JP2012181516A - セルロースエステルフィルム、偏光板、液晶表示装置、及びセルロースエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

セルロースエステルフィルム、偏光板、液晶表示装置、及びセルロースエステルフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】面内方向には実質的に位相差を有さずに膜厚当たりのRthが大きく、弾性率の高いセルロースアシレートフィルムおよびその製造方法の提供。
【解決手段】可塑剤を少なくとも1種含有するセルロースエステルフィルムであって、下記式(1)〜(5)を満たすセルロースエステルフィルム。
|Re|≦5nm (1)
50nm<Rth<300nm (2)
25μm≦d≦65μm (3)
1×10−3≦Rth/d≦4×10−3(4)
3.8GPa<E’<5.0GPa(5)
なお、上記各式において、Reは面内方向のレターデーション値、Rthは厚み方向のレターデーション値、dはフィルム厚み、E’はフィルムの弾性率である。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースエステルフィルム及びその製造方法に関する。より詳しくは、セルロースアシレートを含み、膜厚当たりのRthが大きく、偏光板加工後にパネルに貼り付けた際の表示が面内において均一となるセルロースアシレートフィルム及びその製造方法に関する。また、該セルロースアシレートフィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置にも関する。
近年の液晶表示装置は薄型化が進み、その傾向は特に高品質や大画面といった高付加価値を求められるテレビ用の液晶表示装置に顕著である。それに応じて各構成部品の薄型化が求められているが、特に偏光板や光学補償フィルム等のフィルム形態の部材としては、薄型化への要求を満たしつつ、同時に好適な光学性能や機械物性を有する光学フィルムが求められている。
また、光学性能の設計において、2軸性フィルムの採用など光学フィルムの機能複合化による薄型化の傾向とは別に、環境による性能変動へのロバストネスの確保や剛性の確保のために面内方向にのみ位相差を有するいわゆるAプレートや厚み方向にのみ位相差を有するいわゆるCプレートなどの1軸性のフィルムの積層も検討されており、汎用性の高い1軸性のフィルム、特に薄型化を考えた場合、厚み方向にのみ位相差を有するCプレートの必要性が増してくると考えられる。
光学機能と弾性率の関係については、例えば、特許文献1にはセルロースフィルムを延伸により延伸方向に弾性率を上げることが記載されている。しかしながら、この場合では延伸方向に位相差が生じてしまい(すなわち、面内のレターデーションであるReが増加してしまい)、弾性率を確保できるものの2軸性フィルムとなってしまい1軸性フィルムの作成には適用できず、特に、実質的に厚み方向にレターデーション(Rth)のみを有するCプレートの作成には不向きである。
特開2008−058893号公報
以上のように、セルロースエステルフィルムにおいて、弾性率と膜厚当たりのRth改善との両立は困難であり、これらの両立を図るためには、生産性や、高価な特別な添加剤を用いることによりコストや他の性能を犠牲にせざるを得ないのが現状であった。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、面内方向には実質的に位相差を有さずに膜厚当たりのRthが大きく、適度な弾性率を有した光学補償フィルムとして用いることができるセルロースエステルフィルム及びその製造方法を提供することにある。
以上の課題に対して、本発明者が鋭意検討を進めた結果、特定の製造条件を採用することで、上記物性と光学特性を両立し、上記課題を解決できる各種セルロースエステルフィルムを提供することができることを見出し、本発明のセルロースエステルフィルムを完成するに至った。
具体的には、以下の手段により、上記課題を解決した。
[1]
可塑剤を少なくとも1種含有するセルロースエステルフィルムであって、下記式(1)〜(5)を満たすセルロースエステルフィルム。
|Re|≦5nm (1)
50nm<Rth<300nm (2)
25μm≦d≦65μm (3)
1×10−3≦Rth/d≦4×10−3(4)
3.8GPa<E’<5.0GPa(5)
なお、上記各式において、Reは面内方向のレターデーション値、Rthは厚み方向のレターデーション値、dはフィルム厚み、E’はフィルムの弾性率である。
[2]
前記可塑剤が芳香族環を含有する重縮合エステルである、前記[1]に記載のセルロースエステルフィルム。
[3]
前記重縮合エステルが下記(I)及び(II)を満たす、前記[2]に記載のセルロースエステルフィルム。
(I)芳香族ジカルボン酸残基と平均炭素数4.0〜6.0の脂肪族ジカルボン酸残基とを含み、下式に表される芳香族ジカルボン酸残基比率が40mol%〜95mol%であるジカルボン酸残基を含む
芳香族ジカルボン酸残基比率(mol%)=〔芳香族ジカルボン酸残基(mol)/(芳香族ジカルボン酸残基(mol)+脂肪族ジカルボン酸残基(mol))〕×100
(II)平均炭素数2.0〜3.0の脂肪族ジオール残基を含む
[4]
前記重縮合エステルの数平均分子量が700以上2500以下である、前記[2]又は[3]に記載のセルロースエステルフィルム。
[5]
前記セルロースエステルフィルムが、TD方向に3%以上延伸されたものである前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[6]
前記セルロースエステルフィルムがセルロースアシレートから構成されており、該セルロースアシレートのアシル基置換度が2.10〜2.95である前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
[7]
前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムを有する偏光板。
[8]
前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム、又は前記[7]に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
[9]
前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法であって、セルロースエステルフィルムをTD方向に3%以上延伸することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
所望の弾性率を有し、実質的に面内方向の位相差を有さず、膜厚当たりのRthが大きいセルロースエステルフィルムを提供することができる。また、本発明のセルロースエステルフィルムを用いた液晶表示装置は、大型化した場合であっても表示性能が良好である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。本明細書中、フィルム搬送方向のことを縦方向、フィルム長手方向又はMD方向と言うことがあり、フィルム搬送方向に直交する方向のことを横方向、フィルム幅方向又はTD方向と言うことがある。
[セルロースエステルフィルム]
本発明のセルロースエステルフィルム(以下、本発明のフィルムとも言う)は、下記式(1)〜(5)を満たす。
式(1) |Re|≦5nm
(式中、Reは波長590nmにおける面内レターデーションの値を減じた値(単位:nm)を表す。)
式(2) 50nm<Rth<300nm
式(3) 25μm≦d≦65μm
式(4) 1×10−3≦Rth/d≦4×10−3
(式中、Rthは波長590nmにおける膜厚方向のレターデーションの値(単位:nm)を表し、dはフィルム厚み(単位:μm)を表す。)
式(5) 3.8GPa<E’<5.0GPa
(式中、E’はフィルムの弾性率を表す。)
本発明のセルロースエステルフィルムは、セルロースアシレートを含んでなるセルロースアシレートフィルムであることが好ましく、総アシル置換度2.10〜2.95のセルロースアシレートを含み、フィルム搬送方向の弾性率が3200MPa以上であることが好ましい。
また、本発明のフィルムは、本発明のフィルムの製造方法によって、製造することができる。以下、本発明のフィルムについて、説明する。
<フィルム特性>
(レターデーション)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。本願明細書においては、特に記載がないときは、波長λは、590nmとする。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、又は測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(11)及び式(12)よりRthを算出することもできる。
Figure 2012181516
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
式(11)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
式(12)
Rth={(nx+ny)/2−nz}xd
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
Reは、有していないことが好ましく、|Re|≦5nmであると実質的に有していないとみなすことができる。
また、Rthは、50nm<Rth<300nmを満たすことが好ましく、65nm≦Rth≦150nmを満たすことがより好ましい。このようなRthとすることにより、よりRthの発現性の高い薄膜のCプレートを作製できる。
(Rth/d)
本発明のフィルムは、下記式(4)を満たすものであり、フィルムの薄膜化及び十分なRth発現の両立をし、かつフィルムの原料コストを下げることができる。
式(4) 1×10−3≦Rth/d≦4×10−3
(式中、Rthは波長590nmにおける膜厚方向のレターデーションの値(単位:nm)を表し、dはフィルム厚み(単位:μm)を表す。)
前記Rth/dは1.0〜4.0×10-3であることが好ましく、1.5〜3.0×10-3であることがより好ましい。
(弾性率)
本発明のフィルムは、フィルムの弾性率E’が下記式(5)を満たす。
式(5) 3.8GPa<E’<5.0GPa
このような物性を満たすフィルムを用いることで、大面積化しても自己支持性を損なわず、積層体の支持体として用いる場合にも良好なハンドリング性を有するため好ましい。
前記フィルムの弾性率E’は、3.8GPaより大きく5.0GPaより小さいことが好ましく、3.8〜4.5GPaであることがより好ましい。
また、TD方向とMD方向の弾性率の比であるE’(TD)/E’(MD)は、0.9〜1.1であることが好ましく、0.95〜1.05であることがより好ましく、1.0であることが特に好ましい。
(膜厚)
本発明のフィルムの厚さは、用いる偏光板の種類等によって適宜定めることができるが、好ましくは25〜65μmであり、より好ましくは35〜60μmである。フィルムの厚さを65μm以下とすることにより、部材による薄型化に寄与することができ、合わせて原料使用量が減ることでコストを下げることができ好ましい。
(セルロースアシレートフィルムの層構造)
本発明のフィルムは単層フィルムであっても、2層以上の積層構造を有していてもよい。特に、セルロースアシレートの置換度が2.6〜2.8の場合は、単層であることが好ましく、置換度2.1〜2.6の場合は2層以上が好ましい。その場合、本発明のフィルムは、2層以上の積層構造を有し、各層に含まれるセルロースアシレートの平均の総アシル置換度や含有量等の組成が互いに異なる様にすることができる。
(フィルム幅)
本発明のフィルムは、フィルム幅が1000mm以上であることが好ましく、1500mm以上であることがより好ましく、1800mm以上であることが特に好ましい。
<セルロースアシレート>
(原料)
本発明に用いられるセルロースアシレートは、少なくとも1種の総アシル置換度2.10〜2.95のセルロースアシレートを含む以外は、特に定めるものではない。アシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
まず、本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートについて詳細に記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位に位置するセルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
本発明のフィルムに用いられるセルロースアシレートのアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましく、炭素数2〜4のアシル基としてはプロピオニル基又はブチリル基が好ましい。
本発明におけるセルロースアシレートのアセチル基以外の炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれ更に置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル基、ブタノイル基である。本発明では、前記セルロースアシレートはアセチル基のみからなるセルロースアセテートであることが製造適性などの点でより好ましい。
セルロースのアシル化において、アシル化剤としては、酸無水物や酸クロライドを用いた場合、反応溶媒である有機溶媒としては、有機酸、例えば、酢酸、メチレンクロライド等が使用される。
触媒としては、アシル化剤が酸無水物である場合には、硫酸のようなプロトン性触媒が好ましく用いられ、アシル化剤が酸クロライド(例えば、CH3CH2COCl)である場合には、塩基性化合物が用いられる。
最も一般的なセルロ−スの混合脂肪酸エステルの工業的合成方法は、セルロースをアセチル基及び他のアシル基に対応する脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、吉草酸等)又はそれらの酸無水物を含む混合有機酸成分でアシル化する方法である。
本発明に用いるセルロースアシレートは、例えば、特開平10−45804号公報に記載されている方法により合成できる。
<添加剤>
本発明のフィルムは、各種の添加剤を含んでいてもよい。
本発明では添加剤として、セルロースアシレートフィルムの添加剤として公知の高分子量添加剤及び低分子量添加剤を広く採用することができる。
本発明のフィルムでは、添加剤の添加量は、セルロースアシレートに対して1〜35質量%であることが好ましく、2〜25質量%であることがより好ましく4〜15質量%であることが更に好ましい。添加剤の添加量が1質量%以上であれば、温度湿度変化に対応しやすく、添加量が35質量%以下であればフィルムが白化しにくい。更に、物理的特性も優れるものとなる。
ここで、本発明における添加剤とは、本発明のセルロースアシレートフィルムの諸機能の向上等を目的として添加される成分をいう。すなわち、不純物や残留溶媒等は、本発明における添加剤ではない。
前記添加剤としては、例えば、重縮合エステル、フタル酸エステル、リン酸エステル系の化合物などの可塑剤;レターデーション調整剤(レターデーション発現剤及びレターデーション低減剤);劣化(酸化)防止剤;紫外線吸収剤;マット剤;有機酸(剥離促進剤であってもよい);糖エステル化合物などの添加剤を加えることができる。
以下、本発明のフィルムに用いることができる添加剤について詳細に説明する。
(重縮合エステル)
本発明に係る重縮合エステルは、芳香族環を含有する重縮合エステルであることが好ましく、少なくとも一種の芳香環を有するジカルボン酸(芳香族ジカルボン酸とも呼ぶ)と少なくとも一種の脂肪族ジカルボン酸との混合物であることがより好ましく、例えば、炭素数の平均が5.5以上10.0以下のジカルボン酸と、少なくとも一種の平均炭素数が2.5以上7.0以下の脂肪族ジオールとから得られることが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数の計算は、ジカルボン酸残基とジオール残基で個別に行う。
ジカルボン酸残基の組成比(モル分率)を構成炭素数に乗じて算出した値を平均炭素数とする。例えば、アジピン酸残基とフタル酸残基が50モル%ずつから構成される場合は、平均炭素数7.0となる。
また、ジオール残基の場合も同様で、脂肪族ジオール残基の平均炭素数は、脂肪族ジオール残基の組成比(モル分率)を構成炭素数に乗じて算出した値とする。例えばエチレングリコール残基50モル%と1,2−プロパンジオール残基50モル%から構成される場合は平均炭素数2.5となる。
