JP2010072111A - 偏光子保護用光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

偏光子保護用光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】貼り付けた状態でも偏光板の品質検査ができる保護シート付きの偏光子保護用光学フィルムを提供する。及びこれを用いた偏光板及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の偏光子保護用光学フィルム5は、支持基体1及び偏光子保護膜2を備え、偏光子保護膜2は、支持基体1の少なくとも片面に剥離可能に設けられている。ここで、支持基体1には、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレンを用いる。また、偏光子保護膜2には、(メタ)アクリル酸共重合体と多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とを含有する電離放射線硬化性組成物を電離放射線により硬化して得られる化合物を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像表示装置で使用される光学部材に関し、より詳しくは、偏光子保護用光学フィルムに関する。また、本発明は、前記偏光子保護用光学フィルムが張り付けられた偏光板、及び前記偏光板が使用された画像表示装置に関する。
偏光板は、特定の振動方向をもつ光のみを透過させ、その他の光を遮蔽する機能を有する光学部材であり、例えば、液晶セルを含む液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(以下「有機EL」という)表示装置、あるいはタッチパネル等の画像表示装置に用いられている。このような偏光板としては一般に、偏光子に偏光子保護膜が貼り付けられた構成をもつものが使用されている。このうち偏光子は、特定の振動方向をもつ光のみを透過させる機能を有するものであり、ヨウ素や二色性染料などで染色した一軸延伸型のポリビニルアルコール(以下「PVA」という)系フィルムが多く使用され、最近では塗布型のフィルムも使用されているが、一般に薄く強度面で弱いという問題がある。
偏光子保護膜は、偏光子を支持して偏光板全体に実用的な強度を付与し、また、偏光子の表面を物理的に保護するなどの機能を担うものであり、透明性が良好で、複屈折(面内位相差)が小さいなどの光学的な均一性に優れ、実用的な耐熱性と物理的強度を有することが求められる。このような偏光子保護膜としては、セルロース系フィルムであるトリアセチルセルロースフィルムが一般に多く使用されている。また、トリアセチルセルロースフィルム以外にも、特定の(メタ)アクリル酸重合体とラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる光学フィルム(特許文献1参照)やメタロセン触媒により合成されたポリプロピレンを用いてなる光学フィルム(特許文献2参照)などが提案されている。
ところで、最近の画像表示装置では、薄型軽量化や高品位化が強く要請されている。そのため、偏光子保護膜についても可能な限り薄くすることが要請されているが、偏光子保護膜を薄膜化すると、偏光子保護膜だけではフィルム状態で取り扱う際の強度が不足してくるので、偏光子保護膜と剥離可能に支持基体を貼り合わせて強度を補う必要が生じる。この支持基体は、最終的には偏光子保護膜から剥がされて廃棄されるものである。
また、画像表示装置の品位を高めるためには、光学フィルムの流通過程、光学フィルムと偏光子を貼り合わせて偏光板を製造する過程、偏光板の流通過程、あるいは偏光板を使用する画像表示装置の製造過程などにおいて、偏光子保護膜の表面ないし偏光板の表面を物理的に保護することが求められている。このような、偏光子保護膜の支持基体や保護シートとしては、一般に、ポリエチレンテレフタレートが用いられている(特許文献1、特許文献3参照)。
特開2008−129212号公報 特開2008−146023号公報 特開2007−206669号公報
さらに、不良品の発生と流出を防止して品質の維持向上を図るためには、上記の過程において、偏光板の複屈折等の光学的性能の欠陥を繰り返し検査すること望ましい。
しかしながら、ポリエチレンテレフタレートは、光弾性乗数が大きく、外部応力の作用によって位相差の変化が生じるため、複屈折が大きい。そのため、ポリエチレンテレフタレートを偏光板の保護シートとして用いて、それを貼り付けたままで偏光板の品質検査をおこなうと、欠陥検出精度が劣ってしまうという問題がある。また、ポリエチレンテレフタレートの保護シートを剥がして品質検査をおこなった場合は、検査後に、偏光板の表面を保護するために保護シートを再度貼り付けなければならず、生産性を損なうこととなってしまう。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものである。本発明の目的とするところは、貼り付けた状態でも偏光板の品質検査ができる保護シート付きの偏光子保護用光学フィルムを提供することである。さらには、支持基体と保護シートの機能を兼ね備えさせ、その支持基体兼保護シートに比較的容易かつ安価に入手し得る材料を用いることで、低コストで偏光板の品質と生産性を高めることができる偏光子保護用光学フィルムと、これを用いた偏光板及び画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の構成の偏光子保護用光学フィルムとすることで、上記の課題を解決することを見出した。
すなわち、本発明の偏光子保護用光学フィルムは、支持基体及び偏光子保護膜を備え、偏光子保護膜は、支持基体の少なくとも片面に剥離可能に設けられている。ここで、支持基体には、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレンを用いる。また、偏光子保護膜には、(メタ)アクリル酸共重合体と多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とを含有する電離放射線硬化性組成物を電離放射線により硬化して得られる化合物を用いる。
また、本発明の偏光板は、本発明の光学フィルムが、偏光子の少なくとも片面に、偏光子、偏光子保護膜、及び支持基体の順になるように貼り付けられているものである。
また、本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板が使用されているものである。
本発明の偏光子保護用光学フィルムは、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレンが(メタ)アクリル酸共重合体と多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とを含有する電離放射線硬化性組成物を電離放射線により硬化して得られた偏光子保護膜の支持基体として十分な強度を有しているため、生産性に優れ、流通過程での取り扱いの利便性が高いものである。
また、本発明の偏光子保護用光学フィルムにおいては、支持基体に用いているメタロセン触媒により合成されたポリプロピレンが物理的なダメージに対する耐擦過性を有しかつ透明性が高く複屈折が小さいという特性を有するため、光学フィルムが偏光子フィルムに貼り付けられた後、支持基体が偏光板の表面を保護をする保護シートとしての機能を果たし、その支持基体兼保護シートが偏光板に貼り付けられ偏光板の表面が保護された状態で偏光板の品質検査をおこなうことができる。
さらに、支持体兼保護シートは最終的には偏光板から剥がされて廃棄されることとなるが、本発明の偏光子保護用光学フィルムは、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレンが他の樹脂よりも比較的安価に入手し得るため、コスト的にも優れている。
そのため、本発明の光学フィルムによれば、偏光板の品質と生産性を低コストで高めることができる。
[偏光子保護用光学フィルム]
本発明の偏光子保護用光学フィルムは、支持基体及び偏光子保護膜を備え、前記支持基体の少なくとも片面に偏光保護膜が剥離可能に設けられたものである。図1に、本発明の偏光子保護用光学フィルムの例を示す。図1において、本発明の偏光子保護用光学フィルム5は、支持基体1と偏光子保護膜2とで構成され、前記支持基体1は、偏光子保護膜2から剥離可能である。
