JP5444601B2 - 偏光板、画像表示装置及び偏光板の製造方法 - Google Patents
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Description
また、透湿度が高いためPVAなどの偏光子と貼り合わせる際に、PVAや接着剤の水分透過性に優れるなど加工性も良いため、偏光子保護フィルムとして一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、セルロース系フィルム(例えばTACフィルム)は吸水性も高いため、偏光子の性能低下、吸水による寸法安定性などに問題があった。
そこで、偏光子保護膜として、フィルムとして透湿度の低い、一軸延伸された高密度ポリエチレンまたはポリプロピレンフィルムが提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
しかしながら、一軸延伸されたポリエチレン又はポリプロピレンには、位相差が発生し、偏光板としての機能低下をもたらすという問題があった。
すなわち、本発明は、
[1]メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂から構成されることを特徴とする偏光子の保護膜用光学フィルム、
[2]前記ポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率が700MPa以上である上記[1]に記載の光学フィルム、
[3]前記光学フィルムが未延伸フィルムである上記[1]又は[2]に記載の光学フィルム、
[4]前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、0.03〜0.5質量部のジベンジリデンソルビトール系添加物をさらに含有するものである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルム、
[5]前記光学フィルムの厚さ方向の位相差Rthが20〜60nmである上記[1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルム、
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルムを偏光子の少なくとも片面に形成してなる偏光板、及び
[7]上記[6]に記載の偏光板を用いてなる画像表示装置、
を提供するものである。
これに加えて、本発明の光学フィルムは、従来汎用されているTACフィルムと比較した場合、これと同等以上の保護機能を有する。特にTACフィルムは親水性であり、防湿性が殆んどないのに対し、本発明の光学フィルムは疎水性であるので、偏光板の耐久性を大幅に向上させることができる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、後述するメタロセン触媒により合成されたものであり、プロピレンとα−オレフィンの共重合体であることが好ましい。α−オレフィンとしては、エチレン、炭素数4〜18の1−オレフィンが用いられ、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。共重合体中のプロピレン単位の割合は、好ましくは80モル%以上であり、コモノマーは20モル%以下である。コモノマーとして、上記のα−オレフィンは1種類に限られず、2種類以上を用いることができ、共重合体をターポリマーのような多元系共重合体とすることもできる。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
また、該ポリプロピレン系樹脂は、融点(Tm)が130℃以上であることが好ましい。融点(Tm)が130℃以上であれば、未延伸フィルムの場合は、曲げ弾性率が高くなり、光学フィルムとして強度が増し、後加工に影響を与えることがなく好ましい。
さらに、該ポリプロピレン系樹脂は、引張強度が20MPa以上であることが好ましい。20MPa以上であると、光学フィルムを、接着剤層を介して偏光子にロール・ツウ・ロールの方法で貼り合わせる時に、配向がかからず、光学フィルムに位相差が発生しないため、偏光板の性能を維持できる。
本発明で使用するジベンジリデンソルビトール系添加物は、1,3−2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−2,4−ジパラメチルジベンジリデンソルビトール等のジ−置換ジベンジリデンソルビトール、及びジ−置換ベンジリデンソルビトールとジグリセリンモノ脂肪酸エステルとを配合したもの等が好適に使用できる。
ジベンジリデンソルビトール系添加物は、透明化核剤として、ポリプロピレン樹脂の透明性向上と強度向上に寄与することが知られているが、本発明において、偏光子の保護膜用光学フィルムに使用した場合に、位相差への影響がほとんどないことを見出したものである。
また、特に、ジグリセリンモノ脂肪酸エステルを添加したジ−置換ベンジリデンソルビトールを用いる場合には、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、ジ−置換ベンジリデンソルビトールが0.01〜0.3質量部、混合するジグリセリンモノ脂肪酸エステルが0.01〜0.2質量部とすることが好ましい。
オレフィン樹脂としては、チーグラー触媒で合成されたホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等を、10質量%を超えない範囲で少量ブレンドしても良い。
また、添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、アンチブロッキング剤、滑剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、などが挙げられる。
紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
以下、本発明の光学フィルムの製造方法について説明する。
光学フィルムは、上述のポリプロピレン系樹脂を押出しコーティング成形法、キャスト法、Tダイ押出し成形法、インフレーション法、射出成形法等の各種成形法によって、直接、偏光子の上に作製することができる(図1参照)。また、上記各種成形法によって、光学フィルム4を作製しておき、その後、接着剤層を介して偏光子に貼り合わせても良い。
本発明では、偏光子上に作製される光学フィルムが配向しないことが望まれるため、延伸のかからない未延伸のTダイ押出し成形が望ましい。
また、保護膜4をあらかじめ、Tダイ法で製膜しておき、接着剤層2をあらかじめ塗布して偏光子3と貼り合わせても良い。
本発明に係る偏光板は、偏光子の片面又は両面に、上記本発明の光学フィルムを貼合したものである。ここで、該光学フィルムは偏光子と接着されて、保護膜としての機能を果たす。
