JP2009075471A - 偏光板とその製造方法、並びに積層光学部材及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光板とその製造方法、並びに積層光学部材及び液晶表示装置 Download PDF

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弘明 高畑
Harunori Fujita
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明夫 植村
Yoshiki Matsuoka
祥樹 松岡
Taiichi Sakatani
泰一 阪谷
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Abstract

【課題】偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し難い偏光板を実現する。
【解決手段】本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムが積層されている偏光板であって、上記保護フィルムが結晶性ポリオレフィン系樹脂を含む。また、本発明の偏光板の製造方法は、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムを積層する保護フィルム積層工程を含み、上記保護フィルム積層工程では、偏光子における保護フィルムとの接着面及び/又は保護フィルムにおける偏光子との接着面に表面処理を施した後に、接着剤を介して上記偏光子と上記保護フィルムとを貼り合わせる方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板及びその製造方法、更には当該偏光板に他の光学層を積層した積層光学部材、並びに当該偏光板若しくは当該積層光学部材を用いた液晶表示装置に関するものである。
液晶表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量で薄型である等の特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シート等、多くの材料から構成されている。そのため、構成フィルムの枚数を減らしたり、フィルム又はシートの厚さを薄くしたりすることで、生産性や軽量化、明度の向上等を目指した改良が盛んに行われている。
一方、液晶表示装置は、用途によっては厳しい耐久条件に耐えうる製品が必要とされている。例えば、カーナビゲーションシステム用の液晶表示装置は、それが置かれる車内の温度や湿度が高くなることがあり、通常のテレビやパーソナルコンピュータ用のモニターと比べると、温度及び湿度条件が厳しい。そのような用途には、偏光板も高い耐久性を示すものが求められる。
偏光板は通常、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子の両面又は片面に透明な保護フィルムが積層した構造を有する。偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに縦一軸延伸と二色性色素による染色とを行った後、ホウ酸処理して架橋反応を起こさせ、次いで水洗、乾燥する方法により製造されている。
二色性色素としては、ヨウ素又は二色性有機染料が用いられる。このようにして得られる偏光子の両面又は片面に保護フィルムを積層して偏光板とされ、液晶表示装置に組み込まれて使用される。
上記保護フィルムには、トリアセチルロースに代表されるセルロースアセテート系樹脂フィルムが多く使用されており、その厚みは通例30〜120μm程度の範囲内である。また、保護フィルムの積層には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を用いることが多い。
しかしながら、二色性色素が吸着配向している偏光子の両面又は片面に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介してトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを積層した偏光板は、湿熱条件下で長時間使用した場合に、偏光性能が低下したり、保護フィルムと偏光子とが剥離し易くなったりするという問題がある。
そこで、少なくとも一方の保護フィルムを、セルロースアセテート系以外の樹脂で構成させる試みが成されている。
例えば、偏光子の両面に保護フィルムを積層した偏光板において、その保護フィルムの少なくとも一方として、位相差フィルムの機能を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ヨウ素又は二色性有機染料が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子の一方の面に非晶性ポリオレフィン系樹脂からなる保護フィルムが積層さ
れ、他方の面には、セルロースアセテート系樹脂等、非晶性ポリオレフィン系樹脂とは異なる樹脂からなる保護フィルムが積層された偏光板が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
更には、ポリビニルアルコール系偏光子に、ウレタン系接着剤とポリビニルアルコール系樹脂とを含有する接着剤を介して、シクロオレフィン系樹脂からなる保護フィルムを積層することが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
また、特許文献4には、ポリビニルアルコール系偏光子に、特定のシクロオレフィン系樹脂からなる保護フィルムを積層した偏光板が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平8−43812号公報(1996年2月16日公開) 特開2002−174729号公報(2002年6月21日公開) 特開2004−334168号公報(2004年11月25日公開) 特開2007−65452号公報(2007年3月15日公開)
しかしながら、上記特許文献1〜4の構成であっても偏光子と保護フィルムとの接着性が不十分であるという問題を生じる。
具体的には、ノルボルネン系樹脂等の非晶性ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)は、アセトン、トルエン、酢酸エチル等の有機溶剤によって侵食され易い。このような有機溶剤は、偏光板と液晶セルとを張り合わせるための粘着剤等の調製に用いられるため、粘着剤中に残存することがある。このため、ノルボルネン系樹脂等の非晶性ポリオレフィン系樹脂からなる保護フィルムを偏光子に積層して液晶表示装置を作製する場合には、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し易い。
更には、ノルボルネン系樹脂等の非晶性ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)からなる保護フィルムを偏光子に積層した場合には、保護フィルムと偏光子との界面における樹脂側で凝集破壊が起こり易く、その結果、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し易くなる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し難い偏光板及びその製造方法、当該偏光板を他の光学機能を示す光学層に積層した積層光学部材、並びに当該偏光板若しくは積層光学部材を備えた液晶表示装置を実現することにある。
本発明者は上記課題を解決するために、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系偏光子の少なくとも片面に保護フィルムが積層された偏光板において、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下する原因について、鋭意検討を行った。その結果、保護フィルムと偏光子との界面での応力歪が、界面剥離や界面の凝集破壊を起こしていることを突き止めた。
つまり、ノルボルネン系樹脂等の非晶性ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹
脂)は非晶性であるため保護フィルムとして実用に供するにはガラス転移温度が高くなければならず、このため応力歪がかかり易く、割れ易い性質となっていることが考えられる。
そして、偏光板の保護フィルムとして、結晶性ポリオレフィン系樹脂を含む保護フィルムを用いることにより、応力歪が生じ難く、その結果接着力が低下し難い優れた偏光板を実現することができることを本発明者が見出した。
更には、上記保護フィルムと上記偏光子との接着性が十分ではない場合であっても、各種表面処理、例えば、コロナ放電処理、アンカーコート処理等を施せば、適当な接着剤を用いることで、保護フィルムを偏光子と強固に接着することができることを見出した。本発明は、係る知見に基づいて成されたものである。
即ち、本発明に係る偏光板は、上記課題を解決するために、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムが積層されている偏光板であって、上記保護フィルムが結晶性ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、偏光子の両面にアセチルセルロース系樹脂や非晶性ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)からなる保護フィルムが積層された偏光板と比べ、偏光子と保護フィルムとの間の応力歪が低減され、保護フィルムが偏光子から剥がれ難くなる。従って、上記構成によれば、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し難い偏光板を提供することができるという効果を奏する。
本発明に係る偏光板では、上記保護フィルムの偏光子との接着面が結晶性ポリオレフィン系樹脂からなることが好ましい。
上記構成によれば、偏光子の少なくとも一方の面に配置される保護フィルムの偏光子との接着面に結晶性ポリオレフィン系樹脂を配置しているため、偏光子と保護フィルムとの間の応力歪がより低減され、保護フィルムが偏光子からより剥がれ難くなる。従って、上記構成によれば、偏光子と保護フィルムとの接着力がより低下し難い偏光板を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る偏光板では、上記保護フィルムが位相差フィルムであることが好ましい。
上記構成によれば、液晶表示装置を作製する際に位相差フィルムを設ける必要がないため、薄型の液晶表示装置を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る偏光板では、上記保護フィルムが、反射防止機能、防眩機能、傷付防止機能、防汚機能、紫外線防止機能、及び帯電防止機能からなる群から選択される少なくとも1つの機能を有するフィルムであることが好ましい。
上記構成によれば、より性能に優れた偏光板を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る偏光板では、上記保護フィルムが多層フィルムであることが好ましい。
本発明に係る偏光板では、上記保護フィルムが、粘着層を有することが好ましい。
本発明に係る偏光板では、上記結晶性ポリオレフィン系樹脂が、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂及び変性されたポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも
1種の樹脂であることが好ましい。
本発明に係る偏光板では、上記結晶性ポリオレフィン系樹脂が、メタロセン触媒を用いて重合された樹脂であることが好ましい。
上記構成によれば、得られるポリオレフィン系樹脂のMw/Mnが所定の範囲となるため、透明性及び加工性に優れたポリオレフィン系樹脂が得られる。従って、製造コストがより低く、透明性に優れた偏光板を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る偏光板では、上記結晶性ポリオレフィン系樹脂が、シンジオタチック構造のプロピレン系樹脂であることが好ましい。
上記構成によれば、ポリオレフィン系樹脂が透明性、光沢性及び粘着性に優れるため、より透明性、光沢性及び粘着性に優れた偏光板を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る偏光板では、上記結晶性ポリオレフィン系樹脂中の添加剤量が、結晶性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.5質量部以下であることが好ましい。
上記構成によれば、経時での添加剤のブリードアウト現象等による接着力の低下を抑制することができるため、より接着力が低下し難い偏光板を提供することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係る偏光板では、上記結晶性ポリオレフィン系樹脂中の触媒残渣が、結晶性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.02質量部以下であることが好ましい。
上記構成によれば、保護フィルムのフィッシュアイ等の外観欠点が少なくなるため、外観により優れた偏光板を提供することができるという更なる効果を奏する。また、保護フィルム製造時の熱劣化抑制効果も奏する。
本発明に係る偏光板では、偏光子と保護フィルムとが水系の接着剤を介して積層されていることが好ましい。
本発明に係る偏光板では、上記水系の接着剤が、架橋性のエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
本発明に係る偏光板では、偏光子と保護フィルムとが無溶剤型のエポキシ系接着剤を介して積層されていることが好ましい。
本発明に係る偏光板では、上記無溶剤型のエポキシ系接着剤は、加熱又は活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものであることが好ましい。
本発明に係る偏光板の製造方法は、上記課題を解決するために、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムを積層する保護フィルム積層工程を含む偏光板の製造方法であり、上記保護フィルム積層工程では、偏光子における保護フィルムとの接着面及び/又は保護フィルムにおける偏光子との接着面に表面処理を施した後に、接着剤を介して上記偏光子と上記保護フィルムとを貼り合わせることを特徴としている。
上記方法によれば、保護フィルムと偏光子との接着力を高めることができるため、偏光子と保護フィルムとの接着性に優れた偏光板を製造することができるという効果を奏する
本発明に係る積層光学部材は、上記課題を解決するために、本発明に係る上記偏光板と他の光学機能を示す光学層との積層体からなることを特徴としている。
上記構成によれば、本発明に係る上記偏光板を含むため、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し難い積層光学部材を提供することができるという効果を奏する。
本発明に係る積層光学部材では、上記光学層が位相差フィルムであることが好ましい。
本発明に係る液晶表示装置は、上記課題を解決するために、本発明に係る上記偏光板又は本発明に係る上記積層光学部材が、粘着剤を介して液晶セルに貼合されていることを特徴としている。
上記構成によれば、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し難い液晶表示装置を提供することができるという効果を奏する。
本発明に係る偏光板は、以上のように、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムが積層されている偏光板であって、上記保護フィルムが結晶性ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴としている。
このため、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し難い偏光板を提供することができるという効果を奏する。
本発明に係る偏光板の製造方法は、以上のように、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムを積層する保護フィルム積層工程を含む偏光板の製造方法であり、上記保護フィルム積層工程では、偏光子における保護フィルムとの接着面及び/又は保護フィルムにおける偏光子との接着面に表面処理を施した後に、接着剤を介して上記偏光子と上記保護フィルムとを貼り合わせることを特徴としている。
このため、偏光子と保護フィルムとの接着性に優れた偏光板を製造することができるという効果を奏する。
本発明に係る積層光学部材は、以上のように、本発明に係る上記偏光板と他の光学機能を示す光学層との積層体からなることを特徴としている。
このため、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し難い積層光学部材を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、本発明に係る上記偏光板又は本発明に係る上記積層光学部材が、粘着剤を介して液晶セルに貼合されていることを特徴としている。
このため、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し難い液晶表示装置を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書では、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱う。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
また、本明細書では、「主成分」とは、50質量%以上含有していることを意味する。
本実施の形態に係る偏光板は、偏光子の少なくとも片面に保護フィルムが積層されている偏光板であって、上記保護フィルムが結晶性ポリオレフィン系樹脂を含むものであり、好ましくは上記保護フィルムの偏光子との接着面が結晶性ポリオレフィン系樹脂からなるものである。
(A)偏光子
上記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させて、所定の偏光特性が得られるようにしたものである。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。偏光子として具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素を吸着配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性有機染料を吸着配向させた染料系偏光フィルム等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル、並びに酢酸ビニル及びこれに共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。
酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等も使用することができる。
偏光板は通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの水分を調整する調湿工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液を洗い落とす洗浄工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに保護フィルムを貼合する工程を経て製造される。
一軸延伸は、染色の前に行ってもよいし、染色中に行ってもよいし、染色後のホウ酸処理中に行ってもよい。また、これら複数の段階で一軸延伸してもよい。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常4〜8倍程度である。また、ポリビニルアルコール系偏光子の厚みは、例えば、約5〜50μm程度とすることができる。
