JP6261275B2 - 積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えばボディアーマーと呼ばれる防弾チョッキ等の素材、船舶や航空機の被弾に対する耐衝撃用材料として有用な、軽量かつ耐衝撃性及び破壊靭性に優れた低コストの積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法に関する。
例えば、緻密で強度および靱性値に優れており、特に高温下において優れた機械的特性と信頼性とを必要とする航空機部品、ガスタービン部品、原子力部品等の構造用材料として利用される積層型セラミック複合材料が知られている(特許文献1参照)。
特許2997868号公報
上記積層型セラミック複合材料は、セラミックス連続長繊維のヤーン(糸束)を複数本、任意の幅に水平に並べて連続的に引張りながら、ガラス組成の焼結助剤を含むマトリックス充填用セラミックスのスラリー中を含浸・通過させ、キャリアフィルム上に任意の幅に水平に並べて固着・乾燥させて、セラミックス長繊維補強の生セラミックスのモノレイヤーシート状のプリプレグを作製し、このプリプレグを複数枚任意方向に積層・加圧し、セラミックス長繊維の熱劣化温度以下の温度で焼結して複合化することで製造されるようになっている。
このような積層型セラミック複合材料は、上述したような技術分野の構造用材料として使用するには非常に適している。しかしながら、連続長繊維のヤーンを複数本任意の幅に水平に並べて連続的に引っ張りながら構成されているため、例えば図4に示すように、このようなプリプレグ20を複数枚任意に積層しても、非常で高速で局所的な部位に当たるいわゆるピストルやライフル等の弾丸Bは、それぞれの平行に配列したヤーンが21aを押し広げて貫通してしまう場合がある。このような不具合は、例えば図5に示すように、それぞれが任意の幅に水平に並べて連続に引っ張りながら構成されたセラミックス連続長繊維のヤーン21a,31aの構造を有するマトリックスの積層時にそれぞれのヤーンの交差角度を変えて構成した状態であっても、局所的な部位に弾丸Bが当たった場合、各ヤーン21a,31aの間を押し広げて弾丸Bは積層したプリプレグ20,30を貫通してしまう虞がある。
一方、一般的に防弾チョッキ等は、例えばケブラー(登録商標)繊維とステンレス鋼板等で構成され、ケブラー(登録商標)繊維を弾丸が突き破ってもステンレス鋼板が弾丸の進行方向に凹んで変形することによって、弾丸が防弾チョッキを貫通するのを阻止するようになっている。しかしながら、ステンレス鋼板の凹み量が大きいと、その反対側の突出部の突出量が大きくなることで防弾チョッキの装着者の身体に損傷を与えるので、この弾丸の凹み量があまり大きくならないように安全規格等で厳密に定められている。従って、現状の防弾チョッキは、このような危険性を有していると共に、上述のような鋼板の凹み量が規格量に収まるようにし、装着者への危険性を回避しようとすると、必要以上に厚みのあるステンレス鋼板を備えざるを得ず、その分ステンレス鋼板自体の重量が重くなるため、装着者の俊敏な動きを妨げ、本来の防弾チョッキとしての機能を十分果たさなくなってしまう。
本発明の目的は、いわゆるボディアーマーと言われる防弾チョッキ等の素材、船舶や航空機の被弾に対する耐衝撃用材料として有用な、軽量かつ耐衝撃性及び破壊靭性に優れた低コストの積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法は、
織布、編み構造布、組み紐構造布の少なくとも何れかからなり、かつ所定寸法を有するセラミックテキスタイルを用意し、
焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下とならしめるための焼結助剤としての役目を果たすガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリーを前記セラミックテキスタイルに含浸させることでプリプレグ中間体を作製し、
前記プリプレグ中間体を真空脱泡装置内に入れて当該真空脱泡装置内で真空度及び脱泡時間を調整することにより前記プリプレグ中間体に内包する気泡量を制御した後、これを乾燥させることでセラミックス長繊維補強の生セラミックスのプリプレグを作製し、
前記プリプレグを複数枚任意方向に積層・加圧して焼結することで前記複数枚のプリプレグを複合一体化させることによって、防弾素材として使用可能な防弾素材用積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を製造することを特徴としている。
また、本発明の請求項2に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法は、
織布、編み構造布、組み紐構造布の少なくとも何れかからなり、かつ所定寸法を有するセラミックテキスタイルを用意し、
焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下とならしめるための焼結助剤としての役目を果たすガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリーを前記セラミックテキスタイルに含浸させることでプリプレグ中間体を作製し、
前記プリプレグ中間体を真空脱泡装置内に入れて当該真空脱泡装置内で真空度及び脱泡時間を調整することにより前記プリプレグ中間体に内包する気泡量を制御した後、これを乾燥させることでセラミックス長繊維補強の生セラミックスのプリプレグを作製し、
前記プリプレグを複数枚任意方向に積層・加圧して焼結することで前記複数枚のプリプレグを複合一体化させることによって、高温下で利用する構造材料用積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を製造することを特徴としている。
このような製造方法により、積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料がセラミック長繊維のセラミックテキスタイルを積層させた形態をとっているため、従来の積層型セラミックス複合材料とは異なり、弾丸等が局所的に当たっても破壊し難い耐衝撃性に優れた性質を有することになる。