(支持基体)本発明の光学フィルムでは、支持基体として、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレンが用いられている。なお、以下、単に「ポリプロピレン」という場合は「メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン」を意味するものとする(「チーグラー系触媒により合成されたポリプロピレン」を意味するときは「チーグラー系触媒により合成されたポリプロピレン」と記載する)。
メタロセン触媒により合成されたポリプロピレンとは、後述するメタロセン触媒を用いて合成されたものである。メタロセン触媒により合成されたポリプロピレンは、汎用されているチーグラー系触媒により合成されたポリプロピレンよりも、透明性が高いため、本発明では、支持基体としてメタロセン触媒により合成されたポリプロピレンを用いる。
メタロセン触媒により合成されたポリプロピレンは、プロピレンとα−オレフィンの共重合体であることが好ましい。α−オレフィンとしては、エチレン、炭素数4〜18の1−オレフィンが用いられ、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。共重合体中のプロピレン単位の割合は、好ましくは80モル%以上であり、コモノマーは20モル%以下である。コモノマーとして、上記のα−オレフィンは1種類に限られず、2種類以上を用いることができ、共重合体をターポリマーのような多元系共重合体とすることもできる。
本発明で用いられるメタロセン触媒は、活性点が均一なシングルサイト触媒であっても、活性点が均一ではないマルチサイト触媒であってもよく、なかでもマルチサイト触媒であることが好ましい。一般的には、Zr、Ti、Hf等の4〜6族遷移金属化合物、特に4族遷移金属化合物と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体の基を有する有機遷移金属化合物を使用することができる。
シクロペンタジエニル誘導体の基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等で結合されたものも好適に挙げることができる。
助触媒としては、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、層状ケイ酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を用いることができる。また、必要に応じてこれらの化合物と共に有機アルミニウム化合物を添加することができる。
上述の層状ケイ酸塩とは、イオン結合等によって、構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとるケイ酸塩化合物をいう。本発明では、層状ケイ酸塩は、イオン交換性であることが好ましい。ここでイオン交換性とは、層状ケイ酸塩の層間陽イオンが交換可能なことを意味する。大部分の層状ケイ酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら層状ケイ酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
層状ケイ酸塩の具体例としては、公知の層状ケイ酸塩であれば特に制限はなく、例えば、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族;クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族;モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、テニオライト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族;バーミキュライト等のバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族;アタパルジャイト;セピオライト;パリゴルスカイト;ベントナイト;パイロフィライト;タルク;緑泥石群が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
これらの層状ケイ酸塩は化学処理を施すことができる。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。これらの処理には、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させるなどの作用があり、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
上記メタロセン触媒を用いてポリプロピレンを合成する方法(重合方法)としては、これらの触媒の存在下、不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法、溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
ポリプロピレンは、融点(Tm)が130℃以上であることが好ましい。融点(Tm)が130℃以上であれば、未延伸フィルムの場合は、曲げ弾性率が高くなり、光学フィルムの支持基体として強度が増し、後加工に影響を与えることがなく好ましい。
支持基体は、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレンと所望に応じて後述の各種添加剤とを混合し、押出しコーティング成形法、キャスト法、Tダイ押出し成形法、インフレーション法、射出成形法等の各種成形法によって作製することができる。本発明では、偏光子上に作製される光学フィルムが配向しないことが望まれるため、延伸のかからない未延伸のTダイ押出し成形が望ましい。
支持基体の厚さは、10〜200μmの範囲が好ましく、30〜150μmがより好ましい。前記厚さが10μm以上であると、光学フィルムの支持基体としての強度が十分に確保され、200μm以下であると十分な可撓性が得られ、また軽量であることからハンドリングが容易であり、かつコスト的にも有利である。
支持基体は、例えば、ポリプロピレン本来の特性(結晶化度、平均分子量等)で選択する方法、樹脂に無機質あるいは有機質の充填剤から選ばれた充填剤を添加する方法、架橋剤などを添加する方法、弾性率の異なる2種類以上の樹脂を混合する方法、硬化性樹脂の可塑剤組成分を選択する方法などを用いて、あるいはこれらの方法を適宜複数組み合わせて用いて、所望の曲げ弾性率に調整することができる。
支持基体の曲げ弾性率は、700MPa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が上記範囲内であると、光学フィルムの支持基体として、フィルム状態で取り扱う際の十分な剛性が得られ、後加工を容易に行うことができ、偏光板の保護シートとして機能させるために十分な耐擦過性が得られるからである。さらには、支持基体の曲げ弾性率は、900MPa以上であることがより好ましい。900MPa以上とすれば、Tダイ押出し成形で製造した場合に面内位相差を安定させることができるからである。なお、本発明において、曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して測定されるものとする。
さらに、支持基体は、引張強度が20MPa以上であることが好ましい。20MPa以上であると、光学フィルムを、接着剤層を介して偏光子にロール・ツウ・ロールの方法で貼り合わせる時に、配向がかからず、光学フィルムに位相差が発生しないため、偏光板の性能を維持できる。なお、、本発明において、引張強度は、ASTM D638に準拠して測定されるものとする。
本発明では、支持基体の引張強度を向上させて、かつ透明性を向上させるため、添加物を添加しても良い。添加物としては、位相差への影響が微小であるジベンジリデンソルビトール系添加物が好ましい。本発明で使用するジベンジリデンソルビトール系添加物は、1,3−2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−2,4−ジパラメチルジベンジリデンソルビトール等のジ−置換ジベンジリデンソルビトール、及びジ−置換ベンジリデンソルビトールとジグリセリンモノ脂肪酸エステルとを配合したもの等が好適に使用できる。
上記ジベンジリデンソルビトール系添加物の中でも、ブリードの少なく安定したジグリセリンモノ脂肪酸エステル添加ジベンジリデンソルビトール系核剤が望ましい。ジグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンモノラウリン酸エステル、ジグリセリンモノミリスチン酸エステル、ジグリセリンモノステアリン酸エステル等が好ましく、単独で又はこれらを混合して使用される。
