JP5487623B2 - 偏光子保護用光学フィルムの製造方法、偏光板、並びに表示装置 - Google Patents

偏光子保護用光学フィルムの製造方法、偏光板、並びに表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、偏光子保護用光学フィルムの製造方法に関する。また、本発明は、偏光板及び表示装置に関する。
偏光板は、特定の振動方向をもつ光のみを透過させ、その他の光を遮蔽する機能を有する光学部材である。偏光板は、例えば、液晶セルを含む液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、あるいはタッチパネル等の表示装置に広く使用されている。このような偏光板としては、偏光子の片面又は両面に偏光子保護用の光学フィルムが貼付された構成を有するものが一般に使用されている。このうち偏光子は、特定の振動方向をもつ光のみを透過させる機能を有するものである。
偏光子保護用光学フィルムは、偏光子を支持して偏光板全体に実用的な強度を付与し、かつ偏光子の表面を保護するなどの機能を担うものである。そのため、偏光子保護用光学フィルムには、適度な物理的強度を有しており、透明性やヘーズが良好であり、面内位相差が小さい等の光学的な均一性に優れていることが求められる。さらに、偏光子保護用光学フィルムは、吸水してフィルムの寸法が変化することや透過した水分により偏光子の性能が低下することを防ぐために、耐湿性を備えることが望ましい。耐湿性を備えた偏光子保護用光学フィルムとして、ポリプロピレンからなる偏光子保護用光学フィルムが提案されている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、ポリプロピレンには、ブロッキングし易いという課題がある。すなわち、偏光子保護用光学フィルムの製造では、生産性向上の観点より、成形加工したフィルムを巻き取ってロールにすることが好ましい。ところが、巻取ロールにしたときに、重なったフィルムどうしがくっついてしまう現象(いわゆるブロッキング)が発生してしまうことがある。ブロッキングが発生すると、ロールからフィルムを滑らかに繰り出すことができなくなり、次工程において、フィルムにシワが発生したり、フィルムが蛇行したりする要因となる。また、ひどいブロッキングの場合は、ブロッキングした所にムラができて透明性やヘーズや光学的均一性を損なう結果となる。一般に、ポリプロピレンは、他の樹脂と比較してこのブロッキングに対する耐性が劣る傾向にある。
特開2008−146023号公報 特開2007−334295号公報
本発明は、かかる事情によりなされたものであり、本発明の課題は、ポリプロピレンからなる偏光子保護用光学フィルムのブロッキング耐性を向上させることにある。
第1の発明は、溶融させたポリプロピレンをフィルム状に成形する第1工程と、前記第1工程で成形されたポリプロピレンフィルムを、表面が鏡面仕上げされた金属ロールと、表面が鏡面仕上げされた金属層弾性体層上に有し表面温度が30℃を超え70℃以下の積層構造ロールとの間で挟圧力の範囲が2.5〜10N/mmで挟圧して、上記ポリプロピレンフィルムの積層構造ロールに接した側の表面のみ幅が10nm以上1μm以下、深さが100nm以上900nm以下であり、形状が不規則であるか、網状であるか、又は網状であって不規則であるかのいずれかであって、本数が1本又は2本以上の溝を形成する第2工程と、を有する偏光子保護用光学フィルムの製造方法である。
第2の発明は、第1の発明に係る偏光子保護用光学フィルムの製造方法により製造された偏光子保護用光学フィルムが偏光子の少なくとも片側に貼付されている偏光板である。
第3の発明は、第2の発明に係る偏光板が使用されている表示装置である。

発明の偏光子保護用光学フィルムの製造方法によれば、ポリプロピレンを用いた偏光子保護用光学フィルムに良好なブロッキング耐性を簡易に付与することができる。
さらに、上記の良好なブロッキング耐性を備えた偏光子保護用光学フィルムを用いることで、高品質の偏光板及び表示装置を得ることができる。
本発明に係わる偏光子保護用光学フィルムの一例の表面(実施例1で作製された偏光子保護用光学フィルムの積層構造ロール側表面)の顕微鏡写真である。 本発明の偏光板の構成例を示す図である。 本発明に係わる液晶セルを含む液晶ディスプレイの構成例を示す図である。 実施例1で作製された偏光子保護用光学フィルムの積層構造ロール側表面の顕微鏡写真である。 実施例1で作製された偏光子保護用光学フィルムの金属ロール側表面の顕微鏡写真である。
[偏光子保護用光学フィルム]
本発明に係わる偏光子保護用光学フィルムは、ポリプロピレンが用いられており、少なくとも片側の表面に溝が形成されているものである。図1は、本発明に係わる偏光子保護用光学フィルムの一例の表面の顕微鏡写真である。
以下に、偏光子保護用光学フィルム及びその製造方法について、詳細に説明する。
(ポリプロピレン)
本発明を構成するポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体、又はプロピレンと1種または2種以上のコモノマーとの共重合体である。ポリプロピレンの製造に用いる重合方法としては、不活性溶剤を用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、及び気体のモノマー中でおこなう気相重合法などが挙げられ、好ましくは塊状重合法又は気相重合法である。これらの重合法は、バッチ式であってもよく、連続式であってもよい。ポリプロピレンの製造に用いられる重合用触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒などが挙げられ、メタロセン触媒を用いることが好ましい。
チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリプロピレンは、後述するチーグラー・ナッタ触媒を用いて重合反応により合成されたプロピレン系重合体である。
チーグラー・ナッタ触媒を用いてプロピレンに共重合されるコモノマーとしては、例えば、エチレン又は/及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンが用いられる。共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよいが、面内位相差が小さいなど光学特性の観点から、ランダム共重合体が好ましい。具体例として、プロピレン−エチレンのランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンのランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンのランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンのランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセンのランダム共重合体が挙げられる。
チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリプロピレンにおいて、コモノマー由来の構成単位の含量は、透明性と耐熱性のバランスの観点から、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。なお、2種類以上のコモノマーとプロピレンとの共重合体である場合には、共重合体に含まれる全てのコモノマー由来の構成単位の合計の含量が、上記範囲であることが好ましい。なお、共重合体におけるコモノマー由来の構成単位の含量は、赤外線(IR)吸収スペクトルの測定により求めることができる。
チーグラー・ナッタ触媒としては、例えば、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒;マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第3成分とを組み合わせた触媒系などが挙げられる。
マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報等に記載された触媒系が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、好ましくはトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物およびテトラエチルジアルモキサンが挙げられる。
電子供与性化合物としては、好ましくはシクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランが挙げられる。
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンは、後述するメタロセン触媒を用いて重合反応により合成されたプロピレン系重合体である。メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンは、上述したチーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリプロピレンと比べて、一般に分子量と結晶性が均一で、低分子量・低結晶性成分が少ないという特長を有する。そのため、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンが用いられた偏光子保護用光学フィルムは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリプロピレンが用いられた偏光子保護用光学フィルムよりも、透明性やヘーズが良好で光学的均一性に優れたものになる。
メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレンは、プロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体であることが好ましい。α−オレフィンとしては、エチレン、炭素数4〜18の1−オレフィンが用いられ、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。共重合体中のプロピレン単位の割合は、好ましくは80モル%以上であり、コモノマーは20モル%以下である。コモノマーとして、前記のα−オレフィンは1種類に限られず、2種類以上を用いることができ、共重合体をターポリマーのような多元系共重合体とすることもできる。
メタロセン触媒としては、公知のものを適宜用いることができる。一般的には、Zr、Ti、Hf等の4〜6族遷移金属化合物、特に4族遷移金属化合物と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体の基を有する有機遷移金属化合物を使用することができる。
シクロペンタジエニル誘導体の基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等で結合されたものも好適に挙げることができる。
助触媒としては、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、層状ケイ酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を用いることができる。また、必要に応じてこれらの化合物と共に有機アルミニウム化合物を添加することができる。
前記の層状ケイ酸塩とは、イオン結合等によって、構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとるケイ酸塩化合物をいう。本発明では、層状ケイ酸塩は、イオン交換性であることが好ましい。ここでイオン交換性とは、層状ケイ酸塩の層間陽イオンが交換可能なことを意味する。大部分の層状ケイ酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら層状ケイ酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
層状ケイ酸塩の具体例としては、公知の層状ケイ酸塩であれば特に制限はなく、例えば、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族;クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族;モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、テニオライト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族;バーミキュライト等のバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族;アタパルジャイト;セピオライト;パリゴルスカイト;ベントナイト;パイロフィライト;タルク;緑泥石群が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
これらの層状ケイ酸塩は化学処理を施すことができる。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。これらの処理には、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させるなどの作用があり、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
ポリプロピレンは、融点が130℃以上であることが好ましい。融点が130℃以上であれば、光学フィルムの耐熱性が向上し、偏光板の耐熱用途への使用が可能となるからである。
ポリプロピレンとして、2種以上のプロピレン系重合体を混合して用いることができる。その場合は、重合用触媒の種類、コモノマーの種類、プロピレン由来の構成単位の割合、分子量などが異なるプロピレン系重合体を混合してもよい。
(その他の成分)
