JP5240023B2 - 位相差フィルム、偏光板、及び表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、偏光板、及び表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、表示装置で使用される光学部材に関し、より詳しくは、ポジティブAプレート特性を有し、偏光子保護膜として用いることも可能な位相差フィルムに関する。また、本発明は、その位相差フィルムを用いた偏光板及び表示装置に関する。
近年、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置などの表示装置は、テレビジョン、コンピューター、あるいは携帯電話などに幅広く採用されているが、市場の広がりとともに、表示装置の更なる薄型化・低コスト化の要請も強くなされている。
表示装置の一例として、液晶表示装置の構成例を図3に示す。図3において、液晶セル6を有し、この液晶セル6の片面側に位相差板5と偏光板4とが配置されている。偏光板4は、中央に偏光子3を有し、この偏光子3の両面側に接着剤層2を介して偏光子保護膜1bが形成されている。
偏光板は、直交する偏光成分のうち一方を透過させ、他方を遮蔽する機能を有する光学部材である。偏光板は、偏光子の片面側又は両面側に偏光子保護膜が形成されたものが、一般に使用されている。このうち、偏光子は、特定の振動方向をもつ光のみを透過させる機能を有するものであり、ヨウ素や二色性染料などで染色した一軸延伸型のポリビニルアルコール(PVA)系フィルムが広く用いられている。
また、偏光子保護膜は、偏光子を支持して偏光板全体に実用的な強度を付与し、かつ偏光子の表面を物理的に保護するなどの機能を担うものである。そのため、偏光子保護膜には、実用的な強度を有すること、透明性が良好であること、モアレ模様などの光学的な不均一性が低いことなどが求められる。偏光子保護膜の代表例としては、セルロース系フィルムであるトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを挙げることができる。
もっとも、TACフィルムには、防湿性が不十分であり、吸水によってフィルムの寸法が変化したり、透過した水分によって偏光子の性能が低下する問題がある。そのため、耐湿性に優れたポリプロピレンを偏光子保護膜として用いることが提案されている(特許文献1、特許文献2)。特許文献1には、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンを用いた光学フィルムが、ヘーズが小さく透明性に優れる等の特長を有することにより、偏光子保護用に適していることが開示されている。
位相差フィルムは、直交する偏光成分の間に位相差を生じさせる複屈折性を有する光学部材であり、位相差を補償するいわゆる光学補償に用いられている。
ポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムは、どの方向から光が入射しても屈折率が変わらない光を常光とし、光の入射方向によって屈折率が変化する光を異常光としたときに、面内に光軸をもち異常光屈折率が常光屈折率よりも大きい位相差フィルムである。ポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムは、例えば、垂直配向(VA)モード型の液晶表示装置において、二枚の偏光板を直交(クロスニコル)配置した際の直交性を斜め視覚において保持する目的で、偏光子と液晶セルとの間に配置され、いわゆる視野角拡大フィルムとして用いられている。また、有機EL表示装置では、適当なポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムを偏光子と透明電極との間に配置することで、透明電極の鏡面を外部から視認させない遮蔽効果を得ることができる。
偏光子保護膜として広く用いられているTACフィルムでは、トリアセチルセルロース自体にポジティブAプレート特性を付与することは困難である。そのため、偏光子保護膜としてTACフィルムを用いる場合には、偏光子の位相差を補償するために、ポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムを別途採用するか、あるいはTACフィルムの表面にポジティブAプレート特性を有する位相差層を特別に形成することが必要となる。
一方で、特許文献2には、製膜して得られたポリプロピレン系樹脂の原反フィルムを延伸して位相差を発現させ、その位相差フィルムを偏光子に接着することで、偏光板の保護膜に位相差フィルムとしての機能を兼ねさせる構成の複合偏光板が開示されている。
しかしながら、延伸処理により位相差を発現させる場合、得られる位相差の値はフィルムの厚みに依存することになる。そのため、当然ながら、フィルムの厚みは所望の位相差の値を得るのに必要な厚みよりも薄くすることはできず、偏光板や表示装置の薄型化の障害となり得る。また、延伸工程の制御のぶれによって位相差のばらつきが発生しやすい。さらに、延伸によってフィルムに内部熱収縮応力が蓄積するため、高温環境下や高湿環境下において寸法変化が大きくなりやすいという問題が生じる。
特開2008−146023号公報 特開2007−316603号公報
本発明は、前記の事情によりなされたものである。本発明の課題は、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンに延伸以外の手段でポジティブAプレート特性を付与する技術を見出すことで、ポジティブAプレート特性を有し、偏光子保護膜として用いることも可能な位相差フィルムを提供することにある。また、その位相差フィルムを用いることで、偏光板や表示装置の更なる薄型化・低コスト化を可能とすることにある。
第一の発明は、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンとロジン類金属塩との混合樹脂からなり、ポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムである。
第二の発明は、第一の発明において、前記ロジン類金属塩が、ポリプロピレン100質量部に対して0.03〜1質量部である位相差フィルムである。
第三の発明は、第一の発明又は第二の発明において、延伸処理をおこなっていない位相差フィルムである。
第四の発明は、第一の発明から第三の発明のいずれか1つに係る位相差フィルムが、偏光子の少なくとも片面側に形成されている偏光板である。
第五の発明は、第四の発明に係る偏光板を有する表示装置である。
第六の発明は、偏光板と、前記偏光板の少なくとも片面側に第一の発明から第三の発明のいずれか1つに係る位相差フィルムが配置されている表示装置である。
