JP6373155B2 - 繊維強化樹脂用繊維シート及びこれを用いた成形体 - Google Patents

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本発明は、樹脂の含浸性を高めた繊維強化樹脂用繊維シート及びこれを用いた成形体に関する。
炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)は、高強度、軽量等の特色を生かして、ゴルフクラブのシャフト、釣竿等の各種スポーツ用品、航空機、自動車、圧力容器などに広く応用されおり、今後の応用も期待されている。繊維強化樹脂の一般的な成形方法として、例えばハンドレイアップ法、スプレーアップ法などの接触圧成形法、フィラメント・ワインディング(FW)法、引き抜き法、連続積層法などの連続成形法などを使用して目的の成形物に成形している。使用されるマトリックス樹脂は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されている。マトリックス樹脂との結合力を高めるため、マトリックス樹脂に応じたサイジング剤を強化用繊維表面に付着させている(以上、非特許文献1)。
従来技術として、アクリル基とエポキシ基を有する炭素繊維用サイジング剤を使用する提案がある(特許文献1)。また、サイジング剤を付着させる前の炭素繊維表面をオゾン酸化させる提案もある(特許文献2)。さらにエポキシ基を有する炭素繊維用サイジング剤を使用する提案がある(特許文献3〜4)。
特開2000−355884号公報 特開2009−79344号公報 特開平7−279040号公報 特開2005−146429号公報
繊維学会編「第3版繊維便覧」,丸善,2004年12月15日,598−601頁,614−615頁
しかし、従来技術の強化用繊維シートは、マトリックス樹脂が含浸しにくいという問題があった。とくに、一方向または所定角度に配列された繊維層に編み糸で一体化されている繊維強化樹脂用繊維シートは、マトリックス樹脂を注入したときに、マトリックス樹脂が含浸しにくいという問題があった。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、強化樹脂繊維間にマトリックス樹脂が含浸しやすい繊維強化樹脂用繊維シート及びこれを用いた成形体を提供する。
本発明の繊維強化樹脂用繊維シートは、一方向または所定角度に配列された繊維層がポリエステルフィラメント糸を含む編み糸で一体化されている繊維強化樹脂用繊維シートであって、前記編み糸が前記繊維層に編み込まれるときに生じる針孔を有し、前記針孔の密度が8万個/m2以上18万個/m2以下であり、前記繊維強化樹脂用繊維シートの表面側は、前記ポリエステルフィラメント糸の編み糸が前記繊維強化樹脂用繊維方向に沿ってジグザグ状に編み込まれ、前記繊維強化樹脂用繊維シートの裏面側は、前記ポリエステルフィラメント糸の編み糸が前記繊維強化樹脂用繊維方向に沿って編み込まれ、前記ポリエステルフィラメント糸と直行する方向にはガラス繊維フィラメント糸が編み込まれていることを特徴とする。
本発明の繊維強化樹脂成形体は、前記の繊維強化樹脂用繊維シートを複数枚積層し、注入成形によって前記繊維強化樹脂用繊維シート内にマトリックス樹脂を含浸させて成形した繊維強化樹脂成形体であることを特徴とする。
本発明は、編み糸を繊維層に一体化させるための針孔の密度が8万個/m2以上18万個/m2以下であることにより、針孔を通じてマトリックス樹脂が繊維層内ないしは繊維間に含浸しやすい繊維強化樹脂用繊維シート及びこれを用いた成形体を提供できる。
図1Aは本発明の一実施形態の繊維強化樹脂用繊維シートの表面の平面図、図1Bは同裏面を示す平面図である。 図2は本発明の別の実施形態を示す多軸挿入たて編物の概念斜視図である。 図3は本発明の一実施形態のインフュージョン成形を説明する模式図である。 図4は本発明の実施例及び比較例の針孔密度と樹脂含浸時間との関係を示すグラフである。
