JP3662272B2 - セラミック構造体及びその製造方法並びにセラミックシートの製造方法 - Google Patents

セラミック構造体及びその製造方法並びにセラミックシートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、有機質繊維及びセラミックを主成分とする多数の空隙を内包するセラミック構造体、例えば板状体を形成するセラミック構造体の製造方法に関し、このセラミック構造体は板状体、その他の立体的構造物ないし構造用材料として有用であり、特に大型の建築用材料にも適する。また、前記構造体の材料ともなるセラミックシートの製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】
従来、セラミックを主成分とする多孔体としては、ラジエター及び触媒担体があった。これらは、主に押出成形又は射出成形で作られていた。しかし、これらの成形方法では複雑な形状の金型が必要であり、セル隔壁の薄い物は脱型時や乾燥時にひび割れ欠けが生じる危険性が高かった。その上大型製品は製造が困難であり、特に大口径のものや、平板状の大面積のものの製造は不可能に近かった。その上、セル径等に変更がある場合には、金型から交換していた。
【0003】
また、焼成後のセラミックブロックないしシートを切削又は研削加工等により削り出して、所定の形状(構造体あるいはパターン孔を有する板状体)を得る方法も知られているが、セラミックが高硬度の脆性材料であるため研削時間が膨大であり、切削又は研削工具の磨耗も甚しかった。
【0004】
そこで、窯業技術の応用としてセラミック粉体のみに可塑材及び結合材を添加してフィルム基板上に流してドクターブレード法又はカレンダ法等によりグリーンシート状物を形成し、それを加工成形後、焼成して構造体を得る方法があった。特開昭64−11808号には、グリーンシートをコルゲート加工して積層し、焼成した構造体及びその製造方法について記載されている。しかし、この方法では薄いシートの製造には厚さの限界があり、セラミック粒子同士の結合力が弱く形態保持力に問題があった。
【0005】
また、セラミックを充填したフィルムを圧搾圧延してシート状物とするカレンダ法でも、セラミック粒子同士の結合力が弱く形態保持力に問題があった。
【0006】
ところで、断熱材、壁材、天井材、塀材、間仕切り壁等の建築用材には、無機系のコンクリート、石膏ボードや、有機系の塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂等が用いられる。しかし、無機系材料は断熱性や耐水性に劣り、多孔質とすると断熱性には優れるが強度が低くなり、一方有機系は耐火性や自立性が低いという欠点を有していた。また、曲面を有する構造材を製造するには、金型(雛型、鋳型)から構造を変えねばならず、さらに曲部で強度が劣化していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
セラミックは構造、あるいは機能特性に優れた製品として様々な分野で用いられているが、構造体として用いるには特に軽量化、大型化が重要な課題となっていた。このうち軽量化は、多孔質化によって達成できるが強度が劣化し、一方大型化を図ると焼成ひずみによる歩留まりの極端な低下によりその実用化には大きな障害があった。また、上記構造体を得るに適した可撓性、形態保持力に優れたセラミックシートが存在しなかった。
【0008】
このように従来のセラミック構造体(板状体)の製造方法は、基本的限界を有しているが、さらに従来の既述の製造方法は以下の問題点を抱えている。
【0009】
即ち、第1に窯業技術の応用であるセラミック粉体をシート状に展開したグリーンシート及びフィルムシートを使用するのは、シート厚をあまり薄くできず、シートの加工時に可撓性及び形態保持力が乏しく、さらに工程が複雑で費用がかかっていた。また、セラミック粉体の結合剤として高価な樹脂や有機溶媒を使用するため工程が複雑で高コストとなり、労働衛生的にも劣悪となっていた。
【0010】
第2にセラミック繊維を主成分とするセラミックシートは、セラミック繊維を原料とするので、それ自体高価である上に種々の添加剤を要し工程も複雑であった。
【0011】
そして、前記第1及び第2のセラミック構造体の用途は触媒担体や熱交換器(ラジエータ)等に限られていた。
【0012】
第3に、有機質繊維とセラミック粒子を主成分とするセラミック紙は、その用途が美術工芸品および日用品等のごく小さなもの、或いはごく薄手のものに限られていた。
【0013】
第4に、従来の構造体(特に板状体)、特に建築用材(壁材、柱材等)においては、耐衝撃性、軽量、強度、耐水性、断熱性及び耐火性等さらに不可欠の量産性を兼ね備えた材料は存在しなかった。また特に、曲面を有するような複雑な形状のものは得ることができなかった。
【0014】
第5に、焼結後のセラミックブロックやシートを研削加工等により削り出して、所定の形状(構造体ないしシートパターン)を得るには、セラミックが高硬度の脆性材料であるため研削時間が膨大であり、切削又は研削工具の磨耗も甚しかった。
【0015】
本発明の基本的目的は、軽量、強度さらには耐衝撃性、耐水性、断熱性及び耐火性を備え、空隙を内包する構造を有する新規なセラミック構造体及びその製造方法を提供することにある。本発明は、さらにこの構造体の原材料ともなり、単独でも多孔質の構造体となり得る可撓性及び形態保持力に優れたセラミックシートを提供することをも第2の目的とする。本発明は、特にかかるセラミックシート及び構造体を、大量生産可能とする新規な製造方法を提供することを具体的課題とする。本発明は別の視点からすると、またサイズ又は形状に制限されず、特に、大型のシート、板状体ないし構造体を製造することができ建築用壁材として優れたものを製造することをも具体的課題とする。空隙としては、特に微細な径のものまで可能であると共に、空隙寸法・形状が自由に制御できるセラミックシート及び構造体の製造方法を提供することをさらなる具体的課題とする。また本発明は、さらに別の視点として、内部構成層が極く薄いものから、かなりの厚さの場合まで適用可能な、かかるセラミックシート及び構造体の製造方法の提供をも、課題とする。
【0016】
さらに、本発明は多数の空隙が形成する内部空間も蓄熱体、配管空間等として高度利用可能な構造体を製造することも課題とする。
【0017】
また、焼結前でも形態保持力が高く、成形・加工を行ない易いセラミックシートの製造方法を提供することを課題とする。そして、製造工程が簡易で安全なセラミックシートの製造方法を提供することも課題とする。さらに、上記セラミックシートの原料組成を制御することによって、焼結後、種々の微細空隙の形状(径、開口形状等)を得ることも課題とする。なお、このセラミックシート単独でも、シート原料の調整により、空隙の形態を変えることが可能であり、シート自体が多数の空隙を有する多孔質体(構造体)といえる。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の視点は(第1の手段)、有機質繊維とセラミック原料を主成分とする、未焼結のセラミックシートを管状に加工し前記管状のセラミックシート成形物体を得る工程と、前記管状のセラミックシート成形物体を複数個結合して多数の空隙を内包する未焼結の成形物体を形成する工程と、前記多数の空隙を内包する未焼結の成形物体を焼結して、多数の空隙を内包するセラミック構造体を形成する工程と、を含むことを特徴とするセラミック構造体の製造方法である。好ましくは、前記管状のセラミックシート成形物体を切断後、複数個結合する。
【0019】
なお、成形セラミックシートとは、所定の空隙を有するもの(例えば管状、球状その他の変形形状になった紙)、断面の不等変化による凹凸形状(エンボス加工物のような形状)、板面での波打ち、等の成形が施されているシートである。一方未成形のセラミックシートとは、上記以外の一般的に見られる平面、平板状のシート紙である。但し、型抜ないし切断パターン孔を有するセラミックシートは、本発明において成形シート紙として扱う。これらの成形、未成形のセラミックシートを、少なくとも成形シート紙を含んで、成形物体に成形する。