重縮合エステルの数平均分子量は700〜2500であることが好ましく、700〜1500がより好ましく、700〜1200が更に好ましい。本発明において、重縮合エステルの数平均分子量は700以上であれば揮発性が低くなり、セルロースエステルフィルムの延伸時の高温条件下における揮散によるフィルム故障や工程汚染を生じにくくなる。また、数平均分子量が2500以下であればセルロースエステルとの相溶性が高くなり、製膜時及び加熱延伸時のブリードアウトが生じにくくなる。
本発明の重縮合エステルの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定、評価することができる。また、末端が封止のないポリエステルポリオールの場合、重量あたりの水酸基の量(以下、水酸基価)により算出することもできる。水酸基価は、ポリエステルポリオールをアセチル化した後、過剰の酢酸の中和に必要な水酸化カリウムの量(mg)を測定する。
本発明では炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸や炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸およびそれらの混合したものを好ましく用いることができ、炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸や炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸であることがより好ましい。
なお、本発明にかかる芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸との混合物としてのジカルボン酸である場合は、炭素数の平均が5.5以上10.0以下のジカルボン酸であることが好ましい。より好ましくは5.6以上8以下である。
炭素数の平均が5.5以上であれば耐久性に優れた偏光板を得ることができる。炭素数の平均が10以下であればセルロースエステルへの相溶性が優れ、セルロースエステルフィルムの製膜過程でブリードアウトの発生を抑制することができる。
本発明に係る重縮合エステルは、可塑剤として用いることができる。
芳香族ジカルボン酸残基は、ジオールと芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合エステルに含まれる。
本明細書中では、残基とは、重縮合エステルの部分構造で、重縮合エステルを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジカルボン酸HOOC−R−COOHより形成されるジカルボン酸残基は−OC−R−CO−である。
本発明に用いる重縮合エステルのジカルボン酸残基中の芳香族ジカルボン酸残基比率は40mol%以上であることが好ましく、40mol%〜95mol%であることが好ましい。45mol%〜70mol%であることがより好ましく、50mol%〜70mol%であることが更に好ましい。
芳香族ジカルボン酸残基比率を40mol%以上とすることで、十分な光学異方性を示すセルロースエステルフィルムが得られ、耐久性に優れた偏光板を得ることができる。また、95mol%以下であればセルロースエステルとの相溶性に優れ、セルロースエステルフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくくすることができる。
本発明に用いる芳香族ジカルボン酸は、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、フタル酸、テレフタル酸がより好ましく、テレフタル酸が更に好ましい。
重縮合エステルには混合に用いた芳香族ジカルボン酸により芳香族ジカルボン酸残基が形成される。
具体的には、芳香族ジカルボン酸残基は、フタル酸残基、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基の少なくとも1種を含むことが好ましく、より好ましくはフタル酸残基、テレフタル酸残基の少なくとも1種を含み、更に好ましくはテレフタル酸残基を含む。
すなわち、重縮合エステルの形成における混合に、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸を用いることで、よりセルロースエステルとの相溶性に優れ、セルロースエステルフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいセルロースエステルフィルムとすることができる。また、芳香族ジカルボン酸は1種でも、2種以上を用いてもよい。2種用いる場合は、フタル酸とテレフタル酸を用いることが好ましい。
フタル酸とテレフタル酸の2種の芳香族ジカルボン酸を併用することにより、常温での重縮合エステルを軟化することができ、ハンドリングが容易になる点で好ましい。
重縮合エステルのジカルボン酸残基中のテレフタル酸残基の含有量は40mol%〜95mol%であることが好ましく、45mol%〜70mol%であることが好ましく、50mol%〜70mol%であることが好ましい。
テレフタル酸残基比率を40mol%以上とすることで、十分な光学異方性を示すセルロースエステルフィルムが得られる。また、95mol%以下であればセルロースエステルとの相溶性に優れ、セルロースエステルフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくくすることができる。
脂肪族ジカルボン酸残基は、ジオールと脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合エステルに含まれる。
本発明で好ましく用いられる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
重縮合エステルには混合に用いた脂肪族ジカルボン酸より脂肪族ジカルボン酸残基が形成される。
脂肪族ジカルボン酸残基の場合は、平均炭素数が2以上10.0以下であることが好ましく、4〜8.0であることがより好ましく、4〜6.0であることが更に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の平均炭素数が6.0以下であれば化合物の加熱減量が低減でき、セルロースアシレートウェブ乾燥時のブリードアウトによる工程汚染が原因と考えられる面状故障の発生を防ぐことができる。また、脂肪族ジカルボン酸の平均炭素数が4以上であれば相溶性に優れ、重縮合エステルの析出が起き難く好ましい。
具体的には、コハク酸残基を含むことが好ましく、2種用いる場合は、コハク酸残基とアジピン酸残基を含むことが好ましい。
すなわち、重縮合エステルの形成における混合に、脂肪族ジカルボン酸は1種でも、2種以上を用いてもよく、2種用いる場合は、コハク酸とアジピン酸を用いることが好ましい。1種用いる場合は、コハク酸を用いることが好ましい。ジオール残基の平均炭素数を所望の値に調整することができ、セルロースエステルとの相溶性の点で好ましい。
本発明において、ジカルボン酸は2種又は3種を用いることが好ましい。2種を用いる場合は脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを1種ずつ用いることが好ましく、3種を用いる場合は脂肪族ジカルボン酸を1種と芳香族ジカルボン酸を2種又は脂肪族ジカルボン酸を2種と芳香族ジカルボン酸を1種用いることができる。ジカルボン酸残基の平均炭素数の値を調整しやすく、かつ芳香族ジカルボン酸残基の含有量を好ましい範囲とすることができ、偏光子の耐久性を向上し得るためである。
脂肪族ジオール残基は、脂肪族ジオールとジカルボン酸とから得られた重縮合エステルに含まれる。
本明細書中では、残基とは、重縮合エステルの部分構造で、重縮合エステルを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジオールHO−R−OHより形成されるジオール残基は−O−R−O−である。
重縮合エステルを形成するジオールとしては芳香族ジオール及び脂肪族ジオールが挙げられ、少なくとも脂肪族ジオールを含むことが好ましい。
重縮合エステルには平均炭素数が2.0以上7.0以下の脂肪族ジオール残基を含むことが好ましい。好ましくは平均炭素数が2.0以上4.0以下の脂肪族ジオール残基であり、特に好ましくは平均炭素数が2.0以上3.0以下の脂肪族ジオール残基である。脂肪族ジオール残基の平均炭素数が7.0以下であれば、セルロースエステルとの相溶性が低くならず、ブリードアウトが生じ難くなり、また、化合物の加熱減量が増大し過ぎず、セルロースアシレートウェブ乾燥時の工程汚染が原因と考えられる面状故障が発生し難い。また、脂肪族ジオール残基の平均炭素数が2.0未満では合成が困難となる。
本発明に用いられる脂肪族ジオールとしては、アルキルジオール又は脂環式ジオール類を挙げることができ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等があり、これらはエチレングリコールとともに1種又は2種以上の混合物として使用されることが好ましい。
好ましい脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールの少なくとも1種であり、特に好ましくはエチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールの少なくとも1種である。2種用いる場合は、エチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールを用いることが好ましい。1,2−プロパンジオール、又は1,3−プロパンジオールを用いることにより重縮合エステルの結晶化を防止することができる。
重縮合エステルには混合に用いたジオールによりジオール残基が形成される。
ジオール残基はエチレングリコール残基、1,2−プロパンジオール残基、及び1,3−プロパンジオール残基の少なくとも1種を含むことが好ましく、エチレングリコール残基又は1,2−プロパンジオール残基であることがより好ましい。
脂肪族ジオール残基のうち、エチレングリコール残基が20mol%〜100mol%であることが好ましく、50mol%〜100mol%であることがより好ましい。
本発明の重縮合エステルの末端は封止がなくジオールあるいはカルボン酸のままであるか、更にモノカルボン酸類又はモノアルコール類を反応させて、所謂末端の封止を実施してもよい。
封止に用いるモノカルボン酸類としては酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等が好ましく、酢酸又はプロピオン酸がより好ましく、酢酸が最も好ましい。封止に用いるモノアルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等が好ましく、メタノールが最も好ましい。重縮合エステルの末端に使用するモノカルボン酸類の炭素数が3以下であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障が発生しない。
本発明の重縮合エステルの末端はより好ましくは封止がなくジオール残基のままか、酢酸又はプロピオン酸による封止が更に好ましい。
本発明にかかる重縮合エステルの両末端は封止、未封止を問わない。
縮合体の両末端が未封止の場合、重縮合エステルはポリエステルポリオールであることが好ましい。
本発明にかかる重縮合エステルの態様の一つとして脂肪族ジオール残基の炭素数が2.5以上7.0以下であり、縮合体の両末端は未封止である重縮合エステルを挙げることができる。
縮合体の両末端が封止されている場合、モノカルボン酸と反応させて封止することが好ましい。このとき、該重縮合エステルの両末端はモノカルボン酸残基となっている。本明細書中では、残基とは、重縮合エステルの部分構造で、重縮合エステルを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばモノカルボン酸R−COOHより形成されるモノカルボン酸残基はR−CO−である。好ましくは脂肪族モノカルボン酸残基であり、モノカルボン酸残基が炭素数22以下の脂肪族モノカルボン酸残基であることがより好ましく、炭素数3以下の脂肪族モノカルボン酸残基であることが更に好ましい。また、炭素数2以上の脂肪族モノカルボン酸残基であることが好ましく、炭素数2の脂肪族モノカルボン酸残基であることが特に好ましい。
本発明にかかる重縮合エステルの態様の一つとして脂肪族ジオール残基の炭素数が2.5より大きく7.0以下であり、縮合体の両末端はモノカルボン酸残基である重縮合エステルを挙げることができる。
重縮合エステルの両末端のモノカルボン酸残基の炭素数が3以下であると、揮発性が低下し、重縮合エステルの加熱による減量が大きくならず、工程汚染の発生や面状故障の発生を低減することが可能である。
即ち封止に用いるモノカルボン酸類としては脂肪族モノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸が炭素数2〜22の脂肪族モノカルボン酸であることがより好ましく、炭素数2〜3の脂肪族モノカルボン酸であることが更に好ましく、炭素数2の脂肪族モノカルボン酸であることが特に好ましい。
例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸及びその誘導体等が好ましく、酢酸又はプロピオン酸がより好ましく、酢酸が最も好ましい。
封止に用いるモノカルボン酸は2種以上を混合してもよい。
本発明の重縮合エステルの両末端は酢酸又はプロピオン酸による封止が好ましく、酢酸封止により両末端がアセチルエステル残基(アセチル残基と称する場合がある)となることが最も好ましい。
両末端を封止した場合は常温での状態が固体形状となりにくく、ハンドリングが良好となり、また湿度安定性、偏光板耐久性に優れたセルロースエステルフィルムを得ることができる。
以下に本発明にかかる重縮合エステルの具体例を記すが、これらに限定されるものではない。
以下に、数平均分子量が700〜10000であって脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール、及び場合により脂肪族モノカルボン酸又は脂肪族モノアルコールからなる繰り返し単位を有する脂肪族高分子量可塑剤(PA)について、その具体的な例を記載するがこれらに限定されるものではない。
PA-1:エチレングリコール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量1100)
PA-2:1,3−プロパンジオール/グルタル酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量1500)
PA-3:1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量900)
PA-4:1,3−プロパンジオール/エチレングリコール/アジピン酸(1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量1500)
PA-5:2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量1400)
PA-6:エチレングリコール/コハク酸/アジピン酸(2/1/1モル比)からなる縮合物の両末端のアセチルエステル化体(数平均分子量1000)
PA-7:1,4−シクロヘキサンジオール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量1800)
PA-8:1,3−プロパンジオール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のブチルエステル化体(数平均分子量1200)
PA-9:1,3−プロパンジオール/グルタル酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のシクロヘキシルエステル化体(数平均分子量1500)
PA-10:エチレングリコール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のアセチルエステル化体(数平均分子量3000)
PA-11:1,3−プロパンジオール/エチレングリコール/アジピン酸(1/1/2モル比)からなる縮合物の両末端のイソノニルエステル化体(数平均分子量1500)
PA-12:2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のプロピルエステル化体(数平均分子量1300)
PA-13:2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のアセチルエステル化体(数平均分子量1700)
PA-14:2−メチル−1,3−プロパンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のイソノニルエステル化体(数平均分子量1500)
PA-15:1,4−ブタンジオール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端のブチルエステル化体(数平均分子量1100)