本発明によれば、ポジティブAプレート特性を有し、かつ偏光子保護膜として用いることが可能な位相差フィルムを得ることができる。本発明者らは、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンにロジン類金属塩を混合することで、ポジティブAプレート特性となる面内位相差を発現させられることを見出したものである。このとき、発現する面内位相差の値はロジン類金属塩の混合割合に依存するため、ロジン類金属塩の混合割合を増減することで、所望の面内位相差の値に調節することができる。
さらに、前記の位相差フィルムを用いることで、薄型・低コストの偏光板及び表示装置を得ることができる。
本発明の偏光板の構成例を示す図である。 本発明の液晶表示装置の構成例(ポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムが偏光子保護膜を兼ねている例)を示す図である。 本発明の液晶表示装置の構成例(偏光子保護膜とポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムとを有する例)を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムは、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンとロジン類金属塩との混合樹脂からなり、ポジティブAプレート特性を有するものである。
本発明の位相差フィルムは、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンとロジン類金属塩とを混合し、加熱溶融させた後、例えば未延伸Tダイ押出し成形法などの各種成形法で成形加工し製造される。
以下に、位相差フィルムとその製造方法について、詳細に説明する。
(メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン)
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンとは、後述するメタロセン触媒を用いて重合反応により合成されたプロピレン重合体である。メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンは、汎用されているチーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリプロピレンと比べて、一般に分子量と結晶性が均一で、低分子量・低結晶性成分が少ないという特長を有する。そのため、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンが用いられた位相差フィルムは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリプロピレンが用いられた位相差フィルムよりも、透明性が高いものになる。そこで、本発明においては、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンが、本発明の位相差フィルムを構成する混合樹脂の必須成分の1つとして用いられる。
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンは、プロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体であることが好ましい。α−オレフィンとしては、エチレン、炭素数4〜18の1−オレフィンが用いられ、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。共重合体中のプロピレン単位の割合は、好ましくは80モル%以上であり、コモノマーは20モル%以下である。コモノマーとして、前記のα−オレフィンは1種類に限られず、2種類以上を用いることができ、共重合体をターポリマーのような多元系共重合体とすることもできる。
メタロセン触媒としては、公知のものを適宜用いることができる。一般的には、Zr、Ti、Hf等の4〜6族遷移金属化合物、特に4族遷移金属化合物と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体の基を有する有機遷移金属化合物を使用することができる。
シクロペンタジエニル誘導体の基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等で結合されたものも好適に挙げることができる。
助触媒としては、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、層状ケイ酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を用いることができる。また、必要に応じてこれらの化合物と共に有機アルミニウム化合物を添加することができる。
前記の層状ケイ酸塩とは、イオン結合等によって、構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとるケイ酸塩化合物をいう。本発明では、層状ケイ酸塩は、イオン交換性であることが好ましい。ここでイオン交換性とは、層状ケイ酸塩の層間陽イオンが交換可能なことを意味する。大部分の層状ケイ酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら層状ケイ酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
層状ケイ酸塩の具体例としては、公知の層状ケイ酸塩であれば特に制限はなく、例えば、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族;クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族;モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、テニオライト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族;バーミキュライト等のバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族;アタパルジャイト;セピオライト;パリゴルスカイト;ベントナイト;パイロフィライト;タルク;緑泥石群が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
これらの層状ケイ酸塩は化学処理を施すことができる。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。これらの処理には、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させるなどの作用があり、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
