JP5446270B2 - セルロースエステルペレット、セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロースエステルペレット、セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースエステルペレット、セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)は低電圧、低消費電力でIC回路への直結が可能であり、そして特に薄型化が可能であることから、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ、テレビ、モニター、携帯情報端末等の表示装置として広く採用されている。このLCDの基本的な構成は、例えば、液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。
ところで偏光板は一定方向の偏波面の光だけを通すものである。従って、LCDは電界による液晶の配向の変化を可視化させる重要な役割を担っている。即ち、偏光板の性能によってLCDの性能が大きく左右される。
偏光板の偏光子はヨウ素等を高分子フィルムに吸着・延伸したものである。即ち、二色性物質(ヨウ素)を含むHインキと呼ばれる溶液を、ポリビニルアルコールのフィルムに湿式吸着させた後、このフィルムを1軸延伸することにより、二色性物質を一方向に配向させたものである。偏光板の保護フィルムとしては、セルロースエステル、特にセルローストリアセテートが広く用いられている。
セルロースエステルフィルムは、光学的、物理的に偏光板用の保護フィルムとして有用であるため一般に広く用いられている。しかしながら、現在のフィルム製造方法はハロゲン系の溶媒を用いた流延製膜法による製造方法であるため、溶媒回収に要する費用は非常に大きい負担となっている。また、ハロゲン系溶剤は環境負荷が大きいという課題を有している。近年、例えば、特許文献1には偏光板保護フィルム用として、セルロースエステルを溶融流延製膜する試みが行われているが、セルロースエステルは溶融時の粘度が非常に高い高分子であり、かつガラス転移温度も高いため、溶融してダイスから押出し、冷却ドラムまたは冷却ベルト上にキャスティングしてもレベリングし難く、押出し後に短時間で固化するため、得られるフィルムの物性特性である平面性やカール性、さらには寸法安定性、また光学特性である複屈折均一性、特にフィルム幅手方向での複屈折均一性が溶液流延フィルムよりも低いといった課題を有していることが分かっている。
また、溶融流延製膜は高温プロセスであるため、セルロースエステルの熱分解による加工安定性の低下や着色といったセルロースエステルフィルムにとっては致命的な課題が存在している。セルロースエステルを溶融流延製膜する場合、まず、セルロースエステルを高温溶融した後、単軸または2軸押出し機にてペレット化する時の機械的ストレスによって、セルロースエステルの劣化がかなり促進される。フィルムを得るまでに、さらに加熱溶融押出し工程で加熱されるので、2度の熱履歴をセルロースエステルに与え、セルロースエステルの劣化が促進される。セルロースエステルの劣化が促進されると、詳細は明らかではないが、架橋して分子量が増加したり、或いは解重合して分子量が低下し分子量分布が広がることで、加工安定性が低下したり、着色する。これは、製品品質のみならず、生産時に発生する破砕品の原材料への再利用にも問題が生じる。セルロースエステルは熱による劣化が著しい材料のため、劣化しない溶融流延製膜方の確立が望まれている。
この課題を解決するために。安定剤としてヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、あるいは硫黄系化合物を加えることによって、着色や加工安定性の改善を図った技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、長時間に渡る溶融流延製膜後に発生するスジ故障の発生を抑制する目的で可塑剤としてトリアジン系化合物や安息香酸フェニルエステル系化合物を用いる技術(例えば、特許文献3参照)も公開されている。しかし、いずれの公知技術をもってしても上記の課題、特に、加工安定性の劣化や着色の問題、光学特性である複屈折均一性の問題を解決するには不十分であった。
特開2000−352620号公報 特開2006−241428号公報 特開2006−176736号公報
本発明の目的は、上記課題に鑑みなされたものであり、溶媒の乾燥及び回収に伴う製造負荷、設備負荷及び環境負荷を低減し、光学特性に優れ、着色が少なく、さらに加工安定性の劣化が少ないセルロースエステルペレット、セルロースエステルフィルム及びその製造方法、該セルロースエステルフィルムを特に幅手方向の複屈折特性のばらつきが少ない優れた偏光板保護フィルムとして用いた偏光板、及びその偏光板を用いた液晶表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.セルロースエステルと、下記の組み合わせA、B又はCの少なくとも一つとを含有し、かつ該組み合わせA、B又はCの少なくとも一つを該セルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とするセルロースエステルペレット。
組み合わせA:下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物の組み合わせ。
組み合わせB:下記一般式(3)で表される化合物と下記一般式(4)で表される化合物の組み合わせ。
組み合わせC:下記一般式(5)で表される化合物と下記一般式(6)で表される化合物の組み合わせ。
[式中、R1及びR2は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R3はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
[式中、R1及びR2は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R3はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
[式中、R4は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、R5、R、R、及びR8は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
[式中、R4は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、R5、R、R、及びR8は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。Rはアルキル基またはシクロアルキル基を表す。]
[式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
[式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。R19はアルキル基またはシクロアルキル基を表す。]
2.前記の組み合わせA及びBを、前記セルロースエステルに対し各々0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とする前記1に記載のセルロースエステルペレット。
3.前記の組み合わせA及びCを、前記セルロースエステルに対し各々0.001質量%〜1.00質量%含有することを含有することを特徴とする前記1に記載のセルロースエステルペレット。
4.前記組み合わせA中の一般式(1)及び(2)で表される化合物のR3がアルキル基またはアリール基であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のセルロースエステルペレット。
5.セルロースエステルと、下記の組み合わせA、B又はCの少なくとも一つとを含有し、かつ該組み合わせA、B又はCの少なくとも一つを該セルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とするセルロースエステルフィルム。
組み合わせA:下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物の組み合わせ。
組み合わせB:下記一般式(3)で表される化合物と下記一般式(4)で表される化合物の組み合わせ。
組み合わせC:下記一般式(5)で表される化合物と下記一般式(6)で表される化合物の組み合わせ。
[式中、R1及びR2は各々独立にアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R3はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
[式中、R1及びR2は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R3はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
[式中、R4は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、R5、R、R、及びR8は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
[式中、R4は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、R5、R、R、及びR8は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。Rはアルキル基またはシクロアルキル基を表す。]
[式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
[式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。R19はアルキル基またはシクロアルキル基を表す。]
6.前記の組み合わせA及びBを、前記セルロースエステルに対し各々0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とする前記5に記載のセルロースエステルフィルム。
7.前記の組み合わせA及びCを、前記セルロースエステルに対し各々0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とする前記5に記載のセルロースエステルフィルム。
8.前記組み合わせA中の一般式(1)及び(2)で表される化合物のR3がアルキル基またはアリール基であることを特徴とする前記5〜7のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム。
9.前記1〜4のいずれか1項に記載のセルロースエステルペレットを溶媒を用いず加熱溶融してセルロースエステル溶融物を得、該溶融物を支持体上に流延する溶融流延製膜法によって製造することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
10.前記5〜8のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの返材を、前記セルロースエステルペレットに加えて、溶媒を用いず加熱溶融して前記セルロースエステル溶融物を得ることを特徴とする前記9に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
11.第1の面及び第2の面を有する偏光子と前記5〜8のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムを有する偏光板であって、該セルロースエステルフィルムを該偏光子の第1の面及び第2の面の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
12.第1の面及び第2の面を有する液晶セルと前記11に記載の偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板を液晶セルの第1の面及び第2の面の少なくとも一方の面に有することを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、溶媒の乾燥及び回収に伴う製造負荷、設備負荷及び環境負荷を低減し、光学特性に優れ、着色が少なく、さらに加工安定性の劣化が少ないセルロースエステルフィルム及びその製造方法、該セルロースエステルフィルムを特に幅手方向の複屈折特性のばらつきが少ない優れた偏光板保護フィルムとして用いた偏光板、及びその偏光板を用いた液晶表示装置を提供することができる。
本発明を更に詳しく説明する。
セルロースエステルフィルムの製造法の一つである溶液流延法は、セルロースエステルを溶媒に溶解した溶液を流延し、溶媒を蒸発、乾燥することによって製膜するものである。この方法はフィルム内部に残存する溶媒を除去しなければならないため、乾燥ライン、乾燥エネルギー、及び蒸発した溶媒の回収及び再生装置等、製造ラインへの設備投資及び製造コストが膨大になっており、これらを削減することが重要な課題となっている。
これに対し溶融流延法による製膜では、溶液流延としてセルロースエステルの溶液を調製するための溶媒を用いないため、前述の乾燥負荷、設備負荷が生じない。
本発明者らは鋭意検討の結果、セルロースエステルフィルム、さらに具体的には偏光版保護用途のセルロースエステルフィルムに前記の組み合わせA、B、Cの少なくとも一つを含有させることにより、驚くべきことに複屈折の均一性が大幅に改善されるという効果が得られた。同時に溶融流延製膜時の樹脂の熱分解による加工安定性の劣化や着色を改善できることも分かった。複屈折の均一性及び加工安定性を改善する効果は、前記の組み合わせA及びBを両方用いること、或いは前記の組み合わせA及びCを両方用いることで増強されることが分かった。
更には、驚くべきことに本発明のセルロースエステルフィルムは、一旦作製した後、フィルムを粉砕し、再度原材料に再利用する所謂返材として用いた場合でも、上記の複屈折の均一性及び加工安定性は良好な性能を維持し、リサイクル性に優れていることが分かった。
以下、本発明に用いられる各種化合物について詳述する。
《セルロースエステル》
本発明に係るセルロースエステルは、脂肪酸アシル基、置換もしくは無置換の芳香族アシル基の中からいずれかの構造を含む、セルロースの単独または混合酸エステルである。