【0020】
また、セラミックシート成形物体を成形する方法としては、セラミックシートの単枚あるいは複数枚を、多数の空隙を内包するように折曲、接着(接着剤使用も可)、集合、重合、積層、巻付け、嵌合、接合、圧接、圧着する方法等、或いはこれらのいくつかの組合せが該当する。
【0021】
本発明の第2の視点は、有機質繊維とセラミック原料を主成分とする、未焼結のセラミックシートを二層以上に折返した後、所定形状をくり抜き、その後部分的に展開して成る未焼結の成形セラミックシートを複数毎積層して多数の空隙を内包する成形物体を形成し、前記多数の空隙を内包する未焼結の成形物体を焼結して、多数の空隙を内包するセラミック構造体を形成することを特徴とするセラミック構造体の製造方法である。
【0022】
本発明の第3の視点は、有機質繊維とセラミック原料を主成分とし、多数の切込みを入れた後少くとも一方向に引延して形成される未焼結のラスシートを複数毎積層して多数の空隙を内包する成形物体を形成し、前記多数の空隙を内包する未焼結の成形物体を焼結して、多数の空隙を内包するセラミック構造体を形成することを特徴とするセラミック構造体の製造方法である。
【0023】
本発明の第4の視点は、有機質繊維とセラミック原料を主成分とする、未焼結のセラミックシートをコルゲート加工して未焼結の波状セラミックシート成形物体を得る工程と、複数個の前記未焼結の波状セラミックシート成形物体を、未焼結のセラミックシート上に波面の端面を当接させて接着して多数の空隙を内包する未焼結の成形物体を形成する工程と、前記多数の空隙を内包する未焼結の成形物体を焼結して、多数の空隙を内包するセラミック構造体を形成する工程と、を含むことを特徴とするセラミック構造体の製造方法である
【0024】
【好適な手段】
【0027】
管状セラミックシートは、これは板状体、柱状体、ブロック状態に成形可能であり、管状セラミックシートは並列、或いは交叉して配列できる。管状セラミックシートの断面は円、三角、四角その他の多角形、或いは凹凸面を有する層の巻上げ体とするとができる。例えば断面が四角形の場合は全体として角柱状となる。
【0028】
管状化は、公知の方法例えば帯紙(ロール)からのスパイラル状巻き上げ又は押出し成形によることができる。
【0036】
好ましくは、前記成形工程で、セラミックシート成形物体が互いに独立しかつ連続状に配列された空隙を内包するように成形される
【0037】
好ましくは、表装材として平板状セラミックシートを用いる
【0038】
好ましくは、中間層として少なくとも一層の平板状又は略平板状セラミックシートを含む略平板状とは、微細な凹凸、波打ちがあるが、全体として平板状に移行する層の場合を言う(目安としては、凹凸のピッチに対し厚さ方向の変位が1/5ないし1/10以下のもの)。
【0039】
好ましくは、前記構造体が板状体である
【0040】
好ましくは、前記板状体が建築用材である
【0041】
好ましくは、前記有機質繊維がセルロース繊維あるいは合成ないし人造繊維からなる
【0042】
好ましくは、前記セラミック原料がアルミナを成分として含む磁器質組成を有することを特徴とする第1〜18の手段のいずれかに記載のセラミック構造体の製造方法である前記セラミック原料がアルミナ繊維、セラミック繊維、ワラストナイト等の人工あるいは天然繊維、ウイスカーを含む磁器あるいは陶器質組成を有する場合もある。この場合、いわゆる繊維強化セラミック構造体が得られる。
【0043】
好ましくは、前記成形工程において、接着剤として有機質又は無機質の粘結剤、又はこれらの混合物を用いる
【0044】
好ましくは、前記セラミック構造体に、焼成後又は焼成前において施釉する。焼成は、目的とする焼結の程度・到達密度、所定セラミック原料の材質、焼結特性等に応じて制御して行うことができる。個々の層自体の材質としては微細多孔質から緻密質まで、さらにその組合せ形態も可能である。
【0045】
好ましくは、前記セラミックシート成形物体のセラミックシート層の少くとも一部にセラミック材料の泥しょうを被覆する被覆工程を含むこの被覆は、浸漬、スプレー、塗布等公知の泥しょう被覆方法が含まれる。
【0046】
好ましくは、プレス時に、エンボス加工を行ない凹凸状の成形セラミックシートを得る。なお、凹凸状とは、波状、不定パターンの凹凸状等を含む。
【0047】
好ましくは、前記シート状物が有機質の紙又は布もしくは不織布からなる
【0048】
【作用】
セラミックは構造、あるいは機能特性に優れた製品として様々な分野で用いられているが、構造体として用いるには特に軽量化、大型化が重要な課題となっていた。このうち軽量化は、多孔質化によって達成できるが強度が劣化し、一方大型化を図ると焼成ひずみによる歩留まりの極端な低下によりその実用化には大きな障害があった。また、セラミックは硬く脆いので、複雑な形状に加工することは困難であり、切削又は研削加工では時間も掛かり、切削又は研削工具の磨耗も甚しかった。
【0049】
なお、セラミックシートを材料とする資材として、いわゆる陶紙などが開発されているが、陶芸用、又は美術工芸品の域を脱していなかった。
【0050】
本発明によれば、可撓性及び自立性が高く安価な有機質繊維とセラミック粉体を原料として本発明の製造方法又は製紙技術により抄紙される等のセラミックシートを、切断、接着、波状加工等の簡易な工程で自在に成形して多数の空隙を有するを有するセラミック成形物体(構造体、焼成紙型、即ち未焼成成形物体)とし、この成形物体を焼成して、所定の寸法・形状を備え所定の空隙を内包するセラミック構造体を得る。このセラミック構造体は、十分な軽量、強度(さらには耐衝撃性)、その他断熱性、耐火性、耐水性などの性質を備えることができる。そして、本発明によれば、複雑な内部構造の立体的構造体、特に互いに独立した空隙を有して連続的な空隙を有する大型構造体が容易に得られる。そのため、今までセラミック構造体が用いられることがなかった外壁材(例えば長さ1m以上)等に使用できるものが提供できる。厚さも実用上必要な範囲のものが得られる。例えば、幅120cm×450cmの大きさの巨大な材料が得られ、しかも厚さは任意のものが製造できる。
【0051】
その方法の一つは、紙(有機質繊維)にセラミック粉末(坏土)を配合した成形または未成形の、またはその両者のセラミックシートをセラミックシート成形物体に成形する工程と、成形されたセラミック成形物体を焼結する焼結工程を含むことを特徴とする。なお、これらの原料を調整することによって、種々の気孔形態(セル、多孔)を有する構造体が得られる。即ち、繊維質においては、繊維種、繊維長さ、繊維径を調整することによって、焼結時にミクロンオーダーでのセル径の制御ができる。一方、セラミック原料においては、成分、粒度等を調整することによってオングストロームオーダでのセル径の制御ができる。また、焼結条件例えば焼結温度を低くすることによっても、セラミック質の焼結密度を下げることによってオングストロームオーダでのセル径の制御が可能である。また、可塑材(糖アルコール等)の分子の大きさによっても、セル形態を多少調整できる。
【0052】
また、特に構造体の強化・保護を目的とする場合には、前記セラミックシート成形物体のセラミックシート層の少くとも一部にセラミック材料の泥しょうを被覆(好ましくは浸漬)する被覆工程を含むことができる。
【0053】
前記被覆工程中で、セラミック成形物体が(特に緻密質で強度の高い焼結セラミック被覆層を形成する)セラミック材料の泥しょう中で被覆されることにより、各セラミックシートが一層緻密なセラミック被覆で強化されることができ、全体として一層強化されたセラミック構造体ができる。
【0054】