PA-16:ポリ(平均重合度5)プロピレンエーテルグリコール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2800)
PA-17:ポリ(平均重合度3)エチレンエーテルグリコール/グルタル酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2300)
PA-18:ポリ(平均重合度4)プロピレンエーテルグリコール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2200)
PA-19:ポリ(平均重合度5)プロピレンエーテルグリコール/コハク酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端ブチルエステル化体(数平均分子量1900)
PA-20:ポリ(平均重合度3)エチレンエーテルグリコール/グルタル酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端2−エチルヘキシルエステル化体(数平均分子量2500)
PA-21:ポリ(平均重合度4)プロピレンエーテルグリコール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端アセチルエステル化体(数平均分子量1500)
PA-22:ポリ(平均重合度4)プロピレンエーテルグリコール/フタル酸(1/1モル比)からなる縮合物の両末端プロピオニルエステル化体(数平均分子量1900)
PA-23:エチレングリコール/アジピン酸(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量1000)
芳香族高分子量可塑剤(PB)に使用される脂肪族ジオールについても同様に、前述した脂肪族高分子可塑剤(PA)で記載した脂肪族ジオールを利用でき、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールも同様に使用できる。
次に、芳香族高分子量可塑剤(PB)ではジオールとして芳香族環含有ジオールも使用できる。好ましい該芳香族環含有ジオールとしては、炭素数6〜20の芳香族ジオールから選ばれる少なくとも1種類以上のジオールであり、ビスフェノールA、1,2−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、ベンゼン−1,4−ジメタノールが挙げられ、好ましくはビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシベンゼン、ベンゼン−1,4−ジメタノールである。
更に芳香族高分子量可塑剤(PB)においては、場合により脂肪族モノカルボン酸、脂肪族モノアルコール、芳香環含有モノカルボン酸あるいは芳香環含有モノアルコールを使用することも好ましい。その場合、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族モノアルコールについては、前述した脂肪族高分子可塑剤(PA)で記載した脂肪族モノカルボン酸、脂肪族モノアルコールを利用でき、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールも同様に使用できる。
あるいは芳香環含有モノアルコールについては、炭素数6〜20の芳香族環含有基、炭素数2〜22の脂肪族カルボニル基、及び炭素数7〜20の芳香族カルボニル基から選ばれた少なくとも一種を含有することが好ましく、例えばフェノール、クレゾール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、フェネチルアルコール、1−ナフチルアルコールなどであり、好ましくはベンジルアルコール、フェニルエタノールが挙げられる。 また、芳香環含有モノカルボン酸については、炭素数6〜20の芳香族環含有基、炭素数2〜22の脂肪族カルボニル基、及び炭素数7〜20の芳香族カルボニル基から選ばれた少なくとも一種を含有することが好ましく、例えば安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−tert−アミル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、n−プロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸等があり、好ましくは安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸である。これらはそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
以上記述した芳香族高分子量可塑剤(PB)の具体的な例を以下に記載するが、これらに限定されるものではない。
PB-1:コハク酸/フタル酸/エチレングリコール(1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量900)
PB-2:グルタル酸/イソフタル酸/1,3−プロパンジオール(1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量1300)
PB-3:アジピン酸/テレフタル酸/1,2−プロパンジオール(1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量1200)
PB-4:コハク酸/テレフタル酸/エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール(1/1/1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量3000)
PB-5:コハク酸/グルタル酸/アジピン酸/テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/1,2−プロパンジオール(1/1/1/1/1/3/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)
PB-6:コハク酸/アジピン酸/テレフタル酸/エチレングリコール/1,2−プロパンジオール(1/1/1/2/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2800)
PB-7:コハク酸/アジピン酸/1,4−ナフタレンジカルボン酸/エチレングリコール/1,2−プロパンジオール(1/1/1/2/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2000)
PB-8:コハク酸/テレフタル酸/ポリ(平均重合度5)プロピレンエーテルグリコール/1,2−プロパンジオール(2/1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)
PB-9:コハク酸/テレフタル酸/ポリ(平均重合度3)エチレンエーテルグリコール/1,2−プロパンジオール(1/3/2/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量3500)
PB-10:コハク酸/テレフタル酸/エチレングリコール(1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量2100)の両末端のアセチルエステル化体
PB-11:グルタル酸/イソフタル酸/1,3−プロパンジオール(1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量1500)の両末端のシクロヘキシルエステル化体
PB-12:アジピン酸/テレフタル酸/1,2−プロパンジオール(1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体
PB-13:コハク酸/テレフタル酸/エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール(1/1/1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量3000)の両末端のイソノニルエステル化体
PB-14:コハク酸/グルタル酸/アジピン酸/テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/1,2−プロパンジオール(1/1/1/1/1/3/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量3000)の両末端のプロピルエステル化体
PB-15:コハク酸/アジピン酸/テレフタル酸/エチレングリコール/1,2−プロパンジオール(1/1/1/2/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量3000)の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体
PB-16:コハク酸/アジピン酸/1,4−ナフタレンジカルボン酸/エチレングリコール/1,2−プロパンジオール(1/1/1/2/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量3000)の両末端の安息香酸エステル化体
PB-17:コハク酸/テレフタル酸/ポリ(平均重合度5)プロピレンエーテルグリコール/1,2−プロパンジオール(2/1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量3500)の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体
PB-18:コハク酸/テレフタル酸/ポリ(平均重合度4)エチレンエーテルグリコール/1,2−プロパンジオール(1/3/2/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体
PB-19:コハク酸/フタル酸/エチレングリコール(1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)の両末端のアセチルエステル化体
PB-20:コハク酸/イソフタル酸/フタル酸/テレフタル酸/エチレングリコール/1,3−プロパンジオール(1/1/1/1/2/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量1300)の両末端のアセチルエステル化体
PB-21:アジピン酸/テレフタル酸/1,2−プロパンジオール(1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量900)の両末端のベンゾイルエステル化体
PB-22:コハク酸/テレフタル酸/エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール(1/1/1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量3000)の両末端のプロピオニルエステル化体
PB-23:コハク酸/グルタル酸/アジピン酸/テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/1,2−プロパンジオール(1/1/1/1/2/3/3モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)の両末端のシクロヘキサンカルボニルエステル化体
PB-24:コハク酸/テレフタル酸/ポリ(平均重合度3)エチレンエーテルグリコール/1,2−プロパンジオール(1/3/2/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)の両末端のアセチルエステル化体
PB-25:コハク酸/ビスフェノールA(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2000)
PB-26:コハク酸/テレフタル酸/エチレングリコール/ビスフェノールA(2/1/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)
PB-27:コハク酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ビスフェノールA/プロパンジオール(1/2/2/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量1900)
PB-28:コハク酸/アジピン酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ビスフェノールA/ジエチレングリコール(1/1/2/2/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)
PB-29:コハク酸/テレフタル酸/エチレングリコール/ビスフェノールA(1/2/1/2モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体
PB-30:コハク酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ビスフェノールA/プロパンジオール(1/2/2/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2300)の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体
PB-31:コハク酸/ビスフェノールA(1/1モル比)からなる縮合物(数平均分子量2200)の両末端のアセチルエステル化体
PB-32:コハク酸/アジピン酸/フタル酸/テレフタル酸/エチレングリコール(5/5/1/9/20モル比)からなる縮合物(数平均分子量800)の両末端のアセチルエステル化体
PB-33:アジピン酸/フタル酸/テレフタル酸/エチレングリコール(10/1/9/20モル比)からなる縮合物(数平均分子量800)の両末端のアセチルエステル化体
PB-34:アジピン酸/フタル酸/テレフタル酸/エチレングリコール(5/2/3/10モル比)からなる縮合物(数平均分子量1000)の両末端のアセチルエステル化体
PB-35:コハク酸/アジピン酸/フタル酸/エチレングリコール(1/1/2/4モル比)からなる縮合物(数平均分子量1000)の両末端のアセチルエステル化体
本発明に係る重縮合エステルの合成は、常法によりジオールとジカルボン酸とのポリエステル化反応又はエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。また、本発明に係る重縮合エステルについては、村井孝一編者「可塑剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
セルロースエステルフィルムにおける前記重縮合エステルの含有量は、セルロースエステル量に対し5乃至40質量%であることが好ましく、8乃至30質量%であることが更に好ましく、10乃至25質量%であることが最も好ましい。
本発明の重縮合体が含有する原料の脂肪族ジオール、ジカルボン酸エステル、又はジオールエステルのセルロースエステルフィルム中の含有量は、1質量%未満が好ましく、0.5質量%未満がより好ましい。ジカルボン酸エステルとしては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジ(ヒドロキシエチル)、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジ(ヒドロキシエチル)、アジピン酸ジ(ヒドロキシエチル)、コハク酸ジ(ヒドロキシエチル)等が挙げられる。ジオールエステルとしては、エチレンジアセテート、プロピレンジアセテート等が挙げられる。
本発明で使用される重縮合エステルに含まれるジカルボン酸残基、ジオール残基、モノカルボン酸残基の各残基の種類及び比率はH−NMRを用いて通常の方法で測定することができる。通常、重クロロホルムを溶媒として用いることができる。
重縮合エステルの数平均分子量はGPC(Gel Permeation Chromatography)を用いて通常の方法で測定することができ、通常、ポリスチレンを標準試料として用いることができる。
重縮合エステルの水酸基価の測定は、日本工業規格 JIS K3342(廃止)に記載の無水酢酸法等を適用できる。重縮合体がポリエステルポリオールである場合は、水酸基価が50以上190以下であることが好ましく、50以上130以下であることが更に好ましい。
(重縮合エステル以外の可塑剤)
本発明に用いられる可塑剤としては、上記の重縮合エステル以外にセルロースアシレートの可塑剤として知られる、添加した場合に可塑性を付与する多くの化合物も有用に使用することができる。重縮合エステル以外の可塑剤としては、リン酸エステル、カルボン酸エステル、糖エステル等の化合物が用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。