前記メタロセン触媒を用いてポリプロピレンを合成する方法(重合方法)としては、これらの触媒の存在下、不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法、溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンは、融点(Tm)が130℃以上であることが好ましい。
(ロジン類金属塩)
ロジン類金属塩とは、ロジン類と金属化合物との反応生成物である。ロジン類金属塩は、ポジティブAプレート特性となる面内位相差を付与するために、本発明の位相差フィルムを構成する混合樹脂の必須成分の1つとして用いられる。なお、ロジン類金属塩は、一般に結晶核剤としてチーグラー・ナッタ系触媒を用いて重合されたポリプロピレンに添加され得るものである。しかし、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンは、十分に高い透明性を有するので、結晶核剤としてロジン類金属塩を用いる必要性は極めて乏しいといえる。本発明では、ポジティブAプレート特性となる面内位相差を発現させる目的で、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンにロジン類金属塩を混合するものである。
ロジン類としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジン;前記天然ロジンの精製物、変性ロジンの精製物などを例示できる。ここで、ロジン類は、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などから選ばれる樹脂酸を単数又は複数含む。なお、前記のα, β-エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンの調製に用いられる不飽和カルボン酸としては、たとえばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。
前記のロジン類の中では、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンの精製物及び変性ロジンの精製物からなる群より選ばれる少なくとも一種のロジン類であることが好ましい。
ロジン類と反応して金属塩を形成する金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウムなどの金属元素を有し、かつ前記のロジン類と造塩する化合物が挙げられる。具体的には、前記の金属元素の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
ロジン類金属塩は、前記ロジン類のナトリウム塩、前記ロジン類のカリウム塩及び前記ロジン類のマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種のロジン類金属塩であることが好ましい。
また、ロジン類金属塩が、水素化ロジンの金属塩、不均化ロジンの金属塩及び脱水素化ロジンの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種のロジン類金属塩であることが好ましい。さらに、デヒドロアビエチン酸金属塩、ジヒドロアビエチン酸金属塩及びジヒドロピマル酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種のロジン類金属塩であることがより好ましい。
ロジン類金属塩は、微粒子化して用いることが好ましい。ロジン類金属塩を微粒子化することによりロジン類金属塩のポリプロピレンへの分散性が向上するので、ロジン類金属塩をポリプロピレンに均一に分散させることができるからである。
ロジン類金属塩を微粒子化する方法としては、従来公知の方法が採用できる。例えば、(イ)ロジン類金属塩の固形物を湿式又は乾式にて粉砕処理する方法、(ロ)ロジン類と金属化合物との反応が終了した後、有機溶剤を留去することなく、溶液状態にて水と、必要に応じて界面活性剤及び/又は水溶性高分子とを添加し、次いで乳化分散をおこなった後、水及び有機溶剤を留去する方法、を挙げることができる。このとき、前記(ロ)の方法においては、水及び有機溶剤を留去した後、水洗操作などを行い、ロジン類金属塩から界面活性剤や水溶性高分子を除去してもよい。また、前記(ロ)の方法で用いることができる界面活性剤及び/又は水溶性高分子としては、従来公知のものが用いられ、具体的には、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸−アクリルアミド系共重合体、水溶性セルロース、デンプンなどが挙げられる。
ロジン類金属塩のポリプロピレンに対する配合割合は、所望の面内位相差の値に応じて、適宜選択することができる。配合割合を増やすと得られる面内位相差の値が大きくなる。
このとき、ロジン類金属塩の配合割合は、ポリプロピレン100質量部に対して0.03〜1質量部とすることが好ましい。ポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムに対して一般的に要求される位相差の範囲に調節することができるからである。
さらに、ロジン類金属塩の配合割合を0.5質量部以下とすることがより好ましい。0.5質量部を超える混合割合では、ロジン類金属塩の分散不良が発生しやすく、位相差のばらつきが発生するおそれがあるからである。
(その他の成分)
本発明において、所望に応じて各種の添加剤や添加樹脂を、位相差フィルムを構成する混合樹脂の任意成分として添加することができる。
例えば、得られるフィルムの所望物性に応じて、位相差フィルムとして必要な複屈折や透明性を損なわない範囲で、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン以外の各種オレフィン樹脂を添加樹脂として配合することができ、また、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などを添加することができる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。
紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は通常、位相差フィルムの膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
(位相差フィルム)