本発明において、偏光子保護用光学フィルムを構成するポリプロピレンには、偏光子保護用フィルムとして必要な特性を保持できる範囲であれば、所望に応じて各種の添加樹脂や添加剤を任意成分として添加することができる。添加樹脂としては、ポリプロピレン以外のオレフィン樹脂などが挙げられる。添加剤としては、例えば、透明核剤、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、アンチブロッキング剤、滑剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、などが挙げられる。
透明核剤としては、引張強度を向上させかつ透明性を向上させるために、例えば、ソルビトール系添加物を用いることができる。ソルビトール系添加物としては、ブリードの少ないジベンジリデンソルビトール系添加物が好ましい。
耐候性改善剤としては、例えば、光安定剤や紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤のいずれを用いてもよい。有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系添加剤が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、ラジカル捕捉剤として機能するものである。このようなヒンダードアミン系光安定剤(HALS)としては、2−(3,5−ジ−テトラ−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2′−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性のものを光安定剤として用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素などの球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形などが挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常光学フィルムの膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物などが用いられる。
そのほかにも、ポリプロピレンに各種の添加剤を添加して、偏光子保護用光学フィルムの各種の機能を付与することもできる。例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを挙げることができる。
(偏光子保護用光学フィルム)
本発明に係わる偏光子保護用光学フィルムは、後述の方法などを用いることで、少なくとも片側の表面に1本又は2本以上の溝が形成されたものである。溝の幅は1μm以下であることが好ましく、溝の深さは900nm以下であることが好ましい。偏光子保護用光学フィルムとして好適なヘーズを保持できるからである。また、良好なブロッキング耐性を得るために、溝の幅は10nm以上であることが好ましく、溝の深さは100nm以上であることが好ましい。なお、溝の幅と溝の深さの値は、共焦点レーザー顕微鏡を用いて測定することができる。溝の形状は、フィルムどうしの重なり箇所を減らして接触面積を小さくする観点から、網状であること又は/及び不規則であることが好ましい。
溝の本数は、ヘーズや面内位相差の上昇を一定範囲内に抑える観点から、光学フィルムの表面の略幅方向(成形加工時のフィルム流れ方向に対して略直角方向)に引いた100μm長の線を横切る溝の本数が、20本以下であることが好ましい。一方で、良好なブロッキング耐性を得る観点から、溝の本数は、少なくとも1本の溝が必要であり、3本以上とすることが好ましい。溝の本数は、フィルム表面の広領域で上記範囲とすることが望ましいが、必ずしもフィルム表面の全領域で上記範囲を満たさなくてもよい。上記範囲を満たすフィルム表面の領域は、40%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、さらに好ましくは80%以上である。
偏光子保護用光学フィルムは、溝が形成されているか否かにかかわらず、中心線平均表面粗さが10nm〜1μmの範囲内であることが好ましく、中でも10nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、特に10nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。中心線平均表面粗さが上記範囲より大きいと、フィルムのヘーズが悪化するからである。一方で、中心線平均表面粗さが上記範囲より小さいと、フィルムを巻き取ってロールにする際に、フィルム間で滑って横ずれが発生するおそれがあるからである。なお本発明において、、中心線平均表面粗さは、JIS B0601に準拠して原子間力顕微鏡で測定されるものとする。
光学フィルムを偏光子保護用途として好適に使用するために、光学フィルムのヘーズは10%以下であることが好ましく、より好ましくは6%以下である。また、光学フィルムの内部ヘーズは、5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下である。また、光学フィルムの面内位相差は、20nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nmである。ただし、偏光子保護用光学フィルムに位相差機能を付与して用いる場合には、適宜調整された面内位相差の値で用いることができる。
偏光子保護用光学フィルムの厚さは、10〜200μmの範囲が好ましく、30〜150μmがより好ましい。上記厚さが10μm以上であると、偏光子保護用光学フィルムの保護強度が十分に確保され、200μm以下であると十分な可とう性が得られ、また軽量であることからハンドリングが容易であり、かつコスト的にも有利である。
偏光子保護用光学フィルムの曲げ弾性率は、700MPa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が上記範囲内であると、フィルム状態で取り扱う際の十分な剛性が得られ、後加工を容易に行うことができ、偏光板の保護シートとして機能させるために十分な耐擦過性が得られるからである。さらには、偏光子保護用光学フィルムの曲げ弾性率は、900MPa以上であることがより好ましい。900MPa以上とすれば、Tダイ押出し成形で製造した場合に、面内位相差を安定させることができるからである。なお、本発明において、曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して測定されるものとする。
偏光子保護用光学フィルムの引張強度は、20MPa以上であることが好ましい。20MPa以上であると、偏光子光子保護用フィルムの成形加工に際して、偏光子保護用光学フィルムを接着剤層を介して偏光子にロール・ツウ・ロールの方法で貼り合わせる場合に、配向がかからず、光学フィルムに位相差が発生しにくいため、偏光板の性能を維持できるからである。なお、本発明において、引張強度は、ASTM D638(Type4条件)に準拠して測定されるものとする。
偏光子保護用光学フィルムには、偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
