JP5240023B2 - 位相差フィルム、偏光板、及び表示装置 - Google Patents
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Description
ポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムは、どの方向から光が入射しても屈折率が変わらない光を常光とし、光の入射方向によって屈折率が変化する光を異常光としたときに、面内に光軸をもち異常光屈折率が常光屈折率よりも大きい位相差フィルムである。ポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムは、例えば、垂直配向(VA)モード型の液晶表示装置において、二枚の偏光板を直交(クロスニコル)配置した際の直交性を斜め視覚において保持する目的で、偏光子と液晶セルとの間に配置され、いわゆる視野角拡大フィルムとして用いられている。また、有機EL表示装置では、適当なポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムを偏光子と透明電極との間に配置することで、透明電極の鏡面を外部から視認させない遮蔽効果を得ることができる。
しかしながら、延伸処理により位相差を発現させる場合、得られる位相差の値はフィルムの厚みに依存することになる。そのため、当然ながら、フィルムの厚みは所望の位相差の値を得るのに必要な厚みよりも薄くすることはできず、偏光板や表示装置の薄型化の障害となり得る。また、延伸工程の制御のぶれによって位相差のばらつきが発生しやすい。さらに、延伸によってフィルムに内部熱収縮応力が蓄積するため、高温環境下や高湿環境下において寸法変化が大きくなりやすいという問題が生じる。
第二の発明は、第一の発明において、前記ロジン類金属塩が、ポリプロピレン100質量部に対して0.03〜1質量部である位相差フィルムである。
第三の発明は、第一の発明又は第二の発明において、延伸処理をおこなっていない位相差フィルムである。
第四の発明は、第一の発明から第三の発明のいずれか1つに係る位相差フィルムが、偏光子の少なくとも片面側に形成されている偏光板である。
第五の発明は、第四の発明に係る偏光板を有する表示装置である。
第六の発明は、偏光板と、前記偏光板の少なくとも片面側に第一の発明から第三の発明のいずれか1つに係る位相差フィルムが配置されている表示装置である。
[位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムは、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンとロジン類金属塩との混合樹脂からなり、ポジティブAプレート特性を有するものである。
本発明の位相差フィルムは、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンとロジン類金属塩とを混合し、加熱溶融させた後、例えば未延伸Tダイ押出し成形法などの各種成形法で成形加工し製造される。
以下に、位相差フィルムとその製造方法について、詳細に説明する。
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンとは、後述するメタロセン触媒を用いて重合反応により合成されたプロピレン重合体である。メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンは、汎用されているチーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリプロピレンと比べて、一般に分子量と結晶性が均一で、低分子量・低結晶性成分が少ないという特長を有する。そのため、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンが用いられた位相差フィルムは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリプロピレンが用いられた位相差フィルムよりも、透明性が高いものになる。そこで、本発明においては、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンが、本発明の位相差フィルムを構成する混合樹脂の必須成分の1つとして用いられる。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
ロジン類金属塩とは、ロジン類と金属化合物との反応生成物である。ロジン類金属塩は、ポジティブAプレート特性となる面内位相差を付与するために、本発明の位相差フィルムを構成する混合樹脂の必須成分の1つとして用いられる。なお、ロジン類金属塩は、一般に結晶核剤としてチーグラー・ナッタ系触媒を用いて重合されたポリプロピレンに添加され得るものである。しかし、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンは、十分に高い透明性を有するので、結晶核剤としてロジン類金属塩を用いる必要性は極めて乏しいといえる。本発明では、ポジティブAプレート特性となる面内位相差を発現させる目的で、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンにロジン類金属塩を混合するものである。
前記のロジン類の中では、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンの精製物及び変性ロジンの精製物からなる群より選ばれる少なくとも一種のロジン類であることが好ましい。
