JP5461715B2 - 車体アンダカバー - Google Patents

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Description

この発明は、車体アンダカバーに関する。
本願は、2011年2月17日に、日本に出願された日本国特願2011−032413号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
自動車等の車両の中には、空力特性を向上するために、車体下面にアンダカバーを取り付けたものがある。例えば、アンダカバーは車体床下の空気の流れを安定させるために、車体床下の下方に突出する整流フィンを備え、この整流フィンは車幅方向に翼厚を有するもので後輪の後方の切り上がるように形成された床下に設けられている(特許文献1参照)。
また、後輪の前方の床下に、床下を流れる空気流と後方のサスペンション部品との衝突を軽減するために、アンダカバーの裏面を流れる空気流がより低い位置を流れるように整流する整流突出部をサスペンション部品の前側に設けたものがある(特許文献2参照)。
日本国特開2009−90681号公報 日本国特開2008−265677号公報
しかしながら、前者及び後者の従来技術においては、整流フィン及び整流突出部がアンダカバーの下方に突出するため、この突出した部分が路面と干渉しないように、この整流フィンや整流突出部の先端部と路面との間で最低地上高を設定しなければならず、結果としてアンダカバー本体と路面との距離が遠くなり、カバー全体の下面の流速を上げるうえで不利となる課題がある。
カバー本体の高さを低くすると、整流フィン及び整流突出部が路面干渉して破損の虞がある。
そこで、この発明は、アンダカバー本体を低位置に配置できると共に整流要素の路面干渉の問題を解消できる車体アンダカバーを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために、本発明に係る一態様は、車両進行方向に沿って見た場合に、車両の車体下面の後輪よりも前方でかつ、前記車体下面の少なくとも後半部に配置される車体アンダカバーであって、アンダカバー本体の路面に対向する面に、前記車両進行方向の後方に向かうほど徐々に互いに近接し、車幅方向中央を挟んで対となるよう配置された凹形状の溝部が形成され;これら溝部の各後端が、左右前記後輪間でかつ前記車幅方向中央を指向している。
(2)上記(1)の態様において、前記アンダカバー本体の前記路面に対向する面であって前記後輪の前方位置に、凹部が形成され;この凹部の後壁が、前記後輪の外周面に沿うようにして形成されてもよい。
(3)上記(1)または(2)の態様において、前記アンダカバー本体は、前記車体の前方から後方に向かって上側が凸となるように、湾曲形成されてもよい。
(4)上記(1)から(3)何れか一つの態様において、前記後輪の前方の前記車体下面の前半部に取り付けられた平坦なフロアパネルに連なって、前記後輪の前方の前記車体下面の後半部に前記アンダカバー本体が取り付けられてもよい。
(5)上記(1)から(4)何れか一つの態様において、前記アンダカバー本体の外側端に凹形状部が形成され、この凹形状部の底壁が固定部として前記車両のサイドシルに固定されてもよい。
上記(1)の態様によれば、アンダカバー本体の路面に対向する面の溝部以外の一般面を路面に近接させて空気流を整流し、空気流を凹形状の溝部に流れ込ませ左右の後輪間に縮流することで車両の空気抵抗を下げることができる。このとき、整流用の凸部品等をアンダカバー本体とは別に設定する必要が無いので、アンダカバー本体の一般面を低くすることができる。よって、アンダカバー本体の破損を防止しながらアンダカバー本体と地面との間を流れる空気の流速を上げることができるので、空気抵抗を下げることができる。
上記(2)の態様によれば、アンダカバー本体の路面に対向する面の一般面の下方を流れる空気流を凹部から凹部の後壁を経て後輪下方に流し、後輪前面との衝突を回避し、乱流を抑制し空気抵抗を下げることができるため、一般面よりも落とし込まれた凹部の破損を防止することができる。
上記(3)の態様によれば、アンダカバー本体は上側が凸となるように湾曲形成されているため、前方から後方に路面からの深さが深くなる部分を作ることができ導風効果を向上し、かつ深さが深くなった分だけ路面と近接させることができ空気流を整流可能とする。
上記(4)の態様によれば、後輪の前方の車体下面の後半部にアンダカバー本体を設けるため、フロアパネルの下側の全面に渡ってアンダカバー本体を設けた場合に比較して低コストで対策できる。
上記(5)の態様によれば、サイドシルに対する固定部である凹形状部の底部以外の部分はフロアパネルの一般面よりも地面に近い位置に下げることができるため、空気流の流速を上げることができ、空気抵抗の低減効果が高まる。