また、偏光子保護用光学フィルムと偏光子との密着性を上げるために接着剤層を形成する場合は、偏光子保護用光学フィルムか偏光子かのいずれかの側または両側に接着剤を塗布することによりおこなう。接着剤層の厚みは、乾燥後の厚みで厚くなりすぎると偏光子保護用光学フィルムの接着性の点で好ましくないことから、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。偏光子保護フィルムの片側の面のみに溝が形成されている場合は、溝が形成された側に接着剤層を設けることが好ましい。偏光子保護用光学フィルムに形成された溝を接着剤が埋めることにより、偏光板のヘーズの悪化を防止することができるからである。
易接着処理を行った面もしくは接着剤層を形成した面を介して、偏光子保護用光学フィルムと偏光子とを貼り合せた後に、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着剤層を形成する。接着剤層を形成した後にこれを貼り合わせることもできる。偏光子と偏光子保護用光学フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等によりおこなうことができる。加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
また、偏光子保護用光学フィルムの表面には、機能層を積層して、各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
(偏光子保護用光学フィルムの製造方法)
本発明の偏光子保護用光学フィルムの製造方法は、光学フィルムの少なくとも片側の表面に所望の溝が形成される方法であれば、特に限定されるものではないが、下記に、本発明の偏光子保護用光学フィルムを好適に製造することができる方法について述べる。
本発明の偏光子保護用光学フィルムの好適な製造方法では、第1工程として、ポリプロピレンと所望に応じて各種の添加剤や添加樹脂とを混合し加熱溶融させた後、当該溶融物を押出しコーティング成形法、キャスト法、Tダイ押出し成形法、インフレーション法、射出成形法等の各種成形法でフィルム状に成形する。なお、面内位相差を小さくするためにはフィルムは延伸されないことが好ましい。ただし、成形加工後に延伸をおこなうことで、所望の面内位相差の値に調節してもよい。
本発明の偏光子保護用光学フィルムの好適な製造方法では、第2工程として、第1工程で成形されたポリプロピレンフィルムの表面に溝を形成させる。フィルム表面に溝を形成させる方法としては、(1)2本のロール間で狭圧して溝を形成する方法、(2)フィルムの表面をレーザーで切削加工して溝を形成する方法、(3)フォトリソグラフィの手法を用いてフィルムの表面をマスクエッチングして溝を形成する方法、(4)サンドブラストやコロナ放電でフィルムの表面を粗面化して溝を形成する方法、(5)微粒子を含有する分散液をフィルムの表面に塗布して微粒子の半球部分を基材表面に露出させて溝を形成する方法、などを用いることができる。
このうち、上記(1)の溝形成方法(以下「ロール方式の溝形成方法」と記載する。)は、良好なブロッキング耐性を示す幅、深さ、形状、本数の溝を簡易に形成させることができ、また、設備的な負担が小さいので、好ましい。
ロール方式の溝形成方法では、金属ロール、セラミックロール、樹脂ロール、及びゴムロール、並びにそれらの積層構造ロールなどを用いることができる。
このうち、一方のロールには、金属ロールを用いることが好ましい。金属ロールは、表面の硬度が高くかつ平滑に加工することが容易であるため、フィルムの異常変形による面内位相差のばらつきを防ぐことができるからである。また、熱伝導性が高いので表面温度を制御することが容易であり、溝を安定的に形成できるからである。
金属ロールの材料としては、一般に用いられているものであれば特に限定されず、炭素鋼、ステンレス、チタンあるいは電鋳法で製造されたニッケルなどが挙げられる。また、金属ロールの表面は、更に上記の金属表面の硬度をあげたり、上記の金属表面と樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキ、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなど、あるいはセラミック溶射等の表面処理が施されていてもよい。
金属ロールの表面は、鏡面仕上げがなされていることが好ましい。鏡面仕上げにより表面が平滑化されることによって、ポリプロピレン・フィルムに均等な圧力をかけることができ、溝を安定的に形成できるからである。
ロール方式の溝形成方法において、一方のロールに金属ロールを用いた場合は、他方のロールに、金属層及び弾性体層の積層構造ロールを用いることが好ましい。金属ロールよりも弾性の高いロールを用いて、金属ロールと挟圧することで、積層構造ロール側のフィルム表面に、簡易に溝を形成できるからである。また、表面に金属層を有することで、フィルムの異常変形による面内位相差のばらつきを防ぐことができ、かつ溝を安定的に形成できるからである。
金属層の材料としては、一般に用いられているものであれば特に限定されず、炭素鋼、ステンレス、チタンあるいは電鋳法で製造されたニッケルなどが挙げられる。また、金属ロールの表面は、更に上記の金属表面の硬度をあげたり、上記の金属表面と樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキ、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなど、あるいはセラミック溶射等の表面処理が施されていてもよい。
弾性体層の材料としては、金属よりも柔軟性がある材料であればよく、例えば、シリコーン樹脂・ゴムやフッ素樹脂・ゴムなどが好適であり、複数の樹脂材料を混合又は積層して使用してもよい。
金属層の表面は、鏡面仕上げがなされることが好ましい。鏡面仕上げにより表面が平滑化されることによって、ポリプロピレン・フィルムに均等な圧力をかけることができ、溝を安定的に形成することができるからである。
金属ロールの鏡面仕上げされた表面又は積層構造ロールの金属層の鏡面仕上げされた表面の表面粗さは、0.3以上1.2以下であることが好ましい。表面粗さが0.3以下であると、フィルムとロールとが密着し過ぎて不具合が起きやすいからである。また、表面粗さが0.3以下のロールは、加工が難しく一般に高価であるのでコスト面からも好ましくない。一方で、表面粗さが1.2以上であると、フィルムの透明性が低下するからである。なお、本発明において、表面粗さは、比較用表面粗さ標準片(JIS B0659−1)を用いて確認されるものとする。
ロール方式の溝形成方式では、ロール間に加わる挟圧力を調節することによって、所望の幅、深さ、形状、本数の溝を形成させることができる。圧力が大きすぎると、幅や深さが大きい溝が形成されたり溝の本数が多すぎたりして、フィルムのヘーズや面内位相差に悪影響がある。一方で、圧力が小さすぎると、十分なブロッキング耐性を有する溝が形成されないことがある。好適な圧力の範囲は2.5〜10N/mmであり、光学特性を保持するために、2.5〜8N/mmとすることがより好ましい。
また、ロール間にフィルムを通す際には、フィルムがロール間に入る角度を両ロールの中心を通る面に垂直な面を基準として20度を超えない範囲にすることで、安定した溝形成加工をおこなうことができる。