(B)保護フィルム
(a)結晶性ポリオレフィン系樹脂
上記結晶性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、α−オレフィン等のオレフィンを主成分として含む単量体(単量体組成物)を重合して得られる樹脂であって、結晶性を有するものである。ここで、本明細書における「結晶性を有する」とは、結晶化度が1%以上、好ましくは10%以上であることを意味する。尚、上記単量体組成物には、シクロオレフィン、極性ビニルモノマー等が含まれていてもよい。
上記結晶化度の測定は、「高分子化学序論」(岡村誠三他著、化学同人(1970年発行))、「新版 高分子分析ハンドブック」(日本分析化学会/高分子分析研究懇親会編、紀伊国屋書店(1995年発行))等に記載されているように、X線法、密度法、赤外吸収法、NMR法、熱量的方法等、公知の方法によって行うことができるが、本明細書における「結晶化度」は、X線法(広角X線結晶回折により測定し、Nattaの式(文献:Natta G. J. Polym. Sci., 1955, 16, 143)により決定される値を意味する。
本実施の形態に係る結晶性ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度は特には限定されないが、接着温度以下であることが好ましく、具体的には、40℃以下が好ましく、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは0℃以下である。尚、上記ガラス転移温度は示差走査熱量計や粘弾性測定器により求めることができるが、本明細書における「ガラス転移温度」は、示差走査熱量計によって、JIS K7121に記載の方法で測定される値を意味する。
本実施の形態に係る結晶性ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、並びにこれら樹脂の変性物に大別することができる。係る各種結晶性ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよい。
〔プロピレン系樹脂〕
上記プロピレン系樹脂とは、プロピレンを主成分とする単量体(単量体組成物)(より好ましくはプロピレンを60質量%以上含有する単量体(単量体組成物)、更に好ましくはプロピレンを70質量%以上含有する単量体(単量体組成物))を重合して得られる樹脂である。このような樹脂は、一般的に結晶性を有し、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレンと共重合可能なコモノマーとの共重合体であってもよい。
プロピレンと共重合可能な上記コモノマーとしては、例えば、エチレンや、炭素原子数4〜20のα−オレフィン、シクロオレフィン、極性ビニルモノマー等が挙げられる。
上記α−オレフィンとして具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C4 );1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C5 );1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C6 );1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C7 );1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン(以上C8 );1−ノネン(C9 );1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)等が挙げられる。
上記α−オレフィンの中では、炭素原子数4〜12のα−オレフィンがより好ましく、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘ
キセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセン等がより好ましい。
共重合性の観点からは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンが好ましく、1−ブテン及び1−ヘキセンが特に好ましい。
上記極性ビニルモノマーとしては、飽和カルボン酸ビニルエステル、不飽和カルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体等が挙げられる。
飽和カルボン酸ビニルエステルとしては、炭素原子数2〜4程度の脂肪族カルボン酸のビニルエステルが好ましく、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸ビニルエステルとしては、炭素原子数2〜5程度の脂肪族カルボン酸のビニルエステルが好ましく、例えば、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、炭素原子数3〜8程度の不飽和カルボン酸のエステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル等のアクリル酸のアルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等のメタクリル酸のアルキルエステル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸の酸無水物;エステル化合物、アミド化合物、イミド化合物、並びに金属塩等の不飽和カルボン酸の誘導体が挙げられる。係る極性ビニルモノマーは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体が挙げられる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体において、エチレンユニットの含有量や1−ブテンユニットの含有量は、例えば、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行い、求めることができる。
偏光板の保護フィルムとしての透明度や加工性を上げる観点からは、プロピレンを主体として任意の不飽和炭化水素とのランダム共重合体を用いることが好ましく、特に、エチレンとの共重合体が好ましい。
上記ランダム共重合体の具体例としては、プロピレン/エチレンランダム共重合体、プロピレン/1−ブテンランダム共重合体、プロピレン/1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン/エチレン/1−オクテンランダム共重合体、プロピレン/エチレン/1−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。
共重合体とする場合、プロピレン以外の不飽和炭化水素類は、その共重合割合を1〜40質量%程度の範囲内とすることが好ましく、2〜30質量%の範囲内とすることがより好ましく、3〜7質量%の範囲内とすることが更に好ましい。また、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体等の極性ビニルモノマーの共重合割合は3〜10質量%の範囲内とすることが好ましい。
プロピレン以外の不飽和炭化水素類のユニットを1質量%以上とすることで、加工性や透明性が向上する傾向にある。但し、その割合が10質量%を超えると、樹脂の融点が下がり、耐熱性が悪化する傾向にある。尚、2種類以上のコモノマーとプロピレンとの共重合体とする場合には、その共重合体に含まれる全てのコモノマーに由来するユニットの合計含量が、上記範囲であることが好ましい。
本実施の形態に係るプロピレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜200g/10分の範囲内、特に0.5〜50g/10分の範囲内にあることが好ましい。MFRがこの範囲にあるプロピレン系樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく均一なフィルム状物を得ることができる。
上記プロピレン系樹脂の構造は、「ポリプロピレンハンドブック」(エドワード・P・ムーア・Jr編著,工業調査会(1998年発行))に記載されているアイソタクチック構造、シンジオタクチック構造、アタックチック構造の何れの構造でもよく、また、これらの構造が混合したものであってもよい。本実施の形態においては、耐熱性の点から、シンジオタクチック若しくはアイソタクチック構造を有するプロピレン系樹脂が好ましく用いられ、シンジオタチック構造を有するプロピレン系樹脂が特に好ましく用いられる。
本実施の形態における上記シンジオタクチック構造を有するプロピレン系樹脂とは、135℃の1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRスペクトルにおいて、テトラメチルシランを基準として20.2ppmに観測されるピーク強度を、プロピレン単位のメチル基に帰属されるピーク強度の総和で割った値(シンジオタクチックペンタッド分率[rrrr])が、0.3〜0.9の範囲内、好ましくは0.5〜0.9の範囲内、更に好ましくは0.7〜0.9の範囲内であるポリプロピレン系樹脂を意味する。尚、必要なピークの帰属は、A.Zambelliらの帰属(Macromolecules,6,925(1973))に従って行うことができる。
シンジオタクチック構造であるポリプロピレン系樹脂の製造方法は、特開平5−17589号公報、特開平5−131558号公報等に記載されており、シンジオタクチック構造のプロピレン系樹脂の製造プロセスとしてスラリー法、気相流動床法、バルク法の態様が好ましい。
上記シンジオタクチック構造を有するプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.5〜3.5の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.8〜3.3の範囲内、更に好ましくは2.0〜3.0の範囲内である。Mw/Mnが上記範囲を超えると透明性が低下する傾向があり、上記未満では押出負荷が上昇したり、ドローレゾナンスが発生しやすくなったりする等、加工適性が悪化する傾向がある。Mw/Mnを所定の範囲に調整する方法としては、重合触媒として、後述する適当なメタロセン触媒を選択する方法等が挙げられる。
上記シンジオタクチック構造を有するプロピレン系樹脂の製造の際に、コモノマーとして好ましく用いることができるα−オレフィンとしては、エチレン又は炭素数4〜18の1−オレフィンが挙げられる。具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、
1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等が挙げられ、これらは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。
シンジオタクチック構造を有するプロピレン系共重合体の具体例として、プロピレン単位を88〜99.5質量%の範囲内、好ましくは91〜99質量%の範囲内、より好ましくは92〜98.5質量%の範囲内、α−オレフィンの単位を0.5〜12質量%の範囲内、好ましくは1〜10質量%の範囲内、より好ましくは1.5〜8質量%の範囲内で含有している共重合体が挙げられる。プロピレン単位が少ない場合、フィルムの耐熱性が低下する傾向があり、プロピレン単位が多い場合には柔軟性が損なわれる傾向がある。ここで、プロピレン単位及びα−オレフィン単位は13C−NMR法によって計測される値である。
上記シンジオタクチック構造を有するプロピレン系樹脂は、融点が130〜150℃程度、密度が0.880g/cm程度であり、結晶化度が30〜40%程度と小さいため、透明性、光沢性、接着性等に優れた保護フィルムを得ることができる。
本実施の形態に係るプロピレン系樹脂としては、後述するメタロセン触媒を用いて重合されるメタロセン触媒系プロピレン系樹脂が好ましく用いられる。尚、メタロセン触媒系プロピレン系樹脂は、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、オレフィン系ゴム成分等を含有していてもよい。
上記メタロセン触媒系プロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.5〜3.5の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.8〜3.3の範囲内、更に好ましくは2.0〜3.0の範囲内である。Mw/Mnが上記範囲を超えると透明性が低下する傾向があり、上記範囲未満では押出負荷が上昇したり、ドローレゾナンスが発生しやすくなったりする等、加工適性が悪化する傾向がある。Mw/Mnは、重合触媒として適当なメタロセン触媒を選択することにより所定の範囲に調整することができる。
上記メタロセン触媒系プロピレン系樹脂の製造の際に、プロピレンのコモノマーとして好ましく用いることができるα−オレフィンとしては、エチレン又は炭素数4〜18の1−オレフィンが挙げられる。具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等が挙げられる。上記α−オレフィンは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
メタロセン触媒系プロピレン系共重合体の具体例として、プロピレン単位を88〜99.5質量%の範囲内、好ましくは91〜99質量%の範囲内、より好ましくは92〜98.5質量%の範囲内、α−オレフィンの単位を0.5〜12質量%の範囲内、好ましくは1〜10質量%の範囲内、より好ましくは1.5〜8質量%の範囲内で含有している共重合体が挙げられる。プロピレン単位が少ない場合、フィルムの耐熱性が低下する傾向があり、プロピレン単位が多すぎる場合は柔軟性が低下する傾向がある。尚、プロピレン単位及びα−オレフィン単位は13C−NMR法によって計測される値である。
メタロセン触媒系プロピレン系樹脂は、示差走査熱量計(DSC)により、120〜170℃の範囲に融解ピークが観測される樹脂であることが好ましく、より好ましくは、150〜170℃の範囲に融解ピークが観測される樹脂である。該範囲に融解ビークが観測されない場合、耐熱性、耐ブリード性に劣ることがある。
メタロセン触媒系プロピレン系樹脂のアイソタクチックペンタッド分率は、耐ブリード性を高める観点から、好ましくは0.95〜1の範囲内であり、より好ましくは0.96〜1の範囲内である。尚、アイソタクチックペンタッド分率は、13C−NMRスペクトルにおいて、A.Zambelliらの帰属(Macromolecules,8,687(1975))に従い、[mmmmのピーク強度/メチル領域の全ピーク強度]の式から算出される値である。
また、メタロセン触媒系プロピレン系樹脂の20℃キシレン可溶部量(CXS)は、耐ブリード性を高める観点から、樹脂を100質量%として、好ましくは0.9質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である。
<プロピレン系樹脂の製造方法>
本実施の形態に係るプロピレン系樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法によって、製造することができる。公知の重合用触媒としては、例えば、
(1)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、(3)メタロセン触媒、
等が挙げられる。
これら触媒系の中でも、本実施の形態に係る偏光板の保護フィルムとして用いるプロピレン系樹脂の製造においては、マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物とを組み合わせた触媒を、最も一般的に使用することができる。
より具体的には、上記有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物、テトラエチルジアルモキサン等が挙げられ、電子供与性化合物として好ましくは、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン等が挙げられる。
一方、マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報等に記載の触媒系が挙げられる。
上記メタロセン触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により有機アルミニウム化合物とからなる触媒である。メタロセン触媒としては、例えば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報等に記載の触媒系が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、例えば、下記一般式
MLaXn−a
(式中、Mは元素の周期律表の第4族又はランタナイド系列の遷移金属原子である。Lはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基又はヘテロ原子を含有する基であり、少なくとも1つはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基である。複数のLは互いに架橋していてもよい。Xはハロゲン原子、水素又は炭素原子数1〜20の炭化水素基である
。nは遷移金属原子の原子価を表し、aは0<a≦nを満たす整数である。)
で表され、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。具体的には、特開昭58−19309号公報、特開昭59−95292号公報、特開昭59−23011号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭60−35009号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、欧州特許出願公開第420,436号明細書、米国特許5,055,438号、国際公開第92/07123号パンフレット等に開示されている触媒が挙げられる。
上記メタロセン化合物として更に具体的には、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジルコニウム化合物等が挙げられる。
尚、上記メタロセン化合物において、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用してもよい。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物との混合物を使用することもできる。
また、上記メタロセン化合物は、無機又は有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては無機又は有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、Ca
O、ZnO、BaO、ThO等、並びにこれらの混合物が挙げられる。
上記メタロセン触媒の助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素化合物、酸化ランタン等のランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。
上記メタロセン触媒に含まれ得る上記有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
本実施の形態に係るプロピレン系樹脂は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法等によって製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
また、メタロセン触媒を用いたメタロセン触媒系プロピレン系樹脂の製造プロセスとしては、スラリー法、気相流動床法、バルク法の態様が好ましい。