上記添加物の含有量は、ポリプロピレン100質量部に対して、0.03〜0.5質量部の範囲であることが好ましい。0.03質量部以上であると、透明性の向上及び十分な強度の向上が図れる。一方、0.5質量部を超えて加えても、それ以上の透明性向上や強度向上にはつながらず、コスト的に不利となる。
また、特に、ジグリセリンモノ脂肪酸エステルを添加したジ−置換ベンジリデンソルビトールを用いる場合には、ポリプロピレン100質量部に対して、ジ−置換ベンジリデンソルビトールが0.01〜0.3質量部、混合するジグリセリンモノ脂肪酸エステルが0.01〜0.2質量部とすることが好ましい。
また、本発明におけるポリプロピレンには、得られるフィルムの所望物性に応じて、必要な透明性と複屈折を損なわない範囲で、各種オレフィン樹脂を配合することができる。オレフィン樹脂としては、チーグラー系触媒により合成されたポリプロピレン等を、10質量%を超えない範囲で少量ブレンドしても良い。
また、ポリプロピレンには、所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、透明性に影響しない範囲で、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。
紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常光学フィルムの膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
(偏光子保護膜)本発明の光学フィルムでは、偏光子保護膜として、(メタ)アクリル酸共重合体と多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とを含有する組成物(以下、「電離放射線硬化性組成物」ということがある)を電離放射線を用いて硬化して得られた化合物が用いられる。前記電離放射線硬化性組成物を硬化して得られた化合物は、斜め方向からの入射光に対しても複屈折が小さく、光学的透明性に優れており、良好な耐湿性であるため、偏光子保護膜として良好に用いることができるからである。
本発明では、(メタ)アクリル酸共重合体が単官能であることが好ましい。単官能の(メタ)アクリル酸共重合体は比較的安価に入手することができるからである。また、単官能の(メタ)アクリル酸共重合体は反応性が低いので、製造時の取り扱いが容易になるからである。また、前記電離放射線硬化性組成物が、重量平均分子量50,000〜80,000の(メタ)アクリル酸共重合体70〜95質量%と多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物5〜30質量%とを含有することが好ましい。当前記範囲内では、成膜強度と可撓性に優れているため、光学フィルムの生産性に優れており、良好な品質の光学フィルムを得ることができるからである。
本発明における(メタ)アクリル酸重合体とは、(メタ)アクリル酸モノマー若しくは(メタ)アクリル酸エステルモノマーの単独重合体、又は複数種の(メタ)アクリル酸モノマー若しくは(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体である。なお、ここで「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味し、これに類似するものも同様の意味である。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のC1〜C18アルキルのエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の窒素含有(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリル(メタ)アクリレート等の官能基含有(メタ)アクリレート類;イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環型(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらのうち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましい。
(メタ)アクリル酸重合体は、上記モノマーを単独で、又は2種以上を併用し、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等、従来より知られる各種の方法で重合して得られる。また、他のモノマー、例えば、スチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル等、各種のモノマーとの共重合体であってもよい。
本発明における(メタ)アクリル酸重合体は、良好な品質の偏光子保護膜を効率的に製造する観点から適当な重量平均分子量のものが選択される。
本発明では、(メタ)アクリル酸重合体の重量平均分子量は50,000〜80,000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が50,000より小さい場合は、光学フィルムを製造する際の成膜強度が弱く、膜が割れやすい。一方、重量平均分子量が80,000より大きい場合は可撓性が劣るため、取り扱いが困難となり得る。以上の観点から、(メタ)アクリル酸重合体の重量平均分子量は60,000〜75,000の範囲がより好ましい。
本発明における(メタ)アクリル酸重合体の電離放射線硬化性組成物中での含有量は、良好な品質の偏光子保護膜を効率的に製造する観点から適当な含有量に調整される。
本発明では、(メタ)アクリル酸重合体の電離放射線硬化性組成物中での含有量は、70〜95質量%の範囲であることが好ましい。前記含有量が70質量%未満であると可撓性が劣り膜が割れやすい。一方、95質量%を超えると光学フィルムを形成する際に成膜強度が弱い。以上の観点から、(メタ)アクリル酸重合体の電離放射線硬化性組成物中での含有量は70〜90質量%の範囲がより好ましい。
本発明における多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とは、電離放射線によって硬化する化合物であり、紫外線(UV‐A、UV‐B、UV‐C)硬化性化合物、可視光線硬化性化合物、ガンマー線硬化性化合物、X線硬化性化合物、電子線硬化性化合物等などが挙げられる。本発明においては、電子線硬化性化合物又は紫外線硬化性化合物を用いることが好ましく、電子線硬化性化合物を用いることがより好ましい。電子線硬化性化合物を用いた組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
具体的には、多官能モノマーである重合性モノマー、多官能オリゴマー、多官能ポリマーなどが挙げられ、電離放射線で硬化する官能基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基等が挙げられる。
上記重合成モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ多官能(メタ)アクリル酸誘導体であることが好ましく、より具体的には多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、多官能オリゴマー(プレポリマーとも呼ばれる)としては、重量平均分子量が約300〜5000程度で、分子内中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基などのラジカル重合性不飽和結合を有するポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系の多官能オリゴマー(プレポリマー)を適用することができる。
前記多官能オリゴマーとしては、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。
ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応し、エステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、多官能オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
次に、多官能ポリマーとしては、重量平均分子量が約1,000〜30万程度で、(メタ)アクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基などのラジカル重合性二重結合を有するウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが適用できる。