ロール方式の溝形成方式では、ロールの表面温度を10℃以上とすることが好ましい。10℃以下ではポリプロピレンの固化が早すぎて、フィルムにシワが発生しやすいからである。さらに、積層構造ロールの表面温度は、30℃以上であることがより好ましい。溝を安定的に形成することができるからである。一方で、ロールの表面温度は、ヘーズの悪化を防止する観点から、70℃以下であることが好ましく、50℃以下がより好ましい。
[偏光板]
本発明の偏光板は、上記の偏光子保護用光学フィルムが、偏光子の少なくとも片面に、好ましくは接着剤層を介して、貼付されたものである。図2は、本発明の偏光板の構成例である。図2において、2は偏光子であり、その片面に接着剤層3を介して、偏光子保護用光学フィルム1が貼付され、全体として偏光板4を構成している。
偏光板で用いる偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であれば如何なるものでもよく、例えばPVA系フィルム等を延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したPVA系偏光子;PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系偏光子;コレステリック液晶を用いた反射型偏光子;薄膜結晶フィルム系偏光子等が挙げられ、その中でもPVA系偏光子が好ましく用いられる。
PVA系偏光子としては、例えばPVA系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらのなかでもPVA系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
偏光子を構成する樹脂として好適に用いられるPVA系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。このPVA系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。PVA系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜10,000の範囲である。
偏光板は、例えば、上述のようなPVA系フィルムを一軸延伸する工程、PVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸PVA系フィルムに偏光子保護用光学フィルムを貼り付ける工程を経て、製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、二色性色素による染色と同時に行ってもよいし、また、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色後に行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤により膨潤した状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
PVA系フィルムを二色性色素で染色するには、例えば、PVA系フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として、具体的にはヨウ素又は二色性染料が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、PVA系フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01〜0.5質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり0.5〜10質量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、PVA系フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は通常、水100質量部あたり1×10-3〜1×10-2質量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含有していてもよい。この水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は通常、水100質量部あたり2〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり2〜20質量部程度、好ましくは5〜15質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常100〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。
ホウ酸処理後のPVA系フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたPVA系フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。その後に行われる乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥温度は、通常40〜100℃である。乾燥処理における処理時間は、通常120〜600秒程度である。
こうして、ヨウ素又は二色性染料が吸着配向されたPVA系フィルムからなる偏光子が得られる。
偏光子と偏光子保護用光学フィルムとの貼り合せは、接着剤層を介して行うことができる。接着剤層を形成する接着剤としては、PVA系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは前記グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィン系接着剤などが挙げられる。その他、透明性を有する接着剤、例えば、ポリビニルエーテル系、ゴム系等の接着剤を使用することができる。なかでも、PVA系接着剤が好ましい。
本発明において、偏光子保護フィルムの片側の面のみに溝が形成されている場合は、偏光子保護用光学フィルムの溝が形成された側に接着剤層を設けて、偏光子に貼付することが好ましい。偏光子保護用光学フィルムに形成された溝を接着剤が埋めることにより、偏光板のヘーズの悪化を防止することができるからである。
PVA系接着剤は、PVA系樹脂と架橋剤を含有するものであり、PVA系樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニルをケン化して得られたPVA及びその誘導体、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物、PVAをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化又はリン酸エステル化等した変性PVAなどが挙げられる。これらPVA系樹脂は一種を単独でまたは二種以上を併用することができる。酢酸ビニルと共重合性を有する単量体としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
