JPH0819012B2 - シクロオレフインの製造方法 - Google Patents

シクロオレフインの製造方法

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JPH0819012B2
JPH0819012B2 JP61243105A JP24310586A JPH0819012B2 JP H0819012 B2 JPH0819012 B2 JP H0819012B2 JP 61243105 A JP61243105 A JP 61243105A JP 24310586 A JP24310586 A JP 24310586A JP H0819012 B2 JPH0819012 B2 JP H0819012B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、単環芳香族炭化水素を部分還元し、高選択
率、高収率で対応するシクロオレフイン類、特にシクロ
ヘキセン類を製造する方法に関するものである。
シクロヘキセン類は有機化学工業製品の中間原料とし
てその価値が高く、特にポリアミド原料、リジン原料な
どとして重要である。
(従来の技術) かかるシクロヘキセン類の製造方法としては、例え
ば、(1)水およびアルカリ剤と周期表第VIII族元素を
含有する触媒組成物を用いる方法(特公昭56−22850号
公報)、(2)ニツケル、コバルト、クロム、チタンま
たはジルコニウムの酸化物に担持したルテニウム触媒を
用い、アルコールまたはエステルを添加剤として用いる
方法(特公昭52−3933号公報)、(3)銅、銀、コバル
ト、またはカリウムを含有するルテニウム触媒と水およ
びリン酸塩化合物を使用する方法(特公昭56−4536号公
報)、(4)ルテニウム触媒ならびに周期表のI A族金
属、II A族金属、およびマンガンより選ばれた少なくと
も1種の陽イオンの塩を含む中性または酸性水溶液の存
在下に反応を行なう方法(特公昭57−7607号公報)、
(5)ルテニウムおよびロジウムの少なくとも1種を主
成分とする固体触媒を周期表I A族金属、II A族金属、
マンガン、鉄、および亜鉛よりなる群から選ばれた少な
くとも1種の陽イオンの塩を含む水溶液で予め処理した
ものを用い、水の存在下に反応を行なう方法(特開昭51
−98243号公報)、(6)ルテニウム触媒を用い、酸化
亜鉛および水酸化亜鉛の少なくとも1種を反応系に活性
化成分として添加して反応を行う方法(特開昭59−1841
38号公報)、(7)水および少なくとも1種の亜鉛化合
物の存在下に、200Å以下の平均結晶子径を有する金属
ルテニウム結晶子および/またはその凝集した粒子を使
用する方法(特開昭61−50930号公報)などが提案され
ている。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、これらの従来公知の方法においては、目的と
するシクロヘキセン類の選択率を高めるために、原料の
転化率を著しく抑える必要があつたり、反応速度が極め
て小さいなど、一般にシクロヘキセン類の収率ならびに
生産性が低く、実用的なシクロヘキセン類の製造方法と
なつていないのが現状である。
また、かかるシクロヘキセン類の製造方法が実用的な
ものとなるためには、反応に用いられる触媒が、継続的
に安定な活性もしくは選択性を維持できるものであるこ
とが必要かつ重要であるが、従来の技術においては、こ
の点において必ずしも充分とはいえない。
また、本発明者らの検討によれば、例えば、特開昭61
−50930号公報で提案されている金属ルテニウム粒子を
単独に触媒として用いた場合には、比較的高収率でシク
ロオレフインが得られる場合もあるが、反応器と反応液
の接液部などに該触媒が付着、堆積したり、触媒自身が
変化するなど、安定な反応系を維持することが困難であ
る場合が少なからず発生することが判つた。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、かかる問題点を解決するため、シクロ
