JP6059188B2 - 車体下部構造 - Google Patents
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Description
さらに、特許文献1の車両下部構造は、車両の下部全域に亘って形成されたアンダカバーの全体を下方に下げる必要がある。このため、アンダカバーを下方に下げる構成が複雑になりこの観点から改良の余地が残されている。
ここで、車両の走行中(具体的には、中・高速度の走行中)にアンダカバーおよび路面間に負圧が発生し、発生した負圧で底部に押下力が作用する。底部に作用する押下力で変形部を変形させることができ、底部を外周部から離すように定位置から低位置まで下げることができる。
これにより、アンダカバーおよび路面間に負圧を良好に発生させて車両の安定性を確保することができる。
これにより、底部を低位置から定位置まで上げることが可能になり、車両の最低地上高を高くできる。
よって、第2底部や第2底部の周囲で負圧を良好に発生させることができ、発生させた負圧で、車両から車幅方向外方へ広がる空気流を車両側に引き寄せることができる。これにより、空気流の車幅方向外方への広がりを抑制して空気抵抗を好適に低減できる。
ここで、車両の中・高速度の走行中に、下降部に負圧が均等に作用しないことが考えられる。例えば、下降部のうち、車両前方側の部位に大きな負圧が作用し、車両後方側の部位に作用する負圧が抑えられることが考えられる。この場合、車両前方側の部位に押下力が作用し、車両後方側の部位に小さな押上力が作用する虞がある。
このため、下降部の変形部が外周部に沿って無端状に形成された場合、底部の車両後方側の部位に押上力が作用して、車両後方側の部位が定位置より上がることが考えられる。
よって、折部の近傍に押上力が作用しても、押上力で折部の近傍が上方へ変形することを防止できる。これにより、下降部に作用する押下力で底部の全体を定位置から下げることができる。
よって、例えば、車両前方側の部位に押下力が作用し、車両後方側の部位に小さな押上力が作用した場合でも、押上力を押下力で相殺できる。これにより、小さな押上力で底部が部分的に定位置より上がることを抑えて、押上力を相殺した押下力で底部の全体を定位置から下げることができる。
ここで、車両が低速度で走行する際には、凹凸状の路面を走行することが考えられる。このため、底部を定位置に確実に保持して凹凸状の路面に底部が接触することを防ぐ必要がある。
そこで、アンダパネル側へ戻る力をたわみ防止部で底部に加えるようにした。これにより、車両の停止中や低速度の走行中に底部をたわみ防止部で確実に上げることができる。
そこで、位置決め部を底部に接触させるようにした。これにより、たわみ防止部で底部を定位置まで上げたとき、底部を位置決め部に接触させて、車両の停止中や低速度の走行中に、底部を定位置に位置決めした状態で保持できる。
このように、たわみ防止部および位置決め部を備えることにより、車両の停止中や低速度の走行中に、底部をたわみ防止部で確実に上げ、かつ、底部を位置決め部で定位置に位置決めした状態に保持できる。
図1、図2に示すように、車両Veは、車両下部11に車両下部構造10を備えている。車両下部構造10は、車両下部11の前左右側に設けられた左前輪13および右前輪14と、車両下部11の後左右側に設けられた左後輪15および右後輪16と、車両下部11の左右側に設けられた左サイドシル17および右サイドシル18とを備えている。
また、車両下部構造10は、左サイドシル17および右サイドシル18間に配置されたアンダパネル19と、アンダパネル19に設けられた左アンダカバー21および右アンダカバー22とを備えている。
左サイドシル17と右サイドシル18との間に亘ってアンダパネル19が設けられることにより、アンダパネル19で車両の下面(すなわち、フロア部)が形成される。アンダパネル19は、路面から上方に間隔をおいて配置され、かつ、路面に沿って車両前後方向に延在されている。
アンダパネル19の左取付部19bに左アンダカバー21が設けられ、アンダパネル19の右取付部19dに右アンダカバー22が設けられている。
左アンダカバー21および右アンダカバー22は左右対称の部材であり、右アンダカバー22について詳しく説明する。さらに、左アンダカバー21の各構成部に右アンダカバー22と同じ符号を付して左アンダカバー21の詳しい説明を省略する。