本発明の位相差フィルムは、ポジティブAプレート特性を有するものである。ポジティブAプレート特性とは、どの方向から光が入射しても屈折率が変わらない光を常光とし、光の入射方向によって屈折率が変化する光を異常光としたときに、面内に光軸をもち異常光屈折率が常光屈折率よりも大きい光学的特性をいう。すなわち、面内の主屈折率をnx(遅相軸方向)、ny(進相軸方向)とし、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、屈折率分布がnx>ny=nzを満足する正の一軸性光学素子をいう。理想的には、上記の屈折率分布がnx>ny=nzを満足する正の一軸性光学素子は、面内の一方向に光軸を有する。なお、ny=nzとは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、nyとnzとが実質的に同一である場合も包含する。ここで、nyとnzとが実質的に同一である場合とは、例えば、面内の位相差値と、厚み方向の位相差値との差の絶対値が10nm以下であるものを包含する。
VAモード・IPSモード型の液晶表示装置や有機EL表示装置などに用いられる場合に、ポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムに対して一般的に要求される位相差の範囲は、波長R589.5nm及び入射角0度の条件で、20〜600nmである。好ましくは20nm〜300nmであり、波長R589.5nmにおいて上記の位相差範囲とすることにより、各表示装置での光学素子の持つ機能が相乗効果的に発揮される。特に液晶表示装置のVAモード型では斜め方向のコントラスト比を高め、斜め方向のカラーシフト量を小さくすることができる。
面内位相差は、ロジン類金属塩の混合割合を増減することで、所望の値とすることができる。また、ロジン類金属塩の混合に加えて、必要に応じて延伸処理をおこなうことで、面内位相差の値を調節することもできる。
位相差フィルムの厚さは、10〜200μmの範囲が好ましく、30〜150μmがより好ましい。厚さが10μm以上であると、位相差フィルムの強度を確保することができる。厚さが200μm以下であると、十分な可とう性が得られ、軽量であることからハンドリングが容易であり、かつコスト的にも有利である。
位相差フィルムは、曲げ弾性率が700MPa以上であることが好ましい。フィルム状態で取り扱う際の十分な剛性が得られ、後加工を容易に行うことができるからである。さらには、位相差フィルムの曲げ弾性率は、900MPa以上であることがより好ましい。Tダイ押出し成形で製造した場合に、面内位相差を安定させることができるからである。
位相差フィルムの曲げ弾性率は、例えば、ポリプロピレン本来の特性(結晶化度、平均分子量等)で選択する方法、樹脂に無機質あるいは有機質の充填剤から選ばれた充填剤を添加する方法、架橋剤などを添加する方法、弾性率の異なる2種類以上の樹脂を混合する方法、硬化性樹脂の可塑剤組成分を選択する方法などを用いて、あるいはこれらの方法を適宜複数組み合わせて用いて、所望の範囲に調整することができる。
位相差フィルムは、引張強度が20MPa以上であることが好ましい。20MPa以上であると、位相差フィルムを偏光子に接着剤層を介してロール・ツウ・ロール方式で貼り合わせる場合に、配向がかからず、位相差のばらつきが発生しにくいので、ポジティブAプレート特性が付与された偏光板の性能を良好なものにできる。
位相差フィルムには、偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、及びこれらを併用する方法が好ましい。
また、位相差フィルムと偏光子との密着性を上げるために接着剤層を形成する場合は、位相差フィルムか偏光子のいずれかの側又は両側に接着剤を塗布することによりおこなうことができる。接着剤層の厚みは、乾燥後の厚みで厚くなりすぎると位相差フィルムの接着性の点で好ましくないことから、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
易接着処理を行った面もしくは接着剤層を形成した面を介して、位相差フィルムと偏光子とを貼り合せた後に、乾燥工程を施すことで、貼り合わせをおこなう。接着剤層を形成した後にこれを貼り合わせることもできる。偏光子と位相差フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。乾燥温度・乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
また、位相差フィルムの表面には、機能層を積層して、各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
(位相差フィルムの製造方法)
位相差フィルムは、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンと、ロジン類金属塩と、所望に応じて各種の添加剤や添加樹脂とを混合し、加熱溶融させた後、押出しコーティング成形法、キャスト法、Tダイ押出し成形法、インフレーション法、射出成形法等の各種成形法で、フィルム形状に成形加工して、製造することができる。
本発明における延伸処理とは、前記の成形法によりフィルム形状に成形加工した後に、得られたフィルムを一定方向に引き揃える加工をいう。延伸処理により、フィルムにポジティブAプレート特性を有する位相差を付与することができる。
本発明において、延伸処理をおこなう場合は、ロジン類金属塩の添加による面内位相差の発現に加えて、延伸処理により面内位相差の発現が得られるので、ロジン類金属塩の添加量を減らすことができる。
本発明において、延伸処理をおこなわない場合は、延伸に伴う面内位相差のばらつきや内部熱収縮応力が発生せず、高品質の位相差フィルムを安定して製造することが容易となる。また、工数削減によるコスト低減が可能となり、位相差フィルムのコストを下げることができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、本発明の位相差フィルムが偏光子保護膜として、偏光子の少なくとも片面側に形成されたものである。偏光板の形成の方法としては、位相差フィルムを先に作製しておき、その後、接着剤層を介して偏光子に貼り合わせてもよいし、偏光子の上に位相差フィルムを直接成形してもよい。本発明の偏光板は、ポジティブAプレート特性が付与された高付加価値の偏光板である。また、本発明の位相差フィルムは、延伸処理のみで所望の位相差の値を得るのに必要な厚みよりも薄くすることができるので、薄型・低コストの偏光板とすることが可能となる。
図1に、本発明の偏光板の構成例を示す。図1において、3は偏光子であり、その片面側に接着剤層2を介して、本発明の位相差フィルムが偏光子保護膜1aとして形成され、全体として偏光板4を構成している。