また、このようなセラミックテキスタイルにスラリーを含浸させた後に、これに内包する気泡量を真空脱泡装置で制御しているので、内包するボイドに起因する界面損傷を回避でき、上述した耐衝撃性や破壊靭性を好ましい特性の範囲に留めることができるようになる。
また、本発明の請求項に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法において、
前記プリプレグを作製するにあたって、キャリアフィルム上に前記セラミックテキスタイルを所定の幅を保ったまま載せた状態で、前記焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下とならしめるための焼結助剤としての前記ガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリー中に前記セラミックテキスタイルを含浸させながら通過させることで、セラミックス長繊維補強の生セラミックスのプリプレグを作製することを特徴としている。
このような製造方法により、大きな構造を有するプリプレグを連続的に作製でき、ひいては積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を連続的に製造することができる。
また、本発明の請求項に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法において、
オープンモールド内において前記焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下とならしめるための焼結助剤として前記ガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリーを前記セラミックテキスタイルに含浸・固着させたことを特徴としている。
このような製造方法により、オープンモールド内のセラミックテキスタイルに対応する大きさのプリプレグを効率良く作製でき、ひいては所望の大きさの積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を効率良く製造することができる。
また、本発明の請求項に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法において、
密閉することのできる一対の上下モールド内に、前記所定寸法のセラミックテキスタイルを1枚または複数枚任意方向におき、前記焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下とならしめるための焼結助剤として前記ガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリーを前記モールドの一端から注入すると共に、前記モールドの他端から真空吸引することでこれを前記セラミックテキスタイルに含浸させ、真空度及び真空吸引時間を調整することにより内包するボイド量を制御したセラミックス長繊維補強の生セラミックスの前記プリプレグを作製したことを特徴としている。
このような製造方法により、1つのプリプレグ製造装置でプリプレグの製造に必要とされる2つの製造工程を一度に実施することができるので、限られた所定寸法の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を効率良く製造することができる。
また、本発明の請求項に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法は、請求項1乃至請求項の何れかに記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法において、
マトリックス基材としてのセラミックスがAlであることを特徴としている。
マトリックス基材として、上述のような比較的廉価な材質を用いることで、コストパフォーマンスの優れたセラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を得ることができる。
また、本発明の請求項に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法は、請求項1乃至請求項に記載の何れかに記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法において、
マトリックス基材としてのセラミックスがSiCであることを特徴としている。
マトリックス基材として、上述のような汎用的に使われている入手し易い材料を用いることで、所望のセラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を容易に製造することができる。
また、本発明の請求項に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法は、請求項1乃至請求項に記載の何れかに記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法において、
マトリックス基材としてのセラミックスがSiであることを特徴としている。
マトリックス基材として、上述のような入手し易い材料を用いることで、セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を容易、かつ迅速に製造することができる。