ポリビニルアルコール系偏光子としては、例えばポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。このPVA系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。PVA系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜10,000の範囲である。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、PVA系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01〜0.5質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり0.5〜10質量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたPVA系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は通常、水100質量部あたり2〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり2〜20質量部程度、好ましくは5〜15質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常100〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。
こうして、ヨウ素又は二色性染料が吸着配向されたPVA系樹脂フィルムからなる偏光子が得られる。
光学フィルムと偏光子との貼合の方法としては、上述のように、接着剤層を介して行われる。
接着剤層を形成する接着剤としては、PVA系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは該グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィン系接着剤などが挙げられる。その他、透明性を有する接着剤、例えば、ポリビニルエーテル系、ゴム系等の接着剤を使用することができる。なかでも、PVA系接着剤が好ましい。
PVA系樹脂の重合度等は特に限定されないが、接着性などが良好になることから、平均重合度100〜3000程度、好ましくは500〜3000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%程度のものを用いることが好ましい。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレート、紫外線硬化型オキセタン等から選ばれる一種類以上の紫外線硬化樹脂が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、0.1〜100μmが好ましく、特に好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。また、ハードコート層の間にプライマー処理をすることもできる。
本発明の光学フィルムが少なくとも片面に形成してなる偏光板は、例えば液晶セルなどに貼り合わせて使用される。図2に、本発明の光学フィルム及び偏光板を有する液晶セルの構成例を示す。図2において、6は液晶セルを示す。この液晶セル6は、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型等や、ツイストネマチック型、スーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型などのものが例示される。図2の液晶セルの構成例は、この液晶セル6の上に、粘着剤層(図示せず。以下同じ。)を介して、位相差板8が積層され、この上に、粘着剤層(図示せず)を介して、本発明の偏光板7が積層されたものである。ここで、光学素子2は、当該位相差板8と偏光板7とが積層されており、偏光板7は、中心に偏光子3を有し、その両側の表面に、接着剤層5を介して、本発明の光学フィルムで構成される保護膜4が積層されている。本発明の偏光板7と位相差板8、位相差板8と液晶セル6の積層に際しては、予め偏光板7、位相差板8及び液晶セル6に粘着剤層を設けておくこともできる。
該粘着剤には、光学的透明性、適度な濡れ性、凝集性、接着性などの粘着特性、耐候性、耐熱性などに優れることが求められる。さらに吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層が求められる。
塗工方法は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等、各種方法が可能であるが、グラビアコートが最も一般的である。
また、粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1μm〜500μmであり、5μm〜200μmが好ましく、特に10μm〜100μmが好ましい。
本発明の偏光板は、有機EL表示装置にも好適に使用し得る。
一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、これらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、一般には複屈折層によって楕円偏光となるが、複屈折層がλ/4板でしかも偏光板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、複屈折層で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
本発明の光学フィルムは、タッチパネルの偏光板にも好適に使用し得る。一般に、タッチパネルは、操作者が表示画面の上部に設けられた透明な面をペン、または指でタッチすることで、装置、システムの操作を行うものである。画面上を直接タッチすることは、カーソルを方向キーで押して位置を確定することに比べれば、より直接的であり、また直感的でもあることから、近年、非常に多用されるようになっている。また、近年、携帯電話、およびPDA(Personal Digital Assistants;個人用の携帯情報端末)等の携帯端末市場の成長は著しく、太陽光のもとでの視認性、および薄型軽量が強く要求されるようになった。タッチパネルには種々の方式があり、その得失により使い分けられている。タッチパネルには、抵抗膜方式、光学式、静電容量結合方式(アナログ容量結合方式とも呼ばれる)、赤外線方式、超音波式、および電磁誘導式等の方式がある。ここでは、抵抗膜方式のタッチパネルの例で説明する。
直線偏光板、あるいは偏光板にλ/4板を組み合わせて積層した円偏光板をタッチパネルの最表面に使用すれば、タッチパネルとして十分な強度を得ることができ、かつ、反射防止の効果により視認性が向上する。タッチパネルの偏光板は、図3において9、図4において17である。これらタッチパネルの偏光板に本発明の光学フィルムが好適に使用できる。