ヘキセン類の収率向上、および工業的に有利な安定した
触媒系を得るため、単環芳香族炭化水素の部分還元法に
おける触媒系、すなわち、主触媒とその他の部分からな
る系について鋭意検討し、本発明に到達したものであ
る。
すなわち、本発明は、単環芳香族炭化水素を水の存在
下、水素により部分還元するに際し、200Å以下の平均
結晶径を有する金属ルテニウムを主成分とする水素化触
媒粒子を用い、少なくとも1種の固体塩基性亜鉛塩(た
だし、塩基性硫酸亜鉛は除く)の共存下、中性または酸
性の条件下に反応を行なうことにより、従来にない良好
な収率でシクロオレフイン類が得られ、しかも安定した
触媒系として使用できるシクロオレフインの製造方法で
ある。
以下、本発明の具体的な実施態様を説明する。
本発明の原料となる単環芳香族炭化水素とは、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン類、炭素数4以下のアルキル基
を有する低級アルキルベンゼン類をいう。
本発明においては、200Å以下の平均結晶子径を有す
る金属ルテニウムを主成分とする水素化触媒粒子を用い
る。この触媒は、種々のルテニウム化合物を還元して得
られるもの、またはその調製段階もしくは調製後におい
て他の金属、例えば、亜鉛もしくはクロム、モリブデ
ン、タングステン、マンガン、コバルト、ニツケル、
鉄、銅などを加えたルテニウムを主成分とするものであ
る。種々のルテニウム化合物としては特に制限はない
が、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸
塩、水酸化物、酸化物、リテニウムレツド、あるいは各
種のルテニウムを含む錯体などを用いることができ、還
元法としては、水素ガスによる還元あるいはホルマリ
ン、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン等による化学
還元法によつて行うことができる。特にルテニウムの塩
を加水分解して水酸化物とし、これを還元する方法は好
ましく用いられる。
また、本発明方法においては、あらがじめ亜鉛を含有
せしめたルテニウム化合物の還元物を使用すると、シク
ロオレフインの収率をさらに高めることができ、有効に
使用される。かかる触媒は、あらかじめ有価のルテニウ
ム化合物に亜鉛化合物を含有せしめた後、還元して得ら
れる還元物であり、ルテニウムは金属状態まで還元され
たものである。使用できる有価のルテニウム化合物は、
例えば、塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの塩、アンミン錯
塩などの錯体、水酸化物、酸化物などであるが、特に3
価もしくは4価のルテニウムの化合物が入手もしやす
く、また、取扱い上も容易であるので好ましい。また、
使用できる亜鉛化合物は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩など
の塩、アンミン錯塩などの錯体、水酸化物、酸化物など
巾広いものが使用可能である。
かかる触媒中の亜鉛含有量は、ルテニウムに対し0.1
〜50重量%、好ましくは2〜20重量%に調整される。し
たがつて、触媒の主構成要素は、あくまでルテニウムで
あり、亜鉛は担体ではない。
このような亜鉛を含有する有価のルテニウム化合物
は、亜鉛およびルテニウムの化合物の混合溶液を用い
て、一般的な共沈法などによつて固体として得てもよい
し、あるいは均一溶液の状態で得てもよい。
かかる亜鉛を含有する有価のリテニウム化合物の還元
方法としては、一般的なルテニウムの還元方法を応用す
ることができる。例えば、気相において水素で還元する
方法、液相において水素もしくは適当な化学還元剤、例
えば、NaBH4やホルマリンなどを用いて還元する方法が
好ましく応用され、水素により気相もしくは液相で還元
する方法は特に好ましい。
気相において水素で還元する場合は、結晶子径の増加