本発明によると、いわゆるボディアーマーと言われる防弾チョッキ等の素材、船舶や航空機の被弾に対する耐衝撃用材料として有用な、軽量かつ耐衝撃性及び破壊靭性に優れた低コストの積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法を実施するにあたって使用するプリプレグ中間体製造装置を説明する概略側面図である。 図1に示した第1の実施形態にかかるプリプレグ中間体の製造装置の平面図である。 図1及び図2に示したプリプレグ中間体の製造装置によってマトリックス充填用セラミックスのスラリーが含浸されたセラミックテキスタイルの真空脱泡を制御する工程に使用する真空脱泡制御装置を概略的に示す斜視図である。 従来技術で説明した積層型セラミックス基セラミック複合材料に弾丸が衝突する状態を分かり易く示す説明図である。 図4とは異なる従来技術で説明した積層型セラミックス基セラミック複合材料に弾丸が衝突する状態を分かり易く示す説明図である。 図1及び図2に示した第1の実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料に弾丸が衝突する状態を分かり易く示す説明図であり、図4及び図5に対応する説明図の弾丸の進行方向から見た図(図6(a))、積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の各ヤーン同士の間隔が積層状態で非常に狭まっていることを示す説明図(図6(b))、及び実際のセラッミクテキスタイルに近い構造を示す平面図である(図6(c))である。 本発明の第2の実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法を実施するにあたって使用するプリプレグ中間体の製造装置を説明する概略平面図(図7(a))、及び概略側面図(図7(b))である。 本発明の第3の実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法を実施するにあたって使用するプリプレグの製造装置を示す概略説明図である。 本発明の第1実施例における密度、焼成温度、及び破壊靭性値との相関関係を説明する説明図である。 本発明の第2実施例における第1の比較例に疑似弾丸(先端が球状に加工された衝撃棒、以後、「疑似弾丸」と呼ぶ)を撃ち込んだ状態を疑似弾丸が突き抜けた方向から撮像した平面写真(図10(a))及び疑似弾丸の貫通方向に沿って撮像した側面写真(図10(b))である。 本発明の第2実施例における第2の比較例に疑似弾丸を撃ち込んだ状態を疑似弾丸が貫通した後に裏面から撮像した平面写真である。 本発明の第2実施例における本実施例に疑似弾丸を撃ち込んだ状態を疑似弾丸が突き抜けた方向から撮像した平面写真(図12)である。
本発明の場合、マトリックス充填用セラミックスのスラリーに焼結助剤としてガラス組成の助剤を配合したセラミックスのスラリーがセラミックテキスタイルに供給されて充填された後、これによって作製されたプリプレグ中間体を真空脱泡装置内で予め真空度及び脱泡時間を調整することによりこのプリプレグ中間体に内包する気泡量を制御した後、このセラミックスのスラリーが含浸されたセラミックテキスタイルを乾燥させることで、セラミックス長繊維補強の生セラミックスのプリプレグを作製し、この状態のセラミックスプリプレグを複数任意方向に積層・加圧して焼結複合化させることで、積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を製造することを特徴としている。
以下、本発明の各実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法を実施するにあたって使用するプリプレグ中間体の製造装置を説明する概略側面図である。また、図2は、図1に示した第1の実施形態にかかるプリプレグ中間体の製造装置の平面図である。また、図3は、図1及び図2に示したプリプレグ中間体の製造装置によってマトリック充填用セラミックスのスラリーが含浸されたセラミックテキスタイルの真空脱泡を制御する工程に使用する真空脱泡制御装置を概略的に示す斜視図である。
図1及び図2に示すプリプレグ中間体製造装置100は、いわゆるドクターブレードという装置であり、ベース板110と、ベース板上に配置されマトリックス充填用セラミックスのスラリー12の含浸されたセラミックテキスタイル11を上面に載せながら一方向(図中右方向)に送り続けるキャリアフィルム120と、キャリアフィルム上に載せられたセラミックテキスタイル11にマトリックス充填用セラミックスのスラリー12を含浸させるスラリー含浸用タンク130と、長さの長いセラミックテキスタイル11を所定の速度でキャリアフィルム上に供給するボビン140等を有している。スラリー含浸用タンク130は、その底部に幅広で高さの低い形状を有した第1の開口部131と、この第1の開口部131の下流側に設けられ幅広で第1の開口部131より更に高さが低く第1の開口部131よりも開口面積が狭い第2の開口部132を有している。そして、第2の開口部132の幅はキャリアフィルム上に載せられたセラミックテキスタイル11の幅に対応しており、ここでは簡略化して示す第2の開口部132からセラミックテキスタイル11の上面にマトリックス充填用セラミックスのスラリー12を供給し、この位置からセラミックテキスタイル11を下流側に送る過程で、そのセラミックテキスタイル11の表裏及び内部にマトリックス充填用セラミックスのスラリー12を含浸させるようになっている。なお、スラリー含浸用タンク130には、ここでは簡略化して示す攪拌機133が設けられ、常に均一な濃度及び組成のマトリックス充填用セラミックスのスラリー12をセラミックテキスタイル11に供給するようになっている。
かかるプリプレグ中間体製造装置100のキャリアフィルム上にボビン140から図中矢印で示すようにセラミックテキスタイル11を所定の送り速度で供給する。本実施形態では、従来とは異なりセラミックスの長繊維を織布、編み構造布、組み紐構造布のように構成したセラミックテキスタイル11を用いるようになっている(図6(c)参照)。
そして、プリプレグ中間体製造装置100においてスラリー含浸用タンク130の第2の開口部132から焼結助剤としてガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリー12をセラミックテキスタイル11に供給する。
このマトリックス充填用セラミックスのスラリー12において結助剤としてガラス組成の助剤を配合する理由は、後述するプリプレグ10は焼結温度を900℃程度に抑えるためである。