(糖エステル化合物)
−糖残基−
前記糖エステル化合物とは、該化合物を構成する多糖中の置換可能な基(例えば、水酸基、カルボキシル基)の少なくとも1つと、少なくとも1種の置換基とがエステル結合されている化合物のことを言う。すなわち、ここで言う糖エステル化合物には広義の糖誘導体類も含まれ、例えばグルコン酸のような糖残基を構造として含む化合物も含まれる。すなわち、前記糖エステル化合物には、グルコースとカルボン酸のエステル体も、グルコン酸とアルコールのエステル体も含まれる。
前記糖エステル化合物を構成する多糖中の置換可能な基は、ヒドロキシル基であることが好ましい。
前記糖エステル化合物中には、糖エステル化合物を構成する多糖由来の構造(以下、糖残基とも言う)が含まれる。前記糖残基の単糖当たりの構造を、糖エステル化合物の構造単位と言う。前記糖エステル化合物の構造単位は、ピラノース構造単位又はフラノース構造単位を含むことが好ましく、全ての糖残基がピラノース構造単位又はフラノース構造単位であることがより好ましい。また、前記糖エステルが多糖から構成される場合は、ピラノース構造単位又はフラノース構造単位をともに含むことが好ましい。
前記糖エステル化合物の糖残基は、5単糖由来であっても6単糖由来であってもよいが、6単糖由来であることが好ましい。
前記糖エステル化合物中に含まれる構造単位の数は、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。すなわち、前記糖エステル化合物を構成する糖が2糖類〜4糖類であることが好ましく、2糖類〜3糖類であることがより好ましく、2糖類であることが特に好ましい。
本発明では、前記糖エステル化合物はヒドロキシル基の少なくとも1つがエステル化されたピラノース構造単位又はフラノース構造単位を2〜4個含む糖エステル化合物であることがより好ましく、ヒドロキシル基の少なくとも1つがエステル化されたピラノース構造単位又はフラノース構造単位を2個含む糖エステル化合物であることがより好ましい。
前記単糖又は2〜4個の単糖単位を含む糖類の例としては、例えば、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、トレハロース、イソトレハロース、ネオトレハロース、トレハロサミン、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、マルチトール、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクトサミン、ラクチトール、ラクツロース、メリビオース、プリメベロース、ルチノース、シラビオース、スクロース、スクラロース、ツラノース、ビシアノース、セロトリオース、カコトリオース、ゲンチアノース、イソマルトトリオース、イソパノース、マルトトリオース、マンニノトリオース、メレジトース、パノース、プランテオース、ラフィノース、ソラトリオース、ウンベリフェロース、リコテトラオース、マルトテトラオース、スタキオース、バルトペンタオース、ベルバルコース、マルトヘキサオース、キシリトール、ソルビトールなどを挙げることができる。
好ましくは、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、トレハロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、スクラロース、キシリトール、ソルビトールであり、更に好ましくは、アラビノース、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロースであり、特に好ましくは、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、キシリトール、ソルビトールである。
前記糖エステル化合物の置換基の好ましい例としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基、ベンジル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアシル基、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、トルイル基、フタリル基など)、アミド基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアミド、例えばホルムアミド基、アセトアミド基など)、イミド基(好ましくは炭素数4〜22、より好ましくは炭素数4〜12、特に好ましくは炭素数4〜8のイミド基、例えば、スクシイミド基、フタルイミド基など)を挙げることができる。その中でも、アルキル基又はアシル基がより好ましく、メチル基、アセチル基、ベンゾイル基がより好ましく、ベンゾイル基及びアセチル基のうち少なくとも一方であることが特に好ましく、ベンゾイル基がより特に好ましい。
以下に、本発明に用いることができる糖エステル化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、下記の具体例には各糖エステル化合物のエステル置換度を記載していないが、本発明の趣旨に反しない限りにおいて任意のエステル置換度の糖エステル化合物を用いて、糖エステル化合物混合体として用いてもよい。なお、以下の構造式中、Rはそれぞれ独立に水素原子又は任意の置換基を表し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。以下の構造において、置換基1、2はそれぞれ任意のRを表す。また、置換度は、Rが該置換基で表される数を表す。「なし」はRが水素原子であることを表す。
Figure 2012181516
Figure 2012181516
Figure 2012181516
Figure 2012181516
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以下の構造式中、Rはそれぞれ独立に任意の置換基を表し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。
Figure 2012181516
Figure 2012181516
Figure 2012181516
Figure 2012181516
Figure 2012181516
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その他、前記糖エステル化合物としては、特開2001−247717号公報、特表2005−515285号公報、国際公開WO2007/125764号公報、国際公開WO2009/011228号公報、国際公開WO2009/031464号公報などに記載の糖エステル化合物を用いることもできる。
前記糖エステル化合物の入手方法としては、市販品として(株)東京化成製、アルドリッチ製等から商業的に入手可能であり、若しくは市販の炭水化物に対して既知のエステル誘導体化法(例えば、特開平8−245678号公報に記載の方法)を行うことにより合成可能である。
前記糖エステル化合物は、数平均分子量が、好ましくは200〜3500、より好ましくは420〜3000、特に好ましくは450〜2000の範囲が好適である。
前記糖エステル化合物は、セルロースアシレートに対し2〜30質量%含有することが好ましく、5〜20質量%含有することがより好ましい。
(レターデーション発現剤)
本発明のフィルムはレターデーション値を発現するために、レターデーション発現剤を含有してもよいが、レターデーション発現剤の含有量は前記セルロースアシレートに対して8質量%以下であることが好ましい。前記レターデーション発現剤としては、特に制限はないが、棒状又は円盤状化合物からなるものを挙げることができる。上記棒状又は円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として好ましく用いることができる。
棒状化合物からなるレターデーション発現剤の添加量は、セルロースアシレート成分100質量部に対して8質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。前記レターデーション発現剤中に含まれる円盤状化合物が、前記セルロースアシレート100質量部に対して8質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、4質量部以下であることが特に好ましい。
円盤状化合物はRthレターデーション発現性において棒状化合物よりも優れているため、特に大きなRthレターデーションを必要とする場合には好ましく使用される。2種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
レターデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
円盤状化合物について説明する。円盤状化合物としては少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることが更に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、ビフェニル環が好ましい。特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
レターデーション発現剤が有する芳香族環の炭素数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環及びチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環及びキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環又は非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−又はそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環及び連結基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、更に置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、4−カルボキシブチル基、2−メトキシエチル基及び2−ジエチルアミノエチル基の各基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基及び1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基及び1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロパノイル基及びブタノイル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、更に置換基(例えば、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基及びメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基及びエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ基、エチルチオ基及びオクチルチオ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基及びエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミド基が含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基及びn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及び2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基及びジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基及びジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基及びモルホリノ基が含まれる。
レターデーション発現剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
円盤状化合物として下記一般式(I)で表されるトリアジン化合物を用いることが好ましい。
Figure 2012181516
上記一般式(I)中:
201は、各々独立に、オルト位、メタ位及びパラ位の少なくともいずれかに置換基を有する芳香族環又は複素環を表す。
201は、各々独立に、単結合又は−NR202−を表す。ここで、R202は、各々独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。
201が表す芳香族環は、フェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。R201が表す芳香族環はいずれかの置換位置に少なくとも一つの置換基を有してもよい。前記置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。
201が表す複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることが更に好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジル又は4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
201が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることが更に好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。ここで、−C49 nは、n−C49を示す。
Figure 2012181516
202が表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8が更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。
202が表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基を表すのがより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましく、2〜8であることが更にまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
202が表す芳香族環基及び複素環基は、R201が表す芳香族環及び複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基及び複素環基は更に置換基を有していてもよく、置換基の例にはR201の芳香族環及び複素環の置換基と同様である。
一般式(I)で表される化合物は、例えば特開2003−344655号公報に記載の方法等、公知の方法により合成することができる。レターデーション発現剤の詳細は公開技報2001−1745の49頁に記載されている。
本発明のレターデーション発現剤としては、前記低分子化合物と同様に、高分子系添加剤を使用することもできる。ここで、本発明において前記重縮合エステルとして用いられているポリマーがレターデーション発現剤としての機能を兼ねていてもよい。前記重縮合エステルでもある高分子系のレターデーション発現剤としては、前記芳香族ポリエステル系ポリマー及び前記芳香族ポリエステル系ポリマーとその他の樹脂の共重合体が好ましい。
本発明のレターデーション発現剤の使用は、適切なNzファクターを実現する観点からより好ましい。前記レターデーション発現剤のうち、発現剤としては、例えば、円盤状化合物及び棒状化合物などを挙げることができる。
(レターデーション低減剤)
本発明ではレターデーション制御の手段の1つとして、レターデーション低減剤として、リン酸系であるエステル系の化合物や、セルロースアシレートフィルムの添加剤として公知の化合物を広く採用することができる。
高分子系レターデーション低減剤としては、リン酸系であるポリエステル系ポリマー、スチレン系ポリマー及びアクリル系ポリマー及びこれら等の共重合体から選択され、アクリル系ポリマー及びスチレン系ポリマーが好ましい。また、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリマーといった、負の固有複屈折を有するポリマーを少なくとも一種含むことが好ましい。