偏光板で用いる偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であれば如何なるものでもよく、例えばPVA系フィルム等を延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したPVA系偏光子;PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系偏光子;コレステリック液晶を用いた反射型偏光子;薄膜結晶フィルム系偏光子等が挙げられ、その中でもPVA系偏光子が好ましく用いられる。
PVA系偏光子としては、例えばPVA系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらのなかでもPVA系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
偏光子を構成する樹脂として好適に用いられるPVA系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。このPVA系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。PVA系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜10,000の範囲である。
偏光板は、例えば、上述のようなPVA系フィルムを一軸延伸する工程、PVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸PVA系フィルムに位相差フィルムを貼り付ける工程を経て、製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、二色性色素による染色と同時に行ってもよいし、また、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色後に行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤により膨潤した状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
PVA系フィルムを二色性色素で染色するには、例えば、PVA系フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として、具体的にはヨウ素又は二色性染料が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、PVA系フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01〜0.5質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり0.5〜10質量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、PVA系フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は通常、水100質量部あたり1×10-3〜1×10-2質量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含有していてもよい。この水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は通常、水100質量部あたり2〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり2〜20質量部程度、好ましくは5〜15質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常100〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。
ホウ酸処理後のPVA系フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたPVA系フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。その後に行われる乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥温度は、通常40〜100℃である。乾燥処理における処理時間は、通常120〜600秒程度である。
こうして、ヨウ素又は二色性染料が吸着配向されたPVA系フィルムからなる偏光子が得られる。
偏光子と位相差フィルムとの貼り合せの方法としては、接着剤層を介して行うことができる。接着剤層を形成する接着剤としては、PVA系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、不飽和カルボン酸又はその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは前記グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィン系接着剤などが挙げられる。その他、透明性を有する接着剤、例えば、ポリビニルエーテル系、ゴム系等の接着剤を使用することができる。なかでも、PVA系接着剤が好ましい。
PVA系接着剤は、PVA系樹脂と架橋剤を含有するものであり、PVA系樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニルをケン化して得られたPVA及びその誘導体、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物、PVAをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化又はリン酸エステル化等した変性PVAなどが挙げられる。これらPVA系樹脂は一種を単独で又は二種以上を併用することができる。酢酸ビニルと共重合性を有する単量体としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
PVA系樹脂の重合度等は特に限定されないが、接着性などが良好になることから、平均重合度100〜3000程度、好ましくは500〜3000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%程度のものを用いることが好ましい。
エポキシ系接着剤としては、水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などがある。エポキシ樹脂には、さらにオキタセン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