本発明者らは、従来の繊維強化樹脂用繊維シートは、繊維層が一方向に配列され、または一方向に配列された繊維層が所定角度に配列されて積層されているため、厚さ方向に樹脂が含浸しにくい問題に直面した。これは、繊維強化樹脂用繊維シートを構成する繊維層は繊維密度が高いため、樹脂が含浸しにくいことに起因する。そこで本発明者らは、前記繊維層の厚さ方向に開けられる針孔に注目し、針孔の密度を従来の針孔数(6万個/m2程度)より増やし、樹脂が繊維層の厚さ方向に含浸しやすい構造にすることを着想した。
本発明は、一方向または所定角度に配列された繊維層に編み糸が針孔を通って編み針により編み込まれて多数本の繊維束が形成されている繊維強化樹脂用繊維シートであり、編み糸は前記繊維層を一体化しており、針孔の密度は8万個/m2以上18万個/m2以下が好ましく、さらに好ましくは10万個/m2以上18万個/m2以下であり、とくに好ましくは10万個/m2以上15万個/m2以下である。針孔の密度が前記の範囲であると、マトリックス樹脂の含浸性と、成形体強度などの物性の両立を図れる。これにより、マトリックス樹脂の含浸性を良好にし、成形体強度を高く維持できる。針孔密度が8万個/m2未満では樹脂含浸性が低下し、含浸時間が長くなり、生産性が低下する傾向となる。針孔密度が18万個/m2を超えても、含浸時間はそれ以上短くならず、成形体強度などの物性の低下が予想される。
針孔密度を8万個/m2以上18万個/m2以下とするためには、編み糸の場合、例えばゲージ数を5〜7/inchとし、縦回数を4.1〜6.5回/cmとするのが好ましい。
なお、編み針の形態は特に限定されるものではないが、例えば1.5mm×0.5mm程度の断面長方形の編み針が使用される。また、前記編み糸が前記繊維層に編み込まれるときに生じる針孔には、当然ながら編み糸が存在している。
編み糸の好ましい繊度は1〜30texであり、好ましくは2〜25tex、さらに好ましくは3〜20texである。前記の範囲であれば編み糸による編成工程の生産効率性が高い。
編み糸は一軸又は多軸挿入たて編み物で使用される。これらの編み糸は編み針によって繊維層を一体化する。編み糸は熱融着糸であっても良いし、熱融着糸を含んでいても良い。編み糸はポリエステル糸又はナイロン糸が好ましい。なお、一軸挿入たて編み物で編み糸の方向と繊維束の方向が同一の場合、編み糸のみでは繊維層が保形できない場合も生じるが、そのような場合、ガラス糸等の補助糸を例えば緯糸として用い、編み糸と補助的な糸とで繊維層を一体化してもよい。
繊維強化樹脂用繊維には炭素繊維、ガラス繊維又はアラミド繊維が使用でき、その中でも炭素繊維又はガラス繊維が好ましい。他にスーパー繊維と呼ばれている強化用繊維にも使用できる。繊維強化樹脂用繊維シートの目付は50〜2500g/m2が好ましく、さらに好ましくは150〜2000g/m2であり、とくに好ましくは400〜1500g/m2である。
編み糸自体又は繊維強化樹脂用繊維シートに組み込まれている編み糸に対してオゾン酸化、エキシマランプ照射や低圧水銀ランプ照射等の波長400nm以下の紫外線照射及びプラズマ照射からなる群から選ばれる少なくとも一つの表面処理をすることが好ましい。これにより、編み糸の水に対する接触角を低減し、結果としてマトリックス樹脂との濡れ性を高め、強化繊維間にマトリックス樹脂が含浸しやすい繊維シートを提供できる。針孔密度を8万個/m2以上18万個/m2以下とすることに加えて、マトリックス樹脂との濡れ性を高めることで、強化繊維間にマトリックス樹脂をさらに含浸しやすくなると共に成形体の欠点は少なくなり、かつ含浸作業工程を短縮化できるメリットがある。
編み糸を、オゾン酸化、波長400nm以下の紫外線照射及びプラズマ処理からなる群から選ばれる少なくとも一つの表面処理することにより、水に対する接触角を低減できる。なお、糸の接触角については、糸を水に挿入する際の前進動的接触角及び後退動的接触角で測定するが、吸水性糸のように前進動的接触角及び後退動的接触角で測定することが好ましくない場合は他の方法、たとえば同材質の樹脂を用いてフィルムを作成し、フィルム上に水を滴下し接触角を図るのでも良い。