芳香族アシル基において、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基の例としてハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基及びアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)2、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)2、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)2、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)2、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)2−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)2、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)2、−SiH2−R、−SiH(−R)2、−Si(−R)3、−O−SiH2−R、−O−SiH(−R)2及び−O−Si(−R)3が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。置換基の数は、1〜5個が好ましく、1〜4個がより好ましく、1〜3個がさらに好ましく、1個または2個が最も好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基及びウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基及びカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基が最も好ましい。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。
上記アルキル基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜4が最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル及び2−エチルヘキシルが含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜4が最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシ及びオクチルオキシが含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜12がさらに好ましい。アリール基の例には、フェニル及びナフチルが含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜12がさらに好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシ及びナフトキシが含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましい。アシル基の例には、ホルミル、アセチル及びベンゾイルが含まれる。上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミド及びベンズアミドが含まれる。上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド及びp−トルエンスルホンアミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜12がさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチル及びナフチルメチルが含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、2〜12がさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜12がさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニルが含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20が好ましく、8〜12がさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニルが含まれる。上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイル及びN−メチルカルバモイルが含まれる。上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下が好ましく、12以下がさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイル及びN−メチルスルファモイルが含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、2〜12がさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ及びベンゾイルオキシが含まれる。
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜12がさらに好ましい。
アルケニル基の例には、ビニル、アリル及びイソプロペニルが含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜12がさらに好ましい。アルキニル基の例には、チエニルが含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましい。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜12がさらに好ましい。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜12がさらに好ましい。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜12がさらに好ましい。
本発明に係るセルロースエステルにおいて、セルロースの水酸基部分の水素原子が脂肪族アシル基との脂肪酸エステルであるとき、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20で、具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられる。
本発明において前記脂肪族アシル基とは、さらに置換基を有するものも包含する意味であり、置換基としては上述の芳香族アシル基において、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基として例示したものが挙げられる。
また、上記セルロースエステルのエステル化された置換基が芳香環であるとき、芳香族環に置換する置換基Xの数は0または1〜5個であり、好ましくは1〜3個で、特に好ましいのは1または2個である。さらに芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えば、ナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリン等)を形成してもよい。
上記セルロースエステルにおいて置換もしくは無置換の脂肪族アシル基、置換もしくは無置換の芳香族アシル基の少なくともいずれか1種選択された構造を有する構造を有することが本発明に係るセルロースエステルに用いる構造として用いられ、これらは、セルロースの単独または混合酸エステルでもよく、2種以上のセルロースエステルを混合して用いてもよい。
本発明に係るセルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
次に、本発明に用いられるセルロースエステルのアシル基の置換度について説明する。
セルロースには、1グルコース単位の2位、3位、6位に1個ずつ、計3個の水酸基があり、総置換度とは、平均して1グルコース単位にいくつのアシル基が結合しているかを示す数値である。従って、最大の置換度は3.0である。これらアシル基は、グルコース単位の2位、3位、6位に平均的に置換していてもよいし、分布をもって置換していてもよい。
混合脂肪酸エステルの置換度として、更に好ましいセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートの低級脂肪酸エステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)、(II)及び(III)を同時に満たすセルロースエ
ステルを含むセルロース樹脂である。なお、アセチル基の置換度と他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたものである。
式(I) 2.4≦X+Y≦2.9
式(II) 0≦X≦2.4
式(III) 0.5≦Y≦2.9
この内、特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.2≦X≦2.1であり、0.6≦Y≦1.4であることが好ましい。アシル基の置換度の異なるセルロースエステルをブレンドして、セルロースエステルフィルム全体として上記範囲に入っていてもよい。上記アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
本発明に用いられるセルロースエステルは、50000〜150000の数平均分子量(Mn)を有することが好ましく、55000〜120000の数平均分子量を有することが更に好ましく、60000〜100000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
更に、本発明に用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比が1.3〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.5〜5.0であり、更に好ましくは1.7〜3.5であり、更に好ましくは2.3〜3.3のセルロースエステルが好ましく用いられる。
なお、Mn及びMw/Mnは下記の要領で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより算出した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒 :テトヒドロフラン
装置 :HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム :TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料濃度 :0.1質量%
注入量 :10μl
流量 :0.6ml/min
校正曲線 :標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=2,560,000〜580までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
セルロースエステルは、例えば、原料セルロースの水酸基を無水酢酸、無水プロピオン酸及び/または無水酪酸を用いて常法によりアセチル基、プロピオニル基及び/またはブチル基を上記の範囲内に置換することで得られる。このようなセルロースエステルの合成方法は、特に限定はないが、例えば、特開平10−45804号或いは特表平6−501040号に記載の方法を参考にして合成することができる。
本発明に用いられるセルロースエステルのアルカリ土類金属含有量は、1〜50ppmの範囲であることが好ましい。50ppmを超えるとリップ付着汚れが増加或いは熱延伸時や熱延伸後でのスリッティング部で破断しやすくなる。1ppm未満でも破断しやすくなるがその理由はよく分かっていない。1ppm未満にするには洗浄工程の負担が大きくなり過ぎるためその点でも好ましくない。更に1〜30ppmの範囲が好ましい。ここでいうアルカリ土類金属とはCa、Mgの総含有量のことであり、X線光電子分光分析装置(XPS)を用いて測定することができる。
本発明に用いられるセルロースエステル中の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1〜45ppmの範囲であることが好ましい。これらは塩の形で含有していると考えられる。残留硫酸含有量が45ppmを超えると熱溶融時のダイリップ部の付着物が増加するため好ましくない。また、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティングの際に破断しやすくなるため好ましくない。少ない方が好ましいが、0.1未満とするにはセルロースエステルの洗浄工程の負担が大きくなり過ぎるため好ましくないだけでなく、逆に破断しやすくなることがあり好ましくない。これは洗浄回数が増えることが樹脂に影響を与えているのかもしれないがよく分かっていない。更に1〜30ppmの範囲が好ましい。残留硫酸含有量は、ASTM−D817−96に規定の方法により測定することができる。
本発明に用いられるセルロースエステル中の遊離酸含有量は、1〜500ppmであることが好ましい。500ppmを超えるとダイリップ部の付着物が増加し、また破断しやすくなる。洗浄で1ppm未満にすることは困難である。更に1〜100ppmの範囲であることが好ましく、更に破断しにくくなる。特に1〜70ppmの範囲が好ましい。遊離酸含有量はASTM−D817−96に規定の方法により測定することができる。
合成したセルロースエステルの洗浄を、溶液流延法に用いられる場合に比べて、更に十分に行うことによって、残留酸含有量を上記の範囲とすることができ、溶融流延製膜法によってフィルムを製造する際に、リップ部への付着が軽減され、平面性に優れるフィルムが得られ、寸法変化、機械強度、透明性、耐透湿性、後述するRt値、Ro値が良好なフィルムを得ることができる。また、セルロースエステルの洗浄は、水に加えて、メタノール、エタノールのような貧溶媒、或いは結果として貧溶媒であれば貧溶媒と良溶媒の混合溶媒を用いることができ、残留酸以外の無機物、低分子の有機不純物を除去することができる。更に、セルロースエステルの洗浄は、ヒンダードアミン、亜リン酸エステルといった酸化防止剤の存在下で行うことが好ましく、セルロースエステルの耐熱性、製膜安定性が向上する。
また、セルロースエステルの耐熱性、機械物性、光学物性等を向上させるため、セルロースエステルの良溶媒に溶解後、貧溶媒中に再沈殿させ、セルロースエステルの低分子量成分、その他不純物を除去することができる。この時、前述のセルロースエステルの洗浄同様に、酸化防止剤の存在下で行うことが好ましい。
更に、セルロースエステルの再沈殿処理の後、別のポリマー或いは低分子化合物を添加してもよい。
《前記一般式(1)で表される化合物》
以下、本発明に用いられる前記一般式(1)で表される化合物について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(1)において、R1及びR2は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。
1及びR2で表されるアルキル基として例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。R1及びR2で表されるシクロアルキル基として例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。R1及びR2で表されるアリール基として例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナンスリル基等を挙げることができる。
1及びR2で表されるアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基は置換基を有しても良く、該置換基としては例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、ホスホノ基、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、複素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が挙げられる。