上記のようなメタロセン触媒は、上記(1)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、及び(2)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、のいわゆるチーグラー・ナッタ触媒と異なり、均一系触媒と呼ばれている。
チーグラー・ナッタ触媒が複数の重合活性サイトを持つのに対して、均一系触媒は原則、単一の重合活性サイトを有するものである。
このような均一系触媒の例としては、メタロセン触媒の他に、特定の遷移金属錯体を用いたもの、特に後周期遷移金属錯体を用いたものが挙げられ、米国特許5866663号、米国特許5955555号、特表2007−517108号公報、特開平9−302018号公報、特開平9−302019号公報、特開平10−195128号公報等に開示の触媒が挙げられる。重合方法としては、メタロセン触媒の場合と同様の方法が挙げられる。
〔エチレン系樹脂〕
上記エチレン系樹脂とは、エチレンを主成分とする単量体(単量体組成物)(より好ましくはエチレンを60質量%以上含有する単量体(単量体組成物)、更に好ましくはエチレンを70質量%以上含有する単量体(単量体組成物))を重合して得られる樹脂である。このような樹脂は一般に結晶性であり、エチレンの単独重合体であってもよいし、エチレンとエチレンと共重合可能なコモノマーとの共重合体であってもよい。上記エチレン系樹脂として具体的には、(i)エチレン/α−オレフィン共重合体、(ii)高密度ポリエチレン、(iii)高圧法低密度ポリエチレン、(iv)エチレン/エチレン系不飽和カルボン酸類共重合体、等が挙げられる。
(i)エチレン/α−オレフィン共重合体
上記エチレン/α−オレフィン共重合体としては、メタロセン触媒等を用いて、エチレ
ンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンを共重合して得られる均一触媒系エチレン/α−オレフィン共重合体や、チーグラー・ナッタ触媒を用いて、エチレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンを共重合して得られるエチレン/α−オレフィン共重合体等が挙げられる。これらは、同じα−オレフィンを共重合して得られるものでもよく、それぞれ異なるα−オレフィンを共重合して得られるものでもよい。
炭素原子数4〜20の上記α−オレフィンとして具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C4 );1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C5 );1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C6 );1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C7 );1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン(以上C8 );1−ノネン(C9 );1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)等が挙げられる。また、上記の炭素原子数4〜20のα−オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記α−オレフィンの中では、炭素原子数4〜12のα−オレフィンがより好ましく、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセン等がより好ましい。
共重合性の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンが好ましく、1−ブテン及び1−ヘキセンが特に好ましい。
エチレン/α−オレフィン共重合体の具体例としては、触媒系によらず、例えば、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/4−メチル−ペンテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体等が挙げられ、好ましくはエチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/4−メチル−ペンテン−1、エチレン/オクテン−1共重合体であり、より好ましくはエチレン/ヘキセン−1共重合体である。
上記エチレン/α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR JIS K 7210:1999に準拠)は0.01〜100g/10分の範囲内が好ましく、より好ましくは0.1〜40g/10分の範囲内であり、更に好ましくは0.4〜5g/10分の範囲内である。エチレン/α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)が0.01g/10分未満の場合では、溶融粘度が高くなりすぎて押出加工性が悪化することがあり、100g/10分を超えた場合では、機械的強度や耐熱性が低下することがある。
エチレン/α−オレフィン共重合体の密度は、好ましくは880〜945kg/mの範囲内であり、より好ましくは890〜930kg/mの範囲内であり、更に好ましくは900〜925kg/mの範囲内である。エチレン/α−オレフィン共重合体の密度が、880kg/m未満の場合では、結晶化度が低すぎて耐熱性が低下し、フィルムの熱融着が起こることがあリ、945kg/mを超えた場合では、衝撃強度や透明性が低下することがある。
本実施の形態に係る均一触媒系エチレン/α−オレフィン共重合体の製造方法としては、メタロセン触媒を用いる公知の重合方法が挙げられる。このような公知の重合方法としては、例えば、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、気相重合法等が挙げられ、気相重合法、溶液重合法、高圧イオン重合法がより好ましく、気相重合法が更に好ましい。
上記メタロセン触媒としては、〔プロピレン系樹脂の製造方法〕にて上述したメタロセン触媒と同様の触媒が挙げられる。
更に、上記メタロセン触媒は、メチルアルモキサン等のアルモキサン化合物、及び/又はトリチルテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート等のイオン性化合物と組み合わせて用いてもよい。
また、上記メタロセン触媒は、上記メタロセン化合物と、有機アルミニウム化合物、アルモキサン化合物及び/又はイオン性化合物とを、SiO、Al等の微粒子状無機担体、ポリエチレン、ポリスチレン等の微粒子状有機ポリマー担体に担持又は含浸させた触媒であってもよい。
上記メタロセン触媒を用いる重合によって得られるエチレン/α−オレフィン共重合体としては、例えば、特開平9−183816号公報に記載されているエチレン/α−オレフィン共重合体が挙げられる。また、均一系触媒として後周期遷移金属錯体触媒等を用いてもよい。
後周期遷移金属錯体としては、米国特許5866663号、米国特許5955555号、特表2007−517108号公報、特開平9−302018号公報、特開平9−302019号公報、特開平10−195128号公報等に開示の触媒が挙げられる。重合方法としては、メタロセン触媒の場合と同様の方法が挙げられる。
その他のエチレン/α−オレフィン共重合体の製造方法としては、公知の重合触媒を用いる公知の重合方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、チーグラー・ナッタ触媒等が挙げられる。公知の重合方法としては、上述したエチレン/α−オレフィン共重合体の製造方法で用いられる重合方法と同様の重合方法が挙げられる。
(ii)高密度ポリエチレン
上記高密度ポリエチレンとは、その密度が945〜970kg/mの範囲内、好ましくは945〜965kg/mの範囲内である、エチレンの単独重合体を意味する。高密度ポリエチレンの密度が上記範囲内であれば、耐熱融着性及び衝撃強度に優れた高密度ポリエチレンが得られる。
上記高密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR JIS K 7210:1999に準拠)は0.01〜100g/10分の範囲内が好ましく、より好ましくは0.1
〜40g/10分の範囲内であり、更に好ましくは0.3〜10g/10分の範囲内である。高密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)が0.01g/10分未満の場合では、溶融粘度が高くなりすぎて押出加工性が悪化することがあり、100g/10分を超えた場合では、機械的強度が低下することがある。
本実施の形態に係る高密度ポリエチレンの製造方法としては、公知の重合触媒を用いる公知の重合方法が挙げられる。高密度ポリエチレンの製造に用いられる触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、特定の遷移金属錯体(特に、後周期遷移金属錯体)等が挙げられる。公知の重合方法としては、上述したエチレン/α−オレフィン共重合体の製造方法で用いられる重合方法と同様の重合方法が挙げられ、具体的には、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、気相重合法等が挙げられる。
(iii)高圧法低密度ポリエチレン
上記高圧法低密度ポリエチレンとは、その密度が915〜935kg/mの範囲内、耐熱融着性の低下、衝撃強度の低下を防止するという観点から、好ましくは915〜930kg/mの範囲内であり、より好ましくは918〜930kg/mの範囲内である、エチレンの単独重合体を意味する。
上記高圧法低密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR JIS K 7210:1999に準拠)は、溶融粘度が高くなりすぎて押出加工性が悪化すること、機械的強度が極端に低下することを防止するという観点から、好ましくは0.01〜100g/10分の範囲内であり、より好ましくは0.1〜40g/10分の範囲内であり、更に好ましくは0.3〜10g/10分の範囲内である。
本実施の形態に係る高圧法低密度ポリエチレンの製造方法としては、槽型反応器又は管型反応器を用いて、ラジカル発生剤の存在下、重合圧力140〜300MPaの範囲内、重合温度200〜300℃の範囲内の条件下でエチレンを重合する一般的な方法が挙げられ、メルトフローレートを調節するために、分子量調節剤として水素、メタンやエタン等の炭化水素が用いられる。
(iv)エチレン/エチレン系不飽和カルボン酸類共重合体
上記エチレン/エチレン系不飽和カルボン酸類共重合体とは、エチレンとエチレン系不飽和カルボン酸類との共重合体であり、エチレン系不飽和カルボン酸類とはカルボン酸類であって、炭素−炭素二重結合等のような重合性の炭素−炭素不飽和結合であるエチレン系不飽和結合を有する化合物である。
上記エチレン系不飽和カルボン酸類としては、飽和カルボン酸ビニルエステル、不飽和カルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体等が挙げられる。
飽和カルボン酸ビニルエステルとしては、炭素原子数2〜4程度の脂肪族カルボン酸のビニルエステルが好ましく、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸ビニルエステルとしては、炭素原子数2〜5程度の脂肪族カルボン酸のビニルエステルが好ましく、例えば、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、炭素原子数3〜8程度の不飽和カルボン酸のエステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピ
ル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル等のアクリル酸のアルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等のメタクリル酸のアルキルエステル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸の酸無水物;エステル化合物、アミド化合物、イミド化合物、並びに金属塩等の不飽和カルボン酸の誘導体が挙げられる。
上記エチレン系不飽和カルボン酸類は、それぞれ単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの加水分解物、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体の加水分解によって得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物等も好ましく用いられる。
上記エチレン系不飽和カルボン酸類の中でも、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチルが好ましく、酢酸ビニルが更に好ましい。
また、エチレン/エチレン系不飽和カルボン酸類共重合体として、エチレンと、メタクリル酸グリシジルエステル又は無水マレイン酸とを共重合することによって得られる重合体も好ましい。尚、エチレン/エチレン系不飽和カルボン酸類共重合体は、上述したα−オレフィン等の他の単量体単位を更に有していてもよい。
エチレン/エチレン系不飽和カルボン酸類共重合体におけるエチレン単位の含有量は通常1〜99質量%の範囲内、好ましくは1〜50質量%の範囲内であり、エチレン系不飽和カルボン酸類単位の含有量は通常1〜99質量%の範囲内、好ましくは50〜99質量%の範囲内である。
また、上記エチレン系不飽和カルボン酸類が、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体である場合、エチレン系不飽和カルボン酸類の共重合割合は3〜10質量%の範囲内とすることが好ましい。
エチレン/エチレン系不飽和カルボン酸類共重合体のメルトフローレート(MFR JIS K 7210:1999に準拠)は、溶融粘度が高くなりすぎて押出加工性が悪化すること、並びに機械的強度が極端に低下することを防止するという観点から、好ましくは0.01〜100g/10分の範囲内であり、より好ましくは0.1〜40g/10分の範囲内であり、更に好ましくは0.3〜10g/10分の範囲内である。
エチレン/エチレン系不飽和カルボン酸類共重合体の製造方法としては、一般に、槽型反応器又は管型反応器を用いて、ラジカル発生剤の存在下、重合圧力140〜300MPaの範囲内、重合温度200〜300℃の範囲内の条件下でエチレンとエチレン系不飽和カルボン酸類とを共重合する方法が挙げられ、メルトフローレートを調節するために、分子量調節剤として水素、メタンやエタン等の炭化水素が用いられる。また、均一系触媒として後周期遷移金属錯体触媒等を用いてもよい。後周期遷移金属錯体としては、米国特許5866663号、米国特許5955555号、特表2007−517108号公報、特開平9−302018号公報、特開平9−302019号公報、特開平10−195128号公報等に開示の触媒が挙げられる。
〔変性ポリオレフィン系樹脂〕
本実施の形態に係る結晶性ポリオレフィン系樹脂として、上述したプロピレン系樹脂やエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂に対して、更に極性ビニルモノマー等を重合させて変性した樹脂(変性ポリオレフィン系樹脂)を用いることができる。
変性ポリオレフィン系樹脂として具体的には、
(1)オレフィンの単独重合体に、極性ビニルモノマーをグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン系樹脂、
(2)少なくとも2種のオレフィンの共重合体に、極性ビニルモノマーをグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン系樹脂、並びに、
(3)オレフィンを単独重合した後に少なくとも2種のオレフィンを共重合して得られるブロック共重合体に、極性ビニルモノマーをグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン系樹脂、
等が挙げられる。これらの変性ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性ポリオレフィン系樹脂の製造方法としては、例えば、「実用 ポリマーアロイ設計」(井出文雄著、工業調査会(1996年発行))、Prog. Polym. Sci.,24,81−142(1999)、特開2002−308947号公報等に記載されている方法が挙げられ、溶液法、バルク法、溶融混練法の何れの方法を用いてもよい。また、これらの方法を組み合わせた製造方法であってもよい。
変性ポリオレフィン系樹脂に用いられる極性ビニルモノマーとしては、〔プロピレン系樹脂〕で上述した極性ビニルモノマーに加えて、クエン酸やリンゴ酸のように、ポリプロピレンにグラフトする工程で脱水して不飽和カルボン酸を生じる化合物等が挙げられる。
変性ポリオレフィン系樹脂として具体的には、エチレン及び/又はプロピレンに由来する単位をポリマーの主な構成単位とするポリオレフィン系樹脂に、無水マレイン酸をグラフト重合することによって得られる変性ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。
変性ポリオレフィン系樹脂の構成単位である極性ビニルモノマーに由来する単位の含有量としては、衝撃強度等の機械的強度の観点から、好ましくは0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
その他の変性ポリオレフィン系樹脂として、ケイ素、チタン、フッ素等の元素を含有したモノマー(カップリング剤)やそれらを含有したポリマー等をポリオレフィン系樹脂と反応させたもの等が挙げられる。
〔結晶性ポリオレフィン系樹脂に含まれる添加剤〕
本実施の形態に係る結晶性ポリオレフィン系樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加物が配合されていてもよい。但し、結晶性ポリオレフィン系樹脂中の添加剤量が、結晶性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以下、更に0.1質量部以下、特に0.05質量部以下であることが、接着力の低下を抑制する観点から好ましい。また、結晶性ポリオレフィン系樹脂中の添加剤量は、結晶性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.005質量部以上であることが好ましい。
結晶性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して添加剤量が1質量部を超えると経時でのブリードアウト現象等により、接着力の低下を生じ易い。添加剤量は少ないほどよいが、保護フィルム製造時に劣化を起こさない程度に加える必要がある。これら添加剤は単
