回折角の拡がりから算出される
ものである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づいて
説明する。尚、以下の実施例及び比較例に示されるシク
ロヘキセンとシクロオレフィンの生成比は、実験の濃度
分析値を基に次に示す式により算出した選択率を表した
ものである。
【0032】
【数1】 さらに、原料としたベンゼンの転化率は、実験の濃度分
析値を基に次に示す式により算出した転化率を表したも
のである。
【0033】
【数2】
【0034】
【実施例1】公知の方法で、あらかじめ水酸化亜鉛を含
有させた水酸化ルテニウムを還元して得られた、亜鉛を
6重量%含有する水素化ルテニウム触媒(平均結晶子径
約50Å)0.5g、分散剤としてジルコニアを2.5
g(平均結晶子径約200Å)、常温の水280ml、
ZnSO4 ・7H2O (和光純薬製特級)を49gを、内容積1
リットルの内面をテフロンコーティングしたオートクレ
ーブに仕込み、内部のガスを水素で十分置換して反応容
器を密閉、誘導攪拌法により高速攪拌を行いつつ150
℃まで昇温した後、高圧水素を導入して30atmまで
昇圧した。この状態、つまり高速攪拌下反応器内圧力3
0atm、150℃の条件を保ちながら22時間触媒ス
ラリーを保持した後に、150℃の液体ベンゼン80m
lを一機にオートクレーブ内に圧入し、水素を圧入しつ
つ反応圧力30atm、150℃で高速攪拌下に反応さ
せた。また反応中経時的に反応液を抜き出してオイル中
の組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。この
実験においては、オイル相と水相の液2相が存在する条
件下で反応が行われた。以下にこの実験により得たベン
ゼン、シクロヘキセン及びシクロヘキサンの濃度分析値
データを基にベンゼン転化率とシクロヘキセン及びシク
ロヘキサン選択率を求め、これを内挿してベンゼン転化
率40モル%時のシクロヘキセンとシクロヘキサンの生
成比の関係を示す。さらに、これと同様の方法で保持圧
力及び反応圧力のみ変えて実験を行った結果も同様に示
す。 保持及び反応圧力 シクロヘキセン選択率 シクロヘキサン選択率 30atm: 78% 22% 50atm: 84% 16% 70atm: 86% 14%
【0035】
【実施例2】公知の方法で、水酸化ルテニウムを還元し
て得た水素化ルテニウム触媒(平均結晶子径約50Å)
0.2g、分散剤としてジルコニアを1.0g(平均結
晶子径約200Å)、常温の水320ml、ZnSO4 ・ 7H
2O(和光純薬製特級)を14gを、内容積1リットルの
内面をテフロンコーティングしたオートクレーブに仕込
み、内部のガスを水素で十分置換して反応容器を密閉、
誘導攪拌法により高速攪拌を行いつつ150℃まで昇温
した後、高圧水素を導入して30atmまで昇圧した。
この状態、つまり高速攪拌下反応器内圧力30atm、
150℃の条件を保ちながら22時間触媒スラリーを保
持した後に、150℃の液体ベンゼン80mlを一機に
オートクレーブ内に圧入し、水素を圧入しつつ反応圧力
30atm、150℃で高速攪拌下に反応させた。また
反応中経時的に反応液を抜き出してオイル中の組成をガ
スクロマトグラフィーにより分析した。この実験におい
ては、オイル相と水相の液2相が存在する条件下で反応
が行われた。以下にこの実験により得たベンゼン、シク
ロヘキセン及びシクロヘキサンの濃度分析値データを基
にベンゼン転化率とシクロヘキセン及びシクロヘキサン
選択率を求め、これを内挿してベンゼン転化率40モル
%時のシクロヘキセンとシクロヘキサンの生成比の関係
を示す。さらに、これと同様の方法で保持圧力及び反応
圧力のみ変えて実験を行った結果も同様に示す。 保持及び反応圧力 シクロヘキセン選択率 シクロヘキサン選択率 30atm: 63% 37% 50atm: 71% 29% 90atm: 73% 27% 上記実施例1〜2より反応圧力を変えることで、生成物
の生成比が変化することが判る。
【0036】
【実施例3】連続的にベンゼンと水素を反応器に供給し
つつ、連続的に反応器から触媒スラリーと未反応ベンゼ
ンを含む生成オイルを抜き出し分離し、この分離した触