ここで、本発明のセラミックシートの製造方法及びセラミック構造体の製造に使用されるシートについて説明する。有機質繊維原料は、セルロース繊維、及び天然の植物性繊維等の通常の紙の原料となる繊維であればよく、一般的にはセルロース繊維がよい。他には、アクリル系、人造繊維、綿布等が使用できる。セルロース繊維は焼成時に有害なガスを生ずることなく焼失する。よって、マニラ麻、黄麻等の靱皮パルプの他に、新聞雑誌等の古紙やぼろ布類等のぼろパルプ等も使用できるので、リサイクル効果も発揮できる。セラミック原料は、ごく一般的には陶器や磁器の原料となる坏土(例えば、アルミナ、珪石、長石、及び粘土類)が使用できる。特に、アルミナが添加されれば強度が高くなる。また、天然、合成のセラミック系繊維、ウイスカー等を加えても、強度、特に靱性の強化ができる。さらに、いわゆるニューセラミック材料(コージライト、アルミナ、ジルコニアの酸化物、窒化ホウ素等の各種窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、ホウ化物、その他これらの複合化合物又は混合物等)を使用してもよい。
【0055】
本発明のセラミックシートの製造方法では、必ず有機質繊維を原料に含有しておりバインダの作用をするので形態保持力が強く、焼結前の例えばシートないし紙状成形物体に加工成形時でも、セラミック粉末が脱離することがない。このため、バインダとして有害な有機溶剤の使用を全く使用しないかあるいは極小量で済む。最後に、焼成により前記有機質繊維は消失して所定の気孔を形成する。そして、上述のように気孔形態の調整ができる。繊維質は長繊維、短繊維どちらも使用でき、或いは単繊維状又は複合繊維状でも撚糸状でもよく、これらの状態さらには繊維のアスペクト比(長径比)によっても気孔の形態が調整できる。
【0056】
本発明の第1のセラミックシートの製造方法は、プレス成形によるものである。セラミック粉末と有機質繊維を混合して、圧縮してセラミックシートを得る。乾式、湿式いずれのプレスも可能であり、また前記混合物が、水分を含む泥しょうである場合には、プレスにより脱水が行なわれる。この方法は特にcmオーダの厚いシートを得るに適した方法である。ここで、有機質繊維として例えば平板状の紙や布(或いはこれの破片)を含んでもよい。プレス圧縮により紙(布)中にセラミック成分が含浸、被着する。
【0057】
第2のセラミックシートの製造方法はドクターブレード法による。原料に有機質繊維を含んでいるので、形態保持力が高く、比較的薄いシートも得られ易い。
【0058】
第3のセラミックシートの製造方法はロール圧延法による。特に、連続大量生産に適している。芯又は台紙となるシート状物が、有機質繊維からなる紙、布等であればセラミック原料(粉体、泥しょう、ゲル状等)を主成分とする混合物は、有機質繊維を含まなくてもよい。一方該シート状物が有機質繊維を含まないポリエチレン、ポリエステル等の化学フィルムである場合には、前記混合物中に有機質繊維が含まれることが好ましい。
【0059】
なお、上記3つのシートの製造方法においては、有機質繊維が強力なバインダの機能を果たしているが、例えば繊維質がセラミック質に対して少ない場合などは、結合剤(エチルセルロース、アビエチン酸レジン等)、可塑剤(アビエチン酸誘導体、ポリアルキレングリコール等)、解膠剤(グリセリン、オクタデシルアミン等)、溶媒(トルエン、メチルエチルケトン等)が使用されることがある。
【0060】
また、本発明の構造体の製造方法で使用されるセラミックシートは抄紙によっても得られる。抄紙の仕方は既知のものでよく、特に限定されないが、通常は湿式抄紙法、半湿式抄紙法で行なわれる。
【0061】
湿式抄紙方法は、丸網抄紙器、長網抄紙器等を用いて行なうことができる。この方法によれば、可撓性と強度等を兼ね備えたセラミックシートが得られる。
紙厚は、0.1mmの薄い紙ができ、厚いものは5cm以上の紙が得られる。通常2〜3mm程度の紙厚である。また、厚い紙は紙を複数枚積層することによっても得ることができて、空部が多いので同厚の単枚より軽量である。
このようなセラミックシートの大きさは、一例として1500mm×4500mmの巨大なものまで,厚さは0.1mm〜5cmもの自在に調節可能なシートが得られる。この大きさは、抄紙や焼成装置の設備の実用上の大きさにのみ従うものであり、理論上は限界はない。
【0062】
本発明は、セラミック粉末系原料を用いることで足りるが、添加材としてさらに他系統の成分を利用することもでき、いずれも本発明で使用されるセラミックシートとなり得るが、セラミック粉末系は所定強度を得るのに高価なセラミック繊維を必須とせず、セルロース繊維を使用することができるので製造工程及び費用の削減の面から好ましい。なお、セラミック繊維が含有されていれば靱性が向上する利点がある。
【0063】
本発明のセラミックシート成形物体の成形工程では、セラミックシートを所望の構造体と相似形に加工成形する。成形方法としては、一例としてダンボール中芯の波板の製造工程であるコルゲート法によりセラミックシートを半円が交互に反転して連続する(サイン曲線状)ような連続図形の波板状に加工する。これを中芯として片面あるいは両面にセラミックシートを接着する。接着剤には、友土(接着対象と同じセラミック原料を含む坏土)に糖アルコールを少量含んだ泥漿が好ましいが、セラミックシートは有機と無機の両方の材質を有するので有機系、無機系接着剤の双方が使用できる。無機系接着剤としては、同種又は異種のセラミック泥しょう、珪酸ナトリウム等の無機質粘結剤が利用でき、有機、無機の混合物も利用できる。このように空隙を内包する構造を有するセラミックシート構造体が、研削加工を経ることなく簡単に得られる。
【0064】
また、セラミックシートのプレス加工ないしエンボス加工によっても空間構造体が得られる。例えば、セラミックシートの一枚又は復数枚をプレス加工により所望の凹凸を有する形状に型抜き又は成形すれば、多数の空隙を内包する構造体要素が得られる。このプレス又はエンボス加工要素は多孔状でも、そうでなくてもよく、所定の凹凸(特に凸部)を有すればよい。この要素を中芯として用いるか、或いは多層に重ねれば、多数の空隙を内包する構造体となる。同様なことがセラミックシートから作成されたラスシート(多数の切れ目を入れ、少なくとも一方に引延して、メッシュ状にしたもの)を用いても可能である。
【0065】
また、セラミックシートを筒状にして輪切り又は軸に平行に切り、それらをセラミックシート上に配列して、さらに上からセラミックシートを貼れば、やはりが多数の空隙を内包する構造体が得られる。管状セラミックシートを所定外形に束ねてもよく、その周りにセラミックシートを被覆してもよく、これを何回か多層に繰り返してもよい。またこのように束ねたものを所定長さ(厚さ)に輪切りにすることによって、多くの空隙を有するメッシュ状ないしハニカム断面構造の板状体も得られる。
【0066】
また、型紙を切り貼りすることによっても各種複雑な立体的な形状、構造が簡単に実現できる。必要に応じて表装材として、平板状セラミックシートを用いる。中芯の間に平板状セラミックシートを介在させることもできる。
【0067】
ここで、構造体の強化・保護が特に要求される場合には、セラミックシート成形体のセラミックシート層(その少くとも一部ないし一部の層)に再度、原料と同一又は近い成分の坏土を含む泥しょうを付着させて焼成すると、各セラミックシートが一層緻密なセラミック被覆で強化され、全体として一層強化されたセラミック構造体ができる。付着させる面は、紙成形体全体(全面)あるいは表層をなす面だけでもよい。いずれも焼成後に強固な保護・補強膜を形成して、強度や耐環境性を高める。このような付着は本発明のシートの製造方法で得られたセラミックシートにも施すことができ、同様の効果が期待できる。
【0068】
ステップ2は、前記成形物体を炉で焼成する焼成工程である。最後に、上記工程のセラミックシート構造体を焼成すると、紙分が両側の緻密コート層にサンドイッチされる形で焼結して、元の形状を保持して、高強度のセラミック構造体が得られる。
【0069】