独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記添加剤として、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、過酸化物スカベンジャー、ヒドロキシルアミン、滑剤、可塑剤、難燃剤、造核剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、界面活性剤(防曇剤を含む)、顔料、充填剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、発泡剤、発泡助剤、乳化剤、光沢剤、中和剤、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホフェナンスレン−10−オキシド等の着色改良剤、ベンゾフラノン類(米国特許第4325853号公報、同4338244号公報、同5175312号公報、同5216053号公報、同5252643号公報、同4316611号公報、ドイツ特許公開公報4316622号公報、同4316876号公報、欧州特許出願公開第589839号公報、同591102号公報等)、インドリン類等の補助安定剤、架橋剤等を添加することができる。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクダデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシル−1’−イル)フェノール及びそれらの混合物等のアルキル化モノフェノール;2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール及びそれらの混合物等のアルキルチオメチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート及びそれらの混合物等のヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びそれらの混合物等のトコフェロール;2,2’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−t−アミルフェノール)、4,4’−(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド等のヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−イソブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−
ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス−3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ペンチル−6−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]フェニルアクリレート及びそれらの混合物等のアルキリデンビスフェノール及びその誘導体;3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート及びそれらの混合物等のO−、N−及びS−ベンジル誘導体;ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート及びそれらの混合物等のヒドロキシベンジル化マロネート誘導体;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール及びそれらの混合物等の芳香族ヒドロキシベンジル誘導体;2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ−4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ−4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート及びそれらの混合物等のトリアジン誘導体;ジメチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベ
ンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩及びそれらの混合物等のベンジルホスホネート誘導体;4−ヒドロキシラウリル酸アニリド、4−ヒドロキシステアリン酸アニリド、オクチル−N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバネート及びそれらの混合物等のアシルアミノフェノール誘導体;β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物等の一価又は多価アルコールとのエステル;β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物等の一価又は多価アルコールとのエステル;β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物等の一価又は多価アルコールとのエステル;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びそれらの混合物等の一価又は多価アルコールとのエステル;N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]トリメチレンジアミン及びそれらの混合物等のβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド等が挙げられる。
また、1分子中に例えば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型のフェノール系酸化防止剤を用いてもよい。
特に好ましい上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,2’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、エチレングリコール=ビス[3,3−ビス−3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ペンチル−6−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、ネオペンタンテトライルテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、チオジエチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,6−ジオキサオクタメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)、トリエチレングリコール=ビス(5−t−チル−4−ヒドロキシ−3−メチルシンナメート)、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、これらはそれぞれ単独又は2種以上を混合して用いられる。
上記イオウ系酸化防止剤としては、例えばジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト及びそれらの混合物等が挙げられる。また、特開2002−69260号公報記載のリン系酸化防止剤も好ましい。
また、特に好ましい上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト等が挙げられ、これらはそれぞれ単独又は2種以上を混合して用いられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘシサデシル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート及びそれらの混合物等のサリシレート誘導体;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン及びそれらの混合物等の2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α
−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールの混合物、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[4−t−ブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)と2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)とメチル−3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル−3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸及びそれらの混合物等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
また、特に好ましい上記紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられ、これらはそれぞれ単独又は2種以上を混合して用いられる。
上記光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート、ビス((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルデカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物;1,2,3,4−ブタンテトラボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3、9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物、N,N’,4,7−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4−トリス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4,7−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4−トリス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン及びそれらの混合物等のヒンダードアミン系光安定剤、エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−α−カルボメトキシシンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチル−α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメート及びN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルイン
ドリン及びそれらの混合物等のアクリレート系光安定剤、2,2’−チオビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体及びそれらの混合物等のニッケル系光安定剤、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エトキシアニリド、2−エトキシ−5,4’−ジ−t−ブチル−2’−エチルオキサニリド及びそれらの混合物等のオキサミド系光安定剤、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2,4−ジヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン及びそれらの混合物等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン系光安定剤等が挙げられる。
また、特に好ましい上記光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,
8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]等が挙げられ、これらはそれぞれ単独又は2種以上を混合して用いられる。
上記金属不活性化剤としては、例えば、N,N’−ジフェニルオキサミド、N−サリチラル−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジド及びそれらの混合物等が挙げられる。
上記ヒドロキシルアミンとしては、例えば、N,N−ジベンジルヒドロキシアミン、N,N−ジエチルヒドロキシアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシアミン及びそれらの混合物等が挙げられる。
上記中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト(塩基性マグネシウム・アルミニウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレード)、メラミン、アミン、ポリアミド、ポリウレタン及びそれらの混合物等が挙げられる。
上記滑剤としては、例えば、パラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、ステアリン酸等の炭素数8〜22の高級脂肪族酸、炭素数8〜22の高級脂肪族酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8〜22の脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪族アミド、シリコーン油、ロジン誘導体等が挙げられる。例えば、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エルシルアミド、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
上記帯電防止剤としては、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型の何れであってもよい。例えば、グリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン混合組成物、非イオン系界面活性剤等が例示される。また、例えば、アルキルジエタノールアミド類、アルキルジエタノールのモノエステル類、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミドのモノラウリン酸エステル、アルキルジエタノールアミドのモノミリスチン酸エステル、アルキルジエタノールアミドのモノパルミチン酸エステル、アルキルジエタノールアミドのモノステアリン酸エステル等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両イオン性
界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられ、特に限定はないが、樹脂との相溶性及び熱安定性の観点から、非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。具体的には、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノモンタネート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンジオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレンオキサイド付加物等のソルビタン系界面活性剤;グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、トリグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンジモンタネート、グリセリンモノオレエート、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンセスキオレエート、テトラグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリントリオレエート、テトラグリセリントリオレエート、テトラグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレンオキサイド付加物等のグリセリン系界面活性剤;ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート等のポリエチレングリコール系界面活性剤;アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物、ソルビタン/グリセリン縮合物と有機酸とのエステル、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミンモノステアレート等のポリオキシエチレンアルキルアミン及びその脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、更にパ−フルオロアルキル基、ω−ヒドロフルオロアルキル基等を有するフッ素化合物(特にフッ素系界面活性剤)、アルキルシロキサン基を有するシリコン系化合物(特にシリコン系界面活性剤)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤の具体例としては、ダイキン工業(株)製の「ユニダインDS−403」、「DS−406」、「DS−401」(商品名)、セイミケミカル(株)製の「サーフロンKC−40」(商品名)等が挙げられ、シリコン系界面活性剤としては、東レダウコーニングシリコン(株)社製の「SH−3746」(商品名)が挙げられる。
上記アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。具体的には、炭酸カルシウム、二酸化珪素、ポリメチルシルセスキオキサン、ケイ酸アルミニウム塩、ポリメチルメタクリレート架橋体が例示される。
上記造核剤としては、例えば、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカン等の高分子系造核剤等が挙げられ、具体的には、ナトリウム=2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、[リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)]=ジヒドロオキシアルミニウム、ビス[リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)]ヒドロオキシアルミニウム、トリス[リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)]アルミニウム、ナトリウム=ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、安息香酸ナトリウム等の安息香酸金属塩、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、1,3:2,4−ビス(o−ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−o−3,4−ジメチルベンジリデン−2,4−o−ベンジリデンソルビトール、1,3−o−ベンジリデン−2,4−o−3,4−ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−o−p−クロロベンジリデン−2,4−o−3,4−ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3−o−3,4−ジメチルベンジリデン−2,4−o−p−クロロベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−p−クロロベンジリデン)ソルビトール及びそれらの混合物、ロジン系のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、具体的にはロジンのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩
等の化合物が挙げられる。また、ポリビニルシクロアルカン等の高分子系造核剤も用いられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、珪酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、カーボンファイバー、ゼオライト及びそれらの混合物等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記発泡剤及び発泡助剤としては、例えば、アゾジカルボン酸アミド等のアゾカルボン酸誘導体、N.N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物等が挙げられる。
