JP5439603B2 - 炭素繊維の製造方法、および炭素繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素繊維の製造方法、および炭素繊維に関する。
本願は、2011年08月02日に、日本に出願された特願2011−169273号、に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
炭素繊維は、優れた機械的強度を有するため、航空宇宙素材、スポーツ、レジャー用素材、圧力容器などの工業用素材として極めて有用であり、需要が拡大している。また、今後はさらに幅広い分野で利用されることが期待されている。
一般に、炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系繊維などの炭素繊維の前駆体繊維(プレカーサー繊維)を束ねた炭素繊維前駆体繊維束を焼成して製造される。具体的には、炭素繊維前駆体繊維束を酸化性雰囲気で満たした耐炎化炉で加熱処理(耐炎化処理)して耐炎化繊維束を得た後、得られた耐炎化繊維束を窒素などの不活性雰囲気で満たした炭素化炉で加熱処理(前炭素化処理および炭素化処理)することによって炭素繊維を得る。
炭素繊維は、通常、そのままでは利用されず、マトリックス樹脂との組み合わせによる複合材料として成型され、様々な用途に利用される。
しかし、炭素繊維とマトリックス樹脂との濡れ性、親和性、接着性が不十分であると、複合材料としたときに満足な特性が得られにくいことがあった。
このため、通常、不活性雰囲気中で加熱処理した後の炭素繊維には炭素繊維の表面を改質するための表面処理が施され、更にはサイジング処理が施されることによりマトリックス樹脂との濡れ性、親和性、接着性を向上させている。
炭素繊維を表面処理する方法としては、電解酸化処理や薬液酸化処理などの液相酸化処理や、気相酸化処理が知られている。炭素繊維の表面に酸化処理を施すことで、繊維表面に酸素含有官能基が形成し、マトリックス樹脂との濡れ性、親和性、接着性が向上すると考えられている。なお、酸化処理された炭素繊維は、乾燥機などに投入され、乾燥された後にサイジング剤でサイジング処理されるのが通常である。
これらの酸化処理の中でも、特に電解酸化処理は、その処理のしやすさ、処理条件制御の容易さ、炭素繊維表面への酸素含有官能基の導入のしやすさなどの見地から、薬液酸化処理や気相酸化処理よりも実用的、かつ効果的な表面処理方法である。
しかし、電解酸化処理法では、電解酸化処理した後に炭素繊維に付着した電解液を純水などで洗浄する必要があり、製造装置が大型化になったり、製造コストが増加したりすることがあった。
また、洗浄後の炭素繊維を乾燥させる際には、洗浄しきれずに残存する電解液を考慮して、電解液に用いる溶剤の沸点と同程度、あるいは沸点よりも高温にて乾燥させる必要があった。電解液には、通常、硫酸や硝酸などが用いられているので、これらの沸点と同程度の温度に設定できる高温の乾燥機が必要であり、製造コストが増加しやすかった。
さらに、電解酸化処理に用いた電解液をそのまま排水すると環境に負荷がかかるため、排水するには環境に負荷がかからないように中和処理などの廃液処理を行う必要があり、生産性が低下し、製造コストが増加しやすかった。電解酸化処理後の炭素繊維を洗浄した洗浄廃液には電解液が含まれているので、該洗浄廃液を排水する場合も同様である。
そこで、洗浄工程を必要とせず、操作が簡便であり、製造コストを低減できる炭素繊維の表面処理方法として、例えば特許文献1には、オゾンが溶存したオゾン溶液中に炭素繊維を浸漬させたり搬送させたりして、炭素繊維の表面を処理する方法が開示されている。
特開2009−79344号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法で表面処理した炭素繊維を複合材料として使用する場合、マトリックス樹脂との接着性が必ずしも十分ではなかった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、マトリックス樹脂との接着性に優れた炭素繊維を得ることができる炭素繊維の製造方法、および炭素繊維を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
(1) オゾンが溶媒に溶存したオゾン溶液を、流体噴出口から炭素繊維束に向かって噴出させ、前記オゾン溶液を炭素繊維束の単繊維間に通過させて単繊維表面に接触させることにより、炭素繊維をオゾン溶液で表面処理する表面処理工程を有する、炭素繊維の製造方法。
(2) 前記オゾン溶液が単繊維表面に接触する際の炭素繊維束の張力が、単繊維数12000本当たり0.3kg以上1.8kg以下である、前記(1)に記載の炭素繊維の製造方法。
(3) 前記炭素繊維束をオゾン溶液中に0.1秒以上60秒以下保持する、前記(1)または(2)に記載の炭素繊維の製造方法。
(4) 搬送される炭素繊維束の搬送方向に対して交差する方向にオゾン溶液を噴出させ、かつ、オゾン溶液の単位時間当たりの噴出量を流体噴出口上または流体噴出口下を単位時間当たりに通過する炭素繊維束の質量に対して40倍以上300倍以下とし、オゾン溶液の噴出速度を0.20m/秒以上2.0m/秒以下とする、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
(5) 前記流体噴出口から炭素繊維束に向かってオゾン溶液を噴出させて単繊維表面に接触させる回数を1回以上4回以下とする、前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
(6) 前記流体噴出口の形状が矩形であり、該流体噴出口の長手方向が炭素繊維束の幅方向であり、かつ流体噴出口の長手方向の長さが炭素繊維束の幅以上である、前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
(7) オゾン溶液が貯留されているオゾン処理槽の液面上を搬送される炭素繊維束を挟んで前記流体噴出口と対向する位置に衝突板を設置し、流体噴出口から噴出させたオゾン溶液を炭素繊維束の単繊維間に通過させた後に、衝突板に衝突させる、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
(8) JIS P 8117:2009に準じて測定される透気抵抗度が100秒以上700秒以下であり、かつオゾン溶液が貯留されているオゾン処理槽の液面上を搬送される炭素繊維束に前記表面処理を施す、前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
(9) 含水率が40%以下であり、かつオゾン溶液が貯留されているオゾン処理槽の液面上を搬送される炭素繊維束に前記表面処理を施す、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
(10) オゾン溶液中を搬送される前記炭素繊維束に前記表面処理を施す、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
(11) 前記オゾン溶液のオゾン濃度が10mg/L以上120mg/L以下である、前記(1)〜(10)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
(12) 前記炭素繊維束の単繊維数が10000本以上60000本以下である、前記(1)〜(11)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
(13) サイクリックボルタンメトリー法により測定される、単位面積当たりに流れる電流値(ipa値)が0.10μA/cm以上である炭素繊維を得る、前記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
(14) 前記(1)〜(13)のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法により得られた、表面処理された炭素繊維であって、サイクリックボルタンメトリー法により測定される、単位面積当たりに流れる電流値(ipa値)が0.10μA/cm以上である、炭素繊維。
本発明の炭素繊維の製造方法によれば、マトリックス樹脂との接着性に優れた炭素繊維を得ることができる。
また、本発明の炭素繊維は、マトリックス樹脂との接着性に優れる。