焼成工程は、1度に焼成することもできるが、素焼あるいは締焼工程(或いはこの両者)と本焼成工程に分けてもよい。締焼(あるいは素焼)されたセラミックシート成形物体に釉薬を塗り外装、色彩を施して、美観を与え、また焼成後の強度、耐水性等を高めることができる。この緻密層及び/又は釉層には、内部のセラミック層や繊維層よりも強い圧縮応力が働くものを選択でき、割りかけ率の差により強化層(ないし保護層)となる。
【0070】
前記成形物体は所定雰囲気中で焼成される。温度は原料によって可変する。第1表の高強度磁器原料坏土を原料した場合には、焼成温度は1250〜1350℃が好ましい。酸化、還元(或いは非酸化性)焼成はどちらでも可能である。
なお、セラミック原料が特別の例えば窒化珪素等のファインセラミック素材であれば真空炉やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中でも焼成できる。
【0071】
また、1150℃前後で締焼後、上記のような施釉をして上記焼成温度で本焼成してもよい。
なお、紙(有機質)は約400〜600℃で焼失し、通常のタイル焼成と同様に酸化焼成であれば、殆ど問題とならないが、紙層ないし積層が厚い場合は、約400℃から650℃迄、昇温スピードをゆるやかにすることが好ましい。電気炉中では100℃/時間でも何ら問題は発生しない。また、焼成条件の可変によりセラミック質に起因する気孔度を調整できる。
【0072】
以上の工程は、全て連続的に行なうことができるので、非常に生産性が高められる。例えば、段ボール紙の連続製造装置或いは公知の紙管製造装置等を応用することができる。
【0073】
このような製造方法で得られたセラミック構造体は、石膏型等の流し込み用型を使用する鋳込み(スリップキャスティング)成形、ロクロ成形のように治具の大きさ、割れひび等による大きさ、厚さの制限がなく、大型のもの、特に平板状の建築用構造材料に非常に適している。例えば、床材、壁材、天井材、及びH型あるいはI型等の柱材である。また、曲面、段差、コーナー等の曲線的役物構造物も容易に製作できる。
【0074】
また、上記のような製造工程で得られるセラミック構造体は、セラミックの強度や対衝撃性の弱さや、脆性を補い、かつ軽量化を実現させる。特に、アルミナを成分とすれば、衝撃強度が高く、ウイスカー、セラミック繊維(例えばカーボン、アルミナ、ワラストナイト等)を入れれば、靱性が強くなる。耐衝撃性は、構造体に内包される空隙及び所望の多孔度で形成されうる基層の所存による所が大きい。従って、今までセラミックが用いられなかった用途、即ち建築材料、特に自立性を有する外装、内装又は表装材料に適している。実際、本発明に係るセラミック構造体は、ALC(軽量発砲コンクリート)を強度面等で大きく上回り、ALCの代用品として有用であり、より薄厚でも十分な強度を有しており、しかもALCが強度不足により用いることができなかった超高層建築の分野にも進出できる。また蒸し焼き工程が必要なALCと違い、鉄筋を配していても製造工程中で錆、腐食が発生しない。また、タイルの分野では、乾燥や焼成工程中での反りにより、大型タイルが製造できなかったが(通例30cm角以下)、本発明によれば、いくらでも大型平板のタイル状体が製造できる。平板状の紙を成形又は積層することができ、かつ空隙を有しているからである。また、屋根瓦には、従来の1/3の厚さで法定の強度が得られる構造体又はシートが製造できる。もちろん、従来の用途である触媒担体、治具等にも使用できる。ここで、特にセラミック構造体の内包する空隙が各個独立であり、空隙の外周部をなすセラミックシートが連続、つまり空隙が連続模様をなしていれば、構造的強度が高く及び均一であり、大きな荷重がかかる建築材として特に好ましい。断熱性を利用すれば、耐火材料(工業用及び建築用)、炉壁材料を製造することもできる。
【0075】
本発明は、他の視点からすると、従来、治具の分野で行なわれていたように、研削による削り出しによって、複雑な空間的構造(平面的構造を含む)を形成するのではなく、予め、最終形状と相似な形状を製造工程中で紙の成形、重ね合わせによって実現できるので、その工程削減効果は莫大なものがあり、切削及び研削工具は不要かあるいは仕上げにわずかに使用するだけで済むようになる。
【0076】
そして、本発明から得られたセラミック構造体は、耐火性の高さ、断熱性、及び強度が優れていて、特に建築用材に適している。しかし、本発明により製造されるセラミック構造体の用途は建築に限られず、テーブル状の台板、炉材としての耐熱壁材、耐火材料から機械、装置の構造材料にまで適用可能であり、触媒担体ハニカム、脱臭装置担体等の化学反応触媒担体としても適用できる。また、本発明により製造されるセラミックシートも触媒担体ハニカム、脱臭装置担体等の化学反応触媒担体としても有用である。セラミック原料及び有機質繊維原料の選択により、焼結後の気孔形態を可変することができる。例えば、液体瀘過装置の場合は、比較的大径の気孔を形成する繊維質を調整して所望の気孔を製造できるし、ガス体に係る触媒担体の場合は、比較的大径の気孔を形成する繊維質を調整して所望の気孔を製造できる。なお、原料の調整により気孔だけでなく表面の改質が可能であり、表面積を拡大して化学反応装置(担体)においては反応効率をあげることができる。
【0077】
【実施例】
以下に、本発明について、実施例に基づき詳細に説明する。
【0078】
<実施例1>
本発明のセラミックシートの製造方法、及びセラミック構造体の製造方法の概略を説明する。
まず、セラミックシートについて説明する。原料は、目的性状に応じて種々選択される。理論的には、重量比でセラミック分1〜99%、繊維分1〜99%まで含有可能であるが、実用上は、繊維5〜20%(より好ましくは構造体用では一般的に5〜10%)が適当である。第1表に原料組成の一例を示す。なお、以下の表示は全て重量比である。
【0079】
【表1】
Figure 0003662272
【0080】
このようにアルミナを添加することにより、強度を増すことができる。強度面からは、アルミナは10%(セラミック原料中)以上含まれることが好ましく、20%、25%と添加量が増加するにつれて強度は上昇する。この時繊維分はセラミック分に対して5%前後が焼結後の強度上好ましい。但し、繊維分が余りに少ないと成形性が悪くなる。また、珪藻土を加えてさらに軽くできるし、セラミック繊維あるいはウイスカーを加えてさらに靱性を高めることもできるし、金属粉末を加えてもよい。高強度化のためにアルミナをステアタイトで置換(全量置換でも可)してもよい。コージライトは、熱膨張係数が低く高温下での触媒担体としての使用に適している。機械的強度が必要ならばコージライトの含有量としては、セラミック成分中5〜45%、好ましくは15〜45%程度である。それ程強度を必要としなければ、全量でもよく熱膨張が極めて減少する。
【0081】
また、他の坏土及びパルプ質材料を以下の第2表に示す。
従来の陶器、磁器原料は全て使用できる。
【0082】
【表2】
Figure 0003662272
【0083】
さらに、坏土あるいは添加繊維としてもニューセラミックを用いることができる。セラミック繊維を含有させることで靱性が向上する。
【0084】
【表3】
Figure 0003662272
【0085】
以上のような原料を高強度化、軽量化、低コスト化、高断熱化等の目的に応じて配合する。例えば、建築用の構造材を製造する場合は、強度が要求されるのでアルミナ、ステアタイト等が使用される。前記材料をセラミック成分中最小5%程度入れることにより、構造体の強度が上がる。また繊維分はセラミック分との重量比で5%前後以下にするのが強度上好ましい。また、靱性が要求されるときは、セラミック繊維を添加するのが好ましい。例えばアルミナ繊維を織物のように格子状に配したセラミックシート(本発明のセラミックシート製造方法であるプレス法によって製造できる。)を構造材原料とすれば、非常に靱性が高い構造体を得ることができる。
【0086】
多孔質の構造体を得て軽量化又は通気性の向上を図るときは、繊維分を多く含有させる。繊維分は、最大幅1〜99%(セラミック分との重量比)入れることができるが、実用的には2〜30%であり、より好ましくは5〜20%である。高強度が求められない場合は、コージエライト、ムライト等をセラミック分として含有してもよい。特にコージエライトは熱膨張が小さく、熱衝撃の加わる自動車のエンジン等に使用される触媒担体の原料に適している。