上記架橋剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、3,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−パーオキシ)ヘキサン−3、4,4’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらの添加剤のうち好ましく用いられるものは、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、過酸化物スカベンジャー及び中和剤である。
また、本実施の形態に係る保護フィルムが位相差フィルムとして用いられる場合には、位相差発現性を制御できる添加剤を加えてもよい。位相差発現性を制御できる添加剤とは、延伸時に位相差を発現し難くさせたり、発現し易くさせたりする効果を付与する添加剤である。
位相差発現性を制御できる添加剤としては、特に限定はないが、例えば、
(1)芳香族炭化水素モノマー由来の構成単位からなる芳香族炭化水素樹脂、
(2)炭素原子数5〜25の脂環式炭化水素モノマー由来の構成単位からなる脂環式炭化水素樹脂、
からなる群から選択される1種以上の炭化水素樹脂を好ましく用いることができる。
上記炭化水素樹脂とは、低分子量の熱可塑性ポリマーであり、より具体的には、数平均分子量が500〜2,000の範囲内の熱可塑性ポリマーである。上記数平均分子量は、GPCによって求められる値であり、例えば、測定する炭化水素樹脂をTHF溶媒に溶解させ、GPCにより得られた溶出チャートのピーク面積をポリスチレン換算することにより求めることができる。
上記芳香族炭化水素樹脂とは、芳香族炭化水素モノマーを重合して得られる炭化水素樹脂であり、用いられる芳香族モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素樹脂とは、炭素原子数5〜25の脂環式炭化水素モノマー由来の構成単位からなる樹脂である。脂環式炭化水素モノマーとは、芳香環を持たない炭素環式不飽和化合物であり、例えば、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン等が挙げられる。脂環式炭化水素樹脂としては、上記炭素原子数5〜25の脂環式炭化水素モノマーを付加重合して得られる樹脂や、芳香族炭化水素モノマーを重合して得られる樹脂に水素添加して芳香核を脂環構造に変性したもの等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素樹脂及び脂環式炭化水素樹脂は、それぞれ2種類以上のモノマーを重合して得られたものであってもよい。
上記炭化水素樹脂の配合量は、上記芳香族炭化水素樹脂、及び上記脂環式炭化水素樹脂からなる群から選択される炭化水素樹脂を2種以上含有する場合、その合計量が位相差フィルムの全質量中0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜10質量%の範囲内である。炭化水素樹脂の含有量が少なすぎると、位相差発現性制御の程度が悪くなり、多すぎるとブリードアウトが生じる傾向がある。
上記炭化水素樹脂は、炭素原子数5〜25の脂環式炭化水素モノマー由来の構成単位を有する脂環式炭化水素樹脂であることが好ましく、より好ましくは脂環式石油樹脂又は脂環式テルペン樹脂であり、更に好ましくは水素化した脂環式石油樹脂又は水素化した脂環式テルペン樹脂である。これらを高温高圧下で水素化して炭化水素樹脂中の不飽和結合を低減させることにより、結晶性ポリオレフィン系樹脂との親和性が高くなり位相差発現性制御の程度が向上する。
上記脂環式石油樹脂とは、分解石油留分から誘導される炭素原子数5〜25の脂環式炭化水素モノマー由来の構成単位を有する樹脂(重合体)である。当該脂環式炭化水素モノマーとして具体的には、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、メチルシクロヘキセン、エチルシクロヘキセン等が挙げられる。
上記脂環式テルペン樹脂とは、マツヤニやオレンジ等の植物由来の成分を精製して得られるα−ピネン、β−ピネン、リモネン等のイソプレン単位が複数個結合して合成された炭素原子数5〜25の脂環式炭化水素モノマー由来の構成単位を有する樹脂(重合体)である。
上記添加剤の添加方法は、均一に分散できるのであれば特に限定されるものではなく、通常の方法で添加することができる。例えば、該結晶性ポリオレフィン系樹脂を製造する重合工程において、重合反応途中又は重合反応終了直後の重合反応混合物に添加剤を添加すればよい。添加剤は、溶剤に溶解した溶液として添加してもよいし、容易に分散し得るように粉末状に粉砕した分散剤として添加してもよいし、加熱して溶融状態で添加してもよい。
また、結晶性ポリオレフィン系樹脂を溶融混練しながら添加剤を添加した後、更に溶融混練してもよい。これら溶融混練には、例えば、リボンブレンダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ロール、各種ニーダー、一軸押出機、二軸押出機等の混練機を用いて行われる。溶融混練後、得られた組成物は、冷却されることなく溶融状態のまま成形加工に供してもよいし、冷却してペレット等にした後、再度加熱して成形加工に供してもよい。また、冷却した後、冷却状態のままプレス成形等の方法で成形加工に供してもよい。複数の添加剤を用いる場合、添加方法に限定は無く、各添加剤を同時的に添加してもよいし、添加する各タイミングを前後して添加してもよい。
また、特開2005―161696号公報に記載されているように、結晶性ポリオレフィン系樹脂と複数の添加剤とを溶融混練して結晶性ポリオレフィン系樹脂組成物を製造するに際して、下記第1工程〜第4工程、
第1工程:常温において粉体である添加剤を少なくとも2種以上と必要に応じ粉体の結晶性ポリオレフィン系樹脂と混合し、予め添加剤マスターバッチを製造する工程;
第2工程:上記添加剤マスターバッチを添加剤貯蔵ホッパーに貯蔵する工程;
第3工程:上記添加剤貯蔵ホッパーの添加剤マスターバッチを添加剤供給用ホッパーに移送する工程;
第4工程:上記添加剤マスターバッチを計量し、溶融混練機に供給して結晶性ポリオレフィン系樹脂と共に溶融混練し結晶性ポリオレフィン系樹脂組成物(ペレット)を製造する工程;
を含むことを特徴とする製造方法等も用いることができる。
これらの過程は窒素ガス等不活性ガス雰囲気で行うことがより好ましい。また、重合パウダーからペレット化までの一連の工程をクリーンルーム環境で実施することもより好ましい。更には、該工程での溶融混練機(造粒機)のダイスの上流にポリマーフィルター等の異物除去システムを組み込むことがより好ましい。
当然のことながら、フィルム化の工程に関しても、上記と同様に一連の工程をクリーンルーム環境で実施すること、窒素ガス等不活性ガス雰囲気で行うこと、該工程での溶融押出機のダイスの上流にポリマーフィルター等の異物除去システムを組み込むこと等は好ましい方法である。また異物として混入し易いセルロース繊維や化学合成繊維等を、全工程内で扱わない等の工夫により、一連の工程の作業環境から完全に除去することが好ましい。
〔結晶性ポリオレフィン系樹脂中の触媒残渣〕
本実施の形態に係る結晶性ポリオレフィン系樹脂中には、通常、重合時の触媒残渣が残留している。この触媒残渣が少ないほど、フィルムに成形した際におけるフィッシュアイ等の外観欠点が少なくなるため好ましい。また、保護フィルム製造時の熱劣化抑制効果も奏する。
触媒残渣量としては結晶性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.02質量部以下、更には0.01質量部以下、特に0.005質量部以下とすることが好ましい。また、触媒残渣中のケイ素量は、結晶性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01質量部以下、更には0.005質量部以下とすることが好ましい。尚、上記触媒残渣の量並びに触媒残渣中のケイ素量は以下に記載の方法で定量することができる。
<触媒残渣測定>
結晶性ポリオレフィン系樹脂サンプル100gを精秤し、800℃の電気炉で灰化させる。灰化したサンプルを精秤して下式により触媒残渣量を求めることができる。
触媒残渣(質量ppm)=(灰化後の結晶性ポリオレフィン系樹脂(g)/灰化前の結晶性ポリオレフィン系樹脂(g))×10
<ケイ素量測定>
結晶性ポリオレフィン系樹脂サンプル1gを白金皿に取り、硫酸1ml添加後、ホットプレートで炭化させ、その後電気炉にて550℃で灰化させる。灰化後の残渣に、炭酸ナトリウム0.5gを加え、バーナーで溶融し、超純水にて50mlに定容後、パーキンエルマー社製IICP−AES(誘導結合プラズマ発光分析計 型式:Optima 3000)にてケイ素量を定量することができる。
また、保護フィルムとしても、上記<触媒残渣測定>に準拠した方法で灰化させたときの残渣が保護フィルム100質量部に対して0.05質量部以下、更には0.02質量部以下、特に0.001質量部以下であることが好ましい。
(b)保護フィルムの製造方法
本実施の形態に係る保護フィルムは、結晶性ポリオレフィン系樹脂を含み、好ましくは偏光子への接着面が結晶性ポリオレフィン系樹脂からなる。つまり、本実施の形態では、上述した結晶性ポリオレフィン系樹脂(若しくは結晶性ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物)をフィルムに製膜し、偏光板の保護フィルムとして用いる。この保護フィルムは
、例えば、結晶性ポリオレフィン系樹脂からなる単層フィルムであってもよいし、結晶性ポリオレフィン系樹脂を少なくとも片面の最外層に有する多層フィルムであってもよい。
本実施の形態に係る保護フィルムは、結晶性ポリオレフィン系樹脂を含む層を少なくとも一層有していればよく、単層フィルムであっても多層フィルムであってもよい。保護フィルムが多層フィルムである場合、当該保護フィルムの偏光子との反接着面や、反接着面と接着面との間の層が結晶性ポリオレフィン系樹脂を含む層であってもよいが、偏光子との接着面が結晶性ポリオレフィン系樹脂を含む層であることが好ましい。
上記保護フィルムにおける結晶性ポリオレフィン系樹脂を含む層に含まれる結晶性ポリオレフィン系樹脂の量は、当該層の全質量を100質量部とするとき、通常、50質量部以上であり、70質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることがより好ましい。
また、保護フィルムにおける上記結晶性ポリオレフィン系樹脂以外の成分としては、特には限定されず、例えば、非晶性ポリオレフィン系樹脂等の公知の保護フィルムとして使用されている樹脂を使用することができる。
保護フィルムの製造方法は特には限定されず、溶融樹脂からの押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法等の従来公知の方法により製造することができる。
コスト的には溶融樹脂からの押出成形法が優れ、Tダイ成形法、インフレーション成形法等が好ましく用いられる。保護フィルムが多層フィルムの場合には、多層Tダイ成形法、多層インフレーション成形法、押出ラミネート成形法、サンドラミネート成形法、ドライラミネート成形法、ウェットラミネート成形法、ホットメルトラミネート成形法等が好ましく用いられる。
Tダイ成形法及び多層Tダイ成形法では、エアーチャンバー、エアーナイフ、静電ピニング等の方法で成形時にフィルムにかかる応力をできるだけ小さくすることで、面内位相差の小さいフィルムを得ることができる。更にフレックスロール等のソフトニップ方式やスチールベルト方式等を用いた冷却方法の場合には透明性を向上させることができる。
上記保護フィルムは、公知の技術により、位相差フィルムとなっていてもよいし、反射防止機能、防眩機能、傷付防止機能、防汚機能、紫外線防止機能、帯電防止機能等の機能を持っていてもよく、粘着層を有していてもよい。
上記反射防止機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、外光による反射を抑制する機能を指す。具体的には、可視光線の波長領域の反射率を、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.2%以下とする機能を意味する。このような外光の反射は画面表示のコントラストを低下させ、画面が見え難くなる。このような反射防止機能は、例えば、フィルム表面に反射防止層を形成することにより付与することができる。
上記防眩機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、外光の反射により像が写り込むことを抑制する機能を指す。具体的には、防眩機能の指標として、例えば光沢度(グロス)の値が用いられ、入射角60°でのグロスを100以下、好ましくは60以下とする機能を意味する。このような外光の反射による像の写り込みは、画像表示を見難くする。写り込みは正反射により形成される像によるため、反射光を散乱させることで写り込みを抑制することができる。例えば、フィルム表面へ防眩層を形成することにより
このような防眩機能を付与することができる。
上記傷付き防止機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、画面上に傷が付くことを抑制する機能を指す。具体的には、鉛筆引っかき試験(JIS K5400)における鉛筆の硬度記号で2H以上、好ましくは4H以上、更に好ましくは5H以上とする機能を意味する。最表面にハードコート層を形成したり、摩擦係数を低下させたりすることで本機能を付与することができる。
上記防汚機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、画面上に指紋等の汚れが付くことを抑制する機能を指す。具体的には、水との接触角が80°以上、より好ましくは100°以上となるようにする機能を意味する。最表面にシリコン化合物やフッ素化合物を用いて撥水層を形成したりすることにより本機能を付与することができる。
上記紫外線防止機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、偏光子や液晶に紫外線を入り難くして、偏光子、液晶が光劣化することを抑制する機能を指す。具体的には、紫外線防止機能の指標として、波長380nm以下における光透過率が10%以下且つ波長400nmでの光透過率が80%以下(好ましくは70%以下)とする機能を意味する。紫外線吸収剤や紫外線反射剤等を用いることで本機能を付与することができる。
上記帯電防止機能とは、偏光板、積層光学部材や液晶表示装置において、帯電により、ほこり等が付くことを抑制したり、放電して回路が損傷したりすることを防ぐ機能を指す。具体的には、表面抵抗値を1012Ω/□以下、好ましくは1011Ω/□以下、より好ましくは1010Ω/□以下とする機能を意味する。帯電防止層を表面や内部に形成することにより本機能を付与することができる。
<溶融樹脂の押出成形法を行う場合の飽和含水率と蒸散物量>
上記保護フィルムの製造において、特に溶融樹脂の押出成形法を行う場合、加工時の蒸散物は製膜に悪影響を与える。溶融樹脂からの押出成形法を行う場合、結晶性ポリオレフィン系樹脂等の23℃での飽和吸水率は1%以下、更に0.5%以下、特に0.1%以下であることが好ましい。また、180℃での蒸散物量も1%以下、更に0.5%以下、特に0.1%以下が好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂の蒸散物量は、空気や不活性ガスによるホットエアレーション等の加温乾燥により、低下させることができる。
〔押出成形法〕
保護フィルム用原料樹脂として、結晶性ポリオレフィン系樹脂であるプロピレン系樹脂のみを用い、上記押出成形法としてTダイ成形法(多層Tダイ成形法)により成形する場合を例にとり、保護フィルムの製造方法について以下詳しく説明する。
Tダイ成形法では、プロピレン系樹脂が、押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイからシート状に押出される。押出される溶融状シートの温度は、180〜300℃程度の範囲内である。このときの溶融状シートの温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、得られるフィルムの厚みが不均一になり、位相差ムラのあるフィルムとなる可能性がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こり易く、シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりすることがある。
押出機は、単軸押出機であっても二軸押出機であってもよい。例えば単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dとの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積との比(前者/後者)である圧縮比が1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプ、更にマドック
型の混練部分を有するタイプ等のスクリューを用いることができる。
プロピレン系樹脂の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36の範囲内で、圧縮比が2.5〜3.5の範囲内であるバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。
また、プロピレン系樹脂の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気又は真空にすることが好ましい。更に、プロピレン系樹脂が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1mmφ以上5mmφ以下のオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスにより押出機先端部分の樹脂圧力を高めることは、先端での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。
押出に使用されるTダイは、樹脂の流路表面に微小な段差や傷の無いものが好ましく、また、そのリップ部分は、溶融したプロピレン系樹脂との摩擦係数の小さい材料でめっき又はコーティングされ、更にリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャープなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっき等が挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる樹脂フィルムが得られる。このTダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(1)又は(2)を満たすことが好ましく、更には条件(3)又は(4)を満たすことがより好ましい。
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの厚み方向長さ>180mm …(1)Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの厚み方向長さ>220mm …(2)Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの高さ方向長さ>250mm …(3)Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの高さ方向長さ>280mm …(4)
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状プロピレン系樹脂の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも厚みムラを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、位相差のより均一な保護フィルムを得ることができる。