前記一般式(1)において、R1及びR2はアリール基が好ましい。
前記一般式(1)において、R3はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。
前記一般式(1)において、R3で表されるアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基として例えば、前記R1及びR2が表すアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が表す基と同様な基を挙げることができる。R3で表されるアルコキシ基として例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等を挙げることができる。R3で表されるアリールオキシ基として例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等を挙げることができる。
3で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基は置換基を有しても良く、該置換基としては例えば、前記R1及びR2で表されるアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が有しても良い置換基を同様の基を挙げることができる。
前記一般式(1)において、R3はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。
以下に、本発明における前記一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
《前記一般式(2)で表される化合物》
以下、本発明に用いられる前記一般式(2)で表される化合物について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(2)において、R1及びR2は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、R3はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。
前記一般式(2)において、R1及びR2はアリール基が好ましい。R3はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。
以下に、本発明における前記一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
《前記一般式(3)で表される化合物》
以下、本発明に用いられる前記一般式(3)で表される化合物について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(3)において、R4は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。
4で表されるアルキル基またはシクロアルキル基として例えば、前記一般式(1)におけるR1及びR2が表すアルキル基またはシクロアルキル基が表す基と同様な基を挙げることができる。
4で表されるアルキル基またはシクロアルキル基は置換基を有しても良く、該置換基としては例えば、前記一般式(1)におけるR1及びR2で表されるアルキル基またはシクロアルキル基が有しても良い置換基を同様の基を挙げることができる。
前記一般式(3)において、R4は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記一般式(3)において、R5、R、R、及びR8は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。
前記一般式(3)において、R5、R、R、及びR8で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基として例えば、前記一般式(1)におけるR3が表すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基が表す基と同様な基を挙げることができる。
5、R、R、及びR8で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基は置換基を有しても良く、該置換基としては例えば、前記一般式(1)におけるR1及びR2で表されるアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が有しても良い置換基を同様の基を挙げることができる。
前記一般式(3)において、R5、R、R、及びR8は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子またはアルキル基がより好ましい。
前記一般式(3)において、R5およびR7は、4級炭素を含む「*−C(CH32−R’」で表される構造(*は芳香環への連結部位を表し、R’は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)が更に好ましい。R5は、t−ブチル基またはt−アミル基がより好ましく、R7は、t−ブチル基、t−アミル基またはt−オクチル基がより好ましい。
前記一般式(3)において、R6およびR8は水素原子が好ましい。
前記一般式(3)において、R5とR6、R6とR7またはR7とR8がそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
以下に、本発明における前記一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
《前記一般式(4)で表される化合物》
以下、本発明に用いられる前記一般式(4)で表される化合物について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(4)において、R4はR4は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、R4は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記一般式(4)において、R5、R、R、及びR8は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。R5、R、R、及びR8は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子またはアルキル基がより好ましい。
前記一般式(4)において、R5およびR7は、4級炭素を含む「*−C(CH32−R’」で表される構造(*は芳香環への連結部位を表し、R’は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)が更に好ましい。R5は、t−ブチル基またはt−アミル基がより好ましく、R7は、t−ブチル基、t−アミル基またはt−オクチル基がより好ましい。
前記一般式(4)において、R6およびR8は水素原子が好ましい。
前記一般式(4)において、R5とR6、R6とR7またはR7とR8がそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(4)において、R9はアルキル基またはシクロアルキル基を表す。
9で表されるアルキル基またはシクロアルキル基として例えば、前記一般式(1)におけるR1及びR2が表すアルキル基またはシクロアルキル基が表す基と同様な基を挙げることができる。
9で表されるアルキル基またはシクロアルキル基は置換基を有しても良く、該置換基としては例えば、前記一般式(1)におけるR1及びR2で表されるアルキル基またはシクロアルキル基が有しても良い置換基を同様の基を挙げることができる。
前記一般式(4)において、R9はアルキル基が好ましい。
以下に、本発明における前記一般式(4)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
《前記一般式(5)で表される化合物》
以下、本発明に用いられる前記一般式(5)で表される化合物について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(5)において、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。
前記一般式(5)において、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基として例えば、前記一般式(1)におけるR3が表すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基が表す基と同様な基を挙げることができる。
10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基は置換基を有しても良く、該置換基としては例えば、前記一般式(1)におけるR1及びR2で表されるアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が有しても良い置換基を同様の基を挙げることができる。
前記一般式(5)において、R10、R11、R12、R13は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子またはアルキル基がより好ましい。
前記一般式(5)において、R10およびR12は、4級炭素を含む「*−C(CH32−R’」で表される構造(*は芳香環への連結部位を表し、R’は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)が更に好ましい。R10は、t−ブチル基またはt−アミル基がより好ましく、R7は、t−ブチル基、t−アミル基またはt−オクチル基がより好ましい。
前記一般式(5)において、R11およびR13は水素原子が好ましい。
前記一般式(5)において、R10とR11、R11とR12またはR12とR13がそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(5)において、R14、R15、R16、R17及びR18は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基が好ましい。
前記一般式(5)において、R14とR15、R15とR16、R16とR17またはR17とR18がそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
以下に、本発明における前記一般式(5)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
《前記一般式(6)で表される化合物》
以下、本発明に用いられる前記一般式(6)で表される化合物について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(6)において、式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。前記一般式(6)において、R10、R11、R12、R13は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子またはアルキル基がより好ましい。
前記一般式(6)において、R10およびR12は、4級炭素を含む「*−C(CH32−R’」で表される構造(*は芳香環への連結部位を表し、R’は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)が更に好ましい。R10は、t−ブチル基またはt−アミル基がより好ましく、R7は、t−ブチル基、t−アミル基またはt−オクチル基がより好ましい。
前記一般式(6)において、R11およびR13は水素原子が好ましい。
前記一般式(6)において、R10とR11、R11とR12またはR12とR13がそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(6)において、R14、R15、R16、R17及びR18は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基が好ましい。
前記一般式(6)において、R14とR15、R15とR16、R16とR17またはR17とR18がそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(6)において、R19はアルキル基またはシクロアルキル基を表す。
19で表されるアルキル基またはシクロアルキル基として例えば、前記一般式(1)におけるR1及びR2が表すアルキル基またはシクロアルキル基が表す基と同様な基を挙げることができる。
19で表されるアルキル基またはシクロアルキル基は置換基を有しても良く、該置換基としては例えば、前記一般式(1)におけるR1及びR2で表されるアルキル基またはシクロアルキル基が有しても良い置換基を同様の基を挙げることができる。
前記一般式(6)において、R19はアルキル基が好ましい。
以下に、本発明における前記一般式(6)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に係るセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムにおいて、前記組み合わせAの中の前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物の添加量は、両者の添加量の和がセルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%であればそれぞれどのような値をとってもよく、前記組み合わせBの中の前記一般式(3)で表される化合物と前記一般式(4)で表される化合物の添加量は、両者の添加量の和がセルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%であればそれぞれどのような値をとってもよく、前記組み合わせCの中の前記一般式(5)で表される化合物と前記一般式(6)で表される化合物の添加量は、両者の添加量の和がセルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%であればそれぞれどのような値をとってもよい。0.001質量%よりも添加量が少ないと本発明に係る効果の発現が不十分であり、1.00質量%よりも添加量が多いと本発明に係る効果の一部の発現は見られるものの、セルロースエステルに対する相溶性の限度を超え白濁したり、また表面に析出してきたりするので適切ではない。なお、前記組み合わせAの中に前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物が同時に存在していること、前記組み合わせBの中に前記一般式(3)で表される化合物と前記一般式(4)で表される化合物が同時に存在していること、及び前記組み合わせCの中に前記一般式(5)で表される化合物と前記一般式(6)で表される化合物が同時に存在していることが、それぞれ本発明に係る課題の解決には重要であり、詳細は不明であるが2つの化合物の組み合わせによる相乗効果が働いているものと推測している。