炭素繊維の表面処理に用いる表面処理装置の一例を模式的に示す正面図である。 図1に示す表面処理装置の平面図である。 炭素繊維の表面処理に用いる表面処理装置の他の例を模式的に示す正面図である。 炭素繊維の表面処理に用いる表面処理装置の他の例を模式的に示す正面図である。 図4に示す表面処理装置の平面図である。 図4に示す表面処理装置の部分斜視図である。 炭素繊維の表面処理に用いる表面処理装置の他の例を模式的に示す正面図である。 炭素繊維の表面処理に用いる表面処理装置の他の例を模式的に示す正面図である。 比較例で用いた表面処理装置を模式的に示す正面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の炭素繊維の製造方法は、オゾンが溶媒に溶存したオゾン溶液を、流体噴出口から炭素繊維束に向かって噴出させ、前記オゾン溶液を炭素繊維束の単繊維間に通過させて単繊維表面に接触させることにより、炭素繊維をオゾン溶液で表面処理する表面処理工程を有する。
オゾン溶液は、静止している炭素繊維束に向かって噴出させてもよいし、搬送される炭素繊維束に向かって噴出させてもよいが、均一にオゾン溶液を噴出できる観点から、搬送される炭素繊維束に向かって噴出させることが好ましい。
表面処理の操作方法としては、例えば表面が未処理の状態で製造した炭素繊維や、表面が未処理の状態で市販されている炭素繊維を準備し、必要な時にオゾン溶液の入った容器などにこれらの炭素繊維束を搬送させることで表面処理してもよく、後述する焼成処理(炭素化処理)の後、継続して炭素繊維束をオゾン溶液中に搬送させることで表面処理してもよい。後者の操作方法であれば、炭素繊維を連続的に製造することができるので、生産性をより向上させることができる。
以下、搬送される炭素繊維束に向かってオゾン溶液を噴出させる場合を例に挙げて、炭素繊維をオゾン溶液で表面処理する方法(炭素繊維の表面処理方法)の一例について、図1、2を参照しながら説明する。なお、後述の図3〜8において、図1、2と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
<炭素繊維の表面処理方法>
図1は、炭素繊維の表面を処理する表面処理装置の一例を模式的に示す正面図であり、図2は図1に示す表面処理装置の平面図である。この例の表面処理装置10は、オゾン溶液11を貯留するオゾン処理槽12と、搬送される炭素繊維束13をオゾン処理槽12の中に導く第1のフリーロール14aと、炭素繊維束13をオゾン処理槽12の外に導く第2のフリーロール14bと、オゾン溶液11を炭素繊維束13に接触させる接触手段15と、オゾン溶液11を循環させる循環ポンプ16とを具備して構成される。
なお、図2においてオゾン溶液11および循環ポンプ16と、後述するパイプ15aと吸引パイプ16aは省略する。
オゾン溶液11は、オゾンが溶媒に溶存した溶液である。オゾン溶液11は、例えばオゾン発生器(図示略)から発生するオゾンガスをオゾンガス溶解装置(図示略)により溶媒に溶解させることで得られる。
オゾンを溶解させる溶媒としては、水、液相酸化に使用される溶液などが挙げられるが、中でも水が好ましく、特に蒸留水や脱イオン水などの不純物質を少なくした純水が好ましい。
オゾン発生器やオゾンガス溶解装置としては、市販のものを用いることができる。
オゾン処理槽12は、オゾンガス溶解装置(図示略)から供給されたオゾン溶液11を貯留するものである。
第1のフリーロール14aは、搬送される炭素繊維束13をオゾン処理槽12の中に導くものである。
第2のフリーロール14bは、オゾン溶液11の接触により表面処理された炭素繊維束13をオゾン処理槽12の外に導くものである。
接触手段15は、オゾン溶液11を炭素繊維束13に接触させるものである。この例の接触手段15は、オゾン処理槽12の下方に設けられ、パイプ15aと、パイプ15aから分岐した4つの分岐管15bとを備える。
パイプ15aは、その長手方向が炭素繊維束13の搬送方向と平行になるように配置され、かつ、一端が循環ポンプ16に接続され、循環ポンプ16によりオゾン溶液11が供給される。
分岐管15bは長尺なパイプであり、図2に示すように、その長手方向がパイプ15aの長手方向と直行するように(すなわち、分岐管15bの長手方向と炭素繊維束13の搬送方向とが直交するように)、パイプ15aから分岐している。また、分岐管15bは、その上側に矩形状の流体噴出口15cが分岐管15bの長手方向に沿うように(すなわち、流体噴出口15cの長手方向が炭素繊維束13の幅方向となるように)形成され、パイプ15aを通って分岐管15bに供給されたオゾン溶液11が、流体噴出口15cからオゾン処理槽12内を搬送される炭素繊維束13に向かって、噴出されるようになっている。
流体噴出口の長手方向の長さは、炭素繊維束の幅以上であることが好ましい。
循環ポンプ16は、吸引パイプ16aによってオゾン処理槽12内のオゾン溶液11を吸引し、接触手段15のパイプ15aへ供給するものである。
図1に示す表面処理装置10を用いた炭素繊維の表面処理方法では、まず、オゾン溶液11で満たされたオゾン処理槽12に、第1のフリーロール14aを介して炭素繊維束13をオゾン溶液11中に浸漬させる。そして、オゾン溶液中を搬送される炭素繊維束13に向かって、具体的には炭素繊維束13の搬送方向に対して交差する方向に、オゾン溶液11を接触手段15の流体噴出口15cから噴出させ、オゾン溶液11を炭素繊維束13の単繊維間に通過させて単繊維表面に接触させる。このときのオゾン溶液11の移動方向Fは、炭素繊維束13の搬送方向に対して直交方向、かつ上向き(すなわち、水平状態の炭素繊維束13の下側から上側へ向かう方向)である。
ついで、オゾン溶液11の接触により表面処理された炭素繊維束13を第2のフリーロール14bによってオゾン処理槽12のオゾン溶液11外に導く。
炭素繊維束13の搬送方向に対して交差する方向にオゾン溶液11を噴出すれば、オゾン溶液11が炭素繊維束13の単繊維間を通過しやすくなり、炭素繊維束13の内部にまでオゾン溶液11が拡散しやすくなる。オゾン溶液11が炭素繊維束13の内部にまで拡散すると、炭素繊維束13の内部に至るまで均一に表面上の酸素含有官能基の数が増大しやすくなり、本発明により表面処理された炭素繊維は、複合材料として使用した際に、マトリックス樹脂との接着性に優れるようになる。
なお、本発明においてオゾン溶液の移動方向とは、流体噴出口から噴出したオゾン溶液または自然落下したオゾン溶液が流れる方向のことである。
オゾン溶液中の溶存オゾン濃度(以下、「オゾン濃度」という。)の下限値は、炭素繊維の表面処理を効率よく行う観点から10mg/L以上が好ましく、20mg/L以上がより好ましく、30mg/L以上がさらに好ましい。また、前記溶存オゾン濃度の上限値は、オゾン溶液の製造コストの観点から120mg/L以下が好ましく、80mg/L以下がより好ましく、50mg/L以下がさらに好ましい。
オゾン濃度は、オゾンガス濃度やオゾン溶液温度などによって調整できる。例えば、オゾンガスの濃度を高くしたり、オゾン溶液温度を低くしたりすれば、オゾン濃度は高くなる傾向にある。
また、炭素繊維を表面処理する際の処理温度は特に制限されないが、処理温度が高くなるに連れて、溶液に溶存したオゾン(O)が酸素(O)に変化したり、オゾンがオゾン溶液から外気へ放出されたりして、表面処理の効率が低下する傾向にある。そのためオゾン溶液温度は0〜40℃が好ましく、5〜25℃がより好ましい。
流体噴出口15cから炭素繊維束13に向かってオゾン溶液11を噴出させて単繊維表面に接触させる回数(接触回数)は1〜4回が好ましい。炭素繊維束13に噴出によるオゾン溶液11の接触回数が0回の場合(すなわち、炭素繊維束13に向かってオゾン溶液11を噴出させない場合)、オゾン溶液11が炭素繊維束13の内部まで拡散しにくくなる。その結果、炭素繊維束13の内部の単繊維まで表面処理が十分にされず炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が低下する。一方、接触回数が4回を超えた場合、表面処理効果は頭打ちとなるばかりか、表面処理のコストがかかりやすくなる。従って、経済性の観点から、効率よく炭素繊維を表面処理するには、接触回数は4回以下であることが好ましい。
なお、本発明において接触回数とは、炭素繊維束13の任意の箇所においてオゾン溶液を噴出させて、オゾン溶液を単繊維間に通過させる回数のことであり、図1に示す表面処理装置10を用いる場合、接触回数は4回である。すなわち、分岐管15bの数と接触回数は等しい。