また、ロジン類金属塩が、水素化ロジンの金属塩、不均化ロジンの金属塩及び脱水素化ロジンの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種のロジン類金属塩であることが好ましい。さらに、デヒドロアビエチン酸金属塩、ジヒドロアビエチン酸金属塩及びジヒドロピマル酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種のロジン類金属塩であることがより好ましい。
ロジン類金属塩を微粒子化する方法としては、従来公知の方法が採用できる。例えば、(イ)ロジン類金属塩の固形物を湿式又は乾式にて粉砕処理する方法、(ロ)ロジン類と金属化合物との反応が終了した後、有機溶剤を留去することなく、溶液状態にて水と、必要に応じて界面活性剤及び/又は水溶性高分子とを添加し、次いで乳化分散をおこなった後、水及び有機溶剤を留去する方法、を挙げることができる。このとき、前記(ロ)の方法においては、水及び有機溶剤を留去した後、水洗操作などを行い、ロジン類金属塩から界面活性剤や水溶性高分子を除去してもよい。また、前記(ロ)の方法で用いることができる界面活性剤及び/又は水溶性高分子としては、従来公知のものが用いられ、具体的には、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸−アクリルアミド系共重合体、水溶性セルロース、デンプンなどが挙げられる。
このとき、ロジン類金属塩の配合割合は、ポリプロピレン100質量部に対して0.03〜1質量部とすることが好ましい。ポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムに対して一般的に要求される位相差の範囲に調節することができるからである。
さらに、ロジン類金属塩の配合割合を0.5質量部以下とすることがより好ましい。0.5質量部を超える混合割合では、ロジン類金属塩の分散不良が発生しやすく、位相差のばらつきが発生するおそれがあるからである。
本発明において、所望に応じて各種の添加剤や添加樹脂を、位相差フィルムを構成する混合樹脂の任意成分として添加することができる。
例えば、得られるフィルムの所望物性に応じて、位相差フィルムとして必要な複屈折や透明性を損なわない範囲で、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン以外の各種オレフィン樹脂を添加樹脂として配合することができ、また、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などを添加することができる。
紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明の位相差フィルムは、ポジティブAプレート特性を有するものである。ポジティブAプレート特性とは、どの方向から光が入射しても屈折率が変わらない光を常光とし、光の入射方向によって屈折率が変化する光を異常光としたときに、面内に光軸をもち異常光屈折率が常光屈折率よりも大きい光学的特性をいう。すなわち、面内の主屈折率をnx(遅相軸方向)、ny(進相軸方向)とし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、屈折率分布がnx>ny=nzを満足する正の一軸性光学素子をいう。理想的には、上記の屈折率分布がnx>ny=nzを満足する正の一軸性光学素子は、面内の一方向に光軸を有する。なお、ny=nzとは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、nyとnzとが実質的に同一である場合も包含する。ここで、nyとnzとが実質的に同一である場合とは、例えば、面内の位相差値と、厚み方向の位相差値との差の絶対値が10nm以下であるものを包含する。
面内位相差は、ロジン類金属塩の混合割合を増減することで、所望の値とすることができる。また、ロジン類金属塩の混合に加えて、必要に応じて延伸処理をおこなうことで、面内位相差の値を調節することもできる。
位相差フィルムの曲げ弾性率は、例えば、ポリプロピレン本来の特性(結晶化度、平均分子量等)で選択する方法、樹脂に無機質あるいは有機質の充填剤から選ばれた充填剤を添加する方法、架橋剤などを添加する方法、弾性率の異なる2種類以上の樹脂を混合する方法、硬化性樹脂の可塑剤組成分を選択する方法などを用いて、あるいはこれらの方法を適宜複数組み合わせて用いて、所望の範囲に調整することができる。
位相差フィルムは、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンと、ロジン類金属塩と、所望に応じて各種の添加剤や添加樹脂とを混合し、加熱溶融させた後、押出しコーティング成形法、キャスト法、Tダイ押出し成形法、インフレーション法、射出成形法等の各種成形法で、フィルム形状に成形加工して、製造することができる。
本発明において、延伸処理をおこなう場合は、ロジン類金属塩の添加による面内位相差の発現に加えて、延伸処理により面内位相差の発現が得られるので、ロジン類金属塩の添加量を減らすことができる。
本発明において、延伸処理をおこなわない場合は、延伸に伴う面内位相差のばらつきや内部熱収縮応力が発生せず、高品質の位相差フィルムを安定して製造することが容易となる。また、工数削減によるコスト低減が可能となり、位相差フィルムのコストを下げることができる。