本発明においては、前記の組み合わせA及びBを両方用いること、或いは前記の組み合わせA及びCを両方用いることが好ましい。前記の組み合わせA及びBを両方用いる場合、組み合わせAの添加量はセルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%であり、組み合わせBの添加量はセルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%である。また、前記の組み合わせA及びCを両方用いる場合、組み合わせAの添加量はセルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%であり、組み合わせCの添加量はセルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%である。
前記組み合わせAの中の前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物の添加量の総和は、0.01質量%〜0.80質量%が好ましく、0.10質量%〜0.50質量%がより好ましい。前記組み合わせBの中の前記一般式(3)で表される化合物と前記一般式(4)で表される化合物の添加量の総和は、0.01質量%〜0.80質量%が好ましく、0.10質量%〜0.50質量%がより好ましい。前記組み合わせCの中の前記一般式(5)で表される化合物と前記一般式(6)で表される化合物の添加量の総和は、0.01質量%〜0.80質量%が好ましく、0.10質量%〜0.50質量%がより好ましい。
なお、本発明に係るセルロースエステルフィルムを、セルロースエステルペレットのみから、或いはセルロースエステルペレットと後述する返材から作製する場合、仕上がりのセルロースエステルフィルム中の前記組み合わせA〜Cの添加量がそれぞれ0.001質量%〜1.00質量%の範囲にあれば、用いるセルロースエステルペレット中の前記組み合わせA〜Cの添加量はセルロースエステルペレット間で同一であっても異なっていても良い。例えば、マスターバッチとして前記組み合わせA〜Cの添加量が1.00質量%よりも多いセルロースエステルペレットを用いても、仕上がりのセルロースエステルフィルム中の前記組み合わせA〜Cの添加量がそれぞれ0.001質量%〜1.00質量%の範囲にあれば、得られたセルロースエステルフィルムは本発明に含まれる。
《合成例》
以下、本発明に係る一般式(1)〜(6)で表される化合物の合成法を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
合成例1
(一般式(1)で表される化合物、例示化合物1−1)
16.9gのビフェニル、58.0gの三塩化リン、及び16.4gの塩化アルミニウムを、強く撹拌しながら70℃にて6時間加熱還流した。その後、減圧下に過剰の三塩化リンを留去し、油状の物質を得た。一方、300mlのトルエンに、35gのピリジン、及び48.3gの4,6−ジ−t−ブチル−m−クレゾールを加え、80℃に加熱した溶液に、該油状の物質を滴下し4時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、析出している固体を濾別して取り除いた。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/n−ヘキサン)により精製することにより47.8gの固体を得た。得られた固体を1H−NMR及びMASSスペクトルで分析することにより、例示化合物1−1であることが確認された。
合成例2
(一般式(2)で表される化合物、例示化合物2−1)
100mlのトルエンに、23.2gの4,6−ジ−t−ブチル−m−クレゾール、及び11.9gのピリジンを加えて溶解し、50℃に加熱した。そこへ、13.6gのビフェニルホスホン酸−4−イルジクロライドをゆっくり添加した後、6時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却した後、析出している固体を濾別して取り除いた。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/n−ヘキサン)により精製することにより25.0gの固体を得た。得られた固体を1H−NMR及びMASSスペクトルで分析することにより、例示化合物2−1であることが確認された。
合成例3
(一般式(3)で表される化合物、例示化合物3−1)
2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−t−アミルフェノール)494.8g、アクリル酸72.1g、n−ヘプタン400g及びトリエチルアミン212.5gを仕込み、窒素雰囲気下、撹拌しながらオキシ塩化リン107.3gを滴下した。滴下終了後80℃で1時間撹拌した後、水500gを入れ、60℃にて水洗、分液した。有機層を、pHがほぼ中性になるまで水洗した後、有機層を氷水で冷却し結晶を析出させた。その後、十分に結晶を析出させた後、結晶をろ過、洗浄、乾燥することで210.7gの固体を得た。得られた固体を1H−NMR及びMASSスペクトルで分析することにより、例示化合物3−1であることが確認された。
合成例4
(一般式(4)で表される化合物、例示化合物4−1)
上記合成例3において、アクリル酸のかわりに、n−酪酸88.1gを用いた以外は合成例3と同様にして例示化合物4−1を合成することができた。得られた固体を1H−NMR及びMASSスペクトルで分析することにより、例示化合物4−1であることが確認された。
合成例5
(一般式(5)で表される化合物、例示化合物5−1)
室温にて15.2gのDL−マンデル酸、及び20.6gの2,4−ジ−t−ブチルフェノールを混ぜその後、加熱して常圧、160℃で30分還流した。その後、真空ポンプで圧力を減じ、減圧下で5時間加熱した後、昇温し180℃で4時間加熱して反応を終了した。放冷した後、エタノールを加え撹拌して溶解した。その後室温で撹拌することで結晶が析出、冷蔵庫で一晩冷却した。結晶をろ過、洗浄、乾燥することで21.6gの固体を得た。得られた固体を1H−NMR及びMASSスペクトルで分析することにより、例示化合物5−1であることが確認された。
合成例6
(一般式(6)で表される化合物、例示化合物6−1)
50mlのN,N−ジメチルホルムアミド中に、16.1gの例示化合物5−1、8.5gのヨウ化メチル、及び10.4gの炭酸カリウムを加え、撹拌しながら70℃で3時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル、及び水を加えて分液ロートへ移し、下層分離した後、上層を水で5回洗浄した。得られた上層を減圧下で濃縮乾固し、得られた残渣をアセトニトリルから再結晶することで14.3gの固体を得た。得られた固体を1H−NMR及びMASSスペクトルで分析することにより、例示化合物6−1であることが確認された。
なお、本発明に係る一般式(1)〜(6)で表される他の例示化合物も同様にして合成できる。
《添加剤》
本発明においては、セルロースエステルに前記の組み合わせA、B、Cの他、種々の添加剤を添加することができる。
《フェノール系化合物》
本発明のセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムは、フェノール系化合物を含有することが好ましい。フェノール系化合物は既知の化合物であり、パラ−t−ブチルフェノール、パラ−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等のアルキル基置換フェノールの他、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載の、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物、所謂ヒンダードフェノール系化合物が挙げられるが、これらの中で、ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノールフェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス−{2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのフェノール化合物は、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズから、“IRGANOX1076”及び“IRGANOX1010”という商品名で市販されている。
本発明のセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムに好ましく含有される、フェノール系化合物の添加量は、本発明に係るセルロースエステルの質量に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以上1.0質量%以下である。これらは2種以上を併用してもよい。
《酸捕捉剤》
セルロースエステルは、溶融流延製膜が行われるような高温環境下では酸によっても分解が促進されるため、本発明の光学フィルムにおいては劣化防止剤として酸捕捉剤を含有することが好ましい。本発明において有用な酸捕捉剤としては、酸と反応して酸を不活性化する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物が好ましい。このような酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシド等の縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテル等、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22個の炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)等)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリド等(例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)の組成物によって代表され例示され得るエポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらはときとしてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している)が含まれる。また、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物として、EPON 815Cやその他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物も好ましく用いることができる。
更に上記以外に用いることが可能な酸捕捉剤としては、オキセタン化合物やオキサゾリン化合物、あるいはアルカリ土類金属の有機酸塩やアセチルアセトナート錯体、特開平5−194788号公報の段落68〜105に記載されているものが含まれる。
本発明のセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムに好ましく含有される、酸捕捉剤の添加量は、本発明に係るセルロースエステルの質量に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以上1.0質量%以下である。これらは2種以上を併用してもよい。
なお酸捕捉剤は、酸掃去剤、酸捕獲剤、酸キャッチャー等と称されることもあるが、本発明においてはこれらの呼称による差異なく用いることができる。
《金属不活性剤》
金属不活性剤とは、酸化反応において開始剤あるいは触媒として作用する金属イオン不活性化する化合物を意味し、ヒドラジド系化合物、シュウ酸ジアミド系化合物、トリアゾール系化合物等が挙げられ、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、2−ヒドロキシエチルシュウ酸ジアミド、2−ヒドロキシ−N−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ベンズアミド、N−(5−tert−ブチル−2−エトキシフェニル)−N′−(2−エチルフェニル)シュウ酸アミド等が挙げられる。
本発明のセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムに好ましく含有される、金属不活性剤の添加量は、本発明に係るセルロースエステルの質量に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以上1.0質量%以下である。これらは2種以上を併用してもよい。
《可塑剤》
本発明のセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムに形成においては、ペレット及びフィルム形成材料中に可塑剤の少なくとも1種を添加することが好ましい。
可塑剤とは、一般的には高分子中に添加することによって脆弱性を改良したり、柔軟性を付与したりする効果のある添加剤であるが、本発明においては、ペレット及びフィルム形成材料の溶融温度を低下させる添加剤、または同じ温度においてペレット及びフィルム形成材料の粘度を低下させる添加剤として用いる。溶融温度を低下させたり溶融粘度を低下させることにより、溶融プロセス中におけるセルロースエステルの劣化を抑制することができるため、本発明ではこのような効果を有する材料であれば制限なく可塑剤として用いることができる。このような融点低下効果・粘度低減降下は、添加する可塑剤がセルロースエステルのガラス転移温度よりも低い融点またはガラス転移温度をもつ可塑剤を用いると、より大きい効果が得られやすい。
また、可塑剤を添加することによってセルロースエステルフィルムの機械的性質向上、引き裂き強度向上、耐吸水性付与、水分透過率の低減等の効果が見られることもあるため、このような効果を有する材料を可塑剤として用いることがより好ましい。
上記のような条件を満たし、本発明に用いられる可塑剤としては、例えば、多価アルコールエステル系可塑剤(エチレングリコールエステル系可塑剤、グリセリンエステル系可塑剤、ジグリセリンエステル系可塑剤など)、多価カルボン酸エステル系可塑剤、炭水化物エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤等が挙げられる。この中でも多価アルコールエステル系可塑剤及び多価カルボン酸エステル系可塑剤が好ましく、更に多価アルコールエステル系可塑剤が好ましい。また、可塑剤は液体であっても固体であっても良く、組成物の制約上無色であることが好ましい。添加量は光学物性・機械物性に悪影響がなければ良く、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択され、本発明に係るセルロースエステルの質量に対して、好ましくは1〜25質量%含有することを特徴とするセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムである。1質量%よりも少ないと平面性改善の効果が認められず、25質量%よりも多いとブリードアウトが発生しやすくなり、フィルムの経時安定性が低下するために好ましくない。より好ましくは可塑剤を3〜20質量%含有するセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムであり、更に好ましくは5〜15質量%含有するセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムである。