また、図1に示す表面処理装置10では、オゾン処理槽12内のオゾン溶液11中を搬送される炭素繊維束13に向かって、接触手段15の流体噴出口15cからオゾン溶液11を噴出することで、移動するオゾン溶液11を炭素繊維束13に接触させているが、このときのオゾン溶液11の噴出速度は0.20m/秒以上2.0m/秒以下が好ましく、0.25m/秒以上1.0m/秒以下がより好ましい。噴出速度が0.20m/秒以上であれば、オゾン溶液11が炭素繊維束13の単繊維間を通過しやすくなるため、炭素繊維束13の内部まで十分にオゾン溶液11が拡散しやすくなる。その結果、表面処理された炭素繊維とマトリックス樹脂との良好な接着性を得られやすい。一方、噴出速度が2.0m/秒以下であれば、炭素繊維にオゾン溶液11が強く接触することを抑制でき、毛羽立ちの発生が少なくなり、工程通過性が低下することが抑制できる。
オゾン溶液11の噴出速度は、循環ポンプ16のポンプ圧などを調節することで制御できる。
また、接触手段15の流体噴出口15cから炭素繊維束13までの距離の上限値については、流体噴出口15cから噴出したオゾン溶液11が、オゾン処理槽12内のオゾン溶液11中に拡散する前に炭素繊維束13に到達でき、単繊維間を通過できる距離であれば、特に制限されない。一方、流体噴出口15cから炭素繊維束13までの距離の下限値については、分岐管15bが炭素繊維束13の搬送を妨げない範囲であれば、特に制限されない。
また、オゾン溶液11が単繊維表面に接触する際の炭素繊維束13の張力は、単繊維数12000本当たり0.3kg以上1.8kg以下が好ましく、0.4kg以上1.5kg以下がより好ましい。張力が0.3kg以上であれば、張力が極端に低いために、繊維束がばらけて、連続して生産される炭素繊維の工程通過性が悪化することを抑制しやすくなる。一方、張力が1.8kg以下であれば、炭素繊維束13の内部までオゾン溶液が十分に拡散しやすくなる。その結果、表面処理された炭素繊維とマトリックス樹脂との良好な接着性が得られる。
図1に示す表面処理装置10を用いる場合、炭素繊維束13はオゾン溶液11中を搬送され、その間にオゾン溶液11が流体噴出口15cから炭素繊維束13に向かって噴出される。このとき、オゾン溶液11中に炭素繊維束13を保持する時間(保持時間)はオゾン濃度に依存するので一概には決められないが、オゾン濃度が上記範囲内であれば0.1秒以上60秒以下が好ましい。保持時間が0.1秒以上であれば、炭素繊維を十分に表面処理できる。一方、保持時間が60秒以下であれば、生産性を維持できる。表面処理の観点から保持時間は1秒以上がより好ましく、10秒以上がさらに好ましく、30秒以上が特に好ましい。一方、生産性の観点から保持時間は50秒以下がより好ましい。
上述した表面処理方法では、単繊維数が多い炭素繊維束の単繊維表面にオゾン溶液を均一に接触させ、炭素繊維をより均一に表面処理することが可能であり、具体的には単繊維数が10000本以上60000本以下の炭素繊維束の単繊維表面にオゾン溶液を均一に接触させることができる。単繊維数が60000本以下であれば、オゾン溶液が単繊維間を通過しやすい。炭素繊維束の単繊維数の下限値は、生産性の観点から12000本以上が好ましく、18000本以上がより好ましく、25000本以上がさらに好ましい。また、炭素繊維束の単繊維数の上限値は、表面処理の均一性の観点から40000本以下が好ましく、30000本以下がより好ましい。なお、単繊維数が10000本未満であっても上述した表面処理方法により炭素繊維束の単繊維表面にオゾン溶液を均一に接触させることができるが、単繊維数が10000本未満の場合は上述した表面処理方法以外の方法(例えば従来の表面処理方法)でも、目的の炭素繊維を得ることができる。上述した表面処理方法は単繊維数が10000本以上と多い場合に好適である。
炭素繊維束の単繊維数を上記範囲内とする方法としては特に制限されないが、例えばトウボリュームの多い前駆体繊維を出発物質として用いる方法、トウボリュームの少ない前駆体繊維を複数、焼成工程の途中で合糸する方法などが挙げられる。
このように、オゾン溶液を用いて炭素繊維を表面処理することにより、従来の電解酸化処理などの方法で表面処理するのと同様に、炭素繊維表面へ酸素含有官能基が導入される。
炭素繊維が表面処理されたことの確認方法としては、例えば炭素繊維の単位面積当たりに流れる電流値(ipa値)を測定する方法が挙げられる。ipa値は炭素繊維の表面特性の指標であり、ipa値が高くなるほど炭素繊維の表面積が増え、表面処理がなされたことを意味する。従って、ipa値が高くなると、炭素繊維とマトリクス樹脂の接着面積が増えるアンカー効果により、マトリックス樹脂との接着性が向上する。炭素繊維のipa値は、例えば特開昭60−246864号公報に開示されているサイクリックボルタンメトリー法によって求めることができる。なお、本発明でいうサイクリックボルタンメトリー法とは、ポテンシオスタットとファンクションゼネレータとからなる分析装置において、作動電極として炭素繊維を用い、その電流と電極電位(電圧)との関係を測定する方法のことである。
具体的には、まず、5質量%リン酸水溶液を用いてpHを3とし、窒素をバブリングさせ溶存酸素を除去した溶液を調製する。この溶液に、参照電極としてAg/AgCl電極と、対電極として十分な表面積を有する白金電極と、作動電極として炭素繊維とを差し込み、炭素繊維の電流と電極電位を測定する。
電位操作範囲は−0.2〜0.8Vとし、電位操作速度は2mV/secとし、X−Yリコーダーにより電位−電流曲線を描き、3回以上掃引させ、曲線が安定した段階で、Ag/AgCl電極に対して、+0.4Vでの電位を標準にとって電流を読み取り、下記式(1)に従ってipa値を算出する。なお、式(1)において、「試料長」とは作動電極に用いた炭素繊維の長手方向の長さであり、「目付」とは作動電極に用いた炭素繊維の単位長さ当たりの重さのことである。
ipa値[μA/cm]=電流値[μA]/試料長[cm]×{4π×目付[g/cm]×単繊維数/密度[g/cm] }1/2 ・・・(1)
なお、表面処理された炭素繊維の表面には、オゾン溶液が付着している。炭素繊維の表面に付着したオゾン溶液は、炭素繊維を乾燥機内に投入して乾燥することで除去できる。本発明においては、従来の電解酸化処理のように沸点の高い溶剤を用いることなく炭素繊維を表面処理するので、乾燥機内の温度は、電解酸化処理の場合に比べて低く設定できる。特にオゾン溶液の溶媒として水を用いれば、乾燥機内の温度を水の沸点に合わせて設定できるので、比較的低温の乾燥機を用いることができる。従って、製造コストの増加を抑制できる。
上述した炭素繊維の表面処理方法によれば、オゾン溶液中を搬送される炭素繊維束の搬送方向に対して交差する方向にオゾン溶液を噴出させ、オゾン溶液を炭素繊維束の単繊維間に通過させるので、炭素繊維束の内部にまでオゾン溶液が拡散しやすくなる。オゾン溶液が炭素繊維束の内部にまで拡散すると、炭素繊維表面上の酸素含有官能基の数が多くなるので、上述した炭素繊維の表面処理方法により表面処理された炭素繊維は、複合材料として使用した際に、マトリックス樹脂との接着性に優れるようになる。
また、上述した炭素繊維の表面処理方法は、電解酸化処理に用いられるような電解液は使用せずに、炭素繊維を表面処理するので、表面処理の後に洗浄工程を行う必要がない。また、オゾン溶液の調製よりも手間のかかる電解液を調製する必要もない。従って、製造装置を小型化できたり、生産性を向上させて、製造コストの増加を抑制できたりする。
さらに、上述した炭素繊維の表面処理方法では洗浄工程を設ける必要がないので、洗浄工程で生じる洗浄廃液を排水する必要もない。さらに、表面処理に用いたオゾン溶液を排水する場合には、貯留槽があれば数時間放置するだけで無害なレベルまでオゾン濃度が低下する。貯留槽が無い場合には、オゾン溶液を活性炭処理などしてオゾンを活性炭に吸収させる程度の簡便な操作を行えばよい。従って、表面処理にオゾン溶液を用いることで、排水の際に環境への負荷を低減するのと共に、中和処理に比べて排水の手間がかかりにくいので生産性が向上して、製造コストの増加を抑制できる。
また、上述した炭素繊維の表面処理方法によれば、表面処理自体の操作が簡便であると共に、高価な電極を用いることなく表面処理できる。従って、生産性が向上するので、製造コストを低減させつつ、従来の電解酸化処理などの方法で表面処理した場合と同程度の表面処理効果を得ることができる。