低分子量レターデーション低減剤としては、以下を挙げることができる。これらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に劣化防止剤の混合などである。更にまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はセルロースアシレート溶液(ドープ)作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。
低分子量レターデーション低減剤としては、特に限定されないが、詳細は特開2007−272177号公報の[0066]〜[0085]に記載されている。
特開2007−272177号公報の[0066]〜[0085]に一般式(1)として記載される化合物は、以下の方法にて作成することができる。
該公報一般式(1)の化合物は、スルホニルクロリド誘導体とアミン誘導体との縮合反応により得ることができる。
特開2007−272177号公報の一般式(2)に記載の化合物は、縮合剤(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など)を用いた、カルボン酸類とアミン類との脱水縮合反応、又はカルボン酸クロリド誘導体とアミン誘導体との置換反応などにより得ることができる。
(劣化防止剤)
本発明においてはセルロースアシレート溶液に公知の劣化(酸化)防止剤、例えば、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4、4'−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1、1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2、2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2、5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。更に、トリス(4−メトキシ−3、5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2、4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤をすることが好ましい。劣化防止剤の添加量は、セルロース系樹脂100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加する。
(紫外線吸収剤)
本発明においてはセルロースアシレート溶液に、偏光板又は液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N'−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N'−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2'−ヒドロキシ−3'、5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2'−ヒドロキシ−3'、5'−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、セルロースアシレートフィルム全体中に質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
(マット剤)
本発明のフィルムは、マット剤を含有することが、フィルムすべり性、及び安定製造の観点から好ましい。前記マット剤は、無機化合物のマット剤であっても、有機化合物のマット剤であってもよい。
前記無機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、ケイ素を含む無機化合物(例えば、二酸化ケイ素、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなど)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースアシレートフィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。前記二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。前記酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
前記有機化合物のマット剤の好ましい具体例としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、トスパール105、トスパール108、トスパール120、トスパール145、トスパール3120及びトスパール240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
これらのマット剤をセルロースアシレート溶液へ添加する場合は、特にその方法に限定されずいずれの方法でも所望のセルロースアシレート溶液を得ることができれば問題ない。例えば、セルロースアシレートと溶媒を混合する段階で添加物を含有させてもよいし、セルロースアシレートと溶媒で混合溶液を作製した後に、添加物を添加してもよい。更にはドープを流延する直前に添加混合してもよく、所謂直前添加方法でありその混合はスクリュー式混練をオンラインで設置して用いられる。具体的には、インラインミキサーのような静的混合機が好ましく、また、インラインミキサーとしては、例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器Hi−Mixer)(東レエンジニアリング製)のようなものが好ましい。なお、インライン添加に関しては、濃度ムラ、粒子の凝集等をなくすために、特開2003−053752号公報には、セルロースアシレートフィルムの製造方法において、主原料ドープに異なる組成の添加液を混合する添加ノズル先端とインラインミキサーの始端部の距離Lが、主原料配管内径dの5倍以下とする事で、濃度ムラ、マット粒子等の凝集をなくす発明が記載されている。更に好ましい態様として、主原料ドープと異なる組成の添加液供給ノズルの先端開口部とインラインミキサーの始端部との間の距離(L)が、供給ノズル先端開口部の内径(d)の10倍以下とし、インラインミキサーが、静的無攪拌型管内混合器又は動的攪拌型管内混合器であることが記載されている。更に具体的には、セルロースアシレートフィルム主原料ドープ/インライン添加液の流量比は、10/1〜500/1、好ましくは50/1〜200/1であることが開示されている。更に、添加剤ブリードアウトが少なく、かつ層間の剥離現象もなく、しかも滑り性が良好で透明性に優れた位相差フィルムを目的とした発明の特開2003-014933号にも、添加剤を添加する方法として、溶解釜中に添加してもよいし、溶解釜〜共流延ダイまでの間で添加剤や添加剤を溶解又は分散した溶液を、送液中のドープに添加してもよいが、後者の場合は混合性を高めるため、スタチックミキサー等の混合手段を設けることが好ましいことが記載されている。
(有機酸)
本発明のフィルムは、下記一般式(1)で表される有機酸を含むことが好ましい。
一般式(1)
X−L−(R1n
(式中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合又は2価以上の連結基を表し、R1は炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数6〜30の複素環基を表し、更に置換基を有していてもよい。nはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
前記一般式(1)で表される有機酸において、酸性基である前記X部分により溶液製膜設備(ドープを流涎するときの金属支持体)からの剥離性を改善することができる。
更に、酸性基である前記X部分が支持体の金属表面に付着し、特定の構造の疎水性基である前記R1部分が支持体の金属表面を酸素等の酸化剤からブロックすることにより、前記R1の範囲から外れる疎水性基を有する有機酸に比べて、金属の腐食を防止することができる。
以下、本発明のフィルムに用いることができる剥離促進剤について説明する。
一般式(1)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸を表し、カルボキシル基、スルフォン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、スルフォンイミド基、アスコルビン酸基が好ましく、カルボキシル基、スルフォン酸基が更に好ましく、カルボキシル基が最も好ましい。なお、Xがアスコルビン酸基を表す場合は、アスコルビン酸の水素原子のうち、5位、6位の位置の水素原子が外れてLと連結していることが好ましい。
本明細書中、酸解離定数としては、化学便覧、丸善株式会社刊に記載の値を採用する。
一般式(1)中、R1は水素原子、炭素数6〜30のアルキル基(置換基を有してもよい)、アルケニル基(置換基を有してもよい)、アルキニル基(置換基を有してもよい)、アリール基(置換基を有してもよい)、複素環基(置換基を有してもよい)を表す。置換基として、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、水酸基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルフォンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基等が挙げられる。
1は更に好ましくは、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、最も好ましくは炭素数10〜24の直鎖のアルキル基、アルケニル基である。
一般式(1)におけるLは、単結合、あるいは、下記ユニット群から得られる2価以上の連結基又は下記ユニット群から選択される2以上のユニットを組み合わせて得られる2価以上の連結基であることが好ましい。
ユニット:−O−、−CO−、−N(−R2)−(前記R2は炭素数1〜5のアルキル基)、−CH=CH−、−CH(OH)−、−CH2−、−SO2−、
Figure 2012181516
一般式(1)におけるLは、単結合、エステル基由来の連結基(−COO−、−OCO−)、又はアミド基由来の連結基(−CONR2−、−NR2CO−)を部分構造として有することが特に好ましい。
また、前記Lは、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はなく前記R1が有していてもよい置換基を挙げることができるが、その中でも−OH基が好ましい。
これらの中でも、前記Lはグリセリン由来の基を含む連結基であることがより好ましい。
前記Lとしては、具体的に以下の構造であることが好ましい。但し、以下においてp、q、rはそれぞれ1〜40の整数を表し、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることが特に好ましい。また、qは2〜4であることがより特に好ましい。
−(CH2p−CO−O−(CH2q−O−;
−(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OH))−(CH2r−O−;
−(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OCO−R3))−(CH2r−O−;
−(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OH))−(CH2r−O−CO−;
−(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OCO−R3))−(CH2r−O−CO−。
なお、上記のLの具体例に含まれるR3は、前記一般式(1)における前記R1と同義である。すなわち、−(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OCO−R3))−(CH2r−O−という連結基におけるR3は便宜上Lの内部に記載しているだけであり、連結基LはR3を除いた部分を意味する。つまり、この場合Lは3価である。一般式(1)で表すと、X−L−(R12、[但しLは−(CH2p−CO−O−(CH2q−(CH(OCO−))−(CH2r−O−を表す]と記載でき、すなわちこのときの連結基Lは3価の連結基となっている。
前記Lと前記Xはエステル結合又はアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合で結合していることがより好ましい。また、前記Xにはエステル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
前記Lと前記R1はエステル結合、エーテル結合又はアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合又はアミド結合で結合していることがより好ましく、エステル結合で結合していることが特に好ましい。また、前記R1にはエステル結合やエーテル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
以下に前記一般式(1)で表される有機酸の好ましい具体例を以下に挙げる。
《脂肪酸》
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸、ウンデカン酸。
《アルキル硫酸》
ミリスチル硫酸、セチル硫酸、オレイル硫酸。
《アルキルベンゼンスルフォン酸》
ドデシルベンゼンスルフォン酸、ペンタデシルベンゼンスルフォン酸。
《アルキルナフタレンスルフォン酸》
セスキブチルナフタレンスルフォン酸、ジイソブチルナフタレンスルフォン酸。
《ジアルキルスルフォコハク酸》
ジオクチルスルフォコハク酸、ジヘキシルスルフォコハク酸、ジシクロヘキシルコハク酸、ジアミルスルフォコハク酸、ジトリデシルスルフォコハク酸。
《多価有機酸の一部誘導体》
前記一般式(1)で表される有機酸は、多価有機酸の一部誘導体であることが好ましい。本明細書中、多価有機酸の一部誘導体とは、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価有機酸がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換の酸性基を少なくとも1つ有する化合物のことを言う。なお、本明細書中、脂肪酸とは、脂肪族モノカルボン酸を意味する。すなわち、本明細書中における脂肪酸は、いわゆる高級脂肪族に限定されるものではなく、酢酸やプロピオン酸などの炭素数12以下の低級脂肪酸も含まれる。
前記多価有機酸の一部誘導体は、多価カルボン酸の一部誘導体であることが好ましい。すなわち、前記一般式(1)で表される有機酸は、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を少なくとも1つ有することが好ましい。前記多価カルボン酸の一部誘導体に用いられる多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸が好ましい。
前記多価有機酸の一部誘導体に用いられる前記多価アルコールとしては、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、グリセリン等を挙げることができる。その中でも、グリセリンが好ましく、前記一般式(1)で表される有機酸はいわゆる有機酸グリセリドであることが好ましい。
前記一般式(1)で表される有機酸としては、有機酸の酸性基Xが、グリセリン由来の基を含む連結基Lを介して、疎水性部R1と結合している有機酸グリセリド(グリセリン脂肪酸有機酸エステル)が好ましい。ここで、本明細書中における有機酸グリセリドとは、グリセリンの3個の水酸基のうち1個又は2個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個又は2個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。
その中でも、有機酸モノグリセリド又は有機酸ジグリセリドがより好ましく、有機酸モノグリセリドがより特に好ましい。本明細書中における有機酸モノグリセリドとは、グリセリンの3個の水酸基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個又は2個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。本明細書中における有機酸ジグリセリドとは、グリセリンの3個の水酸基のうち2個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。