以下、本発明に用いられる可塑剤について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明においては、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、及び多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤はセルロースエステルと親和性が高いので好ましく、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤はセルロースエステルと親和性がさらに高まるので、特に好ましい。
なお、多価アルコールエステル系の可塑剤とは、一分子中に複数の水酸基を有する化合物と、1価の有機酸とを縮合した化合物を多価アルコールエステル系可塑剤と称し、多価カルボン酸エステル系の可塑剤とは、一分子中に複数のカルボン酸基を有する化合物と、複数の1価のアルコールまたはフェノールとが縮合した化合物を、多価カルボン酸エステル系可塑剤と称する。
本発明において好ましく用いられるエステル系可塑剤の原料である多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール等を挙げることができる。特に、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンが好ましい。
また、好ましい有機酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、アニス酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、トルイル酸、tert−ブチル安息香酸、ナフトエ酸、ピコリン酸等が挙げられるが、セルロースエステルの透湿度を低減する効果が高い不飽和カルボン酸、例えば芳香族カルボン酸によって多価アルコールエステルを形成していることが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられる有機酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
多価アルコールエステル系の一つであるエチレングリコールエステル系の可塑剤としては、具体的には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ4−メチルベンゾエート等のエチレングリコールアリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にエチレングリコール部も置換されていてもよく、エチレングリコールエステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
多価アルコールエステル系の一つであるグリセリンエステル系の可塑剤としては、具体的にはトリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートプロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン3−メチルベンゾエート等のジグリセリンアリールエステル等が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にグリセリン、ジグリセリン部も置換されていてもよく、グリセリンエステル、ジグリセリンエステルの部分構造がポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価アルコールエステル系の可塑剤としては、具体的には特開2003−12823号公報の段落30〜33記載の多価アルコールエステル系可塑剤、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート等が挙げられる。
これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更に多価アルコール部も置換されていてもよく、多価アルコールの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤の中では、アルキル多価アルコールアリールエステルが好ましく、具体的には上記のエチレングリコールジベンゾエート、グリセリントリベンゾエート、ジグリセリンテトラベンゾエート、特開2003−12823号公報の段落31記載例示化合物16が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系の一つであるジカルボン酸エステル系の可塑剤としては、具体的には、ジドデシルマロネート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルサクシネート、ジ4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のグリコール酸エステル系の可塑剤、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸系の可塑剤等が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でもよく、これらの置換基は更に置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価カルボン酸エステル系の可塑剤としては、具体的にはトリドデシルトリカルバレート、トリブチル−meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロヘキシルトリカルバレート、トリシクロプロピル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート、テトラ3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、テトラヘキシル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、テトラシクロプロピル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、トリシクロヘキシル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニル−1,2,3,4,5,6−シクロヘキシルヘキサカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、トリドデシルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレート、テトラオクチルベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロペンチルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、テトラシクロヘキシルベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニルベンゼン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また1置換でもよく、これらの置換基は更に置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造がポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤の中では、アルキルジカルボン酸アルキルエステルが好ましく、具体的には上記のジオクチルアジペートが挙げられる。
本発明に用いられるその他の可塑剤としては、炭水化物エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤等が挙げられる。
炭水化物エステル系可塑剤について説明する。炭水化物とは、糖類がピラノースまたはフラノース(6員環または5員環)の形態で存在する単糖類、二糖類または三糖類を意味する。炭水化物の非限定的例としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、セロビオース、マンノース、キシロース、リボース、ガラクトース、アラビノース、フルクトース、ソルボース、セロトリオース及びラフィノース等が挙げられる。炭水化物エステルとは、炭水化物の水酸基とカルボン酸が脱水縮合してエステル化合物を形成したものを指し、詳しくは、炭水化物の脂肪族カルボン酸エステル、或いは芳香族カルボン酸エステルを意味する。脂肪族カルボン酸として、例えば酢酸、プロピオン酸等を挙げることができ、芳香族カルボン酸として、例えば安息香酸、トルイル酸、アニス酸等を挙げることができる。炭水化物は、その種類に応じた水酸基の数を有するが、水酸基の一部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成しても、水酸基の全部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成してもよい。本発明においては、水酸基の全部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成するのが好ましい。
炭水化物エステル系可塑剤として、具体的には、グルコースペンタアセテート、グルコースペンタプロピオネート、グルコースペンタブチレート、サッカロースオクタアセテート、サッカロースオクタベンゾエート等を好ましく挙げることができ、この内、サッカロースオクタアセテート、サッカロースオクタベンゾエートがより好ましく、サッカロースオクタベンゾエートが特に好ましい。上記タイプの炭水化物エステル系可塑剤は、例えば、第一工業製薬社から、” モノペットSB”及び” モノペットSOA”という商品名で市販されている。
ポリマー可塑剤としては、具体的には、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの共重合体、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの共重合体等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。数平均分子量は1000〜500000程度が好ましく、特に好ましくは、5000〜200000である。1000以下では揮発性に問題が生じ、500000を超えると可塑化能力が低下し、セルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムの機械的性質に悪影響を及ぼす。これらポリマー可塑剤は1種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し構造体を有する共重合体でもよい。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いてもよい。
本発明に係るセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムにおいて、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤を1〜25質量%含有することが好ましいが、それ以外の可塑剤と併用してもよい。
本発明に係るセルロースエステルペレット及びセルロースエステルフィルムにおいて、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤が更に好ましいが、3価以上のアルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤がセルロースエステルに対する相溶性が高く、高添加率で添加することができる特徴があるため、他の可塑剤や添加剤を併用してもブリードアウトを発生することがなく、必要に応じて他種の可塑剤や添加剤を容易に併用することができるので最も好ましい。
《紫外線吸収剤》
本発明おいて、ペレット及びフィルム形成材料が、更に紫外線吸収剤を含有することが耐久性を向上させる点で好ましい。紫外線吸収剤は、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等を挙げることができるが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号、同8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号、特開2003−113317号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(1−メチル−1−フェニルエチル)−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)326、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)900、チヌビン(TINUVIN)928、チヌビン(TINUVIN)360(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、LA31(ADEKA社製)、Sumisorb250(住友化学社製)、RUVA−100(大塚化学製)が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物であることが好ましい。
本発明においては、紫外線吸収剤は、本発明に係るセルロースエステルの質量に対して、0.1〜10質量%添加することが好ましく、更に0.2〜5質量%添加することが好ましく、更に0.5〜3質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
またベンゾトリアゾール構造やトリアジン構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、可塑剤、酸化防止剤、酸掃去剤等の他の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
従来公知の紫外線吸収性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、RUVA−93(大塚化学製)を単独重合させたポリマー及びRUVA−93と他のモノマーとを共重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、RUVA−93とメチルメタクリレートを3:7の比(質量比)で共重合させたPUVA−30M、5:5の比(質量比)で共重合させたPUVA−50M等が挙げられる。更に、特開2003−113317号公報に記載のポリマー等が挙げられる。
《その他の添加剤》
本発明においては、セルロースエステルに上記で説明した添加剤の他、種々の添加剤を含有することができる。例えば、マット剤、フィラー、シリカやケイ酸塩等の無機化合物、染料、顔料、蛍光体、二色性色素、リターデーション制御剤、屈折率調整剤、ガス透過抑制剤、抗菌剤、生分解性付与剤などが挙げられる。また、上記機能を有するものであれば、これに分類されない添加剤も用いることができる。
そして、これらの添加剤をセルロースエステルに含有させる方法としては、各々の材料を固体或いは液体のまま混合し、加熱溶融し混練して均一な溶融物とした後、流延してフィルムを形成する方法であっても、予め全ての材料を溶媒等を用いて、溶解して均一溶液とした後、溶媒を除去して、添加剤とセルロースエステルの混合物を形成し、これを加熱溶融し、流延してフィルムを形成してもよい。