PVA系樹脂の重合度等は特に限定されないが、接着性などが良好になることから、平均重合度100〜3000程度、好ましくは500〜3000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%程度のものを用いることが好ましい。
エポキシ系接着剤としては、水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などがある。エポキシ樹脂には、さらにオキタセン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
アクリル系接着剤としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルと、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα−モノオレフィンカルボン酸との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む)を主体とするものが、偏光子の偏光特性を阻害することがないので特に好ましい。
また、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは前記グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィンを接着剤として使用することもできる。グラフトに用いられるポリオレフィンとしては、たとえば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、チーグラー系触媒又はメタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレンープロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、これらの混合物などである。ポリオレフィンのグラフトに用いる不飽和カルボン酸またはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などを挙げることができる。こうして得た変性ポリオレフィンはそのまま用いてもよいが、ポリオレフィンに配合して用いることもできる。
本発明において、上記偏光子や上記接着剤層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能を付与してもよい。
上記接着剤層は、偏光子保護用光学フィルム又は偏光子のいずれかの側または両側に、接着剤を塗布することにより形成する。接着剤層の厚みは、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
また、偏光子保護用光学フィルムを偏光子と接着させるに際し、偏光子保護用光学フィルムの偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
次いで、上記のようにして易接着処理を行った面に接着剤層を形成し、前記接着剤層を介して、偏光子と偏光子保護用光学フィルムとを貼り合せる。
偏光子と偏光子保護用光学フィルムとの貼り合わせの方法は、ロールラミネーター等により行うことができる。なお、加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
本発明に係わる偏光子保護用光学フィルムが偏光子の一方の面に形成された偏光板には、必要に応じて偏光子の他方の面に、本発明に係わる偏光子保護用光学フィルムを形成することもできるし、その他の樹脂からなるフィルムを形成することもできる。その他の樹脂からなるフィルムとしては、例えばフマル酸ジエステル系樹脂、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリナフタレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、マレイミド系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム等が挙げられる。上記その他の樹脂からなるフィルムは、特定の位相差を持つ位相差フィルムであっても良い。
偏光板は、表面性、耐傷付き性を向上させる為に、少なくとも一層以上のハードコート層を有する積層体とすることが好ましい。前記ハードコート層としては、例えばシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、紫外線硬化型樹脂、ウレタン系ハードコート剤等よりなるハードコート層が挙げられ、その中でも透明性、耐傷付き性、耐薬品性の点から、紫外線硬化型樹脂よりなるハードコート層が好ましい。これらのハードコート層は、一種類以上で用いることができる。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレート、紫外線硬化型オキセタン等から選ばれる一種類以上の紫外線硬化樹脂が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、0.1〜100μmが好ましく、特に好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。また、ハードコート層の間にプライマー処理をすることもできる。
また、偏光板は、必要に応じて、反射防止や低反射処理などの公知の防眩処理を行うことができる。
[表示装置]
本発明の偏光板は、表示用の各種装置に好ましく使用することができる。本発明の表示装置としては、液晶セルを含む液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(以下「有機EL」という)表示装置、タッチパネル等が挙げられ、本発明の偏光板を使用するものであれば、表示装置の種類の限定はない。また、液晶ディスプレイの場合、表示装置は、一般に、液晶セル、光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては、上記した本発明の偏光板を用いる点を除いて、表示装置の構成には特に限定はない。例えば、液晶セルの片側又は両側に偏光板を配置した表示装置や、照明システムとしてバックライト又は反射板を用いたものなどの適宜な表示装置が例示される。また、液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。なお、表示装置を構成するに際しては、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
(液晶セルを含む液晶ディスプレイ)