前記有機酸モノグリセリドの中でも、グリセリンの3個の水酸基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個が無置換の水酸基であり、残りの水酸基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物であることがより特に好ましい。前記有機酸モノグリセリドの脂肪酸とエステル結合している水酸基は非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましく、前記有機酸モノグリセリドの多価有機酸とエステル結合している水酸基は同様に非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましい。すなわち、前記有機酸モノグリセリドの中でも、無置換の水酸基を有し、かつ脂肪酸とエステル結合している水酸基の直結する炭素原子と、多価有機酸とエステル結合している水酸基の直結する炭素原子とが隣り合わない構造の化合物であることが好ましい。
前記有機酸モノグリセリドの中でも、多価カルボン酸のモノグリセリドがより特に好ましい。前記多価カルボン酸のモノグリセリドとは、多価カルボン酸のうち、少なくとも1つが無置換のカルボキシル基を有し、その他のカルボキシル基がモノグリセリドで置換されている有機酸のことを言う。すなわち、グリセリン1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子が結合したカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドが特に好ましい。
前記多価カルボン酸のモノグリセリドに用いられる前記多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸が好ましい。
前記多価カルボン酸のモノグリセリドに用いられる前記脂肪酸は限定されないが、炭素数8〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸が好ましく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等があげられる。
以下に、本発明に使用することができるカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドについて詳しく説明する。
本発明で使用することができるカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドは、一般的には、特開平4−218597号公報、特許第3823524号公報等に記載されている方法に従って、多価有機酸の無水物と脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる。
反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18の脂肪酸モノグリセリドの反応では、温度120℃前後において90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、及びその他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物のまま使用してもよい。
前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、上記のような混合物中のカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドを蒸留等により精製すればよく、また、純度の高いカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドとしては、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用できる。前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの市販品としては、例えば、理研ビタミン株式会社製ポエムK−37V(グリセリンクエン酸オレイン酸エステル)、花王社製ステップSS(グリセリンステアリン酸/パルミチン酸コハク酸エステル)等があげられる。
本発明のフィルムに含まれる前記一般式(1)で表される有機酸の添加量は、前記セルロースアシレートに対して0.1質量%〜20質量%の割合であり、0.5質量%〜10質量%であることが特に好ましく、0.6質量%〜5質量%であることがより特に好ましく、1.5質量%〜5質量%であることがより特に好ましい。
添加量が0.1質量%以上であれば偏光子耐久性改良効果及び剥離性改良効果が十分となる。また、20質量%以下の添加量であれば、高温高湿経時において有機酸がブリードアウトし難く、偏光板の直交透過率が上昇しにくく、好ましい。
前記一般式(1)で表される有機酸の分子量は、200〜1000であることが好ましい。
[フィルムの製造方法]
本発明のフィルムは、以下に詳述する本発明のフィルムの製造方法(以下、本発明の製造方法とも言う)により、セルロースアシレートとしてセルロースアセテートを用いた場合と、セルロースブチレート又はセルロースプロピオネートを用いた場合それぞれによって異なる製膜条件を採用することで、効率良く製造することができる。
セルロースアシレートとしてセルロースアセテートを用いた場合、本発明の製造方法は、総アシル置換度2.10〜2.95のセルロースアセテートを含むドープを金属支持体上に溶液流延してフィルムを得る工程と、前記フィルムを金属支持体から下記式(i)を満たす残留揮発分H1で剥ぎ取る工程と、剥ぎ取られたフィルムを、下記式(ii)を満たす残留揮発分H2の状態でフィルム搬送方向に1〜100%で延伸する工程と、剥ぎ取られたフィルムを、下記式(iii)を満たす残留揮発分H3の状態でフィルム搬送方向に直交する方向に3〜150%延伸する工程を含み、前記延伸工程が下記式(iv)を満たすことを特徴とする。
式(i) 20%≦H1≦60%
式(ii) 10%≦H2≦60%
式(iii) 5%≦H3≦45%
式(iv) TD延伸倍率≧3%
(式中、TD延伸倍率はフィルム搬送方向に直交する方向への延伸倍率(単位:%)を表す。)
セルロースアシレートとしてセルロースブチレート又はセルロースプロピオネートを用いた場合、総アシル置換度2.10〜2.95のセルロースブチレート又はセルロースプロピオネートを含むドープを金属支持体上に溶液流延してフィルムを得る工程と、前記フィルムを金属支持体から下記式(i)を満たす残留揮発分H1で剥ぎ取る工程と、剥ぎ取られたフィルムを、下記式(ii)を満たす残留揮発分H2の状態でフィルム搬送方向に1〜100%で延伸する工程と、剥ぎ取られたフィルムを、下記式(iii)を満たす残留揮発分H3の状態でフィルム搬送方向に直交する方向に3〜150%延伸する工程を含み、前記延伸工程が下記式(iv)を満たすことを特徴とする。
式(i) 20%≦H1≦60%
式(ii) 10%≦H2≦60%
式(iii) 5%≦H3≦45%
式(iv) TD延伸倍率≧3%
以下、本発明の製造方法を説明する。
<セルロースアシレートをフィルム状に形成する工程>
本発明の製造方法では、セルロースアシレートをフィルム状に形成する工程において、溶液流延製膜法を用いても、溶融製膜法を用いてもよい。その中でも、溶液流延製膜法を用いることが好ましく、セルロースアシレート及び溶媒を含むドープを支持体上に流涎する方法を用いることがより好ましい。また、本発明の製造方法では、ドープを支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてセルロースアシレートフィルムを形成することが特に好ましい。
(ドープの製造)
本発明の製造方法において、ドープ中に含まれていることが好ましい各成分について説明する。但し、レターデーション発現剤を前記セルロースブチレート又はセルロースプロピオネートに対して3質量%以上含まないことが好ましい。その他の添加剤については、前記本発明のフィルムの説明において例示した範囲で好ましく用いることができ、ドープへの添加時期についても特に制限はない。
本発明に用いられるドープにおいて、セルロースアシレートの量は、得られるドープ中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。
本発明の製造方法においてドープ中に用いられる溶媒は、溶液流延に用いられる溶媒であれば公知のものを採用することができるが、よりヘイズを低下させる観点から、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、
ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることが更に好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素の例として、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化メチル、四塩化炭素、トリクロル酢酸、臭化メチル、ヨウ化メチル、トリ(テトラ)クロロエチレン等が挙げられ、少なくともジクロロメタンを含むことが好ましい。
本発明では更に、貧溶媒を3〜30重量%の割合で含むことが好ましく、5〜20重量%の割合で含むことがより好ましい。貧溶媒を上記範囲内で含むことにより、セルロースアシレートとの相溶性が向上し、ヘイズがより低下する傾向にあり好ましい。
更に、貧溶媒の沸点は、120℃以下であることが好ましく、40〜100℃であることがより好ましい。沸点を120℃以下とすることにより、溶媒の乾燥速度をより早くすることができ好ましい。
このような貧溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及び水が好ましい例として挙げられ、メタノールがより好ましい。
一般的な方法で前記ドープを調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温又は高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。ドープは、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器(タンク等)に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、前記ドープを調製することもできる。
(製膜工程)
本発明では、調製したドープから、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレテートフィルムを製造することが好ましい。
本発明のフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供するのと同様の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ダイの口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離することが好ましい。得られるウェブの両端をクリップで挟み、テンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
調製したドープは、無端金属支持体上、例えば金属ドラム又は金属支持体(バンドあるいはベルト)上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成することが好ましい。流延前のドープは、セルロース量が10〜35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
更に特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、及び特開平2−208650号の各公報に記載のセルロースアシレート製膜技術を本発明では応用できる。
ドープは、表面温度が30℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましく、特には−50〜20℃の金属支持体温度であることが好ましい。本発明の製造方法は、前記金属支持体上に流延された前記ドープに対して、該金属支持体の裏面及び表面の双方から乾燥風を吹き当てることが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、更に100℃から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
本発明の製造方法は、前記ドープとして、セルロースアシレートの総アシル置換度が互いに異なる2種以上のドープを用い、支持体上に各ドープを共流延することが好ましい。
本発明のフィルムの形成においては共流延法、逐次流延法、塗布法などの積層流延法を用いることが好ましく、特に同時共流延法を用いることが、安定製造及び生産コスト低減の観点から特に好ましい。
共流延法及び逐次流延法により製造する場合には、先ず、各層用のセルロースアセテート溶液(ドープ)を調製する。共流延法(重層同時流延)は、流延用支持体(バンド又はドラム)の上に、各層(3層あるいはそれ以上でも良い)各々の流延用ドープを別のスリットなどから同時に押出す流延用ギーサからドープを押出して、各層同時に流延し、適当な時期に支持体から剥ぎ取って、乾燥しフィルムを成形する流延法である。
逐次流延法は、流延用支持体の上に先ず第1層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して、流延し、乾燥あるいは乾燥することなく、その上に第2層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して流延する要領で、必要なら第3層以上まで逐次ドープを流延・積層して、適当な時期に支持体から剥ぎ取って、乾燥しフィルムを成形する流延法である。塗布法は、一般的には、コア層のフィルムを溶液製膜法によりフィルムに成形し、表層に塗布する塗布液を調製し、適当な塗布機を用いて、片面ずつ又は両面同時にフィルムに塗布液を塗布・乾燥して積層構造のフィルムを成形する方法である。
(剥ぎ取り)
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。なお、剥離する時点でのウェブの残留揮発分(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させ過ぎてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
ここで、製膜速度を上げる方法(残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離することで製膜速度を上げることができる)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。例えば、ドープ中にセルロースアシレートに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることができる。
金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により5〜150質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
本発明の製造方法は、セルロースアシレートの種類によらず、前記フィルムを金属支持体から下記式(i)を満たす残留揮発分H1で剥ぎ取る工程を含む。
式(i) 20%≦H1≦60%
前記H1は22〜55%であることが好ましく、25〜45%であることが特に好ましい。
残留溶媒量は下記の式で表すことができる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、Nは質量Mのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
ドラムやベルト上で乾燥され、剥離されたウェブの乾燥方法について述べる。ドラムやベルトが1周する直前の剥離位置で剥離されたウェブは、千鳥状に配置されたロ−ル群に交互に通して搬送する方法や剥離されたウェブの両端をクリップ等で把持させて非接触的に搬送する方法などにより搬送されることが好ましい。
本発明の製造方法は、前記剥ぎ取り工程から前記延伸工程までの渡り部分において、前記フィルムが少なくともラップ角60°以上のパスロールを3本以上通過することが好ましく、5本以上のパスロールを通過することがより好ましく、7本〜51本のパスロールを通過することが特に好ましい。また、本発明の製造方法は、上述のとおり、前記ラップ角60°以上のパスロールとして少なくとも1本のダンサを含むことが好ましく、前記ダンサは1本であることが好ましい。なお、本明細書におけるラップ角とは、フィルムがロールをラップしている円弧領域とロール中心とを結ぶ中心角の大きさを意味し、例えば完全な千鳥状に配置されたロールをフィルムが通過する場合のラップ角は180度となる。