《マット剤》
本発明に係るフィルムは、滑り性や光学的、機械的機能を付与するためにマット剤を添加することができる。マット剤としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
マット剤の形状は、球状、棒状、針状、層状、平板状等の形状のものが好ましく用いられる。マット剤としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の金属の酸化物、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低くできるので好ましい。これらの微粒子は有機物により表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
表面処理は、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等で行うことが好ましい。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の一次粒子の平均粒径は0.01〜1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは、7〜14nmである。これらの微粒子は、セルロースエステルフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させるために好ましく用いられる。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600、NAX50等、日本触媒(株)製のKE−P10、KE−P30、KE−P100、KE−P150等を挙げることができ、好ましくはアエロジル200V、R972V、NAX50、KE−P30、KE−P100である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。
2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用できる。
これらのマット剤の添加方法は混練する等によって行うことが好ましい。また、別の形態として予め溶媒に分散したマット剤とセルロースエステル及び/または可塑剤及び/または酸化防止剤及び/または紫外線吸収剤を混合分散させた後、溶媒を揮発または沈殿させた固形物を得て、これをセルロースエステル溶融物の製造過程で用いることが、マット剤がセルロースエステル中で均一に分散できる観点から好ましい。
上記マット剤は、フィルムの機械的、電気的、光学的特性改善のために添加することもできる。
なお、これらの微粒子を添加するほど、得られるフィルムの滑り性は向上するが、添加するほどヘイズが上昇するため、含有量は好ましくは0.001〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1質量%であり、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
なお、本発明に係るフィルムとしては、ヘイズ値が1.0%を超えると光学用材料として影響を与えるため、好ましくはヘイズ値は1.0%未満、より好ましくは0.5%未満である。ヘイズ値はJIS−K7136に基づいて測定することができる。
《ペレット》
ペレット状の成型物(本発明においては、単に、ペレットと称する。)は、十分に乾燥(例えば80℃〜150℃で0.1時間〜24時間。好ましくは更に減圧下で実施。)させたセルロースエステルと添加剤との混錬物を、好ましくはガラス転移温度〜融点+50℃の温度にて溶融し、単軸または2軸押出し機で多孔ダイから押出し、これを水中で固化してストランド状の固化物を得た後、所望の大きさに裁断、乾燥して得ることができる。
ダイの温度は、用いるセルロースエステルの種類にもよるが、150℃〜250℃が好ましく、180℃〜240℃がより好ましく、200℃〜230℃が更に好ましい。スクリュー回転数は100〜800rpmが好ましく、150〜600rpmがより好ましく、200〜400rpmが更により好ましい。滞留時間は5秒〜3分が好ましく、10秒〜2分がより好ましく、20秒〜90秒が更に好ましい。なお、ペレット作製時は、セルロースエステルの劣化を低減するため、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、不活性ガスは窒素であることが好ましい。また、二軸混練押出機の出口側にベントを設け、真空排気しながらペレットを作製することが好ましい。
固化のためにストランド状の溶融物を通す水温は5℃〜90℃にすることが好ましく、10℃〜80℃にすることがより好ましく、20℃〜40℃にすることが更に好ましい。乾燥は、通常は水中でストランド状に固化した樹脂の付着水を風で飛散させ取り除いた後、裁断した後に行う。
このようにして得たペレットの大きさの断面積(裁断した面)が1mm2〜100mm2が好ましく、5mm2〜50mm2がより好ましい。ペレットの長さ(祭断面と直交方向)は1mm〜30mmが好ましく、より好ましくは2mm〜10mmである。裁断面の形状は円、楕円、多角形いずれでも構わないが、より好ましくは円、楕円である。
ところで、セルロースエステルと添加剤との混錬性を良好なものにするためには、ダイの温度はより高温であることが好ましく、スクリュー回転数はより高速であることが好ましく、滞留時間はより長い方が好ましいが、通常、これら方向性はセルロースエステルの劣化とのトレードオフ関係にある。ペレット化を前述の上記の不活性ガス雰囲気下で行っても、劣化の低減はできるものの完全に抑制することはできない。従って、より高度な劣化防止システムの構築が必要である。
《セルロースエステルフィルム》
本発明のセルロースエステルフィルムの厚さは10〜500μmが好ましい。特に20μm以上、さらに25μm以上が好ましい。また、150μm以下、さらに120μm以下が好ましい。特に好ましくは25〜90μmが好ましい。また、好ましくはヘイズ値1%未満、より好ましくは0.5%未満である。
《セルロースエステルフィルムの製造方法》
本発明のセルロースエステルフィルムは溶融流延製膜により製造されることが好ましい。本発明における溶融流延製膜とは、溶媒を用いずセルロースエステルの流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースエステルを流延し、膜を形成することを言う。また、溶融流延製膜をする場合、用いるセルロースエステルの形態は粉体よりもペレットであることが好ましい。ペレット作製は、例えば前述のようにして行うのが好ましい。
加熱溶融する成形法はさらに詳細には溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れるセルロースエステルフィルムを得るためには、溶融押出し法が優れている。ここでフィルム構成材料が加熱されて、その流動性を発現させた後、ドラムまたはエンドレスベルト上に押出し製膜することが、溶融流延製膜法として本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法に含まれる。
本発明に係るセルロースエステル及び添加剤の混合物を熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、T型ダイよりフィルム状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得る。冷却ドラムの温度は90〜150℃に維持されていることが好ましい。
溶融押出しは一軸押出し機、二軸押出し機、さらに二軸押出し機の下流に一軸押出し機を連結して用いてもよいが、得られるフィルムの加工安定性、光学特性の点から、一軸押出し機を用いることが好ましい。さらに原料タンク、原料の投入部、押出し機内といった原料の供給、溶融工程を、窒素ガス等の不活性ガスで置換、あるいは減圧することが好ましい。
前記溶融押出し時の温度は、通常150〜300℃の範囲、好ましくは180〜270℃、さらに好ましくは200〜250℃の範囲である。
本発明のセルロースエステルフィルムは、幅手方向もしくは製膜方向に延伸製膜されたフィルムであることが特に好ましい。
前述の冷却ドラムから剥離され、得られた未延伸フィルムを複数のロール群及び/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介してセルロースエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段または多段縦延伸することが好ましい。次に、上記のようにして得られた縦方向に延伸されたセルロースエステルフィルムを、Tg〜Tg−20℃の温度範囲内で横延伸し、次いで熱固定することが好ましい。
横延伸する場合、2つ以上に分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら横延伸すると、幅方向の物性の分布が低減でき好ましい。さらに横延伸後、フィルムをその最終横延伸温度以下でTg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持すると幅方向の物性の分布がさらに低減でき好ましい。
熱固定は、その最終横延伸温度より高温で、Tg−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固定することが好ましい。
熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、Tg以上の温度範囲内で、横方向及び/または縦方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。また冷却は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながらこれらの処理を行うことがフィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。なお、冷却速度は、最終熱固定温度をT1、フィルムが最終熱固定温度からTgに達するまでの時間をtとしたとき、(T1−Tg)/tで求めた値である。
これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するセルロースエステルにより異なるので、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整することにより決定すればよい。
《返材》
本発明における返材とは、熱可塑性樹脂をフィルムに成形したもののうち、何らかの理由で原料として再利用される部分のことを指し、後述のスリットした端部(耳部ともいう)も含まれるが、製造の繰り出し・終端に位置するフィルムの全幅部分、さらには傷やスジなどの外観上の問題で製品として不適合なフィルムなども含まれる。
延伸されたフィルムは、延伸搬送したときのテンタークリップ等で挟み込んだ両端をスリット加工した後巻き取られる。スリットした端部(返材)は再度原料として再利用することが好ましい。溶融物に含まれている再利用される返材の比は、10%〜90%が好ましく、より好ましくは20%〜80%、更に好ましくは30%〜70%である。スリットしたフィルム端部は1〜30mmに細かく断裁された後、溶融組成物の調製に用いられることが好ましい。必要に応じて再度乾燥させた後に原料の一部として再利用される。断裁物を更にペレット化したものを溶融組成物の調製に用いてもよい。
《機能性層》
本発明のセルロースエステルフィルムの製造に際し、延伸の前及び/または後で帯電防止層、ハードコート層、反射防止層、易滑性層、易接着層、防眩層、バリアー層、光学補償層等の機能性層を塗設してもよい。特に、帯電防止層、ハードコート層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選ばれる少なくとも1層を設けることが好ましい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロース樹脂を含む組成物を共押出しして、積層構造のセルロースエステルフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のセルロースエステルフィルムを作ることができる。例えば、マット剤はスキン層に多く、またはスキン層のみに入れることができる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多く入れることができ、コア層のみに入れてもよい。また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えば、スキン層に低揮発性の可塑剤及び/または紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、あるいは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。スキン層とコア層のTgが異なっていてもよく、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。また、溶融流延製膜時のセルロースエステルを含む溶融物の粘度もスキン層とコア層で異なっていてもよく、スキン層の粘度>コア層の粘度でも、コア層の粘度≧スキン層の粘度でもよい。
《偏光版》
本発明のセルロースエステルフィルムは偏光板保護フィルムとして用いることができる。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。本発明のセルロースエステルフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した第1の面及び第2の面を有する偏光子の少なくとも一方の面に貼り合わせる方法があり、該偏光子の両方の面に本発明のセルロースエステルフィルムを張り合わせることも好ましい。
また、上記アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、同6−118232号の各公報に記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、さらに該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
《寸法安定性》
本発明のセルロースエステルフィルムは、寸度安定性が23℃55%RHに24時間放置したフィルムの寸法を基準としたとき、80℃90%RHにおける寸法の変動値が±1.0%未満が好ましく、さらに好ましくは0.5%未満であり、特に好ましくは0.1%未満である。
本発明のセルロースエステルフィルムは偏光板の保護フィルムとして用いるために、セルロースエステルフィルム自身に上記の範囲以上の変動があると、偏光板としての複屈折の絶対値と配向角が当初の設定とずれるために、表示品質の向上能の減少あるいは表示品質の劣化を引き起こすことがある。
《延伸操作、屈折率制御》
本発明のセルロースエステルフィルムは、延伸操作により屈折率制御を行うことができる。延伸操作としては、セルロースエステルの1方向に1.0〜2.0倍及びフィルム面内にそれと直交する方向に1.01〜2.5倍延伸することで好ましい範囲の屈折率に制御することができる。
例えば、フィルムの長手方向及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次または同時に延伸することができる。このとき少なくとも1方向に対しての延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き過ぎると延伸が困難となり破断が発生してしまう場合がある。