本発明の偏光板は、例えば液晶セルなどに積層して使用される。本発明の表示装置の例として、図3に、液晶セルを含む液晶ディスプレイの構成例を示す。図3において、6は液晶セルを示す。この液晶セル6は、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型等や、ツイストネマチック型、スーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型などのものが例示される。この液晶セル6の上に、粘着剤層(図示せず)を介して、位相差板(複屈折板)5が積層され、この上に、粘着剤層(図示せず)を介して、偏光板4が積層されたものである。偏光板4は、中心に偏光子2を有し、その両側の表面に、接着剤層3を介して、偏光子保護用光学フィルム1が積層されている。偏光板4と位相差板5、位相差板5と液晶セル6の積層に際しては、予め偏光板4、位相差板5及び液晶セル6に粘着剤層を設けておくこともできる。
偏光板と液晶セルを積層する粘着剤としては特に限定されず、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。なかでも、アクリル系粘着剤が、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れているので好ましい。
前記粘着剤には、光学的透明性、適度な濡れ性、凝集性、接着性などの粘着特性、耐候性、耐熱性などに優れることが求められる。さらに吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層が求められる。
粘着剤には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層であってもよい。粘着剤層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能を付与してもよい。
偏光板への上記粘着剤の塗工は、特に限定されず、適宜な方法で行うことができる。例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒に、ベースポリマー又はその組成物を溶解又は分散させた10〜40質量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上に直接塗工する方法、或いはこの方法に準じ離型性ベースフィルム上に粘着剤層を形成してそれを偏光板に移着する方法などが挙げられる。
塗工方法は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等、各種方法が可能であるが、グラビアコートが最も一般的である。
粘着剤層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板の片面又は両面に設けることもできる。また、両面に設ける場合、偏光板の表裏において、粘着剤が同一組成である必要はなく、また同一の厚さである必要もない。異なる組成、異なる厚さの粘着剤層とすることもできる。
また、粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1μm〜500μmであり、5μm〜200μmが好ましく、特に10μm〜100μmが好ましい。
粘着剤層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に離型性フィルムが仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層に接触することを防止できる。離型性フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来公知なものを用いることができる。
(有機EL表示装置)
本発明の偏光板は、有機EL表示装置にも好適に使用し得る。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、これらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設け且つ前記透明電極と偏光板との間に複屈折層(位相差板)を設けることができる。
偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、複屈折層をλ/4板で構成し、かつ偏光板と前記複屈折層との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、一般には複屈折層によって楕円偏光となるが、複屈折層がλ/4板でしかも偏光板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、複屈折層で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
(タッチパネル)
本発明の偏光板は、タッチパネルにも好適に使用し得る。一般に、タッチパネルは、操作者が表示画面の上部に設けられた透明な面をペン、または指でタッチすることで、装置、システムの操作を行うものである。画面上を直接タッチすることは、カーソルを方向キーで押して位置を確定することに比べれば、より直接的であり、また直感的でもあることから、近年、非常に多用されるようになっている。また、近年、携帯電話、およびPDA(Personal Digital Assistants;個人用の携帯情報端末)等の携帯端末市場の成長は著しく、太陽光のもとでの視認性、および薄型軽量が強く要求されるようになった。タッチパネルには種々の方式があり、その得失により使い分けられている。タッチパネルには、抵抗膜方式、光学式、静電容量結合方式(アナログ容量結合方式とも呼ばれる)、赤外線方式、超音波式、および電磁誘導式等の方式がある。ここでは、抵抗膜方式のタッチパネルの例で説明する。
抵抗膜方式のタッチパネルには、ガラス/ガラスタイプとガラス/フィルムタイプがある。ガラス/ガラスタイプは透明導電層付ガラス基板と透明導電層付ガラス基板が空間を介して保持されたものであり、これがディスプレイ表面に装着される。また、ガラス/フィルムタイプは、車載用あるいは携帯用のタッチパネルにおいて、より軽量化・薄型化したものが望まれるため、上部の透明導電層付ガラス基板を光学フィルムで置き換えたタイプのタッチパネルである。
直線偏光板、あるいは偏光板にλ/4板を組み合わせて積層した円偏光板をタッチパネルの最表面に使用すれば、タッチパネルとして十分な強度を得ることができ、かつ、反射防止の効果により視認性が向上する。これらタッチパネルの偏光板に本発明の偏光子保護用光学フィルムが好適に使用できる。
本発明の偏光子保護用光学フィルムと偏光子からなる偏光板とλ/4板を、λ/4板の面内の遅相軸と偏光板の偏光軸との角度が実質的に45°になるように積層すると円偏光板が得られる。実質的に45°とは、40〜50°であることを意味する。λ/4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることがさらに好ましく、44〜46°であることが最も好ましい。
本発明に係わる偏光子保護用光学フィルムは偏光板の保護膜上・下・下外(ITOを設ける軽量化用フィルム)のいずれにも使用できる。また、タッチパネルの反射防止には、直線偏光タイプと円偏光タイプがあるが(直線偏光は円偏光に比べて反射率が高い)、本発明に係わる偏光子保護用光学フィルムは円偏光板にも直線偏光タイプの偏光板にも使用できる。
本発明に係わる偏光子保護用光学フィルムを使用した円偏光板、又は直線偏光板は、透過型・反射型どちらのタッチパネルにも使用できる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)フィルム表面の観察