【0087】
上記のセラミック構造体の原料の一つとして、セラミックシートの製造方法を以下に説明する。なお、このような製造方法で得られたセラミックシートの用途は上記のセラミック構造体に限られるものではなく、単独で焼結又は未焼結でセラミックシートとして用いることもできる。
【0088】
図1(a)は、プレス成形によるセラミックシートの製造方法を示す模式断面図である。セラミック粉末と有機質繊維を混合物29を、金型28に入れて、プレス27で圧縮成形してセラミックシートを得る。前記混合物が、水分を含む泥しょうである場合には、プレスにより脱水が行なわれる。プレスによる製造方法は特にcmオーダの厚いシートを得るに適した方法である。ここで、有機質繊維として例えば平板状の紙や布を含んでもよく、複数枚入れてもよい。プレス圧縮により紙(布)中にセラミック成分が含浸、被着する。また、圧搾により強制排水ができるので、、高保水性の粘土成分を含むシートの製造に適した方法である。なお、乾式、湿式どちらのプレスでもよい。プレス方法によればcmオーダのタイル状体(例えば5cm厚のタイル)が、ひび、割れ等の欠陥を生じずに容易に製造できる。特にこのタイル状体を外装材(外壁等)として用いる場合には、セラミックシート成形と焼成の間に、セラミック成分を含む泥しょうを付着させて、強度上昇や保護層形成を図ることができる。
【0089】
図1(b)は、ドクターブレード法によるセラミックシートの製造方法を示す模式断面図である。紙ロール32から平板状の紙21が供給されて、途中で泥しょう容器30より、紙21上に有機質繊維とセラミツク粉末を含むスラリー34が滴下される。そして、ドクターブレード31により余分なスラリーがかき取られて、所定の厚さのセラミックシート4が完成して、セラミックシートロール33に巻き取られる。供給される紙21は勿論布等の有機質繊維を含むものでもよく、さらにスラリー34中に有機質繊維が含まれていればポリエチレン、ポリエステル等の化学フィルムでもよい。原料に有機質繊維を含んでいるので、形態保持力が高く、比較的薄いシートも得られ易い。
【0090】
図1(c)は、ロール圧延法によるセラミックシートの製造方法を示す模式断面図である。紙21とセラミック粉末20を圧延ロール25に供給して、圧延するとセラミック質が紙に含浸又は被着・固着して、さらに加熱ロール26によって乾燥・成形されてセラミックシート4ができる。ここで、紙21は布でもよく、さらにポリエチレン、ポリエステル等の化学フィルムないしワリフ(フィルムを引裂いたシート状物)でもよい。即ちシート状物は、有機質繊維からなる紙、布等であればセラミック原料(粉体、泥しょう、ゲル状等)を主成分とする混合物は、有機質繊維を含まなくてもよい。一方シート状物が有機質繊維を含まないポリエチレン、ポリエステル等の化学フィルムである場合には、少なくとも一方の前記混合物中に有機質繊維が含まれる。この方法は特に、連続大量生産に適している。また、圧搾により強制排水ができるので、、高保水性の粘土成分を含むシートの製造に適した方法である。なお、プレスは乾式、湿式どちらのプレスでもよい。
【0091】
上記のセラミックシートの原料としては、セラミック構造体の原料と同じ成分が用いられる(表1及び2等)。
【0092】
また、本発明で使用されるセラミックシートは抄紙、スリップキャスティングによっても得られる。なお、抄紙の仕方は既知のものでよく、特に限定されないが、通常は湿式抄紙法、半湿式抄紙法で行なわれる。
【0093】
以下に本発明のセラミック構造体の製造方法を示す。ステップ1は、紙を所望の形状に形成するセラミックシート成形物体の成形工程である。この工程によって、焼成後の研削加工等による成形工程が不要になるか又は本質上軽減され、必要な場合でも仕上げ加工のみでよくなる。
【0094】
なお、本発明では、ステップ1と2の間に被覆工程を含むことができる。セラミックシート成形体に再度、原料と同一又は近い成分の坏土を含む泥しょうを被覆(付着)させて焼成すると、各セラミックシートが一層緻密なセラミック被覆で強化され、全体として一層強化されたセラミック構造体ができる。
【0095】
また、セラミックシート成形物体に釉薬を塗り外装、色彩を施して、美観を与え、また焼成後の強度、耐水性等を高めることができる。
【0096】
ステップ2は、前記成形物体を炉で焼成する焼成工程である。
前記成形物体は所定雰囲気中で焼成される。温度は原料の焼結温度によって可変でき、第1表の高強度磁器原料坏土を原料した場合には、焼成温度は1250〜1350℃が好ましい。なお、焼成温度は目的とする焼結度(即ち、焼結体の気孔率)によって調節できることは言うまでもない。これにより、完成焼結体において素焼レベルの気孔率のものから、完成に吸収性のない緻密質のものまで焼成できる。
【0097】
また、1150℃前後で締焼又は素焼後、上記のような施釉をして上記焼成温度で本焼成してもよい。
【0098】
ところで、400〜600℃前後でセラミックシート有機質成分(有機質繊維)は焼失する。
【0099】
<実施例2>
本発明のセラミック構造体の原材料となるセラミックシートの抄紙方法及びその材質について説明する。
【0100】
原料は、アルミナ15〜45%、長石15〜35%、粘土又はカオリン25〜45%、セリサイト0〜10%の配合組成である。このような調合原料を30μm以下に微細に湿式粉砕した後、325メッシュ以下のふるいに通して、強度低下の原因となる粗粒子を除去した泥しょうとし、この泥しょうを脱水して磁器坏土に調整される。一方紙料とする繊維は、マニラ麻が用いられる。
【0101】
これらの原料を通常の抄紙方法(湿紙を構成する漉き網工程、水を搾るプレス工程及び乾燥工程からなる。)で抄紙する。即ち、上記原料を混合して水を加えてスラリーとして、溜漉き法によりセラミックシート(厚さ0.1mm〜5cm,通常は2〜3mm)を得て乾燥する。
【0102】
抄紙機としては、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤマシン、コンビネーションマシン等が用いられる。なお、抄紙前にカチオン変成して叩解することも好ましく、繊維への坏土粒子の定着率が上昇する。
【0103】
また、所定空隙を有する紙や、厚さが一様でない紙、模様を有する紙等の成形紙を抄紙することができる。
【0104】
なお、上記組成の坏土の他に、勿論、実施例1の第1表の組成、又は第2表の原料を用いてもよい。特に、アルミナは、強度増加の効果が大きく建築用材料に適している。また、抄造されるセラミックシートを特に強靱なものとするためにはマニラ麻、黄麻等の靱皮パルプを用いるのが好ましい。
【0105】
さらに、上記のセラミック粉末系のセラミックシートが好ましいが、表3等に記載のセラミック繊維系又はセラミック繊維−粉末系の紙、またはその成分を添加した紙も本発明の成形工程に提供できる。
【0106】
<実施例3>実施例1又は2に係るセラミックシート成形物体の成形工程を説明する。なお、図2及び図3に示す成形工程は参考例である。図2は、コルゲート法による波板状セラミックシートの製造方法を示す模式工程図である。
【0107】
(a)では、板状のセラミックシートを2本のローラー10を通して波板状に加工する(波板6)。このコルゲート加工機にはダンボール紙製造用コルゲート加工機が使用できる。
【0108】
(b)では、前記波板6をセラミックシート平板4上に接着する。さらに、波板上に別の平板を接着する。こうして多数の空隙を内包するセラミックシート成形物体7(構造体)が完成する。なお、この工程は、公知の段ボール紙製造工程と類似の工程で行うことができる。
【0109】
(c)では、(a)で得られた波板を波山と直交する方向で切断又は輪切りする(切断波板8)。これらの半環状のセラミックシートを、別のセラミックシート平板4上に紙面を立てて波面の端面を当接させて配列・接合を行なう。この上にさらに別のセラミックシート平板4を接着(図示略す)すれば多数の空隙を内包するセラミックシート成形物体7(構造体)が完成する。