プロピレン系樹脂の押出変動を抑制する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、プロピレン系樹脂中にある異物を取り除くため、リーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。
Tダイから押出された溶融状シートは、金属製冷却ロール(チルロール又はキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて冷却固化することで、所望のフィルムを得ることができる。この際、タッチロールは、ゴム等の弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は通常、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に、プロピレン系樹脂の溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、プロピレン系樹脂の溶融状シートとタッチロールとの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
プロピレン系樹脂の溶融状シートを、上記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させる際、冷却ロールとタッチロールとは、何れもその表面温度を低くしておき、溶融状シートを急冷させる必要がある。具体的には、両ロールの表面温度が0℃以上
30℃以下の範囲内に調整される。これらの表面温度が30℃を超えると、溶融状シートの冷却固化に時間がかかるため、プロピレン系樹脂中の結晶成分が成長してしまい、得られるフィルムは透明性に劣るものとなる。一方、ロールの表面温度が0℃を下回ると、金属製冷却ロールの表面が結露して水滴が付着し、フィルムの外観を悪化させる傾向が出てくる。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態がプロピレン系樹脂フィルム表面に転写されるため、その表面に凹凸がある場合には、得られるプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度を低下させる可能性がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.3S以下であることが好ましく、更には0.1S〜0.2Sの範囲内であることがより好ましい。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬度が、JIS K 6301に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80の範囲内であることが好ましく、更には70〜80の範囲内であることがより好ましい。このような表面硬度のゴムロールを用いることにより、溶融状シートにかかる線圧を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を作ることなくフィルムに成形することが容易となる。
溶融状シートを挟圧するときの圧力(線圧)は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧は、50N/cm以上300N/cm以下の範囲内とすることが好ましく、更には100N/cm以上250N/cm以下の範囲内とすることがより好ましい。線圧を上記範囲内とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながらプロピレン系樹脂フィルムを製造することが容易となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で、プロピレン系樹脂の溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、プロピレン系樹脂と強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。これらの中でも、湿度や熱等による寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。この場合の二軸延伸フィルムの厚さは、通常5〜50μm程度の範囲内であり、好ましくは10〜30μmの範囲内である。
上記方法において、Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)を200mm以下とすることが好ましく、更には160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状シートは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じ易くなる。エアギャップを上記のように短くすることで、配向のより小さいフィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径、タッチロールの径、及び使用するリップの先端形状により決定され、通常50mm以上である。
上記方法でプロピレン系樹脂フィルムを製造するときの加工速度は、溶融状シートを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状シートがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧された溶融状シートは、ロールとの接触
により冷却固化する。そして、必要に応じて端部をスリットした後、巻取り機に巻き取られてフィルムとなる。この際、フィルムを使用するまでの間その表面を保護するために、その片面又は両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼り合わせた状態で巻き取ってもよい。プロピレン系樹脂の溶融状シートを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧した場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
上述したような方法等により、本実施の形態に係る保護フィルム(若しくは後述する位相差フィルム用原反フィルム)を製造することができる。
尚、上述の説明では、結晶性ポリオレフィン系樹脂としてプロピレン系樹脂を用いる場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限るものではない。エチレン系樹脂等の他の結晶性ポリオレフィン系樹脂であっても、成形条件等を適宜変更することにより、プロピレン系樹脂と同様に成形することができる。
また、上述の説明では、保護フィルムを構成する樹脂が結晶性ポリオレフィン樹脂のみである場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限るものではない。非晶性ポリオレフィン系樹脂等の公知の保護フィルムとして使用されている樹脂を含んでいる場合であっても成形条件等を適宜変更することにより、プロピレン系樹脂と同様に成形することができる。
また、上述の説明では、Tダイ成形法(多層Tダイ成形法)により成形する場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限るものではない。インフレーション成形法等の他の押出成形法や溶剤キャスト法等であっても、成形条件等を適宜変更することにより、Tダイ成形法とほぼ同様に成形することができる。
尚、本実施の形態に係る保護フィルム(並びに後述する位相差フィルム)は、フィルム中の直径0.1mm以上の異物の個数が、0.1個/m以下であることが重要である。フィルム中の直径0.1mm以上の上記異物の個数は、0.01個/m以下であることがより好ましい。
異物の個数を上記の範囲とするためには、押出機とダイとの間に配されたポリマーフィルターで小さい異物を濾過し、ダイから溶融膜を押出すことが好ましく、押出機とポリマーフィルターとの間に、ブレーカープレートあるいはスクリーンチェンジャー、及びギアポンプをこの順序で配置し、ブレーカープレートあるいはスクリーンチェンジャーに配されたスクリーンで、大きい異物を濾過し、ギアポンプを経て、ポリマーフィルターで小さい異物を濾過することがより好ましい。
フィルム中の直径0.1mm以上の異物の個数を0.1個/m以下とするには、濾過精度が3〜80μmの範囲内のポリマーフィルターを用いることにより達成することができる。
ここで、ポリマーフィルターの一態様を図1に示す。図1に示すように、ポリマーフィルターは、上流側から下流側に向けて順次濾過精度が高くなるように、金属微細繊維の不織布を積層し、焼結して作られたリーフディスクフィルター2を、異物が最も効率よく濾過されるように、ハウジング1内に配置されたセンターポスト3に複数枚取り付けることにより濾過面積を調整してなるものであり、最も高い濾過精度が、例えば、3〜80μmのものである。濾過精度が上記範囲よりも低いと異物低減効果が低くなり、濾過精度が上記範囲よりも高いと背圧が高くなりすぎ、非常に大きな濾過面積が必要となるため、リーフディスクの枚数が極端に多くなったり、リーフディスクの径が大きくなったりする等、
ポリマーフィルター内での滞留時間が長くなり、熱劣化が生じ易いうえ、異物による目詰まりも激しくなる傾向がある。
本実施形態に係る保護フィルム(並びに後述する位相差フィルム)は透明性に優れることが好ましい。透明性は、JIS K7136に記載されているようなHAZE測定により評価することができる。
本実施形態に係る保護フィルム(並びに後述する位相差フィルム)のトータルHAZEは、10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。トータルHAZEのうち、フィルム内部に由来する部分を内部HAZEと呼ぶ。本実施形態に係る保護フィルム(並びに後述する位相差フィルム)の内部HAZEは、3%以下が好ましく、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.2%以下である。尚、もちろん保護フィルムが防眩機能等を有する場合はこの限りではない。
(c)位相差フィルムの製造方法
上記のようにして得られるフィルムを位相差フィルム用原反フィルムとして用い、延伸することにより、位相差フィルムを得ることができる。延伸方法としては、縦延伸、横延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸が挙げられる。逐次二軸延伸の場合、縦延伸を先に行った後、横延伸を行う方法と、横延伸を先に行った後、縦延伸を行う方法の何れの方法で行ってもよい。以下、逐次二軸延伸を例に挙げて説明する。
〔逐次二軸延伸(縦)〕
縦延伸方法としては、二つ以上のロールの回転速度差により原反フィルムを延伸する方法や、ロングスパン延伸法が挙げられる。ロングスパン延伸法とは、二対のニップロールとその間にオーブンを有する縦延伸機を用い、該オーブン中で原反フィルムを加熱しながら上記二対のニップロールの回転速度差により延伸する方法である。光学的な均一性が高い位相差フィルムが得られるため、ロングスパン縦延伸法が好ましい。特に、エアーフローティング方式のオーブンを用いることが好ましい。
エアーフローティング方式のオーブンとは、該オーブン中に原反フィルムを導入した際に、該原反フィルムの両面に上部ノズルと下部ノズルとから熱風を吹き付けることが可能な構造を有する。該オーブンでは、複数の上部ノズルと下部ノズルとがフィルムの流れ方向に交互に設置されている。延伸は、該オーブン中、原反フィルムが上記上部ノズルと下部ノズルとの何れにも接触しないように行われる。
この場合の延伸温度(即ち、オーブン中の雰囲気の温度)は、90℃以上、プロピレン系樹脂の融点以下の範囲内であることが好ましい。オーブンが2ゾーン以上に分かれている場合、それぞれのゾーンの温度設定は同じでもよいし、異なってもよい。
縦延伸倍率は、限定はされないが、通常1.01〜2倍の範囲内であり、光学的な均一性により優れる位相差フィルムが得られるため、1.05〜1.8倍の範囲内であることがより好ましい。
〔逐次二軸延伸(横)〕
横延伸方法としては、チャック等で両端を固定した上記原反フィルムを、オーブン中でチャック間隔を広げて延伸するテンター法が挙げられる。横延伸倍率は、通常、2〜10倍の範囲内であり、得られる位相差フィルムの光学的な均一性が高いという観点から、4〜7倍の範囲内であることが好ましい。特に、下記の工程(i)〜(iii)、
(i)原反フィルム又は縦延伸したフィルムを、上記フィルムを構成するプロピレン系樹
脂の融点以上の予熱温度で予熱する工程;
(ii)予熱された上記フィルムを、上記予熱温度よりも低い延伸温度で横方向に延伸する工程;
(iii)横方向に延伸した上記フィルムを熱固定する工程、
を順に経て横延伸することが好ましい。
テンター法で横延伸する場合には、予熱工程を行うゾーン、延伸工程を行うゾーン、熱固定工程を行うゾーンの各オーブン温度は独立に温度調節をすることができる装置を使用することが好ましい。上記のような条件下で横延伸を行うことにより、軸精度に優れ、かつ均一な位相差を有する位相差フィルムを得ることができる。
横延伸の予熱工程は、フィルムを幅方向に延伸する工程の前に設置される工程であり、フィルムを延伸するのに十分な高さの温度まで当該フィルムを加熱する工程である。ここで予熱工程での予熱温度は、オーブンの予熱工程を行うゾーン内の雰囲気の温度を意味し、延伸するフィルムのポリプロピレン系樹脂の融点以上の温度である。予熱温度は、得られる位相差フィルムの軸精度に大きく影響し、融点よりも低い予熱温度では、得られる位相差フィルムにおいて均一な位相差を達成することができない。
延伸されるフィルムの予熱工程滞留時間は、30〜120秒の範囲内であることが好ましい。この予熱工程での滞留時間が30秒に満たない場合は、延伸工程でフィルムが延伸されるときに応力が分散し、位相差フィルムとしての軸、位相差の均一性に不利な影響を及ぼす可能性があり、また、滞留時間が120秒を超える場合は、必要以上に熱を受け、フィルムが部分的に融解し、ドローダウン(下に垂れる)する可能性ある。予熱工程滞留時間は、30〜60秒の範囲内であることが更に好ましい。
横延伸の延伸工程は、フィルムを幅方向に延伸する工程である。この延伸工程での延伸温度(これは、オーブンの延伸工程を行うゾーン内の雰囲気の温度を意味する)は予熱温度より低い温度である。予熱されたフィルムを予熱工程よりも低い温度で延伸することにより、該フィルムを均一に延伸できるようになり、その結果、光軸及び位相差の均一性に優れた位相差フィルムが得られる。延伸温度は、予熱工程における予熱温度より5〜20℃低いことが好ましく、7〜15℃低いことがより好ましい。
横延伸の熱固定工程とは、延伸工程終了時におけるフィルム幅を保った状態で該フィルムをオーブン内の所定温度の雰囲気内を通過させる工程である。フィルムの位相差や光軸等光学的特性の安定性を効果的に向上させるために、熱固定温度は、延伸工程における延伸温度よりも5℃低い温度から延伸温度よりも30℃高い温度までの範囲内であることが好ましい。
横延伸の工程は、更に熱緩和工程を有してもよい。この工程は、テンター法においては通常、延伸ゾーンと熱固定ゾーンとの間に設けられ、他のゾーンから独立して温度設定が可能な熱緩和ゾーンにおいて行われる。具体的には、熱緩和は、延伸工程においてフィルムを所定の幅に延伸した後、チャックの間隔を数%(通常は、0.5〜7%の範囲内)だけ狭くし、無駄な歪を取り除くことで行われる。
尚、上述の説明では、逐次二軸延伸によりフィルムを延伸する場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限るものではない。一軸延伸や同時二軸延伸であっても、従来公知の成形条件等を適用することにより、同様に位相差フィルムを作製することができる。
また、上述の説明では、結晶性ポリオレフィン系樹脂としてプロピレン系樹脂を用いる場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限るものではない。エチレン系樹脂等の
他の結晶性ポリオレフィン系樹脂であっても、従来公知の延伸条件等を適用することにより、プロピレン系樹脂と同様に延伸を行うことができる。
また、上述の説明では、位相差フィルム用原反フィルムを構成する樹脂が結晶性ポリオレフィン樹脂のみである場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限るものではない。非晶性ポリオレフィン系樹脂等の公知の保護フィルムとして使用されている樹脂を含んでいる場合であっても延伸条件等を適宜変更することにより、プロピレン系樹脂と同様に延伸することができる。
〔位相差フィルムの物性〕
本実施の形態に係る位相差フィルムに求められる位相差は、位相差フィルムが組み込まれる液晶表示装置の種類により異なるが、通常、求められる面内位相差Rは30〜300nmの範囲内である。後述する垂直配向モード液晶ディスプレイに使用する場合は、視野角特性に優れるという観点から、面内位相差Rが40〜70nmの範囲内であり、厚み方向位相差Rthは、90〜230nmの範囲内であることが好ましい。
位相差フィルムの厚みは、通常10〜100μmの範囲内であり、好ましくは10〜60μmの範囲内である。位相差フィルムを製造する際の延伸倍率と、製造する位相差フィルムの厚みとを制御することにより、所望の位相差を有する位相差フィルムを得ることができる。
本実施の形態に係る位相差フィルムは、フィルム面内(500mm幅×500mm長さの面内)の位相差の最大値と最小値との差が10nm以下であり、フィルムの幅方向500mmの光軸を測定した場合、光軸が−1°以上+1°以下の範囲内であり、光学的な均一性が高い位相差フィルムであることが好ましい。
本実施の形態において偏光子に積層される保護フィルムは、その厚みに限定は無いが、例えば、5〜1000μm程度の範囲内に設定され、好ましくは10μm以上500μm以下の範囲内、より好ましくは15μm以上150μm以下の範囲内に設定することができる。尚、当然のことながら、これらの厚みは用途によって適宜変更することができる。
(C)偏光板
本実施の形態に係る偏光板は、上述した偏光子の少なくとも片面に上述した保護フィルムが積層されている。
ここで、上記偏光板が、上記偏光子の片面のみに上記保護フィルムが積層されている場合では、当該保護フィルムが積層した面とは異なる面に、上記保護フィルムとは異なる樹脂フィルムを積層してもよい。
上記樹脂フィルムを構成する樹脂としては、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロース等のセルロースアセテート系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の非晶性ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。また、これらの偏光板は、一方の保護フィルムの外側に粘着剤層を形成して、粘着剤付き偏光板としてもよい。
偏光子との接着の容易さや表面処理層の形成し易さ等を考慮すると、上記樹脂フィルムとしては、セルロースアセテート系樹脂フィルム、特にトリアセチルセルロースフィルムを好適に用いることができる。上記樹脂フィルムとしてセルロースアセテート系樹脂フィルムを用いる場合、偏光子との貼合に先立ってその表面をアルカリ水溶液でケン化しておくことが望ましい。
上記樹脂フィルムの厚みは、通常30〜200μm程度の範囲内であり、好ましくは30〜120μmの範囲内、更に好ましくは30〜85μmの範囲内である。液晶セルに貼合される面と異なる側の偏光板表面には、反射防止層、防眩層等、各種の表面処理層を有してもよい。
上記偏光子と上記保護フィルムとの接着には、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂等を成分とする接着剤を用いることができる。接着剤層を薄くする観点から好ましい接着剤として、水系の接着剤、即ち、接着剤成分を水に溶解した接着剤又は水に分散させた接着剤が挙げられる。また、別の好ましい接着剤として、無溶剤型の接着剤、具体的には、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマー又はオリゴマーを反応硬化させて接着剤層を形成する接着剤等が挙げられる。