また、上述した炭素繊維の表面処理方法によれば、サイクリックボルタンメトリー法により測定されるipa値が0.10μA/cm以上である炭素繊維が容易に得られる。
(他の実施形態)
なお、炭素繊維の表面処理方法は、上述した方法に限定されない。例えば上述した方法では、図1に示すようにオゾン処理槽12がオゾン溶液11で満たされているが、例えば図3に示す表面処理装置20のようにオゾン処理槽12はオゾン溶液11で満たされていなくてもよい。すなわち、図1では炭素繊維束13をオゾン溶液11に浸漬させた状態でオゾン溶液11を炭素繊維束13に向かって噴出させているが、炭素繊維束13に向かってオゾン溶液11を噴出させ、該オゾン溶液11を炭素繊維束13の単繊維間に通過させて単繊維表面に接触させれば、図3に示すように炭素繊維束13をオゾン溶液11に浸漬させずにオゾン溶液11に接触させる(すなわち、オゾン処理槽12の液面上を搬送される炭素繊維束13に表面処理を施す)方が、より短時間で表面処理がなされる。かかる理由は以下の通りである。
炭素繊維束13をオゾン溶液11に浸漬させない、すなわち、オゾン処理槽12の液面上を搬送される炭素繊維束13は、オゾン溶液11中を搬送される炭素繊維束13に比べて含水率が低い。よって、オゾン溶液11が炭素繊維束13の内部に至るまでの間に、より効果的にかつ均一にオゾン溶液11が単繊維表面に接触し、表面上の酸素含有官能基の数が増大しやすくなる。そのため、オゾン処理槽12の液面上を搬送される炭素繊維束13に表面処理を施して得られる炭素繊維は、複合材料として使用した際に、マトリックス樹脂との接着性がより向上する。
オゾン処理槽12の液面上を搬送される炭素繊維束13に表面処理を施す方法としては、図3に示す表面処理装置20を用いた方法に限定されない。例えば図4〜8に示すように、オゾン溶液11が炭素繊維束13の単繊維間を通過した後、炭素繊維束13の搬送方向に対して平行方向に移動するオゾン溶液を炭素繊維に接触させてもよい。こうすることで、炭素繊維束13の搬送速度を上げても、表面処理された炭素繊維を複合材料として使用した際に、マトリックス樹脂との接着性がより向上する。
ここで、図4、7、8は炭素繊維の表面を処理する表面処理装置の他の例を模式的に示す正面式図であり、図5は図4に示す表面処理装置の平面図であり、図6は図4に示す表面処理装置の部分斜視図である。
なお、図5においてオゾン溶液11、パイプ15a、循環ポンプ16、および吸引パイプ16aは省略する。また図6においてオゾン処理槽12、第1のフリーロール14a、第2のフリーロール14b、パイプ15a、衝突板15e、循環ポンプ16、および吸引パイプ16aは省略する。
図4〜8に示す表面処理装置30は、オゾン処理槽12の液面上、かつ分岐管15bの流体噴出口15cの上部に設置された整流板15dと、整流板15dの上部、かつ炭素繊維束13を挟んで流体噴出口15cと対向する位置に設置された衝突板15eとをさらに具備する。
流体噴出口15cから炭素繊維束13に向かってオゾン溶液11を噴出させて単繊維表面に接触させる回数(接触回数)は、図4が4回であり、図7、8が2回である。
整流板15dは、炭素繊維束13の単繊維間を通過した後のオゾン溶液11を炭素繊維束13の搬送方向に対して平行方向に移動させるものである。この例の整流板15dは、図6に示すように、流体噴出口15cの真上に位置する箇所に矩形状の孔151dが設けられた底板152dと、該底板152dに垂直に取り付けられ、かつ対向する2つの側板153dとを有し、これら底板152dと側板153dとでオゾン溶液11が流れる樋状の流路を形成している。
なお、本発明においては、底板152dと側板153dとで流路を形成している整流板15dを「流路を有する整流板」ともいう。
整流板15dの流路の長さは150mm以上が好ましい。150mm以上であれば、表面処理された複合材料として使用した際に、マトリックス樹脂との接着性がより向上する。流路の長さの上限は特に制限されないが、長すぎると設備も大型となり場所を取るため、500mm以下が好ましい。流路の長さは200mm以上400mm以下がより好ましい。
また、流路の長さは、炭素繊維束13の搬送速度に応じて適宜設定されるが、具体的には、オゾン溶液11が流路内に滞在する時間(滞在時間)が1秒以上となるように、流路の長さを調節するのが好ましい。滞在時間が1秒以上であれば、炭素繊維束13との保持時間を十分に確保できるので、表面処理された複合材料として使用した際に、マトリックス樹脂との接着性がより向上する。滞在時間の上限は特に制限されないが、滞在時間が長くなることは設備の大型化に繋がるため、10秒以下が好ましい。滞在時間は3秒以上8秒以下がより好ましい。
なお、流路の長さは、底板152dと側板153dとが互いに接する辺の長さと等しい。
衝突板15eは、炭素繊維束13の単繊維間を通過した後のオゾン溶液11の移動方向を、炭素繊維束13の搬送方向に対して平行方向に変更するものである。炭素繊維束13の単繊維間を通過した後のオゾン溶液11を衝突板15eに衝突させることで、炭素繊維束13の搬送方向に対して交差する方向(図4〜8の場合は直行方向)に移動していたオゾン溶液11を、炭素繊維束13の搬送方向に対して平行方向に移動させやすくなる。
衝突板15eの形状や大きさについては、衝突板15eのオゾン溶液11が衝突する面が、流体噴出口15cの断面積よりも大きければ、特に制限されない。
図4〜8に示す表面処理装置30を用いる場合、炭素繊維束13は整流板15dの流路を通過しながらオゾン処理槽12の液面上を搬送される。そして、流体噴出口15cから炭素繊維束13に向かって噴出されたオゾン溶液11は、整流板15dの底板152dの孔151dを通って炭素繊維束13に到達し、単繊維間を通過する。単繊維間を通過した後のオゾン溶液11は自然落下し、整流板15dの流路を流れ、整流板15dの両端からオゾン処理槽12へ放出される。オゾン溶液11が整流板15dの流路を流れるときに、該流路を通過する炭素繊維束13と接触する。整流板15dの流路を流れるオゾン溶液11の移動方向は、炭素繊維束13の搬送方向に対して平行である。
また、衝突板15eが、炭素繊維束13を挟んで流体噴出口15cの対向する位置に設置されているので、炭素繊維束13の単繊維間を通過した後のオゾン溶液11を衝突板15eに衝突させて、オゾン溶液11の移動方向を炭素繊維束13の搬送方向に対して平行方向に容易に変えることができる。
オゾン溶液11が炭素繊維束13の単繊維間を通過した後に、炭素繊維束13の搬送方向に対して平行方向に移動するオゾン溶液11を炭素繊維に十分に接触させるためには、流体噴出口15cから単位時間当たりに噴出されるオゾン溶液11の噴出量(以下、単に「オゾン溶液の噴出量」という。)を、流体噴出口15c上を単位時間当たりに通過する炭素繊維束の質量に対して40倍以上とすることが好ましい。
例えば、一般的な炭素繊維の密度は1.7g/cm以上1.9g/cm以下であり、これに対し、比重約1.0g/cmのオゾン溶液を40等量供給することで、流体噴出口上を通過する炭素繊維束に対し約100倍の体積を有するオゾン溶液が供給される計算となる。よって、オゾン溶液11の噴出量が炭素繊維束13の質量の40倍以上であれば、オゾン溶液11が炭素繊維束に十分に接触できると考えられる。オゾン溶液11の噴出量の上限は特に制限されないが、流体噴出口15cから噴出するオゾン溶液11の量が多すぎると、噴出速度が速くなり、炭素繊維にオゾン溶液11が強く接触するため、毛羽立ちが発生しやすくなり、工程通過性が低下する傾向にある。流体噴出口15cの形状を変更することにより、オゾン溶液11の噴出量を増加させても噴出速度を抑えることはできるが、オゾン溶液11の噴出量を増やすことは生産コストの増加に繋がる。従って、オゾン溶液11の噴出量の上限値は、流体噴出口15c上を単位時間当たりに通過する炭素繊維束の質量に対して300倍以下とすることが好ましい。特に、オゾン溶液11の噴出速度が0.20m/秒以上2.0m/秒以下である場合、オゾン溶液11の噴出量を上記範囲内とすることが好ましい。
図3〜8に示すように、オゾン処理槽12の液面上を搬送される炭素繊維束13に表面処理を施す場合、表面処理される炭素繊維束13の透気抵抗度は100秒以上700秒以下であることが好ましい。透気抵抗度が100秒以上であれば、トウ割れが起こりにくく、収束性が十分に保持されやすくなる。一方、透気抵抗度が700秒以下であれば、収束性が強すぎず、炭素繊維束の内部までオゾン溶液が接触しやすくなる。透気抵抗度は100秒以上300秒以下がより好ましい。