この発明の実施形態の車体の下面図である。 上記実施形態の要部を左側下から後上方を視た一部切欠き斜視図である。 上記実施形態の要部を右側下から前上方を視た一部切欠き斜視図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 図1のB−B線に沿う断面図である。 図5を斜め下から視た走行風の流れを示す一部切欠き斜視図である。 図6に対応した走行風の他の流れを示す斜視図である。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に下面図として示すように、車体フロアは車体前部のフロントフロア1と、このフロントフロア1に接続される車体後部のリヤフロア2とを備えている。フロントフロア1の車幅方向中央部には車体前後方向に沿ってフロアトンネル部3が上側に膨出形成されている。フロントフロア1の両側部には車体骨格部材であるサイドシル4,4が取り付けられている。サイドシル4はインサイドシル5とスティフナ6とで閉断面構造に構成され、その外側にアウタパネル7が接合されている。
ここで、図1において、フロントフロア1の右側はインサイドシル5を示し、フロントフロア1の左側はインサイドシル5及び後述するスティフナ6を外側から覆う車体側壁を構成するアウタパネル7を示している。
フロントフロア1の前端部には上側に立ち上がるダッシュボードロアパネル19(図4参照)が接合され、フロントフロア1とダッシュボードロアパネル19との接続部分の裏側にダッシュボードクロスメンバ8が接合されている。フロアトンネル部3の両側であってフロントフロア1の裏面には、車体前後方向に沿って、フロントフロア1との間に閉断面構造を形成するハット型断面形状のトンネルフレーム9,9が接合されている。また、フロアトンネル部3の裏側には車幅方向に沿って、トンネルフレーム9,9に跨るようにトンネル補強部材10,11が前後に取り付けられている。
フロントフロア1の後端部のリヤフロア2との接合部分は後方が高くなっていて、この接合部分の裏側に車幅方向に渡って閉断面構造を形成するミドルクロスメンバ12が接合されている。
リヤフロア2の裏面には、車体前後方向に沿って閉断面構造のリヤフレーム13が左右に配置されている。リヤフレーム13,13はサイドシル4,4の配置間隔よりも狭い配置間隔で、サイドシル4,4よりも高い位置に設けられている。リヤフレーム13は、前部13fが前側に向かうほど外側に傾斜し、かつ下側に傾斜して形成され、このリヤフレーム13の前部13fにサイドシル4の後部4rが接合されている。ここで、フロントフロア1よりも高い位置に配置されたリヤフロア2の前部下方に燃料タンク14が配置されている。
車体の前方には、車体前後方向に沿ってフロントサイドフレーム15が左右に設けられ、フロントサイドフレーム15,15の両側方に、前輪FW,FWが配置されている。また、リヤフレーム13には左右の後輪RW,RWを支持するサスペンション部品16を備えたサブフレーム17が下側から取り付けられている。リヤフロア2の後部にはスペアタイヤパン18が下側に膨出形成されている。
ここで、フロントフロア1の前側のトンネル補強部材10と後側のトンネル補強部材11との間(ホイルベース中心)から、リヤフロア2の後輪RWの前方位置に至る範囲、つまり後輪RWの前方の車体下面の後半部には、樹脂により一体成形された車体アンダカバー20,20が、フロアトンネル部3の両脇に振り分けて一対取り付けられている。
ここで、左右の車体アンダカバー20,20は互いにほぼ対称形状であるが、機能的な構造が同一であるので、以下の説明では同一部分には同一符号を付して説明する。
図2にも示すように、車体アンダカバー20の外側端は、インサイドシル5の後部の下壁21のフランジ部22(図4参照)の手前まで延び、後輪RWの幅方向中央部付近まで至っている。また、車体アンダカバー20の内側端は、トンネルフレーム9,9の下壁25の外縁まで延びている。
車体アンダカバー20は、フロントフロア1の平坦な一般面1aの後縁に連なる平坦な一般面26aを備えたアンダカバー本体26を備えている。アンダカバー本体26の路面に対向する面には、車両進行方向後方に向かうほど徐々に左右後輪RWの車幅方向中央部に指向して斜めに延びる凹形状の前部溝部27と後部溝部28とが形成されている。
前部溝部27と後部溝部28とは互いに平行に配置され、各々の後端は徐々に溝の深さが浅くなるように傾斜部42,43を経て一般面26aに連なっている。前部溝部27と後部溝部28の後端縁は一般面26aと前後方向に延びる折れ線44,45で連なっているが、前部溝部27の折れ線44は前側が外側に開くように斜めに加工されている。