本発明の偏光板は、本発明の位相差フィルムが偏光子保護膜として、偏光子の少なくとも片面側に形成されたものである。偏光板の形成の方法としては、位相差フィルムを先に作製しておき、その後、接着剤層を介して偏光子に貼り合わせてもよいし、偏光子の上に位相差フィルムを直接成形してもよい。本発明の偏光板は、ポジティブAプレート特性が付与された高付加価値の偏光板である。また、本発明の位相差フィルムは、延伸処理のみで所望の位相差の値を得るのに必要な厚みよりも薄くすることができるので、薄型・低コストの偏光板とすることが可能となる。
図1に、本発明の偏光板の構成例を示す。図1において、3は偏光子であり、その片面側に接着剤層2を介して、本発明の位相差フィルムが偏光子保護膜1aとして形成され、全体として偏光板4を構成している。
PVA系偏光子としては、例えばPVA系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらのなかでもPVA系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。このPVA系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。PVA系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜10,000の範囲である。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、PVA系フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01〜0.5質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり0.5〜10質量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は通常、水100質量部あたり2〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり2〜20質量部程度、好ましくは5〜15質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常100〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。
こうして、ヨウ素又は二色性染料が吸着配向されたPVA系フィルムからなる偏光子が得られる。
PVA系樹脂の重合度等は特に限定されないが、接着性などが良好になることから、平均重合度100〜3000程度、好ましくは500〜3000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%程度のものを用いることが好ましい。
偏光子と位相差フィルムとの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。なお、加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレート、紫外線硬化型オキセタン等から選ばれる一種類以上の紫外線硬化樹脂が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、0.1〜100μmが好ましく、特に好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。又はドコート層の間にプライマー処理をすることもできる。
本発明の位相差フィルム及び偏光板は、表示用の各種装置に好ましく使用することができる。本発明の位相差フィルムは、ポジティブAプレート特性を有しかつ偏光子保護膜として用いることができるので、光学補償機能を有した偏光板の偏光子保護膜として形成することができ、その偏光板を用いた表示装置の構成単純化や生産性に寄与する。
また、本発明の位相差フィルムは、偏光子保護膜として用いずに、ポジティブAプレート特性が付与されていない偏光板と組み合わせて表示装置に用いることもできる。
下記に、液晶セルを含む液晶表示装置の例と有機EL表示装置の例を説明する。
本発明の偏光板は、例えば液晶セルなどに積層して使用される。本発明の表示装置の例として、図2及び図3に、液晶セルを含む液晶表示装置の構成例を示す。図2は、本発明のポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムが偏光板の偏光子保護膜を兼ねて用いられている例である。一方で、図3は、本発明のポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムが偏光子保護膜として用いられておらず、液晶表示装置の構成部材として位相差フィルムと偏光子保護フィルムとの両方が用いられている例である。
塗工方法は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等、各種方法が可能であるが、グラビアコートが最も一般的である。
また、粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1μm〜500μmであり、5μm〜200μmが好ましく、特に10μm〜100μmが好ましい。
本発明の偏光板は、有機EL表示装置にも好適に使用し得る。
一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、これらの正孔注入層、発光層、及び電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、一般には位相差板によって楕円偏光となるが、位相差板がλ/4板でしかも偏光板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
[位相差フィルム]
(評価方法)
面内位相差:位相差測定機(王子計測機器(株)製、KOBRA(登録商標)−WR)を用いて、波長R589.5nm、入射角0度の条件で、位相差フィルムの面内位相差を測定した。