本実施形態では、マトリックス基材としてのセラミックスにSiCを用いており、強化繊維素材としてのセラミックス長繊維がSiC長繊維またはSi−Zr−C−O(宇部興産(株)「チラノ繊維」)長繊維を用いている。マトリックス基材として上述のような汎用的に使われている入手し易い材料を用いることで、所望のセラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1を容易に製造することができる。
なお、上述とは異なりマトリックス基材としてのセラミックスにAlを用いても良い。マトリックス基材として、このような比較的廉価な材質を用いることで、コストパフォーマンスの優れたセラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を得ることができる。
また、上述とは異なりマトリックス基材としてのセラミックスにSiを用いても良い。マトリックス基材として、上述のような入手し易い材料を用いることで、セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を容易、かつ迅速に製造することができる。なお、以上のマトリックス基材の選択肢の自由度については、後述する第2及び第3実施形態についても同様である。
そして、このマトリックス充填用セラミックスのスラリー12を焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下となるように含浸させ、固着させた後に乾燥させて、セラミックス長繊維補強の生セラミックスのプリプレグ中間体10を作製する。
このようにしてマトリックス充填用セラミックスのスラリー含浸済のセラミックテキスタイルとなったプリプレグ中間体10aを得た後、次工程に移行する。図3は、次工程で使用する真空脱泡装置を示す図であり、図1及び図2に示したプリプレグ中間体製造装置100によってマトリックス充填用セラミックスのスラリー12が含浸されたセラミックテキスタイル11の真空脱泡を制御する工程に使用する真空脱泡制御装置400を概略的に示す斜視図である。
この次工程では、図3に示す真空脱泡装置400内において真空度及び脱泡時間を調整することにより内包する気泡量を最適な気泡量に制御してプリプレグ10を作製する。
真空脱泡装置400は、真空脱泡部410と真空ポンプ420と真空引きパイプ430を有している。そして、本実施形態の場合、真空脱泡装置400内で予め、ゲージ圧が−0.080MPa〜−0.095MPaの減圧下で3〜15minの含浸脱泡時間を適度に調整することにより内包する気泡量を制御した後に乾燥することで、最適な気泡量を内在したプリプレグ10を作製する。
このように内包する気泡量を制御する理由は以下の通りである。積層型セラミック複合材料は、積層界面に気泡を内包し易い欠点がある。この状態で焼成した時には、セラミック複合材料は脆性的となり内包するボイドに起因した界面損傷を生じ易く、従って、耐衝撃性及び破壊靭性が著しく低下することとなる。一方、内包する気泡が少な過ぎると、積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の脆性化が高まる(脆くなる)虞があるためである。しかしながら、本実施形態のようにプリプレグの作成に当たって真空脱泡処理による気泡量の制御を行なうことで、このような不具合の発生を回避することができる。
なお、この状態のプリプレグ10は、曲面状、円筒状または角柱状等任意の形状に変形可能な可撓性を有している。そして、このようなプリプレグ10を複数枚任意方向に積層・加圧した後、ここでは図示しない焼成炉内に入れて加熱しながら所定の温度下で焼結させて一体化(複合化)させ、本実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1(図6参照)とする。
なお、本実施形態においては900℃程度での低温焼成を行なうことで、積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を得る。この理由は、以下の通りである。焼成炉に入れて焼成する際、セラミックス単体材料は1500℃以上の高温で焼成するのが一般的である。純度や添加物により異なるが、アルミナ(Al)の場合の焼成温度は1600℃〜1800℃、炭化ケイ素(SiC)の場合は2100℃〜2200℃、窒化珪素(Si)の場合には1600℃〜1900℃くらいである。セラミック複合材料をこのような高温で焼成する場合、強化繊維が酸化して熱劣化を生じ、気孔を多量に内包する多孔質なセラミック複合材料となり、その結果、極めて脆い材質となる。このようなことを考慮して、本実施形態においては900℃程度での低温焼成を行なうことで、ガラス組成の焼結助剤を含むセラミックスのスラリーが含浸した耐衝撃性に優れた積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1の製造を実現している。
このようにして得られた積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1は、セラミック長繊維のセラミックテキスタイルを積層させた形態をとっているため、従来とは異なり図6に示すように、弾丸B等が局所的に当たっても破壊し難い耐衝撃性に優れた性質を有することになる。この理由について以下により詳細に説明する。
図4は、従来技術で説明した積層型セラミックス基セラミック複合材料2に弾丸Bが衝突する状態を分かり易く示す説明図である。また、図5は、図4とは異なる従来技術で説明した積層型セラミックス基セラミック複合材料3に弾丸Bが衝突する状態を分かり易く示す説明図である。なお、これらの図面においては、説明の都合上セラミックスの長繊維の太さを実際より細く描いている。
図4から明らかなように、従来の積層型セラミックス基セラミック複合材料2においては、例えば大きな運動エネルギーを要する弾丸Bがその複合材料に局所的に当たった場合、弾丸Bが互いに平行に隣接するセラミックスの長繊維(ヤーン)21aの間をこれらのセラミックスの長繊維の間隔を押し広げながら通り抜けてしまう。図5においても、各プリプレグのセラミックスの長繊維(ヤーン)21a,31aがそれぞれ互いに平行に並んで構成されているため、これらのプリプレグを積層させた積層型セラミックス基セラミック複合材料3においても、大きな運動エネルギーを要する弾丸Bがその複合材料に局所的に当たった場合、弾丸Bが各層において互いに平行に隣接するセラミックスの長繊維(ヤーン)21a,31aの間をこれらのセラミックスの長繊維の間隔を押し広げながら通り抜けてしまう。