本発明においては、(メタ)アクリル酸重合体と多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物を含有する組成物とが、電離放射線により硬化することが好ましい。そのためには、多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物中に多官能(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。
本発明における多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の電離放射線硬化性樹脂組成物中の含有量は、良好な品質の偏光子保護膜を効率的に製造する観点から適当な含有量に調整される。
本発明では、多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の電離放射線硬化性樹脂組成物中の含有量は5〜30質量%の範囲であることが好ましい。多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の含有量が5質量%より少ない場合は、偏光子保護膜を形成する際に成膜強度が弱い。一方、多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の含有量が30質量%を超えると、可撓性が悪く膜が割れやすい。以上の観点から、多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の含有量は10〜30質量%の範囲がより好ましい。
本発明では、上述の(メタ)アクリル酸共重合体と多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とを適量ずつ混合して、電離放射線硬化性組成物を得る。電離放射線硬化性組成物は、電離放射線を照射することで硬化する。
硬化後の電離放射線硬化性組成物層の厚さは、10〜150μmの範囲が好ましい。10μm以上であると偏光子保護膜として使用した際に十分な強度が得られ、一方、150μm以下であると製造が容易であるとともに、コストの問題もない。以上の観点から、光学フィルムの厚さは30〜100μmの範囲がより好ましい。
本発明の電離放射線硬化性組成物には、反応性希釈剤と呼ばれるモノマーを含ませても良い。一般的には、前記モノマーは、(メタ)アクリロイル基、アリル基、またはエポキシ基などを有する単官能の反応性希釈剤である。通常、電離放射線硬化性組成物は粘度が高く、有機溶剤で粘度を下げるように調整しないと、塗布することができない。しかし、前記モノマーを電離放射線硬化性組成物に含有させると粘度が下がり、溶剤を用いる必要がなくなるため、ノンソルベント(無溶剤)で使用することができる。また、上記官能オリゴマーも同様の効果がある。
電離放射線硬化性組成物として紫外線硬化性組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を紫外線硬化性組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。
光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されない。例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明の電離放射線硬化性組成物には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能を付与してもよい。
その他にも、本発明の電離放射線硬化性組成物には、所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、上記の支持基体のポリプロピレンに配合できるものが同様に挙げられる。
(偏光子保護用光学フィルムの製造方法)以下、本発明の偏光子保護用光学フィルムの製造方法について、図2を用いて説明する。図2において、(a)は、支持基体1と支持基体1の片面に未硬化の電離放射線硬化性組成物層3とを設ける工程である。(b)は、未硬化の電離放射線硬化性組成物層3に電離放射線4を照射して硬化させる工程である。(c)は、前記(a)と(b)の工程により完成した支持基体1と偏光子保護膜2を備えた本発明の光学フィルム4を示している。
支持基体1は、上述したように、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレンと所望に応じて各種添加剤とを混合し、未延伸Tダイ押出し成形等の各種成形法によって作製する。
次に、上述の(メタ)アクリル酸共重合体、多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、及び必要に応じて各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、支持基体の表面に未硬化の電離放射線硬化性組成物層3を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、電離放射線硬化性組成物の成分を含む塗工液を、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、含浸法、などの公知の方式、さらにはカーテンコート法等を単独または組み合わせて適用して、基材に塗布する。なお、水性塗液を用いる場合には、塗液の安定性を維持する目的で若干量の有機溶剤を含ませても良い。好ましくはコンマコート法により塗工し、支持基体1上に未硬化の電離放射線硬化性組成物層3を形成させる。
そして、支持基体1上に形成された未硬化の電離放射線硬化性組成物層3に、紫外線(UV‐A、UV‐B、UV‐C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等の等の電離放射線4を照射して前記未硬化の電離放射線硬化性組成物層3を硬化させ、偏光保護膜2を備える光学フィルム5を得る。
ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常100〜1000keV、好ましくは加速電圧70〜300kV程度で未硬化の電離放射線硬化性組成物層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、電子線の透過深さと未硬化の電離放射線硬化性組成物層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、支持基体であるポリプロピレンへの余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線によるポリプロピレンの劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、未硬化の電離放射線硬化性組成物層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。照射量が5kGy以上であると、モノマーの反応が十分起こり、硬化が十分となり、一方、照射量が300kGy以下であると、未硬化の電離放射線硬化性組成物層又はポリプロピレンが、損傷を受けることがない。また、硬化の際の雰囲気は、酸素濃度500ppm以下で行うことが好ましく、さらに200ppm以下であることがより好ましい。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器などを用いて、エクレトロンカーテン方式、ビームスキャニング方式などで、電子線を照射する。好ましくは、線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置「エレクトロカーテン」(商品名)[岩崎電気(株)]である。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを照射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。紫外線硬化に用いる紫外線(UV)ランプは、接着剤組成物に応じて波長を選択すれば良い。その照射量は、組成物の材質や量と、UVランプの出力と、加工速度に応じて照射すれば良い。
本発明の光学フィルムは、支持基体と偏光子保護膜とは、剥離可能に設けられる。ポリプロピレンを用いた支持基体と偏光子保護膜である硬化後の電離放射線硬化性組成物との離型性が不十分な場合は、支持基体の表面に離型処理を行うことができる。かかる離型処理に用いる処理剤としては、例えば、パラフィンワックス等の離型性ワックス;シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、尿素−メラミン系樹脂、セルロース系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂などの離型性樹脂;各種界面活性剤などを用いることができる。