以下、水系の接着剤について説明する。水系の接着剤と成り得る接着剤成分としては、例えば、水溶性の架橋性エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
水溶性の架橋性エポキシ樹脂としては、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンとアジピン酸等のジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂が挙げられる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン 650」や「スミレーズレジン 675」(何れも商品名)等がある。
接着剤成分として水溶性のエポキシ樹脂を用いる場合は、更に塗工性と接着性とを向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を混合することが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールの他、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコール等の変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。これらの中でも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸又はその塩との共重合体のケン化物、即ち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。尚、ここでいう「カルボキシル基」とは、カルボキシル基(−COOH)のみならずその塩も含まれる。
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、それぞれ(株)クラレから販売されている「クラレポバール KL−506」、「クラレポバール KL−318」及び「クラレポバール KL−118」(何れも商品名)、それぞれ日本合成化学工業(株)から販売されている「ゴーセナール T−330」及び「ゴーセナール T−350」(商品名)、電気化学工業(株)から販売されている「DR−0415」(商品名)、それぞれ日本酢ビ・ポバール(株)から販売されている「AF−17」、「AT−17」及び「AP−17」(何れも商品名)等が挙げられる。
上記接着剤として、水溶性のエポキシ樹脂を含む接着剤を用いる場合、そのエポキシ樹脂及び必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を水に溶解して、接着剤溶液を作製する。この場合、水溶性のエポキシ樹脂は、水100質量部あたり0.2〜2質量部程度の範囲の濃度とすることが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は、水100質量部あたり1〜10質量部程度の範囲内とすることが好ましく、1〜5質量部程度の範囲内とすることが更に好ましい。
一方、ウレタン系樹脂を含む水系の接着剤を用いる場合、適当なウレタン系樹脂の例と
して、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂が挙げられる。
ここで、アイオノマー型とは、骨格を構成するウレタン樹脂中に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドラン AP−20」、「ハイドラン APX−101H」(何れも商品名)等があり、何れもエマルジョンの形で入手できる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、通常は更にイソシアネート系架橋剤等の架橋剤を配合することが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアネート基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネート単量体の他、それらの複数分子がトリメチロールプロパン等の多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアネート基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアネート基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体等のポリイソシアネート変性体等がある。好適に使用しうる市販のイソシアネート系架橋剤として、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドランアシスター C−1」(商品名)等が挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いる場合は、その粘度及び接着性の観点から、そのウレタン樹脂の濃度が10〜70質量%程度の範囲内、更には20質量%以上、また50質量%以下となるように、水中に分散させたものが好ましい。イソシアネート系架橋剤を配合する場合は、ウレタン樹脂100質量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100質量部程度の範囲内となるように、その配合量を適宜選択すればよい。
以上のような水系の接着剤を、保護フィルム及び/又は偏光子の接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、偏光板とすることができる。
上記偏光子と上記保護フィルムとを貼合する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコール系偏光子又は保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法等が挙げられる。乾燥は、例えば、60〜100℃程度の範囲内の温度で行われる。乾燥後は、室温よりやや高い温度、例えば30〜50℃程度の範囲内の温度で1〜10日間程度養生して行うことが、接着力を一層高める観点からで好ましい。
次に、無溶剤型の接着剤について説明する。無溶剤型の接着剤とは、有意量の溶剤を含まず、一般には、加熱や活性エネルギー線の照射により重合する硬化性の化合物と、重合開始剤とを含んで構成される接着剤である。反応性の観点からは、カチオン重合で硬化するものが好ましく、特にエポキシ系の接着剤が好ましく用いられる。
本実施の形態に係る偏光板において、1つの好ましい形態では、偏光子と保護フィルムとが、無溶剤型のエポキシ系接着剤を介して積層されている。この接着剤は、加熱又は活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものであることがより好ましい。特
に、耐候性や屈折率等の観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物が、硬化性化合物として好適に用いられる。
分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いた接着剤は、例えば、特開2004−245925号公報に記載されている。このような芳香環を含まないエポキシ化合物としては、例えば、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。接着剤に用いる硬化性のエポキシ化合物は、通常、分子中にエポキシ基を2個以上有している。
上記芳香族エポキシ化合物の水素化物は、芳香族エポキシ化合物を触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行うことにより得られる。
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノール等の多官能型のエポキシ化合物等が挙げられる。これら芳香族エポキシ化合物の水素化物の中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
次に脂環式エポキシ化合物について説明する。脂環式エポキシ化合物とは、次式に示すように、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物である。
Figure 2009075471
(式中、mは2〜5の整数を表す)
上記式における(CH中の水素原子を1個又は複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物と成り得る。また、脂環式環を形成する水素がメチル基やエチル基等の直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。中でも、エポキシシクロペンタン環(上式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上式においてm=4のもの)を有する化合物を用いることがより好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例として、以下のような化合物が挙げられる。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(又は、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2',6'−ジオキサンスピロ−3'',5''−ジオキサンスピロ−3''',4'''−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物)、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エ
ポキシスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ジシクロペンタジエンジオキサイド等。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルが挙げられる。具体的には、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやプロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
ここに例示したエポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、また複数のエポキシ化合物を混合して使用してもよい。
無溶剤型の接着剤に使用するエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常30〜3,000g/当量の範囲内であり、好ましくは50〜1,500g/当量の範囲内である。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の保護フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、3,000g/当量を超えると、他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
エポキシ化合物をカチオン重合で硬化させるためには、カチオン重合開始剤が配合される。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射、又は加熱により、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させる。何れのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。
以下、光カチオン重合開始剤について説明する。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での硬化が可能となり、偏光子の耐熱性あるいは膨張による歪を考慮する必要が減少し、保護フィルムを良好に接着させることができる。また、光カチオン重合開始剤は光により触媒的に作用するため、エポキシ化合物と混合しても保存安定性や作業性に優れる。
活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、鉄−アレン錯体等が挙げられる。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
これらの光カチオン重合開始剤は市販品として容易に入手することができ、例えば、それぞれ商品名で、「カヤラッド PCI−220」、「カヤラッド PCI−620」(以上、日本化薬(株)製)、「UVI−6990」(ユニオンカーバイド社製)、「アデカオプトマー SP−150」、「アデカオプトマー SP−170」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−5102」、「CIT−1370」、「CIT−1682」、「CIP−1866S」、「CIP−2048S」、「CIP−2064S」(以上、日本曹達(株)製)、「DPI−101」、「DPI−102」、「DPI−103」、「DPI−105」、「MPI−103」、「MPI−105」、「BBI−101」、「BBI−102」、「BBI−103」、「BBI−105」、「TPS−101」、「TPS−102」、「TPS−103」、「TPS−105」、「MDS−103」、「MDS−105」、「DTS−102」、「DTS−103」(以上、みどり化学(株)製)、
「PI−2074」(ローディア社製)等が挙げられる。特に、日本曹達(株)製の「CI−5102」は、好ましい開始剤の1つである。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100質量部に対して、通常0.5〜20質量部の範囲内であり、好ましくは1質量部以上、また好ましくは15質量部以下である。
更に、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等が挙げられる。光増感剤を配合する場合、その量は、例えば、光カチオン重合性エポキシ樹脂組成物を100質量部として、0.1〜20質量部程度の範囲内である。
次に、熱カチオン重合開始剤について説明する。加熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する化合物としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミド等が挙げられる。これらの熱カチオン重合開始剤も、市販品として容易に入手することができ、例えば、何れも商品名で、「アデカオプトン CP77」及び「アデカオプトン CP66」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−2639」及び「CI−2624」(以上、日本曹達(株)製)、「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」及び「サンエイド SI−100L」(以上、三新化学工業(株)製)等が挙げられる。
尚、以上説明した光カチオン重合と熱カチオン重合とを併用することも、有用な技術である。
エポキシ系接着剤は、更にオキセタン類やポリオール類等、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
無溶剤型の接着剤を用いる場合も、その接着剤を、保護フィルム及び/又は偏光子の接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、偏光板とすることができる。偏光子又は保護フィルムに無溶剤型接着剤を塗工する方法に特別な限定はなく、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の塗工方式を利用することができる。また、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、少量の溶剤を用いて粘度調整を行ってもよい。このために用いる溶剤は、偏光子の光学性能を低下させることなく、エポキシ系接着剤を良好に溶解するものあればよく、例えば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類等の有機溶剤を使用することができる。エポキシ系接着剤を用いる場合、接着剤層の厚さは、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下であり、また通常は1μm以上である。
以上のように、未硬化の接着剤層を介して偏光子に保護フィルムを貼合した後は、活性エネルギー線を照射するか、加熱することにより、エポキシ系接着剤層を硬化させ、保護フィルムを偏光子上に固着させる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。活性エネルギー線若しくは紫外線の照射強度や照射量は、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光子、保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。
また加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光子、保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。
偏光子の片面に上記保護フィルムを積層し、他面には上記樹脂フィルムを積層する場合も、上記と同様の接着剤を用いてもよいし、それとは異なる接着剤を用いてもよい。但し、偏光子の両面に、同じ接着剤を用いる方が、工程及び材料を少なくできることからより好ましい。
本実施の形態に係る偏光板の製造では、偏光子及び/又は保護フィルムの接着面には、各種表面処理、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、電子線処理、UV処理、アンカーコート処理等がされていることが好ましい。これにより、上記したような接着剤を介して偏光子を貼り合わせた後の保護フィルムと偏光子との接着力を高めることができる。尚、各種表面処理の中でもコロナ放電処理がより好ましい。
上記コロナ放電処理とは、電極間に高電圧をかけて放電し、電極間に配置されたフィルムを活性化する処理である。コロナ放電処理の効果は、電極の種類、電極間隔、電圧、湿度、使用するフィルムの種類等によっても異なり、コロナ放電処理の条件は、例えば、電極間隔を1〜5mmの範囲内、移動速度を3〜20m/分程度の範囲内に設定することが好ましい。コロナ放電処理後は、その処理面に、上記したような接着剤を介して偏光子が貼り合わされる。偏光子の片面に該保護フィルムを積層し、他面には樹脂フィルムを積層する場合も、上記と同様の表面処理を用いてもよい。
以上のようにして、偏光子の少なくとも片面に、結晶性ポリオレフィン系樹脂を含む保護フィルムが積層された偏光板が提供される。
こうして得られる偏光板は、一方の保護フィルムの外側に、粘着剤層を形成して、粘着剤付き偏光板とすることができる。この場合、粘着剤層の表面は剥離フィルムで覆うことが通例である。
(D)積層光学部材
上記偏光板の使用に際して、少なくとも一方の表面に、偏光機能以外の光学機能を示す光学層を設けた積層光学部材とすることもできる。積層光学部材の形成を目的に偏光板に積層することができる光学層としては、例えば、反射層、半透過型反射層、光拡散層、位相差フィルム、集光シート、輝度向上フィルム等、液晶表示装置の形成に用いられる各種の光学層が挙げられる。これらの中でも、反射層、半透過型反射層及び光拡散層は、反射型ないし半透過型や拡散型、それらの両用型の偏光板からなる積層光学部材を形成する場合に用いられるものである。
反射型偏光板としての積層光学部材は、視認側からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置に用いられ、バックライト等の光源を省略できるため、液晶表示装置を薄型化し易い。また半透過型の偏光板としての積層光学部材は、明所では反射型として、暗所ではバックライト等の光源を介して表示するタイプの液晶表示装置に用いられる。