アクリル系接着剤としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルと、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα−モノオレフィンカルボン酸との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む)を主体とするものが、偏光子の偏光特性を阻害することがないので特に好ましい。
また、不飽和カルボン酸又はその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは前記グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィンを接着剤として使用することもできる。グラフトに用いられるポリオレフィンとしては、たとえば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、チーグラー系触媒又はメタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレンープロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、これらの混合物などである。ポリオレフィンのグラフトに用いる不飽和カルボン酸又はその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などを挙げることができる。こうして得た変性ポリオレフィンはそのまま用いてもよいが、ポリオレフィンに配合して用いることもできる。
前記偏光子や前記接着剤層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能を付与してもよい。
前記接着剤層は、位相差フィルム又は偏光子のいずれかの側又は両側に、接着剤を塗布することにより形成する。接着剤層の厚みは、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
また、位相差フィルムを偏光子と接着させるに際し、位相差フィルムの偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、及びこれらを併用する方法が好ましい。
次いで、前記のようにして易接着処理を行った面に接着剤層を形成し、前記接着剤層を介して、偏光子と位相差フィルムとを貼り合せる。
偏光子と位相差フィルムとの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。なお、加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
本発明の位相差フィルムが偏光子の一方の面に形成された偏光板には、必要に応じて偏光子の他方の面に、本発明の位相差フィルムを形成することもできるし、その他の樹脂からなるフィルムを形成することもできる。その他の樹脂からなるフィルムとしては、例えばフマル酸ジエステル系樹脂、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリナフタレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、マレイミド系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム等が挙げられる。前記その他の樹脂からなるフィルムは特定の位相差を持つ位相差フィルムであっても良い。
偏光板は、表面性、耐傷付き性を向上させる為に、少なくとも一層以上のハードコート層を有する積層体とすることが好ましい。前記ハードコート層としては、例えばシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、紫外線硬化型樹脂、ウレタン系ハードコート剤等よりなるハードコート層が挙げられ、その中でも透明性、耐傷付き性、耐薬品性の点から、紫外線硬化型樹脂よりなるハードコート層が好ましい。これらのハードコート層は、一種類以上で用いることができる。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレート、紫外線硬化型オキセタン等から選ばれる一種類以上の紫外線硬化樹脂が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、0.1〜100μmが好ましく、特に好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。又はドコート層の間にプライマー処理をすることもできる。
また、偏光板は、必要に応じて、反射防止や低反射処理などの公知の防眩処理を行うことができる。
[表示装置]
本発明の位相差フィルム及び偏光板は、表示用の各種装置に好ましく使用することができる。本発明の位相差フィルムは、ポジティブAプレート特性を有しかつ偏光子保護膜として用いることができるので、光学補償機能を有した偏光板の偏光子保護膜として形成することができ、その偏光板を用いた表示装置の構成単純化や生産性に寄与する。
また、本発明の位相差フィルムは、偏光子保護膜として用いずに、ポジティブAプレート特性が付与されていない偏光板と組み合わせて表示装置に用いることもできる。
表示装置としては、偏光板を使用しかつポジティブAプレート特性を必要とするものであれば、表示装置の種類の限定はない。画像表示装置としては、液晶セルを含む液晶ディスプレイ、有機EL表示装置、タッチパネル等が挙げられる。また、液晶ディスプレイの場合、画像表示装置は、一般に、液晶セル、光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては、上記した偏光板を使用しかつポジティブAプレート特性を必要とする点を除いて、画像表示装置の構成には特に限定はない。例えば、液晶セルの片側又は両側に偏光板を配置した画像表示装置や、照明システムとしてバックライト又は反射板を用いたものなどの適宜な画像表示装置が例示される。また、液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。なお、画像表示装置を構成するに際しては、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
下記に、液晶セルを含む液晶表示装置の例と有機EL表示装置の例を説明する。
(液晶セルを含む液晶表示装置)
本発明の偏光板は、例えば液晶セルなどに積層して使用される。本発明の表示装置の例として、図2及び図3に、液晶セルを含む液晶表示装置の構成例を示す。図2は、本発明のポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムが偏光板の偏光子保護膜を兼ねて用いられている例である。一方で、図3は、本発明のポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムが偏光子保護膜として用いられておらず、液晶表示装置の構成部材として位相差フィルムと偏光子保護フィルムとの両方が用いられている例である。