離型処理の方法としては、上記処理剤を用いて、公知の方法で行うことができる。例えば、上記処理剤を単独で又は溶剤などと混合し、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの通常の印刷法に従って基材上に塗布し、乾燥し、更に必要に応じて硬化(加熱、紫外線照射、電子線照射、放射線照射)させて、離型層を形成することができる。
本発明の光学フィルムには、偏光子保護膜の偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
また、偏光子保護膜と偏光子との密着性を上げるために接着剤層を形成する場合は、接着剤を本発明の光学フィルムの偏光子保護膜か偏光子かのいずれかの側または両側に塗布することにより行う。
易接着処理を行った面もしくは接着剤層を形成した面を介して、本発明の光学フィルムと偏光子とを貼り合せた後に、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着剤層を形成する。接着剤層を形成した後にこれを貼り合わせることもできる。偏光子と偏光子保護膜の貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
接着剤層の厚みは、乾燥後の厚みで厚くなりすぎると本発明の光学フィルムの接着性の点で好ましくないことから、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
このようにして、形成された光学フィルムには、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、光学フィルムが、偏光子の少なくとも片面に、前記偏光子、前記光学フィルムの偏光子保護膜、及び前記光学フィルムの支持基体の順になるように貼り付けられたものである。図3に、本発明の偏光板の例を示す。図3において、(a)は光学フィルム由来の支持基体付きの偏光板8、(b)は光学フィルム由来の支持基体が途中まで剥離された偏光板8、(c)は光学フィルム由来の支持基体を完全に剥離して取り除いた偏光板9を示している。図3の(a)において、7は偏光子であり、その片面に接着剤層6を介して、偏光子保護膜2と支持基体1が積層されている。支持基体1は、偏光子保護膜2から剥離可能である。
本発明の偏光板において、偏光子側に貼り付けられた光学フィルム由来の偏光子保護膜は、偏光子の保護膜としての機能を果たすことができる。また、外側に貼り付けられた光学フィルム由来の支持基体は、剥離される前まで、保護シートとして偏光板全体の表面保護機能を果たすことができる。さらに、前記支持記基体は、複屈折が小さいという特性を持っているので、本発明の偏光板は、支持基体が貼り付けられて偏光板の表面が保護された状態で、偏光板の複屈折等の光学特性の品質検査ができるという利点がある。
本発明の偏光板で用いる偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であれば如何なるものでもよく、例えばPVA系フィルム等を延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したPVA系偏光子;PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系偏光子;コレステリック液晶を用いた反射型偏光子;薄膜結晶フィルム系偏光子等が挙げられ、その中でもPVA系偏光子が好ましく用いられる。
PVA系偏光子としては、例えばPVA系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらのなかでもPVA系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
偏光子を構成する樹脂として好適に用いられるPVA系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。このPVA系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。PVA系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜10,000の範囲である。
偏光板は、例えば、上述のようなPVA系フィルムを一軸延伸する工程、PVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸PVA系フィルムに光学フィルムを貼り付ける工程を経て、製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、二色性色素による染色と同時に行ってもよいし、また、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色後に行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤により膨潤した状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
PVA系フィルムを二色性色素で染色するには、例えば、PVA系フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬すればよい。二色性色素として、具体的にはヨウ素又は二色性染料が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、PVA系フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100質量部あたり0.01〜0.5質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり0.5〜10質量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、PVA系フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は通常、水100質量部あたり1×10-3〜1×10-2質量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含有していてもよい。この水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、通常30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は通常、水100質量部あたり2〜15質量部程度、好ましくは5〜12質量部程度である。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は通常、水100質量部あたり2〜20質量部程度、好ましくは5〜15質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常100〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。
ホウ酸処理後のPVA系フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたPVA系フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。その後に行われる乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行われる。乾燥温度は、通常40〜100℃である。乾燥処理における処理時間は、通常120〜600秒程度である。
こうして、ヨウ素又は二色性染料が吸着配向されたPVA系フィルムからなる偏光子が得られる。
光学フィルムと偏光子との貼合の方法としては、接着剤層を介して行うことができる。
接着剤層を形成する接着剤としては、PVA系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは前記グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィン系接着剤などが挙げられる。その他、透明性を有する接着剤、例えば、ポリビニルエーテル系、ゴム系等の接着剤を使用することができる。なかでも、PVA系接着剤が好ましい。