例えば、溶融して流延した方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大き過ぎると、フィルムの厚み方向の屈折率が大きくなり過ぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制あるいは、幅方向にも延伸することで改善できる。幅方向に延伸する場合、幅手で屈折率に分布が生じる場合がある。これは、テンター法を用いた場合にみられることがあるが、幅方向に延伸したことでフィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、所謂ボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、該流延方向に延伸することでボーイング現象を抑制でき、幅手の位相差の分布を少なく改善できるのである。
さらに、互いに直行する2軸方向に延伸することにより、得られるフィルムの膜厚変動が減少できる。セルロースエステルフィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶ディスプレイに用いたとき着色等のムラが問題となることがある。
セルロースエステルフィルム支持体の膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。以上のような目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
応力に対して、正の複屈折を得るセルロースエステルを用いる場合、幅方向に延伸することで、セルロースエステルフィルムの遅相軸が幅方向に付与することができる。この場合、本発明において、表示品質の向上のためには、セルロースエステルフィルムの遅相軸が、幅方向にあるほうが好ましく、(幅方向の延伸倍率)>(流延方向の延伸倍率)を満たすことが必要である。
光学フィルムの面内方向のリターデーションRo分布は、5%以下に調整することが好ましく、より好ましくは2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。また、フィルムの厚み方向のリターデーションRt分布を10%以下に調整することが好ましいが、さらに好ましくは、2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。
位相差フィルムにおいて、リターデーション値の分布変動が小さい方が好ましく、液晶表示装置に位相差フィルムを含む偏光板を用いるとき、該リターデーション分布変動が小さいことが色ムラ等を防止する観点で好ましい。
なお、リターデーションRo、Rtは下記式により求められる。
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は23℃、55%RHの環境下、波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
光学フィルムの屈折率は、アッベ屈折率計(4T)を用いて、フィルムの厚さは市販のマイクロメーターを用いて、リターデーション値は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)等を用いて、各々測定することが出来る。
位相差フィルムを、VAモードまたはTNモードの液晶セルの表示品質の向上に適したリターデーション値を有するように調整し、特にVAモードとして上記のマルチドメインに分割してMVAモードに好ましく用いられるようにするには、面内リターデーションRoを30nmよりも大きく、95nm以下に、かつ厚み方向リターデーションRtを70nmよりも大きく、400nm以下の値に調整することが求められる。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法等が挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明のセルロースエステルフィルムを偏光板保護フィルムとした場合、該保護フィルムの厚さは10〜500μmが好ましい。特に20μm以上、さらに25μm以上が好ましい。また、150μm以下、さらに120μm以下が好ましい。特に好ましくは25〜90μmが好ましい。上記領域よりもセルロースエステルフィルムが厚いと偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート型パソコンやモバイル型電子機器に用いる液晶表示においては、特に薄型軽量の目的には適さない。一方、上記領域よりも薄いと複屈折の発現が困難となること、フィルムの透湿性が高くなり偏光子に対して湿度から保護する能力が低下してしまうために好ましくない。
本発明のセルロースエステルフィルムの遅相軸または進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°〜+1°が好ましく、−0.5〜+0.5°であることがより好ましい。このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことができる。
θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制または防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
《液晶表示装置》
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースエステルフィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。例えば、第1の面及び第2の面を有する液晶セルに、本発明の偏光板を該液晶セルの第1の面及び第2の面の少なくとも一方の面に有することが好ましい。特に液晶表示装置の表示側最表面に、該偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。また、光学補償層を設けた偏光板保護フィルムや、延伸操作等によりそれ自身に適切な光学補償能を付与した偏光板保護フィルムの場合には、液晶セルと接する部位に配置することが優れた表示性が得る上で好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムを用いることで、高品質の偏光板用保護フィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム等の光学フィルムを得ることができ、さらには表示品質の高い液晶表示装置を得ることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムが対象とする光学フィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ、特に液晶ディスプレイに好ましく用いられる機能フィルムのことであり、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルムを含むものである。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。なお、以下の添加量はセルロースエステルに対する質量%で表す。
実施例1
〔セルロースエステルペレットの製造〕
下記で説明するセルロースエステルを130℃、4時間減圧下で乾燥を行ったものに、下記表1、表2及び表3に記載の、可塑剤(添加量はセルロースエステルに対する質量%として表中に記載)と本発明における組み合わせA、B、Cの少なくとも一つ(添加量はセルロースエステルに対する質量%として表中に記載)を加え、さらに全水準に、IRGANOX1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.50質量%、TINUVIN928(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を1.5質量%部、シリカ粒子として、アエロジルNAX50(日本アエロジル社製)を0.2質量%部、及びKE−P100(日本触媒社製)を0.02質量%を添加した。
これらを混合したものを60℃のホッパーに入れ、真空排気付き2軸混練押出し機を用い、ダイ温度230℃、スクリュー回転数350rpm、混練時間40秒、押出し量200kg/hrでダイから押出し20℃の水中で固化した後、裁断し直径2mm、長さ3mmの円柱状のペレットを得た。裁断後のペレットは65℃の温風で乾燥した。
(加工安定性の評価)
メルトインデックス(MI)は、一定温度で溶融した有機高分子材料を規定の長さと径の円形ダイから一定荷重で押し出すとき、10分間の流量を質量(g単位)で表した数値であり、溶融粘度の指標として使われている。セルロースエステルの場合その数値が大きいほど加工安定性がよく、小さいほど加工安定性が悪いと考えられる。得られた各々のペレットを用いてJIS−K7210に準じてメルトインデックス(MI)を測定した。測定温度は230℃、測定荷重は21.2Nとした。
(着色の評価)
さらにペレットの着色程度を示すイエローインデックス(YI)、b値を以下の方法で測定し表1、表2及び表3に記載した。いずれも0に近いほど着色が少なく良好である。特にb値はYIより一層着色に敏感である。
(YI)
ペレットから任意に20回サンプリングし、下記方法に従いYI値を測定し、この中の最大値をYI値とした。
YI(黄色度)は、JIS規格K7105−6.3に記載の方法で求められる。本発明におけるYIは、日立製作所製分光光度計U−3310と付属の彩度計算プログラム等を用いて、色の三刺激値X、Y、Zを求め、以下の式に従ってYIを求めることが出来る。
YI=100(1.28X−1.06Z)/Y
(b値)
ペレットから任意に20回サンプリングし、下記方法に従いb値を測定し、この中の絶対値の最大値をb値とした。
東京電色(株)製カラーアナライザーTC−1800MKII型を用いてJIS Z−8722の方法に準じて測定した。
使用した化合物の詳細を以下に示す。
(セルロースエステル)
C−1:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.31、プロピオニル基置換度1.23、分子量Mn=66,000、Mw/Mn=3.0)
C−2:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.38、プロピオニル基置換度1.30、分子量Mn=86,000、Mw/Mn=2.5)
C−3:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.67、プロピオニル基置換度0.93、分子量Mn=73,000、Mw/Mn=2.9)
C−4:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.95、プロピオニル基置換度0.73、分子量Mn=91,000、Mw/Mn=2.4)
表1、表2及び表3から、本発明のペレット試料は、比較例のペレット試料に対して加工安定性、着色が良好であることが明らかとなった。特に、着色に関してYIよりも一層敏感なb値においても、従来知られている劣化防止剤に対して、本発明における組み合わせA、B、Cの少なくとも一つを使用することで、良好な値が達成された。また、添加剤として、組み合わせA及びBを両方用いること、或いは組み合わせA及びCを両方用いることで好ましい相乗効果をもたらし、性能が向上することが明らかとなった。なお、比較のペレット試料1−34〜1−38に関しては、目視でペレット中にゲル状物の異物の発生が認められた。
なお、加工安定性の評価前後の各試料中のセルロースエステルの重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比を、下記の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより算出した値により比較したところ、本発明のペレット試料1−1〜1−20はいずれも加工安定性の評価前後で変化率は0〜5%の範囲内であり、殆んど変化は見られなかったが、比較のペレット試料1−21〜1−33はいずれも変化率は6〜10%の範囲内であり、比較のペレット試料1−34〜1−38はいずれも変化率は11〜30%の範囲内であり、比較のペレット試料はいずれもセルロースエステルの劣化が認められた。
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定条件)
溶媒 :テトヒドロフラン
装置 :HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム :TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料濃度 :0.1質量%
注入量 :10μl
流量 :0.6ml/min
校正曲線 :標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=2,560,000〜580までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
実施例2
〔セルロースエステルフィルムの製造〕
実施例1で得られたセルロースエステルペレットを用い、下記の要領でセルロースエステルフィルムを製造した。
実施例1で得られたペレットを各々、100℃、4時間乾燥を行った後、窒素雰囲気下、250℃にて加熱溶融した後、T型ダイより溶融押出製膜し、さらに160℃において1.2×1.2の延伸比で延伸した。その結果、膜厚80μmのフィルムを得た。
〔セルロースエステルフィルムの評価〕
以上のようにして作製した試料について、以下に記載したような評価を行った。その結果を表4に示す。
(発煙の状態)
T型ダイの吐出口から発生する煙の状態及び縦型ポリシングロールの状態を目視で観察し、以下の基準により評価した。
◎:発煙が全く認められない
○:発煙がわずかに認められる
△:発煙が多量に認められる
×:発煙が多量に認められ、縦型ポリシングロールの表面に発煙による曇りが認められる。
(着色の評価)
前記ペレットの着色程度を示すYI値と同様の方法で、フィルムのYI値を算出し、着色を評価した。
(リターデーションの変動係数(CV)の評価)
得られたセルロースエステルフィルム試料の各々について、幅手方向に1cm間隔で3次元方向の屈折を測定し、下記式より得られたリターデーションの変動係数(CV)で表したものである。測定には自動複屈折計KOBURA・21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、試料の幅手方向に1cm間隔で3次元複屈折率測定を行い測定値を次式に代入して求めた。
面内複屈折Ro=(nx−ny)×d
厚み方向複屈折Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
ここに、dはフィルムの厚み(nm)、nxはフィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう、nyはフィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率、nzは厚み方向におけるフィルムの屈折率である。得られた面内及び厚み方向の複屈折をそれぞれ(n−1)法による標準偏差を求めた。リターデーション分布は以下で示される変動係数(CV)を求め、指標とした。実際の測定にあたっては、nとしては130〜140に設定した。