編み糸は、前進動的接触角を75°以下、後退動的接触角を30°以下とするのが好ましい。編み糸がポリエステル糸の場合、表面処理なしでは前進動的接触角が79°であり、後退動的接触角は35°であるから、表面処理すると親水性になることが分かる。これはマトリックス樹脂との濡れ性を上げるために重要である。編み糸の水に対する前進動的接触角は、50〜75°、後退動的接触角は3〜30°が好ましく、さらに好ましくは前進動的接触角65〜72°、後退動的接触角5〜20°である。
次にそれぞれの表面処理について説明する。
(1)オゾン酸化
オゾンの発生方法としては、無声放電方式、沿面放電方式、紫外線照射方式、電気分解方式などがある。大容量のオゾン生成には効率の面から、主に無声放電方式が利用されている。現在、放電型オゾナイザとして最も一般的に用いられている放電方式である。一対の平行電極の一方または両方に誘電体(主にガラスやセラミックス)の層を設け、両電極間に交流高電圧が印加されると無声放電が生じる。オゾン濃度の好ましい一例として、40000ppmとする。処理時間は2〜60分間が好ましくさらに好ましくは5〜40分間である。オゾンは処理空間に均一に拡散することから、繊維強化樹脂用繊維シートの処理に好適である。すなわち、繊維強化樹脂用繊維シートの表面だけではなく内部まで均一に処理できる。
(2)エキシマランプ照射
エキシマランプとは、誘電体バリア放電の短時間放電が多数生じる特徴を生かして、希ガス原子や、希ガス原子とハロゲン原子によって形成されるエキシマからの光を放射する放電ランプのことである。エキシマランプの代表的放射波長には、Ar2*(126nm)、Kr2*(146nm)、Xe2*(172nm)、KrCl*(222nm)、XeCl*(308nm)などがある。ランプは石英ガラスの二重構造になっており、内管の内側には金属電極、外管の外側には金属網電極がそれぞれ施され、石英ガラス管内には放電ガスが充填されている。電極に交流の高電圧を印加すると、2つの誘電体の間で細い針金状の放電プラズマ(誘電体バリア放電)が多数発生する。この放電プラズマは高エネルギーの電子を包含しており、かつ、瞬時に消滅するという特徴を持っている。この放電プラズマにより、放電ガスの原子が励起され、瞬間的にエキシマ状態となる。このエキシマ状態から元の状態(基底状態)に戻るときに、そのエキシマ特有のスペクトルを発光(エキシマ発光)する。発光スペクトルは、充填された放電ガスによって設定することができる。好ましい照射条件は波長によって異なる。波長172nmの場合、光強度は例えば5〜6mW/cm2とすると、照射時間は0.5〜30分程度が好ましい。波長222nmの場合、光強度は例えば40〜60mW/cm2とすると、照射時間は2〜30分程度が好ましい。ランプと被処理物との間に空気層(ギャップ)があると、波長172nmの場合、空気中の酸素が光エネルギーを吸収してオゾンが発生するので、オゾンによる酸化作用も起きる。
(3)低圧水銀ランプ照射
低圧水銀ランプ(低圧UVランプ)は、点灯中の水銀圧力が100Pa以下の水銀蒸気中のアーク放電の発光を利用する。発光管にはアルゴンガスなどの希ガスと、水銀又はそのアマルガムが封入されている。波長185nm,254nmなどの紫外放射のランプがある。光強度は例えば40〜60mW/cm2とする。照射時間は2〜30分程度が好ましい。
(4)プラズマ照射処理
プラズマは一般的には気体を構成する分子が部分的に又は完全に電離し、陽イオンと電子に分かれて自由に運動している状態のものである。プラズマ処理装置を使用して炭素繊維にプラズマ照射する条件は、照射量としてワット密度(W・分/m2)で表現すると、1000〜50000W・分/m2が好ましい。また、窒素ガス又は窒素+酸素ガス雰囲気で処理速度(被処理物移動速度)0.05〜1m/minが好ましい。
上記の表面処理は単独でも任意に組み合わせても良い。これらの表面処理により、編み糸表面を活性化し、マトリックス樹脂との濡れ性を良好にして含浸性をさらに高めることができる。また、上記の表面処理のうちでもオゾン酸化が最も好ましい。オゾン酸化は気相で処理できるため、繊維シートの表面だけではなく内部まで均一に処理できるからである。