一方、図6(a)は、図1及び図2に示した第1の実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1に弾丸Bが衝突する状態を分かり易く示す説明図であり、図4及び図5に対応する説明図である。また、図6(b)は、図6(a)の弾丸Bの進行方向から見た図である。また、図6(c)は、積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1の各マトリックス同士の間隔が非常に狭まっていることを示す説明図の製造方法及び実際のセラッミクテキスタイル11を1枚の状態で示す平面図である。
これらの図から分かるように、本実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1によると、各層において織布、編み構造布、組み紐構造布の何れかからなるセラミックテキスタイル11の長繊維(ヤーン)11a,11bを弾丸Bが押し広げて通過するのが難しく、結果的に複数層積層された本実施形態にかかるプリプレグ100からなる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1を弾丸Bが貫通するのは極めて難しくなる。
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。本発明の第2の実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法を実施するにあたって使用するプリプレグ中間体製造装置200を説明する概略平面図(図7(a))、及び概略側面図(図7(b))である。
第2の実施形態に使用するプリプレグ中間体製造装置200は、平面視長方形形状を有し、両面に深さが浅く幅広のテキスタイル収容用凹み部211が形成されたオープンモールド210と、このオープンモールド210の上面の幅とほぼ合致し、所定寸法にセラミックテキスタイル11を載せると共に焼結助剤としてガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリー12をセラミックテキスタイルに含浸させた状態でテキスタイル収容用凹み部211の全体に亘ってセラミックテキスタイル11をオープンモールド210のテキスタイル収容用凹み部211の上面に押し付けるローラー220を有している。なお、オープンモールド210は、プリプレグ中間体作製用のモールドである。
第2の実施形態が上述の第1の実施形態と異なる点は、第2の実施形態においては、第1の実施形態のようにセラミックテキスタイル11のボビン140によりキャリアフィルム上にセラミックテキスタイル11を連続的に送らず、所定寸法のセラミックテキスタイル11を1枚毎にオープンモールド210のテキスタイル収容用凹み部211に載せ、マトリックス充填用セラミックスのスラリー12をセラミックテキスタイル11の全体に含浸させた後、ローラー220でセラミックテキスタイル11の全体をテキスタイル収容用凹み部211の上面に所定の力で押し付けることで、マトリックス充填用セラミックスのスラリー12をセラミックテキスタイル11の表裏及び内部にしっかりと含浸させるようにしている。即ち、この工程において、セラミックテキスタイル11をその上面からローラー220により加圧しているので、セラミックテキスタイル11を2枚以上重ねた状態でオープンモールド210のテキスタイル収容用凹み部211に収容し、マトリックス充填用セラミックスのスラリー12を充填させても、ローラー220の加圧力によりこれらのセラミックテキスタイル11に十分な量のマトリックス充填用セラミックスのスラリー12を同時に充填させることが可能となる。
なお、本実施形態において使用するセラミックテキスタイル11の材質やガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリー12の材質は、第1の実施形態と同等である。
このようにして、ローラー220でセラミックテキスタイル11にマトリックス充填用セラミックスのスラリー12をしっかりと含浸させプリプレグ中間体10aを作製した後、これを上述した図3に示す真空脱泡装置400の真空脱泡部410に入れてマトリックス充填用セラミックスのスラリー12が全体的に含浸したセラミックテキスタイル11の内部に気泡が好ましい所定量だけ残留するように真空ポンプ420で真空引きする。そして、この真空引きして製作されたプリプレグ10を上述した第1の実施形態と同様にここでは図示しない焼成炉に所定の枚数だけ積層・加圧した後に焼成し、積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1を製造する。
なお、本実施形態による気泡量の制御に関しては、上述した実施形態と同様にゲージ圧が−0.080MPa〜−0.095MPaの減圧下で3〜15minの含浸脱泡時間を適度に調整することにより行なう。また、焼成炉内の加圧温度は上述したように900℃とする。
第2の実施形態においてこのような装置を利用することで、オープンモールド210のテキスタイル収容用凹み部211に収容されたセラミックテキスタイル11に対応する大きさのプリプレグ10を効率良く作製でき、ひいては所望の大きさの積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1を効率良く製造することができる。
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して、詳細な説明を省略する。
図8は、本発明の第3の実施形態にかかる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1の製造方法を実施するにあたって使用するプリプレグ製造装置300を示す概略説明図である。