アンダカバー本体26の前部溝部27の前部であって、アンダカバー本体26の外側端には、前部溝部27よりも落とし込まれた凹設部(凹形状部)35が設けられている。アンダカバー本体26の後部溝部28の前部には、後部溝部28よりも落とし込まれた凹設部(凹形状部)46が設けられている。これら凹設部35,46はアンダカバー本体26の外側端に側壁を向け、側方からの空気の流入も許容している。
これにより、左右一対の車体アンダカバー20の各前部溝部27と各後部溝部28とが、車両進行方向後方であって左右の後輪RWの車幅方向中央部に指向して互いに近接して配置される。
ここで、凹設部35と凹設部46とが落とし込まれているのは、フロントフロア1の側部が斜め上に傾斜して、インサイドシル5に接合されているため、(図4参照)、後述するようにインサイドシル5の下壁21で固定されるアンダカバー本体26の外側端もフロントフロア1に対応させる必要があるからである。したがって、同様の理由でアンダカバー本体26の前端部の外側端は、フロントフロア1の側部が斜め上側に傾斜するのに整合して斜めに落とし込まれている。
アンダカバー本体26の後部溝部28の後方には路面に対向する面であって後輪RWの前方位置に、後辺はアンダカバー本体26の後端に沿い、外側辺はアンダカバー本体26の外側端に沿い、内側辺はやや内側に折れ曲がり後部溝部28に沿う凹部29が、アンダカバー本体26の一般面26aから落とし込まれて形成されている。この凹部29は後輪RWの外周面に沿うようにして形成された後壁30を備えている。凹部29の底壁32は平坦に形成されている。
アンダカバー本体26の下側を流れる空気流は、前部溝部27と後部溝部28により後輪RW,RWの間を後方に流れるが、この前部溝部27、後部溝部28に沿うことなく後方に流れ凹部29に流れ込んだ空気流が後壁30に沿って下側に流れ、後輪RWの前面に衝突しないようになっている。
アンダカバー本体26の凹部29の底壁32の前部には、アンダカバー本体26の後部外側端をインサイドシル5の下壁21にボルト33で固定するための固定孔34が設けられている。
図3、図4に示すように、アンダカバー本体26の前部溝部27の前部の凹設部35には、底壁36に、アンダカバー本体26の前部外側端をインサイドシル5の下壁21にボルト37で固定するための固定孔38が設けられている。
このように、アンダカバー本体26の外側端には凹設部35、凹部29が凹形状に形成され、アンダカバー本体26の外側端は、これら凹設部35の底壁36に形成された固定孔38に挿通されたボルト37と、凹部29の底壁32に形成された固定孔34に挿通されたボルト33により、各々インサイドシル5の下壁21に固定されている。
また、アンダカバー本体26の内側端であって車体前後方向中央部に、トンネルフレーム9の下壁25にアンダカバー本体26をボルト40により固定するための固定孔41が設けられている。
図4に示すように、フロントフロア1のフロアトンネル部3とサイドシル4との間には、フロントクロスメンバ47が接合されている。ここで、サイドシル4は図1で説明したが車幅方向外側に開放されたハット型断面構造のインサイドシル5と、インサイドシル5の上下のフランジ部22に接合されて閉断面構造を形成する車幅方向内側に開放されたハット型断面形状のスティフナ6と、このスティフナ6を外側から覆い車体側壁を構成するアウタパネル7とで構成されている。
フロントフロア1には左右に車体前後方向に向かってフロントクロスメンバ47を貫くフロアフレーム48が接合されている。フロントフロア1は外側部が途中で上側に折れ曲がり、インサイドシル5の底壁部に接合され、フロントフロア1のトンネルフレーム9の配置位置ではやや上方に盛り上がって形成され、トンネルフレーム9の下壁25の高さをフロントフロア1の一般面1aの高さに一致させている。したがって、トンネルフレーム9の下壁25とインサイドシル5の下壁21に渡って取り付けられるアンダカバー本体26の一般面26aを、フロントフロア1の一般面1aに重ね合わせて平坦に形成することができる。尚、インサイドシル5とスティフナ6とで形成された閉断面構造の部分にはこれを閉塞するバルクヘッド49が取り付けられている。
そして、図5に鎖線で示すように、アンダカバー本体26の一般面26aは車体の前方から後方に向かって上側が凸となる湾曲面50に沿って湾曲形成されている。
上記実施形態によれば、車両走行時にフロントフロア1から車体アンダカバー20に流れる空気は、フロントフロア1の一般面1a及びアンダカバー本体26の一般面26aを路面に近接させることができるので、フロントフロア1の一般面1aからアンダカバー本体26の一般面26aへと整流された状態となり、前部溝部27や後部溝部28に至ると、これら前部溝部27と後部溝部28とに沿うようにして後輪RW,RW間に縮流した状態となって流れ(図6の矢印参照)、後輪RWに衝突することはなく空気抵抗を下げることができる。したがって、整流フィンを下側に向かって突出したような場合のように、アンダカバー本体26の一般面26aの位置を低くしても、整流のための要素が溝である前部溝部27や後部溝部28であるため破損の虞がなく、アンダカバー本体26と地面との間を流れる空気の流速を上げることができるので、空気抵抗を下げることができる。