を避ける意味で、極度の高温を避けたり、あるいは水素
を他の不活性気体で希釈するなどの工夫をするとよい。
また、液相で還元する場合には、水やアルコール類に、
亜鉛を含有する有価のルテニウム化合物の固体を分散さ
せて行なつてもよいし、もしくは均一溶液の状態で行な
つてもよい。この際、還元をよりよく進行させるため
に、撹拌、加熱などを適当に行なうとよい。また、水の
かわりにアルカリ水溶液や適当な金属塩水溶液、例え
ば、アルカリ金属塩水溶液などを用いてもよい。
以上の如き水素化触媒粒子は、主にルテニウムよりな
る結晶子および/またはその凝集した粒子として反応系
に存在するが、シクロオレフイン類の選択率や収率、さ
らには反応速度を高めるためには、該結晶子の平均結晶
子径は200Å以下であることが必要であり、150Å以下で
あることが好ましく、100Å以下であることがさらに好
ましい。ここで、平均結晶子径は一般的方法、すなわ
ち、X線回折法によつて得られる回折線巾の拡がりか
ら、Scherrerの式により算出されるものである。具体的
には、CuKα線をX線源として用いた場合は、回折角
(2θ)で44゜付近に極大をもつ回折線の拡がりから算
出されるものである。
本発明において反応系に共存する固体塩基性亜鉛塩
(ただし、塩基性硫酸亜鉛は除く)とは、各種の強酸の
共役塩基残基と、これとは別の陰性成分とみなされる水
酸基または酸素原子を併含する亜鉛の塩を指す。具体的
には、ZnF2・4Zn(OH)、ZnO・3ZnCl2・H2O、ZnO・Zn
Cl2・H2Oおよび1.5H2O、3ZnO・2ZnCl2・11H2O、2ZnO・Z
nCl2・11H2O、2ZnO・ZnCl2・4H2O、5ZnO・2nCl2・26H
2O、5ZnO・5ZnCl2・8H2O、3ZnO・ZnCl2・nH2O(nは2,
3,4,5または8)、4ZnO・ZnCl2・nH2O(nは4,6または1
1)、5ZnO・ZnCl2・nH2O(nは6,8または29)、11ZnO・
2ZnCl2、6ZnO・ZnCl2・6H2Oおよば10H2O、8ZnO・ZnCl2
・10H2O、9ZnO・ZnCl2・3H2Oおよび14H2O、ZnBr2・4ZnO
・nH2O(nは10,13または29)、ZnBr2・5ZnO・6H2O、Zn
Br2・6ZnO・35H2O、ZnI2・4Zn(OH)、ZnI2・5ZnO・1
1H2O、ZnI2・9ZnO・24H2Oなどに代表される塩基性ハロ
ゲン化亜鉛、8ZnO・N2O5・4H2O、4ZnO・N2O5・4H2O、5Z
nO・N2O5・5H2Oおよび6H2O、5ZnO・N2O5・5H2Oなどで代
表される塩基性硝酸亜鉛、4ZnO・P2O5・H2Oに代表され
る塩基性正リン酸亜鉛などがあり、これらは単品とし
て、もしくは種々の混合物として得ることができる。
これらの塩基性亜鉛塩は、一般的には亜鉛の強酸塩の
水溶液を適当に処理することによつて得ることができ
る。例えば、亜鉛の強酸塩の水溶液を母液として適当な
アルカリ剤を作用させたり、さらには、熱したりするこ
とにより、固体として得ることができる。また、亜鉛の
強酸塩の水溶液に水酸化亜鉛あるいは酸化亜鉛を加えて
煮沸するなどしても、種々の塩基性亜鉛塩の混合物とし
て得られる場合もある。また、金属亜鉛を適当に処理し
て得られる場合もある。
これらを反応系において固体として共存させるには、
これらの1種もしくは混合物を粉末の形で水素化触媒と
混合し、もしくは別個に反応系へ添加することが好まし
い。
本発明方法においては、これら塩基性亜鉛塩が不溶の
状態で共存する必要がある。塩基性亜鉛塩の水溶液に対
する溶解度は、一般的に水溶液が中性の場合には、ほぼ
無視し得る量であるが、水溶液のpHが低くなると増加す
るので、反応系への添加量は、水溶液のpHを考慮に入れ
て決めることが好ましい。ただし、本発明に用いる水素
化触媒がもつ吸着力によつて、塩基性亜鉛塩の反応系内
における飽和溶解度以下の添加量であつても、触媒上に
固体として共存できる場合が多い。