第3の実施形態において使用する装置は、第1の実施形態及び第2の実施形態において使用するプリプレグ中間体製造装置100,200と真空脱泡装置400を一体化させたことに特徴がある。具体的には、第3の実施形態に係るプリプレグ製造装置300は、本発明のプリプレグを製造するためのプリプレグ作製型310と、このプリプレグ作製型310に連結したスラリートラップ320と、スラリートラップ320に連結した真空ポンプ330と、開閉バルブ341を介してプリプレグ作製型310に備わったセラミックススラリータンク340とを有している。
プリプレグ形成型310は、図8に示すように上型311と下型312からなり、この隙間に予め所定形状及び所定枚数のセラミックテキスタイル11が挟み込まれるようになっている。そして、挟み込まれたセラミックテキスタイル11の外周部は、シールガスケット313を介して上型311と下型312が気密状態でシールされるようになっている。セラミックテキスタイル11の挟まれる部分の中央部には、マトリックス充填用セラミックスのスラリー12の供給通路315が形成され、供給通路315に開閉バルブ341を介してセラミックススラリータンク340が接続されている。プリプレグ形成型310のセラミックテキスタイル11を挟み込む一方の端部には、真空脱泡用パイプ321がスラリートラップ320まで接続されている。また、真空脱泡パイプ331が、スラリートラップ320から真空ポンプ330まで更に延在して接続されている。そして、セラミックススラリータンク340に設けられたバルブ341を開放することでマトリックス充填用セラミックスのスラリー12をセラミックテキスタイル11に供給して含浸させるようになっている。
続いて、かかるプリプレグ製造装置300の使用の仕方について説明する。最初にプリプレグ形成型310の上型311と下型312を分離してその間に所定寸法のセラミックテキスタイル11を挟み、上型311と下型312をしっかりと閉じる。この際に挟み込むセラミックテキスタイル11は、一枚でも良いし、複数枚でも良い。その後、上述したバルブ341を開いてセラミックススラリータンク340からマトリックス充填用セラミックスのスラリー12をプリプレグ形成型310の上型311と下型312内に挟み込まれたセラミックテキスタイル11に供給する。マトリックス充填用セラミックスのスラリー12をセラミックテキスタイル11に十分供給した後に真空ポンプ330を作動させ、所定の量だけ真空脱泡を行なう。
真空脱泡の制御においては、第1及び第2の実施形態と異なり、真空ポンプ330の真空引き量を制御する。制御にあたっては、第1及び第2の実施形態と同様に、ゲージ圧が−0.080MPa〜−0.095MPaの減圧下で3〜15minの含浸脱泡時間を適度に調整する。このようにプリプレグ形成型310内のプリプレグ中間体10aに内包する気泡量を制御した後に乾燥することで、最適な気泡量を内在したプリプレグ300を作製する。
この際、マトリックス充填用セラミックスのスラリー12を含浸したセラミックテキスタイル11から空気が真空脱泡パイプ321を介して脱泡されると共に、余分なマトリックス充填用セラミックスのスラリー12が真空脱泡パイプ321に吸い取られるが、この余分なマトリックス充填用セラミックスのスラリー12についてはスラリートラップ320に溜めるようになっている。そして、真空脱泡パイプ331及び真空ポンプ330を介して真空脱泡を所定の好ましい程度に制御した後、プリプレグ形成型310の上型311と下型312を外してプリプレグ10を取り出す。取り出したプリプレグ10を互いに積層・加圧した後に、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態のようにここでは図示しない焼結炉内に入れて所定温度(900℃程度)で焼成した後にこれを取出し、積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料1の製造を終える。
この第3の実施形態によると、1つのプリプレグ製造装置300でプリプレグ10の2つの製造工程を一度に実施することができたり、セラミックテキスタイルが複数枚積層された状態のプリプレグ10を一度に作成できたりするので、所定寸法の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を効率良く製造することができる。
以下、本発明の有用性を明らかにした実験を行なったので、その内容及び実験結果を実施例1及び実施例2として説明する。
(実施例1)
実施例1においては、第1の実施形態に係る製造方法を用いて製造した積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を4種類用意した。以下に各積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料のスペックについて説明する。セラミックテキスタイルの材質・形状・寸法、については同一、セラミックテキスタイルに含浸するスラリーであって焼結助剤としての役目を果たすガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリーの材質・形状・寸法についても同一で、真空脱泡工程における条件を変えることで密度のみを変化させている。そして、この4種類の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料(以下試験片1乃至4とする)のそれぞれについて製造工程でそれぞれ異なる焼成温度で焼成した。