乾燥は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエ−ブなどの加熱手段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好ましい。支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってフィルムは長手方向あるいは幅方向に収縮しようとする。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップあるいはピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方法(テンタ−方式)が好ましい。上記乾燥工程における乾燥温度は、100〜145℃であることが好ましい。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なるが、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。
本発明の製造方法は、前記フィルム搬送方向に直交する方向への延伸をテンターによって行い、下記式(v)を満たすことがフィルム長手方向の遅相軸方位の標準偏差低減の観点から、好ましい。
式(v) W×30≧L≧W×2
(式中、Lは前記剥ぎ取り工程から前記テンターまでの距離(単位:mm)を表し、Wは剥ぎ取られたフィルムの幅(単位:mm)を表す。)
本発明の製造方法は、W×28≧L≧W×2.5を満たすことがより好ましく、W×25≧L≧W×3を満たすことが特に好ましい。
(延伸工程)
本発明のフィルムの製造では、支持体から剥離したウェブ(フィルム)を延伸する工程を含む。(1)セルロースアシレートとしてセルロースアセテートを用いた場合と(2)セルロースアシレートとしてセルロースブチレート又はセルロースプロピオネートを用いた場合で好ましい範囲が異なるため、以下、順に説明する。
本発明の製造方法は、剥ぎ取られたフィルムを、下記式(ii)を満たす残留揮発分H2の状態でフィルム搬送方向に5〜100%で延伸する工程と、剥ぎ取られたフィルムを、下記式(iii)を満たす残留揮発分H3の状態でフィルム搬送方向に直交する方向に20〜150%延伸する工程を含み、前記延伸工程が下記式(iv)を満たすことを特徴とする。
式(ii) 10%≦H2≦60%
式(iii) 5%≦H3≦45%
式(iv) TD延伸倍率≧3%
(式中、TD延伸倍率はフィルム搬送方向に直交する方向への延伸倍率(単位:%)を表す。)
セルロースアシレートとしてセルロースアセテートを用いた場合、フィルム搬送方向への延伸における延伸倍率は、1〜25%であることが好ましく、1〜10%であることがより好ましい。
なお、ここでいう「延伸倍率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味する。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
ウェブをフィルム搬送方向に延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。前記縦方向への延伸は、2つのニップロールを有する装置を用い、入口側のニップロールの回転速度よりも、出口側のニップロールの回転速度を速くすることにより、搬送方向(縦方向)にセルロースアシレートフィルムを好ましく延伸することが好ましい。このような延伸を行うことによって、レターデーションの発現性も調整することができる。
また、このとき前記H2は20〜55%であることが好ましく、25〜50%であることがより好ましい。
ウェブ中の残留揮発分が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。
本発明の製造方法は、前記フィルム搬送方向への延伸を、テンション変動値が10N/m未満の状態に制御しながら延伸することが好ましく、8N/m未満に制御することがより好ましく、0N/m〜6N/mに制御することが特に好ましい。
セルロースアシレートとしてセルロースアセテートを用いた場合、フィルム搬送方向に直交する方向への延伸における延伸倍率は、1〜60%であることが好ましく、1〜10%であることがより好ましい。
ウェブをフィルム搬送方向に直交する方向に延伸する方法には特に限定はない。例えば、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。また、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。本発明においては、フィルム搬送方向に直交する方向に延伸する方法として、テンター装置を用いて延伸することが好ましい。
また、このとき前記H3は8〜40%であることが好ましく、10〜35%であることがより好ましい。
ウェブ中の残留揮発分が多すぎると延伸の効果が得られず、また、少なすぎると延伸が著しく困難となり、ウェブの破断が発生してしまう場合がある。
また、フィルム幅方向に延伸する場合、幅手で屈折率に分布が生じる場合がある。これは、例えばテンター法を用いた場合にみられることがあるが、幅方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、いわゆるボ−イング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、流延方向に延伸することで、ボ−イング現象を抑制でき、幅手の位相差の分布を少なく改善できるのである。更に、互いに直交する2軸方向に延伸することにより得られるフィルムの膜厚変動が減少できる。セルロースアシレートフィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなる。セルロースアシレートフィルムの膜厚変動は、±3%、更に±1%の範囲とすることが好ましい。以上の様な目的においても、式(iv)を満たすように互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効である。
本発明の製造方法では、延伸温度がTe+30℃以下、但し
延伸温度≦Te+30℃ (I)
Te=T[tanδ]−ΔTm (II)
ΔTm=Tm(0)−Tm(x) (III)
(式(II)中、T[tanδ]は残留溶媒量が0%のときのセルロースアシレートの動的粘弾性tanδを測定した際にtanδがピークを示す温度を表し、Tm(0)は残留溶媒量が0%のときのセルロースアシレートの結晶融解温度を表し、Tm(x)は該セルロースアシレートに対する残留溶媒量がx%のときのセルロースアシレートの結晶融解温度を表す。)、であることが好ましい。以下、このような温度範囲での延伸を低温延伸とも言う。フィルム状に形成されたフィルムを低温延伸することにより、本発明のフィルムの膜厚を厚くせずにRth発現性を高めることができ、すなわちRth(590)/dをより高めることができ、好ましい。いかなる理論に拘泥するものでもないが、前記低温延伸では延伸中のポリマーや添加剤の配向が高温延伸時よりもおきにくいため、Rthを低下させずに、Reを発現することができる。前記延伸温度はTe−30〜Te℃であることがより好ましい。フィルム搬送方向に延伸する場合も、フィルム幅方向に延伸する場合も好ましい範囲は同様である。
(熱処理工程)
本発明のフィルムの製造方法は乾燥工程終了後に前述のような熱処理工程を設けてもよい。当該熱処理工程における熱処理は乾燥工程終了後に行われればよく、延伸/乾燥工程後直ちに行ってよいし、あるいは乾燥工程終了後に後述する方法で一旦巻き取った後に、熱処理工程だけを別途設けてもよい。
熱処理は、搬送中のフィルムに所定の温度の風を当てる方法やマイクロウエーブなどの加熱手段などを用いる方法により行われる。
熱処理は150〜200℃の温度で行うことが好ましく、160〜180℃の温度で行うことが更に好ましい。また、熱処理は1〜20分間行うことが好ましく、5〜10分間行うことが更に好ましい。
(巻き取り)
得られたフィルムを巻き取る巻き取り機には、一般的に使用されている巻き取り機が使用でき、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロ−ル法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。以上の様にして得られたセルロースアシレートフィルムロールは、フィルムの遅相軸方向が、巻き取り方向(フィルムの長手方向)に対して、±2度であることが好ましく、更に±1度の範囲であることが好ましい。又は、巻き取り方向に対して直角方向(フィルムの幅方向)に対して、±2度であることが好ましく、更に±1度の範囲にあることが好ましい。特にフィルムの遅相軸方向が、巻き取り方向(フィルムの長手方向)に対して、±0.1度以内であることが好ましい。あるいはフィルムの幅手方向に対して±0.1度以内であることが好ましい。
(残留揮発分)
以上の本発明のフィルムの製造方法によって得られたセルロースアシレートフィルムは、最終仕上がりフィルムの残留揮発分で1質量%以下、更に0.2質量%以下であることが、寸度安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。
なお、本発明の製造方法では、インラインでフィルム長手方向の遅相軸方位を検出しながら、フィルムを製造する工程を含んでいてもよい。その場合の好ましい態様は、本発明のフィルムのフィルム長手方向の遅相軸方位の標準偏差をインラインで求める方法として上述した態様と同様である。
<偏光板>
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明のセルロースアシレートフィルムを含むことを特徴とする。
本発明のフィルムは、フィルム光学特性が良好であり、フィルム弾性率も良好であるため、偏光板用保護フィルムに好ましく用いられる。また、本発明のフィルムは面状が良好であり、フィルム面状を偏光板クロスニコル下にて観察した際にむらが少ないため、偏光板用保護フィルムに好適である。偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムを貼り合わせ積層することによって形成される。偏光子は従来から公知のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコールフィルムの如き親水性ポリマーフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して延伸したものである。セルロースアシレートフィルムと偏光子との貼り合わせは、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行うことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコ−ル水溶液が好ましく用いられる。
また、本発明のフィルムを用いた偏光板は遅相軸分布にバラツキが少なく、良好な表示性能の液晶表示装置を提供することができる。更に、本発明のフィルムが広幅の好ましい態様である場合、本発明のフィルムを用いて偏光子と貼り合わせて偏光板を製造するときに、フィルム幅方向においていわゆる偏光板の2丁取り、3丁取りを行なうことが可能となり、偏光板の製造コストを低減することができる。また、フィルム幅方向のσ600、σ−600も良好である態様である場合、更に2丁取り、3丁取りを行なった偏光板の性能も改善することができる。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、セルロースアシレートフィルム又は本発明の偏光板を含むことを特徴とする。
本発明のフィルムは、偏光板用保護フィルム/偏光子/偏光板用保護フィルム/液晶セル/本発明のフィルム/偏光子/偏光板用保護フィルムの構成、若しくは偏光板用保護フィルム/偏光子/本発明のフィルム/液晶セル/本発明の偏光板用保護フィルム/偏光子/偏光板用保護フィルムの構成で好ましく用いることができる。特に、TN型、VA型、OCB型などの液晶セルに貼り合わせて用いることによって、視野角に優れ、着色が少ない視認性に優れ、かつ、面内均一性にも優れた液晶表示装置を提供することができる。また、本発明のフィルムを用いた偏光板は高温高湿条件下での劣化が少なく、長期間安定した性能を維持することができ、すなわち本発明の液晶表示装置は耐久性も良好である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[実施例1:セルロースアシレートフィルムの製膜]
(1)ドープ調製
<1−1> セルロースアシレート溶液
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃で約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
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セルロースアシレート溶液
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表4に記載のセルロースアシレート 100.0質量部
ジクロロメタン 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<1−2> マット剤分散液
次に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
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マット剤分散液
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平均粒子径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
ジクロロメタン 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
セルロースアシレート溶液 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<1−3> 添加剤溶液
上記方法で作成したセルロースアシレート溶液をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、下記表4に記載の各添加剤を添加して、添加剤溶液を調製した。また、各添加剤について以下説明する。
化合物Uは下記の構造のレターデーション発現剤を表す。
化合物U
Figure 2012181516
上記セルロースアシレート溶液を100質量部、マット剤分散液を1.35質量部及び前記添加剤溶液を混合し、製膜用ドープを調製した。各種添加剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、各添加剤が表4に記載された分量(質量部)となるようにそれぞれ調整した。
なお、ドープの原料として用いたセルロースアシレート及び各種添加剤は、あらかじめ(株)奈良機械製作所製のサイロを用いて120℃にて2時間乾燥を行ったものを用いた。
(2)流延工程
続いてストックタンク内のドープを1次増圧用のギアポンプで高精度ギアポンプの1次側圧力が0.8MPaになるようにインバーターモーターによりフィードバック制御を行い送液した。高精度ギアポンプは容積効率99.3%、吐出量の変動率0.4%以下の性能であった。また、吐出圧力は1.4MPaであった。
流延ダイは、幅が1.6mであり共流延用に調整したフィードブロックを装備して、主流のほかに両面にそれぞれ積層して3層構造のフィルムを成形できるようにした装置を用いた。以下の説明において、主流から形成される層を中間層と称し、支持体面側の層を支持体面と称し、反対側の面をエアー面と称する。なお、ドープの送液流路は、中間層用,支持体面用,エアー面用の3流路を用いた。なお、本フィルムの製造では中間層用の流路のみを利用した。
そして、完成したポリマーフィルムの膜厚が80μmとなるように、ダイ突出口のポリマードープの流量を調整して流延を行った。ドープの温度を36℃に調整するため、流延ダイにジャケットを設けてジャケット内に供給する伝熱媒体の入口温度を36℃とした。
ダイ、フィードブロック、配管は、すべて作業工程中は36℃に保温した。ダイはコートハンガータイプのダイであり、厚み調整ボルトが20mmピッチに設けられており、ヒートボルトによる自動厚み調整機構を具備しているものを使用した。このヒートボルトは予め設定したプログラムにより高精度ギアポンプの送液量に応じたプロファイルを設定することもでき、製膜工程内に設置した赤外線厚み計のプロファイルに基づいた調整プログラムによってフィードバック制御も可能な性能を有するものである。流延エッジ部20mmを除いたフィルムで50mm離れた任意の2点の厚み差は1μm以内であり、幅方向厚みの最小値で最も大きな差が2μm/m以下となるように調整した。また、ダイの1次側には減圧するためのチャンバーを設置した。この減圧チャンバーの減圧度は流延ビードの前後で1Pa〜5000Paの圧力差を印加できるようになっていて、流延スピードに応じて調整が可能なものである。その際に、ビードの長さが2mm〜50mmになるような圧力差に設定した。