本発明においては、かかる固体塩基性亜鉛塩を水素化
触媒に対して、亜鉛として1×10-4〜1重量倍、好まし
くは1×10-3〜0.5重量倍共存させて反応を行なう。共
存量が少なすぎるとシクロオレフインの選択率、収率の
向上に対する効果が希薄であり、多すぎると反応速度が
低下して、結果的に多量の水素化触媒が必要となるた
め、工業的に有利な反応系とはなり難い。
このような固体塩基性亜鉛塩は、反応系から水素化触
媒と共に分離して、X線回折、螢光X線、X線光電子分
光などにより直接固体のまま確認することができる。ま
た、この固体塩基性亜鉛塩の共存量を定量する方法とし
ては、水素化触媒と共に分離された固体を溶解し、測定
する方法が好ましく用いられる。
具体的には反応液中より触媒スラリーを沈降せしめた
後、上澄み液を除去し、残存するスラリーに、もしくは
反応液中のスラリーより過して得られる固形物に不溶
塩基性亜鉛塩を溶解し得る液、例えば濃塩酸などを加え
て、通常行なわれる亜鉛イオンの分析−定量によつて知
ることができる。また、反応系に共存するイオンによる
分析への影響を除去する等の目的で、場合によつては不
溶塩基性亜鉛塩の溶解量が無視できる程度の水で、これ
らスラリーもしくは過した固形物を洗浄した後、濃塩
酸等を加えて、亜鉛イオンの定量を行つてもよい。
このように固体塩基性硫酸亜鉛を共存させることによ
り、シクロオレフインの選択率、収率を高めることがで
きる。さらには、同等の高選択率、高収率を維持し得る
反応温度範囲が拡大し、比較的定温においてもシクロオ
レフインを収率よく得ることができるので、反応条件選
定の自由度が拡大し、工業的に極めて価値の高いものと
なる。
このように固体塩基性亜鉛塩を共存させることによつ
て、何故シクロオレフインの選択率、収率が向上するか
は必ずしも定かではないが、共存する固体塩基性亜鉛塩
が水素化溶媒上に吸着し、シクロオレフインの生成に有
利な活性点を現出していると考えられる。
一方、本発明における固体塩基性亜鉛塩の共存は、下
記の如く、触媒の安定性に対しても大きな効果を有す
る。
一般に、微粒の金属触媒を用いることは、その金属が
担体上に担持された触媒と異なり、反応系においてしば
しば2次凝集やシンタリングなどが進行し、安定な触媒
系としての持続性に難点がある。このことは本発明方法
に使用する金属ルテニウム触媒についても同様であり、
実用性の観点に立つた場合、2次凝集やシンタリングな
どの進行を回避することは是非とも必要な技術となる。
本発明における固体塩基亜鉛塩の共存は、驚くべきこと
に、かかる2次凝集やシンタリングなどによる触媒の変
化を抑制する効果も併せもつことが明らかとなつた。
固体塩基性亜鉛塩の共存なしで、本発明で使用する金
属ルテニウム触媒を反応条件下に保持した場合、金属ル
テニウム触媒の2次凝集がさらに進行する。
このように2次凝集がさらに進行した触媒は、水相中
での触媒粒子の分散性が著しく悪くなる。このような状
態になつた凝集体では、その凝集体の中の金属ルテニウ
ムへの水素およびベンゼンの拡散、特に水素の拡散が困
難となり、反応に必要な十分な量を触媒上へ供給するこ
とができず、満足する反応の状態を得ることができな
い。特に水素の触媒上への供給が不足すると、反応速度
の低下および副反応の増加が著しくなる。また、反応に
より生成したシクロオレフインの反応の場の外への拡散
または既凝集体の外への拡散が遅くなり、さらに、水添
反応が進行し、シクロアルカンへの副反応が増加する。
このような凝集状態の変化は、直接電子顕微鏡により観
測することもできる。
また、同様に本発明で使用する金属ルテニウム触媒を
固体塩基性亜鉛塩の共存なしで、反応条件下に長時間保
持したところ、触媒の表面積の著しい低下があることが
分つた。本発明で使用する微小な平均結晶径を有する金
属ルテニウムの特徴である触媒表面積が減少すること
は、すなわち、反応性、選択性への効果を減少させるこ
ととなる。上記のことを確認するため、このように処理