変動係数(CV)=標準偏差/複屈折平均値
◎:ばらつき(CV)が1.5%未満
○:ばらつき(CV)が1.5%以上5%未満
△:ばらつき(CV)が5%以上、10%未満
×:ばらつき(CV)が10%以上。
(透明性の評価)
得られたセルロースエステルフィルム試料の各々について、ヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定した結果から、試料の厚さが80μmの場合のヘイズの値に換算して表示した。
◎:ヘイズが0.5%未満
○:0.5〜1.0%未満
△:1.0〜1.5%未満
×:1.5〜2.0%未満
××:2.0%以上。
表4から、本発明のフィルム試料は、比較例のフィルム試料に対して白煙が生じず加工性に優れ、着色、リターデーション変動が良好で、透明性に優れ、その結果、光学的に優秀であることが明らかとなった。特に添加剤として、組み合わせA及びBを両方用いること、或いは組み合わせA及びCを両方用いることで好ましい相乗効果をもたらし、性能が向上することが明らかとなった。
なお、フィルム試料1−21、1−23及び1−25に関して、下記の条件でブリードアウトを評価したところ、表面にブリードアウトが認められた。一方、本発明のフィルム試料はいずれもブリードアウトが認められないという良好な結果であった。
(ブリードアウト)
セルロースエステルフィルム試料を、80℃、90%RHの高温高湿雰囲気下で1000時間放置後、セルロースエステルフィルム表面のブリードアウト(結晶析出)の有無を目視観察を行った。
実施例3
〔返材を利用したセルロースエステルフィルムの製造〕
実施例2で得られたセルロースエステルフィルムの各々に対し、製膜方向に対して両端部分を質量で25%ずつスリットした。得られた返材(フィルムNo.1−1に対して返材No.1−1というように返材No.はフィルムNo.と対応させて付けた。)を5〜10mmに細かく断裁した後、実施例1で得られたセルロースエステルペレットに対して、下記表5に示す組み合わせでそれぞれ質量比1:1で混合した後、窒素雰囲気下、250℃にて加熱溶融した後、T型ダイより溶融押出製膜し、さらに160℃において1.2×1.2の延伸比で延伸した。その結果、膜厚80μmのフィルムを得た。以上のようにして作製した試料について、実施例2と同様な評価を行った。その結果を表5に示す。
表5から、返材を用いた場合においても、本発明のフィルム試料は、比較例のフィルム試料に対して白煙が生じず加工性に優れ、着色、リターデーション変動が良好で、透明性に優れ、その結果、光学的に優秀であることが明らかとなり、リサイクル性に優れていることが分かった。特に添加剤として、組み合わせA及びBを両方用いること、或いは組み合わせA及びCを両方用いることで好ましい相乗効果をもたらし、性能が向上することが明らかとなった。
なお、フィルム試料2−21、2−23及び2−25に関して、前記の条件でブリードアウトを評価したところ、表面にブリードアウトが認められた。一方、本発明のフィルム試料はいずれもブリードアウトが認められないという良好な結果であった。
実施例4
〔塗設用組成物の調製〕
以下の「部」は「質量部」を表す。
(帯電防止層塗布組成物(1))
ポリメチルメタアクリレート(重量平均分子量55万、Tg:90℃) 0.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60部
メチルエチルケトン 16部
乳酸エチル 5部
メタノール 8部
導電性ポリマー樹脂P−1(0.1〜0.3μm粒子) 0.5部
(ハードコート層塗布組成物(2))
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20部
ジエトキシベンゾフェノン光反応開始剤 6部
シリコーン系界面活性剤 1部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75部
メチルエチルケトン 75部
(カール防止層塗布組成物(3))
アセトン 35部
酢酸エチル 45部
イソプロピルアルコール 5部
ジアセチルセルロース 0.5部
超微粒子シリカ2%アセトン分散液(アエロジル:200V)(日本アエロジル(株)製) 0.1部
下記に従って、機能付与した偏光板保護フィルムを作製した。
〔偏光板保護フィルム〕
延伸比率を縦1.2×横2.0とした以外は、実施例1のセルロースエステルフィルム試料1−1と同様にして作製した試料3−1の片面に、カール防止層塗布組成物(3)をウェット膜厚13μmとなるようにグラビアコートし、乾燥温度80±5℃にて乾燥させた。これを試料3−1Aとする。このセルロースエステルフィルムのもう1方の面に帯電防止層塗布組成物(1)を28℃、82%RHの環境下でウェット膜厚で7μmとなるようにフィルムの搬送速度30m/minで塗布幅1mで塗布し、次いで80±5℃に設定された乾燥部で乾燥して乾燥膜厚で約0.2μmの樹脂層を設け、帯電防止層付きセルロースエステルフィルムを得た。これを試料3−1Bとする。
さらにこの帯電防止層の上にハードコート層塗布組成物(2)をウェット膜厚で13μmとなるように塗設し、乾燥温度90℃にて乾燥させた後、紫外線を150mJ/m2となるように照射して、乾燥膜厚で5μmのクリアハードコート層を設けた。これを試料3−1Cとする。
得られた光学フィルム試料3−1A、試料3−1B、試料3−1Cは共にブラッシングを起こすこともなく、乾燥後の亀裂の発生も認められず、塗布性は良好であった。
実施例1で作製した本発明試料1−1を、本発明試料1−2〜1−20に変更した以外は全く上記方法と同様にして、本発明試料3−2〜3−20の各A、B、Cを作製した結果、いずれも良好な塗布性が確認された。また、実施例1で作製した本発明試料1−1を、本発明試料2−1〜2−20に変更した以外は全く上記方法と同様にして、本発明試料4−1〜4−20の各A、B、Cを作製した結果、いずれも良好な塗布性が確認された。
比較として、実施例1で作製した試料1−21〜1−38を用い同様の方法で塗布を行った。
カール防止層塗布組成物(3)を塗布したものを試料3−21A〜3−38A、さらに帯電防止層塗布組成物(1)を塗布したものを試料3−21B〜3−38B、さらにこの帯電防止層の上にハードコート層塗布組成物(2)を塗布したものを試料3−21C〜3−38Cとした。
その結果、高湿度環境で塗布したとき、試料3−21A〜3−38Aでブラッシングが起こった。また、試料3−21B〜3−38Bでは乾燥後微細な亀裂が認められることがあり、試料3−21C〜3−38Cでは乾燥後微細な亀裂が明確に認められた。
〔偏光板の作製〕
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し、50℃で4倍に延伸し偏光子を作製した。
本発明の試料1−1〜1−20、2−1〜2−20、及び比較試料1−21〜1−38、2−21〜2−38を、40℃の2.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液で60秒間アルカリ処理し、さらに水洗乾燥して表面をアルカリ処理した。
前記偏光子の両面に、本発明の試料1−1〜1−20、2−1〜2−20、及び比較試料1−21〜1−38、2−21〜2−38のアルカリ処理面を、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として両面から貼合し、保護フィルムが形成された本発明の偏光板1−1〜1−20、2−1〜2−20、及び比較の偏光板1−21〜1−38、2−21〜2−38を作製した。
本発明の偏光板は比較の偏光板と比較して光学的、物理的に優れ、良好な偏光度を有する偏光板であった。
〔液晶表示装置としての評価〕
VA型液晶表示装置であるシャープ(株)製32型テレビAQ−32AD5の偏光板を剥がし、上記作製した偏光板を液晶セルのサイズに合わせて断裁した。液晶セルを挟むようにして、前記作製した偏光板2枚を偏光板の偏光軸が元と変わらないように互いに直交するように貼り付け、32型VA型カラー液晶ディスプレイを作製し、セルロースエステルフィルムの偏光板としての特性を評価したところ、本発明の偏光板1−1〜1−20、2−1〜2−20を用いて作製された液晶表示装置は、比較の偏光板1−21〜1−38、2−21〜2−38を用いて作製された液晶表示装置に比べコントラストも高く、優れた表示性を示した。これにより本発明の液晶表示装置は、液晶ディスプレイ等の画像表示装置用として優れていることが確認された。

Claims (12)

  1. セルロースエステルと、下記の組み合わせA、B又はCの少なくとも一つとを含有し、かつ該組み合わせA、B又はCの少なくとも一つを該セルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とするセルロースエステルペレット。
    組み合わせA:下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物の組み合わせ。
    組み合わせB:下記一般式(3)で表される化合物と下記一般式(4)で表される化合物の組み合わせ。
    組み合わせC:下記一般式(5)で表される化合物と下記一般式(6)で表される化合物の組み合わせ。
    [式中、R及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
    [式中、R及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
    [式中、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、R、R、R、及びRは各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
    [式中、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、R、R、R、及びRは各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。Rはアルキル基またはシクロアルキル基を表す。]
    [式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
    [式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。R19はアルキル基またはシクロアルキル基を表す。]
  2. 前記の組み合わせA及びBを、前記セルロースエステルに対し各々0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルペレット。
  3. 前記の組み合わせA及びCを、前記セルロースエステルに対し各々0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルペレット。
  4. 前記組み合わせA中の一般式(1)及び(2)で表される化合物のRがアルキル基またはアリール基であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセルロースエステルペレット。
  5. セルロースエステルと、下記の組み合わせA、B又はCの少なくとも一つとを含有し、かつ該組み合わせA、B又はCの少なくとも一つを該セルロースエステルに対して0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とするセルロースエステルフィルム。
    組み合わせA:下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物の組み合わせ。
    組み合わせB:下記一般式(3)で表される化合物と下記一般式(4)で表される化合物の組み合わせ。
    組み合わせC:下記一般式(5)で表される化合物と下記一般式(6)で表される化合物の組み合わせ。
    [式中、R及びRは各々独立にアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
    [式中、R及びRは各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
    [式中、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、R、R、R、及びRは各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
    [式中、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、R、R、R、及びRは各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。Rはアルキル基またはシクロアルキル基を表す。]
    [式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。]
    [式中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。R19はアルキル基またはシクロアルキル基を表す。]
  6. 前記の組み合わせA及びBを、前記セルロースエステルに対し各々0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とする請求項5に記載のセルロースエステルフィルム。
  7. 前記の組み合わせA及びCを、前記セルロースエステルに対し各々0.001質量%〜1.00質量%含有することを特徴とする請求項5に記載のセルロースエステルフィルム。
  8. 前記組み合わせA中の一般式(1)及び(2)で表される化合物のRがアルキル基またはアリール基であることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルム。
  9. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセルロースエステルペレットを溶媒を用いず加熱溶融してセルロースエステル溶融物を得、該溶融物を支持体上に流延する溶融流延製膜法によって製造することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
  10. 請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムの返材を前記セルロースエステルペレットに加えて、溶媒を用いず加熱溶融して前記セルロースエステル溶融物を得ることを特徴とする請求項9に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  11. 第1の面及び第2の面を有する偏光子と請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムを有する偏光板であって、該セルロースエステルフィルムを該偏光子の第1の面及び第2の面の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
  12. 第1の面及び第2の面を有する液晶セルと請求項11に記載の偏光板を有する液晶表示装置であって、該偏光板を液晶セルの第1の面及び第2の面の少なくとも一方の面に有することを特徴とする液晶表示装置。
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