複数本の繊維はシート状に形成されている。このような繊維としては、例えば構成繊維を一方向に揃えたスダレ状基材、多軸挿入たて編み物等がある。多軸挿入たて編み物の場合は、構成繊維を一方向に揃えた繊維シートを複数方向に積層して編み糸で一体化する。繊維シートを構成する繊維の単繊維繊度はいかなる繊度であっても良い。
本発明の成形体は繊維強化樹脂用繊維シートを複数枚積層し、注入成形によって成形した繊維強化樹脂成形体である。注入成形としてはインフュージョン成形、RTM成形などが例示される。インフュージョン成形は上型にフィルムを使用し、下型とフィルムの気密性を保ち、真空圧によって樹脂を充填し、含浸させるクローズドモールド成形法である。通常、繊維強化樹脂用繊維シートの積層枚数は3〜300枚が用いられる。より好ましい積層枚数は20〜300枚であり、特に好ましい積層枚数は50〜300枚である。この成形体の一例として、風力発電用ブレード、船艇、スポーツ用品などがある。
本発明の繊維強化樹脂用繊維シートには、汎用性の高いエポキシ樹脂サイジング剤を炭素繊維表面に付着させたものを使用するのが好ましい。サイジング剤の好ましい付着量は0.1〜5.0重量%であり、さらに好ましくは0.2〜3.0重量%である。
マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂が好ましく、例としてエポキシ、不飽和ポリエステル、フェノール、ビニルエステルなどの樹脂がある。
次に図面を用いて説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。図1Aは本発明の一実施形態の繊維強化樹脂用繊維シート1の表面の平面図、図1Bは同裏面を示す平面図である。この繊維シート1の表面側はポリエステルフィラメント糸の編み糸3がジグザグ状に編み込まれ、多数の繊維束2がタテ方向に配列している。強化繊維層は1層である。この繊維シート1の裏面側は編み糸3がタテ方向に編み込まれ、ヨコ方向にはガラス繊維フィラメント糸4が繊維束2と共に編み糸3により編み込まれている。Xはゲージ数(個/inch)、Yは針孔の縦回数(回/cm)である。XとYから針孔密度(個/m2)を算出できる。
図2は本発明の別の実施形態を示す多軸挿入たて編物10の概念斜視図である。この多軸挿入たて編物10はヨコ方向に配列された強化用繊維層5と、タテ方向に配列された強化用繊維層6を編針7に掛けられた編み糸8,9によって厚さ方向に縫製し、一体化する。このような多軸挿入たて編み物を繊維シート10とし、マトリックス樹脂と一体成形する。この多軸状の積層シートは、多方向の補強効果に優れた繊維強化樹脂を得ることが可能となる。編み糸はポリエステル糸の代わりに、熱融着糸を使用するか又は併用しても良い。
図3は本発明の一実施形態のインフュージョン成形を説明する模式図である。20はインフュージョン成形装置であり、ガラス基台21の上のガラスマット22上に繊維基材23をのせ、その上に剥離布24と樹脂分散板25をのせ、その上から樹脂フィルム(vacuum bag)26を被せ、周囲をシーラント27a,27bでシールする。樹脂フィルム(vacuum bag)26の一方の端にはシール部31でシールされた排気管33が接続されており、この排気管33から矢印方向へ真空引きする。その後、樹脂フィルム(vacuum bag)26の上部にシール部30によってシールされて固定されている樹脂供給管29の弁32を開き、マトリックス樹脂28を繊維基材23に供給する。マトリックス樹脂28が繊維基材23に供給されると繊維基材23は濡れてくるので、ガラスマット22の下面から観察し、マトリックス樹脂がガラスマットのいずれか一部分に到着するまでの時間を測定する。これにより、樹脂の含浸性を測定できる。
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