カバー部26のカバー枠部32に沿って複数の取付孔33が上下方向に向けて貫通されている。複数の取付孔33に差し込まれたボルト24がアンダパネル19の右取付部19d(図2参照)にねじ結合されることにより、右取付部19dにカバー部26が取り付けられている。
カバー部26は、アンダパネル19の右取付部19dに沿って矩形枠状に形成されたカバー枠部32と、カバー枠部32の内周から下方に張り出されたカバー壁部34と、カバー壁部34の下端から内側に向けて略水平に張り出されたカバー底部35とを有する。
開口部31がカバー部26の車幅方向中央部分に設けられ、開口部31に下降部27が配置される。
カバー部26のカバー底部35に下降部27の外周部41が上方から重ね合わされ、外周部41に取付枠部28が上方から重ね合わされる。カバー底部35の取付孔37および外周部41の取付孔44にボルト48が差し込まれ、取付枠部28の係合部46にボルト48がねじ結合される。
この変形部42は、湾曲形状を保持する剛性と、湾曲形状から直線状に延びる弾性変形性とを備えている。
下降底部43に作用する押下力F1で変形部42が直線状に変形して(延びて)下降底部43がアンダパネル19から下降する。
この状態において、下降底部43の頂部51が定位置H1から低位置H2まで下げられた状態に配置される。
これにより、右アンダカバー22および路面間に負圧を良好に発生させて車両Veの安定性を確保することができる。
よって、変形部42の復元力で下降底部43が低位置H2から定位置H1(図6、図7参照)に持ち上げられ、カバー底部35と略同一面に配置される。これにより、車両Ve車両の最低地上高が高く確保される。
下降底部43が下降した状態において、下降底部43の車幅方向中央が定位置H1から低位置(最下位置)H2まで下降して頂部51が形成される。頂部51は、下降部27の長手方向(すなわち、車両前後方向)に直線状に延出されている(図8も参照)。
さらに、下降底部43の車幅方向中央に頂部51が形成されることにより、頂部51から下降底部43の外側部(下降部の両側部の一方)43a側に張り出される外傾斜部52が形成され、頂部51から下降底部43の内側部(下降部の両側部の他方)43b側に張り出される内傾斜部53が形成される。
よって、下降底部43が下降した状態において、下降底部43が頂部51、外傾斜部52および内傾斜部53で断面略船底形状に形成される。
同様に、右前輪14から車両後方で、かつ、車幅方向外側に向けて流れる空気流56が発生する。空気流55および空気流56で空気抵抗が増すことが考えられる。
そこで、アンダパネル19に左アンダカバー21および右アンダカバー22を備えるようにした。
このように、空気流55の広がりを抑制することにより、左前輪13から流れる空気流55により生じる空気抵抗を好適に低減でき、車両Veの空力性能を向上させることができる。
ここで、左前輪13から車両後方へ流れる空気流55が車幅方向外方へ広がる。そこで、下降部27を左前輪13の車両後方側に設けることにより、車幅方向外方へ広がる空気流55を、下降部27の負圧側に効率よく引き寄せることができる。
これにより、空気流55の車幅方向外方への広がりを抑制して、空気抵抗を一層好適に低減できる。
よって、車両Veの中・高速走行において、頂部51および外傾斜部52において負圧が発生する。これにより、車幅方向外方へ広がる空気流55を頂部51および外傾斜部52側に引き寄せて、空気流55の車幅方向外方への広がりを抑制し、空気抵抗を好適に低減できる。
さらに、右前輪14から流れる空気流56を右側の下降部27で車両Ve側に引き寄せて、空気流56の車幅方向外方への広がりを抑制できる。
これにより、左前輪13および右前輪14から流れる空気流55,56により生じる空気抵抗を好適に低減でき、車両Veの空力性能を向上させることができる。
実施例1では、変形部42を断面略湾曲形状に形成した例について説明したが、変形部61を、図12に示す断面略折形状に形成することも可能である。
図12に示すように、変形例1の下降部60は、変形部61が断面略折形状の一例として断面略U字折形状(コ字折形状)に形成されている。
断面略折形状としては、略U字折形状の他に、略三角形状や略鋸刃形状などの他の折形状を採用することも可能である。