図2において、6は液晶セルを示す。この液晶セル6は、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型等や、ツイストネマチック型、スーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型などのものが例示される。この液晶セル6の上に、粘着剤層(図示せず)を介して、偏光板4が積層されたものである。偏光板4は、中心に偏光子2を有し、偏光子2の液晶セルと偏光板とが配置された面側に、接着剤層3を介して、本発明の位相差フィルムからなるポジティブAプレート特性を有する偏光子保護膜1aが積層され、また、偏光子2の他方の面側にポジティブAプレート特性を有しない偏光子保護膜1bが積層されている。偏光板4と液晶セル6の積層に際しては、予め偏光板4及び/又は液晶セル6に粘着剤層を設けておくこともできる。なお、ポジティブAプレート特性以外の光学補償機能を必要とする場合は、必要な光学補償機能を有する光学フィルムを表示装置の構成部材として適宜採用することができる。
図3において、液晶セル6を有する。液晶セルには前記で例示されたものを用いることができる。この液晶セル6の上に、粘着剤層(図示せず)を介して、本発明のポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムからなる位相差板5が積層され、この上に、粘着剤層(図示せず)を介して、偏光板4が積層されたものである。偏光板4は、中心に偏光子3を有し、その両側の表面に、接着剤層2を介して、ポジティブAプレート特性を有しない偏光子保護膜1bが積層されている。偏光板4と位相差板5、位相差板5と液晶セル6の積層に際しては、予め偏光板4、位相差板5及び液晶セル6に粘着剤層を設けておくこともできる。なお、ポジティブAプレート特性を有しない偏光子保護膜としては、TACフィルムや、ロジン類金属塩が混合されていないメタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンフィルムなどを用いることができる。また、ポジティブAプレート特性以外の光学補償機能を必要とする場合は、必要な光学補償機能を有する光学フィルムを表示装置の構成部材として適宜採用することができる。
偏光板と液晶セルを積層する粘着剤としては特に限定されず、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。なかでも、アクリル系粘着剤が、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れているので好ましい。
前記粘着剤には、光学的透明性、適度な濡れ性、凝集性、接着性などの粘着特性、耐候性、耐熱性などに優れることが求められる。さらに吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層が求められる。
粘着剤には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層であってもよい。粘着剤層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能を付与してもよい。
偏光板への前記粘着剤の塗工は、特に限定されず、適宜な方法で行うことができる。例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒に、ベースポリマー又はその組成物を溶解又は分散させた10〜40質量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上に直接塗工する方法、或いはこの方法に準じ離型性ベースフィルム上に粘着剤層を形成してそれを偏光板に移着する方法などが挙げられる。
塗工方法は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等、各種方法が可能であるが、グラビアコートが最も一般的である。
粘着剤層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板の片面側又は両面側に設けることもできる。また、両面側に設ける場合、偏光板の表裏において、粘着剤が同一組成である必要はなく、また同一の厚さである必要もない。異なる組成、異なる厚さの粘着剤層とすることもできる。
また、粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1μm〜500μmであり、5μm〜200μmが好ましく、特に10μm〜100μmが好ましい。
粘着剤層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に離型性フィルムが仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層に接触することを防止できる。離型性フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来公知なものを用いることができる。
(有機EL表示装置)
本発明の偏光板は、有機EL表示装置にも好適に使用し得る。
一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、これらの正孔注入層、発光層、及び電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設け且つ前記透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることがなされている。
偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。そして、 位相差板をλ/4板で構成し、かつ偏光板と前記複屈折層との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、一般には位相差板によって楕円偏光となるが、位相差板がλ/4板でしかも偏光板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
本発明の位相差フィルムは、上記の金属電極の鏡面を遮蔽する目的で、上記の位相差板として用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、本発明は、この例によって何ら限定されるものではない。
[位相差フィルム]
(評価方法)