強化用繊維としてSGL社製炭素繊維(50K)、形状:ラージトゥフィラメント、単繊維径7μm、トータル繊度3300texを使用した。編み糸としてポリエチレンテレフタレート(PET)マルチフィラメント糸(繊度:8.3tex,単位面積当たりの質量:9.3g/m2,ゲージ数:5/inch,トリコット編み,幅:約5.08mm,縦回数4.1回/cm)を使用し、裏面のヨコ糸としてガラスフィラメント糸(繊度:34tex, 単位面積当たりの質量:10g/m2,ゲージ数:7.5/inch)を使用して図1A−Bに示す繊維シート1を作成した。1つの繊維束2の幅は約5mmであった。この繊維シートは一方向基材である。
編み糸の針孔の密度は、次の計算式によって算出できる。
ヨコ方向(図1AのX)の針孔数(個/m):(100/2.54)×5=196.9
タテ方向(図1AのY)の針孔数(個/m):(100/1)×4.1=410
単位面積当たりの針孔数(個/m2):196.9×410=80,729
得られた繊維シート(一方向基材)をガラス板上にタテ、ヨコ各200mmの大きさで並べ、同じ方向に22枚積層して単位面積当たりの質量724g/m2の繊維基材とした。これを図3に示すインフュージョン成形方法に従って成形した。20はインフュージョン成形装置であり、ガラス基台21の上のガラスマット22上に繊維基材23をのせ、その上に剥離布24と樹脂分散板25をのせ、その上から樹脂フィルム(vacuum bag)26を被せ、周囲をシーラント27a,27bでシールした。樹脂フィルム(vacuum bag)26の一方の端にはシール部31でシールされた排気管33が接続されており、この排気管33から矢印方向へ真空引きした。その後、樹脂フィルム(vacuum bag)26の上部にシール部30によってシールされて固定されている樹脂供給管29の弁32を開き、マトリックス樹脂28を繊維基材23に供給した。マトリックス樹脂28が繊維基材23に供給されると繊維基材23は濡れてくるので、ガラスマット22の下面から観察し、マトリックス樹脂がガラスマットのいずれか一部分に到着するまでの時間を測定した。この時間を樹脂含浸時間とした。マトリックス樹脂は下記のエポキシ系樹脂(HUNTSMAN社製)を混合して使用した(粘度200〜320mPa・s(25℃))。
主剤:Araldaite LY1564SP:100重量部
硬化剤:Aradur 3416:34重量部
針孔密度と樹脂含浸時間の結果は表1にまとめて示す。
(実施例2〜4、比較例1〜2)
針孔密度を表1に示す以外は実施例1と同様に実験した。結果は表1にまとめて示し、図4には実施例及び比較例の針孔密度と樹脂含浸時間との関係をグラフで示す。
Figure 0006373155
表1及び図4から、針孔密度が8万個/m2以上18万個/m2以下であれば、樹脂含浸時間は短く、成形物の生産性は高いことが分かる。また、樹脂の含浸性も改善され、均質な成形物が得られた。これに対して実施例1は針孔密度が低く、樹脂含浸時間が長くて好ましくなかった。また、比較例2は実施例4と比べて樹脂含浸時間はそれほど短縮されず、針孔が多くなることに起因する欠陥が考えられ、採用するには至らなかった。
(実施例5)
実施例3で得られた繊維シート(一方向基材)をオゾン酸化処理した。繊維シート(1枚の繊維シートの大きさ:タテ、ヨコ各200mm,厚さ約0.9mm)をチャンバーに入れ、オゾン雰囲気(濃度40000ppm)に30分間接触させてオゾン酸化処理した。オゾン発生器は三菱電機社製、オゾン発生量:50g/h、最大オゾン濃度:40000ppm、生成方法:無声放電を使用した。オゾン酸化処理後の繊維シートから編み糸を取り出して動的接触角を測定したところ、前進動的接触角は69°、後退動的接触角は7°であった。
編み糸と水との動的接触角の測定方法は、次のとおりである。
(a)測定機器(表面張力計)
メーカー:Biolin Scientific社(日本販売代理店:アルテック社)
測定機器:Sigma700
(b)測定方法
編み糸の動的接触角(前進接触角及び後退接触角)はヒステリシスを測定することで算出した。まず、3本の編み糸を並列に並べてアルミ箔に貼り付け、水(蒸留水)と垂直になるように3本の編み糸を同時に水にある一定の深さまで含浸させ、引き抜く操作を3サイクル実施した。この3サイクルのヒステリシスを測定し、前進接触角及び後退接触角を計算した。
(c)測定条件
Speed up:5mm/min