図14、図15に示すように、下降部70は、カバー底部35に沿って略矩形枠状に形成される外周部71と、外周部71の内縁に設けられる第1変形部(変形部)72と、第1変形部72の内縁に設けられる下降底部(底部)73とを有する。
この第1変形部72は、湾曲形状を保持する剛性と、湾曲形状から直線状に延びる弾性変形性とを備えている。
第1底部74は、第1変形部72の内側に不織布で断面略平坦に形成され、かつ、第1変形部72の内縁に沿って無端状に形成されている。
この第2変形部75は、湾曲形状を保持する剛性と、湾曲形状から直線状に延びる弾性変形性とを備えている。
具体的には、第1変形部72が押下力F3で直線状に変形して第1底部74がアンダパネル19から下降する。同時に、第2変形部75が押下力F3で直線状に変形して第2底部76が第1底部74から下降する。
このように、実施例2の下降部70によれば、実施例1の下降部27と同様に、車両Veの空力性能を向上させる効果を得ることができる。
実施例2では第1変形部72および第2変形部75を断面略湾曲形状に形成した例について、説明したが、第1変形部(変形部)81および第2変形部83を、図17に示す断面略折形状に形成することも可能である。
図17に示すように、変形例の下降部80は、第1変形部81および第2変形部83が断面略折形状の一例として断面略U字折形状(コ字折形状)に形成されている。
断面略折形状としては、略U字折形状の他に、略三角形状や略鋸刃形状などの他の折形状を採用することも可能である。
これにより、下降底部82に作用する押下力F4で第2底部76を低位置H2(図16参照)まで円滑に下げることができる。
これにより、第1変形部81および第2変形部83の弾性力で第2底部76を低位置H2から定位置H1まで円滑に上げることができる。
図18、図19に示すように、下降部90は、カバー底部35に沿って略矩形枠状に形成される外周部91と、外周部91の内縁に設けられる変形部92と、変形部92の内縁に設けられる下降底部(底部)93と、下降底部93を下方に折り曲げ可能な折部94とを有する。
変形部92は、実施例2の第1変形部72と同様に断面略上向き湾曲形状に形成され、車両後方において一端部92aおよび他端部92bが離れた位置に配置されている。一端部92aおよび他端部92bが離れた位置に配置されることにより、変形部92が平面視略U字状に形成されている。
図20に示すように、車両Ve(図11参照)の中・高速度の走行中に、下降部100に負圧が均等に作用しないことが考えられる。例えば、下降部100のうち、車両前方側の部位100aに大きな負圧が作用し、車両後方側の部位100bに作用する負圧が抑えられることが考えられる。
このため、車両後方側の部位100bに押上力F6が作用した場合、下降底部103の車両後方側の部位103b側の変形部102が、押上力F6で上向きに弾性変形して定位置H1より上がってしまうことが考えられる。
これにより、下降部90に作用する押下力F7で下降底部93の全体を定位置から良好に下げることができ、車両Veの空力性能を向上させることができる。
図22に示すように、右アンダカバー110は、実施例1の右アンダカバー22に複数の規制部112が備えられたもので、その他の構成は、実施例1の右アンダカバー22と同様である。
これにより、図20に示す比較例のように、下降部27のうち、車両前方側の部位27aに押下力が作用し、車両後方側の部位27bに小さな押上力が作用した場合でも、押上力を押下力で相殺できる。
押上力F10を押下力F9で相殺することにより、押上力F10で下降底部43の車両後方側の部位(すなわち、車両後方側の部位27bに相当する部位)が部分的に定位置H1より上がることを抑えることができる。
これにより、押上力F10を相殺した押下力F9で、下降底部43の全体を定位置H1から下げることができ、車両Ve(図11参照)の空力性能を向上させることができる。
図24に示すように、右アンダカバー120は、実施例1の右アンダカバー22に複数のたわみ防止部121および複数の位置決め部122が備えられたもので、その他の構成は、実施例1の右アンダカバー22と同様である。
よって、たわみ防止部121の復元力が下降底部43に加えられる。たわみ防止部121の復元力が、下降底部43をアンダパネル19側へ戻す力として利用される。これにより、右アンダカバー120の下降底部43が自重で下方にたわむことをたわみ防止部121で抑制できる。