【0110】
また、(a)及び(b)、(a)及び(c)、あるいは(a)〜(c)の工程を連続して行なうことができて大量生産が可能である。
【0111】
なお、波板を2枚のセラミックシート平板でサンドイッチ構造にしたが、波板同士を接着してもよく、また平板は一枚でもよい。
【0112】
なお、波板構造を形成するにはパンチ加工のような絞り加工でもよい。
【0113】
図3にコルゲート法による波板を用いた種々のセラミックシート成形物体7を示す。
【0114】
(a)は、波板を周方向2分の1波長ずらして、隣接層の波の山と山を当接させて積層したものである。同波長で積層することもできる。また各波板の波長を変えることもできる。
(b)は、波の山方向を90゜互いに回転して交叉積層したものである。交叉角度は90゜に限られない。
(c)は、同波長で積層した(a)において波板間に平板を接着又は挟持したものである。
(d)は、2分の1波長ずれて積層した(a)において波板間に平板を接着又は挟持したものである。
(e)は、平板上に波板を接着して巻き上げた物である。
これらの構造は、つまり波板や平板の相対的な配置は製品の用途によって決定される。そして、これらの構造体は、全体が同じ厚さのセラミックシートから構成でき、その場合、焼成時の収縮が均一となりひずみの発生が抑制される。また、接着にはセラミックシート同士の場合は、坏土成分(友土)と糖アルコールを湿分状態にしたものが好ましいが、他の有機系接着材(エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ゴム樹脂等)、無機系接着材(モルタル、シリコン、水ガラス等)も使用できる。また、セラミックシート以外と接着される場合にも上記の接着材が使用可能である。また、機械的に嵌合、係合してもよく、あるいは融着によっても結合ができる。
【0115】
なお、平板には本発明のセラミックシートの他に他の方法で作成したセラミックシートも使用可能であり複合材料となる。
【0116】
プレス加工、ドリル加工、切断加工によっても、空隙を内包する構造を有するセラミックシート成形物体7(構造体)の製造ができる。即ち、接着、圧着等により積層した複数枚のセラミック成形物体(積層セラミックシート)をプレス型抜き、切断により、所望の形状の型を抜いたり、切り出したりする。これによって多数の空隙を内包する構造要素が得られる。この要素をそのまま構造体へと焼成することもでき、またこの要素を芯材として用いて構造体を作成することもできる。また単枚をプレス型抜きした後に、それを積層してセラミックシート成形物体7を得ることができる。
【0117】
なお、プレス型抜き等に代り、エンボス(プレス)加工で凹凸シートを作成し、これをコルゲート波板に代り、またそれを併用して、構造体を得ることができる。図4(a)にエンボス加工による凹凸シート11からなるセラミックシート成形物体7の断面図を示す。
【0118】
セラミックシートは焼成硬化前なので、このように簡単に穴開け、切断、エンボス加工等の成形ができて、三角、四角、五角、6角、若しくはそれ以上の多角形、若しくは丸、楕円他の様々な断面形状を有するセラミックシート成形物体7が形成できる。
【0119】
即ち、上記と同様に、単枚又は複数枚をドリル穴開けをした後に、それを積層してセラミックシート成形物体7を得ることができる。このように種々のせん断加工ができる。図4(b)に一枚のセラミックシートを折曲げて重ね併せて(折曲セラミックシート19)、それから所定形状(半円)を切断(くり抜き)して、再度展開して一枚とし(空隙を有するセラミックシート4)、それを複数枚重ね併せることによって空隙を内包するセラミックシート成形物体7を得る工程を模式的に示す。
【0120】
図5(a)〜(d)は、筒状・管状又は環状のセラミックシート管(筒)12よりセラミックシート成形物体7を得る模式工程図である。
【0121】
まず、セラミックシートより管状体(筒状体)を製作する。次にこれを円周方向に輪切り(13)にする(図5(a))。これらの端面をセラミック平板上に接着すればセラミックシート成形物体7が得られる。なお、管状体を各軸を平行にして単に重ねるのみでもセラミックシート成形物体が得られる。なお管状体又はその集合束状体は、公知のハニカム押出成形法によってもよく、本発明によればそのようにして得た成形管状(ないし筒状体をさらに集成して構造体にできる点が有利である。
【0122】
(b)は、軸方向に切断してセラミックシート成形物体7としたものである。
【0123】
また、セラミックシートを短冊状に切断して(若しくは紐状に抄紙する)、それを直接環状に丸めてセラミック平板状に植えることができ、図5(a)及び(b)に示すように、構造体(セラミックシート成形物体)が形成できる(図2(c)も参照)。
【0124】
(c)は、多数の紙ビーズ、即ち小環状のセラミック管状体(筒状体)12を平板状のセラミックシート4で内包して、多数の空隙を内包するセラミックシート成形物体7とする工程を示す。この紙ビーズはセラミックシートの抄紙時に環状としてもよく、平板状(未成形)のセラミックシートを後から丸めて環状としてもよい。また、紙ビーズの外径等のサイズが揃っている必要はなく、ランダムでもよい。ランダムになることで充填率が上昇して好ましい場合がある。紙ビーズの外径は通常数ミリから数センチだが、セラミック構造体の所望の大きさによっては数m単位の外径を有する環状体もセラミックシートの加工自由度の高さにより可能である。また、図では、平板状の紙で多数の小環状のセラミック管状体をくるんでいるが、セラミック管状体(筒状体)そのものに、多数の小環状のセラミック管状体(筒状体)を挿入、充填してもよい。
【0125】
(d)は、多数のパイプ、即ち細長いセラミック管状体(筒状体)12を、平板状のセラミックシート4で内包して、多数の空隙を内包するセラミックシート成形物体7とし、さらにそれを円周方向に輪切りして、セラミックシート成形物体7とする工程を示す。このパイプはセラミックシートの抄紙時に筒状としてもよく、平板状(未成形)のセラミックシートを後から丸めて筒状としてもよい。また、パイプの外径等のサイズが揃っている必要はなく、ランダムでもよい。ランダムになることで充填率が上昇して好ましい場合がある。パイプの外径は通常数ミリから数センチだが(μm単位でも製造可能)、セラミック構造体の所望の大きさによっては数m単位の外径を有する環状体もセラミックシートの加工自由度の高さにより可能である。また、図では、平板状の紙で多数の小環状のセラミック管状体をくるんでいるが、セラミック管状体(筒状体)そのものに、多数の小環状のセラミック管状体(筒状体)を挿入、充填してもよい。
【0126】
さらに、上記で得られた輪切りにされたセラミックシート成形物体7を平板状のセラミックシート状に配列、若しくは上下平板状のセラミックシートで挟んで、複数のリング状のブロックに分割されている、多数の空隙を内包するセラミックシート成形物体を得ることができる。
【0127】
このように、ハニカム構造体に類似した構造を有するものが上記の工程から得られる。
【0128】
また、パイプ、即ち細長いセラミック管状体(筒状体)は、セラミックシートからなるので数10m単位以上の長さ(軸長)を有するものも、簡単に製造できるのでセラミックシート成形物体、さらには焼成後のセラミック焼結体(構造体)も巨大なものが製造可能である。その用途としては、建築材料の他に化学プラントの反応器がある。反応器の場合は、比較的多孔質であることが表面積が広くなり好ましい。
【0129】
さらに、セラミックシートに複数の切れ目を入れ、少なくともなくとも一方に引延して、メッシュ状にしたラスシートを用いてもラス形状を備えたセラミックシート成形物体を得ることができる。
【0130】
また、型紙を切り貼りすることによっても各種複雑な立体的な形状、構造が簡単に実現できる。必要に応じて表装材として、平板状セラミックシートを用いる。