(流延ダイ)
ダイの材質は、オーステナイト相とフェライト相の混合組成を持つ2相系ステンレス鋼であり、熱膨張率が2×10−5(℃−1)以下の素材であり、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316と略同等の耐腐食性を有する素材を使用した。流延ダイ及びフィードブロックの接液面の仕上げ精度は、表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であり、スリットのクリアランスは自動調整により0.5mm〜3.5mmまで調整可能であった。本フィルムの製造では、1.5mmで実施した。ダイリップ先端の接液部の角部分について、Rはスリット全巾に亘り50μm以下になるように加工した。ダイ内部での剪断速度は1(sec−1)〜5000(sec−1)の範囲であった。
また、流延ダイのリップ先端には、硬化膜が設けられているものを用いた。タングステン・カーバイド(WC)、Al23、TiN、Cr23などがあり、特に好ましくはWCであり、本発明では溶射法によりWCコーティングを形成したものを用いた。また、ドープを可溶化する溶剤である混合溶媒(ジクロロメタン/メタノール/ブタノール(83/15/2質量部))をビード端部とスリットの気液界面に片側で0.5ml/分で供給した。更に減圧チャンバーの温度を一定にするために、ジャケットを取り付け35℃に調整された伝熱媒体を供給した。エッジ吸引風量は、1L/分〜100L/分の範囲で調整可能なものを用い、本フィルムの製造では30L/分〜40L/分の範囲で適宜調整した。
(金属支持体)
支持体として長さが100mのステンレス製のエンドレスバンドを利用した。バンドの厚みは1.5mmであり、表面粗さは0.05μm以下に研磨し、材質はSUS316製であり、十分な耐腐食性と強度を有するものとした。バンドの全体の厚みムラは0.5%以下であった。バンドは2個のドラムにより駆動するタイプを用い、その際のバンドのテンションは1.5×104kg/mに調整し、バンドとドラムの相対速度差が0.01m/分以下となるものであった。また、バンド駆動の速度変動は0.5%以下であった。また1回転の巾方向の蛇行は1.5mm以下に制限するようにバンドに両端位置を検出して制御した。また、流延ダイ直下における支持体表面のドラム回転に伴う上下方向の位置変動は200μm以下にした。支持体は、風圧振動抑制手段を有したケーシング内に設置されている。この支持体上にダイからドープを流延した。流延直前の支持体中央部の表面温度は15℃であった。両端の温度差は6℃以下であった。金属支持体の表面欠陥はあってはならないものであり、30μm以上のピンホールは皆無であり、10μm〜30μmのピンホールは1個/m以下、10μm以下のピンホールは2個/m以下である支持体を使用した。
(流延乾燥)
前記流延ダイ及び支持体などが設けられている流延室の温度は、35℃に保った。バンド上に流延されたドープは、最初に平行流の乾燥風を送り乾燥した。乾燥する際の乾燥風からのドープへの総括伝熱係数は24kcal/m2・hr・℃であった。乾燥風の温度はバンド上部の上流側を130℃とし、下流側を135℃とした。また、バンド下部は、65℃とした。それぞれのガスの飽和温度は、いずれも−8℃付近であった。支持体上での乾燥雰囲気における酸素濃度は5vol%に保持した。なお、酸素濃度を5vol%に保持するため空気を窒素ガスで置換した。また、流延室内の溶媒を凝縮回収するために、凝縮器(コンデンサ)を設け、その出口温度は、−10℃に設定した。
流延後5秒間は遮風装置により乾燥風が直接ドープに当たらないようにして流延ダイ直近の静圧変動を±1Pa以下に抑制した。ドープ中の溶剤比率が乾量基準で45質量%になった時点で流延支持体からフィルムとして剥離した。この時の剥離テンションは8kgf/mであり、支持体速度に対して剥ぎ取り速度(剥取りロールドロー)は100.1%〜110%の範囲で適切に剥ぎ取れるように設定した。また、剥ぎ取ったフィルムの表面温度は14℃であった。支持体上での乾燥速度は平均62質量%乾量基準溶剤/分であった。乾燥して発生した溶剤ガスは凝縮装置に導き、−10℃で液化し、回収して仕込み用の溶剤として再利用した。溶剤を除去した乾燥風は再度加熱して乾燥風として再利用した。その際に、溶剤に含まれる水分量を0.5%以下に調整して再使用した。 剥ぎ取ったフィルムを多数のローラーが設けられている渡り部で搬送した。渡り部は3本のローラーを備えており、また渡り部の温度は40℃に保持した。渡り部のローラーで搬送している際に、フィルムに16N〜160Nのテンションを付与した。
(テンター搬送・乾燥工程条件)
剥ぎ取られたフィルムは、クリップを有したテンターで両端を固定しながらテンターの乾燥ゾーン内を搬送し、乾燥風により乾燥した。クリップには、20℃の伝熱媒体を供給して冷却した。テンターの駆動はチェーンで行い、そのスプロケットの速度変動は0.5%以下であった。また、テンター内を3ゾーンに分け、それぞれのゾーンの乾燥風温度を上流側から90℃、100℃、110℃とした。乾燥風のガス組成は−10℃の飽和ガス濃度とした。テンター内での平均乾燥速度は120質量%(乾量基準溶剤)/分であった。テンターの出口ではフィルム内の残留溶剤の量は10質量%以下となるように調整し、本フィルムの製造では7質量%となるように乾燥ゾーンの条件を調整した。テンター内では搬送しつつ幅方向に延伸も行った。なお、テンターに搬送された際の幅を100%としたときの拡幅量を103%(延伸倍率3%)とした。剥取ローラーからテンター入口に至る延伸率(テンター駆動ドロー)は、102%とした。テンター内の延伸率はテンター噛み込み部から10mm以上離れた部分における実質延伸率の差異が10%以下であり、かつ20mm離れた任意の2点の延伸率差異は、5%以下であった。
ベース端のうちテンターで固定している長さの比率は90%とした。また、テンタークリップの温度は50℃を超えないように冷却しつつ搬送した。テンター部分で蒸発した溶剤は−10℃の温度で凝縮させ液化して回収した。凝縮回収用に凝縮器(コンデンサ)を設け、その出口温度は−8℃に設定した。溶剤に含まれる水分を0.5質量%以下に調整して再使用した。
そして、テンター出口から30秒以内に両端の耳切りを行った。NT型カッターにより両側50mmの耳をカットした。テンター部の乾燥雰囲気における酸素濃度は5vol%に保持した。なお、酸素濃度を5vol%に保持するため空気を窒素ガスで置換した。後述するローラー搬送ゾーンで高温乾燥させる前に、100℃の乾燥風が供給されている予備乾燥ゾーンでフィルムを予備加熱した。
(後乾燥工程条件)
前述した方法で得られた耳切り後のポリマーフィルムを、ローラー搬送ゾーンで高温乾燥した。ローラー搬送ゾーンを4区画に分割して、上流側から120℃,130℃,130℃,130℃の乾燥風を給気した。このとき、フィルムのローラー搬送テンションは100N/巾として、最終的に残留溶剤量が0.3質量%になるまでの約10分間、乾燥した。該ローラーのラップ角度は、90度及び180度を用いた。該ローラーの材質はアルミ製若しくは炭素鋼製であり、表面にはハードクロム鍍金を施した。ローラーの表面形状はフラットなものとブラストによりマット化加工したものとを用いた。ローラーの回転による振れは全て50μm以下であった。また、テンション100N/巾でのローラー撓みは0.5mm以下となるように選定した。
搬送中のフィルム帯電圧は、常時−3kV〜3kVの範囲となるように工程中に強制除電装置(除電バー)を設置した。又巻取り部では、帯電が−1.5kV〜1.5kVになるように、除電バーだけでなく、イオン風除電も設置した。
乾燥されたフィルムを第1調湿室に搬送した。ローラー搬送ゾーンと第1調湿室の間の渡り部には、110℃の乾燥風を給気した。第1調湿室には、温度50℃,露点が20℃の空気を給気した。更に、フィルムのカールの発生を抑制する第2調湿室にフィルムを搬送した。第2調湿室では、フィルムに直接90℃、湿度70%の空気をあてた。
(後処理、巻取り条件)
乾燥後のポリマーフィルムは、30℃以下に冷却して両端耳切りを行った。耳切りはフィルム端部をスリットする装置をフィルムの左右両端部に、2基ずつ設置して(片側当たりスリット装置数は2基)、フィルム端部をスリットした。ここで、スリット装置は、円盤状の回転上刃と、ロール状の回転下刃とから構成されており、回転上刃の材質は超硬鋼材であり、回転上刃の直径が200mm、及び切断箇所の刃の厚みが0.5mmであった。ロール状の回転下刃の材質は超硬鋼材であり、回転下刃のロール径が100mmであった。
そして、スリットされたフィルム断面の表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)を測定したところ、0.2μmであった。また、スリットされたフィルム断面は、比較的平滑であり、切り粉もなかった。また、上記セルロースエステルフィルムの製膜において、搬送中におけるフィルムの破断は全く無かった。
ここで、フィルム断面の表面粗さの測定は、ZYGO社製の表面粗さ測定器(NewView5010)を用い、対物レンズ50倍、及びイメージズーム1.3倍の装置条件で測定した。またこの場合、測定条件は、Mesure Cntrlキーで適宜設定し、測定したデータは、Analyze Cntrlキーを適宜設定して、データ処理を行なった。
こうして、幅1500mm、及び膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを得て、巻取り機により巻き取った。また、スリットされたセルロースエステルフィルムのフィルム端部から20mm幅の箇所の寸法変化率を測定した。ここで、寸法変化率の評価は、セルロースエステルフィルムの製造直後の寸法(幅手方向長さ)に対し、温度90℃、相対湿度5%の環境下に120時間保持した後に変化した寸法(幅手方向長さ)の百分率をとって評価した。その結果、セルロースエステルフィルム端部から20mm幅の箇所の寸法変化率は、−0.13%であり問題はなかった。
更にフィルムの両端にナーリングを行った。ナーリングは片側からエンボス加工を行なうことで付与し、ナーリングする幅は10mmであり、最大高さは平均厚みよりも平均12μm高くなるように押し圧を設定した。
そして、フィルムを巻取り室に搬送した。巻取り室は、室内温度25℃、湿度60%に保持した。このようにして得られたポリマーフィルムの製品幅は、1500mmとなった。巻き芯の径は169mm、巻き始めテンションは390N/巾であり、巻き終わりが250N/巾になるようなテンションパターンとした。巻取り全長は3250mであった。巻取りの際のオシレート周期を400mとし、オシレート幅を±5mmとした。また、巻取りロールに対するプレスロールの押し圧を50N/巾に設定した。巻取り時のフィルムの温度は25℃、含水量は0.8質量%、残留溶剤量は0.2質量%であった。全工程を通して平均乾燥速度は20質量%(乾量基準溶剤)/分であった。また巻き緩み、シワもなく、10Gでの衝撃テストにおいても巻きずれが生じなかった。また、ロール外観も良好であった。以上の工程を経て、ポリマーフィルム試料を製膜した。フィルム試料のロールを25℃、相対湿度55%の貯蔵ラックに1ヶ月間保管して、更に上記と同様に検査した結果、いずれも有意な変化は認められなかった。更にロール内において接着も認められなかった。また、フィルム試料を製膜した後に、金属支持体であるエンドレスベルト上にはドープから形成された流延膜の剥げ残りは全く見られなかった。
その他のフィルム試料についても、表4に示した材料を用い、膜厚を調整して表4に記載したRe及びRthになるように、実施例1と同様に作製した。すなわち、フィルムの幅方向への延伸における拡幅量は103%とした。
<測定方法>
(フィルム光学特性)
面内のレターデーションReを前述の方法により自動複屈折計KOBRA−WR(王子計測器(株)製)を用いて波長590nmにおいて3次元複屈折測定を行って求め、膜厚方向のレターデーションRthは傾斜角を変えてReを測定することで求めた。
更に、得られたRth(単位:nm)の値を各フィルムの膜厚d(単位:μm)で割り、フィルム膜厚当たりのRth、Rth/dを求めた。
(フィルム弾性率)
試料150mm×10mm(TD×MD)を、25℃、相対湿度65%、2時間調湿し、東洋ボールドウィン製万能引張試験機STM T50BPを用い、23℃で相対湿度60%の雰囲気中、初期試料長50mm、10%/分でのTD方向への延伸処理により応力歪み曲線を測定してMD方向のフィルム弾性率E’(TD)(単位:MPa)を求めた。
更に、幅手100mm毎に、試料19個においてE’(TD)を測定した。それらの平均値を求め、フィルム幅方向における弾性率E’(TD)の標準偏差σ(単位:GPa)を、以下の方法から求めた。
得られた19個のデータに対して、
Figure 2012181516
により算出(ここで、xiは、各E’(TD)のバラツキであり、nは19である)。分散σを次式
Figure 2012181516
で計算した。
これらの測定結果を下記表4に記載した。
Figure 2012181516
〔偏光板の製造〕
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
鹸化処理した実施例1のセルロースアシレートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に同様の鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作成した実施例1のフィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に鹸化処理後のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けた。
この際、偏光子の透過軸と作成した実施例1のフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。また、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。
このようにして実施例1のフィルムを保護フィルムとして有する偏光板を作製した。実施例1のフィルムは30μmであったが、ハンドリング性や加工性に支障なく、良好な偏光板を得ることができた。

Claims (9)

  1. 可塑剤を少なくとも1種含有するセルロースエステルフィルムであって、下記式(1)〜(5)を満たすセルロースエステルフィルム。
    |Re|≦5nm (1)
    50nm<Rth<300nm (2)
    25μm≦d≦65μm (3)
    1×10−3≦Rth/d≦4×10−3(4)
    3.8GPa<E’<5.0GPa(5)
    なお、上記各式において、Reは面内方向のレターデーション値、Rthは厚み方向のレターデーション値、dはフィルム厚み、E’はフィルムの弾性率である。
  2. 前記可塑剤が芳香族環を含有する重縮合エステルである、請求項1に記載のセルロースエステルフィルム。
  3. 前記重縮合エステルが下記(I)及び(II)を満たす、請求項2に記載のセルロースエステルフィルム。
    (I)芳香族ジカルボン酸残基と平均炭素数4.0〜6.0の脂肪族ジカルボン酸残基とを含み、下式に表される芳香族ジカルボン酸残基比率が40mol%〜95mol%であるジカルボン酸残基を含む
    芳香族ジカルボン酸残基比率(mol%)=〔芳香族ジカルボン酸残基(mol)/(芳香族ジカルボン酸残基(mol)+脂肪族ジカルボン酸残基(mol))〕×100
    (II)平均炭素数2.0〜3.0の脂肪族ジオール残基を含む
  4. 前記重縮合エステルの数平均分子量が700以上2500以下である、請求項2又は3に記載のセルロースエステルフィルム。
  5. 前記セルロースエステルフィルムが、TD方向に3%以上延伸されたものである請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
  6. 前記セルロースエステルフィルムがセルロースアシレートから構成されており、該セルロースアシレートのアシル基置換度が2.10〜2.95である請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムを有する偏光板。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルム、又は請求項7に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法であって、セルロースエステルフィルムをTD方向に3%以上延伸することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
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