すなわち、車両Ve(図11参照)が停止、低速走行に保たれ、下降底部43が定位置H1に配置された状態において、位置決め部122の下端部122bに下降底部43が接触する。
そこで、下降底部43がアンダパネル19側へ戻る力をたわみ防止部121で下降底部43に加えるようにした。これにより、車両Veの停止中や低速走行中に下降底部43をたわみ防止部で確実に上げることができる。
そこで、位置決め部122の下端部122bを下降底部43に接触させるようにした。よって、たわみ防止部121で下降底部43を定位置H1まで上げたとき、下降底部43を位置決め部122の下端部122bに接触させることができる。
これにより、車両Veの停止中や低速走行の状態において、下降底部43を定位置H1に位置決めした状態で確実に保持できる。
これにより、車両Veの低速走行中に下降底部43が上下方向に移動して、いわゆる、ばたつくことを抑制できる。
例えば、前記実施例1〜実施例5で示した車両、車両下部構造、左右のサイドシル、アンダパネル、左右のアンダカバー、カバー部、下降部、外周部、変形部、下降底部、第1、第2の変形部、第1、第2の底部、折部、規制部、たわみ防止部および位置決め部などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
10 車両下部構造
17,18 左右のサイドシル(サイドシル)
19 アンダパネル
21 左アンダカバー(アンダカバー)
22,110,120 右アンダカバー(アンダカバー)
26 カバー部
27,60,70,80,90 下降部
41,71,91 外周部
42,61,92 変形部
43,73,82,93 下降底部(底部)
72,81 第1変形部(変形部)
74 第1底部
75,83 第2変形部
76 第2底部
92a 変形部の一端部
92b 変形部の他端部
94 折部
112 規制部
121 たわみ防止部
122 位置決め部
Claims (7)
- 車両に備えた左右のサイドシル間にアンダパネルが配置され、該アンダパネルで車両の下面が形成される車両下部構造であって、
前記アンダパネルに設けられたアンダカバーを備え、
該アンダカバーは、
前記アンダパネルに設けられるカバー部と、
該カバー部に設けられ、走行中に前記アンダパネルから下降可能な下降部と、を備え、
該下降部は、
前記カバー部に設けられる外周部と、
該外周部の内側に配置され、前記アンダパネルから下降可能な底部と、
該底部および前記外周部を連結し、前記底部および前記外周部間の距離に対して余剰を持たせて形成された弾性変形可能な変形部と、
を有することを特徴とする車体下部構造。 - 前記変形部は、断面略湾曲形状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の車体下部構造。
- 前記変形部は、断面略折形状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の車体下部構造。
- 前記底部は、
前記変形部に連結する第1底部と、
該第1底部の内側に設けられ、前記第1底部より下方に下降可能な第2底部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の車体下部構造。 - 前記下降部は、
前記変形部の一端部および他端部が離れた位置に形成され、
前記一端部および前記他端部に亘って形成され、前記底部を下方に折り曲げ可能な折部を有することを特徴とする請求項1記載の車体下部構造。 - 前記アンダパネルおよび前記底部の両部材間に複数配置され、前記両部材を連結することにより、前記底部の移動を上下方向に規制する規制部を備えたことを特徴とする請求項1記載の車体下部構造。
- 前記アンダパネルおよび前記底部の両部材間に複数配置され、前記両部材を連結することにより、前記アンダパネル側へ戻る力を前記底部に加えるたわみ防止部と、
前記アンダパネルおよび前記底部の両部材間に複数配置され、前記アンダパネルに固定された状態で前記底部に接触可能な位置決め部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の車体下部構造。
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