【0131】
なお、抄紙工程より直接穴が開いたセラミックシートを直接得て、それを積層して空隙を内包する構造とすることも可能である。セラミックシートは可撓性とともに、自立性も有するのでこのような穴が開いていても、強度を有しており自立性を維持することができる。この方法によれば穴開け工程等が削減できて好ましい。
【0132】
表面強化を目的とする場合、好ましくは、以上のようなセラミックシート成形物体(構造体)に、泥しょうを被覆させる。被覆は、浸漬、塗布、及び吹き付け等により被覆(付着)することができる。これによって、紙型の気孔が泥しょうを吸収して気孔が埋まり緻密被覆層をもったものが焼成できる。付着させる部分は全体(全面)でもよく、表層(表面)だけでもよい。いずれも保護層となり強度や耐環境性が向上して、特に建築材料として用いた場合に優れた特性を発揮する。
【0133】
比較的多孔質の構造体が求められる場合は、上記の泥しょう被覆工程は省略可能である。多孔質、軽量及び表面積が広いセラミック構造体が得られることになり、特に触媒担体等の化学反応器に適している。勿論十分な強度があるので建築材料としても有用である。
【0134】
泥しょうの成分は紙の原料である坏土の他に、例えば、解膠剤0.3%程度、セルローズパウダー3%を加えて水分36%の泥しょうとしたものを用いることができる。解膠剤の成分としては、燐酸系、ポリカルボンアンモニウム酸系、ポリアクリル酸系等がある。
【0135】
<実施例4>
上記の実施例で得られたセラミックシート成形物体を焼成する。紙型は酸化性雰囲気中で焼成される。温度は原料に応じて変更される。酸化、還元焼成はどちらとも可能である。なお、真空炉やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中でも焼成できる。但し、酸化性雰囲気以外の真空炉や雰囲気炉では有機物除去工程(いわゆる脱脂工程)が必要な場合もある。
【0136】
セラミックシートが第1表の組成の場合は、紙成形物体を乾燥後800〜1200℃付近で締焼して、1200〜1400℃付近で本焼成する。本実施例もこれによるが、焼成条件は紙型(構造体の構造)及びセラミックシートの材質、厚さ、大きさ等によって当然変化する。
【0137】
焼成された紙型は、紙層2である中芯の有機繊維質(セルロース繊維等)が燃えて多孔質になるが、両側の緻密コート層(セラミック層1)にサンドイッチされる形で焼結して、最初の紙成形物体と相似形のセラミック構造体ができる。しかも中間層の気孔のために軽い。図6に焼成後のセラミックシートの顕微鏡による断面観察の組織図の一例を示す。このように、表層(本図では両層だが単層でも可)に釉薬(釉層3)を施して表装することもできる。
【0138】
このセラミック構造体の単位層の厚さは約0.8mmであり、非常に薄くて、強度があり、耐熱、耐水、耐薬品性等に優れた材料が得られる。この素材のJISR1601ファインセラミック曲げ強度試験で2100〜2800(平均2300)kgf/cm2を示す。また、圧縮強度はコアの構造によって調節できる。
【0139】
<実施例5>
図7に本発明の製造方法によって得られた空隙を内包するセラミック構造体17の厚さ方向の断面構造を示す。実施例3に示すように紙型を種々の形状(空隙を有する構造)に形成することができる。なお、図示するように空隙が連続的かつ対称的に配列した方が、強度の高さや均一性、生産効率の面から好ましいが、用途によっては多数の空隙を非対称又は不連続に配列することも好ましい。
【0140】
(a)は、管状空隙の応用例として円状の連続体からなる空隙を有するセラミック構造体7である。
【0141】
(b)は、 波状の変形例として先鋭化した三角状の連続体からなる空隙を有するセラミック構造体7である。
【0142】
(c)は、波形の変形例として平板状の先端部を有する三角状の連続体からなる空隙を有するセラミック構造体7である。連続体とすれば強度面で優れている。
【0143】
(d)は、(a)の変形であり曲面(コーナー)を有するセラミック構造体である。このように本発明の製造方法によって曲げ物も提供できる。
【0144】
(a)〜(d)の構造体は、大型平板でも十分な強度を有するので、単層でも板状体として用いることができ、しかも表面が緻密コート層(セラミック層1)、に覆うことができて(図6参照)、非常に建築材料に適している。
【0145】
さらに、多数の空隙を有するセラミック構造体の断面構造としては、略山波状の他、管状、円、楕円、三角、四角、五角、六角等の多角形、螺旋状、コイル状、網目状、H字、X字等の構造が用途に応じて採用される。
【0146】
これらの断面形状を有する(a)〜(d)の構造体を単独、又は組み合わせて用いることができる。即ち、集合、重合、積層してもよい。
【0147】
また鋳型、金型を必要とせずに、大型平面の構造体が簡単に作成できるので、工程及び工費削減効果は非常に大きい。
【0148】
<実施例6>
さらに、焼成したセラミック構造体に、タイル、陶板等の表層材を取り付けることができる。予め紙成形物体に嵌合、係合のためのほぞ等を設けてそれらを結合させることができる。予め、ほぞ等のための空隙を有するセラミックシートを抄紙してもよい。
【0149】
また、構造体内部の空隙(例えば、図2の波状空隙間)にセラミックシート管状体を挿入して焼成を行うことにより配筋が可能であり、強度が付与される。さらにボルト、ナット等により、配筋された構造物を連結して、さらに大型の構造物ができる。このような構造体はセラミック管状体の配筋、さらには、管状体内部や層間に鉄筋を入れることによるはり・すじかいの効果により耐震構造となる。
【0150】
<実施例7>
本発明に係るセラミック構造体は特に好ましくは建築用材に用いることができる。即ち、床材、壁材、天井材、表装材のような板状体として使用できる。また、棒状、円柱状、六角柱状として柱材にもできる。本発明から得られたセラミック構造体は、所定の空隙を内包する構造を有し、軽量で、機械的強度が高く、耐衝撃力も高く、不燃性、断熱性、保温性、耐水性に優れており建築用材料に求められる特性を全て充足するものである。例えば、ALC(軽量発砲コンクリート)を強度面等で大きく上回り、ALCの代用品として有用であり、しかもALCが強度不足により用いることができなかった超高層建築の分野にも進出できる。実際、JISA5416のALCパネルの曲げ強さ試験、外壁200kgf/m2、間仕切り65kgf/m2、屋根100kgf/m2、床360kgf/m2の基準をいずれもクリアできる。また触媒担体、焼成治具等にも使用することができる。
【0151】
【発明の効果】
本発明のセラミックシート及びセラミック構造体の製造方法によれば、第1に、安価な有機質繊維を原料として用いることができる。そして、シートの製造方法においては、それをセラミック原料と混合して加工することにより可撓性及び自立性及び形態保持力に優れたセラミックシートが得られ、良好な本発明の構造体の材料となる。また、セラミック質及び有機質の組成を変えることによって、気孔の形態を調整できる。また高保水性のセラミック質を含む場合には、プレス又は圧延法によれば、圧搾により水分を排出して乾燥させてシートを形成できる。さらに、シートを単独で焼結したものも多数の微小空隙を有する多孔体であり、化学反応装置として提供される。さらに、本発明の構造体は、所定の空隙を内包する構造を有し、軽量で、機械的強度が高く、耐衝撃力も高く、不燃性、断熱性、保温性、耐水性に優れており建築用材料に求められる特性を全て充足するものである。
【0152】
また、有機質繊維には古紙が使用できて、リサイクルに適し環境保全に貢献できる。
【0153】
さらに、セラミック原料としてアルミナを用いれば、高強度のセラミック構造体が得られる。曲げ強度2100〜2800kgf/cm2を備える。
【0154】
そして、セラミックシートを空隙(穴開き)を有するように抄紙すれば、それらを積層するだけで簡単に空隙を内包する構造を有するセラミック構造体が焼成できる。
【0155】