PVA系接着剤は、PVA系樹脂と架橋剤を含有するものであり、PVA系樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニルをケン化して得られたPVA及びその誘導体、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物、PVAをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化又はリン酸エステル化等した変性PVAなどが挙げられる。これらPVA系樹脂は一種を単独でまたは二種以上を併用することができる。酢酸ビニルと共重合性を有する単量体としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
PVA系樹脂の重合度等は特に限定されないが、接着性などが良好になることから、平均重合度100〜3000程度、好ましくは500〜3000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%程度のものを用いることが好ましい。
エポキシ系接着剤としては、水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などがある。エポキシ樹脂には、さらにオキタセン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
アクリル系接着剤としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルと、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα−モノオレフィンカルボン酸との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む)を主体とするものが、偏光子の偏光特性を阻害することがないので特に好ましい。
また、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフトさせたポリオレフィンもしくは前記グラフトさせたポリオレフィンをブレンドしたポリオレフィンを接着剤として使用することもできる。グラフトに用いられるポリオレフィンとしては、たとえば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、チーグラー系触媒又はメタロセン触媒により合成されたポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレンープロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、これらの混合物などである。ポリオレフィンのグラフトに用いる不飽和カルボン酸またはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などを挙げることができる。こうして得た変性ポリオレフィンはそのまま用いてもよいが、ポリオレフィンに配合して用いることもできる。
本発明において、上記偏光子や上記接着剤層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能を付与してもよい。
上記接着剤層は、光学フィルム、偏光子のいずれかの側または両側に、接着剤を塗布することにより形成する。接着剤層の厚みは、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
また、光学フィルムを偏光子と接着させるに際し、光学フィルムの偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
次いで、上記のようにして易接着処理を行った面に接着剤層を形成し、前記接着剤層を介して、本発明の光学フィルムと偏光子とを貼り合せる。
本発明の光学フィルムと偏光子との貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。なお、加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
本発明の光学フィルムを偏光子の一方の面に貼り付けた偏光板には、必要に応じて偏光子の他方の面に、本発明の光学フィルムを積層することもできるし、その他の樹脂からなるフィルムを積層することもできる。その他の樹脂からなるフィルムとしては、例えばフマル酸ジエステル系樹脂、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリナフタレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、マレイミド系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム等が挙げられる。上記その他の樹脂からなるフィルムは特定の位相差を持つ位相差フィルムであっても良い。
本発明の偏光板は、表面性、耐傷付き性を向上させる為に、少なくとも一層以上のハードコート層を有する積層体とすることが好ましい。前記ハードコート層としては、例えばシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、紫外線硬化型樹脂、ウレタン系ハードコート剤等よりなるハードコート層が挙げられ、その中でも透明性、耐傷付き性、耐薬品性の点から、紫外線硬化型樹脂よりなるハードコート層が好ましい。これらのハードコート層は、一種類以上で用いることができる。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレート、紫外線硬化型オキセタン等から選ばれる一種類以上の紫外線硬化樹脂が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、0.1〜100μmが好ましく、特に好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。また、ハードコート層の間にプライマー処理をすることもできる。
また、本発明の偏光板は、必要に応じて、反射防止や低反射処理などの公知の防眩処理を行うことができる。
[画像表示装置]
本発明の偏光板は、画像表示用の各種装置に好ましく使用することができる。
画像表示装置としては、液晶セルを含む液晶ディスプレイ、有機EL表示装置、タッチパネル等が挙げられ、偏光板を使用するものであれば、画像表示装置の種類の限定はない。また、液晶ディスプレイの場合、画像表示装置は、一般に、液晶セル、光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては、上記した偏光板を用いる点を除いて、画像表示装置の構成には特に限定はない。例えば、液晶セルの片側又は両側に偏光板を配置した画像表示装置や、照明システムとしてバックライト又は反射板を用いたものなどの適宜な画像表示装置が例示される。また、液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。なお、画像表示装置を構成するに際しては、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
(液晶セルを含む液晶ディスプレイ)本発明の偏光板は、例えば液晶セルなどに貼り合わせて使用される。
本発明の画像表示装置の例として、図4に、液晶セルを含む液晶ディスプレイの構成例を示す。図4において、11は液晶セルを示す。この液晶セル11は、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型等や、ツイストネマチック型、スーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型などのものが例示される。この液晶セル11の上に、粘着剤層(図示せず)を介して、位相差板10が積層され、この上に、粘着剤層(図示せず)を介して、偏光板8が積層されたものである。偏光板8は、中心に偏光子7を有し、その両側の表面に、接着剤層6を介して、光学フィルム由来の偏光子保護膜2と支持基材1が積層されている。支持基材1は、偏光子保護膜2から剥離可能である。偏光板8と位相差板10、位相差板10と液晶セル11の積層に際しては、予め偏光板8、位相差板10及び液晶セル11に粘着剤層を設けておくこともできる。
本発明の偏光板と液晶セルを積層する粘着剤としては特に限定されず、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。なかでも、アクリル系粘着剤が、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れているので好ましい。