共焦点レーザー顕微鏡(ライカマイクロシステムズ株式会社製、TCS−SP5)を用いて、光学フィルムの表面を100倍の対物レンズで反射方式にて観察した。光学フィルムに形成された溝の本数は、撮影画像で光学フィルムの略幅方向(成形加工時のフィルム流れ方向に対して略直角方向)に100μm長に相当する線を引き、その線を横切る溝の数を目視で計数した。
(2)ブロッキング耐性
光学フィルムをロール状に巻き取ることで、光学フィルムの金属ロール側の表面と積層構造ロール側又はエアーナイフ側の表面とを重ね合わせた。その巻取ロールを40℃80%RHの高温槽内に2日間保存することで促進試験をおこなった。室温で放熱させた後、巻取ロールからフィルムを手で引き出した際に、ブロッキングによるフィルム間の張り付きの有無を目視で観察し、ブロッキング耐性を下記の基準で評価した。
○:良好(フィルム間の張り付きがない又はほとんどない)
×:劣る(フィルムの張り付きがある)
(3)ヘーズ
JIS K7105に準拠し、光源光を金属ロール側の表面から入射して、光学フィルムのヘーズを測定した。
(4)内部ヘーズ
光学フィルムの金属ロール側の表面に、汎用のハードコート樹脂溶液又は接触液を表面に存在するおうとつが十分に覆い隠れる程度の厚みで積層又は塗布した。ハードコート樹脂が積層された又は接触液が塗布された光学フィルムのヘーズを上記(3)に従って測定し、得られた値を内部ヘーズとした。
(5)中心線平均表面粗さ
JIS B0601に準拠して、原子間力顕微鏡(ビーコインスツルメンツ社製、ナノスコープV)を用いて、スキャン範囲100μmで、光学フィルムの積層構造ロール側又はエアーナイフ側の中心線平均表面粗さを測定した。
(6)面内位相差
位相差測定機(王子計測機器株式会社製、KOBRA(登録商標)−WR)を用いて、波長589.3nm、入射角0度の条件で、光源光を金属ロール側の表面から入射して、光学フィルムの面内位相差を測定した。
(実施例1)
ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、ウィンテック(登録商標)、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン、融点142℃、曲げ弾性率900MPa、表1で「mPP」と記載)を200℃で加熱溶融させた。溶融させたポリプロピレンをTダイリップから押出速度7m/minで厚み100μmになるように単層押出しをおこない、フィルム形状に成形した。次に、押出し直後のフィルムを金属ロール(材質ステンレス、表面に鏡面仕上げ)と積層構造ロール(表面層の材質ステンレス、弾性体層の材質ゴム、金属層の表面に鏡面仕上げ)とで下記の挟圧条件で挟圧し、偏光子保護用光学フィルムを作製した。挟圧後のフィルムは巻き取ってロールにした。なお、本実施例にて用いた製造装置では、金属ロールの位置は固定されているので、積層構造ロールの金属ロールに対する線圧を挟圧力とした。
(挟圧条件)
金属ロール表面温度 :50℃
積層構造ロール表面温度 :50℃
挟圧力(積層構造ロールの線圧) :6N/mm
(実施例2)
挟圧条件の挟圧力を3N/mmにした以外は、実施例1と同様にして、偏光子保護用光学フィルムを得た。
(実施例3)
挟圧条件の挟圧力を8N/mmにした以外は、実施例1と同様にして、偏光子保護用光学フィルムを得た。
(実施例4)
挟圧条件の挟圧力を10N/mmにした以外は、実施例1と同様にして、偏光子保護用光学フィルムを得た。
(実施例5)
挟圧条件の積層構造ロール表面温度を70℃にした以外は、実施例1と同様にして、偏光子保護用光学フィルムを得た。
(実施例6)
実施例1のポリプロピレンに代えて、ポリプロピレン(プライムポリマー株式会社製、プライムポリプロ(登録商標)F219DA、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたポリプロピレン、融点148℃、曲げ弾性率1100MPa、表1で「rPP」と記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光子保護用光学フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1の積層構造ロールに代えて、エアーナイフ(エアー噴射量100m3/min)を用いて、挟圧力をゼロにした以外は、実施例1と同様にして、偏光子保護用光学フィルムを得た。
表1に、実施例1〜6及び比較例1で得られた偏光子保護用光学フィルムの評価結果を示した。また、図1に、実施例1で作製した偏光子保護用光学フィルムの積層構造ロール側表面の共焦点レーザー顕微鏡写真(光源レーザー波長488nm)を示した。さらに、図4及び図5は、光源レーザー波長を405nmとした共焦点レーザー顕微鏡写真であり、図4は、実施例1で作製した偏光子保護用光学フィルムの積層構造ロール側表面を観察したもので、また、図5は、実施例1で作製した偏光子保護用光学フィルムの金属ロール側表面を観察したものである。なお、顕微鏡写真の上下方向がフィルムの略長さ方向(成形加工時のフィルム流れ方向)、顕微鏡写真の左右方向がフィルムの略幅方向(成形加工時のフィルム流れ方向に対して略直角方向)、顕微鏡写真の観察位置はフィルム幅の略中央部である。
実施例1〜6にて、積層構造ロール側表面に溝が形成された偏光子保護用光学フィルムは、良好なブロッキング耐性を示した。これに対して、比較例1にて、エアーナイフ側及び金属ロール側のいずれの表面にも実施例1〜6のような溝が形成されていない偏光子保護用光学フィルムでは、ブロッキング耐性が劣った。また、実施例1〜4にて、挟圧力が大きくなると、形成される溝の本数が多くなった。
1:偏光子保護用光学フィルム
2:偏光子
3:接着剤層
4:偏光板
5:位相差板(複屈折板)
6:液晶セル

Claims (3)

  1. 溶融させたポリプロピレンをフィルム状に成形する第1工程と、
    前記第1工程で成形されたポリプロピレンフィルムを、表面が鏡面仕上げされた金属ロールと、表面が鏡面仕上げされた金属層弾性体層上に有し表面温度が30℃を超え70℃以下の積層構造ロールとの間で挟圧力の範囲が2.5〜10N/mmで挟圧して、上記ポリプロピレンフィルムの積層構造ロールに接した側の表面のみ幅が10nm以上1μm以下、深さが100nm以上900nm以下であり、形状が不規則であるか、網状であるか、又は網状であって不規則であるかのいずれかであって、本数が1本又は2本以上の溝を形成する第2工程と、を有する
    ことを特徴とする偏光子保護用光学フィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載された偏光子保護用光学フィルムの製造方法により製造された偏光子保護用光学フィルムが偏光子の少なくとも片側に貼付されていることを特徴とする偏光板。
  3. 請求項2に記載された偏光板が使用されていることを特徴とする表示装置。
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