第2に、有機質繊維及びセラミック原料を主成分とするセラミックシートは、可撓性及び自立性に優れているので、コルゲート加工等により波板状にでき、この波板状セラミックシートを、互いに又は平板状のセラミックシートと重合、積層等させることにより、焼成後に硬いセラミック焼結体を研削切削する必要がなく、セラミック構造体を空間構成を形成するための研削工程を不要にできて、高硬度脆性材料であるセラミックの研削に従来掛かってきた研削工具の磨耗等のよる頻繁な工具の取り替え等の問題が生じないので、安価で簡単に焼成原形である空隙を内包する構造を有するセラミックシート成形物体(構造体)ができる。さらに、曲面を有する構造体もセラミックシートの可撓性により簡単に製造できる。また、上記の工程は連続的に行なうことができて生産性に優れている。
【0156】
また、セラミックシートを単枚又は複数枚を、カッタ、プレス又はドリルで型抜きして、そのままあるいは積層して多数の空隙を内包する構造を有するセラミックシート型を、研削切削工程なしで簡単に成形できる。
【0157】
さらに、セラミックシートの切断性の良さを活かして管状(筒状)のセラミックシートを輪切りするか、紐状のセラミックシートを管状(筒状)に結合して、それを平面上セラミックシートに柱状に植えて空隙を内包する構造を得ることができる。
【0158】
上記の空隙を内包するセラミックシート型は、いずれも空隙の配列を連続状にすることができて、圧縮強度等強度面で優れている。
【0159】
第3に、成形した紙成形物体(構造体)をセラミック原料からなる泥しょう中に浸漬することにより、セラミックシートの気孔部がそれを吸収して、焼成後一層緻密な保護層を有するセラミック板状焼結体(構造体)が得られる。
【0160】
第4に、上記“第3の”方法で焼成されたセラミック構造体は、厚さ方向の中間層が有機質繊維が燃焼して多孔質になるが、両面の緻密なセラミック層に挟まれて元の形状を保持して、しかも中間層がほとんど中空なので非常に軽い構造体が得られる。勿論、外面(両面)が緻密質セラミック層であるので、耐薬品性、耐衝撃性、軽量、強度、耐水性、断熱性及び耐火性に優れている。
【0161】
本発明の製造方法によって得られた構造体を中芯として、タイル、大理石、樹脂、木材等の表層材を用いて、あるいは施釉、釉上に文様等を加飾し耐環境性、装飾性等を高めることができる。あるいは、本発明の構造体の一面に直接施釉することもできる。
【0162】
また、構造体中の空間により、断熱、防音、耐火性を高めることができて、さらに通風性の壁材等にすることもでき、いわゆるオンドル効果により暖房効率を上げたり、冷房効果を上げることができ空調ができる。床、壁中を冷風あるいは温風を通し、冷房、暖房等の空調効果を上げることができる上に、湿度や湿気を取除くこともできる。その上、管紙等により所定の空洞を設ければ配線、配管の空間として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のセラミックシートの製造方法を示す工程模式図であり、
図1(a)は、プレス成形によるセラミックシートの製造方法を示す模式断面図であり、
図1(b)は、ドクターブレード法によるセラミックシートの製造方法を示す模式断面図であり、
図1(c)は、ロール圧延法によるセラミックシートの製造方法を示す模式断面図である。
【図2】 本発明の実施例2に係るコルゲート法による波板状セラミックシート及び成形物体の製造方法(参考例)を示す模式工程図であり、(a)では、板状のセラミックシートを2本のローラー10を通して波板状に加工する(波板6)製造工程を示す模式工程図である。(b)では、前記波板6をセラミックシート平板4上に接着して、さらに、波板上に別の平板を接着し、多数の空隙を内包するセラミックシート成形物体7(構造体)を得る製造工程を示す模式工程図である。(c)では、(a)で得られた波板を波山と直交する方向で切断又は輪切りして(切断波板8)、これらの半環状のセラミックシートを、別のセラミックシート平板4上に紙面を立てて波面の端面を当接させて配列・接合を行ない多数の空隙を内包するセラミックシート成形物体7(構造体)を得る製造工程を示す模式工程図である。
【図3】 (a)ないし(e)は、本発明の実施例1に係るコルゲート法による波板を用いた、参考例に係る製造方法による種々のセラミックシート成形物体(構造体)の斜視断面図である。
【図4】(a)は本発明の実施例2に係るエンボス加工による空隙を内包する構造を有するセラミックシート型成形物体を示す斜視図であり、
(b)は一枚のセラミックシートを折曲げ、切断、重合により空隙を内包するセラミックシート成形物体を成形する工程を示す模式工程図である。
【図5】(a)〜(d)は、本発明の実施例3に係る筒状のセラミックシート管よりセラミックシート成形物体(構造体)を得る模式工程図であり、
(a)は、セラミック管状体(筒状体)を、円周方向に輪切りし、これらの端面をセラミック平板上に接着してセラミックシート成形物体7を得る工程を示す。
(b)は、セラミック管状体(筒状体)を、軸方向に切断してセラミックシート成形物体7としたものである。
(c)は、多数の小環状のセラミック管状体(筒状体)を平板状のセラミックシートで内包して、多数の空隙を内包するセラミックシート成形物体7とする工程を示す。
(d)は、多数の細長いセラミック管状体(筒状体)を、平板状のセラミックシートで内包して、多数の空隙を内包するセラミックシート成形物体7とし、さらにそれを円周方向に輪切りして、セラミックシート成形物体7とする工程を示す。
【図6】本発明の実施例4に係る焼成後のセラミックシートの顕微鏡による断面観察の組織図を示す。
【図7】本発明の実施例5に係る空隙を内包する構造を有するセラミック構造体の厚さ方向の断面構造を示す断面図であり、
(a)〜(c)は直線状の板状体であり、
(d)は曲線状の板状体である。
【符号の説明】
1 セラミック層
2 紙層
3 釉層
4 セラミックシート
5 ローラー
6 波板
7 セラミックシート成形物体(構造体、板状体)
8 切断波板
9 積層セラミックシート
11 凹凸波板
12 セラミック中空管(筒)
13 横分割セラミック中空管(筒)
14 縦分割セラミック中空管(筒)
17 セラミック構造体(板状体)
19 折曲セラミックシート
20 セラミック粉末
21 紙(布)
25 加圧ロール
26 加熱ロール
27 プレス
28 金型
29 混合物
30 スラリー容器
31 ドクターブレード
32 紙ロール
33 セラミックシートロール
34 スラリー

Claims (4)

  1. 有機質繊維とセラミック原料を主成分とする、未焼結のセラミックシートを管状に加工し前記管状のセラミックシート成形物体を得る工程と、前記管状のセラミックシート成形物体を複数個結合して多数の空隙を内包する未焼結の成形物体を形成する工程と、前記多数の空隙を内包する未焼結の成形物体を焼結して、多数の空隙を内包するセラミック構造体を形成する工程と、を含むことを特徴とするセラミック構造体の製造方法。
  2. 前記管状のセラミックシート成形物体を切断後、複数個結合することを特徴とする請求項1記載のセラミック構造体の製造方法。
  3. 有機質繊維とセラミック原料を主成分とする、未焼結のセラミックシートを二層以上に折返した後、所定形状をくり抜き、その後部分的に展開して成る未焼結の成形セラミックシートを複数毎積層して多数の空隙を内包する成形物体を形成し、前記多数の空隙を内包する未焼結の成形物体を焼結して、多数の空隙を内包するセラミック構造体を形成することを特徴とするセラミック構造体の製造方法。
  4. 有機質繊維とセラミック原料を主成分とし、多数の切込みを入れた後少くとも一方向に引延して形成される未焼結のラスシートを複数毎積層して多数の空隙を内包する成形物体を形成し、前記多数の空隙を内包する未焼結の成形物体を焼結して、多数の空隙を内包するセラミック構造体を形成することを特徴とするセラミック構造体の製造方法。
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