前記粘着剤には、光学的透明性、適度な濡れ性、凝集性、接着性などの粘着特性、耐候性、耐熱性などに優れることが求められる。さらに吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層が求められる。
粘着剤には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層であってもよい。粘着剤層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能を付与してもよい。
本発明の偏光板への上記粘着剤の塗工は、特に限定されず、適宜な方法で行うことができる。例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒に、ベースポリマー又はその組成物を溶解又は分散させた10〜40質量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で本発明の偏光板上に直接塗工する方法、或いはこの方法に準じ離型性ベースフィルム上に粘着剤層を形成してそれを本発明の偏光板に移着する方法などが挙げられる。
塗工方法は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等、各種方法が可能であるが、グラビアコートが最も一般的である。
粘着剤層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として本発明の偏光板の片面又は両面に設けることもできる。また、両面に設ける場合、本発明の偏光板の表裏において、粘着剤が同一組成である必要はなく、また同一の厚さである必要もない。異なる組成、異なる厚さの粘着剤層とすることもできる。
また、粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1μm〜500μmであり、5μm〜200μmが好ましく、特に10μm〜100μmが好ましい。
粘着剤層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的に離型性フィルムが仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層に接触することを防止できる。離型性フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来公知なものを用いることができる。
(有機EL表示装置)本発明の偏光板は、有機EL表示装置にも好適に使用し得る。
一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、これらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に本発明の偏光板を設け且つ前記透明電極と偏光板との間に複屈折層(位相差板)を設けることができる。
本発明の偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、複屈折層をλ/4板で構成し、かつ偏光板と前記複屈折層との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、一般には複屈折層によって楕円偏光となるが、複屈折層がλ/4板でしかも偏光板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、複屈折層で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
(タッチパネル)本発明の光学フィルムは、タッチパネルの偏光板にも好適に使用し得る。一般に、タッチパネルは、操作者が表示画面の上部に設けられた透明な面をペン、または指でタッチすることで、装置、システムの操作を行うものである。画面上を直接タッチすることは、カーソルを方向キーで押して位置を確定することに比べれば、より直接的であり、また直感的でもあることから、近年、非常に多用されるようになっている。また、近年、携帯電話、およびPDA(Personal Digital Assistants;個人用の携帯情報端末)等の携帯端末市場の成長は著しく、太陽光のもとでの視認性、および薄型軽量が強く要求されるようになった。タッチパネルには種々の方式があり、その得失により使い分けられている。タッチパネルには、抵抗膜方式、光学式、静電容量結合方式(アナログ容量結合方式とも呼ばれる)、赤外線方式、超音波式、および電磁誘導式等の方式がある。ここでは、抵抗膜方式のタッチパネルの例で説明する。
抵抗膜方式のタッチパネルには、ガラス/ガラスタイプとガラス/フィルムタイプがある。ガラス/ガラスタイプは透明導電層付ガラス基板と透明導電層付ガラス基板が空間を介して保持されたものであり、これがディスプレイ表面に装着される。また、ガラス/フィルムタイプは、車載用あるいは携帯用のタッチパネルにおいて、より軽量化・薄型化したものが望まれるため、上部の透明導電層付ガラス基板を光学フィルムで置き換えたタイプのタッチパネルである。
直線偏光板、あるいは偏光板にλ/4板を組み合わせて積層した円偏光板をタッチパネルの最表面に使用すれば、タッチパネルとして十分な強度を得ることができ、かつ、反射防止の効果により視認性が向上する。これらタッチパネルの偏光板に本発明の光学フィルムが好適に使用できる。
本発明の光学フィルムと偏光子からなる偏光板とλ/4板を、λ/4板の面内の遅相軸と偏光板の偏光軸との角度が実質的に45°になるように積層すると円偏光板が得られる。実質的に45°とは、40〜50°であることを意味する。λ/4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることがさらに好ましく、44〜46°であることが最も好ましい。
本発明の光学フィルムは偏光板の保護膜上・下・下外(ITOを設ける軽量化用フィルム)のいずれにも使用できる。またタッチパネルの反射防止には、直線偏光タイプと円偏光タイプがあるが(直線偏光は円偏光に比べて反射率が高い)、本発明の光学フィルムは円偏光板にも直線偏光タイプの偏光板にも使用できる。
本発明の光学フィルムを使用した円偏光板、又は直線偏光板は、透過型・反射型どちらのタッチパネルにも使用できる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってな
んら限定されるものではない。
(評価方法)
1.成膜強度:支持基体から剥がした際に、偏光子保護膜が割れずに剥がれた場合は「○」、フィルムが割れた場合は「×」とした。
2.可撓性:手で光学フィルムを曲げた場合に、フィルムに割れや傷が生じなかった場合は「○」、割れや傷が生じた場合は「×」とした。
3.面内位相差の評価
入射角0度で位相差測定機(王子計測機器(株)製「KOBRA−21ADH」)を用いて測定した。
(実施例1)
(1)支持基体の作製
メタロセン触媒により合成したポリプロピレン(第1表で「mPP−A」と記載、日本ポリプロ(株)製、商品名:ウィンテック、融点142℃)を、加工温度200℃・引取りロール温度50℃の条件で、100μmの厚みでTダイ単層押し出し成形することにより、メタロセン触媒により合成したポリプロピレンを用いた支持基体を得た。得られた支持基体の曲げ弾性率は900MPaだった。
(2)アクリル酸共重合体溶液の調製
アクリル酸重合体として、アクリル酸共重合体(三菱レイヨン(株)製「ダイヤナールBR64」、重量平均分子量65,000、ガラス転移点(以下「Tg」という。)55℃、酸化理論値2mgKOH/g)を用いて、アクリル酸重合体溶液を調製した。溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)を用い、これに前記アクリル酸共重合体を固形分が30質量%となるように投入し、ホットスターラーで60℃にて攪拌溶解した。
(3)電離放射線硬化性組成物の調製
上記(2)で調製したアクリル酸重合体溶液90質量%と、多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(以下「A−DCP」という、新中村化学(株)製「NK−エステル A−DCP」)10質量%とを混合し、電離放射線硬化性組成物を調製した。
(4)光学フィルムの作製
上記(1)で作製したポリプロピレンを用いた支持基体上に、上記(3)で調製した電離放射線硬化性組成物をアプリケーターで100μmの厚みで塗布し、オーブンで溶剤を飛ばし乾燥した。乾燥は80℃の条件で2分間行った。30μm厚の電離放射線硬化層を得た。