反射型偏光板としての積層光学部材は、例えば、偏光子上の保護フィルムにアルミニウム等の金属からなる箔や蒸着膜を付設して、反射層を形成することにより作製することができる。半透過型の偏光板としての積層光学部材は、例えば、上記の反射層をハーフミラーとしたり、パール顔料等を含有させて光透過性を示す反射板を偏光板に接着したりすることにより形成させることができる。一方、拡散型偏光板としての積層光学部材は、例えば、偏光板上の保護フィルムにマット処理を施す方法、微粒子含有の樹脂を塗布する方法
、微粒子含有のフィルムを接着する方法等、種々の方法を用いて、表面に微細凹凸構造を形成させることにより作製することができる。
更に、反射拡散両用の偏光板としての積層光学部材の形成は、例えば、拡散型偏光板の微細凹凸構造面にその凹凸構造が反映した反射層を設ける等の方法により、行うことができる。微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラツキを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点等を有する。また、微粒子を含有した樹脂層やフィルムは、入射光及びその反射光が微粒子含有層を透過する際に拡散されて、明暗ムラをより抑制しうる等の利点も有している。
表面微細凹凸構造を反映させた反射層は、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の蒸着やメッキ等の方法で、金属を微細凹凸構造の表面に直接付設することにより形成することができる。表面微細凹凸構造を形成するために配合する微粒子としては、例えば、平均粒径が0.1〜30μmの範囲内のシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、並びに酸化アンチモン等からなる無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子等を利用することができる。
他方、上記した光学層としての位相差フィルムは、液晶セルによる位相差の補償等を目的として使用される。その例としては、各種プラスチックの延伸フィルム等からなる複屈折性フィルム、ディスコティック液晶やネマチック液晶が配向固定されたフィルム、フィルム基材上に上記の液晶層が形成されたフィルム等が挙げられる。この場合、配向液晶層を支持するフィルム基材として、トリアセチルセルロース等セルロース系樹脂フィルムが好ましく用いられる。
複屈折性フィルムを形成するプラスチックとしては、例えば、非晶性ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)、セルロースアセテート系樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド等が挙げられる。
延伸フィルムは、一軸延伸や二軸延伸等の適宜な延伸方式で処理したものであってよい。また、熱収縮性フィルムとの接着下で収縮力及び/又は延伸力をかけることでフィルムの厚さ方向の屈折率を制御した複屈折性フィルムでもよい。尚、位相差フィルムは、広帯域化等光学特性の制御を目的として、2枚以上を組み合わせて使用してもよい。
集光シートは、光路制御等を目的に用いられるもので、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、あるいはドット付設シート等として、形成することができる。
輝度向上フィルムは、液晶表示装置等における輝度の向上を目的に用いられるもので、その例としては、屈折率の異方性が互いに異なる薄膜フィルムを複数枚積層して反射率に異方性が生じるように設計された反射型偏光分離シート、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持した円偏光分離シート等が挙げられる。
積層光学部材は、偏光板と、上述した反射層、半透過型反射層、光拡散層、位相差フィルム、集光シート、及び輝度向上フィルム等から使用目的に応じて選択される1層又は2層以上の光学層とを組み合わせ、2層又は3層以上の積層体とすることができる。その場合、光拡散層、位相差フィルム、集光シート、輝度向上フィルム等の光学層は、それぞれ2層以上を配置してもよい。尚、各光学層の配置に特に限定はない。
積層光学部材を形成する各種光学層は、接着剤を用いて一体化されるが、そのために用いる接着剤は、接着層が良好に形成されるものであれば特に限定はなく、例えば、「(C)偏光板」にて上述した接着剤が挙げられる。また、接着作業の簡便性や光学歪の発生防止等の観点から、後述する粘着剤を使用することも好ましい。
このような積層光学部材も、偏光板と同様に、所望の面で粘着剤を介して液晶セルに貼合される。粘着剤としては、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、ブチルゴム系、シリコーン系等のベースポリマーを用いたものを使用することができる。より具体的には、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステルをベースとするポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルを2種類以上用いた共重合体をベースとするポリマーが好適に用いられる。
粘着剤は通常、これらのベースポリマー中に極性モノマーが共重合されており、かかる極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーが挙げられる。
架橋剤については、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成する2価又は多価金属塩、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するポリイソシアネート化合物等が挙げられ、これらの化合物が、架橋剤として1種又は2種以上、ベースポリマーに混合して用いられる。一般的な粘着剤層の厚みは5〜50μm程度の範囲内である。粘着剤層を偏光板に付与する場合、状況によってはコロナ処理等の表面処理を偏光板の保護フィルム表面に施してもよい。
(E)液晶表示装置
本実施の形態に係る偏光板若しくは積層光学部材は、必要に応じて上記したような他の光学層と積層した状態で、粘着剤を介して液晶セルに貼り合わせ、液晶表示装置とすることができる。液晶表示装置とするにあたっては、上述したように一方の保護フィルムの外側に粘着剤層を形成して粘着剤付き偏光板とし、その粘着剤層側が液晶セルに面するように貼合される。積層光学部材の場合は、偏光板の保護フィルム以外の表面で液晶セルに貼り合わされることもある。液晶表示装置を構成する液晶セルは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment)、IPS(In-Plane Switching)等、この分野で知られている各種のモードの液晶セルを採用することができる。
尚、上述した本実施の形態の説明では、結晶性ポリオレフィン系樹脂が、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、並びにこれら樹脂の変性物である場合について主に説明したが、これに限るものではない。例えば、エチレン及びプロピレンの合計が50質量%以上含有する単量体組成物を重合して得られる樹脂、並びに当該樹脂を変成した樹脂等であってもよい。この場合も、上述したプロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂と同様のコモノマーを用いることができ、同様の製造方法により製造することができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。尚、実施例中、含有量若しくは使用量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り質量基準、つまり「質量%」及び「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
(a)水系接着剤の調製
水100部に対し、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバール KL−318」、(株)クラレ製)を3部溶解し、更に、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(商品名「スミレーズレジン 650」、住化ケムテックス(株)製、固形分30%の水溶液)を1.5部加えて、接着剤とした。
(b)保護フィルムの作製
Tダイ成形法(多層Tダイ成形法)により、保護フィルムを作製した。具体的には、プロピレン系樹脂(プロピレン−エチレンランダム共重合体:プロピレン由来の構成単位の割合=95.4質量%、融点=136℃、結晶化度=52%、マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒(チーグラー・ナッタ系触媒)を用い、気相重合法で連続式に行ったもの)をシリンダー温度を250℃とした90mmφ押出機に投入して溶融混練し、100kg/hの押出量で上記押出機に取り付けられた1250mm巾Tダイより押出した。押出された溶融ポリプロピレン系樹脂は、10℃に温調したキャスティングロール(エアギャップは90mm)とエアーチャンバーとにより冷却され、厚さ80μmのプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを得た。
これを更に、縦1.5倍、横4倍に延伸し、厚み20μmのプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを得た。
(c)保護フィルム付き偏光板の作製
ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光子の片面に、(a)で調製した接着剤を介して、トリアセチルセルロースからなる保護フィルム(商品名「KC8UX」、コニカミノルタオプト(株)製)を貼合した。別途、上記(b)で得たプロピレン系樹脂からなる保護フィルムの片面に、積算照射量1,680Jの条件でコロナ放電処理を施した。このコロナ放電処理後30秒以内に、そのコロナ処理面を、上記の片面にトリアセチルセルロースフィルムが貼合された偏光子のポリビニルアルコールフィルム面に、同じく上記(a)で調製した接着剤を介して貼り合わせ、80℃で5分間乾燥した。更に40℃で3日間養生して、偏光子の片面にトリアセチルセルロースからなる保護フィルムが積層され、他面にプロピレン系樹脂からなる保護フィルムが積層された偏光板を得た。
(d)接着力の評価:温水浸漬試験
(c)で得られた保護フィルム付き偏光板について、保護フィルムと偏光子との接着力を評価するため、以下に示す温水浸漬試験を行った。
偏光板の吸収軸(延伸方向)を長辺として30mm×80mmの大きさにカットしたサンプルを作製し、長辺方向の寸法を正確に測定した。このサンプルの一短辺側を、クリップではさみ、長さ方向の8割ほどを60℃の水槽に浸漬し、240分保持した。
その後、水槽から取り出し、水分を拭き取ってから、サンプルの長さ方向寸法を測定し、(試験前長さ−試験後長さ)を偏光板の縮み量とした。また、温水浸漬前はサンプルの全面が均一に偏光板特有の色を呈していたが、温水浸漬によって偏光子の周囲で温水に接する部分からヨウ素が溶け出して、偏光板周囲に色が抜けた部分を生じていた。
そこで、サンプル短辺の中央で、サンプルの端から偏光板特有の色が残っている部分の端までの長さを測定し、偏光板の色抜け量とした(この色抜け量自体は偏光板の吸収軸方向の値となる)。
実施例1で得られた偏光板は、縮み量が0.7mm、色抜け量が1.5mmであった。
〔実施例2〕
本実施例では、エポキシ系の紫外線硬化型接着剤を用いて、偏光子と保護フィルムとを接着させた。この接着剤は、脂環式エポキシ化合物と光カチオン重合開始剤を含んでいる。偏光子、トリアセチルセルロースフィルム及びプロピレン系樹脂フィルムは、実施例1と同じものを用いた。
まず、偏光子の片面に、上記エポキシ系接着剤を介してトリアセチルセルロースフィルムを貼合した。別途、プロピレン系樹脂フィルムの片面に、積算照射量1,680Jの条件でコロナ放電処理を施し、このコロナ放電処理後30秒以内に、そのコロナ処理面を、上記の片面にトリアセチルセルロースフィルムが貼合された偏光子のポリビニルアルコールフィルム面に、同じく上記のエポキシ系接着剤を介して貼合した。その後、紫外線照射システム(Fusion UV Systems 社製)を用いて、保護フィルム側から、出力1,000mW、照射量500mJの条件で紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。こうして、偏光子の片面にトリアセチルセルロースからなる保護フィルムが、他面にはプロピレン系樹脂からなる保護フィルムが、それぞれエポキシ系紫外線硬化型接着剤を介して積層された偏光板を得た。
〔実施例3〕
メタロセン触媒系プロピレン系樹脂(商品名:「ウィンテックWFX4T」、日本ポリプロピレン(株)製、MFR=7、Tm=125℃)をTダイ成形法(250℃、冷却ロール温度15℃、フィルム厚み119μm)により製膜し、保護フィルムを作製した。トータルHAZE4.2、内部HAZE2.0の透明性に優れた保護フィルムを得た。
尚、トータルHAZE、内部HAZEは、JIS K7136に従い測定を行った。内部HAZEは、測定するシートをフタル酸ジメチルで満たしたセルの中に入れ測定した。
〔実施例4〕
実施例3の保護フィルムを横延伸機を用いて、炉内温度114℃、設定延伸倍率5倍の条件で延伸した。得られたフィルムの実延伸倍率平均値は4.73倍、標準偏差は0.06と優れたものであった。
〔実施例5〕
シンジオタクチック構造を有するプロピレン系樹脂(商品名「ATOFINA FINAPLAS1471」、アトフィナ社製、MFR=4、Tm=130℃)と、実施例1で用いたプロピレン系樹脂とを二軸混練造粒機を用い、230℃150rpmの条件で造粒したペレットを用い、Tダイ成形法(250℃、冷却ロール温度15℃、フィルム厚み111μm)により、製膜して保護フィルムを作製した。
トータルHAZE1.4、内部HAZE0.1の透明性に優れた保護フィルムを得た。尚、トータルHAZE、内部HAZEは、JIS K7136に従い測定を行った。内部HAZEは、測定するシートをフタル酸ジメチルで満たしたセルの中に入れ測定した。
〔実施例6〕
実施例5の保護フィルムを横延伸機を用いて、炉内温度134℃、設定延伸倍率3倍の条件で延伸した。得られたフィルムの実延伸倍率平均値は3.02倍、標準偏差は0.13と優れたものであった。
〔比較例1〕
ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光子の両面にトリアセチ
ルセルロースからなる保護フィルムが貼合されている偏光板(商品名「SRW062A」、住友化学(株)製)について、実施例1の(c)と同様の方法で温水浸漬試験を行った。その結果、縮み量が1.00mm、色抜け量が2.07mmであった。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の偏光板は、保護フィルムが結晶性ポリオレフィン系樹脂を含むため、偏光子と保護フィルムとの接着力が低下し難い。このため、カーナビゲーションシステム用、薄型テレビ用、携帯電話用、パソコン用等、各種液晶表示装置に好適に使用することができる。
本実施の形態に係る偏光板の製造方法に用いられるポリマーフィルターの概略構成を示す模式図である。
符号の説明
1 ハウジング
2 リーフディスク
3 センターポスト
4 入口
5 出口

Claims (19)

  1. 偏光子の少なくとも片面に保護フィルムが積層されている偏光板であって、
    上記保護フィルムが結晶性ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする偏光板。
  2. 上記保護フィルムの偏光子との接着面が結晶性ポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  3. 上記保護フィルムが位相差フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光板。
  4. 上記保護フィルムが、反射防止機能、防眩機能、傷付防止機能、防汚機能、紫外線防止機能、及び帯電防止機能からなる群から選択される少なくとも1つの機能を有するフィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光板。
  5. 上記保護フィルムが多層フィルムであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の偏光板。
  6. 上記保護フィルムが、粘着層を有することを特徴とする請求項5に記載の偏光板。
  7. 上記結晶性ポリオレフィン系樹脂が、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂及び変性されたポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の偏光板。
  8. 上記結晶性ポリオレフィン系樹脂が、メタロセン触媒を用いて重合された樹脂であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の偏光板。
  9. 上記結晶性ポリオレフィン系樹脂が、シンジオタチック構造のプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の偏光板。
  10. 上記結晶性ポリオレフィン系樹脂中の添加剤量が、結晶性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.5質量部以下であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の偏光板。
  11. 上記結晶性ポリオレフィン系樹脂中の触媒残渣が、結晶性ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.02質量部以下であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の偏光板。
  12. 偏光子と保護フィルムとが水系の接着剤を介して積層されていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の偏光板。
  13. 上記水系の接着剤が、架橋性のエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項12に記載の偏光板。
  14. 偏光子と保護フィルムとが無溶剤型のエポキシ系接着剤を介して積層されていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の偏光板。
  15. 上記無溶剤型のエポキシ系接着剤は、加熱又は活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものであることを特徴とする請求項14に記載の偏光板。
  16. 偏光子の少なくとも片面に保護フィルムを積層する保護フィルム積層工程を含む偏光板の製造方法であり、
    上記保護フィルム積層工程では、偏光子における保護フィルムとの接着面及び/又は保護フィルムにおける偏光子との接着面に表面処理を施した後に、接着剤を介して上記偏光子と上記保護フィルムとを貼り合わせることを特徴とする偏光板の製造方法。
  17. 請求項1〜15の何れか1項に記載の偏光板と他の光学機能を示す光学層との積層体からなることを特徴とする積層光学部材。
  18. 上記光学層が位相差フィルムである請求項17に記載の積層光学部材。
  19. 請求項1〜15の何れか1項に記載の偏光板又は請求項17若しくは18に記載の積層光学部材が、粘着剤を介して液晶セルに貼合されていることを特徴とする液晶表示装置。
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