炭素繊維束13の透気抵抗度は、少なくとも最初の噴出によりオゾン溶液11が接触する直前の炭素繊維束13の透気抵抗度が上記範囲内であることが好ましく、接触回数が2回以上の場合は各回の噴出によりオゾン溶液11が接触する直前の炭素繊維束13の各透気抵抗度が上記範囲内であることがより好ましい。
なお、本発明において、透気抵抗度とは、JIS P 8117:2009(ISO 5636−5:2003)に準じて測定される紙および板紙の透気度試験方法を参考にしたものである。JIS P 8117:2009によると、透気抵抗度(air resistance)は、直径28.6±0.1mmの円孔をもった締付板を使用したときの、「面積642mmの紙または板紙を空気100mLが通過する時間」と定義される。本発明では、紙の代わりに炭素繊維束を使用し、JIS P 8117:2009に準じて測定することで透気抵抗度を求める。
また、オゾン処理槽12の液面上を搬送される炭素繊維束13に表面処理を施す場合、表面処理される炭素繊維束13の含水率は40%以下であることが好ましい。含水率は40%以下であれば、オゾン溶液11が炭素繊維束13の内部に至るまでの間に、より効果的にかつ均一にオゾン溶液11が単繊維表面に接触し、表面上の酸素含有官能基の数が増大する。そのため、得られる炭素繊維は、複合材料として使用した際に、マトリックス樹脂との接着性がより向上する。
炭素繊維束13の含水率は、少なくとも最初の噴出によりオゾン溶液11が接触する直前の炭素繊維束13の含水率が上記範囲内であることが好ましく、接触回数が2回以上の場合は各回の噴出によりオゾン溶液11が接触する直前の炭素繊維束13の各含水率が上記範囲内であることがより好ましい。
なお、接触回数が1回の場合、炭素繊維束13はオゾン処理槽12の液面上を搬送されるので、噴出によりオゾン溶液11が接触する直前の炭素繊維束13の含水率は0%である。
また、オゾン溶液11が接触した直後の炭素繊維束13の含水率は100%となるため、接触回数が2回以上の場合は、例えば以下のようにして炭素繊維束13の含水率を低下させることが好ましい。
図7に示すように、2つの整流板15dの間にエアーブロー17を設置し、下流側の整流板15dの流路を通過した炭素繊維束13にエアーブロー17からエアーを吹き付けて、所望の含水率になるまで炭素繊維束13からオゾン溶液11を取り除く。
また、図8に示すように、2つの整流板15dの間にニップロール18を設置し、下流側の整流板15dの流路を通過した炭素繊維束13をニップロール18で挟んで、所望の含水率になるまで炭素繊維束13からオゾン溶液11を取り除く。ニップロール18に代えてフラットロールを用いてもよい。
炭素繊維束の含水率は、以下のようにして測定できる。
まず、流体噴出口からの噴出によりオゾン溶液が接触する直前の炭素繊維束を採取し、蒸気乾燥機により105℃で1時間、水分を蒸発させて乾燥させる。乾燥前の炭素繊維束の質量(W)、および乾燥後の炭素繊維束の質量(W)を測定し、下記式(2)により含水率を求める。
含水率[質量%]={(W−W)/W}×100 ・・・(2)
炭素繊維の表面処理方法は、図1〜8に示す表面処理装置10、20、30を用いた方法に限定されない。
図1〜8ではオゾン溶液11の噴出方向Fを、炭素繊維束13の搬送方向に対して直交方向としているが、炭素繊維束13の搬送方向に対して交差すれば、すなわち、平行方向でなければ、噴出方向Fは直交方向に限定されない。ただし、オゾン溶液が炭素繊維束の単繊維間を通過しやすい点で、直交方向が特に好ましい。
また、図1〜8ではオゾン溶液11の噴出方向を上向き(すなわち、水平状態の炭素繊維束13の下側から上側へ向かう方向)としているが、下向き(すなわち、炭素繊維束13の上側から下側へ向かう方向)でもよい。ただし、図1〜8に示すように、オゾン溶液11の噴出方向Fを上向きすることで、下向きの場合よりも大気中に移動させるために噴出速度が速くなるため、好ましい。
また、図1〜8ではオゾン溶液11を接触手段15の流体噴出口15cから噴出させているが、例えば炭素繊維束の上側から下側へ向かってオゾン溶液を自然落下させて、炭素繊維に接触させてもよい。
また、図1〜8に示す接触手段15の流体噴出口15cは矩形状であるが、流体噴出口15cの形状については特に限定されない。さらに、接触手段15の分岐管15bは長尺でなくてもよい。また、炭素繊維束13の本数は1本でもよいし、2本でもよいし、図2、5、6に示すように3本でもよいし、4本以上でもよいが、複数の炭素繊維束13を並行して搬送させ、一度に表面処理する場合は、図1〜8に示すように矩形状の流体噴出口15cが形成された長尺な分岐管15bからオゾン溶液11を噴出させるのが好ましい。この場合、複数の炭素繊維束13の配列方向と、分岐管15bの長手方向が平行になるため、移動するオゾン溶液に全ての炭素繊維束を均一に接触させることができる。
<炭素繊維の製造方法>
本発明の炭素繊維の製造方法は、炭素繊維を表面処理する表面処理工程を有する。
炭素繊維を表面処理する方法としては、上述した炭素繊維の表面処理方法が挙げられる。
表面処理される炭素繊維は、炭素繊維の前駆体繊維(プレカーサー繊維)を焼成することで得られる。焼成方法としては、例えば炭素繊維の前駆体繊維を束ねた炭素繊維前駆体繊維束を耐炎炉で耐炎化処理し、次いで、炭素化炉で前炭素化処理および炭素化処理する方法を用いることができる。
前駆体繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル系繊維、ピッチ系繊維、レーヨン系繊維が挙げられるが、コストと性能のバランスから、好ましくはポリアクリロニトリル系繊維が用いられる。
耐炎化処理では、炭素繊維前駆体繊維束を耐炎化炉に投入して耐炎化処理する。耐炎化炉内には、200〜300℃の酸化性雰囲気が循環しており、炭素繊維前駆体繊維束は該酸化性雰囲気中を搬送される間に耐炎化処理される。なお、耐炎化炉内を循環する酸化性雰囲気の流れは、搬送される被処理繊維に対して平行方向でも、垂直方向でもよく、特に限定されない。
酸化性雰囲気としては、空気、酸素、二酸化窒素など、公知の酸化性雰囲気を採用できるが、経済性の面から空気が好ましい。
炭素繊維前駆体繊維束の耐炎化処理に要する時間は、炭素繊維の生産性及び性能を高める観点から30〜100分が好ましく、45〜80分がより好ましい。耐炎化処理に要する時間が30分未満であると、耐炎化反応が不十分であったり、斑になりやすかったりし、後に行われる炭素化工程で毛羽、束切れを生じ、結果的に生産性が低下することがある。一方、耐炎化処理に要する時間が100分を超えると、耐炎化装置の大型化、又は耐炎化処理速度を下げることが必要となり生産性が低下する。
前炭素化処理では、耐炎化処理された炭素繊維を第1の炭素化炉に投入して前炭素化処理する。第1の炭素化炉内には、温度が300〜800℃の不活性雰囲気が循環しており、耐炎化処理された炭素繊維は該不活性雰囲気中を搬送される間に前炭素化処理される。なお、第1の炭素化炉内を循環する不活性雰囲気の流れは、搬送される被処理繊維に対して平行方向でも、垂直方向でもよく、特に限定されない。
不活性雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウムなど公知の不活性雰囲気を採用できるが、経済性の面から窒素が望ましい。
炭素化処理では、前炭素化処理された炭素繊維を第2の炭素化炉に投入して炭素化処理する。第2の炭素化炉内には、最高温度が1000〜2500℃の不活性雰囲気が循環しており、前炭素化処理された炭素繊維は該不活性雰囲気中を搬送される間に炭素化処理される。なお、第2の炭素化炉内を循環する不活性雰囲気の流れは、搬送される被処理繊維に対して平行方向でも、垂直方向でもよく、特に限定されない。
不活性雰囲気としては、先に例示した公知の不活性雰囲気の中から選択して用いることができるが、経済性の面から窒素が望ましい。
このようにして得られた炭素繊維を、上述した炭素繊維の表面処理方法により表面処理する。