面内位相差:位相差測定機(王子計測機器(株)製、KOBRA(登録商標)−WR)を用いて、波長R589.5nm、入射角0度の条件で、位相差フィルムの面内位相差を測定した。
引張強度:ASTM D638(Type4条件)に準拠して、位相差フィルムの引張強度を測定した。
(実施例1)
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、ウィンテック(登録商標)、融点142℃、曲げ弾性率900MPa、表1で「mPP−A」と記載)に、ロジン類金属塩(荒川化学工業(株)製、パインクリスタル(登録商標)、KM−1500)を、ポリプロピレン100質量部に対してロジン類金属塩0.3質量部になるように混合し、加熱溶融させた。加工温度200℃・引取りロール温度50℃の条件で、フィルム厚み100μmでTダイ単層押し出し成形することにより、位相差フィルムを得た。なお、成形加工後の延伸処理はおこなわなかった。
(実施例2)
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、ウィンテック(登録商標)、融点135℃、曲げ弾性率1200MPa、表1で「mPP−B」と記載)を実施例1のポリプロピレンに代えて用いた以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを得た。
(実施例3)
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、ウィンテック(登録商標)、融点125℃、曲げ弾性率700MPa、表1で「mPP−C」と記載)を実施例1のポリプロピレンに代えて用いた以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを得た。
(実施例4)
ロジン類金属塩をポリプロピレン100質量部に対してロジン金属塩0.02質量部になるように混合した以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを得た。
(実施例5)
ロジン類金属塩をポリプロピレン100質量部に対してロジン金属塩0.05質量部になるように混合した以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを得た。
(実施例6)
ロジン類金属塩をポリプロピレン100質量部に対してロジン金属塩1.1質量部になるように混合した以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルムを得た。
(比較例1)
ロジン金属塩を混合しなかった以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。
表1に、実施例1〜6及び比較例1で得られた位相差フィルムの評価結果を示した。
実施例1〜6にて、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンにロジン類金属塩を混合することによって、ロジン類金属塩を混合しなかった比較例1と比べて、フィルムの位相差が向上し、ポジティブAプレート特性が得られた。また、ロジン類金属塩の混合割合を多くすると、面内位相差の値が大きくなった。
ただし、実施例4でロジン類金属塩の混合割合を0.02質量部とした場合は、面内位相差の値がポジティブAプレート特性を有する位相差フィルムとして一般に用いられている面内位相差の範囲20〜600nmよりも小さい。また、実施例6でロジン類金属塩の混合割合を1.1質量部とした場合は、面内位相差が前記範囲よりも大きくなることがある。そのため、ポリプロピレン100重量部に対するロジン金属塩の混合割合は、0.03〜1.0質量部の範囲とすることが好ましい。また、実施例6でロジン類金属塩の混合割合を1.1質量部とした場合は、ロジン類金属塩の分散不良起因と推定される面内位相差の値のばらつきが見られた。
また、実施例3で曲げ弾性率700MPaのポリプロピレンを用いた場合は、特にフィルム端部で面内位相差の値のばらつきが見られた。
なお、実施例1〜6及び比較例1で得られた位相差フィルムにおいて、引張強度は20〜35MPaの範囲であり、加工適性に特段の問題はみられなかった。
Figure 0005240023
[偏光板]
(評価方法)
耐熱性試験:サンプルを温度90℃・湿度無制御のオーブンに1000時間放置した後、そのサンプルの変形や着色の有無を目視で評価した。評価の基準は、○:変形及び着色は見られない、×:変形又は/及び着色が見られた、とした。
耐湿熱性試験:サンプルを温度90℃・湿度95%HRのオーブンに1,000時間放置した後、そのサンプルの変形や着色の有無を目視で評価した。評価の基準は、○:変形及び黄変は見られない、×:変形又は/及び黄変が見られた、とした。
(実施例7)
実施例1で得られた位相差フィルム(幅150mm×長150mm)を、ヨウ素が吸着配向されたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子の両面側に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたPVAを用いて接着することにより、偏光板を得た。
実施例7で得られた偏光板について耐熱性試験及び耐湿熱性試験をおこなった。両試験の評価結果はともに、○:変形及び黄変は見られなかった。
1a:ポジティブAプレート特性を有する偏光子保護膜
1b:ポジティブAプレート特性を有しない偏光子保護膜
2:接着剤層
3:偏光子
4:偏光板
5:ポジティブAプレート特性を有する位相差板
6:液晶セル

Claims (6)

  1. メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンとロジン類金属塩との混合樹脂からなり、ポジティブAプレート特性を有することを特徴とする位相差フィルム。
  2. 前期ロジン類金属塩が、ポリプロピレン100質量部に対して0.03〜1質量部であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 延伸処理をおこなっていないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位相差フィルム。
  4. 偏光子の少なくとも片面側に請求項1〜3のいずれか1つに記載された位相差フィルムが形成されていることを特徴とする偏光板。
  5. 請求項4に記載された偏光板を有することを特徴とする表示装置。
  6. 偏光板と、前記偏光板の少なくとも片面側に配置された請求項1〜3のいずれか1つに記載された位相差フィルムとを有することを特徴とする表示装置。
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