引張強度:ASTM D638(Type4条件)に準拠して、位相差フィルムの引張強度を測定した。
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、ウィンテック(登録商標)、融点142℃、曲げ弾性率900MPa、表1で「mPP−A」と記載)に、ロジン類金属塩(荒川化学工業(株)製、パインクリスタル(登録商標)、KM−1500)を、ポリプロピレン100質量部に対してロジン類金属塩0.3質量部になるように混合し、加熱溶融させた。加工温度200℃・引取りロール温度50℃の条件で、フィルム厚み100μmでTダイ単層押し出し成形することにより、位相差フィルムを得た。なお、成形加工後の延伸処理はおこなわなかった。
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、ウィンテック(登録商標)、融点135℃、曲げ弾性率1200MPa、表1で「mPP−B」と記載)を実施例1のポリプロピレンに代えて用いた以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを得た。
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、ウィンテック(登録商標)、融点125℃、曲げ弾性率700MPa、表1で「mPP−C」と記載)を実施例1のポリプロピレンに代えて用いた以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを得た。
ロジン類金属塩をポリプロピレン100質量部に対してロジン金属塩0.02質量部になるように混合した以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを得た。
ロジン類金属塩をポリプロピレン100質量部に対してロジン金属塩0.05質量部になるように混合した以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを得た。
ロジン類金属塩をポリプロピレン100質量部に対してロジン金属塩1.1質量部になるように混合した以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを得た。
ロジン金属塩を混合しなかった以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。
実施例1〜6にて、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンにロジン類金属塩を混合することによって、ロジン類金属塩を混合しなかった比較例1と比べて、フィルムの位相差が向上し、ポジティブAプレート特性が得られた。また、ロジン類金属塩の混合割合を多くすると、面内位相差の値が大きくなった。
また、実施例3で曲げ弾性率700MPaのポリプロピレンを用いた場合は、特にフィルム端部で面内位相差の値のばらつきが見られた。
なお、実施例1〜6及び比較例1で得られた位相差フィルムにおいて、引張強度は20〜35MPaの範囲であり、加工適性に特段の問題はみられなかった。
(評価方法)
耐熱性試験:サンプルを温度90℃・湿度無制御のオーブンに1000時間放置した後、そのサンプルの変形や着色の有無を目視で評価した。評価の基準は、○:変形及び着色は見られない、×:変形又は/及び着色が見られた、とした。
耐湿熱性試験:サンプルを温度90℃・湿度95%HRのオーブンに1,000時間放置した後、そのサンプルの変形や着色の有無を目視で評価した。評価の基準は、○:変形及び黄変は見られない、×:変形又は/及び黄変が見られた、とした。
実施例1で得られた位相差フィルム(幅150mm×長150mm)を、ヨウ素が吸着配向されたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子の両面側に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたPVAを用いて接着することにより、偏光板を得た。
実施例7で得られた偏光板について耐熱性試験及び耐湿熱性試験をおこなった。両試験の評価結果はともに、○:変形及び黄変は見られなかった。
1b:ポジティブAプレート特性を有しない偏光子保護膜
2:接着剤層
3:偏光子
4:偏光板
5:ポジティブAプレート特性を有する位相差板
6:液晶セル
Claims (6)
- メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンとロジン類金属塩との混合樹脂からなり、ポジティブAプレート特性を有することを特徴とする位相差フィルム。
- 前期ロジン類金属塩が、ポリプロピレン100質量部に対して0.03〜1質量部であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
- 延伸処理をおこなっていないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位相差フィルム。
- 偏光子の少なくとも片面側に請求項1〜3のいずれか1つに記載された位相差フィルムが形成されていることを特徴とする偏光板。
- 請求項4に記載された偏光板を有することを特徴とする表示装置。
- 偏光板と、前記偏光板の少なくとも片面側に配置された請求項1〜3のいずれか1つに記載された位相差フィルムとを有することを特徴とする表示装置。
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