また、本発明においては、必要に応じて、表面処理された炭素繊維をサイジング剤でサイジング処理してもよい。サイジング処理することで、繊維の集束性が高まり取り扱い性が向上すると共に、マトリックス樹脂との接着性も向上する。サイジング剤の種類としては、所望の特性を得ることができれば特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂を主成分としたサイジング剤が挙げられる。
サイジング処理の方法としては、公知の方法を用いることができる。
以上説明したように、本発明の炭素繊維の製造方法は、オゾン溶液を流体噴出口から炭素繊維束に向かって噴出させ、前記オゾン溶液を炭素繊維束の単繊維間に通過させて単繊維表面に接触させることにより、炭素繊維をオゾン溶液で表面処理する表面処理工程を有する。よって、炭素繊維束の内部にまでオゾン溶液が拡散しやすくなる。オゾン溶液が炭素繊維束の内部にまで拡散すると、炭素繊維表面上の酸素含有官能基の数が多くなるので、マトリックス樹脂との接着性に優れた炭素繊維が得られる。
<炭素繊維>
本発明の炭素繊維の製造方法により得られた、表面処理された炭素繊維は、サイクリックボルタンメトリー法により測定されるipa値が0.10μA/cm以上であり、0.12μA/cm以上が好ましい。上述したように、ipa値は炭素繊維束の表面特性の指標であり、ipa値が高くなるほど表面処理がなされていることを意味する。ipa値が0.10μA/cm以上であれば、表面処理(酸化)が十分に行われたこと意味し、複合材料として使用した際にマトリックス樹脂との接着性が良好となり、十分な曲げ強度を有する複合材料が得られる。
ipa値の上限値については特に制限されない。
本発明の炭素繊維は、マトリックス樹脂と組み合わされて、複合材料として成型され、様々な用途に利用される。マトリックス樹脂としては特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ラジカル重合系樹脂であるアクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。また、市販品を用いてもよい。本発明の炭素繊維は、上述した本発明の表面処理方法により表面処理が施されているので、これらマトリックス樹脂との接着性に優れる。
本発明の炭素繊維を用いた複合材料の用途としては特に限定されず、例えば、航空宇宙素材、スポーツ、レジャー用素材、圧力容器などの工業用素材等、幅広い用途に使用できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各例における測定・評価方法については、下記の方法により実施した。
<測定・評価方法>
(噴出速度の測定)
オゾン溶液の噴出速度は、流体噴出口から噴出する1分間当たりの水量を採取し、その質量を求め、その質量を流体噴出口の断面積で割って求めた。
(含水率の測定)
炭素繊維束の含水率は、以下のようにして測定した。
まず、最下流に位置する流体噴出口からの噴出によりオゾン溶液が接触する直前の炭素繊維束を採取し、蒸気乾燥機により105℃で1時間、水分を蒸発させて乾燥させた。乾燥前の炭素繊維束の質量(W)、および乾燥後の炭素繊維束の質量(W)を測定し、下記式(2)により含水率を求めた。
含水率[質量%]={(W−W)/W}×100 ・・・(2)
(透気抵抗度の測定)
炭素繊維束の透気抵抗度は、以下のようにして測定した。
まず、最下流に位置する流体噴出口からの噴出によりオゾン溶液が接触する直前の炭素繊維束を採取し、JIS P 8117:2009(ISO 5636−5:2003)に準じて測定される紙および板紙の透気度試験方法を参考にし、紙の代わりに炭素繊維束を使用して透気抵抗度を求めた。
(ストランド強度・ストランド弾性率の測定)
表面処理された炭素繊維のストランド強度およびストランド弾性率は、ASTM D4018に準拠し、エポキシ樹脂含浸ストランドの引張物性を測定することで求めた。
(ipa値の測定)
表面処理された炭素繊維のipa値は、サイクリックボルタンメトリー法により、以下のようにして求めた。なお、測定装置として、ポテンシオスタットとファンクションゼネレータとからなる分析装置(北斗電工株式会社製「HZ-3000 AUTOMATIC POLARIZATION SYSTEM」)を用いた。
まず、5質量%リン酸水溶液を用いてpHを3とし、窒素をバブリングさせ溶存酸素を除去した溶液を調製した。この溶液に、参照電極としてAg/AgCl電極と、対電極として十分な表面積を有する白金電極と、作動電極として表面処理された炭素繊維とを差し込み、上記の分析装置にて炭素繊維の電流と電極電位を測定した。
電位操作範囲は−0.2〜0.8Vとし、電位操作速度は2mV/secとした。X−Yリコーダーにより電位−電流曲線を描き、3回以上掃引させ、曲線が安定した段階で、Ag/AgCl電極に対して、+0.4Vでの電位を標準にとって電流を読み取り、下記式(1)に従ってipa値を算出した。なお、式(1)において、「試料長」とは作動電極に用いた炭素繊維の長手方向の長さであり、「目付」とは作動電極に用いた炭素繊維の単位長さ当たりの重さのことである。
ipa値[μA/cm]=電流値[μA]/試料長[cm]×{4π×目付[g/cm]×単繊維数/密度[g/cm] }1/2 ・・・(1)
(接着性の評価)
表面処理された炭素繊維と、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂(三菱レイヨン株式会社製、「#350」)とを用いて、炭素繊維の含有量が体積含有率60%である繊維強化プラスチック板材(板厚:2mm)を製造した。
得られた繊維強化プラスチック板材について、ASTM D790に準拠して3点曲げショートビーム法により、繊維方向に対して直角方向の曲げ強度(FS90°) を測定した。なお、曲げ強度が高いほど、炭素繊維とマトリックス樹脂の接着性に優れることを意味する。
<実施例1>
単繊維繊度1.2dtex、単繊維数12000本のアクリル繊維を、耐炎化を終えるまでの伸長率を−6.0%、温度を220℃〜260℃として加熱処理(耐炎化処理)を施し、耐炎化繊維を得た。この耐炎化繊維を700℃の窒素雰囲気中、伸長率を+3%として前炭素化し、続いて1250℃の窒素雰囲気中、伸長率を−4.2%として炭素化し、未処理の炭素繊維を得た。
得られた未処理の炭素繊維を、図1に示す表面処理装置10を用いて以下のようにして表面処理した。
なお、オゾン溶液11は、オゾン発生器(住友精密工業株式会社製)より発生したオゾンガスを純水中に曝気させ、純水中のオゾン濃度が30mg/Lになるように調整しながら、オゾンガスを純水に溶解させて調製した。オゾン濃度は、オゾン濃度センサー(溶存オゾン測定タイプ)を用いて測定した。
オゾン濃度30mg/Lのオゾン溶液11で満たされたオゾン処理槽12に、第1のフリーロール14aを介して炭素繊維束13を浸漬させ、オゾン処理槽12内を搬送速度3m/分で搬送中の炭素繊維束13に向かって、接触手段15の流体噴出口15cからオゾン溶液11を噴出させ、オゾン溶液11を炭素繊維束13の単繊維間に通過させて単繊維表面に接触させた。
なお、オゾン溶液11の移動方向Fを炭素繊維束13の搬送方向に対して直交方向、かつ上向きとした。
また、流体噴出口15cから炭素繊維束13に向かってオゾン溶液11を噴出させて単繊維表面に接触させる回数(接触回数)を4回、オゾン溶液11の噴出速度を0.42m/秒、オゾン溶液11が単繊維表面に接触する際の、炭素繊維束13の単繊維数12000本当たりの張力を0.4kg、流体噴出口15c上を単位時間当たりに通過する炭素繊維束13の質量に対するオゾン溶液11の単位時間当たりの噴出量を208倍、オゾン溶液11に炭素繊維束13を保持する時間(保持時間)を45秒とした。また、流体噴出口15cから炭素繊維束13までの距離を5cmとした。
なお、図1に示す表面処理装置10を用いて炭素繊維束13を表面処理する場合の保持時間とは、炭素繊維束13がオゾン処理槽12のオゾン溶液11中を搬送されている間の時間である。
ついで、炭素繊維束13を第2のフリーロール14bによってオゾン処理槽12の外に導いた後、150℃で0.5分乾燥させて炭素繊維の表面に付着したオゾン溶液を除去し、さらにサイジング処理を行って、表面処理された炭素繊維を得た。
最初の噴出によりオゾン溶液が接触する直前の炭素繊維束の含水率および透気抵抗度を測定した。また、表面処理された炭素繊維のストランド強度、ストランド弾性率、ipa値を測定し、接着性を評価した。これらの結果を表1に示す。
<実施例2、3>