本発明の光学フィルムと偏光子からなる偏光板とλ/4板を、λ/4板の面内の遅相軸と偏光板の偏光軸との角度が実質的に45°になるように積層すると円偏光板が得られる。実質的に45°とは、40〜50°であることを意味する。λ/4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることがさらに好ましく、44〜46°であることが最も好ましい。
本発明の光学フィルムを使用した円偏光板、又は直線偏光板は、透過型・反射型どちらのタッチパネルにも使用できる。
(評価方法)
1.曲げ弾性率
JIS K7171に準拠して測定した。
2.引張強度
ASTM D638に準拠して行った。
3.面内位相差の評価
面内位相差を、波長589.3nm、入射角0度で位相差測定機(王子計測機器(株)製「KOBRA−WR」)を用いて測定した。
4.透明性(ヘーズ)
JIS K7105に準拠して測定した。
5.耐熱性及び耐湿性
実施例1及び比較例1で得られた光学フィルムを、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたPVAを接着剤として、ヨウ素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子の両面に接着し、偏光板を得た。
該偏光板から150mm角の試験片を切り出し、耐熱性の評価として、90℃で1,000時間保持後の偏光板の外観を観察した。変形、着色等が起きなかった場合を「○」、変形、着色等が起きた場合を「×」とした。
また、耐湿性の評価として、70℃、相対湿度95%で1,000時間保持後の偏光板の外観を観察した。変形、着色等が起きなかった場合を「○」、変形、着色等が起きた場合を「×」とした。
6.Rthの測定
実施例1〜3及び比較例2で得られた光学フィルムを、位相差測定機(「KOBRA−WR(型番)」:王子計測機器株式会社製)を用いて、波長589.3nmにおける入射角−50〜50°での角度依存の位相差を10°毎に測定し、この結果を用いて、光学フィルムの厚さ方向の位相差Rthを算出した。
メタロセン触媒により合成したポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ(株)製、商品名:ウィンテック、曲げ弾性率;900MPa、融点142℃、以下「mPP−A」と表記する。)を、加工温度200℃・引取りロール温度50℃の条件で、100μmの厚みでTダイ単層押し出し成形することにより、光学フィルムを得た。
当該光学フィルムについて、上記評価方法にて評価した。結果を第1表に示す。また、Rthの測定結果を第2表に示す。
実施例1で用いたmPP−Aに代えて、メタロセン触媒により合成したポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ(株)製、商品名:ウィンテック、曲げ弾性率;1200MPa、融点135℃、以下「mPP−B」と表記する。)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表、及び第2表に示す。
実施例1で用いたmPP−Aに、さらにジ−置換ジベンジリデンソルビトール系核剤マスターバッチ(理研ビタミン(株)製、商品名リケマスター、PN−10R、核剤10質量%品)をmPP−A100質量部に対して、1質量部添加(透明核剤含有量;0.1質量部)して、実施例1と同様の方法で光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表、及び第2表に示す。
実施例1で用いたmPP−Aに代えて、メタロセン触媒により合成したポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ(株)製、商品名:ウィンテック、曲げ弾性率;700MPa、融点125℃、以下「mPP−C」と表記する。)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例1で用いたmPP−Aに代えて、チーグラー系触媒により合成したポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製、商品名:プライムポリプロ、曲げ弾性率;1,100Mpa、融点;135℃、以下「ランダムPP」と表記する。)を用いたこと以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
市販のTACフィルム(「フジタック(商品名)」:富士フィルム株式会社製,厚さ:80μm)のRthを上記の測定方法により測定した。結果を第2表に示す。
また、本発明の光学フィルムは外部からの衝撃や変形に対し抵抗力を有するため、この光学フィルムを偏光子に貼り合わせて用いることで、液晶表示素子としての強度や信頼性を顕著に向上させた偏光板を提供することができる。
さらに、本発明の光学フィルムは、従来汎用されているTACフィルムと比較すると、TACフィルムが親水性であり、防湿性が殆んどないのに対し、本発明の光学フィルムは疎水性であるので、偏光板の耐久性を大幅に向上させることができる。従って、本発明の光学フィルムは、偏光板の少なくとも一面に積層されて液晶セル表面基板と接着される保護膜として好適に使用でき、さらには偏光板の他面側の保護膜に使用することもできる。
2:光学素子
3:偏光子
4:保護膜(光学フィルム)
5:接着剤層
6:液晶セル
7:偏光板
8:位相差板(複屈折層)
9:タッチパネルの偏光板
10:反射防止膜
11:λ/4板
12:偏光子の保護膜[上]
12’:偏光子の保護膜[下]
13:偏光子(PVA)
14:ガラス
15:ITO保護膜
16:偏光子の保護膜[下外]
17:タッチパネルの偏光板
Claims (7)
- 偏光子の少なくとも片面に、メタロセン触媒により合成され、曲げ弾性率が900MPa以上のポリプロピレン系樹脂から構成されてなり、厚さ方向の位相差Rthが20〜60nmの保護膜用光学フィルムを形成してなる偏光板。
- 前記光学フィルムが未延伸フィルムである請求項1に記載の偏光板。
- 前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、0.03〜0.5質量部のジベンジリデンソルビトール系添加物をさらに含有するものである請求項1又は2に記載の偏光板。
- 前記ポリプロピレン系樹脂の融点が130℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
- 前記ポリプロピレン系樹脂がプロピレン単位を80モル%以上含む請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板を用いてなる画像表示装置。
- 偏光子の少なくとも片面に、メタロセン触媒により合成され、曲げ弾性率が900MPa以上のポリプロピレン系樹脂から構成されてなり、厚さ方向の位相差Rthが20〜60nmの保護膜用光学フィルムを形成してなる偏光板の製造方法。
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