また、アンダカバー本体26の一般面26aの下方を流れる空気流が前部溝部27、後部溝部28内に導かれずに、凹部29に至った場合には、図7に矢印で示すように、凹部29の後壁30にガイドされて、後輪RWの下方に導かれるため、空気流が後輪RWの前面と衝突するのを回避して乱流の発生を抑制し空気抵抗を下げることができる。よって、この凹部29においても、前部溝部27や後部溝部28と同様に、下側に向かって突出する整流フィン等を取り付けた場合に比較して一般面26aよりも落とし込まれた凹部29には破損の虞がない。
特に、アンダカバー本体26の一般面26aは上側が凸となる湾曲面50に沿うように湾曲形成されているため、前方から後方に路面からの深さが深くなる部分を作ることができ、導風効果を向上し、かつ深さが深くなった分だけ路面と近接させて空気流を整流可能とできる。
そして、後輪RWの前方の車体下面の後半部に車体アンダカバー20を設けるため、フロントフロア1の下側の全面に渡って車体アンダカバー20を設けた場合に比較して低コストで対策できる。
更に、サイドシル4のインサイドシル5に対する固定部である前部溝部27の凹設部35の底壁36や凹部29の底壁32以外の部分はフロントフロア1の一般面1aよりも地面に近い位置に下げることができるため、空気流の流速を上げることができ、空気抵抗の低減効果が高まる。
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、アンダカバー本体26の内側端のトンネルフレーム9に対する取付部は一箇所に限られない。また、後部溝部28の凹設部46もインサイドシル5に固定してもよい。また、前部溝部27、後部溝部28、凹部29をアンダカバー本体26と別体で成形してもよい。
そして、車体アンダカバー20はフロアトンネル部3を跨いで左右一対設けた場合を例にしたが、左右の車体アンダカバー20,20をフロアトンネル部3下をも覆う一体形状にしてもよい。
上述したように、本発明に係る車体アンダカバーは、車両進行方向に沿って見た場合に、車両の車体下面の後輪よりも前方でかつ、前記車体下面の少なくとも後半部に配置される車体アンダカバーであって、アンダカバー本体の路面に対向する面に、前記車両進行方向の後方に向かうほど徐々に互いに近接し、車幅方向中央を挟んで対となるよう配置された凹形状の溝部が形成され;これら溝部の各後端が、左右の前記後輪間でかつ前記車幅方向中央を指向している。
本発明によれば、アンダカバー本体を低位置に配置できると共に整流要素の路面干渉の問題を解消できる車体アンダカバーを提供できる。
RW 後輪
20 車体アンダカバー
26 アンダカバー本体
27 前部溝部(溝部)
28 後部溝部(溝部)
29 凹部
30 後壁
35,46 凹設部(凹形状部)
1 フロントフロア(フロアパネル)
36 底壁
32 底壁
4 サイドシル

Claims (5)

  1. 車両進行方向に沿って見た場合に、車両の車体下面の後輪よりも前方でかつ、前記車体下面の少なくとも後半部に配置される車体アンダカバーであって、
    アンダカバー本体の路面に対向する面に、前記車両進行方向の後方に向かうほど徐々に互いに近接し、車幅方向中央を挟んで対となるよう配置された凹形状の溝部が形成され;
    これら溝部の各後端が、左右の前記後輪間でかつ前記車幅方向中央を指向している;
    ことを特徴とする車体アンダカバー。
  2. 前記アンダカバー本体の前記路面に対向する面であって前記後輪の前方位置に、凹部が形成され;
    この凹部の後壁が、前記後輪の外周面に沿うようにして形成されている;
    ことを特徴とする請求項1記載の車体アンダカバー。
  3. 前記アンダカバー本体は、前記車体の前方から後方に向かって上側が凸となるように、湾曲形成されていることを特徴とする請求項1記載の車体アンダカバー。
  4. 前記後輪の前方の前記車体下面の前半部に取り付けられた平坦なフロアパネルに連なって、前記後輪の前方の前記車体下面の後半部に前記アンダカバー本体が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車体アンダカバー。
  5. 前記アンダカバー本体の外側端に凹形状部が形成され、この凹形状部の底壁が固定部として前記車両のサイドシルに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の車体アンダカバー。
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