単繊維数12000本当たりの張力を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維の表面処理を行い、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
単繊維繊度1.0dtex、単繊維数60000本のアクリル繊維を、耐炎化を終えるまでの伸長率を−6.0%、温度を220℃〜260℃として加熱処理(耐炎化処理)を施し、耐炎化繊維を得た。この耐炎化繊維を700℃の窒素雰囲気中、伸長率を+3%として前炭素化し、続いて1350℃の窒素雰囲気中、伸長率を−4.2%として炭素化し、未処理の炭素繊維を得た。
得られた未処理の炭素繊維を用い、流体噴出口15c上を単位時間当たりに通過する炭素繊維束13の質量に対するオゾン溶液11の単位時間当たりの噴出量を52倍とした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維の表面処理を行い、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
図1に示す表面処理装置10に代えて、図4に示す表面処理装置30を用い、以下のようにして表面処理した以外は、実施例1と同様にして、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
オゾン濃度30mg/Lのオゾン溶液11が貯留されたオゾン処理槽12の液面上を炭素繊維束13が搬送されるように、第1のフリーロール14aおよび第2のフリーロール14bを用いて炭素繊維束13を整流板15dの流路に通過させた。整流板15dの流路を搬送速度8m/分で搬送中(通過中)の炭素繊維束13に向かって、接触手段15の流体噴出口15cからオゾン溶液11を噴出させた。噴出されたオゾン溶液11は、整流板15dの底板152dの孔151dを通って炭素繊維束13に到達し、単繊維間を通過して単繊維表面に接触した。また、単繊維間を通過した後のオゾン溶液11は衝突板15eに衝突し、オゾン溶液11の移動方向を炭素繊維束13の搬送方向に対して平行方向に変え、炭素繊維束13と接触しながら整流板15dの流路を流れ、整流板15dの両端からオゾン処理槽12へ放出された。
なお、オゾン溶液11の移動方向Fを炭素繊維束13の搬送方向に対して直交方向、かつ上向きとし、整流板15dの流路を流れるオゾン溶液11の移動方向Fを炭素繊維束13の搬送方向に対して平行方向とした。ただし、整流板15dの下流側の端部から孔151dまでの流路を流れるオゾン溶液11の移動方向Fは炭素繊維束13の搬送方向と逆方向であり、孔151dから整流板15d上流側の端部までの流路を流れるオゾン溶液11の移動方向Fは炭素繊維束13の搬送方向と同方向である。
また、流体噴出口15cから炭素繊維束13に向かってオゾン溶液11を噴出させて単繊維表面に接触させる回数(接触回数)を4回、オゾン溶液11の噴出速度を0.42m/秒、オゾン溶液11が単繊維表面に接触する際の、炭素繊維束13の単繊維数12000本当たりの張力を0.4kg、流体噴出口15c上を単位時間当たりに通過する炭素繊維束13の質量に対するオゾン溶液11の単位時間当たりの噴出量を78倍、オゾン溶液11に炭素繊維束13を保持する時間(保持時間)を2.3秒とした。また、流体噴出口15cから炭素繊維束13までの距離を5cmとし、整流板15dの流路を300mmとした。
なお、図4に示す表面処理装置30を用いて炭素繊維束13を表面処理する場合の保持時間とは、炭素繊維束13が4つの整流板15dの流路を通過する時間の合計である。
<実施例6>
図4に示す表面処理装置30に代えて、図7に示す表面処理装置30を用い、流体噴出口15cから炭素繊維束13に向かってオゾン溶液11を噴出させて単繊維表面に接触させる回数(接触回数)を2回、流体噴出口15c上を単位時間当たりに通過する炭素繊維束13の質量に対するオゾン溶液11の単位時間当たりの噴出量を40倍、オゾン溶液11に炭素繊維束13を保持する時間(保持時間)を1.2秒とし、下流側の整流板15dの流路を通過した炭素繊維束13が上流側の整流板15dの流路に移動するまでの間に、2つの整流板15dの間に設置されたエアーブロー17から炭素繊維束13にエアーを150L/分の流速で吹き付けて、炭素繊維束13からオゾン溶液11を取り除いた以外は、実施例5と同様にして炭素繊維の表面処理を行った。得られた炭素繊維について、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、図7に示す表面処理装置30を用いて炭素繊維束13を表面処理する場合の保持時間とは、炭素繊維束13が2つの整流板15dの流路を通過する時間の合計である。
<実施例7>
図4に示す表面処理装置30に代えて、図8に示す表面処理装置30を用い、流体噴出口15cから炭素繊維束13に向かってオゾン溶液11を噴出させて単繊維表面に接触させる回数(接触回数)を2回、流体噴出口15c上を単位時間当たりに通過する炭素繊維束13の質量に対するオゾン溶液11の単位時間当たりの噴出量を40倍、オゾン溶液11に炭素繊維束13を保持する時間(保持時間)を1.2秒とし、下流側の整流板15dの流路を通過した炭素繊維束13が上流側の整流板15dの流路に移動するまでの間に、2つの整流板15dの間に設置された直径100mmのニップロール18で炭素繊維束13を0.2MPaの圧力で挟んで、炭素繊維束13からオゾン溶液11を取り除いた以外は、実施例6と同様にして炭素繊維の表面処理を行った。得られた炭素繊維について、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、図8に示す表面処理装置30を用いて炭素繊維束13を表面処理する場合の保持時間とは、炭素繊維束13が2つの整流板15dの流路を通過する時間の合計である。
<比較例1、2>
図9に示す表面処理装置40を用い、炭素繊維束の搬送方向に対して平行かつ反対方向に移動するオゾン溶液11を炭素繊維に接触させ、かつ単繊維数12000本当たりの張力を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維の表面処理を行い、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
なお、図9中の符号「14c」は第3のフリーロールである。また、図9において図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
<比較例3>
未処理の炭素繊維について、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<参考例1>
未処理の炭素繊維を陽極として用い、8質量%の硝酸水溶液中、30クーロン/gで電解酸化処理を行った。次いで、純水で洗浄して硝酸水溶液を除去し、400℃で0.5分乾燥させた後、サイジング処理を行って、表面処理された炭素繊維を得た。
表面処理された炭素繊維について、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<参考例2>
単繊維繊度1.2dtex、単繊維数6000本のアクリル繊維を、耐炎化を終えるまでの伸長率を−6.0%、温度を220℃〜260℃として加熱処理を施し、耐炎化繊維を得た。この耐炎化繊維を700℃の窒素雰囲気中、伸長率を+3%として前炭素化し、続いて1250℃の窒素雰囲気中、伸長率を−4.2%として炭素化し、未処理の炭素繊維を得た。
得られた未処理の炭素繊維を用いた以外は、比較例1と同様にして炭素繊維の表面処理を行った。得られた炭素繊維について、実施例1と同様にして各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005439603
表1から明らかなように、実施例1〜7で表面処理された各炭素繊維は、比較例1、2で表面処理された各炭素繊維や、未処理の炭素繊維(比較例3)に比べてipa値が増えていた。これは、炭素繊維が十分に表面処理されたことを意味する。また、曲げ強度の値が高く、複合材料として使用した際にマトリックス樹脂との接着性が向上していることが確認できた。
また、実施例5で表面処理された炭素繊維は、実施例1で表面処理された炭素繊維と遜色のないipa値や曲げ強度が得られた。この結果より、整流板を設置すれば、処理速度(すなわち炭素繊維束の搬送速度)を上げて生産性を高めた条件でも十分に表面処理を行えることが示された。