Speed down:5mm/min
Start depth:−1mm
Immersion depth:3mm
Ignore first:0mm
Wait when up:0sec
Wait when down:0sec
Sample interval:0sec
Detect range:5mN/m
Return position:5mm
Return speed:40mm/min
R(周長) *3本換算:0.14mm
(d)計算方法
前進接触角及び後退接触角をヒステリシス測定と次式で算出する。
Wetting force =γLVRcosθ(γLV:溶液の表面張力、R:試料の周長、θ:接触角)
なお、計算ソフトは表面張力計に組み込まれている。
オゾン酸化処理後の繊維シートを実施例3と同様に針孔密度12万個/m2とし、繊維シートを22枚積層し、インフュージョン成形における繊維基材の裏面まで含浸される時間を測定した。結果を表2にまとめて示す。表2には前記表1の実施例3のデータも載せる。
Figure 0006373155
表3から明らかなとおり、実施例3に比べて実施例5はさらに樹脂含浸時間が短かく、その分生産性は高かった。成形品の品質も優れていた。
本発明の繊維強化樹脂用繊維シート及びこれを用いた成形体は、風力発電に使用するブレード、船艇、ゴルフクラブのシャフト、釣竿等の各種スポーツ用品、航空機、自動車、圧力容器などに広く応用できる。
1 繊維強化樹脂用繊維シート
2 繊維束
3,8,9 編み糸
4 ガラス繊維フィラメント糸
5,6 強化用繊維層
7 編針
10 多軸挿入たて編物
20 インフュージョン成形装置
21 ガラス基台
22 ガラスマット
23 繊維基材
24 剥離布
25 樹脂分散板
26 樹脂フィルム(vacuum bag)
27a,27b シーラント
28 マトリックス樹脂
29 樹脂供給管
30,31 シール部
32 弁
33 排気管
X ゲージ数
Y 縦回数

Claims (6)

  1. 一方向または所定角度に配列された繊維層がポリエステルフィラメント糸を含む編み糸で一体化されている繊維強化樹脂用繊維シートであって、
    前記編み糸が前記繊維層に編み込まれるときに生じる針孔を有し、
    前記針孔の密度が8万個/m2以上18万個/m2以下であり、
    前記繊維強化樹脂用繊維シートの表面側は、前記ポリエステルフィラメント糸の編み糸が前記繊維強化樹脂用繊維方向に沿ってジグザグ状に編み込まれ、
    前記繊維強化樹脂用繊維シートの裏面側は、前記ポリエステルフィラメント糸の編み糸が前記繊維強化樹脂用繊維方向に沿って編み込まれ、前記ポリエステルフィラメント糸と直行する方向にはガラス繊維フィラメント糸が編み込まれていることを特徴とする繊維強化樹脂用繊維シート。
  2. 前記繊維強化樹脂用繊維シートは、インフュージョン成形用繊維強化樹脂用繊維シートである請求項1に記載の繊維強化樹脂用繊維シート。
  3. 前記編み糸は、オゾン酸化、波長400nm以下の紫外線照射及びプラズマ処理からなる群から選ばれる少なくとも一つの表面処理により、水に対する接触角が低減されている請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂用繊維シート。
  4. 前記編み糸は、前記表面処理により水に対する前進動的接触角及び後退動的接触角が低減されている請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂用繊維シート。
  5. 前記繊維強化樹脂用繊維は炭素繊維及びガラス繊維からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂用繊維シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化樹脂用繊維シートを複数枚積層し、注入成形によって前記繊維強化樹脂用繊維シート内にマトリックス樹脂を含浸させて成形したことを特徴とする繊維強化樹脂成形体。
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