媒スラリーは再び反応器に連続的に戻すことの出来る連
続反応装置を用いて、30atm、150℃の条件下、
700時間の連続反応をおこなった。この連続反応後の
触媒スラリーを回収して、触媒スラリー量が実施例1で
オートクレーブに仕込んだ触媒スラリーと同量となるよ
うに取り分けた。次に、これを内容積1リットルの内面
をテフロンコーティングしたオートクレーブに仕込み、
内部のガスを水素で十分置換して反応容器を密閉、誘導
攪拌法により高速攪拌を行いつつ150℃まで昇温した
後、高圧水素を導入して30atmまで昇圧した。この
昇圧完了直後に、150℃の液体ベンゼン80mlを一
機にオートクレーブ内に圧入し、水素を圧入しつつ反応
圧力30atm、150℃で高速攪拌下に反応させた。
また反応中経時的に反応液を抜き出してオイル中の組成
をガスクロマトグラフィーにより分析した。この実験に
おいては、オイル相と水相の液2相が存在する条件下で
反応が行われた。
【0037】尚、上記700時間の連続反応に用いた触
媒スラリーは、あらかじめ水酸化亜鉛を含有させた水酸
化ルテニウムを還元し得た亜鉛を6重量%含有する水素
化ルテニウム触媒(平均結晶子径約50Å)10g、分
散剤としてジルコニアを50g(平均結晶子径約200
Å)、水1400ml、ZnSO4 ・ 7H2O(和光純薬製特
級)を245gで構成されたものであり、連続反応中に
分離した該生成オイル中に含まれる水は該オイルを冷却
することで分離して再び反応器に戻して、触媒スラリー
の水が減少するのを防止した。さらに、該連続反応装置
の内容積は3リットルの内面をテフロンコーティングし
たオートクレーブであり、連続反応中のベンゼン供給量
は200ml/h、反応器から触媒スラリーと未反応ベ
ンゼンを含む生成オイルを抜き出す量は1000ml/
hである。以下にこの実験により得たベンゼン、シクロ
ヘキセン及びシクロヘキサンの濃度分析値データを基に
ベンゼン転化率とシクロヘキセン及びシクロヘキサン選
択率を求め、これを内挿してベンゼン転化率40モル%
時のシクロヘキセンとシクロヘキサンの生成比の関係を
示す。さらに、これと同様の方法で保持圧力及び反応圧
力のみ変えて実験を行った結果も同様に示す。 保持及び反応圧力 シクロヘキセン選択率 シクロヘキサン選択率 30atm: 76% 24% 50atm: 82% 18% 70atm: 87% 13% 上記実施例3より、反応を行いつつ該触媒スラリーを水
素下高温高圧状態で長時間保持することでも、該生成物
の生成比に圧力依存性があること、つまり反応圧力を変
えると生成物の生成比が変化することが判る。
【0038】
【比較例1】実施例1と同様に調製したルテニウム触媒
0.5gにZnSO4 ・ 7H2O(和光純薬製特級)0.2gと
水0.4g、ジルコニア4.0g(平均結晶子径約20
0Å)を予め混合したもの、水5ml、1ブタノール2
50mlを内容積1リットルの内面をテフロンコーティ
ングしたオートクレーブに仕込み、投入する液体ベンゼ
ン量を100mlに変更した以外は実施例1と同様な操
作でベンゼンの水素添加反応を行った。以下にこの反応
により得たベンゼン、シクロヘキセン及びシクロヘキサ
ンの濃度分析値データを基にベンゼン転化率とシクロヘ
キセン及びシクロヘキサン選択率を求め、これを内挿し
てベンゼン転化率40モル%時のシクロヘキセンとシク
ロヘキサンの生成比の関係を示す。さらに、これと同様
の方法で保持圧力及び反応圧力のみ変えて実験を行った
結果も同様に示す。 保持及び反応圧力 シクロヘキセン シクロヘキサン 30atm: 23% 77% 50atm: 24% 76% 70atm: 23% 77% この反応系では液相に水相とオイル相の液2相とはなら
ず、水、1ブタノール、原料及びその反応生成物が単一
の液相を形成しており、液相は1相である。この結果は
実施例1の結果と異なり、生成するシクロヘキセンとシ
クロヘキサンの生成比は反応圧力に関して依存性を示さ
ない。同様の実験を炭素数1〜6までの第一アルコール
を用いて行ったが、結果は1ブタノールと同様の傾向、
つまり、生成するシクロヘキセンとシクロヘキサンの生
成モル比は圧力に関して依存性を示さないという結果を