また、実施例6の場合、エアーブローを通過した直後の炭素繊維束を採取し、含水率および透気抵抗度を測定したところ、含水率は35%であり、透気抵抗度は410秒であった。
一方、実施例7の場合、ニップロールを通過した直後の炭素繊維束を採取し、含水率および透気抵抗度を測定したところ、含水率は20%であり、透気抵抗度は310秒であった。
このように、2回目の噴出によりオゾン溶液を炭素繊維束に接触させる前に、エアーブローやニップロールを用いて炭素繊維束から余分なオゾン溶液を取り除くことで、接触回数が4回の場合の実施例5と同程度の表面処理効果が得られた。この結果より、表面処理される炭素繊維束の含水率や透気抵抗度を制御することで、炭素繊維の表面処理を効率よく行えることが示された。
対して、炭素繊維束の搬送方向に対して平行方向に移動するオゾン溶液を炭素繊維に接触させて表面処理した比較例1、2の炭素繊維は、実施例1〜7に比べてipa値が低かった。また、曲げ強度が低く、マトリックス樹脂との接着性に劣っていた。これは、炭素繊維束13の内部までオゾン溶液が拡散しにくかったため、表面処理が不十分であったと考えられる。
なお、参考例2は、炭素繊維束の搬送方向に対して平行方向に移動するオゾン溶液を炭素繊維に接触させて表面処理した例であるが、単繊維数が6000本と少ないため、比較例1、2に比べてipa値や曲げ強度が高かった。しかし、比較例1、2の結果からも明らかなように、炭素繊維束の搬送方向に対して平行方向に移動するオゾン溶液を炭素繊維に接触させて表面処理する方法は、単繊維数が10000本以上の炭素繊維束を表面処理する場合には不向きである。
以上の結果より、本発明は、従来の電解酸化処理の方法(参考例1)で表面処理した場合と同程度の表面処理効果が得られることが明らかとなった。従って、本発明であれば、マトリックス樹脂との接着性に優れた炭素繊維を得ることができ、かつ、洗浄工程を必要としないので、従来の方法よりも製造コストを低減できる。
また、本発明は、単繊維数が多い(具体的には単繊維数が10000本以上の)炭素繊維束を表面処理する場合に、特に好適である。
<実施例8〜18>
図3に示す表面処理装置20を用い、オゾン溶液11でオゾン処理槽12を満たさず、オゾン溶液11に炭素繊維束13を浸漬させずに、かつ、オゾン濃度、表面処理される炭素繊維束の単繊維数、炭素繊維束の搬送速度、接触回数(すなわち、分岐管15bの数)、オゾン溶液11の噴出速度、単繊維数12000本当たりの張力、流体噴出口15c上を単位時間当たりに通過する炭素繊維束13の質量に対するオゾン溶液11の単位時間当たりの噴出量、オゾン溶液11に炭素繊維束13を保持する時間(保持時間)の条件を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維の表面処理を行い、ipa値を測定した。結果を表2に示す。
なお、図3に示す表面処理装置20を用いて炭素繊維束13を表面処理する場合の、炭素繊維束13のオゾン溶液11との接触時間とは、各分岐管15bの流体噴出口15cから噴出されたオゾン溶液11が炭素繊維束13と接触する時間の合計である。
Figure 0005439603
表2から明らかなように、炭素繊維をオゾン溶液に浸漬させなくても、実施例8〜18で表面処理された各炭素繊維は、比較例1、2で表面処理された各炭素繊維や、未処理の炭素繊維(比較例3)に比べてipa値が増えていた。これは、炭素繊維が十分に表面処理されたことを意味する。
なお、実施例8〜18において、最下流に位置する流体噴出口からの噴出によりオゾン溶液が接触する直前の炭素繊維束を採取し、含水率および透気抵抗度を測定したところ、いずれの場合も含水率は0%であり、透気抵抗度は200秒であった。
本発明の炭素繊維の製造方法によれば、マトリックス樹脂との接着性に優れた炭素繊維を得ることができる。
また、本発明の炭素繊維は、マトリックス樹脂との接着性に優れる。
10、20、30、40 表面処理装置
11 オゾン溶液
12 オゾン処理槽
13 炭素繊維束
14a 第1のフリーロール
14b 第2のフリーロール
14c 第3のフリーロール
15 接触手段
15a パイプ
15b 分岐管
15c 流体噴出口
15d 整流板
151d 孔
152d 底板
153d 側板
15e 衝突板
16 循環ポンプ
16a 吸引パイプ
17 エアーブロー
18 ニップロール
F オゾン溶液の移動方向

Claims (14)

  1. オゾンが溶媒に溶存したオゾン溶液を、流体噴出口から炭素繊維束に向かって噴出させ、前記オゾン溶液を炭素繊維束の単繊維間に通過させて単繊維表面に接触させることにより、炭素繊維をオゾン溶液で表面処理する表面処理工程を有する、炭素繊維の製造方法。
  2. 前記オゾン溶液が単繊維表面に接触する際の炭素繊維束の張力が、単繊維数12000本当たり0.3kg以上1.8kg以下である、請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。
  3. 前記炭素繊維束をオゾン溶液中に0.1秒以上60秒以下保持する、請求項1または2に記載の炭素繊維の製造方法。
  4. 搬送される炭素繊維束の搬送方向に対して交差する方向にオゾン溶液を噴出させ、かつ、オゾン溶液の単位時間当たりの噴出量を流体噴出口上または流体噴出口下を単位時間当たりに通過する炭素繊維束の質量に対して40倍以上300倍以下とし、オゾン溶液の噴出速度を0.20m/秒以上2.0m/秒以下とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  5. 前記流体噴出口から炭素繊維束に向かってオゾン溶液を噴出させて単繊維表面に接触させる回数を1回以上4回以下とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  6. 前記流体噴出口の形状が矩形であり、該流体噴出口の長手方向が炭素繊維束の幅方向であり、かつ流体噴出口の長手方向の長さが炭素繊維束の幅以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  7. オゾン溶液が貯留されているオゾン処理槽の液面上を搬送される炭素繊維束を挟んで前記流体噴出口と対向する位置に衝突板を設置し、流体噴出口から噴出させたオゾン溶液を炭素繊維束の単繊維間に通過させた後に、衝突板に衝突させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  8. JIS P 8117:2009に準じて測定される透気抵抗度が100秒以上700秒以下であり、かつオゾン溶液が貯留されているオゾン処理槽の液面上を搬送される炭素繊維束に前記表面処理を施す、請求項1〜7のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  9. 含水率が40%以下であり、かつオゾン溶液が貯留されているオゾン処理槽の液面上を搬送される炭素繊維束に前記表面処理を施す、請求項1〜8のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  10. オゾン溶液中を搬送される前記炭素繊維束に前記表面処理を施す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  11. 前記オゾン溶液のオゾン濃度が10mg/L以上120mg/L以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  12. 前記炭素繊維束の単繊維数が10000本以上60000本以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  13. サイクリックボルタンメトリー法により測定される、単位面積当たりに流れる電流値(ipa値)が0.10μA/cm以上である炭素繊維を得る、請求項1〜12のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の炭素繊維の製造方法により得られた、表面処理された炭素繊維であって、
    サイクリックボルタンメトリー法により測定される、単位面積当たりに流れる電流値(ipa値)が0.10μA/cm以上である、炭素繊維。
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