された触媒を用い、本発明の製造方法を実施した結果、
シクロオレフインへの反応性および選択性が著しく低下
することが分つた。これに対して、固体塩基性亜鉛塩の
共存下、金属ルテニウム触媒を反応条件下に長時間保持
した場合は、金属ルテニウム触媒の水相への分散性は変
らず、極めて良好な状態に保たれていた。この触媒の表
面積を測定した結果、表面積はほとんど変化がなく、ま
た、この触媒で再度本発明の製造方法を実施した結果も
ほとんど変らなかつた。このような固体塩基性亜鉛塩の
共存による効果は定かではないが、固体塩基性亜鉛塩が
金属ルテニウム触媒の表面上に存在し、その表面の性質
を変えているものと考えられる。
本発明においては、水の存在が必要である。水の量と
しては、反応形式によつて異なるが、一般的に用いる単
環芳香族炭化水素に対して0.01〜100重量倍共存させる
ことができるが、反応条件下において、原料および生成
物を主成分とする有機液相と、水を含む液相とが2相を
形成することが必要であり、反応条件下において均一性
となるような極く微量の水の共存、もしくは極く多量の
水の共存は効果を減少させ、また、水の量が多すぎると
反応器を大きくする必要性も生ずるので、実用的には0.
5〜20重量倍共存させることが望ましい。
また、本発明においては、水のかわりに、従来知られ
た方法の如く金属の塩の水溶液を用いることにより、さ
らに好ましいシクロオレフインの選択率、収率を得るこ
とができる。金属の塩としては、周期表I A族金属、II
A族金属、II B族金属、マンガン(例えば、特公昭57−7
607号公報)、コバルトなどの硝酸塩、塩化物、硫酸
塩、酢酸塩、リン酸塩などが使用されるが、I A族金
属、II A族金属および亜鉛の塩が好ましく、さらには、
塩化物、硫酸塩の如き強酸塩が好ましい。
また、本発明の反応系では、水溶液は中性または酸性
の状態で反応が行なわれることが必要である。水相をア
ルカリ性とすると、反応速度は著しく低下し、現実的な
シクロオレフイン類の製造方法とはなり難い。また、酸
性にするために、通常の酸、例えば、塩酸、硝酸、硫
酸、酢酸、リン酸などを加えてもさしつかえない。この
ようにして反応系へ導入される水溶液のpHは0.5〜7以
下である。
本発明方法における部分還元反応は、通常、液相懸濁
法で連続的または回分的に行なわれるが、固定相式でも
行なうことができる。反応条件は、使用する触媒や添加
物の種類や量によつて適宜選択されるが、通常、水素圧
は1〜200kg/cm2G、好ましくは10〜100kg/cm2Gの範囲で
あり、反応温度は室温〜250℃、好ましくは100〜200℃
の範囲である。また、反応時間は、目的とするシクロヘ
キセン類の選択率や収率の実質的な目標値を定め、適宜
選択すればよく、特に制限はないが、通常、数秒ないし
数時間である。
(発明の効果) 本発明によれば、シクロオレフインを従来にない高い
選択率、収率で得ることができ、さらに、安定した触媒
系となり、工業的に極めて価値の高いものである。
(実施例) 次に、実施例をもつて本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明は、これらの実施例に限定されるものではな
い。
実施例1〜3 Ru(OH)を水中において加圧水素により還元して得
た金属ルテニウム触媒(平均結晶径50Å)0.35g、表1
に示す固体塩基性亜鉛塩を亜鉛として30mgおよび水320m
lを、テフロンコーテイングを内面に施した内容積1
のオートクレーブに仕込み、水素で気相部を置換して15
0℃まで昇温後、ベンゼン80mlを圧入し、全圧50kg/cm2G
に保つように水素を補給し、150℃で60分間水素化反応
を行つた。反応後、急冷して有機物層を分取し、ガスク
ロマトグラフイーで分析した結果を表1に示す。副生物
はシクロヘキサンであつた。
なお、確認のため実施例1の反応終了後のスラリー中
の固体を、X線回折を用いて分析したところ、金属ルテ
ニウムと添加した塩基性塩化亜鉛の回折線が観測され