図9は、本発明の実施例における焼成温度と破壊靭性値との関係を説明する説明図である。この実験結果から分かるように、焼成温度が900℃で焼成した密度2.02(g/cm)の試験片1が約19MPa×m(1/2)と最も良好な破壊靭性値(耐衝撃性)を示した。次いで、焼成温度が920℃の密度1.64(g/cm)の試験片2が約14MPa×m(1/2)と2番目に良好な破壊靭性値(耐衝撃性)を示した。次いで、焼成温度が875℃で焼成した密度2.16(g/cm)の試験片3が約13MPa×m(1/2)という破壊靭性値(耐衝撃性)を示した。なお、焼成温度を更に低くして850℃で焼成した密度2.23(g/cm)の試験片4の破壊靭性値(耐衝撃性)が約4MPa×m(1/2)と最も低かった。以上のことから、本発明においては、試験片の焼成温度については、焼成時の焼成温度が900℃であることが最も高い破壊靭性値(耐衝撃性)を有する積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を製造するのに重要であることが判明した。また、試験片の密度においては、2.02(g/cm)程度が最適であることが分かった。これは、密度の小さい試験片2に関しては内包する気泡の量が多すぎるため、界面損傷が生じ易いので破壊靱性値が若干劣るようになっており、密度の大きい試験片4に関しては内包する気泡が少なく局所的な衝撃に対する気泡による衝撃吸収効果が十分発揮されず脆弱性を有していると考えられる。
(実施例2)
実施例2においては、第1の実施形態に係る積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を本実施例とし、ステンレス鋼板を第1比較例とし、炭素繊維で強化した樹脂マトリックスの複合材料を第2比較例とした。そして、それぞれに対し、疑似弾丸(先端が球状に加工された衝撃棒、以後、「疑似弾丸」と呼ぶ)を4.4m/secの衝撃速度で打ち込んで貫通させ、その貫通後の状態を確認した。これら本実施例、第1比較例、第2比較例のスペックは、以下の通りである。
・疑似弾丸:材質クロムモリンブデン鋼SCM430からなり、疑似弾丸の棒の直径12.7mm
・本実施例:厚さ1mm、寸法70mm×70mm、重量9.9g
・第1比較例:厚さ0.3mm、寸法70mm×70mm、重量11.5g
・第2比較例:厚さ1.1mm、寸法70mm×70mm、重量9.7g
図10は、本発明の第2実施例における第1の比較例に疑似弾丸を撃ち込んだ状態を疑似弾丸が突き抜けた方向から撮像した平面写真(図10(a))及び疑似弾丸の貫通方向に沿って撮像した側面写真(図10(b))である。また、図11は、本発明の第2実施例における第2の比較例に疑似弾丸を撃ち込んだ状態を疑似弾丸が貫通した後に裏面から撮像した平面写真である。また、図12は、本発明の第2実施例における本実施例に疑似弾丸を撃ち込んだ状態を疑似弾丸が突き抜けた方向から撮像した平面写真(図12)である。
これらの写真から明らかなように、第1比較例に関しては疑似弾丸の貫通方向にステンレス鋼板がかなり突出した。従って、このような鋼板を例えば防弾チョッキの一部として利用した場合、この突出部が装着者の身体に食い込んで身体に損傷を与える危険があることが分かった。また、第2比較例に関しては、第1比較例と同様に疑似弾丸の貫通方向に突出していると共に、元々積層されていた樹脂マトリックスの複合材料がばらばらに剥離していることが分かった。一方、本実施例の場合、疑似弾丸の貫通孔のみ生じており、特にそれ以外の上述した第1比較例に見られた突出部や第2比較例に見られた複合材料の剥離については全く生じていないことが分かった。その結果、本実施例の場合、その厚みを更に厚くすれば疑似弾丸が積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を貫通しないであろうことを確認した。
なお、上述した各実施形態に記載した材質、寸法、温度、圧力については、あくまで一例を記載したものに過ぎず、本発明の作用を発揮し得る範囲内であれば、それ以外の材質、寸法、温度、圧力においても本発明の範囲内に含まれる積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を製造可能であることは言うまでもない。
具体的には、プリプレグを作製するにあたって、焼結助剤としての役目を果たすガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリーを1枚のセラミックテキスタイルに含浸させる代わりに、複数枚のセラミックテキスタイルにこのスラリーを含浸させても良い。具体的には、第1の実施形態の場合、例えばボビンにセラミックテキスタイルを二重巻にしても良い。また、第2の実施形態の場合、プリプレグ中間体製造用のオープンモールドの凹み部に2枚又は3枚程度の同一材料のセラミックテキスタイルを同時に収容して、ローラーによって加圧しながらこれらにマトリックス充填用セラミックスのスラリーを十分含漬させるようにしても良い。また、第3の実施形態の場合、セラミックテキスタイル収容型に複数枚のセラミックテキスタイルを同時に収容して上型と下型とでしっかり挟んだ状態でこれらにマトリックス充填用セラミックスのスラリーを十分含漬させるようにしても良い。
また、焼成炉にプリプレグを入れる段階においては、プリプレグはある程度自由に変形させることができる程度に適度に乾燥しているので、複数のプリプレグを重ねた状態で曲面状、円筒状または角柱状等の形状に変形させた状態で焼成しても良い。これによって、所望の形状を有する積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を製造することが可能である。
以上説明した本発明に係る積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法は、例えばボディアーマーと呼ばれる防弾チョッキ等の材質、船舶や航空機の被弾に対する耐衝撃用材料として有用な軽量かつ耐衝撃性及び破壊靭性に優れた低コストの積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を製造することに限定されず、例えば、緻密で強度および靱性値に優れており、特に高温下において優れた機械的特性と信頼性とを必要とする航空機部品、ガスタービン部品、原子力部品等の構造用材料として利用される積層型セラミック複合材料を製造することにも好適に利用可能である。
1 積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料
2,3 積層型セラミックス基セラミック複合材料
10 プリプレグ
10a プリプレグ中間体
11 セラミックテキスタイル
11a,11b 長繊維(ヤーン)
12 マトリックス充填用のセラミックススラリー
20 プリプレグ
21a セラミックスの長繊維(ヤーン)