得た。これは、該生成物の生成比が圧力の依存性を示す
ためには、反応系に存在する液相が水相とオイル相の液
2相を形成しなければならないことを示している。水相
とオイル相の存在する液2相で反応させた場合より、シ
クロヘキセンの生成比が低くなっているが、これは従来
より考えられている液相間のシクロヘキセンとシクロヘ
キサンとの溶解度差により物質移動が大きく関与した結
果と推定される。尚、これらの反応系で液相が水相とオ
イル相の2相を形成していないこと、つまり液相が1相
となっていることは、比較例1で用いた、触媒、その他
アルコールを含む添加物、ベンゼン、シクロヘキセン、
シクロヘキサンを比較例1とそれぞれ同等量混合したも
のをガラスオートクレーブに仕込みN2 圧加圧下150
℃において高速攪拌後静置状態にして、液相が単一相と
なっていることを目視で確認した。
【0039】尚、添加するアルコールの量を比較例1よ
り少なくして該液相が液2相を形成する場合、例えば比
較例1と同様の触媒を用いて、水245ml、ヘキサノ
ール10ml、ベンゼン100mlを内容積1リットル
の内面をテフロンコーティングしたオートクレーブに仕
込み、実施例1と同様な操作を行い実験したものでは、
該生成物生成比の反応圧力依存性が見られた。
【0040】実施例1〜3及び比較例1の触媒スラリー
の水素イオン濃度、つまりpHは7.0未満の酸性であ
った。
【0041】
【発明の効果】本願発明の方法により、単環芳香族炭化
水素から部分水添物であるシクロオレフィンと完全水添
物であるシクロアルカンの生成比を工業的に容易に制御
することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ルテニウム触媒、水、硫酸亜鉛の存在下
    に、酸性条件で単環芳香族炭化水素を水素により水素添
    加して反応させ、シクロオレフィンとシクロアルカンを
    製造するに当たり、100〜200℃、1〜100at
    mの高温高圧水素下で1時間以上保持されたルテニウム
    触媒、水及び硫酸亜鉛を含む触媒スラリ−を用い、且
    つ、原料及び生成物を主成分とするオイル相と水を主成
    分とする水相が相分離した状態で、反応圧力を制御する
    ことにより、生成するシクロオレフィンとシクロアルカ
    ンの生成モル比を制御することを特徴とするシクロオレ
    フィンとシクロアルカンの製造方法。
  2. 【請求項2】 該水添反応が該単環芳香族炭化水素の反
    応転化率を変化させずに行う反応であることを特徴とす
    る請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 該水添反応の反応温度が100℃〜20
    0℃の範囲であることを特徴とする請求項1または2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 該水に溶解した硫酸亜鉛濃度が0.01
    〜10mol/lである請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 該水が該単環芳香族炭化水素の0.00
    1〜100重量倍存在することを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 該ルテニウム触媒が、ルテニウム化合物
    を還元することによって得られる金属ルテニウムからな
    る非担持型触媒であって、該金属ルテニウムの平均結晶
    子径が200Å以下であることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 該金属ルテニウムが、予め亜鉛化合物を
    含有したルテニウム化合物を還元することによって得ら
    れる亜鉛化合物を含有した金属ルテニウムであって、か
    つ、ルテニウムに対する亜鉛の含有量が0.1〜50重
    量%であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
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