た。
比較例1 金属ルテニウム触媒(平均結晶子径50Å)0.05gを用
い、固体塩基性亜鉛塩を使用しなかつた他は、実施例1
と同様の操作を行ない、60分間反応を行なつた。ベンゼ
ンの転化率は68.7%で、シクロヘキセンの選択率は2.1
%、シクロヘキセン収率1.4%であつた。
また、反応終了後、反応器を開放し、観察したとこ
ろ、触媒の著しい凝集がみられた。
実施例5〜8 水相の種類を変化させる以外は、実施例1と同様の操
作を行なつた。ただし、実施例8は、平均結晶子径78Å
の金属ルテニウム触媒を用い、実施例2と同様の操作を
行なつた。結果を表2に示す。
比較例2 固体塩基性亜鉛塩を用いず、反応時間を40分とした以
外は、実施例5と同様の操作を行なつた。ベンゼンの転
化率は71.6%で、シクロヘキセンの選択率は12.6%、シ
クロヘキセン収率9.0%であつた。
実施例9 触媒としてあらかじめ亜鉛を含有させた金属ルテニウ
ム触媒(亜鉛含有量7.5重量%,平均結晶子径55Å)0.5
g、10%硫酸亜鉛水溶液320mlを用いた他は、実施例1と
同様の操作を行なつた。ベンゼンの転化率57.5%、シク
ロヘキサンの選択率81.2%、シクロヘキセン収率46.5%
であつた。
実施例10 触媒としてあらかじめ亜鉛を含有させた金属ルテニウ
ム触媒(亜鉛含有量5.4重量%,平均結晶子径65Å)0.3
5g、塩基性亜鉛塩としてZnO・3ZCl2・H2Oを亜鉛として2
0mg、5%塩化亜鉛水溶液320mlを用い、140℃で反応を
行なつた他は、実施例1と同様の操作を実施した。ベン
ゼンの転化率53.8%、シクロヘキセンの選択率75.3%、
シクロヘキセン収率40.5%であつた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07B 61/00 300

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単環芳香族炭化水素を水の存在下、水素に
    より部分還元するに際し、200Å以下の平均結晶子径を
    有する金属ルテニウムを主成分とする水素化触媒粒子を
    用い、少なくとも1種の固体塩基性亜鉛塩(ただし、固
    体塩基性硫酸亜鉛は除く)の共存下、中性または酸性の
    条件下に反応を行うことを特徴とするシクロオレフイン
    の製造方法。
  2. 【請求項2】共存する固体塩基性亜鉛塩(ただし、固体
    塩基性硫酸亜鉛は除く)の量が水素化触媒に対し、亜鉛
    として1×10-4〜1重量倍である特許請求の範囲第1項
    記載のシクロオレフインの製造方法。
  3. 【請求項3】水素化触媒があらかじめ亜鉛を含有せしめ
    たルテニウムの還元物である特許請求の範囲第1項記載
    のシクロオレフインの製造方法。
  4. 【請求項4】水素化触媒中の亜鉛含有量が主成分である
    ルテニウムに対し、0.1〜50重量%である特許請求の範
    囲第3項記載のシクロオレフインの製造方法。
  5. 【請求項5】周期表I A族金属の強酸塩の水溶液、II A
    族金属の強酸塩の水溶液もしくは亜鉛の強酸塩の水溶液
    から選ばれた少なくとも1種の共存下で反応を行なう特
    許請求の範囲第1項記載のシクロオレフインの製造方
    法。
JP61243105A 1986-07-14 1986-10-15 シクロオレフインの製造方法 Expired - Lifetime JPH0819012B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61243105A JPH0819012B2 (ja) 1986-07-14 1986-10-15 シクロオレフインの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

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