30 プリプレグ
31a セラミックスの長繊維(ヤーン)
100 プリプレグ中間体製造装置
110 ベース板
120 キャリアフィルム
130 スラリー含浸用タンク
131 第1の開口部
132 第2の開口部
133 攪拌機
140 ボビン
200 プリプレグ中間体製造装置
210 オープンモールド
211 テキスタイル収容用凹み部
220 ローラー
300 プリプレグ製造装置
310 プリプレグ作製型
311 上型
312 下型
313 シールガスケット
315 供給通路
320 スラリートラップ
321,331 真空脱泡パイプ
330 真空ポンプ
340 セラミックススラリータンク
341 開閉バルブ
400 真空脱泡装置
410 真空脱泡部
420 真空ポンプ
430 真空引きパイプ
B 弾丸

Claims (8)

  1. 織布、編み構造布、組み紐構造布の少なくとも何れかからなり、かつ所定寸法を有するセラミックテキスタイルを用意し、
    焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下とならしめるための焼結助剤としての役目を果たすガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリーを前記セラミックテキスタイルに含浸させることでプリプレグ中間体を作製し、
    前記プリプレグ中間体を真空脱泡装置内に入れて当該真空脱泡装置内で真空度及び脱泡時間を調整することにより前記プリプレグ中間体に内包する気泡量を制御した後、これを乾燥させることでセラミックス長繊維補強の生セラミックスのプリプレグを作製し、
    前記プリプレグを複数枚任意方向に積層・加圧して焼結することで前記複数枚のプリプレグを複合一体化させることによって、防弾素材として使用可能な防弾素材用積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を製造することを特徴とする積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法。
  2. 織布、編み構造布、組み紐構造布の少なくとも何れかからなり、かつ所定寸法を有するセラミックテキスタイルを用意し、
    焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下とならしめるための焼結助剤としての役目を果たすガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリーを前記セラミックテキスタイルに含浸させることでプリプレグ中間体を作製し、
    前記プリプレグ中間体を真空脱泡装置内に入れて当該真空脱泡装置内で真空度及び脱泡時間を調整することにより前記プリプレグ中間体に内包する気泡量を制御した後、これを乾燥させることでセラミックス長繊維補強の生セラミックスのプリプレグを作製し、
    前記プリプレグを複数枚任意方向に積層・加圧して焼結することで前記複数枚のプリプレグを複合一体化させることによって、高温下で利用する構造材料用積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料を製造することを特徴とする積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法。
  3. 前記プリプレグを作製するにあたって、キャリアフィルム上に前記セラミックテキスタイルを所定の幅を保ったまま載せた状態で、前記焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下とならしめるための焼結助剤としての前記ガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリー中に前記セラミックテキスタイルを含浸させながら通過させることで、セラミックス長繊維補強の生セラミックスのプリプレグを作製することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法。
  4. オープンモールド内において前記焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下とならしめるための焼結助剤としての前記ガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリーを前記セラミックテキスタイルに含浸・固着させたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法。
  5. 密閉することのできる一対の上下モールド内に、前記所定寸法のセラミックテキスタイルを1枚または複数枚任意方向におき、前記焼結温度がセラミックス長繊維の熱劣化温度以下とならしめるための焼結助剤としての前記ガラス組成の助剤を配合したマトリックス充填用セラミックスのスラリーを前記モールドの一端から注入すると共に、前記モールドの他端から真空吸引することでこれを前記セラミックテキスタイルに含浸させ、真空度及び真空吸引時間を調整することにより内包するボイド量を制御したセラミックス長繊維補強の生セラミックスの前記プリプレグを作製したことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法。
  6. マトリックス基材としてのセラミックスがAl であることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法。
  7. マトリックス基材としてのセラミックスがSiCであることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法。
  8. マトリックス基材としてのセラミックスがSi であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の積層型セラミックス基セラミックテキスタイル複合材料の製造方法。
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