次いで、電子線照射装置(岩崎電気(株)製、「エレクトロカーテン」)を用いて、電子線を照射し、塗膜を硬化した。測定条件としては、ラインスピード10m/min、照射エネルギー30kGy(HV=165kV、1.4mA)、酸素濃度200ppmで行った。
上記(1)から(4)によって得られた光学フィルムについて、支持基体を剥がさないで、上記評価方法にて可撓性及び面内位相差の評価を行った。
(実施例2)実施例1で得られた光学フィルムから、メタロセン触媒により合成したポリプロピレンを用いた支持基体を剥がした後、上記評価方法にて成膜強度及び面内位相差の評価を行った。
(実施例3)実施例1で用いたポリプロピレン(mPP−A)の代わりに、メタロセン触媒により合成したポリプロピレン(第1表で「mPP−B」と記載、日本ポリプロ(株)製、商品名:ウィンテック、融点135℃)を使用したこと及び得られた支持基体の曲げ弾性率が1200MPaだったこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを作製した。支持基体を剥がさないで、上記評価方法にて可撓性及び面内位相差の評価を行った。
(実施例4)実施例1で用いたポリプロピレン(mPP−A)の代わりに、メタロセン触媒により合成したポリプロピレン(第1表で「mPP−C」と記載、日本ポリプロ(株)製、商品名:ウィンテック、融点125℃)を使用したこと及び得られた支持基体の曲げ弾性率が700MPaだったこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを作製した。支持基体を剥がさないで、上記評価方法にて可撓性及び面内位相差の評価を行った。
(比較例1)実施例1のポリプロピレンフィルムの代わりに、ポリエチレンテレフタレートフィルム(第1表で「PET」と記載、東洋紡績(株)製「エステルフィルムE5001」、厚み25μm)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを作製した。ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた支持基体を剥がさないで、上記評価方法にて可撓性及び面内位相差の評価を行った。
(比較例2)実施例1のメタロセン触媒により合成したポリプロピレンの代わりに、チーグラー系触媒により合成したポリプロピレン(第1表で「PP」と記載、(株)プライムポリマー製「プライムポリプロ」、融点135℃)を使用したこと及び得られた支持基体の曲げ弾性率が1,100MPaであったこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを作製した。チーグラー系触媒により合成したポリプロピレンを用いた支持基体を剥がさないで、上記評価方法にて可撓性及び面内位相差の評価を行った。
実施例1〜4及び比較例1〜2の評価結果を第1表に示す。メタロセン触媒により合成したポリプロピレンを支持基体として用いた場合、偏光子保護膜の成膜強度、可撓性、面内位相差を損なうことはなかった。ただし、実施例4においては、面内位相差にばらつきが発生した。これは、本実施例で用いたTダイ単層押し出し成形法では、フィルム端部に応力がかかるためと思われる。また、メタロセン触媒により合成したポリプロピレンを支持基体として用いた光学フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムやチーグラー系触媒により合成したポリプロピレンを支持基体として用いた光学フィルムよりも位相差が小さかった。
Figure 2010072111
実施例1〜3で得られた光学フィルムを、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたPVAを接着剤として、ヨウ素が吸着は移行されたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子に、偏光子保護膜が偏光子側にくるように接着し、偏光板を得た。この偏光板を支持基体を付けたままで品質検査をおこなったところ、良好な精度で欠陥を検出することができた。また、実施例4で得られた光学フィルムでは、面内位相差が低いロットのものを選択して使用することで、良好な欠点検出精度とすることができた。一方で、比較例1〜2で得られた光学フィルムから同様にして得た偏光板の品質検査の欠陥検出精度は従来通りだった。
(実施例5〜実施例13)アクリル酸重合体の種類、多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の種類、及びアクリル酸重合体と多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の含有量を、第2表に記載するように変更したこと以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを作製した。作製した光学フィルムから支持基体を剥がす前に上記評価方法にて可撓性の評価をおこない、支持基体を剥がした後で上記評価方法にて成膜強度と面内位相差の評価を行った。実施例5〜実施例13の評価結果を第2表に示す。実施例5〜13で得られた偏光子保護膜の面内位相差はすべて0.4〜0.8の範囲内で良好だった。
Figure 2010072111
*1 BR64;アクリル酸共重合体、三菱レイヨン(株)製「ダイヤナールBR64」、重量平均分子量65,000、Tg55℃、酸化理論値2mgKOH/g
*2 BR77;アクリル酸共重合体、三菱レイヨン(株)製「ダイヤナールBR77」、重量平均分子量65,000、Tg80℃、酸化理論値18.5mgKOH/g
*3 BR60;アクリル酸共重合体、三菱レイヨン(株)製「ダイヤナールBR60」、重量平均分子量70,000、Tg75℃、酸化理論値1mgKOH/g
*4 BR83;アクリル酸共重合体、三菱レイヨン(株)製「ダイヤナールBR83」、重量平均分子量40,000、Tg105℃、酸化理論値2mgKOH/g
*5 BR73;アクリル酸共重合体、三菱レイヨン(株)製「ダイヤナールBR73」、重量平均分子量85,000、Tg100℃、酸化理論値3mgKOH/g
*6 A−DCP;トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、新中村化学(株)製「NK−エステル A−DCP」
*7 A−TMPT;トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学(株)製「NK−エステル A−TMPT」
*8 A−DPH;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学(株)製「NK−エステル A−DPH」
本発明の光学フィルムの構成例を示す図である。 本発明の光学フィルムの製造工程の例を示す図である。 本発明の偏光子の構成例を示す図である。 本発明の液晶セルを含む液晶ディスプレイの構成例を示す図である。
符号の説明
1:支持基体
2:偏光子保護膜
3:未硬化の電子放射線硬化性組成物層
4:電離放射線
5:光学フィルム
6:接着剤層
7:偏光子
8:偏光板(支持基体付き)
9:偏光板
10:位相差板(複屈折板)
11:液晶セル

Claims (5)

  1. 支持基体及び偏光子保護膜を備え、
    前記偏光子保護膜が前記支持基体の少なくとも片面に剥離可能に設けられ、
    前記支持基体がメタロセン触媒により合成されたポリプロピレンを用いており、
    前記偏光子保護膜が(メタ)アクリル酸共重合体と多官能のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とを含有する電離放射線硬化性組成物を電離放射線により硬化して得られた化合物を用いていることを特徴とする偏光子保護用光学フィルム。
  2. 前記支持基体の曲げ弾性率が700MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載した偏光子保護用光学フィルム。
  3. 前記支持基体の曲げ弾性率が900MPa以上であることを特徴とする請求項2に記載した偏光子保護用光学フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載された偏光子保護用光学フィルムが、偏光子の少なくとも片面に、前記偏光子、前記偏光子保護用光学フィルムの偏光子保護膜、及び前記偏光子保護用光学フィルムの支持基体の順に貼り付けられていることを特徴とする偏光板。
  5. 請求項4に記載された偏光板が使用されていることを特徴とする画像表示装置。


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